(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の加速度計が第1の感度軸および第3の感度軸を有し、前記第1の加速度計が、前記第1の感度軸に沿って前記第1の加速度計によって感知された運動に応答する第1の寄与信号を生成するように構成され、かつ前記第3の感度軸に沿って前記第1の加速度計によって感知された運動に応答する第3の寄与信号を提供するように構成され、
前記第2の加速度計が第2の感度軸および第4の感度軸を有し、前記第2の加速度計が、前記第2の感度軸に沿って前記第2の加速度計によって感知された運動に応答する第2の寄与信号を生成するように構成され、かつ前記第4の感度軸に沿って前記第2の加速度計によって感知された運動に応答する第4の寄与信号を提供するように構成され、前記システムが、
前記第1の寄与信号と前記第3の寄与信号とを受信して加算して、前記第1の運動出力信号を生成するように構成された第1の加算回路と、
前記第2の寄与信号と前記第4の寄与信号とを受信して加算して、前記第2の運動出力信号を生成するように構成された第2の加算回路と
をさらに備える、請求項13に記載の患者の呼吸を検出するためのシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
第1の実施形態は、対象の呼吸を検出する方法であって、対象が胸部、腹部、および尾骨と胸部との間に配置された下部脊椎領域を含む脊椎を有し、第1の加速度計を対象の下部脊椎領域に付着させるステップであって、第1の加速度計が、対象の背部の一部分に対して実質的に垂直な第1の感度軸を有し、かつ第1の感度軸に沿った運動を示す第1の運動信号を生成するように構成される、ステップと、第2の加速度計を対象の下腹部領域の前部部分に付着させるステップであって、第2の加速度計が、第1の感度軸に対して実質的に平行な第2の感度軸を有し、かつ前記第2の感度軸に沿った運動を示す第2の運動信号を生成するように構成され、第1の加速度計および第2の加速度計が、対象の腹部が第1の加速度計と第2の加速度計との間に存在し、かつ第1の感度軸および第2の感度軸が対象の腹部を通過するように配置される、ステップと、(例えば、回路中で)第2の運動信号および第1の運動信号を処理して、呼吸信号であって、対象の呼吸に応答する対象の腹部の運動を示す、呼吸信号を生成するステップと、を含む、方法を提供する。この方法はまた、例えば回路を用いて、事前定義された時間期間にわたって発生した呼吸のサイクル数を判定することを含み得る。
【0006】
一部の実施形態では、第1の加速度計および第2の加速度計は、共通に適用された全体運動に応答して、第2の運動信号に対して補完的な第1の運動信号を生成するように配置される。さらに、第2の運動信号と第1の運動信号との間の差を判定するステップは、例えば、加算回路で、第1の運動信号と第2の運動信号とを加算することを含む。
【0007】
別の実施形態では、患者の呼吸を検出する方法は、対象に付着された第1の加速度計であって、患者の呼吸運動と全体運動との双方に応答する第1の出力信号を生成するように構成された第1の応答特徴を有する第1の加速度計を提供することと、対象に付着された第2の加速度計であって、患者の全体運動に応答するが、患者の呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成された第2の応答特徴を有する第2の加速度計を提供することと、を含む。この方法は、次に、第1の加速度計から第1の運動出力信号を取得することと、第2の加速度計から第2の運動出力信号を取得することと、第2の運動信号と第1の運動信号との間の差を判定して、循環的な呼吸信号であって、対象の呼吸に応答して生成される循環的な呼吸信号を生成することと、のための回路を用いる。
【0008】
加速度計は様々な構成で配列され得る。例えば、一部の実施形態は、第1の加速度計および第2の加速度計を患者に対して、第1の加速度計と第2の加速度計とが互いの3センチメートル以内にあるように付着させることを含む。一部の実施形態では、第1の加速度計および第2の加速度計は、積層された構成にある。
【0009】
一部の実施形態では、第1の応答特徴は、第1の加速度計が、患者の呼吸運動と患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるに十分低いノイズフロアを持つ動的範囲を含み、第2の応答特徴は、第2の加速度計が、患者の全体運動に応答するが、患者の呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、患者の呼吸運動の振幅を超えるが、患者の全体運動の振幅未満であるローエンドを持つ動的範囲を含む。
【0010】
別の実施形態では、第1の応答特徴は、第1の加速度計が、患者の呼吸運動と患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるように十分低い周波数での低域遮断周波数を含み、第2の応答特徴は、第2の加速度計が、患者の前記全体運動には応答するが、患者の呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、患者の呼吸運動の周波数は超えるが、患者の全体運動の周波数未満である周波数での低域遮断周波数を含む。
【0011】
さらに別の実施形態では、第1の応答特徴は、第1の加速度計が、患者の呼吸運動と患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるように十分低いノイズフロアを持つ動的範囲を含み、第2の応答特徴は、第2の加速度計が、患者の全体運動には応答するが、患者の呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、患者の呼吸運動の周波数は超えるが、患者の全体運動の周波数未満である周波数での低域遮断周波数を含む。
【0012】
さらに別の実施形態では、第1の応答特徴は、第1の加速度計が、患者の呼吸運動と患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるに十分低い周波数での低域遮断周波数を含み、第2の応答特徴は、第2の加速度計が、患者の全体運動に応答するが、患者の呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、患者の呼吸運動の振幅を超えるが、患者の全体運動の振幅未満であるローエンドを持つ動的範囲を含む。
【0013】
一部の実施形態では、第1の加速度計を提供するステップが、第1の感度軸および第3の感度軸を有する第1の加速度計を提供することを含み、第1の加速度計が、第1の感度軸に沿って第1の加速度計によって感知された運動に応答して第1の寄与信号を生成するように構成され、かつ第3の感度軸に沿って第1の加速度計によって感知された運動に応答して第3の寄与信号を提供するように構成され、第2の加速度計を提供するステップが、第2の感度軸および第4の感度軸を有する第2の加速度計を提供することを含み、第2の加速度計が、第2の感度軸に沿って第2の加速度計によって感知された運動に応答して第2の寄与信号を生成するように構成され、かつ第4の感度軸に沿って第2の加速度計によって感知された運動に応答して第4の寄与信号を提供するように構成され、この方法が、第1の寄与信号と第3の寄与信号とを加算して第1の運動信号を生成することと、第2の寄与信号と第4の寄与信号とを加算して第2の運動信号を生成することと、をさらに含む。
【0014】
一部の実施形態はまた、事前定義された時間期間にわたって循環的な呼吸信号のサイクルの数を判定することによって、対象の呼吸速度を判定することを含む。例えば、事前定義された時間期間は、患者の呼吸が1分当たりのサイクルで表され得るように1分であり得る。
【0015】
患者の呼吸を検出するためのシステムであって、患者の全体運動および患者の呼吸運動を受けるように患者に付着されるように構成された第1の加速度計であって、患者の呼吸運動と患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成された第1の応答特徴を有する、第1の加速度計と、患者の少なくとも全体運動を受けるように患者に付着されるように構成された第2の加速度計であって、患者の全体運動には応答するが、患者の呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成された第2の応答特徴を有する、第2の加速度計と、第2の運動信号と第1の運動信号との間の差を判定し、かつ循環的呼吸信号であって、対象の呼吸に応答して生成される、循環的呼吸信号を生成するように構成された回路と、を含む。
【0016】
一部の実施形態では、第2の加速度計が、第1の加速度計および第2の加速度計が、実質的に同一の呼吸運動を受けるように、第1の加速度計に近接して配置される。例えば、一部の実施形態では、第2の加速度計は、第1の加速度計の3センチメートル以内に配置される。一部の実施形態では、第1の加速度計および第2の加速度計が、積層された構成にある。
【0017】
対照的に、一部の実施形態では、第2の加速度計が、第2の加速度計および第1の加速度計が、実質的に同一の呼吸運動を受けないように配置される。一部の実施形態では、第1の加速度計が第1の感度軸および第3の感度軸を有し、第1の加速度計が、第1の感度軸に沿って第1の加速度計によって感知された運動に応答して第1の寄与信号を生成するように構成され、かつ第3の感度軸に沿って第1の加速度計によって感知された運動に応答する第3の寄与信号を提供するように構成され、第2の加速度計が第2の感度軸および第4の感度軸を有し、第2の加速度計が、第2の感度軸に沿って第2の加速度計によって感知された運動に応答して第2の寄与信号を生成するように構成され、かつ第4の感度軸に沿って第2の加速度計によって感知された運動に応答する第4の寄与信号を提供するように構成される。このような実施形態では、第1の加算回路が、第1の寄与信号と第3の寄与信号とを受信して加算して、第1の運動信号を生成するように構成され、第2の加算回路が、第2の寄与信号と第4の寄与信号とを受信して加算して、第2の運動信号を生成するように構成される。
【0018】
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
対象の呼吸を検出する方法であって、上記対象が胸部、腹部、および尾骨と上記胸部との間に配置された下部脊椎領域を含む脊椎を有し、
第1の加速度計を上記対象の下部脊椎領域に付着させることであって、上記第1の加速度計が、上記対象の背部の一部分に対して実質的に垂直な第1の感度軸を有し、かつ上記第1の感度軸に沿った運動を示す第1の運動信号を生成するように構成される、第1の加速度計を付着させることと、
第2の加速度計を上記対象の下腹部領域の前部部分に付着させることであって、上記第2の加速度計が、上記第1の感度軸に対して実質的に平行な第2の感度軸を有し、かつ上記第2の感度軸に沿った運動を示す第2の運動信号を生成するように構成され、上記第1の加速度計および上記第2の加速度計が、上記対象の腹部が上記第1の加速度計と上記第2の加速度計との間に存在し、かつ上記第1の感度軸および上記第2の感度軸が上記対象の腹部を通過するように配置される、第2の加速度計を付着させることと、
