(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記製品が吸収することができる量を表す前記第1のパラメータが、前記製品のタイプおよび前記製品の吸収性レベルのうちのいずれかまたは両方に基づいて決定される、請求項2に記載の方法。
前記第1のパラメータが、前記製品が吸収することができる尿および/または便の排泄の数に対応し、前記第2のパラメータが、前記着用者による尿および/または便排泄の数に対応する、請求項2または3に記載の方法。
前記製品に関連する情報が、前記着用者が排泄した量が前記製品が吸収することができる量を超える前に前記製品を交換する助言を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
前記製品に関連する情報が、前記モバイルデバイス(1)上での視覚信号発信、聴覚信号発信および/または振動信号発信によって提供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
前記吸収性製品が、男性用または女性用失禁プロテクタ、生理用ナプキン、テープファスナが付いたおむつ、パンツ型おむつまたはベルト付きおむつなどの吸収性個人衛生物品である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
着用者が着用する吸収性製品の使用を監視するためのコンピュータプログラムであって、運動感知デバイス(2)を備えたモバイルデバイス(1)のプロセッサ(3)によって実行されると、前記モバイルデバイスに請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施させることを特徴とするコンピュータプログラム。
運動感知デバイス(2)と、プロセッサ(3)と、前記プロセッサによる実行が可能なコンピュータプログラムを記憶するための記憶媒体(4)とを備えた、着用者が着用する吸収性製品の使用を監視するためのモバイルデバイス(1)であって、前記記憶媒体が、請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶することを特徴とするモバイルデバイス(1)。
【背景技術】
【0002】
尿および/または便失禁は、失禁パッド、おむつ、等々などの様々なタイプの吸収性製品の使用を多くの人々に余儀なくしている。
【0003】
吸収性製品の監視および時を得た交換は、おむつをつけた乳児の場合のみならず、尿または便機能を制御することができないために、排泄が生じたことを知ることが困難であり、したがって吸収性製品を交換する時期であることを知ることが困難である成人の場合、場合によっては困難であることがしばしばである。この問題は、場合によっては吸収性製品の適切な監視および交換を妨げている身体的または精神的障害を抱えている人々にも関連している。吸収性製品の適切な監視および時を得た交換の問題は、しばしば、製品の着用者が寝ている夜間に最も顕著である。
【0004】
吸収性製品の不適切な監視および交換は、製品から尿および便が漏れる原因になることがある。失禁の問題を抱えている多くの人々にとって、これは深刻な問題であり、羞恥心および屈辱を感じさせることになることがしばしばである。
【0005】
従来技術では、吸収性物品の使用の監視を改善するためのいくつかの解決法が知られている。
【0006】
米国特許出願第2007/0252713号は、患者が着用する吸収性センサパッドを開示している。尿排泄パラメータを測定する1つまたは複数のセンサがパッドの中に一体で形成されている。これらのセンサは、湿気、体積、温度、pHおよび患者が排泄した尿の容量、ならびに患者の姿勢および活動を測定するインピーダンスセンサ、ひずみゲージ、温度センサ、加速度計、pHセンサおよび化学センサを含むことができる。センサによって感知された排泄データは、排泄ログに記憶することができ、この排泄ログは、センサに接続されている外部デバイスに送信することができる。
【0007】
米国特許出願第2009/0062758号は、例えばおむつのための湿気監視システムに関連している。このシステムは、散発的な排泄の回数を計数することができる湿気センサ、および臨界排泄数に達するか、あるいは製品を最後に交換してから一定の時間期間が経過するとトリガされる警報を含む。
【0008】
米国特許出願第2011/0263952号は、吸収性物品の湿気を監視するための失禁管理システムを開示している。このシステムは、吸収性物品に湿気が存在していることを示すセンサ信号を受け取るための入力、およびシステムのユーザと通信するためのユーザインタフェースを備えている。
【0009】
しかしながら、吸収性物品の使用を監視するための知られている解決法には、複雑で、かつ、高価な製品および/または一般の人々には容易に利用することができない監視システムが必要であることがしばしばである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上で言及した問題のうちの1つまたは複数を解決し、あるいは少なくとも軽減することである。
