特許第6012684号(P6012684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012684延長組換えポリペプチドおよび延長組換えポリペプチドを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012684
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】延長組換えポリペプチドおよび延長組換えポリペプチドを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61P 3/10 20060101AFI20161011BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 38/27 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 38/36 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/48 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/42 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61P3/10
   A61P3/04
   A61P3/06
   A61P27/02
   A61P9/10
   A61P7/04
   A61P9/12
   A61P9/00
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   A61P5/00
   A61P25/00
   A61P1/04
   A61P21/04
   A61K37/02ZNA
   A61P43/00 121
   A61K37/28
   A61K37/36
   A61K37/46
   A61K47/48
   A61K47/42
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】455
(21)【出願番号】特願2014-192566(P2014-192566)
(22)【出願日】2014年9月22日
(62)【分割の表示】特願2011-548425(P2011-548425)の分割
【原出願日】2010年2月3日
(65)【公開番号】特開2015-34165(P2015-34165A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2014年9月22日
(31)【優先権主張番号】61/236,493
(32)【優先日】2009年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/185,112
(32)【優先日】2009年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/149,669
(32)【優先日】2009年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/280,955
(32)【優先日】2009年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/243,707
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/281,109
(32)【優先日】2009年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/268,193
(32)【優先日】2009年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/280,956
(32)【優先日】2009年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/236,836
(32)【優先日】2009年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/245,490
(32)【優先日】2009年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511188819
【氏名又は名称】アムニクス オペレーティング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー シェレンバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】チア−ウェイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スピンク
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム ピー. ステマー
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ギーティング
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン トー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エル. クリーランド
【審査官】 松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/103515(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/155134(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61P 3/10
A61K 38/00
A61K 38/26
A61K 38/27
A61K 38/36
A61K 47/42
A61K 47/48
A61P 1/04
A61P 3/04
A61P 3/06
A61P 5/00
A61P 7/04
A61P 9/00
A61P 9/10
A61P 9/12
A61P 19/02
A61P 21/04
A61P 25/00
A61P 27/02
A61P 29/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
WPI
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態の処置に使用するための薬学的組成物を含むキットであって、該キットは、
(a)第1の容器と、
(b)薬学的組成物と
を含み、該薬学的組成物は、
配列番号204、206、210、213、216および217からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%または少なくとも95%同一であるXTENであって、生物活性タンパク質に融合されたXTENを含む融合タンパク質と、
ある量の薬学的に許容され得るキャリアと
を含み、
該融合タンパク質は天然の生物活性タンパク質の生物活性の少なくとも一部を保持し、
該生物活性タンパク質は、
(i)表3〜5から選択されるグルコース調節ペプチド配列
(ii)表6から選択される代謝タンパク質配列
(iii)表7から選択される凝固因子配列および
(vi)表8から選択される非ヒト成長ホルモン配列
からなる配列の群から選択される配列に対して少なくとも90%の、または少なくとも91%の、または少なくとも92%の、または少なくとも93%の、または少なくとも94%の、または少なくとも95%の、または少なくとも96%の、または少なくとも97%の、または少なくとも98%の、または少なくとも99%の、または100%の配列同一性を有する、キット。
【請求項2】
前記薬学的組成物が、状態を有する被験体への投与のためのものであり、該状態が、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、高血糖、高インスリン血症、異常インスリン産生、インスリン抵抗性、シンドロームX、食欲過多、不十分な飽満感、グルカゴノーマ、脂質異常症、網膜神経変性プロセス、第VII因子欠損、第X因子欠損、第XII因子欠損、血友病A、血友病B、フォン・ウィルブラント病、高血圧、急性冠動脈症候群、関節リウマチ、虚血後再灌流傷害、クローン病および潰瘍性大腸炎から選択される、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記融合タンパク質が、配列番号802〜1707または配列番号1779〜1811のいずれかのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記融合タンパク質が、配列番号1059のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記融合タンパク質が、配列番号1805のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のキット。
【請求項6】
前記融合タンパク質が、配列番号1810のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のキット。
【請求項7】
前記薬学的組成物に好適な希釈剤を含み得る第2の容器を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
前記希釈剤が、水性の希釈剤である、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
薬物ならびに保管および取扱い条件を明記したラベルと、該薬物についての承認された適応症のシートとをさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
被験体への融合タンパク質の投与のための薬学的組成物を含むシリンジであって、
該薬学的組成物が(a)該融合タンパク質および(b)ある量の薬学的に許容され得るキャリアを含み、該融合タンパク質が該シリンジ内の液体製剤中において供給され、該融合タンパク質が、
配列番号204、206、210、213、216および217からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%または少なくとも95%同一であるXTENであって、生物活性タンパク質に融合されたXTENを含み、
該融合タンパク質は天然の生物活性タンパク質の生物活性の少なくとも一部を保持し、
該生物活性タンパク質は、
(i)表3〜5から選択されるグルコース調節ペプチド配列
(ii)表6から選択される代謝タンパク質配列
(iii)表7から選択される凝固因子配列および
(vi)表8から選択される非ヒト成長ホルモン配列
からなる配列の群から選択される配列に対して少なくとも90%の、または少なくとも91%の、または少なくとも92%の、または少なくとも93%の、または少なくとも94%の、または少なくとも95%の、または少なくとも96%の、または少なくとも97%の、または少なくとも98%の、または少なくとも99%の、または100%の配列同一性を有する、
シリンジ。
【請求項11】
前記液体製剤中に少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項12】
前記液体製剤が水性製剤である、請求項11に記載のシリンジ。
【請求項13】
事前に充填されている、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項14】
前記液体製剤が、前記被験体への投与のために25〜32のゲージサイズの針を通過することができる、請求項10〜12のいずれか1項に記載のシリンジ。
【請求項15】
前記液体製剤が、前記被験体への投与のために25、28、30、31または32のゲージサイズの針を通過することができる、請求項14に記載のシリンジ。
【請求項16】
静脈内、筋肉内、関節内および皮下からなる群から選択される経路によって被験体に前記薬学的組成物を投与するための、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項17】
前記投与の経路が皮下である、請求項16に記載のシリンジ。
【請求項18】
前記投与の経路が筋肉内である、請求項16に記載のシリンジ。
【請求項19】
前記シリンジが、状態を有する被験体への前記融合タンパク質の投与のためのものであり、該状態が、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、高血糖、高インスリン血症、異常インスリン産生、インスリン抵抗性、シンドロームX、食欲過多、不十分な飽満感、グルカゴノーマ、脂質異常症、網膜神経変性プロセス、第VII因子欠損、第X因子欠損、第XII因子欠損、血友病A、血友病B、フォン・ウィルブラント病、高血圧、急性冠動脈症候群、関節リウマチ、虚血後再灌流傷害、クローン病および潰瘍性大腸炎から選択される、請求項16に記載のシリンジ。
【請求項20】
前記融合タンパク質が、配列番号802〜1707または配列番号1779〜1811のいずれかのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項10〜19のいずれか1項に記載のシリンジ。
【請求項21】
前記融合タンパク質が、配列番号1059のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項20に記載のシリンジ。
【請求項22】
前記融合タンパク質が、配列番号1805のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項20に記載のシリンジ。
【請求項23】
前記融合タンパク質が、配列番号1810のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項20に記載のシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援の研究に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所により授与されたSBIR助成金2R44GM079873−02の下、政府支援により成された。合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願への相互参照
本願は、すべて係属中である、2009年2月3日に出願された米国仮特許出願第61/149,669号、2009年6月8日に出願された米国仮特許出願第61/268,193号、2009年6月8日に出願された米国仮特許出願第61/185,112号、2009年8月24日に出願された米国仮特許出願第61/236,493号、2009年8月25日に出願された米国仮特許出願第61/236,836号、2009年9月18日に出願された米国仮特許出願第61/243,707号、2009年9月24日に出願された米国仮特許出願第61/245,490号、2009年11月10日に出願された米国仮特許出願第61/280,955号、2009年11月10日に出願された米国仮特許出願第61/280,956号、2009年11月12日に出願された米国仮特許出願第61/281,109号の優先権の利益を主張する。これらの米国仮特許出願は、それらの全体が、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
発明の分野
生物活性タンパク質は、治療薬としての生物活性タンパク質を包含して、特に水性溶液において調合されるときに短い貯蔵寿命を示す、通例不安定な分子である。さらに多くの生物活性ペプチドおよびタンパク質は、限定された溶解性を有するか、または組換え産生中に凝集するようになり、複雑な可溶化および再折畳み手順が必要である。各種の化学ポリマーをこのようなタンパク質に付着させて、その特性を改変することができる。特に興味深いのは、柔軟な高次構造を有し、水溶液中で十分に水和されている親水性ポリマーである。頻繁に使用されるポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。これらのポリマーは、その分子量に対して大きい流体力学半径を有する傾向があり(非特許文献1)、薬物動態特性の増強をもたらすことができる。付着点によっては、ポリマーは、ポリマー改変タンパク質がその関連機能を保持するようにポリマーが付着されたタンパク質との相互作用が制限される傾向がある。しかしポリマーのタンパク質への化学的コンジュゲーションは、複雑な複数ステップのプロセスを必要とする。通例、タンパク質構成要素は、化学的コンジュゲーションステップの前に産生および精製される必要がある。さらにコンジュゲーションステップは、分離する必要のある異種生成物の混合物の形成をもたらし、かなりの生成物損失につながり得る。あるいはこのような混合物は、最終的な薬学的生成物として使用することができるが、標準化することが困難である。いくつかの例は、最近販売されている、混合物として使用されるPEG化インターフェロン−アルファ生成物である(非特許文献2;非特許文献3)。このような混合物は、治療活性の低下したまたは治療活性のない異性体を含有するために、再現性の良い製造および特徴付けが困難である。
【0004】
アルブミンおよび免疫グロブリンフラグメント、たとえばFc領域は、他の生物活性タンパク質をコンジュゲートするのに使用されてきたが、貯蔵寿命または免疫原性の増加に関する成果は予測できない。運の悪いことに、Fcドメインは組換え発現の間に効率的に折畳まれず、封入体として公知の不溶性沈殿を形成する傾向がある。これらの封入体を可溶化する必要があり、機能性タンパク質を復元する必要がある。これは時間がかかり、非効率的であり、費用のかかるプロセスであり、追加の製造ステップおよびしばしば複雑な精製手順を必要とする。
【0005】
それゆえ、生物活性タンパク質の生物学的、薬理学的、安全性、および/または薬学的特性を改善する組成物および方法へのかなりの必要性が残されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kubetzko,S.ら(2005)Mol.Pharmacol,68:1439−54
【非特許文献2】Wang,B.L.ら(1998)J Submicrosc Cytol Pathol,30:503−9
【非特許文献3】Dhalluin,C.ら(2005)Bioconjug Chem,16:504−17
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、生物活性タンパク質の生物学的、薬学的、安全性および/または治療特性を増強するのに有用であり得る組成物および方法に関するものである。組成物および方法は、半減期などの薬物動態特性を増強するためおよび生物活性タンパク質の治療ウインドウ内で費やされる時間を増加するために、ならびにこのような生物活性タンパク質の産生プロセスおよび薬学的特性、たとえば溶解性を単純化するために特に有用である。
【0008】
本開示は、一部は、融合タンパク質を含む薬学的組成物および疾患、障害または状態を処置するためのその使用に関する。処置される特定の疾患は、生物活性タンパク質の選定に依存する。いくつかの実施形態において、組成物および方法は、代謝疾患および心血管疾患(これに限定されるわけではないが、グルコースまたはインスリン関連疾患を包含する)、凝固障害および出血障害、ならびに成長ホルモン関連障害を処置するのに有用である。
【0009】
一態様において、本発明は延長組換えポリペプチド(XTEN)の組成物を提供し、該組成物は生物活性タンパク質に連結されたときに、得られた融合タンパク質の薬物動態特性を増強し、ならびに/または得られた融合タンパク質の溶解性および安定性を増加させて、一方では生物活性タンパク質の全体的な生物学的活性および/または治療活性を増強する。このような組成物は、本明細書に記載するような、特定の疾患、障害または状態を処置する有用性を有し得る。得られた融合タンパク質は、より良好な安全性プロフィールを示し、より頻度の低い投薬を可能にするので、今度はより良好な患者コンプライアンスに導くことができる。本発明は、XTENおよびXTENと連結された生物活性タンパク質の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ならびにXTENおよびXTENと連結された生物活性タンパク質の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチドも提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、生物活性タンパク質(BP)に連結されて、単量体BPXTEN融合タンパク質を生じることができる融合パートナーとして有用である、延長組換えポリペプチド(XTEN)の組成物を提供する。
【0011】
一実施形態において、本発明は約400超〜約3000のアミノ酸残基を含む単離延長組換えポリペプチド(XTEN)を提供し、該XTENは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)残基の和が該XTENの全アミノ酸配列の約80%超、または約85%、または約90%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%を構成することを特徴とし、該XTEN配列は実質的に非反復であり、該XTEN配列は、TEPITOPEアルゴリズムによって解析されたときに予測されたT細胞エピトープを欠いており、該XTEN配列内エピトープに対する該TEPITOPEアルゴリズム予測は、−5、または−6、または−7、または−8、または−9またはそれより多くのスコアに基づき、該XTEN配列は、GORアルゴリズムによって決定されたように、90%超の、または91%超の、または92%超の、または93%超の、または94%超の、または95%超の、または96%超の、または96%超の、または98%超の、または99%超のランダムコイル形成物を有し、ならびに該XTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されたように、2%未満のアルファらせんおよび2%のベータシートを有する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は約400超〜約3000のアミノ酸残基を含むXTENを提供し、該XTENは、アスパラギンおよびグルタミン残基の和が該XTENの全アミノ酸配列の10%未満であり、メチオニンおよびトリプトファン残基の和が該XTENの全アミノ酸配列の2%未満であることを特徴とし、該XTEN配列は5%未満の、正電荷を有するアミノ酸残基を有し、該XTEN配列は、GORアルゴリズムによって決定されたように、90%超のランダムコイル形成物を有し、ならびに該XTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されたように、2%未満のアルファらせんおよび2%のベータシートを有する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は約400超〜約3000のアミノ酸残基を含むXTENを提供し、該XTENは、少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約91%の、または少なくとも約92%の、または少なくとも約93%の、または少なくとも約94%の、または少なくとも約95%の、または少なくとも約96%の、または少なくとも約97%の、または少なくとも約98%のまたは、少なくとも約99%のXTEN配列が非重複配列モチーフから成り、該配列モチーフそれぞれが約9〜約14個のアミノ酸残基を有し、任意の2個の連続アミノ酸残基の配列が該配列モチーフそれぞれにおいて3回以上出現せず、該配列モチーフがグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成り、該XTENは、生物活性タンパク質に連結されたときに生物活性タンパク質の薬物動態特性を増強して、該薬物動態特性は、生物活性タンパク質に連結され、同程度の用量で被験体に投与されたXTENと比較して、被験体に投与された生物活性タンパク質の最終半減期を測定することによって確認される。
【0014】
上述の実施形態のいくつかの場合では、いずれの1種類のアミノ酸もXTEN配列の30%超を構成することはない。上述の実施形態の他の場合において、XTENはアミノ酸がセリンでない限り、3個の連続アミノ酸が同一でない配列を有することができ、この場合、3個以下の連続アミノ酸がセリン残基である。上述の実施形態の他の場合において、XTEN配列は10未満の、または9の、または8の、または7の、または6のサブ配列スコアを有する。上述の実施形態のまた他の場合において、XTEN配列の少なくとも約80%の、または約90%の、または約95%の、または約96%の、または約97%の、または約98%の、または約99%の、または100%は非重複配列モチーフから成り、該配列モチーフそれぞれは12のアミノ酸残基を有する。一実施形態において、XTEN配列は非重複配列モチーフから成り、該配列モチーフは表1の1個以上の配列からである。
【0015】
いくつかの実施形態において、得られた融合タンパク質の増強された薬物動態特性は、少なくとも約2倍の、または少なくとも約3倍の、または少なくとも約4倍の、または少なくとも約5倍の、または少なくとも約6倍の、または少なくとも約8倍の、または少なくとも約10倍の最終半減期の増加を含む。いくつかの場合において、薬物動態特性の増強は、融合タンパク質の治療ウインドウ内で所与の期間にわたって残存する血液濃度が、XTENに連結されていない対応するBPと比較して、少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍の、または少なくとも約4倍の、または少なくとも約5倍の、または少なくとも約6倍の、または少なくとも約8倍の、または少なくとも約10倍の長さであるという事実によって示される。半減期および治療ウインドウ内で費やされる時間の増加により、XTENに連結されていない対応するBPと比較して、被験体に投与される融合タンパク質のより低頻度の投薬および量の減少(モル当量で)が可能になる。一実施形態において、治療的有効用量レジメンによって、融合タンパク質の血中濃度の少なくとも2つの連続するCmaxピーク値および/またはCminトラフ値の間で、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の用量のレジメンを使用して被験体に投与された対応するBPと比較して、少なくとも2倍の、または少なくとも3倍の、または少なくとも4倍の、または少なくとも5倍の、または少なくとも6倍の、または少なくとも8倍の、または少なくとも10倍の時間の増大がもたらされる。
【0016】
一実施形態において、XTENの少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約99%が表1の1個以上の配列から選択されるモチーフを含む。別の実施形態において、XTENは、表2から選択された配列に対して、少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約91%の、または少なくとも約92%の、または少なくとも約93%の、または少なくとも約94%の、または少なくとも約95%の、または少なくとも約96%の、または少なくとも約97%の、または少なくとも約98%の、または少なくとも約99%または100%の配列同一性を示す。
【0017】
いくつかの場合において、XTENは、生物活性タンパク質に連結させた場合、該生物活性タンパク質の熱安定性を増強し、ここで、該熱安定性は、生物活性タンパク質を少なくとも約7日間にわたる約37℃の温度への曝露した後に、生物活性タンパク質に連鎖されたXTENと比較した、生物活性の保持を測定することによって確認される。上述の一実施形態において、生物活性の保持は、XTENからなるXTENに連結されていないBPと比較して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、または約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%の、または約500%長く増加される。
【0018】
別の態様において、本発明は、生物活性タンパク質(BP)に連結された上述の実施形態の任意のXTENを含む、単離融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質のBPは、表3、表4、表5、表6、表7、および表8から選択される配列に対して少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約91%の、または少なくとも約92%の、または少なくとも約93%の、または少なくとも約94%の、または少なくとも約95%の、または少なくとも約96%の、または少なくとも約97%の、または少なくとも約98%の、または少なくとも約99%または100%配列同一性を示す。上述の別の実施形態において、単離融合タンパク質は第2のXTEN配列をさらに含み、該XTEN配列のアミノ酸残基の累積合計は約400超〜約3000残基である。
【0019】
いくつかの場合において、上述の実施形態の1つのXTENを有する単離融合タンパク質はBPを含み、該BPはグルコース調節ペプチドである。上述の一実施形態において、グルコース調節ペプチドはエキセンジン−4である。上述の他の実施形態において、グルコース調節ペプチドはグルカゴンである。
【0020】
他の場合において、単離融合タンパク質はBPを含み、該BPは代謝タンパク質である。上述の一実施形態において、代謝タンパク質はIL−1raである。
【0021】
なお他の場合において、単離融合タンパク質はBPを含み、該BPは凝固因子である。上述の一実施形態において、凝固因子は第IX因子である。上述の別の実施形態において、凝固因子は第VII因子である。
【0022】
他の場合において、単離融合タンパク質はBPを含み、該BPは成長ホルモンである。
【0023】
一実施形態において、単離融合タンパク質はXTENに連結されていない生物活性タンパク質と比較して免疫原性が低くあり得、免疫原性は、被験体に同程度の用量を投与した後に、生物活性タンパク質に選択的に結合するIgG抗体の産生を測定することによって確認される。
【0024】
上述の実施形態のXTENおよびBPを含む融合タンパク質はBPとXTENとの間にスペーサ配列を含むことができ、該スペーサ配列は、場合により切断配列を含む約1〜約50のアミノ酸残基を含む。一実施形態において、切断配列はプロテアーゼによる切断を受けやすい。このようなプロテアーゼの非限定的な例は、FXIa、FXIIa、カリクレイン、FVIIa、FIXa、FXa、トロンビン、エラスターゼ−2、グランザイムB、MMP−12、MMP−13、MMP−17またはMMP−20、TEV、エンテロキナーゼ、ライノウイルス3Cプロテアーゼ、およびソルターゼAを包含する。
【0025】
いくつかの場合において、単離融合タンパク質は、融合タンパク質に連結されていない対応するBPと比較して、対応するBPの標的受容体に対する結合親和性の低下を有するように構成される。一実施形態において、融合タンパク質は、融合タンパク質に連結されていない対応するBPの結合能力の約0.01%〜30%の、または約0.1%〜約20%の、または約1%〜約15%の、または約2%〜約10%の範囲で、BPの標的受容体に対する結合を示す。関連する実施形態において、親和性が低下した融合タンパク質は、融合タンパク質に連結されていない対応するBPと比較して、受容体媒介クリアランスの低下および少なくとも約50%の、または少なくとも約60%の、または少なくとも約70%の、または少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約100%の、または少なくとも約150%の、または少なくとも約200%の、または少なくとも約300%の、または少なくとも約500%の対応する半減期の増加を有することができる。
【0026】
一実施形態において、本発明は、表40、表41、表42、表43、および表44から選択される配列に対して少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約91%の、または少なくとも約92%の、または少なくとも約93%の、または少なくとも約94%の、または少なくとも約95%の、または少なくとも約96%の、または少なくとも約97%の、または少なくとも約98%の、または少なくとも約99%の、または100%の配列同一性を示す単離融合タンパク質を提供する。
【0027】
一実施形態において、本発明は融合タンパク質を含む組成物を提供し、該融合タンパク質は、表3〜8のいずれか1つからの配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を、または81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%の、または100%の配列同一性を示す配列を含む少なくとも第1のBPを含み、該BPは約100超〜約3000のアミノ酸残基、さらに好ましくは約400超〜約3000のアミノ酸残基をそれぞれ含む1つ以上の延長組換えポリペプチド(XTEN)に実質的に非反復の配列によって連結され、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)残基の和は、該XTENの全アミノ酸配列の約80%超、または約85%、または約90%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%を構成する。BPXTENのXTEN構成要素は、TEPITOPEアルゴリズムによって解析したときに予測されるT細胞エピトープを欠くことがあり、XTEN配列内のエピトープのTEPITOPEアルゴリズム予測は、−7以上の、または−8以上の、または−9以上のスコアに基づく。BPXTENのXTEN構成要素は、GORアルゴリズムによって決定されたように80%超の、または約85%の、または約90%の、または約91%の、または約92%の、または約93%の、または約94%の、または約95%の、または約96%の、または約97%の、または約98%の、または約99%ランダムコイル構造物を有する配列を有し得;およびXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されたように2%未満のアルファらせんおよび2%のベータシートを有することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、本発明はBPXTEN融合タンパク質を提供し、被験体に投与された該BPXTENは、融合タンパク質に連結されていない対応するBPと比較して、少なくとも約2倍の長さのBPXTENの最終半減期の増加を、または融合タンパク質に連結されていないBPと比較して、少なくとも約3倍の、または少なくとも約4倍の、または少なくとも約5倍の、または少なくとも約6倍の、または少なくとも約7倍の、または少なくとも約8倍の、または少なくとも約9倍の、または少なくとも約10倍の、または少なくとも約15倍の、または少なくとも20倍のまたはそれより多くのの最終半減期の増加を示す。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明はBPXTEN融合タンパク質を提供し、該BPXTENは、融合タンパク質に連結されていないBPと比較して、生理的条件にて、少なくとも3倍の、または少なくとも約4倍の、または少なくとも約5倍の、または少なくとも約6倍の、または少なくとも約7倍の、または少なくとも約8倍の、または少なくとも約9倍の、または少なくとも約10倍の、または少なくとも約15倍の、または少なくとも20倍の、または少なくとも40倍の、または少なくとも60倍の溶解度の増加を示す。
【0030】
いくつかの実施形態において、BPXTEN融合タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定されるように、実際の分子量と比較して見かけの分子量の増加を示し、該見かけの分子量は、少なくとも約100kD、または少なくとも約150kD、または少なくとも約200kD、または少なくとも約300kD、または少なくとも約400kD、または少なくとも約500kD、または少なくとも約600kD、または少なくとも約700kDであるが、融合タンパク質の各BP構成要素の実際の分子量は約25kD未満である。したがって、該BPXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質の実際の分子量よりも約4倍の大きさの、または約5倍の大きさの、または約6倍の大きさの、または約7倍の大きさの、または約8倍の大きさの見かけの分子量を有することができる。いくつかの場合において、上述の実施形態の単離融合タンパク質は、約4を超える、または約5の、または約6の、または約7の、または約8の、生理的条件下での見かけの分子量係数(apparent molecular weight factor)を示す。
【0031】
本発明は、BPが、XTENに連結されていない対応するBPの生物活性の少なくとも一部を保持する、各種の配置のBPXTENを提供する。一実施形態において、該BPXTENは、式Iの配置のXTENに連結されたBPを含み
(BP)−(S)−(XTEN) I
式中、各出現について、独立して、BPは本明細書で上記のような生物活性タンパク質であり;Sは、(上記のような)切断配列を場合により包含できる1〜約50のアミノ酸残基を有するスペーサ配列であり;xは0または1のどちらかであり;およびXTENは(本明細書に記載するような)延長組換えポリペプチドである。該実施形態は、BPが所望の生物活性のために遊離N末端を必要とする、またはBPのC末端の融合タンパク質への連結によって生物活性が低下して、投与したBPXTENの生物活性および/または副作用を低下させることが所望される、特別の有用性を有する。
【0032】
BPXTEN配置の別の実施形態において、本発明は、式IIの配置(上記のような構成要素)の融合タンパク質を提供する:
(XTEN)−(S)−(BP) II
該実施形態は、BPが所望の生物活性のために遊離C末端を必要とする場合に、またはBPのN末端の融合タンパク質への連結によって生物活性が低下して、投与したBPXTENの生物活性および/または副作用を低下させることが所望である場合に、特に有用である。
【0033】
別の態様において、本発明は、BPの2個の分子を含み、ならびに第2のXTENおよび/またはスペーサ配列を場合により含む、単離BPXTEN融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は、式III、式IV、および式Vから選択される配置を有する:
(BP)−(S)−(XTEN)−(S)−(BP)−(S)(XTEN) III
(XTEN)−(S)−(BP)−(S)−(XTEN)−(BP) IV
(BP)−(S)−(BP)−(S)−(XTEN) V
式中、各出現について、独立して、BPは本明細書で上記のような生物活性タンパク質であり、Sは、切断配列を場合により含む1〜約50のアミノ酸残基を有するスペーサ配列であり;wは0または1のどちらかであり;xは0または1のどちらかであり;yは0または1のどちらかであり;zは0または1のどちらかであり;およびXTENは、XTENアミノ酸残基の累積合計が400超〜約3000残基である、(本明細書に記載するような)延長組換えポリペプチドである。
【0034】
別の態様において、本発明は、1分子のBPおよび2分子のXTENならびに場合により1または2のスペーサ配列を含む単離融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は、式VIの融合タンパク質であり:
(XTEN)−(S)−(BP)−(S)−(XTEN) VI
式中、各出現について、独立して、BPは生物活性タンパク質であり、Sは、切断配列を場合により含む1〜約50のアミノ酸残基を有するスペーサ配列であり;wは0または1のどちらかであり;xは0または1のどちらかであり;yは0または1のどちらかであり;zは0または1のどちらかであり;およびXTENは、XTENアミノ酸残基の累積合計が400超〜約3000残基である、(本明細書に記載するような)延長組換えポリペプチドである。
【0035】
それゆえ融合タンパク質は、これに限定されるわけではないが、XTEN−BP、BP−XTEN、XTEN−S−BP、BP−S−XTEN、XTEN−BP−XTEN、BP−BP−XTEN、XTEN−BP−BP、BP−S−BP−XTEN、およびXTEN−BP−S−BPを包含して、BP、XTEN、および場合によりスペーサ配列の異なる配置、N→C末端を有するように設計することができる。配置(configuration)の選択は、本明細書で開示するように、特別な薬物動態、物理的/化学的、または薬理学的特性を与えることができる。
【0036】
一実施形態において、上記の式I、II、III、IV、またはV、またはVIのBPXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質に連結されていないBPの生物活性と比較して、少なくとも約40%の、または少なくとも約50%の、または少なくとも約60%の、または少なくとも約70%の、または少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約95%の生物活性を示す。別の実施形態において、式I、II、III、IV、またはVのBPXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質に共有結合的に連結されていない対応する親の生物活性タンパク質と同じ受容体またはリガンドを結合する。
【0037】
本発明は、(a)上述の実施形態の任意の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または(b)(a)のポリヌクレオチドの相補体から選択されるポリヌクレオチド配列を含む、単離核酸を提供する。上述の一実施形態において、該単離核酸は、(a)表40、表41、表42、表43、および表44から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列;または(b)(a)のポリヌクレオチドの相補体に対して、少なくとも80%の配列同一性の、または約85%の、または少なくとも約90%の、または約91%の、または約92%の、または約93%の、または約94%の、または約95%の、または約96%の、または約97%の、または約98%の、または約99%〜約100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。本発明は、本段落の上で記載した上記の実施形態の任意の核酸を含む発現ベクターを提供する。一実施形態において、上述の発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結された組換え制御配列をさらに含む。別の実施形態において、上述の発現ベクターのポリヌクレオチド配列は、原核生物シグナル配列であることが可能な分泌シグナル配列をコードするポリヌクレオチドにインフレームで融合される。一実施形態において、分泌シグナル配列は、OmpA、DsbA、およびPhoAシグナル配列から選択される。
【0038】
本発明は、上述の段落で開示された発現ベクターを含むことができる宿主細胞を提供する。一実施形態において、宿主細胞は原核細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は大腸菌である。
【0039】
一実施形態において、本発明は、上述の実施形態の任意の融合タンパク質および少なくとも1つの薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、包材と、上述の実施形態の薬学的組成物ならびに、該薬学的組成物および保管・取扱い条件を明示したラベルを含む少なくとも第1の容器と、該薬学的組成物の再構成および/または被験体への投与に関する説明シートとを含むキットを提供する。
【0040】
本発明は、薬学的組成物の使用であって、疾患症状の処置を必要とする被験体における疾患症状を処置するための薬剤の調製における上述の実施形態の任意の融合タンパク質を含む薬学的組成物の使用をさらに提供する。上述の一実施形態において、上記の薬学的組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、疾患、障害または状態。上述の一実施形態において、疾患、障害または状態は、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、高血糖、高インスリン血症、病的インスリン産生、インスリン抵抗性、シンドロームX、冬眠心筋または糖尿病性心筋症、食欲亢進、不十分な飽満感(insufficient satiety)、代謝性障害、グルカゴノーマ、多嚢胞性卵巣症候群、異常脂血症、冬眠心筋、不十分な尿中ナトリウム排泄、過剰尿中カリウム濃度、毒性血液量過多(toxic
hypervolemia)に関連付けられた状態または障害、糖尿病性心筋症、および網膜神経変性プロセスから選択される。いくつかの場合において、薬学的組成物は皮下に、筋肉内に、または静脈内に投与することができる。一実施形態において、薬学的組成物は治療的有効用量で投与される。上述のいくつかの場合において、治療的有効用量は、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の用量で被験体に投与された融合タンパク質の対応するBPと比較して、融合タンパク質の治療ウインドウ内で費やされる時間の増大を生じる。治療ウインドウ内で費やされる時間の増大は、融合タンパク質に連結されていない対応するBPよりも少なくとも3倍の長さ、または、あるいは融合タンパク質に連結されていない対応するBPよりも少なくとも4倍の、または5倍の、または6倍の、または7倍の、または8倍の、または9倍の、または少なくとも10倍の、または少なくとも20倍の長さであることが可能である。
【0041】
別の実施形態において、本発明は、上記の薬学的組成物を、治療的有効用量レジメンを使用して投与される複数連続用量の薬学的組成物を使用して、被験体に投与することを含む、疾患、障害または状態を処置する方法を提供する。上述の一実施形態において、治療的有効用量レジメンによって、融合タンパク質の血中濃度の少なくとも2つの連続するCmaxピーク値および/またはCminトラフ値の間で、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の用量のレジメンで被験体に投与された対応する融合タンパク質のBPと比較して少なくとも3倍の、または少なくとも4倍の、または5倍の、または6倍の、または7倍の、または8倍の、または9倍の、または少なくとも10倍の、または少なくとも20倍の時間の増大をもたらすことができる。上述の別の実施形態において、融合タンパク質の投与により、融合タンパク質に連結されておらず、被験体に対する治療的有効レジメンを使用して被験体dに投与される対応する生物活性タンパク質構成要素(複数可)と比較して、薬学的組成物の融合タンパク質のより低い頻度の投薬またはより少ない総投薬量(モル数で)を使用する少なくとも1個の測定パラメータの同程度の改善が生じる。パラメータは、空腹時グルコースレベル、経口グルコース負荷試験に対する応答、食後グルコースのベースラインからのピーク変化、HA1C、カロリー摂取、飽満、胃排出速度、インスリン分泌、末梢インスリン感受性、インスリンチャレンジに対する応答、ベータ細胞量、体重、プロトロンビン時間、出血時間、トロンビン−抗トロンビンIII複合体(TAT)、D−ダイマー、出血エピソードの生成、赤血球沈降速度(ESR)、C反応性タンパク質、骨密度、筋肉量、血圧、血漿トリグリセリド、HDL、コレステロール、LDLコレステロール、アンギナの生成、および心拍出量から選択することができる。
【0042】
別の態様において,本発明は、生物活性タンパク質の特性を改善する方法であって、生物活性タンパク質を上述の実施形態の任意のXTENに連結して(a)XTENに連結された生物活性タンパク質の最終半減期が、XTENに連結されていない生物活性タンパク質の最終半減期と比較してより長いこと;(b)XTENに連結された生物活性タンパク質の貯蔵寿命が、XTENに連結されていない生物活性タンパク質の貯蔵寿命と比較してより長く、貯蔵寿命はベースライン試料と比較したインターバル後の生物活性の保持によって確認されること;(c)XTENに連結された生物活性タンパク質の生理的条件下での溶解度がXTENに連結されていない生物活性タンパク質の溶解度と比較して増大すること;(d)被験体に投与されるときに、XTENに連結されている生物活性タンパク質に選択的に結合するIgG抗体の産生が、XTENに連結されていない生物活性タンパク質が同程度の用量で被験体に投与されるときのIgGの産生と比較して低下すること;および/または(e)被験体に投与されるときの、XTENに連結された生物活性タンパク質の治療ウインドウ内で費やされる時間が、被験体に投与されるときの、XTENに連結されていない生物活性タンパク質と比較してより長いことを特徴とする特性を達成するステップを含む、生物活性タンパク質の特性を改善する方法を提供する。
【0043】
参照による組み入れ
本明細書に挙げるすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み入れられることが具体的および個々に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられている。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
約400超〜約3000のアミノ酸残基を含む単離延長組換えポリペプチド(XTEN)であって:
(a)グリシン(G)残基、アラニン(A)残基、セリン(S)残基、トレオニン(T)残基、グルタメート(E)残基およびプロリン(P)残基の和が該XTENの全アミノ酸配列の約80%超を構成することと;
(b)該XTEN配列が実質的に非反復性であることと;
(c)該XTEN配列が、TEPITOPEアルゴリズムによって解析したときに予測されるT細胞エピトープを欠き、ここで、該XTEN配列内のエピトープの該TEPITOPEアルゴリズム予測が−9以上のスコアに基づくことと;
(d)該XTEN配列がGORアルゴリズムによって決定されたように、90%超のランダムコイル形成物を有することと;
(e)該XTEN配列が、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されたように、2%未満のアルファらせんおよび2%のベータシートを有することと;
を特徴とするXTEN。
(項目2)
約400超〜約3000のアミノ酸残基を含む単離延長組換えポリペプチド(XTEN)であって:
(a)アスパラギン残基およびグルタミン残基の和が該XTENの全アミノ酸配列の10%未満であることと;
(b)メチオニン残基およびトリプトファン残基の和が該XTENの全アミノ酸配列の2%未満であること;
(c)該XTEN配列が5%未満の、正電荷を有するアミノ酸残基を有することと;
(d)該XTEN配列がGORアルゴリズムによって決定されたように、90%超のランダムコイル形成物を有することと;
(e)該XTEN配列が、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されたように、2%未満のアルファらせんおよび2%のベータシートを有することと;
を特徴とするXTEN。
(項目3)
約400超〜約3000のアミノ酸残基を含む単離延長組換えポリペプチド(XTEN)であって:
(a)該XTEN配列の少なくとも約80%が非重複配列モチーフから成り、該配列モチーフそれぞれが約9〜約14アミノ酸残基を有し、任意の2つの連続アミノ酸残基の配列が該配列モチーフの各々において3回以上出現しないことと;
(b)該配列モチーフがグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成ることと;
(c)該XTENが生物活性タンパク質に連結されたときに生物活性タンパク質の薬物動態特性を増強し、該薬物動態特性が、該生物活性タンパク質に連結された該XTENと比較して、該生物活性タンパク質の最終半減期を測定することによって確認されることと;
を特徴とするXTEN。
(項目4)
生物活性タンパク質に連結された前記XTENが、同程度の条件下で投与された該生物活性タンパク質と比較して、被験体において少なくとも約2倍長い最終半減期を有する、項目3に記載の単離XTEN。
(項目5)
前記XTENが生物活性タンパク質に連結されたときに、該XTENが該生物活性タンパク質の熱安定性を増強し、ここで、少なくとも約7日間にわたる約37℃の温度への曝露後、該生物活性タンパク質の生物活性の保持を、該生物活性タンパク質に連結された該XTENと比較して、測定することによって、該熱安定性が確認される、項目1から4のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目6)
XTENに連結された際に、前記生物活性タンパク質および前記XTENを含む得られた融合物が、前記XTENに連結されていない生物活性タンパク質の前記生物活性の少なくとも80%を保持する、項目5に記載の単離XTEN。
(項目7)
グリシン(G)残基、アラニン(A)残基、セリン(S)残基、トレオニン(T)残基、グルタメート(E)残基またはプロリン(P)残基の前記和が前記XTENの全アミノ酸配列の約90%超を構成する、項目1から6のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目8)
いずれの1種類のアミノ酸も前記XTEN配列の30%超を構成しない、項目1から7のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目9)
3個の連続アミノ酸が、該アミノ酸(単数)がセリンでない限り、同一ではない配列を含み、この場合、3個以下の連続アミノ酸がセリン残基である、項目1から8のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目10)
前記XTEN配列が10未満のサブ配列スコアを有する、項目1から9のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目11)
前記XTEN配列の少なくとも約80%が非重複配列モチーフから成り、該配列モチーフ各々が12のアミノ酸残基を有する、項目1から10のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目12)
前記XTEN配列が非重複配列モチーフから成り、各々の配列モチーフが12のアミノ酸残基を有する、項目1から11のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目13)
前記XTEN配列の少なくとも約80%が非重複配列モチーフから成り、該配列モチーフが表1の1個以上の配列からのものである、項目1から12のうちのいずれか1項に記載の単離XTEN。
(項目14)
項目1から13のうちのいずれか1項に記載の単離XTENおよび生物活性タンパク質を含み、該XTENが該生物活性タンパク質に連結されている、単離融合タンパク質。
(項目15)
前記生物活性タンパク質が表3〜8から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を示す、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目16)
前記融合タンパク質が、前記XTENに連結されていない前記生物活性タンパク質と比較して少なくとも約2倍長い最終半減期を有する、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目17)
前記融合タンパク質が、前記XTENに連結されていない前記生物活性タンパク質と比較して免疫原性が低く、免疫原性が、被験体に同程度の用量を投与した後に、該生物活性タンパク質に選択的に結合するIgG抗体の産生を測定することによって確認される、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目18)
前記融合タンパク質が生理的条件下で約6を超える見かけの分子量係数を示す、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目19)
少なくとも第2の生物活性タンパク質をさらに含む、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目20)
少なくとも第2のXTENポリペプチドをさらに含み、XTENアミノ酸残基の累積合計が約400超〜約3000の残基である、項目15に記載の単離融合タンパク質。
(項目21)
前記融合タンパク質が被験体において循環血中濃度を達成または維持するために、同程度の様式で被験体に投与される前記XTENに連結されていない生物活性タンパク質と比較して、より低い頻度の投薬または低下した同程度の投薬量を必要とする、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目22)
前記生物活性タンパク質がグルコース調節ペプチドである、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目23)
前記グルコース調節ペプチドがエキセンジン−4である項目22に記載の単離融合タンパク質。
(項目24)
前記グルコース調節ペプチドがグルカゴンである、項目22に記載の単離融合タンパク質。
(項目25)
前記生物活性タンパク質が代謝タンパク質である、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目26)
前記代謝タンパク質がIL−1raである、項目25に記載の単離融合タンパク質。
(項目27)
前記生物活性タンパク質が凝固因子である、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目28)
前記凝固因子が第IX因子である、項目27に記載の単離融合タンパク質。
(項目29)
前記凝固因子が第VII因子である、項目27に記載の単離融合タンパク質。
(項目30)
前記生物活性タンパク質が成長ホルモンである、項目14に記載の単離融合タンパク質。
(項目31)
項目14〜30のいずれか1項に記載の単離融合タンパク質および少なくとも1つの薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物。
(項目32)
項目31に記載の組成物の使用であって、疾患症状の処置を必要とする被験体における疾患症状を処置するための薬剤の調製における、組成物の使用。
(項目33)
前記疾患が1型糖尿病、2型糖尿病、肥満、高血糖、高インスリン血症、異常インスリン産生、インスリン抵抗性、シンドロームX、食欲過多、不十分な飽満感、グルカゴノーマ、脂質異常症、網膜神経変性プロセス、第VII因子欠損、第X因子欠損、第XII因子欠損、血友病A、血友病B、フォン・ウィルブラント病、高血圧、急性冠動脈症候群、関節リウマチ、虚血後再灌流傷害、成長ホルモン欠損、ターナー症候群、プラーダー−ヴィリ症候群、特発性低身長、AIDSによるるい痩、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、または筋ジストロフィーから選択される、項目32に記載の使用。
(項目34)
生物活性タンパク質の特性を改善する方法であって、生物活性タンパク質を項目1〜13に記載のXTENに連結して(a)該XTENに連結された該生物活性タンパク質の最終半減期が、該XTENに連結されていない該生物活性タンパク質の該最終半減期と比較してより長いこと;(b)該XTENに連結された該生物活性タンパク質の貯蔵寿命が、該XTENに連結されていない該生物活性タンパク質の該貯蔵寿命と比較してより長く、貯蔵寿命はベースライン試料と比較したインターバル後の生物活性の保持によって確認されること;(c)該XTENに連結された該生物活性タンパク質の生理的条件下での溶解度が該XTENに連結されていない該生物活性タンパク質の該溶解度と比較して増加されること;(d)被験体に投与されるときに、該XTENに連結されている該生物活性タンパク質に選択的に結合するIgG抗体の産生が、該XTENに連結されていない該生物活性タンパク質が同程度の用量で被験体に投与されるときの該IgGの産生と比較して低下すること;および/または(e)被験体に投与されるときの該XTENに連結された該生物活性タンパク質の治療ウインドウ内で費やされる時間が、被験体に投与されるときの該XTENに連結されていない該生物活性タンパク質と比較してより長いことを特徴とする特性を達成するステップを含む、生物活性タンパク質の特性を改善する方法。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の特徴および利点は、例証的な実施形態を説明する以下の詳細な記述および添付図面を参照することによってさらに説明され得る。
図1図1は、すべてN末端からC末端方向に描かれている、例示的なBPXTEN融合タンパク質の概略図(図1A〜G)である。図1Aは、それぞれ単一の生物活性タンパク質(BP)およびXTENを含む、BPXTEN融合タンパク質の2つの異なる配置(100)を示し、第1の配置はBP(103)のC末端に付着したXTEN分子(102)を有し、第2の配置はBP(103)のN末端に付着したXTEN分子を有する。図1Bは、それぞれ単一のBP、スペーサ配列およびXTENを含む、BPXTEN融合タンパク質の2つの異なる配置(100)を示し、第1の配置はスペーサ配列(104)のC末端に付着したXTEN分子(102)を有し、該スペーサ配列はBP(103)のC末端に付着し、第2の配置はスペーサ配列(104)のN末端に付着したXTEN分子を有し、該スペーサ配列はBP(103)のN末端に付着している。図1Cは、それぞれ単一のBPの分子2個およびXTENの分子1個を含む、BPXTEN融合タンパク質の2つの異なる配置(101)を示し、第1の配置は第1のBPのC末端に連結されたXTENを有し、そのBPが第2のBPのC末端に連結され、第2の配置は、XTENが第1のBPのN末端に連結されているのと反対の向きであり、そのBPが第2のBPのN末端に連結されている。図1Dは、それぞれ単一のBPの分子2個、スペーサ配列およびXTENの分子1個を含む、BPXTEN融合タンパク質の2つの異なる配置(101)を示し、第1の配置はスペーサ配列のC末端に連結されたXTENを有し、該スペーサ配列は、第2のBPのC末端に連結された第1のBPのC末端に連結され、第2の配置はXTENがスペーサ配列のN末端に連結されているのと反対の向きであり、該スペーサ配列は、第1のBPのN末端に連結され、そのBPは第2のBPのN末端に連結されている。図1Eは、それぞれ単一のBPの分子2個、スペーサ配列およびXTENの分子1個を含む、BPXTEN融合タンパク質の2つの異なる配置(101)を示し、第1の配置は第1のBPのC末端に連結されたXTENを有し、該第1のBPは、第2のBP分子のC末端に連結されているスペーサ配列のC末端に連結され、第2の配置は、スペーサ配列のN末端に連結された第1のBPのN末端に連結されたXTENと反対の配置であり、スペーサ配列のN末端は今度は、BPの第2の分子のN末端に連結されている。図1Fは、それぞれ単一のBPの分子2個、およびXTENの分子2個を含む、BPXTEN融合タンパク質の2つの異なる配置(105)を示し、第1の配置は、BPの第2の分子のC末端に連結されている第2のXTENのC末端に連結されている第1のBPのC末端に連結された第1のXTENを有し、第2の配置は、第2のBPのN末端に連結された第2のXTENのN末端に連結された第1のBPのN末端に連結されたXTENの反対の配置にある。図1Gは、BPのN末端およびC末端にて2個のXTENに連結された単一のBPの配置(106)を示す。
図2図2は、図1の対応するBPXTENポリペプチドをコードするBPXTEN遺伝子の例示的なポリヌクレオチド構築物の概略図(図2A〜G)を示す;すべて5’→3’方向で描く。これらの例証的な例において、遺伝子は、BP1個およびXTEN1個(100);またはBP2個、スペーサ配列1個およびXTEN1個(201);BP2個およびXTEN2個(205);またはBP1個およびXTEN2個(206)を備えたBPXTEN融合タンパク質をコードする。これらの描写で、ポリヌクレオチドは、以下の構成要素:XTEN(202)、BP(203)、および切断配列(204)を包含することができるスペーサアミノ酸をコードして、すべての配列はインフレームで連結される。
図3-1】図3は、内因的に利用可能なプロテアーゼによって作用される例示的な単量体BPXTENおよび単量体融合タンパク質または反応生成物が細胞表面の標的受容体に結合する能力、続いての細胞シグナル伝達の概略図である。図3Aは、BP(103)およびXTEN(102)が切断可能な配列(104)を含有するスペーサ配列により連結されているBPXTEN融合タンパク質(101)を示し、切断可能な配列(104)はMMP−13プロテアーゼ(105)に対して感受性である。図3Bは、遊離BP、スペーサ配列およびXTENの反応生成物を示す。図3Cは、反応生成物の遊離BP(103)またはBPXTEN融合タンパク質(101)とBPに対する標的受容体(106)との細胞表面(107)での相互作用を示す。この場合、BPが遊離C末端を有するときに、遊離BP(103)の受容体への結合によって証明されるように、受容体への所望の結合が提示されるが、未切断融合タンパク質は受容体に堅く結合しない。図3Dは、高い結合親和性を有する遊離BP(103)が受容体(106)に結合したままであるが、無傷のBPXTEN(101)が受容体から離れるのを示す。図3Eは、結合BPが細胞(107)内のエンドソーム(108)に内部移行したことを示し、結合BPの受容体媒介クリアランスおよび点描された細胞質として描かれた細胞シグナル伝達(109)の誘発が示されている。
図3-2】図3は、内因的に利用可能なプロテアーゼによって作用される例示的な単量体BPXTENおよび単量体融合タンパク質または反応生成物が細胞表面の標的受容体に結合する能力、続いての細胞シグナル伝達の概略図である。図3Aは、BP(103)およびXTEN(102)が切断可能な配列(104)を含有するスペーサ配列により連結されているBPXTEN融合タンパク質(101)を示し、切断可能な配列(104)はMMP−13プロテアーゼ(105)に対して感受性である。図3Bは、遊離BP、スペーサ配列およびXTENの反応生成物を示す。図3Cは、反応生成物の遊離BP(103)またはBPXTEN融合タンパク質(101)とBPに対する標的受容体(106)との細胞表面(107)での相互作用を示す。この場合、BPが遊離C末端を有するときに、遊離BP(103)の受容体への結合によって証明されるように、受容体への所望の結合が提示されるが、未切断融合タンパク質は受容体に堅く結合しない。図3Dは、高い結合親和性を有する遊離BP(103)が受容体(106)に結合したままであるが、無傷のBPXTEN(101)が受容体から離れるのを示す。図3Eは、結合BPが細胞(107)内のエンドソーム(108)に内部移行したことを示し、結合BPの受容体媒介クリアランスおよび点描された細胞質として描かれた細胞シグナル伝達(109)の誘発が示されている。
図4図4は、XTENの構築(assembly)、産生および評価の各ステップの概略フローチャートである。
図5図5は、融合タンパク質をコードするBP−XTENポリヌクレオチド構築物の構築の各ステップの概略フローチャートである。個々のオリゴヌクレオチド501は配列モチーフ502、たとえば12アミノ酸モチーフ(「12マー」)にアニーリングされ、配列モチーフ502は続いてBbsIおよびKpnI制限部位503を含有するオリゴとライゲーションされる。所望の長さのXTEN遺伝子504が達成されるまで、ライブラリからの追加の配列モチーフがアニーリングされ12マーとなる。XTEN遺伝子は、スタッファベクターにクローニングされる。そのベクターはFlag配列506を、続いてBsaI、BbsI、およびKpnI部位507ならびにエキセンジン−4遺伝子508がフランキングするストッパ配列をコードして、BPXTENの組み合わせへの組み入れのためのBP−XTEN融合物をコードする遺伝子500を生じる。
図6図6は、生物活性タンパク質(BP)およびXTENを含む融合タンパク質をコードする遺伝子の構築、融合タンパク質としてのその発現および回収、ならびに候補BPXTEN生成物としてのその評価における各ステップの概略フローチャートである。
図7図7は、様々な処理戦略を用いた、IL−1raXTEN発現ベクターの設計の概略図である。図7Aは、生物活性タンパク質IL−1raをコードする配列の3’端に融合されたXTENをコードする発現ベクターを示す。このベクターには追加のリーダー配列が必要ないことに注目する。図7Bは、CBDリーダー配列およびTEVプロテアーゼ部位を有する、IL−1raをコードする配列の5’端に融合されたXTENをコードする発現ベクターを描く。図7Cは、CBDおよびTEVプロセシング部位が最適化N末端リーダー配列(NTS)によって置き換えられた、図7Bと同じ発現ベクターを描く。図7Dは、NTS配列をコードする発現ベクター、XTEN、IL−1raをコードする配列、および次に(than)XTENをコードする第2の配列を描く。
