(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012720
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】改善されたソース/ドレイン接点を有する金属酸化物薄膜トランジスタ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20161011BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20161011BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
H01L29/78 618A
H01L29/78 618B
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
H01L29/78 616K
H01L29/78 616M
H01L29/78 616U
H01L29/78 616V
H01L29/78 619A
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-514470(P2014-514470)
(86)(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公表番号】特表2014-520396(P2014-520396A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012038075
(87)【国際公開番号】WO2012170160
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】13/155,749
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511011539
【氏名又は名称】シーブライト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CBRITE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149766
【弁理士】
【氏名又は名称】京村 順二
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(74)【代理人】
【識別番号】100091915
【弁理士】
【氏名又は名称】本城 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100099106
【弁理士】
【氏名又は名称】本城 吉子
(72)【発明者】
【氏名】シェ,チャンロン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】フーン,ファット
【審査官】
河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−290113(JP,A)
【文献】
特開2011−086921(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/091013(WO,A1)
【文献】
特開2007−123861(JP,A)
【文献】
特開2010−004000(JP,A)
【文献】
特開2011−100990(JP,A)
【文献】
特開2010−073894(JP,A)
【文献】
特開2010−016163(JP,A)
【文献】
特開2007−142196(JP,A)
【文献】
特開2008−166716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物半導体薄膜トランジスタ内にオーム性ソース/ドレイン接点を形成する方法において、前記方法は、
ゲート、前記ゲート上に重なるゲート誘電体の層、前記ゲートの反対側の前記ゲート誘電体上に重なる高キャリア密度の金属酸化物半導体材料の層、および活性層内のチャネル領域を定義する互いに離れたソース/ドレイン金属接点を有する基板を提供する段階であって、前記基板は、前記金属酸化物半導体の前記チャネル領域の上に、かつ部分的に前記ソース/ドレイン金属接点の下になるように配置されたエッチ・ストップ・パッシベーション層をさらに有し、前記エッチ・ストップ・パッシベーション層は、ガラス遷移温度(Tg)を有する絶縁材料によって形成され、前記温度Tg以下では、前記絶縁材料は、O2,H2O,H2,N2に対し、および、エッチ・ストップ・パッシベーション層より上の後続の組立プロセスで使用される化学薬品に対し、化学バリアとして作用し、前記温度Tg以上では、前記絶縁材料は、高い粘性を有し、かつ酸素原子、水素原子、および窒素原子に対して十分な移動度を有する、半液体として作用する、基板を提供する段階と、
前記金属酸化物半導体材料の層に隣接する酸化環境を提供する段階と、
前記酸化環境内で、前記ゲートおよび前記金属酸化物半導体材料内の前記ゲートに隣接するチャネル領域を加熱して、前記チャネル領域の前記キャリア密度を低減させる一方で、前記チャネル領域の両側の領域内の前記高キャリア密度を保持する段階と、
前記金属酸化物半導体材料上に、離間したソース/ドレイン金属接点を形成する段階であって、前記離間したソース/ドレイン金属接点は、前記金属酸化物半導体材料内の前記高キャリア密度の領域上にある前記チャネル領域の各側面上の一方に配置され、前記離間したソース/ドレイン金属接点を形成する段階は、前記加熱する段階の前または後の一方で実行される、段階と、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ゲートおよび前記チャネル領域を加熱する段階は、前記金属酸化物層の前記バンド・ギャップより低い光子エネルギーを有する、ランプおよびパルス・レーザ光のうちの1つを含む放射線源を使用する段階を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加熱する段階は、前記パルス・レーザ光に対して透明である、ゲート誘電体および高キャリア密度の金属酸化物半導体の活性層と共に、前記パルス・レーザ光を使用する段階を含み、前記離間したソース/ドレイン金属接点は、前記加熱する段階の後に形成されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物半導体の活性層内のキャリア密度は、約1E18/cm3より大きく、かつ前記金属酸化物半導体の活性層の前記チャネル領域内のキャリア密度は、1E18/cm3未満に低減されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
