(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012731
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ブレーキ操作ユニット
(51)【国際特許分類】
B60T 8/34 20060101AFI20161011BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
B60T8/34
B60T8/17 B
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-525399(P2014-525399)
(86)(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公表番号】特表2014-525875(P2014-525875A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】EP2012065404
(87)【国際公開番号】WO2013023953
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年8月14日
(31)【優先権主張番号】102011080957.0
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011081656.9
(32)【優先日】2011年8月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012213216.3
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ファイゲル・ハンス−イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ターランデク・クリスティヤン
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−282459(JP,A)
【文献】
特開2008−184057(JP,A)
【文献】
特開2007−269297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
B60T 13/00 −13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキバイワイヤタイプの自動車ブレーキ装置のためのブレーキ操作ユニット(1,1’)であって、
ハウジング(10)を有し、
ハウジング(10)内に摺動可能に案内された操作ピストンを有する第一の液圧式シリンダピストン機構を有し、前記操作ピストンは、液圧式の圧力室を境界づけ、この圧力室に自動車の車輪ブレーキが接続可能であり、その際操作ピストンは、操作圧を伝達する圧力プランジャー(2)によって操作可能であり、
電気的に制御可能な圧力提供装置(6)を有し、この圧力提供装置は、第二の液圧式シリンダピストン機構(12)として実施されており、第二の液圧式シリンダピストン機構(12)のピストンが、電動モーター(7)によって回転変換ギア(9)を使って摺動可能であり、および、
車輪ブレーキを、第一のシリンダピストン機構(3)とまたは圧力提供装置(6)と接続または切り離すため、および車輪個々のブレーキ圧を調節するための複数のバルブ(41,42,43)を有するバルブ機構(4)を有するブレーキ操作ユニットにおいて、バルブ機構(4)および圧力提供装置(6)が、少なくとも部分的にハウジング(10)の内部に配置されており、その際、圧力提供装置(6)の電動モーター(7)の軸が、第一のシリンダピストン機構(3)の長手方向軸(30)に対して基本的に直角に配置されていること、
及びバルブ機構(4)が、電動モーター(7)と反対の、ハウジング(10)の第二の側面(21)に配置されていることを特徴とするブレーキ操作ユニット。
【請求項2】
圧力提供装置(6)の第二のシリンダピストン機構(12)の長手方向軸(31)が、第一のシリンダピストン機構(3)の長手方向軸(30)に対して基本的に直角に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項3】
電動モーター(7)と第二のシリンダーストン機構の軸(33,31)が一列に並んで配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項4】
