(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付ブラケットは、上壁及び後部垂立壁を有する断面略L字状のブラケット本体と、上壁及び前部垂立壁を有する断面略L字状の補強部材と、を有するとともに、前記ブラケット本体の上壁の下面に前記補強部材の上壁が接合されて断面略コ字状に形成され、
前記ホーンステーの前記接合部が前記前部垂立壁と前記後部垂立壁のいずれか一方に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の車両のホーン取付構造。
前記取付ブラケットの車幅方向の内側領域は、前記サイドメンバに対して溶接によって固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のホーン取付構造。
前記取付ブラケットの車幅方向の外側領域は、前記バンパービーム取付部に対して溶接によって固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両のホーン取付構造。
前記取付ブラケットは、略水平に延出する上壁と、延出面が車両前方を向くように略鉛直方向に延出する垂立壁と、車幅方向外側の端部において前記上壁と前記垂立壁とに連結される側壁と、を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両のホーン取付構造。
前記取付ブラケットの車幅方向の内側領域は、前記サイドメンバの側面と後面とに溶接固定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両のホーン取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のホーン取付構造は、ホーンがブラケットを介して骨格部材の下面に取り付けられるため、骨格部材の車幅方向の長さ範囲にホーンを設置する場合には問題ないが、骨格部材の車幅方向の長さ範囲よりも外側にホーンを設置する必要がある場合には対応が難しい。
【0005】
現在、ホーンの設置位置は、平形ホーンの場合、ホーンの共鳴部(発音部)がバンパーやグリルの開口から前方に露出する位置であることが、法規等を満足する上で必要となる。このため、車両のバンパーやグリルのデザイン等によっては、骨格部材の車幅方向の長さ範囲よりも外側にホーンを設置する必要が生じる。この場合、骨格部材の端部に車幅方向外側に延出する取付ブラケットを固定し、その取付ブラケットの延出端にホーンを取り付けることが考えられる。
しかし、単純に取付ブラケットの延出端にホーンを取り付けると、片持ち梁構造の取付ブラケットにホーンが支持され強度や剛性が低下することになり、取付ブラケットが車両振動やホーンの共鳴振動を受けて応力集中による劣化を招き、ホーンの音質を低下させることが懸念される。
また、渦巻きホーンの場合も、片持ち梁構造の場合、両持ち梁構造と比べ、強度や剛性が低下するため、ホーンの音質を低下させることが懸念される。
【0006】
そこでこの発明は、ホーンを車体前部の骨格部材の車幅方向外側位置に高い剛性を持って取り付けることができる車両のホーン取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る車両のホーン取付構造は、上記課題を解決するために、車両前部の骨格部材であるバルクヘッド(例えば、実施形態のバルクヘッド10)が、上部側で車幅方向に延出するアッパメンバ(例えば、実施形態のアッパメンバ10U)と、下部側で車幅方向に延出するロアメンバ(例えば、実施形態のロアメンバ10L)と、左右の側部で前記アッパメンバと前記ロアメンバを連結する左右のサイドメンバ(例えば、実施形態のサイドメンバ10S)と、左右の各前記サイドメンバから車幅方向外側に延出して、フロントバンパーのバンパービーム(例えば、実施形態のバンパービーム12)を支持するバンパービーム取付部(例えば、実施形態のバンパービーム取付部11)と、警告音を出力するホーン(例えば、実施形態のホーン3)と、を備える車両のホーン取付構造において、車幅方向の内側領域が前記サイドメンバに接合されて車幅方向外側に延出する取付ブラケット(例えば、実施形態の取付ブラケット14)が設けられ、前記取付ブラケットの車幅方向の外側領域が前記バンパービーム取付部に接合され、前記ホーンが前記取付ブラケットに取り付けられるようにした。
