特許第6012599号(P6012599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012599
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】相乗殺虫効果を与える農薬混合物
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/12 20090101AFI20161011BHJP
   A01N 65/22 20090101ALI20161011BHJP
   A01N 65/00 20090101ALI20161011BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20161011BHJP
   A01N 51/00 20060101ALI20161011BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20161011BHJP
   A01N 63/02 20060101ALI20161011BHJP
   A01N 43/22 20060101ALI20161011BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20161011BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A01N65/12
   A01N65/22
   A01N65/00 A
   A01N43/90 101
   A01N51/00
   A01N53/00 508B
   A01N63/02 B
   A01N43/22
   A01P7/04
   A01P7/02
【請求項の数】15
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2013-515991(P2013-515991)
(86)(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公表番号】特表2013-534522(P2013-534522A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】IB2011002049
(87)【国際公開番号】WO2011161546
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年6月10日
(31)【優先権主張番号】61/358,257
(32)【優先日】2010年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505471679
【氏名又は名称】プラント・インパクト・ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ストリート
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ジャッツム
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/038599(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/117621(WO,A1)
【文献】 特表2002−521406(JP,A)
【文献】 特表2007−513130(JP,A)
【文献】 特表2010−515775(JP,A)
【文献】 特表2009−536937(JP,A)
【文献】 特表2007−502860(JP,A)
【文献】 特開2006−257050(JP,A)
【文献】 特開平10−130114(JP,A)
【文献】 特開2006−312641(JP,A)
【文献】 特開2010−132581(JP,A)
【文献】 特開2001−322907(JP,A)
【文献】 特開平01−113308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00−65/48
A01P 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)タゲテス油およびチモール含有油を含む少なくとも2つの精油、
(ii)キャリアオイル、および
(iii)乳化剤
を含む第1の農薬組成物、ならびに、
アバメクチン、イミダクロプリド、ラムダ−シハロトリンおよびスピノサドからなる群より選択される少なくとも1つの殺虫剤を含有する第2の農薬組成物、
を含む、相乗農薬混合物であって、
ここで第1および第2の農薬組成物が相乗的に有効な量で存在し、ここで該混合物の標的害虫に対する殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性の和よりも大きい、上記相乗農薬混合物。
【請求項2】
チモール含有油がタイム油である、請求項1に記載の相乗農薬混合物。
【請求項3】
第2の農薬組成物がアバメクチンを含む、請求項1または2に記載の相乗農薬混合物。
【請求項4】
第2の農薬組成物がイミダクロプリドを含む、請求項1または2に記載の相乗農薬混合物。
【請求項5】
第2の農薬組成物がラムダ−シハロトリンを含む、請求項1または2に記載の相乗農薬混合物。
【請求項6】
第2の農薬組成物がスピノサドを含む、請求項1または2に記載の相乗農薬混合物。
【請求項7】
第1の農薬組成物が(i)タゲテス油とタイム油の3:1〜1:3の比率での混合物を含み、ここで存在する該混合物の総量は10%w/wを超えない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の相乗農薬混合物。
【請求項8】
第1の農薬組成物が5%w/w以下の成分(i)を含む、請求項7に記載の相乗農薬混合物。
【請求項9】
第1の農薬組成物のキャリアオイルが、キャノーラ油、ヒマワリ油、綿実油、パーム油およびダイズ油からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の相乗農薬混合物。
【請求項10】
第1の農薬組成物がさらに、サリチル酸、サリチル酸エステル、ジャスモン酸およびジャスモン酸のC1-10アルキルエステルからなる群より選択される、ウイルス感染の症状を修復する化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の相乗農薬混合物。
【請求項11】
サリチル酸またはサリチル酸エステルが、精油中に含まれる、請求項10に記載の相乗農薬混合物。
【請求項12】
サリチル酸またはサリチル酸エステルが、ウインターグリーン油の精油、またはアカザ属(Chenopodium)、コカ属(Erythroxylum)、フトモモ属(Eugenia)、シラタマノキ属(Gaultheria)、ニクズク属(Myristica)、フトモモ属(Syzygium)、キサントフィルム属(Xanthophyllum)、シナモン属(Cinnamonium)、シラタマ属(Gualtheria)、ワタ属(Gossypium)もしくはハッカ属(Mentha)由来の油中に含まれる、請求項11に記載の相乗農薬混合物。
【請求項13】
第1の農薬組成物が0.600%w/wのタゲテス油、0.600%w/wのタイム油、93.799%のキャノーラ油、5.000%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、および0.0001%w/wのウインターグリーン油を含有する、請求項2に記載の相乗農薬混合物。
【請求項14】
標的害虫が節足動物害虫または昆虫害虫である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の相乗農薬混合物。
【請求項15】
害虫防除の方法であって、該方法は請求項1〜14のいずれか1項に記載の農薬混合物を標的害虫が侵入している部位に適用する工程を含み、ここで農薬混合物は害虫を防除するのに十分な量で適用される、上記害虫防除の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年6月24日に出願された、その全体が参照により明示的に本出願に組み込まれる、出願番号第61/358,257号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物、を含む農薬混合物に関し、ここでこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性の和よりも大きい。
【背景技術】
【0003】
害虫の防除は、所望のレベルの作物効率を達成する上で重要である。農作物の成長および貯蔵された農作物に対する害虫被害は、生産性の著しい減少の原因となる可能性があり、消費者にコストの増加をもたらす可能性がある。害虫の防除のために多くの製品が市販され一般的に使用されており、このような製品は単剤または混合製剤として用いられている。しかしながら、より効率的な害虫防除組成物および方法が依然として求められている。
【0004】
いくつかの農薬組成物を含む天然物の製品は、文献に記載されている。例えば、少なくとも2つの精油、農学的に許容されるキャリアオイルおよび乳化剤を含む農薬組成物は公知である(特許文献1および2)。このような製品の1つはバグオイル(BUGOIL)(登録商標)として知られており、安全な昆虫およびダニの防除剤として市販され、プラント・インパクト社(Plant Impact plc)、バンバー・ブリッジ、プレストン、PR5 BL、英国)によって製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2007/132224
【特許文献2】EP 1689237 B1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイルおよび乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物、を含む相乗農薬混合物のための組成物および方法を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性の和よりも大きい。
【0007】
本開示は、第1の農薬組成物および第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性との和に基づいた混合物の期待される効果と比較して、相乗的な効果を示す。
【0008】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物、を含む相乗農薬混合物を提供し、ここでこの第1の農薬組成物および第2の農薬組成物は、その混合物の殺虫活性が、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性との和よりも大きくなるような量でそれぞれ存在している。
【0009】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物、を含む相乗農薬混合物を製造および使用する方法を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性との和よりも大きい。
【0010】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物、を含む相乗農薬混合物をスクリーニングおよび同定する方法を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性との和よりも大きい。
【0011】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、各成分のより少ない量の使用で所望のレベルの標的害虫の防除を達成することができ、かつ/あるいは同じレベルの防除を達成するために第1の農薬組成物単独の場合に必要な量および/または時間、および第2の農薬組成物単独の場合に必要な量および/または時間と比較して、その混合物の施用後より迅速に所望のレベルの標的害虫の防除を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイルおよび乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独と第2の農薬組成物単独の活性の和よりも大きい。
【0013】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここで標的害虫に対するこの混合物の殺虫活性は、各農薬組成物単独の標的害虫に対する活性の和よりも大きい。
【0014】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここでダニに対するこの混合物の殺虫活性は、各農薬組成物単独のダニに対する活性の和よりも大きい。
【0015】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここで昆虫に対するこの混合物の殺虫活性は、各農薬組成物単独の昆虫に対する活性の和よりも大きい。
【0016】
1つの局面に従って、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性との和に基づいた混合物の期待される殺虫活性と比較した場合に、その混合物の観察される殺虫活性について相乗効果を発揮する、本明細書中で提供されるような相乗農薬混合物は、第1の農薬組成物単独または第2の農薬組成物単独を用いて同等レベルの防除を達成するのに必要とされる量よりも、その相乗農薬混合物中の有効成分がかなり低い量での使用を可能にする。
【0017】
1つの局面に従って、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物が提供され、ここで標的害虫に対するこの混合物の殺虫活性は、第1の農薬組成物単独の活性と第2の農薬組成物単独の活性との和よりも大きく、この相乗農薬混合物は、標的害虫が寄生している寄主に対しては毒性活性をごくわずかしか持っていないかまたは全く持っていない。さらなる局面に従って、植物にはびこる標的害虫に対する殺虫活性を有し、そしてその標的害虫の寄主植物に対しては植物毒性をごくわずかまたは全く引き起こさない、相乗農薬混合物が提供される。
【0018】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第1の農薬組成物単独の量、および/または同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第2の農薬組成物単独の量と比較して、より低量の各成分の使用で標的害虫の所望のレベルの防除を達成することができる。
【0019】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、混合物の施用後、第1の農薬組成物単独の施用後に標的害虫の所望の量の防除が達成される施用後時間、および/または第2の農薬組成物単独の施用後に標的害虫の所望の量の防除が達成される施用後時間と比較して、より迅速に標的害虫の所望のレベルの防除を提供する。
【0020】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第1の農薬組成物単独の量および第1の農薬組成物単独の施用後時間、ならびに/または同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第2の農薬組成物単独の量および第2の農薬組成物単独の施用後時間と比較して、より低量の各成分の使用で標的害虫の所望のレベルの防除を達成することができ、かつ混合物の施用後、より迅速に標的害虫の所望のレベルの防除を提供する。
【0021】
〔定義〕
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書中に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において用いることができるが、適切な方法および材料は本明細書中に記載されている。
【0022】
本明細書中で引用される全ての出願、刊行物、特許および他の文献、引用は、その全体が参考として援用される。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先される。
【0023】
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、その文脈がそうでないと明瞭に示さない限り、複数を指示するものを含む。
【0024】
本明細書中で使用される場合、全ての数値または数値範囲は、その文脈がそうでないと明瞭に示さない限り、その範囲内の整数およびその値または整数の小数を包含する。従って、例えば、90%〜100%の範囲への言及は、91%、92%、93%、94%、95%、95%、97%など、ならびに91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%など、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%などを包含する。
【0025】
本明細書中で用いられる場合、用語「害虫」または「害虫」もしくはその文法上の同等物は、例えば、コロニー形成、攻撃、寄生または感染によって植物や動物に負の影響を及ぼす、病原体を含む、生物を指すと理解される。用語「害虫」または「害虫」もしくはその文法上の同等物は、植物や種子および貯蔵穀物などの作物に寄生することによって負の影響を与える生物を指すことができると理解される。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、用語「農薬」または「農薬の」またはその文法上の同等物は、農業の、自然環境の、そして家庭内の害虫、例えば、節足動物(arthropods)、昆虫(insects)、クモ(arachnids)、アブラムシ(aphids)、ヨコバイ(leafhoppers)、コナジラミ(whiteflies)、ネキリムシ(cutworms)、穿孔性害虫(borers)、真菌、細菌およびウイルスの防除のために使用できる物質を指すと理解されるが、この用語は特定の分類学的分類には限定されない。用語「殺虫剤」は、それに限定されないが、天然由来の化合物、ならびに、天然には生じない構造または製剤形態を有する、いわゆる「合成化学的殺虫剤」を包含し、ここで殺虫剤は、それには限定されないが、生物学的資源からの抽出、化合物の化学的合成、生物学的資源から得られた天然由来の化合物の化学的修飾、を含む種々の方法で得ることができる。
【0027】
本願明細書で用いられる場合、用語「殺昆虫性」および「殺ダニ性」および「殺アブラムシ性」またはそれらの文法上の同等物は、語根用語(root term)の分類学的分類により包含される生物に対して殺虫活性を有する物質を指すもの、およびその根底の用語の口語的使用(ここでこの口語的使用は、分類学的分類には厳密には従わない)によって包含される生物に対して殺虫活性を有する物質も指すものと理解される。用語「殺昆虫性」は、節足動物門(phylum Arthropoda)、昆虫網(class Insecta)の昆虫として一般に知られている生物に対して殺虫活性を有する物質を指すものと理解される。さらに本願明細書で用いられる場合、たとえ昆虫網とは異なった分類学的網に分類できる生物であっても、節足動物門に包含され、口語的に「昆虫」または「虫」とよばれる他の生物に対して殺虫活性を有する物質をも指すと理解される。この理解にしたがえば、用語「殺昆虫性」は、用語「昆虫」の口語的使用を考慮して、クモ(クモ網(class Arachnida))、特にダニ(ダニ亜網(subclass Acari/Acarina))に対して活性を有する物質を指すためにも使用することができる。用語「殺ダニ性」は、節足動物門、ダニ網、ダニ亜網のダニ(ダニ目)に対して殺虫活性を有する物質を指すものと理解される。用語「殺アブラムシ性」は、節足動物門、昆虫網、アブラムシ科(family Aphididae)のアブラムシに対して殺虫活性を有する物質を指すものと理解される。全てのこれらの用語は、用語「農薬の」、「農薬」または文法上の同等物により包含されると理解される。これらの用語は必ずしも相互に排他的でななく、「殺昆虫剤」として知られる物質は、アブラムシを含む昆虫網の全ての科の生物、ならびに、クモやダニを含む、用語「昆虫」または「虫」の他の口語的使用により包含される生物、に対して殺虫活性を有することができると理解される。「殺昆虫剤」はまた、ダニに対して殺虫活性を有する場合は殺ダニ剤として、または、アブラムシに対して殺虫活性がある場合は殺アブラムシ剤としても知られることも、理解される。
【0028】
本願明細書中で、用語「防除」または「防除すること」またはその文法上の同等物は、所与の害虫に対する農薬組成物の、あらゆる殺虫(致死)活性または農薬的干渉(pestistatic)(阻害すること、忌避させること、抑止すること、および一般的に寄主植物への損傷を防止するために、害虫の機能に干渉すること)の活性を包含するものと理解される。したがって、用語「防除」または「防除すること」またはその文法上の同等物は、殺すだけではなく、卵の成長または孵化を阻害し、忌避させ、抑制し、致死させる活性、成熟または生育を阻害する活性、および幼虫または成虫の化学的不妊化のような活性も包含する。忌避剤または抑制剤の活性は、害虫に対して、毒性のある、緩和な毒性のある、もしくは非毒性の、または環境におけるフェロモンとして作用する、化合物による効果である。