ブレーキペダル感覚シミュレータ(16)が、少なくとも部分的にハウジング(10)内に配置されており、その際、ブレーキペダル感覚シミュレータ(16)の長手方向軸(32)が、第二のシリンダピストン機構(12)の長手方向軸(31)に対して基本的に直角に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項5】
ブレーキペダル感覚シミュレータ(16)が、液圧式に形成されており、及び少なくとも一つのシミュレータピストンを有する第三のシリンダピストン機構がを含むことを特徴とする請求項4に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項6】
ブレーキペダル感覚シミュレータ(16)の長手方向軸(32)が、更に、第一のシリンダピストン機構(3)の長手方向軸(30)に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項7】
ブレーキペダル感覚シミュレータ(16)が、第一のシリンダピストン機構(3)に対して、平行に、半径方向に間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項6に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項8】
ブレーキ操作ユニットの電動モーター(7)および液圧式接続部(14)、特に車輪ブレーキの接続の為の接続部が、ハウジング(10)の同一の側面(20)に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項9】
ブレーキペダル操作ストローク検出装置(15)が、少なくとも部分的にハウジング(10)内に統合されており、その際ブレーキペダル操作スロトーク検出装置(15)が、特にストロークセンサーによって形成され、このストロークセンサーが、操作ピストンのストロークを検出することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項10】
第一のシリンダピストン機構の圧力を検出する圧力センサーと、圧力提供装置(6)の圧力を検出する圧力センサーが、少なくとも部分的にハウジング(10)内に統合されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項11】
電動モーター(7)が、ハウジング(10)の第一の側面(20)に固定、特に直接固定されており、その際、電動モーター(7)の軸が、第一の側面(20)に対して基本的に直角に配置され、およびその際、第一の側面の特に大きさが、電動モーター(7)がハウジング(20)に密着可能であるよう実施されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項12】
ハウジング(10)の第四の側面(24)に、周囲圧に置かれた圧力媒体備蓄容器(8)が直接配置されるか、又はハウジング(10)の第四の側面(24)に、周囲圧下に置かれた圧力媒体備蓄容器(8)に対する液圧式の接続部が配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項13】
ハウジング(10)の第四の側面(24)が、電動モーター(7)が固定されている側面(20)に対して直角であり、及び圧力プランジャー側の側面(22)に対して直角であることを特徴とする請求項12に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項14】
電動モーター(7)と反対の、ハウジング(10)の第二の側面(21)に、制御装置ハウジング(11)を有する電子制御・調整ユニット(5)が配置されており、その際、制御装置ハウジング(11)が、少なくとも一方向に第二の側面(21)を越えて延在しており、およびその際、特に制御装置ハウジング(11)が、バルブ機構(4)、及び/又は、ブレーキペダル操作ストローク検出装置(15)、及び/又は、圧力センサーの少なくとも一部をカバーすることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項15】
制御装置ハウジング(11)に、少なくとも一つの電気的な接続要素(17,18)が配置されており、その際、電気的な接続要素(17,18)が、圧力プランジャー(2)と反対の、ハウジング(10)の第三の側面(23)に隣接して、特に電動モーター(7)の軸に対して平行に延在していることを特徴とする請求項14に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項16】
