(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の周辺監視装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された周辺監視装置は、自動車の車庫入れ時等の周辺監視に用いられるものであるため、ダンプトラックにそのまま適用することは困難である。
具体的には、ダンプトラックでは、自動車と違って運転席から目視できる範囲が小さいために広い周辺監視範囲をカバーする必要があり、死角が生じないように複数のカメラを適切に設置する必要がある。しかし、ダンプトラックの場合には、車両形状等による制約があるため、この制約を考慮しつつ、広い周辺監視範囲をカバーするようにカメラ配置を適正化する必要がある。
【0006】
本発明の課題は、ダンプトラックの形状等の制約を考慮しつつ、複数のカメラ配置を適正化することで、死角のない周辺監視を行うことが可能なダンプトラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るダンプトラックは、複数のカメラが搭載されており、複数のカメラによって得られる画像を組み合わせた俯瞰画像を用いて周辺監視を行うダンプトラックであって、車体部と、前方カメラと、後方カメラと、側方カメラと、を備えている。車体部は、運転席が配置されるアッパデッキ部および前後方向に沿って配置されたメインフレームを含む。前方カメラは、車体部の前方を
上から地面を見下ろすように撮像可能になるようにアッパデッキ部の前方に設置されている。後方カメラは、車体部の後方を撮像可能になるようにメインフレームの後端に設置されている。側方カメラは、車体部の斜め前方から斜め後方まで
上から地面を見下ろすように撮像可能になるようにアッパデッキ部における左右の側方にそれぞれ設けられている。側方カメラは、アッパデッキ部の側面前端部付近における左右のそれぞれに設けられたカメラを少なくとも有している。
少なくとも前記前方カメラ、前記側方カメラは、車体部の周囲であって車体部から所定範囲の撮像エリアにおいて、いずれかのカメラの撮像領域の一部の領域がアッパデッキ部の高さに対して半分の視野高さを有していない場合、そのカメラに隣接するカメラの撮像領域の一部の領域の視野高さが、アッパデッキ部の高さに対して半分以上を有するように、車体部上に配置されることにより、撮像対象物が重複領域における所定範囲内であって、アッパデッキ部の下方に存在するときに、撮像対象物の全体を俯瞰画像に表示する。
ここでは、前方カメラおよび左右の側方カメラをアッパデッキ部に設置し、後方カメラをメインフレームの後端に設置している。そして、ダンプトラックの車体部の側方前方から側方後方にかけて撮像範囲となるように、左右の側方カメラを設置している。
【0008】
一般的に、ダンプトラックは、車幅が5m以上になる等、自動車と比較して非常に車体が大きいため、運転席から目視確認できる車体外周における範囲は非常に狭くなる。このため、複数のカメラを車体部に設け、運転席内に設けられたモニタ画面等を介して周辺の障害物や人の有無を確認している。
本発明のダンプトラックでは、複数のカメラを設置する際に、カスタマイズされて交換されるおそれのあるベッセルや排気によって高温になる車体右側面後方付近等を避けて、車体部を構成するアッパデッキ部に前方カメラ、左右の側方カメラを、メインフレームの後端に後方カメラをそれぞれ設けている。
これにより、ダンプトラック特有のカメラ設置場所の制約を考慮しつつ、前方から左右の側方、後方までのほぼ全周囲をカバーできるように適切にカメラを配置することができる。この結果、ダンプトラックに対する複数のカメラの配置の適正化により、死角のない周辺監視を行うことができる。
【0010】
ここでは、ダンプトラックの周囲に存在する人を、カメラの撮像範囲に捕らえて俯瞰画像上に確実に表示させるために、隣接するカメラの一方が高さ方向においてアッパデッキ部の高さの半分以上の視野範囲を有するように、各カメラを配置している。
ここで、上記アッパデッキ部の高さとは、例えば、地上から4m以上を想定しており、その半分の高さとは、例えば、2.0m以上の範囲を意味している。
【0011】
通常、ダンプトラックのような大型車両においては、キャブ内の運転者からはキャブが設置されたアッパデッキ部よりも下方部分が視認しにくい状況にある。
