特許第6012668号(P6012668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012668磁気記録ヘッドのための書き込みギャップ構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012668
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】磁気記録ヘッドのための書き込みギャップ構造
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   G11B5/31 E
   G11B5/31 D
   G11B5/31 Q
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-131297(P2014-131297)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-11755(P2015-11755A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年3月17日
(31)【優先権主張番号】13/930,776
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ティエン
(72)【発明者】
【氏名】フアチン・イン
(72)【発明者】
【氏名】イェン・ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エム・マンデナー
(72)【発明者】
【氏名】ジェンファ・シュエ
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−266371(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0044598(US,A1)
【文献】 特開2012−113806(JP,A)
【文献】 特開2009−004068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込みアセンブリであって、
空気ベアリング面に形成される底部エッジ、および前記底部エッジから離間される頂部エッジを有するベベル磁極端を含む磁極端を有する、書き込み磁極と、
前記ベベル磁極端表面の前記頂部エッジの下側に位置する後部エッジを通して接続される上部後面および下部後面を含む前記磁極端から離間される、前部シールドと、
前記ベベル磁極端表面と前記前部シールドの前記下部後面との間に延在する近位ギャップ幅を有する前記空気ベアリング面の近傍に位置する近位書き込みギャップセグメント、および前記ベベル磁極端表面と前記前部シールドの前記上部後面との間に延在する前記近位ギャップ幅よりも大きい遠位ギャップ幅を有する遠位書き込みギャップセグメントを含む、非磁性書き込みギャップとを備え
前記上部後面および前記下部後面は、前記上部後面を前記下部後面に接続する後部ステップを通して接続され、
前記後部ステップは、前記空気ベアリング面と前記空気ベアリング面に対して垂直な平面とに対して90°を除く角度で前記空気ベアリング面に向かって下方に傾斜する、書き込みアセンブリ。
【請求項2】
前記下部後面は、前記ベベル磁極端表面に共形であり、前記上部後面は、前記ベベル磁極端表面に非共形である、請求項1に記載の書き込みアセンブリ。
【請求項3】
前記前部シールドの前記上部後面および前記下部後面は、前記近位ギャップ幅および前記遠位ギャップ幅を画定するために、異なる傾斜角を有する、請求項1または請求項2に記載の書き込みアセンブリ。
【請求項4】
前記上部後面及び前記下部後面は、前記ベベル磁極端表面に共形である、請求項1に記載の書き込みアセンブリ。
【請求項5】
前記近位ギャップ幅は、25nm未満であり、前記遠位ギャップ幅は、25nm以上である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の書き込みアセンブリ。
【請求項6】
前記遠位書き込みギャップセグメントは3層構造を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の書き込みアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
