(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、本明細書の説明の一部を形成する添付されている図面の組が参照されるが、これらはいくつかの具体的な実施形態の例示により示されている。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0016】
特に断りがないかぎり、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用される構造のサイズ、量、及び物理的特性を表わす数字はすべて、いずれの場合においても「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値パラメーターは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。終点による数の範囲の使用は、その範囲内(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)の全ての数及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0017】
スクロールを製造する方法が提供される。スクロールは、第1の側及び第2の側を有するテープの剥離側に剥落性粒子をバフコーティングすることによって製造される。スクロールは次に、テープの剥離側から分離される。このプロセスは、本明細書内により詳細に記載される。スクロールは、曲率を有する薄く本質的に2次元のシートである。スクロールは、トラフを形成するように湾曲されてもよく、又は実質的に円筒形のらせんを形成することができる。スクロールは、約3mm未満、約1mm未満、約0.1mm未満、又は更により小さい直径を画定し得る曲率を有し得る。スクロールの厚さは、約1.0マイクロメートル未満、約0.1マイクロメートル(100ナノメートル)未満、又は更には約10ナノメートル未満であってもよい。
【0018】
図1a〜1dは、スクロールのいくつかの実施形態の概略図である。
図1a〜1dは、本開示による異なるタイプのスクロールの断面上下図を示す。
図1aは、らせん状の横断面を有するスクロールを示す。
図1bは、一方の端部に平面部及びらせん状の横断面を有するスクロールを示す。
図1cは、重心軸に沿って大きな空隙を取り囲むらせん状の横断面を有するスクロールを示す。
図1Dは、非らせん区分によって接続された2つのらせん区分を含む、提供されるスクロールの一実施形態の断面上下図である。
図1Eは、
図1Aのスクロールの斜視図である。いくつかの実施形態では、スクロールは、平面的らせん状の横断面を有してもよいが、らせん状の横断面を非平面にさせるように互いにはめ込んでもよい。
【0019】
提供される方法は、第1の側及び第2の側を有するテープを提供する工程を含む。テープの第1の側は、その上に配設される接着剤を有し得る。接着剤の目的は、テープを固体表面に固定するための手段を提供することである。テープの第2の側は、その上に配設される剥離剤コーティングを有する。剥離剤コーティングは、テープがそれ自体に粘着するのを防ぎ、剥落性粒子をコーティングに適用及び処理するための表面、並びにコーティングがスクロールを形成するように分離され得る表面も提供する。
【0020】
提供されるスクロールは、テープの剥離側に剥落性粒子をバフコーティングすることによって製造することができる。本開示の目的の場合、用語「剥落性粒子」は、剪断力がかかると、フレーク状、スケール状、シート状、又は層状にくずれる粒子を意味する。典型的な剥落性材料としては、グラファイト、MoS
2(二硫化モリブデン)、WS
2(二硫化タングステン)、粘土(カオリン)、及びh−BN(六方晶窒化ホウ素)が挙げられる。いくつかの実施形態では、剥落性粒子はまた、バフがけ補助として機能を果たし得るいくつかの非剥落性粒子を含むことができる。
【0021】
グラファイトは、炭素の同素形のうちの1つである剥落性材料である。それは、重ねて積層される炭素の六方格子の層状の平坦なプレートからなる。グラファイトは、導電性であり、半金属とみなされる。その構造により、それは、独特な電気、熱、及び音響特性を有し、多くの用途が見出されている。近年、規則的な六方格子を有し、かつ「グラフェン」と称される1層の平坦なプレートの炭素が、非常に優れた電気特性を有することがわかった。
【0022】
