【文献】
Chao-Jun Hu et al.,Identification of New Autoantigens for Primary Biliary Cirrhosis Using Human Proteome Microarrays,Molecular & Cellular Proteomics,2012年,Vol.11, No.9,Page.669-680
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1種以上の自己抗体が、配列番号12、13、14、15、16、17および18からなる群より選択される、kelch様12配列またはkelch様12配列のホモログに結合する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
自己反応性リンパ球の活性化および正常な組織または細胞成分(自己抗原)に対する自己抗体の生成と関連している既報の疾病は80種類を超えている[von MuhlenおよびTan(1995)Semin Arthritis Rheum 24:323−58;Mellors(2002)2005]。該疾病は、集合的に自己免疫疾患と称され、1470万〜2350万人(米国の全人口の8%に至る)が罹患していると推定されており、経済上および健康上の大きな負担となっている[Jacobson,Gange,RoseおよびGraham(1997)Clin Immunol Immunopathol 84:223−43]。理由が不明なため、自己免疫疾患に罹患している人の数は上昇状態にある。自己免疫の診断は、一生涯の疾病と処置、器官損傷の可能性、衰弱および死亡する確率の増大を意味する。自己免疫疾患の慢性的で多くの場合、衰弱性である性質により、患者の健康不良、医療費の増大、および生産性の低下がもたらされる。自己免疫疾患の基礎となる免疫機能不全の根本的な原因は、現在もなお充分に理解されていない。そのため、自己免疫疾患は、一般的に、広く可変的な臨床像(これは、典型的には、一群の症状を伴う)のため、依然として診断は困難なままである。
【0003】
自己免疫疾患は、個体の免疫機構により明らかに正常な組織が標的化され、破壊される障害である。自己免疫疾患の例としては、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症(SCL)、シェーグレン症候群(SjS)、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)、混合型結合組織病(MCTD)、尋常性天疱瘡(PV)および原発性胆汁性肝硬変(PBC)が挙げられる。自己抗体は、一般的には細胞内のタンパク質および核酸に指向される。PVなどの特定の疾患では、自己抗体の標的が既知であり、自己抗体が疾患の病因に役割を果たしていると考えられている。SLEなどの他の疾患では、多くの異なる自己抗体の標的が特定されているが、SLEの病因における自己抗体の役割は未だ不明確である。
【0004】
患者の血清中における自己抗体の検出は、自己免疫疾患の診断を補助する。リウマチ因子(ヒトIgGに指向されるIgM抗体)は、大部分のRA患者で検出され、所与の個体におけるその診断が裏付けられる[Kelly,W.N.ら 1985.Textbook of Rheumatology.第2版.Saunders.pp.667]。抗核抗体(ANA)は、活動性SLEを有する個体のおよそ98%に存在している。ANAはSLEの診断に特異的ではないが、この抗体が存在しないことは、所与の患者におけるSLEの診断に対して反対が主張される[Kellyら,1985(上掲)pp.691]。
【0005】
肝臓疾患と胆汁性疾患は合わせて、米国での死亡原因の上位10位にランキングされている。慢性肝臓疾患は、アメリカ人の5〜10パーセントが罹患しており、米国では1〜2パーセントが死に至る。慢性肝臓疾患および肝硬変の費用は、年間16億ドルと推定されている[(2004)]。肝臓疾患および胆汁性疾患の一般的な原因としては、感染性因子、遺伝的欠陥、代謝障害、アルコール、毒素および環境製毒物が挙げられる。最も一般的な肝臓疾患は、慢性C型肝炎、アルコール性肝臓疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、慢性B型肝炎、自己免疫性肝臓疾患および薬物誘発性肝臓疾患である。このような病状の多くは予防または処置が可能であるが、そうでない場合は、進行性の肝臓傷害、肝臓線維症に至り、最終的には、肝硬変、門脈圧亢進症、末期の肝臓疾患、場合によっては肝臓癌に至ることがあり得る。現在、末期の肝臓疾患に対する唯一の治療法は肝臓移植である。米国では、毎年5,000例を超える肝臓移植が行なわれている。少なくとも17,000名が肝臓移植の待機リストに載せられており、毎年、1,500名もの多くが待機中に死亡する[(2004)]。肝臓疾患の研究では、多くの困難な必要性が提示されている。自己免疫性肝臓疾患としては、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、自己免疫性肝炎および原発性硬化性胆管炎が挙げられる。このような慢性肝臓疾患はすべて、末期の肝臓疾患に至るものであり得る。合わせると、自己免疫性肝臓疾患は、米国で年間の成人の肝臓移植の13%を占める[(2004)]。
【0006】
PBCは進行性の胆汁鬱滞性の肝臓疾患であり、米国での有病率は人口100,000人あたり成人およそ40名(米国の人口100,000名あたり発生数は2.7例)と推定されている[Kim,Lindorら(2000)Gastroenterology
119:1631−6;FeldおよびHeathcote(2003)J Gastroenterol Hepatol 18:1118−28;2004)]。女性では、主に年齢40〜65歳でPBCに罹患し、男性に対する女性の比率は9:1であり[KaplanおよびGershwin(2005)N Engl J Med 353:1261−73]、自己免疫疾患に典型的である。PBCは、肝線維症および肝臓不全に至る肝臓の排出管の緩徐な進行性の破壊を特徴とする([Kaplan(1996)N Engl J Med 335:1570−80;Heathcote(2000)Hepatology 31:1005−13;Kaplan(2002)Gastroenterology 123:1392−4;TalwalkarおよびLindor(2003)Lancet 362:53−61]に概説)。PBCは肝臓移植の有意な適応症であり、PBC患者は、肝硬変のために肝臓移植を受ける全患者の11%を構成する[Milkiewicz(2008)Clin Liver Dis 12:461−72;xi]。
【0007】
PBCの処置は、肝臓に対して毒性でない天然胆汁酸であるウルソデオキシコール酸(ウルソジオール)を用いて、PBCによって減少した胆汁酸を補充することにより行なわれる。機序は充分に理解されていないが、この処置により、最終的に、他の肝臓毒性胆汁酸細胞内蓄積(胆管の破壊によって引き起こされたもの)が低減される。ウルソジオールは肝硬変への進行を遅滞させるが、ウルソジオール処置はPBC経過の早期に実施した場合に最良に機能し、迅速で信頼性のあるPBC診断試験の重要性が強調される。実際、試験により、病期IIIおよびIVでのウルソジオール処置では、肝臓での進行の有意な遅滞はもたらされないが、組織学的病期IおよびIIでの早期に処置した患者では、ウルソジオール処置により肝臓破壊の有意な遅滞が示されることが示された。これは、速やかな医療処置を可能にするために、早期のPBC診断の必要性を強調している[Heathcote(2000)Hepatology 31:1005−13;Poupon,Lindor,Pares,Chazouilleres,Poupon and Heathcote(2003)J Hepatol 39:12−6]。
【0008】
PBC患者のほぼ半数は最初に血液検査での異常を示し、これは、最終的なPBC診断の誘因となる。一般的に、診断試験は、まず、肝臓機能試験の異常および胆汁性疾患の徴候から始めた後、血清抗ミトコンドリア自己抗体(AMA)について試験し、この場合、推定87〜95%のPBC患者が試験で陽性となる[Heathcote(2000)Hepatology 31:1005−13;Yang,Yu,Nakajima,Neuberg,LindorおよびBloch(2004)Clin Gastroenterol Hepatol 2:1116−22;KaplanおよびGershwin(2005)N Engl J Med 353:1261−73;Liu,Shi,Zhang,ZhangおよびGao(2008)Liver Int 28:233−9]。胆管のイメージング試験を使用し、胆管疾患の他の原因を排除し、肝臓の生検により、診断を確認し、疾患病期の測度を示す(線維症の度合に基づいて)。
【0009】
しかしながら、PBC患者の残りのほぼ半数では、さまざまな比較的非特異的な身体症状が示されるにすぎず、一般的な医師または診断の責任を担う専門家が直面する困難さが強調される。かかる症状の最も一般的なものは、心因掻痒、疲労感および筋骨格系疼痛である[Prince,Chetwynd,Newman,MetcalfおよびJames(2002)Gastroenterology 123:1044−51]。さらに、PBCと関連して見られることがあり得る自己免疫性障害が数多くあり、自己免疫性肝炎(AIH)[Czaja(2006)J Hepatol 44:251−2]、甲状腺機能不全、乾燥症状、レーノー症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)および関節リウマチ[Heathcote(2000)Hepatology 31:1005−13;Gershwin,Selmi,Worman,Gold,Watnik,Utts,Lindor,KaplanおよびVierling(2005)Hepatology 42:1194−202]が挙げられる。試験の一例では、PBC患者の19%は別の疾患の特長を有し[Czaja(1998)Hepatology 28:360−5]、それにより診断が不明確になることがわかった。懸念は、病因が認識されていないため、特に、患者が心因掻痒または関節の不快症状というあいまいな症状を示す場合、多くの患者において、適正な試験がオーダーされ得ないことである。
【0010】
自己抗体は、診断ツールとしてのみならず、PBCの将来的な開発品の先駆体として供される可能性を有する。実際、抗ミトコンドリア自己抗体(AMA)により、PBCの臨床徴候および診断が事前に示されることが示されている[Metcalf,Mitchison,Palmer,Jones,BassendineおよびJames(1996)Lancet 348:1399−402]。これは、自己抗体バイオマーカーを用いてPBCを早期の段階で診断することが可能であることを示す。PBCの血清学的ホールマークはAMAであり、これは患者の87〜95%で検出され得る[Kaplan(1996)N Engl J Med 335:1570−80;Nishio,KeeffeおよびGershwin(2002)Semin Liver Dis 22:291−302]。このAMAによって標的化される主な自己抗原としては、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC−E2)のE2サブユニット、分枝/鎖2−オキソ−酸デヒドロゲナーゼ複合体(BCOADC−E2)および2−オキソ−グルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体(OGDC−E2)が挙げられる[Fussey,Guest,James,BassendineおよびYeaman(1988)Proc Natl Acad Sci U S A 85:8654−8;Nishio,Keeffeら(2002)Semin Liver Dis 22:291−302]。
【0011】
抗核自己抗体(ANA)はPBC患者の約50%に存在している。核のコア複合体および多数の核内点状構造(multiple nuclear dot)(MND)のタンパク質を認識する自己抗体は、AMA陰性患者(有病率は13〜44%)において有用なPBCマーカーである[Manuel Lucena,Montes Cano,Luis Caro,Respaldiza,Alvarez,Sanchez−Roman,Nunez−Roldan and Wichmann(2007)Ann N Y Acad Sci 1109:203−11]。さらに、ANAは予後インジケータとしての機能を果たし得、抗セントロメアおよび/または抗核ポア糖タンパク質210(gp210)自己抗体は、PBCにおいて肝臓不全と関連している[Yang,Yuら(2004)Clin Gastroenterol Hepatol 2:1116−22;Nakamura,Kondoら(2007)Hepatology 45:118−27]。
【0012】