【0008】
この構成により、バルクヘッドのサイドメンバに接合されてそのサイドメンバから車幅方向外側に延出する取付ブラケットが、車幅方向外側領域において、バンパービーム取付部に接合される。そして、ホーンはこうして両持ち梁構造とされた取付ブラケットに取り付けられる。このため、ホーンは、取付ブラケットを介して高い剛性をもって車両前部の骨格部材に支持されることになる。
【0009】
前記取付ブラケットは、略水平に延出する上壁(例えば、実施形態の上壁15−u,16u)と、延出面が車両前方を向くように略鉛直方向に延出する垂立壁(例えば、実施形態の後垂立壁15−rまたは前垂立壁16−f)と、を有し、前記ホーンは、ホーン本体(例えば、実施形態のホーン本体3a)から延出するホーンステー(例えば、実施形態のホーンステー3b)を有し、前記ホーンステーは、前記取付ブラケットとの接合部が平坦な板状部材から成り、前記ホーンステーの前記接合部が前記取付ブラケットの前記垂立壁に取り付けられるようにしても良い。
この場合、取付ブラケットの延出方向の剛性が上壁と垂立壁によって高められるとともに、ホーンが垂立壁を介して取付ブラケットに支持されることになる。また、ホーンステーの平坦な接合部が取付ブラケットの垂立壁に取り付けられるため、取付ブラケットに対するホーンステーの取付角度を任意の角度に容易に変更することができる。そして、こうしてホーンステーの取付角度を任意の角度に変更することにより、ホーンの車幅方向の設置位置を任意の位置に変更することができる。
【0010】
前記取付ブラケットは、上壁(例えば、実施形態の上壁15−u)及び後部垂立壁(例えば、実施形態の後垂立壁15−r)を有する断面略L字状のブラケット本体(例えば、実施形態のブラケット本体15)と、上壁(例えば、実施形態の上壁16−u)及び前部垂立壁(例えば、実施形態の前垂立壁16−f)を有する断面略L字状の補強部材(例えば、実施形態の補強部材16)と、を有するとともに、前記ブラケット本体の上壁の下面に前記補強部材の上壁が接合されて断面略コ字状に形成され、前記ホーンステーの前記接合部が前記前部垂立壁と前記後部垂立壁のいずれか一方に取り付けられるようにしても良い。
この場合、取付ブラケットがブラケット本体と補強部材によって断面略コ字状に形成されるため、取付ブラケットの剛性が高まり、ホーンに対する支持剛性も高まる。また、車両のフロントバンパーは車幅方向外側に行くほど後方に曲げられるため、ホーンを車幅方向外側に設置する場合には、フロントバンパーやその周辺部材との干渉を避けるためにホーンをより後方側に配置することが有利となる。このため、この構造を採用した場合には、例えば、ホーンを車幅方向の比較的内側領域に設置するときには、ホーンステーを補強部材の前部垂立壁に取り付け、ホーンを車幅方向の比較的外側領域に設置するときには、ホーンステーをブラケット本体の後部垂立壁に取り付ける等の選択を行うことができる。
【0011】
前記取付ブラケットの車幅方向の内側領域は、前記サイドメンバに対して溶接によって固定されることが望ましい。
この場合、取付ブラケットをサイドメンバに結合するに際してボルトが不要になるため、部品点数の削減による製造コストの抑制を図ることができるとともに、組立工数の削減や軽量化も図ることができる。
【0012】
前記取付ブラケットの車幅方向の外側領域は、前記バンパービーム取付部に対して溶接によって固定されることが望ましい。
この場合、取付ブラケットをバンパービーム取付部に結合するに際してボルトが不要になるため、部品点数の削減による製造コストの抑制を図ることができるとともに、組立工数の削減や軽量化も図ることができる。
【0013】
前記バンパービーム取付部は、前面にバンパービームが取り付けられるビーム取付壁(例えば、実施形態のビーム取付壁11−a)と、該ビーム取付壁から車体後方側に屈曲して延出する接合フランジ(例えば、実施形態の接合フランジ11−b)と、を有し、前記取付ブラケットが前記バンパービーム取付部の接合フランジに接合されるとともに、前記バンパービーム取付部の前記ビーム取付壁の後面と前記取付ブラケットの端部との間にクリアランス(例えば、実施形態のクリアランスc)が設けられるようにしも良い。