低い仕事関数の金属および高い仕事関数のバリア金属を含む、第1部分を有する前記ソース/ドレイン金属接点のそれぞれを形成する段階をさらに含み、前記低い仕事関数の金属の仕事関数は、前記金属酸化物半導体の活性層の仕事関数と同等か、またはそれより小さいかのいずれか1つであり、前記バリア金属の仕事関数は、前記金属酸化物半導体の活性層の仕事関数と同等か、またはそれより大きいかのいずれか1つであり、前記第1部分は、前記金属酸化物半導体の活性層上に配置され、高伝導率の金属の第2部分は、前記第1部分上に配置されることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記低い仕事関数の金属は、約4eVの仕事関数よりも低い仕事関数を有し、かつ前記高い仕事関数のバリア金属は、約4eVの仕事関数よりも高い仕事関数を有することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記離間したソース/ドレイン金属接点を形成する段階は、前記ゲートおよび前記チャネル領域を加熱する段階の前、および 前記加熱する段階中に実行され、前記ソース/ドレイン金属接点は、前記チャネル領域の各側面上にある前記高キャリア密度の金属酸化物半導体の活性層の前記接点部分を前記酸化環境からシールドし、それによって前記チャネル部分の両側面上にある前記接点部分は、前記高キャリア密度を保持することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ソース/ドレイン金属接点間の少なくとも前記チャネル領域上にパッシベーション層を形成する段階を付加的に含み、前記ゲートおよび前記チャネル領域を加熱する段階において、前記パッシベーション層は、前記加熱する段階中に前記パッシベーション層を通って酸素を運搬し、前記酸化環境を提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記パッシベーション層は酸素を含む材料を含み、前記酸素は前記加熱する段階中に開放されて酸化環境を提供することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点において、
薄膜トランジスタ構成中の、ゲート、ゲート誘電体、バンド・ギャップを有する高キャリア密度の金属酸化物半導体の活性層、前記活性層内のチャネル領域を定義する離間したソース/ドレイン金属接点、および前記金属酸化物半導体の活性層の前記チャネル領域上に重なる関係で配置されたエッチ・ストップ・パッシベーション層と、前記チャネル領域内のキャリア密度よりも大きいキャリア密度を有する前記ソース/ドレイン金属接点と接する前記金属酸化物半導体の活性層の部分と、を含み、
前記エッチ・ストップ・パッシベーション層は、ガラス遷移温度(Tg)を有する絶縁材料によって形成され、前記温度Tg以下では、前記絶縁材料は、O2,H2O,H2,N2に対し、および、エッチ・ストップ・パッシベーション層より上の後続の組立プロセスで使用される化学薬品に対し、化学バリアとして作用し、前記温度Tg以上では、前記絶縁材料は、高い粘性を有し、かつ酸素原子、水素原子、および窒素原子に対して十分な移動度を有する半液体として作用することを特徴とする、金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【請求項11】
前記ソース/ドレイン金属接点と接する前記金属酸化物半導体の活性層の前記部分内のキャリア密度は、約1E18/cm3より大きく、かつ前記金属酸化物半導体の活性層の前記チャネル領域内のキャリア密度は、約1E18/cm3未満に低減されることを特徴とする請求項10記載の金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【請求項12】
前記ソース/ドレイン金属接点のそれぞれは、低い仕事関数の非常に薄い層および高い仕事関数のバリア金属を含む第1部分を有し、前記低い仕事関数の金属の仕事関数は、前記金属酸化物半導体の活性層の仕事関数と同等か、またはそれより小さいかのいずれか1つであり、前記バリア材料の仕事関数は、前記金属酸化物半導体の活性層の仕事関数と同等か、またはそれより大きいかのいずれか1つであり、前記第1部分は、前記金属酸化物半導体の活性層上に配置され、高伝導率の金属の第2部分は、前記第1部分上に配置されることを特徴とする請求項10記載の金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【請求項13】
前記低い仕事関数の金属の非常に薄い層内の前記仕事関数は約4eVの仕事関数よりも低く、かつ前記高い仕事関数の金属のバリア層内の前記仕事関数は約4eVの仕事関数よりも高いことを特徴とする請求項12記載の金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【請求項14】
前記低い仕事関数の金属および前記高い仕事関数のバリア金属は、単一の層に混合された層、および、個別の層として形成されたそれぞれの層の一方であることを特徴とする請求項12記載の金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【請求項15】
前記エッチ・ストップ・パッシベーション層の前記絶縁材料は、「液体ガラス」材料およびシリコンを含む無機材料のうちの1つを含むことを特徴とする請求項10記載の金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【請求項16】
