【課題を解決するための手段】
【0034】
この課題は、請求項1に記載されているような方法によって解決される。従属請求項の対象は、有利な形態および変形形態ならびに本発明による方法を実施するための装置である。
【0035】
ゆえに請求項1は、電子的装置が土台上で提供される、浸透物に対する電子的装置のカプセル化方法であって、ただし、土台のうち電子的装置のカプセル化すべき領域を取り巻く面が、好ましくはこの面および電子的装置のカプセル化すべき領域が、少なくとも1種の接着剤を含む平坦構造物と真空中で接触され、好ましくはラミネート加工により複合体が製造される方法に関する。
【0036】
これに関し、電子的装置全体が真空中に存在する必要はない。部分的に、電子的装置のうち少なくとも、実際に接触およびラミネート加工が行われる領域が真空中にあれば十分である。
【0037】
接着剤は、好ましくは感圧接着剤、つまり粘弾性剤であり、これは室温での乾燥状態で永続的に接着性および接着能力を維持している。軽い押圧力により即座にほぼすべての土台に接着する。
【0038】
接着剤は、(熱)溶融型接着剤、つまり室温では固体で、実質的に水および溶剤を含まない接着材料であってもよく、この接着材料は、貼り付けるべき部分と融体状態で接触させ、つなぎ合わせると、冷却時に固化しながら物理的に凝固する。(熱)溶融型接着剤は水および溶剤をまったく含まないことが好ましい。
【0039】
本発明によれば真空とは、800mbar以下の低減された周囲圧力のことである。好ましいのは、200mbar未満、特に50mbar未満の圧力を用いることである。なぜならこの場合に特に優れたラミネート品質を達成できるからである。
【0040】
特に有利なのは100〜200mbarの間の圧力である。なぜならこの場合に、優れたラミネート品質と、真空の生成および維持のための技術的手間との間の適度な妥協点が存在するからである。
【0041】
本発明に基づく、例えば700〜800mbarの間の「比較的高い圧力領域」は、負圧生成のための技術的手間を少なく保ち得るという利点を有している。
【0042】
さらなる有利な一実施形態では、ラミネート加工場所の地理的高さを上げることにより真空が生成される。好ましいのは海抜3000〜4000mの間の高さである。なぜならここでは十分にインフラが整った生産場所を見つけることができ、そのうえ人が快適に生活できるからである。例としてここではラパス(ボリビア)およびラサ(中国)のような都市を挙げておく。
【0043】
試験方法の一部として電子部品の耐用期間をシミュレートする、本発明による方法に基づいてカプセル化されたカルシウム面は、意外にも、高圧下で、つまり大気圧の数倍の圧力下で、つまり真空ではないところでラミネート加工した複合体より長い耐用期間を示す。これらのラミネートの光学的品質に差はなく、両方の構成物とも顕微鏡下でさえも気泡は認められない。
【0044】
最初に層複合体を大気圧下で組み立て、その後、積層した状態で真空中に入れる既知の真空ラミネート加工方法とは異なり、本方法では層を合わせる前に既に真空を生成する。これは、特に感圧接着材料を使用する場合に、従来の方法では不可避的に存在する接触部位でも気泡が混入しないという利点を有している。
【0045】
さらに有利なのは、本方法を、例えば電子構成物を製造するために使用するさらなる真空方法と、例えばそのような電子構成物内で活性層としての小分子または蒸着させた金属もしくは金属化合物を利用する際に、組み合わせることである。本発明に基づく方法では、このような構成物のカプセル化を、中間換気の必要なくプロセス真空中でそのまま行うことができる。
【0046】
意外なことに、大気圧下でのラミネート加工および高いラミネート圧力(この場合、ラミネート圧力は大気圧よりかなり大きかった)での比較例ではたとえ顕微鏡下で気泡が認められなかったとしても湿気および熱の中では非常に活発に気泡形成が起こったにもかかわらず、本発明に基づく方法により湿気および熱の中での気泡形成を回避できることが分かった。つまり意外にも真空の効果は、ラミネート圧力を上げることでは補えないのである。
【0047】
本方法の有利な一実施形態では、真空を密閉されたチャンバ内で生成するのではなく、電子的装置および/または土台上の一部でしか、例えばロールラミネート加工のニップ内でしか生成しない。これに関しては例えば、平坦フィルムの押出技術において押出成形されたフィルムを冷却ロールに当てがうために使用されるようないわゆる真空ボックス(真空シャフト(Vakuumschacht))を使用することができる(例えばHelmut Greifの本「Technologie der Extrusion」Carl Hanser出版、2004(非特許文献1)を参照)。これにより真空が1本のライン上でだけ生成される。この場合、局所的に真空を提供するために技術的手間があまりかからないことが有利である。意外なことにこの真空でも、カプセル化品質を改善し、湿気および熱の中での接着剤の気泡形成を阻止するには既に十分であることが分かった。
【0048】
本方法のさらなる有利な一実施形態では、真空ラミネート加工がロール・ツー・ロール方法の中で実施される。この場合、土台上での電子的装置がシート状の材料として提供され、このシート状の材料は、その場合、例えば複数の個々の電子的装置を含むことができる。感圧接着性または熱溶融接着性の平坦構造物も、有利にはシート状の材料として、例えば、シート状の支持土台上に配置された均一な平坦な材料または個々のダイカットとして、提供される。この場合は真空ラミネート加工が連続的に行われる。これは、例えば巻付部および繰出部が中に配置されているか、またはシート状の材料が入るおよび出るための相応のゲートを有している真空チャンバ内で行うことができる。ただしこれに関して有利なのは真空ボックスなどによる部分的な真空生成である。ロール・ツー・ロール方法を利用することの利点は、このような連続的な方法の比較的高い生産性および経済性にある。
【0049】
