(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記建屋カバー(30)は、前記搭載機器、前記熱交換器室(26)および前記ユーティリティ室(27)を上方から覆い前記エンジン(15)に対応する部位に作業用開口(31A)が形成された上面カバー(31)と、該上面カバー(31)の作業用開口(31A)を開,閉可能に覆うエンジンカバー(32)と、前記熱交換器室(26)および前記ユーティリティ室(27)を側方から開,閉可能に覆う側面ドアカバー(33)とにより構成し、
前記エアクリーナ(35)のフィルタエレメント(37)は、前記側面ドアカバー(33)を開いた状態で前記仕切りカバー(21)の前記切欠き部(24B)を通じて前記エアクリーナ(35)の筒体(36)に抜差しする構成としてなる請求項4に記載の建設機械。
前記仕切りカバー(21)を構成する前記延長横仕切り板(24)の先端(24A)は、前記側面ドアカバー(33)を閉じた状態で当該側面ドアカバー(33)の内面と僅かな間隔をもって対面する位置まで延びる構成としてなる請求項5に記載の建設機械。
【発明の概要】
【0007】
ところで、油圧ショベルは、キャブの後方にエアクリーナ等を収容するユーティリティ室と、熱交換器を収容する熱交換器室とが設けられる。ユーティリティ室と熱交換器室とは、前,後方向に隣り合って設けられ、それらの間には仕切りカバーが設けられている。この仕切りカバーは、ユーティリティ室と熱交換器室とを画成している。これにより、エンジン、油圧機器等で発生した熱がユーティリティ室に回り込み、熱交換器がこの熱を吸込むことを防止している。
【0008】
しかし、油圧ショベルに搭載されるエンジンは大型化する傾向にあり、エンジンの大型化に伴って熱交換器も大型化する。このため、上部旋回体において熱交換器室が占めるスペース(空間)が増大し、この分、ユーティリティ室が占めるスペースが減少する。この結果、エアクリーナを収容するだけのスペースをユーティリティ室内に確保することが困難になるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ユーティリティ室のスペースが減少した場合でも、エアクリーナを収容するスペースを確保することができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【0010】
本発明は、センタフレームと左,右のサイドフレームとにより支持構造体をなすフレームと、該フレームの前部側に設けられたキャブと、前記フレームの後部側に設けられたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトの前側に左,右方向に延びる横置き状態で配置されたエンジンと、該エンジンの左,右方向の一側に位置して前,後方向に延びる縦置き状態に配置され流体を冷却する熱交換器と、該熱交換器の前端面側に位置して前記キャブと間隔をもって配置された仕切りカバーと、該仕切りカバーと前記カウンタウエイトとの間に形成され前記熱交換器を前記縦置き状態で収容する熱交換器室と、前記キャブと前記仕切りカバーとの間に形成されたユーティリティ室と、該ユーティリティ室に配置され前記エンジンに供給される空気を清浄化するフィルタエレメントおよび該フィルタエレメントを抜差しするための開口部を有する筒体からなるエアクリーナと、前記エンジン、熱交換器およびエアクリーナを含む搭載機器を覆うと共に前記熱交換器室と前記ユーティリティ室を閉塞する建屋カバーとを備えてなる建設機械に適用される。
【0011】
請求項1の発明の特徴は、前記仕切りカバーは、前記キャブの後面と間隔をもって対面しつつ前記熱交換器の前端面に沿って左,右方向に延びる横仕切り板と、該横仕切り板の前記サイドフレーム側の先端から前記熱交換器室に向けて斜め後向きに傾斜して延びる傾斜仕切り板とを有し、
前記傾斜仕切り板の前記サイドフレーム側の先端には、前記横仕切り板と平行で、かつ左,右方向に延びる延長横仕切り板を設け、前記エアクリーナは、前記開口部が斜め後向きに開口するように前記筒体を前記傾斜仕切り板の傾斜に沿わせて斜め後向きに配置する構成としたことにある。
【0012】
この構成によれば、ユーティリティ室と熱交換器室とは仕切りカバーによって仕切られるので、この仕切りカバーに傾斜仕切り面を設けることにより、ユーティリティ室を熱交換器室側に拡張することができ、ユーティリティ室内にエアクリーナを収容するだけのスペースを確保することができる。一方、エアクリーナの筒体を、開口部が斜め後向きに開口するように傾斜仕切り面に沿わせて斜め後向きに配置することにより、狭隘なユーティリティ室内に効率良くエアクリーナを収容することができる。この結果、熱交換器の大型化に伴って熱交換器室のスペースが増大し、ユーティリティ室のスペースが減少したとしても、このユーティリティ室内に確実にエアクリーナを収容することができる。