回路中で、上記第2の運動信号および上記第1の運動信号を処理して、呼吸信号であって、上記対象の呼吸に応答する上記対象の腹部の運動を示す、呼吸信号を生成することと、を含む、方法。
(項目2)
上記回路中で、事前定義された時間期間にわたる上記呼吸信号のサイクルの数を判定することをさらに含む、上記項目に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目3)
上記事前定義された時間期間が1分であり、それによって、上記患者の上記呼吸が、1分当たりのサイクルで表され得る、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目4)
上記第1の加速度計および上記第2の加速度計が、共通に適用された全体運動に応答して、上記第2の運動信号に対して補完的な第1の運動信号を生成するように配置され、
上記第2の運動信号と上記第1の運動信号との間の差を判定することが、上記第1の運動信号と上記第2の運動信号とを加算することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目5)
患者の呼吸を検出する方法であって、
上記対象に付着された第1の加速度計であって、上記患者の呼吸運動と上記患者の全体運動との双方に応答して、第1の出力信号を生成するように構成された第1の応答特徴を有する、第1の加速度計を提供することと、
上記対象に付着された第2の加速度計であって、上記患者の上記全体運動には応答するが、上記患者の上記呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成された第2の応答特徴を有する、第2の加速度計を提供することと、
回路を用いて、上記第1の加速度計から、上記第1の運動出力信号を取得することと、
上記回路を用いて、上記第2の加速度計から、上記第2の運動出力信号を取得することと、
上記回路中で、上記第2の運動信号と上記第1の運動信号との間の差を判定して、呼吸信号であって、上記対象の呼吸に応答して生成される、呼吸信号を生成することと、を含む、方法。
(項目6)
上記処理回路中で、事前定義された時間期間にわたる上記呼吸信号のサイクルの数を決定することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目7)
上記事前定義された時間期間が1分であり、それによって、上記患者の上記呼吸が、1分当たりのサイクルで表され得る、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目8)
上記第1の加速度計を提供することおよび上記第2の加速度計を提供することが、上記第1の加速度計および上記第2の加速度計が互いの3センチメートル以内にあるように、上記第1の加速度計および上記第2の加速度計を患者に付着させることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目9)
上記第1の加速度計および上記第2の加速度計が、積層された構成にある、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目10)
上記第1の応答特徴が、上記第1の加速度計が、上記患者の呼吸運動と上記患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるように十分低いノイズフロアを含み、
上記第2の応答特徴が、上記第2の加速度計が、上記患者の上記全体運動には応答するが、上記患者の上記呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、上記患者の上記呼吸運動の振幅を超えるが、上記患者の全体運動の振幅未満であるノイズフロアを含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目11)
上記第1の応答特徴が、上記第1の加速度計が、上記患者の呼吸運動と上記患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるように十分低い周波数での低域遮断周波数を含み、
上記第2の応答特徴が、上記第2の加速度計が、上記患者の上記全体運動には応答するが、上記患者の上記呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、上記患者の呼吸運動の周波数を超えるが、上記患者の全体運動の周波数未満である周波数での低域遮断周波数を含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目12)
上記第1の応答特徴が、上記第1の加速度計が、上記患者の呼吸運動と上記患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるように十分低いノイズフロアを含み、
上記第2の応答特徴が、上記第2の加速度計が、上記患者の上記全体運動には応答するが、上記患者の上記呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、上記患者の呼吸運動の周波数を超えるが、上記患者の全体運動の周波数未満である周波数での低域遮断周波数を含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目13)
上記第1の応答特徴が、上記第1の加速度計が、上記患者の呼吸運動と上記患者の全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成されるように十分低い周波数での低域遮断周波数を含み、
上記第2の応答特徴が、上記第2の加速度計が、上記患者の上記全体運動には応答するが、上記患者の上記呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成されるように、上記患者の上記呼吸運動の振幅を超えるが、上記患者の全体運動の振幅未満であるノイズフロアを含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目14)
第1の加速度計を提供することが、第1の感度軸および第3の感度軸を有する第1の加速度計を提供することを含み、上記第1の加速度計が、上記第1の感度軸に沿って上記第1の加速度計によって感知された運動に応答して第1の寄与信号を生成するように構成され、かつ上記第3の感度軸に沿って上記第1の加速度計によって感知された運動に応答して第3の寄与信号を提供するように構成され、
第2の加速度計を提供することが、第2の感度軸および第4の感度軸を有する第2の加速度計を提供することを含み、上記第2の加速度計が、上記第2の感度軸に沿って上記第2の加速度計によって感知された運動に応答して第2の寄与信号を生成するように構成され、かつ上記第4の感度軸に沿って上記第2の加速度計によって感知された運動に応答して第4の寄与信号を提供するように構成され、
上記方法が、上記第1の寄与信号と上記第3の寄与信号とを加算して上記第1の運動信号を生成することと、上記第2の寄与信号と上記第4の寄与信号とを加算して上記第2の運動信号を生成することとをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出する方法。
(項目15)
患者の呼吸を検出するためのシステムであって、
上記患者の全体運動および上記患者の呼吸運動を受けるように上記患者に付着されるように構成された第1の加速度計であって、上記患者の上記呼吸運動と上記患者の上記全体運動との双方に応答して第1の出力信号を生成するように構成された第1の応答特徴を有する、第1の加速度計と、
上記患者の少なくとも上記全体運動を受けるように上記患者に付着されるように構成された第2の加速度計であって、上記患者の上記全体運動には応答するが、上記患者の上記呼吸運動には応答しない第2の出力信号を生成するように構成された第2の応答特徴を有する、第2の加速度計と、
上記第2の運動信号と上記第1の運動信号との間の差を判定し、かつ呼吸信号であって、上記対象の呼吸に応答して生成される、呼吸信号を生成するように構成された回路と、を備える、システム。
(項目16)
上記第2の加速度計が、上記第1の加速度計および上記第2の加速度計が、実質的に同一の呼吸運動を受けるように、上記第1の加速度計に近接して配置される、上記項目に記載の患者の呼吸を検出するためのシステム。
(項目17)
上記第2の加速度計が、上記第1の加速度計の3センチメートル以内に配置される、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出するためのシステム。
(項目18)
上記第1の加速度計および上記第2の加速度計が、積層された構成にある、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出するためのシステム。
(項目19)
上記第2の加速度計が、上記第2の加速度計および上記第1の加速度計が実質的に同一の呼吸運動を受けないように配置される、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出するためのシステム。
(項目20)
上記第1の加速度計が第1の感度軸および第3の感度軸を有し、上記第1の加速度計が、上記第1の感度軸に沿って上記第1の加速度計によって感知された運動に応答する第1の寄与信号を生成するように構成され、かつ上記第3の感度軸に沿って上記第1の加速度計によって感知された運動に応答する第3の寄与信号を提供するように構成され、
上記第2の加速度計が第2の感度軸および第4の感度軸を有し、上記第2の加速度計が、上記第2の感度軸に沿って上記第2の加速度計によって感知された運動に応答する第2の寄与信号を生成するように構成され、かつ上記第4の感度軸に沿って上記第2の加速度計によって感知された運動に応答する第4の寄与信号を提供するように構成され、上記システムが、
上記第1の寄与信号と上記第3の寄与信号とを受信して加算して、上記第1の運動信号を生成するように構成された第1の加算回路と、
上記第2の寄与信号と上記第4の寄与信号とを受信して加算して、上記第2の運動信号を生成するように構成された第2の加算回路と、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の患者の呼吸を検出するためのシステム。
【0019】
(摘要)