少なくとも1つのロールが複合体を製造するための力をもたらすロールラミネート加工プロセスの使用も特に有利である。この場合、反力は例えば平らなプレート、ベルト(Gurtband)、またはさらなるロールによってもたらすことができる。この実施形態に関しては、場合によってはまだ存在している残留気体量を狙い通りに一方向に追い出し、これにより複合体の品質が改善されることが有利である。
【0050】
特に有利な一実施形態では2つのラミネートロールを使用する。
【0051】
ロールと対向部材の接触ラインに沿った好ましいラミネート力は、使用する接着剤に左右され、ロールラミネートプロセスの場合は0.5〜100N/cmの間である。特に感圧接着剤の場合は、高い圧力により表面流動が改善されるので5〜50N/cmの範囲が好ましい。熱溶融型接着剤の場合は、その際に無制御の接着剤流出の危険が低い0.5N/cm〜2N/cmの範囲が好ましい。
【0052】
ラミネート圧力は一般的には0.01MPa〜5MPaが好ましい。感圧接着剤の場合は、高い圧力により表面流動が改善されるので0.5MPa〜5MPaの範囲が好ましい。熱可塑性の熱溶融型接着剤の場合は、その際に無制御の接着剤流出の危険が低い0.01〜0.5MPaの範囲が好ましい。
【0053】
部分的な真空生成の場合も、できるだけ低い気圧を達成するため、真空ボックスとラミネートロールを組み合わせた装置を使用することが有利である。このような装置は
図3に例示的に示しており、これによって本発明に基づくものとして特許請求される。
【0054】
この装置は、できるだけ良好に密封されるように最適化されている。シート状の土台1上で提供される電子的装置2、ならびにシート状の感圧接着性もしくは熱溶融接着性の平坦構造物3が入るところでは、一緒に動くロール7による密封が行われており、ロール7の方は、真空ボックス6内部でのパッキンの接触または隙間の最小化により密封されている。出口ではラミネートロール4と41の間のラミネート間隙自体が密封部として働く。
【0055】
有利な一実施形態では、密封ロールおよび/またはラミネートロールがエラストマーから製造されているかまたはエラストマーの上張りを備えている。これは密封すべき面への良好な接触を可能にする。ロール表面は室温で50未満のショアA硬度を有することが好ましい(DIN53505−A、試験時間3秒)。これによりロール表面は、入っていくもしくは出ていく平坦構造物の厚さに柔軟に適応することができ、かつシートがもうロールを覆っていない縁領域でもなお十分な密封を達成することができる。
【0056】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つのロールが非付着特性を有している。これは感圧接着剤を使用する場合に有利であり、これにより感圧接着剤が接触するロールに貼り付かない。非付着性材料としては、例えばシリコーンエラストマーを使用することができる。
【0057】
ラミネートロール4および41を覆っている真空ボックス側面は、ラミネートロールに対し、隙間の最小化またはパッキンの接触によって密封されている。ここでは、および密封ロール7の場合も、隙間は0.1mm未満、特に0.01mm未満が有利である。なぜならこれにより比較的高い密封性が達成されるからである。この範囲内の隙間は、非常に狭い製造公差により、または装置の的確な、領域ごとに異なる温度調節による様々な線膨張の活用により達成することができる。さらに、外部気圧により少なくとも部分的に開き、それによって生じる真空ボックス内部への空気流によりこの開きが保たれるパッキンを使用することができる。このようなパッキンは、例えば真空ボックス内部へと曲げられたリップパッキンとして実施することができる。このリップパッキンの曲げ剛性に応じて、流入する大気により、大なり小なり隙間が形成される。
【0058】
パッキンの接触により密封が実施される場合、有利なのは、このパッキンの表面がロール材料に対して低い摩擦係数を有しており、したがってロールの回転に必要な力をできるだけ低く保てる場合である。これは、パッキンが特に外側に曲げられたリップパッキンとして実施される場合、このパッキンが気圧により密封面に押圧されるので有利である。
【0059】
前述の密封システムまたは当業者に知られている密封システムを組み合わせても実施することができる。
【0060】
本明細書の意味における浸透物とは、装置または部品、特に電子的もしくは光電子的装置またはこれに対応する部品内に侵入することができ、かつここでは特に機能障害を引き起こす可能性のあるような化学物質(例えば原子、イオン、分子、...)のことである。この侵入は、例えばハウジングまたは被覆体自体を通って起こることもあり得るが、特にハウジングもしくは被覆体内の開口部を通って、または継目部位、貼付部位、溶接部位、もしくはそれに類する部位を通って起こることもあり得る。この意味におけるハウジングまたは被覆体とは、影響を受けやすい部品を完全にまたは部分的に取り囲んでおり、その機械的機能だけでなく、特に、影響を受けやすい部品を保護するために設けられている部品のことである。
【0061】
本明細書の意味における浸透物とは、特に低分子の有機または無機の化合物、例えば水素(H
2)であり、とりわけ酸素(O
2)および水(H
2O)である。浸透物は、特に気体状または蒸気の形で存在することができる。
【0062】
本願の導入部分における実施形態は、これによって援用される。
【0063】
本発明はまず、前述の欠点にもかかわらず、本発明に基づく方法により、感圧接着剤に関してこれまで述べた欠点が生じる感圧接着剤も電子的装置をカプセル化するために使用できるという知見に基づいている。これまで欠点を有していた接着剤の群には、特に、化学的に未架橋状態でのせん断接着破壊温度(SAFT)が100℃未満の感圧接着剤および熱溶融型接着剤が含まれる。これに属するのはとりわけ、例えばWO2007/087281A1(特許文献6)またはDE102008060113A1(特許文献9)に記載されているようなポリイソブチレン(PIB)をベースとする感圧接着剤、主としてビニル芳香族類によって構成されたポリマーブロック(Aブロック)と、主として1,3−ジエンの重合によって構成されたポリマーブロック(Bブロック)とを含むブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤、ならびに例えばDE102008047964A1(特許文献7)に記載されているような部分結晶性ポリオレフィンをベースとする感圧接着剤である。