これにより、高さ方向における視野範囲としてアッパデッキ部の高さの半分以上の高さを含むように各カメラを設置することで、キャブから特に視認しにくいアッパデッキ部の高さの半分の位置よりも下にある人等の障害物を確実に検知することができる。また、ダンプトラックの周囲に人(高さ1.5m〜2.0m)が存在する場合には、人がどの位置に移動しても、上半身や下半身だけの状態で表示されてしまうことを回避して、人全体を俯瞰画像上に表示することができる。この結果、俯瞰画像を用いた周辺監視をより確実なものとすることができる。
【0012】
第
2の発明に係るダンプトラックは、第
1の発明に係るダンプトラックであって、アッパデッキ部の側面前端部付近に設けられたカメラは、車体部の斜め後方を撮像し、側方カメラは、アッパデッキ部の前側面端部付近における左右のそれぞれに設けられ、車体部の斜め前方を撮像するカメラを更に有する。
ここでは、ダンプトラックの側方を撮像する側方カメラとして、車体部の斜め前方を撮像範囲とする第1カメラと、車体部の斜め後方を撮像範囲とする第2カメラと、をアッパデッキ部上に設けている。
これにより、前方カメラおよび後方カメラと合わせて、ダンプトラックの全周囲をできるだけゆがみの小さい状態で俯瞰画像上に表示することができる。よって、運転者にとってダンプトラックの周囲に存在する障害物を確認しやすくなり、安全性を向上させることができる。
【0013】
第
3の発明に係るダンプトラックは、第1
または第
2の発
明に係るダンプトラックであって、側方カメラは、前輪よりも前側に設けられている。
【0014】
第
4の発明に係るダンプトラックは、第1から第
3の発明のいずれか1つに係るダンプトラックであって、後方カメラは、2つの後輪を連結するアスクルの上方、かつベッセルの回動軸付近に配置されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るダンプトラックによれば、ダンプトラックの形状等の制約を考慮しつつ、複数のカメラ配置を適正化することで、死角のない周辺監視を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るダンプトラックについて、
図1〜
図16(c)を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」とは、運転席に着座して正面を向いている運転者から見た方向を基準とする方向を意味しており、「車幅方向」とは、「左右方向」と同義である。
【0018】
[ダンプトラック1全体の構成]
本実施形態に係るダンプトラック1は、鉱山作業などに用いられる自走式の超大型作業車両であって、約5mを超える車幅を有している。
ダンプトラック1は、
図1に示すように、主として、車体フレーム(メインフレーム)2と、キャブ3と、ベッセル4と、左右一対の前輪5および後輪6と、図示しない給電用のパンタグラフを設置するベース7と、車両周囲を監視する周辺監視装置10(
図3参照)と、を備えている。なお、周辺監視装置10の構成および動作については、後段にて詳述する。
【0019】
車体フレーム2は、図示しないディーゼルエンジンやトランスミッション等の動力機構やその他の補機類を支持している。また、車体フレーム2の前部に左右一対の前輪5、後部に左右一対の後輪6がそれぞれ支持されている。車体フレーム2は、地面に近い側に設けられたロアデッキ部2Aと、ロアデッキ部2Aの上方に設けられたアッパデッキ部2Bと、を有している。
【0020】
ロアデッキ部2Aと地面との間には、乗降用の可動式ラダー2Cが2つ設けられている。また、ロアデッキ部2Aとアッパデッキ部2Bとの間には、ロアデッキ部2Aとアッパデッキ部2B間を行き来するための斜めラダー2Dが設けられている。さらに、アッパデッキ部2B上には、アッパデッキ部2Bの外周部分に沿って移動用の柵状の手すりが固定されている。なお、本実施形態のダンプトラック1では、ラダー2C,2Dについては、アッパデッキ部2Bおよびロアデッキ部2Aの一部であるものとする。
【0021】
キャブ3は、アッパデッキ部2B上における車幅方向の中央から左寄りの位置に配置され、
図2に示すように、4本の支柱3a,3b,3c,3dによって構成されるROPS(Roll-Over Protection Structure:転倒時保護構造)を有している。運転者は、車体左側の路肩を容易に確認できる状態で走行するが、車体の周囲確認を行うためには頭を大きく動かす必要がある。また、アッパデッキ部2Bには、車両の周囲を確認するために、図示しないサイドミラーが複数設けられている。これらのサイドミラーは、キャブ3から離れた位置にあるため、運転者はサイドミラーを用いて周囲確認を行う際にも頭を大きく動かす必要がある。