グラファイトスクロールを製造する提供される方法は、第1の側及び第2の側を有するテープを提供する工程を含む。テープは、片側に剥離剤コーティングと、反対側に接着剤とを有し得る。いくつかの実施形態では、接着剤は、機械的締結具を含み得る。他の実施形態では、接着剤は、感圧接着剤を含み得る。テープは、片側に剥離剤コーティング、反対側に接着剤を支持し、それらに被着し得るいかなる材料で製造されてもよい。典型的には、テープは、金属箔、ポリマー、多孔性若しくは微多孔膜、織布若しくは不織布ウェブ、布地、紙、エラストマー材料、又は発泡体であってもよい。
【0023】
典型的には、テープとしては、非多孔性の高分子基材、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、セルロース、及びポリ塩化ビニルなどが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、基材は、紙、織布若しくは不織布、又はポリウレタン若しくはポリスチレン発泡体などの発泡体であってもよい。基材は、比較的滑らかな性質であってもよく、あるいは、マクロ又はミクロ形状を備えてもよい。テープは、テープの第1の側に剥離剤コーティングを有し得る。典型的な剥離剤コーティングとしては、ポリウレタン、ポリシロキサン、及びフルオロポリマーが挙げられる。それらは、テープ上にコーティングされ、接着テープの当業者に既知である手段によってテープに被着されてもよい。テープはまた、第2の側に接着剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は、機械的締結具であってもよい。機械的締結具は、後で再開を可能にするように、剥離可能に閉鎖する再閉鎖可能な機械的締結具を含む。既知の再閉鎖可能な機械的締結具は典型的に、金属又は熱可塑性樹脂から製造される締結可能な表面を有する。このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))、ポリアミド、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンとポリプロピレン/ポリエチレンとのコポリマー)、及び可塑化ポリ塩化ビニルが挙げられる。再閉鎖可能な機械的締結具の例としては、VELCROの商品名で販売され、Manchester,NHのVelcro USA,Inc.から入手可能であるものが挙げられる。他の再閉鎖可能な機械的締結具は、SCOTCHMATE及びDUAL LOCKの商品名で販売され、St.Paul,MNのMinnesota Mining & Manufacturing Co.から入手可能である。このような締結具は、衣類及びおむつなどのさまざまな材料を締結するための広範な使用が見出されている。このような締結具のための他の使用としては、航空機及び自動車のダッシュボードでインテリアパネルを取り付けることが挙げられる。再閉鎖可能な機械的締結具はまた、商品名ZIPLOCでRacine,WIのS.C.Johnson Waxによって販売されるプラスチック袋などで食品を封鎖するのに広く使用されている。テープの第1の側は、テープを固体表面まで一時的に保持するように設計される他の材料を有し得ることも企図される。例えば、磁気的又は電気的吸引材料などの材料が、この目的に使用されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、テープの第1の側の接着剤は、感圧接着剤であってもよい。感圧接着剤は、適用されるときに粘着性である限り、いかなるポリマーで製造されてもよい。代表的な感圧接着剤としては、2〜3例を挙げると、アクリル感圧接着剤、シリコーン感圧接着剤、粘着力を高めたゴム感圧接着剤が挙げられる。テープの第1の側の接着剤は、剥落性粒子の適用中に固体表面に固着され、これらの粒子の適用に固い支持を提供することができる。「固着する」ことは、接着剤が、圧力、熱、又はこれらの組み合わせによって固体表面に被着するようになることを意味する。
【0025】
剥落性粒子は、コーティングを形成するようにテープの剥離側にバフコーティングされてもよい。コーティングは、約100ミリメートル未満、約50ミリメートル未満、約10ミリメートル未満、又は更には約1ミリメートル未満の最大平均厚さを有する実質的に均一なコーティングであってもよい。いくつかの実施形態では、グラファイトを剥落性粒子として使用すると、厚さ1マイクロメートル未満である実質的に均一なコーティングを製造することができる。
【0026】
コーティングは、(実質的に溶媒が存在しない)乾燥組成物から製造することができる。炭素コーティングを乾燥組成物として適用するための代表的なプロセスは、例えば、米国特許第6,511,701号及び米国特許出願公開第2010/0055569号(共にDivigalpitiyaら)に見出すことができる。後により詳細に記載されるこのプロセスは、基材に非常に薄いコーティングを提供することができる。