制御装置ハウジング(11)に電気的な接続要素(18’)が、特に電子制御・調整ユニット(5)の電気的エネルギー供給の為に、配置され、この電気的な接続要素が、ハウジング(10)を通って、又はハウジング(10)と圧力媒体備蓄容器(8)の間に、又は圧力媒体備蓄容器(8)を通って延在しており、その際、特に電気的な接続要素(18’)が、電動モーター(7)の軸に対して平行に向けられていることを特徴とする請求項14または15に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項17】
圧力提供装置(6)の第二の液圧式シリンダピストン機構(12)が、少なくとも部分的にハウジング(10)から突出しており、その際、特に第二の液圧式シリンダピストン機構(12)が制御装置ハウジング(11)によりカバーされるか、または制御装置ハウジング(11)を通って延在していることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項18】
ハウジング(10)が、その圧力プランジャー側の側面(22)に、固定要素、特に固定プレートを有し、これによってハウジング(10)が、自動車のダッシュボード隔壁に機械的に固定可能であることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット。
【請求項19】
自動車のブレーキ装置であって、運転者によっても、運転者によらずともブレーキバイワイヤ運転モードで駆動可能なブレーキ装置であり、好ましくはブレーキバイワイヤ運転モードで運転され、および少なくとも、運転者によってのみ運転が可能であるフォールバック運転モードで運転されることが可能であり、請求項1から18のいずれか一項に記載のブレーキ操作ユニット(1,1’)を有し、およびブレーキ操作ユニットを操作するためのブレーキペダルを有することを特徴とするブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴に係るブレーキ操作ユニット、およびそのようなブレーキ操作ユニットを有するブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、自動車のブレーキ装置が後置である。このブレーキ装置は、マスターブレーキシリンダとペダル切り離しユニットの操作の為のブレーキペダルを有し、液圧式のシリンダピストン機構として形成され、ピストンが伝導モーターにより回転変換ギアを仲介して操作可能である液圧式の圧力提供装置を有し、および車輪ごとのブレーキ圧調節の為に車輪ブレーキ毎にインレットバルブとアウトレットバルブを有する圧力モジュレーションユニットを有する。その際、ブレーキ装置はモジュール形式に構成され、つまり第一のモジュール内にマスターブレーキシリンダが配置され、第二のモジュール内に圧力提供装置が配置され、および第三のモジュール内にブレーキ圧モジュレーションの為のバルブと、車輪ブレーキをマスターブレーキシリンダまたは圧力提供装置に接続しまたは切り離すためのバルブが配置されている。その際、すべてのモジュールは、独自のユニットとして実施されている。ブレーキ装置内には、電動モーター、圧力提供装置の長手方向軸、およびマスターブレーキシリンダの長手方向軸が平行に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願10 2010 040 097 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、自動車のブレーキバイワイヤブレーキ装置のためのコンパクトなブレーキ操作ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、発明にしたがい請求項1に記載のブレーキ操作ユニットによって解決される。
【0006】
本発明は、車両運転者によって操作可能な第一のシリンダピストン機構、圧力提供装置およびバルブ機構を、同一のハウジング内に配置し、その際、圧力提供装置の電動モーターの軸が、第一のシリンダピストン機構の長手方向軸に対して基本的に垂直に配置されるという思想に基づいている。
【0007】
本発明のメリットは、ブレーキ操作およびブレーキ圧モジュレーションの一つのモジュール内へのコンパクトな統合にある。これによって、重力の削減、容易な製造性および電気的および液圧式の接続に対する良好な接続可能性が可能となる。さらに当該直角の配置によってブレーキ操作ユニットの小さな全長が達成され、これは事故状況における良好な特性に対しメリットがあるので、車両運転者の負傷のリスクは減少する。同様に、コンパクトで統合された配置は、様々な車両のパッケージングにおけるブレーキ操作ユニットのより改善された適合可能性を可能とする。