【0022】
キャブ3内には、
図2に示すように、運転席31、ハンドル32、ダッシュカバー33、無線装置34、ラジオ受信機35、リターダ36、シフトレバー37、コントローラ100、モニタ50、アクセルペダル、ブレーキペダル等が設けられている。なお、コントローラ100およびモニタ50は、後述する周辺監視装置10の一部を構成する。
ベッセル4は、砕石等の重量物を積載するための荷台であって、後側底部において回動軸4aを介して車体フレーム2の後端部に回動可能に連結されている。これにより、ベッセル4は、油圧シリンダ等のアクチュエータによって、前部が上方に回動して積載物を排出する起立姿勢と、
図1に示すように、前部がキャブ3の上部に位置する積載姿勢との範囲で回動させることができる。
【0023】
[周辺監視装置10の構成]
周辺監視装置10は、
図3に示すように、6台のカメラ11〜16と、8台のレーダ装置21〜28と、モニタ50と、コントローラ100と、を有している。
(カメラ11〜16)
6台のカメラ11〜16は、
図4に示すように、ダンプトラック1の周囲360度範囲の画像を取得するためにダンプトラック1の外周部分にそれぞれ取り付けられている。なお、各カメラ11〜16は、左右方向において120度(左右60度ずつ)、高さ方向において96度の視野範囲を有している。
【0024】
前方カメラ11は、
図5に示すように、斜めラダー2Dの最上段の踊り場部分の下部に配置されており、アッパデッキ部2Bに取り付けられたブラケット310を介して車両前方に向かって固定されている。そして、前方カメラ11の撮像範囲は、
図11に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の前方に広がる第1撮像範囲11Cである。
右側方第1カメラ12は、
図6に示すように、アッパデッキ部2Bの前側面右端部付近に配置されており、アッパデッキ部2Bに取り付けられたブラケット320を介して車両右斜め前方に向かって固定されている。そして、右側方第1カメラ12の撮像範囲は、
図11に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の右斜め前方に広がる第2撮像範囲12Cである。
【0025】
左側方第1カメラ13は、
図7に示すように、第2カメラ12と左右対称位置、すなわちアッパデッキ部2Bの前側面左端部付近に配置されており、アッパデッキ部2Bに取り付けられたブラケット330を介して車両左斜め前方に向かって固定されている。そして、左側方第1カメラ13の撮像範囲は、
図11に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の左斜め前方に広がる第3撮像範囲13Cである。
【0026】
右側方第2カメラ14は、
図8に示すように、アッパデッキ部2Bの右側面前端部付近に配置されており、アッパデッキ部2Bに取り付けられたブラケット340を介して車両右斜め後方に向かって固定されている。そして、右側方第2カメラ14の撮像範囲は、
図11に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の右斜め後方に広がる第4撮像範囲14Cである。
【0027】
左側方第2カメラ15は、
図9に示すように、第4カメラと左右対称位置、すなわちアッパデッキ部2Bの左側面前端部付近に配置されており、アッパデッキ部2Bに取り付けられたブラケット350を介して車両左斜め後方に向かって固定されている。そして、左側方第2カメラ15の撮像範囲は、
図11に示す地面基準の撮像エリアでは、車両の左斜め後方に広がる第5撮像範囲15Cである。
【0028】
後方カメラ16は、
図10に示すように、車体フレーム2の後端であって、2つの後輪6を連結するアクスル6aの上方、かつベッセル4の回動軸4a付近に配置されており、クロスバー8に取り付けられたブラケット360を介して車両後方に向かって固定されている。そして、後方カメラ16の撮像範囲は、
図11に示す地面基準の撮像エリアでは、車両後方に広がる第6撮像範囲16Cである。
【0029】
以上の6台のカメラ11〜16によれば、
