特許第6012719号(P6012719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012719
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】円板形ワーク用外周研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/00 20060101AFI20161011BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B24B9/00 601H
   H01L21/304 621E
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-514394(P2014-514394)
(86)(22)【出願日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】JP2013053485
(87)【国際公開番号】WO2013168444
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-105785(P2012-105785)
(32)【優先日】2012年5月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000107745
【氏名又は名称】スピードファム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】江成 昭敏
(72)【発明者】
【氏名】五十子 光孝
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−144201(JP,A)
【文献】 特開2002−137155(JP,A)
【文献】 特開2003−145399(JP,A)
【文献】 特開2005−26274(JP,A)
【文献】 特開2009−18364(JP,A)
【文献】 特開平11−221744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板形ワークの表面及び裏面の外周部分に形成された傾斜面状のエッジを研磨するための外周研磨装置において、
前記外周研磨装置は、前記ワークを保持して軸線の回りに回転させるチャック手段と、前記ワークの表面側及び裏面側のエッジを研磨部材の弧状をした作業面で研磨する表面側及び裏面側のエッジ研磨ユニットとを有し、
前記表面側及び裏面側のエッジ研磨ユニットは、前記研磨部材が交換可能に取り付けられた研磨部材取付体と、該研磨部材取付体を傾動自在に支持する取付体支持部と、前記研磨部材取付体の傾斜角度を前記研磨部材の作業面がワークのエッジと平行をなすように調整する取付体用角度調整機構と、前記研磨部材の作業面を前記ワークのエッジに押し付けて研磨荷重を加える荷重付与手段と、前記取付体支持部を前記軸線に対して傾斜する直線に沿って移動自在に支持する揺動支持ベースと、前記取付体支持部を前記直線に沿って揺動させる揺動機構と、前記揺動支持ベースを傾動自在に支持するベース支持部と、前記揺動支持ベースの傾斜角度を前記直線が前記ワークのエッジと平行をなすように調整するベース用角度調整機構と、前記ベース支持部を垂直方向及び水平方向に位置補正可能に支持する基台部とを有する、
ことを特徴とする円板形ワーク用外周研磨装置。
【請求項2】
前記研磨部材は、該研磨部材の基準面と前記作業面とのなす角度である作業面角度がワークのベベル角度と等角度であるように形成され、該研磨部材を前記研磨部材取付体に取り付けて前記基準面を水平に向けることにより前記作業面がワークのエッジと平行をなすように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の円板形ワーク用外周研磨装置。
【請求項3】
前記研磨部材取付体は、前記取付体支持部にワークの軸線と直交する第1枢軸を中心に傾動自在に支持され、前記揺動支持ベースは、前記ベース支持部に前記第1枢軸と平行する第2枢軸を中心に傾動自在に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の円板形ワーク用外周研磨装置。
【請求項4】