【0064】
さらに好ましいのは、土台上での電子的装置が平坦構造物により完全に包み込まれており、したがって平坦構造物が、電子的装置の少なくとも片面、例えば上面、および4つの細長い面を覆っていることである。
【0065】
こうすると電子的装置と平坦構造物との間に中空空間が生じず、これは、例えば望ましくない屈折による光損失の低下を意味する。特に完全に包み込む場合に、気泡試験において非常に不利な光学的欠陥を示すであろうような感圧接着剤および熱溶融型接着剤も、本発明に基づく方法により使用できるようになる。
【0066】
電子的装置を包み込む平坦構造物を使用する場合、土台上で電子的装置が完成してからはじめて平坦構造物をラミネート加工することが必然的である。しかしダイカットとして供給され、電子構成物を枠状に包み込む平坦要素を使用する場合も、ラミネート加工と、カプセル化を最終的に完成させるカバーの施与との間に行われるさらなる製造プロセスにより、例えば用いられる放射線、プラズマ、熱エネルギー、または(化学反応性)物質により接着剤が損傷または汚染されないためには、最初に電子構成物を完全に製造することが有利である。
【0067】
(光)電子構成物のカプセル化に特に有利なのは、本発明による方法の際に感圧接着剤が、適用の最中または後で加熱される場合である。これにより感圧接着剤は、より表面を流れやすくなり、したがって(光)電子的装置もしくはその土台と感圧接着剤との間の界面での浸透を低減させることができる。その際の温度は、表面流動を相応に促進するためには、好ましくは30℃超、さらに好ましくは50℃超であることが望ましい。ただし、(光)電子的装置を損傷させないよう、高すぎる温度を選択しないことが望ましい。温度はできるだけ120℃未満にするべきである。最適な温度範囲は50℃〜100℃の間の温度であることが分かった。例えば超音波加熱または誘導加熱のような相応の局所的な加熱方法により電子構成物の過度な加熱を回避できる場合には、例えば最高250℃のより高い温度も有利である。なぜならより高い温度では、例えば浸透バリアを高めるための架橋反応をより容易に実施できるからである。
【0068】
浸透物に対する電子的装置のカプセル化方法の好ましい形態では、熱溶融型接着剤または感圧接着剤を接着テープの形で提供することができる。この種の提供形態は、感圧接着剤の特に簡単かつ均一な適用を可能にする。
【0069】
この場合、「接着テープ」という一般的な表現は、一実施形態では、片面または両面に感圧接着剤が施された支持体材料を含んでいる。この支持体材料は、全ての平坦な構造物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット、多層構成物、およびその類似物を含む。
さらに「平坦構造物」または「接着テープ」という表現には、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持体のない接着テープも含まれる。転写式接着テープの場合、例えば適用前の感圧接着剤は、剥離層を備えかつ/または抗付着特性を有する柔軟なライナーの上またはライナーの間に施されている。適用するためには、存在していればまず第1のライナーを取り除き、そして接着剤を適用し、その後、第2のライナーを取り除く。したがってこの感圧接着剤は、(光)電子的装置内の2つの表面を結合するために直接的に使用することができる。熱溶融型接着剤の場合、転写式接着テープは、例えば熱溶融型接着剤自体しか含まなくてよいが、1枚もしくは2枚の追加的なライナーを含んでいてもよい。
【0070】
その際、接着テープの様々な用途のために、例えばフィルム、織布、不織布、および紙のような非常に様々な支持体を接着剤と組み合わせることができる。接着テープの支持体材料として、ここではポリマーフィルム、複合フィルム、または有機層および/もしくは無機層を備えたフィルムもしくは複合フィルムを使用することが好ましい。このようなフィルム/複合フィルムは、フィルム製造に使用されるすべての一般的に流通しているプラスチックから成ることができ、これに限定されないが例として挙げるとすれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、特に1軸延伸もしくは2軸延伸により生成された配向ポリプロピレン(OPP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)である。
【0071】
加えて支持体は、有機または無機のコーティングまたは層と組み合わせることができる。これは例えば塗装、印刷、蒸着、スパッタリング、共押出し、またはラミネート加工のような通常の方法によって行うことができる。これに限定されないが例として挙げるとすれば、ここでは例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物もしくは窒化物、酸化インジウムスズ(ITO)、またはゾルゲルコーティングである。
【0072】
これらのフィルム/複合フィルム、特にポリマーフィルムは、酸素および水蒸気に対する浸透バリアを有することが特に好ましく、その際この浸透バリアは、包装分野に対する要求を上回る(WVTR<10
−1g/(m
2d)、OTR<10
−1cm
3/(m
2d
bar))。
【0073】
酸素(OTR)および水蒸気(WVTR)に関する浸透性の決定は、DIN53380の第3部またはASTM F−1249に基づいて行われる。
【0074】
酸素透過性は、23℃および相対湿度50%で測定される。水蒸気透過性は、37.5℃および相対湿度90%で決定される。結果は、50μmのフィルム厚で規格化される。
