特許第6012815号(P6012815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012815熱定着性電子写真用トナー、その製造方法、トナーカートリッジおよび画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012815
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】熱定着性電子写真用トナー、その製造方法、トナーカートリッジおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20161011BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20161011BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G03G9/08 391
   G03G9/08 361
   G03G9/08 321
   G03G9/08 381
【請求項の数】6
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-109167(P2015-109167)
(22)【出願日】2015年5月28日
(62)【分割の表示】特願2014-50626(P2014-50626)の分割
【原出願日】2010年2月16日
(65)【公開番号】特開2015-166886(P2015-166886A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】61/152,798
(32)【優先日】2009年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/704,075
(32)【優先日】2010年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】樺井 隆人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛司
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−330321(JP,A)
【文献】 特開平06−138701(JP,A)
【文献】 特開平07−199519(JP,A)
【文献】 特開平05−027478(JP,A)
【文献】 特開2002−275272(JP,A)
【文献】 特開2009−300991(JP,A)
【文献】 特開2000−056497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱定着性電子写真用トナーであって、軟化点が80〜180℃の樹脂を含有する樹脂含有粒子と、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有し、第1温度以上に加熱すると消色し、消色させた後に前記第1温度よりも低い第2温度以下にすることにより発色する温度ヒステリシスを有するカプセル化された発色粒子とを含んだ分散液を用意し、該分散液中で前記樹脂含有粒子と前記発色粒子とを含む凝集粒子を生成して製造され、前記カプセル化された発色粒子前記樹脂に内包され、かつ前記温度ヒステリシスは定着時呈色性を満たすことを特徴とする熱定着性電子写真用トナー。
【請求項2】
前記分散液に水系媒体を使用することを特徴とする請求項1に記載の熱定着性電子写真用トナー。
【請求項3】
前記樹脂の軟化点温度が100℃以上である請求項1に記載の熱定着性電子写真用トナー。
【請求項4】
請求項1に記載の熱定着性電子写真用トナーを含んだことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載の熱定着性電子写真用トナーを含んだことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
軟化点が80〜180℃の樹脂を含有する樹脂含有粒子を含む分散液と、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有し、第1温度以上に加熱すると消色し、消色させた後に前記第1温度よりも低い第2温度以下にすることにより発色するカプセル化された発色粒子とを含んだ分散液を用意することと、
各分散液中の樹脂含有粒子と発色粒子とを含む凝集粒子を生成することと、
前記凝集粒子に対して40℃から95℃の温度範囲で加熱融着を行うことと
を含むトナーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用現像剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙等の記録媒体上に形成したトナー画像の色を消去し、紙等記録媒体を再利用する方法は、紙等記録媒体の使用量削減による環境保護や、経済性の観点から、非常に有効である。
【0003】
消去可能なトナーとしては、呈色性化合物及び顕色剤を含有し、加熱することにより消去可能なトナーが知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、混練粉砕法により、呈色性化合物及び顕色剤を、バインダー樹脂とともに溶融混練して、トナー内部に取り込む。このトナーは、印字した紙を100から200℃で1から3時間程度加熱することにより、印字部を消色することができ、さらに、消色した紙を再利用することが可能である。紙の消費を減らすことにより、環境負荷低減に貢献することができる優れた技術である。
【0004】
しかしながら、混練粉砕法を用いた場合、100から200℃程度の高温下及び高せん断下で混練するため、バインダー樹脂中にロイコ染料および顕色剤が均一分散し、ロイコ染料(呈色性化合物)と顕色剤の反応が阻害され、トナーの発色濃度の低下が生じる。また、バインダー樹脂や離形剤等のトナー材料に消色作用がある場合、混練時に同様にトナーの発色濃度の低下が生じることから、トナー材料として消色作用が少ないものを選択する必要があった。特に、バインダー樹脂に関しては、スチレン−ブタジエン系のような消色作用を持たない特定の樹脂しか使用できず、定着性に優れたポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂は、消色作用を及ぼし易いために、使用することが非常に困難であった。
【0005】
従って、定着性、発色性、消去性の全てを満足できるトナーは得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4105718号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低エネルギー及び短時間で消色が可能な現像剤、及びその簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、熱定着性電子写真用トナーであって、軟化点が80〜180℃の樹脂を含有する樹脂含有粒子と、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有し、第1温度以上に加熱すると消色し、消色させた後に前記第1温度よりも低い第2温度以下にすることにより発色する温度ヒステリシスを有するカプセル化された発色粒子とを含んだ分散液を用意し、該分散液中で前記樹脂含有粒子と前記発色粒子とを含む凝集粒子を生成して製造され、前記カプセル化された発色粒子前記樹脂に内包され、かつ前記温度ヒステリシスは定着時呈色性を満たすことを特徴とする熱定着性電子写真用トナーを含む。
【0009】
また、本発明のトナーの製造方法は、軟化点が80〜180℃の樹脂を含有する樹脂含有粒子を含む分散液と、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有し、第1温度以上に加熱すると消色し、消色させた後に前記第1温度よりも低い第2温度以下にすることにより発色するカプセル化された発色粒子とを含んだ分散液を用意することと、各分散液中の樹脂含有粒子と発色粒子とを含む凝集粒子を生成することと、前記凝集粒子に対して40℃から95℃の温度範囲で加熱融着を行うこととを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低エネルギー及び短時間で消色が可能な現像剤、及びその簡便な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の現像剤の製造方法の一例を表すフローである。
図2】本発明の現像剤の製造方法の他の一例を表すフローである。
図3】本発明の現像剤の製造方法の他の一例の一部を表すモデル図である。
図4】本発明の現像剤に用いられるトナー粒子の他の一例を表すモデル図である。
図5】本発明に用いられる高圧型湿式微粒化機の一例を表す概略図である。
図6】本発明に係る現像剤を適用可能な複写機の構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0013】
図1に本発明の一実施態様に係る現像剤の製造方法を表すフローを示す。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1の態様に係る現像剤の製造方法では、まず、少なくともバインダー樹脂を含有する第1の微粒子と、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有する第2の微粒子とを別々に調製し、第1の微粒子と第2の微粒子とを含有する分散液を調製する(Act 1)。次に、該第1及び第2の微粒子を含む分散液を凝集せしめ、凝集粒子を形成する(Act 2)。その後、例えば凝集粒子を加温して融着せしめ(Act 3)、得られた融着粒子を洗浄(Act 4)、乾燥(Act 5)することによりトナー粒子を形成することができる。
【0015】
トナー粒子表面には、必要に応じて無機微粒子の添加剤を適用することができる。
【0016】
第1の微粒子は、0.01ないし2.0μmの体積平均粒径を有することが好ましい。
【0017】
0.01μm未満であると、凝集剤量が多くなり、帯電性や定着性が悪化する傾向があり、2.0μmを超えると得られるトナーの粒子径が大きくなり、画質が悪化する傾向がある。
【0018】
第2の微粒子は、0.05ないし10.0μmの体積平均粒径を有することが好ましい。
【0019】
0.05μm未満であると、発色濃度の低下が起き、画像濃度が低下する傾向があり、10.0μmを超えると得られるトナーの粒子径が大きくなり、画質が悪化する傾向がある。
【0020】
図2に、本発明の他の実施態様に係る現像剤の製造方法を表すフローを示す。
【0021】
例えば、少なくともバインダー樹脂を含有する樹脂粒子の分散液を機械的せん断に供し、該樹脂粒子を微粒化して、該樹脂粒子の粒径よりも小さい粒径を有する微粒子にせしめることにより、第1の微粒子を形成することができる(Act 11)。
【0022】
呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有するコア成分を、該コア成分をカプセル化するシェル成分でカプセル化することにより第2の微粒子を形成する(Act 12)。