この場合、バンパービーム取付部のビーム取付壁の後面と取付ブラケットの端部との間にクリアランスが設けられるように、取付ブラケットがバンパービーム取付部の接合フランジに接合されるため、バンパービーム取付部や取付ブラケットの製造誤差や、取付ブラケットの組み付け誤差があっても、取付ブラケットの端部がバンパービーム取付部から過度な応力を受けることがない。このため、取付ブラケットに支持されるホーンの音色が不要に変化するのを防止することができる。
【0014】
前記取付ブラケットは、略水平に延出する上壁と、延出面が車両前方を向くように略鉛直方向に延出する垂立壁と、車幅方向外側の端部において前記上壁と前記垂立壁とに連結される側壁(例えば、実施形態の側壁15−s)と、を備えるようにしても良い。
この場合、取付ブラケットが、上壁と垂立壁と側壁とによって三方向を相互に補強される構造となるため、取付ブラケットの剛性と強度がより高まる。
【0015】
前記取付ブラケットの車幅方向の内側領域は、前記サイドメンバの側面と後面とに溶接固定されるようにしても良い。
この場合、取付ブラケットが相互に略直交するサイドメンバの側面と後面とに溶接固定されるため、サイドメンバとの接合点の剛性と強度が高まる。
【0016】
前記取付ブラケットの車幅方向の内側領域と前記サイドメンバとが溶接固定されるとともに、前記取付ブラケットの車幅方向の外側領域と前記バンパービーム取付部とが溶接固定され、前記取付ブラケットと前記サイドメンバとは、前記取付ブラケットと前記バンパービーム取付部との一の溶接部と異なる向きの溶接部を有するようにしても良い。
この場合、取付ブラケットが複数の方向でサイドメンバとバンパービーム取付部に溶接固定されるため、取付ブラケットに入力されるホーン振動等を複数方向に分散させて車体側に支持させることができる。したがって、この構造を採用することにより、振動による取付ブラケットの劣化を有利に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ホーンが両持ち梁構造の取付ブラケットを介して車両前部の骨格部材に支持されることになるため、ホーンを車体前部の骨格部材の車幅方向外側位置に高い剛性を持って取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る車両の前部左側部分の正面図である。
【
図2】この発明の第1の実施形態に係る車両の前部の骨格部の正面図である。
【
図3】この発明の第1の実施形態に係る車両の前部の骨格部の背面図である。
【
図4】この発明の第1の実施形態に係る車両の前部の骨格部の左側面図である。
【
図5】この発明の第1の実施形態に係る車両の前部の骨格部の斜視図である。
【
図6】この発明の第1の実施形態に係る車両の前部の骨格部の斜視図である。
【
図7】この発明の第1の実施形態に係る車両の
図3のVII部の拡大図である。
【
図8】この発明の第1の実施形態に係る車両の
図4のVIII部の拡大図である。
【
図9】この発明の第1の実施形態に係る車両の
図7のIX−IX断面に対応する断面図である。
【
図10】この発明の第1の実施形態に係る取付ブラケットの補強部材の斜視図である。
【
図11】この発明の第2の実施形態に係る車両の前部左側部分の正面図である。
【
図12】この発明の第2の実施形態に係る車両の前部の骨格部の正面図である。
【
図13】この発明の第2の実施形態に係る車両の前部の骨格部の背面図である。
【
図14】この発明の第2の実施形態に係る車両の前部の骨格部の左側面図である。
【
図15】この発明の第2の実施形態に係る車両の前部の骨格部の斜視図である。
【
図16】この発明の第2の実施形態に係る車両の
図13のXVI部の拡大図である。
【
図17】この発明の第2の実施形態に係る車両の
図14のXVII部の拡大図である。
【
図18】この発明の第2の実施形態に係る車両の
図16のXVIII−XVIII断面に対応する断面図である。
【
図19】この発明の第3の実施形態に係る車両の前部の骨格部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面の適所には、車両前方を指す矢印FRと、車両の上方を指す矢印UPと、車両の左側方を指す矢印LHが記されている。また、各実施形態においては、共通部分には同一符号が付されている。
【0020】
最初に、
図1〜
図10に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態に係る車両の前部左側部分を前方から見た図である。
