特許第6012598号(P6012598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6012598-ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法 図000040
  • 特許6012598-ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法 図000041
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012598
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/14 20060101AFI20161011BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20161011BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B01J13/14
   A61L9/01 Q
   A61K8/11
   A61K8/84
   A61Q5/12
   A61Q5/02
   A61Q19/10
   A61Q15/00
   A61Q9/02
   A61Q13/00 102
   C08G18/32
【請求項の数】11
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2013-513796(P2013-513796)
(86)(22)【出願日】2011年6月7日
(65)【公表番号】特表2013-530825(P2013-530825A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】IB2011052471
(87)【国際公開番号】WO2011154893
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】11166717.6
(32)【優先日】2011年5月19日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】11166533.7
(32)【優先日】2011年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/353,787
(32)【優先日】2010年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10165700.5
(32)【優先日】2010年6月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ストリュイゥ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ピション
(72)【発明者】
【氏名】ソニア ゴドフルワ
(72)【発明者】
【氏名】クロディ ベルゥアル ドレヴェ
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−528285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/14
A61K 8/11
A61K 8/84
A61L 9/01
A61Q 5/02
A61Q 5/12
A61Q 9/02
A61Q 13/00
A61Q 15/00
A61Q 19/10
C08G 18/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物であって、両方が少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する混合物を、香料に溶解させて溶液を形成する工程;
b)工程a)において得られた該溶液に、乳化剤またはコロイド安定化剤の水溶液を加える工程;
c)工程b)において得られた該混合物にポリアミンを加えて、該ポリイソシアネートを有するポリ尿素壁を形成し、それによってマイクロカプセルスラリーを形成する工程;
を含む、ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法であって、
該脂肪族ポリイソシアネートおよび該芳香族ポリイソシアネートが、それぞれモル比80:20〜10:90の範囲で使用され
前記芳香族ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、およびキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物からなる群より選択され;かつ
前記脂肪族ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットからなる群より選択されることを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
前記マイクロカプセルスラリーを、噴霧乾燥で乾燥させて、ポリ尿素マイクロカプセル粉末を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
25〜60%の量の香料を使用し、これらの百分率が、前記得られたマイクロカプセルスラリーの総質量に対する質量によって定義されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネートの前記混合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記脂肪族ポリイソシアネートおよび前記芳香族ポリイソシアネートが、それぞれモル比60:40〜20:80において使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート混合物が、工程a)において得られた前記溶液の総質量に対して2〜20質量%の量において使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コロイド安定化剤が、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリエチレンもしくはポリプロピレンオキシドとのコポリマー、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー、カチオン性ポリマー、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリアミンが、水溶性グアニジン塩、グアニジン、トリス−(2−アミノエチル)アミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン、およびN,N’−ビス(3−アミノプロピル)−エチレンジアミンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
− 少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリアミンとの重合の反応生成物を含むポリ尿素壁;
− コロイド安定化剤または乳化剤;および
− 封入された香料;
を含むポリ尿素マイクロカプセルであって
該ポリイソシアネートが、それぞれモル比80:20〜10:90における、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態であり、該芳香族ポリイソシアネートおよび該脂肪族ポリイソシアネートの両方が少なくとも2つのイソシアネート官能基を有し;
前記芳香族ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、およびキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物からなる群より選択され;かつ
前記脂肪族ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットからなる群より選択されることを特徴とする、前記ポリ尿素マイクロカプセル。
【請求項10】
請求項において定義されるようなマイクロカプセルを含む消費者製品。
【請求項11】
シャンプー、ヘアコンディショナー、石鹸、ボディウォッシュまたは別の衛生製品、美容製造物、ボディローション、防臭剤または制汗剤、香料、アフターシェーブローション、オーデコロン、固体洗剤または液体洗剤、万能クリーナー、布地用柔軟剤またはリフレッシャー、アイロンかけ用の水または洗剤、柔軟剤、あるいはドライヤーシートの形態の、請求項10に記載の消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームケア製品またはパーソナルケア製品において使用可能な、ポリ尿素壁を有する香料含有マイクロカプセルの製造方法、ならびにマイクロカプセルそれ自体、およびこれらのマイクロカプセルを含む消費者製品に関する。
【0002】
本発明の方法は、特定の相対濃度における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせを使用する。
【0003】
香料産業が直面している問題の1つは、発香性化合物によって提供される嗅覚的恩恵が、それらの揮発性、特に「トップノート」の揮発性のために比較的速く失われるということである。一般的に、制御された方法においてその芳香を放出するための送達系、例えば香料を含有するカプセル、を使用することによりこの問題に取り組んでいる。
【0004】
ポリイソシアネートとポリアミンとの重合によって形成されたポリ尿素カプセルは、香料を含む様々な分野において使用されている周知のカプセルである。しかしながら、そのような送達系は、上記の送達系に対して非常に攻撃的な、界面活性剤ベースの製品、例えば、洗剤または布地用柔軟剤、に組み入れられた場合、安定性が問題となり得る。
【0005】
良好な安定性と良好な嗅覚的性能の両方を有するカプセルを製造することは特に困難である。香料保持能力、したがって揮発性成分の損失を避けるカプセルの能力は、特に、製品基材中におけるカプセルの安定性に依存している。一方で、着香された製品を使用する消費者によって知覚される快楽作用、したがってそのような製品の品質の知覚は、当該カプセルの嗅覚的性能に依存する。特に、製品基材中において良好な安定性を有するカプセルが、自動的に良好な嗅覚的性能を有するわけではない。したがって、良好な安定性および良好な嗅覚的性能の両方を有するカプセルを提供することが望ましい。
【0006】