図8図8は、GFPおよびXTEN配列を含む示された構築物についての発現アッセイの結果を示す。発現培養物を蛍光プレートリーダ(励起395nm、発光510nm)を用いてアッセイして、存在するGFPレポータの量を決定した。ボックスおよびウィスカープロットとしてグラフ作成された結果によって、中央値発現レベルが「ベンチマーク」CBDN末端ヘルパードメインと比べて、発現レベルのおおよそ半分であったが、ライブラリからの最良のクローンがベンチマークにはるかに近いことが示され、これらの配列の周囲でのさらなる最適化が保証されたことを示している。結果は、アミノ酸MAで開始するライブラリがMEで始まるライブラリよりも良好な発現レベルを有したことも示す(実施例14を参照)。
図9図9は、LCW546、LCW547およびLCW552からクローンのN末端配列の第3および第4のコドンに使用される3つの無作為化ライブラリを示す。示したような許容され得るXTENコドンのすべての組み合わせがこれらの位置に存在するように改変された第3および第4の残基を用いて、ライブラリを設計した。許容され得るすべてのXTENコドンを各ライブラリに包含するために、第3および第4の残基のコドン多様性を有する12アミノ酸をコードする9対のオリゴヌクレオチドを設計、アニーリングして、NdeI/BsaI制限酵素で消化したスタッファベクターpCW0551(Stuffer−XTEN_AM875−GFP)にライゲーションして、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質変換して、3つのライブラリLCW0569(配列番号1,708および1,709)、LCW0570(配列番号1,710および1,711)、およびLCW0571(配列番号1,712および1,713)のコロニーを得た。
図10図10は、ベンチマークCBD_AM875構築物に対する、GFP蛍光シグナルについての、実施例15に記載したような最適化ステップ後の上位75のクローンの再試験のヒストグラムを示す。結果により、図10に見られるように、数個のクローンが今やベンチマーククローンより優位であることが示された。
図11図11は、N末端48アミノ酸の2つの領域についてのコドン最適化選択性の組合せ(union of codon optimization preference)に対して行われたコンビナトリアル手法の概略図である。該手法により、発現の最適化を評価するための、XTENタンパク質のN末端の位置に新規の48マーを生成させ、それにより、XTENがBPに対してN末端側にあるXTENタンパク質発現のための解決策(solution)であり得るリーダー配列をもたらした。
図12図12は、構築物の配列のN末端にCBDリーダー配列を含むベンチマークXTENクローンと比較した、XTENのN末端コドン最適化実験から得た好ましいクローンの発現を確認するSDS−PAGEゲルを示す。
図13図13は、GFPのN末端に融合されたXTEN_AE864の融合タンパク質の安定性試験による試料のSDS−PAGEゲルを示す(実施例21を参照)。GFP−XTENは、カニクイザル血漿およびラット腎臓溶解物中37℃にて最長7日間インキュベートした。さらにカニクイザルに投与したGFP−XTENも評価した。試料を第0、1および7日に採取して、SDS PAGEによって分析し、ウェスタン分析による検出およびGFPに対する抗体による検出を続けた。
図14図14は、実施例23に記載したように非還元SDS−PAGEを受けさせた、XTEN_AE864に連結されたIL−1raの2mcgおよび10mcgの最終精製タンパク質の2つの試料を示す。結果は、約160kDaのおおよその分子量を有するIL−1raXTEN組成物がプロセスによって回収されたことを示す。
図15図15は、実施例23に記載したように行った代表的なサイズ排除クロマトグラフィー分析の結果を示す。破線で示す校正標準は、マーカーのサイログロブリン(670kDa)、ウシガンマグロブリン(158kDa)、ニワトリ卵白アルブミン(44kDa)、ウマミオグロビン(17kDa)およびビタミンB12(1.35kDa)を包含する。XTEN_AM875に連結されたIL−1raのBPXTEN構成要素融合タンパク質を実線として示す。データは、BPXTEN構築物の見かけの分子量が、球状タンパク質で予想される分子量よりも著しく大きく(同じアッセイの標準タンパク質の泳動との比較により示されるように)、SDS−PAGEによって決定された分子量(データは示さず)よりも顕著に大きい見かけの分子量を有することを示す。
図16図16は、精製IL−1ra_XTEN_AM875の逆相C18分析を示す。吸光度の出力対時間の結果は、最終生成物の融合タンパク質の純度を実証する。
図17図17は、結合等温線を作成するためにIL−1ra−XTEN_AM875またはIL−1raの濃度の関数としてプロットされた、IL−1受容体結合アッセイの結果を示す。IL−1受容体に対する各融合タンパク質の結合親和性を推定するために、結合データをS字状用量反応曲線に当てはめた。データの当てはめから、実施例23に記載するように、各構築物のEC50(シグナルが最大半量であるIL−1raまたはIL−1ra−XTENの濃度)を決定した。陰性対照XTEN_AM875−hGH構築物は、実験条件下で結合を示さなかった。
図18図18は、実施例23に記載するように、IL−1raを、XTEN_AM875に連結されたIL−1raのBPXTENと比較する、熱安定性試験のSDS−PAGEを示す。IL−1raの試料およびXTENに連結されたIL−1raの試料を25℃および85℃にて15分間インキュベートして、その時点であらゆる不溶性のタンパク質を遠心分離によって迅速に除去した。次に可溶性画分を図18に示すようにSDS−PAGEによって分析すると、加熱後にIL−1ra−XTENのみが可溶性のままであるが、これに対して(融合パートナーとしてのXTENがない)組換えIL−1raは加熱後に完全に沈殿したことが示される。
図19図19は、図19に示す試料に行ったIL−1ra受容体結合アッセイの結果を示す。実施例23に記載するように、熱処理によって完全に変性した組換えIL−1raは、熱処理後のその受容体活性の0.1%未満を保持した。しかしXTENに連結されたIL−1raは、その受容体結合活性のおおよそ40%を保持した。
図20図20は、実施例24に記載するように、カニクイザルに別々に皮下投与された、異なるXTEN配列に連結されたIL−1raの3つの異なるBPXTEN組成物の単回皮下投薬後の薬物動態プロフィール(血漿濃度)を示す。
図21図21は、2つの融合タンパク質;すなわちY288に連結されたグルカゴン(Gcg−XTEN)およびAE864に連結されたエキセンジン−4(Ex4−XTEN)の組み合わせを使用する、薬力学的試験および代謝試験からの体重の結果、マウスの食餌誘発肥満モデルにおける組み合わせ効能(実験の詳細については実施例26を参照)を示す。グラフは、28日間の連続薬物投与の間の、食餌誘発肥満マウスの体重変化を示す。示した値は、1群当り動物10匹(プラセボ群は動物20匹)の平均±SEMである。
図22図22は、食餌誘発肥満マウスモデルにおける、2つのBPXTEN融合タンパク質;すなわちY288に連結されたグルカゴン(Gcg−XTEN)およびAE864に連結されたエキセンジン−4(Ex4−XTEN)を単独でおよび組み合わせて使用する、薬力学的および代謝試験からの空腹時グルコースレベルの変化を示す(実験の詳細については実施例26を参照)。群は以下の通りである:群1 トリスビヒクル;群2 Ex4−AE576、10mg/kg;群3 Ex4−AE576,20mg/kg;群4 ビヒクル、50%DMSO;群5 エクセナチド、30μg/kg/日;群6 エクセナチド、30uL/kg/日+Gcg−Y288 20μg/kg;群7 Gcg−Y288、20μg/kg;群8 Gcg−Y288、40μg/kg;群9 Ex4−AE576 10mg/kg+Gcg−Y288 20μg/kg;群10 Gcg−Y288 40μg/kg+Ex4−AE576 20mg/kg。グラフは、28日間の連続薬物投与の間の、食餌誘発肥満マウスの空腹時血中グルコースレベルの変化を示す。示した値は、1群当り動物10匹(プラセボ群は動物20匹)の平均±SEMである。
図23図23は、実施例20に記載するように、皮下または静脈内のどちらかで投与された、可変長の非構造化ポリペプチドに連結されたGFPの異なる組成物の単回投与後のカニクイザルにおける薬物動態プロフィール(血漿濃度)を示す。組成物はGFP−L288、GFP−L576、GFP−XTEN_AF576、GFP−Y576およびXTEN_AD836−GFPであった。注射後の各種の時点で血液試料を分析して、血漿中のGFPの濃度は、捕捉のためのGFPに対するポリクローナル抗体および検出のための同じポリクローナル抗体のビオチン化調製物を用いたELISAによって測定した。結果は、投薬後の血漿濃度対時間(時間)として表示され、特に、最長の配列長のXTENを有する組成物であるXTEN_AD836−GFPで半減期のかなりの増加が示されている。最短配列長の構築物のGFP−L288は、半減期が最も短かった。
図24図24は、実施例30に記載するように行った、Ex4−XTEN_AE864の近紫外円偏光二色性スペクトルを示す。
図25図25は、皮下および静脈内経路でカニクイザルに投与されたEx4−AE864の薬物動態結果を示す(実験の詳細については実施例27を参照)。
図26図26は、4つの動物種;すなわちマウス、ラット、カニクイザルおよびイヌによる測定結果に基づく、Ex4−XTEN_AE864に対する予測されたヒト応答の相対スケーリング結果を例証する。図26Aは、測定した最終半減期対体重を示し、ヒトでの予測T1/2は139時間である。図26Bは、測定した薬物クリアランス対体重を示し、ヒトでの予測クリアランス速度の値は30ml/時である。図26Cは、測定した分布容積対体重を示し、ヒトでの予測値は5970mlである。
図27図27は、グルカゴンとY288に連結されたグルカゴンを比較する、グルカゴン活性のインビトロ細胞アッセイの結果を示す(実験の詳細については実施例31を参照)。
図28図28は、未処理細胞(黒ひし形)を陰性対照として用いる、2つの市販元からのエキセンジン−4(黒三角形)とY288に連結されたエキセンジン−4(黒正方形)を比較する、GLP−1活性のインビトロ細胞アッセイの結果を示す(実験の詳細については実施例31を参照)。EC50は破線によって示されている。
図29図29は、hGHおよびAM864−hGHの安定性に対する熱処理の効果を示す。図29Aは、25℃および80℃で15分間処理した2つの調製物のSDS−PAGEゲルである。図29Bは、25℃処理に対する80℃試料の受容体結合活性の対応するパーセンテージを示す。
【0045】

図30図30は、hGHR−Fcに対するhGH−AM864(円)およびAM864−hGH(逆三角形)のインビトロ結合親和性アッセイの結果を示す。比較のために未改変組換えhGH(正方形)が示されている。
図31図31は、hGHR−Fcに結合する、未改変hGHと比較した、hGHのN末端およびC末端に連結されたXTEN配列を有する成長ホルモン融合タンパク質のインビトロ結合親和性アッセイの結果を示す。AE912_hGH_AE144(円)および未改変組換えhGH(正方形)について、各化合物の見かけのEC50値を示す。
図32図32は、未改変組換えhGHと比較した、皮下経路によってラットに投与された4種類のhGH BTXEN融合タンパク質の薬物動態結果を示す。
図33図33は、カニクイザルへの皮下投与後の、3種類のhGH XTEN構築物の濃度プロフィールを示す。
図34図34は、低酸素症(hypox)ラットモデルにおける、体重に対する、示された用量でのhGHまたはAM864−hGHの投与の効果を示す。結果は、有効性がhGHと同等であるBPXTEN構築物による、またより低い頻度の投薬での生物活性の保持を示す。
図35図35は、処置9日後の脛骨の組織断面で示した、低酸素症ラットの脛骨骨端軟骨の成長に対するプラセボ、hGH、およびAM864−hGHの投与の効果比較を示す(群は図34によって使用された群であった)。
図36図36は、例示的なFIXおよびFIX−XTEN融合タンパク質の概略図を示す。図36Aは、天然FIXのドメイン構造物を、ガンマ−カルボキシグルタメートドメイン、EGF1およびEGF2ドメイン、活性化ペプチド、ならびにプロテアーゼドメインで示す。矢印は、活性化ペプチドドメインの切断部位を示す。図36は、XTENポリペプチドがC末端に付着したFIX分子を示し、XTENを放出するタンパク質分解切断の部位を表示する。
図37図37は、FIX−XTEN配置および関連するプロテアーゼ切断部位の数種の例を例証する。図37Aは、融合タンパク質のFIXの部分の近位側にて、XTEN内に2個のタンパク質分解切断部位(矢印)を有するFIX−XTENを示す。図37Bは、自己触媒的に活性化でき、同時にXTENを放出するFIX−XTENを示す。図37Cは、XTENがFIXの各種ドメインの間に組込まれた、FIX−XTENの4種類の配置を示す。図37Dは、FIXのタンパク質分解活性化の際にXTENを放出する、XTEN部分が活性化ペプチドに挿入されたFIX−XTENを示す。図37Eは、異なるドメイン間に挿入された複数のXTEN配列を含有するFIX−XTENを例証する。図37Fは、XTENがFIXのドメイン内に挿入されているFIX−XTENを例証する。図37Gは、XTENがFIXのC末端に連結され、XTENのN末端付近の複数の切断部位を含有する、FIX−XTENを例証する。
図38】FIX−XTENからのXTENの放出の概略図である。関連付けられたXTENを有するFIX−XTENは、半減期が増加しているが、たいてい不活性なプロドラッグ形態で存在する。XTEN放出部位(矢印)でのタンパク質分解切断の後に、FIX部分は凝固カスケードによって活性化することができるが、短い半減期を有する。
図39】外因性経路および内因性経路の両方を示す、凝固カスケードの概略図である。
図40】FIXをコードする遺伝子内のエキソン位置を使用する、FIX−XTEN設計手法の戦略を例証して、エキソン境界の間のXTEN挿入のための例示的な部位を矢印によって示す。
図41図41Aは、3種類の代表的なFIX−XTEN構築物AC296、AC299、およびAC300の概略図である。FIX配列の2個の矢印は、FXI活性化部位を示す。AC299およびAC300の追加の矢印は、XTEN放出部位を示す。図41Bは、トロンビン処理タンパク質AC296、AC299、およびAC300のウェスタンブロットであり、円内の、ウェスタンブロットの左側のFIXの陽性対照と同様の位置において、FIXがXTEN部分から放出されたことを示す。
図42図42は、FIX−XTEN遺伝子を含有するFIX−XTEN発現ベクターpCW0590の設計の概略図を示す。
図43図43Aは、発現生成物である未処理FIXポリペプチド鎖、およびFIX分泌中に出現するN末端での翻訳後切断を包含する成熟FIXポリペプチド鎖の図である。図8Bは、未処理形態および成熟形態の両方における除去された活性化ペプチドの残基数を示すFIXaのマッチング概略図である。
図44図44は、FIXaへのタンパク質分解切断および活性化の後の、FIX−XTEN構築物FIX−CFXIa−AG864(配列番号1819)、プレFXIa切断物、ならびに得られたフラグメント1、2、3および4(配列番号1820〜1823、それぞれ出現順)の配列を示すチャートである。
図45】FVIIアッセイの結果のグラフを、FVII標準の各種濃度の反応プロフィールおよびFVII−XTENの反応プロフィールと共に示す。FVII−XTENのアッセイの結果をグラフの下の表に示す。
図46図46は、FVII−XTEN遺伝子を含有する発現ベクターpCW0590のプラスミドマップである。
図47図47は、分子量が既知のタンパク質標準に対して測定したグルカゴン−XTEN構築物試料のサイズ排除クロマトグラフィー分析の結果を、吸光度対保持容量のグラフの結果と共に示す。グルカゴン−XTEN構築物は、1)グルカゴン−Y288;2)グルカゴンY−144;3)グルカゴン−Y72;および4)グルカゴン−Y36である。結果によって、見かけの分子量がXTEN部分の長さの増加と共に増加することが示される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態を説明する前に、このような実施形態が例示のためのみに提供されることと、本明細書に記載する本発明の実施形態の各種の代替が本発明の実施で用いられ得ることが理解されるべきである。当業者は、本発明から逸脱せずに、多くの変形、変更および置換をここで想到する。
【0047】
別途定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施または試験では、本明細書に記載する方法および材料と同様または同等の方法および材料を使用することができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。矛盾がある場合には、定義を包含して本特許明細書が優先する。さらに材料、方法および実施例は例証のためだけであり、制限を意図するものではない。当業者は、本発明から逸脱せずに、多くの変形、変更および置換をここで想到する。
【0048】
定義
本明細書で使用する場合、以下の用語は、別途規定しない限り、その用語に属する意味を有する。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照物を包含する。たとえば「細胞」という用語は、その混合物を包含して、複数の細胞を包含する。
【0050】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用されて、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは直鎖または分枝であり得て、ポリマーは改変アミノ酸を含み得て、およびポリマーは非アミノ酸によって割り込まれ得る。該用語は、たとえばジスルフィド結合形成、グリコシレーション、脂質化(lipidation)、アセチル化、リン酸化、またはその他の操作、たとえば標識成分によるコンジュゲーションによって改変されたアミノ酸ポリマーも含む。
【0051】
本明細書で使用する場合、「アミノ酸」という用語は、これに限定されるわけではないが、グリシンおよびDおよびLの両方の光学異性体、ならびにアミノ酸類似体およびペプチドミメティックを包含する、天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸のいずれかを指す。標準の1文字または3文字コードを使用して、アミノ酸を命名する。
【0052】
「天然L−アミノ酸」という用語は、グリシン(G)、プロリン(P)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、アルギニン(R),グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、およびトレオニン(T)のL光学異性体形態を意味する。
【0053】
「天然に存在しない」という用語は、配列に適用される場合および本明細書で使用する場合、哺乳動物で見出される野生型または天然に存在する配列に対する対応物を有さない、相補的でないまたは高度の相同性を有さないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を意味する。たとえば天然に存在しないポリペプチドは、好適に整列させるときに天然に存在する配列と比較して、99%、98%、95%、90%、80%、70%、60%、50%以下またはなお低いアミノ酸配列同一性を共有し得る。
【0054】
「親水性」および「疎水性」という用語は、物質が有する水との親和性の程度を指す。親水性物質は、水に対して強い親和性を有し、水に溶解する、水と混合する、または水に湿潤化される傾向があるが、疎水性物質は、水に対する親和性が実質的になく、水をはじくおよび吸収しない傾向があり、水に溶解しない、水と混合しないまたは水により湿潤化しない傾向がある。アミノ酸は、その疎水性に基づいて特徴付けることができる。いくつかのスケールが開発されている。1つの例は、Hopp,TPら、Proc Natl Acad Sci USA(1981)78:3824に挙げられているLevitt,M,ら、J Mol Biol(1976)104:59によって開発されたスケールである。「親水性アミノ酸」の例は、アルギニン、リジン、トレオニン、アラニン、アスパラギン、およびグルタミンである。特に興味深い親水性アミノ酸は、アスパルテート、グルタメート、およびセリン、およびグリシンである。「疎水性アミノ酸」の例は、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、およびバリンである。
【0055】
「フラグメント」は、治療活性および/または生物活性の少なくとも一部を保持する、天然生物活性タンパク質(native biologically active protein)の切断型である。「変異体」は、生物活性タンパク質の治療活性および/または生物活性の少なくとも一部を保持する、天然生物活性タンパク質に対して配列相同性を有するタンパク質である。たとえば変異体タンパク質は、参照生物活性タンパク質と少なくとも70%の、75%の、80%の、85%の、90%の、95%の、96%の、97%の、98%のまたは99%のアミノ酸配列同一性を共有し得る。本明細書で使用する場合、「生物活性タンパク質部分」という用語は、たとえば部位特異的変異誘発、挿入によって意図的に、または変異によって偶発的に改変されたタンパク質を包含する。
【0056】
「宿主細胞」は、対象ベクターのレシピエントであり得る、またはレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を包含する。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を包含する。子孫は、天然の、偶発的、または意図的な変異のために、元の親細胞と必ずしも(DNA相補体全体の形態またはゲノムが)完全に同一でないことがある。宿主細胞は、本発明のベクターによってインビボで形質移入することができる。
【0057】
「単離された」は、本明細書で開示する各種のポリペプチドを説明するために使用する場合に、その天然環境の構成要素から同定ならびに分離および/または回収されたポリペプチドを意味する。その天然環境の夾雑物質構成要素は、ポリペプチドの診断または治療用途を通例妨害する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を包含し得る。当業者に明らかなように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそのフラグメントは、それをその天然に存在する対応物から区別するための「単離」を必要としない。さらに、「濃縮された」、「分離された」または「希釈された」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそのフラグメントは、体積当たりの分子の濃度または数が概してその天然に存在する対応物よりも大きいという点で、その天然に存在する対応物から区別できる。一般に、組換え手段によって作られ、宿主細胞にて発現されたポリペプチドは、「単離」されると見なされる。
【0058】
「単離」ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドコード核酸または他のポリペプチドコード核酸は、同定され、ポリペプチドコード核酸の天然源において通常それが、関連する少なくとも1つの夾雑物質核酸分子から分離される核酸分子である。単離ポリペプチドコード核酸分子は、該核酸分子が自然界で見出される形または状態以外である。それゆえ、単離ポリペプチドコード核酸分子は、該核酸分子が天然細胞に存在するときに、特異的ポリペプチドコード核酸分子から区別される。しかし単離ポリペプチドコード核酸分子は、普通、たとえば核酸分子が天然細胞のものとは異なる染色体位置または染色体外の位置にあるポリペプチドを発現する細胞に含有されたポリペプチドコード核酸分子を包含する。
【0059】
「キメラ」タンパク質は、自然界で出現する配列内の位置とは異なる配列内の位置に領域を含む、少なくとも1つの融合ポリペプチドを含有する。その領域は、典型的には別個の複数のタンパク質に存在し得、融合ポリペプチドではそれらが合わせられる;またはそれらの領域は典型的には、同じタンパク質に存在し得るが、融合ポリペプチドでは新たな配置で置かれる。キメラタンパク質は、たとえば化学合成によって、またはそれらのペプチド領域がその所望の関係でコードされるポリヌクレオチドを生成および翻訳することによって生成され得る。
【0060】
「コンジュゲートされた」、「連結された」、「融合された」、および「融合」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、化学コンジュゲーションまたは組換え手段を包含するどの手段によっても、さらにもう2つの化学元素または構成要素を結合させることを指す。たとえば、プロモータまたはエンハンサは、該プロモータまたはエンハンサが配列の転写に影響を及ぼす場合に、コード配列に作動可能に連結される。概して、「作動的に連結された」は、連結されているDNA配列が隣接して、読み取り相またはインフレームにあることを意味する。「インフレーム融合」は、2個以上の読み取り枠(ORF)を結合して(joining)、元のORFの正しい読み取り枠を維持する様式で、連続したより長いORFを形成することを指す。それゆえ、得られた組換え融合タンパク質は、元のORFによってコードされたポリペプチドに対応する2個以上のセグメント(該セグメントは自然界では通常は、このように結合されない)を含有する単一のタンパク質である。
【0061】
ポリペプチドの文脈では、「直鎖配列」または「配列」は、アミノ末端→カルボキシ末端の方向でのポリペプチドにおけるアミノ酸の順序であり、配列内の相互に隣り合う残基は、ポリペプチドの1次構造において隣接している。「部分配列」は、1方向または両方向で追加の残基を含むことが公知であるポリペプチドの一部の直鎖配列である。
【0062】
「異種の」は、実体が、それが比較されている実体の残りの部分とは遺伝子型が異なる実体に由来することを意味する。たとえばその天然コード配列から除去されて、天然配列以外のコード配列に作動的に連結されたグリシンリッチ配列は、異種グリシンリッチ配列である。「異種の」という用語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチドに適用される場合、該ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、それが比較されている実体の残りのポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは遺伝子型が異なる実体に由来することを意味する。
【0063】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「ヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。これらの用語は、任意の長さのデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはその類似体の任意のヌクレオチドのポリマー形態である。ポリヌクレオチドは、いずれかの3次元構造を有し得て、既知または未知のいずれかの機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメントのコード領域または非コード領域、連結解析から定義された複数の遺伝子座(単数の遺伝子座)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマ。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、たとえばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含み得る。ヌクレオチド構造物に対する改変は、存在する場合、ポリマーの構築(assembly)の前または後に与えられ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって割り込まれ(interrupted)得る。ポリヌクレオチドは、たとえば標識成分を用いたコンジュゲーションによって重合後にさらに改変され得る。
【0064】
「ポリヌクレオチドの相補体」という用語は、ポリヌクレオチド分子であって、相補的塩基配列と、該ポリヌクレオチド分子が参照配列を完全な忠実度でハイブリダイズできるように、参照配列と比較して逆の向きとを有するポリヌクレオチド分子を示す。
【0065】
ポリヌクレオチドに適用されるような「組換え」は、インビトロクローニング、制限および/またはライゲーションステップ、および宿主細胞にて潜在的に発現させることができる構築物を生じる他の手順の各種の組み合わせの生成物であることを意味する。
【0066】
「遺伝子」または「遺伝子フラグメント」の用語は、本明細書では互換的に使用される。これらは、転写および翻訳された後に、特定のタンパク質をコードすることができる少なくとも1つの読み取り枠を含有するポリヌクレオチドを指す。遺伝子または遺伝子フラグメントは、ポリヌクレオチドが、コード領域全体またはそのセグメントを対象とし得る、少なくとも1つの読み取り枠を含有する限り、ゲノムDNAまたはcDNAであり得る。「融合遺伝子」は、共に連結されている少なくとも2個の異種ポリヌクレオチドから成る遺伝子である。
【0067】
「相同性」または「相同の」は、2個以上のポリヌクレオチド配列または2個以上のポリペプチド配列の間の配列類似性または互換性を指す。BestFitなどのプログラムを使用して2つの異なるアミノ酸配列の間の配列同一性、類似性または相同性を決定するときに、デフォルト設定が使用され得るか、または適切なスコアリングマトリクス、たとえばblosum45もしくはblosum80が選択されて同一性、類似性または相同性スコアが最適化され得る。好ましくは、相同であるポリヌクレオチドは、これらの配列に、本明細書で定義するように厳密性条件下でハイブリダイズして、少なくとも70%の、好ましくは少なくとも80%の、さらに好ましくは少なくとも90%の、さらに好ましくは95%の、さらに好ましくは97%の、さらに好ましくは98%の、およびなおさらに好ましくは99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドである。
【0068】
「厳密性条件」または「厳密性ハイブリダイゼーション条件」という用語は、ポリヌクレオチドがその標的配列に、他の配列よりも検出可能な高い程度まで(たとえばバックグラウンドの少なくとも2倍)ハイブリダイズする条件への参照を包含する。概して、ハイブリダイゼーションの厳密性は一部は、洗浄ステップが行われる温度および塩濃度に関連して表される。通例、厳密性条件は、 塩濃度がpH7.0〜8.3にて約1.5M未満のNaイオン、通例、約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いポリヌクレオチド(たとえば10〜50のヌクレオチド)では少なくとも約30℃および長いポリヌクレオチド(たとえば50超のヌクレオチド)では少なくとも約60℃である条件である。たとえば「厳密性条件」は、50%ホルムアミド、1M NaCl、1% SDSにおける、37℃でのハイブリダイゼーション、および60〜65℃における0.1×SSC/1%SDSにおいてそれぞれ15分間の洗浄3回を包含することができる。あるいは、約65℃、60℃、55℃、または42℃の温度が使用され得る。SSC濃度は約0.1〜2×SSCで変動され得て、SDSは約0.1%で存在する。このような洗浄温度は通例、定義されたイオン強度およびpHにて特異的配列の熱融点(c)よりも約5℃〜20℃低くなるように選択される。Tmは、(定義されたイオン強度およびpHの下で)標的配列の50%が完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である。核酸ハイブリダイゼーションのためのTmおよび条件を計算する式は公知であり、Sambrook,J.ら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,Cold Spring Harbor Press,Plainview N.Y.に見出される;特にvolume 2およびchapter 9を参照。通例、ブロッキング試薬を使用して非特異的ハイブリダイゼーションをブロックする。このようなブロッキング試薬はたとえば、約100〜200μg/mlの剪断および変性サケ精子DNAを包含する。有機溶媒、たとえば約35〜50%v/vの濃度のホルムアミドも、RNA:DNAハイブリダイゼーションなどの特定の状況下で使用され得る。これらの洗浄条件に対する有用な変形は、当業者にただちに明らかとなる。
【0069】
「パーセント同一性」および「%同一性」という用語は、ポリヌクレオチド配列に適用される場合、標準化アルゴリズムを使用して配置された(aligned)少なくとも2個のポリヌクレオチド配列の残基一致のパーセンテージをいう。このようなアルゴリズムは、2個の配列の間のアライメントを最適化して、したがって2個の配列のより意味のある比較を達成するために、標準化された再現可能な方法で、比較されている配列にギャップを挿入し得る。パーセント同一性は、たとえば特定の配列番号によって定義された場合、定義されたポリヌクレオチド配列全体の長さにわたって測定され得るか、またはより短い長さにわたって、たとえばより大型の定義されたポリヌクレオチド配列から得たフラグメントの長さ、たとえば少なくとも45連続残基の、少なくとも60連続残基の、少なくとも90連続残基の、少なくとも120連続残基の、少なくとも150連続残基の、少なくとも210連続残基のまたは少なくとも450連続残基のフラグメントにわたって測定され得る。このような長さは例示のためだけであり、本明細書、表、図または配列リストによって裏付けられる任意のフラグメント長を使用して、パーセンテージ同一性が測定され得る長さが説明され得ることが理解される。
【0070】
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、本明細書で同定されるポリペプチド配列に関して、該配列を配置して、最大パーセント配列同一性を達成するために必要な場合にはギャップを導入した後に、いずれの保存的置換も配列同一性の一部と見なさずに、第2の参照ポリペプチド配列またはその一部のアミノ酸残基と同一であるクエリ配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するための配列比較は、当分野の技術の範囲に含まれる各種の方法、たとえば公に利用可能なコンピュータソフトウェア、たとえばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者は、比較されている配列の全長にわたる最大配列比較を達成するのに必要ないずれのアルゴリズムも包含して、配列比較を測定するための適切なパラメータを決定することができる。パーセント同一性は、たとえば特定の配列番号によって定義された場合、定義されたポリペプチド配列全体の長さにわたって測定され得るか、またはより短い長さにわたって、たとえばより大型の定義されたポリペプチド配列から得たフラグメントの長さ、たとえば少なくとも15連続残基の、少なくとも20連続残基の、少なくとも30連続残基の、少なくとも40連続残基の、少なくとも50連続残基の、少なくとも70連続残基のまたは少なくとも150連続残基のフラグメントにわたって測定され得る。このような長さは例示のためだけであり、本明細書、表、図または配列リストによって裏付けられる任意のフラグメント長を使用して、パーセンテージ同一性が測定され得る長さが説明され得ることが理解される。
【0071】
「非反復性」という用語は、ポリペプチドの文脈において本明細書で使用する場合、ペプチドまたはポリペプチド配列の内部相同性の欠如または制限された程度を示す。「実質的に非反復性」のという用語は、たとえば同一の種類のアミノ酸である、配列内の4連続アミノ酸の例がほとんどもしくは全くないこと、またはポリペプチドが10以下のサブ配列スコア(下で定義)を有すること、またはポリペプチド配列を構成する配列モチーフの、N末端からC末端の順序でのパターンがないことを意味し得る。「反復性」という用語は、ポリペプチドの文脈において本明細書で使用する場合、ペプチドまたはポリペプチド配列の内部相同性の程度を示す。これに対して、「反復性」配列は、短いアミノ酸配列の複数の同一のコピーを含有し得る。たとえば、目的のポリペプチド配列はnマー配列に分割され得て、同一配列の数をカウントすることができる。高反復性配列は、高い割合で同一配列を含有するが、非反復性配列は同一配列をほとんど含有しない。ポリペプチドの文脈において、配列は、定義された長さまたは可変長のより短い配列の複数のコピー、すなわちモチーフを含有することができ、モチーフ自体は非反復性配列を有し、全長ポリペプチド実質的に非反復性にする。非反復性がその中で測定されるポリペプチドの長さは、3アミノ酸〜約200アミノ酸、約6〜約50アミノ酸、または約9〜約14アミノ酸で変化することができる。ポリヌクレオチド配列の文脈で使用される「反復性」は、所与の長さの同一ヌクレオチド配列の頻度などの、配列における内部相同性の程度を示す。反復性は、たとえば同一配列の頻度を分析することによって測定できる。
【0072】
「ベクター」は、挿入された核酸分子を宿主細胞に、および/または宿主細胞間に移入する、適切な宿主において好ましくは自己複製する、核酸分子である。該用語は、主にDNAもしくはRNAの細胞への挿入のために機能するベクター、主にDNAもしくはRNAの複製のために機能するベクターの複製、ならびにDNAもしくはRNAの転写および/または翻訳のために機能する発現ベクターを包含する。上の機能の2つ以上を提供するベクターも包含される。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞に導入されたときに、ポリペプチド(複数可)に転写および翻訳することができるポリヌクレオチドである。「発現系」は通常、所望の発現生成物を産するように機能できる発現ベクターから成る好適な宿主細胞を意味する。
【0073】
「血清分解耐性」は、ポリペプチドに適用される場合、血清または血漿中にプロテアーゼを通例包含する血液またはその構成要素において、ポリペプチドが分解に耐える能力を指す。血清分解耐性は、通例一連の日数(たとえば0.25、0.5、1、2、4、8、16日間)にわたって、通例約37℃にてタンパク質をヒト(または必要に応じてマウス、ラット、サル)血清または血漿と組み合わせることによって測定することができる。これらの時点の試料でウェスタンブロットアッセイを行うことが可能であり、抗体によりタンパク質が検出される。抗体は、そのタンパク質においてタグ化することができる。そのタンパク質がウェスタンで単一のバンドを示す場合、該タンパク質のサイズが注入したタンパク質のサイズと同一であるならば、分解はおこっていない。この例示的な方法では、ウェスタンブロットまたは同等の技法によって判定されるように、タンパク質の50%が分解されている時点が、タンパク質の血清分解半減期または「血清半減期」である。
【0074】
「t1/2」という用語は、本明細書で使用する場合、ln(2)/Kelとして計算される最終半減期を意味する。Kelは、log濃度対時間曲線の最終直線部分の線形回帰によって計算された最終消失速度定数である。半減期は通例、正常な生物学的プロセスによって代謝または消失される、生体(living organism)内に沈着した投与済み物質の量の半分にとって必要な時間を示す。「t1/2」、「最終半減期」、「消失半減期」および「循環半減期」という用語は、本明細書では互換的に使用される.
「見かけの分子量係数」または「見かけの分子量」は、特定のアミノ酸配列によって提示された見かけの分子量の相対的増加または減少の尺度を示す関連用語である。該見かけの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および同様の方法を使用して球状タンパク質標準と比較して決定され、「見かけのkD」単位で測定される。見かけの分子量係数は、見かけの分子量と実際の分子量との間の比である;実際の分子量は、アミノ酸組成に基づいて、その組成の各種類のアミノ酸の計算された分子量を加算することによって予測される。
【0075】
「流体力学半径」または「ストークス半径」は、溶液中の分子の有効半径(R(nm))であって、分子が溶液中を移動して、溶液の粘度による抵抗を受ける物体であると仮定することによって測定される有効半径である。本発明の実施形態において、XTEN融合タンパク質の流体力学半径測定値は、より直観的な尺度である「見かけの分子量係数」と相関している。タンパク質の「流体力学半径」は、水溶液中でのその拡散速度ならびに高分子のゲルにおいて移動するその能力に影響を及ぼす。タンパク質の流体力学半径は、その分子量によって、ならびに形状および緻密性を包含するその構造によって決定される。U.S.Patent Nos.6,406,632および7,294,513に記載されているような、たとえばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の使用による流体力学半径を決定する方法は、当分野で周知である。大半のタンパク質は球状構造を有し、球状構造はタンパク質が最小の流体力学半径によって取ることができる最も小型の3次元構造である。いくつかのタンパク質は、ランダムで開いた、非構造化、または「直鎖」高次構造を取り、結果として、同様の分子量の通例の球状タンパク質と比較してはるかに大きい流体力学半径を有する。
【0076】
「生理的条件」は、生体被験体のこのような状態を模倣する温度、塩濃度、pHを包含する、生体宿主における一連の条件ならびにインビトロ条件を示す。インビトロアッセイで使用するための生理的に関連する条件の宿主が確立されている。概して、生理的バッファーは、生理的濃度の塩を含有し、約6.5〜約7.8に、および好ましくは約7.0〜約7.5に及ぶ中性pHに調整される。多種多様の生理的バッファーがSambrookら(1989)に記載されている。生理的に関連する温度は、約25℃〜約38℃に、好ましくは約35℃〜約37℃に及ぶ。
【0077】
「反応基」は、第2の反応性基に連結できる化学構造物である。反応基の例は、アミノ基、カルボキシ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アジド基である。いくつかの反応基を活性化させて、第2の反応基との連結を促進することができる。活性化の例は、カルボキシ基とカルボジイミドとの反応、カルボキシ基の活性化エステルへの変換、またはカルボキシ基のアジド機能への変換である。
【0078】
「制御放出剤」、「低速放出剤」、「デポー調合物」または「持続放出剤」は互換的に使用されて、ポリペプチドが薬剤の非存在下で投与されるときの放出期間と比較して、本発明のポリペプチドの放出期間を延長することができる薬剤を示す。本発明の異なる実施形態は、異なる放出速度を有し、異なる治療量をもたらし得る。
【0079】
「抗原」、「標的抗原」または「免疫原」という用語は本明細書では互換的に使用されて、抗体フラグメントまたは抗体フラグメントに基づく治療薬が結合する、または特異性を有する構造物または結合決定基を示す。
【0080】
「ペイロード」という用語は本明細書で使用する場合、生物活性または治療活性を有するタンパク質またはペプチド配列;小型分子のファルマコフォアの対応物を示す。ペイロードの例は、これに限定されるわけではないが、サイトカイン、酵素、ホルモン、ならびに血液因子および成長因子を包含する。ペイロードは、遺伝子的に融合または化学的にコンジュゲートされた部分、たとえば化学療法剤、抗ウイルス化合物、毒素または造影剤をさらに含むことができる。これらのコンジュゲートされた部分は、切断可能または切断不能であり得るリンカーによってポリペプチドの残りの部分に結合することができる。
【0081】
「アンタゴニスト」という用語は、本明細書で使用する場合、本明細書で開示する天然ポリペプチドの生物活性を部分的または完全に遮断、阻害、または中和する任意の分子を包含する。ポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法は、天然ポリペプチドを候補アンタゴニスト分子と接触させることと、正常には天然ポリペプチドに関連付けられた1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することとを含み得る。本発明の文脈において、アンタゴニストは、タンパク質、核酸、炭水化物、抗体または生物活性タンパク質の効果を減少させる任意のその他の分子を包含し得る。
【0082】
「アゴニスト」という用語は最も広い意味で使用され、本明細書で開示する天然ポリペプチドの生物活性を模倣する任意の分子を包含する。好適なアゴニスト分子は、具体的にアゴニスト抗体または抗体フラグメント、天然ポリペプチド、ペプチド、小型有機分子などのフラグメントまたはアミノ酸配列変異体を包含する。天然ポリペプチドのアゴニストを同定する方法は、天然ポリペプチドを候補アゴニスト分子と接触させることと、正常には天然ポリペプチドに関連付けられた1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することとを含み得る。
【0083】
本明細書の目的のための「活性」は、対応する天然生物活性タンパク質の作用または効果と一致する、融合タンパク質の構成要素の作用または効果を示し、「生物活性」は、これに限定されるわけではないが受容体結合、拮抗物質活性、アゴニスト活性、または細胞応答もしくは生理的応答を包含する、インビトロまたはインビボ生物機能または効果を示す。
【0084】
本明細書で使用する場合、「処置」または「処置すること」または「軽減すること(palliating)」または「緩和すること」は、本明細書では互換的に使用される.これらの用語は、これに限定されるわけではないが、治療利益および/または予防利益を包含する、有益または所望の結果を得るための手法を示す。治療利益とは、根底にある処置する障害の根絶または緩和を意味する。また治療利益は、被験体が根底にある障害になお罹患しているかもしれないかにかかわらず被験体に改善が観察されるように、根底にある障害に関連付けられた生理的異常の1つ以上の根絶または緩和によって達成される。予防利益では、組成物は、特定の疾患を発症するリスクにある被験体に、または疾患の生理的異常の1つ以上を、この疾患の診断が行われていなくても、報告している被験体に投与され得る。
【0085】
「治療効果」は本明細書で使用する場合、これに限定されるわけではないが、生物活性タンパク質が所有する抗原エピトープに対する抗体産生を誘導する能力以外の、本発明の融合ポリペプチドによって引き起こされる、ヒトもしくは他の動物における疾患の治癒、軽減、緩和、もしくは防止、またはそうでなければヒトもしくは動物の身体的もしくは精神的健康を包含する、生理的効果のことをいう。治療的有効量の決定は、とりわけ本明細書で提供された詳細な開示を考慮して、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0086】
「治療的有効量」および「治療的有効用量」という用語は、本明細書で使用する場合、疾患状態または病状のいずれかの状態、態様、測定パラメータまたは特徴に対する任意の検出可能な有益な効果を有することができる、被験体に単回または反復用量で投与したときに、融合タンパク質組成物の単独またはその一部としてのいずれかの、生物活性タンパク質の量をいう。このような効果は、絶対に有益である必要はない。
【0087】
「治療的有効用量レジメン」という用語は、本明細書で使用する場合、用量が治療的有効量で投与されて疾患状態または病状の任意の症状、態様、測定パラメータまたは特徴に対する持続的な有益な効果をもたらす、融合タンパク質組成物の単独またはその一部としてのいずれかの、生物活性タンパク質の連続投与用量のスケジュールを指す。
【0088】
I)一般技法
本発明の実施は、別途示さない限り、当該技術の範囲内である、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクスおよび組換えDNAの従来の技法を用いる。その内容が全体として参照により本明細書に組み入れられている、Sambrook,J.ら、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,”3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001;”Current protocols in
molecular biology”,F.M.Ausubelら eds.,1987;the series“Methods in Enzymology,”Academic Press,San Diego,CA.;“PCR 2:a practical approach”,M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.,Oxford University Press,1995;“Antibodies,a laboratory manual”Harlow,E.and Lane,D.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory,1988;”Goodman & Gilman’s
The Pharmacological Basis of Therapeutics,”11th Edition,McGraw−Hill,2005;およびFreshney,R.I.,“Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,”4th edition,John Wiley & Sons,Somerset,NJ,2000を参照。
【0089】
II)延長組換えポリペプチド
本発明は、延長組換えポリペプチド(「XTEN」または「XTENs」)を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、XTENは概して、主に小型親水性アミノ酸から成る天然に存在しない実質的に非反復性の配列を有する延長された長さのポリペプチドであり、該配列は生理的条件下では、低い程度で2次もしくは3次構造を有するか、または2次もしくは3次構造を有さない。
【0090】
本発明の一態様において、生物活性タンパク質(「BP」)に連結されて、BPXTEN融合タンパク質(たとえば単量体融合物)をもたらすことができる融合パートナーとして有用であるXTENポリペプチド組成物が開示される。XTENは、生物活性タンパク質に連結されて融合タンパク質を生成するときに、特定の化学的および薬学的特性を与えることができるという点で、融合タンパク質パートナーとしての有用性を有することができる。このような所望の特性は、下記の他の特性の中でも、これに限定されるわけではないが、増強された薬物動態パラメータおよび溶解性の特徴を包含する。このような融合タンパク質の組成物は、本明細書に記載するような、特定の疾患、障害または状態を処置する有用性を有し得る。本明細書で使用する場合、「XTEN」は、抗体または抗体フラグメント、たとえば単鎖抗体、軽鎖または重鎖のFcフラグメントを特異的に排除する。
【0091】
いくつかの実施形態において、XTENは、単一の配列として使用されるときには約100超〜約3000のアミノ酸残基、好ましくは400超〜約3000残基を有し、単一の融合タンパク質またはコンジュゲートにおいて1を超えるXTEN単位として使用されるときには約400超〜約3000のアミノ酸残基を累積的に有する、長いポリペプチドである。融合タンパク質の半減期の増加が不要であるが、生物活性タンパク質融合パートナーの溶解度または他の物理的/化学的特性が所望である、他の場合において、100アミノ酸残基より短い、たとえば約96、または約84、または約72、または約60、または約48、または約36アミノ酸残基のXTEN配列は、融合タンパク質組成物にBPと共に組み入れられて特性を及ぼし得る。
【0092】
生物活性タンパク質に連結されて本発明の融合タンパク質を生成するXTENの選択基準は概して、XTENの、物理的/化学的特性および高次構造の構造物の属性に関連しており、この属性は今度は、薬学的および薬物動態特性の向上を融合タンパク質に与えることができる。本発明のXTENは、以下の有利な特性:高次構造の柔軟性、水溶性の増強、高度のプロテアーゼ耐性、低い免疫原性、哺乳動物受容体への弱い結合、および流体力学半径(またはストークス半径)の増加;融合タンパク質パートナーとしてXTENを特に有用にすることができる特性の1つ以上を提示し得る。XTENによって増強され得る、BPを含む融合タンパク質の特性の非限定的な例は、全体的な溶解度および/または代謝安定性の増加、タンパク質分解に対する感受性の低下、免疫原性の低下、皮下または筋肉内投与したときの吸収速度の低下、ならびに最終半減期および曲線下面積(AUC)などの薬物動態特性の増強を包含し、皮下または筋肉内注射後の(XTENに連結されていないBPと比較して)より低速の吸収によって、Cmaxがより低くなり、これにより今度はBPの有害作用の低下が引き起こされ、全体として、被験体に投与されたBPXTEN組成物の融合タンパク質が、XTENに連結されていない対応するBP構成要素と比較して、治療ウインドウ内に残存する期間の増加を引き起こすことができる。
【0093】
本発明のXTENを含む融合タンパク質組成物などのタンパク質の物理的/化学的特性;2次または3次構造、溶解度、タンパク質凝集、融解特性、夾雑および含水量などの特性を決定する多種多様の方法およびアッセイが、当分野で公知である。このような方法は、分析用遠心分離、EPR、HPLC−イオン交換、HPLC−サイズ排除、HPLC−逆相、光散乱、キャピラリー電気泳動、円偏光二色性、示差走査熱量測定、蛍光、HPLC−イオン交換、HPLC−サイズ排除、IR、NMR、ラマン分光法、屈折率測定および紫外/可視分光法を包含する。追加の方法は、Arnauら、Prot Expr and Purif(2006)48,1−13に開示されている。これらの方法の発明への適用は、当業者の理解の範囲内である。
【0094】
通例、融合タンパク質のXTEN構成要素は、ポリマーの延長した長さにかかわらず、生理的条件下で変性ペプチド配列のように挙動するよう設計されている。変性した(denatured)とは、ペプチド主鎖の高次構造の自由度が大きいことを特徴とする、溶解したペプチドの状態を説明する。大半のペプチドおよびタンパク質は、高濃度の変性剤の存在下でまたは高温にて、変性した高次構造を取る。変性した高次構造のペプチドは、たとえば特徴的な円偏光二色性(CD)スペクトルを有し、NMRによって決定される長距離(long−range)相互作用の欠如を特徴とする。「変性した高次構造」および「非構造化高次構造」は、本明細書では同義語として使用される。いくつかの場合において,本発明は、生理的条件下で、2次構造を大部分欠く変性した配列に似せることができるXTEN配列を提供する。他の場合では、XTEN配列は、生理的条件下で2次構造を実質的に欠くことができる。「大部分欠く」は、本文脈で使用する場合、本明細書に記載する手段によって測定または決定されるように、XTEN配列のXTENアミノ酸残基の50%未満が2次構造に寄与することを意味する。「実質的に欠く」は、本文脈で使用する場合、本明細書に記載する手段によって測定または決定されるように、XTEN配列のXTENアミノ酸残基の少なくとも約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または少なくとも約99%が2次構造に寄与しないことを意味する。
【0095】
所与のポリペプチドにおける2次および3次構造の存在または非存在を識別するための多種多様の方法が、当分野で確立されてきた。特に2次構造は、「遠紫外」スペクトル領域(190〜250nm)において、たとえば円偏光二色性分光法によって分光光度法で測定することができる。2次構造要素、たとえばアルファらせんおよびベータシートはそれぞれ、CDスペクトルの特徴的な形状および大きさを生じる。ポリペプチド配列の2次構造は、特定のコンピュータプログラムまたはアルゴリズム、たとえばUS Patent Application Publication No.20030228309A1に記載されているような、周知のChou−Fasmanアルゴリズム(Chou,P.Y.ら(1974)Biochemistry,13:222−45)およびGarnier−Osguthorpe−Robson(「GOR」)アルゴリズム(Garnier J,Gibrat JF,Robson B.(1996),GOR method for predicting protein secondary structure from amino acid sequence.Methods Enzymol 266:540−553)によっても予測することができる。所与の配列では、アルゴリズムは、2次構造がいくつか存在するかまたは全く存在しないかを予測することができ、2次構造の存在はたとえばアルファらせんもしくはベータシートを形成する配列の残基の総数および/もしくはパーセンテージ、または(2次構造を欠いた)ランダムコイル形成物を生じることが予測される配列の残基のパーセンテージとして表される。
【0096】
いくつかの場合において、本発明の融合タンパク質組成物で使用されるXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されるように、0%から約5%未満に及ぶアルファらせんのパーセンテージを有することができる。他の場合において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されるように、0%から約5%未満に及ぶベータシートのパーセンテージを有することができる。いくつかの場合において,融合タンパク質組成物のXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されるように、0%から約5%未満に及ぶアルファらせんのパーセンテージおよび0%から約5%未満に及ぶベータシートのパーセンテージを有することができる。好ましい実施形態において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、約2%未満のアルファらせんのパーセンテージおよび約2%未満のベータシートのパーセンテージを有する。他の場合において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、GORアルゴリズムによって決定されるように、高度のランダムコイルパーセンテージを有することができる。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、GORアルゴリズムによって決定されるように、少なくとも約80%の、さらに好ましくは少なくとも約90%の、さらに好ましくは少なくとも約91%の、さらに好ましくは少なくとも約92%の、さらに好ましくは少なくとも約93%の、さらに好ましくは少なくとも約94%の、さらに好ましくは少なくとも約95%の、さらに好ましくは少なくとも約96%の、さらに好ましくは少なくとも約97%の、さらに好ましくは少なくとも約98%の、および最も好ましくは少なくとも約99%のランダムコイルを有することができる。
【0097】
1.非反復性配列
主題の組成物のXTEN配列は、実質的に非反復性であることができる。一般に、反復性アミノ酸配列は、天然反復性配列、たとえばコラーゲンおよびロイシンジッパーによって例示されるように、凝集するもしくは高次構造物(higher order structure)を形成する、または接触物を形成して結晶構造物もしくは偽結晶構造物を生じる傾向を有する。これに対して、非反復性配列は凝集する傾向が低いために、配列がそうでなければ反復性である場合には凝集しやすい荷電アミノ酸を比較的低頻度で有する、長い配列のXTENが設計できるようになる。通例、BPXTEN融合タンパク質は、約100超〜約3000のアミノ酸残基、好ましくは400超〜約3000の残基のXTEN配列を含み、該配列は実質的に非反復性である。一実施形態において、XTEN配列は、約100超〜約3000のアミノ酸残基、好ましくは400超〜約3000のアミノ酸残基を有し得、該配列において、配列内の連続する3個のアミノ酸が同じ種類のアミノ酸であることはなく(該アミノ酸(単数)がセリンでない限り)、この場合、3個以下の連続アミノ酸はセリン残基である。上述の実施形態において、XTEN配列は実質的に非反復性である。
【0098】
ポリペプチドまたは遺伝子の反復度は、コンピュータプログラムもしくはアルゴリズムによって、または当分野で公知の他の手段によって測定することができる。ポリペプチド配列の反復性は、たとえば所与の長さのより短い配列がポリペプチド内で出現する回数を決定することによって評価できる。たとえば200のアミノ酸残基のポリペプチドは、192の重複9−アミノ酸配列(すなわち9マー「フレーム」)および198の3マーフレームを有するが、独自の9マー配列または3マー配列の数は、配列内の反復の量に依存する。ポリペプチド配列全体におけるサブ配列の反復度を反映するスコア(以下「サブ配列スコア」)を生成させることができる。本発明の文脈において、「サブ配列スコア」は、200アミノ酸配列内の独自の3マーサブ配列の絶対数で割った、ポリペプチドの200連続アミノ酸配列全治にわたる独自の3マーフレームそれぞれの出現数の和を意味する。反復性および非反復性ポリペプチドの最初の200アミノ酸に由来するこのようなサブ配列スコアの例を実施例73に表示する。いくつかの実施形態において、本発明はXTENをそれぞれ含むBPXTENを提供し、該XTENは、12未満の、さらに好ましくは10未満の、さらに好ましくは9未満の、さらに好ましくは8未満の、さらに好ましくは7未満の、さらに好ましくは6未満の、および最も好ましくは5未満のサブ配列スコアを有することができる。本段落の上で記載した上記の実施形態において、約10未満(すなわち9、8、7など)のサブ配列スコアを有するXTENが「実質的に非反復性」である。
【0099】
XTENの非反復性の特徴は、反復性配列を有するポリペプチドと比較して、溶解度がより高く、凝集する傾向がより低いBP(複数可)を融合タンパク質に与えることができる。これらの特性は、いくつかの場合において100mg/mlを超える非常に高い薬物濃度を含有する、XTENを含む薬学的調製物の調合を容易にすることができる。
【0100】
さらに、本実施形態のXTENポリペプチド配列は、哺乳動物に投与されるときに免疫原性を低下または実質的に消失させるために、低度の内部反復性を有するように設計される。3種類のアミノ酸、たとえばグリシン、セリンおよびグルタメートに大部分限定された短い反復モチーフから構成されたポリペプチド配列は、哺乳動物に投与されたときに、これらの配列に予測されたT細胞エピトープが存在しないにもかかわらず、比較的高い抗体力価を生じ得る。これは、ポリペプチドの反復性の性質によって引き起こされ得る。なぜなら、タンパク質凝集体を包含する、反復エピトープを有する免疫原、架橋免疫原、および反復性炭水化物が高い免疫原性であり、たとえばB細胞活性化を引き起こすB細胞受容体の架橋を生成できることが示されているためである。(Johansson,J.ら(2007)Vaccine,25:1676−82;Yankai,Z.ら(2006)Biochem Biophys Res Commun,345:1365−71;Hsu,C.T.ら(2000)Cancer Res,60:3701−5);Bachmann MFら、Eur J Immunol.(1995)25(12):3445−3451)。
【0101】
2.例示的な配列モチーフ
本発明は、より短い配列の複数の単位、すなわちモチーフを含むことができるXTENを含み、ここで該モチーフのアミノ酸配列は非反復性である。XTEN配列の設計において、多量体化されてXTEN配列を生成する配列モチーフのライブラリを使用する「ビルディングブロック」手法の使用にもかかわらず、非反復性基準が満たされ得ることが見出された。それゆえXTEN配列がわずか4つの異なる種類の配列モチーフの複数単位から成り得るのは、モチーフ自体が概して非反復性アミノ酸配列から成り、XTEN配列全体が実質的に非反復性にされるためである。
【0102】
一実施形態において、XTENは約100超〜約3000のアミノ酸残基の、好ましくは400超〜約3000の残基の非反復性配列を有することができ、該XTEN配列の少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または約100%は、非重複配列モチーフから成り、該モチーフそれぞれが約9〜36のアミノ酸残基を有する。他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または約100%は、非重複配列モチーフから成り、該モチーフそれぞれが9〜14のアミノ酸残基を有する。なお他の実施形態において、XTEN配列構成要素の少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または約100%は、非重複配列モチーフから成り、該モチーフはそれぞれ12のアミノ酸残基を有する。これらの実施形態において、配列全体が非構造化の柔軟な特徴を有するように、配列モチーフは小型親水性アミノ酸から主に構成されることが好ましい。XTENに包含されることができるアミノ酸の例は、たとえばアルギニン、リジン、トレオニン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、アスパルテート、グルタメート、セリン、およびグリシンである。試験変数、たとえばコドン最適化、配列モチーフをコードする構築ポリヌクレオチド、タンパク質の発現、発現されたタンパク質の電荷分布および溶解度、ならびに2次および3次構造の結果として、増強された特徴を備えたXTEN組成物は主にグリシン(G)残基、アラニン(A)残基、セリン(S)残基、トレオニン(T)残基、グルタメート(E)残基およびプロリン(P)残基を包含し、該配列が実質的に非反復性となるように設計されることが見出された。好ましい実施形態において、XTEN配列は、長さが約100超〜約3000のアミノ酸残基、好ましくは400超〜約3000残基である実質的に非反復性の配列に配置されている、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)またはプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸を主として有する。いくつかの実施形態において、XTENは約100超〜約3000のアミノ酸残基の、好ましくは400超〜約3000の残基の配列を有することができ、該配列の少なくとも約80%が非重複配列モチーフから成り、該モチーフの各々は9〜36のアミノ酸残基を有し、該モチーフの各々はグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成り、全長XTENの任意の1種類のアミノ酸の含有量が30%を超えない。他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%が非重複配列モチーフから成り、該モチーフの各々は9〜36のアミノ酸残基を有し、該モチーフの各々はグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成り、全長XTENの任意の1種類のアミノ酸の含有量が30%を超えない。他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%が非重複配列モチーフから成り、該モチーフの各々は、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成る12アミノ酸残基を有し、全長XTENの任意の1種類のアミノ酸の含有量が30%を超えない。また他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%〜約100%が非重複配列モチーフから成り、該モチーフはそれぞれグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から成る12アミノ酸残基を有し、全長XTENの任意の1種類のアミノ酸の含有量が30%を超えない。
【0103】