図1に示すように、車両の前部の下方領域には、樹脂製のフロントバンパー1が車幅方向に延出して設けられている。フロントバンパー1は、車幅方向の両縁部が後方側に向かって緩やかに湾曲した形状に形成されるとともに、上下方向の略中央部に車幅方向の側端部の近傍まで達する開口2が形成されている。開口2の側端部の近傍部からは、フロントバンパー1の後方側に配置された後述するホーン3が露出している。なお、
図1では図示されていないが、フロントバンパー1の右側部の後方側にも同様にホーン3が配置されている。
【0021】
図2,
図3は、車両の前部の骨格部を前方から見た図と後方から見た図であり、
図4は、車両の前部の骨格部を左側方から見た図である。
図中符号10は、車両のエンジンルームの前部に配置される骨格部材であるバルクヘッドである。バルクヘッド10は、エンジンルーム内の左右の側部に配置される図示しないサイドフレームとアッパメンバの前端部に結合されており、その中央領域の後部には図示しないラジエータ等が取り付けられるようになっている。
【0022】
バルクヘッド10は、上部側で車幅方向に略水平に延出するアッパメンバ10Uと、アッパメンバ10Uの下方側で車幅方向に略水平に延出するロアメンバ10Lと、左右の側部でアッパメンバ10Uとロアメンバ10Lを連結する左右のサイドメンバ10Sと、を備えている。左右のサイドメンバ10Sは、略矩形状の断面形状に形成され、上端部と下端部とが断面略コ字状のアッパメンバ10Uとロアメンバ10Lとに溶接等によって結合されている。
【0023】
左右の各サイドメンバ10Sの上下方向の略中央領域には、サイドメンバ10Sの前壁が車幅方向外側に略矩形状に膨出して形成されたバンパービーム取付部11が設けられている。左右のバンパービーム取付部11の前面には、フロントバンパー1(
図1参照)の前縁部を背部側から保持するバンパービーム12が溶接等によって一体に結合されている。バンパービーム12は、バルクヘッド10の中央の開口領域の前方を跨いで車幅方向に延出し、左右の端部が対応するバンパービーム取付部11に結合されている。また、ロアメンバ10Lには、フロントバンパー1の下縁部を支持するロアビーム13が一体に結合されている。
【0024】
また、左右の各サイドメンバ10Sのバンパービーム取付部11の張り出し部の直下位置には、車幅方向外側に延出する取付ブラケット14が取り付けられている。この各取付ブラケット14には、後に詳述するようにホーン3が取り付けられている。
【0025】
図5は、左側の取付ブラケット14の取付部分を前部左斜め上方側から見た図であり、
図6は、同取付ブラケット14の取付部分を後部左斜め上方側から見た図である。また、
図7は、
図3のVII部を拡大して示した図であり、
図8は、
図4のVIII部を拡大して示した図である。以下では、図面を参照して左側の取付ブラケット14の取付部分の構造についてのみ詳述するが、右側の取付ブラケット14の取付部分も同一の基本構造とされている。
取付ブラケット14は、取付ブラケット14の主要部を構成するブラケット本体15と、ブラケット本体15に一体に結合されて断面を補強する補強部材16と、を備えている。
【0026】
ブラケット本体15は、サイドメンバ10Sとの結合部から車幅方向外側に略水平に延出する上壁15−uと、延出面が車両前方に向くようにサイドメンバ10Sとの結合部から車幅方向外側に延出する後垂立壁15−rと、を有し、上壁15−uと後垂立壁15−rとが略L字状の断面形状を成すように形成されている。
【0027】
ブラケット本体15は、
図7に示すように、後面視が車幅方向に長い略長方形状に形成され、上辺の車幅方向の中央領域が下方に緩やかに窪んでいる。上壁15−uの車幅方向内側領域には、
図6に示すように、上方側に屈曲する上側フランジ17aが設けられ、後垂立壁15−rの車幅方向内側領域には、車幅方向内側に向かってストレートに延出する内側フランジ17bが設けられている。上側フランジ17aは、サイドメンバ10Sの外側側面に溶接され、内側フランジ17bは、サイドメンバ10Sの後面に溶接されている。
【0028】
また、ブラケット本体15の車幅方向外側の上端部領域には、上壁15−uと後垂立壁15−rとに連結される側壁15−sが設けられている。なお、ブラケット本体15の車幅方向外側の下縁部には、車幅方向内側に向かって下方に傾斜する傾斜部15−aが設けられており、その傾斜部15−aには側壁15−sが形成されていない。また、上壁15−uの車幅方向の外側領域はバンパービーム取付部11に溶接されている。この取付ブラケット14との溶接部の詳細については後に説明する。