しかも、傾斜仕切り板の先端に延長横仕切り板を設けることにより、傾斜仕切り面が必要以上に熱交換器室に入り込むのを抑えることができる。従って、仕切りカバーの傾斜仕切り面が、熱交換器室を通って熱交換器に供給される冷却風の邪魔となるのを抑えることができる。この結果、充分な冷却風が熱交換器に供給されるので、熱交換器の冷却効率を適正に保つことができる。
【0013】
請求項2の発明
は、前記エアクリーナの前記筒体は、前記傾斜仕切り板の傾斜に沿わせて斜め後向きで、かつ斜め下向きに配置し、前記筒体の前記開口部は、斜め後向きで、かつ斜め下向きに開口する構成としている。
【0014】
この構成によれば、例えばエアクリーナの筒体を、斜め後向きで水平方向に配置する場合に比較して、筒体の軸方向(前,後方向)の収容スペースを低減することができる。従って、熱交換器室が大型化するのに伴ってユーティリティ室の前,後方向のスペースが縮小する場合でも、この狭隘なユーティリティ室を効率良く利用してエアクリーナを確実に、かつメンテナンス性を損なうことなく収容することができる。
【0015】
請求項3の発明
は、前記仕切りカバーの前側には、前記キャブの後面と間隔をもって対面しつつ左,右方向に延びる前仕切り板を設け、前記ユーティリティ室は、前記前仕切り板と前記仕切りカバーとの間に形成する構成としている。この構成によれば、前仕切り板と仕切りカバーとによって、ユーティリティ室の前,後を仕切ることができる。
【0018】
請求項4の発明
は、前記延長横仕切り板には、前記エアクリーナのフィルタエレメントを前記筒体の開口部を通じて抜差しするときに当該フィルタエレメントが通過する切欠き部を設け、前記延長横仕切り板には、前記切欠き部を塞ぐ蓋体を着脱可能に設ける構成としている。
【0019】
この構成によれば、エアクリーナの筒体に対してフィルタエレメントを抜差しするときに、フィルタエレメントは、延長横仕切り板に設けた切欠き部を通過することにより、傾斜仕切り板に沿って配置された筒体の軸中心線上を移動することができる。この結果、フィルタエレメントは、エアクリーナの筒体の軸中心線に沿って容易に抜差しされるので、エアクリーナに対するメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0020】
一方、切欠き部を蓋体によって塞いだ状態では、ユーティリティ室と熱交換器室との間で空気が流通するのを抑えることができる。これにより、例えば熱交換器を通過して温度上昇した空気(冷却風)の一部がユーティリティ室に流れ込んだとしても、このユーティリティ室内で温度上昇した空気が、熱交換器室を通じて熱交換器に導かれるのを防止することができ、熱交換器の冷却効率を高めることができる。
【0021】
請求項5の発明
は、前記建屋カバーは、前記搭載機器、前記熱交換器室および前記ユーティリティ室を上方から覆い前記エンジンに対応する部位に作業用開口が形成された上面カバーと、該上面カバーの作業用開口を開,閉可能に覆うエンジンカバーと、前記熱交換器室および前記ユーティリティ室を側方から開,閉可能に覆う側面ドアカバーとにより構成し、前記エアクリーナのフィルタエレメントは、前記側面ドアカバーを開いた状態で前記仕切りカバーの前記切欠き部を通じて前記エアクリーナの筒体に抜差しする構成としている。
【0022】
この構成によれば、建屋カバーの側面ドアカバーを開くことにより、ユーティリティ室、熱交換器室と共に仕切りカバーを外部に開放することができる。従って、エアクリーナのフィルタエレメントを交換する場合には、上部旋回体の外側の大きな作業スペース内で、仕切りカバーの切欠き部を塞ぐ蓋体を取外すことにより、エアクリーナの筒体に対してフィルタエレメントを容易に抜差しすることができる。
【0023】
請求項6の発明
は、前記仕切りカバーを構成する前記延長横仕切り板の先端は、前記側面ドアカバーを閉じた状態で当該側面ドアカバーの内面と僅かな間隔をもって対面する位置まで延びる構成としている。この構成によれば、側面ドアカバーを閉じることにより、熱交換器室とユーティリティ室との間を仕切りカバーによって確実に仕切ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態について、ホイール式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
