(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工事現場にパイプ材などを用いて仮設された足場に、外周縁にハトメを有する矩形の養生シートを張設するために当該足場の縦地パイプ材の間に架設されるテンションレールが、その両端部に、前記パイプ材に結合されるクランプ部を有すると共に、当該テンションレールの両端部の間においてスライド自在に設けたランナ部材の前面側に前記シートのハトメを掛止して支持する上向きフックと下向きフックを突出させて形成されており、このように形成されたテンションレールを、前記足場の縦地パイプ材の少なくとも最上位部と最下位部に前記クランプ部において架設すると共に、架設した前記テンションレールが備えた上向きと下向きのフックに前記養生シートの上端辺と下端辺のハトメを夫々に掛止し、前記クランプ部の縦地パイプ材上での位置を調節することにより、前記シートの張り具合を調整する一方、ランナ部材を前記レール上でスライドさせることにより、前記養生シートを縦地パイプ材の間で開閉できるようにしたことを特徴とする足場養生シートの開閉・緊張装置。
請求項1のテンションレールが上部と下部に架設された2本の縦地パイプ材の高さ方向の中間部に請求項1のテンションレールを中間テンションレールとして架設し、該中間テンションレールより上方に設けられたシート下端辺のハトメを当該中間テンションレールの下向きフックに掛止すると共に、当該中間テンションレールより下方に設けられたシートの上端辺のハトメを上向きフックに掛止することにより、上下方向で隣接する養生シートの対向する上、下端辺を支持するようにした請求項1に記載の開閉・緊張装置。
足場の縦地パイプ材の下部に設けたテンションレールの下方に、両端に前記クランプ部と同様のクランプ部を設けた固定レールをそのクランプ部において架設し、前記養生シートの下辺側を前記固定レールの下面側を通してターンし前記下部のテンションレールに向け、当該前記テンションレールの上向きフックに当該シートの下辺のハトメを掛止させ、少なくとも前記テンションレール又は固定レールを前記パイプ材上での位置を変更し、前記養生シートの緊張度合を調整するようにした請求項1又は2に記載の開閉・緊張装置。
縦地パイプ材に結合されるテンションレールのクランプ部は、前記パイプ材に対して前方位置又は後方位置を選択するため前記テンションレールの軸回りに180度回転させて前記パイプ材に結合させるようにした請求項1〜3のいずれかに記載の開閉・緊張装置。
テンションレールの左右端部に設けたクランプ部は、左右のクランプ部の高さをレール部材の中心軸に関して上下対称な位置となるように設けた請求項4に記載の開閉・緊張装置。
クランプ部は、縦地パイプ材を左右から抱く平面視略U状の挟持部材と、この挟持部材の先端部に設けた通し穴に打込んで前記挟持部材と一体に協働して前記パイプ材を囲んで緊結する楔部材とから成る請求項1〜5のいずれかに記載の開閉・緊張装置。
ランナ部材に設ける側面視略L状のフックは、上位のフックが前記L状の縦片を下向きに、下位のフックが前記L状の縦片を上向きに設け、かつ、両フックの縦片を傾斜させて略平行な姿勢で設けることにより、夫々のフックへのハトメの掛止、離脱操作が互いに干渉しないようにした請求項1〜6のいずれかに記載の開閉・緊張装置。
テンションレールは、その長さ方向両端部に養生シートの幅方向両端部のハトメを掛止する略L状のフックを、その縦片を下向きと上向きにし且つ当該縦片を傾斜させてほぼ平行な上下の固定フックを備えた請求項1〜7のいずれかに記載の開閉・緊張設置。
足場の縦地パイプ材に架設する請求項1〜6に記載のテンションレールに代えて、前記縦地パイプ材の上部に架設するテンションレールにはランナ部材に上向きフックを設けたレール部材を上部ハンガーレールとして、前記パイプ材の下部に架設するテンションレールにはランナ部材に下向きフックを設けたレール部材を下部ハンガーレールとして、前記パイプ材の中間部に架設するテンションレールにはランナ部材に上向きフックと下向きフックを設けたレール部材を中間ハンガーレールとして、それぞれ前記足場の縦地パイプ材に架設するようにしたことを特徴とする足場養生シートの開閉・緊張装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、工事現場に仮設された外部足場に、工事用シートを設置した後に開閉できるようにした養生シートの設置技術は、特許文献1〜3などにより知られている。