前記取付体支持部が、前記揺動支持ベースに前記直線に沿って移動自在に支持された揺動スライドベースと、該揺動スライドベースに前記直線と直交する方向に移動自在に支持されたスライド部材とを有し、該スライド部材は前記荷重付与手段に連結され、該スライド部材に前記研磨部材取付体が支持されていることを特徴とする請求項3に記載の円板形ワーク用外周研磨装置。
【請求項5】
前記基台部は、定位置に配置された第1基台部分と、該第1基台部分に水平方向に移動自在に支持されて前記ベース支持部を垂直方向に移動自在に支持する第2基台部分と、該第2基台部分の水平方向位置を補正する水平位置補正機構と、該第2基台部分に対する前記ベース支持部の垂直方向位置を補正する垂直位置補正機構とを有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の円板形ワーク用外周研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板形ワークの表面及び裏面の外周部分に形成された傾斜面状のエッジを研磨するための外周研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
円板形ワークの一種である半導体ウエハ(以下「ワーク」という)Wは、図7にその一部を拡大して示すように、表面及び裏面の外周縁部に面取り加工された傾斜面状のエッジEa,Ebが形成されていて、このエッジEa,Ebが外周研磨装置で研磨される。特許文献1には、このようなエッジを研磨するための外周研磨装置が開示されている。
【0003】
前記外周研磨装置は、図7及び図8に裏面側のエッジEbを研磨する場合について模式的に示すように、パッドホルダ101の弧状をなすパッド貼着面101aに研磨パッド102を貼着することにより形成された研磨部材100を有し、前記研磨パッド102で形成された弧状の作業面103を前記エッジEbと平行をなすように傾斜させて該エッジEbに面接触させ、その状態で前記ワークWを垂直な軸線の回りに回転させて前記エッジEbを前記作業面103で研磨するものである。このとき前記研磨部材100は、前記エッジEbと平行な直線(揺動直線)Lに沿って不図示の揺動機構によりゆっくり揺動され、前記作業面103全体でエッジEbの研磨が行われる。
【0004】
このように前記外周研磨装置は、前記研磨部材100の弧状の作業面103をワークWのエッジEbに面接触させて研磨するものであるため、研磨効率に勝れているが、前記作業面103及び揺動直線Lの水平面Sに対する傾斜角度αが一定の角度に固定されているため、その傾斜角度αと同じベベル角度θ(エッジとワークの表面又は裏面とのなす角度)を有するワークしか研磨することができず、改善の余地があった。即ち、エッジのベベル角度は全てのワークについて一定ではなく、ワークによって大きさが様々に異なっているため、前記作業面103及び揺動直線Lの傾斜角度αをワークのベベル角度に合わせて調整可能とすることにより、ベベル角度の異なる各種ワークに対応できるようにすることが望まれている。
【0005】
一方、特許文献2及び3には、ワークに対して研磨具を相対的に傾動可能なるように構成し、該研磨具のワークに対する接触角度を変えさせることによってエッジ全体を研磨するようにした研磨装置が開示されている。
しかし、この研磨装置は、ワークに対する前記研磨具の接触角度を次第に変化させながらエッジを研磨するもので、前記特許文献1に記載の外周研磨装置とは構成及び作用が基本的に相違しているため、その技術をこの外周研磨装置にそのまま適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−144201号公報
【特許文献2】特開2004−154880号公報
【特許文献3】特開2009−297842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、研磨部材の作業面をワークのエッジと平行に向けて該エッジに面接触させ、その状態で該研磨部材を前記エッジと平行な揺動直線に沿って揺動させることにより該エッジを研磨する外周研磨装置において、前記作業面及び揺動直線の傾斜角度をワークのベベル角度に合わせて調整可能とすることにより、ベベル角度の異なる各種ワークに対応できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によれば、円板形のワークを保持して軸線の回りに回転させるチャック手段と、前記ワークの表面側及び裏面側のエッジを研磨部材の弧状をした作業面で研磨する表面側及び裏面側のエッジ研磨ユニットとを有する外周研磨装置が提供される。
