(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共振点をシフトすることは、前記共振点をシフトするために、前記モータコントローラ、前記フィーダ、又は前記電動モータ、或いはそれらの組み合わせのインピーダンス仕様を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
前記フィーダをシールドすること、又は、前記フィーダに沿って軽量受動素子を付加すること、或いはそれらの組み合わせを使用することによって、前記EMIフィルタを最適化することを更に含む、請求項1に記載の方法。
インターリービング角度を動的に決定することと、インターリービング角度コントローラを使用して前記モータコントローラのためのインターリービング角度を調整することとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、スイッチングモード電力変換装置を含むモータ駆動システムの設計を対象とする。一実施例では、モータ駆動システム内に含まれるEMIフィルタは、それの重量が航空宇宙応用において使用される同様なEMIフィルタと比較して軽減されるように、より高い周波数スイッチング向けに設計される。
【0011】
本書で説明される概念及び技術を利用することで、EMIフィルタは、元の共振点と比較してより高い周波数にあるシフト後共振点に基づいて、航空宇宙応用向けのスイッチングモード電力変換装置のために設計される。シフト後共振点に基づくEMIフィルタの設計は、EMIフィルタの重量がEMIフィルタ内に含まれる構成要素(例えばインダクタ、コンデンサ)による影響を受けることから、EMIフィルタの重量を低減しうる。通常、EMIフィルタの重量は、EMIのフィルタリングをより高い周波数へとシフトすることによって低減されうる。モータ駆動システムの設計プロセスにおいて、モータ駆動システム内に含まれるフィーダとモータとを開発する時に使用されうる仕様(例えば所望のインピーダンス)を決定するために、異なるモータ駆動システム構成が試験(例えばシミュレーション)されうる。
【0012】
以下の詳細な説明においては添付図面を参照するが、添付図面は本書の一部を形成するものであり、例示、特定の実施形態、または実施例の様態で示される。ここで図面を参照するに、図面では類似の番号は複数の図にわたって類似の要素を表し、様々な実施形態による、構成可能トレーテーブル及びそれを用いるための方法が説明される。
【0013】
ここで
図1を参照するに、モータ駆動システム100が、共振点160A及びシフト後共振点160Bを示すEMIフィルタの挿入利得のグラフ150と共に示されている。図示するように、モータ駆動システム100は、一又は複数のモータコントローラ110、一又は複数のEMIフィルタ120、一又は複数のフィーダ130、及び、一又は複数のモータ140を含む。通常、モータコントローラ110、EMIフィルタ120、フィーダ130、及びモータ140は、それらが使用される応用に基づいて構成され、変更される。例えば、モータコントローラ110、EMIフィルタ120、フィーダ130、及びモータ140は、典型的には、飛行機の設計ごとに異なる。
【0014】
上記で簡潔に記述したように、モータ駆動システム100の一部であるEMIフィルタ120は、モータ駆動システム100の重量において大きな割合(例えば>50%)を占めうる。EMIフィルタ120は通常、航空宇宙業界標準の一部である指定されたEMI要件を満たすように設計される。現行の実施例では、一又は複数のEMIフィルタ120は、元の共振点160Aと比較してより高い周波数へとシフトされているシフト後共振点160Bに基づいて設計される。EMIフィルタ120の重量及び体積は、モータコントローラ110とフィーダ130とモータ140との間の共振を回避又は調整することによって低減されうる。一実施例では、EMIフィルタ120は、関連するモータコントローラによって生成される、最悪の場合の生EMIノイズに基づいて設計されうる。EMIフィルタ120は、他の設定及びEMI仕様のためにも設計されうる。例えば、EMIフィルタ120は、最悪の場合の設定ほど厳格ではないと考えられうる、他のEMI仕様向けに設計されうる。
【0015】
一実施例では、モータコントローラ110は、別々の動作を実行する種々のモータ140をコントロールしうる。例えば、モータ140のうちの1つは油圧ポンプをコントロールしうる一方で、別のモータ140はコンプレッサを駆動しうる。その他のモータは、他の動作を実行するよう構成されうる。モータ140の各々は、フィーダ130によってモータコントローラ110に結合される。
【0016】