【0027】
乾燥組成物は、剥落性粒子及び追加の成分を含み得る。剥落性粒子が炭素であるとき、それらは、あらゆる形状又は種類の炭素を含み得る。提供される電極に有用な代表的な炭素としては、グラファイト、カーボンブラック、ランプブラック、又はその他の当業者に周知の導電性炭素材料などの、導電性炭素が挙げられる。典型的には、剥落性炭素粒子(すなわち、剪断力がかかるとフレーク状、スケール状、シート状、又は層状にくずれるもの)が使用される。有用な剥落性炭素粒子の例としては、HSAG300(Timcal Graphite and Carbon(Bodio,Switzerland)から入手)がある。他の有用な材料にはSUPER P及びENSACO(Timcal)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、剥落性粒子は、高純度合成高表面積グラファイトを含み得る。
【0028】
この乾燥組成物には結合剤も含まれ得る。結合剤は、組成物の基材に対する接着を向上させる働きをし得る。提供される電極に有用であり得る典型的な結合剤には、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリカルボン酸、及びこれらのリチウム塩が挙げられる。有用であり得る代表的な結合剤には、KYNAR 741(ポリフッ化ビニリデン)(Arkema(Oakville,Canada)から入手)がある。
【0029】
上記の材料の混合物は、望ましい特性のコーティングを形成するために、バフがけを行うこともできる。混合物中の構成成分の比率を変えることによって、表面特性の非常に劇的な変化を達成することができる。例えば、グラファイトとポリ二フッ化ビニリデンとの混合物では、材料の比率を変えることによって、表面抵抗が10
3オーム/平方〜10
11オーム/平方で変化し得る。上記の例に示すように、電気的絶縁性、静電気放散性、又は導電性のコーティングを、混合物の組成を簡単に変えることで、調製することができる。
【0030】
提供される方法はまた、粒子を含む乾燥組成物でこの基材をコーティングすることを含み、基材のコーティングには、0より大きく約30g/cm
2より小さい、表面に対する垂直の圧力で、前記基材に前記粒子の有効量をアプリケータパッドを用いてバフがけすることが含まれ、前記アプリケータパッドは、表面のある点に対して複数の方向で前記表面に対し平行な面で動き、これにより前記粒子のほぼ均一なコーティングが得られ、前記粒子は、0.4〜3.0のモース硬度、及び約100マイクロメートル未満の最大寸法を有する。したがって、提供されるプロセスにおいて、組成物は液体又はペースト形状ではなく、固体の形状で提供される。驚くべきことに、液体又はペースト形態で提供されていない乾燥粒子を使用することは、この均一性を達成するために必須であることが見出された。これは、非均一性が液体又はペースト組成物の液体担体の蒸発によって導入されるからである。
【0031】
モース硬度は、材料の硬度を示す尺度である。本発明の粒子の硬度は、バルクの材料のモース尺度硬度として確立される。モース硬度値は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、及びKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyを含む文献に広く報告されている。0.4〜3.0のモース硬度を有する材料の粒子は、本発明の目的において「バフがけ可能」であると見なされる。
【0032】
提供されるバフコーティング方法において、バフがけパッドは、基材表面に対して平行な基材面内で移動することができる。本発明においてパッドの軌道運動は、基材又はウェブに対して垂直な回転軸で実行され得る。したがって、バフがけ適用中にパッドが複数の方向に移動でき、これには、ウェブがアプリケータ(バフがけ)パッドを通り過ぎて移動する場合のウェブの方向を横断する方向が含まれる。
【0033】