【0011】
詳細には、本発明の目的は、吸収性製品の使用を監視するための、費用有効性が高く、かつ、容易に利用することができる方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、吸収性製品の遅すぎる交換の防止を促進することができる方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、失禁の問題を抱えている人々の世話を容易にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらおよび他の目的は、着用者が着用する失禁パッドまたはおむつなどの吸収性製品の使用を監視するための方法によって達成される。この方法は、加速度計などの運動感知デバイスを備えたモバイルデバイスによって着用者の運動を記録するステップと、記録された運動が着用者による尿および/または便の排泄を示しているかどうかを評価するステップと、前記評価に基づいて、製品に関連する情報を着用者または着用者の介護人に提供するステップとを含む。
【0015】
本発明には、休息時、とりわけ睡眠中における、着用者が着用する吸収性製品の使用を監視することが意図されている。本発明は、失禁の問題を抱えている人々が浅眠フェーズで尿および便を排泄する傾向がより強いことを発見したことを利用している。また、本発明は、睡眠運動の増加は浅眠を示していることを利用している。吸収性製品を着用している人の睡眠運動を記録することにより、製品に関連する、その製品の使用を容易にする情報を引き出し、かつ、その製品の着用者またはその介護人に提供することができる。例えば製品に関連する情報は、モバイルデバイス自体またはそのモバイルデバイスを通信接続することができる通信デバイス、例えば介護人のモバイルデバイスへの表示による吸収性製品の交換の助言を含むことができる。
【0016】
この方法は、加速度計などの運動感知デバイスを備えた携帯電話、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、タブレットコンピュータまたは任意の他のハンドヘルドコンピュータデバイスなどのモバイルデバイスを使用しているため、このようなモバイルデバイスを所有している人は誰でも容易に利用することができる。この方法は、モバイルデバイスがコンピュータプログラムを実行することによって実施され、コンピュータプログラムは、好ましい実施形態では、モバイルデバイスの記憶媒体にダウンロードすることができるApplication software(以下、「App」と略す。)の形態で実現される。この方法は、既存のモバイルデバイスにダウンロードすることができるAppを実行することによって実施することができるようにすることにより、真に誰にでも容易に利用することができるようになる。
【0017】
この方法を実施するためには、吸収性製品を着用している人の運動を記録することができる位置にモバイルデバイスを置かなければならない。モバイルデバイスの運動感知デバイスは、ベッドの中の眠っている人の隣にモバイルデバイスを置くだけで、その眠っている人の運動を記録するだけの十分に敏感な加速度計であることが好ましい。より信頼性の高い結果を得るために、モバイルデバイスは、製品着用者のリストバンドまたはベルトに取り付けることができ、あるいは一対のパジャマのポケットに入れて持ち運ぶことができる。
【0018】
この方法は、吸収性製品の容量に関連する容量情報を得るステップと、記録された運動の評価および前記容量情報の両方に基づいて、製品に関連する情報を提供するステップとをさらに含むことが好ましい。製品に関連する情報を評価および容量情報の両方に基づいて提供することにより、製品に関連する情報は、製品着用者の尿および/または便の排泄と製品の容量との間の関係に基づくことができ、したがって製品に関連する情報は、製品の交換の必要性に関して、正当な理由のある助言を含むことができる。
【0019】
そのために、この方法は、前記容量情報に基づいて、製品が吸収することができる尿および/または便の量を表す第1のパラメータを決定するステップと、着用者の記録された運動に基づいて、着用者が排泄した尿および/または便の量を表す第2のパラメータを決定するステップとを含むことができる。次に、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータの間の比較に基づいて、製品に関連する情報が提供される。この比較が、着用者が排泄した量が製品の容量に近いことを示している場合、製品に関連する情報は、できるだけ早く製品を交換する助言を含むことができる。しかしながら、着用者が排泄した量が製品の容量にほど遠い場合、製品に関連する情報は、今はまだ製品を交換する必要はないことの指示を含むことができる。
【0020】
