(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバーが前記半閉まりであることを前記制御部が検知しているとき、前記原稿搬送部は、前記原稿搬送路への原稿の供給を開始しないことを特徴とする請求項1または2に記載の原稿搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、プリンター機能やコピー機能など複数種の機能を搭載する複合機を例にとって説明する。
【0016】
(複合機の全体構成)
図1に示すように、本実施形態の複合機100(本発明の「画像形成装置」に相当)には、原稿搬送装置1が装着される。なお、原稿搬送装置1の構成については、後で詳細に説明する。また、複合機100は、画像読取部2、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6を備える。
【0017】
画像読取部2は、載置読取および搬送読取の実行が可能となっている。載置読取を行うとき、画像読取部2は、コンタクトガラスG1上に載置された原稿Dを読み取って画像データを生成する。また、搬送読取を行うとき、画像読取部2は、原稿搬送装置1によりコンタクトガラスG2上に搬送される原稿Dを読み取って画像データを生成する。
【0018】
給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙Pを用紙搬送路101に供給する。用紙搬送部4は、複数の搬送ローラー対41を含み、用紙搬送路101に沿って用紙Pを搬送し、印刷済みの用紙Pを用紙排出トレイ102に排出する。
【0019】
画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56を含む。そして、画像形成部5は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。定着部6は、加熱ローラー61および加圧ローラー62を含み、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
【0020】
また、複合機100は、操作パネル7を備える。なお、操作パネル7は、本発明の「報知部」に相当する。この操作パネル7は、タッチパネル付きの表示パネル71を含む。表示パネル71は、ユーザーに装置状態を報知するためのメッセージを表示したり、ユーザーから各種設定を受け付けるためのソフトキーを表示したりする。また、操作パネル7には、テンキーやスタートキーなどのハードキー72も設けられる。
【0021】
(原稿搬送装置の構成)
図2に示すように、原稿搬送装置1は、原稿Dを画像読取部2の読取位置RP(コンタクトガラスG2上の位置)に搬送するための原稿搬送路11を有する。そして、原稿搬送装置1は、原稿セットトレイ12にセットされた原稿Dを原稿搬送路11に供給し、その原稿Dを原稿搬送路11に沿って搬送する。そして、原稿Dが読取位置RPを通過するとき、画像読取部2による原稿Dの読み取りが行われる(搬送読取)。その後、読み取りの終わった原稿Dは、原稿排出トレイ13に排出される。
【0022】
このように原稿搬送路11に沿って原稿Dを搬送するため、原稿搬送装置1は原稿搬送部20を備える。原稿搬送部20は、給紙ユニット14、レジストローラー対15、搬送ローラー対16、搬送ローラー対17および搬送ローラー対18を含む。
【0023】
給紙ユニット14は、原稿搬送路11の搬送方向上流側の端部に配置され、原稿セットトレイ12から原稿Dを引き出して原稿搬送路11に供給する。この給紙ユニット14は、ピックアップローラー14aおよび給紙ベルト14bを含む。ピックアップローラー14aは、原稿セットトレイ12から原稿Dを引き出し、給紙ベルト14bは、原稿セットトレイ12から引き出された原稿Dを原稿搬送路11に供給する。
【0024】
給紙ベルト14bは、駆動ローラー14cと従動ローラー14dとによって張架され、駆動ローラー14cが回転することで周回する。これにより、原稿セットトレイ12から引き出された原稿Dが給紙ベルト14bに当接すると、その原稿Dが原稿搬送路11に供給される。
【0025】
また、原稿搬送路11を挟んで給紙ベルト14bと対向する位置には、分離ローラー19が設けられる。分離ローラー19は、給紙ベルト14bが周回しているとき、原稿Dを搬送方向上流側に戻す方向に回転する。このため、複数枚の原稿Dが重なっている場合、上側の原稿D(給紙ベルト24bと当接する原稿D)は、給紙ベルト14bにより搬送方向下流側に送られる。一方で、下側の原稿D(分離ローラー19と当接する原稿D)は、分離ローラー19により搬送方向上流側に戻される(あるいは、その場に留まる)。これにより、複数枚重なった原稿Dが分離される。
【0026】
レジストローラー対15は、給紙ユニット14の搬送方向下流側(ただし、搬送ローラー対16〜18よりも搬送方向上流側)に配置される。そして、レジストローラー対15は、原稿Dを一旦停止させ、原稿Dを撓ませて斜行を矯正する。すなわち、レジストローラー対15は、原稿Dの先端が到達したときには回転しておらず、原稿Dの先端が到達した後に回転を開始する。
