【実施例】
【0037】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに何ら限定されるものではない。なお、各特性の評価方法は下記のとおりである。
【0038】
1.平均単糸繊度(dtex)
測定する不織布のCD方向に概ね等間隔で5ヶ所となるように、各ヶ所で不織布を1cm角切取り、不織布表層の繊維の直径をマイクロスコープを用いて各試料について各20点測定し、その平均値から単糸繊度を算出した。
【0039】
2.MDおよびCD方向における透水45°傾斜流長値(mm)
45°傾斜板上に、吸収体としてトイレットペーパーを10枚重ねて、その上に試験布(20cm角)を置いてセットし、布の上方10mmの高さから0.1ccの生理食塩水を滴下した。滴下位置から吸収終了までの生理食塩水が流れ落ちた距離を読み取り、透水45°傾斜流長値(mm)とした。この測定を試験布内で任意に5点行なう。MD方向の場合は、MD方向に30cm間隔で10ヶ所 の試験布を採取し、上記測定を行ない、その平均値とCV値(CV値=(標準偏差値/平均値)×100)を求めた。また、CD方向の場合は、CD方向に不織布の幅内で等間隔となるように10ヶ所の試験布を採取し、同様に測定し、その平均値とCV値を求めた。
【0040】
3.MDおよびCD方向における2回目透水耐久指数(%)
吸収体としてトイレットペーパーを10枚重ねて、その上に試験布(20cm×30cm)を置く。さらにその上に直径1.5cmの穴を等間隔に10ヶ所開けたステンレス製の板を置き、それぞれの穴に位置する布の上方10mmの高さから生理食塩水0.3ccを滴下し、3分間経過後、再度、同様に滴下する。2度目の滴下後、10秒以内に吸収される穴の数(A)を数え、[((A)/10ヶ所)×100]を2回目透水耐久指数(%)とした。MD方向の場合は、MD方向に30cm間隔で10ヶ所 から試験布を採取し、上記測定を行ない、その平均値とR値を求めた。なお、R値とは測定値の最大値と最小値の差ことである。同様に、CD方向の場合は、CD方向に不織布の幅内で等間隔となるように10ヶ所から試験布を採取し、上記測定を行ない、その平均値とR値を求めた。
【0041】
4.濡れ戻り指数(g)
吸収体として、吸収体の特性を一定化しておくため、特定濾紙(HOLLINGSWORTH&VOSE.COMPANY製“ERT−FE3”10cm角×5枚重ね)の上に試験布(10cm角)を置く。さらにその上に10cm角で中央に直径25mmの穴を設けた板(約800g)を置き、中央穴の布の上部25mm高さより、生理食塩水(吸収体重量の3.5倍の液量)を滴下し、吸収させる。次に試験布の上の板を取り除き、3.6kgの錘(10cm角)をしずかに載せて3分間かけ、吸収体中の液の分布を一定化する。次いで、3.6kgの錘を一旦取り除き、試験布の上にあらかじめ秤量した測定用濾紙(HOLLINGSWORTH&VOSE.COMPANY製“ERT−MED”12.5cm角×2枚)を速やかに置き、再度、3.6kgの錘をしずかに載せる。2分後にその測定用濾紙の重量増加を秤量する。その増加分の値(g)を濡れ戻り指数とした。MD方向に30cm間隔で10ヶ所、CD方向に不織布の巾内で等間隔に10ヶ所から合計20枚の試験布を採取し、上記測定を行ない、それらの平均値を求めた。
【0042】
5.ロール内外層透水性能の差
不織布ロールの内層および外層とは不織布ロール半径から紙管半径を差し引いた距離の紙管側10%以内を内層とし、不織布ロール最外側10%以内を外層とする。不織布ロールを切り開き、上記各々範囲内の位置において上記2〜4に記載の測定を行ない、ロール内外層透水性能の差とした。
【0043】
6.透水剤純分付着量(wt%)
25℃×40%RHの温湿度で24時間調湿した透水剤が付着した不織布試料の重量(W1)および、この不織布試料からメタノールを用いてソックスレー抽出した透水剤の重量(W2)を測定し、透水剤純分付着量C(wt%)を下記の式より求めた。
C(wt%)=[W2/W1]×100
不織布試料のサンプリングはMD方向に30cm間隔で10ヶ所、CD方向に不織布の巾内で等間隔に10ヶ所から、切取り巾が5cm〜10cm範囲で不織布試料が約2gとなるような長さで切取り、合計20枚の試験布を採取する。上記測定を行ない、それらの平均値を透水剤純分付着量(wt%)として求めた。
【0044】
7.透水剤溶液の塗布量(wt%)
透水付与加工1時間分の透水液消費量から下記式にて算出した値を透水剤溶液の塗布量(wt%)とした。
塗布量(wt%)={透水液消費量(g)/〔不織布目付(g/m
2)×幅(m)×加工速度(m/min)×60(min)〕}×100
【0045】
<不織布の製造(A)>
ポリプロピレン樹脂(密度0.91g/cm
3、JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR60)を押出温度230℃にて2000g/minを定量的に押出し、紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、高速気流牽引装置を使用してこれを3000m/minの紡糸速度で牽引し、移動するコンベアネット上に受けてウェブを形成した。次いで、得られたウェブの搬送中に、上記と同様にして得られるウェブを積層し、さらに同様のウェブをもう1層積層し、SSSとなるようにウェブを形成した。この積層ウェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、上下ロール温度135℃、且つ60kg/cmの圧力で部分圧着して、目付18g/m
2となるようにライン速度を調整し、単糸繊度2.8dtexのスパンボンド不織布を得た。
【0046】
<不織布の製造(B)>
鞘成分に融点130℃の高密度ポリエチレン(密度0.96g/cm
3)を用い、芯成分に融点165℃のポリプロピレン(密度0.91g/cm
