【実施例】
【0016】
以下に、本発明の特徴及び利点を、図示の実施例に則して詳細に説明する。
【0017】
図1には、発光半導体素子101,111、蛍光変換層102,112を含む包囲部材および光学減衰素子103を有するデバイスが示されている。発光半導体素子は電圧が印加されると所定の波長領域の光を放出する。包囲部材は、所定の波長領域の電磁放射によって励起されて所定の波長の光を放出する変換材料を含む。当該の変換材料は少なくとも1つの発光物質を含む。発光物質として例えば無機発光物質または有機発光物質が適している。
【0018】
励起され放出される光の波長領域はそれぞれ異なる。包囲部材にはその全体が入射して変換されてもよいし、入射光の一部のみが入射して変換され、残りの部分が透過されてもよい。後者の場合には透過光の波長領域はほとんど影響を受けない。
【0019】
光学減衰素子は、複数の包囲部材を相互に、あるいは、複数の発光半導体素子およびそれぞれの包囲部材を相互に、光学的に分離するために用いられる。光学減衰素子は発光半導体素子および包囲部材から放出された光の波長領域に対して不透過性である。
【0020】
図1の実施例では、光学減衰素子は2列の発光半導体素子および包囲部材のあいだに配置されており、隣接して配置された発光半導体素子および/またはその包囲部材の蛍光変換層から放出された光によって、電圧の印加されていない半導体素子の包囲部材内の変換材料が励起されてしまうことを阻止する機能を有する。
【0021】
さらに、複数の光学減衰素子を、発光半導体素子および包囲部材の別の列のあいだに配置して、これらを光学的に分離するようにしてもよい。光学減衰素子は格子状に構成することもできるので、各発光半導体素子を包囲部材とともに他の発光半導体素子および包囲部材からそれぞれ光学的に分離することもできる。光学減衰素子は発光半導体素子および包囲部材から形成されるそれぞれのフィールドが相互に分離されるように構成することもできる。
【0022】
光学減衰素子の幅104は、発光半導体素子が相互に近接して配置されるように、できる限り小さく選定される。これにより、デバイスの均一な発光画像が得られる。また、実際に発光している発光半導体素子と電圧を印加されていない半導体素子とのあいだのコントラストも高まる。当該のコントラストの値は少なくとも100:1であり、例えば200:1である。
【0023】
図2には、発光半導体素子201,蛍光変換層202,電気線路204および支持体素子205を有するデバイスの概略図が示されている。蛍光変換層は発光半導体素子の上に配置されており、発光半導体素子から放出された光を変換する。発光半導体素子は支持体素子上に配置されており、電気線路を介してこれに電気的に接続されている。
【0024】
電気線路を介して発光半導体素子に電圧が印加される。電圧が印加されたときに発光半導体素子から放出される光は、この実施例では、例えば波長445nmの青色領域にある。変換物質は、発光半導体素子から放出される1次光によって励起され、2次光を放出する。この実施例では、2次光は波長領域560nm〜590nmの黄色領域にある。別の実施例として、変換物質がそれぞれ異なる波長領域の光、例えば赤色領域の波長625nm〜740nmの光および緑色領域の波長520nm〜560nmの光を放出するように構成してもよい。
【0025】
1次光および2次光は相互に異なる波長領域を有する。1次巻線の一部は波長変換されずに変換物質を通過し、その1次光と2次光とが加法的に混合される。所望の色座標、例えば白色は、1次光と2次光との混合比を調整することによって形成される。変換物質によって1次光の全体を変換し、種々の波長の光から成る2次光を組み合わせて所望の色座標を形成するようにしてもよい。
【0026】
青色領域の光は黄色領域の光と混合されて白色光を形成する。赤色領域の光は緑色領域の光と混合されて黄色光を形成する。そして、青色領域の光、赤色領域の光および緑色領域の光から混合白色光が形成される。
【0027】
支持体素子は発光半導体素子で生じた熱を放散させるために用いられる。このために支持体素子は充分に良好な熱伝導性を有する材料、例えばセラミックから形成される。
【0028】
図3には、蛍光変換層を含む包囲部材を備えた発光半導体素子301、光学減衰素子303,電気線路304および支持体素子305を有するデバイスの概略図が示されている。発光半導体素子は支持体素子上に配置されており、電気線路を介して所定の電圧が印加される。光学減衰素子は支持体素子と一体に形成されている。このために支持体素子の製造時に発光半導体素子間の所定の位置に支持体素子の隆起部が形成される。所望に応じて発光半導体素子を密なパターンで配置するために、隆起部はできるかぎり薄く形成される。当該の隆起部は、光学的な減衰作用を高めるために、光を透過しない材料でコーティングされている。このコーティングは例えば金属層をめっきプロセスで被着することにより行われる。
