(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
電気光学ディスプレイに関する背景用語および最先端技術は、読者がさらなる情報について参照する米国特許第7,012,600号で詳細に議論されている。したがって、この用語および最先端技術を以下で簡潔に要約する。
【0005】
材料またはディスプレイに適用されるような「電気光学」という用語は、画像技術におけるその従来の意味において、少なくとも1つの光学特性が異なる第1表示状態および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態に変化させられる材料を指すために、本明細書で使用される。光学特性は、典型的には、人間の眼に知覚可能な色であるが、例えば、光の透過率、反射率、発光率、または機械読取を対象としたディスプレイの場合は、可視領域外の電磁波長の反射率の変化という意味での疑似カラーが、別の光学特性であり得る。
【0006】
「グレー状態」という用語は、画像技術におけるその従来の意味において、画素の2つの極限光学状態の中間の状態を指すために、本明細書で使用され、必ずしもこれら2つの極限状態の間の黒白遷移を暗示するわけではない。例えば、以下で参照されるE Inkの特許および出願公開のうちのいくつかは、中間の「グレー状態」が実際には淡い青色となるように、極限状態が白色および濃い青色である電気泳動ディスプレイを説明する。実際には、既述のように、光学状態の変化は、全く色の変化ではなくてもよい。「黒色」および「白色」という用語は、ディスプレイの2つの極限状態を指すために以降で使用され得、通常、厳密には黒色および白色ではない極限光学状態(例えば、上記の白色および青色状態)を含むと理解されるべきである。「モノクロ」という用語は、画素を介在グレー状態のないそれらの2つの極限光学状態に駆動するのみである駆動スキームを表すために以降で使用され得る。
【0007】
「双安定」および「双安定性」という用語は、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、その第1の表示状態または第2の表示状態のうちのいずれか一方を呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)の間、その状態が続くようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7,170,670号では、グレースケールが可能ないくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限の黒色状態および白色状態においてだけではなく、それらの中間グレー状態においても、安定しており、同じことがいくつかの他の種類の電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。本種類のディスプレイは、双安定よりもむしろ「多安定」と正しくは呼ばれるが、便宜上、「双安定」という用語が、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために本明細書で使用され得る。
【0008】
「インパルス」という用語は、時間に関する電圧の積分というその従来の意味において、本明細書で使用される。しかしながら、いくつかの双安定電気光学媒体は、電荷変換器の役割を果たし、そのような媒体では、インパルスの代替的な定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加される全電荷に等しい)が使用され得る。媒体が電圧時間インパルス変換器または電荷インパルス変換器の役割を果たすかどうかに応じて、インパルスの適切な定義が使用されるべきである。
【0009】
以下の議論の大部分は、初期グレーレベルから最終グレーレベル(初期グレーレベルとは異なる場合もあり、異ならない場合もある)までの遷移を通して、電気光学ディスプレイの1つ以上の画素を駆動する方法に焦点を合わせる。「波形」という用語は、1つの特定の初期グレーレベルから特定の最終グレーレベルまでの遷移を達成するために使用される電圧対時間曲線全体を表すために使用される。典型的には、そのような波形は、複数の波形要素を備え、その場合、これらの要素は、本質的に長方形であり(すなわち、所与の要素が、ある期間の間一定の電圧の印加を含む)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。「駆動スキーム」という用語は、特定のディスプレイのグレーレベル間の全ての可能な遷移を達成するために十分な一式の波形を表す。ディスプレイは、1つより多くの駆動スキームを利用してもよい。例えば、前述の米国特許第7,012,600号は、ディスプレイの温度、またはその寿命の間に動作している時間等のパラメータに応じて、駆動スキームが修正される必要があり得、したがって、ディスプレイには、異なる温度等で使用される複数の異なる駆動スキームが提供され得ることを教示する。このようにして使用される一式の駆動スキームは、「一式の関連駆動スキーム」と称され得る。また、前述のMEDEOD出願のうちのいくつかで説明されるように、同一のディスプレイの異なる領域において同時に1つより多くの駆動スキームを使用することも可能であり、このようにして使用される一式の駆動スキームは、「一式の同時駆動スキーム」と称され得る。
【0010】
いくつかの種類の電気光学ディスプレイが公知であり、例えば、
(a)回転2色部材ディスプレイ(例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、第6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号を参照)、
(b)エレクトロクロミックディスプレイ(例えば、O’Regan, B.,ら, Nature 1991, 353, 737、Wood, D., Information Display, 18(3), 24 (March 2002)、Bach, U.,ら, Adv. Mater., 2002, 14(11), 845、ならびに米国特許第6,301,038号、第6,870.657号、および第6,950,220号を参照)、
(c)エレクトロウェッティングディスプレイ(Hayes, R.A.,ら, “Video−Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”, Nature, 425, 383−385(25 September 2003)、および米国特許公開第2005/0151709号を参照)、
(d)複数の荷電粒子が電場の影響下で流体を通って移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイ(米国特許第5,930,026号、第5,961,804号、第6,017,584号、第6,067,185号、第6,118,426号、第6,120,588号、第6,120,839号、第6,124,851号、第6,130,773号、および第6,130,774、米国特許出願公開第2002/0060321号、第2002/0090980号、第2003/0011560号、第2003/0102858号、第2003/0151702号、第2003/0222315号、第2004/0014265号、第2004/0075634号、第2004/0094422号、第2004/0105036号、第2005/0062714号、および第2005/0270261号、ならびに国際出願公開第WO 00/38000号、第WO 00/36560号、第WO 00/67110号、および第WO 01/07961号、ならびに欧州特許第1,099,207 B1号、第1,145,072 B1号、ならびに前述の米国特許第7,012,600号で議論される他のMITおよびE Inkの特許および出願を参照)である。
【0011】
電気泳動媒体のいくつかの異なる変形例がある。電気泳動媒体は、液体またはガス状流体を使用することができ、ガス状流体については、例えば、Kitamura, T.,ら, “Electrical toner movement for electronic paper−like display”, IDW Japan, 2001, Paper HCS1−1、およびYamaguchi, Y.,ら, “Toner display using insulative particles charged triboelectrically”, IDW Japan, 2001, Paper AMD4−4)、米国特許公開第2005/0001810号、欧州特許出願1,462,847、第1,482,354号、第1,484,635号、第1,500,971号、第1,501,194号、第1,536,271号、第1,542,067号、第1,577,702号、第1,577,703号、および第1,598,694号、国際出願第WO 2004/090626号、第WO 2004/079442号、および第WO 2004/001498号を参照されたい。媒体は、カプセル化されて、多数の小型カプセルを備えてもよく、そのそれぞれは、媒体を浮遊させる液体中に浮遊させられた電気泳動的に移動性の粒子を含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセルは、2つの電極間に位置決めされたコヒーレント層を形成するように、ポリマー性バインダ内に保持される。前述のMITおよびE Inkの特許および出願を参照されたい。代替として、カプセル化された電気泳動媒体中の個別のマイクロカプセルを包囲する壁は、連続相に置換されてもよく、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の個別の液滴と、ポリマー材料の連続相とを備える、いわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイを生成する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。本願の目的で、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。別の変形例は、荷電粒子および流体が、典型的には、ポリマー性薄膜であるキャリア媒体内に形成された複数の空洞内に保持される、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0012】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来の電気泳動デバイスの集塊化および沈降失敗モードを被らず、多種多様の可撓な基板および剛な基板上にディスプレイを印刷または被覆する能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という言葉の使用は、限定ではないが、事前計量コーティング(例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング)、ロールコーティング(例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワード・リバースロールコーティング)、グラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、感熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号参照)、および他の類似技法を含む、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している。)したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓であり得る。さらに、ディスプレイ媒体を(種々の方法を使用して)印刷することができるため、ディスプレイ自体を安価に作製することができる。