データ記憶デバイスは、回転ディスク等の磁気記憶媒体に対するデータの読み出しおよび/または書き込みのために、磁気記録ヘッドを使用する。磁気記録ヘッドは、一般的に、データを記憶媒体に記録するために、誘導書き込み素子を含む。誘導書き込み素子は、主磁極と、磁極端と、1つ以上のリターン磁極とを含む。電流は、書き込みコイルに供給され、主磁極において磁束経路を誘導して、媒体の1つ以上の磁気記憶層にデータを記録する。データは、並列および垂直記録手法を使用して記録することができる。記憶の増加に対する要求は、より多くのデータをより小さい空間に記録するためのより高いフィールド勾配に対する要求を生じさせた。本発明の実施形態は、これらのおよび他の問題に対する解決策を提供し、従来技術に勝る他の利点を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本出願は、磁気記録ヘッドのための書き込みギャップ構造に関する。開示されるように、書き込みギャップ構造は、より高密度の記録に対してフィールド勾配を高めるために、書き込み磁極と空気ベアリング面に近接する前部シールドとの間に、例えば25ナノメートル(nm)未満の狭い書き込みギャップ幅を有する。具体的には、開示される、例示される実施形態において、空気ベアリング面で提供される狭い書き込みギャップ幅は、20nm以下である。
【0003】
開示される実施形態において、書き込みギャップ構造は、ベベル磁極端表面の頂部エッジと底部エッジとの間で、ベベル磁極端面に沿って、複数の書き込みギャップセグメントを含む。複数の書き込みギャップセグメントは、空気ベアリング面の近傍に位置する近位書き込みギャップセグメントと、空気ベアリング面から奥まったところにある遠位ギャップセグメントとを含む。例示される実施形態において、近位書き込みギャップセグメントは、空気ベアリング面に近接する狭いギャップ幅を提供するために、ベベル磁極端表面と前部シールドの下部後面との間に延在する。遠位ギャップセグメントは、より狭いギャップ幅よりも大きいギャップ幅を有し、ベベル面と前部シールドの上部後面との間に延在する。
【0004】
例示される実施形態において、前部シールドの上部後面は、遠位書き込みギャップセグメントのより大きい書き込みギャップ幅を提供するために、ベベル磁極端表面から離れる方向で、下部後面から前方へ離間される。上部後面は、ステップを介して下部後面に接続される。別の実施形態において、上部後面は、遠位書き込みギャップセグメントのより大きい書き込みギャップ幅を提供するために、下部後面とは異なる傾斜角を有する。例えば、例示される1つの実施形態において、より大きい書き込みギャップ幅を提供するために、下部後面は、ベベル磁極端表面の傾斜角に共形の角度で傾斜され、上部後面は、磁極端のベベル磁極端表面に対して非共形の角度で傾斜される。
【0005】
本出願は、説明されるように、複数の書き込みギャップセグメントおよび前部シールドの上部後面および下部後面を形成するための、複数の層の蒸着および選択的エッチングを含む、プロセスステップを開示する。本発明の実施形態を特徴付ける他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読み、関連する図面を検討すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本出願の実施形態を使用することができる、データ記憶デバイスの実施形態を示す図である。
図2図2は、磁気記録媒体の上側にある1つ以上の変換素子を含む、ヘッドの概略図である。
図3A図3Aは、書き込みアセンブリのベベル磁極端表面と前部シールドとの間に書き込みギャップを含む、書き込みアセンブリを示す図である。
図3B図3Bは、書き込みアセンブリのベベル磁極端表面と前部シールドとの間に書き込みギャップを含む、書き込みアセンブリを示す図である。
図3C図3Cは、書き込みアセンブリのベベル磁極端表面と前部シールドとの間に書き込みギャップを含む、書き込みアセンブリを示す図である。
図4A図4Aは、書き込み磁極端の前部ベベル面の頂部エッジと底部エッジとの間に複数の書き込みギャップセグメントを有する、書き込みアセンブリの実施形態を示す図である。
図4B図4Bは、書き込み磁極端の前部ベベル面の頂部エッジと底部エッジとの間に複数の書き込みギャップセグメントを有する、書き込みアセンブリの実施形態を示す図である。
図4C図4Cは、書き込み磁極端の前部ベベル面の頂部エッジと底部エッジとの間に複数の書き込みギャップセグメントを有する、書き込みアセンブリの実施形態を示す図である。
図5A図5Aは、複数の書き込みギャップセグメントを含む書き込みアセンブリを製作するためのプロセスステップの実施形態を示す図である。
図5B図5Bは、複数の書き込みギャップセグメントを含む書き込みアセンブリを製作するためのプロセスステップの実施形態を示す図である。