図11の中央図に示すように、ダンプトラック1の周囲360度の全周囲の画像を取得することができる。また、6台のカメラ11〜16は、それぞれ撮像した画像に対応する画像データをコントローラ100に送信する。
また、前方カメラ11および左右側方第1カメラ12,13および左右側方第2カメラ14,15を、比較的高い位置にあるアッパデッキ部2Bに設けている。このため、各カメラ11〜15によって上から地面を見下ろすような撮像画像を得ることができ、地面に存在する人等の障害物を広範囲に撮像することができる。また、俯瞰画像200を形成する際に視点変換を行った場合でも、上方から撮像した画像を用いているため、立体物の変形の度合いを抑制することができる。
なお、各カメラ11〜16の詳細な撮像範囲については、後段にて詳述する。
【0030】
(8台のレーダ装置21〜28)
8台のレーダ装置21〜28は、方位±40度(左右80度)、検出距離が最大15m以上のUWB(Ultra Wide Band)レーダ(超広帯域レーダ)であって、ダンプトラック1の周囲に存在する障害物の相対位置を検知する。8台のレーダ装置21〜28は、上述した6台のカメラ11〜16と同様に、ダンプトラック1の外周部分に装着される。
【0031】
第1レーダ装置21は、
図12に示すように、地上から1m程度の高さにあるロアデッキ部2Aにおける車両正面にあり中心よりやや右寄りに配置されている。そして、第1レーダ装置21の検知範囲は、
図13に示すように、車両前方から左斜め前方に広がる第1検知範囲21Rである。
第2レーダ装置22は、
図12に示すように、ロアデッキ部2A上における第1レーダ装置21の左側に隣接配置されている。そして、第2レーダ装置22の検知範囲は、
図13に示すように、上記第1レーダ装置21の第1検知範囲21Rと交差するように、車両の前方から右斜め前方に広がる第2検知範囲22Rである。
【0032】
第3レーダ装置23は、
図12に示すように、ロアデッキ部2Aの右側面前端部付近に配置されている。そして、第3レーダ装置23は、
図13に示すように、車両の右斜め前方から右方に広がる第3検知範囲23Rである。
第4レーダ装置24は、
図12に示すように、車両側面におけるロアデッキ部2Aとアッパデッキ部2Bの中間の高さ位置の右側端部付近に配置されている。そして、第4レーダ装置24は、
図13に示すように、車両の右方から後方に広がる第4検知範囲24Rである。
【0033】
第5レーダ装置25は、
図12に示すように、ベッセル4の下方であって、
図10に示すように、左右の後輪6に回転駆動力を伝達するアクスル6aの上方に配置されている。そして、第5レーダ装置25の検知範囲は、
図13に示すように、車両の右斜め後方から後方に広がる第5検知範囲25Rである。
第6レーダ装置26は、
図12に示すように、上記第5レーダ装置25と同様に、アクスル6aの上方の位置であって、第5レーダ装置25の右側に隣接配置されている。そして、第6レーダ装置26の検知範囲は、
図13に示すように、第5レーダ装置25の検知範囲と交差するように、車両の後方から左斜め後方に広がる第6検知範囲26Rである。
【0034】
第7レーダ装置27は、
図12に示すように、車両側面におけるロアデッキ部2Aとアッパデッキ部2Bの中間の高さ位置の左側端部付近、つまり第4レーダ装置24と左右対称位置に配置されている。第7レーダ装置27の検知範囲は、
図13に示すように、車両の後方から左方に広がる第7検知範囲27Rである。
第8レーダ装置28は、
図12に示すように、ロアデッキ部2Aの左側面における前端部付近、つまり第3レーダ装置23と左右対称な位置に配置されている。そして、第8レーダ装置28の検知範囲は、
図13に示すように、車両の左方から左斜め前方に広がる第8検知範囲28Rである。
以上の8台のレーダ装置21〜28によれば、
図13の中央図に示すように、ダンプトラック1の360度全周囲を検知範囲として、ダンプトラック1に対する障害物の相対位置を検知することができる。また、8台のレーダ装置21〜28は、それぞれ検知した障害物の相対位置を示す相対位置データをコントローラ100に送信する。
【0035】
(モニタ50)
モニタ50は、キャブ3内における運転席の前方に配置される。モニタ50は、コントローラ100の制御に応じて、後述する俯瞰画像200(
図17(a)等参照)等の画像を表示する。モニタ50における表示例については、後述する。