前記エッチ・ストップ・パッシベーション層の前記絶縁材料は、以下の化学基、すなわち、−O−,−COOH,−C=O,−O−O−,O=C−N−C=O,−C−OH,および,−C−Hのうちの1つから選択された有機物質のうちの1つを含むことを特徴とする請求項10記載の金属酸化物半導体薄膜トランジスタにおける低抵抗のオーム性ソース/ドレイン接点。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にTFT(薄膜トランジスタ)内の金属酸化物半導体膜に関し、より詳しくは、異なるキャリア密度の領域を有する活性層の形成に関し、それによって金属酸化膜のソース/ドレイン接点が改善される。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、アモルファス・シリコン(a−Si)薄膜トランジスタは、ゲートおよびゲート絶縁体層上にa−Si半導体材料の第1層を堆積し、次に、第1層の上部に高度にドープされたシリコンの層(例えばn
+層)を堆積することによって形成される。次に、ソースおよびドレインのための金属接点が高ドープ層上に形成され、接点間の第1のa−Si層内にチャネル領域が画定される。チャネル領域上の高ドープ層は、その後にエッチングで除去することができるので、チャネル領域に悪影響を及ぼさない。a−SiTFTチャネル内の低移動度によって、装置10は接点抵抗をあまり必要としなくなる。高ドープ領域上に形成された金属接点は、低抵抗(オーム性)接点を提供する。
【0003】
金属酸化物薄膜トランジスタ(MOTFT)において、金属接点は、金属酸化物半導体層上に直接形成される。すなわち、金属酸化物半導体材料は、それがチャネル領域内にあるのと同じように、金属接点の下にある。MOTFTにとって、n
+層およびより高いバンド・ギャップの不足は、良好なオーム接点を提供することをより困難にする。さらに、金属酸化物半導体材料の高い移動度は、a−Si TFT内よりも、より低い接点抵抗を要求する。良好な低い抵抗の接点(以下、「オーム接点」と称する。)が無ければ、金属酸化物半導体材料の高い移動度は、接点抵抗によって損なわれる場合がある。しかしながら、MOTFT内のオーム接点は、現在まで事実上知られていなかったか、あるいは、形成および/または保持することが非常に困難であった。
【0004】
先行技術に内在する上記のような欠点および他の欠点を改善することは、非常に有利であろう。
【発明の概要】
【0005】
簡潔に述べれば、本発明が所望する目的は、異なるキャリア密度の領域を有するTFTのための活性層を形成する方法により達成される。本方法は、ゲート、ゲートに隣接するゲート誘電体の層、ゲートの反対側のゲート誘電体上に配置された高キャリア密度を有する金属酸化物半導体材料の層を有する基板を提供する段階を含む。本方法は、さらに、ゲートに整合された金属酸化物半導体材料の層のチャネル部分を酸化させて、チャネル部分のキャリア密度を減らす段階を含む。チャネル部分の両側の接点部分は、高キャリア密度のまま保持される。
【0006】
本発明の所望する目的をさらに達成するために、薄膜トランジスタ構成内に、配置中のゲート、ゲート誘電体、バンド・ギャップを有する高キャリア密度の金属酸化物半導体の活性層、および、離間したソース/ドレイン接点を提供する段階を含む、金属酸化物半導体薄膜トランジスタ内にオーム性ソース/ドレイン金属接点を形成する方法が提供される。離間したソース/ドレイン金属接点は、活性層内にチャネル領域を画定する。酸化環境は、チャネル領域に隣接し、ゲートおよびチャネル領域は、酸化環境内で加熱され、チャネル領域のキャリア密度が減少する。互換的に、または付加的に、ソース/ドレイン接点のそれぞれは、金属酸化物半導体の活性層上に配置された低い仕事関数の金属の非常に薄い層を含み、また、高い仕事関数の金属のバリア層は、低い仕事関数の金属上に配置される。
【0007】
本発明の所望する目的は、さらに、一実施例に従って達成される。金属酸化物半導体薄膜トランジスタ内の、金属と金属酸化物との低抵抗のオーム接点は、薄膜トランジスタ構成における、ゲート、ゲート誘電体、バンド・ギャップを有する高キャリア密度の金属酸化物半導体の活性層、および離間したソース/ドレイン金属接点を含む。離間したソース/ドレイン金属接点は、活性層内にチャネル領域を画定する。ソース/ドレイン金属接点に接する金属酸化物半導体の活性層の部分は、チャネル領域内のキャリア密度よりも大きいキャリア密度を有する。
【0008】
互換的に、または上記の実施例に加えて、金属酸化物半導体薄膜トランジスタ内の、金属と金属酸化物半導体の活性層との低抵抗オーム接点は、金属酸化物半導体の活性層上に配置された低い仕事関数の非常に薄い層(低い仕事関数の金属の仕事関数は、金属酸化物半導体の活性層の仕事関数と同等か、またはそれより小さいかのいずれか1つである)、および、低い仕事関数の金属上に配置された高い仕事関数の金属のバリア層(高い仕事関数の金属の仕事関数は、金属酸化物半導体の活性層の仕事関数と同等か、またはそれより大きいかのいずれか1つである)を具備するソース/ドレイン金属接点を含む。互換的に、低い仕事関数の金属の層および高い仕事関数の金属の層は、低い仕事関数の金属および高い仕事関数の金属が混合された一種の合金から成る単一の層によって置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上述された目的および利点、および、さらなる特定の目的および利点は、好適な実施例に関する以下の詳細な記述および図面によって、当業者には容易に明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、オーム性のソース−ドレイン接点を有する典型的なアモルファス・シリコンTFTの単純化された層の図である。
【
図2】
図2は、高い仕事関数の金属と金属酸化物半導体材料との間のショットキー・バリア・タイプの接点を示す、単純化されたエネルギー・バンドの図である。
【
図3】
図3は、本発明に従って、異なるキャリア密度を有する活性層を形成するための第1の方法における最初の構造を示す、単純化された層の図である。
【
図4】
図4は、
図3と同様に、異なるキャリア密度を有する活性層を形成するための第1の方法の最終段階を示す、単純化された層の図である。