通常、フィーダ130は、電力、及び、場合によっては他の情報もモータ140に提供する、一又は複数のケーブルを備える。フィーダ130は、共振点を含む伝達関数を提供する、インダクタ及びコンデンサによってモデリングされうる。フィーダ130とモータ140は各々、それらに関連付けられたインピーダンスを有する。実施例では、モータ140は供給業者によって提供され、フィーダ130は異なる供給業者によって提供される。本書に記述するように、フィーダ130とモータ140の仕様は、供給されるフィーダ130とモータ140とが提供された仕様を満たすように、決定され、供給業者に提供される。フィーダ130とモータ140の仕様は、EMIフィルタ120の重量が低減されうるように、シフト後共振点160Bに基づく。
【0017】
より詳細には、モータコントローラ110とフィーダ130とモータ140との間に、特定の周波数でノイズを増幅しうる共振が存在する。この増幅は、EMIフィルタ120の設計及び重量に影響を与える。EMIフィルタの挿入利得のグラフ150は、共振点がEMIフィルタの角周波数にいかに影響を与えるかを示している。
【0018】
挿入利得は、電力変換器の生ノイズをEMI仕様(例えば、「DO−160 航空機搭載機器の環境条件と試験手順」標準、又は他の何らかの標準或いは仕様)から差し引くことによって算出されうる。説明のために、L−Cフィルタ(例えばインダクタ−コンデンサフィルタ)は、点線170A及び点線170Bによって示されるように、40dB/ディケードの減衰を提供すると想定されたい。
【0019】
図示されている実施例では、フィルタの角周波数(fc=1/2π√LC)165Aは、最悪の場合の共振点160Aから周波数軸と交差するところまで、−40dB/ディケードの傾きの点線170Aを引くことによって取得されうる。これは、たとえ最悪の共振点であってもフィルタ減衰が十分であり、従って、指定されたEMI要件を満たすことを担保するのに役立つ。EMIフィルタの挿入利得のグラフ150を参照することで、共振点がより低い強度を有するか、又は、より高い周波数で発生する場合に、フィルタの角周波数がより高い周波数へと移動しうることが分かる。現行の実施例では、角周波数165Aは、角周波数165Bへと移動する。通常、EMIフィルタ120の角周波数がより高いと、EMIフィルタ120を実装するために使用されるインダクタンス及びキャパシタンスの値はより低くなる。より低いインダクタンス値とキャパシタンス値は、典型的には、より小さく、軽く、より効率的なEMIフィルタ120の設計に対応する。
【0020】
生ノイズ(又は挿入利得)の共振点は、フィーダ及びモータのインダクタンスとキャパシタンスに依拠する。従って、フィーダ130とモータ140に対してインピーダンス仕様を課すことによって、共振点は、消去されるか、又はシフト(例えば、元の共振点160Aからシフト後共振点160Bへと)されることが可能であり、ゆえに、EMIフィルタ120の重量を低減する。
【0021】
モータ駆動システム100のようなモータ駆動システムの重量を低減するために、他の機構も使用されうる。例えば、モータコントローラ110のためのEMIフィルタ120の設計において、ケーブル供給業者とモータ供給業者にインピーダンス要件の組み合わせが課されうることに併せて、ケーブルに沿った軽量受動素子の載置が使用されうる。例えば、軽量受動素子(例えばフェライトビードなど)が、場合によってはモータ端子に近接した様々な場所に、フィーダ130に沿って載置されうる。これらの軽量受動素子は、共振点をフィーダ130とモータ140との間でシフトさせうる。通常、フェライトビードは、電子回路における高周波数ノイズを抑制する電子部品である。フェライトビードは、デバイスからの、又はデバイスへの干渉を低減するために使用されうる。フィーダ130又はモータ140がいかに設計されるかを特定することによって、この軽量受動素子機構が、共振点のシフトに加えて使用されうる。
【0022】
通常、より高い周波数へと共振をシフトさせるモータ/フィーダシステムのインピーダンスを整形するいかなる機構も、モータ駆動システム100の重量が所望の重量に低減されるか否かを判断するため、及び/又は、EMIフィルタ120のフィルタリング要件が低減する(例えばより高い周波数でのフィルタリング)か否かを判断するために、検証されうる。別の実施例では、フィーダ130上のシールドが、EMIフィルタ120の重量を低減するために使用されうる。低密度のシールドはフィーダ130の重量をごく軽微に増加させうるが、それは、モータコントローラ110のためのEMIフィルタ120の重量を大幅に軽量化しうる。モータ駆動システム100の重量を最適化する試行において、フィーダシールドの密度を決定するために、検討を実行することが可能である。
【0023】
モータ駆動システム100の全体的な重量を低減するために使用されうる別の機構は、インターリーブされたモータコントローラを使用する(
図3参照)。モータ駆動システム100がインターリーブされたモータコントローラを使用する場合、一実施形態による相間リアクトルが使用される。相間リアクトル(モータ駆動システム100に重量を付加する)は、モータコントローラ110のインバータ間の循環電流を低減するために使用される。通常、インターリービングにより、選択されたインターリービング角度に応じてEMIノイズの選択的な低減が可能になる。従来型の180度インターリービングは、出力波形における奇数次高調波を消去する。異なる角度のインターリービングは、奇数次高調波を完全に消去する訳ではないが、それらを減衰する。偶数次高調波も減衰される。