なお他の実施形態において、XTENは約100超〜約3000のアミノ酸残基の、好ましくは400超〜約3000のアミノ酸残基の非反復性配列を含み、該配列の少なくとも約80%が、または少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%が9〜14個のアミノ酸残基の非重複配列モチーフから成り、該モチーフがグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成り、任意の1つのモチーフの任意の2個の連続アミノ酸残基の配列が該配列モチーフにおいて2回を超えて反復されない。他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%が12個のアミノ酸残基の非重複配列モチーフから成り、該モチーフがグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成り、任意の1つの配列モチーフの任意の2個の連続アミノ酸残基の配列が該配列モチーフにおいて2回を超えて反復されない。他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%が12個のアミノ酸残基の非重複配列モチーフから成り、該モチーフがグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から成り、任意の1つの配列モチーフの任意の2個の連続アミノ酸残基の配列が該配列モチーフにおいて2回を超えて反復されない。また他の実施形態において、XTENは12アミノ酸配列モチーフから成り、該アミノ酸はグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択され、任意の1つの配列モチーフの任意の2個の連続アミノ酸残基の配列が該配列モチーフにおいて2回を超えて反復されず、全長XTENの任意の1種類のアミノ酸の含有量が30%を超えない。本段落の上で記載した上述の実施形態において、XTEN配列は実質的に非反復性である。
【0104】
いくつかの場合において、本発明は、約100超〜約3000のアミノ酸残基の、好ましくは400超〜約3000の残基の非反復性XTEN配列を含む組成物を提供し、配列の少なくとも約80%が、または少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%〜約100%が、表1のアミノ酸配列から選択される2個以上の非重複配列モチーフの複数の単位から成る。いくつかの場合において、XTENは、配列の約80%が、または少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%〜約100%が、表1の単一モチーフファミリから選択される2個以上の非重複配列から成り、該配列全体が実質的に非反復性のままである「ファミリ」配列を生じる非重複配列モチーフを含む。したがって、これらの実施形態において、XTEN配列は、表1の配列のADモチーフファミリの、またはAEモチーフファミリの、またはAFモチーフファミリの、またはAGモチーフファミリの、またはAMモチーフファミリの、またはAQモチーフファミリの、またはBCファミリの、またはBDファミリの非重複配列モチーフの複数の単位を含むことができる。他の場合において、XTENは、表1のモチーフファミリの2つ以上からのモチーフ配列を含む。
【0105】
【表1】
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他の場合において、BPXTEN組成物は約100超〜約3000のアミノ酸残基の、好ましくは400超〜約3000の残基の非反復性XTEN配列を含む組成物を含むことができ、配列の少なくとも約80%が、または少なくとも約90%が、または約91%が、または約92%が、または約93%が、または約94%が、または約95%が、または約96%が、または約97%が、または約98%が、または約99%〜約100%が、表12〜15のポリペプチド配列の1つ以上から選択される非重複36アミノ酸配列モチーフから成る。
【0106】
BPXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素が、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)から選択される4〜6種類のアミノ酸から成るそのアミノ酸の100%未満を、または表1の配列モチーフもしくは表12〜15のポリペプチド配列から成る配列の100%未満を、または表2からのXTENとの100%未満の配列同一性を有するこのような実施形態において、残りのアミノ酸残基は、任意のその他の14種類の天然L−アミノ酸から選択することができる。残りのアミノ酸は、XTEN配列全体に散在され得るか、配列モチーフの中もしくは配列モチーフの間に位置し得るか、またはXTEN配列の1個以上の短いストレッチに集中し得る。BPXTENのXTEN構成要素がグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)以外のアミノ酸を含むような場合、アミノ酸が疎水性残基でなく、XTEN構成要素について2次構造を実質的に与えるべきでないことが望ましい。それゆえ上述の好ましい実施形態において、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)に加えて他のアミノ酸を含むBPXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素は、Chou−Fasmanアルゴリズムによって測定されるように、アルファらせんおよびベータシートに寄与する残基が5%未満の配列を有し、GORアルゴリズムによって測定されるように、少なくとも90%のランダムコイル形成物を有する。
【0107】
3.配列の長さ
詳細な特徴において、本発明は、延長した長さの配列を有するXTENポリペプチドを含むBPXTEN組成物を含む。本発明は、非反復性の非構造化ポリペプチドの長さを増大させることにより、XTENの非構造化の性質ならびにXTENを含む融合タンパク質の生物および薬物動態特性が増強されるという発見を利用する。実施例でさらに十分に記載するように、XTENの長さの比例的増加は、単一ファミリの配列モチーフ(たとえば表1の4種類のAEモチーフ)の固定反復順序によって生成された場合でも、GORアルゴリズムによって決定されるように、より短いXTEN長と比較して、より高いパーセンテージのランダムコイル形成物を有する配列を生じることができる。さらに実施例に記載するように、非構造化ポリペプチド融合パートナーの長さを増加させることにより、配列長がより短い非構造化ポリペプチドパートナーを有する融合タンパク質と比較して、最終半減期が非比例的に増加した融合タンパク質を得られることが見出された。
【0108】
本発明のBPXTENへの包含が意図されたXTENの非限定的な例を表2に表示する。したがって本発明は、融合タンパク質(複数可)のXTEN配列長が約100超〜約3000のアミノ酸残基であり、いくつかの場合において400超〜約3000のアミノ酸残基であるBPXTEN組成物を提供し、該XTENは、XTENに連結されていないペイロードと比較して、BPXTENにおいて増強された薬物動態特性を与える。いくつかの場合において、本発明のBPXTEN組成物のXTEN配列は、長さが約100の、または約144の、または約288の、または約401の、または約500の、または約600の、または約700の、または約800の、または約900の、または約1000の、または約1500の、または約2000の、または約2500の、または約3000までのアミノ酸残基であることができる。他の場合において、XTEN配列は、長さが約100〜150の、約150〜250の、約250〜400の、401〜約500の、約500〜900の、約900〜1500の、約1500〜2000の、または約2000〜約3000のアミノ酸残基であることができる。一実施形態において、BPXTENは、配列が表2から選択したXTENに対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示すXTEN配列を含むことができる。いくつかの場合において、XTEN配列は、BPXTENのN末端構成要素の最適化発現のために設計される。上述の一実施形態において、XTEN配列は、AE912またはAM923の配列に対して、少なくとも90%配列同一性を有する。上述の別の実施形態において、XTENは実施例14〜17に記載されたN末端残基を有する。
【0109】
他の場合において、BPXTEN融合タンパク質は第1および第2のXTEN配列を含むことができ、XTEN配列の残基の累積合計は、約400超〜約3000のアミノ酸残基である。上述の実施形態において、BPXTEN融合タンパク質は、配列がそれぞれ、表2から選択された少なくとも第1のまたはその上第2のXTENに対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示す第1および第2のXTEN配列を含むことができる。1個を超えるXTENがBPXTEN組成物で使用される例は、これに限定されるわけではないが、少なくとも1個のBPのN末端およびC末端の両方にXTENが連結された構築物を包含する。
【0110】
以下でさらに十分に記載するように、本発明は、BPXTENが、XTENの長さを選択することによって被験体に投与された融合タンパク質に標的半減期を与えるように設計される方法を提供する。一般に、BPXTEN組成物に組み入れられるXTENの長さがより長いと、より短いXTENと比較して、より長い半減期が生じる。しかし、別の実施形態において、BPXTEN融合タンパク質は、被験体への皮下または筋肉内投与後のより低い全身吸収速度を与えるために選択される、より長い配列長のXTENを含むように設計することができる。このような場合、Cmaxは、XTENに連結していないBPの同程度の用量と比較して低下して、これによりBPXTENを組成物の治療ウインドウ内に維持する能力に寄与する。それゆえXTENは、投与されたBPXTENに、本明細書に記載する残りの物理的/化学的特性に加えて、デポー特性を与える。
【0111】
【表2-1】
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【0112】
【表2-2】
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【0113】
【表2-3】
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【0114】
【表2-4】
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【0115】
【表2-5】
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4.正味電荷
他の場合において、XTENポリペプチドは、XTEN配列への正味電荷を有するアミノ酸残基の組み入れおよび/または疎水性アミノ酸の割合の低下によって与えられた非構造化特徴を有することができる。全体の正味電荷および正味電荷密度は、XTEN配列の荷電アミノ酸の含有量を改変することによって制御され得る。いくつかの場合において、組成物のXTENの正味電荷密度は、+0.1超の電荷/残基または−0.1未満の電荷/残基であり得る。他の場合において、XTENの正味電荷は、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%以上であることができる。
【0116】
ヒトまたは動物の大半の組織および表面は負の正味電荷を有するので、XTEN配列は、XTEN含有組成物と各種の表面、たとえば血管、健常組織、または各種の受容体との間の非特異的相互作用を最小化するために負の正味電荷を有するように設計することができる。特定の理論に縛られるものではないが、XTENは、高い負の正味電荷を個々に担持して、XTENポリペプチドの配列全体にわたって分布されたXTENポリペプチドの個々のアミノ酸の間の静電反発力により、開放高次構造(open conformation)を取ることができる。XTENの延長された配列長における負の正味電荷のこのような分布は、非構造化高次構造をもたらすことができ、今度は流体力学半径の効果的な増加を生じさせることができる。したがって、一実施形態において、本発明は、XTEN配列が約8%の、10%の、15%の、20%の、25%の、またはなお約30%のグルタミン酸を含有する、XTENを提供する。本発明の組成物のXTENは概して、正に荷電したアミノ酸を全く含まない、または低い含有量で含む。いくつかの場合において、XTENは、約10%未満の、正電荷を持つアミノ酸残基、または約7%未満の、または約5%未満の、または約2%未満の、正電荷を持つアミノ酸残基を有し得る。しかし、本発明は、制限された数の正電荷を持つアミノ酸、たとえばリジンがXTENに包含されて、リジンのイプシロンアミンとペプチドの反応基、リンカーブリッジ、またはXTEN主鎖にコンジュゲートされる薬物または小型分子の反応基との間のコンジュゲーションを可能にし得る構築物を意図する。上述において、XTEN、生物活性タンパク質、さらに代謝性疾患または障害の処置で有用な化学療法剤を含む融合タンパク質を構築することができ、XTEN構成要素に組み入れられる薬剤の分子の最大数は、XTENに組み入れられたリジンまたは反応性側鎖を持つ他のアミノ酸(たとえばシステイン)の数によって決定される。
【0117】
いくつかの場合において、XTEN配列は、他の残基、たとえばセリンまたはグリシンによって離された荷電残基を含み得て、このことによりさらに良好な発現または精製挙動がもたらされ得る。主題の組成物のXTENは、正味電荷に基づいて、1.0の、1.5の、2.0の、2.5の、3.0の、3.5の、4.0の、4.5の、5.0の、5.5の、6.0の、またはなお6.5の等電点(pI)を有し得る。好ましい実施形態において、XTENは1.5〜4.5の等電点を有する。これらの実施形態において、本発明のBPXTEN融合タンパク質組成物に組み入れられたXTENは生理的条件下で、非構造化高次構造およびXTEN構成要素の哺乳動物タンパク質および組織への結合の低減に寄与し得る、負の正味電荷を担持する。
【0118】
疎水性アミノ酸は構造をポリペプチドに与えることができるため、本発明は、XTENの疎水性アミノ酸の含有量が通例、5%未満、または2%未満、または1%未満の疎水性アミノ酸含有量であることを条件とする。一実施形態において、BPXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素のメチオニンおよびトリプトファンのアミノ酸含有量は通例、5%未満、または2%未満、および最も好ましくは1%未満である。別の実施形態において、XTENは10%未満の、正電荷を持つアミノ酸残基、または約7%未満の、または約5%未満の、または約2%未満の、正電荷を持つアミノ酸残基を有する配列を有し、メチオニンおよびトリプトファン残基の和は2%未満であり、アスパラギンおよびグルタミン残基の和はXTEN配列全体の10%未満である。
【0119】
5.低い免疫原性
別の態様において、本発明は、XTEN配列が低度の免疫原性を有するか、または実質的に非免疫原性である組成物を提供する。いくつかの因子、たとえば非反復性配列、非構造化高次構造、高度の溶解度、低度のまたは欠如した自己凝集、低度のまたは欠如した配列内のタンパク質分解部位、および低度のまたは欠如したXTEN配列のエピトープが、XTENの低い免疫原性に寄与することができる。
【0120】
高次構造エピトープは、タンパク質抗原の複数の不連続アミノ酸配列から構成されるタンパク質表面の領域によって形成される。タンパク質の正確な折畳みによって、これらの配列は明確で安定した空間配置、すなわちエピトープをもたらし、エピトープは宿主体液性免疫系によって「異物」として認識されることが可能であり、タンパク質に対する抗体の産生が生じるか、または細胞媒介免疫応答が誘発される。後者の場合では、個体のタンパク質に対する免疫応答は、その個体のHLA−DRアロタイプのペプチド結合特異性の関数である、T細胞エピトープ認識によって大きく左右される。T細胞表面の同族T細胞受容体によるMHCクラスIIペプチド複合体の結合(engagement)は、特定の他の共受容体、たとえばCD4分子の交差結合と共に、T細胞内で活性化状態を誘導することができる。活性化は、サイトカインの放出をもたらし、他のリンパ球、たとえばB細胞をさらに活性化して抗体を産生するか、または十分な細胞免疫応答としてTキラー細胞を活性化する。
【0121】
APC(抗原提示細胞)の表面での提示のためにペプチドが所与のMHCクラスII分子を結合する能力は、いくつかの因子;最も顕著にはその1次配列に依存する。一実施形態において、より低度の免疫原性は、抗原提示細胞での抗原プロセシングに抵抗するXTEN配列を設計すること、および/またはMHC受容体を良好に結合しない配列を選択することによって達成され得る。本発明は、MHCII受容体との結合を低下するように、ならびにT細胞受容体または抗体結合のためのエピトープの形成を回避して、低度の免疫原性を生じるように設計された、実質的に非反復性のXTENポリペプチドを有するBPXTEN融合タンパク質を提供する。免疫原性の回避は一部は、XTEN配列の高次構造柔軟性の直接の結果;すなわちアミノ酸残基の選択および順序により2次構造が欠如していることである。たとえば特に興味深いのは、高次構造エピトープを生じることができる、水溶液中または生理的条件下で小型に折り畳まれた高次構造を取る傾向が低い配列である。従来の治療実践および投薬を用いる、XTENを含む融合タンパク質の投与は、概してXTEN配列に対する中和抗体の形成をもたらさず、BPXTEN組成物のBP融合パートナーの免疫原性も低下し得る。
【0122】
一実施形態において、主題の融合タンパク質で利用されるXTEN配列は、ヒトT細胞によって認識されるエピトープを実質的に含まないことができる。免疫原性のより低いタンパク質を生成する目的での、このようなエピトープの消失は、以前に開示されている;たとえば、参照により本明細書に組み入れられているWO 98/52976、WO 02/079232、およびWO 00/3317を参照。ヒトT細胞エピトープのアッセイが記載されている(Stickler,M.ら(2003)J Immunol Methods,281:95−108)。特に興味深いのは、T細胞エピトープまたは非ヒト配列を生成せずにオリゴマー化することができるペプチド配列である。これは、T細胞エピトープの存在についてならびに6〜15マー、および特にヒトでない9マー配列の出現についてこれらの配列の直接反復を試験することによって、次にエピトープ配列を消失または破壊するようにXTEN配列の設計を改変することによって達成できる。いくつかの場合において、XTEN配列は、MHC受容体に結合することが予測されたXTENのエピトープの数を制限することよって、実質的に非免疫原性である。MHC受容体を結合することができるエピトープの数を減少させることにより、T細胞活性化ならびにT細胞ヘルパー機能の能力の同時低下、B細胞活性化または上方制御の低下および抗体産生の低下が起こる。低度の予測T細胞エピトープは、実施例74で示すような、TEPITOPE(Sturniolo,T.ら(1999)Nat Biotechnol,17:555−61)のようなエピトープ予測アルゴリズムによって決定することができる。タンパク質内の所与のペプチドフレームのTEPITOPEスコアは、Sturniolo,T.ら(1999)Nature Biotechnology 17:555)に開示されているように、そのペプチドフレームの複数の最も一般的なヒトMHC対立遺伝子への結合のKのlog(解離定数、親和性、オフレート)である。スコアは、約10〜約−10の少なくとも20対数(10e10〜10e−10の結合拘束に対応)に及び、M、I、L、V、Fなどの、MHCにおけるペプチド提示の間にアンカー残基として働くことができる疎水性アミノ酸を回避することによって低下させることができる。いくつかの実施形態において、BPXTENに組み入れられたXTEN構成要素は、約−5以上の、もしくは−6以上の、もしくは−7以上の、もしくは−8以上のTEPITOPEスコアにて、または−9以上のTEPITOPEスコアにて予測T細胞エピトープを有さない。本明細書で使用する場合、「−9以上の」のスコアは、10〜−9(10および−9を包含する)のTEPITOPEスコアを含むが、−10は−9より小さいため、−10のスコアは含まない。
【0123】
別の実施形態において、主題のBPXTEN融合タンパク質に組み入れられたXTEN配列を包含する、本発明のXTEN配列は、XTENの配列からの公知のタンパク質分解部位の制限によって実質的に非免疫原性にすることができ、MHCII受容体に結合可能である小型ペプチドへのXTENのプロセシングを低下させる。別の実施形態において、XTEN配列は、実質的に2次構造を含まない配列を使用することによって実質的に非免疫原性にすることができ、構造物の高いエントロピーのために多くのプロテアーゼに対する耐性を与える。したがって、TEPITOPEスコアの低下およびXTENからの公知のタンパク質分解部位の消失によって、BPXTEN融合タンパク質組成物のXTENを包含するXTEN組成物は、免疫系の哺乳動物受容体を包含する、哺乳動物受容体によって実質的に結合できないようになり得る。一実施形態において、BPXTEN融合タンパク質のXTENは、哺乳動物受容体に対して100nM超のKの結合、または哺乳動物細胞表面もしくは循環ポリペプチド受容体に対して500nM超のK、もしくは1μM超のKを有することができる。
【0124】
その上、非反復性配列およびXTENのエピトープの対応する欠如によって、B細胞がXTENを結合するまたはXTENによって活性化される能力を制限することができる。反復性配列は認識されて、さらには少数のB細胞とも多価接触物を形成することができ、複数のT細胞非依存性受容体の架橋の結果として、B細胞増殖および抗体産生を刺激することができる。これに対して、XTENはその延長配列にわたって多くの異なるB細胞と接触することができるが、個々のB細胞はそれぞれ、配列の反復性の欠如のために、個々のXTENとの1個のみまたは少数の接触物を作り得る。結果として、XTENは通例、B細胞の増殖およびそれゆえ免疫応答を刺激する、はるかに低い傾向を有し得る。一実施形態において、BPXTENは、融合されていない対応するBPと比較して、免疫原性の低下を有し得る。一実施形態において、BPXTENの3回までの非経口用量の哺乳動物への投与により、1:100の血清希釈度では検出可能な抗BPXTEN IgGが生じ得るが、1:1000の希釈度では生じ得ない。別の実施形態において、BPXTENの3回までの非経口用量の哺乳動物への投与により、1:100の血清希釈度では検出可能な抗BP IgGが生じ得るが、1:1000の希釈度では生じ得ない。別の実施形態において、BPXTENの3回までの非経口用量の哺乳動物への投与により、1:100の血清希釈度では検出可能な抗XTEN IgGが生じ得るが、1:1000の希釈度では生じ得ない。上述の実施形態において、哺乳動物はマウス、ラット、ウサギ、またはカニクイザルであることができる。
【0125】
高い反復度を有する配列に対する、非反復性配列を有するXTENの追加の特色は、非反復性XTENが抗体とより弱い接触物を形成することであり得る。抗体は多価分子である。たとえばIgGは2個の同一の結合部位を有し、IgMは10個の同一の結合部位を有する。反復性配列に対する抗体は、このような反復性配列と高いアビディティで多価接触物を形成することができ、高いアビディティはこのような反復性配列の有効性および/または消失に影響を及ぼすことができる。これに対して、非反復性XTENに対する抗体は1価相互作用を産し、免疫クリアランスをもたらす可能性がより少ないので、BPXTEN組成物が、増加した期間にわたって循環中に残存することができる。
【0126】
6.流体力学半径の増加
別の態様において、本発明により、XTENポリペプチドが、XTENを組み入れたBPXTEN融合タンパク質に対して対応する見かけの分子量の増加を与える高い流体力学半径を有することができるXTENを提供される。実施例19で詳述するように、XTENのBP配列への連結によって、XTENに連結していないBPと比較して、流体力学半径の増大、見かけの分子量の増加、および見かけの分子量係数の増加を有することができる、BPXTEN組成物を生じることができる。たとえば半減期の延長が所望である治療用途において、高い流体力学半径を有するXTENが1個以上のBPを含む融合タンパク質に組み入れられた組成物は、組成物の流体力学半径をおおよそ3〜5nmの糸球体孔サイズを超えて効果的に拡大させることができ(約70kDAの見かけの分子量に相当)(Caliceti.2003.Pharmacokinetic and biodistribution properties of poly(ethylene glycol)−protein conjugates.Adv Drug Deliv Rev 55:1261−1277)、循環タンパク質の腎クリアランスの低下を生じる。タンパク質の流体力学半径は、その分子量によって、ならびに形状および緻密性を包含するその構造物によって決定される。特定の理論に縛られるものではないが、XTENは、ペプチドの個々の電荷の間の静電反発力または2次構造を与える能力が欠如した配列における特定のアミノ酸によって与えられた固有の柔軟性のために、開放立体配置を取ることができる。XTENポリペプチドの開放、延長および非構造化高次構造物は、2次および/または3次構造、たとえば代表的な球状タンパク質を有する、同程度の配列長および/または分子量のポリペプチドと比較して、より大きい比例的流体力学半径を有することができる。U.S.Patent Nos.6,406,632および7,294,513に記載されているような、たとえばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の使用による流体力学半径を決定する方法は、当分野で周知である。実施例19の結果が証明するように、XTENの増加長の追加により、流体力学半径、見かけの分子量、および見かけの分子量係数のパラメータの比例的増大が生じて、BPXTENを所望の特徴的なカットオフの見かけの分子量または流体力学半径に適応させることが可能となる。したがって、ある実施形態において、融合タンパク質が少なくとも約5nmの、または少なくとも約8nmの、または少なくとも約10nmの、または12nmの、または少なくとも約15nmの流体力学半径を有することができるようなXTENを用いて、BPXTEN融合タンパク質を構成することができる。上述の実施形態において、BPXTEN融合タンパク質のXTENによって与えられた大きい流体力学半径は、得られた融合タンパク質の腎クリアランスの低下をもたらし、最終半減期の対応する増加、平均滞留時間の増加、および/または腎クリアランス速度の減少をもたらすことができる。
【0127】
別の実施形態において、選んだ長さおよび配列のXTENは、BPXTENに選択的に組み入れられて、生理的条件下で、少なくとも約150kDaの、または少なくとも約300kDaの、または少なくとも約400kDaの、または少なくとも約500kDAの、または少なくとも約600kDaの、または少なくとも約700kDAの、または少なくとも約800kDaの、または少なくとも約900kDaの、または少なくとも約1000kDaの、または少なくとも約1200kDaの、または少なくとも約1500kDaの、または少なくとも約1800kDaの、または少なくとも約2000kDaの、または少なくとも約2300kDa以上の見かけの分子量を有する融合タンパク質を生成することができる。別の実施形態において、選んだ長さおよび配列のXTENは、BPに選択的に連結されて、生理的条件下で、少なくとも3の、あるいは少なくとも4の、あるいは少なくとも5の、あるいは少なくとも6の、あるいは少なくとも8の、あるいは少なくとも10の、あるいは少なくとも15の見かけの分子量係数を、または少なくとも20以上の見かけの分子量係数を有するBPXTEN融合タンパク質を生じることができる。別の実施形態において、BPXTEN融合タンパク質は、生理的条件下で、融合タンパク質の実際の分子量に対して、約4〜約20である、または約6〜約15である、または約8〜約12である、または約9〜約10である見かけの分子量係数を有する。
【0128】
III)BXTEN融合タンパク質組成物の生物活性タンパク質
本発明は一部は、生物活性タンパク質およびXTENを含む融合タンパク質組成物ならびに被験体の疾患、障害または状態の処置のためのその使用に関するものである。
【0129】
一態様において、本発明は、1個以上の延長組換えポリペプチド(「XTEN」)を含む融合タンパク質に共有結合的に連結して、XTEN融合タンパク質組成物(以下「BPXTEN」)を生じる、少なくとも第1の生物活性タンパク質(以下「BP」)を提供する。以下でさらに十分に記載するように、融合タンパク質は、プロテアーゼによって作用を受けたときに融合タンパク質からBPを放出する切断配列をさらに含むことができる、スペーサ配列を場合により包含することができる。
【0130】
「BPXTEN」という用語は、本明細書で使用する場合、1つ以上の生物活性または治療活性を媒介する生物活性タンパク質をそれぞれ含む1つ以上のペイロード領域および少なくとも1つのXTENポリペプチドを含む少なくとも1つの他の領域を含む、融合ポリペプチドを含むことを意味する。
【0131】
主題の組成物のBP、特に表3から8に開示したものは、その対応する核酸およびアミノ酸配列と共に当分野で周知であり、説明および配列は、公共データベース、たとえばChemical Abstracts Services Databases(たとえばthe CAS Registry)、GenBank、The Universal
Protein Resource(UniProt)およびサブスクリプション提供データベース、たとえばGenSeq(たとえばDerwent)で入手できる。ポリヌクレオチド配列は、所与のBPをコードする野生型ポリヌクレオチド配列(たとえば全長または成熟のどちらか)であり得るか、またはいくつかの例において、配列は野生型ポリヌクレオチド配列の変異体(たとえば野生型生物活性タンパク質をコードするポリヌクレオチドであり、前記ポリヌクレオチドのDNA配列は、たとえば特定の種での発現のために最適化されている;または野生型タンパク質の変異体、たとえば部位特異的変異体(mutant)または対立遺伝子変異体(variant)をコードするポリヌクレオチドであり得る。当分野で公知の方法を使用することによって、ならびに/または本明細書で提供され、実施例でさらに詳細に記載されたガイダンスおよび方法と併せて、BPの野生型もしくはコンセンサスcDNA配列またはコドン最適化変異体を使用して本発明で意図されるBPXTEN構築物を生成することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0132】
本発明のBPXTENへの包含のためのBPは、生物的、治療的、予防的、もしくは診断的重要性もしくは機能がある、または被験体に投与したときに、生物活性を媒介するもしくは疾患、障害もしくは状態を防止もしくは改善するのに有用である、任意のタンパク質を包含することができる。特に興味深いのは、薬物動態パラメータの増加、溶解度の増加、安定性の増加、またはいくつかのその他の薬学的特性の増強が求められているBP、または最終半減期の増加によって有効性、安全性が改善され、もしくは投薬頻度の低下が生じ、および/もしくは患者コンプライアンスが改善されるBPである。それゆえBPXTEN融合タンパク質組成物は、たとえば被験体への投与のときに、XTENに連結されていないBPと比較して、インビボ曝露またはBPXTENが治療ウインドウ内に残存する長さを増大させることによって、生物活性化合物の治療有効性を改善させることを包含する、各種の目的を念頭に置いて調製される。
【0133】
本発明のBPは、天然全長タンパク質であることができるか、または天然タンパク質の生物活性の少なくとも一部を保持する生物活性タンパク質のフラグメントもしくは配列変異体であることができる。
【0134】
一実施形態において、主題の組成物に組み入れられたBPは、自然界で見出されるタンパク質に対応する配列を有する組換えポリペプチドであることができる。別の実施形態において、BPは、天然BPの生物活性の少なくとも一部を保持する天然配列の配列変異体、フラグメント、ホモログ、およびミメティックであることができる。非限定的な例において、BPは、表3〜8から選択されるタンパク質配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示す配列であることができる。一実施形態において、BPXTEN融合タンパク質は、XTENに連結された単一のBP分子を含むことができる(以下でさらに十分に記載するように)。別の実施形態において、BPXTENは、第1のBPおよび同じBPの第2の分子を含み、1つ以上のXTENに連結された2つのBP(たとえばグルカゴン2分子、またはhGH2分子)を含む融合タンパク質を生じることができる。
【0135】
一般に、BPは、インビボで使用されるときまたはインビトロアッセイで利用されるときに、所与の標的に対する結合特異性または別の所望の生物学的特徴を示す。たとえばBPは、アゴニスト、受容体、リガンド、アンタゴニスト、酵素、またはホルモンであることができる。特に興味深いのは、比較的短い最終半減期を有し、薬物動態パラメータの増加(必要に応じて、スペーサ配列の切断により融合タンパク質から放出させることができる)がより低い頻度の投薬または薬理学的効果の増強を可能にする、疾患もしくは障害に使用されるまたは疾患もしくは障害に有用であることが公知のBPである。また興味深いのは、最小有効用量または最小血中濃度(Cmin)と最大許容投与量または最大血中濃度(Cmax)との間の狭い治療ウインドウを有するBPである。このような場合、選択XTEN配列(複数可)を含む融合タンパク質へのBPの連結によってこれらの特性の改善を生じさせて、XTENに連結されていないBPと比較して、これらのBPを治療剤または防止剤としてより有用にすることができる。
【0136】
本発明の組成物に含まれるBPは、これに限定されるわけではないが、グルコース障害およびインスリン障害、代謝性障害、心血管疾患、凝固/出血障害、成長障害または状態、腫瘍形成症状、炎症症状、自己免疫症状などを包含する各種の治療カテゴリまたは疾患カテゴリの処置で有用性を有することができる。
【0137】
(a)グルコース調節ペプチド
内分泌および肥満関連疾患または障害は、大半の先進国で流行規模に達して、大半の先進国で相当な増加しつつある保健管理上の重荷となり、体の臓器、組織、および循環系に影響を及ぼす多種多様の症状を包含する。特に関心があるのは、内分泌および肥満関連疾患および障害であり、これらの中で最重要なのは、米国で主要な死亡原因の1つである糖尿病である。糖尿病は、2つの主要なサブクラス−若年性糖尿病、すなわちインスリン依存型糖尿病(IDDM)としても公知のI型、および成人発症糖尿病、すなわちインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)としても公知の、II型に分けられる。I型糖尿病は、このような被験体における膵臓のインスリン産生細胞を完全にまたは一部破壊する自己免疫疾患の形態であり、その生涯の間、外因性インスリンの使用が必要である。十分に管理された被験体においても、偶発性合併症が出現する可能性があり、そのいくつかは生命を脅かすものである。
【0138】
II型糖尿病患者では、食後の血中グルコースレベルの上昇が、膵臓によるインスリン産生を適正に刺激しない。その上、末梢組織は概して、インスリンの効果に対して抵抗性であり、このような被験体は、体がそのインスリン抵抗性の克服を試みるため、正常よりも高い血漿インスリン値を有する(高インスリン血症)。病状が進行すると、インスリン分泌も損なわれる。
【0139】
インスリン抵抗性および高インスリン血症は、かなりの健康上のリスクをもたらす他の2種類の代謝性障害:グルコース寛容減損および代謝性肥満にも関連している。グルコース寛容減損は、摂食前の正常なグルコースレベルが、食事後にレベルが上昇する(高血糖)傾向を有する特徴がある。このような個体は、糖尿病および冠動脈疾患のより高いリスクにあると見なされる。肥満も、高血圧、冠動脈疾患(動脈硬化症)、および乳酸アシドーシス、ならびに関連疾患状態と同様に、インスリン抵抗症候群、すなわち「シンドロームX」と呼ばれる状態の群にとってのリスク因子である。肥満の病因は多因子性であると考えられるが、根底にある問題は、過剰な脂肪組織が存在するまで、肥満(the obese)において栄養素利用性およびエネルギー消費が均衡していないことである。他の関連する疾患または障害は、これに限定されるわけではないが、妊娠性糖尿病、若年性糖尿病、肥満、食欲亢進、不十分な飽満感、代謝性障害、グルカゴノーマ、網膜神経変性プロセス、およびI型糖尿病の「ハネムーン期間」を包含する。
【0140】
脂質異常症は、糖尿病患者の間で頻繁に出現し;通例、血漿トリグリセリドの上昇、低いHDL(高密度リポタンパク質)コレステロール、正常〜高レベルのLDL(低密度リポタンパク質)コレステロールおよび小型高密度LDL粒子の血中レベル増加を特徴とする。脂質異常症は、糖尿病被験体の間での冠動脈イベントおよび死亡の生成率増加の主要な寄与因子である。
【0141】
グルコース恒常性およびインスリン応答における大半の代謝プロセスは、複数のペプチドおよびホルモンによって調節され、このような多くのペプチドおよびホルモン、ならびにその類似体は、代謝性疾患および障害の処置に有用性を見出している。これらのペプチドの多くは、それらが反対の生物機能を所有するときでさえ、相互に相同性が高い傾向にある。グルコース上昇ペプチドはペプチドホルモンのグルカゴンによって例示されるが、グルコース低下ペプチドは、エキセンジン−4、グルカゴン様ペプチド1、およびアミリンを包含する。しかし、治療用ペプチドおよび/またはホルモンの使用は、小型分子薬の使用によって増強されるときでも、このような疾患および障害の管理の成功は限定されていた。特に用量最適化は、代謝性疾患の処置に使用される薬物および生物製剤、とりわけ狭い治療ウインドウを有するものにとっては重要である。一般に、グルコース恒常性に関与するホルモン、およびペプチドは、狭い治療ウインドウを有することが多い。狭い治療ウインドウは、このようなホルモンおよびペプチドが通例、臨床利益を達成するために頻繁な投薬が必要となる短い半減期を有するという事実と組み合されて、このような患者の管理に困難を生じる。治療タンパク質に対する化学改変、たとえばペグ化は、そのインビボクリアランス速度および続いての血清半減期を改変することができるが、それは追加の製造ステップを必要とし、不均質の最終生成物を生じる。さらに、慢性投与からの許容されない副作用が報告されている。あるいは、Fcドメインを治療タンパク質またはペプチドへの融合による遺伝子改変によって、治療タンパク質のサイズが増加して、腎臓経由のクリアランス速度が低下し、FcRn受容体によるリソソームからの再利用が促進される。運の悪いことに、Fcドメインは組換え発現の間に効率的に折畳まれず、封入体として公知の不溶性沈殿物を形成する傾向がある。これらの封入体を可溶化する必要があり、機能性タンパク質を再生する必要があり;時間がかかり、非効率的であり、費用のかかるプロセスである。
【0142】
それゆえ本発明の一態様は、グルコース恒常性、インスリン抵抗性および肥満に関与するペプチド(集合的に、「グルコース調節ペプチド」)のBPXTEN融合タンパク質への組み入れることによる、グルコース障害、疾患および関連状態、インスリン障害、疾患および関連状態、および肥満障害、疾患および関連状態の処置に有用性を有する組成物を生成することである。グルコース調節ペプチドは、グルコース恒常性またはインスリン抵抗性または肥満を有する疾患、障害または状態を防止、処置、媒介(mediating)、または改善するのに有用である、生物的、治療的、または予防的重要性または機能のある任意のタンパク質を包含することができる。XTENに連結されてBPXTENを生成することができる好適なグルコース調節ペプチドは、膵臓ベータ細胞によるインスリンのグルコース依存性分泌を増加させる、またはインスリンの作用を強化するすべての生物活性ポリペプチドを包含する。グルコース調節ペプチドは、膵臓ベータ細胞のプロインスリン遺伝子転写を刺激するすべての生物活性ポリペプチドも包含することができる。さらに、グルコース調節ペプチドは、胃排出時間を低速化させ、食物取り込みを低下させるすべての生物活性ポリペプチドも包含することができる。グルコース調節ペプチドは、ランゲルハンス島のアルファ細胞からのグルカゴン放出を抑制するすべての生物活性ポリペプチドを包含することができる。表3は、本発明のBPXTEN融合タンパク質に含まれるグルコース調節ペプチドの配列の非限定的なリストを提供する。本発明のBPXTEN組成物のグルコース調節ペプチドは、表3から選択されるタンパク質配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示すペプチドであることができる。
【0143】
【表3-1】
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【0144】
【表3-2】
[この文献は図面を表示できません]
「アドレノメデュリン」または「ADM」は、ヒトアドレノメデュリンペプチドホルモンならびに成熟ADMの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。ADMは、185アミノ酸プレプロホルモンから連続酵素切断およびアミド化によって生成し、22分の測定血漿半減期を有する52アミノ酸の生物活性ペプチドを生じる。本発明のADM含有融合タンパク質は、膵島細胞からのインスリン分泌に対する刺激効果ゆえにグルコース調節の必要な糖尿病において、または持続性低血圧の被験体において、特定の用途を見出し得る。ヒトAMの完全なゲノムインフラストラクチャが報告されており(Ishimitsuら、Biochem.Biophys.Res.Commun 203:631−639(1994))、およびADMペプチドの類似体は、U.S.Pat.No.6,320,022に記載されるようにクローニングされている。
「アミリン」は、アミリン、プラムリンチドと呼ばれるヒトペプチドホルモン、およびU.S.Pat.No.5,234,906に記載されているように、成熟アミリンの生物活性の少なくとも一部を有する、その種の変形を意味する。
【0145】
アミリンは、栄養素取り込みに応答して、膵臓ベータ細胞によってインスリンと同時分泌される、37アミノ酸ポリペプチドホルモンであり(Kodaら、Lancet 339:1179−1180.1992)、グルコースのグリコーゲンへの組み入れを包含する、炭水化物代謝の数種の重要経路を調整することが報告されている。本発明のアミリン含有融合タンパク質は、胃排出を調節して、グルカゴン分泌および食物取り込みを抑止し、それにより循環中でのグルコース出現の速度に影響を及ぼすので、糖尿病および肥満に特定の用途を見出し得る。それゆえ融合タンパク質は、循環からのグルコース消滅速度および末梢組織によるその取り込みを調節するインスリンの作用を補完し得る。アミリン類似体は、U.S.Pat.Nos.5,686,411および7,271,238に記載されるようにクローニングされている。生物活性を保持するアミリンミメティックを生成することができる。たとえばプラムリンチドは配列KCNTATCATNRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY(配列番号43)を有し、ここでラットアミリン配列からのアミノ酸は、ヒトアミリン配列のアミノ酸に代えて置換されている。一実施形態において、本発明は、配列KCNTATCATXRLANFLVHSSNNFGXILXTNVGSNTY(配列番号44)(ここでXは独立して、NまたはQであり、Xは独立して、S、PまたはGである)のアミリンミメティックを含む融合タンパク質を意図する。一実施形態において、BPXTENに組み入れられたアミリンミメティックは、配列KCNTATCATNRLANFLVHSSNNFGGILGGTNVGSNTY(配列番号45)を有することができる。アミリンミメティックがBPXTENのC末端で使用される別の実施形態において、該ミメティックは、配列KCNTATCATNRLANFLVHSSNNFGGILGGTNVGSNTY(NH2)(配列番号46)を有することができる。
【0146】
「カルシトニン」(CT)は、ヒトカルシトニンタンパク質ならびに成熟CTの生物活性の少なくとも一部を有する、サケカルシトニン(「sCT」)を包含する、その種および配列変異体を意味する。CTは、神経系および脈管系で機能するようにみえる甲状腺のより大型のプロホルモンから切断された32アミノ酸ペプチドであるが、飽満反射の強力なホルモンメディエータであることも報告されている。CTは、誘発された高カルシウム血症に応答したその分泌およびその迅速なカルシウム低下効果にちなんで命名されている。CTは、C細胞と呼ばれる甲状腺の神経内分泌細胞で産生および分泌される。CTは破骨細胞に対する効果を有し、CTによる破骨細胞機能の抑制によって骨吸収の減少が生じる。CTのインビトロ効果は、波状縁(ruffled border)の迅速な損失およびリソソーム酵素の放出減少を包含する。CT(1−32)の主な機能は、非常事態での急性高カルシウム血症に対抗すること、ならびに/または「カルシウムストレス」たとえば成長、妊娠、および授乳の間に骨格を保護することである。(Becker,JCEM,89(4):1512−1525(2004)およびSexton,Current
Medicinal Chemistry 6:1067−1093(1999)に総説されている)。本発明のカルシトニン含有融合タンパク質は、骨粗鬆症の処置に、および骨のパジェット病の療法として特定の用途を見出し得る。合成カルシトニンペプチドは、U.S.Pat.Nos.5,175,146および5,364,840に記載されるように生成されている。
【0147】
「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」または「CGRP」は、ヒトCGRPペプチドならびに成熟CGRPの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。カルシトニン遺伝子関連ペプチドは、ペプチドのカルシトニンファミリのメンバであり、ヒトでは2つの形態、α−CGRP(37アミノ酸ペプチド)およびβ−CGRPで存在する。CGRPは、ヒトアミリンと43〜46%の配列同一性を有する。本発明のCGRP含有融合タンパク質は、糖尿病に関連付けられた罹患率の低下、高血糖およびインスリン欠損の改善、膵島へのリンパ球浸潤の抑制、ならびに自己免疫破壊に対するベータ細胞の保護に特定の用途を見出し得る。合成CGRPおよび組換えCGRPを作る方法は、U.S.Pat.No.5,374,618に記載されている。
【0148】
「コレシストキニン」または「CCK」は、ヒトCCKペプチドならびに成熟CCKの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。CCK−58は成熟配列であるが、ヒトで最初に同定されたCCK−33アミノ酸配列は、ペプチドの主な循環形態である。CCKファミリは、8−アミノ酸インビボC末端フラグメント(「CCK−8」)、C末端ペプチドCCK(29−33)であるペンタガストリンまたはCCK−5、およびC末端テトラペプチドCCK(30−33)であるCCK−4も包含する。CCKは、脂肪およびタンパク質の消化の刺激を担当する、胃腸管系のペプチドホルモンである。本発明のCCK−33およびCCK−8含有融合タンパク質は、食事摂取の循環グルコースの増加の低下および循環インスリン増加の増強に特定の用途を見出し得る。CCK−8の類似体は、U.S.No.5,631,230に記載されるように調製されている。
【0149】
「エキセンジン−3」は、メキシコドクトカゲ(Heloderma horridum)から単離されたグルコース調節ペプチドおよび成熟エキセンジン−3の生物活性の少なくとも一部を有するその配列変異体を意味する。エキセンジン−3アミドは、膵臓cAMPの増加、ならびにインスリンおよびアミラーゼの放出を媒介する特異的エキセンジン受容体アンタゴニストである。本発明のエキセンジン−3含有融合タンパク質は、糖尿病およびインスリン抵抗性障害の処置に特定の用途を見出し得る。配列およびそのアッセイ方法は、United States Patent5,4242,86に記載されている。
【0150】
「エキセンジン−4」は、アメリカドクトカゲ(Gila−monster Heloderma suspectum)の唾液に見出されたグルコース調節ペプチド、ならびにその種および配列変異体を意味して、天然39アミノ酸配列His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(配列番号47)ならびにその相同配列およびペプチドミメティック、および変異体;成熟エキセンジン−4の生物活性の少なくとも一部を有する、たとえば霊長類からの天然配列、および非天然配列を包含する。エキセンジン−4は、血中グルコースを減少させ、インスリン分泌を促進して、胃排出を減速させ、飽満感を改善して、食後高血糖の顕著な改善を提供するインクレチンポリペプチドホルモンである。エキセンジンは、グルカゴン様ペプチドファミリのメンバに一部配列類似性を有し、最大の同一性はGLP−1に対してである(Gokeら、J.Biol.Chem.,268:19650−55(1993))。多種多様の相同配列は、天然エキセンジン−4およびGLP−1と機能的に同等であることが可能である。異なる種からのGLP−1配列の保存は、Regulatory Peptides 2001 98
p.1−12に表示されている。表4は多岐にわたる種からの配列を示すが、表5は、合成GLP−1類似体のリストを示す;そのすべては、本明細書に記載するBPXTENでの使用を意図する。エキセンジン−4は、GLP−1受容体にてインスリン分泌βTC1細胞に結合して、また摘出胃でソマトスタチン放出を刺激して、ガストリン放出を抑制する(Gokeら、J.Biol.Chem.268:19650−55,1993)。エキセンジン−4は、GLP−1のミメティックとして同様の広い範囲の生物活性を呈するが、平均最終半減期が2.4時間という、GLP−1よりも長い半減期をなお有する。エクセナチドは、Byettaによって販売されているエキセンジン−4の合成版である。しかしその短い半減期のために、エクセナチドは現在、1日2回投与され、その有用性が制限されている。本発明のエキセンジン−4含有融合タンパク質は、糖尿病およびインスリン抵抗性障害の処置に特定の用途を見出し得る。
【0151】
「線維芽細胞増殖因子21」、または「FGF−21」は、FGF21遺伝子によってコードされたヒトタンパク質、または成熟FGF21の生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。FGF−21は、他の細胞型ではなくて、脂肪細胞へのグルコース取り込みを刺激する;効果は、インスリンの活性に相加的である。ob/obマウスへのFGF−21注射によって、脂肪組織でのGlut1の増加が生じる。FGF21はまた、トランスジェニックマウスで過剰発現されるときに動物を食餌誘発性肥満から保護して、糖尿病げっ歯動物に投与されたときに血中グルコースおよびトリグリセリドレベルを低下させる(Kharitonenkov Aら、(2005)“FGF−21 as a novel metabolic regulator”.J.Clin.Invest.115:1627−35)。本発明のFGF−21含有融合タンパク質は、エネルギー消費、脂肪利用および脂質排泄の増加を引き起こすことを包含する、糖尿病の処置に特定の用途を見出し得る。FGF−21は、U.S.Pat.No.6,716,626に開示されるようにクローニングされている。
【0152】
「FGF−19」、または「線維芽細胞増殖因子19」は、FGF19遺伝子によってコードされたヒトタンパク質、または成熟FGF−19の生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。FGF−19は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリのタンパク質メンバである。FGFファミリメンバは、広範な分裂誘発性の活性および細胞生存活性を所有し、多種多様の生物プロセスに関与する。FGF−19は、肥満マウスモデルにおいて、レプチン受容体の肝臓での発現、代謝速度を増加させ、脂肪細胞へのグルコース取り込みを刺激して、減量をもたらす(Fu,Lら 本発明のFGF−19含有融合タンパク質は、代謝速度の上昇および食餌性およびレプチン欠損糖尿病の逆転での特定の用途を見出し得る。FGF−19は、US Patent Application No.20020042367に記載されるように、クローニングおよび発現されている。
【0153】
「ガストリン」は、切断版のヒトガストリンペプチド、ならびに成熟ガストリンの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。ガストリンは、十二指腸のG細胞によって産生されるまたは胃の幽門洞における直鎖ペプチドホルモンであり、血流中に分泌される。ガストリンは主として3つの形態:ガストリン−34(「ビッグガストリン」);ガストリン−17(「リトルガストリン」);およびガストリン−14(「ミニガストリン」)で見出される。ガストリンはCCKと相同性の配列を共有する。本発明のガストリン含有融合タンパク質は、グルコース調節の必要な肥満および糖尿病の処置に特定の用途を見出し得る。ガストリンは、U.S.Pat.No.5,843,446に記載されるように合成されている。
【0154】
「グレリン」は、飽満を誘発するヒトホルモン、または天然の、処理された27もしくは28アミノ酸配列および相同配列を包含する、その種および配列変異体を意味する。グレリンは主に、ヒト胃基底部の内側を覆うP/D1細胞および飢餓を刺激する膵臓のイプシロン細胞によって産生され、レプチンに対応するホルモンと見なされる。グレリンレベルは、食前に増加して、食後に減少し、視床下部におけるレベルで働く作用によって食物取り込みの増加および脂肪質量の増加を引き起こすことができる。グレリンは、成長ホルモンの放出も刺激する。グレリンは、セリン残基にて、n−オクタン酸によってアシル化される;このアシル化は、GHS1a受容体への結合およびグレリンのGH放出能力にとって不可欠である。本発明のグレリン含有融合タンパク質はアゴニストとして、たとえば胃腸管運動障害においてGI管の運動性を選択的に刺激すること、胃排出を加速すること、または成長ホルモンの放出を刺激することに特定の用途を見出し得る。たとえばU.S.Pat.No.7,385,026に記載されるような配列置換のあるグレリン類似体または切断変異体は、グルコース恒常性の改善、インスリン抵抗性の処置および肥満の処置のためのアンタゴニストとして使用するための、XTENの融合パートナーとして、特定の用途を見出し得る。グレリンの単離およびキャラクタリゼーションが報告されており(Kojima M,ら、Ghrelin is a growth−hormone−releasing acylated peptide from stomach.Nature.1999;402(6762):656−660.)および、U.S.Pat.No.6,967,237に記載されるように、合成類似体がペプチド合成によって調製されている。
【0155】
「グルカゴン」は、ヒトグルカゴングルコース調節ペプチド、または天然29アミノ酸配列および相同配列を包含する、その種および配列変異体;成熟グルカゴンの生物活性の少なくとも一部を有する、たとえば霊長類からの天然配列変異体、および非天然配列変異体を意味する。「グルカゴン」という用語は、本明細書で使用する場合、グルカゴンのペプチドミメティックも包含する。天然グルカゴンは、膵臓によって産生され、血中グルコースレベルがあまりに低下したときに放出されて、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンをグルコースに変換して血流中に放出させるようにする。グルカゴンの作用は、体の細胞に血中からグルコースを取り込むようにシグナルを出すインスリンの作用と反対であるが、グルカゴンもインスリンを放出を刺激するので、血流中の新たに利用できるグルコースは、インスリン依存性組織によって取り込まれ、使用され得る。本発明のグルカゴン含有融合タンパク質は、現存する肝臓グリコーゲン貯蔵を有する個体の血中グルコースレベルを上昇させることおよび糖尿病でのグルコース恒常性を維持することに特定の用途を見出し得る。グルカゴンは、U.S.Pat.No.4,826,763に記載されるようにクローニングされている。
【0156】
「GLP−1」は、ヒトグルカゴン様ペプチド−1および成熟GLP−1の生物活性の少なくとも一部を有するその配列変異体を意味する。「GLP−1」という用語は、ヒトGLP−1(1−37)、GLP−1(7−37)、およびGLP−1(7−36)アミドを包含する。GLP−1はインスリン分泌を刺激するが、高血糖の期間中のみである。インスリンに比較したGLP−1の安全性は、この特性によって、およびインスリンの分泌量が高血糖の規模に比例して分泌されるという観察結果によって増強される。GLP−1(7−37)OHの生物学的半減期は、わずか3〜5分である(U.S.Pat.No.5,118,666)。本発明のGLP−1含有融合タンパク質は、グルコース調節の必要な糖尿病およびインスリン抵抗性障害の処置に特定の用途を見出し得る。GLP−1は、U.S.Pat.No.5,118,666に記載されるようにクローニングされ、誘導体が調製されている。広範な種からのGLP−1配列の非限定的な例が表4に示されているが、表5は、いくつかの合成GLP−1類似体の配列を示す;そのすべては、本明細書に記載するBPXTEN組成物での使用を意図する。
【0157】
【表4-1】
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【0158】
【表4-2】
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GLP天然配列は、以下に表示されている数種の配列モチーフによって記載され得る。カッコ内の文字は、各配列位置での許容され得るアミノ酸を表す:[HVY][AGISTV][DEHQ][AG][ILMPSTV][FLY][DINST][ADEKNST][ADENSTV][LMVY][ANRSTY][EHIKNQRST][AHILMQVY][LMRT][ADEGKQS][ADEGKNQSY][AEIKLMQR][AKQRSVY][AILMQSTV][GKQR][DEKLQR][FHLVWY][ILV][ADEGHIKNQRST][ADEGNRSTW][GILVW][AIKLMQSV][ADGIKNQRST][GKRSY]。さらに、GLP−1の合成類似体は、グルコース関連障害の処置で有用な生物活性を有するBPXTENを生成するための、XTENに対する融合パートナーとして有用であることができる。エキセンジン−4またはGLP−1に相同性のさらなる配列は、標準相同性検索技法によって見出され得る。
【0159】
【表5-1】
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【0160】
【表5-2】
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【0161】
【表5-3】
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【0162】
【表5-4】
[この文献は図面を表示できません]
「GLP−2」は、ヒトグルカゴン様ペプチド−2および成熟GLP−2の生物活性の少なくとも一部を有するその配列変異体を意味する。”さらに詳細には、GLP−2は、小腸および大腸の腸内分泌細胞からGLP−1と共に同時分泌される、33アミノ酸ペプチドである。
【0163】
「IGF−1」または「インスリン様成長因子1」は、ヒトIGF−Iタンパク質ならびに成熟IGF−1の生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。かつてソマトメジンCと呼ばれたIGF−1は、インスリンに分子構造が類似しており、成長ホルモンの作用を調整するポリペプチドタンパク質同化ホルモンである。IGF−1は、70アミノ酸で構成され、内分泌ホルモンとして主に肝臓によってならびに標的組織において、パラクリン/オートクリン方式で産生される。本発明のIGF−1含有融合タンパク質は、グルコース調節の必要な糖尿病およびインスリン抵抗性障害の処置に特定の用途を見出し得る。IGF−1は、United States Patent No.5,324,639に記載されるように、大腸菌および酵母でクローニングされ、発現されている。
【0164】
「IGF−2」または「インスリン様成長因子2」は、ヒトIGF−2タンパク質ならびに成熟IGF−2の生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。IGF−2は、インスリンに分子構造が類似しており、妊娠中に成長促進ホルモンとしての主な役割を備えたポリペプチドタンパク質ホルモンである。IGF−2は、Bell GIら、Isolation of the human insulin−like growth factor genes:insulin−like growth factor II and insulin genes are contiguous.Proc Natl Acad Sci U S A.1985.82(19):6450−4に記載されるようにクローニングされている。
【0165】
「INGAP」、または「膵島新生随伴タンパク質」、または「膵臓ベータ細胞成長因子」は、ヒトINGAPペプチドならびに成熟INGAPの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。INGAPは、膵島新生の必要条件である、導管細胞増殖の開始が可能である。本発明のINGAP含有融合タンパク質は、糖尿病およびインスリン抵抗性障害の処置または防止に特定の用途を見出し得る。INGAPは、R Rafaeloff Rら、Cloning and sequencing of
the pancreatic islet neogenesis associated protein(INGAP)gene and its expression in islet neogenesis in hamsters.J Clin
Invest.1997.99(9):2100−2109に記載されるように、クローニングおよび発現されている。
【0166】
「インターメジン」または「AFP−6」は、ヒトインターメジンペプチドならびに成熟インターメジンの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。インターメジンは、カルシトニン受容体様受容体のリガンドである。インターメジン処置は、正常被験体および高血圧被験体の両方での血圧低下、ならびに胃排出活性の抑止をもたらし、グルコース恒常性に関係している。本発明のインターメジン含有融合タンパク質は、糖尿病、インスリン抵抗性障害、および肥満の処置に特定の用途を見出し得る。インターメジンペプチドおよび変異体は、U.S.Pat.No.6,965,013に記載されるように、クローニングされている。
【0167】
「レプチン」は、任意の種からの天然に存在するレプチン、ならびに生物活性Dアイソフォーム、またはそのフラグメントおよび配列変異体を意味する。レプチンは、食欲および代謝を包含する、エネルギー取り込みおよびエネルギー消費を調節するのに主要な役割を果たす。本発明のレプチン含有融合タンパク質は、グルコース調節の必要な糖尿病、インスリン抵抗性障害、および肥満の処置に特定の用途を見出し得る。レプチンは、International Patent Pub.No.WO 96/05309に記載されるように、ob遺伝子のポリペプチド生成物である。レプチンはU.S.Pat.No.7,112,659に、ならびにレプチン類似体およびフラグメントはU.S.Pat.No.5,521,283、U.S.Pat.No.5,532,336、PCT/US96/22308およびPCT/US96/01471に記載されるように、クローニングされている。
【0168】
「ニューロメジン」は、ニューロメジンUおよびSペプチドを包含するペプチドのニューロメジンファミリ、ならびにその配列変異体を意味する。天然活性ヒトニューロメジンUペプチドホルモンは、ニューロメジン−U25、特にそのアミド形態である。特に興味深いのは、その処理された活性ペプチドホルモンならびにその類似体、誘導体およびフラグメントである。ニューロメジンUファミリには、各種の切断変異体またはスプライス変異体、たとえばFLFHYSKTQKLGKSNVVEELQSPFASQSRGYFLFRPRN(配列番号180)が包含される。例示的なニューロメジンSファミリは、配列ILQRGSGTAAVDFTKKDHTATWGRPFFLFRPRN(配列番号181)を有するヒトニューロメジンS、特にそのアミド形態である。本発明のニューロメジン融合タンパク質は、肥満、糖尿病の処置、食物取り込みの低減、本明細書に記載するような他の関連症状および障害の処置に特定の用途を見出し得る。特に興味深いのは、アミリンファミリペプチド、エキセンジンペプチドファミリまたはGLPIペプチドファミリモジュールと組み合わされたニューロメジンモジュールである。
【0169】
「オキシントモジュリン」、または「OXM」は、ヒトオキシントモジュリンならびに成熟OXMの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。OXMは、8アミノ酸カルボキシ末端延長が続くグルカゴンの29アミノ酸配列を含有する、結腸で産生される37アミノ酸ペプチドである。OXMは食欲を抑えることが見出されている。本発明のOXM含有融合タンパク質は、グルコース調節の必要な糖尿病、インスリン抵抗性障害、肥満の処置に特定の用途を見出し得て、減量処置薬として使用することができる。
【0170】
「PYY」は、ヒトペプチドYYポリペプチドならびに成熟PYYの生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。PYYは、PP折畳み構造モチーフを有する、ヒト全長36アミノ酸ペプチドPYY1−36およびPYY3−36の両方を包含する。PYYは、胃運動性を抑制して、結腸での水および電解質の吸収を増加させる。PYYは、膵臓分泌も抑え得る。本発明のPPY含有融合タンパク質は、グルコース調節の必要な糖尿病、インスリン抵抗性障害、および肥満の処置に特定の用途を見出し得る。PYYの類似体は、U.S.Pat.Nos.5,604,203、5,574,010および7,166,575に記載されるように調製されている。
【0171】
「ウロコルチン」は、ヒトウロコルチンペプチドホルモンおよび成熟ウロコルチンの生物活性の少なくとも一部を有するその配列変異体を意味する。3種類のヒトウロコルチン:Ucn−1、Ucn−2およびUcn−3がある。さらなるウロコルチンおよび類似体は、U.S.Pat.No.6,214,797に記載されている。ウロコルチンUcn−2およびUcn−3は、食物取り込み抑止特性、抗高血圧特性、心臓保護特性、および変力特性を有する。Ucn−2およびUcn−3は、ストレス刺激、たとえば規定食摂取/絶食後の慢性HPA活性化を抑止する能力を有し、CRF2型受容体に特異的であり、ACTH放出を媒介するCRF−R1を活性化しない。ウロコルチン、たとえばUcn−2またはUcn−3を含むBPXTENは、血管拡張に、およびそれゆえ心血管用途、たとえば慢性心不全に有用であり得る。本発明のウロコルチン含有融合タンパク質は、ACTH放出刺激、血管拡張効果による高血圧、ACTH上昇以外によって媒介された炎症、高体温、食欲障害、うっ血性心不全、ストレス、不安、および乾癬に関連付けられた状態の処置または防止にも特定の用途を見出し得る。ウロコルチン含有融合タンパク質はまた、ナトリウム排泄増加ペプチドモジュール、アミリンファミリ、およびエキセンジンファミリ、またはGLP1ファミリモジュールと組み合わされて、心血管利益の増強、たとえ
ば有益な血管拡張効果を提供することによるCHFの処置を提供し得る。
【0172】
(b)代謝性疾患および心血管タンパク質
代謝性疾患および心血管疾患は、大半の先進国で相当な保健管理上の重荷となり、心血管疾患は、米国および大半の欧州諸国で死亡および障害(disability)の第1の原因に今なおなっている。代謝性疾患および代謝性障害は、体の臓器、組織、および循環系に影響を及ぼす多種多様の症状を包含する。これらの中で最重要なのが、米国で主要な死亡原因の1つの糖尿病であるのは、糖尿病が脈管構造、中枢神経系、主要臓器、および末梢組織に病態および代謝障害の両方を生じるためである。インスリン抵抗性および高インスリン血症は、かなりの健康上のリスク引き起こす他の2種類の代謝性障害:グルコース寛容減損および代謝性肥満にも連結してきた。グルコース寛容減損は、摂食前の正常グルコースレベルを特徴として、食事後のグルコースレベルが上昇する(高血糖)傾向がある。このような個体は、糖尿病および冠動脈疾患のより高いリスクに瀕していると見なされる。肥満も、高血圧、冠動脈疾患(動脈硬化症)、および乳酸アシドーシス、ならびに関連疾患状態と同様に、インスリン抵抗症候群、すなわち「シンドロームX」と呼ばれる状態の群にとってのリスク因子である。肥満の病因は多因子性であると考えられるが、根底にある問題は、過剰な脂肪組織が存在するまで、肥満において栄養素利用性およびエネルギー消費が均衡していないことである。
【0173】