【0029】
〔第1の農薬組成物〕
非限定的で例示的な実施態様において、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む、相乗農薬混合物が提供され、ここで害虫に対するその混合物の殺虫活性は、各農薬組成物単独の害虫に対する活性の和よりも大きい。
【0030】
本明細書中で提供される農薬混合物の、非限定的で例示的な実施態様において、本発明の第1の農薬組成物は、例えば欧州特許EP1689237B1またはWO 2007/132224(それらの内容全体が参考として本明細書中に援用される)に記載されているような、少なくとも2つの精油、農学的に許容されるキャリアオイルおよび乳化剤を含む農薬組成物であり得る。本発明における使用に適切な精油としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:種々のTagetes(マリーゴールド)種(T. erectaまたはT. minutaを含む)から得られるタゲテス油(tagetes oil)、ならびにチモール含有油、例えば種々のThymus(タイム)種(T. vulgarisを含む)から得られるタイム油、種々のOcimum(スウィートバジル)種(Ocimum basiliciumを含む)から得られるバジル油、種々のAnabasis種から得られるアナバシス油、種々のCarum種から得られるカラウエイ油、種々のLavendula種から得られるラベンダー油、種々のOrganum種から得られるマジョラム(オルガヌム)油、および種々のCymbopogon種(例えばCymbopogon martini)から得られるパルマローザ油が挙げられるがこれらに限定されない。タイム油は、特に適切なチモール含有精油であると理解されるが、他としては、アナバシス油、カラウエイ油、ラベンダー油、オシマム油、およびオルガヌム油が挙げられる。これらの油の1つまたはそれ以上の単離成分が利用され得ることがさらに理解されるが、これらは第1の農薬組成物の殺虫特性に寄与する性質を有している。例えば、Thymus vulgaris由来のタイム油は、チモール、カラクロール、シモール、リナロール、テルピン−4−オール(モノテルペノイド)の混合物を含んでおり、これらの成分のいずれかまたはそれらの混合物は、第1の農薬組成物中で用いることができる。タゲテス油(例えば、Tagetes erectaまたはTagetes minuta由来)の成分は、ジヒドロタゲトン、チオフェンおよびオシメンを含んでいるか、またはそのジヒドロタゲトンが最も重要な成分である。
【0031】
本発明における使用に適切な農業的に許容可能なキャリアオイルとしては、キャノーラ油(Oil Seed Rape oil(アブラナ油)、OSRとして公知である)、トウモロコシ(コーン)油、ヒマワリ油、綿実油、およびダイズ油のような植物油が挙げられるがこれらに限定されない。乳化剤は、組成物が水との所望の混和性を有することを確実にするのに十分な量で存在しており、本発明に用いるのに適切な乳化剤としては、表面活性剤のような任意の公知の農業的に許容可能な乳化剤、典型的にはアルキルアリールスルホネート、エトキシル化アルコール、ポリアルコキシル化ブチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、ポリアルキレングリコールエーテル、ブチルポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、またはノニルフェノール乳化剤(例えばTRITON N57TM)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名「TWEENTM」でICIより販売されている)、または天然の有機乳化剤(例えばココナッツオイルまたはココナッツオイル製品(例えばココナッツジエタノールアミド)、ヒマシ油またはヒマシ油製品(例えば、Marlowet(登録商標))、またはパーム油製品(例えばラウリルステアレート)が挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な実施態様において、乳化剤は1〜20%w/w、適切には10%w/wまで、特には約5%または6%w/wの量で存在し得る。
【0032】
本明細書中で提供される農薬混合物の、さらなる非限定的で例示的な実施態様において、本発明の第1の農薬組成物は、欧州特許EP1689237B1に記載されているような農薬組成物であってもよく、以下のものを含有している:(i)タゲテス油とタイム油の混合物(3:1〜1:3の比率で)、ここで存在するこのような油または混合物の総量は10%w/wを超えない;(ii)農学的に許容可能なキャリアオイルおよび(iii)乳化剤。さらなる非限定的実施態様が提供され、この農薬組成物は5%w/w以下の成分(i)を含んでおり、特定のこのような組成物は、1.5%w/w以下の成分(i)を含んでいる。さらなる非限定的な実施態様が提供され、このキャリアオイル(農薬組成物の成分(ii))は、キャノーラ油、ヒマワリ油、綿実油、パーム油、またはダイズ油であってもよい。さらなる非限定的な実施態様が提供され、この農薬組成物は、サリチル酸類(例えば、サリチル酸、サリチル酸エステル、サリチル酸メチル)、またはジャスモン酸類(例えば、ジャスモン酸およびジャスモン酸誘導体、ジャスモン酸のC1-10アルキルエステル、ジャスモン酸メチル)のようなウイルス感染の症状を修復する化合物(これらに限定されない)を含む追加成分を含んでいてもよい。非限定的な1実施態様において、サリチル酸類は、ウインターグリーン油のようなサリチル酸またはサリチル酸類を含む精油、ならびにアカザ属(Chenopodium)、コカ属(Erythroxylum)、フトモモ属(Eugenia)、シラタマノキ属(Gaultheria)、ニクズク属(Myristica)、フトモモ属(Syzygium)、キサントフィルム属(Xanthophyllum)、シナモン属(Cinnamonium)、シラタマ属(Gualtheria)、ワタ属(Gossypium)およびハッカ属(Mentha)由来の油中に含まれていてもよい。この理論によって限定されることを望むことなく、サリチル酸類のような追加成分は、有効成分の効果の相乗剤(synergizer)として作用することができることが理解される。
【0033】
本明細書中に提供される農薬混合物のさらなる非限定的な例示的実施態様において、本発明の第1の農薬組成物は、バグオイル(登録商標)および/またはSuprila(登録商標)および/またはMarigold(登録商標)(プラント・インパクト社(Plant Impact plc)、バンバー・ブリッジ、プレストン、PR5 BL、英国)という名前で市販されている農薬組成物であってもよく、担体、乳化剤、有効成分、および場合により相乗剤として機能する物質を含んでいる。代表的なバグオイル(登録商標)製剤は、キャリアオイルとしてキャノーラ油を、乳化剤としてTween 20(登録商標)を、有効成分としてタゲテス油を、有効成分としてタイム油を、そして相乗剤としてウインターグリーン油を含んでいる。以下の非限定的実施例において用いられる製剤は、キャリアオイルとしてキャノーラ油(93.799% w/w)を、乳化剤としてTween 20(登録商標)(5.000% w/w)を、有効成分としてタゲテス油(0.600% w/w)を、有効成分としてタイム油(0.600% w/w)を、そして相乗剤としてウインターグリーン油(0.0001% w/w)を含んでいる。
【0034】
〔第2の農薬組成物〕
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬組成物を提供し、ここで第2の農薬組成物は、当業者によって選択され得る殺虫剤として有効な化合物を含んでいる。非限定的な例示的実施態様は、ダニ、アブラムシ、コナジラミ、アザミウマ、カイガラムシ、ヨコバイおよび当業者によって同定され得る他の標的を含む(ただしこれらに限定されない)吸汁害虫(sucking pest)に対する活性を有する、1つまたはそれ以上の農薬組成物を含んでいる。
【0035】
適切な殺虫化合物としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:
アバメクチン(abamectin)、アベルメクチンの混合物、例えば以下のようなB1a(80%)およびB1b(20%):
アベルメクチンB1a (80%)、
(2aE,4E,8E)-(5′S,6S,6′R,7S,11R,13S,15S,17aR,20R,20aR,20bS)-6’-[(S)-sec-ブチル]-5’,6,6’,7,10,11,14,15,17a,20,20a,20b-ドデカヒドロ-20,20b-ジヒドロキシ-5’,6,8,19-テトラメチル-17-オキソスピロ[11,15-メタノ-2H,13H,17H-フロ[4,3,2-pq][2,6]ベンゾジオキサシクロオクタデシン-13,2’-[2H]ピラン]-7−イル 2,6-ジデオキシ-4-O-(2,6-ジデオキシ-3-O-メチル-α-L-アラビノ-ヘキソピラノシル)-3-O-メチル-α-L-アラビノ-ヘキソピラノシド;および
アベルメクチンB1b (20%)、
(2aE,4E,8E)-(5’S,6S,6’R,7S,11R,13S,15S,17aR,20R,20aR,20bS)-5’,6,6’,7,10,11,14,15,17a,20,20a,20b-ドデカヒドロ-20,20b-ジヒドロキシ-6’-イソプロピル-5’,6,8,19
-テトラメチル-17-オキソスピロ[11,15-メタノ-2H,13H,17H-フロ[4,3,2-pq][2,6]ベンゾジオキサシクロオクタデシン-13,2’-[2H]ピラン]-7−イル 2,6-ジデオキシ-4-O-(2,6-ジデオキシ-3-O-メチル-α-L-アラビノ-ヘキソピラノシル)-3-O-メチル-α-L-アラビノ-ヘキソピラノシド;
イミダクロプリド(Imidacloprid)、(2E)-1-[(6-クロロ-3-ピリジニル)メチル]-N-ニトロ-2-イミダゾリジンイミン;
インドキサカルブ(Indoxacarb)、メチル (4aS)-7-クロロ-2,5-ジヒドロ-2-[[(メトキシカルボニル)[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]アミノ]カルボニル]インデノ[1,2-e][1,3,4]オキサジアジン-4a(3H)-カルボキシレート;
ラムダ−シハロトリン(Lambda-cyhalothrin)、(R)-α-シアノ-3-フェノキシベンジル(1S)-cis-3- [(Z)-2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート;と(S)-α-シアノ-3-フェノキシベンジル (1R)-cis-3-[(Z)-2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペニル]-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレートとの等量の異性体混合物;
スピノサド(Spinosad)、50%−95%の(2R,3aS,5aR,5bS,9S,13S,14R,16aS,16bR)-2-[(6-デオキシ-2,3,4-tri-O-メチル-α-L-マンノピラノシル)オキシ]-13-[[(2R,5S,6R)-5-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2−イル]オキシ]-9-エチル-2,3,3a,5a,5b,6,9,10,11,12,13,14,16a,16b-テトラデカヒドロ-14-メチル-1H-as-インデカノ[3,2-d]オキサシクロドデシン-7,15-ジオン;と5%-50%の(2S,3aR,5aS,5bS,9S,13S,14R,16aS,16bS)-2-[(6-デオキシ-2,3,4-トリ-O-メチル-α-L-マンノピラノシル)オキシ]-13-[[(2R,5S,6R)-5-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-6-メチル-2H-ピラン-2−イル]オキシ]-9-エチル-2,3,3a,5a,5b,6,9,10,11,12,13,14,16a,16b-テトラデカヒドロ-4,14-ジメチル-1H-as-インデカノ[3,2-d]オキサシクロドデシン-7,15-ジオンとの混合物;
および当業者により容易に特定される、殺虫活性を有する他の化合物。
【0036】
適切な殺虫化合物は、多くの業者から市販製剤として入手することができる。アバメクチンは、商品名がAbba(登録商標)、Affirm(登録商標)、AGRI-MEK(登録商標)、Avid(登録商標)、Dynamec(登録商標)、MK 936(登録商標)、VERTAN(登録商標)、Vertimec(登録商標)、ZEPHYR(登録商標)、およびCure(登録商標)(これらに限定されない)で販売されている製剤として市販されている。イミダクロプリドは、商品名がAdmire(登録商標)、Advantage(登録商標)、Condifor(登録商標)、Kohinor(登録商標)、Gaucho(登録商標)、Hachikusan(登録商標)、Marathon(登録商標)、Merit(登録商標)、Premier(登録商標)、Premise(登録商標)、PROVADO(登録商標)、Prothor(登録商標)、およびWinner(登録商標)(これらに限定されない)で販売されている製剤として市販されている。インドキサカルブは、商品名がAdvion(登録商標)、Arilon(登録商標)、Avaunt(登録商標)、および STEWARD(登録商標)(これらに限定されない)で販売されている製剤として市販されている。ラムダ−シハロトリンは、商品名がCharge(登録商標)、Excaliber(登録商標)、Grenade(登録商標)、Hallmark(登録商標)、Icon(登録商標)、Karate(登録商標)、KARATE KING(登録商標)、Matador(登録商標)、OMS 0321(登録商標)、PP321(登録商標)、Saber(登録商標)、Samurai(登録商標)、およびSentinel(登録商標)(これらに限定されない)で販売されている製剤として市販されている。スピノサドは、商品名がConserve(登録商標)、Entrust(登録商標)、Intrepid(登録商標)、SPINTOR(登録商標)、Success(登録商標)、およびTracer(登録商標)(これらに限定されない)で販売されている製剤として市販されている。当業者は、防除される害虫、作物、生育条件、適用方法、およびその他の要因(これらに限定されない)を含む要因の評価に基づいて、本発明における使用のための殺虫化合物を含む1以上の市販製剤を特定および選択することができる。
【0037】
〔農薬混合物〕
本明細書中で提供される農薬混合物は、不活性担体をさらに含んでいてもよい。適切な不活性担体は、固体担体、液体担体、および乳剤、水和剤、フロアブル剤のような担体であり得る。本明細書中で提供される農薬混合物は、場合により油、界面活性剤、分散剤、接着剤、安定剤および噴射剤(油溶液に配合される)のような製剤補助剤を含んでもよい。本明細書中で提供される農薬混合物は、水性懸濁液、水性エマルジョン、マイクロカプセル製剤、乳剤、水和剤、またはフロアブル剤、顆粒剤、粉剤、エアロゾル、ULV製剤、または本発明に従う使用に適切な特性を有する製剤を得るために当業者によって選択および調製され得る他の製剤として製剤化され得る。
【0038】
本明細書中で提供される農薬混合物および本明細書中で提供される農薬混合物を製造および使用するための方法は、農業および林業害虫、動物の外部寄生虫、および衛生的に好ましくない害虫のような種々の害虫を防除するために適用することができる。本明細書中で提供される農薬混合物は、クモ(クモ綱)のような節足動物害虫(節足動物門)(特にダニ(亜綱ダニ))、および昆虫害虫(昆虫綱)(鱗翅目(鱗翅目)、アブラムシ(アブラムシ科)およびカメムシ(半翅目)が挙げられるがこれらに限定されない)に適用することができる。
【0039】
本明細書中で提供される農薬混合物は種々のタイプのダニ、特にハダニ(ハダニ科(Tetranychidae))、これらに限定されないが:一般的なハダニ/ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、果樹ハダニ(Panonychus ulmi)、柑橘類のハダニ(Panonychus citri)、柑橘類サビダニ(Phylocoptruta oleivora)、およびOligonychus属、を防除するために適用することができる。本明細書中で提供される農薬混合物は種々の科のダニ、これらに限定されないが:フシダニ科(Eriophyidae)、例えば、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)およびチャノサビダニ(Calacarus carinatus);ホコリダニ科(Tarsonemidae)、例えば、チャホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus);ヒメハダニ科(Tenuipalpidae)、例えば、Brevipalpus chilensi;ケナガハダニ科(Tuckerellidae);マダニ科(Ixodidae)、例えば、キチマダニ(Haemaphysalis flava)(Japanese tick)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)(yellow tick)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)およびツェルシェマダニ(Ixodes persulcatus);コナダニ科(Acaridae)、例えば、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae);ワクモ科(Dermanyssidae)、例えば、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides ptrenyssnus);ツメダニ科(Cheyletidae)、例えば、ホソツメダニ(Cheyletus eruditus)、フトツメダニ(Cheyletus fortis)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensi)およびミナミツメダニ(Cheyletus moorei);ならびに、当業者が本発明に従って使用するために特定できる他のダニ類、特にハダニ類、を防除するために適用することができる。
【0040】
本明細書中で提供される農薬混合物は種々のタイプのアブラムシ(アブラムシ科(Aphididae))、例えば、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ミカンミドリアブラムシ(Aphis citricola)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis pserudobrassicae)、ナシミドリオオアブラムシ(Nippolachnus piri)、コミカンアブラムシ(Toxoptera ciidius)およびミカンクロアブラムシ(Toxoptera ciidius)、ならびに、当業者が本発明に従って使用するために特定できる他のアブラムシ類を防除するために適用することができる。
【0041】
本明細書中で提供される農薬混合物は、種々のタイプの半翅目(hemipteran)害虫、例えば:ウンカ科(Delphacidae)の害虫、例えばヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)およびセジロウンカ(Sogatella furcifera);ヒメヨコバイ科(Cicadellidae)の害虫、例えば、それに限定されないが、Empoasca biggutulaのようなエンポアスカ属(Empoasca sp.);ヨコバイ科/亜科(Deltocephalidae)の害虫、例えば、それに限定されないが、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)およびタイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)のようなネフォテテックス属(Nephotettix sp.);ヒメヨコバイ科(Cicadellidae)の害虫;カメムシ科(Pentatomidae)の害虫、例えば、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)およびチャバネアオカメムシ(Plautia stali);コナジラミ科(Aleyrodidae)の害虫、例えば、それに限定されないが、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)のようなトリアレウロデス属(Trialeurodes sp.)の害虫、それに限定されないが、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)およびシルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolli)のようなベミシア属(Bemisia sp.)の害虫;マルカイガラムシ科(Diaspididae)の害虫、例えば、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、ニセヤノネカイガラムシ(Unaspis citri)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、オリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、ミカンカキカイガラムシ(Lepidosaphes beckii)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)およびワタフキカイガラムシ(Icerya purchasi);グンバクムシ科(Tingidae)の害虫;キジラミ科(Psyllidae)の害虫、ならびに、当業者が本発明に従って使用するために特定できる他の半翅目害虫、を防除するために適用することができる。
