特許第6012714号(P6012714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012714
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】蜂蜜を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 21/25 20160101AFI20161011BHJP
【FI】
   A23L21/25
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-510626(P2014-510626)
(86)(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公表番号】特表2014-513544(P2014-513544A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】CA2012050320
(87)【国際公開番号】WO2012155268
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】2740841
(32)【優先日】2011年5月17日
(33)【優先権主張国】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】513287521
【氏名又は名称】ハイネン,ダーク
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ハイネン,ダーク
【審査官】 坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02642276(FR,A1)
【文献】 特表2007−533434(JP,A)
【文献】 特開平10−150964(JP,A)
【文献】 米国特許第04004040(US,A)
【文献】 国際公開第2003/047337(WO,A1)
【文献】 米国特許第05715747(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02732192(FR,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02623693(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/FSTA/FROSTI(STN)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔らかく伸ばすことができる蜂蜜製品を作るための方法であって、
前記方法は、
円筒状の壁を含む容器を提供する工程、
容器内部でオーガーを回転させる工程であって、外部のオーガーフライトが容器との間に隙間を残して容器の壁に近接する外側縁部を有する工程、
固体の結晶の生の蜂蜜を供給シュートを通って前記容器内でオーガーフライトに係合される前記オーガーに供給する工程、
前記オーガーを回転して、前記オーガーフライトが、放出端部において放出バルブを含む容器の1つの放出端部へ前記容器に沿って生の蜂蜜を運ぶように動作する、工程、
オーガーフライトによって放出端部に蜂蜜を前方に送りこむために、かつ、蜂蜜の混合を達成するように前記オーガーフライトによって前方に供給し、前記隙間を介して後方へと前記蜂蜜を通すことによって引き起こされる混合動作において、放出端部から容器に沿った隙間に蜂蜜を後方に通すために、一定の時間にわたって放出バルブを閉じたまま維持する工程であって、混合動作は、蜂蜜を柔らかく伸ばすことができる蜂蜜製品にするために蜂蜜の中の結晶が破壊されるまで行われ、混合動作はいかなるときにも熱を使用することなく行われる、工程、および、
混合動作の後に、前記オーガーが蜂蜜製品を放出するように作用して放出バルブを開く工程、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
生の固体の蜂蜜はろ過されない、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
隙間は1/16〜1/8インチの範囲である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
混合動作は結晶を破損させる、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
混合動作は結晶を互いに相互作用させることで、結晶を砕いて滑らかかつ小さくする、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
オーガーはその軸に垂直に配され、その結果、放出端部は底部にあり、生の固体の蜂蜜が一方の面から供給シュートを通って送りこまれる、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を加えずに滑らかで伸びることができる製品を作るために、蜂蜜を処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然界では、花蜜は、ハチによって花を咲かせる植物から採取され、液体として巣箱に戻され、蜂蜜へと変換される。このプロセスでは、蜂蜜はセルに格納され、保存のために覆われる。養蜂農家は巣箱から蜂蜜を集め、液体としてそれを抽出し、卸売市場で販売される45ガロンの樽に保管する。当然のことながら、液体の蜂蜜は時間の経過とともに結晶し始め、固体の塊となる。小売販売用の容器に再梱包するために蜂蜜を加工工場に運ぶと、液体に戻すべくそれを巨大な温室に入れる。その結果、蜂蜜は取り扱いやすくなる。温室で、蜂蜜は加熱され、ろ過され(花粉、プロポリス(propolus)、蜜蝋などのような天然の特質の多くを取り除いて)、その後、梱包される。蜂蜜の種類によっては、再結晶を刺激するために、蜂蜜は氷点下まで冷却されてもよい。