患者の呼吸速度は、2つのMEMSデバイスを用いて呼吸運動を感知することによって、かつこれら2つのMEMSデバイスの出力を処理することによって生成された呼吸信号を処理することによって測定され得る。一部の実施形態は、2つの加速度計を患者の腹部の周辺に配置して、これら2つの加速度計の出力間の差から呼吸運動を判定する。他の実施形態は、2つの非同一の加速度計を患者の身体上の実質的に同じ位置に配置し、それによって、これら加速度計の各々が、同じ呼吸運動に晒されるようにして、これら2つの加速度計の出力間の差から呼吸運動を判定する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な実施形態が、患者が着用する目立たない腹部バンド上で2つの加速度計を用いることによって、患者の呼吸を測定する簡単で直接的な方法を提供する。このバンドは、加速度計のうちの一方(本明細書では、「後部」加速度計)を患者の脊椎の近くに維持し、他方の加速度計(本明細書では、「前部」加速度計)を、患者の腹部の前部側近くの患者の身体の他方の側に維持する。加速度計の各々は、患者の身体の運動を検知するが、前部加速度計は、患者の呼吸(すなわち、呼吸)のために、腹部の運動をより直接的に感知する。加速度計のいずれか一方が引力を感知する程度にまで、双方の加速度計は、ほぼ同じ重力的影響を感知する。したがって、患者の呼吸に起因する運動は、前部加速度計によって感知された運動から後部加速度計によって感知された運動を単に減算することによって、他の力(例えば、患者の運動、重力)から区別することが可能である。
【0022】
一部の実施形態では、2つの加速度計は同一であり得る。他の実施形態では、しかしながら、2つの加速度計は非同一であり得る。例えば、一部の実施形態では、2つの加速度計は区別可能な応答特徴を有し得るが、これが、信号処理を実施することをより容易にし得る。
【0023】
定義。この説明および付随する特許請求の範囲で用いられるような次の用語は、文脈で別様に要求しない限り、示された意味を有するものとする。
【0024】
「脊椎領域」は、尾骨を含み、人間の首にまで延在する人間の脊椎の部分を意味する。人間の患者の脊椎100の脊椎領域101を、
図1Aおよび
図1Bに略図で示す。
【0025】
「下部脊椎領域」は、
図1Aおよび
図1Bに領域103と略図で示すように、尾骨102を含み、人間の腹部を通って、ほぼ人間の横隔膜の位置にまで延在する人間の脊椎100の部分を意味する。
【0026】
「胸部」または「胸郭領域」105は、
図3Aに略図で示すように、人間の胴体のうちで、その人物の横隔膜112とその人物の首104との間の部分を意味する。胸部105の位置は、
図1Aおよび
図3Aに略図で示す。
【0027】
「下腹部領域」(例えば、303)は、人間の腹部領域のうちで、その人物の横隔膜と骨盤111との間の部分を意味する。人間の横隔膜の位置112は、
図1Aに略図で示されている。下腹部領域は、前部側(例えば、人物のヘソは、人間の下腹部領域の前部側に置かれている)および後部側(一般に、人物の腰103Bと呼ばれ得る)を有する。
【0028】
MEMSデバイスおよび患者の身体の部分で用いられるときの「付着される」という用語は、MEMSデバイスが、患者の身体の部分の動きがMEMSデバイスに伝達され、かつこれらによって感知されることが可能であるように配置されることを意味する。例えば、極端な場合、加速度計は、この加速度計を外科手術用ネジで固着することによって、患者の身体中の骨に付着され得る。したがって、加速度計は、この加速度計が骨に対して絶対的に不動であり、したがって、骨の運動がこの加速度計によって容易にかつ正確に感知されることが可能であるように、患者の身体に取り付けられ得る。しかしながら、このような絶対的取り付けは、全ての実施形態で必要というわけではない場合がある。例えば、一部の実施形態では、1つ以上の加速度計301、311が、患者に着用される、シャツまたはベルトなどの衣服品目により付けられ、それによって、加速度計が患者の身体に対して実質的に不動となるようにし得る。患者の身体に対する加速度計の許容される運動の量は、加速度計が用いられるシステムの必要性によって決定され得るし、したがって、各々のシステムの設計者の裁量で、システムによって異なり得る。加速度計が、患者の身体に対するその加速度計の運動がシステム設計者にとって容認されるように、患者の身体に物理的に結合される場合、加速度計は、患者の身体に付着されていると言い得る。
【0029】
「呼吸運動」は、患者の呼吸による患者の身体の部分の運動である。例えば、呼吸運動は、患者の下部脊椎上のポイントに対する患者の腹部の表面上のポイントの運動などの(すなわち、下部脊椎領域での)、患者の身体の1部分の、患者の身体の別の部分に対する運動であり得るが、この運動は、患者が息を吸ったり吐いたりする際に発生する。加えて、呼吸運動は、患者が息を吸った時点と患者が息を吐いた時点との間における患者の胸郭の運動などの、2つの位置の間での患者の身体の一部の運動であり得る。
【0030】
患者の「全体運動」は、呼吸運動以外の身体の運動を含む。例えば、対象の全体運動は、対象の歩行、走行、またはベッド内での寝返りに応答してMEMSによって感知された運動であり得る。
【0031】
MEMSデバイスの「感度」は、所与の刺激に対するデバイスの出力の比である。例えば、加速度計は、加速度計に適用された加速度に応答して電圧出力を生成し得る。したがって、加速度計の感度は、1g当たりのボルト値(ボルト/g)または1g当たりのミリボルト値(mV/g)(式中、「g」は、地球の表面上での重力による加速度の量(すなわち、9.8メートル/秒の二乗))を示す)と表され得る。例えば、第1の加速度計が、1gの加速度に応答して2ボルトの出力を生成すれば、この第1の加速度計は、2V/gの感度を有するものと説明され得る。同様に、第2の加速度計が、1gの加速度に応答して3ボルトの出力を生成すれば、この第2の加速度計は、3V/gの感度を有するものと説明され得る。
【0032】
MEMSデバイスの「動的範囲」は、デバイスが正確に変換することが可能な最大の刺激と、デバイスが正確に変換することが可能な最小の刺激との間の差である。デバイスが正確に変換することが可能な最大の刺激は、MEMSデバイスの出力が非線形になる信号振幅、または別様に刺激の特徴を正確に伝える出力信号を生成するMEMSデバイスの能力を超えた信号振幅と定義され、かつ、例えば、MEMSデバイス内の可動素子の吊りシステムの剛性またはMEMSデバイス内の可動素子が運動することが可能な範囲によって制限され得る。デバイスが正確に変換することが可能な最小の刺激は、所与の刺激に応答するデバイスからの出力信号がデバイスのノイズフロアよりも低い場合には、例えば、デバイスのノイズフロアによって制限され得る。所与のMEMSデバイスのノイズフロアは、一般的には、デバイスの製造業者によって指定される。
【0033】
MEMSデバイスの「帯域幅」は、デバイスが正確に変換することが可能な最高の周波数運動と、デバイスが正確に変換することが可能な最低の周波数運動との間の差である。デバイスが正確に変換することが可能な周波数は、例えば、デバイスの梁の質量またはデバイスの梁の吊りの剛性によって制限され得る。周波数は、その周波数の運動に対するデバイスの応答が、より高い周波数に対するデバイスの応答の半分(−3db)または未満であれば、デバイスの帯域幅のボトムエンド(すなわち、デバイスの低域遮断周波数)未満であり得る。所与のMEMSの帯域幅は、一般的には、デバイスの製造業者によって指定される。
【0034】
MEMSデバイスの「応答特徴」は、入力された刺激に対するMEMSデバイスの応答の特徴を意味する。応答特徴はまた、MEMSデバイスの伝達関数として説明され得る。MEMSデバイスの応答特徴は、MEMSデバイスの感度、動的範囲、帯域幅もしくは低域遮断周波数、およびノイズフロアによって影響され得る。例えば、区別可能な動的範囲を有する2つの加速度計は、これら加速度計のうちの一方の動的範囲内にあるが、これら加速度計の他方の動的範囲内にはない加速度に対して区別可能な応答特徴を有する。
【0035】
「患者」という用語は、一般には呼吸する有機物のことであって、人間または、さらに、医学的配慮を求めている人間には限られない。例えば、患者は人間ではない動物であり得る。
【0036】
図2Aおよび
図2Bは、MEMS加速度計200の略図で示すが、本明細書で説明される実施形態は、必ずしも加速度計の使用に限られるわけではなく、かつ
図2Aおよび
図2Bに関連して説明される加速度計の使用に限られない。
図2Aは、加速度計中で用いられ得る先行技術による差動コンデンサ209の単一のセルを略図で示す。加速度計200は、上に吊るされ、かつ基板202に実質的に平行な梁201を有する。梁201は、加速度計200の「感度軸」として周知であり得る軸203に沿って可動であるが、それは、これが、加速度計200が加速度を感知する対象であり、かつ加速度計が電気出力信号を生成する対象の軸であるからである。言い換えれば、加速度計(例えば、200)は、その感度軸に沿った運動を感知して、このような運動に応答して出力信号を生成する。
【0037】
一部の加速度計は、2つ以上の感度軸を有する。例えば、一部の加速度計は、2つまたは3つの感度軸を有する。実際に、一部の多軸式加速度計では、軸は互いに対して直角である(または実質的に相互に直角である)。
【0038】
くわえて、感度軸(例えば、203)は、正の感度方向を含み、それによって、加速度計が、正の感度方向と同じ方向の加速度に応答して正の出力を生成し、かつ正の感度方向と同じ線に沿った負の感度方向を含み、それによって加速度計が、正の感度方向と反対方向の加速度に応答して正の出力の逆である出力を生成することを特徴とし得る。言い換えれば、このような加速度計は、正の感度方向の方向にある加速度に対しては2V/gの出力と、負の感度方向の方向の等しい大きさの加速度に対して−2V/gの出力とを生成し得る。2つの加速度計を持つシステムでは、これら2つの加速度計は、それらのそれぞれの正の感度方向が全く反対になるように配置され得るし、それによって、これら2つの加速度計が、同じ適用加速度に応答して反対極性の出力信号を生成する(言い換えれば、これらの出力信号は、互いに対して補完的である)。したがって、これらそれぞれの出力信号間の差は、単に2つの出力信号を加算することによって生成され得る。
【0039】
梁201は、梁と共に移動する少なくとも1つのフィンガ204を含む。可動フィンガ204は電極であり、複数のこのような可動フィンガは、互いに対して接続されて、より大きい可動電極を形成し得る。梁に隣接して固定されたフィンガ205および206があるが、これらも電極であり、かつ例示的な実施形態では電気的に独立している。固定フィンガ205および206は、可動フィンガ204とかみ合っているまたは相互嵌合していて、可動フィンガ204および固定フィンガ205から形成される第1のコンデンサ207と、可動フィンガ204および固定フィンガ206から形成される第2のコンデンサ208とを備える差動コンデンサ209を形成する。
【0040】
力が軸203に沿って基板202に適用されるとき、基板202ならびに固定フィンガ205および206は、適用された力の方向に移動し、一方梁201は、最初は慣性力によって、その事前の位置に留まる。力が1つの方向にあるとき、可動フィンガ204と固定フィンガ205との間の距離間隔が増して、第1のコンデンサ207の容量が減少する。逆に、可動フィンガ204と固定フィンガ206との間の距離間隔が減少して、第2のコンデンサ208の容量が増す。基板202に対する力が反対方向であるとき、第1および第2のコンデンサ207および208に対する影響は逆になる。
【0041】