【0075】
さらにフィルム/複合フィルムは、好ましい形態では透明に形成することができ、したがってこのような接着用品の構成全体も透明に形成される。その際「透明性」とは、光の可視領域での平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味する。
【0076】
支持体を備えた感圧接着テープとしての実施形態の場合、構成物全体の最大透過率は、さらに、使用される支持体の種類および構成物の種類に左右される。
【0077】
本方法の特定の一実施形態では、電子的装置の要求に応じて、熱溶融型接着剤または感圧接着剤の弾性特性および粘性特性ならびにそのバリア作用を、事後の架橋ステップにより追加的に変化させることもできる。これは、(光)電子的装置に適応させて、熱によっても電磁放射線によっても行うことができ、しかし好ましくは紫外線、電子放射線、またはガンマ放射線によって行うことができる。それにより、バリア作用も接着強度も、(光)電子構成物内に施された後に上昇させることができる。ただしその際、熱溶融型接着剤または感圧接着剤の高い柔軟性は維持され続けるのが好ましい。
【0078】
さらに好ましいのは、特定の実施形態ではスペクトルの可視光(約400nm〜800nmの波長領域)内で透明な熱溶融型接着剤または感圧接着剤を使用することである。ただしこの領域は、例えば太陽電池の場合など特定の用途のためには、規定のUV領域またはIR領域へも広げることができる。可視スペクトルの好ましい領域内での所望の透明性は、特に無色の接着樹脂を使用することで達成することができる。したがって、このような感圧接着剤は、電子構造物を覆う面全体での使用にも適している。面全体を貼り付けることは、電子構造物がほぼ中心に配置される場合、縁封止に比べ、浸透物が構造物に達する前に浸透物が面全体にくまなく拡散しなければならないという利点を提供する。これにより浸透経路が明らかに延長される。浸透経路は透過性に反比例するので、この実施形態におき、例えば液体接着材料による縁封止に比べて延長された浸透経路は、総合的なバリア性に良い影響を及ぼす。
【0079】
接着剤としては、主としてビニル芳香族類、好ましくはスチレンによって構成されたポリマーブロック(Aブロック)と、主として1,3−ジエンの重合、好ましくはブタジエン、イソプレン、または両方のモノマーから成る混合物の重合によって構成されたポリマーブロック(Bブロック)とを含むブロックコポリマーをベースとする接着剤を使用することが好ましい。このBブロックは一般的に低い極性を示す。Bブロックとしてはホモポリマーブロックもコポリマーブロックも利用できることが好ましい。
【0080】
AブロックおよびBブロックから生じるブロックコポリマーは、同じまたは異なるBブロックを含むことができ、このBブロックは、部分的、選択的、または完全に水素化することができる。ブロックコポリマーは直鎖A−B−A構造を有することができる。放射型ブロックコポリマーならびに星型および直鎖型のマルチブロックコポリマーも使用可能である。さらなる成分としてA−B二元ブロックコポリマーが存在してもよい。ビニル芳香族類およびイソブチレンのブロックコポリマーも、本発明に基づいて使用することができる。前述のポリマーはすべて、単独で利用してもよく、または相互に混合して利用してもよい。
【0081】
上述のブロックAおよびブロックBのほかに少なくとも1つのさらなるブロックを含む例えばA−B−Cブロックコポリマーのようなブロックコポリマーも使用可能である。
【0082】
上に挙げたBブロックを、室温より高いガラス転移温度を有する例えばポリメチルメタクリレートのような、別の化学的性質のAブロックと共に使用することも考えられる。
【0083】
有利な一実施形態では、ブロックコポリマーが、10重量%〜35重量%の割合でポリビニル芳香族類を含んでいる。
【0084】
さらなる好ましい一形態では、感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が、合計で少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、さらに好ましくは少なくとも45重量%である。ビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が少な過ぎると、感圧接着剤の凝集性が比較的低くなる。感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの最大割合は、合計で最大80重量%、好ましくは最大70重量%である。ビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が高過ぎると今度は、感圧接着剤がほとんど感圧接着性でなくなってしまう。
【0085】
その際、用いられたブロックコポリマーの少なくとも一部は、酸または酸無水物により変性されており、この変性は、主に、不飽和のモノカルボン酸およびポリカルボン酸または、不飽和のモノカルボン酸無水物およびポリカルボン酸無水物、例えばフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、または無水シトラコン酸、好ましくは無水マレイン酸のラジカルグラフト共重合によって行われる。酸または酸無水物の割合は、ブロックコポリマー全体に対して0.5重量%〜4重量%の間であることが好ましい。
【0086】
これらのエラストマーの架橋は、様々なやり方で行うことができる。
【0087】
一つには、酸基または酸無水物基を、架橋剤、例えば様々なアミンまたはエポキシ樹脂と反応させることができる。
【0088】
その際、アミンとしては、第一級アミンおよび第二級アミンを使用することができ、しかしアミドも、および窒素に直接結合した水素を1つ有するようなその他の窒素含有化合物も使用することができる。
【0089】