【0027】
搬送ローラー対16〜18は、この順番で搬送方向上流側から下流側に向かって配置される。そして、搬送ローラー対16〜18は、レジストローラー対15から送られる原稿Dを読取位置RPに搬送し、原稿排出トレイ13に排出する。
【0028】
ここで、原稿搬送装置1は、その装置本体に開閉可能に取り付けられたカバーCVを備える。カバーCVは、装置正面から見て左側端部に設置された回動軸AXを支点として開閉(回動)する。そして、カバーCVが閉められているときには、カバーCVにより、給紙ユニット14やレジストローラー対15の周辺部分が露出しないように覆われる。
【0029】
カバーCVの内側面には、原稿搬送路11を規定する一方の搬送ガイド11aが設けられる。一方の搬送ガイド11aと対を成す他方の搬送ガイド11bは、装置内部に固定される。このため、カバーCVが開けられると、搬送ガイド11aおよび11bが互いに離間するので、原稿搬送路11の内側が露出される。したがって、カバーCVは、原稿搬送路11でジャム(紙詰まり)などが発生すると、ユーザーによって開けられる。なお、たとえば、給紙ユニット14はカバーCVに取り付けられ、レジストローラー対15の一方のローラー(上側ローラー)もカバーCVに取り付けられる。したがって、給紙ユニット14およびレジストローラー対15の上側ローラーは、カバーCVが開けられると、カバーCVと共に移動する。
【0030】
また、原稿搬送装置1は、原稿Dの有無を検知したり、原稿Dの搬送タイミングを計ったりするための原稿検知センサーS1、S2、S3およびS4を備える。原稿検知センサーS1は、原稿搬送路11のうち給紙ユニット14の搬送方向下流側の検知位置P1において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。なお、原稿検知センサーS1に対応する検知位置P1は、本発明の「所定検知位置」に相当する。原稿検知センサーS2は、原稿搬送路11のうちレジストローラー対15の搬送方向上流側の検知位置P2において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。原稿検知センサーS3は、原稿搬送路11のうち読取位置RPの搬送方向上流側の検知位置P3において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。原稿検知センサーS4は、原稿搬送路11のうち原稿排出トレイ13への出口付近において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである
【0031】
これら原稿検知センサーS1〜S4は、たとえば、発光部および受光部を有する透過型の光センサーである。そして、原稿検知センサーS1〜S4の各出力は、検知位置P1〜P4のうち対応する検知位置に原稿Dが有るときと無いときとで変化する。以下に、
図3および
図4を参照し、原稿検知センサーS1を例にとって具体的に説明する。
【0032】
図3および
図4に示すように、カバーCVには、アクチュエーター10が回動可能に取り付けられる。すなわち、アクチュエーター10の回動部分10aは、カバーCVに設置された回動軸10bを支点として回動するようになっている。また、アクチュエーター10の回動部分10aは、当接部10cおよび被検知部10dを有する。
【0033】
アクチュエーター10の回動部分10aは、原稿検知センサーS1に対応する検知位置P1に原稿Dが無いとき、アクチュエーター10の自重により、回動軸10bに対して下側で静止する。これにより、アクチュエーター10の被検知部10dは、検知位置P1に配置される(
図3の状態)。
【0034】
そして、原稿Dの先端が検知位置P1に到達したとき、アクチュエーター10の当接部10cが原稿Dに当接し、アクチュエーター10の当接部10cが搬送方向に押される。このため、アクチュエーター10の回動部分10aが上側に向かって回動する。すなわち、アクチュエーター10の被検知部10dは、検知位置P1に対して相対的に移動する(
図4の状態)。その後、原稿Dの後端が検知位置P1を通過しきると、アクチュエーター10の回動部分10aが自重により下側に向かって回動し、アクチュエーター10の被検知部10dが元の位置に戻る(
図3の状態)。
【0035】
ここで、原稿検知センサーS1は、アクチュエーター10の被検知部10dが検知位置P1に配置されたときに、アクチュエーター10の被検知部10dが原稿検知センサーS1の検知領域(発光部と受光部との間の光路)を遮蔽し、かつ、アクチュエーター10の被検知部10dが検知位置P1に対して相対的に移動したときに、アクチュエーター10の被検知部10dが原稿検知センサーS1の検知領域から外れる位置に設置される。これにより、原稿検知センサーS1は、アクチュエーター10の被検知部10dが検知位置P1に配置されたときと検知位置P1に対して相対的に移動したときとで出力値を変化させる。すなわち、原稿検知センサーS1の出力値は、検知位置P1に原稿Dが有るときと無いときとで変化する。