様々な実施形態が、様々な可変コンデンサを持つMEMSデバイスに当てはまることに留意すべきである。例えば、例示内容は、1つの固定されたプレートもしくはフィンガおよび1つの可動のプレートもしくはフィンガを有する可変コンデンサに当てはまる。2つの固定フィンガを持つシステムのいかなる検討も、例示的であり、制限的であることを意図するものではない。
【0042】
図2Aの差動コンデンサセルのいくつかの部分の斜視図を
図2Bに示す。全ての構造が示されているわけではない。双頭の矢印210は、梁201が吊られていることを、かつ基板202の上に固定フィンガ205および206の高さがあることを略図で示している。
【0043】
梁251の代替配列250と、例示の可動フィンガ260および263ならびに固定フィンガ256、257、258、および259とを、
図2Cに略図で示す。梁251は矩形であり、それぞれバネ254および255によってアンカー252および253から基板266(図示せず)上に吊られている。梁251はY軸で可動であり、加速度計250の感度軸は、Y軸と平行である。
【0044】
可動フィンガ260および263は、梁の内壁の側部から延在する。静止しているフィンガ256、257、258、および259は基板266に固定され、梁251の平面上にある。固定フィンガ256および257は、可動フィンガ260と共に、それぞれ第1のコンデンサ261および第2のコンデンサ262を形成する。同様に、固定フィンガ258および259ならびに可動フィンガ263は、それぞれコンデンサ264およびコンデンサ265を形成する。
図2Cでは、加速度計は、梁がアンカー253よりもアンカー252に対して近いように、かつバネ254が圧縮され、バネ255は伸長されるように、Y方向の加速度を受けるものとして略図で示されている。
【0045】
図2Dは、感度軸271を有する加速度計270を略図で示す。加速度計が感度軸271に平行ではないX軸に沿った加速度を受けると、加速度計270は、それでも、適用された加速度の大きさの一部分を表す出力信号を生成する。したがって、加速度計(例えば、270)の感度軸271は、X軸に平行な感度ベクトル(例えば、272)(およびX軸に垂直な感度ベクトル273)を有し得ると言い得る。
【0046】
図2Eは、各々が測定された加速度に応答して出力信号(例えば、電圧信号または電流信号またはデジタル信号)を生成するように構成された3つの出力端子(281、282、283)を有する3軸式加速度計280を略図で示す。例えば、出力端子281はX軸に沿った加速度に応答して信号を生成し、出力端子282はY軸に沿った加速度に応答して信号を生成し、出力端子283はZ軸に沿った加速度に応答して信号を生成し得る(たとえば、
図2Bを参照)。3つよりも少ない感度軸を持つ加速度計は、より少ない出力端子を有し得る。例えば、単軸式加速度計はたった1つの出力端子281を有し、双軸式加速度計は2つの出力端子281および282を有し得る。したがって、加速度計280は、本明細書中の実施形態のうちのいずれかに記載の加速度計のうちのいずれかを表し得る。
【0047】
上述したように、加速度計は、人間という対象または人間という対象の一部の運動などの運動を電気信号に変換するあるタイプの変換器である。例えば、ジャイロスコープなどの他のタイプのMEMSデバイスもまた、人間という対象または人間という対象の一部の運動などの運動を電気信号に変換する変換器である。実際には、変換器は、「トップエンド」および「ボトムエンド」によって画定される動的範囲を有する。
【0048】
変換器の動的範囲のボトムエンドは、主として変換器に固有の電気ノイズ信号によって判定される。この電気ノイズは、「ブラウン」ノイズとして知られ得る。変換器によって出力される電気信号は、入射運動信号を表す成分と、ノイズを表す成分とを含む。ノイズ信号の振幅が運動信号のものに近づくと、運動信号はノイズから区別されない場合があり、または、ノイズ内から検出可能でなくなる場合がある。言い換えれば、ノイズは信号を圧倒し得る。ノイズが運動信号を圧倒するポイントは、ノイズフロアとして知られており、動的範囲のボトムエンドは、変換器のノイズフロアの関数である。
【0049】
変換器の動的範囲のトップエンドは、出力された電気信号中に存在する歪みによって判定される。例えば、理想的な加速度計では、加速度計の出力は、常に、加速度計に作用する入射加速力の無歪み表現である。実際の加速度計では、しかしながら、入射加速度がより強力になるに連れて、加速度計から出力された電気信号は、加速度計の可動部材(すなわち「梁」)が高い加速度レベルに完全には応答することが不可能であり、出力が非線形になるため、歪み始める。あるポイントで、歪みのレベルはシステムの許容値を超え、そのため、そのポイントを超える加速度は、加速度計の動的範囲からはみ出す。容認不可能な歪みのポイントは、システム設計者によって、設計されているシステムの関数として判定されなければならない。一部の応用例は、他のそれらよりもより高い歪みを許容し得る。
【0050】
したがって、変換器の動的範囲は、主として、ボトムエンドでのノイズフロアと、トップエンドでの容認不可能歪みのポイントとによって判定される。
【0051】
図3Aは、呼吸をしていない人間の患者300を略図で示す。
図3Bは息を吐いている患者300を略図で示し、
図3Cは息を吸っている患者300を略図で示している。
図3A〜3Cの各々において、2つの加速度計301、311が患者300付着されている。加速度計301、311は、例えば、上述したタイプであり得る。より具体的には、前部加速度計301は患者300の腹部領域303に付着され、一方、後部加速度計311は患者300の下部脊椎領域103に付着されており、それによって、患者の腹部303が、前部加速度計301と後部加速度計311との間に配置されるようになっている。一部の実施形態では、後部加速度計311の感度軸312は患者の背部に対して垂直であり、一部の実施形態では、前部加速度計301の感度軸302は後部加速度計311の感度軸312に対して平行である。
【0052】
一部の実施形態では、加速度計301、311は、
図4に略図で示すように、センサーベルトまたはバンド400によって患者300に付着され得る。センサーは、患者300の周りに適合し、かつこれに固着されるように構成されたベルトストラップ401を含む。例えば、バンド400は、患者の腹部303の周りに固着され、それによって、2つの加速度計301、311を上述した部分中に付着させるようにし得る。
【0053】
バンド400は、呼吸測定システム575の他の素子を含み得る。例えば、加速度計301、311に加えて、システム575は、電源502および/または信号処理回路などの素子を含み得る。電源502は、1つ以上のバッテリまたは他の電源を含み得る。信号処理回路500の一部の実施形態は、例えば、1つ以上のバッファもしくは増幅器521、信号フィルタ522、アナログツーデジタルコンバータ523、マイクロプロセッサもしくはデジタル信号プロセッサ集積回路501(その各々が「DSP」と呼ばれ得る)、無線送信機回路503、位相器527、または加速度計301、311の出力を受信して処理する他の回路を含み得る。一部の実施形態では、デジタル信号プロセッサ集積回路501は、デジタル信号プロセッサ集積回路501が、信号がサンプリングされる時間を制御して記録することが可能であるように、例えば、1つ以上の制御信号529を介して1つ以上のアナログツーデジタルコンバータ523を制御する。
【0054】
例えば、
図5Bに略図で示すように、回路520は、その差動入力部521Aおよび521Bでそれぞれ加速度計301および311の出力5301および5311を受信するように構成され、かつその出力信号が加速度計301および311の出力5301および5311間の差によって画定される振幅を有する出力信号をその出力端子521Cに生成するように構成された差動増幅器521を含み得る。一部の実施形態では、加速度計301、311からの出力信号5301および5311が位相不一致である(例えば、加速度計301、311のうちの一方の出力が加速度計301、311の他方の出力に対して遅延している)場合、回路520は、1つ以上の遅延素子を含んで、信号5301、5311のうちの一方または双方を遅延させ、それによって、例えば、双方の加速度計301、311によって感知された運動に対する応答が増幅器521に到達する時間の差を減少させ得る。
【0055】
回路520はまた、デジタル信号を生成するために増幅器521からの出力信号を変換して、そのデジタル化された信号を、加速度計301および311の出力5301および5311をフィルタリングするようにプログラムされたデジタル信号プロセッサ集積回路(すなわち、「DSP」)などのコンピュータプロセッサハードウエア501に提供するように構成されたアナログツーデジタルコンバータ523を含む。2つの加速度計301および311が類似の感度を有しない場合、それらの出力は、それによって、例えば、加速度計301および311の出力5301および5311が類似のまたは同一の振幅を有するように、回路520中の増幅器521または
図5Cの回路530中のオプションの増幅器526のうちのいずれかによって調整され得る。こうする代わりにまたはこうすることに加えて、増幅器526のうちの一方または双方が、出力5301と5311との間の遅延またが位相ずれを導入して、前に説明した様に、それらの間のあらゆる遅延または位相を軽減し得る。
【0056】
一部の実施形態では、加速度計301および311の出力5301および5311が、例えば、
図5Eに略図で示すように加算ジャンクション550によって加算され得る。例えば、加算ジャンクション550は、
図5Bの回路520の増幅器521の代わりに導入され得る。3抵抗式加算ジャンクション550などの加算器ジャンクションの設計、構造、および用途は、技術上公知であり、したがって本明細書ではさらには詳述しない。
【0057】
一部の実施形態は、加速度計301および311の出力5301および5311(
図5C)のうちの一方または双方をフィルタリングするため、または、増幅器521の出力をフィルタリングするために、1つ以上のオプションのアナログフィルタ522を含む。例えば、このようなフィルタは、低周波数の呼吸運動を表す信号成分の振幅を減少させるように構成された高域フィルタであり得る。一部の実施形態は、
図5Cの回路530が略図で示すように、増幅器521を省略する。
【0058】
加えて、一部の実施形態は、
図5Bおよび
図5Cに略図で示すように、プロセッサ501からの出力を受信し、かつ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、またはコンピュータサーバなどの外部の受信機510(例えば、
図5A)に信号を無線で送信するように構成された送信機回路503を含み得る。このような信号は、加速度計301、311のデジタル化された出力5301および5311、または、信号プロセッサ501によって加速度計301、311の出力5301および5311から生成されたデジタル出力を含み得る。こうする代わりに、一部の実施形態は、例えば、
図5Dの回路540によって略図で示すように、加速度計301、311の出力5301および5311をアナログドメインで送信し得る。
【0059】