【0029】
また、後垂立壁15−rの後面の傾斜部15−aの上方に位置される領域には、ホーン3のホーン本体3aから延出するホーンステー3bの端部がボルト18によって締結固定されている。この実施形態の場合、ホーンステー3bは、短冊状の金属板によって構成され、取付ブラケット14(後垂立壁15−r)との接合部を含む全域が平坦に形成されている。なお、この実施形態の場合、ホーンステー3bの基端部はホーン本体3aにボルト締結されているが、ホーン本体3aとの固定構造はボルト締結に限らず任意である。ホーンステー3bは、後垂立壁15−rの後面に対し、下端側(ホーン本体3aの位置される側)が車幅方向外側に向かって傾斜するように取り付けられている。したがって、ホーン本体3aは、後垂立壁15−r上の取付部(ボルト18の締結位置)よりも車幅方向外側に位置されている。
【0030】
図9は、
図7のIX−IX断面に対応する断面を示す図であり、
図10は、取付ブラケット14を構成する補強部材16を前部左斜め上方側から見た図である。
補強部材16は、ブラケット本体15の車幅方向の外側領域に一体に取り付けられる。補強部材16は略水平に延出する上壁16−uと、上壁16−uの前部側で延出面が車両前方側に向くように延出する前垂立壁16−fと、を有し、上壁16−uと前垂立壁16−fとが略L字状の断面形状を成すように形成されている。また、上壁16−uと前垂立壁16−fの車幅方向外側の端部には、上壁16−uと前垂立壁16−fに接合される側壁16−sが一体に設けられている。
図4〜
図6に示すように、補強部材16の上壁16−uと側壁16−sはブラケット本体15の上壁15−uの下面と側壁15−sの内面に溶接されている。ブラケット本体15と補強部材16は、この状態において車体前後方向に沿って切った断面形状が略コ字状とされている。ただし、補強部材16は、厳密には、
図9に示すように、前垂立壁16−fがブラケット本体15の上壁15−uの前端部よりも設定距離後方側に離間するようにブラケット本体15に溶接されている。
【0031】
ブラケット本体15の上壁15−uのうちの、補強部材16の前垂立壁16−fの前方側に位置される前縁領域15−bは、左右同側にあるバンパービーム取付部11の下縁に溶接固定されている。バンパービーム取付部11は、前面にバンパービーム12が取り付けられるビーム取付壁11−aと、ビーム取付壁11−aの下端の一部から車体後方側に屈曲して延出する接合フランジ11−bと、を有している。ブラケット本体15の上壁15−uの上記の前縁領域15−bは、バンパービーム取付部11の接合フランジ11−bの上面に重ねられて溶接されている。ただし、このときバンパービーム取付部11のビーム取付壁11−aの後面とブラケット本体15の前端部(前縁領域15−bの前端部)との間にはクリアランスcが設けられ、ブラケット本体15の前端面がバンパービーム取付部11と干渉しないように設定されている。
【0032】
つづいて、
図11〜
図18に示す第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一部分には共通符号を付して重複する説明を省略するものとする。
図11は、第2の実施形態に係る車両の前部左側部分を前方から見た図である。
第2の実施形態に係る車両は、車両の前部の下方領域に設けられる樹脂製のフロントバンパー101に、第1の実施形態のものよりも車幅方向の開口幅の狭い開口102が設けられ、その開口102の側端部の後方側にホーン3が配置されている。
【0033】
図12,
図13は、車両前部の骨格部の左側領域を前方から見た図と後方から見た図であり、
図14は、車両の前部の骨格部を左側方から見た図である。
骨格部を構成するバルクヘッド10は、第1の実施形態と同じものが用いられ、バルクヘッド10のサイドメンバ10Sとバンパービーム取付部11には、第1の実施形態と同じ取付ブラケット14が溶接によって取り付けられている。
【0034】
図15は、左側の取付ブラケット14の取付部分を前部左斜め上方側から見た図である。
図16は、
図13のXVI部を拡大して示した図であり、
図17は、
図14のXVII部を拡大して示した図である。また、
図18は、
図16のXVIII−XVIII断面に対応する断面を示す図である。