脂質異常症は、糖尿病患者および心血管疾患を有する被験体の間で頻繁に出現し;通例、血漿トリグリセリドの上昇、低いHDL(高密度リポタンパク質)コレステロール、正常〜高レベルのLDL(低密度リポタンパク質)コレステロールおよび小型高密度LDL粒子の血中レベル増加などのパラメータを特徴とする。脂質異常症および高血圧は、糖尿病および心血管疾患のような代謝性疾患を有する被験体の間で、冠動脈イベント、腎疾患、および死亡の発生率の増加の主要な寄与因子(contributor)である。
【0174】
心血管疾患は、特に動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、脳血管障害(発作)、脳血管疾患、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、心拍出量減少および末梢血管疾患、高血圧、低血圧、血液マーカー(たとえばC反応性タンパク質、BNP、および酵素、たとえばCPK、LDH、SGPT、SGOT)などを包含する、全身に及ぶ心臓、脈管および臓器系を含む、臨床パラメータの多くの障害、状態および変化によって明らかであることができる。
【0175】
大半の代謝プロセスおよび多くの心血管パラメータは、複数のペプチドおよびホルモン(「代謝タンパク質」)によって調節され、多くのこのようなペプチドおよびホルモン、ならびにその類似体は、このような疾患および障害の処置に有用性を見出している。しかし、治療用ペプチドおよび/またはホルモンの使用は、小型分子薬の使用によって増強されるときでも、このような疾患および障害の管理の成功は限定されていた。特に用量最適化は、代謝性疾患の処置に使用される薬物および生物製剤、とりわけ狭い治療ウインドウを有するものにとっては重要である。一般に、グルコース恒常性に関与するホルモン、およびペプチドは、狭い治療ウインドウを有することが多い。狭い治療ウインドウは、このようなホルモンおよびペプチドが通例、臨床利益を達成するために頻繁な投薬が必要となる短い半減期を有するという事実と組み合されて、このような患者の管理に困難を生じる。したがって、代謝性疾患の処置での有効性および安全性が増加した治療薬に対する要求が依然として存在している。
【0176】
それゆえ本発明の一態様は、このような障害、疾患および関連症状の処置での有用性を有する組成物を生成するための、代謝疾患および心血管疾患ならびに障害の処置に関与するまたは使用される生物活性代謝タンパク質の、BPXTEN融合タンパク質への組み入れである。代謝タンパク質は、代謝性疾患または心血管疾患、障害または状態を防止、処置、媒介または緩和するのに有用である、生物的、治療的、または予防的重要性または機能のある任意のタンパク質を包含することができる。表6は、本発明のBPXTEN融合タンパク質に含まれる代謝性BPのこのような配列の非限定的なリストを提供する。本発明のBPXTEN組成物の代謝タンパク質は、表6から選択されるタンパク質配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示すタンパク質であることができる。
【0177】
【表6-1】
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【0178】
【表6-2】
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「抗CD3」は、OKT3(ムロモナブとも呼ばれる)およびヒト化抗CD3モノクローナル抗体(hOKT31(Ala−Ala))を包含する、T細胞表面タンパク質CD3に対するモノクローナル抗体、その種および配列変異体、ならびにフラグメントを意味する(KC Heroldら、New England Journal of Medicine 346:1692−1698.2002) 抗CD3は、すべての分化T細胞に存在するT細胞受容体複合体を結合することによって、T細胞の活性化および増殖を防止する。本発明の抗CD3含有融合タンパク質は、治療エフェクタとしての抗CD3ならびにBPXTEN組成物の第2の治療BPの標的部分の使用を包含して、初発の1型糖尿病を遅らせることに特定の用途を見出し得る。可変領域の配列および抗CD3の生成は、U.S.Patent Nos 5,885,573および6,491,916に記載されている。
【0179】
「IL−1ra」は、ヒトIL−I受容体アンタゴニストタンパク質ならびに、成熟IL−1raの生物活性の少なくとも一部を有する、配列変異体のアナキンラ(Kineret(登録商標))を包含する、ヒトIL−I受容体アンタゴニストタンパク質の種および配列変異体を意味する。ヒトIL−1raは、152アミノ酸残基の成熟糖タンパク質である。IL−1raの抑制作用は、I型IL−1受容体へのその結合から生じる。該タンパク質は25kDaの天然分子量を有し、該分子は、IL−1α(19%)およびIL−1β(26%)に対して制限された配列相同性を示す。アナキンラは、非グリコシレーション組換えヒトIL−1raであり、N末端メチオニンの付加により内因性ヒトIL−1raとは異なる。アナキンラの市販品は、Kineret(登録商標)として販売されている。アナキンラは、天然IL−1raおよびIL−Ibと同じアビディティでIL−I受容体に結合するが、IL−1αおよびIL−1β上のこのような2つのモチーフに対してIL−1ra上の唯一の受容体結合モチーフの存在に起因する効果である、受容体活性化(シグナル伝達)を生じない。アナキンラは、153のアミノ酸および17.3kDのサイズを有し、おおよそ4〜6時間の半減期が報告されている。
【0180】
IL−I産生の増加は、各種のウイルス、細菌、真菌、および寄生虫感染症;血管内凝固;高用量IL−2療法;固形腫瘍;白血病;アルツハイマー病;HIV−1感染症;自己免疫障害;外傷(外科手術);血液透析;虚血性疾患(心筋梗塞);非感染性肝炎;喘息;紫外線照射;閉鎖性頭部外傷;膵炎;腹膜炎;対宿主性移植片病;移植片拒絶を有する患者において;および激しい運動後の健常被験体において報告されている。アルツハイマー病患者におけるIL−1β産生の増加とアミロイド前駆体タンパク質の放出におけるIL 1の考えられる役割の間に関連がある。IL−1は、疾患、たとえば2型糖尿病、肥満、高血糖、高インスリン血症、1型糖尿病,インスリン抵抗性、網膜神経変性プロセス、インスリン抵抗性を特徴とする疾患状態および症状、急性心筋梗塞(AMI)、急性冠動脈症候群(ACS)、アテローム性動脈硬化、慢性炎症障害、関節リウマチ、椎間円板変性症、サルコイドーシス、クローン病、潰瘍性大腸炎、妊娠性糖尿病、食欲亢進、不十分な飽満感、代謝性障害、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄、神経変性疾患、腎不全、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、肺水腫、高血圧、食物取り込みの低下が所望である障害、過敏性腸症候群、心筋梗塞、発作、術後異化作用変化、冬眠心筋、糖尿病性心筋症、不十分な尿中ナトリウム排泄、過剰な尿中カリウム濃度、毒性血液量過多に関連付けられた症状または障害、多嚢胞性卵巣症候群、呼吸窮迫、慢性皮膚潰瘍、腎症、左心室収縮不全、消化管下痢、術後ダンピング症候群、過敏性腸症候群、重症疾患多発ニューロパチー(CIPN)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、脂質異常症、虚血後再灌流傷害、および冠動脈心疾患リスクファクター(CHDRF)症候群にも関連付けられてきた。本発明のIL−1ra含有融合タンパク質は、上述の疾患および障害の任意の処置に特定の用途を見出し得る。IL−1raは、U.S.Pat.Nos.5,075,222および6,858,409に記載されるようにクローニングされている。
【0181】
「ナトリウム排泄増加ペプチド」は、心房ナトリウム排泄増加ペプチド(ANP)、脳ナトリウム排泄増加ペプチド(BNPまたはB型ナトリウム排泄増加ペプチド)およびC型ナトリウム排泄増加ペプチド(CNP);成熟した対応するナトリウム排泄増加ペプチドの生物活性の少なくとも一部を有する、ヒトおよび非ヒトの両方のその種および配列変異体を意味する。アルファ心房ナトリウム排泄増加ペプチド(aANP)または(ANP)および脳ナトリウム排泄増加ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム排泄増加ペプチド(CNP)は、体液および電解質の恒常性の調節に関与する相同ポリペプチドホルモンである。ナトリウム排泄増加ペプチドの有用な形態の配列は、U.S.Patent Publication 20010027181に開示されている。ANPの例は、ヒトANP(Kangawaら、BBRC 118:131(1984))またはブタおよびラットANPを包含する、各種の種からのANP(Kangawaら、BBRC 121:585(1984))を包含する。配列解析によって、プレプロBNPは134残基から成り、108アミノ酸ProBNPに切断されることが明らかになる。ProBNPのC末端からの32アミノ酸配列の切断によって、循環中の生理的活性形態のヒトBNP(77−108)が生じる。32アミノ酸ヒトBNPは、ジスルフィド結合の形成に関与する(Sudohら、BBRC 159:1420(1989))ならびにU.S.Pat.Nos.5,114,923、5,674,710、5,674,710、および5,948,761。BPXTEN含有の1つ以上のナトリウム排泄増加機能は、高血圧の処置、利尿誘導、ナトリウム排泄増加誘導、血管拡張または弛緩、ナトリウム排泄増加ペプチド受容体(たとえばNPR−A)結合、腎臓からのapida分泌抑止、副腎からのアルドステロン(aldostrerone)分泌抑止、心血管疾患および障害の処置、心イベント後のまたはうっ血性心不全の結果としての心臓リモデリングの低減、停止または逆転、腎疾患および障害の処置;虚血性発作の処置または防止、ならびに喘息の処置に有用であり得る。
【0182】
「FGF−2」またはへパリン結合成長因子2は、ヒトFGF−2タンパク質、ならびに成熟対応物(mature counterpart)の生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。FGF−2は、線条体様ニューロンに分化した神経幹細胞の増殖を刺激して、ハンチントン舞踏病の毒素誘発モデルにおける線条体ニューロンを保護することが示され、心再灌流傷害の処置での有用性も有し得て、内皮細胞成長、抗脈管形成特性および腫瘍抑止特性、創傷治癒、ならびに骨の骨折治癒の促進を有し得る。FGF−2は、Burgess,W.H.and Maciag,T.,Ann.Rev.Biochem.,58:575−606(1989);Coulier,F.ら、1994,Prog.Growth Factor Res.5:1;およびPCT publication WO 87/01728に記載されるようにクローニングされている。
【0183】
「TNF受容体」は、ヒトTNF受容体、ならびに成熟TNFRの生物受容体活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。P75 TNF受容体分子は、p55 TNF受容体を包含する構造的に相同な受容体のファミリ由来である、p75
TNF受容体の細胞外ドメインである。TNFαおよびTNFβ(TNFリガンド)は、p55 TNF受容体およびp75 TNF受容体への結合に関して競合する。ヒトp55 TNF受容体の細胞外ドメインおよびTNFβによって形成された複合体のx線結晶構造が決定されている(参照により本明細書に組み入れられている、Bannerら、Cell 73:431,1993)。
【0184】
(c)凝固因子
血友病では、特定の血漿凝固因子の欠如によって、血液の凝固が妨げられる。ヒト第IX因子(FIX)は、血液凝固カスケードの内因性経路の重要な構成要素である、セリンプロテアーゼのチモーゲンである。FIX欠損のない個体では、FIXの平均半減期は短く、おおよそ18〜24時間である。男性30,000人のうち約1人に出現する、X連鎖障害による機能性FIXの欠乏によって、クリスマス病としても公知の血友病Bが生じる。第IX因子の100を超える変異が記載されている;いくつかは症状を引き起こさないが、多くは顕著な出血障害をもたらす。未処置のときには、血友病Bは筋肉、関節、および体腔への制御不能の出血を伴い、死をもたらすことがある。以前には本疾患の処置は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびC型肝炎(HCV)ウイルスを包含する血液媒介ウイルスによる感染という付帯リスクを有する、ドナープールに由来するヒト血漿から調製されたFIXの投与を包含していた。つい最近では、組換えFIX生成物が市販されるようになった。外因的に供給された第IX因子のインビボ活性は、タンパク質半減期および抗トロンビンIIIを包含する凝固抑制因子の両方によって制限される。第IX因子組成物は通例、半減期が短く、注射が頻繁に必要である。また最新のFIXに基づく治療薬は、生物学的利用能が不十分であるため、静脈内投与が必要である。それゆえ血友病Bの防止および/または治療レジメンの一部として投与されるときに、半減期が延長され、活性が保持されている第IX因子組成物への要求がある。
【0185】
凝固の生理的引き金となるものは、正常には脈管構造の外部に位置する、TF発現細胞の表面での、組織因子(TF)と第VIIa因子(FVIIa)との間の複合体の形成である。これにより、第IX因子および第X因子の活性化がもたらされ、最終的にトロンビンが一部生成される。今度はトロンビンが血液凝固カスケードのいわゆる「内因性の」アームである第VIII因子および第IX因子を活性化して、それゆえ十分なトロンビンのバーストが生成して完全な止血を達成するために必要である、第Xa因子の生成を増幅させる。続いて、高濃度の第VIIa因子を投与することにより、特定の出血障害における第VIIIa因子および第IXa因子への要求が回避され、止血を達成できることが示された。凝固障害および出血障害は、プロトロンビン時間、部分プロトロンビン時間、出血時間、凝固時間、血小板数、プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)、トロンビン−抗トロンビンIII複合体(TAT)、D−ダイマー、出血エピソードの生成率、赤血球沈降速度(ESR)、C反応性タンパク質、および凝固因子の血中濃度などのパラメータの変化を生じることができる。
【0186】
それゆえ第VIIa因子(FVIIa)タンパク質は、FVIIIまたはFIXに対する抑制因子を有する血友病AまたはB患者および後天性血友病患者における出血エピソードの処置、ならびにFVIIIまたはFIXに対する抑制因子を有する血友病AまたはB患者における外科的介入または侵襲的手順での出血の防止に有用性が見出されている。さらに第VIIa因子は、先天性第VII因子欠損患者における出血エピソードの処置および先天性FVII欠乏患者における外科的介入または侵襲的手順での出血の防止で利用できる。しかし、FVIIaを含有する生成物の静脈内投与は、血栓イベント、発熱および注射部位反応を包含する副作用をもたらし得る。さらに第VIIa因子のおおよそ2時間の短い半減期によってその適用が制限され、止血を達成するために2〜4時間ごとの反復注射が必要となり得る。それゆえ血友病Bの防止レジメンおよび/または治療レジメンの一部として投与されるときに、半減期が延長され、活性が保持されている第IX因子組成物および第VIIa因子組成物、ならびに副作用を低下させて、静脈内および皮下経路の両方で投与できる調合物への要求が今なお存在している。
【0187】
本発明のBPXTENに包含するための凝固因子は、血液凝固障害、疾患、または欠損を防止、処置、媒介または改善するのに有用である、生物的、治療的、または予防的重要性または機能のあるタンパク質を包含することができる。好適な凝固タンパク質は、基質、酵素または補因子として凝固カスケードに関与する生物活性ポリペプチドを包含する。
【0188】
表7は、本発明のBPXTEN融合タンパク質に含まれる凝固因子の配列の非限定的なリストを提供する。本発明のBPXTENへの包含のための凝固因子は、表7から選択されるタンパク質配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示すタンパク質であることができる。
【0189】
【表7-1】
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【0190】
【表7-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0191】
【表7-3】
[この文献は図面を表示できません]
「第IX因子」(「FIX」)は、ヒト第IX因子タンパク質ならびに成熟第IX因子の生物受容体活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を包含する。FIXは、血液凝固第IX因子の代表的な特徴を備えた任意の形態の第IX因子分子であるものとする。FIXは、血漿からのFIXおよびたとえばFIXの欠損(たとえば血友病B)によって引き起こされた患者の出血障害を治癒することができる任意の形態の組換えFIXを包含するものとする。いくつかの実施形態において、FIXペプチドは、表7の配列を包含する、本明細書に記載するFIXペプチドの任意の構造類似体またはペプチドミメティックである。ポリペプチドの生物活性を無効にしない(すなわちその活性を野生型形態(=100%)の10%未満またはなお5%未満に低下させること)、FIXのポリペプチド配列のアミノ酸の軽度の欠損、付加および/または置換も、生物活性誘導体、とりわけ改善された比活性を有するもの(野生型形態の100%の活性を超える)として本出願に包含される。本発明によるFIXは、任意の脊椎動物、たとえば哺乳動物に由来し得る。
【0192】
いくつかの実施形態において、FIXペプチドは、表7の配列を包含する、本明細書に記載するFIXペプチドの任意の構造類似体またはペプチドミメティックである。ポリペプチドの生物活性を無効にしない(すなわちその活性を野生型形態(=100%)の10%未満またはなお5%未満に低下させること)、FIXのポリペプチド配列のアミノ酸の軽度の欠損、付加および/または置換も、生物活性誘導体、とりわけ改善された比活性を有するもの(野生型形態の100%の活性を超える)として本出願に包含される。本発明によるFIXは、任意の脊椎動物、たとえば哺乳動物に由来し得る。本発明の詳細な1例において、FIXはヒトFIXである。別の実施形態において、FIXは、表7からのポリペプチド配列である。
【0193】
ヒト第IX因子(FIX)は、X染色体のq27.1に存在するシングルコピー遺伝子によってコードされる。ヒトFIXmRNAは、5’非翻訳領域の205塩基、プレプロ第IX因子の1383塩基、停止コドンおよび3’非翻訳領域の1392塩基で構成される。FIXポリペプチドは、55kDaであり、3つの領域:28アミノ酸のシグナルペプチド、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化に必要である、18アミノ酸のプロペプチド、および415アミノ酸の成熟第IX因子から構成されるプレプロポリペプチド鎖として合成される。成熟第IX因子はドメインで構成される。ドメインはN→C末端配置では、Glaドメイン、EGF1ドメイン、EGF2ドメイン、活性化ペプチドドメイン、およびプロテアーゼ(または触媒)ドメインである。プロテアーゼドメインは、FIXのFIXaへの活性化時に、FIXの触媒活性を提供する。活性化後に、単鎖FIXは2本鎖分子となり、この分子で2本の鎖は、酵素をGlaドメインに付着するジスルフィド結合によって連結される。活性化された第VIII因子(FVIIIa)は、FIXa活性の完全発現のための特異的補因子である。本明細書で使用する場合、「第IX因子」および「FIX」は、ドメインG1a、EGF1、EGF2、活性化ペプチド、およびプロテアーゼ含むポリペプチド、または当分野で公知のこれらのドメインの同義語を含むポリペプチドを含むことを意図する。
【0194】
FIXは、活性FIXを産するために、翻訳後プロセシングを必要とする前駆体ポリペプチドとして発現される。特に、FIXの前駆体ポリペプチドは、いわゆるガンマ−カルボキシグルタメートドメインにおける特定のグルタミン酸残基のガンマカルボキシル化およびプロペプチドの切断を必要とする。プロペプチドは、ガンマ−カルボキシグルタメートドメインのN末端の18アミノ酸残基配列である。プロペプチドは、ビタミンK依存性ガンマカルボキシラーゼを結合して、次に内因性プロテアーゼ、たいていは、フューリンまたはPCSK3としても公知である、PACE(対合塩基性アミノ酸切断酵素)によってFIXの前駆体ポリペプチドから切断される。Glaドメインは、ガンマカルボキシル化がないと、カルシウムを結合してタンパク質を負に荷電したリン脂質表面に固定するために必要な正しい高次構造を取ることができず、これにより第IX因子は機能しなくなる。Glaドメインが、カルボキシル化されている場合でも正しく機能するためにプロペプチドの切断に依存するのは、残存するプロペプチドがカルシウムおよびリン脂質への最適な結合に必要なGlaドメインの高次構造変化を妨害するためである。得られた成熟第IX因子は、おおよそ17重量%の炭水化物を含有する415アミノ酸残基の単鎖タンパク質である(Schmidt,A.E.ら(2003)Trends Cardiovasc Med,13:39)。
【0195】
成熟FIXは、第IXa因子を産するために、活性化された第XI因子によって活性化される必要がある。凝固カスケードの内因性経路において、FIXは活性化された第VIII因子、第X因子、カルシウム、およびリン脂質の複合体と会合する。複合体において、FIXは第Xia因子によって活性化される。第IX因子の活性化は、分子からの活性化ペプチド(Ala 146−Arg 180)の2ステップ除去によって達成される。(Bajajら、“Human factor IX and factor IXa,”in METHODS IN ENZYMOLOGY.1993)。第1の切断は、第Xia因子または第VIla因子/組織因子のどちらかによってArg145−Ala146部位にて行われる。第2の律速切断は、Arg180−Val181にて行われる。活性化によって35残基が除去される。活性化されたヒト第IX因子は、重鎖および軽鎖のジスルフィド連結ヘテロダイマーとして存在する。第IXa因子は今度は、活性化され
た第VIII因子と協調して第X因子を活性化する。あるいは、第IX因子および第X因子はどちらも、外因性経路を介して生成した、apidated組織因子と複合体化された第VIIa因子によって活性化することができる。第Xa因子は次に、プロトロンビンはトロンビンに変換され、トロンビンは今度はフィブリノーゲンをフィブリンに変換してクロットを形成する、最終共通経路に関与する。
【0196】
いくつかの場合において、凝固因子は、第IX因子、第IX因子の配列変異体、または第IX因子部分、たとえば表7の例示的な配列、ならびにその生物学的特性が第IX因子の活性をもたらす、第IX因子に実質的に相同である任意のタンパク質またはポリペプチドである。本明細書で使用する場合、「第IX因子部分」という用語は、たとえば部位特異的変異誘発によって意図的に、または変異によって偶発的に改変された、少なくともいくらかの第IX因子活性を保持する第IX因子配列を生じるタンパク質を包含する。「第IX因子部分」という用語は、タンパク質のN末端またはカルボキシ末端にまたは第IX因子部分の配列の内部に少なくとも1個の追加のアミノ酸を有する誘導体も包含する。第IX因子部分の非限定的な例は、以下:第IX因子;第IXa因子;第IX因子の切断版;第IX因子活性を有するハイブリッドタンパク質および第IX因子活性を有するペプチドミメティックを包含する。少なくともある程度の第IX因子活性または活性化の潜在力を保持する上述の任意の生物活性フラグメント、欠失変異体、置換変異体または付加変異体は、第IX因子配列として働くことができる。
【0197】
「第VII因子」(FVII)は、ヒトタンパク質、ならびに活性化された第VII因子の生物活性の少なくとも一部を有するその種および配列変異体を意味する。第VII因子および組換えヒトFVIIaは、補充凝固因子に対して抑制因子を発達させた血友病患者(第VIII因子または第IX因子が欠損した)における制御不能な出血で使用するために導入されている。第VII因子は、トロンビン、第IXa因子、第Xa因子または第XIIa因子によって第FVIIa因子に活性化され得る。FVIIは、Arg152−Ile153における単一ペプチド結合のタンパク質分解によってその活性型の第VIIa因子に変換されて、1個のジスルフィド架橋によってひとまとめにされている2本のポリペプチド鎖、N末端軽鎖(24kDa)およびC末端重鎖(28kDa)の形成をもたらす。他のビタミンK依存性凝固因子とは対照的に、これらの他のビタミンK依存性凝固因子の活性化の間に切断される活性化ペプチドは、FVIIについては、記載されていない。Arg152−Ile153切断部位およびいくつかの下流アミノ酸は、他のビタミンK依存性ポリペプチドの活性化切断部位に対する相同性を示している。組換えヒト第VIIa因子は、補充凝固因子に対して抑制因子を発達させた血友病患者を包含する、血友病患者(第VIII因子または第IX因子が欠損した)における制御不能な出血の処置に有用性を有する。FVIIは、血液凝固第VII因子の代表的な特徴を備えた任意の形態の第VII因子分子であるものとする。FVIIは、血漿からのFVIIおよびたとえばFVII/FVIIaの欠損によって引き起こされた患者の出血障害を改善することができる任意の形態の組換えFVIIを包含するものとする。いくつかの実施形態において、FVIIペプチドは、表7の配列を包含する、本明細書に記載するFVIIペプチドの任意の活性型(FVIIa)、構造類似体またはペプチドミメティックである。第VII因子および第VIIa因子は、US Patent No.6,806,063およびUS
Patent Application No.20080261886に記載されるようにクローニングされている。
【0198】
一態様において、本発明は、キメラ分子を生成するためにXTENに共有結合的に連結された、表7のFIX配列を包含する、FIXの全長配列、または活性フラグメント、または配列変異体、または任意の生物活性誘導体を含むFIXの単量体BPXTEN融合タンパク質を提供する。いくつかの場合において、FIXなどの凝固因子を含む融合タンパク質は、1個以上のタンパク質分解切断部位配列をさらに含む。別の実施形態において、融合タンパク質は第1および第2の異なる切断配列を含む。上述の実施形態において、切断配列(複数可)は表10から選択される。XTENの存在によってFIX活性化形態(以下「FIXa」)へのFIXの活性化が抑制される場合には(たとえばXTENはFIXのC末端に付着されている場合)、以下でさらに十分に記載するように、プロテアーゼによって作用を受けたときに1個以上のタンパク質分解切断部位がXTEN配列の放出を可能にする。上述の特色において、無傷のFIX−XTEN組成物はプロドラッグとして働き、タンパク質分解によるFIX−XTEN分子からのXTENの放出が、放出されたFIX配列のFIXaへの変換を可能にする。一実施形態において、1個以上の切断配列は、表10からの配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を、または表10からの配列に対して少なくとも約85%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約95%の、または少なくとも約96%の、または少なくとも約97%の、または少なくとも約98%の、または少なくとも約99%の、または100%の配列同一性を有する配列であることができる。
【0199】
FIX−XTEN融合タンパク質は、異なる配置で設計することができる。図37Aに例証されるような一実施形態において、融合タンパク質は以下の順序(N→C末端)で構成要素:FIX;およびXTENを含み、該XTENは、XTEN配列の内部に切断配列を含み得る。図37Bに例証されるような別の実施形態において、融合タンパク質は、以下の順序(N→C末端)で構成要素:FIX;切断配列;およびXTENを含む。いくつかの場合において、図37Cおよび37Dに例証されるように、融合タンパク質は、XTENがFIXドメインの間に挿入されてFIXポリペプチドの内部に位置する構成要素を含む。一実施形態において、図37Cに示すように、XTENのN末端はFIX G1aドメインのC末端に連結され、XTENのC末端はFIXのEGF1ドメインのN末端に連結されて、追加の切断配列が導入されていないFIX−XTENを生じる。別の実施形態において、図37Cに示すように、XTENのN末端はFIX EGF1ドメインのC末端に連結され、XTENのC末端はFIXのEGF2ドメインのN末端に連結されて、追加の切断配列が導入されていないFIX−XTENを生じる。第IX因子配列がPDVDYVNSTEAETILDNITQSTQSFNDF(配列番号1748)配列を含む活性化ペプチドドメインを含む別の実施形態において、XTEN配列のN末端およびC末端は、活性化ペプチドドメイン配列の任意の2個の連続アミノ酸または任意の2個の非連続アミノ酸の間に挿入され、そして活性化ペプチドドメイン配列の任意の2個の連続アミノ酸または任意の2個の非連続アミノ酸に連結することができ、該XTENは場合により、同一であり得るまたは異なり得る第1および第2の切断配列を両方含む。上述の別の実施形態において、XTENは、XTENのN末端がTアミノ酸のC末端に連結され、XTENのC末端がIアミノ酸のN末端に連結されている、上述の配列の連続するTおよびIアミノ酸の間に挿入することができる。
【0200】
図37Eに例証されるような別の実施形態において、融合タンパク質は、2個のXTEN分子:上述のようにFIXの2個のドメイン間に位置する第1のXTEN、および第2のXTENであって、XTENのN末端がFIXのC末端に連結され、または第2のXTENのN末端が、FIXのC末端に連結されている切断配列のC末端に連結されている、第2のXTENを含む。
【0201】
図37Fに例証されるような他の場合において、FIX−XTEN融合タンパク質は、XTENがFIXドメインの配列内に位置して、既存の構造ループの一部としてドメインに挿入されるか、またはドメイン構造物の外部にループを生成する構成要素を含む。FIXが、KNSADNK(配列番号1749)ループを含むEGF2ドメインを含む一実施形態において、XTEN配列は、XTENのN末端がSのC末端に連結され、XTENのC末端がAのN末端に連結されたループ配列のSアミノ酸とAアミノ酸の間に挿入されて、XTENポリペプチドが球状凝固タンパク質の外側に延長するループ配列が生じ、該XTENは(場合により)、同一であり得るまたは異なり得る第1および第2の切断配列の両方を含む。別の実施形態において、XTENは、KNSADNKループ配列の任意の2個の連続または非連続アミノ酸の間に挿入されることができる。FIXが、LAENループを含むEGF2ドメインを含む別の実施形態において、XTEN配列はLEANループの連続するAアミノ酸とEアミノ酸との間に挿入されることができ、XTENのN末端がAのC末端に連結され、XTENのC末端がEのN末端に連結され、ループ配列LA−XTEN−ENが生じ、該XTENは(場合により)、同一であり得るまたは異なり得る第1および第2の切断配列の両方を含むことができる。FIXがGlaドメインを含む別の実施形態において、XTENは、XTENがループ構造物を形成するGla配列の2個の連続アミノ酸の間に挿入および連結されることができ、該ループ構造物はGla構造物の実質的に外部であり、該XTENは(場合により)、同じであり得るまたは異なり得る第1および第2の切断配列の両方を含むことができる。FIXがEGF1ドメインを含む別の実施形態において、XTENは、XTENがループ構造物を形成するEGF1配列の2個の連続アミノ酸の間に挿入および連結されることができ、該ループ構造物はEGF1構造物の実質的に外部であり、該XTENは(場合により)同じであり得るまたは異なり得る第1および第2の切断配列の両方を含むことができる。
【0202】
図37Gに例証されるような別の実施形態において、融合タンパク質は、FIX;およびXTENの順序で構成要素を含み、該XTENは、XTENのN末端付近に、好ましくはXTENの最初の144アミノ酸残基内に、さらに好ましくはXTEN配列のN末端の最初の約80アミノ酸内に、さらに好ましくはXTEN配列のN末端の最初の約42アミノ酸内に、さらに好ましくはXTEN配列のN末端の最初の約18アミノ酸内に、およびなおさらに好ましくはXTEN配列のN末端の最初の12アミノ酸内に、複数の切断配列を含む。
【0203】
他の実施形態において、FIX−XTENは、配置(N→C末端)XTEN−FIXで、あるいはXTEN−FIX−XTENで、あるいはXTEN−CS−FIXで、あるいはFIX−XTEN−FIXで、あるいはFIX−CS−XTEN−CS−XTENで、または上述のマルチマーで存在することができる。
【0204】
一実施形態において、FIX−XTENは、FIX−XTEN組成物のFIXを、XTENの一部または全部を放出させずに凝固プロテアーゼによってFIXaに活性化できるように構成される。FIX−XTENが少なくとも2個のXTENを含む別の実施形態において、FIX−XTENは、FIX−XTEN組成物のFIXを、XTENの1個を放出させずに凝固プロテアーゼによってFIXaに活性化できるように構成される。FIXのFIXaへの活性化前、またはFIXのFIXaへの活性化と同時のどちらかにおいてXTENがFIX−XTENから放出される別の実施形態において、任意の残存するXTENまたは切断配列残基がFIXの活性化を認められるほどには妨害せず、またプロテアーゼへの十分なアクセスを提供して対応する切断配列の切断に作用するように、切断配列はFIXの任意の部分に連結されたXTENの端に十分に接近して位置する。XTENがFIXのC末端に連結されている(上記のように)一実施形態において、1個以上の切断部位は、XTENのN末端の最初の約100アミノ酸以内に、さらに好ましくはXTENのN末端の最初の80アミノ酸以内に、さらに好ましくはXTENのN末端の最初の54アミノ酸以内に、さらに好ましくはXTENのN末端の最初の42アミノ酸以内に、さらに好ましくはXTENのN末端の最初の30アミノ酸以内に、さらに好ましくはXTENのN末端の最初の18アミノ酸以内に、および最も好ましくはXTENのN末端の最初の6アミノ酸以内に位置することができる。2個のFIXドメインの間かもしくはFIXドメインの外部ループ内かまたはドメイン配列の内部のいずれかで、XTENがFIX配列の内部へ連結されている(上記のように)別の実施形態において、XTENは、少なくとも1個の切断部位がXTENのN末端の最初の約100アミノ酸以内に、XTENのN末端の80アミノ酸以内に、XTENのN末端の54アミノ酸以内に、XTENのN末端の42アミノ酸以内に、XTENのN末端の30アミノ酸以内に、XTENのN末端の18アミノ酸以内に、またはXTENのN末端の6アミノ酸以内に位置することができる2個以上の切断配列を含むことができ、XTENは、XTENのC末端の最後の100アミノ酸以内に、XTENのC末端の80アミノ酸以内に、XTENのC末端の54アミノ酸以内に、XTENのC末端の42アミノ酸以内に、XTENのC末端の30アミノ酸以内に、XTENのC末端の18アミノ酸以内に、またはXTENのC末端の6アミノ酸以内に位置する少なくとも第2の切断部位を含むことができる。
【0205】
いくつかの場合において、融合タンパク質のプロテアーゼ切断によって、続いてFIX配列を活性化できるように、被験体においてFIX配列からXTENが放出される。他の場合において、融合タンパク質のプロテアーゼ切断は、FIXのFIXaへのプロセシングおよび活性化と同時にXTENが放出されるような、凝固カスケードのプロテアーゼの作用の結果である。それゆえいくつかの実施形態の特定の特色において、FIX−XTEN融合タンパク質のXTENおよび関連付けられている切断部位(複数可)は、XTENがタンパク質分解切断によって融合タンパク質から放出されるまでFIX配列が活性化されないように、位置することができる。このような実施形態において、FIX−XTENは、一旦被験体に投与されると、活性化されることができるプロドラッグとして使用することができる。一実施形態において、特にFIX−XTENが2個のXTEN配列を含むときに、放出されたFIXポリペプチドはXTENの全部または一部を含有することができる。あるいは、放出されたFIXポリペプチドはXTENを、またはXTENの実質的にすべてを含まないことができる。
【0206】
他の実施形態において、切断部位は融合タンパク質の合成手順の間に使用される。たとえば融合タンパク質は、組換え産生後の融合タンパク質の単離のために親和性タグをさらに含有することができる。融合タンパク質の切断部位を認識するプロテアーゼはタグを除去して、それによりXTENに連結されたFIXである最終生成物をもたらすことができる。
【0207】
それゆえ融合タンパク質は切断部位を有することができ、該切断部位は、注射前、注射後(プロテアーゼによって血液循環または組織で)に切断することができ、XTENが内因性プロテアーゼによって放出されるまで治療生成物と共にとどまって、治療生成物を凝固カスケードによって活性化させるか、またはXTENが凝固カスケードのプロテアーゼによって放出されるかのどちらかとなるように位置することができる。
【0208】
いくつかの実施形態において、FIXの融合タンパク質は、循環中または体組織内もしくは体腔内のいずれかにおいて、部位特異的プロテアーゼによって不活性タンパク質から活性タンパク質(たとえばFIXa)に変換される。この切断は、薬学的活性ドメイン(プロドラッグ活性化)の有効性の増加を誘発し得るか、または切断生成物のその標的への結合を増強し得る。そのためたとえばFIX−XTEN融合タンパク質は被験体の血液中で切断されることができ、FIX配列は凝固カスケードによって、または本明細書で開示する別のプロテアーゼによって活性化させることができる。FIX融合タンパク質の活性形態は、XTENの少なくともフラグメントを含有し得るか、または含有し得ない。FIX−XTENプロドラッグ実施形態の特色において、従来のFIX治療薬と比較してより多い投薬量のFIX−XTEN組成物が投与され得るのは、活性化可能であるFIXの放出が、切断配列の選択、または活性化可能であるFIXの形態の放出前に切断する必要のある切断部位の数の変更によって制御できるためである。当業者が認めるように、本明細書で開示する切断部位の任意の配列が、タンパク質分解切断の動態を改変して、それによりFIX放出および続いての活性化の動態に影響を及ぼすために、アミノ酸変形を切断配列に導入することによって改変できる。
【0209】
本発明は、凝固タンパク質およびXTENを含む.BPXTEN融合タンパク質を提供する。いくつかの場合において、BPXTENは、表7から選択される凝固タンパク質に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示す凝固タンパク質を含む。上述の一実施形態において、BPXTENは、表2から選択されるXTENに対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を有するXTEN配列をさらに含む。別の実施形態において、BPXTENは、表43から選択される配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む。本発明は、表7からの任意のFIX配列の、表2からの任意のXTENの、および表10からの任意の切断配列の、表43のそれぞれの構成要素、または上述したものに対して少なくとも90%配列同一性を有する配列に代えての置換も意図する。
【0210】
別の実施形態において、BPXTEN凝固タンパク質は表7のFVII配列であり、XTENはAE864およびAM875から選択される。上述の一実施形態において、BPXTENはN→C末端配置のFVII−AE864を含む。別の実施形態において、BPXTENは、N→C末端でFVII−AM875として構成される。別の実施形態において、構成されたBPXTENは、少なくとも約70%、または80%、または90%、または少なくとも約95%以上が活性化FVIIa形態である、FVIIを含む。別の実施形態において、FVIIおよびXTENを含むBPXTENは、表10から選択される配列を包含し得る、切断配列をさらに含むことができる。
【0211】
(d)成長ホルモンタンパク質
「成長ホルモン」または「GH」は、ヒト成長ホルモンタンパク質ならびにその種および配列変異体を意味して、これに限定されるわけではないが、GHの191単鎖アミノ酸ヒト配列を包含する。それゆえGHは、天然の全長タンパク質であることができるか、または天然タンパク質の生物活性の少なくとも一部を保持する切断フラグメントもしくは配列変異体であることができる。体の組織に対するGHの効果は概して、同化作用として説明される。他の大半のタンパク質ホルモンと同様に、GHは、成長ホルモン受容体と呼ばれる特異的原形質膜受容体と相互作用することによって働く。下垂体に由来する公知の2種類のヒトGH(以下「hGH」):約22,000ダルトンの分子量を有するhGH(22kD hGH)および約20,000ダルトンの分子量を有するhGH(20kD
hGH)が存在する。20kDHGHは、22kD hGHの32番目から46番目の15アミノ酸残基が消失していることを除いて、191アミノ酸から成る22kD hGHのアミノ酸配列に一致するアミノ酸配列を有する。いくつかの報告は、20kD hGHが22kD hGHよりも低いリスクおよび高い活性を示すことが見出されたことを示している。本発明は、本明細書のBPXTEN組成物の生物活性ポリペプチドとして使用するのに適切である20kD hGHの使用も意図する。
【0212】
本発明は、たとえば霊長類、哺乳動物(家畜を包含する)由来の天然配列変異体である任意のGH相同配列、配列フラグメント、ならびにGHの生物活性もしくは生物機能の少なくとも一部を保持するGHおよび/またはGH関連疾患、欠損、障害また症状を防止、処置、媒介、もしくは改善するのに有用である非天然配列変異体の、BPXTENへの包含を意図する。非哺乳動物GH配列は文献に十分に記載されている。たとえば魚類GHの配列アラインメントは、Genetics and Molecular Biology 2003 26 p.295−300に見出すことができる。トリGH配列の進化の解析は、Journal of Evolutionary Biology 2006
19p.844−854に表示されている。さらにヒトGHに相同性の天然配列は、標準相同性検索技法、たとえばNCBI BLASTによって見出され得る。
【0213】
一実施形態において、主題の組成物に組み入れられたGHは、自然界で見出されるタンパク質に一致する配列を有する組換えポリペプチドであることができる。別の実施形態において、GHは、天然GHの生物活性の少なくとも一部を保持する天然配列の配列変異体、フラグメント、ホモログ、またはミメティックであることができる。表8は、本発明のBPXTEN融合タンパク質に含まれる多種多様の哺乳類種からのGHの非限定的な配列のリストを提供する。これらのGH配列または種もしくはファミリ間の個々の変異を組み替える(shuffling )ことによって構築された相同誘導体のいずれも、本発明の融合タンパク質に有用であり得る。BPXTEN融合タンパク質に組み入れることができるGHは、表8から選択されるタンパク質配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性を、またはあるいは81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%、もしくは100%の配列同一性を示すタンパク質を包含することができる。
【0214】
【表8-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
【表8-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0216】
【表8-3】
[この文献は図面を表示できません]
IV)BPXTEN構造物配置および特性
主題の組成物のBPは、天然の全長ポリペプチドに限定されないが、組換えポリペプチドならびにその生物活性変異体またはフラグメントおよび/または薬理活性変異体またはフラグメントも包含する。たとえば、各種のアミノ酸置換がGPにて行われて、BPの生物活性または薬理特性に関して、本発明の精神から逸脱することなく変異体を生成できることが認められる。ポリペプチド配列中のアミノ酸の保存的置換の例を表9に示す。しかし、本明細書で開示する特異的配列と比較して、BPの配列同一性が100%未満であるBPXTENの実施形態において、本発明は、隣接アミノ酸残基を包含する、BPの配列内の任意の位置であり得る、他の19の天然L−アミノ酸のいずれかによる所与のBPの所与のアミノ酸残基の置換を意図する。任意の1個の置換によって生物活性の所望でない変化が生じた場合、次に、本明細書に記載する方法によって、またはその内容が全体として参照により組み入れられている、たとえばU.S.Pat.No.5,364,934に記載された保存的および非保存的変異の技法およびガイドラインのいずれかを使用して、または当業者に概して公知の方法を使用して、代わりのアミノ酸1個を用いて、構築物を評価することができる。さらに、変異体はたとえば、天然ペプチドの生物活性の少なくとも一部を保持する、1個以上のアミノ酸残基がBPの全長天然アミノ酸配列のN末端またはC末端にて付加または欠失されたポリペプチドも包含することができる。
【0217】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
(a)BPXTEN融合タンパク質配置
本発明は、グルコース恒常性、インスリン抵抗性、または肥満に関連する疾患、障害または状態を防止、処置、媒介、または改善するのに有用な、1個以上のXTENポリペプチドに連結されたBPを含むBPXTEN融合タンパク質組成物を提供する。いくつかの場合において、BPXTENは、1個以上のXTENポリペプチドに連結されたBPを有する単量体融合タンパク質である。他の場合において、BPXTEN組成物は、1個以上のXTENポリペプチドに連結された2個のBP分子を含むことができる。本発明は、これに限定されるわけではないが、表3〜8より選択されたBP(またはそのフラグメントもしくは配列変異体)、および表2より選択されたXTENまたはその配列変異体を含むBPXTENを意図する。いくつかの場合において、それぞれのBPの生物活性の少なくとも一部は無傷のBPXTENによって保持される。他の場合において、BP構成要素は、以下でさらに十分に記載するように、スペーサ配列に組み入れられた必要に応じた切断配列の切断によるXTENのBPXTENへのその放出の際に、生物活性となるか、または活性の増加を有するかのどちらかである。
【0218】
BPXTEN組成物の一実施形態において、本発明は式Iの融合タンパク質を提供する:
(BP)−(S)−(XTEN) I
式中、各出現について、独立して、BPは本明細書で上記のような生物活性タンパク質であり;Sは、(以下でさらに十分に記載するような)切断配列を場合により包含することができる1〜約50のアミノ酸残基を有するスペーサ配列であり;xは0または1のどちらかであり;およびXTENは本明細書で上記のような延長組換えポリペプチドである。該実施形態は、BPが所望の生物活性のために遊離N末端を必要とする、またはBPのC末端の融合タンパク質への連結によって生物活性が低下して、投与したBPXTENの生物活性および/または副作用を低下させることが所望である、特別の有用性を有する。
【0219】
BPXTEN組成物の別の実施形態において、本発明は式IIの融合タンパク質(上記の構成要素)を提供する:
(XTEN)−(S)−(BP) II
式中、各出現について、独立して、BPは本明細書で上記のような生物活性タンパク質であり;Sは、(以下でさらに十分に記載するような)切断配列を場合により包含することができる1〜約50のアミノ酸残基を有するスペーサ配列であり;xは0または1のどちらかであり;およびXTENは本明細書で上記のような延長組換えポリペプチドである。該実施形態は、BPが所望の生物活性のために遊離C末端を必要とする場合に、またはBPのN末端の融合タンパク質への連結によって生物活性が低下して、投与したBPXTENの生物活性および/または副作用を低下させることが所望である場合に、特定の有用性を有する。
【0220】
それゆえ単一のBPおよび単一のXTENを有するBPXTENは、N→C末端方向でそれぞれ挙げられた、少なくとも以下の配置の順列を有することができる:BP−XTEN;XTEN−BP;BP−S−XTEN;またはXTEN−S−BP。
【0221】
別の実施形態において、本発明は単離融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は式IIIの融合タンパク質であり:
(BP)−(S)−(XTEN)−(S)−(BP)−(S)−(XTEN) III
式中、各出現について、独立して、BPは本明細書で上記のような生物活性タンパク質であり;Sは、(以下でさらに十分に記載するような)切断配列を場合により包含することができる1〜約50のアミノ酸残基を有するスペーサ配列であり;xは0または1のどちらかであり;yは0または1のどちらかであり;zは0または1のどちらかであり;およびXTENは本明細書で上記のような延長組換えポリペプチドである。
【0222】
別の実施形態において,本発明は単離融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は式IVの融合タンパク質(上記のような構成要素)である:
(XTEN)−(S)−(BP)−(S)−(XTEN)−(BP) IV 別の実施形態において、本発明は単離融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は式Vの融合タンパク質(上記のような構成要素)である:
(BP)−(S)−(BP)−(S)−(XTEN) V
別の実施形態において、本発明は単離融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は式VIの融合タンパク質(上記のような構成要素)である:
(XTEN)−(S)−(BP)−(S)−(BP) VI
別の実施形態において、本発明は単離融合タンパク質を提供し、該融合タンパク質は式VIIの融合タンパク質(上記のような構成要素)である:
(XTEN)−(S)−(BP)−(S)−(BP)−(XTEN) VII
式I〜VIIの融合タンパク質の上述の実施形態において、実施形態の治療的有効用量の融合タンパク質のそれを必要とする被験体への投与によって、XTENに連結されておらず、同程度の用量で被験体に投与された対応するBPと比較して、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも4倍、または少なくとも5倍以上の、治療ウインドウ内で費やされる時間の増大をもたらすことができる。
【0223】
いずれのスペーサ配列基も、本発明に含まれる融合タンパク質において任意選択である。スペーサは、宿主細胞からの融合タンパク質の発現を増強するために、またはBP構成要素がその所望の3次構造を取り得るおよび/もしくはその標的分子と適切に相互作用し得るように立体障害を減少させるために提供され得る。スペーサおよび所望のスペーサを同定する方法については、たとえば参照により詳細に本明細書に組み入れられている、Georgeら(2003)Protein Engineering 15:871−879を参照。一実施形態において、スペーサは、長さが1〜50アミノ酸残基、または長さが約1〜25残基、もしくは約1〜10残基である1個以上のペプチド配列を含む。スペーサ配列は、切断部位を除いて、20種類の天然Lアミノ酸のいずれかを含むことができ、これに限定されるわけではないが、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタメート(E)およびプロリン(P)を包含することができる、立体障害のない親水性アミノ酸を含む。いくつかの場合において、スペーサはポリグリシンまたはポリアラニンであることができ、または主としてグリシン残基アラニン残基の組み合わせの混合物である。切断配列を除くスペーサポリペプチドは、大部分から実質的に2次構造が存在しない。一実施形態において、BPXTEN融合タンパク質組成物の一方または両方のスペーサ配列はそれぞれ、同一であり得るまたは異なり得る切断配列をさらに含有し得て、該切断配列は融合タンパク質においてプロテアーゼによる作用を受けて、融合タンパク質からBPを放出し得る。
【0224】
いくつかの場合において、BPXTENへの切断配列の組み入れは、XTENからのBPの放出の際に活性にまたはより活性になるBPの放出を可能にするように設計される。切断後にBPに付着しているいずれの残存残基もBPの活性(たとえば受容体への結合)を認められるほどには妨害しないが、プロテアーゼへの十分なアクセスを提供して切断配列の切断を行うように、切断配列はBP配列に十分接近して、概してBP配列末端の18アミノ酸以内に、または12アミノ酸以内に、または6アミノ酸以内に、または2アミノ酸以内に位置する。いくつかの実施形態において、BPXTENが被験体への投与後に切断できるように、切断部位は、哺乳動物被験体に内因性のプロテアーゼによって切断できる配列である。このような場合、BPXTEXはプロドラッグまたはBPの循環デポーとして働くことができる。本発明で意図される切断部位の例は、これに限定されるわけではないが、FXIa、FXIIa、カリクレイン、FVIIa、FIXa、FXa、FIIa(トロンビン)、エラスターゼ−2、グランザイムB、MMP−12、MMP−13、MMP−17もしくはMMP−20から選択される哺乳動物内因性プロテアーゼによって、または非哺乳動物プロテアーゼ、たとえばTEV、エンテロキナーゼ、PreScission(商標)プロテアーゼ(ライノウイルス3Cプロテアーゼ)およびソルターゼAによって切断できるポリペプチド配列を包含する。上述のプロテアーゼによって切断されることが知られている配列は、当分野で公知である。例示的な切断配列および配列内のカット部位を配列変異体と共に表10に表示する。たとえばトロンビン(活性化凝固第II因子)は、配列の4位のアルギニンの後でカットされる、配列LTPRSLLV(配列番号222)に作用する[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]。活性FIIaは、リン脂質およびカルシウムの存在下でのFXaによるFIIの切断によって産生され、凝固経路の第IX因子から下流にある。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割はフィブリノーゲンを切断することであり、これにより次に、今度はクロット形成が開始する。FIIa活性は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。しかし凝固は、BPXTENのBPとXTENとの間への、LTPRSLLV(配列番号223)配列の組み入れによる、哺乳動物における進行中のプロセスであるため、XTENドメインは、凝固が生理的に必要とされるときに外因性または内因性のどちらかの凝固経路の活性化と同時に、隣のBPから除去されて、それにより経時的にBPが放出される。同様に、内因性プロテアーゼによる作用を受けるBPXTENへの他の配列の組み入れは、特定の場合には、より高度の活性をBPXTENの「プロドラッグ」形態からのBPに提供し得る、BPの持続放出を提供する。
【0225】
いくつかの場合において、カット部位の両側にフランキングするわずか2または3のアミノ酸(合計4〜6アミノ酸)が切断配列に組み入れられる。他の場合において、公知の切断配列は、1個以上の欠失もしくは挿入を有し得るかまたは公知の配列任意の1個もしくは2個もしくは3個のアミノ酸に代えての1個もしくは2個もしくは3個のアミノ酸による置換を有することができ、欠失、挿入または置換は、プロテアーゼに対する感受性の非存在ではなく、感受性の低下または増強を生じて、XTENからのBPの放出速度を適応させる能力を生じる。例示的な置換を表10に示す。
【0226】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
一実施形態において、BPXTEN融合タンパク質に組み入れられたBPは、表3〜8からの配列に対して少なくとも約80%配列同一性を、あるいは表3〜8からの配列と比較して少なくとも約81%の、または約82%の、または約83%の、または約84%の、または約85%の、または約86%の、または約87%の、または約88%の、または約89%の、または約90%の、または約91%の、または約92%の、または約93%の、または約94%の、または約95%の、または約96%の、または約97%の、または約98%の、または約99%の、または約100%の配列同一性を示す配列を有することができる。上述の実施形態のBPは、本明細書に記載するアッセイまたは測定もしくは決定されたパラメータを使用して、活性について評価することができ、対応する天然BP配列と比較して、少なくとも約40%の、または約50%の、または約55%の、または約60%の、または約70%の、または約80%の、または約90%の、または約95%以上の活性を保持する配列は、主題のBPXTENへの包含に好適と見なされる。好適な活性レベルを保持することが見出されたBPは、本明細書で上記の1個以上のXTENポリペプチドに連結させることができる。一実施形態において、好適な活性レベルを保持することが見出されたBPは、表2からの配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を、あるいは表2の配列と比較して少なくとも約81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%の、または約100%の配列同一性を有する1個以上のXTENポリペプチドに連結させて、キメラ融合タンパク質を生じることができる。
【0227】
単一のXTENに連結された単一のBPを含有する融合タンパク質の配列の非限定的な例を表40、42、43、および44に表示する。一実施形態において、BPXTEN組成物は、表40、42、43の、または44からのBPXTENに少なくとも約80%配列同一性を、あるいは表40、42、43、または44からのBPXTENと比較して少なくとも約81%の、82%の、83%の、84%の、85%の、86%の、87%の、88%の、89%の、90%の、91%の、92%の、93%の、94%の、95%の、96%の、97%の、98%の、99%の、または約100%の配列同一性を有する融合タンパク質を含む。1個以上のXTENに連結された同じBPの分子2個を含有する融合タンパク質の配列の非限定的な例を表41に表示するが、本発明は、表2から選択された同じであり得るまたは異なり得る、1個または2個のXTENに連結された表3〜8から選択される他のBPの置換も意図する。本段落における本明細書で上記の、上述の融合タンパク質において、BPXTEN融合タンパク質は、表10からの切断配列をさらに含むことができる;該切断配列は、BPとXTENとの間にまたは隣接BP間に位置する。いくつかの場合において、切断配列を含むBPXTENは、BPと切断配列との間にまたはXTENと切断配列との間に1個以上のスペーサ配列アミノ酸も有し、プロテアーゼのアクセスを促進する;任意の天然アミノ酸を含む該スペーサアミノ酸は、好ましいアミノ酸としてグリシンおよびアラニンを包含する。BP、XTEN、切断配列(複数可)およびスペーサアミノ酸を含むBPXTENの非限定的な例を表42および43に表示する。しかし、本発明は、表3〜8のBP配列のいずれかによる表42または43のBP配列に代えての置換、表2の任意のXTEN配列による表42または43のXTEN配列に代えての置換、および表10の任意の切断配列による表42または43の切断配列に代えての置換も意図する。
【0228】
(b)BPXTENの薬物動態特性
本発明は、本明細書に記載する方法によって組成物に対して決定された用量で使用されるときに、薬理学的効果を生じるが、XTENに連結されていないBPの同程度の用量と比較して延長された期間にわたって組成物の生物活性構成要素の安全範囲内になおとどまる循環濃度を達成することができる、XTENに連結されていないBPと比較して薬物動態が増強されたBPXTEN融合タンパク質を提供する。このような場合、BPXTENは、延長された期間にわたって融合タンパク質組成物の治療ウインドウ内に依然として存在する。本明細書で使用する場合、「同程度の用量」は、同程度の様式で被験体に投与される活性BPのファルマコフォアと等価のモル/kgを有する用量を意味する。BPXTEN融合タンパク質の「同程度の投薬量」は、薬剤のより大きい重量を表すが、融合タンパク質の用量におけるBPの本質的に同じモル当量を有するおよび/またはBPに対して同じおおよそのモル濃度を有することが、当分野で理解される。
【0229】
所与のXTENをBPに連結することによって増強することができるBPの薬物動態特性は、最終半減期、曲線下面積(AUC)、Cmax分布容積、および生物学的利用能を包含する。
【0230】
XTENを含む融合タンパク質の薬物動態特徴に関する実施例でさらに十分に記載するように、XTEN配列の長さの増加が、XTENを含む融合タンパク質の最終半減期の不均衡な増加を与え得ることが驚くべきことに発見された。したがって本発明は、被験体に投与されるBPXTEN組成物に対する標的とする半減期を提供するようにXTENを選択することができる、XTENを含むBPXTEN融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、XTENを含む単量体融合タンパク質を提供し、ここで、XTENが、融合タンパク質に連結されていない対応するBPと比較して、投与したBPXTENの最終半減期において少なくとも約2倍の長さの増加を、または少なくとも約3倍の、または少なくとも約4倍の、または少なくとも約5倍の、または少なくとも約6倍の、または少なくとも約7倍の、または少なくとも約8倍の、または少なくとも約9倍の、または少なくとも約10倍の、または少なくとも約15倍の、または少なくとも20倍以上の、融合タンパク質に連鎖されていないBPと比較した最終半減期の増加を与えるように選択される。同様に、BPXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質に連結されていない対応するBPと比較して、少なくとも約50%のAUCの増加を、または少なくとも約60%の、または少なくとも約70%の、または少なくとも約80%の、または少なくとも約90%の、または少なくとも約100%の、または少なくとも約150%の、または少なくとも約200%の、または少なくとも約300%のAUCの増加を有することができる。BPXTENの薬物動態パラメータは、投与量(dosing)、時間間隔での血液試料の採取、およびELISA、HPLC、放射能定量、または当分野で公知のもしくは本明細書に記載するような他の方法を使用するタンパク質のアッセイを含む標準方法、続いての半減期および他の薬物動態パラメータを導出するデータの標準計算によって決定することができる。
【0231】
本発明は、切断配列をさらに含み得るスペーサ配列によって場合により離された、または第2のXTEN配列によって離された、第1および第2のBP分子を含むBPXTENをさらに提供する。一実施形態において、BPは、融合タンパク質に連結されていない対応するBPと比較して、融合タンパク質に連結されたときにより低い活性を有する。このような場合、図38に例証されるように、被験体への投与の際にBP構成要素が切断配列(複数可)の切断によって徐々に放出され、その上、BP構成要素が活性またはその標的受容体もしくはリガンドに結合する能力を回復するように、BPXTENを設計することができる。したがって上述のBPXTENはプロドラッグまたは循環デポーとして働き、融合タンパク質に連結されていないBPと比較して、より長い最終半減期を生じる。
【0232】
(c)BPXTENの薬理特性および薬学的特性
本発明は、XTENに連結されていないBPと比較して増強された特性を有することができる、XTENに共有結合的に連結されたBPを含むBPXTEN組成物、ならびに組成物の2つのそれぞれのBP構成要素の治療活性または効果および/もしくは生物活性または効果を増強する方法を提供する。さらに本発明は、免疫グロブリンポリペプチドパートナー、より短い長さのポリペプチドおよび/または反復性配列を有するポリペプチドパートナーを含有する当分野で公知の融合タンパク質と比較して、増強された特性を有するBPXTEN組成物を提供する。さらにBPXTEN融合タンパク質は、化学コンジュゲート、たとえばPEG化構築物に勝る顕著な利点、注目すべきは、生成物の研究および開発段階ならびに製造段階の両方で時間および費用を低下させて、ならびにPEG化コンジュゲートと比較してBPXTENの生成物および代謝産物の両方についてより毒性の低い、より均質で明確な生成物を生じることが可能な細菌細胞発現系において、組換えBPXTEN融合タンパク質を作製することができるという事実を提供する。
【0233】
治療剤として、BPXTENはたとえば溶解度の増加、熱安定性の増加、免疫原性の低下、見かけの分子量の増加、腎クリアランスの低下、タンパク質分解の低下、代謝の低下、治療効率の増強、有効治療用量の低減、生物学的利用能の増加、BPの治療ウインドウ内で血中濃度を維持する投薬間の時間の増加、「適応された(tailored)」吸収速度、凍結乾燥安定性の増強、血清/血漿安定性の増強、最終半減期の増加、血流中での溶解度の増加、中和抗体による結合の減少、受容体媒介クリアランスの低下、副作用の低下、受容体/リガンド結合親和性または受容体/リガンド活性化の保持、分解に対する安定性、凍結−解凍に対する安定性、プロテアーゼに対する安定性、ユビキチン化に対する安定性、投与の容易さ、他の薬学的賦形剤またはキャリアとの適合性、被験体においての残留性、貯蔵安定性の増加(たとえば貯蔵寿命の増加)、生物または環境における毒性の低下などを包含する、XTENを含まない治療剤に勝るいくつかの利点を所有し得る。増強された特性の正味の効果は、BPXTENが、代謝性疾患または障害を有する被験体に投与されたときに、治療効果および/または生物学的効果の増強を生じ得ることである。
【0234】
BPの薬学的または物理化学特性(たとえば水溶解度または安定性の程度)の増強が所望である他の場合において、第1および第2の融合タンパク質の第1および第2のXTEN配列の長さおよび/またはモチーフファミリ組成物は、BPXTEN組成物の薬学的特性全体が増強されるように、異なる程度の溶解度および/または安定性をそれぞれの融合タンパク質に与えるようにそれぞれ選択され得る。BPXTEN融合タンパク質は、本明細書に記載する方法を使用して構築およびアッセイされて、物理化学特性および所望の特性を生じるために必要に応じて調整されたXTENを確認することができる。一実施形態において、BPXTENのXTEN配列は、融合タンパク質が融合タンパク質に連結されていないBPと比較して少なくとも25%まで大きい、または融合タンパク質に連結されていない対応するBPよりも少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約75%、または少なくとも約100%、または少なくとも約200%、または少なくとも約300%、または少なくとも約400%、または少なくとも約500%、または少なくとも約1000%大きい水溶解度を有するように選択される。本段落の上で記載した上記の実施形態において、融合タンパク質のXTENは、表2から選択されたXTENに対して少なくとも約80%の配列同一性を、または約90%の、または約91%の、または約92%の、または約93%の、または約94%の、または約95%の、または約96%の、または約97%の、または約98%の、または約99%の、または約100%の配列同一性を有することができる。
【0235】
一実施形態において,本発明は、XTENに連結されていない対応するBPの同程度の投薬量と比較して、より長期間にわたって治療ウインドウ内にBP構成要素を維持することができるBPXTEN組成物を提供する。BPXTEN融合タンパク質の「同程度の投薬量」は、薬剤のより大きい重量を表すが、融合タンパク質の用量にBPの同じおおよそのモル当量を有するおよび/またはBPに対して同じおおよそのモル濃度を有することが、当分野で理解される。
【0236】
本発明は、用量の選択と適合したときに、延長された期間にわたって治療ウインドウ内にBPの循環濃度を維持することによって投与された組成物の有効性の増加を可能にする、所望の薬物動態特性を提供するためのコンジュゲーションに適切なXTENを選択する方法も提供する。本明細書で使用する場合、「治療ウインドウ」は、許容されない毒性を伴わずに、時間の経過とともに、疾患または症状に対する有効性または所望の薬理学的効果を提供する、血中または血漿濃度範囲としての薬物または生物製剤の量;任意の正の治療効果を達成する最小量と、被験体に対する毒性の直前の応答である(より高い用量または濃度における)応答を生じる最大量との間の循環血中濃度の範囲を意味する。その上、治療ウインドウは概して、時間の側面;許容されない毒性または有害事象を生じない、経時的に所望の薬理学的効果を生じる最大および最小濃度を含む。被験体に対する治療ウインドウ内にとどまっている投薬された組成物は、「安全性範囲」内にあると言うことができる。