前記エッジ研磨ユニットは、前記研磨部材が交換可能に取り付けられた研磨部材取付体と、該研磨部材取付体を傾動自在に支持する取付体支持部と、前記研磨部材取付体の傾斜角度を前記研磨部材の作業面がワークのエッジと平行をなすように調整する取付体用角度調整機構と、前記研磨部材の作業面を前記ワークのエッジに押し付けて研磨荷重を加える荷重付与手段と、前記取付体支持部を前記軸線に対して傾斜する直線(揺動直線)に沿って移動自在に支持する揺動支持ベースと、前記取付体支持部を前記直線に沿って揺動させる揺動機構と、前記揺動支持ベースを傾動自在に支持するベース支持部と、前記揺動支持ベースの傾斜角度を前記直線が前記ワークのエッジと平行をなすように調整するベース用角度調整機構と、前記ベース支持部を垂直方向及び水平方向に位置補正可能に支持する基台部とを有する。
【0009】
本発明において、前記研磨部材は、該研磨部材の基準面と前記作業面とのなす角度である作業面角度がワークのベベル角度と等角度であるように形成され、該研磨部材を前記研磨部材取付体に取り付けて前記基準面を水平に向けることにより前記作業面がワークのエッジと平行をなすように構成されていることが望ましい。
【0010】
本発明において好ましくは、前記研磨部材取付体が、前記取付体支持部にワークの軸線と直交する第1枢軸を中心に傾動自在に支持され、前記揺動支持ベースが、前記ベース支持部に前記第1枢軸と平行する第2枢軸を中心に傾動自在に支持されていることである。
この場合に、前記取付体支持部が、前記揺動支持ベースに前記直線に沿って移動自在に支持された揺動スライドベースと、該揺動スライドベースに前記直線と直交する方向に移動自在に支持されたスライド部材とを有し、該スライド部材は前記荷重付与手段に連結され、該スライド部材に前記研磨部材取付体が支持されていることが望ましい。
【0011】
また、本発明において、前記基台部は、定位置に配置された第1基台部分と、該第1基台部分に水平方向に移動自在に支持されて前記ベース支持部を垂直方向に移動自在に支持する第2基台部分と、該第2基台部分の水平方向位置を補正する水平位置補正機構と、該第2基台部分に対する前記ベース支持部の垂直方向位置を補正する垂直位置補正機構とを有することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の外周研磨装置は、研磨部材をワークのエッジと平行な揺動直線に沿って揺動させる揺動支持ベースの傾斜角度を、前記揺動直線がワークのエッジと平行をなすように調整すると共に、前記研磨部材が取り付けられた研磨部材取付体の傾斜角度を、該研磨部材の作業面がワークのエッジと平行をなすように調整することにより、1台の研磨装置でベベル角度が異なる各種ワークのエッジを研磨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る外周研磨装置を、チャック手段の一部を省略して示す正面図である。
図2】裏面側のエッジ研磨ユニットの拡大図である。
図3図2に示す裏面側のエッジ研磨ユニットの一部を破断して左側から見た部分破断側面図である。
図4図2を研磨部材の位置で拡大すると共にワークの比率を更に拡大して示す要部拡大図である。
図5図2の裏面側のエッジ研磨ユニットにおいて、ベベル角度の異なるワークを研磨するため揺動支持ベース及び研磨部材支持体の傾斜角度を調整する途中の段階を示す側面図である。
図6図5の裏面側のエッジ研磨ユニットにおいて、前記揺動支持ベース及び研磨部材支持体の傾斜角度の調整が終了した状態の側面図ある。
図7】従来の外周研磨装置でワークの裏面側のエッジを研磨する状態を模式的に示す要部拡大断面図である。
図8図7の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る円板形ワーク用外周研磨装置の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示す外周研磨装置は、半導体ウエハのような円板形ワークWの表裏両面の外周縁部に形成された傾斜面状のエッジEa,Eb(図4参照)を研磨するためのもので、前記ワークWを水平に保持して垂直な軸線L1の回りに回転させるチャック手段1と、前記ワークWの表面(上面)側のエッジEaを研磨する表面側のエッジ研磨ユニット2Aと、前記ワークWの裏面(下面)側のエッジEbを研磨する裏面側のエッジ研磨ユニット2Bとを有している。図1には、前記エッジ研磨ユニット2A,2BでエッジEa,Ebを研磨している状態が示されている。