この第2の実施形態においては、ホーン3が取付ブラケット14のブラケット本体15側の後垂立壁15−rではなく、補強部材16の前垂立壁16−fに取り付けられている。具体的には、ホーン3のホーン本体3aから延出したホーンステー3bの端部が補強部材16の前垂立壁16−fの前面にボルト18によって締結固定されている。この第2の実施形態の場合、ホーン3の配置が第1の実施形態よりも車幅方向内側となるため、ホーンステー3bは、前垂立壁16−fの前面に対し、下端側(ホーン本体3aの位置される側)が車幅方向内側に向かって傾斜するように取り付けられている。したがって、ホーン本体3aは、前垂立壁16−f上の取付部(ボルト18の締結位置)よりも車幅方向内側に位置されている。
【0035】
以上で構成を説明した第1,第2の実施形態に係るホーン取付構造においては、バルクヘッド10のサイドメンバ10Sに車幅方向外側に延出する取付ブラケット14が取り付けられ、その取付ブラケット14の車幅方向の外側領域がバンパービーム取付部11に接合されている。このため、サイドメンバ10Sから車幅方向外側に延出する取付ブラケット14が両持ち梁構造でバルクヘッド10に支持されることになる。したがって、このホーン取付構造を採用することにより、サイドメンバ10Sよりも車幅方向外側位置において、ホーン3をバルクヘッド10に高い剛性を持って取り付けることができる。
【0036】
また、この実施形態に係るホーン取付構造では、取付ブラケット14が上壁15−u,16−uと後垂立壁15−r及び前垂立壁16−fを有し、平坦な板状部材から成るホーンステー3bが取付ブラケット14の後垂立壁15−rまたは前垂立壁16−fに取り付けられている。このため、取付ブラケット14の延出方向の剛性が上壁15−u,16−uと後垂立壁15−r及び前垂立壁16−fによって高められるとともに、ホーン3が後垂立壁15−r部分または前垂立壁16−f部分で取付ブラケット14に支持されることになる。そして、この構造においては、板状のホーンステー3bが取付ブラケット14の後垂立壁15−rまたは前垂立壁16−fに取り付けられるため、取付ブラケット14に対するホーンステー3bの取付角度を任意の角度に容易に変更することができる。したがって、ホーンステー3bの取付角度を変更することによって、ホーン3の車幅方向の設置位置を任意の位置に容易に変更することができる。
【0037】
また、この実施形態に係るホーン取付構造では、取付ブラケット14が、上壁15−uと後垂立壁15−rを有するブラケット本体15と、上壁16−uと前垂立壁16−fを有する補強部材16と、を備え、ブラケット本体15の上壁15−uの下面に補強部材16の上壁16−uが接合されることで断面略コ字状に形成されているため、この構造によって取付ブラケット14の剛性を高め、ホーン3に対する支持剛性を充分に高めることができる。
【0038】
ところで、第1の実施形態と第2の実施形態では、いずれも同構造のバルクヘッド10と取付ブラケット14が共用され、ホーン3の取付部位のみが変更されている。具体的には、バルクヘッド10の左右のサイドメンバ10Sのより外側領域にホーン3を配置する第1の実施形態においては、取付ブラケット14のブラケット本体15側の後垂立壁15−rにホーン3のホーンステー3bが取り付けられ、サイドメンバ10Sの比較的内側領域にホーン3を配置する第2の実施形態においては、取付ブラケット14の補強部材16側の前垂立壁16−fにホーン3のホーンステー3bが取り付けられるようになっている。
【0039】
フロントバンパー1は車幅方向外側領域が車両後方側に湾曲して形成されているため、ホーン3が車幅方向の比較的内側領域に配置されている場合には、ホーン3が前方側にあってもホーン3がフロントバンパー1やその周辺部品と干渉することがないが、ホーン3が車幅方向のより外側に配置されている場合には、ホーン3が前方側にあると、ホーン3がフロントバンパー1やその周辺部品と干渉し易くなる。これに対し上記の各実施形態に係る車両においては、取付ブラケット14に、ブラケット本体15側の後垂立壁15−rと補強部材16側の前垂立壁16−fが前後に離間して配置され、ホーン3の車幅方向の配置に応じて、ホーン3が後垂立壁15−rと前垂立壁16−fのいずれか一方に選択的に結合できるようになっている。このため、ホーン3がフロントバンパー1やその周辺部品と干渉するのを回避しつつ、同じバルクヘッド10と取付ブラケット14を、ホーン3の車幅方向の配置の異なる車両において、そのまま共用することができる。したがって、この構成を採用することにより、部品の共用化による生産効率の向上を図ることができる。