本発明に使用するためのアプリケータパッドは、表面に粒子を適用するための任意の好適な材質であり得る。例えば、アプリケータパッドは、織布若しくは不織布、又はセルロース材料であり得る。別の方法としては、このパッドは、独立気泡フォーム又は連続気泡フォーム材料であり得る。更に別の方法としては、このパッドはブラシ又は剛毛配列であり得る。典型的に、このようなブラシの剛毛は、長さが約0.2〜1.0cmであり、直径が約30〜100マイクロメートルである。剛毛は、好ましくはナイロン又はポリウレタンで製造される。好ましいバフがけアプリケータには、フォームパッド、EZ Paintrパッド(米国特許第3,369,268号に記述)、ラムウールパッド、3M Perfect itパッド、及び同様物が挙げられる。バフがけアプリケータは、基材面に垂直な回転軸で、基材の表面に対して平行な軌道パターンで動く。このバフがけの運動は、単純な軌道運動又はランダムな軌道運動であり得る。使用される典型的な軌道運動は、毎分50〜10,000軌道の範囲である。コーティングパラメーターは、所望の厚さのコーティングを製造する最適な設定を見出すために変えることができる。例えば、バフがけされたコーティングの厚さは、バフがけの時間を変えることによって制御することができる。一般に、コーティングの厚さは、ある程度の急激な初期増加の後、時間経過と共に線形的に増加する。バフがけ操作時間が長いほど、コーティングが厚くなる。また、コーティングの厚さは、バフがけに使用するパッド上の粉末の量を調節することによって制御できる。提示される連続ウェブプロセスは、多くの市場に実質的な有用性を提供する独自の特徴を備えたコーティングを製造する能力を有し得る。このプロセスは、横断方向の「バフがけ」操作でウェブベース基材に粉末材料を適用することを含む。これによって製造されるコーティングは、さまざまな電気的、光学的、及び装飾的特徴を有し得る。驚くべきことに、この単純な、無溶媒の乾燥プロセスによって、高品質の薄いコーティングを一貫して調製することができる。
【0034】
コーティングが、剥落性粒子をバフコーティングすることによりテープの剥離側に形成された後、テープは、固体表面の平面からほぼ0度〜約180度の角度で固体表面から剥がされる。角度は、基材上の平坦なテープ(0°の角度)から、テープが完全にそれ自体に引き戻される180°までを測定する。典型的には、テープが固体表面から剥がされるとき、コーティングは、テープの剥離側から分離し、スクロールを形成するように内側に丸まることが可能である。剥離の角度は、コーティングがテープの剥離側から分離するまで増大することができる。典型的には、角度は、90°超及び更には120°超である。いくつかの実施形態では、角度は、基材から90°〜120°である。
【0035】
本方法は、
図2A及び2Bに示される。
図2Aでは、第1の側及び第2の側を有するテープ201は、その第1の側に配設される接着剤202と、その第2の側に配設される剥離層206とを有する基材204を備える。テープ201は、基材(
図2Aに図示せず)に固着される。剥落性粒子(図示せず)が、剥離層206に適用され、次いでアプリケータハンドル210に取り付けられるアプリケータパッド208を使用してバフコーティングされる。バフコーティングは、剥落性粒子から薄層又はコーティングを形成するようにアプリケータハンドル210を前後に動かすことによって行われる。薄いコーティングを形成するようにテープ201の剥離側206上に剥落性粒子をバフコーティングした後、テープ201は、ある角度(
図2Bにおける基材から約150°であるように示される)で基材212から剥がされる。剥離によって、コーティングがテープ201の剥離側から分離し、スクロール206aを形成するように内側に丸まり、これを収集することができる。
【0036】
図3A及び3Bは、提供される方法によって製造された、提供されるグラファイトスクロールの写真を示す。
図3A及び3Bでは、スクロールは、9mmの線を有するPOST−ITパッドに異なる倍率で示される。写真のスクロールは、810 MAGICテープ(3M Company,St.Paul,MN.から入手可能)の裏側から剥離された。
図2Aでは、スクロールの直径は、約2〜3mmである。
図3Aは、写真の右側に同じスクロールを示す。
図2Aは、より大きな角度でテープを剥がすことによって製造された1mm未満のより小さい直径を有するスクロールを示す。
【0037】
図4は、グラファイトスクロールを製造するための連続プロセスの一実施形態の概略図である。この実施形態では、内側に剥離剤コーティングを有する連続ウェブ又はテープ401は、矢印によって示される方向にアイドラ412A〜Dの周囲の連続ループ(フィルム)で動かされる。アイドラ412Cから412Dまでのその行程中、テープ401は、剥落性粒子(図面に図示せず)が連続ループの内側の一部分に堆積される位置で固体基材404上を通過する。剥落性粒子は次に、1つ以上の実質的に静止したバフがけサンダ(1つが