【0013】
電気泳動媒体は、(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子が、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に阻止するため)多くの場合、不透明であり、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つの表示状態が実質的に不透明であり、1つの表示状態が光透過性である、いわゆる「シャッタモード」で動作するよう作製され得る。例えば、前述の米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、ならびに米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイに類似するが、電場強度の変動に依存する誘電泳動ディスプレイは、類似モードで動作することができる。例えば、米国特許第4,418,346号を参照されたい。
【0014】
他の種類の電気光学媒体もまた、本発明のディスプレイで使用されてもよい。
【0015】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイ、および類似挙動を表示する他の電気光学ディスプレイ(そのようなディスプレイは、便宜上、以降で「インパルス駆動型ディスプレイ」と称され得る)の双安定または多安定挙動は、従来の液晶(「LC」)ディスプレイの挙動と好対照である。ねじれネマチック液晶は、双安定または多安定ではないが、電圧変換器の役割を果たすため、そのようなディスプレイの画素に所与の電場を印加することにより、その画素に以前存在していたグレーレベルにかかわらず、その画素において特定のグレーレベルを生成する。さらに、LCディスプレイは、1つの方向(非透過性または「暗」から透過性または「明」)にしか駆動されず、電場を低減または排除することによって、より明るい状態からより暗い状態への逆遷移が達成される。最終的に、LCディスプレイの画素のグレーレベルは、電場の極性ではなく、その大きさのみに敏感であり、実際に技術的理由により、市販のLCディスプレイは、通常、頻繁な間隔で駆動場の極性を逆転させる。対照的に、双安定電気光学ディスプレイは、第1次近似に対して、インパルス変換器の役割を果たすため、画素の最終状態は、印加される電場およびこの電場が印加される時間だけでなく、電場の印加の前の画素の状態にも依存する。
【0016】
高解像度ディスプレイを得るために、使用される電気光学媒体が双安定であるかどうかにかかわらず、ディスプレイの個々の画素は、隣接する画素からの干渉を伴わずにアドレス可能でなければならない。この目的を達成する1つの方法は、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生成するように、少なくとも1つの非線形要素が各画素に関連付けられているトランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することである。1つの画素をアドレス指定するアドレス指定または画素電極が、関連非線形要素を通して適切な電圧源に接続される。典型的には、非線形要素がトランジスタであるとき、画素電極は、トランジスタのドレインに接続され、この配列が、以下の説明で想定されるが、それは、本質的に恣意的であり、画素電極をトランジスタのソースに接続することができる。従来、高解像度アレイでは、画素は、行および列の2次元アレイで配列されるため、任意の特定の画素は、1つの特定行および1つの特定列の交差点によって一意的に画定される。各列における全てのトランジスタのソースが、単一の列電極に接続される一方で、各行における全てのトランジスタのゲートは、単一の行電極に接続され、また、行へのソースの割当および列へのゲートの割当は、従来的であるが、本質的に恣意的であり、所望される場合、逆転させられ得る。行電極は、行ドライバに接続され、行ドライバは、任意の所与の瞬間に1つの行のみが選択されること、すなわち、選択された行における全てのトランジスタが伝導性であることを確実にするように、選択された行電極に電圧が印加されている一方で、選択されていない行における全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にするように、すべての他の行に電圧が印加されていることを本質的に確実にする。列電極は、列ドライバに接続され、列ドライバは、選択された行における画素を所望の光学状態に駆動するように選択された電圧を種々の列電極に印加する。(前述の電圧は、一般的な前面電極に関連し、前面電極は、従来、非線形アレイから電気光学媒体の反対側に提供され、ディスプレイ全体を横断して延在する。)「ラインアドレス時間」として知られている事前選択された間隔後、選択された行が選択解除され、次の行が選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書かれるように変化させられる。このプロセスは、ディスプレイ全体が行ごとに書かれるように繰り返される。
【0017】
最初に、そのようなインパルス駆動型電気光学ディスプレイをアドレスするための理想的な方法は、各画素が、その初期グレーレベルからその最終グレーレベルまで直接遷移するように、コントローラが画像の各書き込みを編成する、いわゆる「一般グレースケール画像フロー」であると考えられ得る。しかしながら、必然的に、インパルス駆動型ディスプレイ上に画像を書き込む際に、何らかの誤差がある。実践において遭遇するいくつかのそのような誤差として、以下が挙げられる。
(a)以前の状態依存性。少なくともいくつかの電気光学媒体では、画素を新規の光学状態に切り替えるために必要とされるインパルスは、現在および所望の光学状態だけでなく、画素の以前の光学状態にも依存する。
(b)滞留時間依存性。少なくともいくつかの電気光学媒体では、画素を新規の光学状態に切り替えるために必要とされるインパルスは、画素がその種々の光学状態において費やした時間に依存する。この依存性の正確な性質は、よく理解されていないが、一般に、画素がより長くその現在の光学状態にあるほど、より多くのインパルスが必要とされる。
(c)温度依存性。画素を新規の光学状態に切り替えるために必要とされるインパルスは、温度に大きく依存する。
(d)湿度依存性。画素を新規の光学状態に切り替えるために必要とされるインパルスは、少なくともいくつかの種類の電気光学媒体では、周囲湿度に依存する。
(e)機械的均一性。画素を新規の光学状態に切り替えるために必要とされるインパルスは、ディスプレイの機械的変動、例えば、電気光学媒体または関連積層接着剤の厚さの変動の影響を受け得る。他の種類の機械的不均一性が、媒体の異なる製造バッチ間の必然的変動、製造公差、および材料変動から生じ得る。
(f)電圧誤差。画素に印加される実際のインパルスは、ドライバによって送達される電圧の回避不可能なわずかな誤差のため、理論的に印加されるインパルスとは必然的にわずかに異なる。
【0018】
したがって、一般的なグレースケール画像フローは、良好な結果を生じるために、印加されるインパルスの非常に正確な制御を必要とし、経験的に、電気光学ディスプレイの技術の現状では、一般的なグレースケール画像フローは、市販のディスプレイで実行不可能であることが分かっている。
【0019】
ある状況下では、単一のディスプレイが複数の駆動スキームを利用することが望ましくあり得る。例えば、2つより多くのグレーレベルが可能なディスプレイは、全ての可能なグレーレベルの間で遷移を達成することができるグレースケール駆動スキーム(「GSDS」)、および2つのグレーレベルの間のみで遷移を達成するモノクロ駆動スキーム(「MDS」)を利用してもよく、MDSは、GSDSよりも迅速なディスプレイの書換を提供する。MDSは、ディスプレイの書換中に変更されている全ての画素が、MDSによって使用される2つのグレーレベルの間のみで遷移を達成しているときに使用される。例えば、前述の米国特許第7,119,772号は、グレースケール画像を表示することが可能であり、また、表示された画像に関するテキストをユーザが入力することを可能にするモノクロダイアログボックスを表示することも可能である、電子書籍または類似デバイスの形態のディスプレイを説明する。ユーザがテキストを入力しているとき、ダイアログボックスの迅速な更新のために、高速MDSが使用され、したがって、入力されているテキストの迅速確認をユーザに提供する。一方で、ディスプレイ上に示されたグレースケール画像全体が変更されているときには、より低速のGSDSが使用される。
【0020】