いくつかの先行技術の文献は、ポリ尿素マイクロカプセルの安定性の問題を取り扱っている。
【0007】
これは、例えば、米国特許第3,886,085号の場合であり、当該特許では、遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネート付加物ならびにポリアミンまたは遊離アミノ基を有するポリアミン付加物を用いた、微細油滴のマイクロカプセルの製造方法について開示されている。使用可能なポリイソシアネート付加物の中で特に、芳香族のものについて言及されている。当該特許によれば、そのような方法により、香料が当該カプセルの壁またはシェルを通って放出されることなく長期間保存され得る、香料を封入するカプセル(すなわち、安定なカプセル)が製造される。しかしながら、当該カプセルは、具体的には、紙への適用のために設計されている。着香された製品、例えば、ホームケア製品およびパーソナルケア製品、における界面活性剤の存在は、これらの製品基材を、それらの中に組み入れられたカプセルに対して非常に攻撃的にするため、当該カプセルの保存安定性に対して非常に悪い影響を及ぼすということは周知である。そのような攻撃的な状態は、当該カプセルが紙に適用された場合には存在しないため、紙に適用されたカプセルの安定性を、表面活性剤を含有する媒体、例えば着香された製品、でのマイクロカプセルの安定性と比較することはできない。その上、カプセルの嗅覚的性能の問題は、この文献では取り扱われてはいない。
【0008】
米国特許第4,668,580号には、脂肪族および芳香族の様々なポリイソシアネートを使用可能な、ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法について記載されている。この文献の実施例3では、90%のビウレット化されたヘキサメチレン−ジイソシアネートと10%のカルボジイミド変性ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートとからなるポリイソシアネートの混合物が使用されている。この文献は、有機液体とそれらに不溶性のポリイソシアネートとを含む「不均一」有機相を有するカプセルを提供する問題を取り扱っている。香料の分野におけるこの技術の適用は、この文献において想定されておらず、また提案もされていない。したがって、香料カプセルの貯蔵安定性と良好な嗅覚的性能の両方を組み合わせる問題は、この文献では取り扱われていない。
【0009】
本発明は、ポリ尿素マイクロカプセルの新規の製造方法を提供する。当該方法は、有利には、非常に安定で同時に良好な嗅覚的性能を有するカプセルを提供する問題を解決する。この問題の本解決策は、いかなる先行技術の文献にも記載されておらず、提案もされていない。
【0010】
本発明は、香料を封入するポリ尿素マイクロカプセルを製造する方法に関する。本発明は、カプセルそれ自体、ならびに賦香組成物およびそれらを含有する着香された物品に関する。
【0011】
本発明の目的の1つは、
a)少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物であって、両方が少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する混合物を香料に溶解させて溶液を形成する工程;
b)工程a)において得られた当該混合物に、乳化剤またはコロイド安定化剤の水溶液を加える工程;
c)工程b)において得られた当該混合物にポリアミンを加えて、ポリイソシアネートを含むポリ尿素壁を形成し、それによってマイクロカプセルスラリーを形成する工程;
を含む、ポリ尿素マイクロカプセルの製造方法であって、当該脂肪族ポリイソシアネートおよび当該芳香族ポリイソシアネートが、それぞれモル比80:20〜10:90において使用されることを特徴とする、方法である。
【0012】
工程a)においてポリイソシアネートを溶解させた香料は、単独の賦香成分、または賦香組成物の形態における成分の混合物であり得る。任意の賦香成分または組成物を使用することができる。そのような賦香成分の具体例は、現時点での文献、例えば、Perfume and Flavour Chemicals,1969(and later editions),by S.Arctander,Montclair N.J.(USA)、並びに香料産業に関連する多くの特許および他の文献に見出すことができる。それらは、賦香消費者製品の当業者、すなわち、消費者製品に心地よい香気を付与する当業者には周知である。
【0013】
賦香成分は、香料産業において現時点で使用されている溶媒に溶解させることができる。当該溶媒は、好ましくはアルコールではない。そのような溶媒の例として、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、エチルシトレート、リモネンまたは他のテルペン、あるいはイソパラフィンが挙げられる。好ましくは、当該溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)のように、非常に疎水性で、かつ高度に立体障害性である。好ましくは、当該香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、当該香料は、20%未満の、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらすべての百分率は、香料の総質量に対する質量によって定義される。最も好ましくは、当該香料は、実質的に溶媒を含まない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態により、本発明の方法において使用される香料は、それ自体の質量の10%未満の第一級アルコール、それ自体の質量の15%未満の第二級アルコール、およびそれ自体の質量の20%未満の第三級アルコールを含有する。好ましくは、本発明の方法において使用される香料は、いかなる第一級アルコールも含有せず、かつ15%未満の第二級および第三級アルコールを含有する。
【0015】
本発明の別の好ましい実施態様により、本発明の方法において25〜60%の量の香料が使用され、これらの百分率は、得られたマイクロカプセルスラリーの総質量に対する質量によって定義される。
【0016】
本発明の方法において使用されるポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する。好ましくは、当該イソシアネートは、少なくとも3つのイソシアネート基を含有する。官能基のこれらの数に従って、カプセル壁の最適な細網化または網目構造が達成され、その結果、芳香の長期間の持続放出ならびに消費者製品中における良好な安定性を示すマイクロカプセルが提供される。
【0017】
低揮発性のポリイソシアネートは、その低毒性ゆえに好ましい。
【0018】
用語「芳香族ポリイソシアネート」は、ここでは、芳香族部分を有する任意のポリイソシアネートを包含することを意味する。好ましくは、当該ポリイソシアネートは、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、またはジフェニル部分、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を有する。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレットおよびポリイソシアヌレートであり、より好ましくは、上記に列記された特定の芳香族部分のうちの1つを有する。より好ましくは、当該芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(商標Desmodur(登録商標) RCでBayerから市販されている)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商標Desmodur(登録商標) L75でBayerから市販されている)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商標Takenate(登録商標) D−110NでMitsui Chemicalsから市販されている)である。これらの好ましい芳香族ポリイソシアネートの化学構造を図1に表す。最も好ましい実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0019】
用語「脂肪族ポリイソシアネート」は、いかなる芳香族部分も有さないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Mitsui Chemicalsから入手可能)、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(商標Desmodur(登録商標) N 100でBayerから市販されている)であり、これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットはさらにより好ましい。この好ましい脂肪族ポリイソシアネートの化学構造を図1に表す。
【0020】
少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの好ましい特定の混合物の例として、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン−付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物が挙げられる。ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物が最も好ましい。
【0021】
好ましい実施形態において、当該少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートおよび当該少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートは、それぞれモル比75:25〜20:80、より好ましくは60:40〜20:80、さらにより好ましくは60:40〜30:70、最も好ましくは45:55〜30:70において使用される。
【0022】
好ましくは、当該ポリイソシアネート混合物は、工程a)において得られた溶液の総質量に対して2〜20質量%の量において加えられる。
【0023】