図3Aに戻ると、略図で示すように、後部加速度計311および前部加速度計301は、患者の腹部303がそれらの間にあるように、または言い換えれば、感度軸302および312が双方とも、患者の腹部を通過するように配置される。したがって、それらの間には、名目上の距離320が存在する。
【0060】
動作に際して、患者300が呼吸するに連れて、後部加速度計311は、患者に対して実質的に不動である。したがって、後部加速度計311は、患者300の全体運動を感知するが、患者の呼吸運動を感知しない。
【0061】
対照的に、前部加速度計301は、患者の呼吸に応答して移動する。より具体的には、前部加速度計301は、
図3Bの矢印330が略図で示すように、患者が息を吸うに連れて、後部加速度計311に近づく。
図3Bに示すように、加速度計301と311との間の距離320は、患者300が息を吐いた結果として、閉じるまたは量321だけ減少する。
【0062】
同様に、前部加速度計301は、
図3Cの矢印331が略図で示すように、患者が息を吸うときに後部加速度計311から離れるように移動する。
図3Cに示すように、加速度計301と311との間の距離320は、患者300が息を吸った結果として広がる、すなわち量322だけ増す。
【0063】
患者300が呼吸するに連れて、加速度計301と311との間の距離320は、患者の呼吸と同調して循環的に増減する。実際問題として、全ての人間腹部が、患者300の腹部303のように平坦であるわけではない。このような状況下では、前部加速度計301の感度軸302は、後部加速度計311の感度軸312に対して正確には平行ではないことがあり得る。しかしながら、これらの加速度計301、311から出力された信号はそれでも、前部加速度計302の感度軸312が後部加速度計311の感度軸312に対して平行な感度ベクトルを有する限り、患者300の呼吸速度を判定する際に有効である。
【0064】
患者の呼吸速度は、とりわけ、所与の時間間隔にわたる患者の呼吸信号中のピークの数をカウントすることによって判定され得る。例えば、
図7Aの信号701中のピーク701−1、701−2、・・・、701−12を参照のこと。
【0065】
一部の実施形態は、患者の異なる位置における運動を感知する必要なくおよび/または患者の身体の異なる位置に配置される義務なく呼吸を検出する。例えば、代替実施形態600は、
図6Aおよび6Bに略図で示すように、異なる(すなわち、非同一の)応答特徴を持つ2つの加速度計301と311を含む。加速度計301および311の双方は、対象300に付着され、したがって、双方とも対象の1つ以上の運動(例えば、全体運動および/または呼吸運動)を受ける。一部の実施形態では、加速度計301および311は互いに対して非常に近く配置され得るが、それは、システム600の動作が、患者300の身体の2つの区別可能な位置からの運動の感知に依存しないからである。言い換えれば、一部の実施形態は、全体運動によって生成された第1の成分と、呼吸運動によって生成された第2の成分とを有する運動(「合成運動」)を感知することによって、呼吸信号を検出し得る。
【0066】
その目的のため、一部の実施形態では、加速度計301および311は、互いの1センチメートルまたは2センチメートルまたは3センチメートル以内に位置決めされ得る。一部の実施形態では、加速度計301および311は、積層された構成にあり得る(例えば、患者の身体300に垂直なライン650が、
図6Cに略図で示すように、加速度計301および311の双方を通過する)。実際、一部の実施形態では、加速度計301および311の双方が同じ基板601上に搭載されるし、さらに同じシリコンダイすなわち基板601上に製造されることさえあり得る。
【0067】
しかしながら、2つの加速度計は非同一の応答特徴を有するため、それぞれの加速度計の出力は、たとえそれらが双方とも同じ運動を受けても同じではない。好ましい実施形態では、これら加速度計のうちの一方は全体運動と呼吸運動の双方に応答して出力信号を生成するが、他方の加速度計は全体運動のみに応答して出力信号を生成する。したがって、2つの加速度計の出力は、呼吸運動のみによってなされる寄与を判定するために比較または処理され得る。
【0068】
例えば、1つの実施形態では、2つの加速度計301、311は異なる(すなわち、区別可能な、非同一の)動的範囲を有し、それによって患者の呼吸運動が加速度計のうちの一方の動的範囲内にある(したがって、その加速度計からの出力信号中に表される)が、第2の加速度計の動的範囲内にはない(したがって、その加速度計からの出力信号中には表されない)ようにすることができる。この説明および付随する特許請求の範囲の目的のため、刺激が変換器の動的範囲外にあれば、その変換器は、その刺激を変換する(例えば、それに対する応答を生成する)ように構成されない応答特徴を有するものと見なされる。
【0069】
代替の実施形態では、2つの加速度計は、異なる周波数範囲を有し、それによって、呼吸運動の低周波数(例えば、<1Hz、<5Hz、<10Hz)がその加速度計の帯域幅内にある(したがって、その加速度計の出力中に表される)が、他方の加速度計の帯域幅内にはない(したがって、その加速度計からの出力信号中には表されない)ようにし得る。この説明および付随する特許請求の範囲の目的のため、刺激が変換器の帯域幅の低域遮断周波数未満であれば、その変換器は、その刺激を変換する(例えば、それに対する応答を生成する)ように構成されない応答特徴を有するものと見なされる。
【0070】
さらに別の実施形態では、2つの加速度計は区別可能な動的範囲(例えば、ノイズフロア)および区別可能な帯域幅さえも有し、それによって、呼吸運動がその加速度計の応答特徴内にある(したがって、その加速度計の出力中に表される)が、他方の加速度計の応答特徴内にはない(したがって、その加速度計からの出力信号中には表されない)ようにする。
【0071】
さらに別の実施形態では、第1の加速度計(例えば、301)は、第1の加速度計が呼吸および全体運動の双方を変換するように構成されるような動的範囲を有し得るし、第2の加速度計(例えば、311)は、第2の加速度計(311)が全体運動を変換するが呼吸運動は変換しないように構成されるような呼吸運動の周波数を超える低域遮断周波数を有し得る。
【0072】
こうする代わりに、別の実施形態では、第1の加速度計(例えば、301)は、第1の加速度計が呼吸および全体運動の双方を変換するように構成されるような周波数範囲を有し得るし、第2の加速度計(例えば、311)は、第2の加速度計(311)が全体運動を変換するが呼吸運動は変換しないように構成されるような動的範囲を有し得る。
【0073】
一般に、異なる応答特徴を有する2つの変換器(例えば、2つの加速度計)は、同じ刺激に対する応答に際しても、互いから区別可能な出力信号を生成する。このようなシステム600の実施形態を、
図6Aおよび
図6Bに略図で示し、以下に説明する。
【0074】
一部の実施形態では、2つの加速度計301、311は双方とも、同じ運動または実質的に同じ運動を受け得る。2つの運動は、それらの波形が同一であればおよび/またはそれらのそれぞれのエネルギーが互いの90パーセントもしくは95パーセント内にあれば実質的に同じである(または2つの運動を表す信号が実質的に同じである)と考えられ得るが、それらのエネルギーのより高いまたは低い比(すなわち、95パーセントを超えるまたは90パーセント未満)は、本システムを設計するエンジニアまたは本システムを動作させる人物によって判定される限り、一部の応用分野では容認され得る。2つのエネルギーの比は、例えば、設計されているシステムの要件および許容範囲に従って、様々な実施形態ではより高くまたはより低くなり得る。当業者は、本開示を読んだ後では、2つの運動(または2つの運動を表す信号)が実質的に同じであるかどうかを判定するために、2つのエネルギーの容認可能な比を判定することが可能であろう。
【0075】
また、2つの積層された加速度計、すなわち共通の基板(例えば、601)上に緊密に搭載された2つの加速度計は、同じ運動を感知するものと見なされ得る。例えば、2つの加速度計は互いに緊密に近接して患者に付着され得るし、したがって、呼吸に応答して異なるように移動する患者の身体の部分に付着される、または患者の身体の前部および後部の部分に付着されるもしくは患者の身体の一部分が物理的に2つの加速度計間にあるように別様に位置決めされる必要はないということがあり得る。一般に、様々な実施形態600は、2つの加速度計301、311が異なる刺激を受けることを要求しない。実際に、一部の実施形態では、2つの加速度計は1つのパッケージ内に組み込まれ得るし、さらに、例えば、シリコンまたはシリコンオンインシュレータの基板などの同じ基板上にさえあり得る。
【0077】
区別可能な応答特徴および、特に、区別可能なノイズフロアを持つ2つの加速度計を有する実施形態のシステム600の例を以下に説明する。区別可能なノイズフロアを持つ2つの加速度計を有するシステム600の実施形態は類似の信号を生成するとはいえ、これらの信号は同一ではなく、かつ以下に説明する方法で処理されることが可能である。
【0078】
呼吸の本質は、それが循環的であり、したがって、呼吸を表す信号も循環的であるが、正確には循環的ではないということがあり得る。したがって、患者の呼吸速度は、例えば、所与の時間間隔中に発生する呼吸信号のサイクルの数を判定することによって判定され得る。また、一般的には、人物の呼吸運動は、その人物の全体運動に対して小さい。
【0079】
システム600においては、第1の加速度計301は呼吸運動の振幅未満のノイズフロアを有し、したがって、第1の加速度計301は、呼吸運動に応答する成分を有する出力信号を生成する。
【0080】
例えば、
図7Aに示すように、加速度計301は、呼吸信号に応答して0.025ボルト/g(ピークツーピークで0.05ボルトに等しい)の振幅を持つ運動信号701を生成し得る。
図7Aの信号701は、例えば、12のピーク(701−1、701−2、・・・、701−12)によって証明されるように、60秒の期間にわたって12サイクルを略図で示す。したがって、信号701で示される呼吸の呼吸速度は、毎分12サイクル(すなわち、12/60=0.2Hzである。
【0081】
実際には、第1の加速度計301はまた、
図7Bに運動信号701の信号セグメント711によって略図で示すように、患者の全体運動を変換する。このような全体運動は、呼吸運動に加えて運動信号701に対する寄与を生成し得るが、それによって、運動信号701は、例えば、
図7Bに示すように、2.25ボルト(すなわち、ピークツーピークで4.5ボルト)の振幅を有する。このような全体運動に応答して生成された第1の加速度計301の出力の部分は、「アグレッサ」信号または単に「アグレッサ」と呼ばれ得る。
【0082】
したがって、
図7Cに略図で示すように、呼吸運動に応答して第1の加速度計301中で生成された運動信号701の部分712は、呼吸運動および全体運動の双方が第1の加速度計301の応答特徴内にある(すなわち、加速度計301は、呼吸運動および全体運動の双方を感知することが可能であり、例えば、運動信号は、加速度計301のノイズフロア未満ではない)とはいえ、患者の全体運動に応答して同じ加速度計301によって生成された運動信号701の部分よりもかなり小さい。