【0024】
図2は、可変インターリービング角度、及び、特定のインターリービング角度が使用される時の特定周波数における生ノイズ低減と共に、2インバータのインターリービングを示す。図示されている実施例では、2つのインバータは、同一の正弦波基準信号210を発生させる。しかし、PWMを発生させるために使用される搬送波信号(例えば搬送波信号230A)は、搬送波信号230Bによって示されるように、任意角α220に移相される。上記で簡潔に記述したように、モータコントローラ110は、インターリーブされたモータコントローラとして構成されうる。インターリービング角度α220は、モータ駆動システム100の決定された共振点に基づいて選択されうる。例えば、インターリービング角度α220は、使用されるフィーダ130の種類に基づいて選択されうる。例えば、EMIを低減するために、フィーダ130に関して15度のインターリービング角度α220が使用されうる一方で、異なるフィーダ130に関して、EMIを低減するために、20度のインターリービング角度α220、又は他の何らかのインターリービング角度が使用されうる。
【0025】
生ノイズの低減250は、特定のインターリービング角度が使用される時の、特定の周波数における生ノイズ低減の例示的なグラフを示している。インターリービング角度は、インターリーブされたモータコントローラによって発生した生ノイズがフィーダ130及び/又はモータ140の共振周波数点で最小となるように選択されうる。そうすることによって、フィルタ減衰要件が緩和され、かつ、EMIフィルタの角周波数はより高い周波数へとシフトされることが可能であり、このことが、より軽量なフィルタ設計につながりうる。
【0026】
生ノイズのグラフ250Aは、インターリービングが使用されない場合を示す。生ノイズのグラフ250Bは、奇数次高調波を消去する、180度インターリービングが使用される場合を示す。生ノイズのグラフ250Cは、特定の周波数において高調波を減衰する、第1インターリービング角度が使用される場合を示す。生ノイズのグラフ250Dは、特定の周波数において高調波を減衰する、第2インターリービング角度が使用される場合を示す。生ノイズのグラフ250C及び生ノイズのグラフ250Dは、生ノイズのグラフ250Bに示す180度インターリービングの場合のように高調波が消去される訳ではないが、高周波が低減されることを示している。本書に記述するように、共振周波数において高調波を低減することによって、EMIフィルタ120の重量を低減させうる。
図3に示すモータ駆動システム300のようなモータ駆動システムは、多機能型モータコントローラがモードを切り替える時のような、モータコントローラのモードの変化に応答して、インターリービング角度を調整しうる。
【0027】
多機能型モータコントローラは、航空宇宙応用においてよく用いられる。例えば、多機能型モータコントローラは、飛行機で用いられうるモータコントローラ110の一種でありうる。多機能型モータコントローラは、異なる時点において種々の負荷を駆動するよう動作する。例えば、同一のモータコントローラ110が、ある時点では油圧ポンプを駆動し、別の時点では窒素発生コンプレッサに電力供給するよう構成されうる。
【0028】
多機能型モータコントローラ110は、典型的には、種々のフィーダ130及び種々のモータ140を有し、従って、EMIフィルタ設計時に勘案される種々の共振を有する。それゆえ、単一の固定されたインターリービング角度を備えた多機能型モータコントローラの設計は、常に可能という訳ではないかもしれない。この場合、モータコントローラの出力部で伝導EMIを測定し、かつ、EMIを最小化するようインターリービング角度を調整する、閉ループコントロールシステムの設計が用いられうる。
【0029】
多機能型モータコントローラがその動作モードを一応用から別の応用へと変化させる時に、インターリービング角度が動くと同時に伝導EMIが測定される。次いで、この特定の動作モードにおけるモータコントローラのその後の動作のために、最小伝導EMIが実現する時のインターリービング角度が選択される。
【0030】
図3は、モータコントローラ110の出力部で伝導EMIを測定し、かつ、インターリービング角度コントローラ320を含む、モータ駆動システム300のブロック図を示す。図示するように、モータ駆動システム300は、PWM生成/ゲートドライバコントロール310、インターリービング角度コントローラ320、モータコントローラ110A、モータコントローラ110B、相間リアクトル330、EMI測定340、一又は複数のフィーダ130、及び、一又は複数のモータ140を含む。
【0031】