着用者が排泄した尿および/または便の量を表す適切なパラメータは、尿および/または便排泄の数である。尿および/または便排泄の数は、以下の詳細な説明の中でより詳細に説明するように、記録された運動を評価することによって決定することができる。同様に、吸収性製品の容量を示すパラメータは、製品が吸収および/または保持することができる尿および/または便排泄の最大数であってもよい。これにより、製品着用者が排泄した量と製品の容量を容易に比較することができる。
【0021】
製品の容量を示すパラメータは、吸収性製品のタイプ、吸収性製品の吸収性レベルおよび/または吸収性製品のサイズに基づいて決定することができる。
【0022】
製品に関連する情報は、製品が吸収および/または保持することができる量を排泄量が超える前に、その製品を交換する助言を含むことが好ましい。しかしながら、製品に関連する情報は、製品を交換する必要がないことの指示、尿および/または便の排泄が生じたこと、および製品を交換することが恐らく賢明であることの指示、製品の交換の助言、一定の時間が経過する前の製品の交換の助言、および現在着用している製品より容量が多い、あるいは少ない他の吸収性製品への製品の交換の助言のうちの任意の1つ、または任意の組合せを含むことができる。
【0023】
この方法は、1つまたは複数の予め記録されている運動に基づいて、尿および/または便の将来の排泄を予測するステップと、同じくこの予測に基づいて製品に関連する情報を提供するステップとをさらに含むことができる。
【0024】
製品に関連する情報は、モバイルデバイス上、および/またはそのモバイルデバイスを通信接続することができる通信デバイス、例えば介護人のモバイルデバイス上で視覚的および/または聴覚的に提供することができる。製品に関連する情報の内容、および製品に関連する情報が製品着用者および/または介護人に提供される方法は、いずれも記録された運動の評価に基づいて決定されることが好ましい。
【0025】
上で示したように、この方法は、モバイルデバイスがコンピュータプログラムを実行することによって実施されるコンピュータ実施方法であってもよい。したがって本発明の他の態様によれば、睡眠中、着用者が着用する吸収性製品の使用を監視するためのコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、加速度計などの運動感知デバイスを備えたモバイルデバイスのプロセッサによって実行されると、そのモバイルデバイスがこの方法を実施するように構成される。
【0026】
また、本発明によれば、コンピュータ可読命令を記憶するための不揮発性メモリを備えたコンピュータプログラム製品が提供され、上で言及したコンピュータプログラムは前記不揮発性メモリ上で符号化される。
【0027】
さらに、本発明によれば、睡眠中、着用者が着用する吸収性製品の使用を監視するためのモバイルデバイスが提供される。モバイルデバイスは、加速度計などの運動感知デバイス、プロセッサ、および前記プロセッサによる実行が可能なコンピュータプログラムを記憶するための記憶媒体を備えており、記憶媒体は、上で言及したコンピュータプログラムを記憶する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明による方法を実施するためのモバイルデバイス1を示したものである。
図1に示されているモバイルデバイス1は、しばしばスマートフォンと呼ばれている形態の移動電話であるが、本発明によるモバイルデバイスは、以下で示すように工夫され、かつ、構成されたパーソナルディジタルアシスタント(PDA)またはタブレットコンピュータなどの任意のタイプのハンドヘルドコンピュータデバイスであってもよいことを理解されたい。
【0030】
モバイルデバイス1は、モバイルデバイスの運動を示す運動データを記録するための統合加速度計の形態の運動感知デバイス2を備えている。このような加速度計は当分野ではよく知られており、今日の多くのモバイルデバイスに使用されている。加速度計2は、モバイルデバイスを持ち運んでいる人の運動を記録するように動作することができ、また、好ましいことには、モバイルデバイス1がベッドの中の眠っている人の隣に置かれると、その眠っている人の運動を記録する。本発明の好ましい実施形態における運動感知デバイス2は、モバイルデバイス1の統合加速度計の形態で実現されているが、加速度計の代わりに、あるいは加速度計に加えて、他のタイプの運動感知デバイスを使用することも可能であることを理解されたい。例えば運動感知デバイスは、モバイルデバイス1のジャイロスコープを含むことができる。
【0031】
モバイルデバイス1は、データを処理するためのプロセッサ3をさらに備えている。データは、そのモバイルデバイス1をネットワークを介して通信接続することができる通信デバイスから受け取ることができ、あるいはプロセッサ3によるアクセスが可能な、モバイルデバイスのディジタル記憶媒体4上に記憶することができる。
【0032】