【0036】
(コントローラ100)
コントローラ100は、上述した6台のカメラ11〜16および8台のレーダ装置21〜28を用いて、ダンプトラック1の周囲における障害物の有無を俯瞰画像200上に表示して監視し、必要に応じて障害物の存在を運転者に警告する。コントローラ100は、
図3に示すように、俯瞰画像合成部110、カメラ画像切替・視点変換部120、表示制御部130、モニタ画像生成部140、障害物情報収集部210および障害物処理部220を備えている。
【0037】
俯瞰画像合成部110は、
図3に示すように、6台のカメラ11〜16に接続されており、それぞれのカメラ11〜16において取得されたそれぞれの撮像範囲における複数の画像データを受信する。そして、俯瞰画像合成部110は、受信した複数の画像データに対応した画像を合成して、ダンプトラック1の全周囲を含む俯瞰画像200(
図17(a)等参照)を生成する。具体的には、俯瞰画像合成部110は、複数の画像データそれぞれを座標変換することによって、複数の画像を所定の投影面上に投影させた俯瞰画像200を示す俯瞰画像データを生成する。
【0038】
カメラ画像切替・視点変換部120は、
図3に示すように、6台のカメラ11〜16に接続されており、レーダ装置21〜28による障害物検知の結果等に応じて、俯瞰画像200とともにモニタ50の画面上に表示される各カメラ11〜16による撮像画像を切り替える。また、カメラ画像切替・視点変換部120は、各カメラ11〜16によって取得された撮像画像を、上方無限遠からの視点からの画像に変換する。
【0039】
表示制御部130は、
図3に示すように、カメラ画像切替・視点変換部120、モニタ画像生成部140および障害物処理部220に接続されている。表示制御部130は、各カメラ11〜16によって取得された画像を合成して形成される俯瞰画像200中にレーダ装置21〜28によって取得した障害物の位置情報を合成して表示させるための障害物位置データを、カメラ画像切替・視点変換部120およびモニタ画像生成部140に対して送信する。
【0040】
モニタ画像生成部140は、
図3に示すように、俯瞰画像合成部110、カメラ画像切替・視点変換部120、および表示制御部130に接続されている。モニタ画像生成部140は、6台のカメラ11〜16および8台のレーダ装置21〜28によって取得されたダンプトラック1の全周囲の画像データと障害物位置データとに基づいて、俯瞰画像200上に障害物の位置を含むモニタ50に表示させる画像を生成する。
【0041】
障害物情報収集部210は、
図3に示すように、8台のレーダ装置21〜28と障害物処理部220とに接続されている。障害物情報収集部210は、8台のレーダ装置21〜28からそれぞれの検知領域における障害物検知結果を受信し、障害物処理部220へと送信する。
障害物処理部220は、
図3に示すように、障害物情報収集部210と表示制御部130とに接続されており、障害物情報収集部210から受信した障害物の位置情報を、表示制御部130へと送信する。
【0042】
<各カメラ11〜16の撮像範囲>
本実施形態では、
図4に示すように、複数のカメラ11〜16がアッパデッキ部2Bの正面や側面、車体フレーム2の後端に配置されており、各カメラ11〜16によって撮像された画像を合成して、
図11に示すような俯瞰画像200をモニタ50上に表示させる。
【0043】
俯瞰画像200は、
図11に示すように、各カメラ11〜16によって撮像された各撮像範囲11C〜16Cの画像を合成することで得られる。これにより、運転者は、モニタ50に表示される俯瞰画像200を確認するだけでダンプトラック1の周囲360度全範囲を監視することができる。
ここで、各カメラ11〜16の平面方向における撮像範囲について説明する。
【0044】
本実施形態のダンプトラック1では、前方カメラ11、左右の側方第1カメラ12,13および左右の側方第2カメラ14,15をアッパデッキ部2Bに設け、後方カメラ16を車体フレーム2の後端に設けている。
特に、左右の側方第1カメラ12,13は、ダンプトラック1の車体の左右の斜め前方から側方までを撮像範囲としてカバーしており、左右の側方第2カメラ14,15は、ダンプトラック1の車体の左右の側方から斜め後方までを撮像範囲としてカバーしている。
【0045】