EMIを低減するために使用されうる一機構は、インターリービング角度コントローラ320を使用して、開ループコントロールを通じてインターリービング角度を変更することによるものである。例えば、多機能型モータコントローラ130A及びモータコントローラ110Bの各動作モードについて、インターリービング角度は、設計段階において算出されるか、又は、モータ駆動システム300のEMIを低減するモータ駆動システム300の動作の最中に、EMI測定構成要素340によって測定される。
【0032】
現行の実施例では、多機能型モータコントローラ110は、6つの異なる動作モードを有する。より多いか、又はより少ない数のモードで構成されることもある。モータ駆動システム200の動作中、モータコントローラ110の動作モードが変化する時に、特定の動作モードについてEMIを低減する、(例えば、インターリービング角度コントローラ320によってあらかじめ算出されたか、又は動的に決定された)インターリービング角度が選択されるか、又は決定されて、モータ140を駆動するために使用される。例えば、インターリービング角度コントローラ320は、現行のモードのためのインターリービング角度を決定し、かつ、モータコントローラ110をコントロールするために、インターリービング角度をPWM生成/ゲートドライバコントローラ310に提供する。本書に記述するように、モータ駆動システム300内で使用されるインターリービング角度は、一度(例えば設計時又は始動時に)設定されるか、又は、動作中に動的に変化しうる。例えば、モータコントローラが異なるモードに切り替わる前に、インターリービング角度が決定されうる。
【0033】
EMI生ノイズの低減のために、アクティブアプローチも使用されることが可能である。従来的に、アクティブアプローチは、EMI測定回路と、測定されたEMIノイズを容量結合又は電磁結合を介して注入し、逆位相の電力線に戻す、電力増幅器とを利用する。このアプローチによって、低周波数でEMIノイズを除去することが可能になる。この低周波数への限定は、少なくとも部分的には、電力増幅器が、低周波数から高周波数にわたる広範な周波数スペクトルをカバーしえないことによるものである。典型的には、アクティブEMIアプローチが使用される時にも、パッシブ高周波EMIフィルタ120が使用される。上述のように、低周波数を減衰するよう設計されるEMIフィルタ120は、より高い周波数を減衰するよう設計されるEMIフィルタ120と比較して、より重い。
【0034】
図4は、アクティブEMIフィルタモータ駆動システム400を示す。図示するように、アクティブEMIフィルタモータ駆動システム400は、基準信号405、PWM生成/ゲートドライバコントロール310AとPWM生成/ゲートドライバコントロール310B、高電力変換器420A、低電力変換器420B、フィードバックコントローラ410、相間リアクトル330、EMI測定340、一又は複数のEMIフィルタ120、一又は複数のフィーダ130、及び、一又は複数のモータ140を含む。
【0035】
図示するように、アクティブEMIフィルタモータ駆動システム400は、典型的にはアクティブEMIフィルタシステム内で使用される、注入デバイスを含まない。図示するように、アクティブEMIフィルタモータ駆動システム400は、並列式の2つの電力変換器(高電力変換器420Aと低電力変換器420B)を含む。高電力変換器420Aは、比較的時間のかかるターンオン時間とターンオフ時間とを有し、かつ、比較的低い周波数で切り替わる、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を使用しうる。対照的に、低電力変換器420Bは、SiC MOSFET又はGaN FETなどの、高周波数スイッチングが可能なデバイスを利用しうる。これらの低電力デバイスは、EMI範囲に近い周波数(すなわち数百kHz)で切り替わることが可能である。
【0036】
一実施例では、並列変換器(例えば高電力変換器420Aと低電力変換器420B)は、同一の基準波形信号を発生させるが、低電力変換器420B及び高周波数可能な変換器の基準信号も、低周波数における変換器のスイッチングによって発生したEMI生ノイズを効果的に除去するためにその基準を修正する、EMIフィードバックを包含する。低電力変換器420Bは、高電力変換器420Aと比較してより高い周波数で切り替わるよう動作することから、低電力変換器420Bは、比較的高周波数のEMIコンテンツをその基準内で再生成するよう動作する。フィードバックコントローラ410は、PWM生成/ゲートドライバコントロール310の動作のコントロールを支援するために使用される。図示するように、EMIフィルタ120は、軽量な受動高周波である。
【0037】
本書に図示されているように、多数の異なる機構が、モータ駆動システムの重量を低減するために使用され、それによってEMIも低減されうる。そのため、種々の機構のうちの一又は複数は、システムの重量を低減するモータ駆動システムを創出又は設計するために、使用されるか、又は組み合わされうる。本書で説明されているEMIの低減と、電力変換器EMIフィルタの設計とは、航空宇宙応用又は他の応用において使用されるモータ駆動システムの重量の最小化及び最適化を支援しうる。