【0003】
しかし、特許文献1〜3などにより知られている工事用シートの開閉構造は、開閉のために巻上げ機などの動力源を不可欠としたり、開閉のために伝動機構を必要としたりして複雑な機構や構造となってしまうため、用済み後には分解,撤去される足場養生シートのような仮設の設備としては、適切といえない面が多々あった。
【0004】
この点に鑑み、本願の発明者は、先に、動力源や滑車等の伝動機構を一切用いないきわめてシンプルな構造によって現場工事用の養生シートを仮設足場にピンと張って設ける(緊張設置する)ことができ、しかも緊張設置した前記養生シートを、縦方向のシート単位で謂わばカーテンのように自在に開閉させることを可能にした工事現場の足場養生シートの開閉・緊張装置を、特願2013−246144号として先に提案している。
【0005】
先に提案した発明(以下、単に「先の発明」という)に係る足場養生シートの開閉・緊張装置は、工事現場にパイプ材などを用いて仮設された足場に、外周縁にハトメを有する養生シートを張設するために当該足場の縦地パイプ材の間に架設される2種類〜3種類のハンガーレールを用いて養生シートを張る装置であった。すなわち、前記ハンガーレールは、そのレールの両端部か又は該両端部より内側に、前記パイプ材に結合されるクランプ部を設けると共に、当該レールの中間部に、前面側に前記シートのハトメを掛止めて支持するための略L状のフックを突出させランナ部材を前記レールにスライド自在に跨設して形成されたものである。
そして前記ハンガーレールの使用態様は、養生シートを足場に張るためその足場の平行な2本の縦地パイプ材の最上位部と最下位部およびこれらの中間部位に、上部ハンガーレール、下部ハンガーレールおよび中間ハンガーレールを架設する態様である。すなわち、足場の上部、下部、中間部において張設する養生シートのハトメを掛止するために、各ハンガーレールに取り付けられているフックは、ハンガーレールごとに向きを違えて設けられている。つまり先の発明による養生シート張設装置は、足場の上部、下部、中間部においてフックの向きが異なる専用ハンガーレールを不可欠とする装置であった。
上記先の発明の装置では、縦地パイプ材に対し一例として下部ハンガーレールのクランプ部を緊張、弛緩させることによって当該レールの前記パイプ材上での上下方向での位置を調節して前記シートの緊張度合を調整できると共に、前記シートを弛緩させたとき、前記ランナ部材を前記レール上でスライドさせて前記シートを縦地パイプ材の間で開閉できるという画期的性能を発揮させることができた。
【0006】
なお、先の発明の装置では、前記クランプ部に、単管等のパイプ材に用いられているジョー開閉式のボルト締結クランプのほか、縦地パイプ材を抱く略U状の挟持片とこの挟持片に結合して前記パイプ材を囲んで閉じるようになった楔式クランプを用いることができる。また、クランプ部としては、楔緊締式足場の手摺や横架材(いずれもパイプ材)の両端に設けられている楔部材を適用することもできた。この場合の足場支柱は前記楔部材と結合される楔受けを備えている。
【0007】
また、先の発明においては、2本の縦地パイプ材の間に架設された上,下のハンガーレールに挟まれた当該縦地パイプ材の高さ方向の中間部に、その部より上方に設けられた養生シートの下端辺のハトメを掛止する上位のハンガーレールと、当該ハンガーレールより下方に設けられた前記養生シートの上端辺のハトメを掛止する下位のハンガーレールとを、上下で重ねて合体形態とし、この合体レールを中間ハンガーレールの例としている。
【0008】
上記中間ハンガーレールにおいて、上位の中間ハンガーレールのフックは略L状の縦片が下向きであるが、下位の中間ハンガーレールのフックは略L状の縦片が上向きに設けている。上,下のフックは、両者の縦片を平行な姿勢で傾斜させ、夫々のフックへのハトメの挿脱において干渉を回避している。
【0009】
先の発明では、前に足場における下部ハンガーレールの下方に、前記クランプ部と同じクランプ部を両端に設けた張り調節バーをこの足場の縦地パイプ材に架設し、当該バーに、養生シートの下辺側を通してターンさせ、下部ハンガーレールのフックに当該シートの下辺のハトメを掛止させる設置形態を採っている。
【0010】