【0042】
農薬混合物はまた、幼虫や卵の防除においても用いることができる。
【0043】
本開示は、害虫の防除をもたらすのに十分な量の本明細書中に記載の農薬混合組成物を、標的害虫に接触させる工程を包含する、害虫防除の方法を提供する。 本明細書中で提供される非限定的な例示的方法は、標的害虫に農薬混合組成物を適用する工程、その農薬混合物を標的害虫と一体となっている基体に適用する工程、その農薬混合物を標的害虫が侵入している部位に適用する工程を包含し、ここでこの農薬混合物は、害虫を防除するのに十分な量で適用される。本明細書中で提供される非限定的な例示的方法は、標的害虫が侵入している部位にその害虫を防除するのに十分かつ、害虫が寄生している寄主組織には損傷を与えない量で適用する工程を包含する。本明細書中で提供される非限定的な例示的方法は、潜在的な標的害虫侵入部位にその農薬混合物を適用する(例えば、害虫侵入を防止または低減させるのに十分であり、寄主組織に損傷を与えない量で侵入されていない寄主に適用することによって)工程を包含する。
【0044】
本明細書中で提供される農薬混合物は、農業害虫に対する農作物の保護のために用いることができる。本明細書中で提供される農薬混合物は、畑作物、果樹園の農産物、および温室栽培された作物を含むほとんどの作物における使用に適している。本明細書中で提供される農薬混合物を用いた使用に適した作物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:穀類(例えば、小麦、大麦、ライ麦、オート麦、米、トウモロコシ、モロコシ)、ナシ状果、核果、柔らかい果物などの木の実(リンゴ、梨、プラム、モモ、アーモンド、およびチェリーを含む)、ベリー類(例えば、イチゴ、ラズベリー、およびブラックベリー)、マメ科作物(例えば、豆、レンズ豆、エンドウ豆、および大豆)、油脂植物(例えば、アブラナ、カラシナ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ油、ココア、およびピーナッツ)、ビート類(例えばテンサイ、および飼料ビート)、ウリ科(例えばカボチャ、キュウリ、ズッキーニおよびメロン)、繊維植物(例えば綿、亜麻、大麻およびジュート)、柑橘類(例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツおよびミカン)、野菜(例えば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ピーマン、トマト、ジャガイモ、ナス)、クスノキ科(例えばアボカド)、および他の作物(例えば、シナモン、樟脳、タバコ、ナッツ、コーヒー、サトウキビ、茶、ブドウ、ホップ、バナナ、天然ゴム植物および観葉植物;ならびにこのような作物の種子。
【0045】
〔農薬混合物〕
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺ダニ活性を有する殺虫剤(殺ダニ剤)を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここで標的ダニに対するこの混合物の殺虫活性は、各農薬組成物単独のダニに対する活性の和よりも大きい。非限定的な例示的実施態様において、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺ダニ剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物が提供され、ここでナミハダニ赤色型(Tetranychus urticae)に対するその混合物の殺虫活性は、各農薬組成物単独のT. urticaeに対する活性の和よりも大きい。
【0046】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに殺アブラムシ活性(aphicidal activity)を有する少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物を提供し、ここでアブラムシに対するこの混合物の殺虫活性は、各殺虫組成物単独の標的アブラムシに対する活性の和よりも大きい。非限定的な例示的実施態様において、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺アブラムシ剤(aphicide)を含む第2の農薬組成物を含む相乗農薬混合物が提供され、ここでモモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するその混合物の活性は、各農薬組成物単独のM. persicaeに対する活性の和よりも大きい。
【0047】
非限定的な例示的実施態様において、実験室条件下でナミハダニ(Tetranychus urticae)およびモモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対して、選択された殺虫剤と混合されたバグオイル(登録商標)を含む農薬混合物の殺虫効力を評価する試験を実施した。以下の実施例に記載される非限定的で例示的な実施態様において、赤ハダニやモモアカアブラムシに対して単独で用いた場合の選択された殺虫剤の期待される効果は、それらの商業的な使用法に基づいており、選択された農薬はいずれも単独で用いた場合に予想外の効果を示さなかった。
【0048】
以下の実施例に記載される非限定的な例示的実施態様において、効果的な殺ダニ剤であると知られている殺虫剤は、単独で、およびバグオイル(登録商標)との混合物において、T. urticaeに対して活性を有することが実証された。以下の実施例に記載される非限定的な例示的な実施態様において、市販されている製品製剤中のアバメクチンおよびスピノサドは、単独で用いた場合T. urticaeに対して期待される活性を示し、実験室条件下でのハダニT. urticaeに対する試験において、バグオイル(登録商標)と混合した場合に大幅に増強された効果を示した。
【0049】
以下の実施例に記載される非限定的で例示的な実施態様において、アバメクチンとバグオイル(登録商標)との混合物は、一貫して相乗的な殺ダニ効果を示しており、ここでアバメクチンは、メスの産卵数を大幅に減少させ、卵に適用した場合には子孫に対して有効であり得る殺ダニ剤としてよく知られている。実施例1で実証され、図1に図示され、および表IおよびIIにまとめられているように、アバメクチンは、単独で使用した場合にT. urticaeに対して殺ダニ活性を示した。実施例1で実証され、図1に図示され、表IIおよびIIIにまとめられているように、アバメクチンとバグオイル(登録商標)との混合物は、混合物中のアバメクチンの公知の活性と混合物中のバグオイル(登録商標)の公知の活性との期待される(理論的な)和よりも大幅に大きいレベルまで死亡率を増加させ、アバメクチンとバグオイル(登録商標)の混合物の相乗効果を示している。
【0050】
以下の実施例に記載される非限定的な例示的実施態様において、スピノサドとバグオイル(登録商標)との混合物は、一貫して相乗的な殺ダニ効果を示しており、ここでスピノサドは、有益な節足動物に対しては低い毒性を有しているので、赤色ハダニの生物学的防除と一緒にうまく作用することが示されており、いくらかの浸透移行性特性(systemic properties)を有しており、かつメスの生殖能力に対する影響を有していると報告されている。実施例5で実証され、図5で図示され、表IおよびIIにまとめられているように、スピノサドは、単独で用いた場合T. urticaeに対する殺ダニ活性を示した。実施例5で実証され、図5に図示され、そして表IIおよびIIIにまとめられているように、スピノサドとバグオイル(登録商標)との混合物は、混合物中のスピノサドの公知の活性と混合物中のバグオイル(登録商標)の公知の活性との期待される(理論的な)和よりも大幅に大きいレベルまで死亡率を増加させ、アバメクチンとバグオイル(登録商標)の混合物の相乗効果を示している。
【0051】
以下の実施例に記載される非限定的な例示的実施態様において、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリンとの、またはイミダクロプリドとの、またはアバメクチンとの混合物は、各製品単独の活性と比較して、成体のコナジラミに対する活性のわずかな向上を提供した(実施例14および図11、12、13)。バグオイル(登録商標)とイミダクロプリドとの混合物は、一貫していずれかの製品担体よりもより良好な防除を与えた。
【0052】
以下の実施例に記載される非限定的な例示的実施態様において、バグオイル(登録商標)とアバメクチンとの混合物は、異なる作物におけるコナジラミの防除に関する効果の持続性を向上させた(実施例14、15、16、および図13、15、および16)。
【0053】
以下の実施例に記載される非限定的な例示的実施態様において、混合物中に適用されるバグオイル(登録商標)とアバメクチンの割合を下げることで、吸汁昆虫害虫および鱗翅目害虫の防除の向上、および効果の持続性の向上を達成した(実施例16)。
【0054】
〔相乗効果〕
相乗効果は、「独立して作用する2つ(もしくはそれ以上)の効果の合計より、全体の効果が大きいか、またはより持続性があるような混合物中の2成分の共同的作用」として記述されている(P. M. L. Yames, Neth. J Plant Pathology 1964, 70, 73-80を参照のこと)。
【0055】
一般的に、相乗効果は、成分の混合物または組み合わせの作用が、各成分単独の作用の和より大きい場合は常に存在すると理解される。したがって、成分の相乗混合物は、各成分単独の作用の和より大きな作用を有する。本開示は、農薬混合物が各成分の公知の活性に基づく混合物の計算されたまたは予測された活性の値を超える殺虫活性を有し、それにより本明細書で提供される農薬混合物は相乗殺虫効果を有する、成分の農薬混合物を提供する。
【0056】
各成分の公知の活性に基づく混合物の計算されたまたは予測された活性の値をを超える混合物の測定された活性である、相乗効果は、農薬アジュバント効果とは違う。農薬アジュバント剤は、活性成分の効力を増強するために農薬製剤に添加される化学物質であると理解され、ここでアジュバント剤が農薬であることは意図しない。農薬アジュバント剤は、「特別な農薬的性質を有さず、農薬に添加した場合に、農薬の効力を増強するかまたは増強することを意図する、水以外の、あらゆる物質」として定義されてきた(英国の規制の定義を引用するThacker, 2000, Pesticide Adjuvants, Biol. Sci. AGR 183 (pages 1-7)) 。アジュバントには、それに限定されないが、酸性化剤、活性化剤、界面活性化剤、泡防止剤、蒸発防止剤、緩衝剤、浸透剤、相溶剤、消泡剤、蒸着剤、ドリフト制御剤、乳化剤、増量剤、発泡剤、保湿剤、鉱物油、植物油、散布剤、接着剤、湿潤剤、および水調製剤が含まれる。
【0057】
相乗効果が存在するかどうか決定するための周知の方法には、コルビー法(Colby method)、タメス法(Tammes method)およびウェドリイ法(Wadley method)が含まれ、これらはいずれも以下に説明する。これらのいずれの方法でも、化合物Aと化合物Bとの間に相乗効果が存在するかどうか決定するために使用できる。コルビー法(リンペル法(Limpels method)も参照する)において、与えられた活性成分の組合せに関して期待される作用(E)は、いわゆるコルビーの式に従う。コルビーによれば、活性成分AおよびBの、mおよびng/haの施用薬量、またはmおよびnppmの濃度での期待される(相加的)作用は:
E = (X + Y) − (X * Y/100)
であり、ここでXは、活性成分Aをm g/haの施用薬量、またはm ppmの濃度で施用した場合の致死率(kill rate)(非処置コントロールのパーセントとして表される)であり、Yは、活性成分Bをn g/haの施用薬量、またはn ppmの濃度で施用した場合の致死率(非処置コントロールのパーセントとして表される)であり;ppmは、スプレー混合物のリットルあたりの活性成分(=a.i.)のミリグラムに等しい。期待される作用(E)で除した実際に観察された作用(O)として定義される割合Rが1より大きい場合は、この組合せの作用は超相加的、すわわち相乗効果が存在する。より詳細なコルビーの式の説明は、Colby, S. R. “Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combination,” Weeds, Vol. 15, pages 20-22; 1967; および Limpel et al., Proc. NEWCC 16: 48-53 (1962) を参照する。
【0058】
タメス法は、相乗効果が存在するかどうか決定するために、グラフの表示を使用する。「“Isoboles, a graphic representation of synergism in pesticides,” Netherlands
Journal of Plant Pathology, 70 (1964) p. 73-80」を参照する。
【0059】
ウェドリイ法(Wadley method)は、用量反応曲線を用いて実験データから得られたED50値(すなわち、50%の害虫防御を与える化合物または化合物の組合せの用量)と以下の式から理論的に計算された期待されたED50値の比較に基づいている。
【数1】
式中、aおよびbは混合物中での化合物AおよびBの重量比、そしてED50観察値はそれぞれの化合物の用量反応曲線を用いて得られた実験的に決定されたED50値である。ED50(A+B)期待値/ED50(A+B)観察値の比は、相互作用(F)(相乗因子)として表される。相乗効果がある場合は、Fは1より大きい。同じ式が、LD50値、すなわち致死用量、ならびにEC50値、すなわち有効濃度、およびLC50値、すなわち致死濃度を用いた場合も適用される。ウェドリイ法のより詳しい説明は、Levi et al., EPPO-Bulletin 16, 1986, 651-657を参照する。
【0060】
相乗作用を決定するためのD. L. Richer(Pesticide Science, 1987, 19, 309-315, 特にp. 313)が述べたような代替法は、上記の方法で使用された観察値および理論的計算値というより、むしろ純粋に観察された値に基づいている。この代替法では、AとBの混合物の所与の薬量の効果が、単独で使用された同じ薬量のAおよびBの効果と比較される。もし相乗効果が存在する場合は、混合物の観察される効果は、いずれの成分を単独で使用した場合に観察される効果より大きくなる:
【数2】
ここで、xおよびyは混合物中のAおよびBの量である。もし実際の致死率が計算値を超えた場合は、組合せの作用は超相加的、すなわち相乗効果が存在すると理解される。
【0061】
〔各成分の施用薬量を減少させおよび/または防除のタイミングを改善するための混合物の使用〕
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第1の農薬組成物単独の量、および/または同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第2の農薬組成物単独の量と比較して、より低量の各成分の使用で標的害虫の所望のレベルの防除を達成することができる。
【0062】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、混合物の施用後、第1の農薬組成物単独の施用後望ましい量の標的害虫の防除が達成される施用後時間、および/または第2の農薬組成物単独の施用後望ましい量の標的害虫の防除が達成される施用後時間と比較して、より迅速に標的害虫の所望のレベルの防除を提供する。
【0063】
本開示は、少なくとも2つの精油、キャリアオイル、および乳化剤を含む第1の農薬組成物、ならびに少なくとも1つの殺虫剤を含む第2の農薬組成物を含む農薬混合物を提供し、ここでこの混合物の殺虫活性は、同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第1の農薬組成物単独の量および第1の農薬組成物単独の施用後時間、ならびに/または同じレベルの防除を達成するのに必要とされる第2の農薬組成物単独の量および第2の農薬組成物単独の施用後時間と比較して、より低量の各成分の使用で標的害虫の所望のレベルの防除を達成することができ、かつ混合物の施用後、より迅速に標的害虫の所望のレベルの防除を提供する。
【0064】
一般的に多数の実施例を説明するために肯定的な言語を用いて、本明細書に開示されている。また、本発明は、特にこのような物質や材料、方法、手順及び条件、プロトコール、手順、アッセイまたは分析などの、特定の主題が、完全にまたは部分的に、除外されている実施形態を含んでいる。したがって、本発明に明示的に含まれない局面を含まないかという点に関して、本明細書中で本発明が一般的に表現されていなくても、それにもかかわらず本明細書で開示されている。
【0065】
本発明の様々な非限定的な例示的実施態様が記載されており、ここで実施態様は、本発明の真髄および範囲から離れることなく実施できることが理解される。したがって、以下の実施例は例示による説明のためであって、本願特許請求の範囲に記載された発明の範囲を制限することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、実施例1で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、T. urticaeに対する、アバメクチン(ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図1Aはアバメクチンの用量反応曲線を示す;図1Bはバグオイル(登録商標)単独およびアバメクチンとの混合物の効果を示す。
図2図2は、実施例2で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、T. urticaeに対する、イミダクロプリド(コンフィドール(CONFIDOR)(登録商標)20 LSとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図2Aはイミダクロプリド施用の用量反応曲線を示す;図2Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とイミダクロプリドとの混合物の効果を示す。
図3図3は、実施例3で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、T. urticaeに対する、インドキサカルブ(ステワード(STEWARD)(登録商標)30 WGとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図3Aはインドキサカルブ施用の用量反応曲線を示す;図3Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とインドキサカルブとの混合物の効果を示す。
図4図4は、実施例3で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、T. urticaeに対する、ラムダ−シハロトリン(カラテ・キング(KARATE KING)(登録商標)2.5 WGとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図4Aはラムダ−シハロトリン施用の用量反応曲線を示す;図4Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリンとの混合物の効果を示す。
図5図5は、実施例5で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、T. urticaeに対する、スピノサド(スピントール(SPINTOR)(登録商標)48 SCとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図5Aはスピノサド施用の用量反応曲線を示す;図5Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とスピノサドとの混合物の効果を示す。
図6図6は、実施例6で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、M. persicaに対する、アバメクチン(ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図6Aはアバメクチン施用の用量反応曲線を示す;図6Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とアバメクチンとの混合物の効果を示す。