エポキシ樹脂には、一般的には、1つの分子につき複数のエポキシド基を有するモノマー化合物もオリゴマー化合物も含まれる。これは、グリシドエステルまたはエピクロルヒドリンと、ビスフェノールAまたはビスフェノールF、またはビスフェノールAまたはビスフェノールFからの混合物との反応生成物であり得る。同様にエピクロルヒドリンと、フェノールおよびホルムアルデヒドからの反応生成物との反応により得られたエポキシドノボラック樹脂も使用することができる。エポキシ樹脂のための希釈剤として用いられる、複数のエポキシド末端基を有するモノマー化合物も使用することができる。弾性に変性されたエポキシ樹脂も、またはエポキシドにより変性されたエラストマー、例えばエポキシド化スチレンブロックコポリマー、例えばDaicel社のEpofriendも使用可能である。
【0090】
エポキシ樹脂の例は、Ciba Geigy社のAralditeTM6010、CY−281TM、ECNTM1273、ECNTM1280、MY720、RD−2、Dow Chemicals社のDERTM331、732、736、DENTM432、Shell Chemicals社のEponTM812、825、826、828、830など、同様にShell Chemicals社のHPTTM1071、1079、Bakelite AG社のBakeliteTM EPR161、166、172、191、194などである。
【0091】
市販の脂肪族エポキシ樹脂は、Union Carbide Corp.社のERL−4206、4221、4201、4289、または0400のようなビニルシクロヘキサンジオキシドなどである。
【0092】
弾性化エラストマーは、Noveon社からHycarの名称で入手可能である。
【0093】
エポキシド希釈剤、複数のエポキシド基を有するモノマー化合物は、例えばBakelite AG社のBakeliteTM EPD KR、EPD Z8、EPD HD、EPD WFなど、またはUCCP社のPolypoxTM R9、R12、R15、R19、R20などである。
【0094】
これらの反応の際、通常は促進剤も使用される。促進剤は、例えば第三級アミンまたは変性されたホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンの群から選ぶことができる。
【0095】
アミンとの反応がしばしば既に室温で起こる一方で、エポキシ樹脂による架橋は一般的により高い温度で進行する。
【0096】
架橋の第2の可能性は、金属キレートを介して行われる。
【0097】
無水マレイン酸により変性されたブロックコポリマーの、金属キレートによる架橋は、EP1311559B1(特許文献10)から知られており、この文献では、ブロックコポリマー混合物の凝集性の上昇が記載されている。しかしながら(光)電子構成物内での使用には言及していない。
【0098】
金属キレートの金属は、第2主族、第3主族、第4主族、および第5主族の金属、ならびに遷移金属であり得る。特に適しているのは、例えばアルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、マンガン、鉄、コバルト、およびセリウムである。特に好ましいのはアルミニウムおよびチタンである。
【0099】
キレート架橋には、下式で表現し得る様々な金属キレートを使用することができる。
【0100】
(R
1O)
nM(XR
2Y)
m
式中、
Mは、上述のような金属であり、
R
1は、アルキル基またはアリール基、例えばメチル、エチル、ブチル、イソプロピル、またはベンジルであり、
nは、0または0より大きい整数であり、
XおよびYは、酸素または窒素であり、これらはそれぞれR
2と二重結合によっても結合することができ、
R
2は、XとYをつなぐアルキレン基であり、このアルキレン基は分枝していてもよく、または鎖中に酸素もしくは別のヘテロ原子を含むこともでき、
mは、整数であり、ただし少なくとも1である。
【0101】
好ましいキレート配位子は、以下の化合物、すなわちトリエタノールアミン、2,4−ペンタンジオン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、または乳酸の反応から生じるようなキレート配位子である。
【0102】
特に好ましい架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトナートおよびチタニルアセチルアセトナートである。その際、最適な架橋を達成するためには、酸基もしくは酸無水物基とアセチルアセトナート基の比率を、ほぼ当量比に選択することが望ましく、その際、架橋剤が少し過剰な方が好ましいことが分かった。
【0103】
しかし、無水物基とアセチルアセトナート基の比率は様々に変化させることができ、その際、十分な架橋のためには、両方の基のどちらも、モル比での過剰が5倍を超えないことが望ましい。
【0104】
意外にも、キレートにより架橋され、酸または酸無水物により変性されたビニル芳香族系ブロックコポリマーを含む感圧接着剤も、非常に低い水蒸気透過性または酸素透過性を示す。このことは、酸無水物および金属キレートのような極性成分を含む感圧接着剤では予測できないことだった。
【0105】
さらに好ましい形態では、付着性を所望通りに高めるために、感圧接着剤が少なくとも一種のビニル芳香族系ブロックコポリマーのほかに、少なくとも一種の接着樹脂を含んでいる。この接着樹脂は、ブロックコポリマーのエラストマーブロックと相溶性であることが望ましい。
【0106】
感圧接着剤において、接着性付与剤としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体をベースとする非水素化または部分的もしくは完全に水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー、C
5、C
5/C
9、またはC
9モノマー流をベースとする非水素化または部分的、選択的、もしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネンおよび/またはss−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂、好ましくは純粋なC