【0023】
呈色性化合物としては、例えば消色温度以上の温度に加熱されると消色し、復色温度以下の温度に冷却されると発色するロイコ染料を代表的な材料として用いることが出来る。
【0024】
第1の微粒子、第2の微粒子、及び水系媒体を含む分散液を調製する(Act 13)。
【0025】
第1及び第2の微粒子を凝集する(Act 14)。
【0026】
凝集粒子をさらに加熱融着する(Act 15)。
【0027】
融着された粒子のロイコ染料の発色を確認する(Act 16)、ロイコ染料が発色していない場合に、さらに、復色温度まで冷却する(Act 17)。
【0028】
得られた融着粒子を洗浄(Act 18)、乾燥(Act 19)することによりトナー粒子を形成することができる。
【0029】
加熱融着は、例えば40℃から95℃の温度範囲で行うことができる。
【0030】
この温度範囲で融着できるよう、バインダー樹脂及び離形剤等を選択することが出来る。
【0031】
本発明の現像剤の製造方法を用いると、溶融混練とは異なり、バインダー樹脂中にロイコ染料および顕色剤が均一分散しすぎることがないので、ロイコ染料と顕色剤の反応が阻害されず、発色濃度を低下させずに現像剤を製造することができる。
【0032】
また、トナー材料として消色作用があるバインダー樹脂や離形剤等を使用しても、製造中にトナーの発色濃度の低下を生じることがないので、トナー材料として消色作用が少ないものを選択する必要がない。
【0033】
さらに、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有するコア成分をシェル成分でカプセル化することにより、より迅速な消色が可能となる。
【0034】
本発明の現像剤を用いて画像を形成することにより、ロイコ染料が消色した際には、復色する温度まで冷却することが出来る。
【0035】
本発明の一実施態様に係る現像剤は、少なくともバインダー樹脂、及びバインダー樹脂内に分散された、呈色性化合物を含有する微粒子を含有するトナー粒子を含み、この微粒子は、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有するコア成分と、コア成分をカプセル化するシェル成分とを有するカプセル化された微粒子である。
【0036】
この現像剤は、図2に係る方法によって得ることが可能であり、少なくともバインダー樹脂を含有する第1の微粒子と、呈色性化合物、顕色剤、及び消色剤を含有するコア成分を、シェル成分でカプセル化した第2の微粒子と、水系媒体等を含有する分散液を調製し、分散液中で第1及び第2の微粒子を例えばpH調整することにより凝集せしめ、凝集粒子を形成し、得られた凝集粒子を融着せしめて得られたトナー粒子を含む。
【0037】
図3に、本発明の現像剤の製造方法の他の一例の一部を表すモデル図を示す。
【0038】
図中、図2と同じ符号Act 13,14,15,16,17,18,及び19は、同じ工程を示すものとする。
【0039】
図示するように、分散液を調製する工程では、バインダー樹脂を含有する第1の微粒子1と、例えばロイコ染料等の呈色性化合物111、顕色剤112,及び消色剤成分113を含むコア材料がシェル材114によりカプセル化された第2の微粒子102と、任意成分のワックス粒子103等を水系媒体に分散させる(Act 13)。
【0040】
次に、バインダー樹脂を含有する第1の微粒子101と、例えばロイコ染料等の呈色性化合物を含むカプセル化された第2の微粒子102と、任意成分のワックス粒子103等を水系媒体中で凝集させる(Act 14)。
【0041】
得られた凝集粒子を、加熱融着させ、トナー粒子104を得る(Act 15)。
【0042】
本発明の現像剤に用いられるトナー粒子104は、図示するように、呈色性化合物111、顕色剤112,及び消色剤成分113を含むコア材料がシェル材114によりカプセル化された第2の微粒子102と、任意成分のワックス粒子103とが、第1の微粒子を構成していたバインダー樹脂101’中に分散された構成を含む。
【0043】
このトナー粒子104では、呈色性化合物111、顕色剤112が結合して発色している。消色する際には、例えば顕色剤112と消色剤成分113を結合させて、呈色性化合物111と顕色剤112の結合を阻害することが出来る。
【0044】
図4に、本発明の現像剤に用いられるトナー粒子の他の一例を表すモデル図を示す。
【0045】
このトナー粒子104’は、消色剤成分113の代わりに消色作用を有する媒体115を含む第2の微粒子102’を含有すること以外は、図3に示すトナー粒子104と同様の構成を有する。
【0046】
トナー粒子104は、その後、洗浄(Act 18)、乾燥(Act 19)に供される。
【0047】
カプセル化の方法は、界面重合法、コアセルベーション法、in situ重合法、液中乾燥法、液中硬化被膜法等がある。
【0048】
特に、メラミン樹脂をシェル成分として使用するIn−Situ法、ウレタン樹脂をシェル成分として使用する界面重合法等が良い。
【0049】
In−Situ法の場合、まず、上記3成分を溶解混合し、水溶性高分子または界面活性剤水溶液中に乳化させる。その後、メラミンホルマリンプレポリマー水溶液を添加し、加熱し重合することによりカプセル化することができる。
【0050】
界面重合法の場合は、上記3成分と多価のイソシアネートプレポリマーを溶解混合し、水溶性高分子または界面活性剤水溶液中に乳化させる。その後、ジアミンまたはジオール等の多価塩基を添加し、加熱重合することによりカプセル化することができる。
【0051】
なお、ロイコ染料および顕色剤および消色剤は、カプセル化された第2の微粒子のみならず、バインダー樹脂を含有する第1の微粒子にも配合できる。
【0052】
本発明に使用されるロイコ染料等呈色性化合物および顕色剤および消色剤を以下に説明する。
【0053】
ロイコ染料とは、顕色剤により発色することが可能な電子供与性の化合物である。例えば、ジフェ二ルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
【0054】
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等である。さらに、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。これらは、2種以上混合して使用しても良い。
【0055】
本発明に用いられる顕色剤は、ロイコ染料にプロトンを与える電子受容性化合物である。例えば、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、モノフェノール類、ポリフェノール類、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体等があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等、さらにそれらの金属塩が挙げられる。これらは、2種以上混合して使用しても良い。
【0056】
具体的には、フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシ安息香酸またはそのエステル、たとえば2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、レゾルシン、没食子酸、没食子酸ドデシル、没食子酸エチル、没食子酸ブチル、没食子酸プロピル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4’,4’’−エチリデントリスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレントリス−p−クレゾール等がある。
【0057】
本発明に用いられる消色剤は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤の3成分系において、熱によりロイコ染料と顕色剤による発色反応を阻害し、無色にすることができるものであれば、公知のものが使用できる。
【0058】
例えば、消色剤の形態としては、1)微粒子102で示されるような、ロイコ染料と顕色剤が結合し発色した成分と消色剤成分が、発色および消色作用が少ない又は無い媒体中に分散している形態、2)微粒子102'で示されるような、消色剤成分が、ロイコ染料と顕色剤が結合し発色した成分の媒体と使用される形態がある。
【0059】
2)の形態として使用する消色剤は、特に、特開昭60−264285、特開2005−1369、特開2008−280523等で公知である消色剤の温度ヒステリシスを利用した発色消色機構が、瞬時消去性において優れている。この発色した3成分系の混合物を、特定の消色温度Th以上に加熱すると、消色化させることができる。さらに、消色した混合物をTh以下の温度に冷却しても消色状態が維持される。さらに温度を下げると特定の復色温度Tc以下においてロイコ染料と顕色剤による発色反応が再度復活し、発色状態に戻るという可逆的な発色消色反応を起こすことが可能である。特に、本発明で使用する消色剤は、室温をTrとするとTh>Tr>Tcという関係を満たすことが好ましい。
【0060】
この温度ヒステリシスを引き起こすことが可能な消色剤は、例えばアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
【0061】
特にエステル類が良い。具体的には、置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、脂肪酸と分岐脂肪族アルコールのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等があげられる。これらは、2種以上混合して使用しても良い。
【0062】