【0015】
前記チャック手段1は、垂直をなす主軸5の上端に、前記ワークWよりやや小径の円盤形をなすチャックテーブル6を有し、このチャックテーブル6上に前記ワークWが、外周を該チャックテーブル6から側方に突出させた状態で真空吸着等の方法で水平に保持される。このため、前記チャックテーブル6の上面には複数の吸着孔が開口し、この吸着孔が前記主軸5内の流路を通じて図示しない真空ポンプに接続されている。また、前記主軸5は、図示しないモーターに接続され、所要の速度で正逆所要の方向に駆動回転される。
【0016】
なお、前記チャックテーブル6上へ前記ワークWをチャックする方法は、上述したような真空吸着に限らず、静電気による付着力を利用する静電チャックや、その他の適宜方法を用いることができる。
【0017】
前記表面側のエッジ研磨ユニット2Aと裏面側のエッジ研磨ユニット2Bとは、前記ワークWの軸線L1を挟んで相対する位置に配置されている。これら2つのエッジ研磨ユニット2A,2Bは、完全に同じ構成を有してはいないが、互いの位置の関係で一部の部品の形状や向き等が相互に異なっているだけで、それ以外の構成及び機能は実質的に同じである。従って、ここでは、説明の都合上裏面側のエッジ研磨ユニット2Bについてその構成を具体的に説明し、前記表面側のエッジ研磨ユニット2Aについては、該裏面側のエッジ研磨ユニット2Bとの構成の違いをあとで簡単に説明することとする。
【0018】
図2及び図3に示すように、前記裏面側のエッジ研磨ユニット2Bは、研磨部材10が交換可能に取り付けられた研磨部材取付体11と、該研磨部材取付体11を傾動自在に支持する取付体支持部12と、前記研磨部材取付体11の傾斜角度を前記研磨部材10の作業面10aがワークWの裏面側のエッジEbと平行をなすように調整する取付体用角度調整機構13と、前記研磨部材10の作業面10aを前記ワークWのエッジEbに押し付けて研磨荷重を加える荷重付与手段14と、前記取付体支持部12を前記軸線L1に対して傾斜する直線(揺動直線)L2に沿って移動自在に支持する揺動支持ベース15と、前記取付体支持部12を前記揺動直線L2に沿って揺動させる揺動機構16と、前記揺動支持ベース15を傾動自在に支持するベース支持部17と、前記揺動支持ベース15の傾斜角度を前記揺動直線L2がエッジEbと平行をなすように調整するベース用角度調整機構18と、前記ベース支持部17を垂直方向及び水平方向に位置補正可能なるように支持する基台部19とを有している。
【0019】
前記研磨部材取付体11は、前記ワークWの外周に向けて横向き好ましくは水平に延びる横アーム部11aと、該横アーム部11aの基端から下向き好ましくは垂直に延びる縦アーム部11bと、該縦アーム部11bの下端から横向き好ましくは水平に延びる調整アーム部11cとを有し、該調整アーム部11cの位置で前記研磨部材取付体11が、前記取付体支持部12から延出するブラケット20に、前記軸線L1と直交する第1枢軸21を中心に傾動自在に支持され、前記横アーム部11aの先端の研磨部材取付ヘッド11dに前記研磨部材10が交換可能に取り付けられている。
【0020】
前記研磨部材10は、図4からも明らかなように、合成樹脂や金属あるいはセラミックのような硬質素材からなるパッドホルダ25の弧状に湾曲するパッド貼着面25aに、弾性を有するシート状の研磨パッド26を弧状に湾曲させて貼着することにより形成されたもので、該研磨パッド26の表面によって前記ワークWのエッジEbを研磨するための弧状に湾曲する作業面10aが形成されている。そしてこの研磨部材10が、前記研磨部材取付ヘッド11dに、ワークWの研磨時に前記作業面10aが水平面に対してエッジEbのベベル角度θと等角度傾斜する姿勢、換言すれば、前記作業面10aがエッジEbと平行をなす姿勢で、着脱自在に取り付けられている。
【0021】