核小体(NB,核ドメイン10、PML発癌性ドメイン、およびKr体としても知られている)は、機能が不明の核小器官である[Ascoli,C.A.およびMaul,G.G.,J.Cell.Biol.112:785−795(1991);Brasch,K.およびOchs,R.L.,Exp.Cell Res.202:211−223(1992);Dyck,J.A.ら,Cell 76:333−343(1994)]。免疫組織化学的染色を使用すると、NBは、核内に5〜30個の離散した点状のドット様領域として見られる。NBは、DNAの複製およびmRNAのプロセッシングに関与しているものなどの他の核ドメインとは相違している。また、NBの成分は動原体またはセントロメアと共局在していない[Brasch,K.およびOchs,R.L.,Exp.Cell Res.202:211−223(1992)]。細胞内のNBの数、およびこのような構造の抗体染色強度は、インターフェロン(IFN)、熱ショックおよびウイルス感染などの刺激に応答して増大する[Ascoli,C.A.およびMaul,G.G.,J.Cell.Biol.112:785−795(1991)]。
【0013】
NBは、自己免疫疾患である原発性胆汁性肝硬変(PBC)の患者の血清中の自己抗体の標的である。PBCの患者のおよそ40%は、この構造に指向される抗体を有する[Evans,J.ら,Arthr.Rheum.347:31−736(1991);Szostecki,C.ら,Scand.J.Immunol.36:555−564(1992)]。PBCの患者由来の血清を使用し、NBの100kDaの成分が同定および特性評価され、これは、Sp100と命名された(Speckled,100kDa)[Szostecki,C.ら,J.Immunol.145:4338−4347(1990)]。Sp100とLexA DNA結合ドメインとの融合体は、Saccharomyces cerevisiaeにおいて遺伝子の転写を活性化させることが示されており、Sp100はゲノム内の特定の領域の転写の活性化に関与しているのではないかということが提案されている[Xie,K.ら,Mol.Cell.Biol.13:6170−6179(1993)]。
【0014】
NDP52と命名されたNBの第2の成分は、NBと反応するマウスモノクローナル抗体を用いて特性評価された[Korioth,F.ら,J.Cell.Biol.130:1−13(1995)]。NDP52をコードするcDNAを特定し、推定アミノ酸配列は、コイルドコイルモチーフ、ロイシンジッパーモチーフおよびジンクフィンガーモチーフを含むものであった。これらのドメインの1つ以上が、NDP52とNBの他の成分との相互作用に関与している可能性がある[Korioth,F.ら,J.Cell.Biol.130:1−13(1995)]。
【0015】
NBの第3の成分であるPMLは、ヒト急性前骨髄球性白血病(APL)と関連しているt(15;17)転座を試験したいくつかの研究者グループによって特定された[de The,H.ら,Nature(London)347:558−561(1990);Borrow,J.ら,Science 249:1577−1580(1990);Longo,L.ら,J.Exp.Med.172:1571−1575(1990);Kakizuka,A.ら,Cell 66:663−674(1991)]。この転座では、PMLのアミノ末端部分がレチノイン酸受容体αに融合されている。PMLは、NB内でSp100と共局在していることがわかった[Weis,K.ら,Cell 76:345−356(1994);Koken,M.H.M.ら,EMBO 13:1073−1083(1994)]。APL細胞でのPML−α融合タンパク質の発現により、NBが破壊されるようである;このような細胞内では、NB抗原が、核内の数多くの小領域(「微小スペックル(microspeckle)」と記載される)で検出される。APL細胞をレチノイン酸(RA)で処理すると、骨髄性前駆細胞の分化およびNBの再形成がもたらされる[Dyck,J.A.ら,Cell 76:333−343(1994);Weis,K.ら,Cell 76:345−356(1994);Koken,M.H.M.ら,EMBO 13:1073−1083(1994)]。APLの患者では、RAの処置により、白血病細胞の分化および一次的な疾患の寛解がもたらされる[Warrell,R.P.ら,N.Eng.J.Med.329:177−189(1993)]。
【0016】
しかしながら、ANAが、さまざまな他の蔓延している自己免疫性障害および広範な癌にも見られることに注意することは重要である[Bei,Masuelli,Palumbo,ModestiおよびModesti(2008)Cancer Lett]。
【0017】
間接免疫蛍光法(IIF)および固相イムノアッセイは、患者において自己抗体の有無を確立するのに使用される2つの形式である。どちらの方法も、以下に論考するように賛否両論がある。
【0018】
過去数十年間、間接免疫蛍光法(IIF)は、医師が、自己免疫患者の血清中に存在する自己抗体を検出するのに選択する方法であった。重要なことに、これは、依然として、例えばPBCに関するAMAおよびANA試験の金標準である。典型的には、患者の血清を2倍ずつ連続希釈し、顕微鏡スライド上の細胞基質(例えば、HEp−2肝臓細胞)に結合させ、次いで、これを蛍光染色し、結合された自己抗体を検出し、顕微鏡下で熟練技術者が調べ、細胞/組織染色パターンを確認する。IIFは、細胞/組織系基質として、理論的には、あらゆる細胞内自己抗原(基質内でのその発現および保持が保留中)を「普遍的に」カバーできるという利点を有する。これは、一部において、IIF試験の高い診断鋭敏度、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)では93%(ANA)[Solomon,KavanaughおよびSchur(2002)Arthritis Rheum 47:434−44]およびPBCでは90%(AMA)[Tanaka,Miyakawa,Luketic,Kaplan,StorchおよびGershwin(2002)Cell Mol Biol(Noisy−le−grand)48:295−9]によって証明されている。
【0019】
IIFによるAMAはPBCの感度のよいマーカーであるが、特異性が両立しないことがあり得る。無症候性の患者はAMA陽性とみなされているが、大部分は数年後に症状が発現するにすぎず、一部は全く症状が発現しない[Metcalf,Mitchisonら(1996)Lancet 348:1399−402]。さらに、ある試験では、AIH患者の34%がAMAの試験で陽性であることが見出された[Nezu,Tanaka,Yasui,Imamura,Nakajima,IshidaおよびTakahashi(2006)J Gastroenterol Hepatol 21:1448−54]。
【0020】
さらに、IIFアッセイは、常套的な診断用スクリーニングツールとして使用される場合、基質および固定プロセスにおける多様性、顕微鏡検査装置における多様性により正規化することが困難であるため、ならびに結果の解釈が非常に主観的であるため、全体的に問題がある[Jaskowski,Schroder,Martins,Mouritsen,LitwinおよびHill(1996)Am J Clin Pathol 105:468−73]。2004年のInternational Autoimmune Hepatitis Group(IAIHG)のCommittee for Autoimmune Serologyの合意声明により、IIFは、齧歯類の3つの異なる器官において行なうよう推奨された[Vergani,Alvarez,Bianchi,Cancado,Mackay,Manns,NishiokaおよびPenner(2004)J Hepatol 41:677−83]。AMAおよび抗肝臓腎臓ミクロソーム−1(LKM1)抗体は、ともに、腎臓の尿細管を染色するが、違いは熟練者の目にしかわからず、このあいまいさが、PBCでなく自己免疫性肝炎(AIH)の診断をもたらすことになり得る[Bogdanos,Invernizzi,MackayおよびVergani(2008)World J Gastroenterol 14:3374−87]。さらに、一部の自己抗原は、IIFの固定プロセス中に拡散または変性によって失われる(認識できなくなる)。直面する別の要素は、多くの場合、同じ患者に多くの自己免疫疾患が一緒に発症していることがあり得、IIFパターンの重複により、各々の正確な診断に混乱がもたらされ得ることである[Assassi,Fritzlerら(2009)J Rheumatol;Norman,Bialek,Encabo,Butkiewicz,Wiechowska−Kozlowska,Brzosko,ShumsおよびMilkiewicz(2009)Dig Liver Dis 41:762−4]。最後に、IIFは、遅くて面倒であり、高処理量の自動化には適していない[Ulvestad,Kanestrom,Madland,Thomassen,HagaおよびVollset(2000)Scand J Immunol 52:309−15]。
【0021】
IIFは依然としてAMA試験の金標準であるが、ELISA(酵素免疫測定法)などの固相イムノアッセイが、特に高処理量研究所において注目が高まっている[FritzlerおよびFritzler(2006)Curr Med Chem 13:2503−12]。この方法は、高処理量の自動化、高い解析感度、純粋に客観的な評点付け、信頼性、および特定の自己抗原種を、例えばマルチプレックス様式で試験することが可能という利点を有する[FritzlerおよびFritzler(2006)Curr Med Chem 13:2503−12]。個々の抗原レベルでの解決(resolution)に関して、この方法は、正しいマーカーパネルが選択された場合には疾患特異性が大きくなる潜在性を有する。しかしながら、欠点は、細胞基質系IIFアッセイの診断鋭敏度と適合するには、発見のため、および臨床的確認のための両方に、充分な数の自己抗原が必要とされることである。
【0022】
PBCのための市販の固相イムノアッセイの一例において、INOVA Diagnostics Inc.(San Diego,CA)により、AMAの検出に基づいたPBCのためのFDA承認済ELISA系イムノアッセイであるMIT3アッセイが市販されている。MIT3では、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の3つのすべてのE2サブユニットの免疫優性エピトープを含む組換えタンパク質が使用される[Moteki,Leung,Coppel,Dickson,Kaplan,MunozおよびGershwin(1996)Hepatology 24:97−103]。このような試験の全般的な目的は、PBCについて細胞のIIF系AMA試験を模倣することであるが、個々の抗原の固相イムノアッセイの上述の有益性はすべて伴う。それでもなお、この試験は、PBCの臨床病理学的所見と一緒にされる診断の補助のみが意図される。試験の一例では、AMA系MIT3 ELISAアッセイにより、81.6%の診断鋭敏度が報告されたが、AMA陰性PBC疾患の血清試料は除外されていたことに注意することは重要である[Gabeta,Norman,Liaskos,Papamichalis,Zografos,Garagounis,RigopoulouおよびDalekos(2007)J Clin Immunol 27:378−87]。別の試験では、MIT3アッセイは、例えば、PBCの最大診断鋭敏度で、必要なミトコンドリア自己抗原がすべて欠如していることが示された[Dahnrich,Paresら(2009)Clin Chem 55:978−85]。
【0023】
これは、PBCなどの自己免疫疾患の最適な診断のために固相イムノアッセイで使用されるさらなる自己抗原バイオマーカーの発見と確認の必要性を強調する。最も有効な自己抗原の発見方法は、プロテオミクス系のものである。プロテオミクスは、ゲノムの全発現タンパク質コンプリメント(compliment)の大域(例えば、パラレルまたは同時)解析と定義され得る[非特許文献1]。プロテオミクス法により、偏りのない様式での新規な自己抗原の発見が可能となる。新規な自己抗原の発見のための一般的なプロテオミクス法としては、SEREX(組換え発現クローニングによる抗原の血清学的特定)[非特許文献2]ならびにヒトプロテオームマイクロアレイ(「チップ」、一般的に、標準的な顕微鏡スライドの寸法、その表面上に、微視的スポット(例えば、100ミクロンの直径のスポット)の整列されたアレイ状にプリントされた数千の精製組換えヒトタンパク質を含む)[非特許文献3;非特許文献4]が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施例1:新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)自己抗原のプロテオームマイクロアレイによる発見
マイクロアレイでの血清スクリーニング