図中、1は建設機械の代表例であるホイール式油圧ショベルを示している。このホイール式油圧ショベル1は、左,右の前輪2Aおよび左,右の後輪2Bを有するホイール式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前部側には、後述の作業装置12が俯仰動可能に設けられている。なお、下部走行体2と上部旋回体3は、油圧ショベル1の車体を構成している。
【0027】
上部旋回体3は、強固な支持構造体をなす旋回フレーム4を有している。この旋回フレーム4は、
図2および
図3に示すように、左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びるセンタフレーム5と、センタフレーム5の左側に配置され前,後方向に延びる左サイドフレーム6と、センタフレーム5から左方向に張出し先端に左サイドフレーム6が取付けられた複数の左張出しビーム7と、センタフレーム5の右側に配置され前,後方向に延びる右サイドフレーム8と、センタフレーム5から右方向に張出し先端に右サイドフレーム8が取付けられた複数の右張出しビーム9とを含んで構成されている。
【0028】
センタフレーム5は、厚肉な鋼板を用いて形成された平板状の底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向で一定の間隔をもって対面しつつ前,後方向に延びた左縦板5Bおよび右縦板5Cとを備えている。左,右の縦板5B,5Cの前端には、後述するロアブーム12Aのブームフート部が上,下方向に回動(俯仰動)可能に取付けられる。一方、左,右の縦板5B,5Cの後端には、後述するカウンタウエイト14が取付けられる。
【0029】
左,右の縦板5B,5Cの前,後方向の中間部から後部側には、4個のエンジン取付ブラケット10が設けられている。このエンジン取付ブラケット10は、2個づつを一組として前,後方向で間隔をもって対面し、後述のエンジン15が取付けられるものである。左縦板5Bの後部側と左サイドフレーム6の後部側との間には、前,後方向に延びる熱交換器支持ブラケット11が設けられている。この熱交換器支持ブラケット11は、エンジン取付ブラケット10の左側に隣接し、後述の熱交換器19が取付けられるものである。なお、熱交換器支持ブラケット11は、カウンタウエイト14側に位置する2つの左張出しビーム7間に設けられている。
【0030】
作業装置12は、上部旋回体3の前部側に設けられ、土砂の掘削作業を行うものである。ここで、作業装置12は、旋回フレーム4を構成する左,右の縦板5B,5Cに基端が取付けられたロアブーム12Aと、該ロアブーム12Aの先端に取付けられたアッパブーム12Bと、該アッパブーム12Bの先端に取付けられたアーム12Cと、該アーム12Cの先端に取付けられたバケット12Dと、ブームシリンダ12E,ポジショニングシリンダ12F,アームシリンダ12G,バケットシリンダ12Hとにより構成されている。
【0031】
キャブ13は、旋回フレーム4の前部左側に設けられ、オペレータが搭乗する運転室を画成している。キャブ13内には、オペレータが着席する運転席、下部走行体2の前輪2Aをステアリング操作するためのハンドル、上部旋回体3の旋回操作、作業装置12の操作を行うための操作装置(いずれも図示せず)が設けられている。
【0032】
カウンタウエイト14は、旋回フレーム4の後部側に搭載され、作業装置12との重量バランスをとるものである。ここで、ホイール式油圧ショベル1は公道を走行するため、上部旋回体3の旋回半径をできるだけ小さくすることが望ましい。このため、カウンタウエイト14は、上部旋回体3の旋回中心に接近した位置に配置されている。
【0033】
エンジン15は、カウンタウエイト14の前側に位置して旋回フレーム4の後部側に搭載されている。このエンジン15は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延びる横置き状態で、旋回フレーム4のエンジン取付ブラケット10に取付けられている。エンジン15の吸気側には吸気管16の基端が接続され、吸気管16の先端には後述のエアクリーナ35が取付けられている。
【0034】
エンジン15の左,右方向の一側(左側)には、吸込式の冷却ファン17が設けられている。冷却ファン17は、エンジン15によって駆動されることにより外気を吸込み、この外気を冷却風として後述の熱交換器19に供給する。一方、エンジン15の左,右方向の他側(右側)には、該エンジン15によって駆動される油圧ポンプ18が設けられている。この油圧ポンプ18は、ホイール式油圧ショベル1に搭載された各種の油圧機器に向けて作動用の圧油を吐出する。
【0035】