【0008】
好ましくは、圧力提供装置の第二のシリンダピストン機構の長手方向軸もまた、第一のシリンダピストン機構の長手方向軸に対して基本的に直角である。これによって、ハウジングの進行方向(第一のシリンダピストン機構の長手方向軸の方向)における寸法が、第一のシリンダピストン機構の最短長さによって決定され、およびこれを基本的に超えない。特に好ましくは、電動モーターと第二のシリンダピストン機構の軸が一列に並んで配置されている。そうすると、別のギア、例えば回転・回転ギアは、圧力提供装置の回転変換ギアの他に必要ない。
【0009】
本発明の改良形に従い、ブレーキ操作ユニットは、シミュレーション装置を有している。このシミュレーション装置は、「ブレーキバイワイヤ」運転モードで車両運転者に快適なブレーキペダル感覚を提供する。その際、このブレーキペダル感覚シミュレータは少なくとも部分的にハウジング内に配置されている。ブレーキペダル感覚シミュレータの長手方向軸は、第二のシリンダピストン機構の長手方向軸に対して基本的に直角に配置されており、コンパクトな形態が得られる。特に好ましくは、ブレーキペダル感覚シミュレータは液圧式に実施されており、および少なくとも一つのシミュレータピストンを有する第三のシリンダピストン機構を有する。有利には、ブレーキペダル感覚シミュレータの作用は、シミュレータリリースバルブによってオンオフ可能である。
【0010】
ブレーキ操作ユニットの液圧式の接続部は、好ましくはブレーキ操作ユニットのハウジングの同一の側面に配置され、この平面に電動モーターが配置される。液圧式の接続部および電動モーターを第一のシリンダピストン機構の長手方向軸に対して垂直に配置すること、組み込まれるブレーキユニットに対する進行方向のスペース要求は少なくなる。
【0011】
本発明に係るブレーキ操作ユニットの好ましい実施形にしたがい、これは、ブレーキペダル操作ストローク検出装置を有する。このブレーキペダル操作ストローク検出装置は、同様に少なくとも部分的にハウジング内に統合されている。特に好ましくは、ブレーキペダル操作ストローク検出装置は、ストロークセンサーによって形成されており、操作ピストンのストロークを検出する。
【0012】
好ましくは、ブレーキ操作ユニットは、第一のシリンダピストン機構の圧力を検出する圧力センサーと、圧力提供装置の圧力を検出する別の圧力センサーを有しており、その際、これら圧力センサーは、少なくとも部分的にハウジング内に統合されている。
【0013】
電動モーターは、好ましくはハウジングの第一の側面に固定されており、その際、電動モーターの軸は第一の側面に対して基本的に垂直に配置されている。第一の側面は、その結果、第一のシリンダピストン機構の長手方向軸に対して略平行に向けられている。第一の側面の大きさは、特に好ましくは、電動モーターまたはその固定側が、ハウジングの第一の側面に完全に密着されることが可能であるような大きさで実施される。ブレーキ操作ユニットの液圧式の接続部は、ブレーキ操作ユニットの必要とされるスペース要求を最少化するために、好ましくは、ブレーキ操作ユニットのハウジングの、電動モーターと同じ側面に配置されているので、液圧式の接続部は、例えば車輪ブレーキの接続の為に、有利には第一の側面に配置される。
【0014】
本発明に係るブレーキ操作ユニットの好ましい実施形に従い、バルブ機構は電動モーターと反対の、ハウジングの第二の側面に配置されている。
【0015】
好ましくは、ブレーキペダル操作ストローク検出装置及び/又は圧力センサーも第二の側面に配置されている。
【0016】
有利には、電子制御・調整ユニットが制御装置ハウジングを有しており、この制御・調整ユニットは、バルブ機構及び/又はブレーキペダル操作ストローク検出装置及び/又は圧力センサーと電子制御・調整ユニットの間の簡単な電気的または磁気的接続を可能とするために、電動モーターと反対側の第二の側面に配置されている。好ましくは制御装置ハウジングを有する電子制御・調整ユニットが設けられており、これが電動モーターと反対の第二の側面に配置されており、バルブ機構及び/又はブレーキペダル操作ストローク検出装置及び/又は圧力センサーと電子制御・調整ユニットの間の、簡単な電気的または磁気的な接続を可能とする。制御装置ハウジングは、好ましくは、少なくとも一つの方向へハウジングの第二の側面を越えて外へと延在しており、電気的な接続要素の取付けを可能とする。
【0017】