【0038】
ここで
図5A及び
図5Bを見るに、EMIを低減するモータ駆動システムを設計するための、例示的な手順500が示されている。図面に示され本書で説明されているよりも多い、又は少ない数の動作が実行されうることを、認識すべきである。これらの動作は、本書で説明されるものとは異なる順番で実行されることもある。いくつかの実施例では、動作のうちのいくつかは実行されないことがある。
【0039】
手順500は、
図5Aに示すように、モータ駆動システム構造が決定される動作510で開始しうる。上述のように、モータ駆動システム構造は、モータ駆動システムの特定の応用に応じて、多種多様な電力変換装置及びモータコントローラを含みうる。通常、モータ駆動システム構造は、いくつのモータコントローラ110が使用され、各モータコントローラ110がいくつのモードを含み、モータ駆動システム内にいくつのモータ140が存在するか、等を規定する。決定されたモータ駆動システム構造はまた、モータコントローラ110の場所、フィーダ130の長さ及び種類、モータ140のためのモータ仕様、等を特定しうる。一実施例では、モータ駆動システム構造は飛行機ごとに決定される。しかし、決定されるモータ駆動システム構造は、任意の種類の応用に適するものでありうる。例えば、モータ駆動システム構造は、衛星、ボート、列車、地上システム、宇宙システム等に適するものでありうる。
【0040】
手順500は、動作510から、一又は複数の共振点が決定されうる動作515まで継続しうる。上述のように、フィーダ130及びモータ140のインピーダンスは、決定されたモータ駆動システム構造に基づいて決定され、かつ、共振点を決定するために使用されうる。
【0041】
手順500は、動作515から、ベースラインモータ駆動システムが設計される動作520まで継続しうる。例えば、パルス幅変調(PWM)機構が設計され、かつ、EMIフィルタ挿入利得及び角周波数が決定されうる。フィーダとモータのインピーダンスのEMI要件はまた、共振点を消去し、低減し、又はシフトさせて、モータ駆動システムの中で使用される一又は複数のEMIフィルタ120の重量を低減又は最小化するように、決定されうる。
【0042】
手順500は、動作520から、フィーダ130及び/又はモータ140を構築又は構成する時にフィーダとモータのインピーダンス仕様が使用される、動作525へと続きうる。いくつかの実施例では、フィーダとモータのインピーダンス仕様は、フィーダ130、モータコントローラ110、及びモータ140の、一又は複数の供給業者に伝えられる。場合によっては、これらの提供されたインピーダンス仕様が、供給業者、設計者、又は権限を有する他の何らかの使用者によって修正されうる(例えば、提供されたインピーダンス仕様が実現不可能である場合)。フィーダとモータのこれらのインピーダンス仕様は、少なくとも1つの共振点がより高い周波数へとシフトされるようにフィーダ130及びモータ140を構築又は構成する時に、(例えば供給業者によって)使用される。
【0043】
手順500は、動作525から、EMIフィルタ120のうちの一又は複数が最適化されうる、動作530へと続きうる。例えば、上述のように、フィーダ130に関して、シールドを含むか、又は受動素子(フェライトビードなど)を付加することによって、EMIフィルタ120が最適化されうる。選択される最適化は、どの最適化がEMIフィルタをより軽量にするかといことに基づくものでありうる。例えば、一実施例では、フィーダ130のためのシールドがより軽量でありうる一方で、別の実施例では、フィーダ130に沿った、小型のコンデンサ又はフェライトビードを含む軽量受動素子の付加が、より軽量なモータ駆動システムをもたらしうる。別の実施例では、フィーダ130に関して、シールドと軽量受動素子のいずれも含まないことが決定されうる。
【0044】
手順500は、動作530から、EMIフィルタ120及び/又はモータ駆動システムが指定された重量要件を満たすか否かについて判断が行われる、動作535へと続きうる。重量要件を満たすことに応答して、手順500は、動作終了へと続きうる。重量要件を満たさないことに応答して、手順500は、動作540及び動作545へと続きうる。
【0045】
動作540において、インターリーブされた電力コントローラが選択され、かつ、共振点を決定するために、フィーダとモータとの合成インピーダンスが、(例えばシミュレーションを使用して)算出されうるか、又は、伝導EMI周波数の範囲内において(例えばプロトタイプから)測定される。インターリービング角度も、フィーダ/モータのインピーダンス共振点においてノイズを低減するよう調整されうる。上述のように、インターリービング角度は、(例えば、多機能型モータコントローラが使用される時に、)インターリービング角度コントローラによって動的に調整されうる。