患者の血清を、高い密度で二連でプリントされた約8,000独自のヒト組換え(真核生物で発現)タンパク質で標準的な顕微鏡スライドのサイズの「チップ」に構成された市販のヒトプロテオームマイクロアレイ(Human ProtoArray(登録商標)v4.0,Invitrogen,Carlsbad,CA)に対してスクリーニングした[Sheridan(2005)Nat Biotechnol 23:3−4]。マイクロアレイは、製造業者の使用説明書に従って使用した。マイクロアレイを、ArrayWoRx
e BioChip蛍光リーダー(Applied Precision,LLC,Issaquah,Washington)において、適切な標準内蔵フィルターセットを用いて画像化した。画像解析およびデータ取得は、GenePix Pro v6.1ソフトウェアパッケージ(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を、マイクロアレイの製造業者(Human ProtoArray(登録商標)v4.0,Invitrogen,Carlsbad,CA)の使用説明書に従って用いて行なった。
【0030】
アレイ型タンパク質(潜在的自己抗原)に対する自己抗体の存在を検出するため、正常個体および種々の疾患を有する患者由来の92例の異なる血清試料を、個々にプロテオームマイクロアレイに対してスクリーニングした。このため、2つの異なるロットのマイクロアレイを2つの逐次試験で使用した。全患者集団の組成は以下のとおりとした:マイクロアレイロット#1(80独自の試料)−18名の原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者対62名の非PBC対照試料[13例の正常、25例の結腸直腸癌(CRC)、22例の全身性エリテマトーデス(SLE)、2例のシェーグレン症候群(SjS)]。マイクロアレイロット#2(12独自の試料)−さらに3例のPBCおよびさらに9例の非PBC対照[4例の正常および5例の自己免疫性肝炎(AIH)]。正常血清は、ほぼ年齢と性別をPBCコホートと適合させた。AIH血清は、PBCと異なる自己免疫性肝臓疾患であるが、自己抗体と関連していることがわかっているため使用した。CRC血清は、癌患者も、いわゆる腫瘍関連自己抗原(TAA)、例えば、癌と自己免疫疾患の両方で観察される核の自己抗体の一般的なレパートリーに対する種々の自己抗体を有することがわかっているため使用した[Bei,Masuelli,Palumbo,ModestiおよびModesti(2008)Cancer Lett]。アーカイブ血清を、以下の供給源:本発明者らの共同研究者Donald Bloch博士,M.D.,Center for Immunology and Inflammatory Diseases、Massachusetts General Hospital、Assistant Professor of Medicine、Harvard Medical Schoolの貯蔵所から取得した(12例のSLE血清ならびにSjSおよびPBC血清をご提供頂いた)。残りのSLE血清およびAIH血清はすべて、Bioreclamation Inc.(Hicksville、NY)製であり、正常血清はProMedDx、LLC(Norton、MA)製であり、CRC血清はAsterand Inc.(Detroit、MI)製であった。
【0031】
マイクロアレイデータの生物統計学的解析
マイクロアレイデータから自己抗原バイオマーカーを特定するため、使用した生物統計学的方法は、マイクロアレイの製造業者によって提供された、Immune Response Profiling(IRP)アドオンを使用する、ProtoArray(登録商標)Prospector v4.0ソフトウェアパッケージ(Invitrogen、Carlsbad,CA)の形態の標準的なアプローチとした[Hudson、Pozdnyakova、Haines、MorおよびSnyder(2007)Proc Natl Acad Sci U S A 104:17494−9]。このソフトウェアパッケージの生物統計学的方法のうち2つを使用し、2つの対応するPBC自己抗原リストを以下のようにして作成した。
【0032】
「ヒットコーリング」自己抗原リスト:データをバイナリー形式に変換するため、各マイクロアレイ(1血清/マイクロアレイ)上のタンパク質(すなわち、潜在的自己抗原)を、「ヒット」(すなわち、陽性)であるか、ヒットでないか(すなわち、陰性)で評点付けした。自己抗原ヒットを、マイクロアレイ平均の3標準偏差上のカットオフ閾値でZ−評点を用いてマイクロアレイ毎にコールした。各自己抗原でのPBC群および対照群のヒット数を使用し、各自己抗原の存在パーセントを調べた。最終的にこのリストに載せる自己抗原は、PBCコホートにおいて対照コホート(すなわち、すべての非PBC試料)よりも大きな存在パーセントを有するものでなければならなかった。
【0033】
M−統計解析自己抗原リスト:このアプローチでは、分位点正規化マイクロアレイデータを使用し、各タンパク質について2つの患者群(すなわち、PBC群と、すべての非PBC患者に対応する対照群)間のペアワイズt−検定を行なう。また、このアルゴリズムでは、分位点正規化データによって設定されたカットオフに基づいて自己抗原の存在率が推定される。最終的にこのリストに載せる自己抗原は、PBCコホートにおいて対照コホート(すなわち、すべての非PBC試料)よりも大きな存在パーセントを有するものでなければならず、<0.1のM−統計解析p値を有するものでなければならなかった。
【0034】
マイクロアレイロット#1および2を別々に解析した。マイクロアレイ由来PBC自己抗原の単一の最終リストを構成するため、マイクロアレイロット#1(のみ)についての前述の生物統計学的リストの両方に重複して観察されたものを採用した。次に、この編集リストにおいて、「ヒットコーリング」法での測定時にAIH患者(マイクロアレイロット#2)のいずれかにおいて陽性であったマーカーはいずれも除外した。次いで、最後に、M−統計解析p値ならびに診断鋭敏度および特異性に基づいてリストに優先順位をつけた。
【0035】
結果:
プロテオームマイクロアレイから特定し、本特許において請求項に記載した2つのPBC自己抗原マーカー、ヒトヘキソキナーゼ1(HK1)およびヒトKelch−Like 12(KLHL12)を、そのM−統計解析p値ならびにその診断の感度および特異性(マイクロアレイロット#1から計算)とともに表Iに示す。HK1およびKLHL12について、すべての92例の試料(すなわち、92個のマイクロアレイすべて)の分位点正規化マイクロアレイデータ(正規化自己抗体シグナル強度)を、それぞれ、
図16および
図17に示す。要約すると(表I)、いずれかの自己抗原に対する血清自己抗体の存在は、PBCコホートと強く相関しており、高度に有意なp値(それぞれ、HK1およびKLHL12で1×10
−10および8×10
−5)ならびにそれぞれ、HK1およびKLHL12で85〜89%および33〜40%の感度、ならびにそれぞれ、HK1およびKLHL12で84〜90%および97〜98%の特異性が示されている(詳細については表I参照)。定義(この実施例で上記の「マイクロアレイデータの生物統計学的解析」参照)により、5例の自己免疫性肝炎(AIH)血清はいずれもHK1またはKLHL12について陽性でなかった(また、
図16および
図17も参照のこと;マイクロアレイロット#2)。また、HK1およびKLHL12自己抗原バイオマーカーは、他の実験の実施例で詳述するように、さらなる確認の主体でもあった。
【0036】
また、HK1自己抗体は、全身性エリテマトーデス(SLE)および結腸直腸癌(CRC)においても低存在率で観察されることにも注意のこと(
図16)。N−03は、HK1について陽性である唯一の「正常」血清試料である(
図16;赤色バー)。また、N−03は、KLHL12について陽性である唯一の「正常」血清試料でもある(
図17;赤色バー)。したがって、実際には、N−03が、実際には、まだ診断されていない、または報告されていない/記録されていないPBCを有する可能性があると考えられる(自己抗体により、自己免疫疾患(PBCなど)の臨床症状/徴候が事前に示されることが示されていることに注意のこと)。
【0037】
実施例2:ELISAを用いた新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)の自己抗原HK1およびKLHL12の予備確認
本明細書において本実施例に記載し、多くの後続の実施例で使用するELISAアッセイは、T
2−ELISAと称され、二重エピトープタグ化無細胞発現タンパク質抗原の使用に基づいたものであることに注意のこと。この実施例では、該抗原をHK1およびKLHL12とし、T
2−ELISAをこのマイクロアレイ由来新規な自己抗原の臨床的予備確認(および最終的に、後の実施例での確認)のためのツールとして使用する。
【0038】
自己抗原の発現
ヒトHK1およびKLHL12のオープンリーディングフレーム(ORF)全体を、標準的で認知された分子生物学的実務手段を用いて、ORF挿入物に加えて、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、Kozak(リボソーム結合)配列、開始コドン、N末端VSV−Gエピトープタグ(YTDIEMNRLGK)、およびC末端HSVエピトープタグ(QPELAPEDPED)を含む無細胞タンパク質発現に適合性のプラスミドベクター内にクローニングした。発現ベクター内へのクローニングのための供給源DNAとして、完全長配列確認クローンをOpenBiosystems(Huntsville、AL)から購入した[HK1には、カタログOHS1770−9381021(UniGene Hs.370365)、KLHL12にはMHS1011−61211(UniGene Hs.706793)]。発現ベクターを正しいORF挿入物について、標準的なEcoRI消化方法および/またはDNA配列決定を用いて確認した。
【0039】
自己抗原は、上述のプラスミドクローンから無細胞タンパク質発現によって作製した。無細胞タンパク質発現反応は、ウサギ網状赤血球ライセート系(TNT(登録商標)T7 Quick for PCR DNA;Promega、Madison、WI)と組みにした転写/翻訳を、製造業者の使用説明書に従って用いて行なった。自己抗原発現反応には、対応するプラスミドDNAを含めたが、ブランク発現反応では、プラスミドDNAのみを無しとした。発現反応は、TDB[1%BSA(w/v)および0.1%(v/v)Triton X−100含有TBS−T(50mM Tris、pH7.5、200mM NaCl、0.05%(v/v)Tween−20)]中で1/20に希釈することにより停止させた。
【0040】
自己抗原の二重タグ酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
Nunc Brand 96ウェルPolysorp(商標) Microwell(商標)白色不透明で平底の未処理のポリスチレン製マイクロタイタープレート(Nunc Brand from Thermo−Fisher Scientific、Rochester、NY)を、サンドイッチ型酵素免疫測定法(ELISA)に使用した。プレートを、0.5μg/mLのマウスモノクローナル抗HSV(登録商標)タグ捕捉抗体(EMD Biosciences,Inc.,San Diego,CA)(炭酸/重炭酸ナトリウム(pH9.3)中)で、振盪しながら30分間コートした(50μL/ウェル)。次いで、ELx405 Select Robotic Plate Washer(BioTek、Winooski、VT)において、プレートをTBS−T中で6回洗浄した(ウェルを最大限まで満たす)。プレートの洗浄はすべて、特に記載のない限り、この様式で行なった。次いで、プレートを300μL/ウェルで1%BSA(w/v)含有TBS−T中で30分間ブロックした。この溶液をプレートから取り出し、上述の停止(すなわち、希釈)無細胞発現反応液(自己抗原およびブランク反応液)を次いで、100μL/ウェルで添加し、30分間振盪した。プレートを洗浄し、血清試料(1%BSA(w/v)含有TBS−T中で1/1,000に希釈)を100μL/ウェルで添加し、30分間振盪した。各血清試料は、三連ウェルの自己抗原および三連ウェルの無細胞発現ブランクに対して実験した。さらに、一組の三連ウェルの自己抗原と一組の三連ウェルの無細胞発現ブランクを、VSV−Gエピトープタグの検出用に指定し、したがって、希釈血清の代わりにそのままの1%BSA(w/v)含有TBS−Tを加えた。ロボット型プレート洗浄機へのヒト血清の混入を回避するため、続いて、プレートを、TBS−Tの手作業の添加によって4回洗浄した(ウェルを最大限まで満たす)後、真空吸引し、次いで、ロボット型プレート洗浄機で、この実施例で先に記載のようにして6回洗浄した。VSV−Gエピトープタグの検出用に指定したウェルに、次いで、抗VSV−Gホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識モノクローナル抗体(Clone P5D4、Roche Applied Science,Indianapolis,IN)(1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈)を加えた。血清自己抗体の検出用に指定したウェルには、マウス抗[ヒトIgG]HRP標識モノクローナル二次抗体(マウス免疫グロブリンとの交差反応性は最小限;Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc,West Grove,PA)(1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈)を加えた。プレートを30分間振盪した。次いで、この溶液を、プレートを反転させた後、反転させたプレートをドライペーパータオル上で激しくたたいて残留液を除去することによって、プレートから手作業で放出した。次いで、プレートをロボット型プレート洗浄機で、この実施例で先に記載のようにして洗浄した。化学発光シグナルを、50μL/ウェルのSuperSignal ELISA Pico Chemiluminesence Substrate(Thermo