【0237】
用量最適化は、すべての薬物、とりわけ狭い治療ウインドウを有する薬物にとっては重要である。たとえばグルコース恒常性に関与する多くのペプチドは、狭い治療ウインドウを有する。狭い治療ウインドウを有するBP、たとえばグルカゴンまたはグルカゴン類似体では、多種多様の症状を示すすべての患者について標準化された単回用量は、常に有効ということでないこともある。異なるグルコース調節ペプチドは糖尿病被験体の処置で共に使用されることが多いため、それらを共に組み合わせるおよび投薬することによって達成される、それぞれの効果および相互作用効果もまた考慮する必要がある。許容されない毒性を生じ、該毒性を安全性範囲外に置くことになる量と対比してBPXTENの治療的または薬理学的有効量を決定する目的でのこれらの因子の考慮は、十分に通常の技術を有する臨床医の範囲内である。
【0238】
多くの場合において、主題の組成物のBP構成要素の治療ウインドウは確立されており、公開された文献で入手できるか、またはBPを含有する承認された生成物の薬物ラベルに明示されている。他の場合において、治療ウインドウを確立することができる。所与の組成物について治療ウインドウを確立する方法は、当業者に公知である(たとえばGoodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,11th Edition,McGraw−Hill(2005)を参照)。たとえば有効性または所望の薬理学的効果を決定するための標的疾患または障害を有する被験体における用量増加試験を用いることによって、有害事象の出現、および循環血中濃度の決定、所与の被験体または被験体集団の治療ウインドウを、所与の薬物もしくは生物製剤、または生物製剤もしくは薬物の組み合わせについて決定することができる。用量増加試験によって、当分野で公知であるような、または代謝性疾患もしくは障害に関連付けられている1個以上のパラメータについて本明細書で記載するような生理学的または生化学的パラメータ、または観察結果と共に、特定の適応症についての有益な結果に関連する臨床パラメータおよび/または決定されたまたは得られた循環血中濃度を確立する薬物動態パラメータの測定と共に、無作用量、有害事象、最大許容投与量などを決定する測定パラメータを監視する被験体または被験体群での代謝試験を通じて、BPXTENの活性を評価することができる。結果は次に、投与された用量および上述の決定されたパラメータまた効果レベルと一致する治療剤の血中濃度と相関させることができる。これらの方法により、一連の用量および血中濃度を最小有効用量ならびに最大用量および所望の効果が出現して、それを超えると毒性が生じる血中濃度と相関させて、これにより投薬された治療薬の治療ウインドウを確立することができる。最大を超える融合タンパク質の(またはBP構成要素によって測定されたような)血中濃度は、治療ウインドウ外または安全性範囲外と見なされる。それゆえ上述の方法により、Cmin血中濃度が確立され、該Cminより下ではBPXTEN融合タンパク質は所望の薬理学的効果を有さず、許容されない副作用、毒性または有害事象を引き出す濃度に達する前に最高循環濃度を示し、その濃度をBPXTENの安全範囲外におくCmax血中濃度が確立される。このような濃度が確立されると、投薬頻度および投薬量は、CmaxおよびCminの測定によってさらに精密化されて、融合タンパク質(複数可)を治療ウインドウ内に保つための適切な用量および投薬頻度を提供することができる。当業者は、本明細書で開示する手段によってまたは当分野で公知の他の方法によって、投与されたBPXTENが所望の間隔にわたって治療ウインドウに残存することを、またはXTENの用量もしくは長さもしくは配列の調整を必要とすることを確認することができる。さらにBPXTENを治療ウインドウ内に保つための適切な用量および用量頻度の決定によって、治療的有効用量レジメン;治療ウインドウ内に残存する連続Cmaxピークおよび/またはCminトラフを生じる、治療的有効用量の融合タンパク質を使用する、それを必要とする被験体への複数回連続用量の投与のスケジュールが確立され、標的疾患、障害または状態に関係する少なくとも1個の測定されたパラメータの改善が生じる。いくつかの場合において、適切な用量で被験体に投与されたBPXTENは、XTENに連結されておらず、同程度の用量で投与された対応するBPと比較して少なくとも2倍長い期間にわたって;あるいは、XTENに連結されておらず、同程度の用量で投与された対応するBPと比較して、少なくとも約3倍長い;あるいは少なくとも約4倍長い;あるいは少なくとも約5倍長い;あるいは少なくとも約6倍長い;あるいは少なくとも約7倍長い;あるいは少なくとも約8倍長い;あるいは少なくとも約9倍長いまたは少なくとも約10倍以上長い期間にわたって、治療ウインドウ内に残存するBPXTEN融合タンパク質の血中濃度を生じ得る。本明細書で使用する場合、「適切な用量」は、被験体に投与したときに所望の治療効果または薬理学的効果ならびに治療ウインドウ内の血中濃度を生じる、薬物または生物製剤の用量を意味する。
【0239】
一実施形態において、治療的有効用量レジメンで投与されるBPXTENは、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の用量レジメンで被験体に投与される融合タンパク質の対応する生物活性タンパク質と比較して、融合タンパク質の血中濃度の少なくとも2つの連続するCmaxピークおよび/またはCminトラフの間に、少なくとも約3倍長い;あるいは少なくとも約4倍長い;あるいは少なくとも約5倍長い;あるいは少なくとも約6倍長い;あるいは少なくとも約7倍長い;あるいは少なくとも約8倍長い;あるいは少なくとも約9倍長いまたは少なくとも約10倍長い、時間の増大を生じる。別の実施形態において、治療的有効用量レジメンで投与されるBPXTENは、融合タンパク質に連結されておらず、BPの治療的有効用量レジメンを使用して被験体に投与される、対応する生物活性タンパク質構成要素(複数可)と比較して、薬学的組成物の融合タンパク質のより低い頻度の投薬またはより少ない総投薬量(モル)を使用する1個、または2個、または3個以上の測定パラメータの類似した改良を生じる。測定パラメータは、本明細書で開示する臨床パラメータ、生化学パラメータ、もしくは生理学的パラメータのいずれか、またはグルコースもしくはインスリン関連障害、代謝性疾患もしくは障害、凝固(coaguation)もしくは出血障害、または成長ホルモン関連障害を有する被験体を評価するための当分野で公知の他のパラメータを包含し得る。
【0240】
機能特徴または生物活性および薬理学的活性および生じるパラメータを包含する本発明のBPXTEN組成物活性は、所望の特徴を測定するための当分野で公知の任意の好適なスクリーニングアッセイによって決定され得る。BP構成要素を含むBPXTENポリペプチドの活性および構造物は、本明細書に記載するアッセイ;たとえば表39から選択される1つ以上のアッセイ、実施例のアッセイによって、または溶解度、構造物および生物活性の保持の程度を解明するための当分野で公知の方法によって測定され得る。結合定数(K)、EC50値、ならびにリガンド−受容体複合体の解離のその半減期(T1/2)を包含する、BP受容体またはリガンドに対するBPXTENの結合特徴の決定を可能にするアッセイを行うことができる。結合親和性は、受容体またはリガンドに特異的に結合する能力の変化を検出する競合型結合アッセイによって測定することができる。その上、技法、たとえばフローサイトメトリーまたは表面プラズモン共鳴を使用して結合イベントを検出することができる。アッセイは、可溶性受容体分子を含み得るか、または細胞発現受容体への結合を決定し得る。このようなアッセイは、増殖、細胞死、アポトーシスおよび細胞遊走のアッセイを含む細胞に基づくアッセイを包含し得る。他の可能なアッセイは、発現ポリペプチドの受容体結合を決定し得て、該アッセイは可溶性受容体分子を含み得るか、または細胞発現受容体への結合を決定し得る。対応するBPの標的受容体またはリガンドに対するBPXTENの結合親和性は、結合アッセイまたは競合結合アッセイ、たとえばUS Patent 5,534,617に記載されるようなチップ結合受容体もしくは結合タンパク質を用いるBiacoreアッセイまたはELISAアッセイ、本明細書の実施例に記載されるアッセイ、放射受容体アッセイ、または当分野で公知の他のアッセイを使用してアッセイすることができる。さらにBP配列変異体(単一構成要素としてまたはBPXTEN融合タンパク質としてアッセイされる)は、競合的ELISA結合アッセイを使用して天然BPと比較して、BP配列変異体がBPXTENへの包含に好適であるように、BP配列変異体が天然BP、またはいくつかのその一部と同じ結合特異性および親和性を有するか否かを決定することができる。
【0241】
本発明は、BPXTENによるBP標的受容体またはリガンドに対する結合親和性がXTENに結合されていない天然BPの標的受容体またはリガンドに対する親和性の少なくとも約10%、または少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%以上であることができる単離BPXTENを提供する。いくつかの場合において、主題BPXTENとBPXTENの天然受容体またはリガンドとの間の結合親和性Kは、BPXTENと天然受容体またはリガンドとの間の親和性の少なくとも約10−4M、あるいは少なくとも約10−5M、あるいは少なくとも約10−6M、または少なくとも約10−7Mである。
【0242】
他の場合において、本発明は、融合タンパク質が高い親和性で標的受容体に結合して、それにより天然リガンドに対する拮抗活性を生じるように設計されている単離BPXTENを提供する。このようなBPXTENの非限定的な例はIL−1raXTENであり、該IL−1raXTENは結合組成物がIL−1αおよび/またはIL−1βのIL−1受容体への結合を実質的に妨害するように、IL−1受容体に結合するために構成されている。特定の場合において、アンタゴニストBPXTEN(たとえばこれに限定されるわけではないがIL−1raXTEN)による天然リガンドの標的受容体への結合の妨害は、少なくとも約1%、または約10%、または約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約99%、または約100%であることができる。他の実施形態において、本発明は、単離BPXTEN融合タンパク質の細胞受容体への結合が、天然リガンドによって誘起されたものと比較して20%未満の、または10%未満の、または5%未満の、結合されたBPXTENアンタゴニストを有する細胞のシグナル伝達経路の活性化を引き出す、単離BPXTEN融合タンパク質(たとえばこれに限定されるわけではないが、IL−1raXTEN)を提供する。他の場合において、拮抗性BPXTEN組成物は標的受容体に約10nM以下の、約5nM以下の、約1nM以下の、約500pM以下の、約250pM以下の、約100pM以下の、約50pM以下の、または約25pM以下の解離定数で結合する。拮抗性BPXTENの特異的構築物の非限定的な例は、IL−1ra−AM875、IL−1ra−AE864、またはIL−1ra−AM 1296を包含することができる。
【0243】
いくつかの場合において、本発明のBPXTEN融合タンパク質は、公知のまたは代謝性症状および障害の処置および防止での天然BPの使用と関連付けられているインビトロ生物活性または薬理学的効果に関する、該融合タンパク質に連結されていない対応するBPの生物活性の、少なくとも約10%、または約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%パーセントを保持する。上述の実施形態のいくつかの場合において、BP構成要素の活性は無傷のBPXTEN融合タンパク質によって明らかであり得るが、他の場合においてBP構成要素の活性は、BPXTEN融合タンパク質に組み入れられた切断配列に作用するプロテアーゼの作用による融合タンパク質からのBPの切断および放出の際にに主に明らかになる。上述において、図3に例証されるように、BPXTENは、上でさらに十分に記載したように、XTENに連結されているときには受容体またはリガンドに対するBP構成要素の結合親和性を低下させるが、BPXTEN配列に組み入れられた切断配列(複数可)の切断によるXTENから放出されるときには親和性の増加を有するように設計することができる。
【0244】
他の場合において、BPXTENは、XTENに連結されているときにBP構成要素の結合親和性を低下させて、たとえば受容体媒介クリアランスを低下させることによって被験体に投与されたBPXTENの最終半減期を増加するか、または投与された組成物による毒性もしくは副作用を低下させる。XTENに連結されていないBPの毒物学的無作用量または血中濃度が低い場合(天然ペプチドが副作用を生じる高い可能性を有することを意味する)、本発明はBP構成要素の生物有効性または活性を低下させるように構成されているBPXTEN融合タンパク質を提供する。
【0245】
いくつかの場合において、BPXTENの配置により対応するBP構成要素の結合親和性の低下を生じないBPXTENの活性と比較して、結合親和性の実質的な低下(Kとして発現される)および対応する生物活性の低下を有するように構成できること、ならびにこのような配置が長い最終半減期を呈すると共に十分な程度の生物活性を保持する組成物を有する点で好都合であることが見出されている。1例において、単一のXTENのグルカゴンのC末端への連結によってその標的受容体への顕著な結合親和性の保持が生じるが(実施例31を参照)、XTENのN末端への連結によって、XTENがC末端に結合されている構築物と比較して、その結合親和性および対応する生物活性が低下することが見出されている。別の例において、実施例に記載されるように、ヒト成長ホルモン(hGH)のXTEN分子のC末端への連結によってhGH受容体への結合が実質的に妨害されないが、同じ分子のC末端への第2のXTENの付加(第2のXTENのhGHのC末端への配置)によって、hGH受容体に対する分子の親和性が低下して、XTEN−hGH配置と比較してXTEN−hGH−XTEN配置の最終半減期の増加も生じたことが見出されている。BPのその標的受容体への結合親和性を低下させる能力は、特定のBPが遊離N末端またはC末端を有する必要条件に依存し得る。したがって本発明は、少なくとも第1の生物活性タンパク質および1個以上のXTENを含む、構成要素の特異的N→C末端配置を有する単鎖融合タンパク質構築物を産生することによってBPXTENの最終半減期を増加する方法を提供し、生物活性タンパク質およびXTEN構成要素の第1のN→C末端配置にある該融合タンパク質は、第2のN→C末端配置のBPXTENと比較して受容体媒介クリアランス(RMC)の低下および対応する最終半減期の増加を有する。上述の一実施形態において、BPXTENは、N→C末端でBP−XTENとして構成される。上述の別の実施形態において、BPXTENは構成されたXTEN−BPである。上述の別の実施形態において、BPXTENは構成されたXTEN−BP−XTENである。後者の実施形態において、2個のXTEN分子は同一であることができるか、または該XTEN分子は異なる配列組成物または長さであり得る。単一のBPに連結された2個のXTENを有する上述の実施形態の非限定的な例は、構築物AE921−hGH−AE144(配列番号1817)、AE921−hGH−AE288(配列番号1818、AE864−hGH−AE144、AM875−hGH−AE144、およびAM875−hGH−AE288を包含する。1個のXTENに連結された1個のBPを有する上述の実施形態の非限定的な例は、AE144−グルカゴン(配列番号827)、AE288−グルカゴン(配列番号828)、AD576−グルカゴン(配列番号831)、AM923−グルカゴン(配列番号840)、Y72−グルカゴン(配列番号823)、AM875−IL−1raまたはAE864−IL−lraを包含する。本発明は、表3〜8からのBPおよび表2からのXTENによって上述の例のそれぞれの構成要素が置換され、それぞれの構成要素の代替配置と比較して、構築物が受容体媒介クリアランスの低下を有するように構成されている、他の構築物を意図する。
【0246】
いくつかの場合において、該方法は、受容体媒介クリアランスの低下が、RMCが低下していない第2の配置のBPXTENの半減期と比較して、少なくとも2倍の、または少なくとも3倍の、または少なくとも4倍の、または少なくとも5倍の最終半減期の増加を生じることができる、構成されたBPXTENを提供する。本発明は、オンレートの減少またはオフレートの増加のどちらかの結果としての受容体に対する結合親和性の低下が、N末端またはC末端のどちらかの障害、および別のBP、XTEN、またはスペーサ配列のいずれにせよ、組成物の別のポリペプチドへの連結としてその末端を使用することによって成し遂げられ得る、BPリガンドを利用する。BPXTEN融合タンパク質の特定の配置を選定することにより、受容体媒介クリアランスの速度低下が達成されるように受容体に対する結合親和性の程度を低下させることができる。概して、受容体の活性化は、活性化を伴わないポリペプチドのその受容体の結合によってRMCがもたらされないが、受容体の活性化によってRMCがもたらされるように、RMCに連結されている。しかし、特にリガンドがオフレートを増加させたいくつかの場合において、リガンドはそれにもかかわらず、受容体媒介クリアランスを誘発せずに細胞シグナル伝達を開始するのに十分に結合し得て、BPXTENが生物学的に利用可能なままであるという最終結果を伴う。このような場合、構成されたBPXTENは、より高度のRMCをもたらす配置と比較して、半減期の増加を有する。
【0247】
受容体媒介クリアランスを低下させるために結合親和性の低下が所望であるが、生物活性の少なくとも一部の保持が所望である場合、所望の受容体活性化を得るのに十分な結合親和性がそれにもかかわらず維持される必要があることが明らかになる。それゆえ一実施形態において、本発明は、標的受容体に対するBPXTENの結合親和性が、結合親和性が低下していない配置の対応するBPXTENと比較した結合親和性の約0.01%〜40%の、または約0.1%〜30%の、または約1%〜20%の範囲にあるように構成されたBPXTENを提供する。構成されたBXTENの結合親和性はそれゆえ好ましくは、同程度の条件下で決定された、標的受容体に対するBP構成要素の結合親和性が、低下していない配置の対応するBPXTENの結合親和性と比較して、または融合タンパク質に連結されていないBPと比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%低下する。別様に表現すれば、構成されたBPXTENのBP構成要素は、BP構成要素の結合親和性が低下していない配置でのBPXTENの対応するBP構成要素の結合親和性の、わずか約0.01%、または少なくとも約0.1%、または少なくとも約1%、または少なくとも約2%、または少なくとも約3%、または少なくとも約4%、または少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約20%の結合親和性を有し得る。本段落の上で記載した上述の実施形態において、標的受容体に対する構成されたBPXTENの結合親和性は、対応するBP構成要素の結合親和性が低下していない配置を有する、対応する天然BPまたはBPXTENと比較して、「実質的に低下して」いる。したがって、本発明は、所望のインビボ生物応答を得るのに十分な数の受容体を結合および活性化するが、このような応答を得るのに必要なものより多くの受容体の活性化を回避することができるように、BPXTENを構成することによって、RMCの低下を有する組成物およびRMCの低下を有する組成物を産生する方法を提供する。一実施形態において、BPXTENは主題BPがBPXTENのN末端にあるように構成され、投与されたBPXTENのRMCはXTENのC末端に連結された主題BPによって構成されたBPXTENと比較して低下しており、天然BPの生物活性の少なくとも一部が保持される。別の実施形態において、BPXTENは主題BPがBPXTENのC末端にあるように構成され、投与されたBPXTENのRMCは、主題BPがBPXTENのN末端にあるように構成されたBPXTENと比較して低下しており、天然BPの生物活性の少なくとも一部が保持される。別の実施形態において、BPXTENはN→C末端でXTEN−BP−XTENとして構成され、投与されたBPXTENのRMCは1個のXTENによって構成されたBPXTENと比較して低下しており、天然BPの生物活性の少なくとも一部が保持されている。この特性を達成する他の配置が、たとえばBPの第2の分子またはスペーサ配列の付加が本発明によって意図されることが、当業者に明らかになる。本段落の上で記載した上述の実施形態において、BPXTENの半減期は、BP構成要素の結合親和性およびRMCが低下していない構成されたBPXTENと比較して、少なくとも約50%、または少なくとも約75%、または少なくとも約100%、または少なくとも約150%、または少なくとも約200%、または少なくとも約300%増加することができる。本段落の上で記載した上述の実施形態において、半減期の増加によって、XTENに連結されていないBPと比較してまたはBP構成要素が天然BPと同程度の受容体に対する結合親和性を保持するBPXTEN配置と比較して、投薬量の上昇または投薬頻度の低下が可能となる。
【0248】
特異的インビボおよびエクスビボ生物アッセイも、各構成されたBPXTENおよび/またはBPXTENに組み入れられるBP構成要素の生物活性を評価するために使用され得る。たとえば膵臓ベータ細胞からのインスリン分泌および/または転写の増加は、当分野で公知の方法によって測定することができる。組織によるグルコース取り込みも、例えばグルコース・クランプ・アッセイなどの方法によって評価できる。代謝性疾患および障害の処置で投与されたBPXTEN融合タンパク質の活性を評価するのに好適な他のインビボおよびエクスビボパラメータは、空腹時グルコースレベル、ピーク食後グルコースレベル、グルコース恒常性、経口グルコース負荷試験に対する応答、インスリンチャレンジに対する応答、HA1C、カロリー取り込み、飽満、胃排出速度、膵臓分泌、インスリン分泌,末梢組織インスリン感受性、ベータ細胞量(beta cell mass)、ベータ細胞破壊、血中脂質レベルもしくプロフィール、ボディマスインデックス、または体重を包含する。これらのアッセイまたは当分野で公知の他のアッセイの結果に基づいて、BPXTEN配置または組成物を確認することができる、または必要な場合は、調整および再アッセイして標的結合親和性または生物活性を確認することができる。
【0249】
例えば、タンパク質凝集、溶解度、2次および3次構造、融解特性、夾雑物質および水の含有量などを決定する方法を包含する、発現されたタンパク質の物理特性および構造特性を測定するための特異的アッセイおよび方法は、当分野で公知である。このような方法は、分析用遠心分離、EPR、HPLC−イオン交換、HPLC−サイズ排除、HPLC−逆相、光散乱、キャピラリー電気泳動、円偏光二色性、示差走査熱量測定、蛍光、HPLC−イオン交換、HPLC−サイズ排除、IR、NMR、ラマン分光法、屈折率測定および紫外/可視分光法を包含する。追加の方法は、Arnauら、Prot Expr and Purif(2006)48,1−13に開示されている。これらの方法の発明への適用は、当業者の理解の範囲内である。
【0250】
V)本発明の組成物の使用
別の態様において、本発明は、BPに媒介される疾患、障害または状態において有益な効果を達成するための方法を提供する。本発明は、比較的短い最終半減期および/または最小有効用量と最大許容投与量との間の狭い治療ウインドウを有するBPの欠点および/または制限に対処する。
【0251】
一実施形態において,本発明は、被験体に治療または予防有効量のBPXTENを投与するステップを含む、被験体において有益な効果(affect)を達成する方法を提供する。有効量は、疾患または障害の処置を助けるのに有益な効果をもたらすことができる。いくつかの場合において、有益な効果を達成するための方法は、これに限定されるわけではないが、1型糖尿病,2型糖尿病、シンドロームX、インスリン抵抗性,高インスリン血症,アテローム性動脈硬化、糖尿病性ニューロパシー、脂質異常症、肥満、摂食障害、妊娠性糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、膵臓ベータ細胞量の不足、肺高血圧、または網膜神経変性プロセスを包含する、グルコース関連疾患、障害、または状態または代謝性疾患、障害、または状態を有する被験体を処置するために、治療的有効量のBPXTEN融合タンパク質組成物を投与することを包含することができる。本発明のBPXTEN組成物による処置から利益を得ることがあるグルコース関連疾患または代謝性疾患または臨床障害の他の例は、これに限定されるわけではないが、I型糖尿病の「ハネムーン期間」、若年性糖尿病、食欲亢進、不十分な飽満感、代謝性障害、グルカゴノーマ、クローン病、潰瘍性大腸炎、腎不全、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、食物取り込みの低下が所望である障害、術後異化作用変化、冬眠心筋もしくは糖尿病性心筋症,不十分な尿中ナトリウム排泄、過剰な尿中カリウム濃度、毒性血液量過多に関連付けられた症状または障害、多嚢胞性卵巣症候群、腎症、胃腸管障害、たとえば下痢、術後ダンピング症候群、過敏性腸症候群、重症疾患多発ニューロパチー(CIPN)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、脂質異常症、発作、虚血後再灌流傷害、および冠動脈心疾患リスクファクター(CHDRF)症候群、または食物取り込みの低下が所望である障害を包含する。
【0252】
いくつかの場合において、有益な効果を達成する方法は、これに限定されるわけではないが、第VII因子欠損、第X因子欠損、第XII因子欠損、血友病A、血友病B(クリスマス疾患)、血友病C、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、フォン・ウィルブラント病(I型およびII型)、外傷に関連付けられた出血、または外科的出血を包含する、凝固タンパク質欠損または出血障害を有する被験体を処置するために、治療的有効量のBPXTEN融合タンパク質組成物を投与することを包含することができる。
【0253】
他の場合において、有益な効果を達成する方法は、これに限定されるわけではないが、成人および小児の成長ホルモン欠損、ターナー症候群、プラーダー・ヴィリ症候群、慢性腎不全、子宮内発育遅延、特発性低身長、AIDSによるるい痩、肥満、多発性硬化症、加齢、線維筋痛症、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋ジストロフィーまたは筋肉量(たとえば筋肉増強)の低下、低骨密度、または成長ホルモンが利用されるその他の任意の適応症を包含することができる、成長ホルモン関連障害または状態を有する被験体を治療するために、治療的有効量のBPXTEN融合タンパク質組成物を投与することを含むことができる。
【0254】
一実施形態において、方法は、XTENに連結されていないBPを含み、同程度の用量で投与される薬学的組成物の投与によって媒介された効果と比較して、BP構成要素(複数可)によって媒介された少なくとも1つのパラメータ、生理的条件、または臨床結果のより大きな改善を生じる、治療的有効量の、XTEN配列(複数可)に連結されたBPを含むBPXTEN融合タンパク質組成物および少なくとも1つの薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物をそれを必要とする被験体に投与することを含む。1実施形態において、薬学的組成物は治療的有効用量で投与される。別の実施形態において、薬学的組成物は、投薬期間の長さにわたって治療的有効用量レジメン(本明細書で定義するような)を用いて、複数連続用量を使用して投与される。
【0255】
本明細書に記載するように、BPXTENの薬物動態パラメータの増強の結果として、BPは、代謝性疾患、障害もしくは状態の症状もしくは臨床異常を防止、処置、軽減、逆転もしくは緩和する、または処置されている被験体の生存を延ばすために、XTENに連結されていない対応するBPと比較して、用量間のより長い間隔を使用して投与され得る。
【0256】
本発明の方法は、所望のパラメータまたは臨床効果を達成および/または維持するのに十分な期間にわたる治療的有効量のBPXTENの連続用量の投与を包含し得て、このような治療的有効量の連続用量によって、BPXTENの治療的有効用量レジメン;すなわち用量が治療的有効量で投与されて、これに限定されるわけではないが、本明細書に記載するものを包含する、代謝性疾患状態または状態の任意の臨床徴候または症状、側面、測定パラメータまたは特徴に対する持続した有益な効果を生じる、融合タンパク質組成物の連続投与用量のスケジュールが確立される。
【0257】
BPXTENの治療的有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに抗体または抗体部分が個体における所望の応答を引き出す能力などの因子によって変化し得る。治療的有効量は、BPXTENの任意の毒性または有害作用を治療的に有益な効果が上回る量でもある。予防的有効量は、所望の予防結果を達成するために必要な期間に必要とされるBPXTENの量を指す。
【0258】
本発明の方法では、患者の利便性を改善するために、用量間の間隔を増加するために、および持続効果を達成するために必要とされる薬物の量を低下させるために、より長期間作用するBPXTEN組成物が好ましい。一実施形態において、処置方法は、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の用量で被験体に投与される対応する構成要素(複数可)と比較して、組成物の融合タンパク質について確立された治療ウインドウ内で費やされる時間の増大を生じる、治療的有効用量のBPXTENのそれを必要とする被験体への投与を含む。いくつかの場合において、治療ウインドウ内で費やされる時間の増大は、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の用量で被験体に投与される対応するBP構成要素と比較して、少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約6倍、または少なくとも約8倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約40倍である。その方法によりさらに、治療的有効用量レジメンを使用して投与される複数連続用量のBPXTENのそれを必要とする被験体への投与が、融合タンパク質に連結されておらず、そのBPについて確立された用量レジメンを使用して投与される対応するBP(複数可)と比較して、融合タンパク質の血中濃度の連続Cmaxピークおよび/またはCminトラフ間の時間の増大をもたらし得ることが提供される。上述の実施形態において、連続Cmaxピークおよび/またはCminトラフの間に費やされた時間の増大は、融合タンパク質に連結されておらず、そのBPについて確立された用量レジメンを使用して投与される対応するBP構成要素(複数可)と比較して、少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約6倍、または少なくとも約8倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約40倍であることができる。本段落の上で記載した上記の実施形態において、融合タンパク質の投与は、融合タンパク質に連結されておらず、同程度の単位用量または用量レジメンで被験体に投与される対応するBP構成要素(複数可)と比較して、融合タンパク質のより低い単位用量(モル)を使用して、(被験体の疾患、状態または障害を評価するのに有用であるとして本明細書で開示された)パラメータの少なくとも1つの改善を生じることができる。
【0259】
一実施形態において、BPXTENは、同じアッセイを使用して、または測定された臨床パラメータに基づいて決定された、XTENに連結されていないBP構成要素の活性より大きい、臨床パラメータ、生化学パラメータまたは生理学的パラメータの1つの改善を生じる活性を有することができる。別の実施形態において、BPXTENは、同じアッセイを使用して、または測定された臨床パラメータに基づいて決定された、XTENに連結されていないBP構成要素と比較して、集合的に増強効果を生じる異なるBPの1つによってそれぞれ媒介される、2つ以上の臨床または代謝性関連パラメータ(たとえば糖尿病被験体におけるグルコース恒常性および体重管理、または血友病被験体におけるプロトロンビンおよび出血回数の低下、または成長ホルモン欠損被験体における筋肉量および骨密度の増加)の活性を有することができる。別の実施形態において、BPXTENの投与は、同じアッセイを使用して、または測定された臨床パラメータに基づいて決定された、XTENに連結されていない単一のBP構成要素の1つの活性よりも長期間である、臨床パラメータまたは生化学パラメータまたは生理学的パラメータの1つ以上において活性を生じる。
【0260】
一実施形態において、処置方法は、糖尿病またはインスリン抵抗性に関連付けられた1個以上のパラメータの改善を及ぼす治療的有効用量レジメンを使用する、BPXTENの投与を含む。上述の実施形態において、改善は、主要な有効性または臨床エンドポイント、たとえばヘモグロビンA1cの改善によって評価され得る(HbA1c、たとえばReynoldsら、BMJ,333(7568):586−589,2006を参照)。治療有効性を示すHbA1cの改善は、患者における初期ベースライン測定によって変化し得て、より大きい減少はより高い初期ベースラインに相当することが多く、より小さい減少はより低い初期ベースラインに相当することが多い。いくつかの実施形態において、方法は、投薬前レベルと比較して、少なくとも約0.5%、またはあるいは少なくとも約1%、またはあるいは少なくとも約1.5%、またはあるいは少なくとも約2%、またはあるいは少なくとも約2.5%、またはあるいは少なくとも約3%、またはあるいは少なくとも約3.5%、または少なくとも約4%以上のHbA1cの減少を生じることができる。他の実施形態において、処置方法は、130mg/dL未満までの、あるいは125mg/dL未満の、あるいは120mg/dL未満の、あるいは115mg/dL未満の、あるいは110mg/dL未満の、あるいは105mg/dL未満の空腹時血糖(たとえばグルコース)レベルを、または100mg/dL未満の空腹時血糖レベルを生じることができる。他の実施形態において、方法は、投薬前レベルと比較して、約20%超の、さらに好ましくは約30%超の、さらに好ましくは約40%超の、さらに好ましくは約50%超の、さらに好ましくは約60%超の、さらに好ましくは約70%超の、さらに好ましくは約80%超の、最も好ましくは約90%超の空腹時血糖(たとえばグルコース)レベルの低下を生じることができる。他の実施形態において、方法は、約200mg/dL未満の、さらに好ましくは約190mg/dL未満の、さらに好ましくは約180mg/dL未満の、さらに好ましくは約170mg/dL未満の、さらに好ましくは約160mg/dL未満の、さらに好ましくは約150mg/dL未満の、最も好ましくは約140mg/dL未満の120分間経口グルコース負荷試験(OGTT)のグルコースレベルを生じることができる。血友病被験体のプロトロンビン(prothromin)時間を改善すること;たとえばFIXを含むBPXTENを投与することを包含する、パラメータによって評価される処置方法の他の例は、正常被験体と比較して、少なくとも約40%、さらに好ましくは少なくとも約50%、さらに好ましくは少なくとも約60%、さらに好ましくは少なくとも約70%、さらに好ましくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約90%、またはさらに好ましくは少なくとも約95%であるプロトロンビン時間を生じることができる。
【0261】
本発明は、本明細書で提供された方法に従って使用されるBPXTENが、糖尿病、インスリン抵抗性、代謝性障害、出血障害、または成長障害の処置に有用な他の処置方法および薬学的組成物と併せて投与され得ることをさらに意図する。このような組成物は、たとえばDPP−IV抑制因子、インスリン、インスリン類似体、PPARガンマアゴニスト、二重作用PPARアゴニスト、GLP−1アゴニストもしくは類似体、PTP1B抑制因子、SGLT抑制因子、インスリン分泌促進物質、RXRアゴニスト、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3抑制因子、インスリン増感剤、免疫調節物質、ベータ−3アドレナリン作動性受容体アゴニスト、Pan−PPARアゴニスト、11ベータ−HSD1抑制因子、ビグアニド、アルファ−グルコシダーゼ抑制因子、メグリチニド、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素および当分野で公知の他の糖尿病薬、または抗高血圧薬物、カルシウムチャネルブロッカ、または凝固因子および関連生成物を包含し得る。いくつかの場合において、BPXTENの投与により、被験体の疾患、障害または状態に対する同程度の臨床効果または測定パラメータを達成するために、より少ない投薬量の同時投与薬学的組成物の使用が可能になり得る。
【0262】
上述にもかかわらず、特定の実施形態において、本発明の方法によって使用されるBPXTENは、グルコース関連疾患、代謝性疾患もしくは障害、凝固障害、または成長ホルモン欠損もしくは成長障害を有する被験体における追加の処置方法または薬物もしくは他の薬学的組成物の使用に対する必要性を防止または遅延し得る。他の実施形態において、BPXTENは、根底にある疾患、障害または状態を処置するのに必要とされる追加の処置方法または薬物もしくは他の薬学的組成物の量、頻度または継続期間を低下させ得る。
【0263】
別の態様において,本発明は、所望の薬理学的特性または薬学的特性を有するBPXTEN組成物を設計する方法を提供する。BPXTEN融合タンパク質は(融合タンパク質に連結されていないBP構成要素と比較して)、代謝性疾患または障害の処置のための治療有効性の改善、BPと比較した融合タンパク質の薬物動態特徴の増強、薬理学的効果を達成するために必要とされる用量の低減または投薬頻度の低減、薬学的特性の増強、および延長された期間にわたって治療ウインドウ内に残存するBP構成要素の能力の増強を包含する、各種の目的を念頭に置いて設計および調製される。
【0264】
一般に、融合タンパク質および本発明の組成物の設計および産生のステップは、図4〜6に例証されるように:(1)特定の疾患、障害または状態を処置するためのBP(たとえば天然タンパク質,ペプチドホルモン、活性を有するペプチド類似体または誘導体、ペプチドフラグメントなど)の選択;(2)所望のPKおよび物理化学特徴を、得られたBPXTENに与えるXTENの選択(たとえば被験体への組成物の投与は、XTENに連結されていないBPと比較してより長期間にわたって治療ウインドウ内に維持される融合タンパク質を生じる);(3)所望の有効性またはPKパラメータを達成するための、BPXTENの所望のN→C末端配置の確立;(4)構成されたBPXTENをコードする発現ベクターの設計の確立;(5)発現ベクターを有する好適な宿主の形質転換;ならびに(6)得られた融合タンパク質の発現および回収を包含し得る。半減期の増加(16時間を超える)または治療ウインドウ内で費やされる期間の延長が所望であるBPXTENでは、組み入れのために選ばれたXTENは概して、単一のXTENがBPXTENに組み入れられる、少なくとも約500、または約576、または約864、または約875、または約913、または約924アミノ酸残基を有する。別の実施形態において、BPXTENは、上述の長さの第1のXTEN、および約144、または約288、または約576、または約864、または約875、または約913、または約924アミノ酸残基の第2のXTENを含むことができる。
【0265】
半減期の増加が必要とされないが、薬学的特性(たとえば溶解度)の増加が所望である他の場合において、BPXTENは、より短い長さのXTENを有するように設計することができる。上述のいくつかの実施形態において、BPXTENは少なくとも約24、または約36、または約48、または約60、または約72、または約84、または約96アミノ酸残基を有するXTENに連結されたBPを含むことができ、生理的条件下での該融合タンパク質の溶解度は、XTENに連結されていない対応するBPよりも少なくとも3倍大きく、またはあるいはXTENに連結されていないグルカゴンよりも、少なくとも4倍、または5倍、または6倍、または7倍、または8倍、または9倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍またはそれより多い。上述の一実施形態において、BPはグルカゴンである。上述の別の実施形態において、BPXTENは、グルカゴンおよび表12〜15から選択されるポリペプチド配列を含むことができる。グルカゴン含有BPXTEN融合タンパク質に2〜6時間の半減期が所望である(たとえば夜間低血糖の処置において)なお他の場合において、融合タンパク質は、グルカゴン含有BPXTENのXTEN構成要素の、中間長の、たとえば約100アミノ酸、または約144アミノ酸、または約156アミノ酸、または約168アミノ酸、または約180アミノ酸、または約196アミノ酸のXTENを用いて設計することができる。
【0266】
別の態様において、本発明は、天然BPと比較して、製造の容易さを改善して、安定性の増加、水溶解度の増加、および/または調合の容易さを生じるための、BPXTEN組成物を作製する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、非融合状態のBPと比較して、得られたBPXTENの可溶性形態での高濃度が生理的条件下で達成できるように、BPを1個以上のXTENに連結するステップを含む、BPの水溶解度を上昇させる方法を包含する。融合タンパク質に組み入れられたときに、BPの水溶解度の増加を与えるXTENの特性に寄与する因子は、XTEN融合パートナーの高い溶解度および溶解した分子とXTENとの間の低度の自己凝集を包含する。いくつかの実施形態において、方法は、生理的条件下での水溶解度が、非融合BPと比較して、少なくとも約50%の、または少なくとも約60%大きい、または少なくとも約70%大きい、または少なくとも約80%大きい、または少なくとも約90%大きい、または少なくとも約100%大きい、または少なくとも約150%大きい、または少なくとも約200%大きい、または少なくとも約400%大きい、または少なくとも約600%大きい、または少なくとも約800%大きい、または少なくとも約1000%大きい、または少なくとも約2000%大きい、または少なくとも約4000%大きい、または少なくとも約6000%大きいBPXTEN融合タンパク質を生じる。
【0267】
別の実施形態において、本発明は、得られたBPXTENの貯蔵寿命が非融合状態のBPと比較して延長されるように選択された1個以上のXTENとBPとを連結するステップを含む、BPの貯蔵寿命を増強する方法を包含する。本明細書で使用する場合、貯蔵寿命は、溶解状態のまたはその他の貯蔵調合物のBPまたはBPXTENの機能活性が、過度の活性消失を伴わずに安定なままである期間を指す。本明細書で使用する場合、「機能活性」は、当分野で公知であるような薬理学的効果または生物活性、たとえば受容体もしくはリガンドを結合する能力、または酵素活性、またはBPに関連付けられた1つ以上の公知の機能活性を呈することを示す。分解または凝集するBPは概して、溶解状態のままであるBPと比較して、機能活性の低下または生物学的利用能の低下を有する。融合タンパク質に組み入れられたときに、該方法の、BPの貯蔵寿命を延長する能力に寄与する因子は、XTEN融合パートナーの水溶解度の増加、溶解状態での自己凝集の低下、および熱安定性の増加を包含する。特に、XTENの低い凝集傾向によって、より高い薬物濃度のBPを含有する薬学的調製物の調合方法が容易となり、XTENの熱安定性は、BPXTEN融合タンパク質が延長された期間にわたって可溶性および機能活性のままである特性に寄与する。一実施形態において、方法は、同じ貯蔵および取扱い条件を受けた標準と比較してより大きい活性を示す、「引き延ばされた」または「延長された」貯蔵寿命を有するBPXTEN融合タンパク質を生じる。標準は、非融合全長BPであり得る。一実施形態において、方法は、XTENがその非構造化高次構造を保持する能力およびBPXTENが対応する非融合BPよりも長い時間にわたって調合物において可溶性のままである能力を増強する、1つ以上の薬学的に許容され得る賦形剤を有する単離BPXTENを調合するステップを包含する。一実施形態において、方法は、BPXTEN融合タンパク質を生成するためにXTENにBPを連結することを含み、所与の時点で比較したときにおよび標準と同じ貯蔵および取扱い条件を受けたときに、約100%を超える機能活性を、または標準の機能活性の約105%、110%、120%、130%、150%または200%を超えて保持する溶液を生じて、それによりその貯蔵寿命を増強する。
【0268】
貯蔵寿命は、貯蔵後に残存する機能活性に関しても評価され得て、貯蔵が開始したときに機能活性に正規化される。延長または延長された機能活性によって提示されるような、引き延ばされたまたは延長された貯蔵寿命を有する本発明のBPXTEN融合タンパク質は、同じ条件を同じ期間にわたって受けたときに、XTENに連結されていない同等のBPの機能活性の約50%以上の機能活性を、または約60%、70%、80%、または90%以上の機能活性を保持し得る。たとえばXTEN配列に融合されたエキセンジン−4またはグルカゴンを含む本発明のBPXTEN融合タンパク質は、各種の温度条件下で最大5週間以上の期間にわたって、溶解状態でその元の活性の約80%以上を保持し得る。いくつかの実施形態において、BPXTENは、80℃にて10分間加熱したときに、溶解状態でその元の活性の少なくとも約50%、または約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%の、および最も好ましくは少なくとも約90%以上を保持する。他の実施形態において、BPXTENは、37℃にて約7日間にわたって加熱または維持したときに、溶解状態でその元の活性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、またはあるいは少なくとも約90%以上を保持する。別の実施形態において、BPXTEN融合タンパク質は、約1時間〜約18時間の期間にわたって約30℃〜約70℃の温度への曝露後に、その機能活性の少なくとも約80%以上を保持する。本段落の上で記載した上述の実施形態において、BPXTENの保持された活性は、融合タンパク質に連結されていない対応するBPの活性よりも、所与の時点において少なくとも約2倍の、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約6倍大きい。
【0269】
VI)本発明のDNA配列
本発明は、相同変異体を含むBPXTENキメラポリペプチドをコードするポリ核酸分子に相補的なBPXTENキメラポリペプチドおよび配列をコードする、単離ポリ核酸を提供する。別の態様において、本発明は、相同変異体を含むBPXTENキメラポリペプチドをコードするポリ核酸分子に相補的なBPXTENキメラポリペプチドおよび配列をコードするポリ核酸を産生する方法を含む。一般に、および図4〜6に例証されるように、BPXTEN融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を産生して、得られた遺伝子産物を発現する方法は、BPおよびXTENをコードするヌクレオチドを構築することと、フレーム内の構成要素を連結することと、コード遺伝子を適切な発現ベクターに組み入れることと、適切な宿主細胞を発現ベクターによって形質転換することと、および形質転換された宿主細胞で融合タンパク質を発現させることと、それにより生物活性BPXTENポリペプチドを産生することとを含む。分子生物学における標準組換え技法を使用して、本発明のポリヌクレオチドおよび発現ベクターを作製することができる。
【0270】
本発明により、BPXTENをコードする核酸配が使用されて、適切な宿主細胞においてBPXTEN融合タンパク質の発現を誘導する組換えDNA分子が生成され得る。数種のクローニング戦略が本発明を行うために好適であることが想定され、その多くを使用して本発明のBPXTEN組成物の融合タンパク質をコードする遺伝子、またはその相補体を含む構築物を生成することができる。一実施形態において、クローニング戦略が使用されて、少なくとも第1のBPおよび少なくとも第1のXTENポリペプチド、またはその相補体を含む単量体BPXTENをコードする遺伝子が生成される。別の実施形態において、クローニング戦略が使用されて、BPXTEN組成物を調合するために使用される融合タンパク質の発現のために宿主細胞を形質転換するのに使用される、1個のBPの第1および第2の分子および少なくとも第1のXTEN(またはその相補体)を含む単量体BPXTENをコードする遺伝子が生成される。本段落の上で記載した上述の実施形態において、遺伝子は、切断配列(複数可)もコードし得るスペーサ配列をコードするヌクレオチドをさらに含むことができる。
【0271】
所望のXTEN配列の設計において、本発明の組成物のXTENの非反復性の性質が、XTENコード配列の生成における「ビルディングブロック」分子手法の使用にもかかわらず達成可能であることが見出された。これは、次に多量体化されてXTEN配列をコードする遺伝子を生成する配列モチーフをコードする、ポリヌクレオチドのライブラリの使用によって達成された(図4および5を参照)。それゆえ、発現されたXTENがわずか4つの異なる配列モチーフの複数単位から成り得るのは、モチーフ自体が非反復性アミノ酸配列から成り、XTEN配列全体が非反復性にされるためである。したがって,一実施形態において、XTENコードポリヌクレオチドは、インフレームで操作可能に連結され、そこで得られた発現XTENアミノ酸配列が非反復性である、非反復性配列をコードする複数のポリヌクレオチド、またはモチーフを含む。
【0272】
1つの手法において、BPXTEN融合タンパク質に対応するDNA配列を含有する構築物が最初に調製される。組成物のBPをコードするDNAは、BPmRNAを所有して、検出可能なレベルでそれを発現すると考えられる組織または単離細胞から、標準方法を使用して調製されたcDNAライブラリから得られ得る。必要な場合は、コード配列をSambrookら、上掲に記載されるように、従来のプライマ延長手順を使用して得て、cDNAに逆転写されていない場合があるmRNAの前駆体およびプロセシング中間体を検出することができる。したがってDNAは、このような源から調製したcDNAライブラリから都合よく得ることができる。BPコード遺伝子(複数可)は、ゲノムライブラリからも得られ得るか、または当分野で公知の標準合成手順(たとえば自動化核酸合成)によって、公に利用可能なデータベース、特許、または参考文献から得たDNA配列を使用しても生成され得る。このような手順は当分野で周知であり、科学文献および特許文献に十分に記載されている。配列はたとえば、BAPのアミノ酸配列、またはBAPのフラグメントもしくは変異体のアミノ酸配列を含有するCAS RegistryまたはGenBankデータベースへのエントリに一致するncbi.nlm.nih.govのワールド・ワイド・ウェブで利用できる、National Center for Biotechnology Information(NCBI)ウェブページを通じて利用できる、Chemical Abstracts Services(CAS)登録番号(American Chemical Societyにより公開)および/またはGenBank受託番号(たとえばLocus ID、NP_XXXXX、およびXP_XXXXX)モデルタンパク質識別子から得ることができる。本明細書で提供するこのような配列識別子では、これらのCASおよびGenBankおよびGenSeq受託番号ならびに引用ジャーナル刊行物(たとえばPubMed ID番号(PMID))のそれぞれに関連付けられた要約ページは、特に本明細書に記載するアミノ酸配列に関して、参照によりその全体がそれぞれ組み入れられている。一実施形態において、BPコード遺伝子は、表3〜8の任意の1つからのタンパク質、またはそのフラグメントもしくは変異体をコードする。
【0273】
主題BPXTENタンパク質のBP部分をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドは、単一BPを含む発現融合タンパク質の場合、次に、構築物にクローニングすることができ、該構築物は、生物系での高レベルタンパク質発現に適切な転写配列および翻訳配列の制御下でのプラスミドまたは他のベクターであることができる。後のステップにおいて、XTENをコードする第2の遺伝子またはポリヌクレオチドは、BPをコードする遺伝子(複数可)に隣接し、その遺伝子とインフレームの構築物に、該遺伝子またはポリヌクレオチドをクローニングすることによって、BP遺伝子のN末端および/またはC末端をコードするヌクレオチドに遺伝子的に融合される。この第2のステップは、ライゲーションまたは多量体化ステップを通じて出現することができる。本段落の上で記載した上述の実施形態において、生成される遺伝子構築物があるいは、それぞれの融合タンパク質をコードするそれぞれの遺伝子の相補体であることができることが理解される。
【0274】
XTENをコードする遺伝子は、完全合成、または酵素プロセスと組み合わせた合成、たとえば制限酵素媒介クローニング、PCRおよび重複延長のどちらかによって、1つ以上のステップで作製することができる。XTENポリペプチドは、XTEN−コード遺伝子が低い反復性を有するが、コードされたアミノ酸配列がある程度の反復性を有するように構築することができる。非反復性配列を有する、XTENをコードする遺伝子は、遺伝子合成の標準技法を使用して、オリゴヌクレオチドから構築することができる。遺伝子設計は、コドン使用(usage)およびアミノ酸組成を最適化するアルゴリズムを使用して行うことができる。本発明の1つの方法において、図4および5に例証されるように、比較的短いXTENコードポリヌクレオチド構築物のライブラリが生成され、次に構築される。これは、各ライブラリメンバが同じアミノ酸配列を有するが、多くの異なるコード配列が可能であるように、純粋なコドンライブラリであることができる。このようなライブラリは、部分的に無作為化されたオリゴヌクレオチドから構築され、配列モチーフを含むXTENセグメントの大型ライブラリを生成させるために使用することができる。無作為化スキームは、各位置でのアミノ酸の選定ならびにコドン使用を制御するために最適化できる。
【0275】
ポリヌクレオチドライブラリ
別の態様において、本発明は、所望の長さおよび配列のXTENをコードする遺伝子を構築するために使用できるXTEN配列をコードするポリヌクレオチドのライブラリを提供する。
【0276】
ある実施形態において、XTENコードライブラリ構築物は、固定長のポリペプチドセグメントをコードするポリヌクレオチドを含む。初期ステップとして、9〜14アミノ酸残基のモチーフをコードするオリゴヌクレオチドのライブラリを構築することができる。好ましい実施形態において、12アミノ酸のモチーフをコードするオリゴヌクレオチドのライブラリが構築される。
【0277】
XTENコード配列セグメントは、より長いコード配列に2量体化または多量体化することができる。2量体化または多量体化は、ライゲーション、重複延長、PCR構築または当分野で公知の同様のクローニング技法によって行うことができる。得られたXTENコード配列が配列の組織化および所望の長さに達して、XTENコード遺伝子を提供するまで、このプロセスを複数回反復することができる。認められるように、12アミノ酸をコードするポリヌクレオチドのライブラリは、36アミノ酸をコードするポリヌクレオチドのライブラリに2量体化することができる。今度は、36アミノ酸をコードするポリヌクレオチドのライブラリは、XTEN配列をコードする連続したより長いポリヌクレオチドを含有するライブラリに、連続的に2量体化することができる。いくつかの実施形態において、特異的配列XTENファミリ;たとえば表1のAD、AE、AF、AG、AM、またはAQ配列に限定されるアミノ酸をコードするポリヌクレオチドのライブラリを構築することができる。他の実施形態において,ライブラリは、表1からの2つ以上のモチーフファミリ配列をコードする配列を含むことができる。36マーをコードするライブラリの代表的な非限定的なポリヌクレオチド配列の名称および配列を表12〜15に表示し、これらを生成するために使用される方法を実施例でさらに十分に記載する。ライブラリを今度は、連続2量体化またはライゲーションに使用して、たとえば72、144、288、576、864、912、923、1296アミノ酸の、または全長約3000までのアミノ酸の、ならびに中間長の、XTEN配列をコードするポリヌクレオチド配列ライブラリを達成することができる。いくつかの場合において、ポリヌクレオチドライブラリ配列は、以下でさらに十分に記載する、「シーケンシングアイランド」として使用される追加の塩基も包含し得る。
【0278】
図5は、本発明の実施形態における、XTENポリヌクレオチド構築物およびBPXTENポリヌクレオチド構築物の構築における代表的な非限定的なステップの概略フローチャートである。個々のオリゴヌクレオチド501は配列モチーフ502、たとえば12アミノ酸モチーフ(「12マー」)にアニーリングされ、12マーは続いてBbsIおよびKpnI制限部位503を含有するオリゴとライゲーションすることができる。所望の長さのXTEN遺伝子504が達成されるまで、ライブラリからの追加の配列モチーフがアニーリングされ12マーとなる。XTEN遺伝子は、スタッファベクターにクローニングされる。ベクターは場合により、Flag配列506と、それに続くBsaI、BbsI、およびKpnI部位507ならびに、この場合は、単一のBP遺伝子(この例ではエキセンジン−4をコードする)508が隣接するスタッファ配列とをコードして、単一のBP500を含むBPXTENをコードする遺伝子を生じることができる。XTENをコードするポリヌクレオチドおよび前駆体配列のXTEN名および配列番号の非網羅的なリストを表11に提供する。
【0279】
【表11-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0280】
【表11-2】
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【0281】
【表11-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0282】
【表11-4】
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【0283】
【表11-5】
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【0284】
【表11-6】
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【0285】
【表11-7】
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【0286】
【表11-8】
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【0287】
【表11-9】
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【0288】
【表11-10】
[この文献は図面を表示できません]
XTEN−コード遺伝子のライブラリを、当分野で公知の1個以上の発現ベクターにクローニングされ得る。十分に発現するライブラリメンバの同定を容易にするために、リポータータンパク質への融合物としてライブラリを構築することができる。好適なリポーター遺伝子の非制限的な例は、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびベータ−ガラクトシダーゼである。スクリーニングすることによって、好ましい宿主生物にて高濃度で発現できる短いXTEN配列を同定することができる。続いて、ランダムXTENダイマーのライブラリを生成させて、高レベル発現のスクリーニングを反復することができる。続いて、得られた構築物をいくつかの特性、たとえば発現レベル、プロテアーゼ安定性、または抗血清への結合についてスクリーニングすることができる。
【0289】
本発明の一態様は、融合タンパク質の構成要素をコードするポリヌクレオチド配列を提供することであり、該配列の生成はコドン最適化を受けている。特に興味深いのは、ポリペプチド組成物の発現を改善する、および産生宿主におけるコード遺伝子の遺伝的安定性を改善する目標を有するコドン最適化である。たとえばコドン最適化は、グリシンが豊富である、または非常に反復性のアミノ酸配列を有するXTEN配列にとって特に重要である。コドン最適化はコンピュータプログラム(Gustafsson,Cら(2004)Trends Biotechnol,22:346−53)を使用して行うことができ、コンピュータプログラムのいくつかはリボソーム停止を最小化する(Coda Genomics Inc.)。一実施形態において、ライブラリのすべてのメンバが同じアミノ酸配列をコードするが、コドン使用が多様であるコドンライブラリを構築することによって、コドン最適化を行うことができる。このようなライブラリは、XTEN含有生成物の大規模産生に特に好適である、高発現で遺伝的に安定なメンバについてスクリーニングすることができる。XTEN配列を設計するときに、いくつかの特性を考慮することができる。コードDNA配列の反復性を最小化することができる。さらに産生宿主によってまれにしか使用されないコドン(たとえば大腸菌におけるAGGおよびAGAのアルギニンコドンならびに1個のロイシンコドン)の使用を回避または最小化することができる。大腸菌の場合、2個のグリシンコドン、GGAおよびGGGは、高発現されたタンパク質ではまれにしか使用されない。それゆえXTEN配列をコードする遺伝子のコドン最適化は、非常に所望であり得る。高レベルのグリシンを有するDNA配列は、不安定性または低発現レベルをもたらすことができる高いGC含有量を有する傾向がある。それゆえ可能な場合、XTENコード配列のGC含有量がXTENを製造するために使用される産生生物に好適であるように、コドンを選定することが好ましい。
【0290】
場合により、全長XTEN−コード遺伝子は、1個以上のシーケンシングアイランドを含み得る。本文脈において、シーケンシングアイランドは、XTENライブラリ構築物配列とは別個であり、全長XTEN−コード遺伝子に存在しない、または存在することが予想されない制限部位を包含する、短ストレッチ配列である。一実施形態において、シーケンシングアイランドは、配列5’−AGGTGCAAGCGCAAGCGGCGCGCCAAGCACGGGAGGT−3’(配列番号261)である。別の実施形態において、シーケンシングアイランドは、配列5’−AGGTCCAGAACCAACGGGGCCGGCCCCAAGCGGAGGT−3’(配列番号262)である。
【0291】
代替として、ライブラリのすべてのメンバがアミノ酸配列をコードするが、コドン使用が多様であるコドンライブラリを構築することができる。このようなライブラリは、XTEN含有生成物の大規模産生に特に好適である、高発現で遺伝的に安定なメンバについてスクリーニングすることができる。
【0292】
場合により、望ましくない配列を含有する単離体を消失させるためのライブラリのクローンを配列決定することができる。短いXTEN配列の初期ライブラリによって、アミノ酸配列のいくつかの変形が可能となる。たとえば、いくつかの親水性アミノ酸が特定の位置に出現できるように、いくつかのコドンを無作為化することができる。
【0293】
繰返し多量体化のプロセスの間に、得られたライブラリメンバを高レベル発現のスクリーンに加えて、溶解度またはプロテアーゼ抵抗性などの他の特徴についてスクリーニングすることができる。
【0294】
所望の長さおよび特性のXTENをコードする遺伝子がいったん選択されると、その遺伝子は、BPをコードする遺伝子と隣接して、その遺伝子とインフレームの、またはスペーサ配列に隣接した構築物に該遺伝子をクローニングすることによって、BP遺伝子(複数可)のN末端および/またはC末端をコードするヌクレオチドに遺伝子的に融合される。本発明は、コードされるBPXTENに応じて、上述の各種の順列を提供する。たとえば、上に描いたように、式IIIまたはIVによって実現されるような、2個のBPを含むBPXTEN融合タンパク質をコードする遺伝子では、該遺伝子は2個のBPをコードするポリヌクレオチド、少なくとも第1のXTEN、および場合により第2のXTENおよび/またはスペーサ配列を有する。BP遺伝子をXTEN構築物にクローニングするステップは、ライゲーションまたは多量体化ステップを通じて出現できる。図2に示すように、BPXTEN融合タンパク質をコードする構築物は、構成要素のXTEN202、BP203、およびスペーサ配列204の異なる配置で設計することができる。一実施形態において、図2Aに例証されるように、構築物は、以下の順序(5’→3’)BP203およびXTEN202で、または逆順で、構成要素の単量体ポリペプチドに相補的であるポリヌクレオチド配列、または該単量体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、図2Bに例証されるように、構築物は、以下の順序(5’→3’)BP203、スペーサ配列204、およびXTEN202で、または逆順で、構成要素の単量体ポリペプチドに相補的であるポリヌクレオチド配列、または該単量体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、図2Cに例証されるように、構築物201は、以下の順序(5’→3’):BP203の2個の分子およびXTEN202で、または逆順で、構成要素に相補的であるポリヌクレオチド配列、または構成要素をコードするポリヌクレオチド配列を含む単量体BPXTENをコードする。別の実施形態において、図2Dに例証されるように、構築物は、以下の順序(5’→3’):2個のBP203の分子、スペーサ配列204、およびXTEN202、または逆順で、構成要素の単量体ポリペプチドに相補的であるポリヌクレオチド配列、または該単量体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、図2Eに例証されるように、構築物は、以下の順序(5’→3’):BP203、スペーサ配列204、BP203の第2の分子、およびXTEN202、または逆順で、構成要素の単量体ポリペプチドに相補的であるポリヌクレオチド配列、または該単量体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、図2Fに例証されるように、構築物は、以下の順序(5’→3’):BP203、XTEN202、BP203、および第2のXTEN202、または逆順で、構成要素の単量体ポリペプチドに相補的であるポリヌクレオチド配列、または該単量体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。スペーサポリヌクレオチドは、切断配列をコードする配列を場合により包含することができる。当業者に明らかになるように、上述の他の順列も可能である。
【0295】
本発明は、(a)表11からのポリヌクレオチド配列、または(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的である配列に対する高いパーセンテージの配列同一性を有する、XTENコードポリヌクレオチド変異体を含む。高いパーセンテージの配列同一性を有するポリヌクレオチドは、上述の(a)または(b)に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%の、あるいは少なくとも約82%の、あるいは少なくとも約83%の、あるいは少なくとも約84%の、あるいは少なくとも約85%の、あるいは少なくとも約86%の、あるいは少なくとも約87%の、あるいは少なくとも約88%の、あるいは少なくとも約89%の、あるいは少なくとも約90%の、あるいは少なくとも約91%の、あるいは少なくとも約92%の、あるいは少なくとも約93%の、あるいは少なくとも約94%の、あるいは少なくとも約95%の、あるいは少なくとも約96%の、あるいは少なくとも約97%の、あるいは少なくとも約98%の、およびあるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有する、または厳密性条件下で標的ポリヌクレオチドもしくはその相補体とハイブリダイズできる、ポリヌクレオチドである。
【0296】
ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の相同性、配列類似性または配列同一性も、公知のソフトウェアまたはコンピュータプログラム、たとえばBestFitまたはGap対比較プログラム(GCG Wisconsin Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,