モバイルデバイス1は、さらに、情報をユーザに表示するためのディスプレイ5を備えていることが分かり、また、接触ディスプレイの形態で実現される場合、このディスプレイ5は、ユーザからユーザ入力の形態で情報を受け取ることも可能である。また、モバイルデバイス1は、ユーザ入力を受け取るための他の手段、例えばボタン、マイクロホン、等々などを備えることも可能である。さらに、モバイルデバイス1は、音声信号をユーザに出力するための拡声器6を備えている。
【0033】
モバイルデバイス1は、記憶媒体4に記憶されるコンピュータプログラムを実行することにより、発明による方法のすべての方法ステップを実施するように動作することができ、この方法ステップについては、以下でより詳細に説明する。
【0034】
コンピュータプログラムは、独立型アプリケーションの形態で実現されることが好ましく、それは、プログラムを実行するために外部デバイスからデータを受け取る必要がないことを意味している。しかしながら、コンピュータプログラムは、モバイルデバイスを通信接続することができるアプリケーションサーバに存在しているサーバ側アプリケーションをさらに備えた分配ソフトウェアソリューションにおけるクライアントアプリケーションであってもよい。この場合、以下で説明する方法ステップの一部は、アプリケーションサーバがサーバ側アプリケーションを実行することによって実施することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、モバイルデバイス1上に記憶されるコンピュータプログラムはAppの形態で実現される。モバイルappすなわちモバイルアプリケーションとも呼ばれることがあるAppは、スマートフォンおよびタブレットコンピュータなどのモバイルデバイス上で走るように特に設計されたソフトウェアアプリケーションである。Appは、モバイルデバイス1を接続することができるダウンロードサーバから記憶媒体4にダウンロードすることができる。Appは、Apple iOS、Google AndroidまたはBlackberry OSなどの特定のモバイルオペレーションシステムに適合することができ、また、知られているアプリケーション分配プラットフォームを介して分配させることができる。
【0036】
したがって「App」は、以下、モバイルデバイス1の記憶媒体4上に記憶されるコンピュータプログラムを意味することを理解されたい。Appは、モバイルデバイス1のディスプレイ5に表示される特定のアイコンに触れることによって実行することができる。
【0037】
図2は、以下、吸収性製品を着用している人の運動を示す覚醒信号と呼ばれる信号fを示したものである。吸収性製品は、男女失禁プロテクタ、生理用ナプキン、テープファスナが付いたおむつ、パンツおむつまたはベルト付きおむつなどの任意のタイプの吸収性個人衛生物品であってもよい。吸収性製品を着用している人は、以下、製品着用者と呼ばれる。
【0038】
覚醒信号は、モバイルデバイス1の加速度計2によって獲得される運動データから引き出される。したがって覚醒信号fは、
図3を参照して以下でより詳細に説明するように、加速度計によって獲得される運動データの関数である。覚醒信号fは、製品着用者が尿および/または便を排泄した可能性があるかどうかを決定するためにAppによって使用され、また、この決定に基づいて、吸収性物品の使用に関する助言、例えば製品を新しい製品に交換する助言が製品着用者または製品着用者の介護人に提供される。
【0039】
モバイルデバイス1は、運動データを得るために、加速度計2が眠っている人の運動を記録することができる位置、例えばまくらまたはマットレスの下、あるいはベッドの中の人の隣に置かれる。
【0040】
図2に示されているように、覚醒信号fは午後10時頃に運動が減少しており、人が眠りに入っていることを示している。午前7時と午前8時の間は運動の増加が記録されており、人が目覚めつつあることを示している。
【0041】
夜の間、覚醒信号fは、人が、運動の増加を特徴とする浅眠の複数のフェーズを経験していることを示している。Appは、運動のこの増加を使用して、以下でより詳細に説明するように、製品着用者による尿および/または便の排泄の可能性を決定する。
【0042】
図3ないし
図5は、吸収性製品の使用を監視するための本発明による方法の異なる態様を示す流れ図である。これらの流れ図の説明には、
図1に示されているモバイルデバイス1および
図2に示されている覚醒信号fが同時に参照されている。
図3ないし
図5の流れ図では、ダッシュ線で描かれているボックスは、Appのユーザによって実施される方法ステップを示しており、一方、連続線で描かれているボックスは、モバイルデバイス1がAppを実行することによって実施される方法ステップを示している。
【0043】
この方法は、以下、製品着用者による尿排泄の文脈で記述されているが、この方法は、便排泄の文脈で適用することも等しく可能であることを理解されたい。
【0044】
図3は、本発明による方法の基本原理を示したものである。