Fisher Scientific、Rockford、ILのPierce Brand)の添加によって生成させた。プレートを15分間振盪することにより発色させ、次いで、LumiCount luminescenceプレートリーダー(1秒間の露光、650VのPMT、ゲイン1)(Packard/PerkinElmer Life and Analytical Sciences,Inc.,Boston、MA)において読取りを行なった。
【0041】
結果:
表Iに示した新たなPBC自己抗原マーカーのこの予備確認では、マイクロアレイ解析(実施例1参照)で所与の自己抗原について陽性または陰性と検出された無作為に選択した血清を、ここでは、T
2−ELISAでも解析した。
【0042】
T
2−ELISAによる自己抗体単位の計算は、手短に言うと、データからバックグラウンドを減算し、各アッセイ(すなわち、各プレート)の各抗原について一般的なVSV−Gエピトープタグの検出に対して正規化することにより行なった。より詳しくは、各血清−自己抗原ペアについて、T
2−ELISAデータの三連ウェルの各々について、自己抗体単位は、以下のようにして計算した:[1つのウェル(すなわち、血清と自己抗原(対比)の自己抗体シグナル)]−[三連(すなわち、同じ血清と3つのすべてのブランク発現ウェルの平均(対比)の平均バックグラウンド)]により、各血清−自己抗原ペアでの三連バックグラウンド減算値(BSV)が得られる。1つのアッセイは、1つの96ウェルマイクロタイターELISAプレートと定義していることに注意のこと。各自己抗原のアッセイ間分散(日にち毎およびアッセイ毎)を正規化するため、各アッセイのウェルを該アッセイでの各自己抗原に対して、一般的なVSV−Gエピトープタグの検出のために単独で専用にした。VSV−G正規化係数(VNF)を以下のようにして計算した:[三連ウェル(すなわち、VSV−G抗体をプローブ結合させた自己抗原ウェル)の平均VSV−Gシグナル]−[三連ウェル(すなわち、VSV−G抗体をプローブ結合させたブランク発現ウェルの平均VSV−Gバックグラウンド]。次いで、アッセイ毎に、すべての血清−自己抗原ペアでの三連BSVを該アッセイのVNFで除算し、100を乗算し、各血清−自己抗原ペアでの三連自己抗体単位値を得た(すなわち、VNFのパーセントで表示)。自己抗体単位に対してゼロフロアを設定したことに注意のこと。平均および標準偏差(エラーバー)を計算し、新たなPBC自己抗原HK1およびKLHL12について、それぞれ、
図1および2においてプロットした。
【0043】
マイクロアレイとの合致を確認するため、血清をT
2−ELISAでの陽性または陰性として「解析により」評点付けした。このためには、T
2−ELISAで解析により陽性と評点付けされた各血清−自己抗原ペアについて、以下:i)バックグラウンド(すなわち、同じ血清とブランク発現ウェル(対比))と比べて三連ウェルの自己抗体シグナル(すなわち、血清と自己抗原(対比))の未加工T
2−ELISA値の片側等分散対応なしのt−検定において≦0.05のp値;ii)自己抗体の≧2の信号対バックグラウンド比の両方の基準が満たされていなければならなかった。
図1および2において、T
2−ELISA評点およびマイクロアレイ(「アレイ」)評点を陽性(+)または陰性(−)で表す。HK1(
図1)では、マイクロアレイ解析で陽性であった12例の無作為に選択した血清のうち、10例がELISAで陽性であり83%の合致であった。さらに、HK1(
図1)では、マイクロアレイで陰性であった5例の血清を無作為に選択し、そのすべてが、T
2−ELISAでも陰性であり、100%の合致であった。KLHL12では、マイクロアレイ解析(実施例1参照)から無作為に選択した7例の陰性および4例の陽性血清のうち、
図2に示すT
2−ELISAの結果と完全に100%の合致がみられた。
【0044】
実施例3:事前にマイクロアレイによってスクリーニングしていない新たなAMA陽性PBC患者コホートにおいてELISAを用いた、新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)自己抗原HK1およびKLHL12の確認
自己抗原の発現
実施例2の場合と同様。
【0045】
自己抗原の二重タグ酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
実施例2の場合と同様。
【0046】
結果:
新たに発見された該マーカーの重要な確認は、プロテオームマイクロアレイで事前にスクリーニングしていない新たな患者コホート(22例のPBC試料)において試験を行なうことである。この実施例では、これを、新たなPBC自己抗原HK1とKLHL12(表Iに先に記載)の両方を用いて行なった。
【0047】
新たなPBC血清は、本発明者らの共同研究者Donald Bloch博士、M.D.,Center for Immunology and Inflammatory Diseases、Massachusetts General Hospital、Assistant Professor of Medicine、Harvard Medical Schoolから取得したものであり、正常血清はProMedDx、LLC(Norton、MA)のものとした。
【0048】
T
2−ELISAによる自己抗体単位の計算は、手短に言うと、データからバックグラウンドを減算し、各アッセイ(すなわち、各プレート)の陽性対照に対して正規化することにより行なった。このとき、陽性対照を1,000自己抗体単位に設定する。より詳しくは、各血清−自己抗原ペアについて、T
2−ELISAデータの三連ウェルの各々について、自己抗体単位は、以下のようにして計算した:[1つのウェル(すなわち、血清と自己抗原(対比)の自己抗体シグナル)]−[三連(すなわち、同じ血清と3つのすべてのブランク発現ウェルの平均(対比)の平均バックグラウンド)]。これにより、各血清−自己抗原ペアでの三連バックグラウンド減算値(BSV)が得られる。1つのアッセイは、1つの96ウェルマイクロタイターELISAプレートと定義していることに注意のこと。各自己抗原のアッセイ間分散(日にち毎およびアッセイ毎)を正規化するため、HK1およびKLHL12について一般的な陽性対照PBC血清をアッセイ毎に実験した(実施例1のマイクロアレイPBCコホートから選択)。陽性対照のT
2−ELISAデータを上述の様式でアッセイ毎に処理し、三連BSVを平均して各アッセイでの陽性対照正規化係数(PCNF)を得た。アッセイ毎に、すべての血清−自己抗原ペアでの三連BSVを、次いで、該アッセイのPCNFで除算し、1,000を乗算し、各血清−自己抗原ペアでの三連自己抗体単位値を得た。重要なことに、VSV−Gの一般的なエピトープタグの検出(実施例2)は、成功裡で一貫性のある自己抗原発現を検証するのになお使用されたが、自己抗体単位の計算において、ここでは使用しなかった。
【0049】
所与の自己抗原に対する診断用評点閾値を設定するため、22例の正常患者血清の群においてT
2−ELISAアッセイを実施し、そのときのカットオフを、約95%の統計学的信頼性になるように、この正常コホートの平均の2標準偏差上に設定した。2〜3標準偏差でのこの方法の使用は一般的な実務である(例えば、[Liu、Wang、Li、Xu、Dai、WangおよびZhang(2009)Scand J Immunol 69:57−63])。しかしながら、この標準偏差に基づくカットオフ計算法の重要な要件は、データがガウス分布に従うことであるが、正常性に関するシャピロ・ウイルク検定で測定したこれは該当しなかった。解決策として、本発明者らは、自己抗体単位をlog
2変換し、フロアを0に設定して(すなわち、≦0の非変換値は変換せずに0のままにして)ガウス分布(>0の値)を得、カットオフが上述の標準偏差方法論に基づいて設定されることを可能にした。自己抗体単位の計算でバックグラウンド減算を使用しており、≦0の値をもたらす患者試料は、定義により、関係なく自己抗体陰性と評点付けしなければならない(すなわち、カットオフは必要とされず、≦0の値にも該当しない)ことを意味するため、≦0の自己抗体単位値はカットオフ計算から除外した。
【0050】
HK1についての
図3のデータからわかるように、2.0のカットオフを使用すると、この新たな試料コホートにおける82%診断鋭敏度(100%特異性)は、最初の試料コホートにおいて行なったマイクロアレイ解析と良好に整合している(表I参照)。KLHL12についての
図4のデータからわかるように、2.5のカットオフを使用すると、この新たな試料コホートにおける36%診断鋭敏度(100%特異性)は、最初の試料コホートにおいて行なったマイクロアレイ解析と良好に整合している(表I参照)。
実施例4:事前にマイクロアレイによってスクリーニングしていない新たな抗ミトコンドリア抗体(AMA)陰性PBC患者コホートにおいてELISAを用いた新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)自己抗原HK1およびKLHL12の確認
PBCが疑われるが抗ミトコンドリア抗体(AMA)陰性状態を有する患者は、全PBC患者のおよそ5〜20%を構成するが[Oertelt、Riegerら Hepatology 2007;45:659−665]、AMA陰性PBC患者は、血清検査に基づいて診断により確認することが特に困難である。既知および確認済の自己抗原Sp100およびgp210を使用した場合のみ、少数割合のAMA陰性PBC患者の検出がもたらされ(例えば、最近の試験の一例では17〜33%[Liu、Shi、Zhang、ZhangおよびGao(2008)Liver Int 28:233−9])、これは、AMA陰性PBC患者を検出することができる特異的自己抗原の必要性を示す。
【0051】
本発明者らの新規な自己抗原HK1およびKLHL12がAMA陰性PBC患者を検出できる能力を試験するため、本発明者らは、間接免疫蛍光法(IIF)ではAMA陰性であるが、慣用的な方法[Heathcote(2000)Hepatology 31:1005−13]および肝臓生検により確認済のPBCを有する17例の患者血清を使用した。新たなAMA陰性PBC血清は、本発明者らの共同研究者Donald Bloch博士、M.D.,Center for Immunology and Inflammatory Diseases、Massachusetts General Hospital、Assistant Professor of Medicine、Harvard Medical Schoolから取得したものであった。本発明者らは、本発明者らの新規な自己抗原HK1およびKLHL12の能力を、利用可能な市販の試験体と比較し、確認済のPBCを有するがAMA陰性状態が既知であるこのような患者を検出した。
【0052】
自己抗原の発現
実施例2の場合と同様。
【0053】
自己抗原の二重タグ酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
実施例2の場合と同様。
【0054】
FDA承認済の市販のPBC ELISA
また、PBC診断のためのFDA承認済の市販のELISAも実施し、これらは、Quanta Lite(商標) M2 EP(MIT3)、Quanta Lite(商標) sp100、Quanta Lite(商標) gp210およびQuanta Lite(商標) PBC Screen IgG/IgAアッセイ(INOVA Diagnostics(San Diego,CA)製)であり;製造業者の使用説明書に従って行なった。
【0055】
結果:
評点付けの目的のため、自己抗体単位の計算および実施例3で確立した診断閾値をもう一度、ここで、各自己抗原(HK1およびKLHL12)に対して使用した。
【0056】