【
図5】
図5は、本発明に従って、異なるキャリア密度を有する活性層を形成する第2の方法を示す、下部ゲートおよび上部ソース/ドレインを有する本発明に従ったMOTFTの単純化された層の図である。
【
図6】
図6は、本発明に従ってオーム金属接点を示す、部分的なMOTFTの単純化された層の図である。
【
図7】
図7は、本発明において使用することができるいくつかの材料の化学構造を示す表1である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、オーム性のソース−ドレイン接点を有する典型的なアモルファス・シリコン(a−Si)TFT10の単純化された層の図が示される。TFT10は基板11を含み、基板11は、その上部表面内に形成されたゲート12を有する。ゲート12は、周知の方法で、ゲート誘電体の薄層13によって被覆される。ドープされないアモルファス・シリコン(a−Si)の層14は、任意の周知の方法で、ゲート誘電体層13の上部表面上に形成される。高ドープ(heavily doped)された(n+)アモルファス・シリコン層15は、層14の上部表面に堆積される。次に、ソース用の金属接点16およびドレイン用の金属接点17が、高ドープ層15上に形成され、接点16と接点17との間のa−Si層14内にチャネル領域18(破線内に位置する)が画定される。次に、チャネル領域18上の高ドープ層15の部分は、一般に金属接点16,17をマスクとして使用して、エッチングにより除去することができる。アモルファス・シリコンTFTのチャネル18内の低移動度によって、装置10は接点抵抗をあまり必要としなくなる。高ドープ層15上に形成された金属接点16,17は、低抵抗(オーム)接点を提供する。
【0011】
図1に示されたようなタイプの装置における問題の1つは、チャネル上の高ドープ層15の部分のエッチングである。半導体層14内へエッチングすることがないように、さらに、パッシベーション、電界効果制御、不安定性、トラップなどに困難を引き起こさないように、エッチングを十分に制御して層15のみを除去することは非常に難しい。さらに、大きいサイズのガラス(広範囲な基板領域)上でそのようなプロセスを実行するために使用される機器は、均一な制御が複雑であることから非常に高価である。
【0012】
金属酸化物半導体材料は、キャリア移動度が高く、光透過性を有し、さらに蒸着温度が低いことから、強い関心が寄せられている。高いキャリア移動度によって、より高い周波数またはより高い電流が要求される、より高いパフォーマンス領域まで応用が広がる。光透過性によって、ディスプレイおよびセンサのアクティブ・マトリックス内の光シールドが不要になる。低い蒸着温度によって、プラスチック基板上の柔軟なエレクトロニクスへの応用が可能になる。
【0013】
金属酸化物半導体のユニークな特徴は次のとおりである。(1)キャリア移動度が、膜の粒子サイズにそれほど依存しない。すなわち、高移動度アモルファス金属酸化物が可能である。(2)表面状態の密度は低く、TFTのための電界効果を容易に可能にする。これは、表面状態が水素によって不活性化されなければならないような共有結合半導体(Siまたはa−Siのような)とは逆である。(3)移動度は、ボリューム・キャリア密度に強く依存する。伝統的に、金属酸化物中のボリューム・キャリア密度または濃度は、酸素空孔によって制御される。酸素空孔は、(a)堆積中の酸素の分圧、(b)高温処理、および(c)原子価ドーピングによって制御することができる。
【0014】
金属酸化物薄物薄膜トランジスタ(MOTFT)において、金属接点は、金属酸化物半導体層上に直接形成される。すなわち、金属酸化物半導体材料は、金属接点の下にある点で、チャネル領域にあるのと同じである。MOTFTにとって、n
+層およびより大きいバンド・ギャップの不足によって、良好なオーム接点を提供することがより難しくなる。さらに、金属酸化物半導体材料の高い移動度は、a−Si TFT内の接点抵抗よりも低い接点抵抗を必要とする。良好なオーム接点がなければ、金属酸化物半導体材料の高い移動度は、接点抵抗によって損なわれる場合がある。
【0015】
先行技術において、MOTFT内のソースおよびドレインの接点は、通常ショットキー・バリアのタイプであり、金属が金属酸化物半導体材料と直接接触している。一般に、安定した接点金属(例えば、Mo,W,Au,Pt,Agなど)は、比較的高い仕事関数のが、低い仕事関数の金属(例えば、Al,Mg,Ti,Ta,Zn,In,V,Hf,Yなど)は、不安定であるか、または比較的容易に酸化する。高い仕事関数の金属は、金属酸化物半導体材料と共にショットキー・バリアを形成するので、伝導性を提供するために、キャリアはバリアを通ってトンネリングしなければならない。バリアが薄ければ、トンネリングは少量の抵抗だけでも発生し得るが、バリアが厚ければ、トンネリングはほとんど妨げられるであろう。いずれの場合も、ショットキー・バリア接点は、低抵抗を有するオーム接点ほど望ましいものではない。
【0016】
特に
図2には、ショットキー・バリア型接点を例示する、単純化されたエネルギー・バンドの図が示される。その接点は、左側に示された高い仕事関数の金属と、右側に示された金属酸化物半導体材料との間にある。仕事関数に差異があるために、金属から金属酸化物半導体材料への電子の流れに対してバリアが形成されることが解るであろう。バリアの厚さ「b」は、接合内の伝導の量を決定する。すなわち、バリアの厚さbが十分に小さい場合は、電子はトンネリングすることができ、伝導が生じるであろう。厚さbは、主にバリアの傾斜「s」によって制御または決定される。傾斜「s」は、金属酸化物内のキャリア密度に比例する。傾斜が大きくなる(すなわちキャリア密度が増加する)ほど、厚さbが小さくなることが解る。例えば、
図2では、傾斜は約60°である。傾斜が90°の方へ大きくなるにつれて、厚さbはより小さくなる。したがって、金属と半導体との界面におけるキャリア密度の増加によって、バリアの厚さが縮小し、接点が改善される。
【0017】
金属またはドープ半導体の「仕事関数」という用語は、エネルギー準位を意味し、例えば