【0029】
図3の実施例では、2列の発光半導体素子のあいだに支持体素子の隆起部が位置している。しかし、光学減衰素子は、それぞれ包囲部材を備えた各発光半導体素子の全てが隣接する発光半導体素子およびその包囲部材から光学的に分離されるように配置されてもよい。また、光学減衰素子が発光半導体素子の所定のフィールドを相互に光学的に分離するように構成することもできる。光学減衰素子の高さ302は、少なくとも、包囲部材を備えた発光半導体素子が相互に充分に分離され、意図されていない蛍光変換層の励起が生じないように選定されている。
【0030】
図4には、包囲部材を備えた発光半導体401、フレーム402、モールド材料403、電気線路404および支持体素子405を有するデバイスが示されている。ここでの包囲部材は蛍光変換層を含む。発光半導体素子は支持体素子上に配置されており、電気線路を介して所定の電圧が印加される。フレームは発光半導体素子の配置された領域の周囲に形成される。当該のフレームは、モールド材料の覆うべきでない領域をモールド材料から分離するために用いられる。
【0031】
モールド材料は、複数の発光半導体素子および相応の蛍光変換層を含む包囲部材が相互に光学的に分離される高さでフレーム内の領域を覆う。ただし、その高さは、最大で、発光半導体素子および包囲部材の発光面406に達するまでである。
【0032】
できるだけ光を透過しないモールド材料のボディを設けることに加え、発光半導体素子およびモールド材料の上方の発光面406に、発光半導体素子を保護するための透光性のモールド材料を被着することもできる。この場合、フレームは、透光性のモールド材料がフレームの内部のみに広がり、モールド材料の覆うべきでない領域がモールド材料から分離される高さで配置される。
【0033】
図5には、包囲部材を備えた発光半導体素子501,ボンディングワイヤ502,ケーシングボディ503,電気線路504および支持体素子505を有するデバイスが示されている。包囲部材は蛍光変換層を含む。蛍光変換層を含む発光半導体素子は支持体素子上に配置されており、電気線路およびボンディングワイヤを介して所定の電圧が印加される。ケーシングボディは例えばできる限り不透光性のプラスティックから形成され、蛍光変換層を含む発光半導体素子、支持体素子および電気線路の一部を収容する。包囲部材を備えたそれぞれの発光半導体素子のあいだにケーシングボディを形成することにより、光学的な分離が達成される。
【0034】
また、プラスティックから成るボディは光学的分離機能に加えて保護機能も有する。ケーシングボディは例えば電気線路および発光半導体素子を外部影響から保護するために用いられ、これにより、例えば実装プロセス中のデバイスの取り扱いが容易となる。
【0035】
図6には、包囲部材を備えた発光半導体素子601,カバー602,光学減衰素子603,電気線路604および支持体素子605を有するデバイスが示されている。包囲部材は蛍光変換層を含む。発光半導体素子は支持体素子上に配置されており、電気線路を介して所定の電圧が印加される。ここでのカバーは透光性材料、例えばBF33あるいはPyrexなどのガラスから形成され、発光半導体素子を外部影響から保護するために用いられる。
【0036】
光学減衰素子はカバーの一部として配置される。
図6では、カバーは最終的な取り付け位置にではなく、発光半導体素子および支持体素子からかなり離れた位置に示されている。光学減衰素子は、カバーが所定の位置に配置されたときに光学減衰素子が発光半導体素子と包囲部材とを光学的に分離することのできる高さ606を有する。
【0037】
或る実施例では、光学減衰素子は包囲部材のあいだまで、また、別の実施例では、包囲部材と発光半導体素子とのあいだにまで達する。光学減衰素子は、少なくとも1つの包囲部材から少なくとも1つの別の包囲部材へ入射する光を低減するか、あるいは、少なくとも1つの発光半導体素子から少なくとも1つの別の発光半導体素子へ入射する光を低減する。
【0038】
図6の実施例では、光学減衰素子により、蛍光変換層を備えた2列の発光半導体素子が相互に分離されている。しかし、より多数の列の発光半導体素子および包囲部材を分離するために、さらなる光学減衰素子を配置してもよい。
【0039】
図6の実施例では光学減衰素子は直方体状であるが、別の形状、例えば断面が三角形となる形状を有してもよい。光学減衰素子の形状は、各発光半導体素子をできるだけ近接して配置できるように選定される。例えば、光学減衰素子の幅607は例えば0.05mm〜0.3mmの範囲、高さは0.2mm〜0.8mmの範囲に選定される。光学減衰素子は、例えばアノードボンディングによって、この実施例ではケイ素から形成されるカバーに接合される。
【0040】