8およびC
9芳香族類の水素化ポリマーを使用することができる。前述の接着樹脂は、単独で使用することも、混合して使用することも可能である。その際、室温で固体の樹脂も液体の樹脂も使用することができる。高い耐老朽化性およびUV安定性を保証するためには、水素化度が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の水素化樹脂が好ましい。
【0107】
さらに、30℃より高いDACP値(ジアセトンアルコール曇り点)および50℃より高いMMAP値(混合メチルシクロヘキサンアニリン点)、特に37℃より高いDACP値および60℃より高いMMAP値を有する非極性樹脂が好ましい。DACP値およびMMAP値は、それぞれ特定の溶剤中での溶解度を示す(DACPは重量部が1:1のキシレンおよび4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンから成る溶剤混合物、MMAPは重量部が1:2のメチルシクロヘキサンおよびアニリンから成る溶剤混合物)。この範囲を選択することにより、特に高い浸透バリアが、とりわけ水蒸気に対して達成される。
【0108】
さらに好ましいのは、95℃超、特に100℃超の軟化温度(環/球式:DIN EN ISO 4625に基づく決定)を有する樹脂である。この選択により、特に高い浸透バリアが、とりわけ酸素に対して達成される。
【0109】
軟化点とは、ガラス、非晶質ポリマー、または部分結晶性ポリマーがガラス状の硬質弾性状態から軟質状態へと移行する温度(または温度範囲)のことである。対応する物質の軟化点での硬度低下は、例えば、荷重をかけながら物質試料に載っている物体が、軟化点に達すると物質試料にめり込むことによって明らかになる。軟化点は、原理的にはガラス転移温度より高く、ただし大抵のポリマーではポリマーが完全に液状に移行する温度より明らかに低い。
【0110】
これに対し、接着力の上昇を達成すべき場合には、特に、95℃未満、とりわけ90℃未満の軟化温度を有する樹脂が好ましい。
【0111】
さらなる添加剤として利用できるのは、典型的には、
・可塑剤、例えば可塑化オイル、または低分子ポリブテンなどの低分子液体ポリマー
・一次酸化防止剤、例えば立体障害フェノール
・二次酸化防止剤、例えばホスファイトまたはチオエーテル
・プロセス安定化剤、例えばC−ラジカルスカベンジャー
・光保護剤、例えばUV吸収剤または立体障害アミン
・加工助剤
・末端ブロック強化樹脂、ならびに
・場合によっては、好ましくはエラストマー性質のさらなるポリマー;これに対応して利用可能なエラストマーに含まれるのは、なかでも純粋な炭化水素をベースとするようなエラストマー、例えば天然のもしくは合成されたポリイソプレンもしくはポリブタジエンのような不飽和ポリジエン、化学的に実質的に飽和状態のエラストマー、例えば飽和エチレンプロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ならびに化学的に官能化された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の、アリル含有の、もしくはビニルエーテル含有のポリオレフィンである。
【0112】
本発明の一実施形態では、感圧接着剤が充填剤も含んでおり、これに限定されないが例として挙げるとすれば、アルミニウムの、ケイ素の、ジルコニウムの、チタンの、スズの、亜鉛の、鉄の、もしくはアルカリ(土類)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、ハロゲン化物、炭化物、または酸化物化合物/水酸化物化合物/ハロゲン化物化合物混合物である。ここでは基本的にアルミナであり、例えば酸化アルミニウム、ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、ダイアスポア、およびその類似物である。とりわけ適しているのは層状ケイ酸塩、例えばベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、ヘクトライト、カオリナイト、ベーマイト、雲母、バーミキュライト、またはそれらの混合物である。しかしカーボンブラック、または炭素のさらなる変態、例えばカーボンナノチューブも使用することができる。
【0113】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする好ましい接着剤だけでなく、ポリイソブチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンをベースとする当業者に知られている接着剤を使用することもできる。
【0114】
好ましい接着剤のさらなる一群は、熱活性化性接着剤である。
【0115】
少なくとも1種の熱活性化接着性の接着剤として、原理的にはすべての通常の熱活性化接着性の接着剤系を使用することができる。熱活性化接着性の接着剤は、原理的に2つのカテゴリー、すなわち熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤(溶融型接着材料)と、反応性で熱活性化接着性の接着剤(反応性接着材料)とに分類することができる。この区分には、両方のカテゴリーに分類できるような接着剤、つまり反応性で熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤(反応性溶融型接着材料)も含まれる。
【0116】
熱可塑性接着剤は、加熱すると可逆的に軟化し、冷却中に再び凝固するポリマーをベースとする。これとは異なり、反応性で熱活性化接着性の接着剤は反応性成分を含んでいる。この反応性成分は「反応性樹脂」とも呼ばれ、その中では加熱により架橋プロセスが開始し、この架橋プロセスは、架橋反応の終了後に、圧力下でも持続的に安定した結合を保証する。好ましくは、このような熱可塑性接着剤は弾性成分、例えば合成ニトリルゴムも含んでいる。このような弾性成分はその高い流動粘度により、熱活性化接着性の接着剤に圧力下でも非常に高い寸法安定性を付与する。