図2のエネルギー図では、電子状態は満杯ではないが、そこまたはそれ以下では電子状態は完全に満杯である。電子状態は、時には、文献において「フェルミ・エネルギー」とも呼ばれる。TFTアプリケーションに使用される金属酸化物半導体膜内では、金属酸化物半導体の仕事関数は、伝導帯の底に非常に接近している(
図2に描かれたように)。
【0018】
一般に、金属酸化物半導体材料と金属との間に良好なオーム接点を形成するために、2つの方法または手段がある。すなわち、1)界面での金属酸化物半導体のキャリア密度をできる限り高くする(すなわち、バリアの傾斜を増加し、かつ厚さを縮小する)方法、および/または、2)金属の仕事関数を、金属酸化物半導体の仕事関数とほぼ一致させることによって、ほとんどまたは全くバリアを無くす方法である。しかしながら、これらの方法は、それぞれ克服すべき重大な課題を有している。
【0019】
上記第1の方法を用いるためには、装置設計上のジレンマが存在する。その問題とは、TFTチャネル内に出現するものと同じ高キャリア密度(例えば、>1E18/cm
3)の金属酸化物半導体材料が、ソースおよびドレイン接点の下に位置するということである。TFTが適切に動作するためには、チャネルのキャリア密度があまり高すぎてはならない(例えば、<1E18/cm
3)。したがって、異なるキャリア密度または濃度が、TFTの活性層またはチャネル層(金属酸化物半導体層)の異なる領域内で生成されなければならない。
【0020】
本発明に従って、活性層またはチャネル層内に異なるキャリア密度または濃度を達成する2つの方法が提供される。異なるキャリア密度を有する活性層を形成するための第1の方法(
図3および
図4に示される)は、以下のとおりである。特に
図3には、下部ゲート38および上部ソース33/ドレイン34を有するMOTFT30を製作するための最初の構造が示される。この点において、例えば、下部ゲート、下部ソース/ドレイン・タイプの装置、上部ゲート、上部ソース/ドレイン・タイプの装置、上部ゲート、下部ソース/ドレイン・タイプの装置など含む様々な可能なMOTFT構成のいずれについても、ここに開示される方法の1つまたは全部を応用することができると信じていることが理解されるであろう。TFT30は基板32を含み、それは、プラスチックのような可撓性材料、またはガラスなどのような他の入手可能な材料であってもよい。ゲート金属電極38は、任意の適切かつ確立された方法によって基板32内に形成される。薄いゲート誘電体層37は、ゲート金属電極38および基板32の周辺領域の上に重なる関係で形成される。金属酸化物半導体膜36は、ゲート金属電極38および周辺領域の上に重なる関係で、ゲート誘電体層37上に形成またはパターン化される。金属酸化物半導体膜36(それはMOTFET30の活性層である)は、高キャリア密度の金属酸化物であり、良好なオーム接点がソースおよびドレイン(
図4)と膜36との間に形成されることを確実にする。
【0021】
一般に、異なるキャリア密度を有する活性層を形成するための第1の方法は、以下の段階を含む。最初に、ゲート金属が画定され(ゲート38)、そして、ゲート誘電体が堆積される(層37)。金属酸化物半導体材料の層または膜36が堆積および/またはパターン化される。堆積は、キャリア濃度を増加させるために、無酸化環境で行われる。オプションで、さらにキャリア濃度を増加させるために、基板32を還元環境内で、(もし基板材料の選択によって許容されるのであれば)高温で処理することも可能である。好適な加熱方法において、次に、
図3の全体の構造は、酸化環境内で、金属酸化物層36のバンド・ギャップ(例えば3eV)、ゲート誘電体層37のバンド・ギャップ(例えば>4eV)、および基板32のバンド・ギャップ(例えば>3eV)より下の光子エネルギーを有する放射源(例えば、ランプまたはパルス・レーザからの放射)からの一様な光照明に晒されるが、以下ではこれを「アニーリング」と称する。アニーリング処理に関する追加情報として、「Laser Annealing of Metal Oxide Semiconductor on Temperature Sensitive Substrate Formations」という名称で2010年9月1日に出願された米国特許出願(出願番号12/874,145)を参照としてここに組み入れる。必要または便利である場合には、他の方法が、チャネル領域を加熱するために用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0022】
上記で引用された出願において説明されているように、ゲート金属以外の材料は全てレーザ光線に対して透明である。したがって、光(熱またはエネルギー)を吸収することができる唯一の材料は、ゲート金属38である。レーザ・パルス期間は、温度勾配が非常に大きくなるように選択される。すなわち、温度は、吸収領域であるゲート38の近くから非常に急速に降下する(例えば、1ミクロンにつき、>100度C)。したがって、ゲート38の上部のチャネル領域35のみが加熱され、そのキャリア密度または濃度は、酸素環境(すなわち酸素を含む環境)によって低減する。金属酸化物半導体膜36の残部は、たとえそれが酸素環境内にあっても、低温であることによって、キャリア密度の低減が防止される。したがって、チャネル領域35は、ゲート38と自己整合し、ゲート38に対する、エッチ・ストップとソース金属33およびドレイン金属34との整合は、それほど重大ではなくなる。
【0023】
さらに
図4に関し、ソース33およびドレイン34は、ゲート金属電極38の上に重なる上部表面上において、それらの間にスペースが画定されるように、金属酸化物半導体膜36の上部表面上に部分的に重なる関係で形成される。オプションのパッシベーション層39は、金属酸化膜36の露出部分、ならびにソース33およびドレイン34の周辺部分上に形成される。活性層36内の異なるキャリア密度のために、良好な金属と半導体との接点(実質的に、オーム接点、またはバリア上の非常に高い傾斜)が、ソース33と膜36との間の界面、ならびに、ドレイン34および膜36との間の界面において形成される。
【0024】
TFTのチャネル層の異なる領域内で異なるキャリア密度または濃度を提供する第2の方法は、
図5を用いて説明される。