図4に示され、アプリケータパッド408に取り付けられ、次いでハンドル410に取り付けられるアプリケータパッド408でバフがけされるハンドル又はハウジング410を備える)に回される。連続フィルム401のバフコーティングされた部分が形成される。ここで剥落性粒子のコーティングを含むテープ401がある角度でアイドラ412Dの周囲を通過するとき、スクロール406は、取り外されるか、又は連続フィルムから分離する。それらは、連続フィルム401から落下し、傾斜パン420によって容器430の中に偏向され、この容器は、結果としてスクロールの最終収集点である。
【0038】
スクロールを製造するための提供される方法は、実質的に円筒形であり、約3mm未満又は更には約1mm未満の直径を有するスクロールを製造することができる。提供されるスクロールは、約1マイクロメートル未満の厚さを有し得る。スクロールの長さは、それがテープから分離される前にコーティングをマーキングするか又は凹ませることによって予め決定されてもよい。マーキングするか又は凹ませることは、例えば、工具又はブレードでコーティングに切れ目を入れることによって達成されてもよい。いくつかの実施形態では、スクロールの長さは、約数ミリメートル〜数センチメートルの長さであってもよい。
【0039】
別の態様では、内側に剥離剤コーティングを有する連続フィルムループを含むスクロールを連続的に製造するための装置が提供される。フィルムループ(又はテープ)は上述されている。剥離剤コーティングに剥落性粒子を堆積させるための手段が提供される。この手段は、粉末コーティング、静電コーティング、自動コンベヤで散布すること、又は当業者に周知の他の堆積手段など、ウェブに粒子を堆積させるあらゆる方法を含むことができる。パッドを装着した1つ以上のバフがけサンダは、堆積された剥落性粒子の少なくとも一部分と接触して配置されてもよい。ループは、ループを駆動するための手段によって連続的に駆動されてもよい。この手段は、駆動ローラ、ニップ、空気搬送、又は当業者に既知であるウェブを駆動するあらゆる手段を含むことができる。提供される装置はまた、ライナから剥離されるスクロールを捕捉するための傾斜パンを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、グラファイトスクロールは、それらの高熱伝導性により有用である。それらは、かかる特性を利用する用途で使用されてもよい。
【0041】
スクロールを製造する方法、スクロールを製造するための装置、及び本明細書の説明によるグラファイトスクロールは、多数の実施形態によって表されてもよい。
【0042】
第1の実施形態では、スクロールを製造する方法は、
第1の側及び第2の側を有するテープを提供する工程であって、テープの第1の側がその上に配設された接着剤を有し、テープの第2の側がその上に配設された剥離剤コーティングを有する、工程と、
接着剤を固体表面に固着させる工程と、
テープの剥離側に剥落性粒子をバフコーティングして、コーティングを形成する工程と、
ある角度で固体表面からテープを剥がす工程と、を含み、
コーティングは、テープの剥離側から分離し、スクロールを形成するように内側に丸まる。
【0043】
第2の実施形態は、スクロールがグラファイトを含む、第1の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0044】
第3の実施形態は、接着剤が機械的締結具を含む、第1の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0045】
第4の実施形態は、テープが、ポリエステル、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、セルロース、及びポリ塩化ビニルから選択される基材を含む、第2の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0046】
第5の実施形態は、テープが3Mの810 Magic Tapeを含む、第1の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0047】
第6の実施形態は、固体表面が、ガラス、金属、ポリマー、セラミック、又はこれらの組み合わせを含む、第3の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0048】
第7の実施形態は、剥落性粒子が高純度合成高表面積グラファイトを含む、第1の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0049】
第8の実施形態は、バフコーティングする工程が、少なくとも2分間行われる、第1の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0050】