Wis.53711)を使用することによって都合よく決定され得る。BestFitは、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics.1981.2:482−489)を使用して、2個の配列間の同一性または類似性が最良のセグメントを発見する。Gapは、NeedlemanおよびWunschの方法(Journal of Molecular Biology.1970.48:443−453)を使用して、1個の配列すべての、別の類似配列すべてとのグローバルアラインメントを行う。配列相同性、類似性または同一性の程度を決定するために、BestFitなどの配列アラインメントプログラムを使用するとき、デフォルト設定が使用され得るか、または適切なスコアリングマトリクスが選択されて同一性、類似性または相同性スコアが最適化され得る。
【0297】
「相補的」である核酸配列は、標準Watson−Crick相補性規則に従って塩基対合可能である核酸配列である。本明細書で使用する場合、「相補的配列」という用語は、上記の同じヌクレオチド比較によって評価され得るように、または本明細書に記載する条件のような厳密性条件下でBPXTEN配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズできるとして定義されるような、実質的に相補的である核酸配列を意味する。
【0298】
BPXTENキメラ組成物をコードする得られたポリヌクレオチドは次に、発現ベクターに個々にクローニングすることができる。核酸配列は、多種多様の手順によってベクターに挿入され得る。一般に、DNAは、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(複数可)に当分野で公知の技法を使用して挿入される。ベクター構成要素は概して、これに限定されるわけではないが、1つ以上のシグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサ要素、プロモータ、および転写終結配列を包含する。これらの構成要素の1つ以上を含有する好適なベクターの構築は、当業者に公知である標準ライゲーション技法を用いる。このような技法は当分野で周知であり、科学文献および特許文献に十分に記載されている。
【0299】
各種のベクターが公に利用可能である。ベクターはたとえば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、またはファージの形態で存在する。発現ベクターおよびクローニングベクターはどちらも、ベクターが1つ以上の選択された宿主細胞において複製できるようにする核酸配列を含有する。多種多様の細菌、酵母、およびウイルスのこのようなベクター配列は、周知である。使用できる有用な発現ベクターは、たとえば染色体、非染色体および合成DNA配列のセグメントを包含する。好適なベクターは、これに限定されるわけではないが、SV40およびpcDNAの誘導体ならびに公知の細菌プラスミド、たとえばcol EI、pCR1、pBR322、pMal−C2、pET、pGEX(Smithら、Gene 57:31−40(1988)に記載されたような)、pMB9およびその誘導体、プラスミド、たとえばRP4、ファージDNA、たとえばファージIの多数の誘導体、たとえばNM989、ならびに他のファージDNA、たとえばM13および線維状1本鎖ファージDNA;酵母プラスミド、たとえば2ミクロンプラスミドまたは2mプラスミドの誘導体、ならびにセントメリック(centomeric)シャトルベクターおよび組込み酵母シャトルベクター;真核細胞で有用なベクター、たとえば昆虫細胞または哺乳動物細胞で有用なベクター;プラスミドおよびファージDNAの組み合わせから誘導されたベクター、たとえばファージDNAまたは発現制御配列を用いるように改変されているプラスミド;などを包含する。必要条件は、ベクターが好ましい宿主細胞において複製可能および生存可能であることである。低または高コピー数ベクターは所望通りに使用され得る。
【0300】
原核生物宿主による発現ベクターでの使用に好適なプロモータは、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモータ系[Changら、Nature,275:615(1978);Goeddelら、Nature,281:544(1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモータ系[Goeddel,Nucleic Acids Res.,8:4057(1980);EP36,776]、およびハイブリッドプロモータ、たとえばtacプロモータ[deBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:21−25(1983)]を包含する。細菌系で使用するためのプロモータは、BPXTENポリペプチドをコードするDNAに操作可能に連結されたシャイン・ダルガノ(S.D.)配列も含有することができる。
【0301】
たとえばバキュロウイルス発現系において、非融合移入ベクター、たとえばこれに限定されるわけではないが、pVL941(BamHIクローニング部位、Summersら、Virology 84:390−402(1978)から利用可能)、pVL1393(BamHI、Smal、Xbal、EcoRI、IVotl、Xmalll、BgIIIおよびPstlクローニング部位;Invitrogen)、pVL1392(BgIII、Pstl、NotI、XmaIII、EcoRI、Xball、SmalおよびBamHIクローニング部位;Summersら、Virology 84:390−402(1978)およびInvitrogen)およびpBlueBacIII(BamHI、BgIII、Pstl、NcolおよびHindiIIクローニング部位、青色/白色組換えスクリーニングによる、Invitrogen)、および融合移入ベクター、たとえばこれに限定されるわけではないが、pAc700(BamHI認識部位が開始コドンではじまる、BamHIおよびKpnIクローニング部位;Summersら、Virology 84:390−402(1978))、pAc701およびpAc70−2(pAc700と同じ、異なる読み取り枠を有する)、pAc360[ポリヘドリン開始コドンの36塩基対下流の、BamHIクローニング部位;Invitrogen(1995))およびpBlueBacHisA、B、C(BamHI、BgIII、Pstl、Nco1およびHindIIIクローニング部位を有する3つの異なる読み取り枠、ProBond精製およびプラークの青色/白色組換えスクリーニングのためのN末端ペプチド;Invitrogen(220)のどちらも使用できる。
【0302】
哺乳動物発現ベクターは、複製起点、好適なプロモータおよびエンハンサ、ならびに任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプタ部位、転写終結配列、ならびに5’フランキング非転写配列も含むことができる。SV40スプライス、およびポリアデニル化部位から誘導されたDNA配列は、必要とされる非転写遺伝要素を提供するために使用され得る。本発明で使用のために意図される哺乳動物発現ベクターは、誘導性プロモータを有するベクター、たとえばジヒドロ葉酸還元酵素プロモータ、DHFR発現カセットを有する任意の発現ベクターまたはDHFR/メトトレキサート同時増幅ベクター、たとえばpED(Pstl、Sail、Sbal、SmalおよびEcoRIクローニング部位、クローン化遺伝子およびDHFRの両方を発現するベクターを有する;Randal J.Kaufman,1991,Randal J.Kaufman,Current Protocols in Molecular Biology,16,12(1991))を包含する。あるいはグルタミンシンテターゼ/メチオニンスルホキシミン同時増幅ベクター、たとえばpEE14(ベクターがグルタミンシンテターゼおよびクローン化遺伝子を発現する、Hindlll、Xball、Smal、Sbal、EcoRIおよびSellクローニング部位;Celltech)。エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)または核抗原(EBNA)の制御下でエピソーム発現を誘導するベクター、たとえばpREP4(BamHI r SfH、Xhol、NotI、Nhel、Hindi II、NheI、PvuIIおよびKpn1クローニング部位、構成的RSV−LTRプロモータ、ハイグロマイシン選択可能マーカー;Invitrogen)、pCEP4(BamHI、SfH、Xhol、NotI、Nhe
l、Hindlll、Nhel、PvuIIおよびKpn1クローニング部位、構成的hCMV最初期遺伝子プロモータ、ハイグロマイシン選択可能マーカー;Invitrogen)、pMEP4(Kpnl、Pvul、Nhel、Hindlll、NotI、Xhol、Sfil、BamHIクローニング部位、誘導性メタロチオネイン(methallothionein)Ha遺伝子プロモータ、ハイグロマイシン選択可能マーカー、Invitrogen)、pREP8(BamHI、Xhol、NotI、Hindlll、NhelおよびKpnlクローニング部位、RSV−LTRプロモータ、ヒスチジノール選択可能マーカー;Invitrogen)、pREP9(Kpnl、Nhel、Hindlll、NotI、Xho1、Sfi1、BamHIクローニング部位、RSV−LTRプロモータ、G418選択可能マーカー;Invitrogen)、およびpEBVHis(RSV−LTRプロモータ、ハイグロマイシン選択可能マーカー、ProBond樹脂によって精製可能であり、エンテロキナーゼによって切断されたN末端ペプチド;Invitrogen)が使用できる。
【0303】
本発明で使用するための選択可能哺乳動物発現ベクターは、これに限定されるわけではないが、pRc/CMV(Hind 111、BstXI、NotI、SbalおよびApalクローニング部位、G418選択、Invitrogen)、pRc/RSV(Hind II、Spel、BstXI、NotI、Xbalクローニング部位、G418選択、Invitrogen)などを含む。本発明で使用できるワクシニアウイルス哺乳動物発現ベクター(たとえばRandall J.Kaufman,Current Protocols in Molecular Biology 16.12(Frederick M.Ausubelら、編、Wiley 1991を参照)は、これに限定されるわけではないが、pSCl1(Smalクローニング部位、TK−およびベータ−gal選択)、pMJ601(Sal 1、Sma 1、A flI、Narl、BspMlI、BamHI、Apal、Nhel、SacII、Kpn1およびHindlllクローニング部位;TK−および−gal選択)、pTKgptF1S(EcoRI、Pstl、SaIII、Accl、HindII、Sbal、BamHIおよびHpaクローニング部位、TKまたはXPRT選択)などを包含する。
【0304】
本発明でまた使用できる酵母発現系は、これに限定されるわけではないが、非融合pYES2ベクター(XJbal、Sphl、Shol、NotI、GstXI、EcoRI、BstXI、BamHI、Sad、Kpn1およびHindlllクローニング部位、Invitrogen)、融合pYESHisA、B、C(Xball、Sphl、Shol、NotI、BstXI、EcoRI、BamHI、Sad、KpnlおよびHindiIIクローニング部位、ProBond樹脂によって精製され、エンテロキナーゼによって切断されたN末端ペプチド;Invitrogen)、pRSベクターなどを包含する。
【0305】
さらにキメラBPXTEN融合タンパク質コードポリヌクレオチド分子を含有する発現ベクターは、薬物選択マーカーを包含し得る。このようなマーカーは、クローニングならびにキメラDNA分子を含有するベクターの選択または同定を補助する。たとえばネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)抑制因子、グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT)、ゼオシン、およびヒスチジノールに抵抗性を与える遺伝子は、有用な選択可能マーカーである。あるいは酵素、たとえば単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が用いられ得る。免疫マーカーも用いることができる。いずれの公知の選択可能マーカーも、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現可能である限り用いられ得る。選択可能マーカーのさらなる例は当業者に周知であり、リポーター、たとえば増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−gal)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を包含する。
【0306】
一実施形態において、BPXTEN融合タンパク質組成物をコードするポリヌクレオチドは、発現宿主系に適切なN末端シグナル配列のC末端側に融合することができる。シグナル配列は、トランスロケーションおよび分泌プロセスの間に通例タンパク質分解によりタンパク質から除去されて、限定した(defined)N末端が生じる。細菌系、酵母系、昆虫系および哺乳動物系を包含する大半の発現系で、多岐にわたるシグナル配列が記載されている。各発現系の好ましい例の非限定的なリストは、本明細書に従う。好ましいシグナル配列は、大腸菌発現のためのOmpA、PhoA、およびDsbAである。酵母発現に好ましいシグナルペプチドは、ppL−アルファ、DEX4、インベルターゼシグナルペプチド、酸性ホスファターゼシグナルペプチド、CPY、またはINU1である。昆虫細胞発現に好ましいシグナル配列は、タバコスズメガ脂肪動員ホルモン前駆体、CP1、CP2、CP3、CP4、TPA、PAP、またはgp67である。哺乳動物発現に好ましいシグナル配列は、IL2L、SV40、IgGカッパおよびIgGラムダである。
【0307】
別の実施形態において、十分に発現された非依存性タンパク質ドメインを潜在的に含むリーダー配列は、プロテアーゼ切断部位によって離された、BPXTEN配列のN末端に融合させることができる。設計されたタンパク質分解部位での切断を抑制しないいずれのリーダーペプチド配列も使用できるが、好ましい実施形態の配列は、組成物全体の発現および折畳みが著しく悪影響を及ぼされず、好ましくは発現、溶解度、および/または折畳み効率が著しく改善されるように、安定な十分に発現された配列を含む。多岐にわたる好適なリーダー配列が文献に記載されている。好適な配列の非限定的なリストは、マルトース結合タンパク質、セルロース結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、6xHisタグ(配列番号263)、FLAGタグ、ヘマグルチニン(hemaglutinin)タグ、および緑色蛍光タンパク質を包含する。リーダー配列は、文献および本明細書の上で十分に記載された方法による、とりわけATG開始コドンの後の第2コドン位置におけるコドン最適化によって、さらに改善することもできる。
【0308】
特定の部位にてタンパク質を切断する各種のインビトロ酵素方法が公知である。このような方法は、エンテロキナーゼ(DDDK(配列番号264))、第Xa因子(IDGR(配列番号265))、トロンビン(LVPRGS(配列番号266))、PreScission(商標)(LEVLFQGP(配列番号267))、TEVプロテアーゼ(EQLYFQG(配列番号268))、3Cプロテアーゼ(ETLFQGP(配列番号269))、ソルターゼA(LPETG)、グランザイムB(D/X、N/X、M/NまたはS/X)、インテイン、SUMO、DAPase(TAGZyme(商標))、Aeromonasアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼM、ならびにカルボキシペプチダーゼAおよびBの使用を包含する。追加の方法は、Arnauら、Protein Expression and Purification 48:1−13(2006)に開示されている。
【0309】
他の実施形態において、XTEN特徴を有する少なくとも約20〜約60アミノ酸をコードする最適化ポリヌクレオチド配列は、XTEN配列のN末端で包含されて、翻訳の開始を促進し、ヘルパードメインの存在なしでタンパク質のN末端でのXTEN融合物の発現を可能にできる。上述の利点において、配列は続いての切断を必要とせず、そのためにXTEN含有組成物を製造するステップの数が低減される。実施例でさらに詳細に記載されるように、最適化N末端配列は、非構造化タンパク質の属性を有するが、翻訳の開始および増強された発現を促進するその能力のために選択されたアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基を包含し得る。上述の一実施形態において、最適化ポリヌクレオチドは、AE912(配列番号217)に対して少なくとも約90%の配列同一性を有するXTEN配列をコードする。上述の別の実施形態において、最適化ポリヌクレオチドは、AM923(配列番号218)に対して少なくとも約90%の配列同一性を有するXTEN配列をコードする。
【0310】
別の実施形態において、リーダー配列構築物のプロテアーゼ部位は、該部位がインビボプロテアーゼによって認識されるように選定される。本実施形態において、タンパク質は、適切なプロテアーゼとの接触を回避することによってリーダーを保持しながら、発現系から精製される。全長構築物は次に、患者に注射される。注射の際に、構築物は切断部位に特異的なプロテアーゼと接触して、プロテアーゼによって切断される。未切断タンパク質が切断形態よりも実質的に活性が低い場合、本方法は、活性形態がインビボでゆっくりと生じるため、毒性を回避しながら、より高い初期用量を可能にする有益な効果を有する。本用途に有用であるインビボプロテアーゼのいくつかの非限定的な例は、組織カリクレイン、血漿カリクレイン、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、トロンビン、およびマトリクスメタロプロテイナーゼ、または表10のプロテアーゼを包含する。
【0311】
本方式では、単量体BPXTEN融合タンパク質をコードするキメラDNA分子が構築物内で生じる。場合により、本キメラDNA分子は、さらに適切な発現ベクターである別の構築物へ移行またはクローン化され得る。この時点で、キメラDNA分子を発現できる宿主細胞をキメラDNA分子によって形質転換することができる。目的のDNAセグメントを含有するベクターは、宿主細胞に、周知の方法によって、細胞宿主の種類に応じて移行することができる。たとえば、塩化カルシウム形質移入は普通、原核細胞に利用されるのに対して、リン酸カルシウム処理、リポフェクション、または電気穿孔は他の細胞宿主に使用され得る。哺乳動物細胞を形質変換するために使用される他の方法は、ポリブレンの使用、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔、およびマイクロインジェクションを包含する。概してSambrookら、上掲を参照。
【0312】
形質転換は、キャリア、たとえば発現ベクターを利用して、または利用せずにおこり得る。次に、形質転換された宿主細胞は、BPXTENをコードするキメラDNA分子の発現に好適な条件下で培養される。
【0313】
本発明は、本明細書で開示する単量体融合タンパク質組成物を発現する宿主細胞も提供する。好適な真核宿主細胞の例は、これに限定されるわけではないが、哺乳動物細胞、たとえばVERO細胞、HELA細胞、たとえばATCC No.CCL2、CHO細胞系統、COS細胞、WI38細胞、BHK細胞、HepG2細胞、3T3細胞、A549細胞、PC12細胞、K562細胞、293細胞、Sf9細胞およびCvI細胞を包含する。好適な非哺乳動物真核細胞の例は真核微生物を包含し、たとえば糸状菌または酵母は、ベクターをコードするのに好適なクローニング宿主または発現宿主である。Saccharomyces cerevisiaeは、普通に使用される低級真核宿主微生物である。他はSchizosaccharomyces pombe(Beach and Nurse,Nature,290:140[1981];1985年5月2日に公開されたEP 139,383);Kluyveromyces宿主(U.S.Pat.No.4,943,529;Fleerら、Bio/Technology,9:968−975(1991))たとえば、K.lactis(MW98−8C,CBS683,CBS4574;Louvencourtら、J.Bacteriol.,737[1983])、K.fragilis(ATCC 12,424)、K.bulgaricus(ATCC 16,045)、K.wickeramii(ATCC 24,178)、K.waltii(ATCC 56,500)、K.drosophilarum(ATCC
36,906;Van den Bergら、Bio/Technology,8:135(1990)),K.thermotolerans、およびK.marxianus;yarrowia(EP 402,226);Pichia pastoris(EP 183,070;Sreekrishnaら、J.Basic Microbiol.,28:265−278 [1988]);Candida;Trichoderma
reesia(EP 244,234);Neurospora crassa(Caseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:5259−5263[1979]);Schwanniomyces、たとえばSchwanniomyces
occidentalis(1990年10月31日に公開されたEP 394,538);および糸状菌、たとえばNeurospora、Penicillium,Tolypocladium(1991年1月10日に公開されたWO 91/00357)、およびAspergillus宿主、たとえばA.nidulans(Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,112:284−289[1983];Tilburnら、Gene,26:205−221[1983];Yeltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:1470−1474[1984])およびA.niger(Kelly and Hynes,EMBO
J.,4:475−479[1985])を包含する。メチロトローフ酵母は、本明細書で好適であり、これに限定されるわけではないが、Hansenula、Candida、Kloeckera、Pichia、Saccharomyces、Torulopsis、およびRhodotorulaから成る属より選択されるメタノールでの増殖が可能な酵母を包含する。このクラスの酵母を例示する具体的な種のリストは、C.Anthony,The Biochemistry of Methylotrophs,269(1982)に見出され得る。
【0314】
本発明で使用できる他の好適な細胞は、これに限定されるわけではないが、原核宿主細胞株、たとえば大腸菌(たとえばDH5−α株)、Bacillus subtilis,Salmonella typhimurium、またはPseudomonas,StreptomycesおよびStaphylococcus属の株を包含する。好適な原核生物の非制限的な例は、属:Actinoplanes;Archaeoglobus;Bdellovibrio;Borrelia;Chloroflexus;Enterococcus;Escherichia;Lactobacillus;Listeria;Oceanobacillus;Paracoccus;Pseudomonas;Staphylococcus;Streptococcus;Streptomyces;Thermoplasma;およびVibrioからの原核生物を包含する。具体的な株の非制限的な例は:Archaeoglobus fulgidus;Bdellovibrio bacteriovorus;Borrelia burgdorferi;Chloroflexus aurantiacus;Enterococcus faecalis;Enterococcus faecium;Lactobacillus johnsonii;Lactobacillus plantarum;Lactococcus lactis;Listeria innocua;Listeria monocytogenes;Oceanobacillus iheyensis;Paracoccus zeaxanthinifaciens;Pseudomonas mevalonii;Staphylococcus aureus;Staphylococcus epidermidis;Staphylococcus
haemolyticus;Streptococcus agalactiae;Streptomyces griseolosporeus;Streptococcus mutans;Streptococcus pneumoniae;Streptococcus pyogenes;Thermoplasma acidophilum;Thermoplasma volcanium;Vibrio cholerae;Vibrio parahaemolyticus;およびVibrio vulnificusを包含する。
【0315】
目的のポリヌクレオチドを含有する宿主細胞は、プロモータの活性化、形質転換体の選択または遺伝子の増幅に適切に改変された従来の栄養媒体(たとえばHamの栄養混合物)で培養することができる。培養条件、たとえば温度、pHなどは、発現に選択された宿主細胞を用いて以前使用された条件であり、当業者に明らかになる。細胞は通例、遠心分離によって収集して、物理的または化学的手段によって破壊し、得られた粗抽出物はさらなる精製のために保持する。宿主細胞によって分泌された組成物では、遠心分離からの上清を分離して、さらなる精製のために保持する。タンパク質の発現で用いられる微生物細胞は、凍結−解凍サイクリング、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を包含する、任意の便利な方法によって破壊することができ、そのすべては当業者に周知である。細胞溶解を包含する実施形態は、キメラDNA分子の発現後に分解を制限するプロテアーゼ抑制因子を含有するバッファーの使用を伴い得る。好適なプロテアーゼ抑制因子は、これに限定されるわけではないが、ロイペプチン、ペプスタチンまたはアプロチニンを包含する。上清は次に、連続した増加濃度の飽和硫酸アンモニウムに沈殿され得る。
【0316】
遺伝子発現は、たとえば従来のサザンブロッティング、mRNAの転写を定量するノーザンブロッティング([Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201−5205(1980)])、ドットブロッティング(DNA分析)、またはインサイチュハイブリダイゼーションによって、適切に標識されたプローブを使用して本明細書で提供する配列に基づいて、試料において直接測定され得る。あるいは、DNA2本鎖、RNA2本鎖、およびDNA−RNAハイブリッド2本鎖またはDNA−タンパク質2本鎖を含む、特定の2本鎖を認識できる抗体が用いられ得る。抗体は今度は標識され得て、アッセイは、2本鎖が表面に結合されているところで実施され得、その結果、表面での2本鎖の形成の際に2本鎖に結合された抗体の存在を検出できる。
【0317】
遺伝子発現は、あるいは、遺伝子産物の発現を直接定量するための免疫蛍光法、たとえば細胞もしくは組織切片の免疫組織化学染色および細胞培養物もしくは体液のアッセイまたは選択可能マーカーの検出によって測定され得る。免疫組織化学染色および/または試料流体のアッセイに有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのどちらでもよく、任意の哺乳動物で調製され得る。好都合にも、抗体は、天然配列BPポリペプチドに対して、または本明細書で提供されるDNA配列に基づく合成ペプチドに対して、またはBPに融合され、特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。選択可能マーカーの例は当業者に周知であり、リポーター、たとえば増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−gal)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を包含する。
【0318】
発現されたBPXTENポリペプチド生成物(複数可)は、当分野で公知の方法を介して、または本明細書で開示する方法によって精製され得る。それぞれの宿主細胞によって産生される融合タンパク質を回収および精製するようにそれぞれ適応させた手順、たとえばゲル濾過、親和性精製、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびゲル電気泳動が使用され得る。いくつかの発現されたBPXTENは、単離および精製の間に再折畳みを必要とし得る。精製方法は、Robert K.Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Charles R.Castor(ed.),Springer−Verlag 1994、およびSambrookら、上掲に記載されている。複数ステップ精製分離もBaronら、Crit.Rev.Biotechnol.10:179−90(1990)およびBelowら、J.Chromatogr.A.679:67−83(1994)に記載されている。
【0319】
VII)薬学的組成物
本発明は、BPXTENを含む薬学的組成物を提供する。一実施形態において、薬学的組成物は、BPXTEN融合タンパク質および少なくとも1つの薬学的に許容され得るキャリアを含む。本発明のBPXTENポリペプチドは、公知の方法に従って調合されて、薬学的に有用な組成物を調製することができ、これによりポリペプチドは薬学的に許容され得るキャリアビヒクル、たとえば水溶液またはバッファー、薬学的に許容され得る懸濁物およびエマルションと混合して組み合わされる。非水性溶媒の例は、プロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび植物油を包含する。治療調合物は貯蔵のために、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に記載されるように、所望の純度を有する活性成分を任意選択の生理的に許容され得るキャリア、賦形剤または安定剤と混合することによって、凍結乾燥調合物または水溶液の形態で調製される。
【0320】
薬学的組成物は、経口で、鼻内に、非経口で、または吸入療法によって投与することができ、錠剤、ロゼンジ剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、アンプル剤、坐剤またエアゾール形態の形態を取り得る。薬学的組成物は、水性または非水性希釈剤における活性剤の懸濁剤、液剤およびエマルジョン、シロップ、顆粒剤または粉剤の形態も取り得る。さらに、薬学的組成物は他の薬学的活性化合物または複数の本発明の化合物も含有することができる。
【0321】
さらに詳細には、本薬学的組成物は、経口、直腸、鼻、局所(経皮、エアゾール、口腔(buccal)および舌下を包含する)、膣、非経口(皮下、輸液ポンプによる皮下、筋肉内、静脈内および皮内を包含する)、硝子体内、および肺を包含する任意の好適な経路による治療のために投与され得る。好ましい経路がレシピエントの状態および年齢、ならびに処置される疾患によって変化することも認められる。
【0322】
一実施形態において、薬学的組成物は皮下投与される。本実施形態において、組成物は、投与前に再構成される凍結乾燥粉剤として供給され得る。組成物は、患者に直接投与することができる液体形態でも供給され得る。一実施形態において、組成物は、患者が容易に組成物を自分で投与できるように、プレフィルドシリンジ中の液剤として供給される。
【0323】
本発明で有用な徐放調合物は、マトリクスおよびコーティング組成物を含む、経口調合物であり得る。好適なマトリクス材料は、ロウ(たとえばカルナウバ(camauba)、ミツロウ、パラフィンロウ、セレシン、シェラックロウ、脂肪酸および脂肪アルコール)、油、硬化油または脂(たとえば硬化ナタネ油、ヒマシ油、牛脂、パーム油、およびダイズ油)、およびポリマー(たとえばヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリエチレングリコール)を包含し得る。他の好適なマトリクス打錠材料は、他のキャリア、または充填剤を含む、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースである。錠剤は、顆粒、コート粉末、またはペレットも含有し得る。錠剤は複数層(multi−layered)でもあり得る。複数層錠剤は、活性成分が顕著に異なる薬物動態プロフィールを有するときにとりわけ好ましい。場合により、完成錠剤はコーティングされ得るか、未コーティングであり得る。
【0324】
コーティング組成物は、不溶性マトリクスポリマーおよび/または水溶性材料を含み得る。水溶性材料は、ポリマー、たとえばポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、または単量体材料、たとえば糖(たとえばラクトース、スクロース、フルクトース、マンニトールなど)、塩(たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、有機酸(たとえばフマル酸、コハク酸、乳酸、および酒石酸)、およびその混合物であることができる。場合により、腸溶ポリマーがコーティング組成物に組み入れられ得る。好適な腸溶ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセテートスクシネート(acetate succinate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、シェラック、ゼイン、およびカルボキシ基を含有するポリメタクリレートを包含する。コーティング組成物は好適な可塑剤、たとえばフタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、アセチル化クエン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびヒマシ油などを添加することによって可塑化され得る。コーティング組成物は充填剤も包含し得て、該充填剤は不溶性材料、たとえば2酸化ケイ素、2酸化チタン、タルク、カオリン、アルミナ、デンプン、粉末セルロース、MCC、またはポラクリリンカリウムであることができる。コーティング組成物は、有機溶媒また水性溶媒またはその混合物による溶液またはラテックスとして利用され得る。溶媒、たとえば水、低級アルコール、低級塩素化炭化水素、ケトン、またはその混合物が使用され得る。
【0325】
本発明の組成物は、多種多様の賦形剤を使用して調合され得る。好適な賦形剤は、微結晶性セルロース(たとえばAvicel PH102、Avicel PH101)、ポリメタクリレート、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロライド)(たとえばEudragit RS−30D)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K100M、Premium CR Methocel K100M、Methocel E5、Opadry(登録商標))、ステアリン酸マグネシウム、タルク、クエン酸トリエチル、水性エチルセルロース分散物(スレレアーゼ(登録商標))、および硫酸プロタミンを包含する。低速放出剤はキャリアも含み得て、該キャリアはたとえば溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤を含むことができる。薬学的に許容され得る塩、たとえば無機塩、たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、または硫酸塩、ならびに有機酸の塩、たとえば酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、または安息香酸塩もこれらの低速放出剤で使用できる。組成物は、液体、たとえば水、食塩水、グリセロール、およびエタノール、ならびに物質、たとえば湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤も含有し得る。リポソームもキャリアとして使用され得る。
【0326】
別の実施形態において、本発明の組成物はリポソーム内にカプセル化され、これは延長された期間にわたって制御された方式で有益な活性剤を送達する有用性を証明している。リポソームは、封入した水性容量を含有する閉じた2重層膜である。リポソームは、単膜2重層を所有する単層ベシクル、またはそれぞれ次の層から水層によって離された多重膜2重層を備えた多層状ベシクルであり得る。得られた膜2重層の構造物は、脂質の疎水性(非極性)テールが2重層の中心に向けられているが、親水性(極性)ヘッドが水相に向くようになっている。一実施形態において、リポソームは、単核食細胞系の臓器、主に肝臓および脾臓による取り込みを回避する軟性水溶性ポリマーによってコーティングされ得る。リポソームを包囲するのに好適な親水性ポリマーは制限なく、その内容が全体として参照により組み入れられているU.S.Pat.Nos.6,316,024;6,126,966;6,056,973;6,043,094に記載されているような、PEG、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシ(polyhydrox)エチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアスパルタミドおよび親水性ペプチド配列を包含する。
【0327】
リポソームは、当分野で公知のいずれの脂質または脂質の組み合わせからも成り得る。たとえばベシクル形成脂質は、U.S.Pat.Nos.6,056,973および5,874,104に開示されているように、リン脂質、たとえばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴミエリンを包含する天然に存在する脂質または合成脂質であり得る。ベシクル形成脂質は、U.S.Pat.No.6,056,973にも開示されているような、糖脂質、セレブロシド、またはカチオン性脂質、たとえば1,2−ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアミノ)プロパン(DOTAP);N−[1−(2,3,−ジテトラデシルオキシ)プロピル]−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);N−[1[(2,3,−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE);N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA);3[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル(carbamoly)]コレステロール(DC−Chol);またはジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)でもあり得る。コレステロールも、U.S.Pat.Nos.5,916,588および5,874,104に開示されているように、ベシクルに安定性を付与する適正な範囲内で存在し得る。
【0328】
さらなるリポソーム技術は、U.S.Pat.Nos.6,759,057;6,406,713;6,352,716;6,316,024;6,294,191;6,126,966;6,056,973;6,043,094;5,965,156;5,916,588;5,874,104;5,215,680;および4,684,479に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。これらはリポソームおよび脂質コートマイクロバブル、ならびにその製造方法について記載している。それゆえ、本発明の開示およびこれらの他の特許の開示の両方を考慮している当業者は、本発明のポリペプチドの徐放のためのリポソームを産生できる。
【0329】
液体調合物では、所望の特性は、該調合物が静脈内、筋肉内、関節内、または皮下投与のために25、28,30、31、32ゲージ針を通過できる形態で供給されることである。
【0330】
経皮調合物による投与は、概してたとえば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられている、U.S.Pat.Nos.5,186,938および6,183,770、4,861,800、6,743,211、6,945,952、4,284,444、およびWO 89/09051に記載されているものを包含する、また当分野で公知の方法を使用して行うことができる。経皮パッチは、吸収の問題を有するポリペプチドを用いた特に有用な実施形態である。パッチは、皮膚浸透性活性成分の放出を12時間、24時間、3日間、および7日間の期間にわたって制御するように作製することができる。1例において、本発明のポリペプチドの2倍の1日過剰量が不揮発性流体に置かれる。本発明の組成物は粘性不揮発性液体の形態で提供される。特定の調合物の皮膚を通じた浸透は、当分野の標準方法によって測定され得る(たとえばFranzら、J.Invest.Derm.64:194−195(1975))。好適なパッチの例は、受動移行皮膚パッチ、イオン導入皮膚パッチ、またはニコダームなどのマイクロニードルを用いたパッチである。
【0331】
他の実施形態において、組成物は鼻内、口腔、または舌下経路を介して脳に送達されて、活性剤の嗅覚路を通じたCNSへの移行を可能とし、全身投与を低下させ得る。この投与経路で普通に使用される器具は、U.S.Pat.No.6,715,485に包含されている。この経路を介して送達される組成物は、CNS投薬の増加または全身負荷の低下を可能にして、特定の薬物に関連付けられた全身毒性リスクを低下させ得る。皮下に移植可能な器具での送達のための薬学的組成物の調製は、当分野で公知の方法、たとえばU.S.Nos.3,992,518;5,660,848;および5,756,115に記載された方法を使用して行うことができる。
【0332】
浸透圧ポンプは、錠剤、丸剤、カプセル剤または移植可能な器具の形態で低速放出剤として使用され得る。浸透圧ポンプは、当分野で周知であり、徐放薬物送達用の浸透圧ポンプの提供に経験がある会社から、当業者が容易に利用することができる。例はALZAのDUROS(商標);ALZAのOROS(商標);Osmotica PharmaceuticalのOsmodex(商標)システム;Shire LaboratoriesのEnSoTrol(商標)システム;およびAlzet(商標)である。浸透圧ポンプ技術について記載した特許は、U.S.Pat.Nos.6,890,918;6,838,093;6,814,979;6,713,086;6,534,090;6,514,532;6,361,796;6,352,721;6,294,201;6,284,276;6,110,498;5,573,776;4,200,0984;および4,088,864であり、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。本発明の開示およびこれらの他の特許の開示の両方を考慮している当業者は、本発明のポリペプチドの徐放のための浸透圧ポンプを産生できる。
【0333】
シリンジポンプも低速放出剤(slow release agent)として使用され得る。このような器具は、U.S.Pat.Nos.4,976,696;4,933,185;5,017,378;6,309,370;6,254,573;4,435,173;4,398,908;6,572,585;5,298,022;5,176,502;5,492,534;5,318,540;および4,988,337に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。本発明の開示およびこれらの他の特許の開示の両方を考慮している当業者は、本発明の組成物の徐放のためのシリンジポンプを産生できる。
【0334】
VIII)薬学的キット
別の態様において、本発明は、BPXTENポリペプチドの使用を容易にするキットを提供する。一実施形態において、キットは、少なくとも第1の容器に、すぐに注射できる調合物として合わせてまたは滅菌水、バッファー、もしくはデキストロースによる再構成の準備ができている調合物として合せた:(a)それを必要とする被験体への投与の際に疾患、状態または障害を処置するのに十分な量のBPXTEN融合タンパク質組成物;および(b)ある量の薬学的に許容され得るキャリアを;BPXTEN薬物ならびに貯蔵およびに取扱い条件を明記したラベル、ならびに該薬物の承認された適応症、承認された適応症の防止および/または処置に使用するためのBPXTEN薬物の再構成および/または投与の説明、適切な投薬情報および安全性情報、ならびに薬物のロットおよび有効期限(expiration)を明示した情報を共に含む。上述の別の実施形態において、キットは、被験体に送達されるBPXTENの適切な濃度を使用者に提供する、BPXTEN組成物に好適な希釈剤を収容できる第2の容器を含むことができる。
【実施例】
【0335】
(実施例1)
XTEN_AD36モチーフセグメントの構築
以下の実施例は、36アミノ酸のモチーフ配列をコードするコドン最適化遺伝子のコレクションの構築について記載する。第1のステップとして、スタッファベクターpCW0359を、pETベクターおよびT7プロモータを含むpETベクターに基づいて構築した。pCW0359は、セルロース結合ドメイン(CBD)およびTEVプロテアーゼ認識部位、それに続くBsaI、BbsI、およびKpnI部位がフランキングするスタッファ配列をコードする。BsaIおよびBbsI部位は、これらが消化後に適合性の突出部を生じるように挿入された。スタッファ配列には、切断型のGFP遺伝子およびHisタグが続く。スタッファ配列は停止コドンを含有し、それゆえスタッファプラスミドpCW0359を担持する大腸菌細胞は非蛍光コロニーを形成する。スタッファベクターpCW0359はBsaIおよびKpnIによって消化されて、スタッファセグメントを除去して、得られたベクターフラグメントをアガロースゲル精製によって単離する。配列はモチーフのADファミリを反映して、XTEN_AD36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]を有し、ここでXは、配列:GESPGGSSGSES(配列番号270)、GSEGSSGPGESS(配列番号271)、GSSESGSSEGGP(配列番号272)、またはGSGGEPSESGSS(配列番号273)を有する12マーペプチドである。以下の対のリン酸化合成オリゴヌクレオチド対をアニーリングすることによって、インサートを得た:
【0336】
【化1】
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本発明者らは、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号281)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号282)もアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションすると、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた可変数の12マー反復を表す可変長を有する生成物の混合物が生じた。36アミノ酸の長さに相当する生成物は、分取アガロースゲル電気泳動によって混合物から単離して、BsaI/KpnI消化スタッファベクターpCW0359にライゲーションした。LCW0401と命名した得られたライブラリのクローンの大半は誘導後に緑色蛍光を示し、これはXTEN_AD36の配列がインフレームでGFP遺伝子とライゲーションされて、XTEN_AD36の大半の配列が良好な発現レベルを有したことを示している。
【0337】
本発明者らは高レベルの蛍光についてライブラリLCW0401からの96の単離体を、IPTGを含有する寒天プレートに単離体をスタンプすることによってスクリーニングした。同じ単離体をPCRによって評価して、36アミノ酸ならびに強い蛍光を有するセグメントを含有する48の単離体を同定した。これらの単離体を配列決定して、正しいXTEN_AD36セグメントを含有する39のクローンを同定した。ヌクレオチドおよびアミノ酸構築物のファイル名ならびにこれらのセグメントの配列番号を表12に挙げる。
【0338】
【表12-1】
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【0339】
【表12-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0340】
【表12-3】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例2)
XTEN_AE36セグメントの構築
36アミノ酸長のXTEN配列をコードするコドンライブラリを構築した。XTEN配列をXTEN_AE36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]を有し、ここでXは、配列:GSPAGSPTSTEE(配列番号359)、GSEPATSGSETP(配列番号360)、GTSESATPESGP(配列番号361)、またはGTSTEPSEGSAP(配列番号362)を有する12マーペプチドである。以下の対のリン酸化合成オリゴヌクレオチド対をアニーリングすることによって、インサートを得た:
【0341】
【化2】
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本発明者らは、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号371)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号372)もアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションすると、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた可変数の12マー反復を表す可変長を有する生成物の混合物が生じた。36アミノ酸の長さに相当する生成物は、分取アガロースゲル電気泳動によって混合物から単離して、BsaI/KpnI消化スタッファベクターpCW0359にライゲーションした。LCW0402と命名した得られたライブラリのクローンの大半は誘導後に緑色蛍光を示し、これはXTEN_AE36の配列がインフレームでGFP遺伝子とライゲーションされて、XTEN_AE36の大半の配列が良好な発現を示すことを示している。
【0342】
本発明者らは高レベルの蛍光についてライブラリLCW0402からの96の単離体を、IPTGを含有する寒天プレートに単離体をスタンプすることによってスクリーニングした。同じ単離体をPCRによって評価して、36アミノ酸ならびに強い蛍光を有するセグメントを含有する48の単離体を同定した。これらの単離体を配列決定して、正しいXTEN_AE36セグメントを含有する37のクローンを同定した。ヌクレオチドおよびアミノ酸構築物のファイル名ならびにこれらのセグメントの配列番号を表13に挙げる。
【0343】
【表13-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0344】
【表13-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0345】
【表13-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0346】
【表13-4】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例3)
XTEN_AF36セグメントの構築
36アミノ酸長の配列をコードするコドンライブラリを構築した。配列をXTEN_AF36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]を有し、ここでXは、配列:GSTSESPSGTAP(配列番号447)、GTSTPESGSASP(配列番号448)、GTSPSGESSTAP(配列番号449)、またはGSTSSTAESPGP(配列番号450)を有する12マーペプチドである。以下の対のリン酸化合成オリゴヌクレオチド対をアニーリングすることによって、インサートを得た:
【0347】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
本発明者らは、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号459)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号460))もアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションすると、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた可変数の12マー反復を表す可変長を有する生成物の混合物が生じた。36アミノ酸の長さに相当する生成物は、分取アガロースゲル電気泳動によって混合物から単離して、BsaI/KpnI消化スタッファベクターpCW0359にライゲーションした。LCW0403と命名した得られたライブラリのクローンの大半は誘導後に緑色蛍光を示し、これはXTEN_AF36の配列がインフレームでGFP遺伝子とライゲーションされて、XTEN_AF36の大半の配列が良好な発現を示すことを示している。
【0348】
本発明者らは高レベルの蛍光についてライブラリLCW0403からの96の単離体を、IPTGを含有する寒天プレートに単離体をスタンプすることによってスクリーニングした。同じ単離体をPCRによって評価して、36アミノ酸ならびに強い蛍光を有するセグメントを含有する48の単離体を同定した。これらの単離体を配列決定して、正しいXTEN_AF36セグメントを含有する44のクローンを同定した。ヌクレオチドおよびアミノ酸構築物のファイル名ならびにこれらのセグメントの配列番号を表14に挙げる。
【0349】
【表14-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0350】
【表14-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0351】
【表14-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0352】
【表14-4】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例4)
XTEN_AG36セグメントの構築
36アミノ酸長の配列をコードするコドンライブラリを構築した。配列をXTEN_AG36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]を有し、ここでXは、配列:GTPGSGTASSSP(配列番号549)、GSSTPSGATGSP(配列番号550)、GSSPSASTGTGP(配列番号551)、またはGASPGTSSTGSP(配列番号552)を有する12マーペプチドである。以下の対のリン酸化合成オリゴヌクレオチド対をアニーリングすることによって、インサートを得た:
【0353】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
本発明者らは、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号561)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号562)もアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションすると、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた可変数の12マー反復を表す可変長を有する生成物の混合物が生じた。36アミノ酸の長さに相当する生成物は、分取アガロースゲル電気泳動によって混合物から単離して、BsaI/KpnI消化スタッファベクターpCW0359にライゲーションした。LCW0404と命名した得られたライブラリのクローンの大半は誘導後に緑色蛍光を示し、これはXTEN_AG36の配列がインフレームでGFP遺伝子とライゲーションされて、XTEN_AG36の大半の配列が良好な発現を示すことを示している。
【0354】
本発明者らは高レベルの蛍光についてライブラリLCW0404からの96の単離体を、IPTGを含有する寒天プレートに単離体をスタンプすることによってスクリーニングした。同じ単離体をPCRによって評価して、36アミノ酸ならびに強い蛍光を有するセグメントを含有する48の単離体を同定した。これらの単離体を配列決定して、正しいXTEN_AG36セグメントを含有する44のクローンを同定した。ヌクレオチドおよびアミノ酸構築物のファイル名ならびにこれらのセグメントの配列番号を表15に挙げる。
【0355】
【表15-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0356】
【表15-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0357】
【表15-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0358】
【表15-4】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例5)
XTEN_AE864セグメントの構築
XTEN_AE864をXTEN_AE36のAE72、144,288、576および864への連続2量体化から構築した。XTEN_AE72セグメントのコレクションをXTEN_AE36の37の異なるセグメントから構築した。37すべての異なる36アミノ酸セグメントを内部に持つ大腸菌の培養物を混合して、プラスミドを単離した。このプラスミドプールをBsaI/Ncolで消化して、小型フラグメントをインサートとして生成させた。同じプラスミドプールをBbsI/Ncolで消化して、大型フラグメントをベクターとして生成させた。インサートフラグメントおよびベクターフラグメントをライゲーションすると、長さの倍増が生じ、ライゲーション混合物をBL21Gold(DE3)細胞に形質転換させて、XTEN_AE72のコロニーを得た。
【0359】
XTEN_AE72セグメントのこのライブラリをLCW0406と命名した。LCW0406からのすべてのクローンを組み合わせて、上記と同じプロセスを使用して再度2量体化して、XTEN_AE144のライブラリLCW0410を産した。LCW0410からのすべてのクローンを組み合わせて、上記と同じプロセスを使用して再度2量体化して、XTEN_AE288のライブラリLCW0414を産した。2つの単離体LCW0414.001およびLCW0414.002をライブラリからランダムに選び出し、配列決定して同一性を検証した。LCW0414からのすべてのクローンを組み合わせて、上記と同じプロセスを使用して再度2量体化して、XTEN_AE576のライブラリLCW0418を産した。本発明者らは高レベルのGFP蛍光についてライブラリLCW0418から96の単離体をスクリーニングした。PCRおよび強蛍光によって正しいサイズのインサートを有する8つの単量体を配列決定し、2つの単離体(LCW0418.018およびLCW0418.052)を将来使用するために配列決定および発現データに基づいて選定した。
【0360】
XTEN_AE576のLCW0418.018およびXTEN_AE288のLCW0414.002を組み合わせることによって、上記と同じ2量体化プロセスを使用して、XTEN_AE864の特異的クローン(specific clone)pCW0432を構築した。
【0361】
(実施例6)
XTEN_AM144の構築
XTEN_AE36の37の異なるセグメント、XTEN_AF36の44のセグメント、およびXTEN_AG36の44のセグメントから開始して、XTEN_AM144セグメントのコレクションを構築した。
【0362】
125すべての異なる36アミノ酸セグメントを内部に持つ大腸菌の培養物を混合して、プラスミドを単離した。このプラスミドプールをBsaI/NcoIで消化して、小型フラグメントをインサートとして生成させた。同じプラスミドプールをBbsI/NcoIで消化して、大型フラグメントをベクターとして生成させた。インサートフラグメントおよびベクターフラグメントをライゲーションすると、長さの倍増が生じ、ライゲーション混合物をBL21Gold(DE3)細胞に形質転換させて、XTEN_AM72のコロニーを得た。
【0363】
XTENAM72セグメントのこのライブラリをLCW0461と命名した。LCW0461からのすべてのクローンを組み合わせて、上記と同じプロセスを使用して再度2量体化して、ライブラリLCW0462を産した。ライブラリLCW0462からの1512の単離体をタンパク質発現についてスクリーニングした。個々のコロニーを96ウェルプレートに移して、スターター培養物として一晩培養した。これらのスターター培養物を新たな自己誘導媒体に希釈して、20〜30時間培養した。蛍光プレートリーダを励起395nmおよび発光510nmにて使用して、発現を測定した。192の単離体が高レベルの発現を示し、それらにつきDNA配列決定を行った。ライブラリLCW0462の大半のクローンが良好な発現および同様の物理化学特性を示し、XTEN_AM36セグメントの大半の組み合わせが有用なXTEN配列を産することが示唆された。複数のXTENセグメントを含有する多機能性タンパク質の構築のための、XTEN_AM144セグメントの好ましいコレクションとして、LCW0462からの30の単離体を選定した。ヌクレオチドおよびアミノ酸構築物のファイル名ならびにこれらのセグメントの配列番号を表16に挙げる。
【0364】
【表16-1】
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【0365】
【表16-2】
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【0366】
【表16-3】
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【0367】
【表16-4】
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【0368】
【表16-5】
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【0369】
【表16-6】
[この文献は図面を表示できません]
【0370】
【表16-7】
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【0371】
【表16-8】
[この文献は図面を表示できません]
【0372】
【表16-9】
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【0373】
【表16-10】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例7)
XTEN_AM288の構築
ライブラリLCW0462全体を実施例6に記載するように2量体化して、得られたXTEN_AM288クローンのライブラリをLCW0463と命名した。ライブラリLCW0463からの1512の単離体を実施例6に記載したプロトコルを使用してスクリーニングした。176の高発現クローンを配列決定して、288アミノ酸残基を有する複数のXTENセグメントを含有する多機能性タンパク質の構築のために、40の好ましいXTEN_AM288セグメントを選定した。
【0374】
(実施例8)
XTEN_AM432の構築
本発明者らは、XTEN_AM144セグメントのライブラリLCW0462からのセグメントおよびXTEN_AM288セグメントのライブラリLCW0463からのセグメントを組み換えることより、XTEN_AM432セグメントのライブラリを生成させた。XTEN_AM432セグメントのこの新たなライブラリをLCW0464と命名した。プラスミドは、LCW0462およびLCW0463を内部に持つ大腸菌の培養物からそれぞれを単離した。ライブラリLCW0464からの1512の単離体を実施例6に記載したプロトコルを使用してスクリーニングした。176の高発現クローンを配列決定して、より長いXTENの構築のためにおよび432アミノ酸残基を有する複数のXTENセグメントを含有する多機能性タンパク質の構築のために、39の好ましいXTEN_AM432セグメントを選定した。
【0375】
並行して本発明者らは、XTEN_AM144およびXTEN_AM288の好ましいセグメントを使用して、XTEN_AM432セグメントのライブラリLMS0100を構築した。このライブラリのスクリーニングは、さらなる構築のために選択される4の単離体を産した。
【0376】
(実施例9)
XTEN_AM875の構築
スタッファベクターpCW0359をBsaIおよびKpnIによって消化して、スタッファセグメントを除去して、得られたベクターフラグメントをアガロースゲル精製によって単離した。
【0377】
本発明者らは、アミノ酸GASASGAPSTG(配列番号719)をコードして、制限酵素AscI認識ヌクレオチド配列GGCGCGCCを内部に有するシーケンシングアイランドA(SI−A)を導入するために、リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI−AscI−KpnIforP:AGGTGCAAGCGCAAGCGGCGCGCCAAGCACGGGAGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号717)および非リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI−AscI−KpnIrev:CCTCGAGTGAAGACGAACCTCCCGTGCTTGGCGCGCCGCTTGCGCTTGC(配列番号718)をアニーリングした。アニーリングしたオリゴヌクレオチド対を上で調製したBsaIおよびKpnI消化スタッファベクターpCW0359とライゲーションして、SI−Aを含有するpCW0466を産した。本発明者らは次に、実施例5に記載したのと同じ2量体化プロセスを使用して、実施例8からの43の好ましいXTEN_AM432セグメントおよびpCW0466からのSI−AセグメントをC末端にて組み換えることによって、XTEN_AM443セグメントのライブラリを生成させた。XTEN_AM443セグメントのこの新たなライブラリをLCW0479と命名した。
【0378】
本発明者らは、実施例5に記載したのと同じ2量体化プロセスを使用して、XTEN_AM443セグメントのライブラリLCW0479からのセグメントおよび実施例8からの43の好ましいXTEN_AM432セグメントを組み換えることによって、XTEN_AM875セグメントのライブラリを生成させた。XTEN_AM875のセグメントのこの新たなライブラリをLCW0481と命名した。
【0379】
(実施例10)
XTEN_AM1318の構築
本発明者らは、アミノ酸GPEPTGPAPSG(配列番号722)をコードして、制限酵素FseI認識ヌクレオチド配列GGCCGGCCを内部に有するシーケンシングアイランドB(SI−B)を導入するために、リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI−FseI−KpnIforP:AGGTCCAGAACCAACGGGGCCGGCCCCAAGCGGAGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号720)および非リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI−FseI−KpnIrev:CCTCGAGTGAAGACGAACCTCCGCTTGGGGCCGGCCCCGTTGGTTCTGG(配列番号721)をアニーリングした。アニーリングしたオリゴヌクレオチド対を実施例9で使用したようなBsaIおよびKpnI消化スタッファベクターpCW0359とライゲーションして、SI−Bを含有するpCW0467を産した。本発明者らは次に、実施例5に記載したのと同じ2量体化プロセスを使用して、実施例8からの43の好ましいXTEN_AM432セグメントおよびpCW0467からのSI−BセグメントをC末端にて組み換えることによって、XTEN_AM443セグメントのライブラリを生成させた。XTEN_AM443セグメントのこの新たなライブラリをLCW0480と命名した。