図5C図5Cは、複数の書き込みギャップセグメントを含む書き込みアセンブリを製作するためのプロセスステップの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願は、図1で示されるタイプのデータ記憶デバイス100の磁気記録ヘッドのための書き込みアセンブリに関する。図1で示されるように、データ記憶デバイス100は、磁気データ記憶媒体またはディスク102と、ヘッド104とを含む。1つ以上の変換素子(図1では示さず)を含むヘッド104は、データ記憶媒体102からデータを読み出し、および/またはデータをそこに書き込むために、データ記憶媒体102の上側に位置付けられる。示される実施形態において、データ記憶媒体102は、1つまたは複数の磁気記憶層を含む、回転ディスクまたは他の磁気記憶媒体である。読み出しおよび書き込み動作について、スピンドルモータ106(概略的に図示する)は、矢印107で示されるように媒体102を回転させ、アクチュエータ機構110は、回転媒体102上のデータトラックに対してヘッド104を位置付ける。スピンドルモータ106およびアクチュエータ機構110はどちらも、駆動回路112(概略的に示す)に接続され、それを通して動作する。ヘッド104は、サスペンションアセンブリを通してアクチュエータ機構110に連結され、該サスペンションアセンブリは、例えばスエージ接続を通して、機構110のアクチュエータアーム122に接続される、ロードビーム120を含む。
【0008】
ヘッド104の1つ以上の変換素子は、データを符合化および/または復号化するために、可撓性回路134を通してヘッド回路132に連結される。図1は、アクチュエータ機構110に連結された単一のロードビームを示すが、ディスクスタックの複数のディスクからデータを読み出す、またはそこにデータを書き込むために、追加的なロードビーム120およびヘッド104をアクチュエータ機構110に連結することができる。アクチュエータ機構110は、軸126の周りに回転させるために、ベアリング124を通してフレームまたはデッキ(図示せず)に回転可能に連結される。アクチュエータ機構110の回転は、矢印130で示されるように、クロストラック方向にヘッド104を移動させる。
【0009】
図2は、媒体102の上側のヘッド104の詳細図である。ヘッド104上の1つ以上の変換素子は、ヘッド104の変換器部分142を形成するために、スライダ140上に製作される。示される変換器部分142は、ヘッドの書き込みアセンブリ144を形成するために、Alアルミナ構造にカプセル化される書き込み素子を含む。示されるように、ヘッド104は、媒体102に対面するヘッドまたはスライダの底面150に沿って、空気ベアリング面146を含む。ヘッド104は、媒体102から離れて対面するヘッドまたはスライダ140の上面152に連結されるジンバルばね151を通して、ロードビーム120に連結される。媒体102は、1つ以上の磁気記録層を含むビットパターン化した媒体または他の磁気記憶媒体とすることができる。
【0010】
動作中に、媒体またはディスク104の回転は、リーディングエッジ154からスライダ140またはヘッドのトレーリングエッジ156まで、スライダ140の空気ベアリング面146に沿って、図1で示される方向107に気流を生じさせる。空気ベアリング面146に沿った気流は、読み出しおよび/または書き込み動作に対して媒体102の上側でヘッド104およびスライダ140を支持する、圧力プロファイルを生じさせる。示されるように、変換器部分142は、スライダ140のトレーリングエッジ156に沿って形成される。
【0011】
図3Aは、磁気記録ヘッド104のための書き込みアセンブリ144の実施形態の詳細な断面図である。示されるように、アセンブリ144は、頂部バイアス166を通して主磁極160に接続される磁極端162およびリターン磁極164を有する、主磁極160を含む。矢印170で示される磁束経路は、電流をコイル172に供給することによって、主磁極160を通して磁極端162に誘導される。磁束経路の方向は、コイル172に供給される電流の方向を介して制御される。コイル172は、主磁極160とリターン磁極164との間の非磁性層または絶縁部分174に組み込まれる。誘導された磁気経路は、磁気記憶媒体102の1つ以上の磁気記録層180に磁界または極性を誘導するために、媒体104に近接する磁界を提供する。図示される実施形態において、媒体は、主磁極160とリターン磁極164との間に閉磁束経路を形成して、データビットが上方向/下方向で媒体に記録される垂直記録パターンを実現するために、1つ以上の軟磁性下地層(SUL)182を含む。磁気記録層180(複数可)およびSUL(複数可)182は、基材184上に形成される。1つ以上の保護層または被覆層(図示せず)を、当技術分野で知られているように、記録層(複数可)180または他の層の上に蒸着することができる。
【0012】