図7Bに示すように、セグメント711中の合計の運動信号701は、約2.25ボルト(ピークツーピークで3.4ボルト)の振幅を有し、
図7Cに示すように、信号712は、約0.025ボルト(0.32V−0.27V=ピークツーピークで0.05V)の振幅を有する。したがって、前述の例では、これら2者(呼吸による運動と全体運動)の比は、約100:1(2.25:0.025)である。
【0083】
実際、第1の加速度計301の出力も、ある程度のノイズを含む。加速度計のノイズ出力は、一般的には、ヘルツの二乗根当たりのマイクロgの単位で表され、一般的には、加速度計の製造業者によって指定される。この実施形態では、第1の加速度計301および第2の加速度計311の双方が類似のノイズ密度を有する。好ましい実施形態では、第2の加速度計のノイズ密度に対する第1の加速度計のノイズ密度の比は、0.1〜10の間にある。言い換えれば、一方の加速度計の指定されたノイズ密度は、他方の加速度計の指定されたノイズ密度をかなり超える(例えば、一部の実施形態では、10倍以下)ことがあってはならない。
【0084】
したがって、呼吸運動および全体運動に応答する第1の加速度計301の出力は、
図7Bに略図で示す運動信号701であり、次式(1)で記述され得る。
【0085】
(1)Vout1=V_呼吸1+V_アグレッサ1+V_ノイズ1
【0086】
図7Bに略図で示すように、前述の成分の全て3つが、信号701のセグメント711中に現れる。しかしながら、この例では、全体運動は、30秒ポイントで停止し、その後で、信号701のセグメント712は、楕円形窓702から信号701の拡大部分を略図で示す
図7Cに略図で示すように、呼吸運動およびノイズに対する加速度計301の応答のみを含む。
【0087】
システム600では、第2の加速度計311は、第1の加速度計301の応答特徴から区別可能な応答特徴を有する。この実施形態では、呼吸運動に対する第2の加速度計311の応答は、第2の加速度計311のノイズフロア未満である。
【0088】
したがって、呼吸運動および全体運動に応答する第2の加速度計311の出力5311は、
図8Aに略図で示す信号801であり、次の式(2)で記述され得る。
【0089】
(2)Vout2=V_アグレッサ2+V_ノイズ2
【0090】
Vout2は呼吸に対する応答を含まない(すなわち、「V_呼吸2」はない)ことに留意すべきである。それは、この例の目的のために、呼吸信号が第2の加速度計311の応答特徴の外側になる(そして、具体的には、そのノイズフロア未満である)からである。
【0091】
図8Aに略図で示すように、前述の成分の双方が信号801のセグメント811中に現れる。しかしながら、全体運動は30秒ポイントで停止し、その後は信号801のセグメント812は、楕円形窓802から信号801の拡大された部分(すなわち、セグメント812)を略図で示す
図8Bに略図で示すように、加速度計311のノイズ出力のみを含む。
【0092】
呼吸運動を表す信号712は、第1の加速度計301および第2の加速度計311から出力された信号から抽出され得る。一部の実施形態では、呼吸信号は、式(3)で表されるように、第1の加速度計301の出力から第2の加速度計311の出力を減算することによって判定され得る。
【0093】
(3)V_呼吸_信号=Vout1−Vout2=
【0094】
V_呼吸1+V_アグレッサ1+V_ノイズ−V_アグレッサ2−V_ノイズ2
【0095】
アグレッサ信号が、加速度計301および加速度計311の双方のノイズフロアを超え、かつ加速度計301および加速度計311の双方が同じボルト/gを有する出力信号を生成する場合、V_アグレッサ1は、V_アグレッサ2に等しい。しかしながら、加速度計301および加速度計311が同じボルト/gの振幅を有する出力信号を生成しない場合、加速度計301、311のうちの一方の出力は、V_アグレッサ1の振幅がV_アグレッサ2の振幅に等しくなるように増幅され得る。例えば、このような増幅は、
図5Cに略図で示すように、増幅器526のどちらかまたは双方によって実施され得る。
【0096】
したがって、呼吸信号の式は、式(4)に帰着する。
【0097】
(4)V_呼吸_信号=V_呼吸1+V_ノイズ1−V_ノイズ2
【0098】
したがって、呼吸信号は一部のノイズを含むとはいえ、呼吸信号は、対象の呼吸速度を判定するに十分である。
【0099】
例としてのNFにおいては、第2の加速度計311の応答(Vout2)は、呼吸に応答する成分を含まない(すなわち、「V_呼吸2」はない)ことを繰り返すべきである。しかしながら、加速度計311の出力信号(Vout2)が呼吸に応答して生成された成分(すなわち、「V_呼吸2」)を含む場合、本システムはそれでも本明細書に説明する目的のために使用可能な出力を生成し得るが、その成分の存在は本システムの性能を劣化させ得る。例えば、このような出力信号は、式2’によって表され得る。
【0100】
(2’)Vout2=V_呼吸2+V_アグレッサ2+V_ノイズ2
【0101】
このような場合、本システムの出力は、式(3’)によって表され得る。
【0102】
(3’)V_呼吸_信号=Vout1−Vout2=
【0103】
V_呼吸1+V_アグレッサ1+V_ノイズ1−V_呼吸2−V_アグレッサ2−V_ノイズ2
【0104】
式(3’)によって示されるように、加速度計311によって生成された呼吸信号V_呼吸2は、加速度計301によって生成された呼吸信号V_呼吸1を損なう。本システムは、それでも出力(V_呼吸_信号)を生成するが、その出力は式(4)で表される信号の忠実度を有しない。実際に、最悪のシナリオでは、V_呼吸1=V_呼吸2である。その場合、本システムの出力は、呼吸成分(V_呼吸1;V_呼吸2)が互いを相殺しており、アグレッサ成分(V_アグレッサ1;V_呼吸2)が互いを相殺して、ノイズだけを残す式(4’)によって示されるように、呼吸を表す成分を含まない。
【0105】
(4’)システム出力=V_ノイズ1−V_ノイズ2
【0106】
したがって、前述の開示に鑑み、システム設計者は、加速度計301が呼吸によって生成された成分を(V_呼吸1)を有する出力信号(Vout1)を生成し、かつ加速度計311が、加速度計301の出力中の対応する成分(V_呼吸1)に等しい呼吸(V_呼吸2)によって生成された成分を含まない出力(Vout2)を生成するように、かつ好ましくは、呼吸によって生成されたいかなる成分(すなわち、V_呼吸2=0)も含まない出力(Vout2)を生成するように、加速度計301および311を選択することを知っている。
【0108】
代替の実施形態では、これまた
図6A、6B、および
図7A〜7Cに略図で示すように、第1の加速度計301は、呼吸運動を変換するに十分低い低域遮断周波数を有する。言い換えれば、呼吸運動の周波数は、第1の加速度計301の周波数応答内にある。例示のため、患者(781)の呼吸運動の周波数と、患者の全体運動(782)の周波数とのプロット780を、
図7Dに略図で示し、第1の加速度計(301)の周波数応答特徴784[「H(s)」]を
図7Eに略図で示す。この例に示すように、呼吸周波数781は、ここで1Hz未満であり、全体運動周波数782は約100Hzという成分を有する。第1の加速度計(301)の周波数応答特徴784は、呼吸周波数781と全体運動周波数782との双方に及ぶ帯域幅を有し、それによって、第1の加速度計が、患者の呼吸運動と全体運動の双方に応答して出力信号を生成する。
【0109】
第2の加速度計311は、呼吸信号の周波数成分と重ならない周波数応答を有する。例えば、
図7Fに略図で示すように、加速度計311は、呼吸信号を遮断する高域周波数応答(786)を有し得る。例えば、第2の加速度計311の周波数応答786は、呼吸周波数781と全体運動周波数782との間の低域遮断周波数(787)を有し、それによって第2の加速度計が、患者の全体運動に応答して出力信号を生成するが、患者の呼吸運動を除去する(すなわち、これに応答した出力信号を抑制する、すなわち生成しない)。
【0110】
Vout2は、呼吸に対する応答を含まない(すなわち、「BV_呼吸2」は存在しない)ことに留意すべきである。これは、呼吸信号が第2の加速度計311の外部にあり(かつ、具体的には、その周波数範囲または帯域幅の外部にある)からである。第1の加速度計301および第2の加速度計311からの出力信号(例えば、それぞれ5301、5311)が次に、上述したように処理されて、呼吸信号(すなわち、V_呼吸_信号)を生成し得る。
【0111】
一部の実施形態では、第1の加速度計301および第2の加速度計311からの出力信号をさらに処理して、ノイズの影響を減少させることが望ましいということがあり得る。一部の実施形態では、第1の加速度計301および第2の加速度計311からの出力信号またはこれらの出力間の差は、例えば
図5Bおよび5Cに略図で示すように、アナログツーデジタルコンバータによってデジタル化され、信号データとしてデジタル信号プロセッサ501に提供され得る。デジタル信号プロセッサ501は、次に、この信号データにデジタルフィルタを適用して、ノイズの一部を除去し得る。
【0112】
患者の呼吸運動を判定する方法900を、
図9Aのフローチャートに略図で示す。ステップ901で、方法900は、2つの加速度計を提供し、次に、前述の様々な実施形態に説明したように、それを患者に付着させる。ステップ902で、方法900は、次に、加速度計を用いて、前述の様々な実施形態で説明したように、直接的にまたは信号処理システム(例えば、システム500)を介して、加速度計からの運動信号(または運動信号データ)を取得する。
【0113】
方法900は、ステップ903で、前述の様々な実施形態で説明したように、運動信号を処理して、呼吸信号を生成する。例えば、ステップ903は、上述したように信号間の正味の差を計算することおよび/または運動信号の内の1つ以上の増幅、バッファリング、アナログツーデジタルコンバーティング、遅延化および/またはフィルタリングすることを含み得る。
【0114】
次に、ステップ904で、方法900は、オプションとして、呼吸信号に対してなんらかの後処理または分析を実施し得る。例えば、方法900は、このデータを処理して、息を吸うことと息を吐くことを表すピークを、これらのピークおよび/またはピークが発生する時点をカウントすることによって特定し得るが、方法900は、患者の呼吸速度を判定し得る。
【0115】
例えば、呼吸速度を判定する方法920を、
図9Bに略図で示す。例えば、呼吸信号がアナログツーデジタルコンバータ523を用いてアナログからデジタルにコンバーティングされると、結果として得られるデータは、デジタル信号プロセッサ501によって処理され得る。ステップ921で、DSP501は、データ内の所定の数のピークをカウントして、ステップ922で、DSP501は、この数のピーク内での最初と最後のピーク間に経過した時間の量を判定し得る。ステップ923で、方法920は、ピークの数を最初と最後のピーク間に経過した時間の量で除算することによって呼吸速度を判定する。