上記のように、先の発明では、パイプ材などで仮設された足場に、外周縁にハトメを有する養生シートを張設するため、当該足場の縦地パイプ材の間にクランプ部により架設した上部,下部のハンガーレールが備えたフックに養生シートのハトメを掛止し、前記クランプ部をパイプ材に対し緊締したり弛緩することにより、当該レールの縦地パイプ材上での上下位置を調節し前記養生シートの緊張度合を調整すると共に、当該養生シートが緩められたとき、前記レール上のランナ部材を左右にスライドさせて前記養生シートを縦地パイプ材の間で開閉できるようにしたことにより、特別な動力源や機構を用いることなく、足場養生シートを足場にピンとした緊張状態で設置することができると共に、このシートを緩めて謂わばカーテンのように足場に対して開閉自在に設置することができる点で、画期的なものであったが、未だ解決すべき課題もあることが判った。
【0011】
すなわち、その問題点は、先の発明における足場の縦地パイプ材に架設される上部ハンガーレールと下部ハンガーレール、並びに、中間ハンガーレールの構成が、前記レールが具備するランナ部材に設けたハトメ係止用のフックの向きが相違していること等によって単一形態の部品ではないため、足場養生ネットの設置装置のための部品の種類や点数が多くなって、部品の運搬や管理が煩雑になるのみならず、設置にあたっては、使用する各ハンガーレールの適用位置を間違わないようにするために余計な気遣いを必要として、養生シートの効率的な設置作業を行い難いという点である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態例の説明に先立ち、先の発明に係る養生シートの張設装置とその使用形態例について
図1〜
図7を参照して説明する。
図1〜
図4において、1は、工事現場を囲むように単管などのパイプ材で構築されて設置された足場における隣接して立設された2本をペアとする縦地単管(以下、本明細書では縦地パイプ材ともいう。)である。足場は、複数のペアをなす単管1(縦地パイプ1)と各単管1を水平方向で連結する横方向(水平方向)のパイプ材など(図示せず)により構成されるが、
図1,
図2ではこの足場構造のうちペアをなす2本の縦地パイプ材と最上位の水平な手摺りパイプ1Aを示している。
【0020】
図1と
図2において、2は、左右の縦地パイプ材1,1の間における最上位部近辺に架設した上部ハンガーレール、3は前記パイプ材1,1の中間部位近辺に架設した中間ハンガーレール、4は前記単管1,1の最下位部近辺に架設した下部ハンガーレール、
図2の5は前記ハンガーレール2,3,4に張設する養生シート6を上下方向でピンと張るための張り調節バーであり、前記の上部ハンガーレール2,中間ハンガーレール3,下部ハンガーレール4の各レールと張り調節バー5は、以下に説明する構成を夫々に具備することにより、先の出願に係る養生シートの設置装置を形成している。なお、養生シート6(以下、単にシート6ということもある)は、その外周縁上に、適宜定ピッチで当該シートの張設や接続のために使用されるハトメ6aを備えたものである。
【0021】
図3,
図4において、上部ハンガーレール2は、レール部材2aの左右(長さ方向)の両端近くに、手摺パイプ1Aに結合される2つのクランプ部21を後ろ向きに備えていると共に、当該レールの左右の両端部に、固定された側面から視て略L字状をなす2つ固定フック22を備えている。
前記レール部材2aの両端に設けた左右の固定フック22,22に挟まれたレール部材2aの中間には、当該レール部材2aを跨ぎ、かつ、このレール部材2aの上で自由にスライドできるようになった断面が大略逆U状のランナ部材23を複数個、
図2の例では5個をスライド可能にマウントして備えている。
前記の各ランナ部材23の前面には、上記の固定フック22と同形態(側面視大略L状)のフック23aが設けられている。前記の各フック22と23aは、養生シート6のハトメ6aを掛止するためのフックである。
【0022】
図3のクランプ部21は、
図5に例示したように、ハンガーレール2のレール部材2aに後向きに設けられた短い取付アーム21aの後端部に、手摺パイプ1Aを上下から抱くように挟む大略コ状に一体に形成された上下の挟持片21b,21cを後向きに設けて形成されている。そして、前記の上下の挟持片21b,21cには、中心軸を共有する長穴21d,21eが形成されていて、両長穴21d,21eにその上方から楔状の結合片21f(ウェッジ21fということもある)を打込むことにより、大略コ状の挟持片21b,21cが結合片21fと一体になって手摺パイプ1Aを囲む形で閉じられ、当該手摺パイプ1Aをその外周面から強固に掴む態様で保持するように形成されている。