図5は、本発明に従った、下部ゲート38’および上部ソース33’/ドレイン34’を有するMOTFT30’の単純化された層の図を示す。この点において、下部ゲート、下部ソース/ドレイン・タイプの装置、上部ゲート、上部ソース/ドレイン・タイプの装置、上部ゲート、下部ソース/ドレイン・タイプの装置など含む様々な可能なMOTFT構成のいずれについても、ここに開示される方法の1つまたは全部を応用することができると信じていることが理解されるであろう。TFT30’は、基板32’を含み、それは、プラスチックのような可撓性材料、またはガラスなどのような他の入手可能な材料であってもよい。ゲート金属電極38’は、任意の適切かつ確立された方法によって基板32’内に形成される。薄いゲート誘電体層37’は、ゲート金属電極38’および基板32’の周辺領域の上に重なる関係で形成される。金属酸化物半導体膜36’は、ゲート金属電極38’およびその周辺領域の上に重なる関係で、ゲート誘電体層37’上に形成される。ソース33’およびドレイン34’は、ゲート金属電極38’の上に重なる上部表面において、それらの間にスペースが画定されるように、金属酸化物半導体膜36’の上部表面上に部分的に重なる関係で形成される。金属酸化物半導体膜36’(それはMOTFET30’の活性層である)は、高キャリア密度の金属酸化物であり、良好なオーム接点がソース33’と膜36’との間、および、ドレイン34’と膜36’との間に形成されることを確実にする。オプションのパッシベーション層39’は、金属酸化膜36’の露出部分、ならびに、ソース33’およびドレイン34’の周辺部分上に形成される。
【0025】
次に、このプロセスのための加熱方法において、
図5の全体構造は、酸化環境内で熱に晒される(以下、「アニーリング」と称する)。オプションのパッシベーション層39’が存在しない場合、ソース33’とドレイン34’との間の金属酸化膜36’の露出部分(35’で示される)は、加熱工程において酸化環境に晒され、そしてキャリア密度または濃度は、酸化環境によって低減される。金属酸化物半導体膜36’の残部は、たとえそれが酸化環境内にあったとしても、ソース33’およびドレイン34’によって遮蔽または保護されることにより、キャリア密度の低減が妨げられる。したがって、チャネル領域35’は、ソース金属33’/ドレイン金属34’と自己整合する。したがって、ソース33’およびドレイン34’は、膜36’のキャリア密度または濃度が高いときに適用される。金属と半導体との接点は、良好であり(実質的に、オーム接点またはバリア上の非常に高い傾斜)、キャリア密度または濃度は、後続の加熱によってチャネル35’内で低減される。
【0026】
構造を酸化環境内で加熱する時点において(またはその前に)、オプションのパッシベーション層39’に関するいくつかの実行可能な段階を、本方法に組み入れることができることに注目すべきである。例えば、金属酸化物半導体チャネル材料は、ソース/ドレイン金属のエッチング・プロセス中、絶縁エッチング・ストップ(パッシベーション)層39’によって、ソースとドレインとの間(領域35’)で保護される。ソース/ドレイン金属の堆積およびパターニングの後、ソース金属33’/ドレイン金属34’は、金属酸化物半導体膜36’と接触する。エッチング・ストップ層39’は、パッシベーション材料として残すこともできるし、あるいは削除することもできる。層39’が除去される場合、ゲート38の上部のチャネル領域(35’で示される)は加熱され、そのキャリア密度は、酸化環境によって低減される。
【0027】
わずかに異なるプロセスではあるが、パッシベーション層として層39’を保持することが望ましい場合、絶縁材料が以下の特性をもって選択される。ソース電極33’およびドレイン電極34’を、必要に応じてウェットエッチングまたはドライエッチングを用いてパターニングするとき、層39’はエッチング・ストッパおよびチャネル・プロテクション機能を提供する。層39’は、大きいバルク抵抗および大きい表面抵抗を有する絶縁特性を有し、逆バイアス下におけるMOTFT30’の動作中に導電パスを生成または許容しない。最後に、層39’の材料は、実際または通常の動作のために用いられる温度(例えば120℃以下)中、O
2,H
2O,H
2,N
2などに対する化学バリアとして機能するが、アニーリング温度またはそれ以上(例えば150℃以上)では、酸素導体として機能する。ソース/ドレイン・パターンを作成する手順の後、ポスト・アニーリング・プロセスによって、ソース・チャネルとドレイン・チャネルとの間にオーム接点が提供されるのみならず、チャネルに酸素原子が提供されることにより、好適なキャリア密度に達することが、上記で記述されたプロセスと共に理解されるべきである。
【0028】
パッシベーション層39’のための、上述された特性を発揮する絶縁材料のいくつかの例は、ガラス遷移温度(Tg)を有する絶縁材料で形成される。そのガラス遷移温度以下では、層は、O
2,H
2O,H
2,N
2などに対する、および、後続のプロセスで使用される化学剤に対する、化学バリアとして機能し、また、その温度以上では、層は、高い粘性を有するが、酸素原子、水素原子、および/または窒素原子に対して十分な移動度を有する、半液体として作用する。そのような材料としてのいくつかの特定の無機物の例には、「液体ガラス」と呼ばれる材料が含まれ、ダウ−コーニング社を含むいくつかの企業によって販売されている(フォト・パターナブル・スピン−オンまたはパターナブル・シリコン、例えばWL5150、WL−3010、デグサなど)。いくつかの特定の有機物の例には、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)、または他のアクリルポリマ、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、エポキシ、ポリ−またはオルガノシランおよびポリ−またはオルガノシロキサン(ポリジメチルシロキサン(PDMS)のような)、あるいは他のタイプの液体ガラス、または当該分野のエキスパートに知られているサーモプラスチックを含む。
図5に示される構造のようないくつかの場合において、パターニングプロセスを単純化するために、フォトパターナブル・フォームの材料を選択することが好ましい。