本発明の方法の工程b)において、乳化剤またはコロイド安定化剤の水溶液が、工程a)の混合物に加えられる。好ましい実施形態において、分散液またはエマルションが形成され、この場合、工程a)において得られた混合物の液滴が、当該乳化剤またはエマルションの水溶液全体に分散される。本発明の目的のために、エマルションは、乳化剤による油滴の安定化によって特徴付けられ、一方、分散液は、油滴がコロイド安定化剤によって安定化されている。当該分散液またはエマルションは、高剪断混合によって製造し、所望の液滴サイズに調節することができる。液滴サイズは、光散乱測定または顕微鏡により確認することができる。好ましくは、コロイド安定化剤の水溶液が使用され、したがって分散液が形成される。
【0024】
コロイド安定化剤の例として、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリエチレンまたはポリプロピレンオキシドとのコポリマー、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー、あるいは、カチオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドンと四級化ビニルイミダゾルとのカチオン性コポリマー、例えば、商標Luviquat(登録商標)で販売されているもの(BASFから市販されている)が挙げられる。好ましくは、当該コロイド安定化剤は、ポリビニルアルコールまたはカチオン性ポリマーであり、これは、ビニルピロリドンと四級化ビニルイミダゾルとのコポリマーまたはそれらの混合物である。
【0025】
乳化剤の例として、アニオン性界面活性剤、例えば、ナトリウムドデシルスルフェートまたはStepantex(登録商標)(Stepanから市販されている)、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレンオキシドとポリエチレンまたはポリプロピレンオキシドとのジブロックコポリマーが挙げられる。
【0026】
本発明の方法の工程c)において、ポリアミンが加えられる。マイクロカプセルのポリ尿素壁は、工程a)において溶解されたポリイソシアネートと、工程c)において加えられたポリアミンとの間の界面重合の結果である。
【0027】
本発明の目的のために、当該ポリアミンは、単独で使用され得る、またはグリセリンと混和され得る。
【0028】
好ましくは、上記ポリアミンは、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、水溶性グアニジン塩およびグアニジン、トリス−(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−エチレンジアミン、ならびにN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンからなる群より選択される。これらの好ましいポリアミンの化学構造を図1に表す。
【0029】
より好ましくは、当該ポリアミンは、水溶性グアニジン塩およびグアニジン、トリス−(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ならびにN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミンからなる群より選択される。最も好ましくは、当該ポリアミンは、グアニジン、水溶性グアニジン塩、およびN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンから選択される。「水溶性グアニジン塩」は、水に可溶な塩であってグアニジンと酸との反応から得られる塩を意味する。そのような塩の一例として、炭酸グアニジンが挙げられる。
【0030】
使用されるポリアミンの量は、典型的には、工程a)の香料に溶解されたイソシアネート基の各モルに対して、工程c)において0.5〜3モルのアミン基が加えられるように調節される。好ましくは、工程a)において香料に溶解されたイソシアネート基の各モルに対して、工程c)において、1〜3、より好ましくは1〜2モルのアミン基が加えられる。
【0031】
ポリイソシアネートとポリアミンとの重合を誘起するのに、特に何もする必要はない。当該反応は、ポリアミンを加えた途端に開始する。好ましくは、当該反応は、2〜15時間、より好ましくは2〜10時間維持される。
【0032】
カプセルが布地または髪に置かれると芳香の満足のいく放出を達成する一方で、製品基材において所望の安定性を示す(例えば、消費者製品の界面活性剤による香料の抽出を効果的に打ち消す)、放出と保持との精密なバランスの取れたマイクロカプセルを得る上で、ポリ尿素壁の特定の組成物が重要である。したがって、上記において言及されたものの中からポリアミンおよびポリイソシアネートを選択することにより、カプセルの特性および安定性の微調整が可能となる。
【0033】
任意選択による本発明の方法の工程において、マイクロカプセルをスラリーから単離してもよい。別の任意選択による工程において、マイクロカプセルスラリーを一般的に既知の方法において乾燥させ、ポリ尿素マイクロカプセル粉末を形成してもよい。当業者に既知の任意の乾燥方法を使用することができ、特に、マイクロカプセル粉末を提供するためにスラリーを噴霧乾燥してもよい。
【0034】
上記において説明した実施形態のうちのいずれかによる方法によって得られるマイクロカプセルも、本発明の目的である。したがって、本発明は、
− 少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリアミンとの重合の反応生成物を含むポリ尿素壁;
− コロイド安定化剤または乳化剤;および
− 封入された香料;
を含むマイクロカプセルであって、当該ポリイソシアネートが、それぞれモル比80:20〜10:90における少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態であり、当該芳香族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネートの両方が少なくとも2つのイソシアネート官能基を有することを特徴とする、マイクロカプセルを提供する。
【0035】
好ましい実施形態により、当該ポリ尿素壁は、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリアミンとの重合の反応生成物である。
【0036】
得られたマイクロカプセルは、1〜50μm、好ましくは5〜35μm、より好ましくは5〜20μmの平均直径(d(v、0.5))を有する。本文脈において、「平均直径」は、算術平均を意味する。本発明者らは、このサイズのマイクロカプセルにより、標的表面、例えば、布地、髪、または肌、へのマイクロカプセルの最適な被着および/または付着が得られることを見出した。
【0037】
ポリイソシアネート混合物、香料、コロイド安定化剤もしくは乳化剤、およびポリアミン、ならびにこれらの構成成分のそれぞれの量は、マイクロカプセルの製造方法に関連する任意の実施形態において、上記において定義された通りである。
【0038】
本発明のマイクロカプセルは、有利には、封入された香料の制御放出のために使用することができる。したがって、これらのマイクロカプセルが、着香される消費者製品中に賦香成分として含まれることは特に理解される。この結果は、非常に驚くべきものである、なぜなら、当該消費者製品は、多量(典型的にはそれ自体の質量の10%超)の、上記カプセルの安定性および性能を著しく損なうことが知られている特定のタイプの界面活性剤/表面張力活性剤/溶媒を含有し得るからである。換言すれば、消費者製品において本発明のマイクロカプセルを使用することにより、他の類似の先行技術のカプセルの同様の使用に勝る予想外の利点が提供される。
【0039】
下記の実施例に示されるように、本発明の方法によって得られるポリ尿素マイクロカプセルは、香料の良好な保持を提供する一方で、良好な嗅覚的性能を有する。当該マイクロカプセルは、封入された香料を制御放出し、当該香料はマイクロカプセルから持続放出され、したがって、香料の長期持続性および強度が著しく向上する。
【0040】
本発明のカプセルは、安定であるという利点を有する。より好ましくは、当該マイクロカプセルが、消費者製品、例えば、下記に一覧される消費者製品のうちの1つ、に組み入れられ、38℃で1ヶ月間貯蔵された場合、初期香料充填が50%超えてカプセル外に漏出しない場合、当該マイクロカプセルは安定であると見なされる。
【0041】
したがって、本発明のマイクロカプセルを含む着香された消費者製品も、本発明の目的である。特に、当該消費者製品は、ホームケア製品またはパーソナルケア製品の形態、あるいはファイン芳香製品の形態であり得る。パーソナルケア製品の例としては、シャンプー、ヘアコンディショナー、石鹸、ボディウォッシュ、例えば、シャワーもしくはバスソルト、ムース、オイル、またはジェル、衛生製品、美容製造物、ボディローション、防臭剤、および制汗剤が挙げられる。ファイン芳香製品の例としては、香料、アフターシェーブローション、およびオーデコロンが挙げられる。ホームケア製品の例としては、固体洗剤または液体洗剤、万能クリーナー、布地用柔軟剤およびリフレシャー、アイロンかけ用の水および洗剤、柔軟剤、ならびにドライヤーシートが挙げられ、中でも、液体、粉末、および顆粒洗剤、ならびに布地用柔軟剤が好ましい。洗剤として、ここでは、例えば布地または硬質の表面(床、タイル、石張りの床など)の処理が意図される様々な表面を洗浄またはクリーニングするための洗剤組成物またはクリーニング製品などの製品が挙げられる。好ましくは、当該表面は布地である。
【0042】
最も好ましい消費者製品として、粉末洗剤および液体洗剤、布地用柔軟剤、ボディウォッシュ、防臭剤、ならびに制汗剤が挙げられ、最も好ましくは、回転塗布式の防臭剤および制汗剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ならびにボディローションが挙げられる。
【0043】
本発明の方法において得られるカプセルスラリーは、そのまま消費者製品を着香するために使用することができる。例えば、当該反応混合物を、布地用液体柔軟剤に直接加えてもよい。あるいは、本発明の方法において得られたマイクロカプセルは、当該反応混合物から単離した後に消費者製品に組み入れてもよい。同様に、本発明のマイクロカプセルを含む当該反応混合物は、乾燥粉末状製品、例えば、洗濯粉末または粉末状洗剤に噴霧してもよく、あるいは当該マイクロカプセルを乾燥させて、これらの製品に固体形態において添加してもよい。当該マイクロカプセルは、例えば、噴霧乾燥してもよい。
【0044】