【0023】
なお、前記クランプ部21は、図示しないが、単管等のパイプ材に用いられているジョー開閉式のボルト締結式のクランプを用いることができる。また、前記クランプ部21としては、楔緊締式足場の手摺や横架材(いずれもパイプ材)の両端に設けられている楔部材と足場支柱に設けられている楔受けによるクランプ構造を適用することも出来る。
【0024】
上部ハンガーレール2においてレール部材2aの両側端部に設けた固定フック22,22には、シート6の上辺における左右側端部のハトメ6aが掛止され、また、レール部材2aの中間部にスライド自在にマウントされた各ランナ部材23の夫々のフック23aには前記シート6の両端のハトメ6aの間に存在するハトメ6aを掛止する態様を斜視図で示したものである。
【0025】
先の出願のシート設置装置では、
図1に例示したように上,下2枚のシート6枚の接合部位に中間ハンガーレール3が配置されるが、この中間ハンガーレール3は、上部ハンガーレール2と同様のレール部材2aの2本を上下で重ねた態様で形成されたものである。
すなわち、中間ハンガーレール3は、まず、上部ハンガーレール2のレール部材2aと同じレール部材3a,3bの2本を、これらのレール部材両端部に配設したレール結束金具32,32によって上下で重ねた状態に結束,結合されている。左右の前記結束金具32,32は、それら背面に、左右の縦地単管1,1にクランプされるクランプ部31,31を具備すると共に、該結束金具32,33の前面の上下に、下向きフック32a,32aと上向きフック32b,32bとを設けて形成されている。
【0026】
ここで、前記結束金具32は上下で平行なレール部材3aと3bに外嵌するため、断面が略日の字状をなすように、中間にスペーサ部を介在させて上,下のレールの部材3a,3bに外嵌される上下2つの角穴部により形成され、該金具32の前面に、下向きフック32aと上向きフック32bを上,下に並べて設け備えると共に、当該金具32の背面にクランプ部31を具備している。この、クランプ部31は
図4で説明したクランプ部21と同一構造物であるが、その配置向きが90度異なっている。
【0027】
上記の中間ハンガーレール3においてその左右両端の結束金具32,32に挟まれた中間部には、上,下のレール部材3a,3bに、跨設態様でマウントされた上,下のランナ部材33,34が、レール部材3a,3bに対して夫々にスライド自在に跨設されている。ここで、二つのランナ部材33と34をレール部材3a,3bに対して一体化した状態での跨設態様とするか、分離した状態での跨設態様とするかは任意である。
【0028】
上記の中間ハンガーレール3は、
図1に示すように、足場で上位に位置したシート6の下辺のハトメ6aを、上位のレール部材3aの下向きフック32aに掛止する一方、下位に位置したシート6の上辺のハトメ6aを下位のレール部材3bの上向きフック32bに掛止することにより、上下方向に連設される2枚のシート6,6の隣接部分を支持する養生シート設置装置の一部として機能する。従って、例えば
図1の上位のシート6の左端又は右端のハトメ6aをフック32aから外せば、上位のシート6を、カーテンを開閉するようにハンガーレール2と3の上でスライドさせ、上位のシート6を足場に対して開閉することができる。
【0029】
図1に例示した足場における最下部に架設する下部ハンガーレール4は、基本的構成が、先により説明した上部ハンガーレール2、中間ハンガーレール2と共通部が多く大きな相違点はないので、以下では上部ハンガーレール2,中間ハンガーレール3との共通点並びに相違点を中心に説明する。
【0030】
図1において、下部ハンガーレール4は、左右の外側端面に、その外側面で回転できるように取付アーム41aを設け、この取付アーム41aを介してクランプ部41が、前記レール部材4a中心軸に関してその位置を、上下乃至前後に変更できるようになっている。
前記クランプ部41の構造は、
図5で説明したクランプ部21と同一構造であり、クランプ対象が直立した縦地パイプ材1,1であることにより、
図4に示した当該クランプ部41の向きが、90度回転した姿勢である点で