HK1についての
図5のデータによって示されるように、17例のAMA陰性PBC血清のうち4例が、この自己抗原について試験結果が陽性であった(24%感度)。KLHL12についての
図6のデータからわかるように、17例のAMA陰性PBC血清のうち6例が、診断による試験結果が陽性であった(35%感度)。また、本発明者らは、上述の17例のAMA陰性PBC血清を、4つのすべてのINOVA Diagnostics社の市販のFDA承認済PBC試験、すなわち、Quanta Lite(商標) M2 EP(MIT3)、Quanta Lite(商標) sp100、Quanta Lite(商標) gp210およびQuanta Lite(商標) PBC Screen IgG/IgA ELISAでも試験した。HK1およびKLHL12でのこれらの試験の結果ならびに本発明者らのT
2−ELISAの結果を表IIにまとめる。INOVAの試験では、17名の患者のうち3名(18%)を検出することができなかった。しかしながら、驚くべきことに、HK1およびKLHL12では各々、先の検出不可能だったAMA陰性PBC血清(それぞれ、PB−AMN−044およびPB−AMN−263)を検出することができた。第3の患者(PB−AMN−084)は、上述の自己抗原でも検出されないままであったが、Sp140では検出された(詳細については実施例6参照)。これらの結果を
図7にベン図としてまとめると、種々のバイオマーカー間に重複が示される(か、またはそれがない)。Quanta Lite(商標) PBC Screen IgG/IgA ELISAの結果は、ベン図(
図7)に示されていないことに注意のこと。しかしながら、表IIにおいてわかるように、このアッセイでは、その他のINOVAアッセイと比べて検出は増大しなかった。総合すると、このような所見は、本発明者らの2つの新規な自己抗原HK1およびKLHL12は、診断に非常に有意であることを示す。本発明者らの新規なバイオマーカーを既存のPBCバイオマーカーパネルに加えることにより、検出の改善がもたらされ得、したがって、PBC患者、特にAMA陰性PBC患者の早期処置および転帰の改善がもたらされ得ることが示唆される。
【0057】
実施例5:非定型間接免疫蛍光(IIF)染色による患者でのHK1およびKLHL12の評価
間接免疫蛍光法(IIF)で測定したときの明確なAMA染色または適正な抗核の自己抗体(ANA)染色パターンがなく、PBCの最終診断を導くことが極めて困難であるため、本発明者らは、PBC患者の数は、これまでに疑わしいとされている数よりも多い可能性があると提案する。この理論を試験するため、本発明者らは、散在性の細胞質または核膜IIF染色パターンを有する診断未確定の患者由来の血清を調べた。この新たな患者の血清は、本発明者らの共同研究者Donald Bloch博士、M.D.,Center for Immunology and Inflammatory Diseases、Massachusetts General Hospital、Assistant Professor of Medicine、Harvard Medical Schoolから取得したものであった。
【0058】
自己抗原の発現
実施例2の場合と同様。
【0059】
自己抗原の二重タグ酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
実施例2の場合と同様。
【0060】
Quanta Lite(商標) M2 EP(MIT3)ELISA
アッセイは、製造業者の使用説明書(INOVA Diagnostics,San Diego,CA)に従って行なった。
【0061】
結果:
本発明者らは、HK1、KLHL12およびM2 EP(MIT3)Quanta Lite(商標) Assay(INOVA Diagnostics,San Diego,CA)を20名の患者において実施し、その結果を
図8に示す。接頭辞「Cyto」または「NM」が示された血清試料は、それぞれ、散在性の細胞質または核膜IIF染色を有する患者由来のものである。HK1およびKLHL12において実行したT
2−ELISAの自己抗体単位の計算は、実施例2の場合と同様にして行なった。T
2−ELISAアッセイでの評点付けは、実施例2に記載の「解析」方法に従って行なった(
図8のグラフのバーの血清試料はいずれも陽性であることに注意のこと)。尺度影響を回避するため、
図8の各抗原のグラフのデータは、該抗原での最大自己抗体単位を有する患者(該患者を各抗原について青色矢印で表示する)のパーセントとして正規化したものである。本発明者らは、Y軸を、INOVAのMIT3カットオフ25単位に設定した(低い陽性対照に基づいて;カットオフは製造業者の使用説明書どおりに決定)、これは17%に相当し、そのため、表示されたバーはすべて、陽性結果を示す。
【0062】
1名の患者は、3つのすべてのマーカーによって検出される。新規な自己抗原KLHL12では、他のマーカーでは検出されない2名の核膜患者が検出される。最後に、MIT3では、他のマーカーでは検出されない1名の核膜患者および数名の細胞質患者が検出される。これらの結果は、HK1、KLHL12およびMIT3抗原の検出により、PBCに苦しんでいるがIIF染色が非定型である、これまで診断未確定の多数の患者を明らかにするのに有用であり得ることを強く示唆する。
【0063】
実施例6:Sp140の検出による原発性胆汁性肝硬変(PBC)のELISAによる診断鋭敏度の改善
5〜20個の核内点状構造と反応する抗核抗体が、原発性胆汁性肝硬変(PBC)の患者の20〜30%において検出される。「多数の核内点状構造」(MND)染色パターンは、前骨髄球性白血病タンパク質核小体(PML NB)成分に指向されるこのような抗体によってもたらされ、該成分のうち1つは、最近、Sp140と特定された。Sp140は、PBC患者の13%に存在し、AMA陽性PBC患者と比べて大部分がAMA陰性患者に存在している(8%に対して53%)と報告されている[Granito、A、Yang、W.ら、2009、Am J Gastroenterol,In Press]。したがって、本発明者らは、本発明者らのT
2−ELISAにおいてSp140を試験した。
【0064】
PBC患者の血清は、本発明者らの共同研究者Donald Bloch博士、M.D.,Center for Immunology and Inflammatory Diseases、Massachusetts General Hospital、Assistant Professor of Medicine、Harvard Medical Schoolから取得したものであった。Sp140の状態は、最初に、IIFによってSp140発現細胞と陰性細胞(対比)において測定された。
【0065】
自己抗原の発現
実施例2の場合と同様。
【0066】
自己抗原の二重タグ酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
実施例2の場合と同様。
【0067】
QUANTA Lite(商標) Sp100 ELISA アッセイは、製造業者の使用説明書(INOVA Diagnostics,San Diego,CA)に従って行なった。
【0068】
結果:
T
2−ELISA自己抗体単位の計算および「解析による」評点付けは実施例2の場合と同様にして行なった。INOVA Diagnostics Sp100 ELISAの評点付けは、製造業者の使用説明書に従って行なった。結果は表IIIである。注目すべきことに、Sp100は、本発明者らのT
2−ELISAまたはINOVAのアッセイのいずれかでは、PBC患者PB−AMP−020またはPB−AMN−084(オレンジ色の斜線部)において検出され得なかったが、T
2−ELISA基本型では、Sp140自己抗原を用いてこれらのPBC患者を検出することができた。PB−AMN−084の検出は、この患者が、以下:Sp140間接免疫蛍光法(IIF)法(図示せず)、任意のINOVAの利用可能なPBC ELISA試験、またはT
2−ELISAによって測定された新規な自己抗原HK1およびKLHL12のいずれかのいずれによっても検出され得なかった(これらのELISAの結果については先の実施例4および表IIを参照のこと)ため、最も注目に値する。
【0069】
そのため、総合すると、HK1、KLHL12およびSp140は、強力な診断の自己抗原パネルとしての機能を果たし得、これにより、これまで見逃されていたPBC患者の迅速で正確な診断が可能になる。
【0070】
また、この実施例は、Sp100に関して、本発明者らのT
2−ELISA基本型は、INOVAのFDA承認済Sp100 ELISAと本質的に100%合致しているという別の重要な結果を示す。合致しない唯一の結果はT
2−ELISAにより陰性結果が得られた場合と、INOVAアッセイによりあいまいな結果(これは、INOVAの指定カットオフに近すぎて結論(製造業者の評点付け方法どおりの)が出せない)が得られた場合の2つであった。
【0071】
実施例7:PBC患者の血清を用いた新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)自己抗原HK1およびKLHL12に対する自己抗体の比色検出と化学発光ELISA検出(対比)
自己抗原と自己抗体間の結合を利用するELISA実験では、通常、2つの検出ストラテジーのうちの1つが使用される。化学発光は、一般的に、感度が高い方、およびダイナミックレンジがより広い方であると認知されており、一方、比色は、一般的に、より安定で一貫性のある方と認知されている。この実験の目的は、厳密に同じ実験を2回行ない、次いで、1つは比色検出、1つは化学発光による検出でパラレルで発色させることであった。
【0072】
自己抗原の発現およびT
2−ELISA
比色ELISA検出では、INOVA Diagnostics QUANTA Lite(商標) ELISA基本型(San Diego,CA)の以下の試薬:HRP試料希釈剤、HRP洗浄濃縮液、HRP IgGコンジュゲート、TMB色原体、HRP停止溶液を使用したこと以外は、実施例2の場合と同様にして行なう。製造業者による使用説明書に従った。化学発光によるELISAの診断用評点付けは、同じ血清について実施例4で既に測定されたものとした。
【0073】
結果:
PBC患者由来の血清でのHK1のELISAの結果を
図9Aに示し、KLHL12の結果を
図9Bに示し、比色および化学発光の両方による検出を示す。比色アッセイの結果は、バックグラウンド減算シグナルとしてプロットしており、バックグラウンドは、発現ブランク(自己抗原の発現なし)に対して実施した同じ血清である。化学発光ELISA評点は、X軸の下方に「+」(陽性)または「−」(陰性)で示している。化学発光によるELISAの評点は、既に実施例4で測定した同じ血清のものであることに注意のこと(血清PB−AMN−044およびPB−AMN−263(
図9AおよびBの緑色の輪郭)は、INOVA Diagnosticsのすべての利用可能なPBC ELISAアッセイでは先で陰性と評点付けされたがそれぞれHK1およびKLHL12では陽性のものである)。これらの結果は、化学発光による読出し法と比色ELISA読出し法との合致を明白に示す。
【0074】
実施例8:ポイント・オブ・ケア診断法の実現可能性−PBC患者の血清を用いた新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)自己抗原HK1に対する自己抗体の比色ドットブロット検出
この実施例の目的は、自己免疫疾患のポイント・オブ・ケア(POC)自己抗体に基づく診断のアッセイ(すなわち、医師の診療所で、例えば、内科医、一般的な医師またはリウマチ専門医によって迅速かつ容易に行なわれるアッセイ)における自己抗原の使用のための原理証明を示すことである。
【0075】
ポイント・オブ・ケア(POC)診断のための固相イムノアッセイの一般的な形式の一例は、多孔質固相膜マトリックス(ニトロセルロースなど)で行なわれる側方流動型免疫クロマトグラフィー方法である。例えば、血液試料ならびに比色標識検出試薬(一般的には、コロイド状金標識)をニトロセルロース細片の長さ方向に毛管作用によって流動させ、続いて、例えば、抗原、捕捉抗体または他の捕捉剤を事前に固定化(すなわち、縞模様に)させておいた試験領域に接触させる。陽性結果は、試験領域内で着色縞模様として可視化される。
【0076】
かかるアッセイの最も広く認識されている形態は「自宅」妊娠検査であるが、ヒト血液中の抗体を迅速に検出するための(例えば、病原体感染の検出のための)種々の形式が可能である[Biagini、Sammons、Smith、MacKenzie、Striley、Snawder、RobertsonおよびQuinn(2006)Clin Vaccine Immunol 13:541−6;Laderman、Whitworth、Dumaual、Jones、Hudak、Hogrefe、CarneyおよびGroen(2008)Clin Vaccine Immunol 15:159−63]。
【0077】