次に、1)の形態として使用する消色剤としては、特開2000−19770等で公知である消色剤が使用できる。例えば、コレステロール、スチグマステロール、プレグネノロン、メチルアンドロステンジオール、エストラジオールベンゾエート、エピアンドロステン、ステノロン、β−シトステロール、プレグネノロンアセテート、β−コレスタロール、5,16−プレグナジエン−3β−オール−20−オン、5α−プレグネン−3β−オール−20−オン、5−プレグネン−3β,17−ジオール−20−オン−21−アセテート、5−プレグネン−3β,17−ジオール−20−オン−17−アセテート、5−プレグネン−3β,21−ジオール−20−オン−21−アセテート、5−プレグネン−3β,17−ジオール ジアセテート、ロコゲニン、チゴゲニン、エスミラゲニン、ヘコゲニン、ジオスゲニン、コール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム、リトコール酸、リトコール酸メチルエステル、リトコール酸ナトリウム、ヒドロキシコール酸、ヒドロキシコール酸メチルエステル、ヒオデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸メチルエステル、テストステロン、メチルテストステロン、11α−ヒドロキシメチルテストステロン、ヒドロコルチゾン、コレステロールメチルカーボネート、α−コレスタノール、D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ソルボース、L−ラムノース、L−フコース、D−リボデソース、α−D−グルコース=ペンタアセテート、アセトグルコース、ジアセトン−D−グルコース、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−グルコサミン、D−フルクトサミン、D−イソ糖酸、ビタミンC、エルトルビン酸、トレハロース、サッカロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、スタキオース、メチル=α−グルコピラノシド、サリシン、アミグダリン、オイキサンチン酸、シクロドデカノール、ヘキサヒドロサリチル酸、メントール、イソメントール、ネオメントール、ネオイソメントール、カルボメントール、α−カルボメントール、ピペリトール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、1−p−メンテン−4−オール、イソプレゴール、ジヒドロカルベオール、カルベオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、フロログルシトール、クエルシトール、イノシトール、1,2−シクロドデカンジオール、キナ酸、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ピノールヒドラート、ベツリン、ボルネオール、イソボルネオール、アダマンタノール、ノルボルネオール、フェンコール、ショウノウ、1,2:5,6−ジイソプロピリデン−D−マンニトール等が挙げられる。
【0063】
ロイコ染料、顕色剤、消色剤の混合する割合は、濃度、変色温度、各成分の種類によって異なるが、ロイコ染料1に対して、顕色剤は0.1〜100、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.5〜20、消色剤は1〜800、好ましくは5〜200、より好ましくは5〜100の範囲である。
【0064】
本発明の少なくともバインダー樹脂を含む第1の微粒子の分散液を作成する方法は、既知の方法により作成できる。例えば、バインダー樹脂粒子分散液の場合、乳化重合、シード重合、ミニエマルジョン重合、懸濁重合、界面重合、in−situ重合等のモノマーまたは樹脂中間体を重合することにより得る重合法、バインダー樹脂を、溶剤・アルカリ・界面活性剤を使用するか、または加熱により軟化させ油相を形成し、水を主とした水相を添加することにより粒子を得る転相乳化法、バインダー樹脂を溶剤または加熱により軟化させ、高圧式微粒化機、ローターステター型攪拌機等を用い、水系媒体中に機械的に微粒子化する機械的乳化法等がある。離形剤粒子分散液、帯電制御剤粒子分散液の場合は、これらの材料を、高圧式微粒化機、ローターステター型攪拌機、メディア式微粒化機等を用い、水系媒体中に機械的に微粒子化する機械的微粒化法等により得ることができる。
【0065】
一方、これらの個別に微粒子を作成する方法の他に、トナー成分材料を溶融混錬または混合し、高圧式微粒化機、ローターステター型攪拌機、メディア式微粒化機等を用い、水系媒体中に機械的に微粒子化する方法もある。この方法は、一括でトナー成分微粒子を作成できるため工程が簡略化でき、さらに離形剤、帯電制御剤等をバインダー樹脂中に均一に分散可能であるため、非常に優れた製法である。
【0066】
第1の微粒子は、例えば少なくともバインダー樹脂を含有する樹脂粒子の分散液を機械的せん断に供し、該樹脂粒子を微粒化して、該樹脂粒子の粒径よりも小さい粒径を有する微粒子にせしめることにより得られる。
【0067】
機械的せん断の一例として、機械的乳化法の一つである高圧式微粒化機にて作成する方法の具体例を示す。
【0068】
まず、少なくともバインダー樹脂を含有する、粗く粒状化された粒子を調製する。
【0069】
粗く粒状化された粒子は、例えばバインダー樹脂と離形剤を含有する混合物を溶融混練して粗粉砕する工程により得られる。粗く粒状化された粒子は、好ましくは、0.01mmないし2mmの体積平均粒径を有する。体積平均粒径が0.01mm未満であると、水系媒体中に分散させるために強い攪拌が必要となり、攪拌により発生した泡が混合品の分散を低下させる傾向があり、2mmを超えると、せん断部に設けられたギャップと比較して粒子径が大きいため、せん断部に粒子が詰まったり、混合物の内部と外部での受けたエネルギーの違いにより、組成や粒子径の不均一な粒子が発生したりする傾向がある。
【0070】
粗く粒状化された粒子は、より好ましくは、0.02mmないし1mmの体積平均粒径を有する。
【0071】
次に、粗く粒状化された粒子を水系媒体中に分散させ、粗く粒状化された粒子の分散液を形成する。
【0072】
粗く粒状化された粒子の分散液を形成する工程において、水系媒体に、界面活性剤またはアルカリ性のpH調整剤を添加することができる。
【0073】
界面活性剤を添加することにより、粒子表面に吸着した界面活性剤の働きにより容易に水系媒体中に分散することができる。トナー成分であるバインダー樹脂や離形剤は親水性が低く、界面活性剤無しで、水中に分散させるのは非常に困難である。
【0074】
この時の界面活性剤濃度は臨界ミセル濃度以上であることが望ましい。ここで臨界ミセル濃度とは、水中でミセルを形成するのに必要な最低限の界面活性剤濃度を指し、表面張力や電気伝導度の測定により得ることができる。この濃度以上の界面活性剤が含まれていると、さらに分散が容易となる。
【0075】
一方、アルカリ性のpH調整剤を添加することにより、バインダー樹脂表面の解離性官能基の解離度を増加させたり、極性を高めたりすることにより、自己分散性を向上することができる。
【0076】
続いて、必要に応じ得られた分散液の脱泡を行う。トナー成分であるバインダー樹脂や離形剤は親水性が低いため、界面活性剤を用いて水中に分散することが可能となるが、混合時に少なからず泡がみを起こしてしまう。この泡が混入した状態で、後工程の高圧微粒化機で微粒化処理を行うと、高圧ポンプのプランジャーで空打ちが生じ、プランジャーの動作が不安定となる。特に脈流を無くすためにプランジャーを複数連装している場合、複数のプランジャーの動きを制御しているため、空打ちが起きると微粒化処理ができない場合もある。また、高圧式微粒化機は逆支弁を有するため、処理液に泡が混入していると、この逆支弁に粒子が付着しやすくなり、逆支弁に詰まりが起きる。逆支弁に詰まりが発生すると、処理液が流れなくなり微粒化処理が出来なくなる場合もある。
【0077】
脱泡方法は、真空減圧脱泡、遠心脱泡、消泡剤の添加等がある。泡が除去できればどの方法でも良いが、消泡剤を添加する場合は、後工程に影響の無いものを選ぶ必要がある。また、トナーに残留して帯電特性等が悪化しないことも重要である。簡易的な方法としては、減圧脱泡が良い。攪拌機を有する耐圧容器内に処理液を投入し、攪拌しながら、真空ポンプにて−0.09MPa程度まで減圧をし、脱泡を行う。
【0078】
この分散液を形成した後、必要に応じ湿式粉砕をしても良い。粉砕しさらに粒径を小さくすることにより、この後の処理が安定することがある。
【0079】
続いて、得られた分散液を機械的せん断に供し、該粗く粒状化された混合物を微細に粒状化して、微粒子を形成する。
【0080】
本発明に用いられる高圧型湿式微粒化機の一例を図5に示す。
【0081】
高圧式微粒化機とは、高圧ポンプにより、10MPa〜300MPaの圧力をかけながら、微小なノズルを通過させることにより、せん断をかけ微粒子化する装置である。
【0082】
図示するように、高圧型湿式微粒化機の一例となる高圧ホモジナイザー210は、ホッパータンク201、送液ポンプ202、高圧ポンプ203、加熱部204、微粒化部205、減圧部206、冷却部207、及び減圧部208を順に配置した構成と、各部を接続する配管とを含む。
【0083】
ホッパータンク201は、処理液を投入するタンクである。装置稼動時は、装置内に空気を送り込まないよう常に液を満たしておく必要が有る。処理液の粒子径が大きく、沈降性があるものの場合は、さらに攪拌機を設けることができる。
【0084】
送液ポンプ202は、高圧ポンプ201に処理液を連続的に送るために設置する。また、高圧ポンプ203に設けられた図示しない逆止弁での詰まりを回避するためにも有効である。このポンプ202としては、例えばダイアフラムポンプ、チュービングポンプ、ギアポンプ等が使用できる。
【0085】
高圧ポンプ203は、プランジャー式ポンプであり、図示しない処理液入口及び処理液出口に逆止弁を有する。プランジャーの数は生産規模に応じ、1から10個使用される。脈流を極力減らすために、2個以上あることが望ましい。
【0086】
加熱部204は、オイルバス等の加熱器具内に熱交換面積を多くとるためにらせん状に形成された高圧配管209が設置されている。この加熱部204は、分散液の流れる方向に対し、高圧ポンプ203の上流側または下流側のどちらでも問題が無いが、少なくとも微粒化部205の上流側である必要がある。高圧ポンプ203の上流側に加熱部204を設置する場合は、ホッパー201に加熱装置を付与しても良いが、高温下での滞留時間が長いため、バインダー樹脂の加水分解が起こり易くなる。
【0087】
微粒化部205には、強力なせん断をかけるための微小な径を有するノズルが含まれている。ノズルの径及び形状は様々あるが、ノズル径は0.05mmから0.5mmが望ましく、形状は、通過型ノズル、または衝突型ノズルが望ましい。また、このノズルは多段で構成しても良く、多段にする場合は異なるノズル径を複数並べても良い。複数並べる方法は並列でも直列でも良い。ノズルの材質は高圧に耐えることが可能なダイヤモンド等が使用される。
【0088】
冷却部207には、冷水が連続的に流されるバス内に熱交換面積を多くとるためにらせん状に形成された配管211が設置されている。
【0089】
必要に応じ、上記冷却部207の前後に減圧部206,208を設けねことができる。減圧部206,208の構成としては、微粒化部207のノズル径より、大きくかつ接続配管径より小さい流路を有するセル、または2方向バルブを1つ以上配置する。
【0090】
この高圧式微粒化機による処理は以下のように行う。
【0091】
まず、処理液はバインダー樹脂のガラス転移温度Tg以上に加熱される。加熱を行う理由は、バインダー樹脂を溶融させる目的がある。
【0092】
この加熱温度はバインダー樹脂の溶融特性により異なる。融け易い樹脂は低い温度でも問題無いが、溶け難い樹脂は高い温度が必要となる。また、連続的に熱交換器を通過させ加熱する方法の場合、分散液の流速及び熱交換の配管の長さにも影響する。流速が速い場合や配管が短い場合は高い温度が必要で、逆に流速が遅い場合や配管が長い場合は充分に分散液が加熱されるため、低い温度で処理が可能となる。流量が300から400cc/min、熱交換配管が3/8インチ・12mの高圧配管、バインダー樹脂のTgが60℃、トナーの軟化点Tmが130℃の場合、加熱温度は、100℃から200℃で良い。トナーの軟化点測定は、島津製作所製フローテスターCFT−500の昇温法により行い、フローチャートよりプランジャー降下量の2mmに相当する曲線上の点を軟化点とする。
【0093】
次に、この加熱された分散液を10MPa以上の圧力をかけながらせん断を与える。この時、せん断を与えるのはノズルである。10MPa以上の高圧をかけながら、ノズルを通過することにより、溶融したトナー成分が微粒化される。この時の圧力は10MPaから300MPaあると良い。
