特許第6012761号(P6012761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 6012761-排気ガスターボチャージャ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012761
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】排気ガスターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   F02B39/00 T
   F02B39/00 G
   F02B39/00 D
   F02B39/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-552249(P2014-552249)
(86)(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公表番号】特表2015-505348(P2015-505348A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】US2013020635
(87)【国際公開番号】WO2013109431
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】102012000738.8
(32)【優先日】2012年1月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ブーフマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フィッティング
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・シュムニグ
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−523899(JP,A)
【文献】 実開平05−083332(JP,U)
【文献】 特開平11−132051(JP,A)
【文献】 特開2003−227405(JP,A)
【文献】 特開2010−090862(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008049093(DE,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02897893(FR,A1)
【文献】 特開2006−308097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F01D 5/00,17/00,25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスターボチャージャ(1)であって、
−タービンハウジング(2)を有し、
−コンプレッサハウジング(3)を有し、
−軸受ハウジング軸線(L)を有する軸受ハウジング(4)を有し、
−接続装置(5)を有し、前記接続装置は、
・前記軸受ハウジング(4)を前記コンプレッサハウジング(3)及び/又は前記タービンハウジング(2)に接続し、
・各々が接続要素の端面(7)を有する複数の接続要素(6)を有し、
・前記コンプレッサハウジング(3)及び/又は前記タービンハウジング(2)に前記接続要素(6)の数に対応する数の孔(8)を有し、
−前記孔(8)、及び前記孔(8)に挿入された前記接続要素(6)が、前記軸受ハウジング軸線(L)に対して鋭角(α)に配置され、
−前記接続要素の端面(7)が前記軸受ハウジング(4)の関連の面(9)に位置する、排気ガスターボチャージャ(1)。
【請求項2】
前記接続要素(6)及び前記孔(8)の軸線(S)が、想像上の円錐面に対称的に配置される請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項3】
前記角度(α)が25°〜65°ある請求項1又は2に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項4】
前記角度(α)が30°〜60°である請求項1又は2に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項5】
前記孔(8)が、前記コンプレッサハウジング(3)及び/又は前記タービンハウジング(2)の締結フランジ(11)に配置され、前記締結フランジが前記軸受ハウジング(4)の接続領域(10)を取り囲む請求項1〜のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項6】
前記締結フランジ(11)が複数の突起部に分割される請求項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項7】
前記面(9)に斜角が付けられる請求項1〜6のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項8】
チャージャ軸線(L)を有する排気ガスターボチャージャ(1)のコンプレッサハウジング(3)及び/又はタービンハウジングであって、
−少なくとも1つの締結フランジ(11)を有し、
−円周方向に互いに間隔を空けて前記締結フランジ(11)に配置される複数の孔(8)を有し、
−前記孔(8)が、前記チャージャ軸線(L)に対して鋭角(α)に配置され、
前記角度(α)が25°〜65°であり、
前記締結フランジ(11)が、互いに間隔を空けて配置されかつ前記孔(8)が設けられる複数の突起部に分割される、
コンプレッサハウジング(3)及び/又はタービンハウジング。
【請求項9】
前記角度(α)が30°〜60°である請求項8に記載のコンプレッサハウジング及び/又はタービンハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の排気ガスターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサハウジング及び/又はタービンハウジングを排気ガスターボチャージャの軸受ハウジングに接続するために、従来技術によれば、例えばねじと座金が使用される。ねじは、コンプレッサハウジングのねじ山内にねじ留めされ、座金を介して、軸受ハウジングをコンプレッサハウジングに確実にクランプする。ねじの挿入方向は、この場合、軸受ハウジングからコンプレッサハウジングに向かって方向付けられる。組立方向がコンプレッサ側からである用途の場合、通常、部分的にのみ自動化した組立又は手動の組立が可能であるが、この理由は、アクセス可能性のためねじの送出又はねじの自動締付けが許容されないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、軸受ハウジングをコンプレッサハウジング及び/又はタービンハウジングに接続するための組立費用の低減を可能にする、請求項1の前文に規定されたタイプの排気ガスターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。