好ましくは、当該消費者製品は、0.01〜10%、より好ましくは0.05〜2%の本発明のマイクロカプセルを含み、これらの百分率は、当該消費者製品の総質量に対する質量によって定義される。当然のことながら、上記濃度は、各製品において所望される嗅覚的効果に従って調節することができる。
【0045】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品基材の配合は、そのような製品に関連する豊富な文献に見出すことができる。このような配合についての詳細な説明はここでは請け負わないが、いずれにしてもそのような説明は包括的ではないであろう。そのような消費者製品を配合する当業者は、自分の一般的知識および利用可能な文献に基づいて、好適な構成成分を完全に選択することができる。特に、そのような配合の例は、そのような製品に関連する特許および特許出願、例えば、国際公開第2008/016684号(10〜14頁)、米国特許出願公開第2007/0202063号(段落[0044]〜[0099])、国際公開第2007/062833号(26〜44頁)、国際公開第2007/062733号(22〜40頁)、国際公開第2005/054422号(4〜9頁)、欧州特許出願公開第1741775号、英国特許出願公開第2432843号、同第2432850号、同第2432851号、または同第2432852号に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明において使用可能な、いくつかのポリアミンおよびポリイソシアネートの化学構造を示す。
図2図2は、カプセルを製造するために使用したDesmodur(登録商標) N 100/Takenate(登録商標) D−110N混合物中の脂肪族ポリイソシアネート(Desmodur(登録商標) N 100)の割合(モル%)の関数としての、柔軟剤A〜Gおよび対照柔軟剤A中における本発明のカプセルの安定性を表すグラフを示す。
【0047】
実施例
以下の実施例は、本発明の実施形態をさらに例示し、先行技術の教示に対する本発明の手段の利点をさらに実証するものである。
【0048】
実施例1
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
以下の成分を有する、本発明によるポリ尿素マイクロカプセル(カプセルA)を製造した。
【0049】
第1表:カプセルAの組成
【表1】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
3)第1a表の成分を有する賦香組成物
【0050】
第1a表:香料の組成
【表2】
a)供給元:Dragoco、ホルツミンデン、ドイツ
b)供給元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
c)ジヒドロジャスモン酸メチル、供給元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
d)供給元:International Flavors & Fragrances、米国
e)1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,2,3,3−ペンタメチル−4h−インデン−4−オン、供給元:International Flavors & Fragrances、米国
f)3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、供給元:Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス
g)1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン、供給元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
h)1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン、供給元:International Flavors & Fragrances、米国
i)ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン、供給元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
j)3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、供給元:Givaudan SA、ヴェルニエ、スイス
k)ペンタデセノリド、供給元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
l)1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)シクロヘク−3−エン−1−カルボキサルデヒド、供給元:International Flavors & Fragrances、USA
4)Mowiol(登録商標) 18−88、供給元:Fluka
5)塩化テトラエチルアンモニウム(50%水溶液)、供給元:Fluka
6)供給元:Acros Organics
【0051】
Desmodur(登録商標) N 100およびTakenate D−110Nを香料に溶解させた。この油相を、スクレーパー撹拌機およびIka−ローター/スターターシステム(6500〜24000rpm)を備えた1リットルのガラス製二重ジャケット反応器に導入した。油相を、スクレーパー撹拌機により50rpmで5分間撹拌した。
【0052】
543.5gの脱イオン水にポリビニルアルコールを溶解させて、安定化剤溶液の総質量に対して1質量%の安定化剤水溶液を製造した。この溶液を室温で反応器に導入し、スクレーパー撹拌機を止めた。
【0053】
次いで、Ika−ローター/スターターシステムにより13500rpmにおいて10分間かけて香料相を水相に分散させることにより、プレエマルションを製造した。
【0054】
エマルションが製造されると、プロセスの終了までスクレーパー撹拌機により200rpmで撹拌を継続した。
【0055】
塩化テトラエチルアンモニウム溶液を当該エマルションに加えた。次いで、脱イオン水19g中における炭酸グアニジンの溶液を、1時間かけて反応器に加えた。当該反応混合物の温度を、1時間かけて室温から70℃までゆっくりと上げた。温度を70℃で2時間維持した。その後、撹拌速度を100rpmまで減速し、カプセル懸濁液を室温まで冷却した。
【0056】
当該カプセル懸濁液中の香料含有量は、当該懸濁液の総質量に対して約40%であった。
【0057】
実施例2
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
実施例1において説明した方法を用いてカプセルB〜Gを製造した。第1表と同様に、同じ量の香料、ポリビニルアルコール、塩化テトラエチルアンモニウム、炭酸グアニジン、および水を使用した。Desmodur(登録商標) N 100およびTakenate(登録商標) D−110Nの量のみを、以下の表に示すように変えた。
【0058】
第2表:カプセルB〜Gにおけるポリイソシアネートの量
【表3】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
【0059】
実施例3
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
実施例1において説明した方法を用いてカプセルHおよびIを製造した。第1表と同様に、同じ量の香料、ポリビニルアルコール、塩化テトラエチルアンモニウム、炭酸グアニジン、および水を使用した。ポリイソシアネートの性質および量のみを変えた。Takenate(登録商標) D−110Nを、カプセルHではDesmodur(登録商標) RCに代え、カプセルIではDesmodur(登録商標) L75に代えた。カプセルHおよびIにおいて使用されるポリイソシアネートのそれぞれの量を、以下の2つの表にまとめる。
【0060】
第3表:カプセルHのポリイソシアネートの量
【表4】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、供給元:Bayer
【0061】
第4表:カプセルIのポリイソシアネートの量
【表5】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン、供給元:Bayer
【0062】
実施例4
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
以下の成分を有する本発明によるポリ尿素マイクロカプセル(カプセルJ)を製造した。
【0063】
第5表:カプセルJの組成
【表6】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
3)第1a表の賦香組成物(実施例1と同様)
4)Mowiol(登録商標)18−88、供給元:Fluka
5)塩化テトラエチルアンモニウム(50%水溶液)、供給元:Fluka
6)供給元:Acros Organics
【0064】
Desmodur(登録商標)N 100およびTakenate(登録商標) D−110Nを香料に溶解させた。この油相を、スクレーパー撹拌機およびIka−ローター/スターターシステム(6500〜24000rpm)を備えた1リットルのガラス製二重ジャケット反応器に導入した。油相を、スクレーパー撹拌機により50rpmで5分間撹拌した。
【0065】
543.5gの脱イオン水にポリビニルアルコールを溶解させて、安定化剤溶液の総質量に対して1質量%の安定化剤水溶液を製造した。この溶液を室温で反応器に導入し、スクレーパー撹拌機を止めた。
【0066】
次いで、Ika−ローター/スターターシステムにより13500rpmにおいて10分間かけて香料相を水相に分散させることにより、プレエマルションを製造した。
【0067】
エマルションが製造されると、プロセスの終わりまで、スクレーパー撹拌機を用いて200rpmで撹拌を継続した。
【0068】
塩化テトラエチルアンモニウム溶液を当該エマルションに加えた。次いで、19gの脱イオン水中における炭酸グアニジンの溶液を、1時間かけて反応器に加えた。当該反応混合物の温度を室温に2時間維持した。
【0069】
カプセル懸濁液中の香料含有率は、懸濁液の総質量に対して40%程度であった。
【0070】
実施例5
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