【0116】
図9Cに略図で示す代替の実施形態では、方法930は、データ内のピークの数をカウントするが、これらのピークは、所定の時間間隔にわたって発生する(ステップ931)。ステップ932で、方法930は、ピークの数を所定の時間量で除算することによって呼吸速度を判定する。
【0117】
方法930は、一部では、デジタル化されたデータに対して動作しているDSP501上に実装され得る。こうする代わりに、方法930は、
図5Fに略図に示すように、回路570などの回路に実装され得る。例えば、増幅器521の出力521Cは、呼吸信号571を生成する。呼吸信号はコンパレータ572に入力され、これは呼吸信号571を参照電圧(Vref)572Rと比較する。呼吸信号571が参照電圧572Rを超える場合または超えるとき、コンパレータ572の出力572Cは、カウンタ578をインクレメントする。このようにして、カウンタは、患者がした息の数をカウントする。カウントされた息の数は、デジタルインターフェースに二進法出力として提供され、患者の息がカウントされた間の時間にわたる患者の呼吸速度を表す。
【0118】
カウンタ578によって息がカウントされた時間は、コントローラ575によって制御され、かつ事前決定され得る。コントローラは、入力クロック576の各々のパルスによって状態を変化させる状態機械またはこのようなクロックパルスをカウントするタイマーであり得る。代替的には、一部の実施形態では、コントローラはDSP501であり得る。コントローラは、周期的にリセット信号577をコントローラのリセット入力部579に送出して、デジタル出力部578Dを二進法のゼロにリセットさせる。リセット後、かつ次のリセット前に、カウンタは、上述したように患者の息の数をカウントする。一部の実施形態では、リセット間の時間は、患者の呼吸速度が計算された間隔であり得る。例えば、リセット間の時間が1分であれば、患者の呼吸速度はその1分の間にカウントされたピークの数であり、かつ1分当たりの息で表され得る。一部の実施形態では、DSP501は、所定の時間量の後で、デジタル出力部578Dを読み取り得るが、したがって、DSP501は、そのデータを有し、かつパルスがカウントされた時間間隔に関する情報も有する。
【0119】
前述の実施形態を単軸式加速度計を用いるものとして説明したが、それはすべての実施形態に対する制限ではない。例えば、一部の実施形態は、1つ以上の2軸式加速度計または3軸式加速度計を用いて、上述した信号処理という目的のため、このような2軸式加速度計によって生成された2つの出力信号のうちの一方を選択する。2軸式加速度計の各々の軸からの出力の例を、
図10に略図で示す。特に、用いられる加速度計は、Analog Devices、Inc.からのADXL362であった。システム500は、上述した目的のために、加速度計の出力としてこれらの信号1002Xおよび1002Yのいずれかを用い得る。
【0120】
図10に示すデータを獲得するため、加速度計301は、バンドによって患者の腹部に締結され、患者はベッドに横たわっていた。加速度計301は、X軸運動に対するトレース1002XおよびY軸運動に対するトレース1002Yによって示されるように、2つの直交軸(XおよびY)に沿って患者の呼吸を監視した。トレース1002Xおよび1002Yは、患者の通常呼吸(領域1001N)、深呼吸間(領域1001D)、および患者の呼吸の中断(領域1001P)による運動信号を示す。
【0121】
一部の実施形態では、様々な2軸式加速度計からの信号は、ほんの数例を特定すれば、例えば、
図11Aの回路1100または
図11Bの回路1150によって処理され得る。
【0122】
図11Aでは、加速度計301および311の各々は、2つの出力信号(それぞれ、5301Xおよび5301Yと、5311Xおよび5311Y)を生成する。この実施形態では、信号5301Xおよび5311Xは、X軸上の運動に対する加速度計301、311のそれぞれの応答を表し、信号5301Yおよび5311Yは、Y軸上の運動に対する加速度計301、311のそれぞれの応答を表すが、加速度計301、311のそれぞれのX軸およびY軸は、整列されるか、または共通の感度ベクトルを少なくとも有する。システムは次に、2つのX軸信号(5301Xおよび5311X)または2つのY軸信号(5301Yおよび5311Y)またはこれらの信号の任意の組み合わせを、信号処理回路(例えば、回路500)で処理し得る。
【0123】
代替の実施形態1150では、
図11Bに略図で示すように、加速度計301からのXおよびY信号5301Xおよび5301Yが(例えば、加算回路550中で)加算されて複合信号5301Cを生成し、加速度計311からのXおよびY信号5311Xおよび5311Yが(例えば、加算回路550中で)加算されて複合信号5311Cを生成する。したがって、信号5301Xおよび5301Yの各々は寄与信号と呼ばれ得るが、それは、それらは双方とも複合信号5301Cに寄与するからである。同様に、信号5311Xおよび5311Yの各々は寄与信号と呼ばれ得るが、それは、それらは双方とも複合信号5311Cに寄与するからである。
【0124】
複合信号5301Cおよび5311Cは、次に、信号処理回路500に(例えば、
図5B〜5Eの信号5301および5311として)提供され得る。
図11Aおよび
図11Bでは、信号処理回路500は、ほんの数例を指定すれば、
図5A〜5Cの回路のうちのいずれかであり得る。
【0125】
代替実施形態1160では、
図11Cに略図で示すように、Y信号5301Yを、例えば、差動増幅器521によってX信号5301Xから減算して、患者の呼吸を表す信号を生成する。例えば、Y軸信号5301Yが「A」の振幅を有するアグレッサ信号に応答する成分と、例えば、0.25ボルトの振幅を有する患者の呼吸に応答する成分とを含む実施形態を考えよう。また、その実施形態が、これまた「A」の振幅を有するアグレッサ信号に応答する成分を有するが、信号5301Y中の患者の呼吸に応答する成分の振幅未満の振幅を有する患者の呼吸に応答する成分を有するX軸信号5301を生成すると考えよう。例えば、患者の呼吸に応答する信号5301Xの成分が0.15ボルトの振幅を有すると考えよう。この例では、減算の結果(例えば、差動増幅器521の出力5301D)は、次式で表され得る。
【0126】
(5)Vout=A+0.25V−(A+0.15V)=
【0127】
A+0.25V−A−0.15V=0.10V
【0128】
言い換えれば、1つの軸(5301Y)の信号を別の軸(5301X)からの信号から減算した結果は、患者の呼吸のみを表す振幅0.1Vの信号である。
【0129】
代替実施形態を
図3Dに略図で示すが、患者300の胸郭105上に配置された第1の加速度計350と、患者300の腹部330上に配置された第2の加速度計301とを有している。加速度計301および加速度計350の双方が患者300の全体運動を感知し、加速度計301および加速度計350の双方が、患者300の呼吸運動に応答する。しかしながら、呼吸運動に対する2つの加速度計301、350の応答は、たとえ加速度計301、350が互いに同一でも、同一ではない。例えば、全体運動および呼吸運動に対する加速度計350の応答は、次式で説明され得る。
【0130】
(6)V350=V(全体運動)+nV(呼吸運動)
【0131】
さらに、全体運動および呼吸運動に対する加速度計301の応答は、次式で説明され得る。
【0132】
(7)V301=V(全体運動)+mV(呼吸運動)
【0133】
式中、「n」および「m」は、それぞれ、加速度計V350およびV301の出力信号に寄与する患者の呼吸運動の分数を表す倍率である。例えば、倍率「m」および「n」は、加速度計301および350の感度によって、または、それぞれ各々の加速度計350、301に到達する呼吸信号の量によって判定される。いずれの場合においても、前述の実施形態では、nは、mに等しくないし、かつ等しくあってはならない。
【0134】
これらの2つの信号(V350;V301)から、呼吸信号は、それらの間の差を判定するまたは生成する(すなわち、これらの信号のうちの一方を他方から減算する)ことによって抽出されるまたは生成され得る。例えば、呼吸信号は次のように表され得る。
【0135】
(8)V301−V351=V(全体運動)+mV(呼吸運動)−V(全体運動)−nV(呼吸運動)=(m−n)V(呼吸運動)
【0136】
好ましい実施形態では、n=0およびm=1であり、したがって、結果としての信号は、呼吸信号の倍率無しのバージョンである、すなわち、(m−n)V(呼吸運動)=(1−0)V(呼吸運動)=V(呼吸運動)である。
【0137】
図12は、呼吸感知システム1200の代替実施形態を略図で示す。システム1200は、患者300のそれぞれ腰103B、腹部303、および胸郭150の上に配置された3つの加速度計301、311、および350を含む。
【0138】
システム1200は、例えば、3つの加速度計(301、311、350)のうちの2つの出力を処理することによって、上述した2加速度計の実施形態のうちのいずれかに従って用いられ得る。こうする代わりにまたはこうすることに加えて、システム1200は、例えば、睡眠時無呼吸の患者300で発生する呼吸などの異常呼吸を検出し得る。
【0139】
睡眠時無呼吸の間では、患者300の肺1202に至る気道1201は、舌によって遮断される。また、睡眠時無呼吸の間では、患者300の胸郭105および腹部303は、逆位相で運動する。言い換えれば、例えば、息を吸っている間に、患者の胸郭105が外側に運動するとき、患者の腹部303は内側に運動するため、任意の瞬間で、患者の胸郭105および腹部303は反対方向に運動する。
【0140】
胸郭105と腹部303との間の逆位相運動は、睡眠時無呼吸を検出するために用いられ得る。睡眠時無呼吸の検出は、たった2つの加速度計を、例えば、一方を胸郭の上、他方を腹部の上で用いることによって実施され得るとはいえ、システム1200は、第3の加速度計311を用いて、加速度計301と350との間の逆位相運動を検出するように構成される。より具体的には、システム1200では、すべての3つの加速度計301、311、および350は、+X方向の運動に応答する正電圧の出力信号と、−X方向の運動に応答する負電圧の出力信号とを生成するように構成される。
【0141】
すべての3つの加速度計301、311、および350が、患者300の全体運動を検出するとき、その出力信号によって表される加速度計311の運動は加速度計301および350の出力信号から減算されて、上記の式(1)〜(4)に関連して説明し、かつ図示したように、それぞれ患者の腹部303および胸郭105の正味の運動を表す信号を生成し得る。
【0142】
システム1200は、
図9のフローチャート900のステップで略図として示した方法に従って動作し得る。例えば、システム1200が胸郭350および腹部301の上の加速度計しか含まない場合、方法900はステップ901〜903を含む。方法900は、これらの加速度計350、301を提供して、それらを患者のそれぞれ胸郭および腹部に付着させて(ステップ901)、それらを用いて患者の胸郭105および腹部303それぞれの運動を検出することから始まる。したがって、加速度計350は、その出力部に胸郭運動信号を生成し、加速度計350は、その出力部に腹部運動信号を生成する。