代替として、ディスプレイは、「直接更新」駆動スキーム(「DUDS」)と同時にGSDSを利用してもよい。DUDSは、2つまたは2つより多いグレーレベル、典型的には、GSDSより少ないグレーレベルを有してもよいが、DUDSの最も重要な特性は、GSDSで多くの場合に使用される「間接的」遷移とは対照的に、遷移が初期グレーレベルから最終グレーレベルへの単純な一方向性駆動によって取り扱われることであり、「間接的」遷移における少なくともいくつかの遷移では、画素が初期グレーレベルから1つの極限光学状態に駆動され、次いで、逆方向に最終グレーレベルまで駆動される。場合によっては、遷移は、初期グレーレベルから1つの極限光学状態に駆動し、そこから反対の極限光学状態に駆動し、そしてようやく最終極限光学状態に駆動することによって達成されてもよい。例えば、前述の米国特許第7,012,600号の
図11Aおよび
図11Bで図示される駆動スキームを参照されたい。したがって、本電気泳動ディスプレイが、飽和パルスの長さの約2倍から3倍(「飽和パルスの長さ」が期間として定義される場合、特定の電圧において、それは1つの極限光学状態から他方の極限光学状態にディスプレイの画素を駆動するのに十分である)、または約700〜900ミリ秒のグレースケールモードでの更新時間を有し得る一方で、DUDSは、飽和パルスの長さに等しいか、または約200〜300ミリ秒の最大更新時間を有する。
【0021】
しかしながら、駆動スキームの変動は、使用されるグレーレベルの数の差に限定されない。例えば、駆動スキームは、駆動電圧が全体的更新駆動スキーム(より正確には「全体的完全」または「GC」駆動スキームと称される)が適用されている領域(ディスプレイ全体またはそのある画定された部分であり得る)中の全画素に印加される全体的駆動スキーム、および、駆動電圧が非ゼロ遷移(すなわち、初期グレーレベルおよび最終グレーレベルが相互に異なる遷移)を受けている画素のみに印加されるが、ゼロ遷移(初期グレーレベルおよび最終グレーレベルが同一である)中にいかなる駆動電圧も印加されない部分的更新駆動スキームに分割されてもよい。中間形態の駆動スキーム(「全体的限定」または「GL」駆動スキームと指定される)は、いかなる駆動電圧もゼロ白色−白色遷移を受けている画素に印加されないことを除いて、GC駆動スキームに類似する。例えば、白い背景上に黒いテキストを表示する電子書籍リーダとして使用されるディスプレイでは、特に、余白、および、テキストの1つのページから次のページまで不変のままであるテキスト行の間に、多数の白色画素があり、したがって、これらの白色画素を書き換えないことにより、ディスプレイ書換の明白な「点滅性」を実質的に低減させる。しかしながら、特定の問題が、この種類のGL駆動スキームには残っている。第1に、前述のMEDEOD出願のうちのいくつかで詳細に議論されるように、双安定電気光学媒体は、典型的には、完全には双安定ではなく、1つの極限光学状態に置かれた画素は、数分から数時間の期間にわたって中間グレーレベルに向かって徐々にドリフトする。特に、白色に駆動される画素は、明るいグレーの色に向かってゆっくりとドリフトする。したがって、GL駆動スキームでは、白色画素が、いくつかのページをめくることを通して駆動されないままであることが可能にされ、その間に、他の白色画素(例えば、テキストの文字の部分を形成する画素)が駆動される場合、新たに更新された白色画素は、駆動されていない白色画素よりわずかに明るくなり、最終的に、差は、一般的なユーザにさえも明白となる。
【0022】
第2に、駆動されていない画素が、更新されている画素に隣接して位置するとき、駆動された画素の駆動が、駆動される画素の面積よりわずかに広い面積にわたって光学状態の変化を引き起こし、この面積が、隣接画素の面積に侵入する、「ブルーミング」として知られている現象が起こる。そのようなブルーミングは、駆動されていない画素が駆動された画素に隣接して位置するエッジに沿って、エッジ効果として現れる。領域更新(ディスプレイの特定の領域のみが、例えば、画像を示すように更新される)により、エッジ効果が更新されている領域の境界で発生することを除いて、領域更新を使用するときに、類似エッジ効果が発生する。経時的に、そのようなエッジ効果は、視覚的に邪魔になり、消去されなければならない。これまで、そのようなエッジ効果(および駆動されていない白色画素における色ドリフトの効果)は、典型的には、間隔を置いて単一のGC更新を使用することによって除去されてきた。残念ながら、そのような時折のGC更新の使用は、「点滅性」更新という問題を再導入し、実際に、更新の点滅性は、点滅性更新が長い間隔のみで起こるという事実によって高められ得る。
【0023】
本発明は、依然として可能な限り点滅性更新を回避しながら、上記で議論される問題を低減または排除することに関する。しかしながら、前述の問題、すなわち、全体的DC均衡の必要性を解決しようとする際に、さらなる複雑な事態がある。前述のMEDEOD出願の多くで議論されるように、ディスプレイの電気光学的特性および耐用年数は、使用される駆動スキームが実質的にDC均衡化されていない場合に(すなわち、同一のグレーレベルで開始および終了する任意の一連の遷移中に、画素に印加されるインパルスの代数和がゼロに近くない場合に)、悪影響を受け得る。特に、1つより多くの駆動スキームを使用して実行される遷移を伴う、いわゆる「異種ループ」におけるDC均衡化の問題について議論している前述の米国特許第7,453,445号を参照されたい。DC均衡駆動スキームは、所与の時間における全正味インパルスバイアスが(有限数のグレー状態について)有界であることを確実にする。DC均衡駆動スキームでは、ディスプレイの各光学状態は、インパルスポテンシャル(IP)が割り当てられ、光学状態間の個々の遷移は、遷移の正味インパルスが、遷移の初期状態および最終状態の間のインパルスポテンシャルの差に等しいように定義される。DC均衡駆動スキームでは、任意の往復正味インパルスは、実質的にゼロであるように要求される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
先述の内容から、本発明は、電気光学ディスプレイを駆動すること、およびそのような方法で使用するための装置に関する、複数の別個の発明を提供することが明白である。これらの種々の発明を以下で別々に説明するが、単一のディスプレイが、これらの発明のうちの1つより多くを組み込んでもよいことが理解される。例えば、単一のディスプレイは、本発明の選択的全体更新および直線状エッジ余剰画素駆動スキーム方法を利用し、本発明の恣意的領域割当コントローラを使用できることが、容易に明白である。
【0039】
A部:本発明の選択的全体更新方法
上記で説明されるように、本発明の選択的全体更新(SGU)方法は、複数の画素を有する電気光学ディスプレイで使用するために意図されている。本方法は、全ての画素が各遷移で駆動される第1の駆動スキームと、いくつかの遷移を受ける画素が駆動されない第2の駆動スキームとを利用する。SGU方法では、第1の駆動スキームが、ディスプレイの第1の更新中に画素の非ゼロのわずかな割合に適用される一方で、第2の駆動スキームは、第1の更新中に残りの画素に適用される。第1の更新に続く第2の更新中に、第1の駆動スキームが、画素の異なる非ゼロのわずかな割合に適用される一方で、第2の駆動スキームは、第2の更新中に残りの画素に適用される。
【0040】
SGU方法の好ましい形態では、第1の駆動スキームは、GC駆動スキームであり、第2の駆動スキームは、GL駆動スキームである。この場合、SGU方法は、本質的に、ほとんどの更新が(比較的非点滅性の)GL駆動スキームを使用して実行され、時折の更新が(比較的点滅性の)GC駆動スキームを使用して実行される従来技術の方法を、画素のわずかな割合が各更新でGC駆動スキームを使用し、画素の大きな割合がGL駆動スキームを使用する方法と置換する。GC駆動スキームを使用した画素の分布の慎重な選択によって、本発明のSGU方法を使用した各更新は、(専門家ではないユーザにとって)純GL更新より有意に点滅性として知覚されない様式で達成することができる一方で、低頻度で点滅性の邪魔な純GC更新は回避される。
【0041】
例えば、特定のディスプレイは、4回の更新毎の1回の更新のためにGC駆動スキームの使用を必要とすることが分かっていると仮定する。本発明のSGU方法を実装するために、ディスプレイを画素の2×2グループに分割することができる。第1の更新中に、GC駆動スキームを使用して、各グループ内の1つの画素(例えば、左上の画素)が駆動される一方で、GL駆動スキームを使用して、3つの残りの画素が駆動される。第2の更新中に、GC駆動スキームを使用して、各グループ内の異なる画素(例えば、右上の画素)が駆動される一方で、GL駆動スキームを使用して、3つの残りの画素が駆動される。GC駆動スキームを使用して駆動される画素は、各更新で交代する。理論上、各更新は、純GC更新の4分の1の点滅性であるが、点滅性の増加は、特に顕著ではなく、従来技術の方法における各4番目の更新時の邪魔な純GC更新が回避される。
【0042】
どの画像が各更新においてGC駆動スキームを受け取るかに関する決定は、上記で議論された2×2グループ化配列の場合のように、何らかのモザイクパターンを使用して系統的に決定され、または、画素の適切な割合が各更新時にランダムに選択される状態で、例えば、画素の25パーセントが各更新時に選択される状態で、統計的に決定されてもよい。特定の「ノイズパターン」(すなわち、選択された画素の分布)が、他のものより良好に機能し得ることが、視覚心理学の当業者に明白となる。例えば、各更新時にGC駆動スキームを使用するために各隣接3×3グループから1つの画素を選択する場合、各更新時に各グループ内の対応する画素を設定しないことが有利であり得る。なぜなら、各更新時に各グループ内の対応する画素を設定することは、各グループ内の異なる画素を選択することによって引き起こされる「点滅性」画素の少なくとも疑似ランダムアレイよりも顕著であり得る「点滅性」画素の規則的アレイを生じさせるからである。
【0043】
少なくともいくつかの場合において、各更新時にGC駆動スキームを使用する画素の種々のグループを平行四辺形または疑似六角格子に配列することが望ましくあり得る。次いで、両方向に繰り返されると、そのような平行四辺形または疑似六角格子を提供する画素の正方形または長方形の「タイル」の例は、以下の通りである(数字は、GC駆動スキームが画素に適用される更新番号を指定する)。
1 2 5 4 6 3
6 3 1 2 5 4
5 4 6 3 1 2
および
1 2 6 7 8 3 4 5
3 4 5 1 2 6 7 8
6 7 8 3 4 5 1 2
5 1 2 6 7 8 3 4
8 3 4 5 1 2 6 7
2 6 7 8 3 4 5 1
4 5 1 2 6 7 8 3
7 8 3 4 5 1 2 6