3)を用い、それぞれを二つの押出機より押出温度220℃にて2000g/minを定量的に押出し、紡糸口金を用いて、鞘芯フィラメント群(鞘芯比=50/50)となるように紡出し、高速気流牽引装置を使用してこれを3000m/minの紡糸速度で牽引し、移動するコンベアネット上に受けてウェブを形成した。このウェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、上下ロール温度120℃、且つ50kg/cmの圧力で部分圧着して、目付20g/m
2となるようにライン速度を調整し、単糸繊度2.8dtexのスパンボンド不織布を得た。なお、単糸繊度の算出に当たって、上記鞘芯フィラメントの密度は0.94g/cm
3とした。
【0047】
<不織布の製造(C)>
ポリプロピレン樹脂(密度0.91g/cm
3、JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR60)を押出温度230℃にて2000g/minを定量的に押出し、紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、高速気流牽引装置を使用してこれを3000m/minの紡糸速度で牽引し、移動するコンベアネット上に受けてウェブを形成した。次いで、得られたウェブ上に、ポリプロピレン樹脂(MFR900)を押出温度280℃にて250g/minを定量的に押出し、紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、ノズル近傍から温度270℃のホットエアにて溶融吹付けを行い、メルトブローウェブを積層させた。さらに1層目と同様にして得られるウェブを積層し、SMSとなるようにウェブを形成した。この積層ウェブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、上下ロール温度135℃、且つ60kg/cmの圧力で部分圧着して、目付10g/m
2となるようにライン速度を調整し、単糸繊度1.8dtexの不織布を得た。なお、単糸繊度はS層の単糸繊度である。
【0048】
〔実施例1〕
不織布の製造(A)で得られた不織布に、ポリエーテル化合物とポリエチレンエーテル変性シリコーンとの混合物からなる透水剤の1wt%水溶液を液温20℃、液粘度2.3mPa・sに調整し、塗布量が30wt%となるように、斜線柄120メッシュ、セル容積22cm
3/m
2のグラビアロールを用いて塗布し、次いで、120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ巻き取った。巻取りは紙管を芯とし長尺巻取りを行なった。なお、使用したポリエーテル化合物及びポリエーテル変性シリコーンは下記の方法で得た。
ポリエーテル化合物は、グリセリンにプロピレンオキシドを反応させ、平均重合度50の付加物を得た。次いで、得られた付加物にエチレンオキシドを平均重合度15となるように付加重合した。これにステアリン酸を反応させ、ポリエーテル化合物を得た。
ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルヒドロキシポリシロキサンにメチルアルコールのエチレンオキシド反応物を付加して、シロキ酸の繰り返し数(Si)が22、エチレンオキシド付加シロキ酸の繰り返し数(SiE)が2、エチレンオキシドの繰り返し数(EO)が40のポリエチレンエーテル変性シリコーンを得た。
【0049】
得られた透水不織布は、乾燥不足もなく、MD方向における透水45°傾斜流長値の平均値およびCV値はそれぞれ21mmおよび2.8であり、且つ、2回目透水耐久指数のR値は0%であった。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0050】
〔実施例2〕
不織布の製造(A)において、目付15g/m
2となるようにライン速度を調整したこと以外は、同様にして不織布を得た。得られた不織布に実施例1と同様にして透水剤を付与して透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0051】
〔実施例3〕
不織布の製造(A)において、目付10g/m
2となるようにライン速度を調整したこと以外は、同様にして不織布を得た。得られた不織布に実施例1と同様にして透水剤を付与して透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0052】
〔実施例4〕
不織布の製造(A)において、繊度を2.0dtexとなるように紡糸速度を調整したこと以外は同様にして得られた不織布に、放電量45W・min/m
2(放電度4.0W/cm
2)の条件でコロナ放電処理を行った後、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンおよびポリオキシアルキレンひまし油エーテルの混合物からなる透水剤の1wt%水溶液を液温20℃および液粘度2.3mPa・sに調整し、塗布量が30wt%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして透水剤を付与して透水不織布を得た。
なお、使用した透水剤はヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル40wt%、ポリエーテル変性シリコーン45wt%及びポリオキシアルキレンひまし油エーテル15wt%との混合物からなるものを用いた。
得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0053】
〔実施例5〕
不織布の製造(A)において、目付が15g/m
2、繊度が1.1dtexとなるように、1層当りの押出量を1800g/minとし、紡糸速度を調整したこと以外は、同様にして不織布を得た。得られた不織布に実施例1と同様にして透水剤を付与して透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0054】