【0143】
胸郭運動信号および腹部運動信号はステップ903で処理されて、胸郭運動信号と腹部運動とが逆位相にあるかどうかを判定することによって、患者が睡眠時無呼吸を体験しているかどうかを判定する。
【0144】
3つの加速度計を持つシステム1200では、加速度計を提供するステップ901は、上述したように加速度計350および301を提供することを含み、ステップ902で、加速度計311を提供して加速度計を、例えば、第3の加速度計311の感度軸が患者の脊椎に対して垂直になるように患者の腰領域103Bに付着させることと、第3の加速度計311を用いて、患者300の全体運動を検出することをさらに含む。第1の2つの加速度計350および301からの出力信号もまた、それぞれ、全体運動に対する応答を含むため、正味の腹部運動信号は、第2の加速度信号301からの腹部運動信号から第3の加速度計311からの全体運動信号を減算することによって生成されて、ステップ903で、正味の腹部運動信号を生成し得る。同様に、正味の胸郭運動信号は、第1の加速度信号350からの胸郭運動信号から第3の加速度計311からの全体運動信号を減算することによって生成されて、ステップ903で、正味の胸郭運動信号を生成し得る。正味の胸郭運動信号および正味の腹部運動信号はステップ903で処理されて、正味の胸郭運動と正味の腹部運動が逆位相になるかどうかを判定することによって、患者が睡眠時無呼吸を体験しているかどうかを判定する。
【0145】
図13Aおよび
図13Bは、2つの加速度計1301および1311が患者300の腹部303に付着される別の実施形態を略図で示す。
図3Aに略図で示すように、加速度計1301および1311は、患者の腹部の対側(すなわち、それぞれ右側および左側)に配置される。例えば、加速度計1301および1311は、患者の腹部を両断する垂直平面1305の対側に配置される。
図3Bは、ライン1320に沿った患者の腹部303の断面図を略図で示し、かつ加速度計1301および1311ならびに患者の脊椎100を示す。
【0146】
動作に際して、患者300の呼吸中、加速度計1301および1311の各々は、それぞれ運動ベクトル1302および1312によって示されるように、運動を体験する。一方、運動ベクトル1302は、呼吸によるベクトル1302Rと、全体運動によるベクトル1302Gとを含む。加速度計1301は、これらのベクトルの双方に応答し、したがって、加速度計1302の出力は、次式で表され得る。
【0147】
(9)Vout1301=V_呼吸1301+V_全体1301
【0148】
同様に、運動ベクトル1312は、呼吸によるベクトル1312Rと、全体運動によるベクトル1312Gとを含む。加速度計1311は、これらのベクトルの双方に応答し、したがって、加速度計1311の出力は、次式で表され得る。
【0149】
(10)Vout1311=V_呼吸1311+V_全体1311
【0150】
この実施形態では、
図13Bに略図で示すように、呼吸ベクトル1302Rおよび1312Rは、少し反対方向を刺しているが、それは、それらが腹部303の対側(303Rおよび303L)に配置されており、かつ腹部のこれらの対側が呼吸に応答して異なって運動するからであることに留意すべきである。しかしながら、全体運動ベクトル1302Gおよび1312Gは、大きさでは実質的に同一であり、実質的に平行である。
【0151】
結果として、呼吸運動は、加速度計の一方の出力を他方の出力から減算することによって発見され得る。
【0152】
V呼吸=Vout1301−Vout1311
【0153】
=V_呼吸1301+V_全体1301−(V_呼吸1311+V_全体1311)
【0154】
=V_呼吸1301+V_全体1301−V_呼吸1311−V_全体1311
【0155】
このような減算は、ほんの数例を指定すれば、
図5Bの回路520または
図5Cの回路530などの電子回路で実施され得る。全体運動ベクトルが互いに等しい(すなわち、V_呼吸1301=V_呼吸1311)場合では、結果としての呼吸信号は次のように表され得る。
【0156】
(11)V呼吸=V_呼吸1301+V_呼吸1311
【0157】
一般に、本明細書に説明する実施形態は、加速度計などの2つ(以上)のセンサーを用いることによって呼吸運動を判定するように構成される。しかしながら、他のタイプのセンサーを用い得る。例えば、呼吸運動は、例えば、MEMSジャイロスコープを用いて検出されて定量化され得る。また、上述した様々な実施形態は電圧出力センサーで例示されているが、例えば、電流出力センサーなどの他のセンサー用い得る。したがって、上述したセンサーのいずれもが、電圧出力センサーまたは電流出力センサーであり得る。
【0158】
本発明の様々な実施形態は、この段落に続く(そして、本出願の最後に提供される実際の特許請求の範囲に先行する)段落に列挙される潜在的請求項を特徴とし得る。これらの潜在的請求項は、本出願の記述された説明の一部を形成する。したがって、続く潜在的請求項の主題は、本出願または、本出願に基づく優先権を要求するいずれかの出願を伴う後の手続きにおける実際の特許請求の範囲として提示され得る。このような潜在的請求項の包含は、実際の特許請求の範囲が潜在的請求項の主題を網羅しないことを意味するものと解釈されるべきではない。したがって、これらの潜在的請求項を後の手続きで提示しないという判断は、主題の公衆への寄贈と解釈されるべきではない。
【0159】
制限なく、請求され得る潜在的主題(以下に提示される実際の特許請求の範囲との混乱を避けるために文字「P」で始まる)は以下を含む。
【0160】
P1:患者の睡眠時無呼吸を検出する方法であって、本方法は、
【0161】
第1の加速度計を患者の下腹部領域の前部部分に付着させることであって、この第1の加速度計が、第1の感度軸を有し、かつ第1の感度軸に沿った運動を示す第1の運動信号を生成するように構成される、第1の加速度計を付着させることと、
【0162】
第2の加速度計を患者の胸郭領域に付着させることであって、第2の加速度計が、第1の感度軸に対して実質的に平行な第2の感度軸を有し、かつ第2の感度軸に沿った運動を示す第2の運動信号を生成するように構成される、第2の加速度計を付着させることと、
【0163】
第1の運動信号および第2の運動信号を処理して、第1の運動信号が第2の運動信号と逆位相になっているかどうかを判定することによって、患者が睡眠時無呼吸を体験しているかを判定することと、を含む。
【0164】
P2:潜在的請求項P1に記載の患者の睡眠時無呼吸を検出する方法であって、本方法は、
【0165】
第3の加速度計を患者の下部脊椎領域に付着させることであって、第3の加速度計が、対象の背部の一部分に対して実質的に垂直な第3の感度軸を有し、かつ第3の感度軸に沿った運動を示す第3の運動信号を生成するように構成される、第3の加速度計を付着させることと、
【0166】
第1の運動信号および第3の運動信号を処理して、正味の腹部運動信号を生成することと、
【0167】
第2の運動信号および第3の運動信号を処理して、正味の胸郭腹部運動信号を生成することと、
【0168】
正味の腹部運動信号および正味の胸郭腹部運動信号を処理して、正味の腹部運動信号が正味の胸郭腹部運動信号と逆位相にあるかどうかを判定することによって、患者が睡眠時無呼吸を体験しているかどうかを判定することと、をさらに含む。
【0169】
P3:対象の呼吸を検出する方法であって、対象が腹部を有し、本方法は、
【0170】
第1の加速度計を患者の腹部の左側部分に付着させることであって、この第1の加速度計が、患者の呼吸および全体運動に応答して第1の運動信号を生成するように配置される、第1の加速度計を付着させることと、
【0171】
第2の加速度計を患者の腹部の右側部分に付着させることであって、この第2の加速度計が、患者の呼吸および全体運動に応答して第2の運動信号を生成するように配置される、第2の加速度計を付着させることと、
【0172】
回路中で、第2の運動信号および第1の運動信号を処理して呼吸信号であって、対象の呼吸に応答して対象の腹部の運動を示す、呼吸信号を生成することと、を含む。
【0173】
P3では、第2の運動信号および第1の運動信号を処理して呼吸信号を生成する行為は、第1の運動信号を第2の運動信号から減算することを含み得る。
【0174】
本発明の様々な実施形態は、少なくとも一部では、任意の従来のコンピュータプログラミング言語で実装され得る。例えば、一部の実施形態は、手続き型プログラミング言語(例えば、「C」)またはオブジェクト指向型プログラミング言語(例えば、「C++」)で実装され得る。本発明の他の実施形態は、プログラムされたハードウエア素子(例えば、特定用途向け集積回路、FPGA、およびデジタル信号プロセッサ)、または他の関連コンポーネントとして実装され得る。
【0175】
代替実施形態では、開示される装置および方法は、コンピュータシステムで用いられるコンピュータプログラム製品として実装され得る。このような実装は、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、ROM、または固定ディスク)などの有形の媒体上に固定された一連のコンピュータ命令を含み得る。この一連のコンピュータ命令は、本システムに関して本明細書に以前に説明した機能性の全てまたは一部を具現化することが可能である。
【0176】
当業者は、このようなコンピュータ命令は、多くのコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムで用いられるように、いくつかのプログラミング言語で記述することが可能であることを理解すべきである。さらにそのうえ、このような命令は、半導体、磁気、光、または他のメモリデバイスなどのいずれかのメモリデバイスに記憶され、かつ、光、赤外線、マイクロ波、または他の送信技術を用いて送信され得る。
【0177】
他の方法の中で、このようなコンピュータプログラム製品は、添付の印刷されたまたは電子式の文書(例えば、収縮包装されたソフトウエア)と共に取り外し可能媒体として分配され得るか、(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)コンピュータシステムを事前ロードされ得るか、またはネットワーク(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)上でサーバまたは電子掲示板から分配され得る。もちろん、本発明の一部の実施形態は、ソフトウエア(例えば、コンピュータプログラム製品)とハードウエアとの双方の組み合わせとして実装され得る。本発明のさらに他の実施形態は、完全にハンドウエアまたは完全にソフトウエアとして実装される。
【0178】
上述した本発明の実施形態は、単に例示であることを意図するものであり、多くの変更例および修正例が、当業者には明らかであろう。すべてのこのような変更例および修正例は、いずれかの付随する特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内にあることを意図するものである。