【0036】
なお、図示しないが、原稿検知センサーS2〜S4についても、原稿検知センサーS1と同様、原稿Dの先端到達および後端通過に応じて回動するアクチュエーターを用いることにより、検知位置P2〜P4のうち対応する検知位置に原稿Dが有るときと無いときとで出力値が変化するようになっている。ただし、原稿検知センサーS2〜S4にそれぞれ対応する各アクチュエーターは、カバーCVではなく、装置内に固定されたフレームなどの部材に対して回動可能に取り付けられる。
【0037】
図2に戻って、原稿搬送装置1は、カバーCVの開閉を検知するための開閉スイッチCSを備える。なお、開閉スイッチCSは、本発明の「開閉検知センサー」に相当する。この開閉スイッチCSは、給紙ユニット14の周辺部分に配置され、カバーCVの開閉に応じてオンオフを切り替える。具体的には、開閉スイッチCSは、カバーCVが開けられているときにはオフする。そして、開閉スイッチCSは、カバーCVが閉められていくと、カバーCVに設けられたリブ(図示せず)により押し込まれ、カバーCVが完全に閉まりきる前にオンする。
【0038】
(複合機のハードウェア構成)
図5に示すように、複合機100は、主制御部110を備える。主制御部110は、CPU111、画像処理部112および記憶部113を含む。画像処理部112は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。記憶部113は、ROMおよびRAMなどからなり、制御用のプログラムおよびデータを記憶する。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶されたプログラムおよびデータに基づき、複合機100の動作を制御する。
【0039】
具体的には、主制御部110は、画像読取部2、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6に接続され、読取動作や印刷動作を制御する。また、主制御部110は、操作パネル7に接続され、操作パネル7の表示動作を制御したり、操作パネル7に対して行われた操作を検知したりする。さらに、主制御部110は、原稿搬送装置1と接続される。そして、主制御部110は、原稿搬送装置1による原稿Dの搬送動作を制御する(後述する原稿搬送制御部120に指示を与える)。
【0040】
原稿搬送装置1は、
図6に示すように、主制御部110と接続される原稿搬送制御部120を備える。なお、原稿搬送制御部120は、本発明の「制御部」に相当する。この原稿搬送制御部120は、CPU121および記憶部122を含む。そして、原稿搬送制御部120は、主制御部110から指示を受け、原稿搬送装置1の搬送動作を制御する。
【0041】
具体的には、原稿搬送制御部120は、給紙モーターM1、レジストモーターM2および搬送モーターM3の駆動を制御し、各モーターに繋がるローラーを回転させたり、回転を停止させたりする。なお、給紙モーターM1は、給紙ユニット14を駆動するためのモーターであり、レジストモーターM2は、レジストローラー対15を駆動するためのモーターであり、搬送モーターM3は、搬送ローラー対16〜18を駆動するためのモーターである。
【0042】
また、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーS1〜S4の各出力に基づき、検知位置P1〜P4のうち対応する検知位置における原稿Dの有無を検知する。さらに、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーS1〜S4の各出力に基づき、検知位置P1〜P4のうち対応する検知位置における原稿Dの先端到達および後端通過を検知し、原稿搬送路11でジャム(紙詰まり)が発生したか否かを判断する。
【0043】
原稿搬送制御部120は、ジャムが発生したか否かを判断するため、原稿検知センサーS1〜S4のうち或る原稿検知センサー(第1センサーとする)の検知位置において原稿Dの先端の到達を検知してから計時を開始する。そして、原稿搬送制御部120は、第1センサーの検知位置において原稿Dの先端の到達を検知してから所定時間が経過したときに、第1センサーより搬送方向下流側の原稿検知センサー(第2センサーとする)の検知位置に原稿Dの先端が到達したか否かを検知する。その結果、原稿Dの先端の到達を検知できなければ、原稿搬送制御部120は、ジャムが発生したと判断する。この場合の所定時間は、第1センサーの検知位置と第2センサーの検知位置との間を原稿Dが進むのに要する時間であり、第1センサーの検知位置と第2センサーの検知位置との間の距離および搬送速度に基づき予め算出することができる時間である。
【0044】