これにより、前方カメラ11および後方カメラ16によって取得された撮像画像と合わせて、ダンプトラック1の全周囲をカバーした俯瞰画像200を生成して、周辺監視を行うことができる。
また、本実施形態では、
図11に示すように、各カメラ11〜16の撮像範囲11C〜16Cが互いの隣接部分において重複するように、互いに隣接するカメラ11〜16を設置している。
【0046】
これにより、各カメラ11〜16の撮像範囲11C〜16Cの重複した領域において接続線を設けることで、ダンプトラック1の平面上における360度全周囲の監視が可能となる。
なお、俯瞰画像200上において互いに隣接する撮像範囲11C〜16Cを接続する接続線については、撮像範囲11C〜16Cの重複領域内の任意の位置に設定することができる。
【0047】
次に、各カメラ11〜16の高さ方向における撮像範囲について説明する。
図15には、ダンプトラック1の全周における各カメラ11〜16による3次元の撮像範囲を示している。ここでは、ダンプトラック1の周囲10mの範囲内における各カメラ11〜16の高さ方向における撮像範囲を示している。
このとき、ダンプトラック1の周辺(例えば、車体周囲10mの範囲内)に存在する障害物(人)を確実に俯瞰画像200上に表示させるためには、例えば、
図14(a)に示すように、人Pの体の一部が前方カメラ11のハッチングで示す撮像範囲内に含まれるように各カメラ11〜16が配置されていればよい。
【0048】
ただし、
図15において車両前方の撮像領域周辺付近に人Pが存在した場合、
図14(a)に示す状態では、人Pの頭部は前方カメラ11の撮像範囲から外れてしまっているため、前方カメラ11が撮像した画像上では、人Pは肩から下のみが俯瞰画像200上に表示される。この場合、俯瞰画像200を見た運転者は、人Pの高さ方向における一部だけが表示されているため、人Pを人として認識できないおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態のダンプトラック1では、俯瞰画像200において、ダンプトラック1の周辺に存在する人(障害物)の全身を表示できるように、高さ方向においてアッパデッキ部2Bの高さ(約4m以上)の半分以上(具体的には、2m以上)の視野範囲を持つように、各カメラ11〜16を設置している。
すなわち、ダンプトラック1のような大型車両の場合、キャブ3内の運転者から見て、キャブ3が設置されたアッパデッキ部2Bよりも下方にある人等の障害物を視認することが困難である。よって、ダンプトラック1の周囲に存在する人等の障害物を周辺監視装置10によって確認できるようにするためには、ダンプトラック1の全周囲における地上からアッパデッキ部2Bよりも低い位置にある障害物を確実に検知することが重要である。
【0050】
本実施形態のダンプトラック1では、隣接する前方カメラ11の撮像範囲と左側方第1カメラ13の撮像範囲のうち、
図14(a)に示すように、ダンプトラック1の周囲10mの範囲内において、一方の前方カメラ11の撮像範囲が所定の高さH(2m)よりも低い場合には、
図14(b)に示すように、他方の左側方第1カメラ13の撮像範囲が所定の高さH(2m)よりも高くなるように、前方カメラ11および左側方第1カメラ13が位置決めされて設置されている。
【0051】
本実施形態では、以上のように、隣接するカメラの撮像範囲におけるそれぞれの最低の高さHが、人Pの全身を含む2m以上になるように設置されている。
これにより、隣接する2つのカメラのうちのいずれか一方のカメラの高さ方向における撮像範囲が、アッパデッキ部2Bの高さの半分以上の高さH(2m)以上になるように設置されていることで、アッパデッキ部2Bよりも低い位置にある障害物を、互いに隣接するカメラ11〜16のうちの一方の撮像範囲内とし、俯瞰画像200において確実に人Pの全体を表示することができる。
【0052】
具体的には、
図16(a)〜
図16(c)に示すように、ダンプトラック1の周囲において、人Pが各カメラ11〜16の撮像範囲の境界部分(撮像範囲13cから撮像範囲11cへ)をまたぐように移動した場合でも、人Pの全身を俯瞰画像200上に表示することができる。