19は冷却ファン17を挟んでエンジン15の左,右方向の一側(左側)に配置された熱交換器を示している。この熱交換器19は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン15の過給機から供給される吸気を冷却するインタクーラ、燃料を冷却する燃料クーラ、空調装置に用いられる冷媒を冷却するコンデンサ等をまとめた単一のユニットとして構成されている。
【0036】
即ち、熱交換器19は、前,後方向に延びる縦置き状態に配置された枠状体として構成されている。さらに、熱交換器19は、冷却ファン17による冷却風の流れ方向の上流側に位置する正面19Aと、下流側に位置する背面19Bと、前,後方向の前側に位置し後述の仕切りカバー21と対面する前端面19Cと、前,後方向の後側に位置しカウンタウエイト14と対面する後端面19Dとを有する枠状体として構成されている。この熱交換器19は、旋回フレーム4の熱交換器支持ブラケット11に取付けられ、背面19Bがエンジン15の冷却ファン17と左,右方向で対面し、正面19A側が後述する熱交換器室26の一部を構成する空間となっている。
【0037】
前仕切り板20は、キャブ13の後側に設けられ、該前仕切り板20は、全体として矩形状をなす板体として形成されている。前仕切り板20は、キャブ13の後面13Aと前,後方向に僅かな間隔をもって対面した状態で旋回フレーム4に取付けられ、後述するユーティリティ室27の前側を仕切っている。前仕切り板20の左端部には、後述する左側面ドアカバー33の前端側がヒンジ機構(図示せず)を介して開,閉可能に支持されている。
【0038】
次に、本実施の形態によるホイール式油圧ショベル1に搭載された仕切りカバー21について説明する。
【0039】
21は前仕切り板20よりも後側に間隔をもって配置された仕切りカバーを示している。仕切りカバー21は、後述の熱交換器室26とユーティリティ室27との間を仕切ると共に、前仕切り板20との間にユーティリティ室27を形成するものである。
図4ないし
図6に示すように、この仕切りカバー21は、鋼板材に折曲げ加工等を施すことにより形成され、後述の横仕切り板22と、傾斜仕切り板23と、延長横仕切り板24とにより構成されている。
【0040】
22は熱交換器19の前端面19Cに沿って配置された横仕切り板を示している。横仕切り板22は、前仕切り板20と間隔をもって対面しつつ、熱交換器19の前端面19Cに近接して配置され、さらに左サイドフレーム6に向けて左方向に延びている。ここで、横仕切り板22の下側は、左,右方向に延びる取付基板22Aとなっている。この取付基板22Aを旋回フレーム4の左張出しビーム7に取付けることにより、仕切りカバー21は、旋回フレーム4上に立設されている。一方、横仕切り板22の右側(エンジン15ないし後述のエンジン室仕切りカバー28側)は、上,下方向に延びる長方形の熱交換器取付板22Bとなり、該熱交換器取付板22Bには熱交換器19の前端面19Cが取付けられている。
【0041】
23は横仕切り板22と連続して設けられた傾斜仕切り板を示し、該傾斜仕切り板23は、横仕切り板22の左サイドフレーム6側に位置する先端(左端)から後述する熱交換器室26に向けて斜め後向きに延びている。この傾斜仕切り板23は、横仕切り板22の熱交換器取付板22Bの先端側を熱交換器室26に向けて斜め後向きに折曲げることにより形成され、左,右方向に延びる横仕切り板22に対して斜め後向きに傾斜している。このように、仕切りカバー21に傾斜仕切り板23を設けることにより、後述のユーティリティ室27の一部を熱交換器室26側に拡張することができる構成となっている。さらに、傾斜仕切り板23は、後述のクリーナ取付ブラケット38を介してエアクリーナ35の筒体36が取付けられるものである。
【0042】
ここで、傾斜仕切り板23には、左サイドフレーム6側の下端部に位置して、フィルタガイド23Aが設けられている。このフィルタガイド23Aは、傾斜仕切り板23の下端から左方向に突出し左サイドフレーム6の上方近くまで延在している。フィルタガイド23Aは、エアクリーナ35の筒体36に対してフィルタエレメント37を抜差しするときに、このフィルタエレメント37をガイドするものである。一方、傾斜仕切り板23の上端には、建屋カバー支持ブラケット23Bが設けられている。この建屋カバー支持ブラケット23Bは、傾斜仕切り板23の上端から水平方向に折曲げられ、後述する建屋カバー30の一部を支持するものである。
【0043】