【0117】
以下では、単に具体例として幾つかの典型的な、本発明に関して特に有利なことが分かった熱活性化接着性の接着剤系を説明する。
【0118】
すなわち、熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤は熱可塑性ベースポリマーを含んでいる。このベースポリマーは、小さな押圧力でも既に優れた流動挙動を示し、したがって持続的な貼付の保持性にとって重要な最終的な接着力が短い押圧時間内に生じ、すなわち粗いまたはその他の不向きな下地にも迅速に貼り付くことができる。熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤としては、従来技術から知られているすべての熱可塑性接着剤を使用することができる。
【0119】
模範的な組成は、例えばEP1475424A1(特許文献11)に記載されている。つまり、熱可塑性接着剤は、例えば以下の成分、すなわちポリオレフィン、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、またはブタジエンスチレンブロックコポリマーの1種もしくは複数を含むことができるか、またはそれどころかこれらの成分から成ることができる。特に、例えばガラス製の貼付土台に貼り付けるような特殊な使用分野に特に適したさらなる熱可塑性接着剤がEP1956063A2(特許文献12)に記載されている。好ましくは、レオロジー添加剤によって、例えば焼成シリカ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、および/または混合成分としてのさらなるポリマーの添加によって溶融粘度が高められた熱可塑性接着剤が使用される。
【0120】
これに対し、反応性で熱活性化接着性の接着剤は、エラストマー性ベースポリマーおよび変性樹脂を含むことが有利であり、変性樹脂は接着樹脂および/または反応性樹脂を含んでいる。エラストマー性ベースポリマーの使用により、秀でた寸法安定性を示す接着層を得ることができる。反応性で熱活性化接着性の接着剤としては、それぞれの具体的な用途に応じ、従来技術から知られているすべての熱活性化接着性の接着剤を使用することができる。
【0121】
これにはニトリルゴムまたはその誘導体、例えばニトリルブタジエンゴムを、またはこれらのベースポリマーの混合物(ブレンド)をベースとする反応性で熱活性化接着性のフィルムなども含まれており、このフィルムはさらに、例えばフェノール樹脂のような反応性樹脂を含んでいる。このような製品は、例えばtesa8401の名称で市場で入手可能である。ニトリルゴムはその高い流動粘度により、熱活性化接着性のフィルムに顕著な寸法安定性を付与し、これにより架橋反応の実施後にはプラスチック表面での高い接着力を実現することができる。
【0122】
もちろんほかの反応性で熱活性化接着性の接着剤、例えば貼付可能なポリマーを50〜95重量%の質量分率で、および1種のエポキシ樹脂または複数のエポキシ樹脂から成る混合物を5〜50重量%の質量分率で含んでいる接着剤も使用することができる。これに関し貼付可能なポリマーは、一般式CH
2=C(R
1)(COOR
2)(式中、R
1はHおよびCH
3を含む群から選択された残基であり、R
2はHおよび1〜30個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル鎖を含む群から選択された残基である)のアクリル酸化合物および/またはメタクリル酸化合物40〜94重量%と、少なくとも1個の酸性基、特にカルボン酸基および/またはスルホン酸基および/またはホスホン酸基を有する第1の共重合可能なビニルモノマー5〜30重量%と、少なくとも1個のエポキシド基または酸無水物官能基を有する第2の共重合可能なビニルモノマー1〜10重量%と、第1の共重合可能なビニルモノマーの官能基および第2の共重合可能なビニルモノマーの官能基とは異なる、少なくとも1個の官能基を有する第3の共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%とを含むことが有利である。このような接着剤は、迅速な活性化による貼付を可能にし、その際、短時間で既に最終的な接着力に達し、これにより全体としては、非極性下地への良好な付着結合を保証する。
【0123】
特別な利点を提供する、さらなる使用可能な反応性で熱活性化接着性の接着剤は、アクリレート含有のブロックコポリマー40〜98重量%と、樹脂成分2〜50重量%と、硬化剤成分0〜10重量%とを含んでいる。樹脂成分は、接着力を上げる(接着性を付与する)エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、およびフェノール樹脂を含む群から選択された1種または複数の樹脂を含んでいる。硬化剤成分は、樹脂成分の樹脂を架橋するために使用される。このような調合は、ポリマー中での強い物理的架橋により、全体として貼付の負荷耐性を損なうことなく、全体厚の大きな接着層を得られるという特別な利点を提供する。これによりこの接着層は下地での凸凹をならすのに特に適している。そのうえこのような接着剤は優れた耐老朽化性を示し、かつ僅かな脱ガス挙動しか示さず、これは電子機器分野での多くの貼付で非常に望ましいことである。
【0124】
好ましくは、感圧接着剤の充填剤としてナノスケールのおよび/または透明な充填剤が使用される。ここでは、充填剤が少なくとも一つの次元で最大限の延びが約100nm、好ましくは約10nmである場合に、その充填剤をナノスケールと呼ぶ。特に好ましいのは、小板状の晶子構造および高いアスペクト比を有する塊状で透明な充填剤が、均質な分布で使用されることである。小板状の晶子構造および100を大きく超えるアスペクト比を有する充填剤は、一般的に数nmの厚さしか有さないが、晶子の長さもしくは幅は最大数μmであり得る。このような充填剤もナノ粒子と呼ぶ。加えて、充填剤の、寸法の小さな粒子状の形態は、感圧接着剤の透明な形態のために特に有利である。