【0046】
動作545において、アクティブEMIノイズ除去機構が選択されうる。上述のように、EMI除去機構は、どちらの機構がより軽量な設計をもたらすかに応じて、ノイズ注入又は変換器並列化を含みうる。例えば、ノイズ注入機構がより軽量な設計をもたらすと判断される時には、異相ノイズ注入によるアクティブEMI除去が選択されうる。ノイズ注入機構が並列変換器よりも軽量にならない時には、変換器並列化によるアクティブEMI除去が選択されうる。
【0047】
動作540及び動作545から、手順500は、
図5Bに示すように、インターリーブされたシステムが、動作520で特定されたようなベースラインシステムよりも軽量になるか否かについて判断が行われる、決定動作550へと続きうる。インターリーブされたシステムがベースラインシステムよりも軽量になることに応答して、手順500は動作555に続きうる。インターリーブされたシステムがベースラインシステムよりも軽量にはならないことに応答して、手順500は動作560へと続きうる。
【0048】
動作555において、インターリーブされたモータ駆動システムが選択される。動作555から、手順500は、インターリーブされたシステムが、アクティブEMIシステムよりも軽量になるか否かについて判断が行われる、決定動作565へと続きうる。インターリーブされたシステムがアクティブEMIシステムよりも軽量になることに応答して、手順500は、インターリーブされたシステムが選択されうる動作575へと続きうる。インターリーブされたシステムがアクティブEMIシステムよりも軽量にはならないことに応答して、手順500は、アクティブEMIシステムが選択されうる動作580へと続きうる。
【0049】
動作560において、アクティブEMIシステムが選択されうる。動作560から、手順500は、アクティブEMIシステムがベースラインシステムよりも軽量になるか否かについて判断が行われる、決定動作570へと続きうる。アクティブEMIシステムがベースラインシステムよりも軽量になることに応答して、手順500は、アクティブEMIシステムが選択されうる動作585へと続きうる。アクティブEMIシステムがベースラインシステムよりも軽量にはならないことに応答して、手順500は、ベースラインIシステムが選択されうる動作590へと続きうる。手順500は次いで、動作終了へと続くか、又は、他の作動の処理へと戻りうる。例えば、手順500は動作510へと戻りうる。
【0050】
図6は、内部でモータ駆動システムが設計されうるハードウェアとソフトウェアとを備える、コンピュータを示す。
図6に示すコンピュータ600は、一又は複数の中央処理装置(「CPU」)602、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)606と読取専用メモリ(「ROM」)608とを含むシステムメモリ604、及び、システムメモリ604をCPU602に結合させるシステムバス610を含む。例えばスタートアップ時にコンピュータ600の内部で要素間の情報伝達を支援する手順を包含する、基本入力/出力システムが、ROM608内に保存されうる。
【0051】
CPU602は、上述の手順500のような、コンピュータ600の動作のための演算操作及び論理操作を実行する、標準的なプログラマブルプロセッサでありうる。CPU602は、スイッチング要素の操作を通じて、物理状態を一ディスクリートから次のディスクリートへと移行させることによって、動作を実行することが可能であり、スイッチング要素は、物理状態間の区別を行い、物理状態を変化させる。スイッチング要素は、通常、フリップフロップのような2つのバイナリ状態のうちの1つを維持する電子回路、及び、論理ゲートのような一又は複数の他のスイッチング要素の状態の論理合成に基づいて出力状態を提供する電子回路を含みうる。これらの基本的なスイッチング要素は、レジスタ、加算器−減算器、演算論理ユニット、浮動小数点ユニット等を含む、より複雑な論理回路を創出するために組み合わされうる。
【0052】
コンピュータ600は、大容量記憶装置612も含みうる。大容量記憶装置は、光ディスク、磁気記憶装置、又は固体記憶装置でありうる。大容量記憶装置612は、燃料電池放電コントローラをコントロールするための一又は複数の指令を保存するよう動作しうる。別の構成では、RAM606、ROM608及び大容量記憶装置612は、燃料電池放電コントローラをコントロールするための指令を、単独で若しくは様々な組み合わせで、それらに保存させるよう動作しうる。
【0053】
コンピュータ600は、大容量記憶装置612の物理状態を、保存される情報を反映するように変換することによって、大容量記憶装置612上にプログラム及びデータを保存しうる。物理状態の特定の変換は、この開示の種々の実行形態において、様々な要因に依拠しうる。かかる要因の例は、大容量記憶装置612を実装するために使用される技術、大容量記憶装置612が一次記憶装置又は二次記憶装置として特徴付けられるか否か、等を含むが、それだけに限定されない。