あるいは、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーS1〜S4のうち或る原稿検知センサーの検知位置において原稿Dの先端の到達を検知してから、所定時間が経過しても同じ検知位置において原稿Dの後端の通過を検知できなければ、ジャムが発生したと判断する。この場合の所定時間は、或る原稿検知センサーの検知位置に原稿Dの先端が到達してから同じ検知位置を原稿Dの後端が通過するのに要する時間であり、原稿サイズ(搬送方向の長さ)および搬送速度に基づき予め算出することができる時間である。
【0045】
また、原稿搬送制御部120は、開閉スイッチCSの出力に基づき、カバーCVが開状態であるか閉状態であるかを判断する。そして、原稿搬送制御部120は、カバーCVが開状態であれば、カバーCVが開状態である旨を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、カバーCVを閉めるよう促す旨のメッセージを操作パネル7に表示させる。なお、原稿搬送制御部120は、カバーCVが開状態であれば、原稿搬送路11への原稿Dの供給を開始しない。すなわち、カバーCVが開状態であるときには、搬送読取を伴うジョブは実行されない。
【0046】
(カバーの半閉まり検知)
原稿搬送装置1のカバーCVの開閉は、開閉スイッチCSにより検知される。しかし、開閉スイッチCSは、カバーCVが完全に閉まりきる前にオンする(開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの閉状態を示す値となる)。したがって、場合によっては、開閉スイッチCSはオンしているが、実際にはカバーCVが完全に閉まりきっていない状態になることがある。たとえば、カバーCVと装置本体との間に異物が挟まったり、カバーCVが変形したり、カバーCVの組み付け精度が悪かったりすると、カバーCVを閉めたつもりでもカバーCVの一部分が浮き上がり、カバーCVが完全に閉まりきっていない状態となる。なお、以下の説明では、カバーCVが完全に閉まりきった状態を単に閉状態と称し、開閉スイッチCSはオンしているがカバーCVが完全に閉まりきっていない状態を半閉まりと称する。
【0047】
このように、カバーCVが半閉まりになっているときには、開閉スイッチCSがオンする。したがって、開閉スイッチC
Sの出力値だけでは、カバーCVが半閉まりになっているか否かの検知が行えない。しかし、原稿検知センサーS1の出力値は、カバーCVが半閉まりになっているときと閉状態になっているときとで異なる。
【0048】
具体的には、カバーCVが閉状態になっているとき、アクチュエーター10の被検知部10dは検知位置P1に配置され、原稿検知センサーS1の検知領域はアクチュエーター10の被検知部10dによって遮蔽される(
図3参照)。したがって、原稿検知センサーS1の出力値は、原稿Dの無しを示す値となる。一方で、カバーCVが半閉まりになっているときには、カバーCVが閉まりきっていないので、アクチュエーター10の被検知部10dの配置位置はカバーCVが閉状態になっているときよりも上側にずれる。このため、
図7に示すように、アクチュエーター10の被検知部10dは、原稿検知センサーS1の検知領域から外れる。これにより、原稿検知センサーS1の出力値は、原稿Dの有りを示す値となる。
【0049】
そこで、原稿搬送制御部120は、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったとき、原稿検知センサーS1の出力値を確認する。そして、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値になっていれば、カバーCVが半閉まりであることを検知する。
【0050】
原稿搬送制御部120は、カバーCVが半閉まりであることを検知すると、カバーCVが半閉まりである旨を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、カバーCVが半閉まりである旨を報知するための報知画面IS1(
図8参照)を操作パネル7に表示させる。たとえば、操作パネル7は、報知画面IS1として、カバーCVが半閉まりである旨のメッセージや、カバーCVの閉め直しを促す旨のメッセージなどを配した画面を表示する。
【0051】
また、原稿搬送制御部120は、カバーCVが半閉まりであるとき、カバーCVが開状態であるときと同様、原稿搬送路11への原稿Dの供給を開始しない。すなわち、カバーCVが半閉まりであるときには、搬送読取を伴うジョブは実行されない。
【0052】
以下に、
図9に示すフローチャートを参照し、カバーCVが半閉まりであるか否かを検知するときの制御の流れを説明する。なお、
図9に示すフローチャートのスタートは、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったとき(開閉スイッチCSがオンしたとき)である。
【0053】
ステップS1において、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値であるか否かを判断する。その結果、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値となっていれば、ステップS2に移行する。