図7図7は、実施例7で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、M. persicaに対する、イミダクロプリド(コンフィドール(CONFIDOR)(登録商標)20 LSとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図7Aはイミダクロプリド施用の用量反応曲線を示す;図7Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とイミダクロプリドとの混合物の効果を示す。
図8図8は、実施例8で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、M. persicaに対する、インドキサカルブ(ステワード(STEWARD)(登録商標)30 WGとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図8Aはインドキサカルブ施用の用量反応曲線を示す;図8Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とインドキサカルブとの混合物の効果を示す。
図9図9は、実施例9で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、M. persicaに対する、ラムダ−シハロトリン(カラテ・キング(KARATE KING)(登録商標)2.5 WGとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図9Aはラムダ−シハロトリン施用の用量反応曲線を示す;図9Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリンとの混合物の効果を示す。
図10図10は、実施例10で開示したように、施用後72時間での死亡率%として測定した、M. persicaに対する、スピノサド(スピントール(SPINTOR)(登録商標)48 SCとして)およびバグオイル(登録商標)の活性を示す;図10Aはスピノサド施用の用量反応曲線を示す;図10Bはバグオイル(登録商標)単独およびバグオイル(登録商標)とスピノサドとの混合物の効果を示す。
図11図11は、施用後1、3、7および14日(1DAA, 3DAA, 7DAA, 14DAA)での、ズッキーニ植物上のコナジラミ(Trialeurodes sp.)成虫に対する、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン(カラテ・キング(KARATE KING)(登録商標)2.5 WGとして)の活性を示す。
図12図12は、施用後1、3、7および14日(1DAA, 3DAA, 7DAA, 14DAA)での、ズッキーニ植物上のコナジラミ(Trialeurodes sp.)成虫に対する、バグオイル(登録商標)とイミダクロプリド(コンフィドール(CONFIDOR)(登録商標)20 LSとして)の活性を示す。
図13図13は、施用後1、3、7および14日(1DAA, 3DAA, 7DAA, 14DAA)での、キュウリ植物上のコナジラミ(Bemisia tabaci)成虫に対する、バグオイル(登録商標)とアバメクチン(ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとして)の活性を示す。
図14図14は、ワタ植物上のコナジラミ幼虫に対する、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン(ワリオール(WARRIOR)(登録商標)として)の活性(図14A)、および単独、ならびにバグオイル(登録商標)とアバメクチン(ゼフィール(ZEPHYR)(登録商標)0.15 ECとして)の活性(図14B)を示す。
図15図15は、ナス植物上のコナジラミ(B. tabaci)成虫に対する、バグオイル(登録商標)とイミダクロプリド(クライマックス(CLIMAX)(登録商標)200 SLとして)の活性を示す。
図16図16は、施用後1時間(1HAA)ならびに1、3、7および14日(1DAA, 3DAA, 7DAA, 14DAA)での、ナス植物上のヨコバイ(E biggutula)に対する、バグオイル(登録商標)とイミダクロプリド(クライマックス(CLIMAX)(登録商標)200 SLとして)の活性を示す。
【実施例】
【0067】
以下に記載されるような試験を実施して、選択された市販の殺虫製剤と混合した場合のバグオイル(登録商標)の有効性を評価した。
【0068】
種々の殺虫製剤を試験のために選択し、ある場合には特定の試験生物に対する活性がないようだったので、そのために追加の防除実験を提供し、および/または組み合わせた場合の改善された活性を観察する機会を提供した。
【0069】
実施例1〜13に記載の実験室での実験では、寄主植物は以下の標的生物に寄生されていた:インゲン(Phaseolus vulgaris)は、実験室条件下でナミハダニ(または赤色ハダニ)(Tetranychus urticae)成虫に寄生されており、シロナ(Brassica rapa chinensis)は、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)成虫に寄生されていた。試験領域は、標的生物に寄生された寄主植物の摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧し、各試験溶液は、本実施例および図に記載されたようなバグオイル(登録商標)および他の成分濃度を有していた。死亡率、他のサブ致死効果および植物毒性の評価を、実施例1〜13に記載した実験について、施用後24時間(施用後(DAA)1日)および72時間(3DAA)で実施した。
【0070】
実施例14〜16に記載したフィールド試験については、寄主植物上の標的生物の数を、処理前および処理後に評価した。死亡率、成長段階への効果、任意の他のサブ致死効果および植物毒性の評価を、実施例14〜16に記載されているフィールド試験について、施用後1日(DAA)、3日(3DAA)、4日(4DAA)、7日(7DAA)、14日(14DAA)、または22日(22DAA)のいずれかを含む、サンプリング期間にわたって実施した。
【0071】
適用される成分の用量や割合を決めるために、バグオイル(登録商標)の濃度を、試験溶液1リットル(L)あたりのバグオイル(登録商標)のミリリットル(mL)の体積希釈、またはmL/L、として表わした。バグオイル(登録商標)製剤は、キャリアオイルとして、キャノーラ油(93.799% w/w)、乳化剤としてTween 20(登録商標)(5.000% w/w)、有効成分としてタゲテス油(0.600% w.w)、有効成分としてタイム油(0.600% w/w)、および相乗剤としてウインターグリーン油(0.0001% w/w)を含有している(プラント・インパクト社 (Plant Impact plc.)、バンバー・ブリッジ、プレストン、英国)。実施例1〜13において、有効成分のアバメクチン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ラムダ−シハロトリンおよびスピノサド(これらは、以下に列挙される商品名で市販されている製剤として供給された)の用量または薬量を、1ヘクタールあたりに施用された有効成分(a.i.)のグラム数での用量または薬量(g(a.i.)/ha)として表わした。実施例14〜16において、有効成分のアバメクチン、イミダクロプリドおよびラムダ−シハロトリンの用量または薬量は、その実施例中で開示されている植物/害虫の組み合わせのために用いられている市販の製剤についての推奨薬量(「表示用量」または「規定」または「N」と表わされる)の比率として表わされる。例えば、用量は、「N」(表示用量、希釈なし)と表わされ、希釈液は、様々(例えば、1:1希釈または1/2規定強度は「N/2」または「N/2希釈」または「1/2N」のように、同様にN/6(通常強度の1/6)、N/20(通常強度の1/20)など)と表現される。
【0072】
作物の安全性は、バグオイル(登録商標)単独および以下に記載される種々の殺ダニ剤/殺虫剤との混合物について評価した。以下に記載した試験中には植物毒性はほとんど観察されなかった。
【0073】
〔実施例1〕赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するアバメクチンおよびバグオイル(登録商標)の活性
赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対する、アバメクチン(ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとして製剤化、有効成分含有量:アバメクチン1.8%(アバメクチンB1a:80%およびB1b:20%)、ラボラトリオ・アルコタン社(Laboratorios Alcotan S.A.)、ドス・エルマーナス(セビリア)、スペイン、バッチNo.10803007、2008年4月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Tetranychus urticaeを寄生させた寄主植物Phaseolus vulgarisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)に実施した。
【0074】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびアバメクチン)が、T. urticaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のT. urticaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0075】
バグオイル(登録商標)はT. urticaeに対して、2.5mL/Lを超える薬量で施用した場合に活性を有し、約LD25値は約5mL/L、および約LD50値は約10mL/Lであった(表Iを参照の
こと)。
【0076】
図1Aに表されているアバメクチンについての用量反応域検出アッセイの結果に示されているように、アバメクチンはT. urticaeに対して活性を有していた。図1Aは、施用後72時間でのT. urticaeの生存率(%)として測定される、T. urticaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり0.01〜0.1グラムのアバメクチン薬量でのアバメクチンの施用(ヘクタールあたりの有効成分のグラム数(g(a.i.)/ha)として表わされる)の用量反応曲線を示している。75%生存率(25%死亡率)は、破線で示されている。図1Aは、T. urticaeに対するアバメクチンの約LD25値が0.025g(a.i.)/haであり、T. urticaeに対するアバメクチンの約LD50値は0.040g(a.i.)/haであることを示している。
【0077】
一旦バグオイル(登録商標)およびアバメクチンについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次に、施用後72時間での寄生試験領域におけるT. urticae の死亡率(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のアバメクチンの薬量を変化させた効果、およびアバメクチンの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0078】
図1Bは、約LD25値(0.025g(a.i.)/ha)〜約LD50値(0.040g(a.i.)/ha)の薬量のアバメクチンとの混合物中での、約LD25値(5mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(5mL/L)、8mL/L、および約LD50値(10mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での、約LD25値(0.025g(a.i.)/ha)のアバメクチンの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、バグオイル(登録商標)については約LD25値に対応する5ml/Lでのバグオイル(登録商標)の施用、およびアバメクチンについては約LD25値に対応する0.25g(a.i.)/haでのアバメクチンの施用、を含む。約LD25値と約LD50値との間の範囲での成分の使用により、各成分単独と組み合わせての効果の比較が可能となり、混合物の測定された活性と比較する目的のための混合物の予測された活性を追加することが可能となった。
【0079】
図1Bに示されているように、バグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物の殺虫効果は、混合物の各成分の予測される相加殺虫活性よりも高かった。約LD25のバグオイル(登録商標)および約LD25のアバメクチンを含有する混合物の予測された(理論的な)活性は、せいぜい50%であると予測される(図1B、処置群2および6)、しかしながら観察された約LD25のバグオイル(登録商標)および約LD25のアバメクチンの混合物の殺虫活性は、ほぼ70%であった。従って、バグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物は、殺ダニ剤として相乗的な殺虫効果を示した。
【0080】
〔実施例2〕赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するイミダクロプリドおよびバグオイル(登録商標)の活性
赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するイミダクロプリド(コンフィドール(CONFIDOR)(登録商標)20 LSとして製剤化、有効成分含有量:イミダクロプリド20%、バイエルクロップサイエンス社(Bayer CropScience)、スペイン、バッチNo.EQ6000353/5、2007年11月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Tetranychus urticaeを寄生させた寄主植物Phaseolus vulgarisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)に実施した。
【0081】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリド)が、T. urticaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のT. urticaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0082】
バグオイル(登録商標)はT. urticaeに対して、2.5mL/Lを超える薬量で施用した場合に活性を有し、約LD25値は約5mL/L、および約LD50値は約10mL/Lであった(表Iを参照のこと)。
【0083】
イミダクロプリドの用量反応域検出アッセイの結果を、図2Aに示す。図2Aは、施用後72時間でのT. urticaeの生存率(%)として測定される、T. urticaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり1.25〜500グラムのイミダクロプリド薬量でのイミダクロプリドの施用(ヘクタールあたりの有効成分のグラム数(g(a.i.)/ha)として表わされる)についての用量反応曲線を示している。75%生存率(25%死亡率)は、破線で示されている。T. urticaeに対してイミダクロプリドで測定された約LD25薬量は、100g(a.i.)/haであり、T. urticaeに対してイミダクロプリドで測定された約LD50薬量は、400g(a.i.)/haであった(表I)。図2Aにおけるイミダクロプリドの用量反応域検出バイオアッセイの結果は、死亡率の変動性が高く、400g a.i./haほどの高い薬量であってもT. urticaeに対してわずかな活性しかないことを示しているが、このことはイミダクロプリドが、文献において赤色ハダニに対する効果が報告されていないことから、予想外のことではない。
【0084】
一旦バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリドについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次に、施用後72時間での寄生試験領域におけるT. urticae の致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のイミダクロプリドの薬量を変化させた効果、およびイミダクロプリドの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0085】
図2Bは、約LD25値(100g(a.i.)/ha)〜約LD50値(400g(a.i.)/ha)の間の薬量のイミダクロプリドとの混合物中での、約LD25値(5mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(5mL/L)、8mL/L、および約LD50値(10mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中の約LD25値(100g(a.i.)/ha)のイミダクロプリドの効果を図示している。 コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、バグオイル(登録商標)については約LD25値に対応する5ml/Lでのバグオイル(登録商標)の施用、およびイミダクロプリドについては約LD25値に対応する100g(a.i.)/haでのイミダクロプリドの施用、を含む。
【0086】
図2Bに示されているように、バグオイル(登録商標)とイミダクロプリドの混合物の殺虫効果は、いくつかの処理において、予測された結果よりも高いと記載することのできる死亡率レベルを示した。しかしながら、これらの結果は明確なものではなく、使用されるイミダクロプリドの薬量が高いという観点から、何らかの有用な効果が実証されたとは考えにくいという結論に達した。イミダクロプリドは、本研究における標的害虫を駆除するために用いられる濃度では赤色ハダニの繁殖力を高める可能性があるいくつかの証拠も存在し、この理由のためにバグオイル(登録商標)とこの化合物を混合するコンセプトのさらなる開発は特に推奨できないと考えられる。
【0087】
〔実施例3〕赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するインドキサカルブおよびバグオイル(登録商標)の活性
赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するインドキサカルブ(ステワード(STEWARD)(登録商標)30 WGとして製剤化、有効成分含有量:インドキサカルブ30%、デュポン(Dupont)、バッチNo.SEP08 CE 161、2008年9月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Tetranychus urticaeを寄生させた寄主植物Phaseolus vulgarisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0088】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびインドキサカルブ)が、T. urticaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のT. urticaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0089】
バグオイル(登録商標)はT. urticaeに対して、2.5mL/Lを超える薬量で施用した場合に活性を有し、約LD25値は約5mL/L、および約LD50値は約10mL/Lであった(表Iを参照のこと)。
【0090】
インドキサカルブの用量反応域検出アッセイの結果を図3Aに示している。図3Aは、施用後72時間でのT. urticaeの生存率(%)として測定される、T. urticaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり0.01〜200グラムのインドキサカルブ薬量でのインドキサカルブの施用(ヘクタールあたりの有効成分のグラム数(g(a.i.)/ha)として表わされる)についての用量反応曲線を示している。75%生存率(25%死亡率)は、破線で示されている。この用量反応域検出アッセイは、400g(a.i.)/haまでの薬量でのインドキサカルブについての試験を含んでいる(表I)。T. urticaeに対して、インドキサカルブで測定された約LD25値は100g(a.i.)/haであり、T. urticaeに対してインドキサカルブの約LD50値は400g(a.i.)/haであった(表I)。インドキサカルブは、T. urticaeに対する特異的な毒性を有することは報告されていない、新規のオキサジアジン殺虫剤であり、こうした用量反応域検出バイオアッセイの結果は、インドキサカルブが400g a.i./haほどの高い薬量であってもT. urticaeに対してわずかな活性しかないこと、死亡率が大きく変動すること、と整合している。