この場合、前記研磨部材10を、前記作業面10aと該研磨部材10の上面又は下面等の適宜位置に形成された平坦な基準面10bとのなす角度(作業面角度)γが前記ベベル角度θと等角度であると共に、前記研磨部材取付ヘッド11dが研磨位置にあるとき該研磨部材10の基準面10bが水平を向く姿勢を占めるように構成しておくことが望ましく、これにより、該研磨部材10を前記研磨部材取付ヘッド11dに取り付けて、該研磨部材10の基準面10bが水平を向くように前記研磨部材取付体11の傾斜角度を調整することにより、前記作業面10aを前記エッジEbと平行に向けることができる。
前記作業面10aには、研磨材スラリーの流れを良くするための複数のスラリー溝を形成しても良い。
【0022】
前記取付体支持部12は、前記揺動支持ベース15に前記揺動直線L2に沿って移動自在なるように支持された揺動スライドベース29と、該揺動スライドベース29にガイド29aに沿って前記揺動直線L2と直交する方向に移動自在に支持されたスライド部材30とを有し、該スライド部材30から前記ブラケット20が延出している。
【0023】
前記揺動スライドベース29にはシリンダ31が固定され、該シリンダ31のロッド31aは前記ガイド29aと平行に延出し、該ロッド31aの先端は前記スライド部材30に連結され、該ロッド31aの伸縮によって前記スライド部材30が前記ワークWのエッジEbと直交する方向に上下動させられる。そして、該スライド部材30の上方への変位により前記研磨部材10の作業面10aが前記ワークWのエッジEbに当接して押し付けられ、前記シリンダ31に供給される空気圧に応じた研磨荷重が加えられる。従って、前記シリンダ31は、前記研磨部材10に所定の研磨荷重を加えるための前記荷重付与手段14を構成するものである。なお、本実施例において、前記研磨部材10のワークWへの当接・離間動作と研磨荷重付与動作とを前記シリンダ31にて兼用しているが、当接・離間専用のシリンダを別途設けてもよい。
【0024】
前記取付体用角度調整機構13は、前記ブラケット20の先端部に前記第1枢軸21と平行な第1支軸32を中心に傾動自在に取り付けられた筒状のクランプナット33と、該クランプナット33に進退自在に螺合する棒状の調整ねじ34と、前記調整アーム部11cに前記第1支軸32と平行な第2支軸35を中心に傾動自在に取り付けられた係止部材36とを有し、該係止部材36に前記調整ねじ34の先端部が、相対的に回転自在ではあるが該調整ねじ34の軸線方向には相互に固定的であるように係止している。そして、ハンドル37を操作して前記調整ねじ34を正逆に回転させると、該調整ねじ34が進退動して前記調整アーム部11cとブラケット20との間の角度(間隔)が変化し、前記研磨部材取付体11が前記第1枢軸21を中心に傾動してその傾斜角度が調整される。これにより、前記研磨部材10の作業面10aがワークWのエッジEbと平行になっていないとき、前記取付体用角度調整機構13で前記研磨部材取付体11の傾斜角度を調整することにより、前記作業面10aをエッジEbと平行に向けることができる。
【0025】
前記作業面10aがエッジEbと平行になったかどうかの確認は、例えば水準器等の検出器を用いて行うことができる。即ち、前記研磨部材10の基準面10bが水平を向いたとき、前記作業面10aの傾斜角度がベベル角度と等角度になって前記エッジEbと平行になるように構成しておき、前記研磨部材10の基準面10b上に置いた上記検出器が水平を示すように前記研磨部材取付体11の傾斜角度を調整すれば良い。前記研磨部材10の基準面10bの代わりに前記研磨部材取付ヘッド11dの上面等に形成した別の基準面を使用することもできる。
【0026】
前記揺動スライドベース29を支持するため、前記揺動支持ベース15の上面には、左右一対の案内レール38が設けられ、この案内レール38上に前記揺動スライドベース29の下面の摺動部29bが載置され、この摺動部29bを介して前記揺動スライドベース29が前記案内レール38に沿って移動自在となっている。前記一対の案内レール38は、相互に平行であると共に、前記揺動直線L2とも平行である。
【0027】
前記揺動機構16は、前記揺動支持ベース15に形成された軸受部15aに先端部と基端部とが回転自在に支持された揺動用ボールねじ40と、該揺動用ボールねじ40を正逆両方向に駆動回転させる揺動用モータ41と、前記揺動用ボールねじ40に螺合する揺動用ナット部材42とを有している。前記揺動用ボールねじ40は前記揺動直線L2と平行であり、前記揺動用モータ41は前記揺動支持ベース15に取り付けられ、前記揺動用ナット部材42は前記揺動スライドベース29に取り付けられている。そして、前記揺動用モータ41で前記揺動用ボールねじ40を正、逆方向に回転させると、前記揺動用ナット部材42が該揺動用ボールねじ40に沿って移動し、前記取付体支持部12全体が前記揺動直線L2に沿って往復動する。