図3B〜3Cは、主磁極160および磁極端162の詳細図である。図3Bで示されるように、磁極160の幅は、磁極端162に向かってクロストラック方向に狭くなる。磁極端は、媒体に対面する空気ベアリング面186と、媒体102の記録トラックに沿ってテーパー付き磁極端寸法を提供するためにある角度で前部表面189と交差する、ベベル前面188とを含む。図3Aおよび3Cで示されるように、書き込みアセンブリ144はまた、主磁極160から前方へ磁性材料で形成され、リターン磁極164に磁気的に連結される、前部シールド190も含む。前部シールド190は、図3Aおよび3Cで示されるように書き込みギャップ192を形成するために、磁極端162から離間される。示されるように、書き込みギャップ192は、磁極端のベベル面188と磁極端162から離間される前部シールド190の後面194との間に延在する。
【0013】
図3Cで図示されるように、磁極端162の空気ベアリング面(ABS)186は、磁極端のリーディングエッジ196から磁極端のトレーリングエッジ198まで延在する。ABS186のリーディングエッジ196は、クロストラック方向に、磁極端のABS186のトレーリングエッジ198の幅よりも狭い幅を有する。リーディングエッジ196での狭い幅は、略台形の空気ベアリング磁極端表面186を形成する。台形状は、媒体102上のトラックに対する磁極端のスキュー角により、隣接トラック干渉を低減させる。示されるように、前部シールド190は、図3Aで示されるように書き込みギャップ192を形成するために、ABS186のトレーリングエッジ198から離間される。書き込みギャップ192は、前部シールド190から磁極端162を分離する、磁気絶縁材料で形成される。磁極端162と前部シールド190との間のより小さい書き込みギャップ192は、より高いデータ記憶密度を提供するために、所与のフィールド強度に対してより高いフィールド勾配を生み出す傾向がある。しかしながら、フィールド勾配を増加させるために書き込みギャップ192の幅を低減させる取り組みは、書き込みフィールドの損失のため、性能を損なう可能性がある。
【0014】
図4A〜4Cは、磁極端162のベベル面188に沿って複数の書き込みギャップセグメントを提供する、書き込みギャップ構造を開示する。例示される実施形態において、複数の書き込みギャップセグメントは、フィールド勾配を高めるために、より小さい書き込みギャップ幅または空気ベアリング面186に近接する書き込みギャップ幅を提供し、また、漏れ磁束を制限するために、より大きい書き込みギャップ幅または空気ベアリング面186の背後の書き込みギャップ幅を提供する。図4Aで示される実施形態において、複数のギャップセグメントは、ベベル磁極端表面188の底部ベベルエッジ200と頂部ベベルエッジ202との間に形成される。複数の書き込みギャップセグメントは、ベベル磁極端表面188と前部シールド190の下部後面205との間に形成される、近位書き込みギャップセグメント204と、ベベル磁極端表面188と前部シールド190の上部後面209との間に形成される、遠位書き込みギャップセグメント206とを含む。示される実施形態において、下部後面205および上部後面209は、ステップ面210を通して接続される。
【0015】
ベベル磁極端表面188と上部後面209との間により大きいギャップ幅を提供するために、下部後面205は、後部エッジ211でステップ面210に交差し、上部後面209は、ベベル磁極端表面188から離れる方向で、後部エッジ211から前方にステップ面210と交差する。示されるように、下部後面205は、ベベル磁極端表面188と下部後面205との間に一定のまたは共形のギャップ幅を提供するために、傾斜が付けられる。図示される実施形態において、上部後面209はまた、ベベル面188の角度とも共形であるが、説明されるように、遠位書き込みギャップセグメント206のより大きい書き込みギャップ幅を提供するために、下部後面205から前方に離間される。
【0016】
近位書き込みギャップセグメント204に沿った狭い共形のギャップ幅は、高密度記録のための書き込みフィールド勾配を高めるために、ABSで狭い書き込みギャップを提供する一方で、遠位書き込みギャップセグメント206に沿ったより大きい書き込みギャップ幅は、漏れ磁束を低減させて書き込みフィールド強度の低減を制限するために、ベベル磁極端188とシールド190との間の間隔を増加させる。示されるように、ステップ210は、近位書き込みギャップセグメント204と遠位書き込みギャップセグメント206との間の遷移を画定するために、ベベル磁極端表面188の底部エッジ200と頂部エッジ202との間に位置する。図示される実施形態において、ステップ210は、頂部ベベルエッジ202のより近くに位置し、よって、より幅の広い遠位ギャップセグメント206は、ベベル磁極端表面188の頂部エッジ202に近接するシールドへの漏れ磁束を制限しながら、高い書き込みフィールド勾配を維持するために、空気ベアリング面から十分に離間される。示される、図示される実施形態において、垂直後面212は、シールド190の底面または空気ベアリング面から離間されるシールド190の頂面214に、上部後面209を接続する。複数の書き込みギャップセグメントの適用は、垂直面部分212を含む後面、または示される特定の構造に限定されないことを理解されたい。