図7には、分離スタブ701を備えたカバー702が示されている。光学減衰素子は、カバーが発光半導体素子を保護するための位置に配置されたとき、隣接する発光半導体素子どうしを光学的に分離できるように、格子状に構成される。また、光学減衰素子は、それぞれ蛍光変換層を備えた発光半導体素子の列が相互に分離されるように構成されてもよい。
【0041】
カバーは透光性材料、例えばガラスから形成される。光学減衰素子はカバー上に被着された不透光性のコーティング部からエッチングにより形成することもできる。例えば不透光性のコーティングはカバーにアノードボンディングされたケイ素コーティングである。別の実施例として、光学減衰素子をプラスティック材料から形成し、カバーに接着または圧着してもよい。
【0042】
図8には、カバー802に設けられた、コーティングを有する成形部801が示されている。ここでは、カバーは透光性材料から形成されるが、成形部にはできるかぎり不透光性の材料が、例えば金属パターンとして、コーティングされる。当該の成形部は、発光半導体素子を保護する位置にカバーを配置したとき、発光半導体素子の包囲部材が光学的に分離される高さを有するように構成されている。光学減衰素子は格子状に構成されており、発光半導体素子は隣接する発光半導体素子から光学的に分離される。また、光学減衰素子は、それぞれ蛍光変換層を備えた発光半導体素子の列が相互に分離されるように構成されてもよい。
【0043】
図9のAには、発光半導体素子901,911,蛍光変換層を含む包囲部材902,912、電気線路904,ボンディングワイヤ905および保護素子906を有するデバイスが示されている。発光半導体素子は、電気線路904から形成される導体フレームに、例えば接着またははんだ付けにより接合されている。発光半導体素子および包囲部材のうち導体フレームとは反対側の表面には、保護素子、例えば保護シートが被着されている。この保護シートは発光半導体素子および包囲部材が続くプロセスステップ、例えば切削ステップにおいて損傷しないように保護するものである。
【0044】
図9のBには、一方側で保護素子に接続され、他方側で導体フレームに接続された、射出成形型907が示されている。このプロセスで形成されるプラスティックボディは複数の発光半導体およびそれぞれの包囲部材を光学的に相互に分離する。発光半導体素子の発光側と導体フレームの出力側(発光半導体素子から遠い方の側)とは、モールド材料によって覆われない。
【0045】
図9のCには、発光半導体素子およびそれぞれの包囲部材を包囲するプラスティックボディ903が示されている。当該のプラスティックボディは射出成形型によって定められた形状を有しており、発光半導体素子の発光側も導体フレームの出力側(発光半導体素子から遠い方の側)も覆わない。プラスティックボディは複数の発光半導体素子およびそれぞれの包囲部材を光学的に相互に分離する。
【0046】
図9のDには、保護素子を取り除いた後のデバイスが示されている。保護素子が充分な透光性を有する場合には、このステップは省略可能であり、透光性の保護素子がデバイスに形成される。
【0047】
図10のAには、蛍光変換層を備えた発光半導体素子105、支持体素子106および電気線路107を有するデバイスが示されている。蛍光変換層を備えた発光半導体素子は支持体素子上に被着されている。電気線路を介して所定の電圧が印加される。この実施例では、2×2個の発光半導体素子がそれぞれの包囲部材とともに配置されている。別の実施例として、多数の発光半導体素子、例えば13×66個の発光半導体素子および相応の包囲部材を支持体素子上に配置してもよい。
【0048】
図10のBには、蛍光変換層を含む発光半導体素子が2列に配置され、そのあいだに光学減衰素子108が配置される様子が示されている。光学減衰素子は、発光半導体素子およびそれぞれの包囲部材が光学的に相互に分離される高さを有する。図示の実施例では、2列の発光半導体素子が光学的に相互に分離されている。光学減衰素子は格子状に構成することもでき、この場合には隣接する発光半導体素子どうしが光学的に分離される。
【0049】
光学減衰素子は、支持体素子に発光半導体素子を実装する前に、支持体素子上に配置される。こうした支持体素子および光学減衰素子が
図10のCに示されている。
【0050】
図10のCには、電気線路およびチップ端子面109を備えた支持体素子が示されている。光学減衰素子はチップ端子面のあいだに配置されている。支持体素子上に発光半導体素子が被着されると、
図10のBに示されているようなデバイスが得られる。支持体素子および光学減衰素子は例えばセラミックから一体に形成することもでき、この場合、その上に発光半導体素子が実装される。
【0051】
図11のAには、蛍光変換層を備えた発光半導体素子113,119、フレーム114、モールド材料115、電気線路116、支持体素子117および型118が示されている。発光半導体素子は支持体素子上に配置され、電気線路を介して所定の電圧が供給される。フレームは、支持体素子上の、モールド材料の充填領域が包囲されるように配置される。