24は傾斜仕切り板23と連続して設けられた延長横仕切り板を示し、該延長横仕切り板24は、傾斜仕切り板23の先端(左端)から、左サイドフレーム6側に延びている。延長横仕切り板24は、傾斜仕切り板23の先端側を左サイドフレーム6に向けて左側方に折曲げることにより形成され、横仕切り板22と平行して後述の左側面ドアカバー33に向けて左方向に延びている。この延長横仕切り板24の先端24Aは、左側面ドアカバー33を閉じたときに当該左側面ドアカバー33の内面と僅かな間隔をもって対面すると共に、後述の切欠き部24Bが設けられている。これにより、左側面ドアカバー33を閉じたときには、延長横仕切り板24の先端24Aと左側面ドアカバー33の内面との間を閉塞することができ、熱交換器室26とユーティリティ室27との間を仕切りカバー21によって確実に仕切ることができる。
【0044】
切欠き部24Bは、延長横仕切り板24の先端24Aを、上,下方向の中間部から下端部に亘って傾斜仕切り板23側に凹陥状に切欠くことにより形成されている。ここで、切欠き部24Bは、後述するエアクリーナ35の筒体36に対してフィルタエレメント37を抜差しするときに、このフィルタエレメント37がユーティリティ室27と熱交換器室26との間で通過する空間となっている。延長横仕切り板24には、切欠き部24Bの周囲に位置して2本のスタッドボルト24Cが、後方に向けて突設され、このスタッドボルト24Cは、後述する蓋体25が取付けられるものである。
【0045】
図6に示すように、蓋体25は延長横仕切り板24に着脱可能に取付けられ、該蓋体25は、延長横仕切り板24に突設されたスタッドボルト24Cに、蝶ナット25Aを用いて着脱可能に取付けられ、切欠き部24Bを閉塞する。この蓋体25は、延長横仕切り板24の切欠き部24Bを閉塞することにより、仕切りカバー21を介して隣接する熱交換器室26とユーティリティ室27との間で切欠き部24Bを通じて空気が流れるのを抑える。
【0046】
26は仕切りカバー21とカウンタウエイト14との間に形成された熱交換器室を示し、該熱交換器室26は、熱交換器19を前,後方向に延びる縦置き状態で収容するものである。ここで、熱交換器室26は、前側が仕切りカバー21によって仕切られ、後側がカウンタウエイト14によって仕切られ、右側が熱交換器19の背面19Bによって仕切られ、左側が後述の左側面ドアカバー33によって仕切られている。一方、熱交換器室26の上側は後述の上面カバー31によって覆われ、熱交換器室26の下側は、旋回フレーム4に取付けられるアンダカバー(図示せず)によって閉塞されている。
【0047】
27は前仕切り板20と仕切りカバー21との間に形成されたユーティリティ室を示している。ユーティリティ室27は、仕切りカバー21を挟んで熱交換器室26の前側に隣接して配置され、後述するエアクリーナ35を収容するものである。ここで、ユーティリティ室27は、前側が前仕切り板20によって仕切られ、後側が仕切りカバー21によって仕切られ、左側が後述の左側面ドアカバー33によって仕切られている。一方、ユーティリティ室27の上側は後述の上面カバー31によって覆われ、ユーティリティ室27の下側は、旋回フレーム4に取付けられるアンダカバー(図示せず)によって閉塞されている。
【0048】
このように、熱交換器室26とユーティリティ室27とは、仕切りカバー21を挟んで前,後に隣接して配置されている。仕切りカバー21には、横仕切り板22の左サイドフレーム6側の先端から熱交換器室26に向けて斜め後向きに延びる傾斜仕切り板23が設けられている。このため、仕切りカバー21の傾斜仕切り板23は、ユーティリティ室27から熱交換器室26内に入り込んでいる。従って、ユーティリティ室27のスペースは、傾斜仕切り板23が熱交換器室26内に入り込んだ分だけ拡張され、後述のエアクリーナ35を収容するだけのスペースを確保している。
【0049】
一方、傾斜仕切り板23の先端には、横仕切り板22と平行して左方向に延びる延長横仕切り板24が設けられている。これにより、傾斜仕切り板23が必要以上に熱交換器室26側に入り込むのを抑え、冷却ファン17によって熱交換器室26内に充分な冷却風を供給することができる。
【0050】
エンジン室仕切りカバー28は、エンジン15の前側に位置して旋回フレーム4上に立設され、該エンジン室仕切りカバー28は、エンジン15と対面した状態で仕切りカバー21の横仕切り板22から右方向へと連続して延びている。ここで、エンジン室仕切りカバー28は、カウンタウエイト14との間にエンジン15を収容するエンジン室29を画成するものである。このエンジン室仕切りカバー28は、熱交換器19を通過して温度上昇した空気(冷却風)がエンジン室29からユーティリティ室27に回り込むのを遮蔽している。これにより、ユーティリティ室27は、空気の温度が上昇するのを抑えることができ、ユーティリティ室27に隣接する熱交換器室26内に温度上昇した空気が導入されるのを防止することができる。
【0051】