電子制御・調整ユニットは、好ましくは圧力提供措置とバルブ機構の駆動に使用され、よって電子制御・調整ユニットは特に好ましくは、圧力センサーとブレーキペダル操作ストローク検出装置の出力信号を供給される。
【0018】
圧力提供装置、特に電動モーターと電子制御・調整ユニットの間の電気的な接続は、好ましくはハウジングを通って推移している。
【0019】
本発明に係るブレーキ操作ユニットの好ましい実施形に従い、制御装置ハウジングには少なくとも一つの電気的な接続要素が配置され、有利には溶射されており、これはハウジングの、圧力プランジャーと反対の第三の側面に隣接して延在している。接続要素のこの配置は、スペースを節約し、および電気的接続を、例えばプラグ式の接続によって、第三の側面に対して平行に、つまりハウジングの前方の進行方向に可能とする。特に有利には、電気的な接続要素は、電動モーターの軸に対して平行に延在している、というのはこの方向には、電動モーターによりブレーキ操作ユニットの十分なアクセス性が与えられるからである。
【0020】
ハウジングの第四の側面には、周囲圧下に置かれる圧力媒体備蓄容器が直接固定されている。代替として、ハウジングの第四の側面には、周囲圧下に置かれる圧力媒体備蓄容器の為の液圧式の接続部が設けられる。
【0021】
本発明の改良形に従い、制御装置ハウジングには、別の電気的な接続要素が配置され、この接続要素は、特に有利には、電子制御・調整ユニットの電気的なエネルギー供給の為に使用され、その際、この接続要素は、ハウジングと圧力媒体備蓄容器の間に延在している。接続要素は、好ましくは、ハウジングの第四の側面に隣接して延在している。これによって接続要素は、スペース節約的に配置され、そしてハウジングと圧力媒体備蓄容器によって保護される。さらに小さなブレーキ操作ユニットを成し遂げるために、ハウジング内及び/又は圧力媒体備蓄容器内に、接続要素を通過させるための空所が設けられる。特に有利には、電気的な接続要素も同様に、電動モーターの軸に対して平行に延在している。代替として、別の接続要素が、ハウジングを通って、または圧力媒体備蓄容器を通って延在すると有利である。
【0022】
シリンダピストン機構の長手方向軸に対して垂直な方向におけるブレーキ操作ユニットの寸法を可能な限り短く保つために、圧力提供装置の第二のシリンダピストン機構は、有利には少なくとも部分的にハウジングから突き出している。第二のシリンダピストン機構の突き出した部分は、制御装置ハウジングによってカバーされているか、または制御装置ハウジングを通って延在しており、これによって再び必要とされる全構造空間が減少する。
【0023】
自動車へのブレーキ操作ユニットの簡単な設置の為に、ブレーキ操作ユニットのハウジングは、有利にはその圧力プランジャー側の側面に固定要素、好ましくは固定プレートを有しており、これによってハウジングは自動車のダッシュボード隔壁に機械的に固定可能である。
【0024】
本発明は、発明にしたがうブレーキ操作ユニットを有するブレーキ装置にも関する。有利には、ブレーキ装置内のブレーキ操作ユニットは、「ブレーキバイワイヤ」運転モードにおいて、車両運転車によっても、車両運転者に無関係にも駆動されることが可能であり、好ましくは「ブレーキバイワイヤ」運転モードで駆動され、および少なくとも一つのフォールバック運転モードで運転されることが可能である自動車に使用される。フォールバック運転モード中は、運転は車両運転者によってのみ可能とされる。
【0025】
本発明のさらに有利な実施形は、下位の請求項や、後続する図面に基づいての説明から生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、発明に係るブレーキ操作ユニットの第一の実施例を第一の面から示す。
【
図2】
図1の第一の実施例を、第一の面に対して直角な第二の面から示す。
【
図3】発明に係るブレーキ操作ユニットの第二の実施例を第一の面から示す。
【
図4】
図3の第二の実施例を第一の面に対して直角な第二の面から示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および2には、「ブレーキバイワイヤ」式の自動車ブレーキの為の、発明に係るブレーキ操作ユニットの第一の実施例が簡略的に表されている。ブレーキ操作ユニット1は、ブレーキ操作ユニットのハウジング10内に第一のシリンダピストン機構の長手方向軸30に沿って摺動可能に案内された操作ピストン(図示せず)を有する、圧力プランジャー(ペダルバー)2を使って車両運転者によって操作可能な液圧式のシリンダピストン機構3を有しており、この操作ピストンは、液圧式の圧力室を画成しており、この圧力室には、液圧式の接続部によって図示されない自動車ブレーキ装置の車輪ブレーキが接続可能である。シリンダピストン機構3は、例えばタンデムマスターシリンダを意味する。シリンダピストン機構3は、車輪ブレーキがシリンダピストン機構3の圧力室と液圧式に接続されるときに、例えば、ブレーキ装置のフォールバック運転モードにおける運転者による車輪ブレーキの圧力付勢を行う為に使用される。長手方向軸30は、基本的に自動車の進行方向Xに平行に配置されている。