【0054】
ステップS2に移行すると、原稿搬送制御部120は、ステップS1の判断結果を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、カバーCVが半閉まりである旨の報知を操作パネル7に行わせる。すなわち、操作パネル7は、
図8に示したような報知画面IS1を表示する。
【0055】
一方で、ステップS1において、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの無しを示す値になっていれば、ステップS3に移行する。ステップS3に移行すると、原稿搬送制御部120は、原稿搬送装置1をレディ状態(原稿Dの搬送が可能な状態)で待機させる。また、原稿搬送制御部120は、原稿搬送装置1がレディ状態である旨を主制御部110に通知する。
【0056】
ところで、カバーCVは、ジャムが発生したときなどに開けられる。したがって、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になる前に、ジャムが発生したことによってカバーCVが開けられていた場合がある。この場合、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったにもかかわらず原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値になっている原因としては、カバーCVが半閉まりになっていることに起因する可能性も有れば、原稿搬送路11の検知位置P1に原稿Dが残っている(ユーザーによるジャム処理が確実に行われなかった)ことに起因する可能性も有る。
【0057】
このため、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になる前に、ジャムが発生したことによってカバーCVが開けられていた場合には、
図10に示すフローチャートに沿った制御を行ってもよい。なお、
図10に示すフローチャートのスタートは、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったとき(開閉スイッチCSがオンしたとき)である。
【0058】
ステップS11において、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値であるか否かを判断する。その結果、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値となっていれば、ステップS12に移行する。
【0059】
ステップS12に移行すると、原稿搬送部120は、カバーCVの開閉前にジャムが発生していたか否かを判断する。すなわち、原稿搬送制御部120は、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になる前に、ジャムが発生していたか否かを判断する。その結果、カバーCVの開閉前にジャムが発生していたと原稿搬送制御部120が判断した場合には、ステップS13に移行する。
【0060】
ステップS13に移行すると、原稿搬送制御部120は、ステップS11およびS12の判断結果を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、原稿搬送路11に原稿Dが残った状態である旨の報知を操作パネル7に行わせる。たとえば、操作パネル7は、
図11に示すような報知画面IS2を表示する。この報知画面IS2には、原稿搬送路11に原稿Dが残っている可能性がある旨のメッセージや、原稿搬送路11に残っている原稿Dの除去を促す旨のメッセージなどが配される。
【0061】
ただし、原稿搬送路11の検知位置P1に原稿Dが残っていないにもかかわらず原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値となっている可能性も有る(すなわち、カバーCVが半閉まりになっている可能性も有る)ので、原稿搬送路11に原稿Dが残った状態である旨の報知を行うのと同時に、カバーCVが半閉まりである旨の報知を行うようにしてもよい。
【0062】
一方で、ステップS12において、カバーCVの開閉前にジャムが発生していないと原稿搬送制御部120が判断した場合には、ステップS14に移行する。ステップS14に移行すると、原稿搬送制御部120は、ステップS11およびS12の判断結果を主制御部110に通知する。この通知を受けた主制御部110は、カバーCVが半閉まりである旨の報知を操作パネル7に行わせる。すなわち、操作パネル7は、
図8に示したような報知画面IS1を表示する。
【0063】
また、ステップS11において、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの無しを示す値になっていれば、ステップS15に移行する。ステップS15に移行すると、原稿搬送制御部120は、原稿搬送装置1をレディ状態(原稿Dの搬送が可能な状態)で待機させる。また、原稿搬送制御部120は、原稿搬送装置1がレディ状態である旨を主制御部110に通知する。