【0044】
異なる使用モデルを考慮するために、選択された画素の1つより多くのパターンを使用することができる。更新中にページに軽く透かしを入れるために、異なる強度の1つより多くのパターンを使用することができる(例えば、GC駆動スキームを使用する1つの画素を有する3×3ブロックと比較して、GC駆動スキームを使用した1つの画素を有する2×2ブロック)。この透かしは、実行中に変化することができる。パターンは、他の望ましい透かしパターンを作成するような方法で、相互に対して移動させられることができる。
【0045】
本発明のSGU方法は、当然ながら、GC駆動スキームおよびGL駆動スキームの組み合わせに限定されず、一方の駆動スキームが他方ほど点滅性ではないと同時に、第2のスキームがより良好な性能を提供する限り、他の駆動スキームとともに使用されてもよい。また、2つ以上の駆動スキームを使用し、どの画素が部分的更新を受け、どれが完全更新を受けるかを変更することによって、同様の効果がもたらされる。
【0046】
本発明のSGU方法は、以下で詳細に説明される本発明のBPPWWTDSまたはWWTOPDS方法と組み合わせて有用に使用されることができる。SGU方法を実装することは、(本方法が従来技術の駆動スキームの組み合わせを使用することができるため)修正された駆動スキームの広範な開発を必要としないが、ディスプレイの明白な点滅性の実質的な低減を可能にする。
【0047】
B部:本発明の全体的完全複数駆動スキーム方法
上記で説明されるように、本発明の全体的完全複数駆動スキームまたはGCMDS方法は、複数の画素を有する電気光学ディスプレイを駆動する第2の方法であり、複数の画素のそれぞれは、第1の駆動スキームまたは第2の駆動スキームのいずれか一方を使用して駆動されることができる。全体的完全更新が必要とされるとき、画素は、2つ(以上)のグループに分割され、異なる駆動スキームが、各グループに対して使用され、駆動スキームは、少なくとも1つの遷移について、光学状態間の同一の遷移を伴う異なるグループ内の画素が同一の波形を経験しないように、相互に異なる。
【0048】
従来技術の全体的完全(GC)更新の点滅性の理由の一部は、そのような更新において、典型的には、多数の画素が同時に同一の波形を受けていることである。上記で説明される理由により、多くの場合、これは白色−白色波形であるが、他の場合においては(例えば、白いテキストが黒い背景上に表示されるとき)、黒色−黒色波形が点滅性の大部分に関与し得る。GCMDS方法では、同一の波形と同時に同一の遷移を受けるディスプレイの全画素を駆動する(したがって点滅させる)代わりに、少なくともいくつかの遷移について、異なる波形が同一の遷移を受ける異なるグループの画素に適用されるように、画素はグループ値が割り当てられる。したがって、同一画像状態遷移を受ける画素は、(必ずしも)同一の波形を受けず、したがって、同時に点滅しない。さらに、使用される画素グループおよび/または波形は、画像更新間で調整されてもよい。
【0049】
GCMDS方法を使用して、全体的完全更新の知覚された点滅性の実質的な低減を達成することが可能である。例えば、画素がチェッカー盤格子上で分割され、一方のパリティの画素がクラスAに割り当てられ、他方のパリティの画素がクラスBに割り当てられると仮定する。次いで、2つのクラスの白色−白色波形は、2つのクラスが決して同時に黒色状態にないように、時間においてオフセットされるように選択されることができる。そのような波形を配列する1つの方法は、両方の波形に従来の均衡パルス対波形(すなわち、等しいインパルスであるが反対極性の2つの矩形電圧パルスを備える波形)を使用するが、単一のパルスの持続時間だけ1つの波形を遅延させることである。この種類の一対の波形は、添付図面の
図1Aおよび
図1Bで図示されている。
図1Cは、画素の半分が
図1Aの波形を使用して駆動され、他方の半分が
図1Bの波形を使用して駆動されるディスプレイの時間に対する反射率を示す。
図1Cから、ディスプレイの反射率は、例えば、
図1Aの波形のみが使用された場合にそうであるように、決して黒色に近づかないことが分かる。
【0050】
他の波形対(またはより大きい多重線、すなわち、2つより多くのクラスの画素が使用されてもよい)が、同様の有益性を提供することができる。例えば、中間グレー−中間グレー遷移については、2つの「単一レールバウンス」波形を使用することができ、そのうちの一方は、中間グレーレベルから白色、および黒色から中間グレーへ画素を駆動する一方で、他方の波形は、中間グレーレベルから黒色へ駆動し、次いで、中間グレーに戻す。また、水平または垂直ストライプ、またはランダム白色雑音等の画素クラスの他の空間的配列も可能である。
【0051】
GCMDS方法の第2の形態では、クラスへの画素の分割は、1つ以上の一過性のモノクロ画像が更新中に表示されるように編成される。これは、むしろ、マジシャンがステージ右側から進入する象から観客の注目をそらせるのと同様に、更新中に発生する任意の点滅ではなく、中間画像(単数または複数)にユーザの注目を引くことによって、ディスプレイの明白な点滅性を低減させる。採用され得る中間画像の例は、モノクロチェッカー盤、会社ロゴ、ストライプ、時計、ページ数、またはエッシャープリントを含む。例えば、添付図面の
図2は、2つの一過性の水平ストライプ画像が遷移中に表示されるGCMDS方法を図示し、
図3は、2つの一過性のチェッカー盤画像が遷移中に表示されるGCMDS方法を図示し、
図4は、2つの一過性のランダムノイズパターンが遷移中に表示されるGCMDS方法を図示し、
図5は、2つの一過性のエッシャー画像が遷移中に表示されるGCMDS方法を図示する。
【0052】
上記で議論された2つの着想(複数の波形の使用および一過性の中間画像の使用)は、遷移の点滅性を低減させること、および、中間画像に注目を引くことによってユーザの気を散らすことの両方のために、同時に使用されてもよい。
【0053】
GCMDS方法の実装は、典型的には、画素クラスのマップを維持することができるコントローラを必要とし、そして、そのようなマップは、コントローラの中へ配線で接続されるか、またはソフトウェアを介してロードされてもよく、後者は、画素マップを任意に変更できるという利点を有することが理解される。各遷移に必要とされる波形を導出するために、コントローラは、マップから関連画素の画素クラスを取り出し、種々の可能な波形を定義するルックアップテーブルの中への付加的なポインタとしてその画素クラスを使用する。前述のMEDEOD出願、特に、米国特許第7,012,600号を参照されたい。代替として、種々の画素クラスの波形が、単純に単一の基本波形の遅延バージョンである場合、より単純な構造を使用することができ、例えば、2つの別個のクラスの画素を更新するために、単一の波形ルックアップテーブルを参照することができ、その場合、2つの画素クラスは、基本駆動パルス長の倍数に等しくあり得る時間シフトとともに更新し始める。クラスへの画素のいくつかの分割では、任意の画素のクラスが単にその行数および列数から計算されてもよいため、マップは不必要であり得る。例えば、
図2に示されるストライプパターン点滅では、その行数が偶数であるか、奇数であるかに基づいて、画素をそのクラスに割り当てることができる一方で、
図3に示されるチェッカー盤パターンでは、その行数および列数の合計が偶数であるか、奇数であるかに基づいて、画素をそのクラスに割り当てることができる。
【0054】
本発明のGCMDS方法は、双安定ディスプレイの更新中に点滅の視覚的影響を低減させる比較的単純なメカニズムを提供する。種々の画素クラスの時間遅延波形を用いたGCMDS方法の使用は、全体的更新時間にいくらか負担をかけてGCMDS方法の実装を大幅に単純化する。
【0055】
C部:本発明の均衡パルス対白色/白色遷移駆動スキーム方法
上記で説明されるように、本発明の均衡パルス対白色/白色遷移駆動スキーム(BPPWWTDS)は、双安定電気光学ディスプレイを駆動するときにエッジアーチファクトを低減または排除することを目的としている。エッジアーチファクトを生じる可能性が高いものとして識別され得、均衡パルス対(単数または複数)がエッジアーチファクトを消去または低減することに有効であるように時空間構成にある画素における白色−白色遷移中に、BPPWWTDSは、1つ以上の均衡パルス対(均衡パルス対の正味インパルスが実質的にゼロであるように、反対極性の一対の駆動パルスである均衡パルス対、つまり「BPP」)の印加を必要とする。
【0056】
BPPWWTDSは、遷移中に邪魔になる外観がない様式で、かつ有界DC不均衡を有する様式で、蓄積誤差の可視性を低減しようと試みる。これは、1つ以上の均衡パルス対をディスプレイの画素の部分集合に印加することによって達成され、部分集合の中の画素の割合は、均衡パルス対の印加が視覚的に邪魔ではないように十分に小さい。BPPの印加によって引き起こされる視覚的な邪魔は、容易に可視的な遷移を受ける他の画素に隣接する、BPPが印加される画素を選択することによって、低減させられてもよい。例えば、BPPWWTDSの1つの形態では、BPPは、白色−白色遷移受ける任意の画素に印加され、その画素は、(非白色)−白色遷移を受けるその8つの隣接画素のうちの少なくとも1つを有する。(非白色)−白色遷移は、それが適用される画素と白色−白色遷移を受ける隣接画素との間に可視的なエッジを誘導する可能性が高く、本可視的なエッジは、BPPの印加によって低減または排除されることができる。BPPが印加される画素を選択するためのこのスキームは、単純であるという利点を有するが、他の(特に、より保守的な)画像選択スキームが使用されてもよい。保守的スキーム(すなわち、画素のわずかな割合のみが、いずれか1つの遷移中にBPPを印加させられることを確実にするもの)は、そのようなスキームが遷移の全体的外観に最小の影響を及ぼすため、望ましい。
【0057】
既に示されたように、本発明のBPPWWTDSで使用されるBPPは、1つ以上の均衡パルス対を備えることができる。均衡パルス対の各半分は、対のそれぞれが同量を有するという条件でのみ、単一または複数の駆動パルスから成ってもよい。BPPの電圧は、BPPの2つの半分が同一の振幅を有するが、符号が反対でなければならないという条件でのみ、変化してもよい。ゼロ電圧の期間が、BPPの2つの半分の間、または連続するBPPの間で起こってもよい。例えば、1つの実験(その結果が以下で説明される)では、均衡BPPは、一連の6つのパルス、+15V、−15V、+15V、−15V、+15V、−15Vを含み、各パルスは、11.8ミリ秒続く。BPPの列が長くなるほど、得られるエッジ消去が大きくなることが経験的に分かっている。BPPが、(非白色)−白色遷移を受ける画素に隣接する画素に印加される場合に、(非白色)−白色遷移に対して時間的にBPPを偏移させることもまた、得られるエッジ低減の程度に影響を及ぼすことも分かっている。現在、これらの所見の完全な理論的説明はない。