【0091】
一旦バグオイル(登録商標)およびインドキサカルブについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるT.
urticae の致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のインドキサカルブの薬量を変化させた効果、およびインドキサカルブの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0092】
図3Bは、約LD25値(100g(a.i.)/ha)〜約LD50値(400g(a.i.)/ha)の間の薬量のインドキサカルブとの混合物中での約LD25値(5mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(5mL/L)、8mL/L、および約LD50値(10mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での約LD25値(100g(a.i.)/ha)のインドキサカルブの効果を図示している。 コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、バグオイル(登録商標)については約LD25値に対応する5ml/Lでのバグオイル(登録商標)の施用、およびインドキサカルブについては約LD25値に対応する100g(a.i.)/haでのインドキサカルブの施用、を含む。
【0093】
図3Bに示されているように、インドキサカルブはバグオイル(登録商標)との混合物中では特別に良好には機能せず、期待されたよりも低い死亡率が観察された。インドキサカルブは、単独で施用された場合にT. urticaeに対して活性を示さず、バグオイル(登録商標)との混合物中でも効力の追加は実証されなかった。
【0094】
〔実施例4〕赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するラムダ−シハロトリンおよび
バグオイル(登録商標)の活性
赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するラムダ−シハロトリン(カラテ・キング(KARATE KING)(登録商標)2.5 WGとして製剤化、有効成分含有量:ラムダ−シハロトリン2.5%、シンジェンタ・クロップ・プロテクション(Syngenta Crop Protection)、バッチNo.SOL7E10、2007年7月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Tetranychus urticaeを寄生させた寄主植物Phaseolus vulgarisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0095】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびラムダ−シハロトリン)が、T. urticaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のT. urticaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0096】
バグオイル(登録商標)はT. urticaeに対して、2.5mL/Lを超える薬量で施用した場合に活性を有し、約LD25値は約5mL/L、および約LD50値は約10mL/Lであった(表Iを参照のこと)。
【0097】
図4Aに表されているラムダ−シハロトリンについての用量反応域検出アッセイの結果に示されているように、ラムダ−シハロトリンはT. urticaeに対して活性を有した。図4Aは、施用後72時間でのT. urticaeの生存率(%)として測定されるT. urticaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり0.01〜100グラムのラムダ−シハロトリン薬量でのラムダ−シハロトリンの施用(ヘクタールあたりの有効成分のグラム数(g(a.i.)/ha)として表わされる)についての用量反応曲線を示している。75%生存率(25%死亡率)は、破線で示されている。図4Aは、T. urticaeに対するラムダ−シハロトリンの約LD25値は0.05g(a.i.)/haであり、T. urticaeに対するアバメクチンの約LD50値は0.1g(a.i.)/haであることを示している。ラムダ−シハロトリン(ピレトロイド殺虫剤の1つ)は、成虫ダニに対して殺ダニ効果が知られており、用量反応域検出試験の結果は、試験したより低い濃度での高い死亡率を示していた。
【0098】
一旦バグオイル(登録商標)およびラムダ−シハロトリンについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次に、施用後72時間での寄生試験領域におけるT. urticae の致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のラムダ−シハロトリンの薬量を変化させた効果、およびラムダ−シハロトリンの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0099】
図4Bは、約LD25値(0.05g(a.i.)/ha)〜約LD50値(0.1g(a.i.)/ha)の間の薬量のラムダ−シハロトリンとの混合物中での約LD25値(5mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(5mL/L)、8mL/L、および約LD50値(10mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での約LD25値(0.05g(a.i.)/ha)のラムダ−シハロトリンの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、バグオイル(登録商標)については約LD25値に対応する5ml/Lでのバグオイル(登録商標)の施用、およびラムダ−シハロトリンについては約LD25値に対応する0.05g(a.i.)/haでのラムダ−シハロトリンのみの施用、を含む。
【0100】
図4Bに示されているように、各成分の殺虫効果は、その混合物が相乗的、または相加的な殺ダニ効果を有していたかどうかを明らかにはしなかった。約LD25値でのバグオイル(登録商標)は、T. urticaeに対して有意な殺虫活性を示し(図4B、処置群2)、約LD25でのラムダ−シハロトリンはT. urticaeに対して殺虫活性を示した(時4B、処置群6)。これらの活性を加えることで、100%死亡率の最大値よりも大きい予測(理論)死亡率がもたらされる。バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリンの全ての混合物(図4B、処置群3、4、5、7、および8)は、有意な殺虫活性を有していた。これらの結果は、ピレトロイド殺虫剤であるラムダ−シハロトリンの成虫ダニに対する殺ダニ活性が知られているという事実と整合している。従って、これらの混合物はT. urticaeに対する有意な殺虫活性を有しているが、この試験は、LD25でのバグオイル(登録商標)活性と同じLD値でのラムダ−シハロトリンを加えたものから得られる予測(理論)活性と比較した場合に、その混合物の相乗効果を証明しなかった。
【0101】
〔実施例5〕赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するスピノサドおよびバグオイル(登録商標)の活性
赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対するスピノサド(スピントール(SPINTOR)(登録商標)48 SCとして製剤化、有効成分含有量:スピノサド48%、ダウアグロサイエンス(Dow AgroSciences)、バッチNo.VF0927036、2007年11月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Tetranychus urticaeを寄生させた寄主植物Phaseolus vulgarisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0102】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびスピノサド)が、T. urticaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のT. urticaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0103】
バグオイル(登録商標)はT. urticaeに対して、2.5mL/Lを超える薬量で施用した場合に活性を有し、約LD25値は約5mL/L、および約LD50値は約10mL/Lであった(表Iを参照のこと)。
【0104】
スピノサドの用量反応域検出アッセイの結果を、図5Aに示す。図5Aは、施用後72時間でのT. urticaeの生存率(%)として測定されるT. urticaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり0.1〜100グラムのスピノサド薬量でのスピノサドの施用(ヘクタールあたりの有効成分のグラム数(g(a.i.)/ha)として表わされる)についての用量反応曲線を示している。T. urticaeに対してスピノサドで測定された約LD25薬量は、10g(a.i.)/haであり、T. urticaeに対してスピノサドで測定された約LD50薬量は、50g(a.i.)/haであった(表I)。スピノサドのLD25およびLD50薬量は、いくつかの新規に開発された殺ダニ剤と比較した場合には高いと考えられるが、スピノサドに対する用量反応が試験した範囲にわたり観察された。
【0105】
一旦バグオイル(登録商標)およびスピノサドについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるT. urticae の致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のスピノサドの薬量を変化させた効果、およびスピノサドの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0106】
図5Bは、約LD25値(10g(a.i.)/ha)〜約LD50値(50g(a.i.)/ha)の間の薬量のスピノサドとの混合物中の約LD25値(5mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(5mL/L)、8mL/L、および約LD50値(10mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中の約LD25値(10g(a.i.)/ha)のスピノサドの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、バグオイル(登録商標)については約LD25値に対応する5ml/Lでのバグオイル(登録商標)の施用、およびスピノサドについては約LD25値に対応する10g(a.i.)/haでのスピノサドの施用、を含む。
【0107】
図5Bに示されているように、バグオイル(登録商標)とスピノサドの混合物の殺虫効果は、混合物の各成分で予測された相加的殺虫活性よりも高かった。約LD25のバグオイル(登録商標)、および約LD25のスピノサドを含有する混合物の予測された(理論的な)活性は、せいぜい50%であると予測された(図5B、処置群2および6)、しかしながら、観察された約LD25のバグオイル(登録商標)および約LD25のスピノサドの混合物の殺虫活性はほぼ80%であり、相乗効果を示している。これらの相乗効果は、スピノサドまたはバグオイル(登録商標)薬量を増加した場合、すべての結果においてみられた。特に、約LD25値のバグオイル(登録商標)と、15g(a.i.)/haおよび50g(a.i)/ha(約LD50値)のスピノサドとの混合物は、90%を超える死亡率を有していた。同様に、約LD25値のスピノサドとより高い薬量のバグオイル(登録商標)との混合物に関しては、約LD25値のスピノサドと8mL/Lのバグオイル(登録商標)との混合物についてはほぼ70%の死亡率を有しており、約LD25値のスピノサドと10mL/L(約LD50値)のバグオイル(登録商標)との混合物についてはほぼ90%であった。混合物の増強された効果は、各成分の活性の視点から予想されたかもしれないが、その混合物の増加した殺虫活性は、混合物の予測(理論)活性よりも明らかに高い。従って、バグオイル(登録商標)とスピノサドの混合物は、殺ダニ剤として相乗的な殺虫効果を示した。
【0108】
〔実施例6〕モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するアバメクチンおよびバグオイル(登録商標)の活性
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対する、アバメクチン(ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとして製剤化、有効成分含有量:アバメクチン1.8%(アバメクチンB1a:80%およびB1b:20%)、ラボラトリオ・アルコタン社(Laboratorios Alcotan S.A.)、ドス・エルマーナス(セビリア)、スペイン、バッチNo.10803007、2008年4月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Myzus persicaeを寄生させた寄主植物Brassica rapa chinensisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0109】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびアバメクチン)が、M. persicaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のM. persicaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0110】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対して試験した場合、バグオイル(登録商標)は、明確な殺アブラムシ活性を示さなかった。バグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物のM. persicaeに対する殺虫活性における相加的または相乗効果を説明するために、バグオイル(登録商標)のLD25は10mL/LおよびLD50は50mL/Lであるとみなした(表I)。
【0111】
図6Aに表されているアバメクチンについての用量反応域検出アッセイの結果に示されているように、アバメクチンはM. persicaeに対して活性を有していた。図6Aは、施用後72時間でのM. persicaeの生存率(%)として測定される、M. persicaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり0.1〜100グラムのアバメクチン薬量でのアバメクチンの施用(g(a.i.)/ha)についての用量反応曲線を示している。75%生存率(25%死亡率)は、破線で示されている。M. persicaeに対するアバメクチンの約LD25値は、5g(a.i.)/haであると決定され、約LD50値は15g(a.i.)/haであると決定された(図6A、表I)。
【0112】
一旦バグオイル(登録商標)およびアバメクチンについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるM. persicaeの致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のアバメクチンの薬量を変化させた効果、およびアバメクチンの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0113】
図6Bは、約LD25値(5g(a.i.)/ha)、10g(a.i.)/ha、約LD50値(50g(a.i.)/ha)の薬量のアバメクチンとの混合物中での約LD25値(10mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(10mL/L)、20mL/L、および約LD50値(50mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での約LD25値(5g(a.i.)/ha)のアバメクチンの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、バグオイル(登録商標)については約LD25値に対応する10ml/Lでのバグオイル(登録商標)の施用、およびアバメクチンについては約LD25値に対応する5g(a.i.)/haでのアバメクチンの施用、を含む。
【0114】
図6Bに示されるように、約LD25値でのバグオイル(登録商標)単独では、M. persicaeに対してほぼ全く殺虫効果を示さず(図6B、処置群2)、アバメクチンを含む全ての処置群では、ほぼ100%の死亡率が得られた(図6B、処置群3〜8)。この試験において、LD25およびLD50値でのアバメクチンの効果は、M. persicae成虫に対して再現することが容易ではなかった。従って、成虫アブラムシを用いるリーフディスク寄生技術は、ほぼ100%という死亡率でLD25(5g(a.i.)/ha)または上記の薬量でベルタン(登録商標)として施用されたアバメクチンの高い効果を示していたが、アバメクチンとバグオイル(登録商標)との混合物が相乗効果を示していたかどうかの決定については、このデータからは結論は得られなかった。
【0115】
〔実施例7〕モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するイミダクロプリドおよびバグオイル(登録商標)の活性
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するイミダクロプリド(コンフィドール(CONFIDOR)(登録商標)20 LSとして製剤化、有効成分含有量:イミダクロプリド20%、バイエルクロップサイエンス社(Bayer CropScience)、スペイン、バッチNo.EQ6000353/5、2007年11月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Myzus persicaeを寄生させた寄主植物Brassica rapa chinensisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0116】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリド)が、M. persicaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のM. persicaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0117】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対して試験した場合、バグオイル(登録商標)は、明確な殺アブラムシ活性は示さなかった。バグオイル(登録商標)とイミダクロプリドの混合物のM. persicaeに対する殺虫活性における相加的または相乗効果を説明するために、バグオイル(登録商標)のLD25は10mL/LおよびLD50は50mL/Lであるとみなした(表I)。
【0118】
イミダクロプリドは、図7Aに示されたイミダクロプリドの用量反応域検出アッセイの結果に示されているようにM. persicaeに対して活性を有していた。図7Aは、施用後72時間でのM. persicaeの生存率(%)として測定されるM. persicaeに寄生された試験領域に対する、1ヘクタールあたり0.1〜400グラムのイミダクロプリド薬量でのイミダクロプリドの施用(g(a.i.)/ha)についての用量反応曲線を示している。M. persicaeに対するイミダクロプリドの約LD25薬量は、0.1g(a.i.)/haであると決定され、約LD50薬量は、0.5g(a.i.)/haであると決定された(図7A、表I)。イミダクロプリドがM. persicaeに対して有効な殺虫剤であることは十分に記述されており、本結果はイミダクロプリドの公知の活性と合致している。
【0119】
一旦バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリドについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるM.