【0380】
本発明者らは、実施例5に記載の2量体化プロセスと同様の2量体化プロセスを使用して、XTEN_AM443セグメントのライブラリLCW0480およびXTEN_AM875セグメントのライブラリLCW0481を組み換えることにより、XTEN_AM1318セグメントのライブラリを生成させた。XTEN_AM1318セグメントのこの新たなライブラリをLCW0487と命名した。
【0381】
(実施例11)
XTEN_AD864の構築
本発明者らは2量体化を数回連続して使用して、実施例1に挙げたXTEN_AD36のセグメントから開始してXTEN_AD864配列のコレクションを構築した。これらの配列を実施例5に記載したように構築した。XTEN_AD864からの数個の単離体を評価して、生理的条件下で良好な発現および優れた溶解性を示すことを見出した。XTEN_AD576の1つの中間構築物を配列決定した。このクローンをカニクイザルのPK実験で評価して、約20時間の半減期を測定した。
【0382】
(実施例12)
XTEN_AF864の構築
本発明者らは2量体化を数回連続して使用して、実施例3に挙げたXTEN_AF36のセグメントから開始してXTEN_AF864配列のコレクションを構築した。これらの配列を実施例5に記載したように構築した。XTEN_AF864からの数個の単離体を評価して、生理的条件下で良好な発現および優れた溶解性を示すことを見出した。XTEN_AF540の1つの中間構築物を配列決定した。このクローンをカニクイザルのPK実験で評価して、約20時間の半減期を測定した。XTEN_AF864の全長クローンはカニクイザルにおいて、優れた溶解性を有し、60時間を超える半減期を示した。実施例9に記載したようなシーケンシングアイランドを含むXTEN_AF配列の第2のセットを構築した。
【0383】
(実施例13)
XTEN_AG864セグメントの構築
本発明者らは2量体化を数回連続して使用して、実施例1に挙げたXTEN_AD36のセグメントから開始してXTEN_AG864配列のコレクションを構築した。これらの配列を実施例5に記載したように構築した。XTEN_AG864からの数個の単離体を評価して、生理的条件下で良好な発現および優れた溶解性を示すことを見出した。XTEN_AG864の全長クローンはカニクイザルにおいて、優れた溶解性を有し、60時間を超える半減期を示した。
【0384】
(実施例14)
XTENのN末端延長物の構築−12マー付加ライブラリの構築およびスクリーニング
本実施例は、翻訳の開始を促進し、ヘルパードメインの存在なしで融合タンパク質のN末端でのXTEN融合物の発現を可能にするための、XTENタンパク質のN末端の最適化ステップについて詳述する。コドンレベルで多様性を生成するために、7アミノ酸配列を選択して、多様なコドンを用いて調製した。コドン多様性を有する12アミノ酸をコードする7対のオリゴヌクレオチドを設計、アニーリングして、NdeI/BsaI制限酵素消化スタッファベクターpCW0551(Stuffer−XTEN_AM875−GFP)にライゲーションし、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質転換して、7つのライブラリのコロニーを得た。得られたクローンは、XTEN_AM875−GFPにインフレームで融合されたN末端XTEN12マーを有し、発現のスクリーニングのためにGFP蛍光を使用できるようにする。生成した7つのライブラリから個々のコロニーを選び出し、96深ウェルプレート内のスーパーブロス媒体500μl中で一晩、飽和になるまで生育させた。選び出されたコロニーの数は、ライブラリの理論的多様性の約半分から3分の1に及んだ(表17を参照)。
【0385】
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
一晩飽和させた培養物を使用して、新鮮な培養物500μlを自己誘導媒体に接種し、そこで培養物を26℃にて一晩生育させた。次にこれらの発現培養物を蛍光プレートリーダ(励起395nm、発光510nm)を用いてアッセイして、存在するGFPレポータの量を決定した。結果により、中央値発現レベルがCBDのN末端ヘルパードメインによる発現レベルのおおよそ半分であることが示される。しかしライブラリからの最良のクローンがベンチマークにはるかに近く、これらの配列の周囲でのさらなる最適化が保証されたことが示された。アミノ酸MAで開始するライブラリがMEで始まるライブラリよりも良好な発現を産生したことも明白であった。このことは、最良のクローン(ベンチマークにより近い)がたいていMAで開始するので、その最良のクローンを見れば最も明らかであった。CBD−AM875ベンチマークの33%以内の176クローンのうち87%がMAで始まり、上記ライブラリにおける配列の75%のみがMAで始まるので、MAで始まるそれらのクローンが最高レベルでの発現を表すことは明らかであった。最良のクローンのうち96を配列決定して同一性を確認し、LCW546から4つ、LCW547から4つおよびLCW552から4つの12配列(表18を参照)をさらなる最適化のために選択した。
【0386】
【表18-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0387】
【表18-2】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例15)
XTENのN末端延長物の構築−コドン3および4を最適化するライブラリの構築およびスクリーニング
本実施例は、翻訳の開始を促進し、ヘルパードメインの存在なしでタンパク質のN末端でのXTEN融合物の発現を可能にするための、XTENタンパク質のN末端の最適化ステップについて詳述する。確立された最初の2つのコドンに対する選択性(上の例を参照)を用いて、第3および第4のコドンを無作為化して選択性を決定した。許容されるXTENコドンのすべての組合せがこれらの位置に存在するように改変された第3および第4の残基を用いて、LCW546、LCW547およびLCW552による最良のクローンに基づく3つのライブラリを設計した。許容されるすべてのXTENコドンを各ライブラリに含めるために、第3および第4の残基のコドン多様性を有する12アミノ酸をコードする9対のオリゴヌクレオチドを設計、アニーリングして、NdeI/BsaI制限酵素で消化したスタッファベクターpCW0551(Stuffer−XTEN_AM875−GFP)にライゲーションして、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質変換して、3つのライブラリLCW0569−571のコロニーを得た。24XTENコドンでは、各ライブラリの理論的多様性は576のユニークなクローンである。生成した3つのライブラリから合計504の個々のコロニーを選び出し、96深ウェルプレート内のスーパーブロス媒体500μl中で一晩、飽和になるまで生育させた。これにより相対的なライブラリの性能および配列選択性を理解するために十分な適用範囲が提供される。一晩飽和させた培養物を使用して、新しい培養物500μlを自己誘導媒体に接種して、そこで培養物を26℃にて一晩生育させた。次に、これらの発現培養物を蛍光プレートリーダ(励起395nm、発光510nm)を用いてアッセイして、存在するGFPレポータの量を決定した。スクリーニングによる上位75のクローンを配列決定して、GFPリポーター発現をベンチマーク試料に対して再試験した。52のクローンが使用可能な配列決定データを産し、続いての分析に使用した。結果はライブラリによって分類され、LCW546が優位なライブラリであることを示した。結果を表19に表示する。
【0388】
【表19】
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第3位および第4位の特定のコドンに対する選択性を示すさらなる傾向がデータに見られた。LCW569ライブラリ内では、表20に見られるように、第3位のグルタメートコドンGAAおよびトレオニンコドンACTがより高い発現に関連付けられた。
【0389】
【表20】
[この文献は図面を表示できません]
その上、上位75のクローンの再試験により、数個がベンチマーククローンより優位であることが示された。
【0390】
(実施例16)
XTENのN末端延長物の構築−コンビナトリアル12マーおよび36マーライブラリの構築およびスクリーニング
本実施例は、翻訳の開始を促進し、ヘルパードメインの存在なしでタンパク質のN末端でのXTEN融合物の発現を可能にするための、XTENタンパク質のN末端の最適化ステップについて詳述する。確立された最初の2つのコドンに対する選択性(上の例を参照)を用いて、まさにN末端にある選択した12の12マー配列(上掲の実施例を参照)とそれに続く以前に構築した125の36マーセグメント(上掲の実施例を参照)をコンビナトリアル方式で組み合わせることによって、より広い状況でN末端を検査した。これによりXTENタンパク質のN末端に新規48マーが生成され、より長い配列の発現に対するN末端におけるより長い範囲の相互作用の影響の評価が可能となった(図11)。36マーを構築するために使用した2量体化手順(上の実施例を参照)と同様に、選択した125の36マーセグメントを含有するプラスミドを制限酵素BbsI/NcoIで消化して、適切なフラグメントをゲル精製した。クローンAC94(CBD−XTEN_AM875−GFP)からのプラスミドをBsaI/NcoIで消化して、適切なフラグメントをゲル精製した。これらのフラグメントを共にライゲーションして、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質転換し、ライブラリLCW0579のコロニーを得て、該コロニーはまさにN末端において選択された12の12マーのさらなるクローニングのためのベクターとしての役割も果たした。LCW0579のプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化して、適切なフラグメントをゲル精製した。選択した12の12マー配列をコードするオリゴヌクレオチドの12対を設計、アニーリングし、NdeI/EcoRI/BsaI消化LCW0579ベクターによってライゲーションして、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質転換し、ライブラリLCW0580のコロニーを得た。1500のユニークなクローンの理論的多様性を用いて、生成されたライブラリから合計1512の個々のコロニーを選び出し、96深ウェルプレート内のスーパーブロス媒体500μl中で一晩、飽和になるまで生育させた。これにより相対的なライブラリの性能および配列選択性を理解するために十分な適用範囲が提供される。一晩飽和させた培養物を使用して、新しい培養物500μlを自己誘導媒体に接種して、そこで培養物を26℃にて一晩生育させた。次に、これらの発現培養物を蛍光プレートリーダ(励起395nm、発光510nm)を用いてアッセイして、存在するGFPレポータの量を決定した。上位90のクローンを配列決定して、GFPリポーター発現を再試験した。83のクローンが使用可能な配列決定データを産し、続いての分析に使用した。配列決定データを使用して各クローンに存在するリード12マーを決定して、各12マーの発現に対する影響を評価した。クローンLCW546_06およびLCW546_09は優れたN末端として突出していた(表21を参照)。
【0391】
【表21】
[この文献は図面を表示できません]
配列決定および再試験によって、同じ結果を産生するデータにおける同じ配列の非依存性複製物の数個の例も明らかとなり、それゆえアッセイの信頼度が増加した。その上、6つユニークな配列を有する10のクローンはベンチマーククローンより優位であった。これを表22に表示する。これらのクローンがこれらの配列の唯一の出現であることに注目され、いかなる場合もこれらの配列のうちの1つが出現して、ベンチマーククローンに勝てないことがなかった。この6つの配列でさらなる最適化を進めた。
【0392】
【表22-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0393】
【表22-2】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例17)
XTENのN末端延長物の構築−XTEN−AM875およびXTEN−AE864のコンビナトリアル12マーおよび36マーライブラリの構築およびスクリーニング
本実施例は、翻訳の開始を促進し、ヘルパードメインの存在なしでタンパク質のN末端でのXTEN融合物の発現を可能にするための、XTENタンパク質のN末端の最適化ステップについて詳述する。最初の4つのコドンに対する(上掲の実施例を参照、ならびに確立されたN末端12マーおよび36マーの最良の対合に対する(上掲の実施例を参照)選択性を用いて、コンビナトリアル手法に着手して、これらの選択性の組合せ(union)を検査した。これによりXTENタンパク質のN末端に新規48マーが生成され、以前の結果のコンフルエンスの試験が可能となった。その上、これらのリーダー配列がすべてのXTENタンパク質にとって普遍的な解決策となる能力を、XTEN−AE864およびXTEN−AM875の両方の前に新しい48マーを置くことによって評価した。36マーセグメントの125のクローンすべてを使用するあるいは、コンビナトリアルライブラリで最良のGFP発現を有する36マーセグメントの選択した6つのクローンからのプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化して、適切なフラグメントをゲル精製した。クローンAC94(CBD−XTEN_AM875−GFP)およびAC104(CBD−XTEN_AE864−GFP)からのプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化して、適切なフラグメントをゲル精製した。これらのフラグメントを共にライゲーションして、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質転換し、ライブラリLCW0585(−XTEN_AM875−GFP)およびLCW0586(−XTEN_AE864−GFP)のコロニーを得て、該コロニーはまさにN末端において選択された8つの12マーのさらなるクローニングのためのベクターとしての役割も果たし得た。LCW0585およびLCW0586のプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化して、適切なフラグメントをゲル精製した。以前の(第2世代)スクリーニングで最良のGFP発現を有する8つの選択された12マー配列をコードするオリゴヌクレオチドの8対を設計、アニーリングし、NdeI/EcoRI/BsaI消化LCW0585およびLCW0586ベクターによってライゲーションして、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞に形質転換し、最終ライブラリLCW0587(XTEN_AM923−GFP)およびLCW0588(XTEN_AE912−GFP)のコロニーを得た。48のユニークなクローンの理論的多様性を用いて、生成したライブラリから252の個々のコロニーを選び出し、96深ウェルプレート内のスーパーブロス媒体500μl中で一晩、飽和になるまで生育させた。これにより相対的なライブラリの性能および配列選択性を理解するために十分な適用範囲が提供された。一晩飽和させた培養物を使用して、新しい培養物500μlを自己誘導媒体に接種して、そこで培養物を26℃にて一晩生育させた。次に、これらの発現培養物を蛍光プレートリーダ(励起395nm、発光510nm)を用いてアッセイして、存在するGFPレポータの量を決定した。上位36のクローンを配列決定して、GFPリポーター発現を再試験した。36のクローンが使用可能な配列決定データを産し、これらの36のクローンを続いての分析に使用した。配列決定データにより、クローンに存在する12マー、第3コドン、第4コドンおよび36マーが決定され、それらのクローンの多くが同じ配列の非依存性複製物であることが明らかにされた。その上、これらのクローンの再試験結果は値が近接しており、スクリーニングプロセスが頑強であったことが示される。N末端における特定の組み合わせに対する選択性が見られ、ベンチマーク対照よりも高い蛍光値を一貫して産していた(表23および24を参照)。
【0394】
【表23】
[この文献は図面を表示できません]
【0395】
【表24】
[この文献は図面を表示できません]
顕著にはXTEN−AM875のN末端の好ましい組み合わせおよびXTEN−AE864の好ましい組み合わせは同じではなく(表23および24)、開始部位からの150を超えるさらに複雑な相互作用が発現レベルを左右することが示される。好ましいヌクレオチド配列についての配列は表25に挙げられており、好ましいクローンをSDS−PAGEによって分析して独立して発現を確認した。XTEN_AM923およびXTEN_AE912の完全配列をさらなる分析のために選択した。
【0396】
【表25】
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(実施例18)
BPXTEN;例としてXTEN−Ex4を産生および評価する方法
BPXTEN組成物を産生および評価するための一般スキームが図6に表示され、本実施例の概要の基礎を形成する。開示した方法および当業者に公知の方法を例証的な実施例で提供したガイダンスと共に使用すると、当業者は当分野で公知のXTEN、BPおよびBPの変異体を含む一連のBPXTEN融合タンパク質を生成および評価することができる。したがって、本実施例は、方法の単なる例証であり、いかなるやり方でも決して方法を制限するものではないと解釈される;当業者には多くの変形が明らかとなる。本実施例において、モチーフのAEファミリのXTENに連結されたエキセンジン−4(「Ex4」)のBPXTENが生成される。
【0397】
XTENをコードするポリヌクレオチドを産生する一般スキームを図4および5に表示する。図5は、本発明の実施形態の1つにおけるXTENポリヌクレオチド構築物の構築における代表的なステップの概略フローチャートである。個々のオリゴヌクレオチド501は配列モチーフ502、たとえば12アミノ酸モチーフ(「12マー」)にアニーリングされ、12アミノ酸モチーフは続いてBbsIおよびKpnI制限部位503を含有するオリゴとライゲーションされる。モチーフライブラリは、特異的配列XTENファミリ;たとえば表1のAD、AE、AF、AG、AM、またはAQ配列に限定することができる。この場合、AEファミリ(配列番号186−189)のモチーフはモチーフライブラリとして使用され、12マーにアニーリングされて「ビルディングブロック」長;たとえば36アミノ酸をコードするセグメントを生成する。XTEN遺伝子504の所望の長さが達成されるまで「ビルディングブロック」のライゲーションおよび多量体化によって、XTEN配列をコードする遺伝子を構築することができる。図5に示すように、この場合のXTEN長は48アミノ酸残基であるが、より長い長さが本プロセスによって達成できる。たとえば、多量体化は、ライゲーション、重複延長、PCR構築または当分野で公知の同様のクローニング技法によって行うことができる。XTEN遺伝子は、スタッファベクターにクローニングすることができる。図5に例証する実施例において、ベクターはFlag配列506を、続いてBsaI、BbsI、およびKpnI部位507がフランキングするスタッファ配列ならびにBP遺伝子(たとえばエキセンジン−4)508をコードして、BPXTEN500をコードする遺伝子を生じることができ、この場合、該遺伝子は配置N→C末端にて融合タンパク質XTEN−Ex4をコードする。
【0398】
Ex4(または別の候補BP)をコードするDNA配列は、ゲノムライブラリからの、適切な細胞源から調製されたcDNAライブラリから当分野で公知の標準手順によって都合よく得ることができるか、または公に利用可能なデータベース、特許、もしくは参考文献から得たDNA配列を使用して合成的に(たとえば自動化核酸合成)生成され得る。タンパク質のEx4部分をコードする遺伝子またはポリヌクレオチドは次に、構築物、たとえば本明細書に記載する構築物にクローニングすることができ、該構築物は、生物系での高レベルタンパク質発現に適切な転写配列および翻訳配列の制御下でのプラスミドまたは他のベクターであることができる。(48アミノ酸残基を有するAEとして例証された図5の場合)XTEN部分をコードする第2の遺伝子またはポリヌクレオチドは、ライゲーションまたは多量体化ステップにより、Ex4をコードする遺伝子に隣接して、該遺伝子とインフレームの構築物に該第2の遺伝子またはポリヌクレオチドをクローニングすることによって、Ex4遺伝子のN末端をコードするヌクレオチドに遺伝子的に融合させることができる。本方式では、XTEN−Ex4 BPXTEN融合タンパク質をコードする(またはXTEN−Ex4 BPXTEN融合タンパク質に相補的な)キメラDNA分子が構築物内に生成される。構築物を異なる配置で設計して、単量体ポリペプチドとしての融合パートナーを各種の順列でコードすることができる。たとえば順序(N→C末端):Ex4−XTEN;XTEN−Ex4;Ex4−XTEN−Ex4;XTEN−Ex4−XTENの融合タンパク質;ならびに上述の多量体をコードするための、遺伝子を生成することができる。場合により、本キメラDNA分子は、さらに適切な発現ベクターである別の構築物へ移行またはクローン化され得る。この時点で、キメラDNA分子を発現できる宿主細胞はキメラDNA分子によって形質転換される。目的のDNAセグメントを含有するベクターは、上記のように、適切な宿主細胞に周知の方法によって、細胞宿主の種類に応じて移行することができる。
【0399】
XTEN−Ex4発現ベクターを含有する宿主細胞は、プロモータを活性化するために適切に改変された従来の栄養媒体で培養される。培養条件、たとえば温度、pHなどは、発現に選択された宿主細胞によって以前使用された条件であり、当業者には明らかである。融合タンパク質の発現後に、細胞は下記のように、遠心分離によって収集され、物理的または化学的手段によって破壊され、得られた粗抽出物は融合タンパク質の精製のために保持される。宿主細胞によって分泌されたBPXTEN組成物では、遠心分離からの上清が分離され、さらなる精製のために保持される。
【0400】
遺伝子発現は、たとえば従来のサザンブロッティング、mRNAの転写を定量するノーザンブロッティング[Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201−5205(1980)]、ドットブロッティング(DNA分析)、またはインサイチュハイブリダイゼーションによって、適切に標識されたプローブを使用して本明細書で提供する配列に基づいて、試料において直接測定する。あるいは、遺伝子発現は、免疫蛍光方法、例えば遺伝子産物の発現を直接定量するための細胞の免疫組織化学染色によって測定される。免疫組織化学染色および/または試料流体のアッセイに有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのどちらでもよく、任意の哺乳動物で調製され得る。便利には、抗体は、本明細書で提供された配列に基づく合成ペプチドを使用するEx4配列ポリペプチドに対して、またはEx4に融合され、特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。選択可能マーカーのさらなる例は当業者に周知であり、リポーター、たとえば増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−gal)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む。
【0401】
XTEN−Ex4ポリペプチド生成物は、当分野で公知の方法によって精製される。ゲル濾過、親和性精製、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー,サイズ排除クロマトグラフィー,ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー,疎水性相互作用クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動などの手順は、すべてが精製で使用され得る技法である。精製の具体的な方法は、Robert K.Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Charles R.Castor,ed.,Springer−Verlag 1994、およびSambrookら、上掲に記載されている。複数ステップ精製分離もBaronら、Crit.Rev.Biotechnol.10:179−90(1990)およびBelowら、J.Chromatogr.A.679:67−83(1994)に記載されている。
【0402】
図6に例証されるように、単離XTEN−Ex4融合タンパク質は次に、その化学特性および活性特性についてキャラクタリゼーションされる。単離融合タンパク質は、たとえば配列、純度、見かけの分子量、溶解度および安定性について、当分野で公知の標準方法を使用してキャラクタリゼーションされる。予想された標準を満足する融合タンパク質は次に、本明細書で開示する1つ以上のアッセイ;たとえば実施例または表39のアッセイを使用してインビトロまたはインビボで測定することができる活性について、評価される。
【0403】
さらにXTEN−Ex4融合タンパク質は、実施例25に記載されるように、1つ以上の動物種に投与されて標準薬物動態パラメータが決定される。
【0404】
XTEN−Ex4構築物の産生、発現および回収の繰返しプロセス、それに続く本明細書で開示する方法または当分野で公知の他の方法を使用するそのキャラクタリゼーションによって、Ex4およびXTENを含むBPXTEN組成物が当業者によって産生および評価されて、対応する未融合Ex4と比較して増強された全体の治療活性につながる、予想された特性、たとえば溶解度の増強、安定性の増強、薬物動態の改善および免疫原性の低下を確認することができる。所望の特性を所有しないこれらの融合タンパク質では、このような特性を有する組成物を得るためにこれらの方法によって異なる配列を構築、発現、単離および評価することができる。
【0405】
(実施例19)
XTEN融合タンパク質の分析サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー分析を、増加する長さの各種の治療タンパク質および非構造化組換えタンパク質を含有する融合タンパク質に対して行った。例示的なアッセイはTSKGel−G4000 SWXL(7.8mm×30cm)カラムを使用して、該カラム内で40μgの、濃度1mg/mlの精製グルカゴン融合タンパク質を20mMリン酸塩pH6.8、114mM NaClにおいて流速0.6ml/分にて分離した。OD214nmおよびOD280nmを使用して、クロマトグラムプロフィールを監視した。すべてのアッセイのカラム校正は、BioRadからのサイズ排除校正標準を使用して行った;マーカーは、サイログロブリン(670kDa)、ウシガンマグロブリン(158kDa)、ニワトリ卵白アルブミン(44kDa)、ウマミオグロビン(17kDa)およびビタミンB12(1.35kDa)を含む。グルカゴン−Y288、グルカゴン−Y144、グルカゴン−Y72、グルカゴン−Y36の代表的なクロマトグラフィープロフィールは、図15にオーバーレイとして示す。データは、各化合物の見かけの分子量が付着したrPEG配列の長さに比例することを示す。しかしデータは、各構築物の見かけの分子量が球状タンパク質で予想される分子量よりも顕著に大きい(同じアッセイの標準タンパク質泳動との比較により示されるように)ことも示す。評価したすべての構築物のSEC分析に基づいて、見かけの分子量、見かけの分子量係数(見かけの分子量の計算した分子量に対する比として表現される)および流体力学半径(nMでのR)を表26に示す。結果は、576以上のアミノ酸の異なるXTENの組み入れが、融合タンパク質のおおよそ339kDa〜760kDaの見かけの分子量を与えることと、864以上のアミノ酸のXTENがおおよそ800kDA超の見かけの分子量を与えることとを示している。実際の分子量に対する見かけの分子量の比例的増加の結果は、少なくとも4倍の増加および約17倍もの高い比を有する、複数の異なるモチーフファミリ;すなわちAD、AE、AF、AG、およびAMからのXTENを有する生成された融合タンパク質に一致していた。その上、576以上のアミノ酸を有するXTEN融合パートナーのグルコース調節ペプチドを有する融合タンパク質への組み入れは、おおよそ3〜5nmの糸球体孔径を十分に超える7nm以上の流体力学半径によって生じた。したがって、グルコース調節ペプチドおよびXTENを含む融合タンパク質が腎クリアランスを低下させて、対応する未融合生物活性タンパク質と比べて、最終半減期の増加および治療または生物製剤効果の改善に寄与することが結論付けられる。
【0406】
【表26】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例20)
カニクイザルにおけるGFPに融合された延長ポリペプチドの薬物動態
カニクイザルにおけるGFP−L288、GFP−L576、GFP−XTEN_AF576、GFP−XTEN_Y576およびXTEN_AD836−GFPの薬物動態を試験して、非構造化ポリペプチドの組成および長さのPKパラメータに対する効果を決定した。注射後の各種の時点で血液試料を分析して、血漿中のGFPの濃度を、捕捉のためのGFPに対するポリクローナル抗体および検出のための同じポリクローナル抗体のビオチン化調製物を用いたELISAによって測定した。結果を図23にまとめる。結果は、XTEN配列の長さの増加と共に、半減期の驚くべき増加を示す。たとえばGFP−XTEN_L288(XTENに288アミノ酸残基を有する)では、10時間の半減期が決定された。576アミノ酸に対する非構造化ポリペプチド融合パートナーの長さが2倍になると、複数の融合タンパク質構築物、すなわちGFP−XTEN_L576、GFP−XTEN_AF576、GFP−XTEN_Y576で半減期が20〜22時間に増加した。836残基に対する非構造化ポリペプチド融合パートナーの長さのさらなる増加は、XTEN_AD836−GFPで72〜75時間の半減期を生じた。それゆえ288残基から576残基への288残基のポリマー長の増加は、インビボ半減期を約10時間増加させた。しかし、576残基から836残基への260残基のポリペプチド長の増加は半減期を50時間超増加させた。これらの結果は、インビボ半減期の比例的増大よりも大きい増大を生じる、非構造化ポリペプチド長の驚くべき閾値があることを示す。それゆえ、延長非構造化ポリペプチドを含む融合タンパク質は、より短い長さのポリペプチドと比較して薬物動態増強特性を有することが予想される。
【0407】
(実施例21)
XTENの血清安定性
GFPのN末端に融合されたXTEN_AE864を含有する融合タンパク質をサル血漿およびラット腎臓溶解物中37℃にて最長7日間インキュベートした。図13に示すように、試料を第0、1および7日に採取して、SDS PAGEによって分析し、ウェスタン分析による検出およびGFPに対する抗体による検出を続けた。XTEN_AE864の配列は、血漿中での7日間にわたって、分解の徴候は無視できるものであった。しかし、XTEN_AE864はラット腎臓溶解物中で3日間にわたって迅速に分解された。融合タンパク質のインビボ安定性を上記のように、GFP_AE864が免疫沈降された血漿試料で試験して、SDS PAGEで分析した。注射後最大7日まで採取した試料は、分解の徴候をほとんど示さなかった。結果によって、BPXTEN融合タンパク質の薬物動態特性の増強における因子である血清プロテアーゼによる分解に対する、BPXTENの抵抗性を証明する。
【0408】
(実施例22)
BPXTEN構成要素XTEN_IL−1ra遺伝子およびベクターの構築
153aaのヒトIL−1raをコードする遺伝子をプライマ5’−ATAAAGGGTCTCCAGGTCGTCCGTCCGGTCGTAAATC(配列番号756)および5’−AACTCGAAGCTTTTATTCGTCCTCCTGGAAGTAAAA(配列番号757)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅して、これによりXTENデスティネーションベクターのスタッファにフランキングするBbsIおよびHindIII部位と適合性である、フランキングBsaIおよびHindIII(下線)制限部位を導入した(図7C)。XTENデスティネーションベクターは、カナマイシン抵抗性遺伝子を含有して、セルロース結合ドメイン(CBD)−XTEN−緑色蛍光タンパク質(GFP)の形式の、NovagenからのpET30誘導体であり、GFPはC末端にてペイロードをクローニングするためのスタッファである。XTENデスティネーションベクターのGFPをIL−1raコードフラグメントで置き換えることによって、構築物を生成させた(図7)。XTENデスティネーションベクターは、CBDの上流のT7プロモータ、それに続くスタッファGFP配列の上流にてインフレームで融合されたXTEN配列を特色とする。用いたXTEN配列は、それぞれ875、1318、875および864アミノ酸の長さを有するAM875、AM1318、AF875およびAE864である。BbsIおよびHindIIIエンドヌクレアーゼを使用する制限消化によって、スタッファGFPフラグメントを除去した。T4 DNAリガーゼを使用して、BsaIおよびHindIII制限消化IL−1ra DNAフラグメントをBbsIおよびHindIII消化XTENデスティネーションベクターにライゲーションして、ライゲーション混合物を電気穿孔によって大腸菌株BL21(DE3)Gold(Stratagene)に形質転換した。抗生物質カナマイシンを含有するLBプレートで成長する能力によって、形質転換体を同定した。プラスミドDNAを選択したクローンから単離して、制限分析およびDNA配列決定によって確認した。最終ベクターはT7プロモータの制御下でCBD XTEN_L−1ra遺伝子を産し、CBDは改変(engineered)TEV切断部位によって末端で切断されてXTEN_IL1−raを生じる。C末端にて異なるXTENに融合されたIL−1raを有する各種の構築物は、AC1723(CBD−XTEN_AM875−IL−1ra)、AC175(CBD−XTEN_AM1318−IL−1ra)、AC180(CBD−XTEN_AF875−IL−1ra)、およびAC182(CBD−XTEN_AE864−IL−1ra)を含む。
【0409】
(実施例23)
XTEN_AM875およびXTEN_AE864に融合されたヒトインターロイキン−1受容体アゴニスト(IL−1ra)の発現、精製、およびキャラクタリゼーション
細胞培養物の産生
スターター培養物は、AE864、AM875、またはAM1296に融合されたIL−1raをコードするプラスミドを担持する大腸菌のグリセロールストックを、40ug/mLカナマイシンを含有する100mLの2xYT媒体に接種することによって調製した。培養物を次に37℃にて一晩振とうした。100mLのスターター培養物を使用して、40μg/mLカナマイシンを含有する25リットルの2xYTに接種し、37℃にてOD600が約1.0に達するまで(5時間にわたって)振とうした。温度を次に26℃まで低下させて、1.0mMの最終濃度のIPTGによってタンパク質発現を誘導した。培養物を次に26℃にて一晩振とうした。細胞を遠心分離によって収集して、合計200グラムの細胞ペーストを産した。ペーストは使用するまで−80℃にて凍結貯蔵した。
【0410】
IL−1ra−XTEN_AE864またはIL−1ra−AM875を含むBPXTENの精製
細胞ペーストを20mMトリスpH6.8、50mM NaClに、細胞ペースト1グラム当たり4mlのバッファーの比で懸濁させた。細胞ペーストを次に、トップスターラーを使用してホモジナイズした。20000psiにてマイクロフルイダイザに試料を1回通過させることによって、細胞溶解を達成した。Sorvall G3Aロータで12000rpmにて20分間遠心分離することにより、溶解物を清澄にした。
【0411】
20mMトリスpH6.8、50mM NaClで平衡させた800mlのMacrocap Qアニオン交換樹脂(GE Life Sciences)に、清澄溶解物を直接適用した。カラムを50mM、100mM、および150mM NaClを含有するトリスpH6.8バッファーによって続けて洗浄した。生成物を20mMトリスpH 6.8、250mM NaClによって溶出させた。
【0412】
250mLオクチルセファロースFFカラムを平衡化バッファー(20mMトリスpH6.8、1.0M NaSO)によって平衡化した。固体NaSOをMacrocap Q溶出物プールに添加して、1.0Mの最終濃度を達成した。結果として生じる溶液を濾過して(0.22ミクロン)、HICカラムにロードした。カラムを次に、10CVの平衡化バッファーで洗浄して、未結合のタンパク質および宿主細胞DNAを除去した。生成物を次に、20mMトリスpH6.8、0.5M NaSOによって溶出させた。
【0413】
プールしたHIC溶出物画分を次に、20mMトリスpH7.5によって希釈して、5.0ミリオーム未満の導電率を達成した。希薄生成物を、20mMトリスpH7.5、50mM NaClによって平衡化した300ml QセファロースFFアニオン交換カラムにロードした。
【0414】
バッファー交換タンパク質を次に、Pellicon XL Biomax 30000mwcoカートリッジを使用して限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)によって30mg/ml超まで濃縮した。0.22ミクロンのシリンジフィルタを使用して、濃縮物を滅菌濾過した。最終溶液を等分割して−80℃で貯蔵し、以下に続く実験に使用した。
【0415】
SDS−PAGE分析
2および10mcgの最終精製タンパク質に、InvitrogenからのNuPAGE4−12%ビス−トリスゲルを製造者の仕様書に従って使用して、非還元SDS−PAGEを受けさせた。結果(図14)は、約160kDaの適切なMWを有するIL−1ra−XTEN_AE864組成物が、上で詳述したプロセスによって回収されたことを示す。
【0416】
分析サイズ排除クロマトグラフィー
Phenomenex BioSEP SEC S4000(7.8×300mm)カラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィー分析を行った。1mg/mlの濃度の、20μgの精製タンパク質を20mMトリス−Cl pH 7.5、300mM NaClにおいて0.5ml/分の流速で分離した。214nmおよび280nmにおける吸光度によって、クロマトグラムプロフィールを監視した。カラム校正は、BioRadによるサイズ排除校正標準を使用して行い、マーカーは、サイログロブリン(670kDa)、ウシガンマグロブリン(158kDa)、ニワトリ卵白アルブミン(44kDa)、ウマミオグロビン(17kDa)およびビタミンB12(1.35kDa)を含む。IL−1ra−XTEN_AM875の代表的なクロマトグラフプロフィールを図15に示し、校正標準を破線で示し、IL−1ra−XTEN_AM875を実線によって示す。データは、上記のように、各構築物の見かけの分子量が、球状タンパク質で予想される分子量よりも著しく大きく(同じアッセイの標準タンパク質泳動との比較により示されるように)、SDS−PAGEによって決定された分子量よりも顕著に大きい見かけの分子量を有することを示す。
【0417】
分析RP−HPLC
Vydac Protein C4(4.6×150mm)カラムを使用して、分析RP−HPLCクロマトグラフィー分析を行った。カラムをHPLCグレードの水中の0.1%トリフルオロ酢酸によって1ml/分の流速にて平衡化した。0.2mg/mlの濃度の10マイクログラムの精製タンパク質を別個に注射した。タンパク質を0.1%TFA中5%〜90%アセトニトリルの直線勾配で溶出させた。OD214nmおよびOD280nmを使用して、クロマトグラムプロフィールを監視した。IL−1ra−XTEN_AM875の代表的なバッチのクロマトグラムを図16に示す。
【0418】
IL−1受容体結合
IL−Ira−含有XTEN融合タンパク質の活性を評価するために、ELISAに基づく受容体結合アッセイを使用した。ここでCostar 3690アッセイプレートのウェルをウェル当り50ngの、ヒトIgGのFcドメインに融合されたマウスIL−1受容体(IL−1R/Fc,R&D Systems)で一晩コーティングした。続いてウェルを3%BSAでブロッキングして、固相との非特異的相互作用を防止した。ウェルを十分に洗浄した後、IL−1ra−XTEN_AM875、XTEN_AM875−IL−1ra、またはIL−1ra(アナキンラ)の任意の希釈系列をウェルに適用した。結合反応を室温にて2時間進行させた。未結合Il−1raを反復洗浄によって除去した。結合IL−1raおよびIL−1ra−XTEn融合物をビオチン化抗ヒトII−1ra抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体化ストレプトアビジンによって検出した。反応物をTMB基質によって室温にて20分間展開させた(developed)。0.2N硫酸の添加によって色展開を停止させた。450nmおよび570nmにおける各ウェルの吸光度をSpectrMax 384Plus分光光度計で記録した。補正吸光度シグナル(Abscorr=Abs450nm−Abs570nm)をIL−1ra−XTENまたはIL−Ira濃度の関数としてプロットして、図17に示すように結合等温線を産生した。
【0419】
IL−1受容体に対する各融合タンパク質の結合親和性を推定するために、結合データをS字状用量反応曲線に当てはめた。データの当てはめから、各構築物のEC50(シグナルが最大半量であるIL−1raまたはIL−1ra−XTENの濃度)を決定した。図17に示すように、ペイロードがXTENのN末端に付着されたIL−1ra−XTEN_AM875のEC50は、未改変IL−1raと同程度であった(アナキンラEC50=0.013nM、IL−1ra−XTEN_AM875EC50=0.019nM)。ペイロードがXTENのC末端に付着されたXTEN_AM875−IL−1raは、IL−1raよりもおおよそ15倍高いEC50(0.204nM)を有するより弱い結合を提示した。陰性対照XTEN_hGH構築物は、実験条件下で結合を示さなかった。
【0420】
XTENによるIL−1raの熱安定性
タンパク質治療薬の血清半減期を延長することに加えて、XTENポリペプチドは、それが融合されるペイロードの熱安定性を改善する特性を有する。たとえばXTENポリペプチドの親水性の性質は、凝集を低下または防止し、それゆえペイロードタンパク質の再折畳みに有利であり得る。XTENのこの特色は、多種多様のタンパク質治療薬のための室温で安定な調合物の開発を補助し得る。
【0421】
XTENコンジュゲーションによって与えられたIL−1raの熱安定性を証明するために、1リットル当たり200マイクロモルのIL−1ra−XTENおよび組換えIL−1raを25℃および85℃にて15分間インキュベートして、その時点であらゆる不溶性のタンパク質は遠心分離によって迅速に除去した。次に可溶性画分を図18に示すようにSDS−PAGEによって分析した。加熱後にIL−1ra−XTENのみが可溶性のままであるが、これに対して組換えIL−1ra(融合パートナーとしてのXTENがない)は加熱後に完全に沈殿したことに注目する。
【0422】
IL−1ra−XTENのIL−1受容体結合活性を上記の熱処理後に評価した。上記のように受容体結合を行った。熱処理によって完全に変性した組換えIL−1raは、熱処理後のその受容体活性の0.1%未満を保持した。しかしIL−1ra−XTENは、その受容体結合活性のおおよそ40%を保持した(図19)。これらのデータは共に、XTENポリペプチドがそのペイロード融合パートナーの熱誘導変性を防止できることを証明して、XTENが安定化特性を有するという結論を裏付けている。
【0423】
(実施例24)
IL−1raおよびXTENを含む融合タンパク質のPK分析
各融合タンパク質のインビボ薬物動態パラメータを決定するために、BPXTEN融合タンパク質IL−1ra_AE864、IL−1ra_AM875、およびIL−1ra_AM1296をカニクイザルにおいて評価した。すべての組成物を水性バッファー中で得て、皮下(SC)経路で個々の動物(n=4/群)に1mg/kgおよび/または10mg/kg単回用量を使用して投与した。血漿試料を投与後の各種の時点で採取して、被験物質(test article)の濃度を分析した。分析はサンドイッチELISA形式を使用して行った。ウサギポリクローナル抗XTEN抗体をELISAプレートのウェルにコーティングした。ウェルをブロッキング、洗浄して、血漿試料を次に様々な希釈度で、ウェル中でインキュベートして、コート抗体による化合物の捕捉を可能にした。ウェルを広範囲に洗浄して、ポリクローナル抗IL−1ra抗体のビオチン化調製物およびストレプトアビジンHRPを使用して、結合タンパク質を検出した。各血清希釈度での比色反応を標準曲線に対して比較することによって、被験物質の濃度を各時点で計算した。薬物動態パラメータは、WinNonLinソフトウェアパッケージを使用して計算した。
【0424】
図20は4つのIL−1ra含有構築物の濃度プロフィールを示し、計算したPKパラメータを表27に示す。皮下投与の後、最終半減期は、336時間の期間にわたる各種の調製物について、おおよそ15〜28時間であると計算された。参考のために、未改変IL−1raの公開されている半減期は、文献にはヒト成人で4〜6時間として十分に記載されている。
【0425】
結論:IL−1raを含むBPXTEN融合タンパク質への異なるXTEN配列の組み入れによって、霊長類モデルで証明されたように、3つすべての組成物で薬物動態パラメータの顕著な増強が生じ、このような融合タンパク質組成物の有用性が証明される。
【0426】
【表27】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例25)
エキセンジン−4およびXTENを含む融合タンパク質のPK分析
単回皮下投薬後の融合タンパク質のインビボ薬物動態パラメータを決定するために、BPXTEN融合タンパク質Ex4_AE864をカニクイザルにおいて評価した。
【0427】
方法:BPXTEN融合タンパク質を20mMトリス、pH7.5、135mM NaCl中で2種類の濃度;8mg/mLおよび40mg/mLに調合した。サル4頭(オス2頭およびメス2頭、2〜6kg)の3群それぞれに1mg/kg(1群、0.125mL/kg)、1mg/kg(2群、0.025mL/kg)、または5mg/kg(3群、0.125mL/kg)を、各動物の背中の肩甲部における皮膚と組織の基底層との間へのボーラス注入によって投薬した。連続血液試料(1ml±0.5ml)を以前に順応させた動物の大腿静脈または動脈から、14日間にわたって、麻酔(aesthesia)を用いずにチェア拘束を利用してシリンジによって採取した。必要な場合は、チェア拘束を最大30分間利用した。すべての動物を投薬前の一晩および血液試料採取の最初の4時間を通して絶食させた(食物は、適用可能な場合、4時間の採取間隔の最後の血液試料の採取後30分以内に戻した)。各血液試料をへパリン血漿セパレータに採取して、遠心分離まで氷(2℃〜8℃)でおおよそ5分間保管した。血液試料を遠心分離して(8,000xgで5分間)、血漿をポリプロピレンチューブに移した。血漿試料を急速凍結させて、アッセイまでおおよそ−70℃にて貯蔵した。分析はサンドイッチELISA形式を使用して行った。
【0428】
結果:サルの薬物動態パラメータを計算して、結果を表28で表にした。すべての動物の実験未使用の(naive)プーリングの両方を使用して、および標準2段階分析を使用して、薬物動態パラメータ分析した。結果は、Tmax、Cmax、AUCおよび分布容積(Vz)の値によって明示されるように、1群対2群の投与された用量体積に基づく融合タンパク質の吸収の差を示す。しかし、計算した半減期値は3つの群で同程度であり、2.4時間のエクセナチドの報告された最終半減期を大きく超えている。
【0429】
【表28】
[この文献は図面を表示できません]
結論:BPXTEN融合物を生成するためのエキセンジン−4のXTENへの連結によって、霊長類モデルで証明されたように、3つすべての調合物で、半減期の少なくとも30倍の増加と共に薬物動態パラメータの顕著な増強が生じ、このような融合タンパク質組成物の有用性が証明される。
【0430】
(実施例26)
食餌誘発性肥満マウスモデルにおけるBPXTENの使用
XTENに連結されたグルコース調節ペプチド併用療法の効果を食餌誘発性肥満のマウスモデルにおいて評価して、単一BPXTEN組成物としての単量体融合タンパク質の固定併用の有用性を確認した。
【0431】
方法:Y−288−XTENに連結されたグルカゴン(「Gcg−XTEN」)およびAE576−XTENに連結されたエクセナチド(「Ex4−XTEN」)の併用療法またはエクセナチド単独の効果を、10週齢のオスC57BL/6J食餌誘発性肥満(DIO)マウスで試験した。60%高脂肪食で飼育したマウスを処置群(群当りn=10)Ex4−XTEN864(10mg/kg IP Q2D)、Ex4−XTEN864(20mg/kg IP Q4D)、Ex4−XTEN864(10mg/kg IP Q2D)プラスGcg−XTEN288(20μg/kg IP BID)、およびEx4−XTEN864(20mg/kg IP Q4D)プラスGcg−XTEN288(40μg/kg IP QlD)に無作為化した。20mMトリスpH7.5、135mM NaCl IP Q1Dで処置したプラセボ群(n=10)を並行して試験した。すべての群に28日間続けて投薬した。試験を通じて体重を定期間隔で監視して、空腹時血中グルコースを処置期間の前後に測定した。群には、28日間の処置期間にわたって続けて投薬した。試験を通じて体重を続けて監視して、空腹時血中グルコースを処置期間の前後に測定し、脂質レベルを処置期間後に決定した。
【0432】
結果:結果を図21〜22に示す。データは、1ヶ月にわたる連続投薬が、試験の経過にわたって、プラセボと比べて、Gcg−XTEN単独およびEx4−XTEN単独で処置した動物において体重増加の顕著な低下を産することを示している。さらにEx4−XTENを、またはGcg−XTENおよびEx4−XTENを同時に投薬された動物は、Gcg−XTENを単独で投与された動物と比較しておよびプラセボを投与された動物と比較して、統計的に有意なより大きい体重減少を示した。グルカゴン投与の毒性作用は、十分に記録されている。ラットおよびビーグル犬における、1mg/kg/日として最近報告されたグルカゴンの最大無作用量は、両方の種で明確な無毒性影響量と見なされた(Eistrup C,Glucagon produced by recombinant DNA technology: repeated dose toxicity studies,intravenous administration to CD rats and beagle dogs for four weeks.Pharmacol Toxicol.1993 Aug;73(2):103−108)。
【0433】
データは、1ヶ月にわたる連続投薬が、プラセボに比べてEx4−XTEN単独で処置された動物では空腹時血中グルコースの顕著な低下を産したが、Gcg−XTEN単独で処置した動物では産しなかったことも示す。しかし、Gcg−XTENおよびエクセナチドの両方を同時に投薬した動物は、単独で投与されたどちらかのグルコース調節ペプチドと比較して、空腹時血中グルコースレベルの統計的有意なより大きな低下を示した。注目すべきは、Ex4−XTENと併用されて有益な効果を生じたGcg−XTEN組成物の用量が、げっ歯動物種においてグルカゴン単独について報告された無作用量の少なくとも25分の1である、20および40μg/kgであったことである(完全融合タンパク質組成物の重量)。
【0434】
結論:データは、XTENに連結されたグルコース調節ペプチドの2つの融合タンパク質による併用療法が、単一のグルコース調節ペプチドで見られるよりも有益な相乗効果をもたらし得ることを裏付けており、それゆえ、単一の生物製剤の投与と比較して、組み合わせ組成物の投与により、投薬頻度または投薬量を低下させることができ、毒性または許容されない副作用の脅威を低下させることができる。
【0435】
(実施例27)
カニクイザルにおけるEx4−XTEN BPXTENのPK分析
Ex4−AE864 BPXTENの薬物動態を、0.5mg/kgのBPXTENの1分間にわたる皮下または静脈内注射によってBPXTENを投与されたカニクイザル(1群あたり3頭)において決定した。血漿試料を注射14日後までの各種の時点で採取して、被験物質の血清濃度および免疫原性の両方を決定するためにELISAで分析した。Ex4−AE864の抗被験物質抗体反応は、投与後にいずれの動物でも観察されなかった。サンドイッチELISAを100ng捕捉抗体(ウサギ抗エクセナチド、Peninsula Laboratories、San Carlos, CA)のポリスチレン・マイクロタイター・プレート(Costar 3690,Corning Inc、Corning, N.Y.)の各ウェルへの12時間超の動員、それに続く3%ウシ血清アルブミン(BSA)によるブロッキングによって行った。PBSによる3回の洗浄後、血漿試料を、1%BSAおよび0.5%Tween20を含有するPBS中でプレート全体にわたって連続滴定した。2時間のインキュベーションおよび洗浄後に、試料をビオチン化IgG(インハウスでビオチン化したウサギ抗エクセナチド、Peninsula Laboratories、San Carlos, CA)の各ウェルへの添加によってプローブした。インキュベーションおよび洗浄の後、プレートをホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体化ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific、Rockford,IL)、それに続くテトラメチルベンジン基質(Neogen Corporation、Lexington, KY)で展開させて、次に0.2N HSOによって反応停止して、450nmにて読み取った。ノンコンパートメント薬物動態パラメータは、WinNonLinプログラム、Version 2.1(Pharsight Corporation,Mt.View,CA)を使用して計算した。
【0436】
結果を図25に描く。構築物の本調合物の最終半減期は60時間であり、皮下注射による生物学的利用能は80%であった。これは市販版のエキセンジン−4であるByetta(登録商標)で報告された2.4時間の半減期と同程度である。重要なことに、XTEN融合タンパク質の特徴であるとみなされる低速吸収期(slow absorption phase)は皮下注射後に認められた。吸収期は、注射後の24〜48時間のCmaxおよび線形消失期に達する前の約100時間にわたる本質的に平坦な血清濃度プロフィールを生じた。
【0437】
結論:結果から、グルコース調節ペプチド、たとえばエキセンジン−4へのXTENの付加は、XTENに連結されていないペプチドと比較して最終半減期を大きく増加させて、他の薬物動態パラメータも同様に増強できることが結論付けられる。
【0438】
(実施例28)
複数の種でのEx4−XTEN BPXTENのPK分析および予測ヒト半減期
XTENに融合された治療タンパク質のヒトにおける予測薬物動態プロフィールを決定するために、単一の融合ポリペプチドとしてAE864 XTENに融合されたエキセンジン−4を使用して試験を行った。このEx4−XTEN構築物を4つの異なる動物種に0.5〜1.0mg/kgにて皮下および静脈内投与した。投与後に間隔を置いて血清試料を採取し、標準方法を使用して血清濃度を決定した。各種の半減期を決定して、表29で表にした。結果を使用して、最終半減期の相対スケーリング、分布容積、および平均体重に基づくクリアランス速度を用いて、ヒト半減期を予測した。図26Aは、動物種における測定した最終半減期対体重のプロットを示し、75kgヒトでの予測T1/2は、エクセナチドで報告された2.4時間の半減期と比較して140時間である(Bond,A.Proc(Bayl Univ Med Cent)19(3):281−284.(2006))。図26Bは、測定した薬物クリアランス対体重を示し、75kgのヒトでの予測クリアランス速度値は30ml/時間である。図26Cは、測定した分布容積対体重を示し、75kgのヒトでの予測値は5970mlである。
【0439】
結論:結果から、グルコース調節ペプチド、たとえばエキセンジン−4へのXTENの付加は、XTENに連結されていないペプチドと比較して最終半減期を大きく増加させられることと、同程度の半減期を有するBPXTEN調合物が、毎週の、1週おきの、またはなお1ヶ月間隔での投薬による、グルコース調節ペプチドの市販製品で現在用いられるよりもかなり低い頻度の投薬を可能にすることが結論付けられる。
【0440】
【表29】
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(実施例29)
XTENへの連結によるBPの溶解度および安定性の増加
XTENが溶解度および安定性の物理/化学特性を増強する能力を評価するために、より短い長さのXTENを含むグルカゴンの融合タンパク質を調製して評価した。この被験物質を中性pHのトリス緩衝食塩水で調製して、Gcg−XTEN溶液のキャラクタリゼーションは逆相HPLCおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって、タンパク質は溶液中で均質であり、凝集していないことを確認した。データを表30に表示する。比較の目的で同じバッファーにおける未改変グルカゴンの溶解度限界を60μM(0.2mg/mL)にて測定して、結果により、付加したXTENのすべての長さで溶解度の実質的な増加が獲得されたことが証明される。重要なことに、大半の場合でグルカゴン−XTEN融合タンパク質は、標的濃度を達成するように調製され、所与の構築物の最大溶解度限界を決定するように評価されなかった。しかし、AF−144 XTENに連結されたグルカゴンの場合、溶解度限界が決定され、結果として、XTENに連結されていないグルカゴンと比較して、60倍の溶解度の増加が達成された。さらにグルカゴン−AF144 BPXTENは、安定性について評価され、液体調合物において冷蔵条件下で少なくとも6ヶ月間および37℃でおおよそ1ヶ月間安定であることが見出された(データは示さず)。
【0441】
結論:データは、グルカゴンなどの生物活性タンパク質への短い長さのXTENポリペプチドの連結が、得られた融合タンパク質によってタンパク質の溶解性特性を顕著に増強し、ならびにより高いタンパク質濃度において安定性を与えられるという結論を裏付けている。
【0442】
【表30-1】
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【0443】
【表30-2】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例30)
BPXTENの2次構造のキャラクタリゼーション
BPXTEN Ex4−AE864を円偏光二色性分光法によって2次構造の程度について評価した。CD分光法は、Jasco Peltier温度コントローラ(TPC−348WI)を装備したJasco J−715(Jasco Corporation、Tokyo, Japan)分光偏光計で行った。タンパク質濃度を20mMリン酸ナトリウムpH7.0、50mM NaCl中で0.2mg/mLに調整した。実験は、光路長0.1cmのHELLMA石英セルを使用して行った。CDスペクトルを5℃、25℃、45℃、および65℃にて取得して、J−700 version 1.08.01(Build 1)Jasco software for Windows(登録商標)を使用して処理した。CD測定を行う前に、試料を各温度にて5分間平衡化した。すべてのスペクトルは帯域幅1nmおよび時間定数2秒を使用して、走査速度100nm/分にて300nm〜185nmまでを2連で記録した。図24に示すCDスペクトルは、安定な2次構造の証拠を示さず、非構造化ポリペプチドと一致している。
【0444】
(実施例31)
グルカゴンおよびEx4 BPXTEN構築物の生物活性
BPXTEN融合タンパク質としてそれぞれY288に連結された精製グルカゴンおよびエキセンジン−3を生物活性について、インビトロ細胞アッセイを使用してアッセイした。簡潔には、ChemiScreen安定カルシウム最適化グルカゴン受容体細胞系統を、グルカゴンおよびグルカゴン−XTEN構築物のリアルタイムカルシウム動員アッセイに使用して、天然GLP−1受容体を発現する最適化エキセンジン−4受容体細胞系統をエキセンジン−4およびEx4構築物に使用した。本系において、細胞は天然受容体を発現して、本受容体の活性化は、FLIPR装置を使用して検出できる細胞内でのカルシウム流動を生じる。図27に示すように、天然グルカゴンは、用量依存方式でシグナルの増加を生じる。本系における天然グルカゴンのEC50は、4.1nMであることが見出された。グルカゴン−Y288構築物の滴定は、同程度の応答曲線を産し、EC50は72nMであった。図28に示すように、2つの異なる市販元(AnaspecおよびTocris)からの天然エキセンジン−4は、用量依存方式でシグナルの増加を生じ、EC50(破線で示す)はそれぞれ75pMおよび110pMであった。エキセンジン−4−Y576構築物の滴定は、同程度の応答曲線を産し、EC50は98pMであり、補助タンパク質の融合が全生物活性を保持することが示された。
【0445】
結論:結果により、非構造化組換えタンパク質へのグルコース調節ペプチドの融合が生物活性を保持する組成物を生じることが示される。
【0446】
(実施例32)
hGH_XTEN−AE遺伝子およびhGH_XTEN−AM遺伝子およびベクターの構築
hGHをコードする遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅して、これによりXTENデスティネーションベクターのスタッファにフランキングするNdeIおよびBsaI部位と適合性である、NdeIおよびBbsI制限部位を導入した。pXTENプラスミドは、スタッファ−XTENの形式のNovagenからのpET30誘導体であり、スタッファは緑色蛍光タンパク質(GFP)またはCBDのどちらかであることができ、XTENは36〜576以上の任意の長さであることができる。pXTENのスタッファ配列をhGHコードフラグメントで置き換えることによって、構築物を生成させた。pXTENは、スタッファ配列の上流のT7プロモータ、およびスタッファ配列の下流にてインフレームで融合されたXTEN配列を特色とする。用いたXTEN配列は、ファミリXTEN_AEまたはXTEN_AMに属し、36、72、144、288、576、864、875および1296アミノ酸を含む長さをコードする。NdeIおよびBsaIエンドヌクレアーゼを使用する制限消化によって、スタッファフラグメントを除去した。T4DNAリガーゼを使用して、制限消化hGH DNAフラグメントを切断pXTENベクターにライゲーションし、BL21(DE3)Gold(Stratagene)中へと電気穿孔した。形質転換体をDNAミニプレップによってスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列決定によって確認した。最終ベクターはT7プロモータの制御下でhGH_XTEN遺伝子を産する。
【0447】
(実施例33)
XTEN−AE_hGH遺伝子およびXTEN−AM_hGH遺伝子およびベクターの構築
hGHをコードする遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅して、これによりXTENデスティネーションベクターのスタッファにフランキングするBbsIおよびHindIII部位と適合性である、BbsIおよびHindIII制限部位を導入した。pCBD−XTENプラスミドは、セルロース結合ドメイン(CBD)−XTEN−スタッファの形式のNovagenからのpET30誘導体であり、スタッファは緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、XTENは36〜576以上の任意の長さであることができる。pCBD−XTENのスタッファ配列をhGHコードフラグメントで置き換えることによって、構築物を生成させた。pCBD−XTENは、CBDの上流のT7プロモータ、それに続くスタッファ配列の上流にてインフレームで融合されたXTEN配列を特色とする。用いたXTEN配列は、ファミリXTEN_AEおよびXTEN_AMに属し、36、72、144、288、576、864、875および1296アミノ酸を含む長さをコードする。BbsIおよびHindIIIエンドヌクレアーゼを使用する制限消化によって、スタッファフラグメントを除去した。T4 DNAリガーゼを使用して、制限消化hGH DNAフラグメントを切断pCBD−XTENベクターにライゲーションし、BL21(DE3)Gold(Stratagene)中へと電気穿孔した。形質転換体をDNAミニプレップによってスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列決定によって確認した。最終ベクターはT7プロモータの制御下でCBD_XTEN_hGH遺伝子を産する。
【0448】
(実施例34)
XTEN−AE_hGH_XTEN−AE_hGH遺伝子およびベクターの構築
hGHをコードする遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅して、これによりXTENデスティネーションベクターのスタッファにフランキングするBbsIおよびBsaI部位に適合性である、BbsIおよびBsaI制限部位を導入した。pNTS−XTENプラスミドは、48アミノ酸のN末端XTEN発現配列の形式のNovagenからのpET30誘導体であり、スタッファは緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、XTENは36〜576以上の任意の長さであることができる。pCBD−XTENのスタッファ配列をhGHコードフラグメントで置き換えることによって、構築物を生成させた。pNTS−XTENは、NTSの上流のT7プロモータ、それに続くスタッファ配列の上流にてインフレームで融合されたXTEN配列を特色とする。用いたXTEN配列は、ファミリXTEN_AEに属し、36、72、144、288、576、864、および1296アミノ酸を含む長さをコードする。BbsIおよびBsaIエンドヌクレアーゼを使用する制限消化によって、スタッファフラグメントを除去した。T4 DNAリガーゼを使用して、制限消化hGH DNAフラグメントを切断pNTS−XTENベクターにライゲーションし、BL21(DE3)Gold(Stratagene)中へと電気穿孔した。いくつかの場合において、144または288アミノ酸の第2のXTEN_AE配列をhGH遺伝子のC末端にライゲーションした。形質転換体をDNAミニプレップによってスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列決定によって確認した。最終ベクターはT7プロモータの制御下でNTS_XTEN_hGH遺伝子またはNTS_XTEN_hGH_XTEN遺伝子を産する。
【0449】
(実施例35)
GH_XTEN構築物の精製
タンパク質発現
上記のプラスミドをBL21(DE3)−Gold大腸菌株(Novagen)に形質転換して、適切な抗生物質を含むLB寒天プレートに蒔き、37℃にて一晩生育させた。単一のコロニーを5mlのTB125媒体に接種して、37℃にて一晩生育させた。翌日、接種物を、500mlのTB125を有する2L容器中へと変え(transformed)、OD=O.6に達するまで生育させて、続いて0.1mM IPTGを用いて26℃にて16時間にて引き続き生育させた。
【0450】
細胞を遠心分離によって採取して、細胞ペレットを5mMトリスpH=8.0、100mM NaClを含有する50mlバッファーに再懸濁させた。超音波処理細胞破壊器を使用して細胞を破壊して、細胞片を15000RPMの遠心分離で4℃にて除去した。次に溶解物のpHを酢酸によってpH4.5に調整して、夾雑宿主細胞タンパク質を沈殿させ、続いて遠心分離により清澄にした。清澄になった酸処理溶解物を次にDE52アニオン交換クロマトグラフィーカラムに適用して、NaClで溶解させた。溶出した画分を次に、pH4.0までさらに酸性化して、MacroCapSPカチオン交換クロマトグラフィーカラムに適用した。生成物をNaClによる連続溶出を使用して溶出させた。