【0058】
先行段落で参照される実験では、従来技術の全体的限定(GL)駆動スキームと比較して、BPPWWTDSが蓄積エッジの可視性を低減させるのに効果的であることが分かった。添付図面の
図6は、2つの駆動スキームに対する種々のグレーレベルのL*値の差を示し、BPPWWTDSのL*差は、GL駆動スキームのL*差よりはるかにゼロに近い(同一である)ことが分かる。BPPWWTDSの適用後のエッジ領域の顕微鏡検査は、改善を考慮し得る2つの種類の応答を示す。場合によっては、実際のエッジがBPPWWTDSの適用によって損なわれることが考えられる。他の場合においては、エッジは、あまり損なわれないが、暗いエッジに隣接して、別の明るいエッジが形成されることが考えられる。このエッジ対は、通常のユーザ距離から視認されたときに打ち消される。
【0059】
場合によっては、BPPWWTDSの適用は、実際に、エッジ効果を過剰補正し得ることが分かっている(負の値を成すL*差によって、
図6のプロットにようにプロットで示される)。4つのBPPの列を使用した実験でのそのような過剰補正を示す、
図7を参照されたい。そのような過剰補正が発生した場合、採用されるBPPの数を低減させることによって、または(非白色)−白色遷移に対してBPPの時間的位置を調整することによって、過剰補正が低減または排除され得ることが分かっている。例えば、
図8は、エッジ効果を補正するために1つから4つのBPPを使用した実験の結果を示す。特定の媒体が試験されると、2つのBPPが最良のエッジ補正を生じると考えられる。BPPの数および/または(非白色)−白色遷移に対するBPPの時間的位置は、予測されるエッジ可視性の最適な補正を提供するように、時変的に(例えば、実行中に)調整されることができる。
【0060】
上記で議論されたように、双安定電気光学媒体に使用される駆動スキームは、通常は、DC均衡化されるべきであり、すなわち、駆動スキームの公称DC不均衡は、有界であるべきである。BPPは、本質的にDC均衡化されると考えられ、したがって、駆動スキームの全体的DC均衡に影響を及ぼすべきではないが、双安定電気光学媒体を駆動するために使用される、通常は裏面に存在する画素キャパシタ上の電圧の急激な逆転(例えば、米国特許第7,176,880号参照)は、実践でいくらかのDC不均衡を誘導し得るBPPの第2の半分の間にキャパシタの不完全な充電をもたらし得る。隣接画素のうちのいずれも非ゼロ遷移を受けていない画素に印加されるBPPは、画素の白色化または光学状態の他の変動につながり得、白色以外への遷移を受けている隣接画素を有する画素に印加されるBPPは、画素のいくらかの暗色化をもたらし得る。したがって、BPPを受け取る画素が選択される規則を選択する際に、かなりの注意を払うべきである。
【0061】
本発明のBPPWWTDSの1つの形態では、特定の画素が遷移中に1つ以上のBPPを印加させられるべきかどうかを決定するように、論理関数が初期画像および最終画像(すなわち、遷移の前および後の画像)に適用される。例えば、BPPWWTDSの種々の形態は、4つ全ての主要隣接画素(すなわち、問題となっている画素と、単に角ではなく、共通のエッジを共有する画素)が最終白色状態を有し、少なくとも1つの主要隣接画素が、初期非白色状態を有する場合に、白色−白色遷移を受ける画素が、BPPを印加させられることを特定し得る。この条件が適用されない場合、ゼロ遷移が画素に適用され、すなわち、画素は遷移中に駆動されない。当然ながら、他の論理選択規則を使用することができる。
【0062】
BPPWWTDSの別の変形例は、事実上、エッジクリーニングをさらに増加させるように、白色−白色遷移を受ける特定の選択された画素に全体的完全駆動スキームを適用することによって、BPPWWTDSを本発明のSGU駆動スキームと組み合わせる。SGU駆動スキームの議論において上述のように、白色−白色遷移のGC波形は、典型的には、非常に点滅性であり、いずれか1つの遷移中に、この波形を画素のわずかな割合のみに適用することが重要である。例えば、その主要隣接画素のうちの3つが関連遷移中に非ゼロ遷移を受けているときにのみ、GC白色−白色波形が画素に適用されるという論理規則を適用し得る。そのような場合において、GC波形の点滅性は、3つの遷移する主要隣接画素のアクティビティの間で隠される。さらに、第4の主要隣接画素がゼロ遷移を受けている場合、関連画素に印加されているGC白色−白色波形は、BPPをこの第4の主要隣接画素に印加することが望ましくあり得るように、第4の主要隣接画素の中のエッジを縁取りしてもよい。
【0063】
BPPWWTDSの他の変形例は、背景の領域、すなわち、初期状態および最終状態の両方が白色である領域を選択するように、GC白色−白色(以降では「GCWW」)遷移の適用を伴う。これは、所定数の更新の間に全画素が一度に表示されるように行われ、それによって、経時的にエッジおよびドリフトアーチファクトの表示を消去する。先行段落で議論された変形例との主な違いは、どの画素がGC更新を受け取るべきかに関する決定が、隣接画素のアクティビティではなく、空間的位置および更新数に基づくことである。
【0064】
1つのそのような変形例では、GCWW遷移は、更新ごとに交代する基準で、背景画素のディザー部分母集団に適用される。上記のA部で議論されるように、これは、画像ドリフトの効果を低減させることができる。なぜなら、更新中に背景白色状態で軽微な点滅または浸潤のみを生じながら、いくつかの所定数の更新後に、全ての背景画素が更新されるからである。しかしながら、本方法は、周辺画素自体が更新されるまで持続する各自のエッジアーチファクトを更新される画像の周囲に生じる。BPPWWTDSに従って、有意なエッジアーチファクトを導入することなく、背景画素を更新することができるように、エッジ低減BPPが、GCWW遷移を受ける画素の隣接画素に印加されてもよい。
【0065】
さらなる変形例では、GCWW波形を用いて駆動されている画素の部分集合は、下位部分母集団にさらに分離される。結果として生じた下位部分母集団のうちの少なくともいくつかは、それらの一部のみが、遷移中の所与の時に暗状態であるように、GCWW波形の時間遅延バージョンを受け取る。これは、更新中に既に弱化した点滅の影響をさらに軽減する。BPP信号の時間遅延バージョンはまた、これらの下位部分母集団の隣接画素にも適用される。この手段を用いて、画像ドリフトへの暴露の一定の低減のために、明白な背景点滅を低減させることができる。下位部分母集団の数は、容認可能と見なされる更新時間の増加(遅延信号の使用によって引き起こされる)によって限定される。典型的には、2つの下位部分母集団が使用される、これは、名目上、更新時間を1つの基本駆動パルス幅(典型的には、25℃では240ミリ秒)だけ増加させる。また、過剰に低密度の下位部分母集団を有することによっても、個々の更新背景画素を、心理視覚的により明白にし、これは、望ましくない場合がある、異なる種類の邪魔を追加する。
【0066】
本発明のBPPWWTDSの種々の形態を実装するためのディスプレイコントローラ(前述の米国特許第7,012,600号で説明されるもの等)の修正は、容易である。1つ以上のバッファが、遷移の初期画像および最終画像を表すグレースケールデータを記憶する。このデータ、ならびに、温度および駆動スキーム等の他の情報から、コントローラは、各画素に印加する正しい波形をルックアップテーブルから選択する。BPPWWTDSを実装するために、隣接画素によって受けられている遷移、各画素が属するサブグループ、および更新数(画素の異なるサブグループが異なる更新において更新されているとき)に応じて、同一の初期グレー状態および最終(特に、白色を表す状態)のためのいくつかの異なる遷移の間で選択するように、メカニズムが提供されなければならない。この目的で、コントローラは、付加的なグレーレベルであるかのような付加的な「準状態」を記憶することができる。例えば、ディスプレイが16のグレートーン(ルックアップテーブルでは0から15と番号付けされる)を使用する場合、必要とされる白色遷移のタイプを表すために、状態16、17、および18を使用することができる。これらの準状態値は、本システムにおいて種々の異なるレベルで、例えば、ホストレベルで、ディスプレイバッファへのレンダリングの点で、またはLUTアドレスを生成するときにコントローラにおいてさらに低いレベルで、生成されることができる。
【0067】
本発明のBPPWWTDSのいくつかの変形例を想定することができる。例えば、均衡パルス対の代わりに、駆動パルスの任意の短いDC均衡、またはDC不均衡シーケンスさえも使用することができる。均衡パルス対は、トップオフパルスに置換されることができ(以下のD部を参照)、またはBPPおよびトップオフパルスを組み合わせて使用されることができる。
【0068】
本発明のBPPWWTDSは、主に白色状態エッジ低減に関して上記で説明されているが、BPPWWTDSで使用される駆動パルスの極性を単に低減させることによって容易に達成され得る暗状態エッジ低減にも適用可能であり得る。
【0069】
本発明のBPPWWTDSは、多くのユーザによって不快と見なされる、周期的な全体的完全更新を必要としない「無点滅」駆動スキームを提供することができる。
【0070】
D部:本発明の白色/白色トップオフパルス駆動スキーム方法
上記で説明されるように、エッジアーチファクトを低減または排除するための本発明の第4の方法は、画素における白色−白色遷移中に、「特別なパルス」が印加されるという点で、上記で説明されるBPPWWTDSに類似しており、その画素は、エッジアーチファクトを生じる可能性が高いものとして識別されることができ、特別なパルスがエッジアーチファクトを消去または低減することに有効となるように、時空間構成にある。しかしながら、この第4の方法は、特別なパルスが均衡パルス対ではなく、むしろ「トップオフ」または「リフレッシュ」パルスであるという点で、第3の方法とは異なる。「トップオフ」または「リフレッシュ」パルスという用語は、前述の米国特許第7,193,625号と同様に、画素をその極限光学状態に向かって駆動する傾向がある、1つの極限光学状態(通常は白色または黒色)またはその付近にある画素に印加されるパルスを指すために本明細書で使用される。本事例において、「トップオフ」または「リフレッシュ」パルスという用語は、画素をその極限白色状態に駆動する極性を有する駆動パルスの白色またはほぼ白色の画素への印加を指す。本発明のこの第4の駆動方法は、便宜上、以降では本発明の「白色/白色トップオフパルス駆動スキーム」または「WWTOPDS」方法と称され得る。