この型のデバイスを模倣し、本特許において報告する新たなPBC自己抗原HK1での実現可能性を示すため、ドットブロットアッセイを行なった。このアッセイでは、自己抗原をニトロセルロース膜上に固定化させ、次いで、これを患者の血清とプローブ結合させた。結合された自己抗体の検出は、コロイド状金標識抗ヒトIgG検出抗体を用いて行なわれる。手順の詳細および結果は以下のとおりである。
【0078】
自己抗原の比色ドットブロット
組換え精製ヒトヘキソキナーゼ1タンパク質(HK−1、Alpha Diagnostic、International、San Antonio、TX)を、TBS(50mM Tris、pH7.5、200mM NaCl)中で200ng/μLに希釈した。ヒトIgGを、PBS(50mMリン酸ナトリウム、pH7.5、100mM NaCl)中で250ng/μLに希釈した。
【0079】
ニトロセルロース(HiFlow Plus、Millipore Corporation、Bedford、MA)を切断して0.5cm×3cmの細片を形成した。各々1μLのTBS、HK1およびヒトIgGをニトロセルロース上に個々にスポットし、37℃で1時間のインキュベーションによって充分に乾燥させた。次いで、細片をブロックバッファー[1%BSA(w/v)含有TBS−T(0.05%v/v Tween−20を含むTBS)]中で室温(RT)にて30分間処理した。ブロック液を真空吸引した。患者の血清をブロック液中で1:100に希釈し、次いで、ニトロセルロース細片とともに室温で30分間インキュベートした。血清を吸引し、細片を各々、1.5mLのTBS−T:4×5分間で洗浄した。
【0080】
細片を、ブロック液中で1:10に希釈したコロイド状金コンジュゲート二次抗体[抗ヒトIgG(H+L)抗体、金標識(40nm)、KPL、Gaithersburg、MD]と、振盪しながら室温で3時間プローブ結合させた。
【0081】
結果:
側方流動イムノアッセイにより、簡単、正確かつ高速な結果報告および易使用性の形式がもたらされ、したがって、好評なポイント・オブ・ケア(POC)診断の基本型である。側方流動系デバイスは、免疫クロマトグラフィー原理を用いて生体液(血液など)を種々の解析物について、ものの数分で「現場」条件下で特別な機器も専門知識もなしでアッセイするものである。PBC自己抗原の比色側方流動POCアッセイの実現可能性を試験するため、本発明者らは、モデルドットブロット実験を行なった。
【0082】
組換え精製ヒトHK1、ならびに担体バッファー(陰性対照)およびヒトIgG(陽性対照)をニトロセルロース上にスポットした。PBC患者および正常患者由来の希釈血清(1:100)を結合させ、洗浄した後、コロイド状金標識抗ヒトIgGを添加した。結果を
図10に示す。1時間20分後、IgGスポット(陽性対照)はすべてピンク色になった。HK1スポットは、PBC患者の血清の1:100希釈物ではピンク色になったが、正常血清では陰性(着色なし)であった。陰性対照スポット(担体バッファーのみ)は無色のままであった。
【0083】
実施例9:タンパク質相互作用の検出のツールとしての二重エピトープタグ系固相不均一系アッセイ(T
2−ELISA)
本発明者らは、(インビトロ)発現された標的タンパク質を表面上に捕捉する二重エピトープタグ化無細胞を主体とする、新規な高処理量内部正規化固相不均一系アッセイを開発した。このアッセイでは、表面固定化無細胞発現標的タンパク質に対する「プローブ」(例えば、薬物、オリゴヌクレオチドまたは抗体)の結合が検出され得るとともに、同じ表面上の標的タンパク質の量が正規化され得る。本明細書に示した実施例は、ヒト血清由来の自己抗体と標的タンパク質としての無細胞発現自己抗原との結合の検出に関するものであるが、この方法論は広く適用可能である。さらに、この実施例で使用したアッセイ形式はマイクロウェル(マイクロタイター)プレート型ELISA形式であるが、種々のアッセイ形式が可能である。
【0084】
本発明者らの新規なアッセイの一実施形態は、本発明者らがT
2−ELISA方法と称するものであり、1つのエピトープタグ(捕捉タグ)を有するマイクロタイタープレートウェル上への自己抗原(標的タンパク質)の捕捉、続いて、同じウェル内の自己抗体(プローブ)シグナルの読取りを含むとともに、別のウェルで発現させたタンパク質の量を、他方のタグ(検出タグ)を用いて正規化する。本発明者らのT
2−ELISAアッセイを、ヒト血清中の抗sp100 IgG抗体の検出のためのFDA承認済の市販の半定量的ELISAアッセイ(QUANTA Lite(商標) sp100;INOVA Diagnostics,San Diego,CA)と比較するため、本発明者らは以下の実験を設定した:簡単には、自己抗原を無細胞発現させ、マイクロタイタープレート型アッセイに沿って精製し(すなわち、ウェル表面上に捕捉し)、患者の血清に対して自己抗体結合について従来のサンドイッチELISA形式を用いてスクリーニングする。酵素タグ化検出抗体(各々、異なる化学発光基質を有する)を順次添加した後、自己抗体結合ならびに検出タグ(正規化シグナル)の両方の読取りが行なわれるように、2種類の異なる化学発光基質を適切なウェルに1つずつ添加する。
【0085】
自己抗原の発現
推定自己抗原(この場合、ヒトSp100)のオープンリーディングフレーム(ORF)全体を、標準的で認知された分子生物学的実務手段を用いて、ORF挿入物に加えて、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、Kozak(リボソーム結合)配列、開始コドン、N末端VSV−Gエピトープタグ(YTDIEMNRLGK)、およびC末端HSVエピトープタグ(QPELAPEDPED)を含む無細胞タンパク質発現に適合性のプラスミドベクター内にクローニングした。発現ベクター内へのクローニングのための供給源DNAとして、完全長配列確認クローンをOpenBiosystems(Huntsville、AL)から購入した。発現ベクターを正しいORF挿入物について、標準的なEcoRI消化方法を用いて確認した。
【0086】
自己抗原は、上述のプラスミドクローンから無細胞タンパク質発現によって作製した。無細胞タンパク質発現反応は、ウサギ網状赤血球ライセート系(TNT(登録商標)T7
Quick for PCR DNA;Promega、Madison、WI)と組みにした転写/翻訳を、製造業者の使用説明書に従って用いて行なった。自己抗原発現反応には、対応するプラスミドDNAを含めたが、ブランク発現反応では、プラスミドDNAのみを無しとした。発現反応は、TDB[1%BSA(w/v)および0.1%(v/v)Triton X−100含有TBS−T(50mM Tris、pH7.5、200mM NaCl、0.05%(v/v)Tween−20)]中で1/20に希釈することにより停止させた。
【0087】
自己抗原の酵素免疫測定法(ELISA)
Nunc Brand 96ウェルPolysorp(商標) Microwell(商標)白色不透明で平底の未処理のポリスチレン製マイクロタイタープレート(Nunc Brand from Thermo−Fisher Scientific;Rochester、NY)を、サンドイッチ型酵素免疫測定法(ELISA)に使用した。プレートを、0.5μg/mLのマウスモノクローナル抗HSV(登録商標)タグ捕捉抗体(EMD Biosciences,Inc.,San Diego,CA)(炭酸/重炭酸ナトリウム(pH9.3)中)で、振盪しながら30分間コートした(50μL/ウェル)。プレートの洗浄はすべて、TBS−T(ウェルを最大限、すなわち300Μlまで充填)の手作業による添加後真空吸引の4回の反復からなるものであった。プレートの洗浄はすべて、特に記載のない限り、この様式で行なった。次いで、プレートを300μL/ウェルで1%BSA(w/v)含有TBS−T中で30分間ブロックした。この溶液をプレートから取り出し、上述の停止(すなわち、希釈)無細胞発現反応液(自己抗原およびブランク反応液)を次いで、100μL/ウェルで添加し、30分間振盪した。プレートを洗浄し、血清試料(1%BSA(w/v)含有TBS−T中で1/1,000に希釈)を100μL/ウェルで添加し、30分間振盪した。プレートを洗浄し、血清試料(1%BSA(w/v)含有TBS−T中で1/1,000に希釈)を100μL/ウェルで添加し、30分間振盪した。各血清試料は、二連のウェルの自己抗原および二連のウェルの無細胞発現ブランクに対して実験し、さらなる組の二連のウェルの無細胞発現ブランクをVSV−Gエピトープタグの検出用に指定した[したがって、希釈血清ではなくそのままの1%BSA(w/v)含有TBS−Tを加えた]。VSV−Gエピトープタグの検出用に指定したウェルに、次いで、抗VSV−Gホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識モノクローナル抗体を加え、一方、血清自己抗体の検出用に指定したウェルには、マウス抗[ヒトIgG]HRP標識モノクローナル二次抗体を加えた。続いて、この実施例で先に記載のようにして、TBS−T(ウェルを最大限まで満たす)の手作業の添加によってプレートを4回洗浄した後、真空吸引した。VSV−Gエピトープタグの検出用に指定したウェルに、次いで、抗VSV−Gホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識モノクローナル抗体(Clone P5D4、Roche Applied Science,Indianapolis,IN)(1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈)を加えた。血清自己抗体の検出用に指定したウェルには、マウス抗[ヒトIgG]HRP標識モノクローナル二次抗体(マウス免疫グロブリンとの交差反応性は最小限;Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc,West Grove,PA)(1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈)を加えた。プレートを30分間振盪した。次いで、この溶液を、プレートを反転させた後、反転させたプレートをドライペーパータオル上で激しくたたいて残留液を除去することによって、プレートから手作業で放出した。次いで、この実施例で先に記載のようにしてプレートを洗浄した。化学発光シグナルを、50μL/ウェルのSuperSignal ELISA Pico Chemiluminesence Substrate(Thermo Fisher Scientific、Rockford、ILのPierce Brand)の添加によって生成させた。プレートを15分間振盪することにより発色させ、次いで、LumiCount luminescenceプレートリーダー(1秒間の露光、650VのPMT、ゲイン1)(Packard/PerkinElmer Life and Analytical Sciences,Inc.,Boston、MA)において読取りを行なった。
【0088】
QUANTA Lite(商標) sp100 ELISA
アッセイは、製造業者の使用説明書(INOVA Diagnostics,San Diego,CA)に従って行なった。
【0089】
結果:
本発明者らは、本発明者らのT
2−ELISAを市販のELISAと比較し、合致を試験した(
図11)。これは、35例の原発性胆汁性肝硬変(PBC)血清を既知の自己抗原Sp100に対する自己抗体について試験することにより行なった。市販のELISA(INOVA Diagnostics,San Diego,CA)は、自己抗原がプレート表面上に固定化されて構成されたFDA承認済比色ELISAであり、製造業者の使用説明書に従って行なった。PBCコホートのサブセットを用いたデータを
図11に示す。「単位」の計算に使用したINOVAの標準的な陽性対照血清は、両方のアッセイにおいて実験し、各アッセイのシグナルを同じスケール(単位/μL未希釈血清)に変換した。どちらのアッセイもINOVA方法論を用いて評点付けした、すなわち、単位>25の場合が陽性;これは、標準的な陽性対照血清に対して設定される「低陽性」である。
図11に示されるように、血清の陽性または陰性の評点付けに関して完璧な合致がみられる。しかしながら、INOVAアッセイは非常に急速に飽和状態になるが、T
2−ELISAでは、少なくとも5倍広いダイナミックレンジで表示される。
【0090】
実施例10:合致を評価するための癌血清のp53腫瘍関連自己抗体の検出に関するT
2−ELISAと慣用的な市販のELISAとの比較
T
2−ELISAの自己抗原の発現
ヒトp53のオープンリーディングフレーム(ORF)全体を、標準的で認知された分子生物学的実務手段を用いて、ORF挿入物に加えて、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、Kozak(リボソーム結合)配列、およびC末端HSV(QPELAPEDPED)および6X Hisエピトープタグを含む無細胞タンパク質発現に適合性のプラスミドベクター内にクローニングした。発現ベクターを正しいORF挿入物について、DNA配列決定を用いて確認した。