【0029】
図7の表1は、上記において列挙されたいくつかの材料の化学構造を示す。列挙された材料の多くは、化学基(−O−,−COOH,−C=O,−O−O−,O=C−N−C=O,−C−OH,−C−H等)を含むことに注目すべきである。このような酸素含有基は、酸素水素のためのパス、およびTg以上のアニール温度でチャネル領域への窒素環境を提供するだけでなく、酸素を提供し、金属酸化物半導体チャネル層のアンダーパスを用いて活動的に相互に作用し、界面でトラップを減少させ、アニーリングの効果および効率を改善する。
【0030】
上記の加熱/酸化プロセスは、さらに、層39’内に原子源を埋め込むことによって好適なキャリア密度に達するために、チャネルに酸素原子を提供する段階を含むことができる。例えば、金属酸化物ナノ粒子を有するポリマ・バインダを含む複合材料が、層39’内に含まれてもよい。バインダ材料の例には、上述されたガラス質または熱高分子材料が含まれる。合成ナノ粒子の例には、典型的に3.1eVより大きいエネルギー・ギャップを有する金属酸化物、金属硫化物など(例えば、TiO
2,Ta
2O
5,SrO,SrTiO
3,Al
2O
3,AlNSiO
2など)が含まれる。そのような層もまた、有機金属コンパウンドとして分類された材料のクラスを用いて形成することができるが、それは、有機金属先駆者材料が、有機金属コンパウンド形式または有機/無機ハイブリッド形式のいずれかの中でエンディング層を用いて、パターン化されたエッチ・ストップ層を形成するために使用される。そのような材料の例には、当該分野の専門家に知られている光化学金属有機蒸着(PMOD)材料、および、ゾル・ゲル加工分野の専門家に知られている有機バインダおよび無機コンパウンドナノ粒子を有する複合材料が含まれる。
【0031】
1つの特定の例において、MOTFT30’は、ガラス基板上で製作され、エッチ・ストップ層39’のTgは、約220℃から320℃の範囲である。アニーリング温度は、パッシベーション層39’のTg以上の約30℃から70℃になるように選択される。
【0032】
他の特定の例において、MOTFT30’は、約150℃(PET用)から390℃(ポリイミド用)の範囲のTgを有するプラスチック基板32’上で製作される。エッチ・ストップ(パッシベーション)層39’のTgは、基板32’のTg以下の約30℃から70℃になるように選択され、アニーリング温度は、基板32’のTgと等しいか、またはそれ以下になるように選択される。
【0033】
他の特定の実施例において、エッチ・ストップ(パッシベーション)層39’は、フォト・パターナブル材料で形成され、その結果、チャネル長をミクロン・レベルに画定することが達成可能であり、エッチ・ストップ(パッシベーション)層39’の材料は、プリンティング/ディスペンシング分野の専門家に知られていたいくつかの液体加工方法の1つによって形成される。
【0034】
ある特定のアプリケーションでは、追加のパッシベーション層を、
図5の層39’の上部の上、または、
図4の層39’の上部の上に形成または堆積することができる。良好な化学バリア特性および良好な電気絶縁性を有する材料が使用される。無機物の例には、SiO
2,SiN,Al
2O
3,AlN Ta
2O
5などが含まれる。有機物の例には、層39’に関して上記で列挙したものが含まれる。平坦化またはパッシベーションのために、装置およびディスプレイ産業において使用される商業用フォトレジストは、パターン化を単純にするために望ましい。
【0035】
そのような付加的なパッシベーション層もまた、スタック形式またはブレンド形式のいずれかにおいて、有機物/無機物のハイブリッドで形成することができる。無機材料で作られた層について、層は、スパッタリングまたはCVDのような真空蒸着方法の1つを用いて形成することができる。層もまた、液体の先駆体を使用した多くのコーティング技術の1つを用いて形成される。ブレンド形式で有機物/無機物のハイブリッドを形成する方法は、本発明と同一企業に係る米国特許7,790,237に開示される。
【0036】
上記の各実施例において、処理方法は酸素が豊富な環境を生成するため設計され、それは、酸素バリアとしてソース/ドレイン金属を用いることによって、チャネル領域内でのみキャリア密度を低減させる一方で、接点領域内はキャリア密度が高いまま残し、その結果、良好なオーム接点が生成される。
【0037】
金属酸化物半導体材料と金属との間に良好なオーム接点を作るための2つの方法の第2の方法または手法(すなわち、金属の仕事関数を金属酸化物半導体の仕事関数にほぼ一致させること)を用いることに関してもまた、装置設計においてジレンマがある。仕事関数マッチング法において、1つの問題は、金属酸化物半導体の仕事関数より低いか、またはほぼ一致する低い仕事関数の金属は、非常に不安定であり、かつ、金属酸化物から比較的速く酸素を吸収するということである。したがって、接点金属は、界面において、不良導体または絶縁金属酸化物になり、接点抵抗を増加させる。高い仕事関数の安定した金属は、一般に、金属酸化物半導体の仕事関数よりもはるかに高い仕事関数を有し、その結果、接合は、低抵抗のオーム接点の代わりにショットキー・バリア接合になる。
【0038】
このジレンマを解決するための好適な方法は、本発明に従ったオーム金属接点50を図示した、部分的なMOTFT40の単純化された層の図(
図6)に示されている。MOTFT40は基板42を含み、その中に形成されたゲート金属電極48を有する。ゲート誘電体の薄い層47は、ゲート金属電極48の上に重なるように、そして、少なくとも部分的に基板42の上部表面の上に重なるように形成される。金属酸化物半導体材料の層46は、一般に
図5に関して上述されたように、層47の表面上に形成またはパターン化される。一般に50で示される金属と金属酸化物半導体とのオーム接点は、金属酸化物半導体層46の上部表面上に形成される。ここでは、典型的な下部ゲートおよび上部ソース/ドレイン・タイプのMOTFTが図示されているが、例えば、下部ゲート、下部ソース/ドレイン・タイプの装置、上部ゲート、上部ソース/ドレイン・タイプの装置、上部ゲート、下部ソース/ドレイン・タイプの装置などを含む、様々な実行可能なMOTFT構成のいずれにも、開示された方法を適用することができると信じていることが理解されるであろう。