【0028】
少なくとも部分的にハウジング10内には電気的に制御可能な圧力提供装置6が配置され、この圧力提供装置は、第二の液圧式のシリンダピストン機構12として実施されており、そのピストンは、電動モーター7によって回転変換ギア9を使って、第二のシリンダピストン機構12の長手方向軸31に沿って摺動可能である。ブレーキ装置の「ブレーキバイワイヤ」運転モード中では、車輪ブレーキが圧力提供装置6の圧力を使って操作される。このため電動モーター7は、ブレーキペダル操作の指示に従い駆動可能である。電動モーター7と回転変換ギア9から成る電気機械的アクチュエータは、第二のシリンダピストン機構12のピストンの翻訳的動作(並進・変換的動作)を補償する。ギア9は、例に従いボールスクリュー(ボールねじ)またはねじ山付きスピンドル(独語でいうRollengewindetrieb)として形成されている。
【0029】
さらに、少なくとも部分的にハウジング10内には複数のバルブ41,42,43を有するバルブ機構4が配置されており、このバルブ機構によって車輪ごとにブレーキ圧が調節可能であり、および車輪ブレーキが第一のシリンダピストン機構3に、又はから、または、圧力提供装置6に、又はから、接続可能であるか、又は切り離し可能である。
【0030】
第一のシリンダピストン機構3、バルブ機構4および圧力提供装置6は、完全にまたは少なくとも部分的に、唯一の共通なハウジング10内に配置されており、その際、圧力提供装置6の電動モーター7の軸33は、第一のシリンダピストン機構3の長手方向軸30に対して垂直または略垂直に配置されている。
【0031】
電動モーター7は、ハウジング10の側面20に直接、ハウジング10へと固定されている。側面20の最少寸法は、電動モーター7の固定正面が、ハウジング10上で完全に密閉されていることが可能であるよう実施される。
【0032】
第二のシリンダピストン機構12の軸31は、第一のシリンダピストン機構3の長手方向軸30に対して直角または略直角、つまり方向Yに沿って配置されている。例に従い、電動モーター7の軸33と、第2のシリンダピストン機構の軸31は、一列に並んで配置されておいる。
【0033】
ブレーキ操作ユニット1は更に、制御装置ハウジング11と周囲圧下に置かれた圧力媒体備蓄容器(ブレーキフルード容器)8を有する電子制御・調整ユニット5(ECU)を有している。
【0034】
圧力媒体備蓄容器8は、直接ハウジング10に固定されることが可能である。ハウジング10には、圧力媒体備蓄容器8の為の少なくとも一つの接続部が配置されていることが可能である。圧力媒体備蓄容器8または圧力媒体備蓄容器8に対する接続部は、好ましくは、ハウジング10の上方の側面24(側面20,21,22,23のZ方向の上)に配置されている。
【0035】
電子制御・調整ユニット5は、圧力提供装置6とバルブ機構4の駆動のために使用され、そして電動モーター7と反対の、ハウジング10の側面21に配置されている。例えば電動モーターを駆動し、または(センサー)シグナルを伝達するための電動モーター7と制御・調整ユニット5の間の電気的な接続は、電気的な接続の保護の為に好ましくはハウジング10を通って延在している。
【0036】
バルブ機構4は、好ましくは同様に、電動モーター7と反対の、ハウジング10の側面21に配置されているので、バルブ機構4と制御・調整ユニット5の間の簡単な電気的または磁気的接続が可能である。バルブ機構4は、全体的にまたは少なくとも部分的に、制御装置ハウジング11によってカバーされている。
【0037】
ブレーキペダル操作の検出のために、ブレーキ操作ユニット1は、ストロークセンサー機構(ブレーキペダル操作ストローク検出装置)15(例えばストロークセンサーまたは一センサー)を、ブレーキペダルまたは圧力プランジャー2または第一のシリンダピストン機構3の操作の検出の為に有している。ストロークセンサー機構15は、好ましくは完全にまたは部分的にハウジング10内に統合されており、およびハウジング10の側面21に配置されている。よって、ストロークセンサー機構15と制御・調整ユニット5の間の簡単な電気的または磁気的接続が可能となる。ストロークセンサー機構15は、例えば制御装置ハウジング11によりカバーされている。