persicaeの致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のイミダクロプリドの薬量を変化させた効果、およびイミダクロプリドの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0120】
図7Bは、約LD25値(0.1g(a.i.)/ha)、0.25g(a.i.)/ha、および約LD50値(0.5g(a.i.)/ha)の薬量のイミダクロプリドとの混合物中の約LD25値(10mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(10mL/L)、20mL/L、および約LD50値(50mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中の約LD25値(0.1g(a.i.)/ha)のイミダクロプリドの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、10ml/L(約LD25)でのバグオイル(登録商標)の施用、および0.1g(a.i.)/ha(約LD25)でのイミダクロプリドの施用、を含む。
【0121】
図7Bに示されているように、約LD25値(10 mL/L)でのバグオイル(登録商標)単独、約LD25値(0.1 g(a.i.)/ha)でのイミダクロプリド単独、約LD25値のバグオイル(登録商標)と約LD25値のイミダクロプリドの混合物はいずれも本試験においてM. persicaeに対する有意な殺虫活性を有していなかった(図7B、処置群2、3および6)。しかしながら約LD25値(10 mL/L)でのバグオイル(登録商標)とより高い濃度のイミダクロプリドは、イミダクロプリドの0.25g(a.i.)/haではほぼ80%の死亡率、0.5g(a.i.)/ha(約LD50値)ではほぼ100%の死亡率で、M. persicaeに対して非常に強力な殺虫活性を示した(図7B、処置群4および5)。約LD25値(0.1g(a.i.)/ha)のイミダクロプリドとより高い濃度のバグオイル(登録商標)(20mL/Lおよび50mL/L(約LD50値))は、M. persicaeに対する殺虫活性において有意な効果を示さなかった。
【0122】
イミダクロプリドがM. persicaeに対して有効な殺虫剤であることは十分に記述されているが、以前の研究では、接触活性(すなわち、昆虫をイミダクロプリドと直接接触させた場合の活性)が、植物に殺虫剤を塗布した後にその植物上にアブラムシを配置するよりも優れていることが実証されていた。本試験の結果は、害虫とリーフディスクへの直接施用によってもたらされる。用量反応域検出アッセイに関する図7Aに示されているように、1g a.i./haおよびそれ以上の濃度のイミダクロプリドから、90%より高い死亡率(LD90)が得られた。M. persicaeに対するイミダクロプリドのLD25およびLD50を得るために、0.1〜1g a.i./haの範囲をカバーするように濃度範囲を下げ、0.lg a.i./haのLD25薬量を混合物試験に用いる薬量として選択した。0.25および0.5g a.i./haと10mL/L バグオイル(登録商標)の混合物において高い死亡率が見られたが、0.1g a.i./haのイミダクロプリドの結果は、用量反応域検出試験で得られた最初の結果と合致しなかった。従って、イミダクロプリドとバグオイル(登録商標)の混合物中のバグオイル(登録商標)の存在に起因し得る特別な効果は確認できなかった。
【0123】
〔実施例8〕モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するインドキサカルブおよびバグオイル(登録商標)の活性
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するインドキサカルブ(ステワード(STEWARD)(登録商標)30 WGとして製剤化、有効成分含有量:インドキサカルブ30%、デュポン(Dupont)、バッチNo.SEP08 CE 161、2008年9月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Myzus persicaeを寄生させた寄主植物Brassica rapa chinensisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0124】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびインドキサカルブ)が、M. persicaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のM. persicaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0125】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対して試験した場合、バグオイル(登録商標)は、明確な殺アブラムシ活性は示さなかった。バグオイル(登録商標)とイミダクロプリドの混合物のM. persicaeに対する殺虫活性における相加的または相乗効果を説明するために、バグオイル(登録商標)のLD25は10mL/LおよびLD50は50mL/Lであるとみなした(表I)。
【0126】
インドキサカルブを、コナジラミで用いたものと類似の濃度範囲にわたって、M. persicaeに対して試験を行ったが、図8Aに表される、1ヘクタールあたり0.1〜400グラム(g(a.i.)/ha)のインドキサカルブの薬量でインドキサカルブをM. persicaeに寄生された試験領域に対して施用し、結果は施用後72時間でのM. persicae生存率として測定される、インドキサカルブについての用量反応域検出アッセイの結果に示されるように、試験範囲全体で抗アブラムシ活性はほとんど検出されなかった。コントロールに比べて死亡率のわずかな増加が見られたが、統計的分析では有意ではなかった。鱗翅目(Lepidoptera)、特定の同翅目(Homoptera)および甲虫目(Coleoptera)がインドキサカルブの標的として知られているので、これらの結果は予期せぬものではなかったし、インドキサカルブのは、いくつかの吸汁昆虫に対して長期間効果を有するものの、アブラムシに対しては特別に有効ではないことが報告されている。それにもかかわらず、M. persicaeに対するインドキサカルブの約LD25値は100g(a.i.)/haであるとみなされ、約LD50値は400g(a.i.)/haであるとみなされた(図8A、表I)。
【0127】
一旦バグオイル(登録商標)およびインドキサカルブについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるM.
persicaeの致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のインドキサカルブの薬量を変化させた効果、およびインドキサカルブの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0128】
図8Bは、約LD25値(100g(a.i.)/ha)、200g(a.i.)/haおよび約LD50値(400g(a.i.)/ha)の薬量のインドキサカルブとの混合物中での約LD25値(10mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(10mL/L)、20mL/L、および約LD50値(50mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での約LD25値(100g(a.i.)/ha)のインドキサカルブの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、10mL/L(約LD25値)でのバグオイル(登録商標)の施用、および100g(a.i.)/ha(約LD25値)でのインドキサカルブの施用、を含む。
【0129】
図8Bに示されるように、100g(a.i.)/haのインドキサカルブ単独では、M. persicaeに対して、施用後72時間での寄生試験領域において、測定可能な殺虫効果を示さなかった(図8B、処置群6)。バグオイル(登録商標)単独では、10mL/L(約LD25値)で約10%の死亡率を示した(図8B、処置群2)。10mL/Lのバグオイル(登録商標)と、100g(a.i.)/ha、200g(a.i.)/haおよび400g(a.i.)/haのインドキサカルブとの混合物は、約20%の死亡率を示した(図8B、処置群3、4および5)。100g(a.i.)/haのインドキサカルブと、20mL/Lおよび50mL/Lのバグオイル(登録商標)の混合物は、約10%の死亡率を示したが(図8B、処置群7および8)、10mL/Lのバグオイル(登録商標)単独の結果との有意差はなかった。上記のように、M. persicaeに対するインドキサカルブで観察された低い抗アブラムシ活性は、インドキサカルブが一般に鱗翅目、特定の同翅目および甲虫目に対して使用されること、およびアブラムシに対して特別の効果を有しないことが報告されていること、から予期されないことではなかった。バグオイル(登録商標)と高薬量のインドキサカルブは、バグオイル(登録商標)単独またはインドキサカルブ単独と比べて増加した殺虫活性を示したが、死亡率のレベルは25%未満にとどまった。
【0130】
〔実施例9〕モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するラムダ−シハロトインおよびバグオイル(登録商標)の活性
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するラムダ−シハロトリン(カラテ・キング(KARATE KING)(登録商標)2.5 WGとして製剤化、有効成分含有量:ラムダ−シハロトリン2.5%、シンジェンタ・クロップ・プロテクション(Syngenta Crop Protection)、バッチNo.SOL7E10、2007年7月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Myzus persicaeを寄生させた寄主植物Brassica rapa chinensisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0131】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびラムダ−シハロトリン)が、M. persicaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のM. persicaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0132】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対して試験した場合、バグオイル(登録商標)は、明確な殺アブラムシ活性は示さなかった。バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリンの混合物のM. persicaeに対する殺虫活性における相加的または相乗効果を説明するために、バグオイル(登録商標)のLD25は10mL/LおよびLD50は50mL/Lであるとみなした(表I)。
【0133】
ラムダ−シハロトリンは、図9Aに図示された用量反応域検出アッセイの結果に示されたように、高い殺アブラムシ活性を有することが示された。図9Aに示されたように、1ヘクタールあたり0.05〜1グラム(g(a.i.)/ha)のラムダ−シハロトリンの薬量でラムダ−シハロトリンをM. persicaeに寄生された試験領域に対して施用したラムダ−シハロトリンの生存率は、施用後72時間でのM. persicaeの生存率(%)として測定された。M. persicaeに対するラムダ−シハロトリンの約LD25値は、0.01g(a.i.)/haと決定され、約LD50値は0.01g(a.i.)/haと決定された(図9A、表I)。
【0134】
一旦バグオイル(登録商標)およびラムダ−シハロトリンについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるM. persicaeの致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のラムダ−シハロトリンの薬量を変化させた効果、およびラムダ−シハロトリンの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を試験した。
【0135】
図9Bは、約LD25値(0.01g(a.i.)/ha)、0.05g(a.i.)/haおよび約LD50値(0.1g(a.i.)/ha)の薬量のラムダ−シハロトリンとの混合物中での約LD25値(10mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(10mL/L)、20mL/L、および約LD50値(50mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での約LD25値(0.01g(a.i.)/ha)のラムダ−シハロトリンの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、10mL/L(約LD25値)でのバグオイル(登録商標)の施用、および0.01g(a.i.)/ha(約LD25値)でのラムダ−シハロトリンの施用、を含む。
【0136】
図9Bに示されるように、10mL/Lのバグオイル(登録商標)と0.05g(a.i.)/haまたは0.1g(a.i.)/haのラムダ−シハロトリンとの混合物は、10mL/Lのバグオイル(登録商標)単独、または0.01g(a.i.)/haのラムダ−シハロトリン、または10mL/Lのバグオイル(登録商標)と0.01g(a.i.)/haのラムダ−シハロトリンとの混合物に比べて、より高い死亡率を与えた。0.01g(a.i.)/haのラムダ−シハロトリンと50mL/Lのバグオイル(登録商標)との混合物もまた、より高い死亡率を与えた。しかしながら、これらの処置群はいずれも高死亡率を達成せず、そして一定の相乗効果が観察された。
【0137】
〔実施例10〕モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するスピノサドおよびバグオイル(登録商標)の活性
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するスピノサド(スピントール(SPINTOR)(登録商標)48 SCとして製剤化、有効成分含有量:スピノサド48%、ダウアグロサイエンス(Dow AgroSciences)、バッチNo.VF0927036、2007年11月)およびバグオイル(登録商標)の活性を以下に記載したように測定した。試験領域は、標的生物Myzus persicaeを寄生させた寄主植物Brassica rapa chinensisの摘出リーフディスクで構成した。トラック噴霧器を用いて200L/haの施用量で試験溶液を噴霧した。死亡率(生存率)、他のサブ致死量効果および植物毒性の評価を、施用後24時間および72時間(3DAA)で実施した。
【0138】
用量反応域検出アッセイを実施して、各成分(バグオイル(登録商標)およびスピノサド)が、M. persicaeに対して25%(LD25)〜50%(LD25)の死亡率をもたらす薬量(用量)を同定した。約LD25値および約LD50値に対応する薬量を、施用後72時間の寄生試験領域上のM. persicaeの生存率に対する薬量範囲の効果を示す用量反応曲線から決定した。
【0139】
モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対して試験した場合、バグオイル(登録商標)は、明確な殺アブラムシ活性は示さなかった。バグオイル(登録商標)とスピノサドの混合物のM. persicaeに対する殺虫活性における相加的または相乗効果を説明するために、バグオイル(登録商標)のLD25は10mL/LおよびLD50は50mL/Lであるとみなした(表I)。
【0140】
スピノサドは、図10Aに図示された用量反応域検出アッセイの結果に示されたように、様々な殺アブラムシ活性を有することが示された。図10Aに示されたように、1ヘクタールあたり0.01〜100グラム(g(a.i.)/ha)のスピノサドの薬量でスピノサドをM. persicaeに寄生された試験領域に対して施用し、そして活性を施用後72時間でのM. persicae生存率(%)として測定した。文献にはスピノサドがモモアカアブラムシに対して効力を有するであろうとの報告が含まれているが、これらの報告の多くの試験の結果は様々である。M. persicaeに対するスピノサドの約LD25値は、10g(a.i.)/haと決定され、約LD50値は50g(a.i.)/haと決定された(図10A、表I)。
【0141】
一旦バグオイル(登録商標)およびスピノサドについて、約LD25値および約LD50値に対応する薬量が確立されると、次いで、施用後72時間での寄生試験領域におけるM. persicaeの致死量(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中のスピノサドの薬量を変化させた効果、およびスピノサドの薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた効果を調べた。
【0142】
図10Bは、約LD25値(1g(a.i.)/ha)、5g(a.i.)/haおよび約LD50値(10g(a.i.)/ha)の薬量のスピノサドとの混合物中での約LD25値(10mL/L バグオイル(登録商標))のバグオイル(登録商標)の効果、ならびに約LD25値(10mL/L)、20mL/L、および約LD50値(50mL/L)の薬量のバグオイル(登録商標)との混合物中での約LD25値(1g(a.i.)/ha)のスピノサドの効果を図示している。コントロール処置群は、いずれの成分でも処理されない場合に対応するネガティブコントロール、10mL/L(約LD25値)でのバグオイル(登録商標)の施用、および1g(a.i.)/ha(約LD25値)でのスピノサドの施用、を含む。