【0045】
第1のステップS1で、ユーザ、例えば製品着用者自身またはその介護人によってAppが開かれる。
【0046】
ステップS3で、モバイルデバイス1が、該モバイルデバイスの加速度計2が睡眠中の製品着用者の運動を記録することができる位置に置かれる。
【0047】
ステップS4で、加速度計2によって運動データを収集することにより、モバイルデバイス1が製品着用者の運動を記録する。
【0048】
ステップS5で、収集した運動データを処理することによって運動が評価される。この評価は、記録された運動が製品着用者による尿の排泄を示しているかどうかを決定するために実施される。
【0049】
ステップS6で、ステップS5の評価に基づいて、製品に関連する情報が製品着用者および/またはその介護人に提供される。製品に関連する情報が評価に基づいて提供される、ということは、製品に関連する情報の少なくとも内容が評価に基づいていることを意味している。しかしながら、製品に関連する情報が製品着用者および/または介護人に提供される方法は、ステップS5の評価の結果に同じく基づいていることが好ましい。
【0050】
製品に関連する情報は、
- 製品を交換する必要がないことの指示
- 尿の排泄が生じたこと、および製品を交換することが恐らく賢明であることの指示
- 製品の交換の助言
- 一定の時間が経過する前の製品の交換の助言
- 現在着用している製品より容量が多い、あるいは少ない他の吸収性製品への製品の交換の助言
のうちの任意の1つ、または任意の組合せを含むことができる。
【0051】
製品に関連する情報は、モバイルデバイス1上での視覚信号発信、聴覚信号発信および/または振動信号発信を介して製品着用者に提供されることが好ましい。製品に関連する情報は、それらの代わりに、あるいはそれらに追加して、モバイルデバイス1が通信することができる他のモバイルデバイスまたはコンピュータなどの通信デバイス、例えば製品着用者の介護人の通信デバイス上で提供することも可能である。後者のシナリオでは、製品に関連する情報は、例えばテキストメッセージ(sms)または電子メールの形態で通信デバイスに提供することができる。
【0052】
記録ステップS4は、少なくとも一次元の運動データの収集を含む。記録ステップS4は、複数の次元の運動データの収集を含むことが好ましく、三次元の運動データの収集を含むことがさらに好ましい。そのために、加速度計2は、複数の方向、例えばx、yおよびz方向の特定の力を検出するように構成することができる。
【0053】
評価ステップS5は、次に、
図2の覚醒曲線fを解析することによって実施することができる。覚醒曲線fは、以下のステップを実施することにより、Appによって計算することができる。
- 少なくとも1つの方向で感知される力に対する少なくとも1つの基準値を決定するステップ。この基準値は、運動の記録に先立って、ステップS3で製品着用者の運動を検出するためにモバイルデバイス1が静止状態で置かれると、加速度計2によって感知される力である。
- 複数の測定点に対して、感知された力に基づいて基準値からの標準偏差を決定するステップ。一例示的実施形態では、60個の測値が獲得され、基準値からの60箇所の測定点の標準偏差が決定される。運動データが複数の方向で収集される場合、個々の方向における基準値からの標準偏差が計算され、かつ、異なる方向の標準偏差が合計されて標準偏差合計が獲得される。
- 知られている曲線当てはめ技法を使用して、時間の関数としての標準偏差として(あるいは多次元解析の場合は、標準偏差合計として)覚醒曲線fを計算するステップ。
【0054】
尿の排泄が生じた可能性があるかどうかを決定するための機能は、異なる方法で実施することができる。基本概念は、「睡眠障害」を検出し、かつ、このような睡眠障害が検出されると、尿の排泄が生じたことを仮定することである。Appは、トリガ条件を決定し、かつ、このトリガ条件が満たされると、尿の排泄が生じたことを仮定するように構成されることが好ましい。
【0055】
例えばトリガ条件は、運動の特定の増加、つまり覚醒曲線fの偏差の特定の変化であってもよい。他の実施形態によれば、Appは、標準偏差または標準偏差合計に対する閾値の形態でトリガ条件を決定するように構成される。
図2には、このような閾値がTrで示されている。Appは、記録された運動データの統計的解析および/またはユーザ入力に基づいてトリガ条件を適合するように構成されることが好ましい。
【0056】
ユーザ入力に基づくトリガ条件の適合を許容するために、Appは、Appによって提供される製品に関連する情報、例えば製品を交換する時期であることの助言に対するフィードバックをユーザが与えることができるように構成することができる。ユーザフィードバックを得るプロセスは、使用後にAppを閉じる前に、ユーザに1つまたは複数の質問に回答させるステップを含むことができる。例えばAppは、回答オプション「早すぎる」、「ちょうどよい」および「遅すぎる」と共に、「いつ、製品の交換を助言されましたか?」などの質問を表示し、かつ、このユーザフィードバックを使用してトリガ条件を適合するように構成することができる。