図7の中間ハンガーレール3のクランプ部31と同じ向きであるが、
図4のクランプ部21とは向きが異なっている。
【0031】
前記下部ハンガーレール4のレール部材4aの左右両端部の前面には、固定フック42,42が設けられているが両固定フック42,42に挟まれたレール部材の中間部には、ランナ部材43が、ここでは5個設けられている。
各ランナ部材43は、先に述べた中間ハンガーレール3のレール部材3aに設けたランナ部材33と同様の構成である。すなわち、ランナ部材43は断面略口状のランナ43aとこのランナ43aの上部に下向きに設けたフック43bとから成る。なお、ランナ部材43は、フック43aの後方部分がそのままランナ43aを貫通するように後方へ延長された形態で設けられている。
【0032】
上記の下部ハンガーレール4は、
図1に例示したように足場の縦地パイプ材1,1の下部に、左右のクランプ部41,41において結合されることにより架設され、シート6の下辺に並んだハトメ6aのうちシート6の左右両端部のハトメ6aを左右の固定フック42に、中間部のハトメ6aを各ランナ部材43の各フック43bに夫々に掛止することにより、養生シート6の下辺を足場に張設する。
【0033】
下部ハンガーレール4に設けたクランプ部41は、中間ガイドレール3のクランプ部31と同じ構造の楔式クランプであるが、この下部ハンガーレール4のクランプ部41はレール部材4aの中心軸と平行な軸に関して前後に180度回転させて位置決めできるように設けられている。
【0034】
すなわち、
図4においてレール部材4aの左右両端に設けてクランプ部41は、レール部材4aの後方に向けて設けられているが、この向きを、レール部材4aに関し前向きに変更できるようになっている。クランプ部41の回転のための構造は、クランプ部41の平面略コ状の抱持片41cと、該抱持片41cをレール材部4aの両端に結合する取付アーム41a,41bと、両アーム41a,41bの関節として作用するボルト部41cから成り、該ボルト部41cを緩めることによって前記抱持片41cを180度回転させて位置決めできるようになっている。なお、クランプ部41がボルト部41cの自律的な緩み等により勝手に回転しないように、ピン等によるストップ部材を取付アーム41bに設けることがある。
【0035】
クランプ部41の位置を、レール部材4aに関して前後に位置変更できるようにしたのは、下部ハンガーレール4が
図1の使用態様(クランプ部41がレール部材4aにより後方(向こう側)に位置すると、
図2の使用態様(クランプ部41がレール部4aにより手前に位置する)に、同じ1本のハンガーレール4で対応するためである。
【0036】
図7は、シート6の張り具合を調節するため、下部ハンガーレール4と併用する張り調節レール5(以下、固定レール5という)を説明するための斜視図であり、この固定レール5と下部ハンガーレール4の協働作用させる使用態様は、
図2に示されている。
【0037】
固定レール5は、
図7に例示したように上方から降ろされるシート6の下部側を、このバー5の下側を回して上向きにターンさせる部材である。ターンして上向きになった当該シート6は上向きになったシート下辺のハトメ6aがこの固定レール5の上方に架設されている下部ハンガーレール4の上向きフック42,43bに掛止される。このとき、この固定レール5、又は、下部ハンガーレール4を縦地パイプ材1,1の上で下方、又は上方へ動かすことにより、このシート6を、その上下方向での張り状態のテンションを調整することができる。すなわち固定レール5はシート6をピンと張るための部材でもある。この固定レール5は次の構成を具備している。
【0038】
図7の固定レールは、一例として丸棒やパイプ材をバー部材5aに形成し、このバー部材5aの左右端の外面に、このバー部材5aの軸上で回転可能にした取付アーム51aを備えている。該取付アーム51aは、先端側にクランプ部51を具備するとともに、このアーム51aの下部に、図示しない緊張器(テンショナー)の緊張用フックを係止するための穴51bを備えている断面略L状の連結部52を取付アーム51aと一体に形成している。なお、固定レール5のクランプ部51は、先に説明した各クランプ部21,31,41と同じ構造のものである。51cはクランプ部51の楔部材である。
【0039】