【0125】
接着材料マトリクス中で、前述の充填剤によりラビリンス状の構造を構成することにより、例えば酸素および水蒸気の拡散経路は、酸素および水蒸気が接着材料層を通り抜けて浸透することを減少させるように延長される。結合剤マトリクス中でのこの充填剤の分散性が改善されるように、この充填剤の表面を有機化合物により変性することができる。このような充填剤の使用自体は、例えばUS2007/0135552A1(特許文献13)およびWO02/026908A1(特許文献14)から知られている。
【0126】
本発明のさらなる有利な一実施形態では、酸素および/または水蒸気と特別なやり方で相互作用し得る充填剤も使用される。この場合、(光)電子的装置内に侵入する酸素または水蒸気は、この充填剤と化学的または物理的に結合される。この充填剤は「ゲッター」、「スカベンジャー」、「乾燥剤」、または「吸収剤」とも呼ばれる。このような充填剤には、これに限定されないが例として挙げるとすれば、酸化性金属と、金属および遷移金属のハロゲン化物、塩、ケイ酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩と、過塩素酸塩と、活性炭およびその変種とが含まれる。例として、塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカゲル)、酸化アルミニウム(活性アルミニウム)、硫酸カルシウム、硫酸銅、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、ゼオライト、およびアルカリ(土類)金属の酸化物、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、および酸化マグネシウム、またはカーボンナノチューブも挙げられる。さらに有機吸収剤も使用することができ、例えばポリオレフィンコポリマー、ポリアミドコポリマー、PETコポリエステルであり、またはハイブリッドポリマーをベースとしたさらなる吸収剤であり、たいていは例えばコバルトのような触媒と組み合わせて使用される。さらなる有機吸収剤は、例えば弱架橋されたポリアクリル酸、アスコルベート、グルコース、没食子酸、または不飽和油脂である。
【0127】
バリア作用に関する充填剤のできるだけ優れた有効性を達成するためには、充填剤の割合が少なくなり過ぎないようにするべきである。この割合は、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、およびとりわけ好ましくは少なくとも15重量%である。典型的には、感圧接着剤の接着力を著しく低下させ過ぎない、または他の特性を損なうことのない、できるだけ高い割合で充填剤を使用する。したがってこの割合は、一形態では最大95重量%、好ましくは最大70重量%、さらに好ましくは最大50重量%である。
【0128】
さらに、充填剤ができるだけ細かく分布し、かつ表面積ができるだけ大きいことが有利である。これは、より高い効率およびより高い積載能力を可能にし、特にナノスケールの充填剤によって達成される。
【0129】
大気圧下でのラミネート加工とは異なり、ビニル芳香族系ブロックコポリマーまたはポリイソブチレンをベースとする架橋されていない接着剤でも、追加的にバリア層を備えた2枚のポリエステルフィルムを貼り合わせた場合に、85℃および相対湿度85%で貯蔵しても気泡が現れない。
【0130】
好ましい一実施形態では、熱溶融型接着剤または感圧接着剤は、揮発性有機化合物(VOC)を、VDA277に基づく測定で接着剤1グラムにつき炭素50μg以下しか含まず、特に10μgC/g以下しか含まない。これは、電子構成物の有機材料、ならびに場合によっては存在する機能層、例えば酸化インジウムスズなどの透明で導電性の金属酸化物層、もしくは真性導電性ポリマーから成る機能層との適合性を改善するという利点を有している。さらに、脱ガスが僅かであれば真空をより容易に生成することができる。
【0131】
熱溶融型接着剤または感圧接着剤は、電子的装置の面全体を貼り付けるために使用することができるか、または然るべき処理をした後で、感圧接着剤もしくは感圧接着テープからダイカット、ロール、もしくはその他の成形体を製造することができる。感圧接着剤/感圧接着テープの然るべきダイカットおよび成形体は、その後、好ましくは貼り付けるべき土台に、例えば電子的装置の縁取りまたは境界画定として貼り付けられる。ダイカットまたは成形体の形状の選択に制限はなく、電子的装置の種類に応じて選択される。全体が平坦なラミネート加工が可能であることは、液体接着材料に比べて、浸透物の横からの侵入による浸透経路長が延長されることにより、接着剤のバリア特性に関する利点となる。なぜなら浸透経路長は、浸透に対して反比例的に作用するからである。
【0132】
感圧接着剤が支持体を備えた平坦な構造物の形で提供される場合、この支持体の厚さは、好ましくは約1μm〜約350μmの範囲内、さらに好ましくは約4μm〜約250μmの間、および特に好ましくは約12μm〜約150μmの間であることが好ましい。最適な厚さは、電子的装置、最終用途、および感圧接着剤の実施形態の種類に応じて決まる。1〜12μmの範囲内の非常に薄い支持体は、全体厚を薄くしなければならない電子構成物で使用され、ただしこれは構成物内に組み込むための手間を増大させる。150〜350μmの間の非常に厚い支持体は、支持体による浸透バリアの増強および構成物の剛性が極めて重要な場合に使用される。支持体により保護作用が高められる一方で、構成物の柔軟性は低下する。たいていの電子構成物に対しては、12〜150μmの間の好ましい範囲が、カプセル化の解決策としての最適な妥協点である。
【0133】
以下に、本発明のさらなる詳細、目的、特徴、および利点を、好ましい例示的実施形態に基づきさらに詳しく説明する。