【0057】
したがってAppは、本発明の基本実施形態では、記録された運動が尿の排泄を示していることを決定し、かつ、製品に関連する情報を製品着用者および/または介護人に、製品を交換する必要があるかもしれないことを示す通知の形態で提供するように構成することができることを理解されたい。
【0058】
図4は、本発明による方法のより洗練された実施形態を示したものである。ここでは、この方法には、尿を吸収および/または保持するための製品の容量に関連する容量情報を得る追加ステップS2が含まれていることが分かる。このステップは、ステップS4における製品着用者の運動の記録に先立って実施しなければならない。
【0059】
容量情報は、吸収性製品のタイプ、吸収性製品の吸収性レベルおよび吸収性製品のサイズのうちの任意の1つ、または任意の組合せを含むことができる。容量情報は、ユーザ入力から得ることができ、および/またはモバイルデバイス1が通信することができるアプリケーションサーバ上に存在しているサーバ側アプリケーションから情報を受け取ることができる。
【0060】
また、Appは、モバイルデバイス1のカメラおよび適切な画像認識ソフトウェア、RFID(Radio Frequency Identifier)リーダまたはバーコードスキャナによって得られる情報に基づいて製品を自動的に識別し、かつ、モバイルデバイス1上に局所的に記憶される製品データベース、または上で言及したアプリケーションサーバ上に記憶される製品データベースから容量情報を自動的に得るように構成することも可能である。そのために、吸収性製品は、バーコード(例えばQRコード(登録商標))またはRFIDタグなどの吸収性製品の自動識別を容易にするための手段と共に提供することができる。
【0061】
さらに、
図4に示されている方法は、製品着用者の運動を評価するステップが、製品着用者が排泄した尿の量を予測するステップS5aを含んでいる点で、
図3に示されている方法とは異なっていることが分かる。
【0062】
これは、尿の排泄の数を追跡し続けることによって達成されることが好ましい。例えば
図2を参照すると、Appは、記録期間の間に覚醒曲線fが閾値Trより高くなる回数、つまり製品着用者が経験する浅眠フェーズの数を計数し、かつ、その計数に基づいて、製品着用者が排泄した尿の量を予測するように構成することができる。Appが、製品着用者が排泄した尿の量を予測するように構成される、ということは、排泄された尿の特定の体積または重量を予測するようにAppが構成されることを必ずしも意味しているわけではなく、むしろAppは、排泄された尿の量を表すパラメータ、例えば記録された運動が尿の排泄を示す回数に対応するパラメータなどを決定するように構成される。
【0063】
後続するステップS5bで、製品着用者が排泄した尿の予測量が、ステップS2で獲得された容量情報によって与えられ、あるいはこの容量情報に基づいて計算された製品の容量と比較される。
【0064】
最後のステップS6aで、ステップS5bの比較に基づいて、製品に関連する情報が製品着用者および/または介護人に提供される。
【0065】
製品の容量は、例えばAppによって、吸収性製品が吸収することができる尿の排泄の最大数として決定することができ、吸収性製品のタイプおよび吸収性レベルを示すユーザ入力に基づいて決定することができる。例えばユーザが、吸収性製品が1ないし8のスケールに対してレベルが5の吸収性を有する特定のタイプの失禁パッドであることを示した場合、Appは、この情報を使用して、その製品が3回の尿の排泄を吸収することができることを決定することができる。
【0066】
したがってステップS5bにおける、製品着用者が排泄した尿の予測量と製品の容量の比較には、検出された尿排泄の数と吸収性製品が吸収することができる尿の最大排泄数との比較を含むことができる。次に、比較の結果に基づいてAppによって、製品に関連する情報の情報内容および提供方法を調整することができる。
【0067】
この手順は、本発明による方法のさらに洗練された実施形態を示す
図5に、より詳細に示されている。
【0068】
図5では、容量情報を得るステップ(
図4のステップS2)は、ステップS2aないしS2cを含んでいることが分かる。
【0069】
これらのステップのうちの第1のステップS2aで、Appは、吸収性製品のタイプに関する情報、つまり吸収性製品が失禁パッドであるか、おむつ、等々であるかをAppに知らせる情報を得る。Appは、いくつかの製品タイプのリストをモバイルデバイス1のディスプレイ上に表示し、かつ、製品タイプのリストの中から正しい製品を選択するようにユーザに指示することにより、製品タイプ情報を得るように構成されることが好ましい。
【0070】