〔実施例6〕
塗布量が20wt%となるように、斜線柄100メッシュ、セル容積17cm
3/m
2のグラビアロールを用いて塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0055】
〔実施例7〕
塗布量が50wt%となるように、斜線柄160メッシュ、セル容積25cm
3/m
2のグラビアロールを用いて塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0056】
〔実施例8〕
透水剤水溶液を2wt%とし、液温25℃、液粘度5.3mPa・sに調整し、塗布量が40wt%となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0057】
〔実施例9〕
透水剤水溶液を5wt%とし、液温15℃、液粘度26mPa・sに調整し、塗布量が10wt%となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0058】
〔実施例10〕
不織布の製造(A)において、ポリプロピレン樹脂の代わりに、エチレン成分含有量が4.3モル%のエチレン・プロピレンランダム共重合体樹脂(密度0.91g/cm
3、JIS−K7210の表1の条件で測定したMFR24)を用いたこと以外は、同様にして不織布を得た。得られた不織布に、透水剤水溶液を1wt%とし、液温30℃、液粘度8.0mPa・sに調整し、塗布量が30wt%となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0059】
〔実施例11〕
不織布の製造(B)で得られた不織布に、透水剤水溶液を1wt%とし、液温30℃、液粘度8.0mPa・sに調整し、塗布量が30wt%となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0060】
〔実施例12〕
不織布の製造(C)で得られた不織布に、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0061】
〔実施例13〕
不織布の製造(C)で得られた不織布に、ポリエーテル化合物とポリエチレンエーテル変性シリコーンとの混合物からなる透水剤の3wt%水溶液を液温20℃、液粘度10mPa・sに調整し、キスコーターにて、塗布量が10wt%となるように、ステンレス製アプリケーターロールへの抱角を調整しながら塗布した。次いで、120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ巻き取った。巻取りは紙管を芯とし長尺巻取りを行なった。なお、用いたポリエーテル化合物とポリエチレンエーテル変性シリコーンは、実施例1と同様のものを用いた。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0062】
〔比較例1〕
不織布の製造(A)で得られた不織布に、ポリエーテル化合物とポリエチレンエーテル変性シリコーンとの混合物からなる透水剤の3wt%水溶液を液温30℃、液粘度1.7mPa・sに調整し、ディップコーターにて塗布後、塗布量が50wt%となるように一対のゴムニップロールでニップして調整し、次いで、120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥させ巻き取った。巻取りは紙管を芯とし長尺巻取りを行なった。なお、用いたポリエーテル化合物とポリエチレンエーテル変性シリコーンは、実施例1と同様のものを用いた。
【0063】
得られた透水不織布は、MD方向における透水45°傾斜流長値の平均値が20mmであり、そのCV値は6.3であり、測定値のバラツキが大きかった。且つ、MD方向における2回目透水耐久指数はR値が50%であり、ロール内外層における平均値の差は50%であった。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0064】
〔比較例2〕
塗布量が70wt%となるように、斜線柄150メッシュ、セル容積42cm
3/m
2のグラビアロールを用いて塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた透水不織布は、部分的に湿り気を有していた。また、MD方向における透水45°傾斜流長値の平均値およびCV値がそれぞれ23mmおよび5.3であり、ロール内外層における平均値の差も−7mmもあり、測定値のバラツキが大きかった。且つ、2回目透水耐久指数はR値が20%であり、濡れ戻り指数は2.60gであった。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0065】
〔比較例3〕
透水剤水溶液を5wt%とし、液温15℃、液粘度55mPa・sに調整し、塗布量が15wt%となるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして透水不織布を得た。得られた不織布は、MD方向における透水45°傾斜流長値の平均値およびCV値がそれぞれ22mmおよび6.5であり、測定値のバラツキが大きかった。ロール内外層における平均値の差は−3mmであり、且つ、2回目透水耐久指数はR値が40%であり、濡れ戻り指数は2.09gであった。得られた透水不織布の各種測定結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
表1から以下のことがわかる。
本発明の透水不織布は、表面素材において必要な透水性能がMD方向、CD方向共に均一に付与されていることが判る。特に使い捨てオムツ、生理用ナプキン、失禁パッドなどの衛生材料用においては、透水不均一による尿モレやかぶれなどの抑制が可能となる。