【0005】
接続要素の最後の組立状態における接続要素及び孔の傾斜の結果、想像上の円錐面に角度を付けてかつ正反対に孔及び接続要素を配置することが達成される。
【0006】
さらに、接続要素を容易に取り付けること、また六角形ソケット、及び六角形ソケットの特別な実施形態であるいわゆるトルクスソケットを有する接続要素を好ましくは使用することが可能である。
【0007】
さらに、同一の挿入方向が可能であるので、コンプレッサ側及びタービン側に実装するときに排気ガスターボチャージャハウジングの組立を自動化できる利点が達成される。
【0008】
さらに、コンプレッサハウジング又はタービンハウジング内の孔の傾斜により、軸方向設置空間の低減が得られる。
【0009】
従属請求項2〜6は、本発明による排気ガスターボチャージャの有利な改良に関する。
【0010】
請求項7〜9は、独立して販売できる対象物としての本発明によるコンプレッサハウジングを規定している。
【0011】
本発明のさらなる詳細、利点及び特徴は、図面に基づき例示的な実施形態の次の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による排気ガスターボチャージャの著しく単純化した概略図である。
図2】コンプレッサハウジングに取り付けられた本発明による排気ガスターボチャージャの軸受ハウジングの単純化した概略図である。
図3】試験片の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による排気ガスターボチャージャ1は、図1によれば、タービンハウジング2、コンプレッサハウジング3及び軸受ハウジング4を有する。本発明による排気ガスターボチャージャ1は、現在のターボチャージャの他の従来の構成要素をすべて有することも自明であるが、これらの構成要素は、本発明の原理を説明するために必要でないので、以下に説明しない。
【0014】
軸受ハウジング4は、接続装置5によってコンプレッサハウジング3に接続することが可能であり、接続装置は、図示した実施例の場合、接続要素として複数のねじを有し、その内、1つのねじ6が代表的に図2に示されている。
【0015】
さらに、接続装置5は、コンプレッサハウジング3のねじ穴8の形態の孔を有し、この孔の数は、使用される接続要素6の数に対応する。次に、図2には、ねじ穴8が、設けられたすべてのねじ穴について代表的に示されている。
【0016】
同様に図2に示されているように、ねじ穴8、したがって前記穴8にねじ込まれたねじ6が傾斜され、このことは、ねじがチャージャ軸線又は軸受ハウジング軸線Lに対して鋭角αで配置されることを意味する。角度αの好ましい角度寸法は、したがって角度αについて25°〜65°である。特に好ましい角度範囲は、45°±15°であり、すなわち30°〜60°である。
【0017】
前記斜めの配置は、想像上の円錐面に設けられるねじ穴8及びねじ6の軸線の対称の配置をもたらすことが好ましい。
【0018】
同様に図2に示されているように、ねじ6の各々は、ねじ6がねじ穴8にねじ込まれるときに軸受ハウジング4の軸受面9に位置する端面7を有する。この点に関して図2が示すように、軸受ハウジング又は軸受ハウジング後壁又は軸受ハウジングフランジ10の軸受面9には斜角が付けられ、この結果、ねじ6の端面7は前記軸受面9の表面領域全体にわたって位置する。
【0019】
図2はまた、コンプレッサハウジング3には、ねじ穴8が作られる締結フランジ11が設けられることを示している。このために、締結フランジ11は、図2から詳細に推測することができるように、接続領域10(軸受ハウジング後壁又は軸受ハウジングフランジ)を取り囲む。
【0020】
クランプ力は、この装置では締付けトルク及び角度αから獲得される。図2に同様に示されているチャージャ軸線又は軸受ハウジング軸線Lに対して相補的な軸受面9の角度α又は角度βは、ねじ6を締め付けるために必要なクリアランスを獲得するために変更することができる。この点に関し、表面9に斜角(ここでは45°)を付けることにより、前記表面9とねじ6の端面7との間の接触圧が低減される。
【0021】
原理的に、コンプレッサハウジング3に円周の締結フランジ11を設けることが可能であり、この締結フランジは、軸受ハウジング4に向かう方向に、図2に示したように接続領域10を囲むことができる程度に突出するように形成される。代わりに、この締結フランジ11を複数の締結突起部に分割することが可能である。
【0022】
この点に関し、コンプレッサハウジングを表す試験部片VKを示す図3を参照し得る。この図では、試験片VKは、合計4つの突起部L1〜L4を有し、それらは試験部片の外周の周りに均一に分布され、突起部の各々に、前述のねじ穴(ここでは参照記号「GL」によって示されている)が設けられる。
【0023】
説明を簡単にするために、軸受ハウジングとねじとの接続領域は、図3に示されていない。
【0024】
前の実施例では、ねじが接続要素と記載されており、対応するねじ孔又はねじ穴は孔として記載されているが、他の適切な要素、例えば切欠き付きピン、クランプスリーブ等を接続要素として使用することも可能である。
【0025】
使用する接続要素の性質に応じて、孔はねじ山を有し、したがってねじ孔を形成するか、あるいは対応する接続要素の使用を必要とする場合、ねじ山なしの孔を使用することも可能である。
【0026】
本発明の上述の開示に加えて、この場合、前記上述の開示を補完するために図1図3の概略図が明示的に参照される。
【符号の説明】
【0027】
1 排気ガスターボチャージャ
2 タービンハウジング
3 コンプレッサハウジング
4 軸受ハウジング
5 接続装置
6 接続要素(例えばねじ、切欠き付きピン、クランプスリーブ)
7 端面
8 ねじ山(ねじ孔)を有する又はねじ山なしの孔
9 軸受面
10 例えば軸受ハウジングフランジ又は軸受ハウジング後壁の形態の軸受ハウジング4の接続領域
11 おそらくは複数の突起部に分割された締結フランジ
α、β 角度
L 軸受ハウジング軸線又はチャージャ軸線
VK 試験片
L1−L4 突起部
GL ねじ穴
図1
図2
図3