【0091】
p53自己抗原は、上述のプラスミドクローンから無細胞タンパク質発現によって作製した。無細胞タンパク質発現反応は、ウサギ網状赤血球ライセート系(TNT(登録商標)T7 Quick for PCR DNA;Promega、Madison、WI)と組みにした転写/翻訳を、製造業者の使用説明書に従って用いて行なった。自己抗原発現反応には、対応するプラスミドDNAを含めたが、ブランク発現反応では、プラスミドDNAのみを無しとした。発現反応は、TDB[1%BSA(w/v)および0.1%(v/v)Triton X−100含有TBS−T(50mM Tris、pH7.5、200mM NaCl、0.05%(v/v)Tween−20)]中で1/20に希釈することにより停止させた。
【0092】
自己抗原の酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
種々の病期(AJCC/UICCの病期I〜病期IVの範囲)の結腸直腸癌(CRC)と診断された34名の患者由来、および7例の無疾患個体由来の血清(ProMedDx、Norton、MA)を、p53腫瘍自己抗原に対する自己抗体について、組換えヒト細胞内発現p53で構成された市販のELISA(EMD Biosciences,Inc.,San Diego,CA)およびT
2−ELISAを用いて、二連でスクリーニングした。市販のELISAでは、血清(4℃でマイクロ遠心機にて16,000×gで5分間のスピンにより予め清浄化したもの)を1:100に希釈し、二連で、製造業者によって提供された使用説明書に従って文献に記載のようにして実験した[OshikawaおよびSugiyama(2000)Respir Med 94:1085−91]。また、確認済の陰性対照血清(製造業者によって提供)も二連で実験し、アッセイバックグラウンドの測定に使用した。各ウェルの450nmでの吸光度の読み値を、SpectraMax Plus384マイクロプレート分光測光器(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)にて収集した。
【0093】
T
2−ELISAでの血清のスクリーニングには、以下のプロトコルを使用した。Nunc Brand 96ウェルPolysorp(商標) Microwell(商標)白色不透明で平底の未処理のポリスチレン製マイクロタイタープレート(Nunc Brand from Thermo−Fisher Scientific、Rochester、NY)を、サンドイッチ型酵素免疫測定法(ELISA)に使用した。プレートを、0.5μg/mLのマウスモノクローナル抗HSV(登録商標)タグ捕捉抗体(EMD Biosciences,Inc.,San Diego,CA)(炭酸/重炭酸ナトリウム(pH9.3)中)で、振盪しながら30分間コートした(50μL/ウェル)。次いで、マルチチャネルピペットを用いて洗浄バッファーを添加し、プレートを反転させた後、反転させたプレートをドライペーパータオル上で激しくたたいて洗浄バッファーおよび残留液を除去することによって、プレートを300μlのTBS−T中で手作業で4回洗浄した。300μL/ウェルの1%BSA(w/v)含有TBS−Tを用いてブロックを30分間行なった。記載したばかりのとおりにして溶液をプレートから取り出し、上述の停止(すなわち、希釈)無細胞発現反応液(自己抗原およびブランク反応液)を次いで、100μL/ウェルで添加し、30分間振盪した。プレートを上記のようにして洗浄し、血清試料(4℃でマイクロ遠心機にて16,000×gで5分間のスピンにより予め清浄化したもの)を、1%BSA(w/v)含有TBS−T中で1/2,000に希釈した。100μL容量の血清/ウェルを添加し、プレートを室温で30分間振盪させた。一方は無細胞発現自己抗原を含み、他方は無細胞発現ブランクを含む(DNA鋳型なしでの発現反応)2つの別々のプレートの各々の二連のウェルに対して、各血清試料の実験を行なった。血清インキュベーション後、真空吸引によって血清を除去し、プレートをTBS−Tで4回洗浄した。血清自己抗体検出には、1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈した100μlのマウス抗[ヒトIgG]HRP標識モノクローナル二次抗体(マウス免疫グロブリンとの交差反応性は最小限;Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc,West Grove,PA)を各ウェルに添加した。室温で30分間プレートを振盪した後、上記のようにして300μlのTBS−T中で4回洗浄した。化学発光シグナルを、50μL/ウェルのSuperSignal ELISA FEMTO Chemiluminesence Substrate(Thermo Fisher Scientific、Rockford、ILのPierce Brand)の添加によって生成させた。室温で15秒間振盪することによりプレートを発色させ、次いで、LumiCount luminescenceプレートリーダー(1秒間の露光、693VのPMT、ゲイン1)(Packard/PerkinElmer Life and Analytical Sciences,Inc.,Boston、MA)において読取りを行なった。
【0094】
結果:
既知の腫瘍自己抗原p53に対する自己抗体の検出における本発明者らのT
2−ELISAと市販のELISAとの合致を試験するため、CRC患者由来の34例の血清(
図12、1〜34)および7無疾患「正常」個体由来の血清[
図12、N1〜N7(緑色の四角の囲み)]を、2つのアッセイの各々において二連で試験した。各ELISAの実施後、各血清でのバックグラウンド減算シグナル値をまず計算した。市販のELISAでは、バックグラウンドを、製造業者によって提供された確認済陰性血清とプローブ結合させた2つのウェルの各々の未加工の値の平均として計算した。次いで、このバックグラウンド値を、CRCまたは「正常」血清のいずれかとプローブ結合させた試験ウェルの各々の未加工の値から減算し、各血清での二連のバックグラウンド減算シグナル値を得た。これらのバックグラウンド減算シグナル値について、ゼロフロアを設定した(すなわち、マイナスの値(あれば)はゼロに設定した)ことに注意のこと。次いで、各血清での二連のバックグラウンド減算シグナル値を平均し、単一の平均バックグラウンド減算シグナル値を得た。T
2−ELISAでは、バックグラウンドは、無細胞発現ブランク(減算DNA鋳型反応)に対して実験した各血清での二連のウェルの平均として求めた。次いで、このバックグラウンド値を、無細胞発現自己抗原(p53)に対して実施した同じ血清の二連の未加工の値の各々から独立して減算し、各血清について2つのバックグラウンド減算シグナル値を得た。市販のELISAデータの解析の場合同様、ゼロフロアをもう一度、バックグラウンド減算シグナル値に対して設定した。次いで、各血清での二連のバックグラウンド減算シグナル値を平均し、各血清での単一の平均バックグラウンド減算シグナル値を得た。次に、2つのアッセイ間の合致を確認するため、市販のELISAとT
2−ELISAの両方について、血清を、解析による陽性または陰性に単純に評点付けした(
図12は、解析により陽性と評点付けされた血清のみを示す)。このためには、各血清−自己抗原ペアについて、該ペアがELISAにおいて解析により陽性と評点付けされるために、以下:i)バックグラウンドシグナル(同じ血清とブランク発現ウェル(対比))の二連のウェルの値と比べて、自己抗体シグナル(血清と自己抗原(対比))の二連のウェルの未加工ELISA値に対する片側等分散対応なしt−検定において≦0.05のp値;ii)自己抗体信号対バックグラウンド比が≧2、の両方の基準が満たされていなければならなかった。これらの基準を満たさない血清自己抗原ペアは0に設定する。最後に、各アッセイについて独立して、解析により陽性と評点付けされた血清の平均バックグラウンド減算シグナル値を、同アッセイにおいて最高値を有する血清(市販のELISAではCRC12およびT
2−ELISAではCRC19)に対して正規化し、これを100%に設定した。次いで、この正規化した値をプロットした。エラーバーは標準偏差を表す(
図12)。
図12からわかるように、市販のELISAでp53自己抗体について陽性と評点付けされた血清はすべて、T
2−ELISAでも陽性と評点付けされた(また、相対シグナル強度もほぼ等しい)。さらに、CRC血清ではさらに1例(血清18)が、T
2−ELISAではわずかに陽性、市販のELISAでは陰性と評点付けされたが、正常血清ではさらにはなかった。総合すると、このデータにより、T
2−ELISAは、市販のELISAと少なくとも同等に鋭敏度がよく、おそらく、さらに1例のCRC試料が特定され得たことによって示されるように、わずかに鋭敏度がよい場合すらあり得ることが示唆される。どちらのアッセイでも、正常血清ではいずれも自己抗体シグナルは検出されず、同様に、特異性に関して非常に良好な合致が示唆される。
【0095】
実施例11:タンパク質同士の相互作用を検出するためのツールとしての二重エピトープタグおよび二重レポーターによる固相不均一系アッセイ
実施例2に記載の二重タグ化T
2−ELISAでは、自己抗体検出および標的タンパク質の正規化のために単一レポーター系を使用する。実施例2は、プローブ読出し(その場合、自己抗体)およびエピトープタグ読出しのために別々のウェルの使用を示しているが、この実施例は、該アッセイにより、二重レポーター系を用いて、表面固定化無細胞発現標的タンパク質に対する「プローブ」(例えば、薬物、オリゴヌクレオチドまたは抗体)の結合を検出するとともに、同じ表面(すなわち、同じウェル)で標的タンパク質の量を正規化することができることを示す。本明細書に示した実施例は、ヒト血清由来の自己抗体と標的タンパク質としての無細胞発現自己抗原との結合の検出に関するものであるが、この方法論は広く適用可能である。さらに、この実施例で使用したアッセイ形式はマイクロウェル(マイクロタイター)プレート型ELISA形式であるが、種々のアッセイ形式が可能である。
【0096】
自己抗原(標的タンパク質)を、一方のエピトープタグ(捕捉タグ)を有するマイクロタイタープレートウェル上に捕捉し、他方の(検出タグ)で正規化するとともに、同じウェル内でなお自己抗体(プローブ)シグナルの読取りを行なうことが可能であることを示すため、本発明者らは、T
2−ELISAアッセイを、以下のこと:無細胞発現および抗原捕捉ならびに酵素タグ化抗体の逐次添加後、2種類の異なる化学発光基質も逐次添加し、それにより自己抗体結合シグナルと検出タグ(正規化)シグナルの両方の読取りが同じウェル内で逐次、行なわれることを可能にした以外は実施例2に記載のようにして行なった。
【0097】
同じウェル内での二重検出が可能であるのを示すことに加え、ウェル毎の正規化、すなわち、存在し得るタンパク質の発現または捕捉の多様性を正規化することの潜在的利点を示すため、本発明者らは、種々の患者の血清を用いてさまざまな自己抗原において二重ウェル検出と単独ウェル検出を直接比較する。
【0098】
自己抗原の発現
Rap55がカラム精製PCR産物から発現させたものであること以外は、実施例2の場合と同様にして行なう。Rap55は、cDNAから標準的で認知された分子生物学的実務手段を用いてPCR増幅させた。プライマーは、Rap55挿入物に加えて、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、Kozak(リボソーム結合)配列、開始コドン、N末端VSV−Gエピトープタグ(YTDIEMNRLGK)、およびC末端HSVエピトープタグ(QPELAPEDPED)を含む無細胞タンパク質発現に適合性のPCR産物が得られるように設計した。
【0099】
自己抗原の酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