【0017】
図4Bで示される別の実施形態において、書き込みギャップ192は、上で説明されるように、空気ベアリング面に近接する近位書き込みギャップセグメント204と、空気ベアリング面から離間される遠位ギャップセグメント206とを含む。示されるように、シールド190の後面は、前部ベベル磁極端表面188の底部エッジ200と頂部エッジ202との間に、下部後面205と、上部後面209とを含む。図4Aで示される実施形態に類似して、近位書き込みギャップセグメント204は、ベベル磁極端表面と前部シールド190の下部後面205との間に形成され、遠位書き込みギャップセグメント206は、ベベル磁極端表面188と前部シールド190の上部後面209との間に形成される。
【0018】
示されるように、後面ステップ210は、上で説明されるように、遠位書き込みギャップセグメント206に沿った書き込みギャップ幅よりも小さい、近位書き込みギャップセグメント204に沿った狭いギャップを提供するために、下部後面205を上部後面209に接続する。示されるように、下部後面205は、ベベル磁極端表面188と前部シールド190の下部後面205との間に一定または共形のギャップ幅を提供するために、傾斜が付けられる。上部後面209は、遠位書き込みギャップセグメント206に沿ってより大きいギャップ幅を提供するために、ステップ210を介して下部後面205から離間され、非共形の角度でベベル面188から離れて傾斜が付けられる。示される、例示される実施形態において、垂直後面212は、シールド190の上部後面209および頂面214を接続する。したがって、説明されるように、上部後面205および下部後面209は、異なる角度で傾斜して、空気ベアリング面に狭い共形の書き込みギャップを形成し、また、空気ベアリング面の背後に拡大した書き込みギャップを形成する。
【0019】
図4Cは、以前に図4A〜4Bで示される複数の近位ギャップセグメント204および遠位ギャップセグメント206を含む、書き込みアセンブリ144の別の実施形態を示す。図4Cで示される実施形態において、前部シールド190の下部後面205および上部後面209は、後部エッジ211で直接接続される。下部後面205および上部後面209は、近位書き込みギャップ幅および近位書き込みギャップ幅よりも大きい寸法を有する遠位書き込みギャップ幅を形成するために、異なる傾斜角で傾斜される。下部後面205および上部後面209を接続する後部エッジ211は、底部ベベルエッジ200よりも上側に、かつ磁極端162の頂部ベベルエッジ202よりも下側に位置する。示されるように、下部後面205は、ベベル磁極端表面188と前部シールド190の下部後面205との間で空気ベアリング面186に近接する共形の書き込みギャップを提供するために、ベベル前部磁極端表面188に対して共形の角度で延在する。上部後面209は、後部エッジ211より上側で空気ベアリング面から離れる方向に増加する遠位書き込みギャップ幅を提供して、ベベル磁極端表面188の頂部エッジに近接する空気ベアリング面の背後により大きい書き込みギャップを提供するために、非共形の角度で延在する。
【0020】
図5Aは、図4Aで開示される書き込みギャップの実施形態を製作するためのプロセスステップを示す。ステップ300で示されるように、絶縁構造は、書き込み磁極162の前面およびベベル面188に形成される。絶縁構造は、第1の非磁性層302を蒸着することによって形成される。示される実施形態において、非磁性層302は、ベベル磁極端表面188に沿って共形の幅を形成するように、ベベル面188に沿ってエッチングされる。ステップ304で、第2の非磁性層306が第1の非磁性層302上に蒸着される。第1の非磁性層302および第2の非磁性層306は、同じ材料または異なる材料とすることができる。層302、306のための実例となる第1および第2の非磁性材料としては、Alアルミナ、Ru、NiCr、NiRu、Cr、SiO、またはアモルファス炭素A−Cが挙げられる。第1の非磁性層302および第2の非磁性層306は、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、分子ビームエピタキシ(MBE)、原子層堆積(ALD)電子ビーム蒸着、イオンビースパッタリング、および当技術分野で知られている他の蒸着方法を使用して蒸着することができる。例示される1つの実施形態において、第1の非磁性層302は、Alであり、第2の非磁性層306は、アモルファス炭素a−Cである。