第2のステップS2bで、Appは、吸収性製品の吸収性レベルに関する情報を得る。多くのタイプの吸収性製品、例えば失禁パッドは、広範囲にわたる吸収性レベルの範囲内で入手することができ、また、液体を吸収し、かつ、保持するための製品の容量は、異なる吸収性レベルの間で大幅に変化することがある。通常、吸収性レベルは、定義済みスケール上における製品の吸収容量のレベルであり、そのレベルおよびスケールは、吸収性製品のパッケージ上に表示されている。Appは、吸収性製品のパッケージ上に表示されている吸収性レベルのスケールに対応する吸収性レベルのスケールを表示し、かつ、表示されているスケール上で正しい吸収性レベルをユーザに指示させることによって吸収性レベルを得るように構成されることが好ましい。
【0071】
上で言及したように、Appは、製品タイプ情報および吸収性レベル情報を、モバイルデバイス1のカメラ(および画像認識ソフトウェア)、RFIDリーダまたはバーコードスキャナによる吸収性製品の自動識別を介して自動的に得るように構成することも可能である。
【0072】
Appは、製品タイプ情報および吸収性レベル情報に基づいて、吸収性製品が吸収することができる尿の量を表すパラメータを決定するように構成されている。このパラメータは、前記情報内容に基づいてAppによって計算することができ、あるいは製品タイプおよび吸収性レベルを識別する1つまたは複数のパラメータをデータベース要求内の入力パラメータとして使用して、App自体のデータベースまたはAppが通信することができるサーバ側アプリケーションのデータベースから検索することができる。
【0073】
この実施形態では、吸収性製品が吸収することができる尿の量を表すパラメータは、Appによって、製品が吸収することができる尿排泄の数として決定される。このパラメータは、以下、最大排泄パラメータと呼ばれる。
【0074】
ステップS2cで、Appは、先行するステップで得られた容量情報に基づいて警報条件を決定する。その名称が暗に意味しているように、警報条件は、Appが製品着用者または介護人に対する警報をトリガするために満たすべき条件である。警報は、ここでは、製品からの尿の漏れを回避するために吸収性製品を交換すべきであることを製品着用者または介護人に示す目的を果たす一種の製品に関連する情報である。この実施形態では、Appは、最大排泄パラメータに対応する、検出された尿排泄の数として警報条件を設定するように構成されており、吸収性製品が吸収することができる最大排泄数に対応する尿排泄の数をAppが検出すると、警報がトリガされることを意味している。
【0075】
ステップS5cで警報条件が決定されると、睡眠中、製品着用者の運動を記録するためにモバイルデバイス1が所定の位置に置かれ(ステップS3)、記録プロセスが開始される(ステップS4)。
【0076】
Appは、運動の評価(
図3のステップS5)の一環として、製品着用者による尿の排泄を示す運動の数を計数するように構成されている。そのために、Appは、ステップS5a(i)で、記録された運動が尿の排泄を示しているかどうかを決定し、尿の排泄を示している場合、ステップS5a(ii)で、検出された尿排泄の数に1を加える。
【0077】
後続するステップS5b(i)で、Appは、検出された尿排泄の数が警報条件を満たしているかどうか、つまり尿の排泄を示す記録された運動の数が最大排泄パラメータに等しいか、あるいはそれより大きいかどうかをチェックする。
【0078】
検出された尿排泄の数が最大排泄パラメータに等しいか、あるいはそれより大きい場合、Appはステップ6a(i)へ進行し、製品に関連する情報を製品着用者および/または介護人に警報の形態で提供する(
図3のステップ6)。警報は、上で説明したように、モバイルデバイス1上で視覚的および/または聴覚的に提供される信号であっても、および/またはモバイルデバイス1から介護人の通信デバイスへ送られるテキストメッセージ(sms)または電子メールであってもよい。
【0079】
本発明の他の態様によれば、この方法は、将来の尿の排泄、つまり製品着用者の記録された運動の評価を介してAppによって未だ検出されていない排泄の予測を含むことができる。将来の尿の排泄は、製品着用者の1つまたは複数の既に記録されている運動に基づいて予測することができ、また、この予測を使用して吸収性製品の使用に関する助言を提供することができる。
【0080】
例えば
図2の覚醒曲線fを参照すると、Appは、1つまたは複数の予め計算された覚醒曲線に基づいて将来の尿の排泄の時間を予測するように構成することができる。Appは、この予測を様々な方法で使用することができる。例えば次の排泄の予測時間に基づいて、特定の助言が製品着用者および/または介護人に提供される時間を調整することができる。Appは、例えば次の排泄の予測時間が、1つまたは複数の既に記録されている運動に基づいて同じくAppによって予測された製品着用者の予測覚醒時間よりも後である場合、吸収性製品を交換すべきであることを示す警報を送らないように構成することができる。さらに、Appは、この予測を使用して、製品の交換が必要になるであろう将来の時期に関する助言を含んだ製品関連情報を提供することも可能である。