実施例4において説明した方法を用いてカプセルK、L、およびMを製造した。第5表と同様に、同じ量の香料、ポリビニルアルコール、塩化テトラエチルアンモニウム、Desmodur(登録商標) N 100、Takenate(登録商標) D−110N、および水を使用した。以下の表にまとめるように、使用するポリアミンの性質および量のみを変えた。
【0071】
第6表:カプセルK、L、およびMにおいて使用したポリアミン
【表7】
1)供給元:Fluka
【0072】
実施例6
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
ポリアミンとして6.8gのトリス(2−アミノエチル)アミン(供給元:Fluka)を使用したことを除いて、実施例4において説明した方法を用いてカプセルN〜Pを製造した。下記の表にまとめるように、これらの各カプセルのためのDesmodur(登録商標) N 100およびTakenate(登録商標) D−110Nのそれぞれの量を変えた。
【0073】
第7表:カプセルN〜Pにおけるポリイソシアネートの量
【表8】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
【0074】
実施例7
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
ポリアミンとして11.1gのN,N,N’,N’−テトラキス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン(DAB−Am−4、供給元:Sigma−Aldrich)を使用したことを除いて、実施例4において説明した方法を用いてカプセルQ〜Sを製造した。下記の表にまとめるように、これらの各カプセルのためのDesmodur(登録商標)N 100およびTakenate(登録商標) D−110Nのそれぞれの量を変えた。
【0075】
第8表:カプセルQ〜Sにおけるポリイソシアネートの量
【表9】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
【0076】
実施例8
本発明のポリ尿素マイクロカプセルの製造
ポリアミンとして12.2gのN,N’−ビス(3−アミノプロピル)−エチレンジアミン(供給元:Acros Organics)を使用したことを除いて、実施例4において説明した方法を用いてカプセルTおよびUを製造した。下記の表にまとめるように、これらの各カプセルのためのDesmodur(登録商標)N 100およびTakenate(登録商標)D−110Nのそれぞれの量を変えた。
【0077】
第9表:カプセルTおよびUにおけるポリイソシアネートの量
【表10】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
【0078】
実施例9(比較例)
脂肪族ポリイソシアネートのみを含むポリ尿素マイクロカプセルの製造
脂肪族ポリイソシアネートを単独で使用して比較カプセル(対照A)を製造した。当該カプセルは、以下の成分を有する。
【0079】
第10表:対照Aの組成
【表11】
1)ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、供給元:Bayer
2)供給元:Acros Organics
3)第1a表の賦香組成物(実施例1と同様)
4)Mowiol(登録商標)18−88,供給元:Fluka
5)塩化テトラエチルアンモニウム(50%水溶液)、供給元:Fluka
【0080】
実施例1において説明した方法を用いて、これらのカプセルを製造した。
【0081】
実施例10(比較例)
脂肪族ポリイソシアネートのみを含むポリ尿素マイクロカプセルの製造
実施例4の方法により、対照B〜GおよびLを製造した。Desmodur(登録商標) N 100、香料、ポリビニルアルコール、塩化テトラエチルアンモニウム、および水は、第10表に示される量で使用した。以下の表に示すように、使用するポリアミンの性質および量のみを変えた。
【0082】
第11表:対照B〜GおよびLの組成
【表12】
1)供給元:Acros Organics
2)供給元:Fluka
3)DAB−Am−4、供給元:Sigma−Aldrich
4)供給元:Acros Organics
【0083】
実施例11(比較例)
芳香族ポリイソシアネートのみを含むポリ尿素マイクロカプセルの製造
芳香族ポリイソシアネートを単独で使用して、比較カプセル(対照H)を製造した。これらのカプセルは、以下の成分を有する。
【0084】
第12表:対照Hの組成
【表13】
1)キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、供給元:Mitsui Chemicals
2)第1a表の賦香組成物(実施例1と同様)
3)Mowiol(登録商標)18−88、供給元:Fluka
4)塩化テトラエチルアンモニウム(50%水溶液)、供給元:Fluka
5)供給元:Acros Organics
【0085】
実施例1において説明した方法を用いて、これらのカプセルを製造した。
【0086】
実施例12(比較例)
芳香族ポリイソシアネートのみを含むポリ尿素マイクロカプセルの製造
実施例4の方法により、対照I〜KおよびMを製造した。Takenate(登録商標) D−110N、香料、ポリビニルアルコール、塩化テトラエチルアンモニウム、および水は、第12表に示される量で使用した。以下の表にまとめるように、対照I〜KおよびMにおいて、使用するポリアミンの性質および量のみを変えた。
【0087】
第13表:対照I〜KおよびMの組成
【表14】
1)供給元:Fluka
2)DAB−Am−4、供給元:Sigma−Aldrich
3)供給元:Acros Organics
【0088】
実施例13
本発明のカプセルの平均直径
カプセルA〜Uの粒度分布は、光学顕微鏡法および光散乱法(Mastersizer S、Malvern)によって制御し、各タイプのカプセルに対して平均直径を計算した(算術平均)。結果を以下の表にまとめる。
【0089】
第14表:カプセルA〜Uの平均直径
【表15】
【0090】
実施例14
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含む布地用柔軟剤の製造
第15表に一覧されている成分を、示された量において混和することにより、濃縮非着香布地用柔軟剤基材を製造した。百分率は、当該非着香布地用柔軟剤基材の総質量に対する質量によって定義される。
【0091】
第15表:濃縮非着香布地用柔軟剤基材の配合
【表16】
1)供給元:Stepan
2)供給元:Avecia
【0092】
穏やかに振盪しながら、第15表の非着香柔軟剤基材に、柔軟剤の総質量に対して1.26質量%においてカプセルA〜Uを加えることにより、柔軟剤A〜Uを製造した。
【0093】
実施例15(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含む布地用柔軟剤の製造
穏やかに振盪しながら、実施例14において製造された非着香柔軟剤基材に、柔軟剤の総質量に対して1.25質量%において対照A〜Mを加えることにより、対照柔軟剤A〜Mを製造した。
【0094】
実施例16
布地用柔軟剤基材中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
柔軟剤A〜Uおよび対照柔軟剤A〜GおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。当該カプセルを含む柔軟剤を、38℃で1ヶ月間貯蔵し、溶媒抽出およびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。
【0095】
結果を以下の表にまとめる。
【0096】
第16表:柔軟剤A〜Uおよび対照柔軟剤A〜GおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性
【表17】
【0097】
本発明の各カプセルは、柔軟剤基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、布地用柔軟剤基材中におけるポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0098】
これらの結果をさらに例証するために、柔軟剤A〜Gおよび対照柔軟剤A中でのカプセルの安定性を図2に示す。権利を主張するすべての比率において、芳香族ポリイソシアネート、例えばTakenate(登録商標) D−110N、と脂肪族ポリイソシアネートとを混合することにより、カプセルの安定性が明確に向上することは、このグラフから明らかである。
【0099】
実施例17
布地用柔軟剤中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルB、C、E、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例14および15の対応する布地用柔軟剤において評価した。コットンテリー織タオル(20枚、18cm×18cm、それぞれ約30g)を、30gの非着香洗剤により、40℃で洗濯機(Miele Novotronic W300−33CH)においてショートサイクルプログラムを使用して洗浄した。洗浄後、900rpmにおいて12.7gの柔軟剤および対照柔軟剤によりリンス処理した。次いで、当該テリー織タオルを24時間吊り干し乾燥した後、評価した。
【0100】
柔軟剤B、C、E、およびGならびに対照柔軟剤AおよびHによって処理した乾燥タオルでの香料の知覚強度を、20人の訓練を受けたパネリスト集団によって評価した。彼らには、当該タオルを自分の手で擦って、香料知覚の強度を、1が香気無しを意味し7が非常に強い香気を意味する1〜7のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。柔軟剤TおよびUならびに対照柔軟剤LおよびMで処理した乾燥タオルでの香料の知覚強度は、10人の訓練されたパネリスト集団により、同じスケールを用いて評価した。結果を以下の表にまとめる。
【0101】
第17表:布地用柔軟剤中でのカプセルB、C、E、G、T、およびU、ならびに対照A、H、M、およびLの嗅覚的性能
【表18】
【0102】
柔軟剤M〜Sおよび対照柔軟剤E〜GおよびI〜Kで処理した乾燥タオルでの香料の知覚強度の評価を、0が香気無しを意味し10が非常に強い香気を意味する0〜10のスケールにおいて香料の知覚強度を等級付けするようにパネリストに依頼したことを除き、上記において説明した通りに実施した。結果を以下の表にまとめる。