建屋カバー30は、カウンタウエイト14とキャブ13との間に配置され、この建屋カバー30は、エンジン15、油圧ポンプ18、熱交換器19、後述のエアクリーナ35を含む搭載機器を覆うと共に、熱交換器室26、ユーティリティ室27、エンジン室29を閉塞するものである。建屋カバー30は、上面カバー31と、エンジンカバー32と、左側面ドアカバー33と、右側面ドアカバー34とにより構成されている。
【0052】
ここで、上面カバー31は、カウンタウエイト14の上面とほぼ同一平面を形成し、エンジン15を含む搭載機器、熱交換器室26、ユーティリティ室27、エンジン室29を上方から覆っている。
図7に示すように、上面カバー31のうちエンジン15に対応する部位には、作業用開口31Aが形成され、この作業用開口31Aは、エンジン15に対するメンテナンスを行うときに作業者が出入りするものである。一方、エンジンカバー32は、扁平な四角形の箱状に形成され、上面カバー31の作業用開口31Aを開,閉可能に覆うものである。
【0053】
左側面ドアカバー33は、キャブ13とカウンタウエイト14との間を前,後方向に延びる1枚の板体により形成されている。この左側面ドアカバー33は、後述のエアクリーナ35、熱交換器19を左側方から開,閉可能に覆うと共に、熱交換器室26およびユーティリティ室27を左側方から閉塞する。左側面ドアカバー33の前端部は、ユーティリティ室27の前側を仕切る前仕切り板20の左端部にヒンジ機構(図示せず)を介して支持されている。従って、
図7に示すように、左側面ドアカバー33は、ヒンジ機構が設けられた前仕切り板20の左端部の位置を支点として前,後方向に開,閉する。一方、右側面ドアカバー34は、左側面ドアカバー33と同様な1枚の板体からなり、エンジン15、油圧ポンプ18等を右側方から開,閉可能に覆うと共に、エンジン室29を右側方から閉塞する。
【0054】
なお、上面カバー31、左側面ドアカバー33には、冷却ファン17の回転により熱交換器19に向けて外気を取込む通気口(図示せず)が設けられている。一方、エンジンカバー32、右側面ドアカバー34には、熱交換器19を通過した冷却風を外部に排出する通気口(図示せず)が設けられている。
【0055】
次に、ユーティリティ室27内に収容されるエアクリーナ35について説明する。
【0056】
35は吸気管16を介してエンジン15の吸気側に取付けられた遠心分離型のエアクリーナを示している。このエアクリーナ35は、吸気管16を通じてエンジン15に供給される空気中のダストを分離することにより、この空気を清浄化するものである。ここで、エアクリーナ35は、エンジン15の吸気側から延びる吸気管16の先端に接続された円筒状の筒体36と、該筒体36内に収容され空気中のダストを捕捉するフィルタエレメント37とにより構成されている。筒体36の軸方向の一端側は開口部36Aとなり、フィルタエレメント37は、開口部36Aを通じて筒体36に対して抜差しされる。筒体36の外周側には、エンジン15に供給される空気が流入する空気流入口36Bが上方に向けて突設されている。
【0057】
図3および
図4に示すように、エアクリーナ35は、ユーティリティ室27内に収容され、エアクリーナ35の筒体36は、仕切りカバー21の傾斜仕切り板23の傾斜に沿わせて斜め後向きで、かつ斜め下向きに配置されている。ここで、エアクリーナ35は、仕切りカバー21に取付けられたエアクリーナ取付ブラケット38により、仕切りカバー21に対して位置決めされた状態で取付けられている。これにより、筒体36の開口部36Aは、斜め後向きで、かつ斜め下向きに開口している。
【0058】
具体的には、
図3に示すように、筒体36の軸中心線A−Aを傾斜仕切り板23の傾斜に沿わせることにより、筒体36の軸中心線A−Aは、上方からみて左,右方向に延びる直線B−Bに対し角度αだけ斜め後向きに延びている。一方、
図4に示すように、筒体36の軸中心線A−Aは、左側方からみて前,後方向(水平方向)に延びる直線C−Cに対し角度βだけ斜め下向きに延びている。
【0059】
このように、エアクリーナ35の筒体36は、熱交換器室26とユーティリティ室27とを仕切る仕切りカバー21に設けられた傾斜仕切り板23に沿って配置され、筒体36の開口部36Aは、斜め後向きでかつ斜め下向きに開口する。これにより、筒体36に対してフィルタエレメント37を抜差しするときに、フィルタエレメント37は、傾斜仕切り板23に沿って配置された筒体36の軸中心線A−A上を移動することができ、フィルタエレメント37は、筒体36に対して容易に抜差しすることができる。しかも、筒体36を斜め下向きに配置することにより、筒体36を水平方向に延ばして配置する場合に比較して、筒体36の軸方向(前,後方向)の収容スペースを低減することができる。
【0060】