【0038】
さらにハウジング10内には圧力センサー機構(図示せず)が配置されている。これは、例えば、第一のシリンダピストン機構3の圧力の検出の為の少なくとも一つの圧力センサーと、圧力提供装置6の圧力の検出の為の圧力センサーを有している。オプション的に、ブレーキサーキットまたは車輪ブレーキサーキット内の圧力を検出するための別の圧力センサーが存在する。好ましくは、圧力センサーは、バルブ機構4のバルブ41,42,43の間に平行に配置されている。その上、圧力センサー機構は好ましくは制御装置ハウジング11によりカバーされている。
【0039】
ブレーキ操作ユニット1は、更に、ストロークセンサー機構(例えば図示されていないストロークセンサー、または一センサー、または角度センサー)も、電動モーター7、または第二のシリンダピストン機構12のピストンの状態/位置の検出の為に有している。例えば、電動モーター7のローター状態の検出の為に使用されるローター状態センサーが設けられる。このストロークセンサー機構も、ハウジング10内に完全にまたは部分的に統合され、そしてハウジング10の側面21に配置される。好ましくはストロークセンサー機構は、制御装置ハウジング11にカバーされている。
【0040】
制御・調整ユニット5は、圧力センサー機構、ブレーキペダル操作ストローク検出装置15およびローター状態センサーの出力シグナルを供給される。
【0041】
ハウジング10は、ダッシュボード隔壁との機械的な固定の為に、例に従いハウジング10の、圧力プランジャー側の側面22にアダプタープレート(図示せず)を備えている。ハウジング10の内部で進行方向Xに延在する第一のシリンダピストン機構3は、よって、ブレーキ操作ユニット1の組み込まれた状態で、車両のダッシュボード隔壁に対して直角または略直角に推移する。
【0042】
例に従い、圧力提供装置6のシリンダピストン機構12の一部が、ハウジング10から突出し、および制御装置ハウジング11によってカバーされ、これによって更なる構造空間の減少が達成される。代替として、シリンダピストン機構12は制御装置ハウジング11を通過して延在している。
【0043】
例えば車輪ブレーキに対する接続の為のブレーキ操作ユニット1の液圧式の接続部14は、ハウジングの、電動モーター7もまた配置されている側面20に配置されている。液圧式の接続部14は、よってY方向において、ブレーキ操作ユニットの本質的に大きな構造空間要求へと通じない。
【0044】
電子制御・調整ユニット5は、その制御装置ハウジング11と共に、ハウジング10の側面21に配置されている。その際、制御装置ハウジング11は、例に従いX方向で側面21を越えて外へと延在している。
【0045】
制御・調整ユニット5またはそのハウジング11には、一又は複数の電気的な接続要素17,18が、例えば溶射(独語でいうAnspritzen)によって配置されている。接続要素は、例に従い対応するプラグ要素を収容するための接続ジャック17,18として実施されている。電気的な接続要素17,18は、例に従い、制御装置ハウジング11の、側面21を越えて起立する領域に配置されている。電気的プラグ17は、例えば他の制御装置へのシグナル伝送のためのデータ接続またはバス接続の接続の為、またはCANバスによる接続の為に使用される。接続要素18は、例えば制御・調整ユニット8の電気的な電力供給に適している。
【0046】
接続要素17,18は、例に従い(進行方向Xにおいて)ハウジング10の前方で、相応して突き出している制御装置5のハウジング11内へ側方から差し込まれている。接続要素17,18の差込み方向は、電動モーター軸33に平行な方向(Y方向)に向けられている。接続要素17,18は、ブレーキフルード容器8の下かつ側面23の横に配置されており、そして差込み方向は(
図2で見る者の方へ向かって)側面23に対して平行である。
【0047】
好ましくは、ブレーキ操作モジュール1は、ブレーキペダル感覚シミュレータ16を有し、このブレーキペダル感覚シミュレータは「ブレーキバイワイヤ」運転モードで車両運転者に快適なブレーキペダル感覚を伝える。ブレーキペダル感覚シミュレータ16は、完全にまたは部分的にハウジング10内に延在している。代替として、ブレーキペダル感覚シミュレータは、ハウジング10内に組込み可能な独自のモジュールとして実施されることが可能である。ブレーキペダル感覚シミュレータ16の長手方向軸32は、例に従い、シリンダピストン機構12の第二の長手方向軸31に対して基本的に直角であり、および第一のシリンダピストン機構3の長手方向軸30に対して平行に配置されている。