先の発明は以上に述べた通り、足場を形成している縦地単管のような平行に立設した縦地パイプ材1,1に、最上位部には上部ハンガーレール2を、最下位部には下部ハンガーレール4か又は該レール4と固定レール5を、また、必要があれば縦地パイプ材1,1の高さ方向の中間部に、中間ハンガーレール3を架設し、前記の各レールのフックにシートのハトメを掛止してこの足場に養生シートを張設している。このため、夫々に構成が異なる上下のハンガーレール2,4と必要に応じて用いる中間ハンガーレール3や固定レール5によってシート張設装置を形成していた。
この装置は各ハンガーレール2〜4のフックに養生シート6のハトメ6aを掛止することにより、養生シート6を足場にピンと張って設けることができ、また、そのように張設した前記シート6を、その張りを緩めてハンガーレール2〜4の上をスライドする各ランナ部材23,33,34,43の作用で謂わばカーテンのように自由に開閉できるという画期的なものであったが、未だに解決すべき問題点もあった。
【0040】
そこで、先の発明の養生シート張設装置の上記問題点を解決すべく完成されたのが本発明である。本発明による養生シート開閉・緊張装置の実施の形態例について
図8〜
図17を参照して以下に説明する。
すなわち、本発明では、先の発明において、上部ハンガーレール2、下部ハンガーレール4、中間ハンガーレール3として個別の構造で形成されていた上記三種類のハンガーレール2,3,4を共通の構造、つまり単一構造のレールとして構成した。本発明では、この共通化した単一仕様のレールを、テンションレール100と呼ぶ。次に本発明のテンションレール100の構成について
図8〜
図12により説明する。
【0041】
図8のテンションレール100は、先の発明のレール部材2と同等のレール部材100aと、該レール部材100aの左右両端に位置を固定して設けた固定フック100b,100cと、前記レール部材100aにおいて前記固定フック100b,100cに挟まれた中間部に当該レール部材100aにスライド自在にマウント(跨設)した複数のランナ部材100dと、各ランナ部材100dの前面において、その上,下部に設けた上位のフックは下向きで、および下位のフックは上向きで設けたフック100e,100fを備えていると共に、当該レール部材100aの左右外側端面に支持された左右のクランプ部101と102を具備している(
図8,
図10参照)。なお、左右の固定フック100b,100cは、ランナ部材100dの上,下向きのフック100e,100fと同様に、上向きと下向きのペアをなすフックで形成されている。
【0042】
左右のクランプ部101,102は、左右で対称な同一形態のものであるから、ここではクランプ部101についての
図9〜
図12により説明する。
レール部材100aの両端には、当該レール部材100aの軸に関して正立又は倒立した姿勢のブラケット部材101a,102aが設けられている。このブラケット部材101a,102aの先端部には、平面視略U状のクランプ部材101b,102bの背面に設けられた支持アーム部101c,102cが結合ボルト101d,102dによって緊締・弛緩自在に結合されている(
図9〜
図12参照)。
【0043】
図11、
図12に示すように、略U状のクランプ部材101b(102b)の先端側には、楔部材101e(102)を打込むための通し孔101f(102f)が形成されている。また、楔部材101e(102e)が打込まれる孔101f(102f)に対して、打込まれる楔部材101e(102e)を受け入れて抜止めストッパとして作用する穴101g(102g)を形成したストッパ片101h(102h)がクランプ部材101b(102b)の一片側に軸101iにより定位置に枢着して設けられている。
上記ストッパ片101hは、軸101jによって定位置旋回構造で設けたが、
図13に示すストッパ片101hの別例は、ストッパ片101hに長穴101kを設け、該長穴101kを軸101jにより止めて該ストッパ片101hを長穴101kに沿ってスライドと旋回ができるようにした。これにより前記例の穴101gはその穴径と同幅の切欠き(スリット)101mに形成した。この構成によりストッパ片101hの別例は、楔部材101eの打込み、抜去においてストッパ片101hの起立部101nを前進側又は後退側にハンマー等で叩いてスリット101mを楔部材101eの先端部に係合させたりその係合を解いたりするようにした。