【0143】
結果は、変動しており、そして決定的ではない。1g(a.i.)/haのスピノサド単独、または1g(a.i.)/haのスピノサドと10mL/Lのバグオイル(登録商標)との混合物は、測定可能な殺虫活性は示さなかった。10mL/Lのバグオイル(登録商標)単独はわずかな殺虫効果を有しており、ならびに10mL/Lのバグオイル(登録商標)と5g(a.i.)/haまたは10g(a.i.)/haのスピノサドの混合物、および1g(a.i.)/haのスピノサドと20mL/Lおよび50mL/Lのバグオイル(登録商標)との混合物は小さな殺虫効果を有していた。しかしながら、死亡率は低く10%にも満たなかった。そして、結果は、相乗効果を示唆する一貫したパターンを示さなかった。上記のように、モモアカアブラムシに対する効力を有するスピノサドの報告は様々な試験結果を含んでいる。
【0144】
〔実施例11〕バグオイル(登録商標)と農薬製剤に関する用量反応域検出アッセイのまとめ
表Iは、上記実施例1〜10に記載され、図1A〜10Aに図示された、バグオイル(登録商標)と各製剤について、各試験生物に対する用量反応域検出アッセイのまとめを示し、そして上記実施例1〜10に記載され、図1B〜10Bに図示された、試験での使用に関する約LD25値および約LD50値として選択された薬量を確認している。モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対するバグオイル(登録商標)の効果については、バグオイル(登録商標)は明確な殺アブラムシ活性をほとんどまたは全く示さないことが分かり、表Iに記載のLD25値の10mL/LおよびLD50値の50mL/Lについては、その用量範囲にわたってほとんどまたは全く反応がなかったことから、これらの薬量が必ずしもLD25値およびLD50値ではないことが認められた。
【0145】
表Iの試験は、各害虫に対して調べられた活性成分の全てが、選択された標的害虫に対して何らかの特別な効力を有していたわけではないことを示している。これらの試験は、製品との混合物に関して、標的生物に対する個々の化合物の効力によって示されることはなかった効果を得るために、なんらかの効力があるか否かを探求するために実施されたものであることから、実施例1〜10に記載の試験からはそれらを除外しなかった。
【0146】
【表1】
【0147】
〔実施例12〕赤色ハダニ(Tetranychus urticae)に対する農薬混合物の効果のまとめ
以下の表IIは、上記の実施例1〜5に記載された、施用後72時間での寄生された試験領域上のT. urticaeの死亡率(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中の各製剤の薬量を変化させた(LD25および約LD50からの薬量で)効果、および各製剤の薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた(LD25および約LD50からの薬量で)効果を調べるように設計された試験の結果をまとめる。混合物の死亡率を測定し、そして、混合物中の各成分の効果の相加に基づいた混合物の理論的(予想された)死亡率と比較した。ここで、表II中のパーセント値は、その次の整数に丸められた。表IIは、各混合物について、理論的(予想された)死亡率に対する死亡率のパーセントの増加を示している。有用な効果が、本試験において、T. urticaeに対して、バグオイル(登録商標)とアバメクチンとの混合物、およびバグオイル(登録商標)とスピノサドとの混合物で観察され、このことはこれらの混合物が相乗的殺虫効果を有していることを示している。
【0148】
【表2】
【0149】
表IIIはさらに、本試験における、T. urticaeに対する、バグオイル(登録商標)とアバメクチンとの組み合わせ、およびバグオイル(登録商標)とスピノサドとの組み合わせ、の相乗効果を示している。バグオイル(登録商標)とアバメクチンとの組み合わせに関して、観察された平均死亡率は64%であって、これはもし効果が単に相加的であった場合の計算された可能な平均死亡率24%のみより、有意に高い。バグオイル(登録商標)とスピノサドとの組み合わせに関して、観察された平均死亡率は84%であって、これはもし効果が単に相加的であった場合の計算された可能な平均死亡率24%のみより、有意に高い。
【0150】
【表3】
【0151】
〔実施例13〕モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対する農薬混合物の効果のまとめ
以下の表IVは、上記の実施例6〜10に記載された、施用後72時間での寄生された試験領域上のM. persicaeの死亡率(%)に対する、バグオイル(登録商標)の薬量を固定して混合物中の各製剤の薬量を変化させた(LD25および約LD50からの薬量で)効果、および各製剤の薬量を固定して混合物中のバグオイル(登録商標)の薬量を変化させた(LD25および約LD50からの薬量で)効果を調べるように設計された試験の結果をまとめる。混合物の死亡率を測定し、そして、混合物中の各成分の効果の相加に基づいた混合物の理論的(予想された)死亡率と比較した。ここで、表IV中のパーセント値は、その次の整数に丸められた。
【0152】
【表4】
【0153】
〔実施例14〕ウリ科植物(Cucurbitaceae)上のコナジラミ成虫の防除のためのバグオイル(登録商標)および選択された殺ダニ剤/殺虫剤の効力のフィールド試験
下記のフィールド試験を、バグオイル(登録商標)単独、ラムダ−シハロトリン単独、イミダクロプリド単独、アバメクチン単独、および、バグオイル(登録商標)とラムダ−
シハロトリン、イミダクロプリド、またはアバメクチンとの混合物の、ズッキーニ植物およびキュウリ植物上の、異なったコナジラミ種のコナジラミ成虫を防除する効力を測定するために実施した。以下の試験で、用量(N)は、スプレー混合物のリットルあたりの濃度(活性成分のグラム)((a.i.)/L)で示される、各製品の表示用量である。
【0154】
〔ズッキーニ植物上のTrialeurodes sp.成虫に対するバグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリンの活性〕
コナジラミ(Trialeurodes sp.)を寄生させたズッキーニ植物の栽培品種「デディダ(Dedida)」(Cucurbita pepo L., cv Dedida)を、バグオイル(登録商標)および/またはラムダ−シハロトリン(カラテ・キング(KARATE KING)(登録商標)2.5 WGとして製剤化、有効成分含有量:ラムダ−シハロトリン2.5%、シンジェンタ・クロップ・プロテクション(Syngenta Crop Protection)、バッチNo.SOL7E10、2007年7月)で処置し、ここで希釈前の用量=N=表示用量=0.02g(a.i.)/L、そして未処置のコナジラミ寄生植物と比較した、コナジラミのパーセント防除(%防除)を、各処置の施用後1日(1DAA)、3DAA、7DAA、および14DAAに測定した。以下の処置を適用し、評価した:5mL/Lのバグオイル(登録商標);10mL/Lのバグオイル(登録商標);N用量(ラムダ-シハロトリン2.5%)のラムダ-シハロトリン;N/2希釈(ラムダ-シハロトリン1.25%)のラムダ-シハロトリン;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/2希釈(ラムダ-シハロトリン1.25%)のラムダ-シハロトリン;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/6希釈(ラムダ-シハロトリン0.8%)のラムダ-シハロトリン;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/20希釈(ラムダ-シハロトリン0.125%)のラムダ-シハロトリン。図11は、1DAA、3DAA、7DAA、および14DAAでの、5mL/Lのバグオイル(登録商標)(バグオイル5);10mL/Lのバグオイル(登録商標)(バグオイル10);ラムダ-シハロトリン(ラムダ−N);N/2希釈のラムダ-シハロトリン(ラムダN/2);5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/2希釈のラムダ-シハロトリン(バグオイル5+ラムダN/2);5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/6希釈のラムダ-シハロトリン(バグオイル5+ラムダN/6);および5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/20希釈のラムダ-シハロトリン(バグオイル5+ラムダN/20)、に関するコナジラミの%防除を示す棒グラフで結果を表している。
【0155】
図11に示すように、バグオイル(登録商標)単独およびラムダ-シハロトリン(カラテ・キング(登録商標)2.5 WGとして)単独では、本試験で調べた薬量で、60%を超えるコナジラミ成虫の防除が得られた。施用後14日(14DAA)までは、バグオイル(登録商標)(5mL/Lで)とラムダーシハロトリンとの異なった薬量での混合物に関して、ほとんどまたは全く相加効果は観察されなかった。
【0156】
〔ズッキーニ植物上のTrialeurodes sp.成虫に対するバグオイル(登録商標)とイミダクロプリドの活性〕
コナジラミ(Trialeurodes sp.)を寄生させたズッキーニ植物の栽培品種「デディダ」(Cucurbita pepo L., cv Dedida)を、バグオイル(登録商標)および/またはイミダクロプリド(コンフィドール(CONFIDOR)(登録商標)20 LSとして製剤化、有効成分含有量:イミダクロプリド20%、バイエルクロップサイエンス社(Bayer CropScience)、スペイン、バッチNo.EQ6000353/5、2007年11月)で処置し、ここで希釈前の用量=N=表示用量=0.15g(a.i.)/L、そして未処置のコナジラミ寄生植物と比べたコナジラミのパーセント防除(%防除)を、各処置の施用後1日(1DAA)、3DAA、7DAA、および14DAAに測定した。以下の処置を適用し、評価した:5mL/Lのバグオイル(登録商標);10mL/Lのバグオイル(登録商標);N用量のイミダクロプリド;N/2希釈のイミダクロプリド;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/2希釈のイミダクロプリド;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/6希釈のイミダクロプリド;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/20希釈のイミダクロプリド。図12は、1DAA、3DAA、7DAA、および14DAAでの、5mL/Lのバグオイル(登録商標)(バグオイル5);10mL/Lのバグオイル(登録商標)(バグオイル10);イミダクロプリド(イミダクロプリドN);N/2希釈のイミダクロプリド(イミダクロプリドN/2);5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/2希釈のイミダクロプリド(バグオイル5+イミN/2);5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/6希釈のイミダクロプリド(バグオイル5+イミN/6);および5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/20希釈のイミダクロプリド(バグオイル5+イミN/20)、に関するコナジラミの%防除を示す棒グラフで結果を表している。
【0157】
図12に示すように、5mL/Lおよび10mL/Lでのバグオイル(登録商標)単独、ならびに通常の施用量(N)でのコンフィドール(登録商標)20 LS(20%SC)としてのイミダクロプリド単独では、70〜80%を超えるコナジラミ成虫の防除が得られた。通常の施用量(N)のN/2希釈でのイミダクロプリド単独ではコナジラミ成虫の防除が得られたが、30〜40%でしかなかった。バグオイル(登録商標)とコンフィドール(登録商標)20 LS(20%SC)としてのイミダクロプリドの全ての濃度(すなわち、N/2希釈、N/6希釈およびN/20希釈で)の組み合わせでは、1DAA、3DAAおよび7DAAにいずれの製品の単独より良好な防除が得られた。
【0158】
〔キュウリ植物上のBemisia tabaciに対するバグオイル(登録商標)とアバメクチンの活性〕
Bemisia tabaciに寄生されたキュウリ植物(Cucumis sativus)を、バグオイル(登録商標)および/またはアバメクチン(ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとして製剤化、有効成分含有量:アバメクチン1.8%(アバメクチンB1a:80%およびB1b:20%)、ラボラトリオ・アルコタン社(Laboratorios Alcotan S.A.)、ドス・エルマーナス(セビリア)、スペイン、バッチNo.10803007、2008年4月)で処置し、ここで希釈前の用量=N=表示用量=0.15g(a.i.)/L、そして未処置のコナジラミ寄生植物と比べたコナジラミのパーセント防除(%防除)を、各処置の施用後1日(1DAA)、3DAA、7DAA、および14DAAに測定した。以下の処置を適用し、評価した:5mL/Lのバグオイル(登録商標);10mL/Lのバグオイル(登録商標);N用量のアバメクチン;N/2希釈のアバメクチン;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/2希釈のアバメクチン;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/6希釈のアバメクチン;5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/20希釈のアバメクチン。図13は、1DAA、4DAA、7DAA、および14DAAでの、5mL/Lのバグオイル(登録商標)(バグオイル5);10mL/Lのバグオイル(登録商標)(バグオイル10);アバメクチン(アバメクチンN);N/2希釈のアバメクチン(アバメクチンN/2);5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/2希釈のアバメクチン(バグオイル5+アバN/2);5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/6希釈のアバメクチン(バグオイル5+アバN/6);および5mL/Lのバグオイル(登録商標)+N/20希釈のアバメクチン(バグオイル5+アバN/20)、に関するコナジラミの%防除を示す棒グラフで結果を表している。
【0159】
図13に示すように、5mL/Lおよび10mL/Lでのバグオイル(登録商標)単独、ならびに通常の施用量(N)およびN/2希釈での、ベルタン(VERTAN)(登録商標)1.8 ECとしてのアバメクチンでは、1DAAで60%、4DAAおよび7DDAで80%を超えるコナジラミ(Bemisia tabaci)成虫の防除が得られた。70〜80%。5mL/Lでのバグオイル(登録商標)+N/2希釈のアバメクチンは、最も高い%防除を与え、1DAA、4DAA、7DAA、および14DAAには80%を超える防除を与えた。バグオイル(登録商標)とベルタン(登録商標)1.8 ECとしてのアバメクチンとの混合物を使用した場合では、活性の大きな改善は見られなかった。しかしながら、14DAAでは、混合物の防除のレベルは単独成分処置より高く、このことはバグオイル(登録商標)とアバメクチン(特に、ベルタン(登録商標)1.8 ECとしてのアバメクチン)との混合物が、キュウリ植物上のコナジラミ成虫の制御の改善された持続性を与えることができたことを示している。
【0160】
〔実施例15〕ワタ植物上のアブラムシおよびコナジラミ幼虫の防除のためのバグオイル(登録商標)および選択された殺ダニ剤/殺虫剤の効力のフィールド試験
下記のフィールド試験を、バグオイル(登録商標)単独、ラムダ−シハロトリン単独、イミダクロプリド単独、アバメクチン単独、および、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン、イミダクロプリド、またはアバメクチンとの混合物の、ワタ植物上のコナジラミ幼虫を防除する、およびワタ植物上のアブラムシを防除する、効力を測定するために実施した。
【0161】
ラムダ-シハロトリンはワリオール(WARRIOR)(登録商標)(ゼオン・テクノロジー(Zeon Technology)のワリオール(登録商標)、活性成分含量11.4%のラムダ-シハロトリン、カプセル懸濁剤、シンジェンタ・クロップ・プロテクション(Syngenta Crop Protection))、ここで希釈前の用量=N=表示用量=5.12fl. oz. /acre。
【0162】
イミダクロプリドはプロバド(PROVADO)(登録商標)1.6 F(プロバド(登録商標)1.5フロアブル、活性成分含量17.4%、1−[(6−クロロ−ピリジニル)メチル]−N−ニトロ−2−イミダゾリジンイミン、フロアブル殺虫剤、バイエル・コーポレーション・クロップ・プロテクションの製品)、ここで希釈前の用量=N=表示用量=5fl. oz. /acre。
【0163】
アバメクチンはゼフィール(ZEPHYR)(登録商標)0.15 EC(ゼフィール(登録商標)1.5乳剤、活性成分含量2.0%のアバメクチン(アバメクチンB1a:80%およびB1b:20%)、アイボリーケム社(Ivorychem Pte.))、ここで希釈前の用量=N=表示用量=16fl. oz.