【0071】
本発明のWWTOPDS方法においてトップオフパルスが印加される画素を選択するための基準は、上記で説明されるBPPWWTDS方法における画素選択のための基準に類似する。したがって、いずれか1つの遷移中にトップオフパルスが印加される画素の割合は、トップオフパルスの印加が視覚的に邪魔ではないように十分に小さくあるべきである。トップオフパルスの印加によって引き起こされる視覚的な邪魔は、容易に可視的な遷移を受ける他の画素に隣接する、トップオフパルスが印加される画素を選択することによって、低減されてもよい。例えば、WWTOPDSの1つの形態では、トップオフパルスは、白色−白色遷移受ける任意の画素に印加され、その画素は、(非白色)−白色遷移を受けるその8つの隣接画素のうちの少なくとも1つを有する。(非白色)−白色遷移は、それが適用される画素と白色−白色遷移を受ける隣接画素との間に可視的なエッジを誘導する可能性が高く、この可視的なエッジは、トップオフパルスの印加によって低減または排除されることができる。トップオフパルスが印加される画素を選択するためのこのスキームは、単純であるという利点を有するが、他の(特に、より保守的な)画像選択スキームが使用されてもよい。保守的スキーム(すなわち、画素のわずかな割合のみが、いずれか1つの遷移中にトップオフパルスを印加させられることを確実にするもの)は、そのようなスキームが遷移の全体的外観に最小の影響を及ぼすため、望ましい。例えば、典型的な黒色−白色波形が、隣接画像にエッジを誘導する可能性は低いため、他の予測エッジ蓄積が画素にない場合、トップオプパルスを隣接画素に印加する必要がない。例えば、シーケンスを表示する2つの隣接画素(P1およびP2と指定される)を考慮されたい。
PI:W−>W−>B−>W−>W、および
P2:W−>B−>B−>B−>W
P2は、その白色−黒色遷移中にP1にエッジを誘導する可能性が高いが、このエッジは、後にP1の黒色−白色遷移中に消去されるため、最終的なP2の黒色−白色遷移がP1におけるトップオフパルスの印加を引き起こさないはずである。多くのより複雑な保守的なスキームを開発することができる。例えば、エッジの誘導は、隣接画素ごとに予測されることができる。さらに、ある所定の閾値を下回る場合に、いくつかの少数のエッジを触れないままにしておくことが望ましくあり得る。代替として、エッジ効果が非常に異なるグレーレベルを有する2つの画素の間のエッジに隣接して位置するときに、エッジ効果が容易に可視的ではない傾向があるため、画像が白色画素のみによって包囲される状態になるまで、エッジを消去する必要がない場合がある。
【0072】
1つの画素へのトップオフパルスの印加が、(非白色)−白色遷移を受けるその8つの隣接画素のうちの少なくとも1つと相関しているとき、隣接画素上の遷移に対するトップオフパルスのタイミングが、達成されるエッジ低減の程度に実質的な影響を及ぼし、トップオフパルスが隣接画素に印加される波形の終了と一致するときに、最良の結果が得られることが、経験的に分かっている。この経験的所見の理由は、現在、完全には理解されていない。
【0073】
本発明のWWTOPDS方法の1つの形態では、トップオフパルスが、インパルスバンキング駆動スキームと併せて印加される(それに関しては以下のF部を参照)。そのような組み合わせWWTOPDS/IBDSでは、トップオフパルスの印加に加えて、DC均衡が復元されるときに、クリアリングスライドショー波形(すなわち、画素をその極限光学状態に繰り返し駆動する波形)が、画素に時折印加される。この種類の駆動スキームは、添付図面の
図9で図示されている。トップオフおよびクリアリング(スライドショー)波形の両方は、画素選択条件が満たされたときのみ印加され、全ての他の場合においては、ゼロ遷移が使用される。そのようなスライドショー波形は、画素からエッジアーチファクトを除去するが、可視的な遷移である。この種類の1つの駆動スキームの結果は、添付図面の
図10に示され、これらの結果は、
図6のものと比較されてもよいが、垂直スケールが2組のグラフで異なることに留意されたい。クリアリングパルスの周期的な印加により、シーケンスは単調ではない。スライドショー波形の印加は、稀にしか起こらず、他の可視的なアクティビティに隣接してのみ起こるように制御されることができるため、顕著である場合はほとんどない。スライドショー波形は、画素を本質的に完全にクリーニングするという利点を有するが、クリーニングを必要とするエッジアーチファクトを隣接画素に誘導するという不利点を有する。これらの隣接画素は、エッジアーチファクトを含む可能性が高いものとしてフラグ付けされてもよく、したがって、次の利用可能な機会にクリーニングを必要とするが、結果として生じた駆動スキームは、エッジアーチファクトの複雑な発展につながり得ることが理解される。
【0074】
本発明のWWTOPDS方法の別の形態では、DC不均衡にかかわらず、トップオフパルスが印加される。これは、ディスプレイへの長期間の損傷というあるリスクを呈するが、おそらく、長期時間枠にわたって拡散したそのようなわずかなDC不均衡は、有意とならないはずであり、実際に、正および負の電圧方向へのTFT上の不均等な蓄電キャパシタ充電により、市販のディスプレイは、同程度のDC不均衡を既に受けている。この種類の1つの駆動スキームの結果は、添付図の
図11に示され、これらの結果は、
図6のものと比較されてもよいが、垂直スケールが2組のグラフの中では異なることに留意されたい。
【0075】
本発明のWWTOPDS方法は、DC不均衡が数学的に有界であることなく、トップオフパルスが統計的にDC均衡化されるように適用されてもよい。例えば、典型的な電気光学媒体について平均して均衡化される様式で、「トップオフ」遷移を均衡化するように「ペイバック」遷移を適用することができるが、正味インパルスのいかなる集計も、個々の画素について追跡されない。エッジ可視性を低減させる時空間の状況で印加されるトップオフパルスは、それらが動作する正確なメカニズムにかかわらず有用であることが分かっている。場合によっては、エッジが有意に消去されると考えられる一方で、他の場合においては、エッジアーチファクトの暗さを局所的に補償する程度まで、画素の中心が明るくされると考えられる。
【0076】
トップオフパルスは、1つまたは1つより多くの駆動パルスを含むことができ、単一の駆動電圧、または異なる駆動パルスにおける一連の異なる電圧を使用してもよい。
【0077】
本発明のWWTOPDS方法は、多くのユーザによって不快と見なされる周期的な全体的完全更新を必要としない「無点滅」駆動スキームを提供することができる。
【0078】
E部:本発明の直線状エッジ余剰画素駆動スキーム方法
既述のように、本発明の「直線状エッジ余剰画素駆動スキーム」または「SEEPDS」方法は、駆動された画素と駆動されていない画素との間の直線状エッジに沿って発生するエッジアーチファクトを低減または排除しようとする。人間の眼は、特に、線形エッジアーチファクト、特に、ディスプレイの行または列に沿って延在するものに敏感である。SEEPDS方法では、駆動された領域と駆動されていない領域との間の直線状エッジに隣接して位置するいくつかの画素は、遷移によって引き起こされる、いかなるエッジ効果も直線状エッジに沿って位置するのみならず、この直線状エッジと垂直なエッジを含むように、実際に駆動される。このようにして限られた数の余剰画素を駆動することにより、エッジアーチファクトの可視性を大幅に低減させることが分かっている。
【0079】
SEEPDS方法の基本原理は、添付図面の
図12Aおよび
図12Bで図示されている。
図12Aは、上半分が黒色であり、下半分が白色である第1の画像から、全て白色である第2の画像へ遷移するために、領域または部分的更新が使用される従来技術の方法を図示する。領域または部分的駆動スキームが更新のために使用され、第1の画像の黒色の上半分のみが書き換えられるため、元の黒色領域と白色領域との間の境界に沿って、エッジアーチファクトが結果として生じる可能性が高い。そのような長い水平エッジアーチファクトは、ディスプレイの観察者に容易に可視的となり、不快となる傾向がある。
図12Bで図示されるようなSEEPDS方法に従って、更新は、2つの別個のステップに分けられる。更新の第1のステップは、元の黒色/白色境界の理論上「駆動されていない」側(すなわち、初期画像および最終画像の両方において、画素が同一の色、すなわち、白色である側)のある白色画素を黒色に変え、したがって、黒色領域と白色領域との間の境界が蛇行し、元の直線境界に、元の境界と垂直に延在する多数の区画が提供されるように、黒色に駆動される白色画素が、元の境界に隣接する一連の実質的に三角形の領域内に配置される。第2のステップは、第1のステップにおいて黒色に駆動された「余剰」画素を含む全ての黒色画素を白色に変える。たとえこの第2のステップが、第1のステップ後に存在する白色領域と黒色領域との間の境界に沿ったエッジアーチファクトを残しても、これらのエッジアーチファクトは、
図12Bに示される蛇行する境界に沿って分配され、
図12Aに示される直線状境界に沿って延在する類似アーチファクトほど観察者にとってはるかに可視的ではない。エッジアーチファクトは、場合によっては、第1のステップ後に確立された蛇行する境界に隣接する黒色画素の少なくとも大部分を有するため、短期間にわたって1つの光学状態にのみとどまっているとき、いくつかの電気光学媒体があまり可視的ではないエッジアーチファクトを表示するため、さらに低減させられ得る。
【0080】
SEEPDS方法で実行されるパターンを選択するときに、
図12Bに示される蛇行する境界の周波数が高すぎないことを確実にするように、注意を払うべきである。画素間隔の周波数に匹敵する高すぎる周波数は、元の境界と垂直なエッジに、不鮮明でより暗い外観を持たせ、エッジアーチファクトを低減させるよりむしろ強化する。そのような場合において、境界の周波数は、低減させられるべきである。しかしながら、低すぎる周波数もまた、アーチファクトを高度に可視的にし得る。
【0081】