【0094】
最後に分散液をバインダー樹脂のTg以下まで冷却する。この冷却により、溶融した微粒子が固化される。処理液が急速に冷却されるため、冷却による凝集や合一が起こり難くなる。
【0095】
必要に応じ、上記冷却部の前後に背圧を付与したり、減圧を行っても良い。背圧または減圧とは、ノズル通過後にすぐに大気圧開放するのではなく、1段階(背圧)または、多段階(減圧)で大気圧付近に戻すことを意味する。背圧部または減圧部通過後の圧力は0.1MPa〜10MPa、望ましくは0.1〜5MPaである。この減圧部は径の異なるセル又はバルブを複数個並べるとさらに良い。多段階で減圧することにより粗粒子が少なく粒度分布がシャープな微粒子を得ることができる。
【0096】
以上によりバインダー樹脂を含む第1の微粒子の分散液を得ることが可能となる。
【0097】
次に、少なくともバインダー樹脂を含む第1の微粒子分散体を、重合法の一つである乳化重合にて作成する方法の具体例を示す。
【0098】
まず、ビニル系重合性単量体と必要に応じ連鎖移動剤を混合した油相成分を作成する。それらを界面活性剤水溶液である水相成分中に乳化分散し、水溶性の重合開始剤を添加し、加熱することにより重合を行う。油相成分にはトナー成分である離形剤や帯電制御剤等を混合しても良い。また、離形剤や帯電制御剤等の微粒子を水系媒体中に分散した分散体を重合過程で添加し、乳化重合粒子内にこれらの成分を含有させることもできる。この乳化重合により少なくともバインダー樹脂を含むトナー成分の0.01から1μmの微粒子分散体を作成できる。この乳化重合の方法としては、水相成分に油相成を滴下しながら重合しても良いし、分子量調整のために重合開始剤を重合途中に再度添加して良い。
【0099】
次に少なくともバインダー樹脂を含む第1の微粒子の分散体を、転相乳化法にて作成する方法の具体例を示す。
【0100】
まず、少なくともバインダー樹脂を含むトナー成分を含む油相成分を加熱溶融する。そこへ界面活性剤、pH調整剤を含む水溶液を徐々に添加する。水溶液を添加していくと、W/OからO/Wに転相する。転相終了後、冷却し、少なくともバインダー樹脂を含む0.01から5μmのトナー成分の微粒子分散体を作成できる。ここで、油相成分中には界面活性剤、pH調整剤、溶剤、イオン交換水等をあらかじめ添加しても良く、特に、溶剤を添加した場合には、油相成分の粘度が低下するため、加熱の必要が無い場合もある。ただし、溶剤を使用した場合は、転相乳化後に溶剤を除去する必要がある。
【0101】
本発明の少なくともロイコ染料等の呈色性化合物および顕色剤および消色剤の一部または全部を含有する第2の微粒子と、少なくともバインダー樹脂を含む第1の微粒子とを、水等媒体中で凝集融着する方法の例を以下に示す。
【0102】
ここで、少なくともバインダー樹脂を含む第1の微粒子は、例えば、バインダー樹脂の微粒子、離形剤の微粒子、帯電制御剤の微粒子を混合しても良いし、バインダー樹脂中に離形剤や帯電制御剤が含まれた微粒子でも良い。さらに、それらの混合物でも良い。
【0103】
まず、微粒子分散液に凝集剤を添加する。凝集剤の添加量は、この微粒子の分散安定性により変わり、分散安定性が高い場合は多く、低い場合は少なくなる。また、凝集剤の種類によっても異なる。凝集剤として硫酸アルミニウムを使用する場合、微粒子に対して0.1〜50wt%、望ましくは、0.5〜10wt%添加すると良い。凝集剤を添加した後、例えば硫酸アルミニウムのような強い凝集性の凝集剤の場合、0.1〜10μmの粒子径が得られる。一方、例えば塩化ナトリウムなど弱い凝集性の凝集剤の場合、凝集剤添加時に凝集が起こらないこともある。この添加する際、微粒子の急激な凝集を防ぐため、ローターステーター型の分散機を使用すると良い。また、同じく急激な凝集を防ぐために、凝集剤を添加する前に、微粒子分散液にpH調整、界面活性剤の添加を行っても良い。これらの操作により、最終的に得られるトナーの粒子径を均一にするこが可能となる。
【0104】
次に、加熱による凝集を行う。加熱により、2μmからターゲットの粒子径までの粒子径を有する凝集粒子を作成する。
【0105】
次に、加熱による融着を行う。この凝集粒子に、必要に応じpH調整剤、界面活性剤等の安定化剤の添加を行い、凝集粒子を安定化させた後、少なくともバインダー樹脂のTg以上に加熱を行うことにより、凝集粒子の表面を融着する。この融着により、最終的なターゲットの粒子径になる。
【0106】
微粒子の種類や固形分濃度、凝集剤の種類によっては、凝集と融着が同時に行われることもある。
【0107】
また、この凝集及び融着における攪拌条件は粒子径及び粒度分布に大きな影響を与える。攪拌速度は適度なせん断を与える条件が良く、せん断が弱すぎると粒径が大きくなり、かつ粗粒ができ易い。一方、強すぎると粒径が小さくなり、かつ微粉ができ易くなる。また、反応槽にはバッフルを設置すると良い。バッフルは、泡がみを抑制する効果、槽内の攪拌状態を均一にする効果、かつせん断を強くする効果がある。攪拌条件の他に、昇温速度や添加剤の投入速度等も粒子径及び粒度分布に大きな影響を与える。
【0108】
必要に応じ、凝集粒子表面を樹脂にて被覆させることができる。被覆させる第一の方法としては、凝集粒子分散液へ樹脂粒子等を添加し、凝集剤の添加、pH調整等により、凝集粒子表面に樹脂粒子等を付着させた後、樹脂粒子等を凝集粒子表面に融着させることにより得る方法。第二の方法としては、凝集粒子含有溶液へ重合性単量体を添加することにより、凝集粒子表面を単量体により包括または膨潤させた後、単量体を重合することにより得る方法。第三の方法としては、凝集粒子を融着させた後、その粒子を洗浄乾燥し、ハイブリダイザー等を用い機械的に融着粒子表面に樹脂粒子等を付着させて得る方法がある。
【0109】
この中でも、第一の方法が簡易的で高い被覆率のトナーを得ることができる。この方法における、被覆させる樹脂粒子は、上述の微粒化方法により得ることができる。
【0110】
この被覆によりトナー表面の色材や離形剤を内包させることが可能となり、連続通紙時の画像の安定性が向上する。
【0111】
本発明の凝集融着粒子を形成した後、洗浄、固液分離、乾燥することにより、凝集融着粒子の粉体が得られる。その粉体に外添剤を添加しトナー得ることができる。
【0112】
本発明の製造装置としては、例えば以下が挙げられる。
【0113】
混練機としては、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、例えば1軸押出機、2軸押出機、加圧型ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー等が挙げられる。具体的には、FCM(神戸製鋼所社製)、NCM(神戸製鋼所社製)、LCM(神戸製鋼所社製)、ACM(神戸製鋼所社製)、KTX(神戸製鋼所社製)、GT(池貝社製)、PCM(池貝社製)、TEX(日本製鋼所社製)、TEM(東芝機械社製)、ZSK(ワーナー社製)、及びニーデックス(三井鉱山社製)などが挙げられる。
【0114】
粉砕機としては、乾式で粉砕可能であれば特に限定されないが、例えば、ボールミル、アトマイザー、バンタムミル、パルベライザー、ハンマーミル、ロールクラッシャー、カッターミル、ジェットミル等が挙げられる。
【0115】
微粒化機としては、湿式で微粒化が可能であれば特に限定されないが、例えば、ナノマイザー(吉田機械興行社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、NANO3000(美粒社製)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ホモゲナイザー(イズミフードマシナリー社製)等の高圧式微粒化機、ウルトラタラックス(IKAジャパン社製)、TKオートホモミクサー(プライミックス社製)、TKパイプラインホモミクサー(プライミックス社製)、TKフィルミックス(プライミックス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、クレアSS5(エム・テクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)のようなローターステター型攪拌機、ビスコミル(アイメックス製)、アペックスミル(寿工業社製)、スターミル(アシザワ、ファインテック社製)、DCPスーパーフロー(日本アイリッヒ社製)、エムピーミル(井上製作所社製)、スパイクミル(井上製作所社製)、マイティーミル(井上製作所社製)、SCミル(三井鉱山社製)などのメディア攪拌機等が挙げられる。これらの微粒化機はトナー成分粒子と凝集剤を混合する際にも使用できる。
【0116】
洗浄装置としては、例えば、遠心分離装置やフィルタープレスなどが好適に用いられる。洗浄液としては、例えば水、イオン交換水、精製水、酸性に調整された水や塩基性に調整された水などが使用される。
【0117】
乾燥装置としては、例えば真空乾燥機や気流式乾燥機、流動乾燥機などが好適に用いられる。
【0118】
乾式混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)、タービュライザー(ホソカワミクロン社製)、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製)、スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製)、レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
【0119】
本発明で使用される材料は、重合性単量体、連鎖移動剤、架橋剤、重合開始剤、界面活性剤、凝集剤、pH調整剤、消泡剤、樹脂、離形剤等トナー材料として公知のものを全て使用できる。
【0120】
ビニル系重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、フェニルスチレン、クロロスチレン等の芳香族系ビニル単量体類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のエステル系単量体類、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸含有単量体類、アミノアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等のアミン系単量体類及びそれらの誘導体を単独または複数混合することにより使用できる。重縮合系の重合性単量体としては、アルコール成分として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ブテンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール類、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール等及びそれらの誘導体を単独または複数混合することにより使用できる。カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、トリメリット酸、ピロリメット酸等の3価以上の多価カルボン酸類及びそれらの誘導体を単独または複数混合することにより使用できる。