本実施の形態によるホイール式油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、このホイール式油圧ショベル1は、下部走行体2によって道路を走行し、作業現場において上部旋回体3を旋回させつつ作業装置12を用いて土砂の掘削作業を行う。
【0061】
ここで、エンジン15の作動時には、冷却ファン17が回転することにより外気が熱交換器室26内に吸込まれ、この外気が冷却風として熱交換器19に供給される。これにより、被冷却流体となるエンジン冷却水、作動油、過給機からの吸気、燃料、空調装置に用いられる冷媒を効率よく冷却することができる。
【0062】
一方、エンジン15に供給される空気は、エアクリーナ35を通って吸気管16に導出された後、エンジン15の吸気側に供給される。このとき、空気中に混入したダストは、エアクリーナ35によって分離されるので、エンジン15に対して清浄化された空気のみを供給することができる。
【0063】
この場合、エアクリーナ35は、仕切りカバー21によって熱交換器室26から仕切られたユーティリティ室27内に収容されている。このため、冷却ファン17の回転によって熱交換器室26に導入される外気の流れが、エアクリーナ35によって妨げられることがない。この結果、大量の冷却風が熱交換器19に供給され、熱交換器19の冷却効率を高めることができる。
【0064】
一方、エアクリーナ35は、ユーティリティ室27内に配置されている。これにより、エアクリーナ35が、冷却ファン17によって熱交換器室26に導入される大量の外気に晒されるのを防止することができる。この結果、エアクリーナ35のフィルタエレメント37が早期に目詰まりするのを抑え、フィルタエレメント37の交換時期を延ばすことができる。
【0065】
次に、エアクリーナ35のフィルタエレメント37を交換するメンテナンス作業について説明する。
【0066】
図7に示すように、このメンテナンス作業を行う場合には、エンジン15が停止した状態において、左側面ドアカバー33が開かれる。これにより、熱交換器室26、ユーティリティ室27が外部に開放されると共に、仕切りカバー21、エアクリーナ35が外部に表れる。
【0067】
この状態で、
図8に示すように、蓋体25が、仕切りカバー21の延長横仕切り板24から取外される。即ち、延長横仕切り板24に突設されたスタッドボルト24Cから蝶ナット25Aが抜取られ、蓋体25がスタッドボルト24Cから取外される。これにより、延長横仕切り板24に形成された切欠き部24Bが外部に表れる。
【0068】
仕切りカバー21の延長横仕切り板24に形成された切欠き部24Bが表れた後には、
図9に示すように、エアクリーナ35の筒体36から汚れたフィルタエレメント37が、矢印P方向に抜取られる。この場合、フィルタエレメント37は、延長横仕切り板24に形成された切欠き部24Bを通過することにより、仕切りカバー21の傾斜仕切り板23に沿って配置された筒体36の軸中心線A−A上を移動することができる。また、筒体36から抜出されたフィルタエレメント37は、仕切りカバー21の傾斜仕切り板23に設けられたフィルタガイド23Aによって斜め下向きに案内される。この結果、汚れたフィルタエレメント37は、筒体36の軸中心線A−Aに沿って容易に抜取られる。
【0069】
一方、汚れたフィルタエレメント37に代えて交換用のフィルタエレメント37を筒体36に差込むときにも、この交換用のフィルタエレメント37は、延長横仕切り板24の切欠き部24Bを通過することにより、筒体36の軸中心線A−A上を移動することができる。この結果、交換用のフィルタエレメント37は、筒体36の軸中心線A−Aに沿って容易に筒体36内に差込まれるので、エアクリーナ35に対するメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0070】
かくして、本実施の形態によれば、熱交換器室26とユーティリティ室27とを仕切る仕切りカバー21に、熱交換器19の前端面19Cに沿って左,右方向に延びる横仕切り板22と、該横仕切り板22の左サイドフレーム6側の先端から熱交換器室26へと斜め後向きに傾斜して延びる傾斜仕切り板23とを設ける構成としている。
【0071】
このように、ユーティリティ室27と熱交換器室26とを仕切る仕切りカバー21に傾斜仕切り板23を設けることにより、ユーティリティ室27のスペースを傾斜仕切り板23の分だけ熱交換器室26側に拡張することができる。この結果、ユーティリティ室27内にエアクリーナ35を収容するだけのスペースを確保することができる。
【0072】