【0028】
前記ベース支持部17は、左右の縦枠部材17aと、該左右の縦枠部材17a同士を一体に連結する横枠部材17bとを有し、前記左右の縦枠部材17aに前記第1枢軸21と平行な第2枢軸43が回転自在に支持され、該第2枢軸43に前記揺動支持ベース15が固定されている。
【0029】
前記ベース用角度調整機構18は、左右何れか一方の縦枠部材17aの外面に水平に支持された水平ウオーム軸46と、該水平ウオーム軸46の一端に取り付けられた回転操作用のハンドル47と、前記水平ウオーム軸46の他端近くに設けられたウオーム48と、前記第2枢軸43の一端に固定されて前記ウオーム48に噛合するウオームホイール49とを有し、前記ハンドル47で前記水平ウオーム軸46を回転させると、前記ウオーム48によりウオームホイール49が回転させられて前記第2枢軸43が回転し、前記揺動支持ベース15が傾動することにより、前記揺動用ボールねじ40の水平面Sに対する傾斜角度β即ち前記揺動直線L2の傾斜角度が目的の角度に調整される。
【0030】
前記揺動直線L2の傾斜角度βが目的とする角度になったかどうかの確認は、例えばディジタル分度器等の検出器を用いて行うことができる。即ち、前記揺動支持ベース15に前記揺動直線L2と平行な測定面を形成すると共に、前記ベース支持部17に水平な基準面を形成しておき、これら基準面と測定面とが交差する位置に前記検出器を配置し、該検出器を見ながら、前記基準面に対する測定面の傾斜角度が目的の角度になるよう前記揺動支持ベース15の傾斜角度を調整すれば良い。
【0031】
前記基台部19は、装置の定位置に配置された第1基台部分51と、該第1基台部分51に水平方向に移動自在なるように支持された第2基台部分52とを有し、該第2基台部分52に前記ベース支持部17が垂直方向に移動自在なるように支持されている。また、該基台部19は、前記第2基台部分52の水平方向位置を補正する水平位置補正機構53と、該第2基台部分52に対する前記ベース支持部17の垂直方向位置を補正する垂直位置補正機構54とを有している。以下、この基台部19の構成について更に具体的に説明する。
【0032】
前記第1基台部分51は、床面上に固定的に設置された固定プレート57を有し、該固定プレート57の上面の左右両端部に一対の案内レール57aが相互に平行かつ水平に配設され、この案内レール57a上に、前記第2基台部分52の可動プレート58の下面左右両端部に形成された摺動部58aが載置され、この摺動部58aを介して前記第2基台部分52が前記案内レール57aに沿って水平方向に移動自在となっている。
【0033】
また、前記固定プレート57の上面には一対の軸受部57bが形成され、該軸受部57bに水平ボールねじ59が回転自在に支持され、該水平ボールねじ59の一端に回転操作用のハンドル60が取り付けられている。一方、前記可動プレート58の上面にはナット部材61が固定され、このナット部材61が前記水平ボールねじ59に螺合し、前記ハンドル60を回転操作して前記水平ボールねじ59を回転させると、前記ナット部材61が該水平ボールねじ59に沿って移動し、前記第2基台部分52の水平方向位置が補正される。従って、前記水平ボールねじ59とハンドル60とナット部材61とは、前記水平位置補正機構53を構成するものである。この水平位置補正機構53は、前記研磨部材10を前記チャック手段1に対して水平方向に接近または離間させるものである。これにより、前述の角度調整後の前記第2基台部分52の水平方向位置を微調整することが可能である。
【0034】
前記第2基台部分52は、前記可動プレート58から垂直に立ち上がった左右の縦ガイド枠58bと、該左右の縦ガイド枠58b同士を該縦ガイド枠58bの上端近くで相互に連結する水平な横連結枠58cとを有している。前記左右の縦ガイド枠58bの外側面には、垂直に延びるガイド58dが形成され、該ガイド58dに、前記ベース支持部17の左右の縦枠部材17aに形成された摺動部材17cが外側から嵌合し、該摺動部材17cを介して前記第2基台部分52が前記ガイド58dに沿って上下方向に移動自在となっている。前記ガイド58dは、前記左右の縦ガイド枠58bにそれぞれ2つずつ形成されており、従って前記摺動部材17cも、前記左右の縦枠部材17aにそれぞれ2つずつ形成されている。