【0039】
この開示に記述された典型的な金属酸化物半導体材料には、一般に、酸化亜鉛,酸化インジウム,酸化スズ,酸化ガリウム,酸化カドミウム,およびそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むことが理解されるであろう。金属酸化物半導体層46の典型的な仕事関数は、約4eVである。4eV未満の仕事関数を有する金属は、それらの金属酸化物を形成する傾向が強く、それらはかなりの不良導体である。低い仕事関数の金属の典型例には、Al,Mg,Ti,Ta,およびそれらの組合せなどが含まれる。一般に、それらの酸化物は、仕事関数がより低いほど、伝導性がより小さくなる傾向があり、例えば、Mgは3.5eVの仕事関数を有し、Alは3.7eVの仕事関数を有しており、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムは、両方とも比較的良好な絶縁体である。
【0040】
金属と金属酸化物半導体とのオーム接点50は、上述されたような問題を本質的に解決する複合金属接点である。低抵抗のオーム接点を形成するために、低い仕事関数の金属の第1の非常に薄い層52は、金属酸化物半導体層46の表面上に堆積される。層52は5nm未満の厚さであり、好ましくは1nm未満の厚さである。バリア層54は、10nmを超える厚さ、好ましくは50nmを超える厚さで層52上に堆積される。使用することができるバリア金属の例には、Mo,W,Au,Pt,Ag、およびそれらの組合せなどが含まれる。一般に、バリア金属は、高い仕事関数(例えば4.5eVおよびそれ以上)を有し、したがって、比較的安定した金属である。必要であれば、アルミニウムおよび銅のような、非常に伝導性のある接点金属から成るオプションのバルク層56が、バリア層54の上部に追加されてもよい。
【0041】
このように、金属と金属酸化物半導体とのオーム接点50の動作において、最初に、低い仕事関数の金属の非常に薄い層52が、金属酸化物半導体層46とのオーム接点を形成する。低い仕事関数の金属は不安定であるので、金属酸化物半導体層46からの酸素は、比較的急速にそれを酸化する。高い仕事関数のバリア金属層は、金属酸化物半導体層46から接点金属層56への酸素のさらなる移動をブロックするために含まれる。しかしながら、層52は非常に薄いので、その酸化により蓄積された金属酸化物の量は、接点50の伝導にはほとんど、または全く影響しない。さらに、本方法は、高温で金属酸化物半導体層46を酸化環境へ露出する間に、低い仕事関数の金属層52内への酸素の移動による酸素の損失によって、オーム接点をさらに改善する(すなわち、チャネル層の異なる領域内で異なるキャリア密度あるいは濃度を形成する)ために、接点領域50の下の金属酸化物半導体層46が非常に伝導性を有するようになる程度まで結合させる。
【0042】
少し異なる実施例では、別個の層52を形成するのではなく、非常に少量の低い仕事関数の金属をバリア層54の金属と合金にするか、またはその中に混合させる。そのような合金または混合物は、なおも低い仕事関数、および金属酸化物半導体層との良好なオーム接点を提供する。そのような低い仕事関数の合金(Mg−Ag)を、有機発光ダイオード内の陰極に使用する一例は、コダック社(C. W. Tang 外、Applied Phys. Letters 51, 913 (1987) )により実証され、有機物半導体Alq層内への合金陰極からの有効な電子注入が達成された。
【0043】
本実施例において、金属酸化物半導体材料の接点表面に隣接する合金内の低い仕事関数の金属は、金属酸化物半導体材料から酸素を吸収(酸化)し、したがって、キャリア密度または濃度を上昇させて、金属と半導体との接点を改善する。小量の低い仕事関数の金属しか存在しないので、酸化は接点にほとんど影響を与えない。また、酸化していない低い仕事関数の材料は、バリア金属によって保護されるので、それも接点にほとんど影響を与えない。
【0044】
本発明は、新規かつ改善された、MOTFT内の低抵抗のオーム性のソース/ドレイン金属接点を提供する。MOTFT内の改善されたソース/ドレイン金属接点は、今まで容易に達成できなかった低抵抗オーム接点を形成する。さらに、MOTFT内の改善されたソース/ドレイン金属接点は、製造が比較的簡単であり、かつ安価である。酸素が豊富な環境内でチャネル領域を処理するプロセス(チャネル領域内でのみキャリア密度を低減させ、かつ、接点領域内ではキャリア密度を高いまま残す(すなわち、チャネル層の異なる領域内に、異なるキャリア密度または濃度を提供する)プロセス)、または、複合的な金属接点を形成するプロセスのいずれかを別々に用いることができること、あるいは、必要であればそれらを組合わせて用いることができることが容易に理解されるであろう。ここに開示されたMOTFTのための構造、およびこれに対応する組立方法は、実際、異なるキャリア密度を有する金属酸化物半導体層内にゾーンを形成するための有効な方法を提供する。
【0045】
例示目的のためにここで選択された実施例に対して、当業者であれば、様々な変更および修正を容易に想起することができるであろう。例えば、下部ソース/ドレインを有するMOTFTにおいて、望ましいキャリア密度ゾーンを有する金属酸化物半導体の活性層は、ここに開示された手順と同様のアニーリング手順を用いて、チャネル領域のために最適化されたキャリア密度(例えば、<10
17キャリア cm
−3)を有する活性層から始めることによって形成することができる。ここに開示された手順と同様のアニーリング手順は、例えば、上部からの放射光源を用いて、無酸素(例えば、真空、あるいは、N
2またはArガス)の環境下において、ソースおよびドレインの導体パッドの上部に酸素空きを増加させて、キャリア密度を10
17cm
−3以上に増加させることができる。そのような修正およびバリエーションは、本発明の精神から逸脱しない限り、本発明の範囲内に包含されるとみなされ、以下の請求項の公平な解釈によってのみ評価される。
【0046】
本発明は、当業者が理解および実施することができるような明瞭かつ簡潔な用語によって、完全に記述された。