以下のこと以外は実施例2の場合と同様にして行なう。二重レポーターアッセイ(実施例2に記載の単一レポーターアッセイとは異なる)では、タグとプローブ(自己抗体)が同じウェル内で逐次検出されるため、VSV−Gエピトープタグの検出用に確保しておくさらなるウェルはなかった。酵素タグ化抗体をすべてのウェルに逐次添加した後、その都度、本明細書に記載のようにして洗浄した:まず、1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈したマウス抗[ヒトIgG]アルカリホスファターゼ(AP)標識モノクローナル二次抗体(マウス免疫グロブリンとの交差反応性は最小限;Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc,West Grove,PA)を添加した。次いで、プレートを30分間振盪した。次いで、この溶液を、プレートを反転させた後、反転させたプレートをドライペーパータオル上で激しくたたいて残留液を除去することによって、プレートから手作業で放出した。次いで、プレートを手作業で、実施例8で先に記載のようにして洗浄した。このプロセスを、抗VSV−Gホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識モノクローナル抗体(Clone P5D4、Roche Applied Science,Indianapolis,IN)(1%BSA/TBS−T中で1/20,000に希釈)に対しても繰り返した。AP化学発光シグナルを、50μL/ウェルのBM 化学発光ELISA Substrate(Alkaline Phosphatase Detection;Roche Diagnostics,GmbH、Mannheim、Germany)を製造業者の使用説明書に従って添加することにより生成させた。シグナルを生成させた後、プレートの読取りを実施例8に記載のようにして行なった後、2回目の読取りを行ない、このとき、プレート上の最大シグナルに対するPMTを設定した。プレートの読取り後、プレートを手作業で洗浄した後、50μL/ウェルのSuperSignal ELISA Pico Chemiluminescence Substrate(Thermo Fisher Scientific、Rockford、ILのPierce Brand)を添加した。プレートを15分間振盪することにより発色させ、次いで、実施例1に記載のようにして読取りを行なった後、2回目の読取りを行ない、このとき、プレート上の最大シグナルに対するPMTを設定した。
【0100】
表IVのデータとは異なり、
図13で行なった二重レポーターおよび単一レポーターELISAは、ロボット型プレート洗浄機の補助を伴って洗浄した。具体的には、プレートをELx405 Select Robotic Plate Washer(BioTek、Winooski、VT)において、TBS−T(ウェルを最大限まで満たす)中で6回洗浄した。血清の添加後、ロボット型プレート洗浄機へのヒト血清の混入を回避するため、続いて、プレートを、TBS−Tの手作業の添加によって4回洗浄した(ウェルを最大限まで満たす)後、真空吸引し、次いで、ロボット型プレート洗浄機で、この実施例で先に記載のようにして6回洗浄した。
【0101】
結果:
まず、T
2−ELISAの二重検出プロセスが単独検出と同程度に効率的であることを確立するため、本発明者らは、これを、既知のPBC自己抗原であるRap55およびPBC患者の血清試料を用いて直接比較した。表IV−Aからわかるように、二重レポーターアッセイでの自己抗体(AP)シグナル[AP信号−雑音(すなわち、同じ血清とブランク発現ウェル(対比))として計算]を、単一レポーター(AP)アッセイの対応する自己抗体シグナルに対するパーセントとして計算した。両方の方法で、ほぼ同一の結果が得られ(二重レポーターのAPシグナルは、対応する単一レポーターの97%であり、二重レポーターのHRPシグナルは、対応する単一レポーターの96%であった)、VSV−Gエピトープタグ(HRP)の検出により、同じウェル内でのその後の自己抗体シグナル(AP)の検出は阻害されないことを明白に示す。同様に、自己抗体(AP)検出により、同じウェル内でのVSV−Gエピトープタグ(HRP)検出は有意に妨げられない。また、本発明者らは、二重レポーターアッセイから、単一レポーターアッセイ(表IV−B)と比べた自己抗体(AP)シグナルの信号雑音比:[AP信号/雑音(すなわち、同じ血清とブランク発現ウェル(対比))として計算]を計算し、同じウェル内での二重検出による信号雑音比の減少は少しもないことを示した。
【0102】
次に、二重レポーターと単一レポーターでのT
2−ELISAアッセイを、いくつかの血清−抗原ペアで比較した。
図13は、全身性エリテマトーデス(SLE)、PBCならびに正常患者の血清対さまざまな公知の自己抗原(CENPB、Ro−60、Smith
B、およびSp140)でのT
2−ELISAの実施例データを示す。参照として、試料の臨床的注釈によって報告のとおり種々の自己抗原について陽性であることが既にわかっている試料とした。自己抗体単位のELISA値を各血清−自己抗原ペアについて測定し、その平均および標準偏差(エラーバー)を計算し、上述の自己抗原について個々に
図13にプロットした。自己抗体単位についてゼロフロアを設定したことに注意のこと。CENPBで試験した正常血清は、予測どおり、実際に陰性である。陽性結果の信号雑音比は、3:1(Smith BとSLE−H(対比))〜300:1(SP140とPBC−I−21(対比))の範囲であった。また、この実験で、二重レポーターアッセイと単一レポーターアッセイを比較し、このとき、別々のウェルをVSV−G正規化エピトープタグの検出に対して単独で使用した。二重レポーター検出の潜在的利点は、各自己抗体シグナルが、起こり得るタンパク質発現(例えば、日にち毎)または捕捉の多様性(アッセイ内またはアッセイ間)についてウェル毎に正規化されることである。データは、二重レポーターアッセイの使用に有意な弊害はないことを示す。さらに、予測どおり、二重レポーターアッセイの標準偏差(ウェル毎の正規化)は、単一レポーターアッセイ(アッセイ毎(プレート毎)でしか正規化されない)より有意に小さい。
【0103】
実施例12:コムギ胚芽主体の系で組換え発現させ、ELISAプレートの表面への直接自己抗原コートを用いてアッセイした新規な原発性胆汁性肝硬変(PBC)自己抗原HK1およびKLHL12に対する自己抗体の検出
自己抗原およびELISAアッセイ
この実施例では、重要な特長は、ELISAアッセイを、予備精製組換え発現自己抗原を直接コートしたポリスチレンマイクロタイタープレートにおいて行なったことである(T
2−ELISAの場合のようにELISAプレート表面での抗体媒介性インサイチュ捕捉/精製ではない)。別の注目すべき特長は、HK1およびKLHL12を、先の実施例と比較したときと異なる系において発現させたことである。ヒトHK1およびKLHL12の完全長組換えタンパク質を無細胞コムギ胚芽主体の系で発現させ、Abnova(Taiwan)から購入したN末端GST融合タグによって精製した。プレートをl00μL/ウェルの0.5μg/mLの組換えタンパク質(PBS中で希釈)で一晩コートした。実施例2において詳述したように、次いで、プレートをTBS−T(ウェルを最大限まで満たす)中で6回洗浄し、次いで、300μL/ウェルで1%BSA(w/v)含有TBS−T中で30分間ブロックした。ブロック溶液をプレートから取り出し、血清試料(1/100に希釈)(INOVA Diagnostics’ QUANTA Lite(商標) ELISA系の希釈剤;San Diego,CA)を50μL/ウェルで添加し、室温で30分間振盪した。プレートの洗浄および二次抗体の添加は実施例2に記載のとおりとする。INOVA Diagnostics’ QUANTA Lite(商標) ELISA系(San Diego,CA)の比色基質および停止溶液を製造業者の使用説明書に従って用いてELISAを発色させた。
【0104】
結果:
図14は、比色アッセイがHK1対いくつかのPBCおよび正常血清に対して良好に機能を果たすことを示し、結果は、予測した結果と100%合致している(マイクロアレイおよびT
2−ELISAの結果に基づく;実施例1および2参照)。この予測評点は、グラフに「+」および「−」で示していることに注意のこと。赤い線はこのアッセイのカットオフであることに注意のこと(4つの予測陰性試料の平均より2標準偏差上に設定)。また、これは、組換え抗原での直接プレートコーティングであり、ここではバックグラウンド減算はない(捕捉抗体が存在しないため必要でない)ことに注意のこと。最後に、N−03は、実際、実施例1および2の先の結果に基づくと陽性である(また、PBC−04とPBC−05は陰性)とされることに注意のこと。
【0105】
同様に、KLHL12についての
図15も、予測した結果と100%合致している(マイクロアレイおよびT
2−ELISAの結果に基づく;実施例1および2参照)比色アッセイの結果を示す。この予測評点は、グラフに「+」および「−」で示していることに注意のこと。カットオフは、赤い線で示し、4つの予測陰性試料の平均より2標準偏差上に設定した。実施例1および2の先の結果に基づくと、N−03は陽性、PBC−02とPBC−07は陰性であると予測される。
【0106】
実施例13:HK1およびKLHL12のホモログを用いた原発性胆汁性肝硬変(PBC)における自己抗体の検出
以下の段落の情報は、公に入手可能なUniProtデータベース[The−UniProt−Consortium(2009)Nucleic Acids Res 37:D169−74]ならびに種々の公に入手可能なNCBIデータベース[National(United States)Center for Biotechnology Information]から取得した。
【0107】
ヘキソキナーゼ1(HK1)は、ミトコンドリアの外膜に局在するタンパク質である。HK1をコードする遺伝子の選択的スプライシングにより、異なるアイソフォームをコードする5種類の転写物バリアントがもたらされる。各アイソフォームは相違するN末端を有するが、すべてのアイソフォーム間でタンパク質の残部は同一である[NCBI RefSeq]。したがって、上述のいずれかのアイソフォームで、原発性胆汁性肝硬変(PBC)のヘキソキナーゼ1に対する自己抗体が充分に検出され得ると仮定することは妥当である。
【0108】
さらに、ヘキソキナーゼ1は、ヘキソキナーゼ2、ヘキソキナーゼ3、グルコキナーゼ(ヘキソキナーゼ4)、およびヘキソキナーゼドメイン含有1を含むタンパク質ファミリーの一メンバーである。前述のタンパク質は有意な配列相同性を示す(例えば、NCBI
BLASTエンジンを使用すると、ヒトHK1とHK2は73%の同一性を有し、86%が陽性;それぞれ、NCBI受託BC008730.2コード配列およびNP_000180.2)とともに、一般的な保存ドメイン、例えば、ヘキソキナーゼドメイン_1および_2(それぞれ、pfam00349およびpfam03727)、ならびに保存されたマルチドメインCOG5026ヘキソキナーゼ[糖質輸送および代謝]を共有している。
【0109】
Kelch様12(KLHL12)は、ユビキチンリガーゼのコンジュゲーションおよびwnt細胞−シグナル伝達経路に関与しているタンパク質である。これは、6回kelch反復ドメインとBTB(POZ)ドメインを含んでいる。上述のドメインを含むいくつかのKelch様タンパク質および他のタンパク質が存在している(例えば、表VI参照)。
【0110】
タンパク質の配列類似性と分子内および分子間エピトープの拡延現象の両方のため[VanderlugtおよびMiller(2002)Nat Rev Immunol 2:85−95]、本発明者らには、上述のHK1およびKLHL12ホモログ(また、表VIの実施例も参照のこと)も原発性胆汁性肝硬変(PBC)における疾患特異的自己抗体の検出に関して同様の成績を示し得ることが充分に予測される。さらに、ホモログの使用により、診断鋭敏度および/または特異性が増大するかもしれない。この実施例では、これを評価する。
【0111】
自己抗原の発現
HK1およびKLHL12のホモログ(この実施例で上記のものおよび表VIに示したホモログの例など)を、発現させ、自己抗体の検出のための自己抗原として使用すること以外は、実施例3の場合と同様にして行なう。
【0112】
自己抗原の二重タグ酵素免疫測定法(T
2−ELISA)
実施例3の場合と同様にして行なう。
【0113】
結果:
実施例3の場合と同様、所与の自己抗原に対する診断用評点閾値種を設定するため、T
2−ELISAアッセイを22例の正常患者血清群において行ない、次いで、カットオフを、約95%統計学的信頼性のために、この正常コホートの平均の2標準偏差上に設定する。2〜3標準偏差でのこの方法の使用は一般的な実務である(例えば、[Liu、Wang、Li、Xu、Dai、WangおよびZhang(2009)Scand J Immunol 69:57−63])。次いで、T
2−ELISAを22例のPBC患者血清(例えば、22例のAMA−陰性および/または22例のAMA−陽性)において実施する。次いで、自己抗原特異的カットオフを用いて、正常患者およびPBC患者の両方の評点を自己抗体陰性または陽性として行なう。自己抗体単位の計算およびデータ処理を実施例3の場合のようにして行なう。次いで、各自己抗原種での診断鋭敏度および特異性の計算を実施例3の場合のようにして行なう。
【0114】
タンパク質の配列類似性と分子内および分子間エピトープの拡延現象の両方のため[VanderlugtおよびMiller(2002)Nat Rev Immunol 2:85−95]、少なくとも一部のHK1およびKLHL12ホモログは、AMA−陽性では実施例3の場合、AMA陰性PBCでは実施例4の場合(ここでは、ヒトHK1およびKLHL12自体を使用)と同様の診断成績を示すという予測がなされる。また、一部のものは、診断鋭敏度もしくは特異性のいずれかまたは両方において、より良好な成績を示すことが予測される。