第9の実施形態は、テープが、固体表面から約0°〜約180°の角度で剥がされる、第1の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0051】
第10の実施形態は、テープが、固体表面から約90°〜約150°の角度で剥がされる、第9の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0052】
第11の実施形態は、スクロールが、実質的に円筒形であり、約3mm未満の直径を有する、第2の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0053】
第12の実施形態は、スクロールが、約1mm未満の直径を有する、第11の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0054】
第13の実施形態は、スクロールが、約1マイクロメートル未満の厚さを有する、第11の実施形態に記載のスクロールを製造する方法である。
【0055】
第14の実施形態は、第1〜13の実施形態のいずれか1つに記載の方法から製造される、グラファイトスクロールである。
【0056】
第15の実施形態は、約3mm未満の直径及び約1マイクロメートル未満の厚さを有する、グラファイトスクロールである。
【0057】
第16の実施形態は、スクロールを連続的に製造する方法であって、
内側に剥離剤コーティングを有する連続フィルムを提供する工程と、
フィルム連続フィルムをループの周囲で移動させる工程と、
連続フィルムの内側の一部分の上に剥落性粒子を堆積させる工程と、
剥落性粒子を1つ以上の実質的に静止したバフがけサンダの下を通して、連続フィルムのバフコーティングされた部分を形成する工程と、
小半径を有するアイドラの周囲で連続フィルムのバフコーティングされた部分を通過させることによって連続フィルムからスクロールを取り外す工程と、を含む、スクロールを連続的に製造する方法である。
【0058】
第17の実施形態は、剥落性粒子がグラファイトを含む、第16の実施形態に記載のスクロールを連続的に製造する方法である。
【0059】
第18の実施形態は、スクロールを連続的に製造するための装置であって、
内側に剥離剤コーティングを有する連続フィルムループと、
剥離剤コーティング上に剥落性粒子を堆積させるための手段と、
パッドを装着した1つ以上のバフがけサンダと、
連続フィルムループを駆動するための手段と、
剥離ライナから剥離されたスクロールを捕捉するための傾斜パンと、を備える、スクロールを連続的に製造するための装置である。
【0060】
第19の実施形態は、剥落性粒子がグラファイトを含む、第18の実施形態に記載のスクロールを連続的に製造するための装置である。
【0061】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
3Mの810 Magic Tapeのストリップをガラスプレートに固着し、TIMCAL HSAG300のグラファイト剥落性粒子をそれらの上のテープの剥離側にバフコーティングした。約2分間バフがけを行い、テープを
図4に示すように鋭角でガラスから剥離した。剥離中、厚いグラファイトコーティングの断片が剥離面から分離し、
図2bに示すようにスクロールを形成するように内側に丸まっていた。スクロールは、810テープ(3/4インチ又は19mm)の幅によって決定される均一な長さであった。
【0063】
(実施例2)
上記の実施例1では、剥離の角度を約90°〜約30°で変化させ、結果として生じるスクロールの直径を数ミリメートル〜ミリメートル未満で変化させた。
【0064】
(実施例3)
M850グラファイトを用いて実施例1を繰り返し、スクロールが得られることを見出した。
【0065】
(実施例4)
バフがけ材料としてMoS
2を用いて実施例1を繰り返し、MoS
2のスクロールがこの方法で調製され得ることを再び見出した。
【0066】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更が当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではない点、また、こうした実施例及び実施形態はあくまで例示を目的として示されるにすぎないのであって、本発明の範囲は本明細書において以下に記載する「特許請求の範囲」によってのみ限定されるものである点は理解すべきである。本開示に引用される参照文献はすべて、その全体が本明細書に組み込まれる。