【0048】
ブレーキペダル感覚シミュレータ16は、好ましくは、シリンダー内を摺動可能に案内された少なくとも一つのシミュレータピストンにより液圧式に実施されている。例えば、ブレーキペダル感覚シミュレータ16は、少なくとも一つのシミュレータピストン、第一のシリンダピストン機構3の圧力室と接続されているまたは接続可能である液圧式のシミュレータチャンバー、および弾性要素(例えばばね)を有している。
【0049】
好ましくは、ブレーキペダル感覚シミュレータ16の効果は、シミュレータリリース弁によりオンオフ可能に実施されている。
【0050】
シリンダピストン機構3、圧力提供措置6、バルブ機構4、制御・調整ユニット5、液圧式の接続部14および電気的な接続要素17,18の例に従う配置によって、ハウジング10の進行方向(方向X)における最大の寸法は、基本的に、シリンダピストン機構3の最短長さにより決定される。
【0051】
図3および4には、発明に係るブレーキ操作ユニットの第二の実施例が簡略的に表されている。第二の実施例は、概ね第一の実施例に一致している。よってブレーキ操作モジュール1’は、圧力プランジャー2によって操作可能な第一のシリンダピストン機構3、例えばタンデムマスターシリンダ、複数のバルブ41,42,43を有するバルブ機構4、第二のシリンダピストン機構12、電動モーター7、および回転変換ギア9を有する電気的に制御可能な圧力提供装置6、電子制御・調整ユニット5、ブレーキペダル感覚シミュレータ16および圧力媒体備蓄容器8を有している。シリンダピストン機構3、バルブ機構4および圧力提供装置6は、完全にまたは部分的に、唯一の共通するハウジング10内に配置されている。圧力提供装置6の電動モーター7の軸33は、第一のシリンダピストン機構3の長手方向軸30に対して基本的に直角に配置されている。
【0052】
第二の実施例の第一のシリンダピストン機構3、バルブ機構4、圧力提供装置6(第二のシリンダピストン機構12および電動モーター7)、電子制御・調整ユニット5、ブレーキペダル感覚シミュレータ16、液圧式の接続部15、ブレーキペダル操作ストローク検出装置15、および圧力媒体備蓄容器8の相対的配置/向きもまた、基本的に第一の実施例に従う配置/向きに一致している。よって電動モーター7は、ハウジング10の側面20に、および制御・調整ユニット5は、反対の側面21に配置されている。
【0053】
第一の実施例と反対に、制御装置ハウジング11は、例に従い、X方向およびZ方向で側面21を越えて延在している。制御・調整ユニット5には、またはそのハウジング11には、電気的接続要素17および18’が配置され、例えば溶射されている。例えば他の制御装置へのシグナル伝送の為のデータ接続またはバス接続を行う為、またはCANバスによる接続を行う為の電気的な接続要素17の配置は、第一の実施例における配置に対応する。制御・調整ユニット5の電気的な電力供給に適している溶射された接続要素18は、例に従い、制御装置ハウジング11の、側面21を越えてZ方向に突出する領域に配置されており、および圧力備蓄容器8とハウジング10の間に(
図4において見る者に向かう方向に、電動モーター軸33に対して平行に)配置されるまたは推移している。接続要素18’の差込み方向は、電動モーター軸33に平行な方向(Y方向)に向けられている。接続要素18’は、よって側面24とブレーキフルード容器8の間に配置されており、および差込み方向は側面24に対して平行である。
【0054】
接続要素18’の敷設の為に、例に従い、ハウジング内に一つの空所が存在し、圧力媒体備蓄容器8内に一つの空所が存在する。
【0055】
制御・調整ユニット5またはそのハウジング11の広がり寸法は、例に従い、ハウジング10の対応する側面21よりも幾分大きく実施されているので、
図4において、ハウジングの後方に配置された制御装置ハウジング11は、ハウジング10の空所の領域における検査において、ハウジング10と圧力媒体備蓄容器8の間並びにハウジング10の前方に見られる。
【0056】
図示されていない実施例に従い、制御・調整ユニット5またはそのハウジング11に溶射された電気的な電力供給の為の接続要素は、電動モーター軸33に対して平行にハウジング10を通ってまたは圧力媒体備蓄容器8を通って推移する、または突出している。プラグ式の接続を実施するために、ハウジング10内または容器8内に空所が設けられている。