【0052】
モールド材料は上方の型から支持体素子への型押しにより押し付けられる。型はモールド材料をプレスすべき箇所に孔を有する。モールド材料は押圧によって支持体素子上へ広がり、その後で硬化されるが、その広がりはフレームによって制限される。モールド材料は発光半導体素子の発光面を覆わない。上方に配置された型によって多量のモールド材料が押圧され、支持体素子上で蛍光変換層を含む発光半導体素子を光学的に分離するのに充分な高さを有するようになり、しかも発光面は覆われないのである。
【0053】
図11のBには、モールド材料115から形成されるボディ110、支持体素子および包囲部材を備えた発光半導体素子を有するデバイスが示されている。ボディはデバイスに押し付けられている。蛍光変換層を含む発光半導体素子のうち発光面のみが露出されており、他の面はモールド材料によって包囲されている。モールド材料によって覆われる支持体素子上の領域はフレームによって定められる。
【0054】
支持体素子上に複数のフレームが配置され、これにより複数のボディを1つの支持体素子上に形成することができる。フレームは、蛍光変換層を含む発光半導体素子を光学的に分離するためのボディが形成される領域を1つずつ含む。
【0055】
図12のAには、透光性カバー122が示されている。当該の透光性カバーは蛍光変換層を含む発光半導体素子のデバイスを外部影響から保護するために用いられる。このカバーは透光性であり、発光半導体素子および蛍光変換層から放出された光の波長領域をできるだけ吸収しないようにまたは反射しないように選定されている。
【0056】
この実施例では、デバイスから放出される光の領域は約380nm〜780nmの可視領域にある。ただし、カバーは、780nm〜1mmの赤外領域の光または1nm〜380nmの紫外領域の光に対して、透光性を有していてもよい。カバーが光学的機能を満たすようにすることもできる。例えばカバーをレンズとして、またはレンズとして作用する領域を含むように構成できる。
【0057】
図12のBには光学減衰素子123が示されている。当該の光学減衰素子はできるだけ光を透過しないように構成され、カバーに覆われるべき複数の発光半導体素子を光学的に分離できる位置に配置される。光学減衰素子は、カバーに覆われる複数の発光半導体素子を相互にできるだけ近接して配置できるように構成される。
【0058】
光学減衰素子は例えばアノードボンディングによってカバーに接合することができる。例えば光学減衰素子はアノードボンディングされたケイ素条片である。別の実施例では、光学減衰素子はカバーに接着または圧着される。
【0059】
別の実施例では、光学減衰素子はカバーの成形部として形成される。この成形部には不透光性材料がコーティングされる。つまり成形部には、例えばめっきプロセスによって金属パターンが被着される。
【0060】
図12のCには、蛍光変換層を含む発光半導体素子121が光学減衰素子を備えたカバーによって覆われる様子が示されている。カバーは蛍光変換層を含む発光半導体素子の上方に配置され、光学減衰素子が隣接する発光半導体素子および蛍光変換層のあいだに位置してこれらを分離する。
【0061】
図13のAには、透光性カバー132および不透光性層131が示されている。カバーは不透光性層に接合されている。カバーは例えばガラスから形成される。不透光性層は例えばカバーにアノードボンディングされたケイ素層である。
【0062】
図13のBには、エッチマスク134が示されている。エッチマスクはスルーホールエッチングに用いられ、エッチングプロセスの後、ガラスカバーの所定の位置、すなわち、蛍光変換層を含む複数の発光半導体素子が相互に光学的に分離される位置に光学減衰素子が生じるように形成されている。
【0063】
エッチマスクは例えばケイ素酸化物SiOまたはケイ素窒化物SiNから形成される。ここで、マスクパターンを狭くし、エッチング材料がマスク下方に侵入してアンダカットが生じるようにすることにより、くさび形の光学減衰素子を形成することができる。こうしたくさび形の光学減衰素子の角度は例えば54.7°である。エッチング材料は例えばカリウム水酸化物KOHまたはエチレンジアミンピロカテコールEDPである。カバーのうち発光半導体素子からの光を阻止すべきでない領域は、不透光性層をエッチングすることによって露出される。
【0064】
図13のCには、エッチングプロセス後の光学減衰素子133を備えたカバーが示されている。光学減衰素子は、カバーに覆われるべき複数の発光半導体素子を相互に光学的に分離する位置に、くさび形に形成されている。当該の光学減衰素子は発光半導体素子とその包囲部材とのあいだに達する充分な高さを有している。当該の光学減衰素子はカバーに覆われる複数の発光半導体素子をできるだけ近接して配置できる形状を有している。