【0003】
この種の処理を行う最大の理由は、硬い蜂蜜は伸ばすことができず、すくい集めることができないため、大多数の人が硬い蜂蜜を好きではないからである。
【0004】
他方で、生の蜂蜜は天然のもので変質していないため、生の蜂蜜のみを望む人々も一定の割合で存在する。そのような市場はここ5年で急成長している。しかしながら、蜂蜜は、容器に入れる季節によっては硬くなりすぎることがある。それぞれの異なる花蜜には、異なる味、質感、色、および、結晶化速度があり、硬化の程度も異なる。
【0005】
Sterlingによって1991年1月22日に発行された特許文献1は、液体の蜂蜜を種結晶(seeding crystals)と混ぜることによって、圧搾容器のノズルを通って分注することが可能なクリーム状の蜂蜜を作る方法を開示している。
【0006】
Fedonによって1998年2月10日に発行された特許文献2は、未開栓プロセスによって得た蜜蝋と蜂蜜の混合物の材料を圧力によって分離するために、該混合物をアルキメデスポンプに入れることによって、該混合物を分離する方法を開示している。
【0007】
Lundによって1936年8月25日に発行された特許文献3は、空気を含む蜂蜜入りのホイップを作るために、追加成分を含む蜂蜜を泡立てる方法を開示している。
【0008】
Fagerによって1982年5月11日に発行された特許文献4は、蜂蜜がベルトの開口部を通って圧搾されるように、2つの集束式コンベヤーベルトを使用してハチの巣のふた(honeycomb cappings)から蜂蜜を分離するための機械を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許4,986,855号
【特許文献2】米国特許5,715,747号
【特許文献3】米国特許2,052,358号
【特許文献4】米国特許4,328,743号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、熱を加えずに滑らかに伸びる製品を作るために蜂蜜を処理する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様によれば、柔らかく伸ばすことができる蜂蜜製品を作るための方法が提供され、
該方法は、
円筒状の壁を含む容器を提供する工程、
容器内部でオーガーを回転させる工程であって、外部のオーガーフライトが容器との間に隙間を残して容器の壁に近接する外側縁部を有し、前記オーガーフライトが、放出バルブを含む容器の1つの放出端部へ材料を運ぶように動作する、工程、
1つ以上のバケツまたは樽の生の固体の結晶の蜂蜜を用意し、その固体の蜂蜜がオーガーフライトに係合して放出端部に運ばれるように、オーガーフライトに固体の蜂蜜を送り込む工程、
オーガーフライトによって放出端部に蜂蜜を送り込むために、かつ、蜂蜜の混合を達成する混合動作において、放出端部から容器に沿った隙間に蜂蜜を通すために、一定の時間にわたって放出バルブを閉じたまま維持する工程であって、混合動作は、蜂蜜を柔らかく伸ばすことができる蜂蜜製品にするのに十分なほど蜂蜜の中の結晶が破壊されるまで行われ、混合動作はいかなるときも熱を使用することなく行われる、工程、および、
混合動作の後に、蜂蜜製品を放出するために放出バルブを開く工程、を含む。
【0012】
好ましくは、容器は、複数のバケツまたは樽を受け取るほどに十分に大きく、その結果、複数のバケツまたは樽からの生の固体の蜂蜜が加えられ混ぜられ得る。
【0013】
機具、とりわけ容器と供給シュート(feed chute)の大きさは、生産規模に応じて変化し得る。したがって、場合によっては、それぞれ5ガロンの4つのバケツを受け取る十分な大きさであるように、ほぼ20ガロンの比較的小さな容器が設けられてもよい。大量生産のためには、その季節のあいだ保存した後に固体の生の蜂蜜の4つの商用サイズの樽を受け取るために、容器はその10倍であってもよい。しかしながら、メーカーの必要とする大きさがどれほどのものであれ、本発明の方法をどのサイズでも使用することができることが企図されよう。
【0014】
好ましくは、複数のバケツまたは樽は、異なる工場からの蜂蜜を入れるため、様々な生産時期から集められる。すなわち、生産時期の終わりに、生産時期中の異なる時間に採取された、ゆえに異なる工場で作られた蜂蜜は、システムを使って照合され(collated)混合される。
【0015】
好ましくは、バケツまたは樽の1つからの生の固体の蜂蜜は、固体の塊として、供給シュートを通ってオーガーフライトへと送られ、オーガーフライトは、放出端部での混合動作へとオーガーフライトによって送りこまれる部分を分離する(break away)ことによって、固体の本体を破壊するように動作する。
【0016】
生の固体の蜂蜜はろ過されず加熱されないため、結果として、多くの使用者に好まれる生の質を維持していることが、このプロセスでは重要である。
【0017】
典型的には、隙間は1/16〜1/8インチの範囲である。
【0018】
好ましくは、混合動作は結晶を破損させる。
【0019】
好ましくは、混合動作は結晶を互いに相互作用させることで、結晶を砕いて滑らかかつ小さくする。
【0020】
好ましくは、オーガーはその軸に垂直に配され、その結果、放出端部は底部にあり、生の固体の蜂蜜が一方の面から供給シュートを通って送りこまれる。