【0035】
前記第2基台部分52には、垂直ボールねじ64が、その上端と下端を前記可動プレート58と横連結枠58cとに回転自在に支持された状態で垂直に配設され、前記ベース支持部17の横枠部材17bには、該垂直ボールねじ64に螺合するナット部材65が固定され、前記垂直ボールねじ64の正逆回転によってこのナット部材65が該垂直ボールねじ64に沿って上下動することにより、前記ベース支持部17の垂直方向の位置が補正される。
【0036】
前記垂直ボールねじ64を回転操作するため、前記第2基台部分52の左右の縦ガイド枠58bには、一端に回転操作用のハンドル67を備えた水平ウオーム軸66が回転自在に支持され、該水平ウオーム軸66に取り付けられたウオーム68と前記垂直ボールねじ64に取り付けられたウオームホイール69とが互いに噛合している。そして、この水平ウオーム軸66を前記ハンドル67で正逆方向に回転操作することにより、前記ウオーム68及びウオームホイール69を介して前記垂直ボールねじ64を正逆回転させることができるようになっている。従って、前記ハンドル67、水平ウオーム軸66、ウオーム68、ウオームホイール69、垂直ボールねじ64、ナット部材65は、前記ベース支持部17の垂直方向の位置を補正する前記垂直位置補正機構54を構成するものである。この垂直位置補正機構54は、前記研磨部材10を前記チャック手段1に対して垂直方向に接近または離間させるものである。これにより、前述の角度調整後の前記ベース支持部17の垂直方向位置を微調整することが可能である。
【0037】
前記構成を有する裏面側のエッジ研磨ユニット2BでワークWの裏面側のエッジEbを研磨する場合について説明する。前記エッジEbのベベル角度がθである場合、前記研磨部材10として、作業面角度γがθに等しい研磨部材が使用される。また、前記揺動支持ベース15の傾斜角度βがθと等角度に調整されることにより、前記揺動直線L2が前記エッジEbと平行に向けられ、前記研磨部材取付体11の傾斜角度が調整されることにより、前記作業面10aも前記エッジEbと平行に向けられている。
【0038】
そして、前記ワークWをチャック手段1のチャックテーブル6上にセットしたあと、前記荷重付与手段14にて前記研磨部材10の作業面10aを前記裏面側のエッジEbに接触させ、前記ワークWを軸線L1を中心に回転させることにより、前記作業面10aで前記エッジEbが研磨される。このとき、前記荷重付与手段14によって前記研磨部材10に所定の研磨荷重が作用される。また、前記揺動機構16において、前記揺動用モータ41で揺動用ボールねじ40が正、逆方向に回転されることにより前記揺動用ナット部材42が該揺動用ボールねじ40に沿って往復動し、前記取付体支持部12及び研磨部材取付体11を介して前記研磨部材10が前記揺動直線L2に沿ってゆっくり往復動し、前記作業面10aに対するエッジEbの接触位置が変更される。
【0039】
研磨が終了すると、前記荷重付与手段14によって研磨部材10がワークWから離間され、チャックテーブル6からワークWが搬出される。
【0040】
前記エッジ研磨ユニット2Bは、エッジEbのベベル角度が異なるワークWを研磨することもできる。ベベル角度がθ1であるワークWを研磨する場合、前記研磨部材10は、作業面角度γ(図4参照)がθ1に等しいものに交換される。また、ベース用角度調整機構18によって前記揺動支持ベース15即ち揺動直線L2の傾斜角度βもθ1に等しくなるように調整される。
前記研磨部材10を交換する理由は、作業面角度γがθに等しい研磨部材は、弧状の作業面10aの断面形状が、ベベル角度θのエッジと平行に向けたとき該エッジに面接触するように形成されていて、ベベル角度θ1のエッジと平行に向けても該エッジに面接触させることができないためである。このため前記研磨部材を、作業面角度が研磨するワークのベベル角度に等しいものに交換するのである。
【0041】
また、前記揺動直線L2の傾斜角度βの調整は、前記ベース用角度調整機構18におけるハンドル47を回転操作して前記水平ウオーム軸46を回転させ、前記ウオーム48及びウオームホイール49を介して前記第2枢軸43を所定の角度回転させることにより、前記揺動支持ベース15を傾動させて前記揺動用ボールねじ40の傾斜角度βをθ1に等しくすることにより行う。