【0103】
第18表:布地用柔軟剤中でのカプセルM〜S、および対照E〜G、およびI〜Kの嗅覚的性能
【表19】
【0104】
これらの結果は、香料の香気の強度が、両方の対照よりも本発明のカプセルを含む柔軟剤で処理された布地において、より強く知覚されたことを示している。したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0105】
実施例18
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含む濃縮液体洗剤の製造
カプセルE、G、T、およびUを、液体洗剤の総質量に対して0.275質量%において、市販の非着香濃縮液体洗剤基材Tide(登録商標) 2X HE Free(香料および染料不含)(Procter and Gambleの商標、米国)と混合することにより、液体洗剤E、G、T、およびUを製造した。
【0106】
実施例19(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含む濃縮液体洗剤の製造
対照A、H、L、およびMを、液体洗剤の総質量に対して0.275質量%において、市販の非着香濃縮液体洗剤基材Tide(登録商標)2X HE Free(香料および染料不含)(Procter and Gambleの商標、米国)と混合することにより、対照液体洗剤A、H、L、およびMを製造した。
【0107】
実施例20
濃縮液体洗剤中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例18および19の対応する濃縮液体洗剤において評価した。
【0108】
布地(2.5kgのコットンテリー織タオル)を40℃で標準的なヨーロッパの水平軸洗濯機において洗濯した。新たに製造した洗剤80gを、洗濯の開始時に洗剤投入口から投じた。洗濯後、布地を吊り干し乾燥し、1日後、当該コットンタオルの香気強度を、20人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。パネリストには、布地を手で優しく擦った後に、タオルの香気強度を、1が香気無しに相当し7が非常に強い香気に相当する1〜7のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。結果を第19表に示す。
【0109】
第19表:濃縮液体洗剤中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表20】
【0110】
擦った後の香料強度は、対照カプセルを含有する液体洗剤で洗浄した布地よりも、本発明のカプセルを含有する液体洗剤で洗浄した布地においてより強かったことは、これらの結果から明らかである。
【0111】
したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0112】
実施例21
濃縮液体洗剤中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
液体洗剤E、G、T、およびU、ならびに対照液体洗剤AおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。当該カプセルを含む洗剤を、38℃で4週間貯蔵し、溶媒抽出およびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。
【0113】
結果を以下の表にまとめる。
【0114】
第20表:液体洗剤E、G、T、およびU、ならびに対照液体洗剤AおよびL中での本発明のカプセルの貯蔵安定性
【表21】
【0115】
本発明の各カプセルは、濃縮液体洗剤基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、濃縮液体洗剤基材中におけるポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0116】
実施例22
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含む濃縮粉末洗剤の製造
カプセルE、G、T、およびUを、洗剤の総質量に対して0.275質量%において、市販の非着香濃縮粉末洗剤基材Ultra Tide(登録商標) Free & Gentle(Procter and Gambleの商標、米国)と混合することにより、粉末洗剤E、G、T、およびUを製造した。
【0117】
実施例23(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含む濃縮粉末洗剤の製造
対照A、H、L、およびMを、洗剤の総質量に対して0.275質量%において、市販の非着香濃縮粉末洗剤基材Ultra Tide(登録商標) Free & Gentle(Procter and Gambleの商標、米国)と混合することにより、対照粉末洗剤A、H、L、およびMを製造した。
【0118】
実施例24
濃縮粉末洗剤中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例22および23の対応する濃縮粉末洗剤において評価した。
【0119】
布地(2.5kgのコットンテリー織タオル)を40℃で標準的なヨーロッパの水平軸洗濯機において洗濯した。新たに製造した洗剤50gを、洗濯の開始時に洗剤投入口から投じた。洗濯後、布地を吊り干し乾燥し、1日後、当該コットンタオルの香気強度を、20人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。パネリストには、布地を手で優しく擦った後に、タオルの香気強度を、1が香気無しに相当し7が非常に強い香気に相当する1〜7のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。結果を第21表に示す。
【0120】
第21表:濃縮粉末洗剤中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表22】
【0121】
擦った後の香料強度は、対照カプセルを含有する濃縮粉末洗剤で洗浄した布地よりも、本発明のカプセルを含有する濃縮粉末洗剤で洗浄した布地においてより強かったことは、これらの結果から明らかである。
【0122】
したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0123】
実施例25
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含むボディウォッシュの製造
第22表に一覧される成分を、示された量において混和することによってボディウォッシュ配合物を製造した。百分率は、当該ボディウォッシュ配合物の総質量に対する質量によって定義される。
【0124】
第22表:ボディウォッシュ配合物の組成
【表23】
1)ポリアクリレート−1クロスポリマー、供給元:Noveon
2)(C12〜C15)パレス硫酸ナトリウム、供給元:Zschimmer&Schwarz
3)コカミドプロピルベタイン、供給元:Goldschmidt AG
4)DMDMヒダントインおよびヨードプロピニルブチルカルバメート、供給元:Lonza
【0125】
カプセルE、G、T、およびUを、ボディウォッシュの総質量に対して0.5質量%において、上記において製造したボディウォッシュ配合物に混合することにより、ボディウォッシュE、G、T、およびUを製造した。
【0126】
実施例26(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含むボディウォッシュの製造
対照A、H、L、およびMを、ボディウォッシュの総質量に対して0.5質量%において、実施例25において製造したボディウォッシュ配合物に加えることにより、対照ボディウォッシュA、H、L、およびMを製造した。
【0127】
実施例27
ボディウォッシュ中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例25および26の対応するボディウォッシュにおいて評価した。
【0128】
ボディウォッシュを、人の皮膚を模倣することを意図したウール試験片に適用した。ウール試験片を、38℃において流水下で30秒間濡らした。次いで、マイクロピペットにより、ボディウォッシュを0.5g量においてそれぞれ適用し、表面全体を指で10秒間擦って石鹸の泡を発生させた。次に、当該試験片を、38℃において流水下で20秒間すすぎ、最後に32℃においてホットプレート上で乾燥させた。
【0129】
次いで、手で擦った後のウール試験片での知覚された香料強度を、1が香気無しを意味し7が非常に強い香気を意味する1〜7のスケールにおいて等級付けするよう依頼した、訓練された4人のパネリスト集団により、ブラインド試験において評価した。結果を第23表にまとめる。
【0130】
第23表:ボディウォッシュ中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表24】
【0131】
擦った後の香料強度は、対照カプセルを含有するボディウォッシュで洗浄したウール試験片よりも、本発明のカプセルを含有するボディウォッシュで洗浄したウール試験片においてより強かったことは、これらの結果から明らかである。
【0132】
したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0133】
実施例28
ボディウォッシュ中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
ボディウォッシュE、G、T、およびU、ならびに対照ボディウォッシュAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。当該カプセルを含むボディウォッシュ製品を、40℃で4週間貯蔵し、SPMEおよびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。
【0134】
結果を以下の表にまとめる。
【0135】
第24表:ボディウォッシュE、G、T、およびU、ならびに対照ボディウォッシュAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性
【表25】
【0136】