【0121】
連鎖移動剤としては、四臭化炭素、ドデシルメルカプタン、トリクロロブロモメタン、ドデカンチオール等が使用される。
【0122】
架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルナフタレン、ジエチレングリコールメタクリレート等の不飽和結合2個以上有するものが使用される。
【0123】
重合開始剤は、重合方法により使い分ける必要があり、水溶性開始剤・油溶性開始剤の二種類がある。水溶性開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)等のアゾ系化合物、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイト等が使用される。また、油溶性開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系化合物、ベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド等の過酸化物が使用される。また、必要であればレドックス系開始剤を使用することもできる。
【0124】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が使用できる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩等がある。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩等がある。両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等がある。非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等がある。これらは単独または複数併用して使用できる。
【0125】
凝集剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸ナトリウム等の1価の塩。塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等の2価の塩。硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の3価の塩が使用できる。また、ポリヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩等の有機凝結剤や、有機の高分子凝集剤が使用できる。
【0126】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、りん酸等の酸性類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン化合物等のアルカリ類を使用することができる。アミン化合物として、例えば、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン,イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパンなどが挙げられる。また、酸性またはアルカリ性を示す界面活性剤も使用できる。
【0127】
消泡剤としては、低級アルコール系消泡剤、有機極性化合物系消泡剤、鉱物油系消泡剤、シリコーン系消泡剤などがある。低級アルコール系消泡剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどが使用できる。有機極性化合物系消泡剤としては、2−エチルヘキサノール、アミルアルコール、ジイソブチルカルビノール、トリブチルフォスフェート、オレイン酸、トール油、金属セッケン、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル、低分子ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ノニルフェノールEO低モル付加物、プルロニック型EO低モル付加物、ポリプロピレングリコール、及びその誘導体等が使用できる。鉱物油系消泡剤としては、鉱物油の界面活性剤配合品、鉱物油と脂肪酸金属塩の界面活性剤配合品等が使用できる。シリコーン系消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂の界面活性剤配合品、シリコーン樹脂の無機粉末配合品等が使用できる。
【0128】
バインダー樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・アクリル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン・ノルボルネン共重合体、ポリエチレン・ビニルアルコール共重合体などのエチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びマレイン酸系樹脂が挙げられる。これら樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂を重合するには、上述の重合性単量体、連鎖移動剤、架橋剤、重合開始剤等が使用できる。また、これら樹脂のガラス転移温度は40〜80℃、軟化点は80〜180℃がよい。特に、定着性が良好なポリエステル樹脂が望ましい。また、ポリステル樹脂の酸価が1以上有ると良い。酸価を有することにより、微粒化におけるアルカリ性pH調整剤の効果が発揮され、小粒径の微粒子を得ることができる。
【0129】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸価ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックスの如き植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ぺトロラクタムの如き鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどがあげられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール、ソルビトールの如き多価アルコール、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(−般に金属石けんといわれているもの)、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0130】
さらに、必要に応じて電荷調整剤、外添剤等を添加できる。
【0131】
帯電制御剤としては、例えば含金属アゾ化合物が用いられ、金属元素が鉄、コバルト、クロムの錯体、錯塩、あるいはその混合物が望ましい。その他、含金属サリチル酸誘導体化合物も使用可能であり、金属元素がジルコニウム、亜鉛、クロム、ボロンの錯体、錯塩、あるいはその混合物が望ましい。
【0132】
添加剤として、トナー粒子に対して流動性や帯電性を調整するために、トナー粒子表面に、トナー全重量に対し、0.01〜20重量%の無機微粒子を添加混合することができる。このような無機微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ、及びチタン酸ストロンチウム、酸化錫等を単独であるいは2種以上混合して使用することができる。無機微粒子は疎水化剤で表面処理されたものを使用することが環境安定性向上の観点から好ましい。また、このような無機酸化物以外に1μm以下の樹脂微粒子をクリーニング性向上のために外添してもよい。
【0133】
実施例ロイコ染料/顕色剤/消色剤を含有する発色粒子分散体の作成
発色粒子C1分散体の作成
以下、部は重量部、%は重量%を表すものとする。
【0134】
ロイコ染料として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2部、顕色剤として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4部、消色剤としてカプリル酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる成分を均一に加温溶解し、カプセル化剤として芳香族多価イソシアネートプレポリマー30部、酢酸エチル40部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液300部中に乳化分散し、90℃で約1時間攪拌を続けた後、反応剤として水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に6時間攪拌を続けて無色のカプセル粒子を得た。さらに、このカプセル粒子分散体を冷凍庫に入れて発色させ、青色の発色粒子C1分散体を得た。この発色粒子C1を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は3μmであった。また、完全消色温度Thは62℃で、完全発色温度Tcは−14℃であった。
【0135】
発色粒子C2分散体の作成
ロイコ染料として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、顕色剤として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、消色剤としてピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル化合物50部からなる成分を加温溶解し、さらにカプセル化剤として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部、酢酸エチル40部を混合した溶液を8%ポリビニルアルコール水溶液250部中に投入し、乳化分散し、90℃で約1時間攪拌を続けた後、反応剤として水溶性脂肪族変性アミン2部を添加し、さらに液温を90℃に保って約3時間攪拌を続けて無色のカプセル粒子を得た。さらに、このカプセル粒子分散体を冷凍庫に入れて発色させ、青色の発色粒子C2分散体を得た。この発色粒子C2を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は2μmであった。また、完全消色温度Thは79℃で、完全発色温度Tcは−10℃であった。
【0136】
発色粒子C3分散体の作成
ロイコ染料として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、顕色剤として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、消色剤としてピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル化合物50部からなる成分を加温溶解し、酢酸エチル40部を混合した溶液を8%ポリビニルアルコール水溶液250部中に投入し、乳化分散し、90℃で約5時間攪拌を続けて無色の非カプセル粒子を得た。さらに、この非カプセル粒子分散体を冷凍庫に入れて発色させ、青色の発色粒子C3分散体を得た。この発色粒子C3を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は2μmであった。また、完全消色温度Thは79℃で、完全発色温度Tcは−10℃であった。