【0054】
例えば、コンピュータ600は、記憶装置コントローラを通じて、磁気ディスクドライブ装置内部の特定の場所の磁気特性、光記憶装置内の特定の場所の反射特性又は屈折特性、或いは、固体記憶装置内の特定のコンデンサ、トランジスタ、又は他のディスクリート構成要素の電気特性、を変えるための指令を発することによって、情報を大容量記憶装置612に保存しうる。本明細書の範囲及び本質から逸脱しない、物理媒体の他の変換も可能であり、前述の実施例は、この明細書の理解を容易にするためにのみ提供されている。コンピュータ600は更に、大容量記憶装置612の内部の一又は複数の特定の場所の物理状態又は特性を検出することによって、大容量記憶装置612から情報を読み取りうる。
【0055】
RAM606、ROM608、又は大容量記憶装置612は、コンピュータ可読記憶媒体として動作しうる。本開示の様々な態様は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他の固体メモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、HD−DVD、BLU−RAY又は他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、或いは、所望の情報を保存するために使用可能であり、かつ、コンピュータ600によってアクセスしうる任意の他の媒体を含むが、それらだけに限定されない、他の種類のコンピュータ可読記憶媒体上に保存されうる。特許請求の範囲が本開示に照らして解釈される時に、コンピュータ可読記憶媒体は、波動又は信号の形態をとるエネルギーを含まないことを、理解すべきである。
【0056】
コンピュータ600はまた、キーボード、マウス、又は電子スタイラスを含むいくつかの他の装置からの入力を受信し、処理するための入力/出力コントローラ616を含みうる。同様に、入力/出力コントローラ616は、出力をディスプレイ画面、プリンタ、又は他の種類の出力装置に提供しうる。一又は複数の実施形態は、適切に設定されたコンピューティングデバイスによって読み取られる時に、シフトされた共振点のためのEMIフィルタを設計することに関する動作を実行するための指令が提供されうるように製造された、コンピュータ可読記憶媒体を含みうる。
【0057】
更に、本開示は下記の条項による実施形態を含む。
【0058】
条項1.スイッチングモード電力変換装置を含むモータ駆動電力システムを設計するための方法であって、
モータコントローラ、及び、モータコントローラを電動モータに結合するフィーダを含む、モータ駆動システムを決定することと、
モータ駆動システムの共振点を決定することと、
モータ駆動システムの共振点を、共振点に関連付けられた周波数と比較してより高い周波数にあるシフト後共振点へとシフトすることと、
モータ駆動システム内に含まれるシフト後共振点のためのEMIフィルタを設計することとを含む、方法。
【0059】
条項2.共振点をシフトすることは、共振点をシフトするために、モータコントローラ、フィーダ、又は電動モータ、或いはそれらの組み合わせのインピーダンス仕様を使用することを含む、条項1に記載の方法。
【0060】
条項3.フィーダをシールドすること、又は、フィーダに沿って軽量受動素子を付加すること、或いはそれらの組み合わせを使用することによって、EMIフィルタを最適化することを更に含む、条項1に記載の方法。
【0061】
条項4.モータ駆動システムの重量が、シフト後共振点のために設計されたEMIフィルタを含む指定された条件を満たしていないと判断することに応答して、インターリーブされた電力コントローラ、又は、アクティブEMIノイズ除去機構を選択することを更に含む、条項1に記載の方法。
【0062】
条項5.複数のモータコントローラを含むモータ駆動システム内で使用される高調波を低減するインターリービング角度を変更することを更に含む、条項1に記載の方法。
【0063】
条項6.モータ駆動システムの重量を使用して、モータ駆動システムのためのアクティブEMIノイズ除去機構を更に選択する、条項1に記載の方法。
【0064】
条項7.アクティブEMIノイズ除去機構は、ノイズ注入、変換器並列化、又はそれらの組み合わせを実行する、条項6に記載の方法。
【0065】
条項8.共振点を決定することは、伝導EMI周波数の範囲内で、フィーダと電動モータとの合成インピーダンスを測定することを含む、条項1に記載の方法。
【0066】
条項9.インターリービング角度を動的に決定することと、インターリービング角度コントローラを使用してモータコントローラのためのインターリービング角度を調整することとを更に含む、条項1に記載の方法。
【0067】
条項10.一又は複数のモータコントローラと、