SEEPDS方法では、更新スキームは、以下のようなパターンに従ってもよい。
−領域−>標準画像[任意の時間量]−領域(新しいエッジを捕捉するようにわずかに拡張される)−>修正されたエッジを伴う画像−領域−>次の画像、または、
−部分−>標準画像[任意の時間量]−部分−>修正されたエッジを伴う画像−部分−>次の画像
代替として、完全更新が特定の領域中で使用されている場合、パターンは以下であってもよい。
−全領域−>標準画像[任意の時間量]−領域(新しいエッジを捕捉するようにわずかに拡張される)−>次の画像
【0082】
ディスプレイの電気光学特性への容認できない干渉があるならば、ディスプレイは、以下のパターンに従って、常にSEEPDS方法を利用し得る。
−部分−>修正されたエッジを伴う標準画像[任意の時間量]−部分−>次の画像
【0083】
複数の更新にわたってエッジアーチファクトを低減させるために、反復更新における反復エッジ成長を低減させるために
図12Bに示されるもの等の蛇行する境界の曲線の位置を変化させるように、SEEPDS方法を編成することができる。
【0084】
SEEPDS方法は、領域および/または部分的更新を利用するディスプレイにおいて、可視的なエッジアーチファクトを実質的に低減させることができる。本方法は、使用される全体的駆動スキームの変更を必要とせず、SEEPDS方法のいくつかの形態は、ディスプレイコントローラの変更を必要とすることなく実装されることができる。本方法は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれか一方を介して実装されることができる。
【0085】
F部:本発明のインパルスバンク駆動スキーム方法
既述のように、本発明のインパルスバンク駆動スキーム(IBDS)方法では、画素は、インパルス「負債」を追跡する「バンク」からインパルス単位を借りるか、または返すことを「可能にされる」。一般に、画素は、ある目標を達成する必要があるときに、バンクから(正または負のいずれか一方である)インパルスを借り、完全DC均衡駆動スキームに必要とされるものよりも小さいインパルスを使用して、次の所望の光学状態に達することが可能であるときに、インパルスを返す。実践では、インパルス返還波形は、低減したインパルスを伴う所望の光学状態を達成するために、均衡パルス対およびゼロ電圧の期間等のゼロ正味インパルス調整要素を含むことができる。
【0086】
明らかに、IBDS方法は、ディスプレイが、ディスプレイの各画素の1つの値を含む「インパルスバンクレジスタ」を維持することを要求する。画素が通常のDC均衡駆動スキームから逸脱する必要があるとき、関連画素のインパルスバンクレジスタは、逸脱を表すように調整される。任意の画素のレジスタ値が非ゼロであるとき(すなわち、画素が通常のDC均衡駆動スキームから逸脱したとき)、通常のDC均衡駆動スキームの対応する波形とは異なり、レジスタ値の絶対値を低減させる低減したインパルス波形を使用して、画素の少なくとも1つの後続の遷移が行われる。過剰なDC不均衡は、画素の性能に悪影響を及ぼす可能性が高いため、いずれか1つの画素が借りることができるインパルスの最大量は、所定の値に限定されるべきである。所定のインパルス限界に達した状況に対処するように、用途特有の方法が開発されるべきである。
【0087】
IBDS方法の単純な形態が、添付図面の
図9に示されている。この方法は、16グレーレベルディスプレイを制御するように設計されている市販の電気泳動ディスプレイコントローラを使用する。IBDS方法を実装するために、通常、16のグレーレベルに割り当てられる16のコントローラ状態は、4つのグレーレベル、および4つのインパルス負債レベルに再び割り当てられる。IBDSコントローラの商業的実装は、定数のグレーレベルが、いくつかのインパルス負債レベルで使用されることを可能にするように、付加的な記憶を可能にすることが理解される。以下のG節を参照されたい。
図9で図示されるIBDS方法では、所定の条件(ゼロ遷移が通常はゼロ正味インパルスを有するはずである)下で白色−白色遷移中にトップオフパルスを行うように、単一の単位(−15V駆動パルス)のインパルスが借りられる。インパルスは、白色に向かった1つの駆動パルスが欠如している黒色−白色遷移を行うことによって返済される。いかなる是正措置も存在しない場合に、1つの駆動パルスの省略は、結果として生じた白色状態を、定数の駆動パルスを使用した白色状態よりわずかに暗くする傾向がある。しかしながら、プレパルス均衡パルス対、または満足できる白色状態を達成することができるゼロ電圧の中間期間等の、いくつかの既知の「調整」方法がある。最大インパルス借用(3単位)に達した場合、完全な白色−白色スライドショー遷移が不足している3インパルス単位であるクリアリング遷移が適用され、この遷移に使用される波形は、当然ながら、インパルス不足の視覚効果を除去するように調整させられなければならない。そのようなクリアリング遷移は、そのより大きな可視性により、望ましくなく、したがって、IBDSがインパルス借用において保守的であり、インパルス返済において迅速であるための規則を設計することが重要である。IBDS方法の他の形態は、インパルス返済に付加的な遷移を利用し、それによって、強制クリアリング遷移が必要とされる回数を削減することができる。IBDS方法のさらに他の形態は、DC均衡が短い時間尺度にわたってのみ維持されるように、インパルス欠如または余剰が時間とともに減衰するインパルスバンクを利用することができ、少なくともいくつかの種類の電気光学媒体が、そのような短期DC均衡のみを必要とするといういくつかの経験的証拠がある。明らかに、インパルス欠如または余剰を時間とともに減衰させることにより、インパルス限界に達する機会の数、したがって、クリアリング遷移が必要とされる機会の数を削減する。
【0088】
本発明のIBDS方法は、非点滅性駆動スキームにおけるエッジ残影等の双安定性ディスプレイにおけるいくつかの実用的問題を低減または排除することができ、依然としてDC不均衡に境界を維持しながら、個別画素レベルまでの駆動スキームの対象依存性適合を提供する。
【0089】
G部:ディスプレイコントローラ
先述の説明から容易に明白となるように、本発明の方法の多くは、従来技術のディスプレイコントローラの望ましい修正を要求または提供する。例えば、中間画像が2つの所望の画像の間にディスプレイ上で点滅させられる、上記のB部で説明されたGCMDS方法の形態(この変形例は、以降で「中間画像GCMDS」または「II−GCMDS」方法と称される)は、同一の全体的遷移を受ける(すなわち、同一の初期グレーレベルおよび最終グレーレベルを有する)画素が、中間画像内の画素のグレーレベルに応じて、2つ以上の異なる波形を受けることを要求し得る。例えば、
図5で図示されるII−GCMDS方法では、初期画像および最終画像の両方の中で白色である画素は、それらが第1の中間画像の中で白色であり、第2の中間画像の中で黒色であるか、第1の中間画像の中で黒色であり、第2の中間画像の中で白色であるかに応じて、2つの異なる波形を受ける。したがって、そのような方法を制御するために使用されるディスプレイコントローラは、通常、遷移画像(単数または複数)と関連付けられる画像マップに従って、各画素を利用可能な遷移のうちの1つにマップしなければならない。明確に、2つより多くの遷移が、同一の初期状態および最終状態と関連付けられ得る。例えば、
図4で図示されるII−GCMDS方法では、初期画像および最終画像との間の白色−白色遷移が4つの異なる波形と関連付けられ得るように、画素は、両方の中間画像で黒色、両方の中間画像で白色、または一方の中間画像で黒色、および他方の中間画像で白色であってもよい。
【0090】
遷移情報の記憶を可能にするために、ディスプレイコントローラの種々の修正を使用することができる。例えば、通常、最終画像の中の各画像のグレーレベルを記憶する画像データテーブルは、各画素が属するクラスを指定する1つ以上の付加的なビットを記憶するように修正されてもよい。例えば、画素が最終画像の中で16のグレーレベルのうちのいずれを成すかを示すように、各画素に対して4ビットを以前に記憶した画像データテーブルは、各画素に対して5ビットを記憶するように修正され得、各画素の最上位ビットは、画素がモノクロ中間画像の中で2つの状態(黒色または白色)のうちのいずれを成すかを定義する。明確に、中間画像がモノクロではない場合、または1つより多くの中間画像が使用される場合に、1つより多くの付加的なビットが、各画素のために記憶される必要があり得る。
【0091】
代替として、遷移状態マップに基づいて、異なる画像遷移を、異なる波形モードに符号化することができる。例えば、波形モードAが、画素に中間画像で白色状態を有した遷移を通過させる一方で、波形モードBは、画素に中間画像で黒色状態を有した遷移を通過させる。
【0092】
中間画像が円滑に出現するように、両方の波形モードが同時に更新し始めることが明確に望ましく、この目的で、ディスプレイコントローラの構造の変化が必要である。ホストプロセッサ(すなわち、画像をディスプレイコントローラに提供するデバイス)は、画像バッファにロードされる画素が波形モードAまたはBのいずれか一方と関連付けられることをディスプレイコントローラに示さなければならない。この能力は、従来技術のコントローラには存在しない。しかしながら、合理的な近似は、現在のコントローラの領域更新特徴(すなわち、コントローラがディスプレイの異なる領域中で異なる駆動スキームを使用することを可能にする特徴)を利用すること、および1つのスキャンフレームによってオフセットされた2つのモードを開始することである。中間画像が適正に出現することを可能にするために、この単一スキャンフレームオフセットを念頭に置いて、波形モードAまたはBが構築されなければならない。加えて、ホストプロセッサは、2つの画像を画像バッファにロードし、2つの領域更新を命令するように要求される。画像バッファにロードされる画像1は、波形モードA領域を受ける画素のみが変化させられる、初期画像および最終画像の複合画像でなければならない。複合画像がロードされると、ホストは、波形モードAを使用して領域更新を開始するようにコントローラに命令しなければならない。次のステップは、画像2を画像バッファにロードし、波形モードBを使用して全体的更新を命令することである。第1の領域更新コマンドを用いて命令された画素が、既に更新に組み込まれているため、波形モードBに割り当てられた中間画像の暗領域中の画素のみが、全体的更新を受ける。現在のコントローラアーキテクチャを用いると、画素毎パイプラインアーキテクチャを伴い、かつ/または長方形領域サイズに制限がないコントローラのみが、先述の手順を達成することができる。