【0021】
本明細書に記載の配置は、滑らかな、クリーム状の、伸ばすことができる製品を作るだけでなく、あらゆる花の蜂蜜を組み合わせる方法および機械を提供する。それはさらにエネルギーをあまり用いない。該方法は、あらゆる花の蜂蜜を一緒に混合することによって、味、色または質感の変わらない、非常に均一な製品を作る。
【0022】
この方法は、固体の大量の蜂蜜を採取し、製造中のいかなるときにも熱を加えることなく、それを柔らかく伸ばすことができる製品に変える。チューブの内部のゆっくりと回転するオーガーを用いることで、ロックタンブラー(a rock tumbler)の形態で蜂蜜を優しく揉む。このプロセスの本質は、結晶の分子構造を変えないように、低温環境下で結晶を砕くように作用するということである。このプロセスが行うことは、結晶を砕いて、滑らかで小さくすることである。これは熱を用いることなく行われるため、結晶は互いに再結合せず、完成した品を柔らかくかつ無限に伸ばすことができるものにする。
【0023】
このプロセスは、固くする必要のないあらゆる天然産物を市場に出したいあらゆる自然農場で用いられ得る。該プロセスは製品を製造する間に追加の熱を加える必要もないため、従来の処理工場よりも環境に対する影響が少ない。
【0024】
一般的な概念は、5ガロンのペールから放出された固体の塊から硬い蜂蜜を取り出すために使用される、オーガーフライトの外縁と管の内部表面との間に隙間を含む、管内部のオーガースクリューである。蜂蜜はオーガーによって取り出されて回され、蜂蜜の結晶組織を機械的に破壊する。所望の質感を生み出すのに十分なほど長いあいだ蜂蜜が回った後、装置の下部にあるボールバルブが開かれ、オーガーは機械の外へと蜂蜜を押し出す。
【0025】
現在の設計の総容積は20ガロンであり、様々なブレンドの蜂蜜を混合することを可能にする。オーガーは電気モーターとギアボックスを使用して回される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともにこれから記載される。
【0027】
図1】本発明の方法で使用される装置の等角図である。
図2図1の装置の側面図である。
図3図2の装置の線A−Aに沿った断面図である。
図4図1の装置のオーガーの平面図である。
図5図1の装置のオーガーの側面図である。
図6図5の装置の線B−Bに沿った断面図である。
図7図1の装置のオーガーの正面図である。
【0028】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図の装置は、ベアリング(13)とともに上方端部(12)を有する管(11)または外部容器を備える垂直なオーガー(10)を含む。下方端部(14)は、ボルトによって固定され、支柱(16)によって支持された底板(15)によって閉じられる。斜めになった放出管は、終板(15)に接続し、下方かつ前方にバルブ(18)を備えた下部の口まで及んでおり、その結果、バルブが開かれると、材料は容器の前に示された入れ物に放出され得る。
【0030】
オーガー(10)は、容器内部に垂直なシャフト(19)を含み、該シャフト上で支持されるオーガーフライト(20)とともにベアリング内で支持されている。シャフトは、ベルトまたはチェーンドライブを含むギヤーボックス(22)と電気モーター(21)を用いて駆動され、これらはすべてオペレーターが立つことができる床(23)の下に取り付けられる。
【0031】
供給シュート(24)は、端壁(12)に隣接しているが端壁(12)から一定間隔をおいた位置で、管(11)の一方の側に溶接される。供給シュートは断面が環状であり、バケツ、ペール、または樽から出される一回分の大量の固体の生蜂蜜を該シュートに入れることを可能にする。
【0032】
このような方法では、オーガーフライト(20)は容器(11)の内部で回転し、容器の壁に近接する外縁は容器との間に隙間を残している。オーガーフライトは、容器の放出端部(14)まで材料を運ぶように動作する。オーガーフライトによって放出端部に蜂蜜を送り込むために、かつ、蜂蜜の混合を達成する混合動作において放出端部から容器に沿ってその隙間に蜂蜜を通すために、放出バルブは、一定の時間にわたって閉じられる。
【0033】
蜂蜜を柔らかで伸ばすことができる蜂蜜製品にするのに十分なほど蜂蜜の結晶が砕かれるまで、混合動作は行われる。これは、結晶を粉砕して互いに相互作用させることで、結晶を砕いて滑らかかつ小さくすることによって得られる。
【0034】
混合動作は、いかなる時間にも熱を加えることなく行われ、蜂蜜製品はすべての栄養素および天然材料を維持するためにろ過しないでおく。
【0035】
混合動作の後、放出バルブは製品を放出するために手動で開かれる。
【0036】
複数のバケツまたは樽から生の固体の蜂蜜を加えたり混ぜたりすることができるように、容器は、複数のバケツまたは樽を受け取るほどには十分に大きい。
【0037】
示された例では、容器は、それぞれ5ガロンの4つのバケツを受け取るのに十分な大きさであるように20ガロンであり、バケツまたは樽は、異なる工場からの蜂蜜を入れるために様々な生産時期に集められる。
【0038】
典型的には、隙間は1/16〜1/8インチの範囲である。
【0039】
本明細書に上記の如く記載された私の発明において、様々な変更を行うことができ、同じように、多くの明らかに多種多様な実施形態が、請求項の範囲と精神を逸脱することなく、該精神と範囲内でなされることができるため、添付の明細書に包含されるすべての事柄は、単に例示目的でのみ解釈され、限定する意味では解釈されないことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7