なお、各撮像画像を合成して俯瞰画像200を生成する際には、各撮像画像の境界部分について画像の重複部分を平均化して表示するアルファブレンディングの技術を用いることが好ましい。これにより、各撮像画像の境界部分を跨ぐように人Pが移動した場合でも、俯瞰画像200における境界部分において人Pが消失してしまうことを回避することができる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、各カメラ11〜16および各レーダ装置21〜28の配置を上述した位置にそれぞれ配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
各カメラおよび各レーダ装置の配置については、ダンプトラック全周囲範囲をカバーできるようにそれぞれ配置されていれば、特に、限定されるものではない。
ただし、ベッセル4のように、カスタマイズされて交換される可能性がある部材に対してカメラ等を取り付けた場合には、その部品の交換ごとにカメラ等の位置決めを新たに行う必要が生じるという面では、上述した実施形態のように、ベッセル等の交換可能な部品を避けてカメラやレーダ装置が取り付けられていることが好ましい。
【0055】
(B)
上記実施形態では、側方カメラとして、車両右側面に、右側方第1カメラ12および右側方第2カメラ14、車両左側面に、左側方第1カメラ13および左側方第2カメラ15をそれぞれ設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、車両の左右の側方を1台のカメラによってカバーできるような視野角の大きいカメラを用いて左右の側方カメラを1台ずつ設けた構成であってもよい。
【0056】
(C)
上記実施形態では、ダンプトラック1の周辺に存在する人全体を俯瞰画像200上に確実に表示させるために、アッパデッキ部2Bの高さの半分以上(約2m以上)の高さが撮像範囲内になるように、各カメラ11〜16が配置されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、確実に検知したい障害物として人以外のものを想定する場合には、作業現場等においてダンプトラックの周囲に存在する障害物の高さに応じて高さ方向における視野範囲を設定すればよい。
【0057】
<付記>
以下に本発明に関連する発明について記載する。
【0058】
第1の発明に係るダンプトラックは、複数のカメラが搭載されており、複数のカメラによって得られる画像を組み合わせた俯瞰画像を用いて周辺監視を行うダンプトラックであって、車体部と、前方カメラと、後方カメラと、側方カメラと、を備えている。車体部は、運転席が配置されるアッパデッキ部および前後方向に沿って配置されたメインフレームを含む。前方カメラは、車体部の前方を撮像可能になるようにアッパデッキ部の前方に設置されている。後方カメラは、車体部の後方を撮像可能になるようにメインフレームの後端に設置されている。側方カメラは、車体部の斜め前方から斜め後方まで撮像可能になるようにアッパデッキ部における左右の側方にそれぞれ設けられている。
【0059】
ここでは、前方カメラおよび左右の側方カメラをアッパデッキ部に設置し、後方カメラをメインフレームの後端に設置している。そして、ダンプトラックの車体部の側方前方から側方後方にかけて撮像範囲となるように、左右の側方カメラを設置している。
一般的に、ダンプトラックは、車幅が5m以上になる等、自動車と比較して非常に車体が大きいため、運転席から目視確認できる車体外周における範囲は非常に狭くなる。このため、複数のカメラを車体部に設け、運転席内に設けられたモニタ画面等を介して周辺の障害物や人の有無を確認している。
【0060】
本発明のダンプトラックでは、複数のカメラを設置する際に、カスタマイズされて交換されるおそれのあるベッセルや排気によって高温になる車体右側面後方付近等を避けて、車体部を構成するアッパデッキ部に前方カメラ、左右の側方カメラを、メインフレームの後端に後方カメラをそれぞれ設けている。
これにより、ダンプトラック特有のカメラ設置場所の制約を考慮しつつ、前方から左右の側方、後方までのほぼ全周囲をカバーできるように適切にカメラを配置することができる。この結果、ダンプトラックに対する複数のカメラの配置の適正化により、死角のない周辺監視を行うことができる。
【0061】
第2の発明に係るダンプトラックは、第1の発明に係るダンプトラックであって、前方カメラ、後方カメラ、側方カメラは、隣接するカメラによって撮像される画像を合成した俯瞰画像の境界部分において、隣接するカメラの全撮像領域において少なくともアッパデッキ部の高さに対して半分の視野高さを有するように、車体部上に配置されている。