【0137】
発色粒子C4分散体の作成
ロイコ染料として3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド1部、顕色剤として没食子酸プロピル5部、ポリスチレン樹脂50部からなる成分を溶融混練し、ジェットミルにて粉砕分級を行い、青色の発色粒子を得た。この発色粒子を8%ポリビニルアルコール水溶液250部中に投入分散し、発色粒子C4分散体を得た。
【0138】
この発色粒子C4を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は2.5μmであった。この発色粒子分散体を紙へ塗布し、ホットプレートにて120℃で5時間加熱を行うと消色した。
【0139】
発色粒子C5分散体の作成
ロイコ染料として3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド1部、顕色剤として没食子酸エチル5部、コール酸メチル5部、ポリスチレン樹脂45部からなる成分を溶融混練し、ジェットミルにて粉砕分級を行い、青色の発色粒子を得た。この発色粒子を8%ポリビニルアルコール水溶液250部中に投入分散し、発色粒子C5分散体を得た。
【0140】
この発色粒子C5を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は3.2μmであった。この発色粒子を紙へ塗布し、ホットプレートにて120℃で4時間加熱を行うと消色した。
【0141】
バインダー樹脂を含むトナー成分粒子分散体の作成
トナー成分粒子R1分散体の作成(機械的せん断による機械乳化法)
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂94 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部を、乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて80度で溶融混練する。得られたトナー組成物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕し、さらにバンタムミルにて平均粒子径50μmに粉砕した。
【0142】
次に、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.9 部、pH調整剤として、ジメチルアミノエタノール 0.45 部、イオン交換水68.65 部と混合し、この水溶液にトナー組成物粉砕物30部を分散させ、真空脱泡を行い分散液を得た。
【0143】
次に、加熱部としてオイルバス中に浸された12mの熱交換用高圧配管、加圧部として0.13μmと0.28μmを連装したノズルを含む高圧配管、減圧部として0.4、1.0、0.75、1.5、1.0μmの孔径を有するセルを連装した中圧配管、冷却部として水道水にて冷却可能な12mの熱交換配管が設置されたNANO3000(美粒社製)を使用し、分散液を、180℃、150MPaにて微粒化処理を行い、180℃を保ちながら減圧をした後、30℃まで冷却しトナー成分粒子R1分散体を得た。得られた粒子を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は、0.5μmであった。
【0144】
トナー成分粒子R2分散体の作成(乳化重合法)
重合性単量体として、スチレン35部、アクリル酸ブチル3部、アクリル酸0.5部、連鎖移動剤として、ドデカンチオール2部、四臭化炭素0.5部を混合した重合性単量体成分を、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB16)0.5部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部をイオン交換水55.5部に溶解して水溶液中に、ホモジナイザーにて乳化し、過硫酸アンモニウム10%溶液2部を徐々に添加し、窒素置換をした後、70℃で5時間乳化重合を行ったところ、体積平均粒径が0.1μm、ガラス転移温度がガラス転移温度45℃、軟化点100℃であるスチレンアクリル樹脂粒子分散液を得た。
【0145】
次に、ライスワックス30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、イオン交換水67部を混合し、90℃に加熱しながらホモジナイザー(IKA社製)を用いて分散させた後、ナノマイザー(吉田機械興行社製)にて180MPa・150℃にて処理を行い、体積平均粒径が0.08μmである離形剤粒子分散液を作成した。
【0146】
次に、樹脂粒子分散液70部、離形剤分散液15部、イオン交換水15部を混合し、トナー成分粒子R2分散体を得た。
【0147】
トナー成分粒子R3分散体の作成(転相乳化法)
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂94 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部を、乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて80度で溶融混練する。得られたトナー組成物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0148】
次に、粗粉砕物100部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、ハイテノールEA−177(HLB16)1.5部、ジメチルアミノエタノール2.1部、炭酸カリウム2部、脱イオン水70部を添加し、マックスブレンド翼付きの1L攪拌槽で115℃まで昇温し、攪拌翼回転数300rpmで2時間攪拌した。その後160部の脱イオン水を95℃で1時間連続滴下した。そして常温まで冷却しトナー成分粒子R3分散体を得た。得られた粒子を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は、0.1μmであった。
【0149】
シェル用粒子S分散体の作成(機械乳化法)
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂100部(ガラス転移温度58℃、軟化点125℃)を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕し、さらにバンタムミルにて平均粒子径50μmに粉砕した。
【0150】
次に、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.9 部、pH調整剤として、ジメチルアミノエタノール 0.45 部、イオン交換水68.65 部と混合し、この水溶液にポリエステル樹脂30部を分散させ、真空脱泡を行い分散液を得た。
【0151】
次に、加熱部としてオイルバス中に浸された12mの熱交換用高圧配管、加圧部として0.13μmと0.28μmを連装したノズルを含む高圧配管、減圧部として0.4、1.0、0.75、1.5、1.0μmの孔径を有するセルを連装した中圧配管、冷却部として水道水にて冷却可能な12mの熱交換配管が設置されたNANO3000(美粒社製)を使用し、分散液を、180℃、150MPaにて微粒化処理を行い、180℃を保ちながら減圧をした後、30℃まで冷却しトナー成分粒子R1分散体を得た。得られた粒子を島津製作所製SALD7000にて測定したところ、その体積平均粒径は、その体積平均粒径は、0.1μmであった。
【0152】
参考例
発色粒子C1分散体1.7部、トナー成分粒子R1分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、無色のトナー分散液を得た。
【0153】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、−20℃の冷凍庫にて冷凍し、トナーを青色に発色させ、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0154】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが10.5μmであった。
【0155】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製 複写機 MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、未発色の画像を得た。
【0156】
この未発色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したところ、画像濃度0.5の画像に発色することを確認した。
【0157】
図6に、本発明に係る現像剤を適用可能な複写機の構成を表す概略図を示す。
【0158】
図示するように、4連タンデム方式のカラー複写機MFP(e−studio 4520c)1は上方にスキャナ部2及び排紙部3を備える。
【0159】
カラー複写機1は、中間転写ベルト(中間転写媒体)10の下側に沿って並列に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4組の画像形成ステーション11Y、11M、11C及び11Kを有する。
【0160】
各画像形成ステーション11Y、11M、11C及び11Kは、それぞれ感光体ドラム(像担持体)12Y、12M、12C及び12Kを有している。感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの周囲には、その矢印m方向の回転方向に沿って帯電チャージャ13Y、13M、13C及び13K、現像装置14Y、14M、14C及び14K、及び感光体クリーニング装置16Y、16M、16C及び16Kを配置している。感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kの周囲の帯電チャージャ13Y、13M、13C及び13Kから現像装置14Y、14M、14C及び14Kに至る間には、レーザ露光装置(潜像形成装置)17による露光々が照射され、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上に静電潜像を形成する。
【0161】
現像装置14Y、14M、14C及び14Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー及びキャリアからなる二成分現像剤を有し、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上の静電潜像にトナーを供給する。
【0162】
中間転写ベルト10は、バックアップローラ21、従動ローラ20及び第1〜第3のテンションローラ22〜24により張架される。中間転写ベルト10は、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kに対向し接触する。中間転写ベルト10の感光体ドラム12Y、12M、12C及び12Kに対向する位置には、感光体ドラム12Y、12M、12C及び12K上のトナー像を中間転写ベルト10に1次転写するための、一次転写ローラ18Y、18M、18C及び18Kが設けられる。この一次転写ローラ18Y、18M、18C及び18Kはそれぞれ導電ローラであり、これら各一次転写部に一次転写バイアス電圧を印加する。