本発明の各カプセルは、ボディウォッシュ基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることによりボディウォッシュ基材中でのポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0137】
実施例29
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含むロールオンタイプの制汗防臭剤製品の製造
第25表に一覧される成分を、示された量において混和することにより、ロールオンタイプの制汗防臭剤エマルション配合物を製造した。百分率は、当該ロールオンタイプの制汗防臭剤配合物の総質量に対する質量によって定義される。
【0138】
第25表:当該ロールオンタイプの制汗防臭剤配合物の組成
【表26】
1)供給元:Croda
2)供給元:Croda
3)供給元:Croda
4)供給元:Clariant
【0139】
カプセルE、G、T、およびUを、ロールオンタイプの制汗防臭剤の総質量に対して1.26質量%において、上記において製造したロールオンタイプの制汗防臭剤エマルション配合物に混合することにより、防臭剤E、G、T、およびUを製造した。
【0140】
実施例30(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含むロールオンタイプの制汗防臭剤の製造
対照A、H、L、およびMを、ロールオンタイプの制汗防臭剤の総質量に対して1.26質量%において、実施例29において製造したロールオンタイプの制汗防臭剤エマルション配合物に混合することにより、対照防臭剤A、H、L、およびMを製造した。
【0141】
実施例31
ロールオンタイプの制汗防臭剤中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルEおよびGならびに対照AおよびHの嗅覚的性能を、実施例29および30の対応する防臭剤において評価した。
【0142】
0.15g量の防臭剤を吸取紙(4.5cm×12cm)に塗布し、室温で1時間乾燥させた後、評価した。防臭剤によって処理した吸取紙での香料の知覚強度を、10人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。彼らには、吸取紙を1本の指でやさしく擦ってから、香料知覚の強度を、0が香気無しを意味し10が非常に強い香気を意味する0〜10のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。結果を以下の表にまとめる。
【0143】
第26表:ロールオンタイプの制汗防臭剤中でのカプセルEおよびGならびに対照AおよびHの嗅覚的性能
【表27】
【0144】
擦った後の香料強度は、対照カプセルを含有するロールオンタイプの制汗防臭剤で処理された吸取紙よりも、本発明のカプセルを含有するロールオンタイプの制汗防臭剤で処理された吸取紙においてわずかながら強かったことは、これらの結果から明らかである。したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0145】
実施例32
ロールオンタイプの制汗防臭剤中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
防臭剤E、G、T、およびU、ならびに対照防臭剤AおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。当該防臭剤を、45℃で4週間貯蔵し、SPMEおよびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。結果を以下の表にまとめる。
【0146】
第27表:防臭剤E、G、T、およびU、ならびに対照防臭剤AおよびL中での本発明のカプセルの貯蔵安定性
【表28】
【0147】
本発明の各カプセルは、ロールオンタイプの制汗防臭剤基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、ロールオンタイプの制汗防臭剤基材中でのポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0148】
実施例33
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含むヘアシャンプーの製造
第28表に一覧される成分を、示された量において混和することにより、ヘアシャンプー配合物を製造した。百分率は、当該ヘアシャンプー配合物の総質量に対する質量によって定義されている。
【0149】
第28表:ヘアシャンプー配合物の組成
【表29】
1)供給元:Rhodia
2)供給元:Cognis
3)供給元:Cognis
4)供給元:Cognis
5)供給元:Degussa
6)供給元:Lonza
【0150】
カプセルE、G、T、およびUを、シャンプーの総質量に対して0.5質量%において、上記において製造したヘアシャンプー配合物に混合することによって、シャンプーE、G、T、およびUを製造した。
【0151】
実施例34(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含むヘアシャンプーの製造
対照A、H、L、およびMを、ヘアシャンプーの総質量に対して0.5質量%において、実施例33において製造したヘアシャンプー配合物に加えることによって、対照ヘアシャンプーA、H、L、およびMを製造した。
【0152】
実施例35
ヘアシャンプー中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例33および34の対応するヘアシャンプーにおいて評価した。
【0153】
最初に、10gの毛髪試験片を2.5gのシャンプーで洗浄し、37℃において水道水で30秒間すすいだ後、同じ洗浄/すすぎ作業をもう一度繰り返した。次いで、当該毛髪試験片を、室温で6時間乾燥させた後、評価した。
【0154】
シャンプーによって洗浄した毛髪試験片での香料の知覚強度を、10人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。彼らには、当該毛髪試験片を櫛でやさしく3回とかし、香料知覚の強度を、1が香気無しを意味し7が非常に強い香気を意味する1〜7のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。カプセルTおよびUならびに対照LおよびMの嗅覚的性能も、24時間乾燥させた後に同じ方法を用いて評価した。結果を以下の表にまとめる。
【0155】
第29表:ヘアシャンプー中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表30】
【0156】
櫛でとかした後の香料強度は、対照カプセルを含有するヘアシャンプーで洗浄した毛髪試験片よりも、本発明のカプセルを含有するヘアシャンプーで洗浄した毛髪試験片においてより強かったことは、これらの結果から明らかである。したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0157】
実施例36
ヘアシャンプー中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
シャンプーE、G、T、およびU、ならびに対照シャンプーAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。ヘアシャンプーを40℃で2週間貯蔵し、SPMEおよびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。結果を以下の表にまとめる。
【0158】
第30表:シャンプーE、G、T、およびU、ならびに対照シャンプーAおよびL中での本発明のカプセルの貯蔵安定性
【表31】
【0159】
本発明の各カプセルは、ヘアシャンプー基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、ヘアシャンプー基材中でのポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0160】
実施例37
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含むリンスオフタイプのヘアコンディショナーの製造
カプセルE、G、T、およびUを、リンスオフタイプのヘアコンディショナーの総質量に対して0.5質量%において、市販のPantene(登録商標)リンスオフタイプのヘアコンディショナー配合物(Procter and Gambleの商標、米国)に混合することにより、リンスオフタイプのヘアコンディショナー(本明細書において、以後はリンスオフタイプと呼ぶ)E、G、T、およびUを製造した。
【0161】
実施例38(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含むリンスオフタイプのヘアコンディショナーの製造
カプセルA、H、L、およびMを、リンスオフタイプのヘアコンディショナーの総質量に対して0.5質量%において、市販のPantene(登録商標)リンスオフタイプのヘアコンディショナー配合物(Procter and Gambleの商標、米国)に混合することによって、対照リンスオフタイプのヘアコンディショナー(本明細書において、以後はリンスオフタイプと呼ぶ)A、H、L、およびMを製造した。
【0162】
実施例39
リンスオフタイプのヘアコンディショナー中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例37および38の対応するリンスオフタイプのヘアコンディショナーにおいて評価した。
【0163】
最初に、毛髪試験片(10g)を、実施例33において製造したヘアシャンプー配合物(非着香およびカプセル不含)2.5gで洗浄し、37℃において水道水で30秒間すすいだ後、1gのリンスオフタイプのヘアコンディショナーを塗布した。次いで、当該毛髪試験片を、37℃において水道水で30秒間すすぎ、室温で乾燥させた後、評価した。リンスオフタイプEおよびGならびに対照リンスオフタイプAおよびHは、24時間乾燥させ、一方、リンスオフタイプTおよびUならびに対照リンスオフタイプLおよびMは、6時間乾燥させた後、評価した。
【0164】
上記のリンスオフタイプのヘアコンディショナーによって処理された毛髪試験片での香料の知覚強度を、10人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。彼らには、当該毛髪試験片を櫛でやさしく3回とかし、香料知覚の強度を、1が香気無しを意味し7が非常に強い香気を意味する1〜7のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。結果を以下の表にまとめる。