一又は複数のフィーダであって、一又は複数のフィーダと一又は複数のフィーダに結合される一又は複数の電動モータとの合成インピーダンスの共振点を、共振点の周波数と比較してより高い周波数にあるシフト後共振点へと移動させるインピーダンス仕様を使用して設計された、一又は複数のモータコントローラに結合された、一又は複数のフィーダと、
シフト後共振点に基づいて設計される一又は複数のモータコントローラに結合にされる、一又は複数の電磁干渉(EMI)フィルタとを備える、システム。
【0068】
条項11.一又は複数のフィーダは、一又は複数のフィーダの長さの一部に沿って付加された、シールド、軽量受動素子、又はそれらの組み合わせを備える、条項10に記載のシステム。
【0069】
条項12.一又は複数のモータコントローラのうちの少なくとも1つは多機能型モータコントローラである、条項10に記載のシステム。
【0070】
条項13.インターリービング角度を調整するために、一又は複数のモータコントローラに結合されたインターリービング角度コントローラを更に備える、条項10に記載のシステム。
【0071】
条項14.インターリービング角度コントローラは、モータコントローラのモードの変化に応答してインターリービング角度を調整する、条項13に記載のシステム。
【0072】
条項15.一又は複数のコントローラ、一又は複数のフィーダ、一又は複数の電動モータ、及び一又は複数のEMIフィルタが、一飛行機上に配置される、条項10に記載のシステム。
【0073】
条項16.コンピュータ実行可能な指令が保存されたコンピュータ可読記憶媒体であって、指令は、コンピュータによって実行される時に、コンピュータが、
モータコントローラモデル及びフィーダモデルを含むモータ駆動システム仕様にアクセスすることと、
モータ駆動システムの共振点を決定することと、
モータ駆動システムの共振点を、共振点の周波数と比較してより高い周波数にあるシフト後共振点へとシフトするために、インピーダンス仕様を決定することと、
シフト後共振点のための電磁干渉(EMI)フィルタを設計することとを引き起こす、コンピュータ可読記憶媒体。
【0074】
条項17.モータ駆動システムは飛行機に適する、条項16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0075】
条項18.指令は、コンピュータが、複数のモータコントローラを含むモータ駆動システム内で使用されるインターリービング角度を決定することを引き起こす、条項16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0076】
条項19.指令は、コンピュータが、ノイズ注入、変換器並列化、又はそれらの組み合わせを実行するモータ駆動システムにおけるアクティブEMIノイズ除去の使用を決定することを引き起こす、条項16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0077】
条項20.指令は、コンピュータが、伝導EMI周波数範囲内のフィーダとモータとの合成インピーダンスを決定すること、及び、共振点を決定することを引き起こす、条項16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0078】
本書で使用する際、列挙されたアイテムと共に使用される「〜のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数の種々の組み合わせが使用可能であり、かつ、列挙された各アイテムのうちの一つだけがあればよいということを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、又はアイテムCのうちの少なくとも1つ」とは、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、又は「アイテムB」を含みうるが、それらだけに限定される訳ではない。この例は、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含みうる。当然ながら、これらのアイテムの任意の組み合わせが提示されうる。他の例では、「〜のうちの少なくとも1つ」は、限定する訳ではないが例としては、「アイテムAのうちの2個、アイテムBのうちの1個、及びアイテムCのうちの10個」、「アイテムBのうちの4個とアイテムCのうちの7個」、並びに他の好適な組み合わせでありうる。アイテムとは、特定の対象物、物品、又はカテゴリでありうる。換言すると、「〜のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及びいくつかのアイテムが、列挙された中から使用されうることを意味するが、列挙されたアイテムの全てが必要とされる訳ではない。
【0079】
上記の主題は例示の目的でのみ提供されており、限定として解釈すべきではない。図示され説明された例示的な実施形態や応用に従わなくとも、下記の請求の範囲に明記される本開示の真の本質と範囲から逸脱しなければ、本書で説明された主題に対して様々な修正や変更を行うことが可能である。