ここでは、ダンプトラックの周囲に存在する人を、カメラの撮像範囲に捕らえて俯瞰画像上に確実に表示させるために、隣接するカメラの一方が高さ方向においてアッパデッキ部の高さの半分以上の視野範囲を有するように、各カメラを配置している。
【0062】
ここで、上記アッパデッキ部の高さとは、例えば、地上から4m以上を想定しており、その半分の高さとは、例えば、2.0m以上の範囲を意味している。
通常、ダンプトラックのような大型車両においては、キャブ内の運転者からはキャブが設置されたアッパデッキ部よりも下方部分が視認しにくい状況にある。
これにより、高さ方向における視野範囲としてアッパデッキ部の高さの半分以上の高さを含むように各カメラを設置することで、キャブから特に視認しにくいアッパデッキ部の高さの半分の位置よりも下にある人等の障害物を確実に検知することができる。また、ダンプトラックの周囲に人(高さ1.5m〜2.0m)が存在する場合には、人がどの位置に移動しても、上半身や下半身だけの状態で表示されてしまうことを回避して、人全体を俯瞰画像上に表示することができる。この結果、俯瞰画像を用いた周辺監視をより確実なものとすることができる。
【0063】
第3の発明に係るダンプトラックは、第1または第2の発明に係るダンプトラックであって、側方カメラは、車体部の斜め前方を撮像する第1カメラと、車体部の斜め後方を撮像する第2カメラと、を有している。
ここでは、ダンプトラックの側方を撮像する側方カメラとして、車体部の斜め前方を撮像範囲とする第1カメラと、車体部の斜め後方を撮像範囲とする第2カメラと、をアッパデッキ部上に設けている。
【0064】
これにより、前方カメラおよび後方カメラと合わせて、ダンプトラックの全周囲をできるだけゆがみの小さい状態で俯瞰画像上に表示することができる。よって、運転者にとってダンプトラックの周囲に存在する障害物を確認しやすくなり、安全性を向上させることができる。
【0065】
第4の発明に係るダンプトラックは、第1から第3の発明のいずれか1つに係るダンプトラックであって、車体部に設けられており、車体部の全周範囲に存在する物体を検知する複数のレーダを、さらに備えている。
ここでは、上述した複数のカメラに加えて、ダンプトラックの全周範囲に存在する障害物を検知するためのレーダを複数設けている。
これにより、運転者は、キャブ内において複数のカメラによって撮像された画像を合成した俯瞰画像を確認しつつ、全周範囲をカバーするレーダによって障害物検知を行うことができる。よって、俯瞰画像上で確認し難い障害物がダンプトラックの周囲に存在する場合でも、レーダによる障害物検知によって、運転者は障害物の存在を確実に認識することができる。
【0066】
第5の発明に係るダンプトラックは、第4の発明に係るダンプトラックであって、複数のレーダは、車体部における複数のカメラよりも低い位置に設けられている。
ここでは、ダンプトラックの周辺に存在する障害物を検知するためのレーダを、上述した周辺監視用の複数のカメラが設置された位置よりも低い位置に設けている。
通常、レーダによって検知される障害物は地面上に存在しており、空中に存在することはほとんどないことから、レーダによる障害物検知においては、上述したカメラのように上方から見下ろすように配置される必要はない。
これにより、ダンプトラック周囲の地面上に存在する障害物を、遠方まで精度良く検知することができる。
【0067】
第6の発明に係るダンプトラックは、第4または第5の発明に係るダンプトラックであって、複数のレーダは、車体部の一部を構成するアッパデッキ部およびロアデッキ部のうち、ロアデッキ部上、あるいはロアデッキ部とアッパデッキ部との間に設けられている。
ここでは、複数のレーダを、車両外周におけるロアデッキ部上、あるいはロアデッキ部とアッパデッキ部との間に設けている。
これにより、ダンプトラックにおける比較的地面に近い位置にレーダを設けることができるため、地面に存在する障害物を精度良く検知することができる。
【0068】
第7の発明に係るダンプトラックは、第4から第6の発明のいずれか1つに係るダンプトラックであって、複数のレーダは、超広帯域レーダである。
【0069】
ここでは、上記全周囲障害物検知用のレーダとして、広い検知角、高い分解能を有し、測定対象物の相対速度を測定可能で、他の機器と干渉しない超広帯域(UWB)レーダを用いている。
これにより、レーダの設置数が少ない場合でも、ダンプトラックの全周範囲に存在する障害物を確実に検知することができる。