なお、クランプ部材102については図示しないが、上記クランプ部101と同じ構造であるから
図11におけるアルファベット符号の前の数字が102になる(
図11参照)。
【0044】
上記のクランプ部材101(102)は、
図9(a)(b)に例示したように、レール部材100aの軸に関して今の姿勢(
図9(a)の位置)から180度回転(
図9(b)の位置)させることができる機能が付与されている。
この機能を付与する理由は次の通りである。すなわち、クランプ部101(102)は、通常、レール部材100aを縦地パイプ材1に対して前方(足場の前方)に位置づけて架設するため、そのレール部材100aの後面側に位置している(
図8、
図14、
図15参照)。これに対して前方位置を選択するのは、固定レール103を使用して設置する養生シートに張りを与える場合(
図15参照)、レール部材100aを縦地パイプ材1の後面側に位置させるためである。
【0045】
次に、上記の位置選択のための構造例について説明する。
レール部材100aの左右外側端面に設けたブラケット部材101a(102a)と、クランプ部材101b(102b)の背面に設けられている支持アーム部101c(102c)とを結合しているボルト101d(102d)を緩めると、
図9(a)に示すようにブラケット部101全体を該ボルト101dの上で引抜き加減に変位(スライド)させることができるように形成している。
【0046】
この状態で、スライドさせたブラケット部101を、結合ボルト101d(102d)を中心に180度回転(
図8の回転矢印を参照)させてブラケット部101(102d)のレール部材100aに対する位置を180度回転させて変更することができる(
図9(b)参照)。位置を変えたら緩めていたボルト101d(102d)を再び締め込んでその変更位置を固定する。
【0047】
上記のブラケット部101(102)の位置変更(180度回転、
図9参照)において、結合ボルト101d(102d)を緩めてブラケット部101を該ボルト101dの上を少しスライドさせるのは、ブラケット部材101bの背面に設けた支持アーム部101cにブラケット部材101bの自律回転を阻止する阻止ブロック101jが設けられているからである。
すなわち、養生シートを張って使用中のブラケット部101(102)に、万一、前記結合ボルト101d(102d)の緩みが生じると、ブラケット部101(102)に対してレール部100aが動いてしまい、養生シートに弛みが生じて不都合である。そこでブラケット部101(102)の勝手な回転を阻止する阻止ブロック101j(102j)を設け、ブラケット部101の位置を変更する回転操作時には、この阻止ブロック101j(102j)を逃げて、ブラケット部101の回転を確保するようにしたのである。
【0048】
上述したように、本発明のテンションレール100は、両端部に設けたクランプ部101、102、すなわち、仮設足場の縦地単管1、1(縦地パイプ材1、1)にレール部材100aを架設するためのクランプ部101、102を設け、かつ、そのクランプ部101、102を、レール部材100aに対して180度回転させてその位置を固定できるようにしたことにより、足場の最上位部、中間部、最下位部のどの位置においても、同じテンションレール100を縦地単管1に取付ければ足りることになった。
ここで、本発明テンションレール100の左右に設けたクランプ部101、102は、レール部材100aの軸に関して上下対称な位置関係で設けられている。左右のクランプ部101と102をレール部材100aに関し上下対称な位置関係に設定したのは、足場の左右方向に同じ高さでテンションレール100を連続的に架設するとき、同じ縦地パイプ材1の上で隣のレール部材100aのクランプ部101と102とが干渉することが無いようにするためである。
【0049】
また、上記テンションレール100は、レール部材100aの左右両端に設けた固定フック100b、100cも中間部のレール上をスライドできるランナ部材100dに設けたフック100e、100fも、いずれも上向きフック100fと下向きフック100eを上、下で対向配置すると共に、両フックの縦向き片を、上下のフック100e、100fとも斜めの角度を付けて略平行姿勢で設けたことにより、養生シート6の上辺、下辺、並びに、該養生シート6の上下接合部の下辺と上辺のいずれの辺のハトメ6aであっても、すべて上記の各フック100b、100cと100e、100fに互いの操作が干渉することなく係止することができる(