/acre。
【0164】
〔ワタ植物上のコナジラミ幼虫〕
コナジラミ幼虫をバグオイル(登録商標)単独、ラムダーシハロトリン単独、イミダクロプリド単独、アバメクチン単独、および、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン、イミダクロプリド、またはアバメクチンとの混合物で、処置し、施用後の幼虫段階のコナジラミの防除への効果を測定した。
【0165】
ラムダーシハロトリン単独、イミダクロプリド単独、アバメクチン単独、および、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン、イミダクロプリド、またはアバメクチンとの混合物、のいずれもが、幼虫段階のコナジラミに対して約50〜70%の防除を示した。バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン、イミダクロプリド、またはアバメクチンとの混合物において、効力の限定的な改善がみられた。
【0166】
図15は、施用後22日(22DAA)での、5mL/Lのバグオイル(登録商標)と種々の濃度のラムダ−シハロトリンとの混合物(図15A)、または5mL/Lのバグオイル(登録商標)と種々の濃度のアバメクチンとの混合物(図15B)について、いずれの単独使用より良好な防除効果を得たことを示している。
【0167】
図15Aは、5mL/Lのバグオイル(登録商標)とN/2希釈のラムダ−シハロトリンとの混合物(バグオイル+ラム1/2N)、および、5mL/Lのバグオイル(登録商標)とN/20希釈のラムダ−シハロトリンとの混合物(バグオイル+ラム1/20N)の混合物、が22DAAにおいて、バグオイル(登録商標)単独、またはラムダ−シハロトリン単独、ラムダ−シハロトリンのより低い濃度、よりも高い防除率を与えたことを示している。
【0168】
図15Bは、5mL/Lのバグオイル(登録商標)とN/2希釈のアバメクチンとの混合物(バグオイル+アバ1/2N)が22DAAにおいて、バグオイル(登録商標)単独、またはアバメクチン単独、よりも高い防除率を与えたことを示している。図15Bは、5mL/Lのバグオイル(登録商標)とN/6希釈のアバメクチン(バグオイル+アバ1/6N)または5mL/Lのバグオイル(登録商標)とN/20希釈のアバメクチン(バグオイル+アバ1/20N)との混合物が、
いずれかの濃度のバグオイル(登録商標)単独よりも高い防除率を与えたこと、アバメクチン単独のより高い濃度と同等またはより高い防除効果を与えたこと、を示している。バグオイル(登録商標)とアバメクチンとの混合物の結果は、これらの混合物がワタ植物上のコナジラミ幼虫の防除の持続性を改善できることを示している。
【0169】
〔ワタ植物上のアブラムシ〕
フィールド試験において、ワタ植物上には低〜中程度のみのアブラムシ(Aphis gossypii)しか存在しなかった。バグオイル(登録商標)の単独、またはラムダ−シハロトリン、アバメクチンもしくはイミダクロプリドとの混合物の使用時には、アブラムシ防除に関する信頼性のある傾向は観察されなかった。
【0170】
〔実施例16〕ナス植物上のコナジラミ、ヨコバイ、アブラムシおよび鱗翅目(Lepidoptera)の防除のためのバグオイル(登録商標)と選択された殺ダニ剤/殺虫剤の効力のフィールド試験
下記のフィールド試験を、バグオイル(登録商標)単独、ラムダ−シハロトリン単独、イミダクロプリド単独、アバメクチン単独、および、バグオイル(登録商標)とラムダ−シハロトリン、イミダクロプリド、またはアバメクチンとの混合物の、ナス栽培品種「カジノ(Casino)」(Solanum melongena cv Casino)植物上の、コナジラミ(Bemisia tabaci)、ヨコバイ(Empoasca biggutula)、アブラムシ(Aphis gosspyii)、シュート/フルートボーラー(Leucinodes orbonalis)およびネキリムシ(Spodoptera litura)を防除する、およびワタ植物上のアブラムシを防除する、効力を測定するために実施した。以下の試験で、用量(N)は、スプレー混合物のリットルあたりの濃度(活性成分のグラム)((a.i.)/L)で示される、各製品の表示用量である。
【0171】
ラムダ−シハロトリンはカラテ(KARATE)(登録商標)(カラテ(登録商標)、ゼオン・テクノロジー(Zeon Technology)、シンジェンタ・フィリピン社(Syngenta Phillipines, Inc.)、バッチNo.JAK8,18179、製造日2008年11月11日、Phillipines Department of Agriculture, Fertilizer and Pesticides Authority (FPA) 登録No. 011-204-0396)、ここで希釈前の用量=N=表示用量=0.8g(a.i.)/L(鱗翅目およびヨコバイ害虫に対して適用される薬量として)。
【0172】
イミダクロプリドはクライマックス(CLIMAX)(登録商標)(クライマックス(登録商標)200 SL、バイエルクロップサイエンス社(Bayer CropScience, Inc. )、バッチNo.81001025、製造日2005年2月22日、FPA登録No.284-240-0761)、ここで希釈前の用量=N=表示用量=0.15g(a.i.)/L。
【0173】
アバメクチンはアグリ−メク(登録商標)(アグリ−メク(登録商標)1.8 EC、シンジェンタ・フィリピン社、FPA登録No.011-234-0791)、ここで希釈前の用量=N=表示用量=0.018g(a.i.)/L。
【0174】
5および10mL/Lのバグオイル(登録商標)は、吸汁昆虫害虫(コナジラミ、ヨコバイおよびアブラムシ)に対して、かなりの程度〜良好な防除効果を示し、そして鱗翅目害虫(ネキリムシおよびボーラ)に対して良好〜非常に良好な防除効果を示した。アバメクチン(アグリ−メク(登録商標)1.8 ECとして)もまた良好な効果を示したが、改善は、バグオイル(登録商標)の低い薬量とアバメクチンを混合して施用した場合に、防除効果の改善および効果の持続性の増加の両方について、達成された。
【0175】
ヨコバイ(E. biggutula)の防除に関する、バグオイル(登録商標)および/またはアバメクチン(アグリ−メク(登録商標)1.8 ECとして)の効力を調べるための試験を実施した。施用後3日(施用1後3日)には、5mL/Lのバグオイル(登録商標)単独で88%の防
除効果、アバメクチン単独で78%の防除効果、そしてバグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物で89%の防除効果が得られた。第2の施用後3日(施用2後3日)には、5mL/Lのバグオイル(登録商標)単独で51%の防除効果、アバメクチン単独で66%の防除効果、そしてバグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物で85%の防除効果が得られた。第3の施用後3日(施用3後3日)には、5mL/Lのバグオイル(登録商標)単独で56%の防除効果、アバメクチン単独で49%の防除効果、そしてバグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物で72%の防除効果が得られた。
【0176】
コナジラミ(B.tabaci)成虫の防除に関する、バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリド(クライマックス(登録商標)200 SLとして)の効力を調べるための試験を実施した。図15に示すように、14日の試験期間にわたって、バグオイル(登録商標)単独でコナジラミ成虫の60%以上の防除効果、イミダクロプリド単独で50%またはそれ以下の防除効果を示した。混合物では、混合物の効力が施用後3日(3DAA)により高かったことを除いて、ほとんどメリットは得られなかった。
【0177】
ヨコバイ(E.biggutula)の防除に関する、バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリド(クライマックス(登録商標)200 SLとして)の効力を調べるための試験を実施した。図16に示すように、バグオイル(登録商標)とイミダクロプリドの混合物の効力が、この混合物の各個別成分の単独での効力より数値的に優れているとの兆候がみられた。図16に示すように、施用後3日(3DAA)に、半薬量のバグオイル(登録商標)単独(バグオイル(登録商標)1/2N、5mL/L、バグオイル(登録商標))、イミダクロプリド単独、およびバグオイル(登録商標)とイミダクロプリドの全ての混合物がヨコバイに対して80〜90%の防除効果を示した。効果の速さも注目すべきであり、施用後1時間(1HAA)に、標準薬量のバグオイル(登録商標)単独(バグオイル(登録商標)N、10mL/L、バグオイル(登録商標))はヨコバイに対して約20%の防除効果を示し、半薬量のバグオイル(登録商標)単独(バグオイル(登録商標)1/2N、5mL/L、バグオイル(登録商標))はヨコバイに対して約10%の防除効果を示し、そして標準薬量の半量での半薬量イミダクロプリド単独(イミダクロプリド1/2N)では37%の防除効果を示し、その一方で、標準薬量のバグオイル(登録商標)と半薬量イミダクロプリドの混合物(バグオイル+イミ1/2N)では65%の防除効果を与えた。
【0178】
ヨコバイ(E.biggutula)の防除に関する、バグオイル(登録商標)およびイミダクロプリド(クライマックス(登録商標)200 SLとして)の単回施用後の効力を調べるための試験を実施した。全ての処置、すなわち、バグオイル(登録商標)単独、アバメクチン単独、およびバグオイル(登録商標)とアバメクチンの混合物は、施用後3日に約80%の防除効果を示した。
【0179】
ネキリムシ(S.litura)に対する、バグオイル(登録商標)、ラムダ−シハロトリン(カラテ(登録商標)として)、アバメクチン(アグリ−メク(登録商標)1.8 ECとして)およびイミダクロプリド(クライマックス(登録商標)200 SLとして)の効力を調べるための試験を実施した。施用後7日(7DAA)に、半薬量のバグオイル(登録商標)単独(バグオイル(登録商標)1/2N、5mL/L、バグオイル(登録商標))は常に50%またはそれ以上の防除効果を示し、その一方でイミダクロプリド単独およびラムダ−シハロトリン単独では、推奨施用薬量(N)で約60%の防除効果を、推奨施用薬量の半量(1/2N)で40〜50%の防除効果を示した。アバメクチン単独では70%の防除効果を示したが、ネキリムシに対して、全ての混合物で、実質的な改善はみられなかった。
【0180】
したがって、ナス植物上のコナジラミ、ヨコバイ、アブラムシ、ボーラーおよびネキリムシに対する、バグオイル(登録商標)と3種類の殺ダニ剤/殺虫剤(ラムダ−シハロトリン、イミダクロプリド、アバメクチン)との混合物の効力を調べるためのフィールド試験は、バグオイル(登録商標)をアバメクチンと混合して使用した場合に或る程度の利益を示し、そして施用後3日(3DA)までにバグオイル(登録商標)とイミダクロプリドとの混合物でコナジラミに対するより良好な防除効果がみられ、そしてバグオイル(登録商標)とイミダクロプリドとの混合物を用いたヨコバイのより優れた制御効果が1時間後(1HAA)に表れたという、効果の速さの改善が確かに示された。
【0181】
本明細書に付する特許請求の範囲で定義された発明の真髄および範囲から離れることなく、種々の修正が好ましい実施態様に対して行うことができる。
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