【0451】
タンパク質純度は98%超と推定された。溶出した融合タンパク質の量をSDS−PAGE分析によって、および総タンパク質濃度の測定によって決定した。溶出した融合タンパク質の量が多いことは、hGH単独に比べて融合タンパク質のより溶解性が高いことを反映している。
【0452】
最終調合物および貯蔵
次にバッファー交換タンパク質を10K MWCO Ultrafree濃縮器を使用して2mLの最終体積まで濃縮した。0.22umのシリンジフィルタを使用して、濃縮物を滅菌濾過した。最終溶液を等分割して−80℃で貯蔵した。
【0453】
(実施例36)
ELISAに基づく結合アッセイ
GHへのXTEN融合物を標準ELISAに基づくアッセイで試験して、GH受容体へ結合するその能力を評価した。アッセイは、組換えhGH受容体(hGHR−Fc)がELISAプレートのウェルにコーティングされているサンドイッチELISA形式を使用して行った。次にウェルをブロッキングし、洗浄し、BPXTEN試料を次にさまざまな希釈度のウェルにてインキュベートして、BPXTENの捕捉を可能にした。ウェルを広範囲に洗浄して、ポリクローナルまたはモノクローナル抗GH抗体または抗XTEN抗体のビオチン化調製物およびストレプトアビジンHRPを使用して、結合タンパク質を検出した。各血清希釈度での比色反応を未改変GHの標準曲線に対して比較することによって、結合タンパク質の割合を計算した。図30に示した結果により、見かけのEC50値は天然hGHで0.0701nM、AM864_hGHで0.3905、およびhGH_AM864で2.733であることが示される。
【0454】
結論:結果により、XTEN融合物は融合後に顕著な量の受容体結合活性を保持して、C末端にhGHを有するBPXTEN融合タンパク質は、N末端にhGHを有する融合タンパク質と比較して、より大きな結合親和性を保持することが示される。
【0455】
(実施例37)
ラットにおけるhGH XTEN融合ポリペプチドのPK分析
hGHXTENポリペプチドのインビボ薬物動態パラメータを決定するために、BPXTEN融合タンパク質AE912−hGH、AM864−hGH(本実施例および以下の実施例でAM875−hGHの同義語)、AE912−hGH−AE144およびAE912−hGH−AE288をラットで評価した。すべての組成物を水性バッファーにおいて提供して、皮下(SC)経路で個々の動物に1.5mg/kg単回用量を使用して投与した。血漿試料を投与後の各種の時点で採取して、被験物質の濃度を分析した。分析はサンドイッチELISA形式を使用して行った。組換えhGHR−FcをELISAプレートのウェルにコーティングした。ウェルをブロッキングし、洗浄し、血漿試料を次に様々な希釈度でウェルにてインキュベートして、コート抗体による化合物の捕捉を可能にした。ウェルを広範囲に洗浄して、ポリクローナル抗hGH抗体のビオチン化調製物およびストレプトアビジンHRPを使用して、結合タンパク質を検出した。各血清希釈度での比色反応を標準曲線に対して比較することによって、被験物質の濃度を各時点で計算した。薬物動態パラメータは、WinNonLinソフトウェアパッケージを使用して計算した。
【0456】
図32は、皮下投与後の4つのhGH XTEN構築物の濃度プロフィールを示す。計算した最終半減期は、AE912−hGHで7.5時間、AM864−hGH(AM875−hGHの同義語)で6.8時間、AE912−hGH−AE144で12.4時間およびAE912−hGH−AE288で13.1時間であった。比較のために、未改変hGHについて並行して同じ実験を行うと、劇的により短い血漿半減期を示した。
【0457】
結論:hGHを含む融合タンパク質への異なるXTEN配列の組み入れによって、げっ歯類モデルで証明されたように、未改変hGHと比較して、4つすべての組成物で薬物動態パラメータの顕著な増強が生じ、このような融合タンパク質組成物の有用性が証明される。AE−hGH構築物のC末端への第2のXTENタンパク質の付加により、おそらく受容体媒介クリアランスの低下のために、単一のXTENを有する構築物と比較して、最終半減期のさらなる増強が生じる。
【0458】
(実施例38)
カニクイザルにおけるhGH XTEN融合ポリペプチドのPK分析
hGHXTENポリペプチドのインビボ薬物動態パラメータに対する第2のXTENの包含の効果を決定するために、1個または2個のXTEN分子を含有するBPXTEN融合タンパク質(AE912−hGH、AM864−hGH、およびAE912−hGH−AE144)をカニクイザルにおいて評価した。すべての組成物を水性バッファーにおいて提供して、皮下(SC)経路で個々の動物に1.5mg/kg単回用量を使用して投与した。血漿試料を投与後の各種の時点で収集して、被験物質の濃度を分析した。分析はサンドイッチELISA形式を使用して行った。組換えhGHR−FcをELISAプレートのウェルにコーティングした。ウェルをブロッキングし、洗浄し、血漿試料を次に様々な希釈度でウェルにてインキュベートして、コート抗体による化合物の捕捉を可能にした。ウェルを広範囲に洗浄して、ポリクローナル抗hGH抗体のビオチン化調製物およびストレプトアビジンHRPを使用して、結合タンパク質を検出した。各血清希釈度での比色反応を標準曲線に対して比較することによって、被験物質の濃度を各時点で計算した。薬物動態パラメータは、WinNonLinソフトウェアパッケージを使用して計算した。融合タンパク質の平均最終半減期は、AM864−hGHで33時間、AE912−hGHで44時間、およびAE912−hGH−AE144(hGHのN末端およびC末端に連結された2個のXTENを含有)で110時間であった。
【0459】
図33は、皮下投与後の3つのhGH XTEN構築物の濃度プロフィールを示し、計算したPKパラメータを示す。皮下投与の後、最終半減期は、336時間の期間にわたる各種の調製物について、おおよそ33〜110時間であると計算された。
【0460】
結論:hGHを含む融合タンパク質への異なるXTEN配列の組み入れによって、カニクイザルモデルで証明されたように、3つすべての組成物で薬物動態パラメータの顕著な増強が生じ、このような融合タンパク質組成物の有用性が証明され、hGHのC末端に連結された第2のXTENを含有する構築物は、最終半減期について2倍の増強を示した。
【0461】
(実施例39)
体重増大に対するhGHおよびAM864−hGHの効果の比較
BPXTEN AM864−hGHが薬理学的効力を保持する能力を、投与した化合物に応答した低酸素症ラットにおける体重増大についての測定パラメータを使用して評価した。図34は、示した用量および投与頻度でのhGHまたはAM864−hGHの投与の低酸素症ラットの体重に対する効果を示す。結果は、hGHの同程度の投薬量と効力が同等であるBPXTEN構築物による、またより低い頻度の投薬での生物活性の保持を示す。AM864−hGHの用量レベルの増加は、実験の期間にわたって体重増大の増加をもたらす。
【0462】
(実施例40)
骨軟骨に対するhGHおよびAM864−hGHの効果の比較
hGHに連結されたAM864のBPXTENが薬理学的効力を保持する能力を、低酸素症ラットにおける脛骨端板(tibial epiphyseal plate)幅の増加についての測定パラメータを使用して評価した。図35は、処置9日後のラットからの脛骨の組織断面に示す、プラセボ、hGH、およびAM864−hGHの投与の効果の比較を示し、縁(margin)は点線で記されている。群は図35で示すものと同じである。図35Aは、プラセボ群が9日後に344±38.6μmの脛骨端板の平均断面幅を有したことを示す。図35Bは、hGH群(毎日10μg)が9日後に598±8.5μmの平均断面幅を有したことを示す。図35Cは、AM864−hGH(15mg/kg q3d)が9日後に944±8.5μmの平均断面幅を有したことを示す。結果によって、より頻繁でない間隔で投薬されたにもかかわらず、GHUPR構築物による活性の増強が示される。
【0463】
(実施例41)
FXIaによって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位切断配列は、FXIaプロテアーゼ(EC3.4.21.27,Uniprot P03951)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有するFIX−XTENに組み入れることができる。特にアミノ酸配列KLTR↓VVGG(配列番号224)[Rawlings N.Dら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列のアルギニンの後でFXIaプロテアーゼによって切断される。FXIは、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路においてFIXの直前に位置する凝固促進プロテアーゼである。活性FXIaは、FXIIaによるチモーゲンのタンパク質分解切断によりFXIから産生される。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、FIXの位置R191およびR226にてタンパク質を切ることによりチモーゲンからペプチドを切除してFIXを活性化して、次に、今度は凝固経路を永続化させることである。FXIaの産生は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合タンパク質が内因性経路の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FXIaによりFIXドメインのR191およびR226にて起こる天然の切断(natural cleavage)に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する(decouple)第3の切断が、XTEN放出部位に出現する。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0464】
(実施例42)
FXIIaによって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、XTEN放出部位配列は、FXIIaプロテアーゼ(EC3.4.21.38,Uniprot P00748)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有できる。具体的に配列TMTR↓IVGG(配列番号225)は、配列の位置4のアルギニンの後で切られる。FXIIは、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路においてFIXの前に位置する凝固促進プロテアーゼである。活性FXIIaは、非自己表面との接触によって、およびカリクレインによる切断によって、FXIIから産生される。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、チモーゲンのタンパク質分解切断によりFXIを活性化して、次に、今度は凝固経路を永続化させることである。FXIIaの産生は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合物が内因性経路の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FXIaによりFIXドメインのR191およびR226にておこる天然の切断に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する第3の切断が、XTEN放出部位におこる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0465】
(実施例43)
カリクレインによって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、XTEN放出部位配列は、カリクレインプロテアーゼ(EC3.4.21.34,Uniprot P03952)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有できる。具体的に配列SPFR↓STGG(配列番号226)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4のアルギニンの後で切られる。カリクレインは、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路においてFIXの前に位置する凝固促進プロテアーゼである。活性カリクレインは、非自己表面との接触によって、血漿カリクレイン(Kallirien)から産生される。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、チモーゲンのタンパク質分解切断によりFXII(図39)を活性化して、次に、今度は凝固経路を永続化させることである。カリクレインの産生は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合物が内因性経路の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FXIaによりFIXドメインのR191およびR226にておこる天然の切断に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する第3の切断が、XTEN放出部位におこる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0466】
(実施例44)
FVIIaによって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位配列は、FVIIaプロテアーゼ(EC3.4.21.21,Uniprot P08709)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列LQVR↓IVGG(配列番号227)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4のアルギニンの後で切られる。FVIIaは、外因性凝固経路または細胞傷害活性化凝固経路においてFIXの前に位置する凝固促進プロテアーゼである。活性FVIIaは、組織因子、リン脂質およびカルシウムへの結合によって補助される自己触媒プロセスにおいてFVIIから産生される。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、チモーゲンのタンパク質分解切断によりFIXおよびFX(図39)を活性化して、次に、今度は凝固経路を永続化させることである。FVIIa活性は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合物が内因性経路の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FVIIaによりFIXドメインのR191およびR226にておこる天然の切断に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する第3の切断が、XTEN放出部位におこる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0467】
(実施例45)
FIXaによって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位切断配列は、FIXaプロテアーゼ(EC3.4.21.22,Uniprot P00740)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列PLGR↓IVGG(配列番号228)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4のアルギニンの後で切られる。活性FIXaは、リン脂質およびカルシウムの存在下でのFXIaまたはFVIIaのどちらかによるFIXの切断によって産生される。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、チモーゲンのタンパク質分解切断によりFX(図39)を活性化して、次に、今度は凝固経路を永続化させることである。FIXa活性は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、外因性凝固経路または内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合物が内因性経路の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FVIIaまたはFXIaによりFIXドメインのR191およびR226にておこる天然の切断に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する第3の切断が、XTEN放出部位におこる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0468】
(実施例46)
FXaによって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、FXaプロテアーゼ(EC3.4.21.6,Uniprot P00742)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列IEGR↓TVGG(配列番号229)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4のアルギニンの後で切られる。活性FXaは、リン脂質およびカルシウムの存在下でのFIXaによるFXの切断によって産生され、凝固経路の第IX因子からすぐ下流のステップである。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、チモーゲンのタンパク質分解切断によりFII(図39)を活性化して、次に、今度は凝固経路を永続化させることである。FXa活性は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、外因性凝固経路または内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合物が凝固の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FVIIaまたはFXIaによりFIXドメインのR191およびR226にておこる天然の切断に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する第3の切断が、XTEN放出部位におこる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0469】
(実施例47)
FIIa(トロンビン)によって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、FIIaプロテアーゼ(EC3.4.21.5,Uniprot P00734)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列LTPR↓SLLV(配列番号230)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4のアルギニンの後で切られる。活性FIIaは、リン脂質およびカルシウムの存在下でのFXaによるFIIの切断によって産生され、凝固経路の第IX因子から下流にある。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割はフィブリノーゲン(fibringin)(図39)を切断することであり、これにより次に、今度はクロット形成が開始する。FIIa活性は厳重に制御され、適正な止血のために凝固が必要なときにのみ出現する。それゆえ、切断配列の組み入れにより、XTENドメインのみが、外因性凝固経路または内因性凝固経路の活性化と同時に、および凝固が生理的に必要とされるときにFIXから除去される。これにより、FIX−XTEN融合物が凝固の活性化の間に1つの追加の方式で処理される状況が生じる。FVIIaまたはFXIaによりFIXドメインのR191およびR226にておこる天然の切断に加えて、XTENタンパク質から今や活性化されたFIXaを分離する第3の切断が、XTEN放出部位におこる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させる遊離FIXaを産生する。
【0470】
(実施例48)
エラスターゼ−2によって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、エラスターゼ−2プロテアーゼ(EC3.4.21.37,Uniprot P08246)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列LGPV↓SGVP(配列番号231)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4の後で切られる。エラスターゼは好中球によって構成的に発現され、循環中に常時存在する。その活性はセルピンによって厳重に制御され、それゆえ、ほぼ常に最小限に活性である。それゆえ、長寿命FIX−XTENが循環するときに、その一部が切断されて、凝固に使用されるより短寿命のFIXのプールを生成する。本発明の組成物の所望の特色では、これにより予防量のFIXを絶えず放出する循環プロドラッグデポーが生成される。
【0471】
(実施例49)
MMP−12によって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、MMP−12プロテアーゼ(EC3.4.24.65,Uniprot P39900)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列GPAG↓LGGA(配列番号233)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4の後で切られる。MMP−12は全血中で構成的に発現される。それゆえ、長寿命FIX−XTENが循環するときに、その一部が切断されて、凝固に使用されるより短寿命のFIXのプールを生成する。本発明の組成物の所望の特色では、これにより予防量のFIXを絶えず放出する循環プロドラッグデポーが生成される。
【0472】
(実施例50)
MMP−13によって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、MMP−13プロテアーゼ(EC3.4.24.−,Uniprot P45452)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列GPAG↓LRGA(配列番号234)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、位置4の後で切られる(矢印で示す)。MMP−13は全血中で構成的に発現される。それゆえ、長寿命FIX−XTENが循環するときに、その一部が切断されて、凝固に使用されるより短寿命のFIXのプールを生成する。本発明の組成物の所望の特色では、これにより予防量のFIXを絶えず放出する循環プロドラッグデポーが生成される。
【0473】
(実施例51)
MMP−17によって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、MMP−20プロテアーゼ(EC.3.4.24.−,Uniprot Q9ULZ9)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列APLG↓LRLR(配列番号235)[Rawlings N.Dら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、配列の位置4の後で切られる。MMP−17は全血中で構成的に発現される。それゆえ、長寿命FIX−XTENが循環するときに、その一部が切断されて、凝固に使用されるより短寿命のFIXのプールを生成する。本発明の組成物の所望の特色では、これにより予防量のFIXを絶えず放出する循環プロドラッグデポーが生成される。
【0474】
(実施例52)
MMP−20によって放出可能なC末端XTEN
FIXのC末端に融合されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図36Bに描くように、FIX構成要素およびXTEN構成要素の間に配置されたXTEN放出部位切断配列によって生成することができる。例示的な配列を表43に提供する。この場合には、放出部位は、MMP−20プロテアーゼ(EC.3.4.24.−,Uniprot O60882)によって認識および切断されるアミノ酸配列を含有する。具体的に配列PALP↓LVAQ(配列番号236)[Rawlings N.D.ら(2008)Nucleic Acids Res.,36:D320]は、位置4の後で切られる(矢印で示す)。MMP−20は全血中で構成的に発現される。それゆえ、長寿命FIX−XTENが循環するときに、その一部が切断されて、凝固に使用されるより短寿命のFIXのプールを生成する。本発明の組成物の所望の特色では、これにより予防量のFIXを絶えず放出する循環プロドラッグデポーが生成される。
【0475】
(実施例53)
KNSADKループへの内部XTEN融合物
FIXのループに挿入されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図37Fに描くように生成することができる。具体的にXTEN配列は、公知の血友病B変異を有さず、FIX結晶構造物で高度に構造化されていないEGF2ドメイン(残基146−152)のKNSADNK(配列番号1749)ループに、融合物として挿入される。この場合には、挿入は、ループ配列のSA結合にて天然配列を分割して、XTEN配列をギャップに融合することによって作られる。これにより、XTENがFIX配列に対して内部であるが、球状タンパク質に対して外部であるループ配列が生まれる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させるFIXa−XTENを産生する。
【0476】
(実施例54)
LAENループへの内部XTEN融合物
FIXのループに挿入されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図37Fに描くように生成することができる。具体的にXTEN配列は、公知の血友病B変異を有さず、FIX結晶構造物で高度に構造化されていないEGF2ドメイン(残基163−166)のLAEN(配列番号1778)ループに、融合物として挿入される。この場合には、挿入は、配列のAE結合にて天然配列を分割して、XTEN配列をギャップに融合することによって作られる。これによりループ配列LA−XTEN−ENが生まれる。本発明の組成物の所望の特色では、これにより凝固の活性化までFIX−XTENがプロドラッグとして無傷のままである状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、それを必要とする被験体において凝固機能を再構成または増進させるFIXa−XTENを産生する。
【0477】
(実施例55)
活性化ペプチドへの内部XTEN融合物
FIXのループに挿入されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図37Dに描くように生成することができる。具体的にXTEN融合物は、2つの天然FXIa切断部位がどちらも破壊されないように、活性化ペプチド(残基192−226)に配置される。挿入は、配列のT209−I210結合(↓によって示す)にて天然配列を分割して、XTEN配列をギャップに融合することによって作られる。これにより活性化ペプチドの残基188にて開始する、XTENが挿入された配列が生まれる。FXIは、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路においてFIXの直前に位置する凝固促進プロテアーゼである。活性FXIaは、FXIIaによるチモーゲンのタンパク質分解切断によりFXIから産生される。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、位置R191およびR226にてタンパク質を切ることによりFIXチモーゲンから活性化ペプチドを切除してFIX(図39)を活性化することである。これらのカット部位は矢印によって描かれ、配列は、P4−P4’部位を変化させずに残して、凝固カスケードの間の天然の切断活性を可能とするように設計される。それゆえ、XTENドメインのみが、内因性凝固経路内の正常な活性化プロセスの一部としてFIXから除去される。
【0478】
(実施例56)
FIX EGFドメインの間の内部XTEN融合物
FIXのループに挿入されたXTENタンパク質から成るFIX−XTEN融合タンパク質は、図37Cに描くように生成することができる。具体的にXTEN融合物は、FIXの2つのEGF様ドメインの間に配置される(結合部は残基129と130の間である)。挿入は、E129−L130結合にて天然配列を分割して、XTEN配列をギャップに融合することによって作られる。これにより残基121にて開始する、XTENが挿入された配列が生まれる。実際に、これにより凝固の活性化までFIX−XTENが無傷で循環する状況が生じ、凝固の活性化のときにその分子が処理されて、個体において凝固機能を再構成または増進させるFIXa−XTENを産生する。
【0479】
(実施例57)
C末端XTENの放出速度の最適化
C末端XTENの放出速度が変化する上述の実施例41〜57の変異体を生成することができる。XTEN放出プロテアーゼによるXTEN放出の速度はXTEN放出部位の配列に依存しているため、XTEN放出部位のアミノ酸配列を変更することによって、XTEN放出の速度を制御することができる。多くのプロテアーゼの配列特異性は当分野で周知であり、数種のデータベースに記録されている。この場合には、プロテアーゼのアミノ酸特異性は基質のコンビナトリアルライブラリを使用して[Harris,J.L.ら(2000)Proc Natl Acad Sci USA,97:7754]または[Schellenberger,V.ら(1993)Biochemistry,32:4344]に例証されるように基質混合物の切断に従ってマップされる。代替は、ファージディスプレイによる所望のプロテアーゼ切断配列の同定である[Matthews,D.ら(1993)Science,260:1113]。構築物は変異体配列を用いて作られ、XTENポリペプチド検出のための標準アッセイを使用してXTEN放出についてアッセイされる。
【0480】
(実施例58)
FIX−XTENのトロンビン活性化
FXIに特異的なXTEN放出部位をFIX−XTEN_AE864に挿入して、構築物AC299をもたらした。トロンビンに特異的なXTEN放出部位をFIX−XTEN_AE864に挿入して、構築物AC300をもたらした。XTEN放出部位が欠損した構築物AC296を対照として使用した。FuGene6形質移入試薬(Roche)を使用して、発現プラスミドをBHK−21細胞(Invitrogenによる10mlのOptiMEM媒体の1.2×10e6細胞)に形質移入した。4日後に媒体を収集して、Amicon Ultra遠心分離フィルタ(Ultracel_30K,Millipore)濃縮器を使用して40倍に濃縮した。67μlの濃縮媒体を10×トロンビンバッファーで希釈して、25μlの固定トロンビン(Thrombin CleanCleaveキット、RECOM−T,Sigma)を用いて室温にて8時間インキュベートした。すべての試料におけるFIX濃度を、抗体(cat# FIX−EIA,Affinity Biologicals inc.Canada)を使用してELISAによって決定した。凝固活性をaPPTアッセイ(Thermo Scientific Pacific Hemostasis,Fisher)を使用して決定し、1mUのFIXが4.5ng/mlに等しいと仮定して活性をFIXの濃度に変換した。結果を下の表31でまとめる。データは、トロンビンインキュベーションがAC296およびAC299のELISAシグナルおよび凝固活性に対して顕著な効果を有さなかったことを示し、このことは両方の構築物がトロンビン部位を欠損しているという事実に一致する。これに対して、トロンビン処理により、AC300の凝固活性の27倍の増加が生じた。トロンビン処理は、AC300の凝固活性を遊離FIXの80%まで回復した。これらのデータは、FIXのC末端へのXTENの融合が凝固活性の50分の1〜100分の1までの低下をもたらすことを証明する。XTENのタンパク質分解放出は、これらのC末端FIX−XTEN構築物のプロドラッグ特性の概念を裏付けて、凝固活性の大半を回復した。
【0481】
【表31】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例59)
エキソン構造物に基づくFIXへのXTEN挿入
タンパク質のエキソン構造物は、哺乳動物タンパク質へのXTENの挿入を導くことができるドメイン境界に関する貴重な情報を提供する[Kolkman,J.A.ら(2001)Nat Biotechnol,19:423]。図40は、この手法がFIX−XTEN組成物の生成に適用される方法の数種の例を、示されたエキソン境界の間のXTEN挿入のための例示的な位置と共に例証する。
【0482】
(実施例60)
設計製作したFIX配列に基づくFIX−XTEN
活性の改善のためにFIXの多くの変異体(mutant)が設計製作されてきた(have been engineered)。特に有用なのは、プロテアーゼ活性の増加を有する変異体である。しかしGlaおよび/またはEGFドメインに改良を有する変異体は、実験臨床評価の後に天然FIX配列のあるいは該変異体を使用できるように、血友病Bの処置にも有用であることができる。有用なFIX変異体の例を表7に表示する。
【0483】
(実施例61)
FIX−XTENの産生
FIX−XTEN融合タンパク質を多種多様の哺乳動物発現ベクターにおいて発現させることができる。pSecTag2(Invitrogen)に基づく例示的なベクターpCW05090を図42に例証する。発現構築物は、CMVプロモータ、FIXのシグナルペプチド、FIXのプロペプチド、XTEN_AE864をコードする遺伝子に融合した成熟FIX遺伝子、それに続くポリアデニル化部位を含む発現カセットを含有する。ベクターは、哺乳動物細胞における選択のためのゼオシン(zeosin)マーカー、大腸菌のpUC複製起点、および大腸菌における選択のためのアンピシリンマーカーを含有する。発現ベクターは発現のためにCHO細胞、PER.C6細胞、またはBHK細胞に形質移入することができる。発現はELISAまたは凝固アッセイによって監視することができる。FIX−XTEN融合タンパク質はイオン交換、特にアニオン交換によって精製することができる。本実験の目的のために、FIX−XTEN融合タンパク質をCHO細胞に形質移入した。
【0484】
アニオン交換クロマトグラフィーによる初期プロセス捕捉
形質移入細胞の培養物からの細胞培養媒体を20mMトリスpH6.8、50mM NaClで平衡化した800mlのMacrocap Qアニオン交換樹脂(GE Life Sciences)に直接適用した。カラムを50mM、100mM、および150mM NaClを含有するトリスpH6.8バッファーによって続けて洗浄した。生成物を20mMトリスpH6.8、250mM NaClによって溶出させた。
【0485】
オクチルセファロースFFを使用する疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
250mLオクチルセファロースFFカラムを平衡化バッファー(20mMトリスpH6.8、1.0M NaSO)によって平衡化した。固体NaSOをMacrocap Q溶出物プールに添加して、1.0Mの最終濃度を達成した。結果として生じる溶液を濾過して(0.22ミクロン)、HICカラムにロードした。カラムを次に、10CVの平衡化バッファーで洗浄して、未結合のタンパク質および宿主細胞DNAを除去した。生成物を次に、20mMトリスpH6.8、0.5M NaSOによって溶出させた。
【0486】
アニオン交換クロマトグラフィーによる生成物の仕上げ
プールしたHIC溶出物画分を次に、20mMトリスpH7.5によって希釈して、5.0ミリオーム未満の導電率を達成した。希薄生成物を、20mMトリスpH7.5、50mM NaClによって平衡化した300ml QセファロースFFアニオン交換カラムにロードした。
【0487】
最終調合物および貯蔵
バッファー交換タンパク質を次に、Pellicon XL Biomax 30000 mwcoカートリッジを使用して限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)によって30mg/ml超まで濃縮した。0.22ミクロンのシリンジフィルタを使用して、濃縮物を滅菌濾過した。最終溶液を等分割して−80℃で貯蔵した。
【0488】
(実施例62)
FIX−XTENのコドン最適化
コドン最適化を適用してFIX−XTENの発現を増加させることができる。コドン最適化は、ヒト遺伝子のコドン選択性(codon preference)、RNA構造予測ならびに内部反復の予測を考慮に入れるコンピュータアルゴリズムを使用して行うことができる。
【0489】
(実施例63)
FIX−XTENのデポー調合物
XTENは、注射部位でデポーを形成する調合物のための特定の特性によって選定することができる。これは注射部位からのFIX−XTENの低速放出をもたらし、投薬間隔の間の時間を増加させる。デポー調合物はFIX−XTENを、FIX−XTENと相互作用して複合体または凝集体の形成をもたらす賦形剤と共に調合することによって容易にすることができる。有用な賦形剤の例は亜鉛、プロタミン、PEG、ポリカチオン、ポリマー、ポリアルギニン、ポリリジンである。デポーは、FIX−XTENを粒子、たとえばアルギン酸塩、キチン、ポリ乳酸、PLGA、ヒアルロン酸、ヒドロキシアパタイトまたは当業者に公知の他のポリマーにロードすることによっても形成することができる。
【0490】
(実施例64)
安定性の増加を有するFIX−XTEN
遊離FIXは凝集しやすく、凝集はタンパク質の調合を複雑にする。この特徴は、sc注射に必要な少量注射体積を可能にする高濃度調合物の開発も妨げる。融合パートナーの凝集を低下させるXTENの特性のために、1)FIXの凝集を防止する;および2)皮下または筋肉内投与を可能にする、FIX−XTENの組成物を生成することができる。
【0491】
(実施例65)
FVII−XTEN_AG864
第VII因子(「FVII」)をコードする遺伝子をインフレームでXTEN_AE864に融合して、発現ベクターpCW0590に挿入した.CHO−K1細胞に発現ベクターを形質移入して、ゼオシンを使用して安定なプールを選択し、発現したタンパク質を回収した。発現した第VII因子−XTEN_AE864のアミノ酸配列を表43に挙げる。159ng/mlのFVII等価物の発現レベルをELISAによって検出して、214ng/mlのFVII等価物はPPT凝固アッセイ(Thermo Scientific Pacific Hemostasis,Fisher)を使用して検出した。このことは、BPXTENを生成するXTEN_AE864のFVIIへの融合がFVIIの凝固活性を保持する融合タンパク質を生じることを証明する。
【0492】
(実施例66)
FVIIa−XTENの製造
FIX−XTENについて実施例61で記載されるのと本質的に同様に、FVIIa−XTENを製造することができる。FVII−XTENをFVIIa−XTENに変換するために、活性化ステップが追加される。あるいは、FVIIaの両方のタンパク質鎖が別々に発現され、活性化FVIIa−XTENに直接構築されるように、バイシストロニックベクターを使用することができる。
【0493】
(実施例67)
第VII因子−FVII−XTEN融合ポリペプチドの活性の評価
標準曲線は、正常対照血漿(Pacific Hemostasis 100595)をFVII欠損血漿(100070)によって10倍に希釈して、次に第VII因子欠損血漿によって4、5倍の連続希釈を再度行うことによって調製した。これにより活性の100、20、4、0.8および0.16mUnits/mlに点(points)を有する標準曲線が生成され、1ユニット(unit)の活性は、1mlの正常ヒト血漿におけるFVII活性の量として定義される。ゼロ血漿(null plasma)での活性のバックグラウンドレベルを決定するために、FVII欠損血漿も含めた。試料は、FVII−XTENコード配列を含有するベクターを一過性に形質移入されたHEK293細胞によって、該細胞の成育により馴化媒体(conditioned medium)中に分泌されたFVII−XTENを、FVII欠損血漿に対して1:10の体積比で添加することによって調製した。馴化媒体の可能な干渉を補正するために、空のベクターによる形質移入HEK293細胞からの馴化媒体を標準曲線試料に対して1:10の体積比で添加した。以下のようにプロトロンビン時間アッセイを使用して、試料を試験した。試料をmolecular devicesプレートリーダ分光光度計で37℃にて3分間インキュベートして、この時点で試料1体積当りトロンボプラスチン(Dade Innovin,B4212−50)2体積の添加により、凝固反応を開始させた。濁度を405nmにて5分間監視して、反応プロフィールを生成した。PT時間、すなわち凝固活性の開始までの時間をOD405nmがベースラインを超えて0.06増加した第1の時間として定義した。PT時間に線形に関連する活性の対数によって、対数−線形標準曲線を生成した。これからプレートウェル内の試料の活性を決定して、次にFVII欠損血漿への希釈度に相当する11を掛けることによって、試料の活性を決定した。2回の測定に基づいて、FVII−XTEN融合物の活性は203mUnits/mlであった。反応プロフィールを図9に表示し、ここではFVII欠損血漿が太破線で示され、標準からの3つの試料が破線で示され、FVII−XTEN試料が太線で示されている。
【0494】
(実施例68)
第VII因子−XTEN融合タンパク質精製
FVII−XTEN融合タンパク質を多種多様の哺乳動物発現ベクターにおいて発現させることができる。pSecTag2(Invitrogen)に基づくベクターpCW05090を図46に例証する。発現構築物は、CMVプロモータ、FVIIのシグナルペプチド、FVIIのプロペプチド、XTEN_AE864をコードする遺伝子に融合した成熟FVII遺伝子、それに続くポリアデニル化部位を含む発現カセットを含有する。ベクターは、哺乳動物細胞における選択のためのゼオシン(zeosin)マーカー、大腸菌のpUC複製起点、および大腸菌における選択のためのアンピシリンマーカーを含有する。発現ベクターは発現のためにCHO細胞、HEK293、PER.C6細胞、またはBHK細胞に形質移入することができる。発現はELISAまたは凝固アッセイによって監視することができる。FVII−XTEN融合タンパク質はイオン交換、特にアニオン交換によって精製することができる。
【0495】
アニオン交換クロマトグラフィーによる初期プロセス捕捉
20mMトリスpH6.8、50mM NaClで平衡化した800mlのMacrocap Qアニオン交換樹脂(GE Life Sciences)に、細胞培養媒体を直接適用した。カラムを50mM、100mM、および150mM NaClを含有するトリスpH6.8バッファーによって続けて洗浄した。生成物を20mMトリスpH6.8、250mM NaClによって溶出させ、実施例67の方法を使用して検証した。
【0496】
(実施例69)
FIX活性決定のためのaPTTアッセイ
第IX因子は、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路にある。活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイ(aPTT)を使用してFIX−XTENおよびタンパク質分解副生成物の活性を評価するために、この凝固経路の活性を使用する。FIX活性を以下のように具体的に測定し、標準曲線は、正常対照血漿(Pacific Hemostasis cat# 100595)をFIX欠損血漿(cat# 100900)によって2倍に希釈して、次に第IX因子欠損血漿によって6、4倍の連続希釈を再度行うことによって作成した。これにより活性の500、130、31、7.8、2.0、0.5および0.1mUnits/mlに点を有する標準曲線が生成され、1ユニットの活性は、1mlの正常ヒト血漿におけるFIX活性の量として定義される。ゼロ血漿での活性のバックグラウンドレベルを決定するために、FIX欠損血漿も含めた。試料は、FVII−XTENコード配列を含有するベクターを一過性に形質移入されたHEK293細胞によって、該細胞の成育により馴化媒体(conditioned medium)中に分泌されたFVII−XTENを、FVII欠損血漿に対して1:10の体積比で添加することによって調製した。馴化媒体の可能な干渉を補正するために、空のベクターによる形質移入CHO細胞からの馴化媒体を標準曲線試料に1:10の体積比で添加した。以下のようにaPTTアッセイを使用して、試料を試験した。試料をmolecular devicesプレートリーダ分光光度計で37℃にて2分間インキュベートして、この時点で等しい体積のaPTT試薬(Pacific Hemostasis cat# 100402)を添加して、追加の3分間の37℃でのインキュベーションを行った。インキュベーション後、1体積の塩化カルシウム(Pacific Hemostasis cat# 100304)を添加することによって、アッセイを活性化した。濁度を450nmにて5分間監視して、反応プロフィールを生成した。aPPT時間、すなわち凝固活性の開始までの時間をOD450nmがベースラインを超えて0.06増加した第1の時間として定義した。aPPT時間に線形に関連する活性の対数によって、対数−線形標準曲線を生成した。これからプレートウェル内の試料の活性を決定して、次にFIX欠損血漿への希釈度に相当する11を掛けることによって、試料の活性を決定した。
【0497】
(実施例70)
FIX濃度決定のためのELISAアッセイ
各種のFIX−XTEN組成物およびタンパク質分解副生成物の第IX因子濃度を、検出を簡単にするために検出抗体がHRPにコンジュゲートされた抗体の特異的適合対を用いる、ELISAアッセイを使用して決定した(Affinity Biologicals cat# FIX−EIA)。捕捉抗体を高結合96ウェルアッセイプレート(Corning 3690)に、4℃にて一晩コーティングした。プレートをPBS中の3%BSAによって室温にて1時間ブロッキングした。プレートをPBSTでプレート洗浄器によって6回洗浄した。PBSTで希釈した試料または標準を次に、適切なウェルにおいて室温にて2時間結合させた。標準曲線は25ng/ml〜<1pg/mlに及び、既知の濃度の市販FIX(Abcam Cat# ab62544)をPBSTで連続希釈して調製した。プレートをPBSTでプレート洗浄器によって再度、6回洗浄した。FIXを次に、37℃にて1時間結合された検出抗体を使用して検出した。プレートをPBSTでプレート洗浄器によって再度、6回洗浄して、水によってさらに1回洗浄した。シグナル次に、TMB基質によって展開させて、molecular devicesプレートリーダ分光光度計で405nmにて読み取ることにより定量した。次に標準に対して4パラメータフィットを行って、試料の濃度を標準曲線との比較によって決定した。
【0498】
(実施例71)
BPXTENを評価するためのヒト臨床試験設計
臨床試験は、単一の生物製剤に対するBPXTEN組成物の有効性および利点をヒトにおいて検証できるように設計することができる。たとえば上の実施例に記載されるように、グルカゴンおよびエクセナチドの両方を含むBPXTEN融合構築物は、組成物の有効性をキャラクタリゼーションする臨床試験で使用することができる。該臨床試験は、グルカゴンおよびエクセナチドの投与によって改善、緩和、または抑制される1つ以上の代謝性疾患、障害、または状態に行うことができる。成人患者におけるこのような試験は3つの相を含む。成人患者における第1の第I相安全性および薬物動態試験は、ヒト(正常被験体または代謝性疾患もしくは症状を有する患者のどちらか)における最大許容投与量ならびに薬物動態および薬力学を決定するために、ならびに将来の試験で追跡される潜在毒性および有害事象を定義するために行われる。該試験は、単一漸増用量の、グルカゴンおよびエクセナチドに連結されたXTENの融合タンパク質の組成物が投与される該試験が行われ、生化学、PK、および臨床パラメータが測定される。これにより最大許容投与量の決定が可能となり、それぞれの構成要素の治療ウインドウを構成する投与量および循環薬物の閾値および最大濃度が確立される。その後、臨床試験は疾患、障害または状態を有する患者において行われる。
【0499】
糖尿病における臨床試験
糖尿病、インスリン抵抗性および肥満症状に対して適切な血清グルコースの薬力学的パラメータならびに他の生理学的パラメータ、PKパラメータ、安全性パラメータおよび臨床パラメータ(下に挙げるような)がグルカゴンおよびエクセナチドに連結されたXTENを含む融合タンパク質の投薬の関数として測定される第II相投薬試験は、糖尿病患者に行われ、有害事象に関連する安全性データを収集することに加えて、第III相試験に適切な用量に関する用量範囲情報を産する。PKパラメータは生理学的、臨床および安全性パラメータデータに相関して、BPXTEN組成物の各構成要素の治療ウインドウを確立し、臨床医が、1つのグルコース調節ペプチドをそれぞれ含む2つの構成要素融合タンパク質の適切な比を確立できるようにするか、または2つのグルコース調節ペプチドを含むモノマーBPXTENの単一用量を決定できるようにする。最後に、糖尿病患者がBPXTEN組成物、陽性対照、またはプラセボのいずれかを毎日、隔週、または毎週(またはBPXTEN組成物の薬物動態および薬力学的特性を考慮して、適切と考えられる他の投薬スケジュールで)延長された期間にわたって投与される、第III相有効性試験が行われる。有効性の1次結果指標はHbA1c濃度を含むことができるが、2次結果指標は、試験の間のインスリン必要条件、シミュレートされたCペプチドおよびインスリン濃度、空腹時血漿グルコース(FPG)、血清サイトカインレベル、CRPレベル、ならびにインスリンおよびグルコース測定値を用いたOGTTから誘導されたインスリン分泌およびインスリン感受性指数、ならびに体重、食物消費、およびプラセボまたは陽性対照群に対して追跡される他の許容される糖尿病マーカーを含むことができる。有効性結果は標準統計方法を使用して決定される。毒性および有害事象マーカーも本試験で追跡されて、記載した方式で使用されたときに化合物が安全であることを検証する。
【0500】
関節炎における臨床試験
ヒト患者の第II相臨床試験は、IL−1raおよび/もしくは抗IL−2、抗CD3または好適な抗炎症タンパク質に連結されたXTENを含むBPXTENを投与された関節炎患者において行われ、関節腫脹、関節圧痛、炎症、朝のこわばり、および疼痛を低下させることを含む、関節リウマチに関連付けられた少なくとも1つの症状を和らげるのに適切な用量、または赤血球沈降速度、ならびにC反応性タンパク質および/またはIL2受容体の血清レベルの低下を含む、関節リウマチに関連付けられた少なくとも1つの生物学的代用マーカーを決定する。さらに有害事象に関連する安全性データが収集される。関節炎患者がBPXTEN、陽性対照、またはプラセボのいずれかを毎日、隔週、または毎週(または化合物の薬物動態および薬力学的特性を考慮して、適切と考えられる他の投薬スケジュールで)延長された期間にわたって投与される、第III相有効性試験が行われる。患者は、関節腫脹、関節圧痛、炎症、朝のこわばり、患者および医師によって評価された疾患活性、ならびにたとえば標準化健康調査評価(Health Questionnaire Assessment)(HAQ)によって評価される障害、および疼痛を含む、いずれかの処置を受ける前の疾患活性のベースライン症状について評価される。追加のベースライン評価は、赤血球沈降速度(ESR)、C反応性タンパク質(CRP)および可溶性IL−2受容体(IL−2r)の血清レベルを含むことができる。処置に対する臨床応答は、American College of Rheumatology(ACR)によって確立された基準、例えばACR20基準;すなわち圧痛および腫張関節カウントに20パーセントの改善ならびに測定した5つの残存する症状、たとえば患者の全般的疾患変化(global disease change)および医師の全般的疾患変化、疼痛、障害、および急性期反応物質のうち3つの20パーセントの改善があるかどうかを使用して評価できる(Felson,D.T.ら、1993 Arthritis and Rheumatism 36:729−740;Felson,D.T.ら、1995 Arthritis and Rheumatism 38:1−9)。同様に、被験体は、圧痛および腫張関節カウントそれぞれの50または70パーセント改善ならびに測定した5つの残存する症状、たとえば患者の全般的疾患変化および医師の全般的疾患変化、疼痛、障害、および急性反応物質、たとえばCRPまたはESRそれぞれの50または70パーセントの改善があるかどうかという、ACR50またはACR70基準を満足する。さらにリウマチ因子、CRP、ESR、可溶性IL−2R、可溶性ICAM−I、可溶性E−セレクチン、およびMMP−3を含む、疾患活性の潜在的バイオマーカーを測定することができる。有効性結果は標準統計方法を使用して決定される。毒性および有害事象マーカーも本試験で追跡されて、記載した方式で使用されたときに化合物が安全であることを検証する。
【0501】
急性冠動脈症候群および急性心筋梗塞における臨床試験
急性冠動脈症候群(ACS)および/または急性心筋梗塞(AMI)と診断された患者がたとえばIL−1raおよびBNPを含むBPXTEN融合タンパク質、陽性対照、BPXTEN融合タンパク質と陽性対照物質との組み合わせ、またはプラセボのいずれかを毎日、隔週、または毎週(または化合物の薬物動態および薬力学的特性を考慮して、適切と考えられる他の投薬スケジュールで)延長された期間にわたって投与される、ACSおよび/またはAMIにおける第III相試験が行われる。該試験は、最近の急性冠動脈症候群を有する被験体における心血管による死亡、非致死性心筋梗塞、または虚血性発作を防止する他の処置レジメンよりも優れているか否かを決定するために行われる。患者は、不安定狭心症、左腕および顎左側に放散する胸部絞扼感として経験される胸部痛、人為的発汗(発汗)、悪心および嘔吐、息切れの徴候または症状、ならびに非Q波心筋梗塞およびQ波心筋梗塞の心電図(ECG)による証拠を含む、いずれかの処置を受ける前の疾患活性のベースライン症状について評価される。追加のベースライン評価は、虚血修飾アルブミン(IMA)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、グリコーゲンホスホリラーゼアイソエンザイムBB−(GPBB)、トロポニン、ナトリウム排泄増加ペプチド(B型ナトリウム排泄増加ペプチド(BNP)およびN末端Pro BNPの両方)、および単球化学誘引活性タンパク質(MCP)−1を含む、バイオマーカーの測定を含むことができる。処置に対する臨床応答は心血管による死亡、心筋梗塞、または虚血性発作の最初の出現までの時間を1次結果指標として使用して評価することができ、最初の不安定狭心症、出血性発作、または致死性出血の出現またはそれまでの時間は2次結果指標として作用することができる。有効性結果は標準統計方法を使用して決定される。毒性および有害事象マーカーも本試験で追跡されて、記載した方式で使用されたときに化合物が安全であることを検証する。
【0502】
(実施例72)
予測アルゴリズムによる2次構造についての配列の分析
アミノ酸配列の2次構造は、特定のコンピュータプログラムまたはアルゴリズム、たとえば周知のChou−Fasmanアルゴリズム(Chou,P.Y.ら(1974)Biochemistry,13:222−45)およびGarnier−Osguthorpe−Robson、すなわち「GOR」法(Garnier J,Gibrat JF,Robson B.(1996).GOR method for predicting protein secondary structure from amino acid sequence.Methods Enzymol 266:540−553)によって評価することができる。所与の配列では、上記アルゴリズムは、2次構造がいくつか存在するかまたは全く存在しないかを予測することができ、2次構造の存在はたとえばアルファらせんもしくはベータシートを形成する配列の残基の総数および/もしくはパーセンテージ、またはランダムコイル形成物をもたらすことが予測される配列の残基のパーセンテージとして表される。
【0503】
これらの配列の2次構造の程度を評価するChou−FasmanおよびGOR法のための2つのアルゴリズムツールを使用して、XTEN「ファミリ」からの数種の代表的な配列が評価されている。このChou−Fasmanツールは、William R.PearsonおよびUniversity of Virginiaによって、.fasta.bioch.Virginia.edu/fasta_www2/fasta_www.cgi?rm=misclのワールド・ワイド・ウェブ上に位置するURLの「Biosupport」インターネットサイトにて、2009年6月19日にそれが存在したときに提供された。GORツールは、Pole Informatique Lyonnaisによって、.npsa−pbil.ibcp.fr/cgi−bin/secpred_gor4.plのワールド・ワイド・ウェブ上に位置するURLのNetwork Protein Sequence Analysisインターネットサイトにて、2008年6月19日にそれが存在したときに提供された。
【0504】
分析の最初のステップとして、単一のXTEN配列を2つのアルゴリズムによって分析した。AE864組成物は、アミノ酸G、S、T、E、P、およびAから成る4つの12アミノ酸配列モチーフの複数のコピーから生成された864アミノ酸残基を有するXTENである。配列モチーフは、任意の1つの12アミノ酸モチーフ内でいずれの2つの連続アミノ酸の配列も2回を超えて反復されない、および全長XTENの3個の連続アミノ酸が同一でないという点で、モチーフ内および配列全体内の反復性が制限されているという事実を特徴とする。N末端からのAF864配列の連続したより長い部分をChou−FasmanアルゴリズムおよびGORアルゴリズムによって分析した(後者は17アミノ酸の最低長を必要とする)。FASTA形式配列を予測ツールに入力して、分析を実行することによって、配列を分析した。分析による結果を表32に表示する。
【0505】
その結果から、Chou−Fasman計算により、AEファミリの4個のモチーフ(表1)がアルファらせんもベータシートも有さないことが示される。288残基までの配列は同様に、アルファらせんもベータシートも有さないことが判明した。432残基配列は、少量の2次構造を有し、2個のアミノ酸のみが全体のパーセンテージで0.5%のアルファらせんに寄与することが予測される。全長AF864ポリペプチドは、全体のパーセンテージで0.2%のアルファらせんに寄与する同じ2個のアミノ酸を有する。ランダムコイル形成物の計算によって、長さが増加すると、ランダムコイル形成物のパーセンテージが増加することが明らかになった。配列の最初の24アミノ酸は91%のランダムコイル形成物を有し、これは長さの増加と共に全長配列で99.77%の値まで増加した。
【0506】
他のモチーフファミリからの500以上の長さのアミノ酸の多数のXTEN配列も分析され、大多数が95%を超えるランダムコイル形成物を有することが明らかにされた。例外は、予測されたベータシート形成物をもたらす、3つの連続セリン残基の1つ以上の例を有する配列であった。しかし、これらの配列でもおおよそ99%のランダムコイル形成物をなお有した。
【0507】
これに対して、A、S、およびPアミノ酸に限定された84残基のポリペプチド配列を、高度の予測アルファらせんが予測されるChou−Fasmanアルゴリズムによって評価した。複数反復「AA」および「AAA」配列を有する配列は、69%のアルファらせん構造物の全体の予測パーセンテージを有した。GORアルゴリズムは、本実施例で分析された、アミノ酸G、S、T、E、Pから成る12アミノ酸配列モチーフから成るいずれの配列よりはるかに少ない、78.57%のランダムコイル形成物を予測した。
【0508】
結論:分析は:1)連続アミノ酸に関して限定された反復性を有するG、S、T、E、P、およびAの複数の配列モチーフから生成されたXTENは、非常に少ない量のアルファらせんおよびベータシートを有することが予測されること;2)XTENの長さの増加は、アルファらせんまたはベータシート形成物の確率を認められるほどには増加させないこと;および3)アミノ酸G、S、T、E、P、およびAから成る非反復性12マーの付加によるXTEN配列の長さの漸増によって、ランダムコイル形成物のパーセンテージの増加をもたらすという結論を裏付けている。これに対して、より高度の内部反復性を有する、A、SおよびPに限定されたアミノ酸から生成されたポリペプチドは、Chou−Fasmanアルゴリズムによって決定されたように、高いパーセンテージのアルファらせん、ならびにランダムコイル形成物を有することが予測される。これらの方法によって評価された多数の配列に基づいて、長さが約400アミノ酸残基を超える限定された反復性(任意の1個のモチーフに2個以下の同一の連続アミノ酸として定義される)を有するG、S、T、E、P、およびAの配列モチーフから生成されたXTENが非常に限定された2次構造を有すると予想されることは概して事実である。3個の連続セリンを含有するモチーフを除いて、表1からの配列モチーフの任意の順序または組合せを使用して、2次構造が実質的にないXTEN配列をもたらす約400残基を超える長さのXTENポリペプチドを生成できると考えられる。このような配列は、本明細書で開示する本発明のBPXTEN実施形態に記載された特徴を有することが予想される。
【0509】
【表32-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0510】
【表32-2】
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【0511】
【表32-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0512】
【表32-4】
[この文献は図面を表示できません]
【0513】
【表32-5】
[この文献は図面を表示できません]
【0514】
【表32-6】
[この文献は図面を表示できません]
【0515】
【表32-7】
[この文献は図面を表示できません]
【0516】
【表32-8】
[この文献は図面を表示できません]
【0517】
【表32-9】
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【0518】
【表32-10】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例73)
反復性についてのポリペプチド配列の分析
より短いサブ配列がポリペプチド全体内に出現する回数を定量することによって、ポリペプチドアミノ酸配列を反復性について評価することができる。たとえば200のアミノ酸残基のポリペプチドは、192の重複9−アミノ酸サブ配列(すなわち9マー「フレーム」)を有するが、独自の9マーサブ配列の数は、配列内の反復の量に依存する。本分析において、200アミノ酸配列以内の独自の3マーサブ配列の絶対数で割ったポリマー部分の最初の200アミノ酸全体にわたる各3−アミノ酸フレームについての独自の3マーサブ配列すべての出現を合計することによって、異なる配列を反復性について評価した。得られたサブ配列スコアは、ポリペプチド内の反復度の反映である。
【0519】
表33に示した結果は、2または3のアミノ酸タイプから成る非構造化ポリペプチドが高いサブ配列スコアを有するが、低度の内部反復性を有する6種類のアミノ酸G、S、T、E、P、およびAの12アミノ酸モチーフから成る非構造化ポリペプチドは10未満の、いくつかの場合においては5未満のサブ配列スコアを有することを示している。たとえばL288配列は、2つのアミノ酸タイプを有し、短い高反復性配列を有し、50.0のサブ配列スコアをもたらす。ポリペプチドJ288は3つのアミノ酸タイプを有するが、また短い反復性配列を有し、33.3のサブ配列スコアをもたらす。Y576も3つのアミノ酸タイプを有するが、内部反復から作られておらず、最初の200アミノ酸にわたって15.7のサブ配列スコアに反映されている。W576は4タイプのアミノ酸から成るが、より高度の内部反復性、たとえば「GGSG」(配列番号782)を有し、23.4のサブ配列スコアをもたらす。AD576は、それぞれ4タイプのアミノ酸から成る、4タイプの12アミノ酸モチーフからなる。個々のモチーフの低度の内部反復性のために、最初の200アミノ酸にわたるサブ配列全体のスコアは13.6である。これに対して、4つのモチーフから成るXTENは6タイプのアミノ酸を含有し、低度の内部反復性を有するそれぞれはより低いサブ配列スコア;すなわちAE864(6.1)、AF864(7.5)、およびAM875(4.5)を有する。
【0520】
結論:結果は、本質的に非反復性である4〜6のアミノ酸タイプからそれぞれ成る12アミノ酸サブ配列モチーフの、より長いXTENポリペプチドへの組み合わせによって、非反復性である全体配列がもたらされることを示す。これは、各サブ配列モチーフが配列全体にわたって複数回使用され得るという事実にもかかわらずである。これに対して、より少ない数のアミノ酸タイプから生成されたポリマーによってより高いサブ配列スコアがもたらされたが、実際の配列を調整して反復度を低下させて、より低いサブ配列スコアをもたらすことができる。
【0521】
【表33-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0522】
【表33-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0523】
【表33-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0524】
【表33-4】
[この文献は図面を表示できません]
【0525】
【表33-5】
[この文献は図面を表示できません]
(実施例74)
TEPITOPEスコアの計算
9マーペプチド配列のTEPITOPEスコアは、Sturniolo[Sturniolo,T.ら(1999)Nat Biotechnol,17:555]によって記載されたポケットポテンシャルを加えることによって計算できる。本実施例において、個々のHLA対立遺伝子について個々のTepitopeスコアを計算した。表34は、例として、白人集団にて高頻度で出現するHLA0101Bのポケットポテンシャルを示す。配列P1−P2−P3−P4−P5−P6−P7−P8−P9のペプチドのTEPITOPEスコアを計算するために、表34の対応する個々のポケットポテンシャルを加えた。配列FDKLPRTSG(配列番号800)を有する9マーペプチドのHLA0101Bスコアは、0、−1.3、0、0.9、0、−1.8、0.09、0、0の和である。
【0526】
長いペプチドのTEPITOPEスコアを評価するために、配列の9マーサブ配列すべてに対してプロセスを反復することができる。本プロセスは、他のHLA対立遺伝子によってコードされたタンパク質に対して反復することができる。表35〜38は、白人集団にて高頻度で出現するHLA対立遺伝子のタンパク質生成物のポケットポテンシャルを与える。
【0527】
本方法によって計算されたTEPITOPEスコアは、おおよそ−10〜+10に及ぶ。しかし、P1位置に疎水性アミノ酸(FKLMVWY(配列番号801))を欠いた9マーペプチドは、−1009〜−989の範囲の計算されたTEPITOPEスコアを有する。この値は、生物学的に意味がなく、疎水性アミノ酸がHLA結合のアンカー残基として働き、P1に疎水性残基を欠いたペプチドがHLAに対する非バインダーと見なされるという事実を反映している。大半のXTEN配列は疎水性残基を欠いているので、9マーサブ配列の組合せはすべて、−1009〜−989の範囲にTEPITOPEを有する。本方法は、XTENポリペプチドが予測されたT細胞エピトープをほとんどまたは全く有し得ないことを確認する。
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図3-2】
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図47
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【配列表】
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