【0163】
中間転写ベルト10のバックアップローラ21により支持される転写位置である二次転写部には、二次転写ローラ27が配置される。二次転写部では、バックアップローラ21が導電ローラであり、所定の二次転写バイアスが印加されている。印刷対象物のシート紙(最終転写媒体)が、中間転写ベルト10と二次転写ローラ27間を通過すると、シート紙上に、中間転写ベルト10上のトナー像が二次転写される。二次転写終了後、中間転写ベルト10はベルトクリーナ10aによりクリーニングされる。
【0164】
レーザ露光装置17の下方には二次転写ローラ27方向にシート紙を供給する給紙カセット4を備えている。カラー複写機1の右側には手差しによりシート紙を給紙する手差し機構31を備える。
【0165】
給紙カセット4から二次転写ローラ27に到る間には、ピックアップローラ4a、分離ローラ28a、搬送ローラ28b及びレジストローラ対36が設けられ、これらにより給紙機構を構成している。手差し機構31の手差しトレイ31aからレジストローラ対36に到る間には、手差しピックアップローラ31b、手差し分離ローラ31cが設けられる。
【0166】
更に、給紙カセット4或いは手差しトレイ31aから二次転写ローラ27方向にシート紙を搬送する縦搬送路34上には、シート紙の種類を検知するメディアセンサ39が配置される。カラー複写機1は、メディアセンサ39による検知結果から、シート紙の搬送速度、転写条件、定着条件等を制御可能となっている。又、縦搬送路34方向に沿って、2次転写部の下流には定着装置30が設けられる。
【0167】
給紙カセット4から取り出され、あるいは手差し機構31から給紙されるシート紙は、縦搬送路34に沿って、レジストローラ対36、二次転写ローラ27を経て、定着装置30に搬送される。定着装置30は、一対の加熱ローラ51及び駆動ローラ52に巻かれた定着ベルト53と、定着ベルト53を介して、加熱ローラ51に対向して配置された対向ローラ54とを有する。定着ベルト53及び対向ローラ54間に、二次転写部にて転写されたトナー像をもつシート紙を導入し、加熱ローラ51にて加熱を行うことにより、シート紙に転写されたトナー像を熱処理して定着する。定着装置30の下流には、ゲート33が設けられ、排紙ローラ41方向或いは、再搬送ユニット32方向に振り分ける。排紙ローラ41に導かれたシート紙は、排紙部3に排紙される。又再搬送ユニット32に導かれたシート紙は、再度二次転写ローラ27方向に導かれる。
【0168】
画像形成ステーション11Yは、感光体ドラム12Yとプロセス手段を一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられている。プロセス手段とは、帯電チャージャ13Yと現像装置14Yと感光体クリーニング装置16Yの少なくとも1つを言う。画像形成ステーション11M、11C及び11Kも画像形成ステーション11Yと同様な構成である。各画像形成ステーション11Y、11M、11C及び11Kは、画像形成装置に対して各々着脱自在であっても良いし、一体の画像形成ユニット11として画像形成装置に対して着脱自在であっても良い。
【0169】
実施例2
発色粒子C2分散体1.7部、トナー成分粒子R1分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、青色のトナー分散液を得た。
【0170】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0171】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが9.8μmであった。
【0172】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.5の発色画像を得た。
【0173】
得られた発色画像を、定着器温度を100℃に設定し、紙送り速度100mm/secで搬送することにより、画像が無色になることが確認された。
【0174】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管し、消色以前の画像濃度0.5に復帰することを確認した。
【0175】
実施例3
発色粒子C2分散体1.7部、トナー成分粒子R2分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、90℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、無色のトナー分散液を得た。
【0176】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、−20℃の冷凍庫にて冷凍し、トナーを青色に発色させ、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0177】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが7.5μmであった。
【0178】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.5の発色画像を得た。
【0179】
得られた発色画像を、定着器温度を100℃に設定し、紙送り速度100mm/secで搬送することにより、画像が無色になることが確認された。
【0180】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管し、消色以前の画像濃度0.5に復帰することを確認した。
【0181】
実施例4
発色粒子C2分散体1.7部、トナー成分粒子R3分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、青色のトナー分散液を得た。
【0182】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0183】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが8.2μmであった。
【0184】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.5の発色画像を得た。
【0185】
得られた発色画像を、定着器温度を100℃に設定し、紙送り速度100mm/secで搬送することにより、画像が無色になることが確認された。
【0186】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管し、消色以前の画像濃度0.5に復帰することを確認した。
【0187】
実施例5
発色粒子C3分散体1.7部、トナー成分粒子R1分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、青色のトナー分散液を得た。
【0188】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0189】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが9.5μmであった。
【0190】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.4の発色画像を得た。
【0191】
得られた発色画像を、定着器温度を100℃に設定し、紙送り速度100mm/secで搬送することにより、画像が無色になることが確認された。
【0192】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管したところ、消色状態が維持され、再度発色しなかった。
【0193】
実施例6
発色粒子C4分散体1.7部、トナー成分粒子R1分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、青色のトナー分散液を得た。
【0194】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0195】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが10.1μmであった。
【0196】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.5の発色画像を得た。
【0197】
得られた発色画像を、ホットプレートにて120℃、3時間加熱したところ、画像が無色になることが確認された。
【0198】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管したところ、消色状態が維持され、再度発色しなかった。
【0199】
実施例7
発色粒子C5分散体1.7部、トナー成分粒子R1分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、青色のトナー分散液を得た。
【0200】
次に、このトナー分散液を ろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0201】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが7.5μmであった。
【0202】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.5の発色画像を得た。
【0203】
得られた発色画像を、ホットプレートにて120℃、2時間加熱したところ、画像が無色になることが確認された。
【0204】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管したところ、消色状態が維持され、再度発色しなかった。
【0205】
実施例8
発色粒子C2分散体1.7部、トナー成分粒子R1分散体15部、イオン交換水83部を混合し、ホモジナイザー(IKA製)にて6500rpmにて攪拌しながら、硫酸アルミニウム水溶液5%水溶液5部を添加した後、パドル翼が設置された1L攪拌槽にて800rpmにて攪拌しながら、40℃まで昇温した。40℃にて1時間放置した後、シェル用粒子S分散体を3部添加し、硫酸アルミニウム水溶液0.5%水溶液を1部添加した。その後、10%のポリカルボン酸ナトリウム塩水溶液10部を添加し、68℃まで加熱し、1時間放置した後、冷却し、青色のトナー分散液を得た。
【0206】
次に、このトナー分散液をろ過及びイオン交換水による洗浄を繰り返し行い、ろ液の導電率が50μS/cmとなるまで洗浄した。その後、真空乾燥機にて含水率が1.0重量%以下になるまで乾燥させ、乾燥粒子を得た。
【0207】
乾燥後、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、消色可能なトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが11.1μmであった。
【0208】
得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.5の発色画像を得た。
【0209】
得られた発色画像を、定着器温度を100℃に設定し、紙送り速度100mm/secで搬送することにより、画像が無色になることが確認された。