【0081】
図3ないし
図5に示されている方法は、製品着用者による尿排泄の文脈で記述されているが、この方法は、製品着用者による便排泄にも適用することができることを理解されたい。
【0082】
いくつかの実施形態では、Appは、尿排泄と便排泄の区別を一切しないように構成することができる。これらの実施形態では、Appは、製品着用者の記録された運動が上で説明したトリガ条件を満たした場合、何らかのタイプの排泄が生じたことを仮定するように構成することができる。Appは、次に(未定義)排泄の数を計算し、かつ、同じく上で説明した製品の容量と比較することができる。
【0083】
しかしながらいくつかの吸収性製品では、場合によっては製品着用者による尿排泄と便排泄を区別することが望ましい。吸収性製品が尿および便の両方を吸収するための製品、例えばおむつである場合、Appは、それぞれ尿および便を吸収および/または保持するための製品の容量を示す容量情報を得るように構成することができる。Appは、さらに、記録された運動の評価に基づいて、製品着用者が排泄した尿の量、および製品着用者が排泄した便の量の両方を予測するように構成することも可能である。
【0084】
そのようにするために、Appは、製品着用者による尿排泄と便排泄の間の比率を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、Appは、製品タイプ情報に基づいてこのような比率を決定するように構成することができる。例えば製品タイプ情報が、その製品が体重5〜8kgの乳児用であることが意図されたおむつであることを示している場合、Appは、製品着用者による3回の排泄のうちの2回は、このユーザカテゴリでは通常は尿排泄であり、また、3回のうちの1回は通常は便排泄であることを示す比率情報を検索するように構成することができる。この比率情報は、上で説明したように、Appの製品データベースまたはAppが通信することができるサーバ側アプリケーションから検索することができる。Appは、この比率情報を使用して、製品着用者の記録された運動から、それぞれ尿の排泄の数および便の排泄の数を予測することができる。Appは、次に、予測された尿排泄の数と製品が吸収することができる尿排泄の数、予測された便排泄の数と製品が吸収および/または保持することができる便排泄の数、および/または排泄の総数と製品が吸収することができる排泄の総数を比較することができる。次に、これらの比較の一部またはすべてに基づいて、製品に関連する情報を製品着用者または介護人に提供することができる。また、Appは、前記製品データベースから尿排泄の数、便排泄の数および/または製品が吸収することができる排泄の総数を得ることも可能である。この機能により、Appは、製品着用者の運動に基づいてAppによって決定される尿排泄の数、便排泄の数または排泄の総数が個々のトリガ条件を満たすと、製品の交換の助言からなる警報をトリガすることができる。
【0085】
また、Appは、尿排泄および便排泄に対する異なるトリガ条件で使用するように構成することも可能であることが企図されており、Appは、第1のトリガ条件が満たされると、尿の排泄が生じたことを仮定し、また、第2の異なるトリガ条件が満たされると、便の排泄が生じたことを仮定するように構成されることを意味している。上で説明したように、Appは、記録された運動および/またはユーザ入力に基づいて1つまたは複数のトリガ条件に適合するように構成することができ、製品着用者の記録された運動に基づいて尿および/または便の排泄を検出するために使用される1つまたは複数の検出アルゴリズムが適応検出アルゴリズムであることを意味している。したがって尿および/または便の排泄の検出を異なる製品着用者の運動パターンに適合させることができる。
【0086】
さらに、本発明には、とりわけ、睡眠中、着用者が着用した吸収性製品の使用を監視することが意図されているが、本明細書において説明されている本発明の概念は、製品着用者が覚醒している場合にも適用することができることを理解されたい。人が覚醒しているか、あるいは睡眠しているかどうかを言うことは、時によっては困難であり、生理学的に「覚醒」している製品着用者の運動を使用して、本明細書において説明されている方法で吸収性製品の使用に関する情報を引き出すことができる身体活動が減少するいくつかの状態が存在している。したがって
図2の「覚醒曲線f」は、どちらかと言えば、製品着用者が多かれ少なかれ覚醒中であっても、尿および/または便の排泄に向かう製品着用者の傾向に関する情報を引き出すために使用することができる「明確な覚醒曲線f」と見なすべきであることを理解されたい。したがって尿および/または便の排泄が生じたことの仮定が依存している「睡眠障害」の検出は、どちらかと言えば明確な睡眠フェーズ間の変化の検出というよりも、製品着用者の明確な覚醒レベルの変化の検出と見なすべきである。