図10、
図14、
図15参照)。
【0050】
さらに、本発明のテンションレール100は、
図16に示すように、縦地パイプ材1、1の下部に固定レール103を設けると共に、該固定レール103の上方に下部テンションレール100を設けて、上方から垂下する養生シート6を前記固定レール103を通して上方へ向けてターンさせ、ターンさせた当該シート6の下端辺の各ハトメ6aを、前記テンションレール100の各フック100b、100c、及び同100e、100fに掛止させることにより、仮囲いシートに出入口を形成するような養生シート6の張り方に使用できる。
【0051】
図16で用いた固定レール103は、一例として
図17に示す構成を備えたものである。なお、
図16の固定レール103の構成は
図2に示した先の発明における固定レール5と略同じ構成である。
図16、17において、103aはレール部材、103b、103cはレール部材103の両端に設けた取付アームで、そのアーム103b、103cの後方(
図17の右方)に先に述べたクランプ部101,102と同じ構成のクランプ部104、105を一体に具備している。クランプ部104,105は前記クランプ部101,102と同じ構造であるから説明は省く。前記取付アーム103b,103cの前方(
図17の手前側)には、断面略L状の連結部103d、103eが一体に設けられており、当該取付アーム103b,103cは前記連結部103d、103eの立壁においてレール部材103aの左右の外側端面に軸支されている。103f,103gは、前記連結部103d,103eの底壁に設けた図示しない緊張器の下方引張りフックを止める掛止孔である。緊張器は、養生シートに引っ張り力を加えるための巻上げ機等を利用した機器である。
【0052】
本発明のテンションレール100と固定レール103は、図示しないがレール部材100a,103aの長さが、足場ピッチ(縦地単管1、1の距離)によって、異なる長さのレール部材100a,103aが予め用意される。例えば、足場ピッチ1829mm、1524mm、1219mm、914mm、610mmのいずれかの縦地単管1、1に架設するため、レール部材100a,103aの長さが、前記各ピッチに合せて調整されたものが予め用意されるのである。また、使用するレール部材100a,103aの長さによって、レール部材に跨設させるフックを備えたランナ部材の個数も、例えば5個〜1個の間で予め調整されている。
【0053】
このように本発明では、レール部材の長さが複数種類あるテンションレール100と固定レール103が用意されるから、足場ピッチが小さくなっていることが多い足場の入隅部であっても、本発明のテンションレール100と固定レール103を用いて養生シートを張設することができる。
図18は入隅用に長さを短めに整えた本発明テンションレール100と固定レール103と通常長さのテンションレール100と固定レール103を用いて張設した養生シート6の設置例の要部の斜視図である。
【0054】
本発明は以上の通りであって、養生シートを足場に張設するために縦地単管に架設される部品を、足場の高さ方向どの部位(最上位、中間位、最下位)であっても架設できる構造を備えた単一構造のテンションレールにしたから、養生シートの張設に使用する部品の種類を共通化して合理化できるのみならず、当該レールの架設操作も養生シートの掛止操作も足場の位置に関係なく単一操作であるから、きわめて効率のよい養生シート張設を実現できる。
【0055】
また、縦地単管に架設したテンションレールは、シートをピンと張った状態で前記単管に強固にクランプでき、さらに前記テンションレールには、そのレールの上でスライドできるランナ部材を設け、このランナ部材に設けたフックに養生シートのハトメを掛止して当該シートを張設しているから、両端の固定フックからハトメを外せばそのシートを前記レール上で恰もカーテンのように容易に開閉することができる。
以上の説明において縦地単管や縦地パイプ材には足場の縦地を形成するものであれば本発明の縦地パイプ材には管やパイプ材以外の材料を含むものとする。
【0056】
よって本発明は養生シートを足場に開閉自在および緊張状態に張設する装置としてきわめて有用である。