【0040】
また、この実施形態に係るホーン取付構造においては、取付ブラケット14の車幅方向内側領域がバルクヘッド10のサイドメンバ10Sに対して溶接によって固定されている。このため、サイドメンバ10Sに対する取付ブラケット14の固定に際してボルトが不要になることから、部品点数を削減して製品コストの削減を図ることができるうえ、組立工数の削減と車両の軽量化も図ることができる。
【0041】
さらに、この実施形態では、取付ブラケット14の車幅方向内側領域もバルクヘッド10のバンパービーム取付部11に対して溶接によって固定されているため、バンパービーム取付部11に対する取付ブラケット14の固定に際してボルトが不要になる。このため、この構造を採用することにより、部品点数を削減して製品コストの削減を図ることができるうえ、組立工数の削減と車両の軽量化も図ることができる。
【0042】
また、この実施形態に係るホーン取付構造においては、バンパービーム取付部11のビーム取付壁11−aの下端に、車体後方側に屈曲して延出する接合フランジ11−bが設けられ、ビーム取付壁11−aの後面と取付ブラケット14の前端部との間にクリアランスcが確保されるように、取付ブラケット14の前縁領域15−bがバンパービーム取付部11の接合フランジ11−bに接合されている。このため、バンパービーム取付部11や取付ブラケット14の製造誤差や、取付ブラケット14の組み付け誤差があっても、応力の入力等によってビーム取付壁11−aの後面が取付ブラケットの前端面に強接触することがなくなる。したがって、この構造を採用することにより、取付ブラケット14がバンパービーム取付部11から過度な応力を受けることがなくなるため、取付ブラケット14に支持されるホーン3の音色が不要に変化するのを未然に防止することができる。
【0043】
また、この実施形態に係るホーン取付構造では、取付ブラケット14が、上壁15−u及び後垂立壁15−rと、車幅方向外側の端部でこれらに一体に結合される側壁15−sとを有しているため、上壁15−uと後垂立壁15−rと側壁15−sとによって三方向を相互に補強することができる。このため、この構造を採用することにより、取付ブラケット14の剛性と強度をより高めることができる。
【0044】
また、この実施形態に係るホーン取付構造においては、取付ブラケット14の車幅方向の内側領域が、相互に略直交するサイドメンバ10Sの側面と後面とに溶接固定されているため、取付ブラケット14とサイドメンバ10Sの接合点の剛性と強度をより高めることができる。
【0045】
さらにまた、この実施形態に係るホーン取付構造では、取付ブラケット14の車幅方向外側の前縁領域15−bが、バンパービーム取付部11の接合フランジ11−bと上下方向で溶接固定される一方で、取付ブラケット14の車幅方向の内側領域の上側フランジ17aと内側フランジ17bが、サイドメンバ10Sに対して車幅方向と前後方向で溶接固定されている。即ち、取付ブラケット14は、複数の方向でバンパービーム取付部11とサイドメンバ10Sに対して溶接固定されている。したがって、この構造を採用することにより、振動による取付ブラケット14の劣化を有利に防止することができる。
【0046】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の各実施形態においては、バンパービーム取付部11の下縁に後方側に屈曲する接合フランジ11−bが設けられ、取付ブラケット14の幅方向の外側領域がその接合フランジ11−bに溶接されているが、
図19に示す第3の実施形態のように、バンパービーム取付部11の後面に別体の補助ブラケット30を溶接固定し、その補助ブラケット30の延出端に取付ブラケット214の幅方向の外側領域を溶接固定するようにしても良い。この場合、その補助ブラケット30の延出端は、ブラケット本体215の上壁と補強部材216の上壁とに同時に溶接固定するようにしても良い。
また、上記の実施例では、バンパービーム取付部に直接バンパビームが取り付けられているが、例えば、クラッシュボックス等の衝撃吸収部材を介して、バンパービームをバンパービーム取付部に取り付けるようにしても良い。