【0042】
前記揺動支持ベース15の傾斜角度βの調整を行うと、図5に示すように、前記取付体支持部12及び研磨部材取付体11が全体として前記第2枢軸43を中心に傾動するため、前記研磨部材取付体11の横アーム部11aが水平ではなくなり、研磨部材10の作業面10aがワークWのエッジEbと平行しなくなる。例えば、前記ベベル角度θ1がθより大きい場合には、前記取付体支持部12及び研磨部材取付体11が図2において前記第2枢軸43を中心に時計方向に回転するため、図5のように前記作業面10aの水平面Sに対する傾斜角度δはθ1より大きくなる。そこで、図6に示すように、前記取付体用角度調整機構13における調整ねじ34を後退させて前記調整アーム部11cを前記第1枢軸21を中心に回動させ、該調整アーム部11cとブラケット20との間隔を狭めて前記横アーム部11a即ち研磨部材10の基準面10bを水平に向ける。これにより、前記研磨部材10の作業面10aの傾斜角度δがθ1になり、該作業面10aはワークWのエッジEbと平行になる。
【0043】
前記揺動支持ベース15の傾斜角度β及び前記研磨部材10の作業面10aの傾斜角度δの調整を行うことにより、前記作業面10aとワークWとの距離が変わってしまうため、エッジ研磨に適した位置に前記作業面10aが位置するように前記水平位置補正機構53及び垂直位置補正機構54にて水平方向位置及び垂直方向位置の微調整を行うことが必要である。
【0044】
なお、前記ベベル角度θ1がθより小さい場合には、上記の場合とは逆に、前記取付体支持部12及び研磨部材取付体11が図2において前記第2枢軸43を中心に反時計方向に回転し、前記作業面10aの傾斜角度δはθ1より小さくなるため、前記取付体用角度調整機構13で前述した場合とは逆の操作を行って前記横アーム部11a即ち研磨部材10の基準面10bを水平に向けるようにする。
【0045】
かくして、前記揺動直線L2の傾斜角度βをθ1になるように調整すると共に、前記研磨部材10の作業面10aの傾斜角度δをθ1になるように調整したあと、前述したベベル角度がθであるワークWを研磨するときと同様の操作によって前記エッジEbを研磨すれば良い。
なお、前述の角度調整を行う際には、角度調整作業を行い易くするために、前記水平位置補正機構53及び垂直位置補正機構54にて前記チャック手段1から離間する方向に位置を調整してもよい。
【0046】
一方、前記ワークWの表面側のエッジEaの研磨は、前記表面側のエッジ研磨ユニット2Aにより、前記裏面側のエッジ研磨ユニット2Bで裏面側のエッジEbを研磨する場合と同様にして行われる。この表面側のエッジ研磨ユニット2Aは、前記裏面側のエッジ研磨ユニット2Bに比べ、研磨部材10が研磨部材取付体11にワークWの表面側のエッジEaを研磨できるような姿勢で取り付けられている点、研磨部材取付体11の調整アーム部11c及び取付体支持部12のブラケット20の延出方向や長さ等が異なる点、荷重付与手段14がシリンダ31のロッド31aの短縮によるスライド部材30の下方への変位によって研磨荷重が加えられるようになっている点、ベース用角度調整機構18を構成する各部品の配置や向き等が異なる点、水平位置補正機構53及び垂直位置補正機構54を構成する各部品の配置や向き等が異なる点等において相違しているだけで、それ以外の構成及び機能は実質的に同じである。このため、主要な構成部分に裏面側のエッジ研磨ユニット2Bと同じ符号を付し、その構成の説明は省略する。
【符号の説明】
【0047】
1 チャック手段
2A 表面側のエッジ研磨ユニット
2B 裏面側のエッジ研磨ユニット
10 研磨部材
10a 作業面
10b 基準面
11 研磨部材取付体
12 取付体支持部
13 取付体用角度調整機構
14 荷重付与手段
15 揺動支持ベース
16 揺動機構
17 ベース支持部
18 ベース用角度調整機構
19 基台部
21 第1枢軸
29 揺動スライドベース
30 スライド部材
43 第2枢軸
51 第1基台部分
52 第2基台部分
53 水平位置補正機構
54 垂直位置補正機構
W ワーク
Ea 表面側のエッジ
Eb 裏面側のエッジ
L1 軸線
L2 揺動直線
γ 作業面角度
β,δ 傾斜角度
θ,θ1 ベベル角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8