【0093】
波形モードAおよび波形モードBでの各個別遷移は、同一であるが、それらのそれぞれの第1のパルスの長さだけ単純に遅延させられるため、単一の波形を使用して、同一の成果を達成することができる。ここで、第2の更新(前の段落での全体的更新)は、第1の波形パルスの長さだけ遅延させられる。次いで、画像2は、画像バッファにロードされ、同一の波形を使用した全体的更新を用いて命令される。長方形領域との同一の自由が必要である。
【0094】
ディスプレイコントローラの他の修正が、上記のC部で説明された本発明のBPPWWTG方法によって必要とされる。既に説明されたように、BPPWWTG方法は、均衡パルス対が印加され得る画素の隣接画素によって受けられている遷移を考慮に入れる規則に従って、特定の画素への均衡パルス対の印加を必要とする。これを達成するために、少なくとも2つの付加的な遷移(グレーレベルの間ではない遷移)が必要であるが、現在の4ビット波形は、付加的な状態に適応することができず、したがって、新しいアプローチが必要とされる。3つのオプションが以下で議論される。
【0095】
第1のオプションは、GCMDS方法を参照して上記で説明されるのと同様に、各画素に対して少なくとも1つの付加的なビットを記憶することである。そのようなシステムが稼働するために、次の状態情報の計算が、ディスプレイコントローラ自体の上流の全画素で行われなければならない。ホストプロセッサは、画素の適正な波形を決定するように、全画素の初期画像および最終画像、ならびにその最も近い隣接画素の初期および最終を評価しなければならない。そのような方法のためのアルゴリズムが、上記で提案されている。
【0096】
BPPWWTG方法を実装するための第2のオプションは、この場合もまた、GCMDS方法を実装するための方法に類似し、すなわち、(グレーレベルを表す通常の16の状態に加えて)付加的な画素状態を2つの別個の波形モードに符号化することである。実施例は、光学的なグレーレベル間の遷移を符号化する従来の16状態波形である波形モードA、および2つの状態(状態16および17)およびそれらと状態15との間の遷移を符号化する新しい波形モードである波形モードB。しかしながら、これは、モードBでの特別な状態のインパルスポテンシャルが、モードAで同一ではないという潜在的な問題を生じる。1つの解決策は、白色−白色遷移と同じくらい多くのモードを有し、各モードでその遷移のみを使用して、モードA、B、およびCを生成することであるが、これは非常に非効率的である。代替として、最初に、モードB−モードA遷移を行う画素を状態16にマップし、次いで、後続のモードA遷移において状態16から遷移する、ゼロ波形を送ることができる。
【0097】
このような二重モード波形システムを実装するために、二重波形実装オプション3に類似する対策を考慮することができる。第1に、コントローラは、画素の初期画像状態および最終画像状態、ならびにその最も近い隣接画素の初期画像状態および最終画像状態の画素単位の調査を通して、全画素の次の状態を変更する方法を決定しなければならない。遷移が波形モードAに入る画素について、これらの画素の新しい状態が、画像バッファにロードされなければならず、次いで、これらの画素の領域更新が、波形モードAを使用するように命令されなければならない。1つのフレーム後に、遷移が波形モードBに入る画素について、これらの画素の新しい状態が、画像バッファにロードされなければならず、次いで、これらの画素の領域更新が、波形モードBを使用するように命令されなければならない。現在のコントローラアーキテクチャを用いると、画素毎パイプラインアーキテクチャを伴い、かつ/または長方形領域サイズに制限がないコントローラのみが、先述の手順を達成することができる。
【0098】
第3のオプションは、随意的な状態情報のための付加的なメモリ空間とともに、別個の最終画像バッファおよび初期画像バッファ(連続画像と交互にロードされる)を有する新しいコントローラアーキテクチャを使用することである。これらは、各画素の最も近い隣接画素の初期状態、最終状態、および付加的な状態、ならびに検討中の画素への影響を考慮しながら、全画素に種々の演算を行うことができるパイプラインオペレータを供給する。オペレータは、各画素に対して波形テーブルインデックスを計算し、これを別個のメモリ位置に記憶し、必要に応じて、画素の保存された状態情報を変更する。代替として、メモリ形式が使用されてもよく、それによって、メモリバッファの全てが、各画素に対する単一の大型ワードに接合される。これは、全画素の異なるメモリ位置からの読取の数の削減を提供する。加えて、32ビットワードが、各画素の波形ルックアップテーブルへの恣意的な入力を可能にするように、フレームカウントタイムスタンプフィールドとともに提案される(画素毎パイプライン方式)。最終的に、オペレータ構造へのデータの効率的な移動を可能にするように、3つの画像行が高速アクセスレジスタにロードされる、オペレータのためのパイプライン構造が提案される。
【0099】
フレームカウントタイムスタンプおよびモードフィールドは、モードのルックアップテーブルの中への一意の指示子を作成して、画素毎パイプラインの錯覚を提供するために使用されることができる。これら2つのフィールドは、各画素が、15の波形モード(1つのモード状態が選択された画素へのアクションがないことを示すことを可能にする)のうちの1つおよび8196のフレーム(現在はディスプレイを更新するために必要とされるフレーム数を十分に超えている)のうちの1つに割り当てられることを可能にする。波形インデックスを、従来技術のコントローラ設計のような16ビットから32ビットに拡張することによって達成されるこの追加順応性の代償は、ディスプレイスキャン速度である。32ビットシステムでは、全画素の2倍多いビットがメモリから読み取られなければならず、コントローラは、限定されたメモリ帯域幅(メモリからデータを読み取ることができる速度)を有する。これは、波形テーブルインデックス全体(ここでは各画素の32ビットワードから成る)が、ありとあらゆるスキャンフレームについて読み取らなければならないため、パネルをスキャンすることができる速度を制限する。
【0100】
オペレータは、以下のような、調査中の画素およびその最も近い隣接画素について単純な演算が可能な汎用算術論理演算ユニット(ALU)であってもよい。
ビット単位論理演算(AND、NOT、OR、XOR)、
整数算術演算(加算、減算、および必要に応じて、乗算および除算)、および
ビット偏移演算
【0101】
最も近い隣接画素は、調査中の画素を包囲する鎖線ボックスの中で識別される。ALUに対する命令は、ハードコード化されるか、またはシステム不揮発性メモリに記憶され得、起動時にALU命令キャッシュにロードされ得る。このアーキテクチャは、画像処理のための新しい波形およびアルゴリズムを設計することにおいて多大な順応性を可能にする。
【0102】
ここで、本発明の種々の方法によって必要とされる画像前処理を考慮する。二重モード波形、または均衡パルス対を使用する波形については、nビット画像をn+1ビット状態にマップすることが必要であり得る。この演算へのいくつかのアプローチが使用されてもよい。
(a)アルファブレンディングが、遷移マップ/マスクに基づいて二重遷移を可能にし得る。遷移モードAおよび遷移モードBと関連付けられる領域を識別する画素毎1ビットアルファマスクが維持される場合、このマップは、n+1ビット波形を使用することができるn+1ビット遷移マップ画像を作成するように、nビットの次の画像と混合されてもよい。好適なアルゴリズムは、
DP=αIP+(1−α)M
{(if M=0, DP=0.5IP, Designating shift right 1−bit for IP data
if M=1, DP=IP, Designating no shift of data)}
であり、
DP=ディスプレイ画素
IP=画像画素
M=画素マスク(1または0のいずれか一方)
α=0.5
である。
上記で議論される4ビットグレーレベル画像画素を有する5ビットの例については、このアルゴリズムは、遷移モードA領域内に位置する画素(画素マスク内で0によって指定される)を16−31範囲の中に置き、遷移モードB領域中に位置する画素を0−15範囲の中に置く。
(b)単純ラスタ演算が、より実装し易いことが証明され得る。マスクビットを画像データの最上位ビットに単純にOR演算することにより、同一の結果を達成する。
(c)加えて、遷移マップ/マスクに従って、遷移領域のうちの1つと関連付けられる画像画素に16を追加することもまた、問題を解決する。
【0103】
均衡パルス対を使用する波形については、上記のステップは、必要であり得るが、十分ではない。二重モード波形が固定マスクを有する場合において、BPPは、適正な遷移に必要な一意のマスクを生成するために、ある非自明な計算を必要とする。この計算ステップは、別個のマスキングステップを不必要にしてもよく、その場合、画像分析およびディスプレイ画素計算が、マスキングステップを組み込むことができる。
【0104】
上記のE部で議論されるSEEPDS方法は、コントローラアーキテクチャにおける付加的な複雑な事態、すなわち、「人工的な」エッジの作成、つまり、
図12Bに示されるもの等の、初期画像または最終の中で出現しないが、遷移中に生じる中間画像を定義するために必要とされるエッジを伴う。従来技術のコントローラアーキテクチャは、領域更新が単一の連続的な長方形の境界内で行われることを可能にするのみである一方で、SEEPDS方法(およびおそらく他の駆動方法)は、
図13で図示されるように、恣意的な形状およびサイズの複数の不連続領域が同時に更新されることを可能にするコントローラアーキテクチャを必要とする。
【0105】
この要件を満たすメモリおよびコントローラアーキテクチャは、領域に含むために任意の画像を指定するように、画像バッファメモリの中に(領域)ビットを保存する。領域ビットは、更新バッファの修正、およびルックアップテーブル番号の割当のための「ゲートキーパ」として使用される。領域ビットは、異なる波形モードを割り当てることできる、別個の同時更新可能な恣意的に成形された領域を示すために使用することができる、複数のビットを実際に備えてもよく、したがって、新しい波形モードを作成することなく、恣意的な領域が選択されることを可能にする。