一方、エアクリーナ35は、筒体36の軸中心線A−Aを傾斜仕切り板23の傾斜に沿わせて斜め後向きに配置されている。このように、傾斜仕切り板23の形状に沿わせてエアクリーナ35を配置することにより、狭隘なユーティリティ室27内に効率良くエアクリーナ35を収容することができる。従って、熱交換器19の大型化に伴って熱交換器室26のスペースが増大し、ユーティリティ室27のスペースが減少したとしても、このユーティリティ室27内に確実にエアクリーナ35を収容することができる。
【0073】
傾斜仕切り板23の先端には、横仕切り板22と平行して左,右方向に延びる延長横仕切り板24を設けたので、傾斜仕切り板23が必要以上に熱交換器室26側に入り込むのを抑えることができる。この結果、仕切りカバー21の傾斜仕切り板23が、熱交換器室26を通って熱交換器19に供給される冷却風の邪魔となるのを防止し、熱交換器19に対して充分な冷却風を供給することができるので、熱交換器19の冷却効率を適正に保つことができる。
【0074】
延長横仕切り板24には、上,下方向の中間部から下端部に亘って凹陥状の切欠き部24Bを設けている。このため、筒体36に対してフィルタエレメント37を抜差しするときに、フィルタエレメント37は、切欠き部24Bを通過することにより筒体36の軸中心線A−A上を斜め下向き(
図9中の矢印P方向)に移動することができる。この結果、フィルタエレメント37は、筒体36に対して容易に抜差しされるので、エアクリーナ35に対するメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0075】
一方、仕切りカバー21には、切欠き部24Bを塞ぐ蓋体25を着脱可能に設ける構成としている。これにより、切欠き部24Bを蓋体25によって塞いだ状態では、ユーティリティ室27と熱交換器室26との間で空気が流通するのを抑えることができる。これにより、熱交換器19を通過して温度上昇した冷却風の一部が、ユーティリティ室27に流れ込んだとしても、この温度上昇した空気が、ユーティリティ室27から熱交換器室26に流れるのを阻止することができる。この結果、熱交換器19を通過して温度上昇した空気が、ユーティリティ室27から熱交換器室26を通じて熱交換器19に導かれるのを防止することができ、熱交換器19の冷却効率を高めることができる。
【0076】
さらに、エアクリーナ35の筒体36は、仕切りカバー21の傾斜仕切り板23に沿って、斜め後向きで、かつ斜め下向きに配置されている。従って、筒体36を水平方向に延ばして配置する場合に比較して、筒体36の軸方向の収容スペースを低減することができる。この結果、ユーティリティ室27の前,後方向のスペースが、熱交換器室26の大型化に伴って縮小する場合でも、この狭隘なユーティリティ室27を効率良く利用して、エアクリーナ35を確実に、かつメンテナンス性を損なうことなく収容することができる。
【0077】
なお、上述した実施の形態では、仕切りカバー21を横仕切り板22と、傾斜仕切り板23と、延長横仕切り板24とにより構成し、延長横仕切り板24に、エアクリーナ35のフィルタエレメント37が通過する切欠き部24Bを設ける構成を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば
図10に示す変形例による仕切りカバー41のように構成してもよい。
【0078】
即ち、仕切りカバー41は、左,右方向に延びる横仕切り板42と、横仕切り板42の先端から斜め後向きに傾斜して延びる傾斜仕切り板43とにより構成されている。横仕切り板42の下側は、取付基板22Aとなり、横仕切り板42の右側は、熱交換器取付板22Bとなっている。一方、傾斜仕切り板43の下端には、フィルタガイド43Aが設けられ、傾斜仕切り板43の上端には、建屋カバー支持ブラケット43Bが設けられている。
【0079】
傾斜仕切り板43の先端43Cは、左側面ドアカバー33を閉じたときに当該左側面ドアカバー33の内面と対面する位置まで延びている。これにより、左側面ドアカバー33を閉じたときには、傾斜仕切り板43の先端43Cと左側面ドアカバー33の内面との間を閉塞することができ、熱交換器室26とユーティリティ室27との間を仕切りカバー41によって確実に仕切ることができる。
【0080】
上述した実施の形態では、建設機械としてホイール式の下部走行体2を備えたホイール式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図11に示すように、クローラ式の下部走行体52を備えたクローラ式の油圧ショベル51に適用してもよい。さらに、本発明は、油圧ショベルに限らず、油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械に広く適用することができる。