【0064】
本実施形態の原稿搬送装置1は、上記のように、原稿搬送路11に原稿Dを供給し、原稿搬送路11に沿って原稿Dを搬送する原稿搬送部20と、装置本体に開閉可能に取り付けられ、開けられることによって原稿搬送路11の内側を露出させるカバーCVと、カバーCVの開閉に応じて出力値を変化させる開閉スイッチCS(開閉検知センサー)と、原稿搬送路11の検知位置P1(所定検知位置)における原稿Dの有無に応じて出力を変化させるセンサーであり、カバーCVが閉まりきっていないときには原稿Dの有りを示す値を出力するセンサーである原稿検知センサーS1と、開閉スイッチCSの出力値に基づきカバーCVの開閉を検知するとともに、原稿検知センサーS1の出力値に基づき検知位置P1における原稿Dの有無を検知する原稿搬送制御部120(制御部)と、を備える。そして、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったとき、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値になっていれば、原稿搬送制御部120は、カバーCVが閉まりきっていない状態である半閉まりであることを検知する。
【0065】
本実施形態の構成では、カバーCVが閉められると、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になる。このとき、カバーCVが閉まりきっていれば、原稿検知センサーS1の出力値は原稿Dの無しを示す値となる一方で、カバーCVが閉まりきっていなければ、原稿検知センサーS1の出力値は原稿Dの有りを示す値となる。そこで、原稿搬送制御部120は、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったとき、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値になっていれば、カバーCVが半閉まりであることを検知する。これにより、容易かつ確実に、カバーCVが半閉まりであるか否かを検知することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、カバーCVに回動可能に取り付けられたアクチュエーター10を備える。アクチュエーター10は、原稿搬送路11の検知位置P1に到達した原稿Dの先端が当接して搬送方向に押される当接部10cと、原稿搬送路11の検知位置P1に原稿Dが無いときには原稿検知センサーS1の検知領域に配置される一方、検知位置P1に原稿Dが有るとき、または、半閉まりのときには原稿検知センサーS1の検知領域から外れる被検知部10dを有する。そして、原稿検知センサーS1は、アクチュエーター10の回動部分10aを検知対象とすることにより、検知位置P1における原稿Dの有無に応じて出力値を変化させるとともに、カバーCVが閉まりきっていないときには原稿Dの有りを示す値を出力する。このように構成すれば、容易に、検知位置P1における原稿Dの有無に応じて出力を変化させ、カバーCVが閉まりきっていないときには原稿Dの有りを示す値を出力するセンサーを得ることができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、カバーCVが半閉まりであることを原稿搬送制御部120が検知しているとき、原稿搬送部20による原稿搬送路11への原稿Dの供給が開始されない。このように構成すれば、カバーCVが半閉まりであれば、原稿Dの搬送は行われない。したがって、カバーCVが半閉まりであることに起因してジャムが発生するのを抑制することができる。これにより、ユーザーの利便性が向上する(ジャム処理を行わなくてもよくなる)。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、原稿搬送制御部120が半閉まりを検知したときに、カバーCVが半閉まりである旨を操作パネル7(報知部)が報知する。このように構成すれば、容易に、カバーCVが半閉まりであることをユーザーに認識させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、ジャムが発生したことによってカバーCVが開けられていた場合、ジャムの発生以降、開閉スイッチCSの出力値がカバーCVの開状態を示す値から閉状態を示す値になったときに、原稿検知センサーS1の出力値が原稿Dの有りを示す値になっていれば、原稿搬送路11に原稿Dが残っている可能性がある旨を操作パネル7が報知する。これにより、原稿搬送路11の検知位置P1に原稿Dが残っている可能性が有る場合には、その旨をユーザーが認識できるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0070】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。