【0021】
ステップ310で、マスク312が頂部ベベルエッジ202に近接する第2の非磁性層306の頂部分に塗布される。ステップ314で示されるように、非マスク領域において第1の非磁性層302から第2の非磁性層306を除去するために、第2の非磁性層306が非マスク領域においてエッチングまたはミリングされる。ステップ316で示されるように、シード層320は、前部シールド190にメッキするために、エッチングまたはミリングした部分の第2の非磁性層306および第1の非磁性層302に塗布される。ステップ322で示されるように、前部シールドは、下部後面205および上部後面209、ならびに前部シールド190の頂面214を形成するために、シード層320上にメッキされる。示されるように、シールドの頂面214は、第2の非磁性層306の頂部と整列する。したがって、示されるように、第1の非磁性層は、近位ギャップセグメント204のギャップ幅を形成し、第1の非磁性層302および第2非磁性層306は、遠位書き込みギャップセグメント206のギャップ幅を形成する。
【0022】
図5Bは、図4Bで示される書き込みギャップ構造の別の実施形態を製作するためのプロセスステップを示し、以前の実施形態における同じステップを識別するために同じ参照番号が使用される。図5Bで示されるように、ステップ300で、第1の非磁性層302が書き込み磁極の前面およびベベル面上に形成され、ステップ304で、第2の非磁性層306が第1の非磁性層302上に蒸着される。ステップ310で、マスク312が第2の非磁性層306上の一部分に塗布され、そしてステップ314で示されるように、第1の非磁性層302から第2の非磁性層306を除去するために、第2の非磁性層306が非マスク領域においてエッチングまたはミリングされる。その後に、ベベル面の傾斜角とは異なる傾斜角を形成して、空気ベアリング面186の背後の遠位書き込みギャップセグメント206に沿って増加するギャップ幅を提供するために、第2の非磁性層306の一部分がエッチングまたはミリングされる。ステップ314、316で示されるように、前部シールド190は、上で説明され、図4Bで示されるように、シード層320上に製作またはメッキされて、下部後面205および上部後面209、ならびに共形および非共形の近位書き込みギャップセグメント204および遠位書き込みギャップセグメント206を形成する。
【0023】
図5Cは、図4Cで図示される書き込みギャップ構造の別の実施形態を製作するためのプロセスステップを示し、以前の図5A〜5Bにおける同じステップを識別するために同じ参照番号が使用される。絶縁構造は、ステップ300、304で示されるように、第1の非磁性層302および第2の非磁性層306を蒸着することによって形成される。ステップ310、314で、上で説明されるように、第2の非磁性層306の底部分が除去されて、近位ギャップセグメント204を形成する。ステップ332で、ベベル面188に対して異なる傾斜角または非共形の傾斜角を有する傾斜面を形成して、遠位書き込みギャップセグメント206のより大きい書き込みギャップを提供するために、第2の非磁性層306がエッチングまたはミリングされる。その後に、ステップ316、322で、上で説明されるように、前部シールドの下部後面205および上部後面209を形成するために、前部シールド190がシード層320ならびに第1の非磁性層302および第2の非磁性層306上にメッキされる。
【0024】
図5A〜5Cは、本出願で説明される複数のセグメント書き込みギャップを製作するためのプロセスステップを示すが、本出願は、説明される特定のプロセスステップまたは順序に限定されない。本発明の種々の実施形態の多数の特徴および利点を、本発明の種々の実施形態の構造および機能の詳細とともに、上の説明に記載したが、この開示は、例示的なものに過ぎず、本発明の原理の範囲内で、添付の特許請求の範囲を表す用語の広義の一般的な意味によって示される最大限の範囲まで、詳細において、特に、部品の構造および配設について、変更が行われ得ることを理解されたい。例えば、特定の要素は、特定の応用に応じて変動し得る一方で、本発明の範囲および趣旨を実質的に逸脱することなく、同じ機能を維持し得る。加えて、本明細書で説明される実施形態は、単一のリターン磁極を含む特定の書き込みアセンブリのための書き込みギャップ構造を対象とするが、本出願は、示される特定の実施形態または書き込みアセンブリに限定されない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C