【0165】
第31表:リンスオフタイプのヘアコンディショナー中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表32】
【0166】
櫛でとかした後の香料強度は、対照カプセルを含有するリンスオフタイプのヘアコンディショナーで処理された毛髪試験片よりも、本発明のカプセルを含有するリンスオフタイプのヘアコンディショナーで処理された毛髪試験片においてより強かったことは、これらの結果から明らかである。したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0167】
実施例40
リンスオフタイプのヘアコンディショナー中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
リンスオフタイプE、G、T、およびU、ならびに対照リンスオフタイプAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。当該リンスオフタイプのヘアコンディショナーを40℃で2週間貯蔵し、SPMEおよびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。結果を以下の表にまとめる。
【0168】
第32表:リンスオフタイプE、G、T、およびU、ならびに対照リンスオフタイプAおよびL中での本発明のカプセルの貯蔵安定性
【表33】
【0169】
本発明の各カプセルは、リンスオフタイプのヘアコンディショナー基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、リンスオフタイプのヘアコンディショナー基材中でのポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0170】
実施例41
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含むリーブオンタイプのヘアコンディショナーの製造
第33表に一覧される成分を、示される量において混和することにより、リーブオンタイプのヘアコンディショナー配合物を製造した。百分率は、当該リーブオンタイプのヘアコンディショナー配合物の総質量に対する質量によって定義される。
【0171】
第33表:リーブオンタイプのヘアコンディショナー配合物の組成
【表34】
1)供給元:Rhodia
2)供給元:Ciba
3)供給元:Rohm&Haas
4)供給元:Wacker
5)供給元:Clariant
【0172】
カプセルE、G、T、およびUを、リーブオンタイプのヘアコンディショナーの総質量に対して0.26質量%において、上記において製造したリーブオンタイプタイプのヘアコンディショナー配合物に混合することにより、リーブオンタイプのヘアコンディショナー(本明細書において、以後はリーブオンタイプと呼ぶ)E、G、T、およびUを製造した。
【0173】
実施例42(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含むリーブオンタイプのヘアコンディショナーの製造
対照A、H、L、およびMを、リーブオンタイプのヘアコンディショナーの総質量に対して0.26質量%において、実施例42において製造したリーブオンタイプタイプのヘアコンディショナー配合物に混合することにより、対照リーブオンタイプのヘアコンディショナー(本明細書において、以後は対照リーブオンタイプと呼ぶ)A、H、L、およびMを製造した。
【0174】
実施例43
リーブオンタイプのヘアコンディショナー中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例41および42の対応するリーブオンタイプにおいて評価した。
【0175】
最初に、毛髪試験片(10g)を、実施例33において製造したシャンプー配合物(非着香およびカプセル不含)2.5gで洗浄し、37℃において水道水で30秒間すすいだ後、0.5gのリーブオンタイプのヘアコンディショナーを塗布した。リーブオンタイプEおよびGならびに対照リーブオンタイプAおよびHで処理した毛髪試験片を、室温で24時間乾燥させた後、評価した。リーブオンタイプTおよびUならびに対照リーブオンタイプLおよびMで処理した毛髪試験片を、室温で6時間乾燥させた後、評価した。
【0176】
リーブオンタイプのヘアコンディショナーで処理した毛髪試験片での香料の知覚強度を、10人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。彼らには、当該毛髪試験片を櫛でやさしく3回とかし、香料知覚の強度を、1が香気無しを意味し7が非常に強い香気を意味する1〜7のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。結果を以下の表にまとめる。
【0177】
第34表:リーブオンタイプのヘアコンディショナー中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表35】
【0178】
櫛でとかした後の香料強度は、対照カプセルを含有するリーブオンタイプのヘアコンディショナー配合物で処理された毛髪試験片よりも、本発明のカプセルを含有するリーブオンしタイプのヘアコンディショナー配合物で処理された毛髪試験片においてより強かったことは、これらの結果から明らかである。したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0179】
実施例44
リーブオンタイプのヘアコンディショナー中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
リーブオンタイプE、G、T、およびU、ならびに対照リーブオンタイプAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。リーブオンタイプのヘアコンディショナーを45℃で2週間貯蔵し、SPMEおよびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。結果を以下の表にまとめる。
【0180】
第35表:リーブオンタイプE、G、T、およびU、ならびにリーブオンタイプAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性
【表36】
【0181】
本発明の各カプセルは、リーブオンタイプのヘアコンディショナー基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、リーブオンタイプのヘアコンディショナー基材中でのポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
【0182】
実施例45
本発明のポリ尿素マイクロカプセルを含むボディローションの製造
カプセルE、G、T、およびUを、ボディローションの総質量に対して1.25質量%において、市販のボディローション配合物(Bath&Body Work、米国)に分散させすることにより、ボディローションE、G、T、およびUを製造した。
【0183】
実施例46(比較例)
実施例9〜12のポリ尿素マイクロカプセルを含むボディローションの製造
カプセルA、H、L、およびMを、ボディローションの総質量に対して1.25質量%において、市販のボディローション配合物(供給元:Bath&Body Work、米国)に分散させすることにより、対照ボディローションA、H、L、およびMを製造した。
【0184】
実施例47
ボディローション中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの嗅覚的性能
カプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能を、実施例45および46の対応するボディローションにおいて評価した。
【0185】
各ボディローション0.15gを吸取紙(4.5cm×12cm)に塗布し、室温で1時間乾燥させた後、評価した。
【0186】
上記のボディローションによって処理した吸取紙での香料の知覚強度を、10人の訓練されたパネリスト集団によって評価した。彼らには、吸取紙を1本の指でやさしく擦ってから、香料知覚の強度を、0が香気無しを意味し10が非常に強い香気を意味する0〜10のスケールにおいて等級付けをするよう依頼した。結果を以下の表にまとめる。
【0187】
第36表:ボディローション中でのカプセルE、G、T、およびU、ならびに対照A、H、L、およびMの嗅覚的性能
【表37】
【0188】
擦った後の香料強度は、対照カプセルを含有するボディローションで処理した吸取紙を擦った後よりも、本発明のカプセルを含有するボディローションで処理した吸取紙を擦った後の方がより強かったことは、これらの結果から明らかである。したがって、カプセルが、芳香族ポリイソシアネート単独または脂肪族ポリイソシアネート単独で作製された場合より、権利を主張する比率における芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートとの組み合わせによって作製された場合に、香料はより強く知覚される。
【0189】
実施例48
ボディローション中での本発明のポリ尿素マイクロカプセルの安定性
ボディローションE、G、T、およびU、ならびに対照ボディローションAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性を評価した。当該ボディローションを25℃で2日間貯蔵し、SPMEおよびGC−MS分析により、カプセルから漏出した香料の量を測定した。結果を以下の表にまとめる。
【0190】
第37表:ボディローションE、G、T、およびU、ならびに対照ボディローションAおよびL中でのカプセルの貯蔵安定性
【表38】
【0191】
本発明の各カプセルは、ボディローション基材中において、脂肪族ポリイソシアネートのみを使用した対応する対照より安定であり、したがって、権利を主張する比率において芳香族ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートと組み合わせることにより、ボディローション基材中でのポリ尿素マイクロカプセルの貯蔵安定性が向上することは、これらの結果から明かである。
図1
図2