【0210】
消色した画像を−20℃の冷凍庫に保管し、消色以前の画像濃度0.5に復帰することを確認した。
【0211】
比較例1
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂84 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部、ロイコ染料として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド0.3部、顕色剤として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン0.6部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン0.6部、消色剤としてカプリル酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル8.5部を、乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて100℃で溶融混練したところ、ほぼ無色の混練物が得られた。得られた混練物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0212】
次に、ジェットミルにて粉砕分級し、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、無色のトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが8.5μmであった。
【0213】
得られたトナーを−20℃の冷凍庫に保管したが、トナーは無色のままで発色しなかった。
【0214】
さらに、得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、無色画像を得た。
【0215】
無色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したが、画像は無色のままで発色しなかった。
【0216】
比較例2
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂84 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部、ロイコ染料として3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド0.2部、顕色剤として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン1部、消色剤としてピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル化合物8.8部を、乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて100℃で溶融混練したところ、ほぼ無色の混練物が得られた。得られた混練物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0217】
次にジェットミルにて粉砕分級し、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、無色のトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが8.5μmであった。
【0218】
得られたトナーを−20℃の冷凍庫に保管したが、トナーは無色のままで発色しなかった。
【0219】
さらに、得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、無色画像を得た。
【0220】
無色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したが、画像は無色のままで発色しなかった。
【0221】
比較例3
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂93 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部、ロイコ染料として3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド0.3部、顕色剤として没食子酸プロピル0.7部を、乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて100℃で溶融混練したところ、ほぼ無色の混練物が得られた。得られた混練物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0222】
次にジェットミルにて粉砕分級し、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、無色のトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが7.8μmであった。
【0223】
得られたトナーを−20℃の冷凍庫に保管したが、トナーは無色のままで発色しなかった。
【0224】
さらに、得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、無色画像を得た。
【0225】
無色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したが、画像は無色のままで発色しなかった。
【0226】
比較例4
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂92 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部、ロイコ染料として3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド0.3部、顕色剤として没食子酸エチル0.6部を、消色剤としてコール酸メチル1.1部を乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて100℃で溶融混練したところ、ほぼ無色の混練物が得られた。得られた混練物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0227】
次にジェットミルにて粉砕分級し、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、無色のトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが7.9μmであった。
【0228】
得られたトナーを−20℃の冷凍庫に保管したが、トナーは無色のままで発色しなかった。
【0229】
さらに、得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、無色画像を得た。
【0230】
無色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したが、画像は無色のままで発色しなかった。
【0231】
比較例5
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂85 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部、発色粒子C1 10部を乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて100℃で溶融混練したところ、ほぼ無色の混練物が得られた。得られた混練物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0232】
次にジェットミルにて粉砕分級し、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、無色のトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが8.2μmであった。
【0233】
得られたトナーを−20℃の冷凍庫に保管したところ、トナーはわずかに発色した。
【0234】
さらに、得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、無色画像を得た。
【0235】
無色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したところ、画像はわずかに発色し、画像濃度は0.1であった。
【0236】
比較例6
バインダー樹脂としてポリエステル樹脂85 部(ガラス転移温度45℃、軟化点100℃)、離形剤としてライスワックス5 部、帯電制御剤として保土谷化学工業製(TN−105)1部、発色粒子C2 10部を乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機である池貝鉄工所製PCM−45にて100℃で溶融混練したところ、ほぼ無色の混練物が得られた。得られた混練物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕した。
【0237】
次にジェットミルにて粉砕分級し、添加剤として、疎水性シリカ2重量部、酸化チタン0.5重量部をトナー粒子表面に付着させ、無色のトナーを得た。コールター社マルチサイザー3にて粒子径を測定したところ、50%体積平均径Dvが8.5μmであった。
【0238】
得られたトナーを−20℃の冷凍庫に保管したところ、トナーはわずかに発色した。
【0239】
さらに、得られたトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)にて画像出力をおこなった。定着器温度を70℃に設定し、紙送り速度を30mm/secに調整し、画像濃度0.15のわずかに発色した画像を得た。
【0240】
無色の画像を−20℃の冷凍庫に保管したところ、画像はわずかに発色し、画像濃度は0.15であった。
【0241】
参考例および実施例〜実施例8に係るトナーは、溶融混練を採用しないため、ロイコ染料と顕色剤との反応がバインダ樹脂中で阻害されることがなく、発色性に優れている。またポリエステル樹脂や、スチレンアクリル系の樹脂を用いることができるため、定着性に優れる。
【0242】
消去性の面では、いずれも消色は可能であるものの、特に参考例および実施例〜3にかかるトナーでは、トナー全体を加熱溶融せずとも、微小なカプセルに一定の熱が加われば、カプセル内で色素、発色剤、消去剤の移動が起こると考えられ、これにより消去に要するエネルギーや、時間を短縮することができる点で優れている。
【0243】
実施例及び比較例で使用した発色粒子については表1に、トナー成分粒子及びシェル粒子Sについては表2にまとめた。
【0244】
実施例及び比較例の構成及び評価等については表3−1及び表3−2に示す。
【表1】
【0245】
【表2】
【0246】
【表3】
【0247】
【表4】
【0248】
尚、表3−2中の*1は、定着器温度70℃、紙送り速度30mm/秒に設定したこと、*2は、定着器温度100℃、紙送り速度100mm/秒に設定したこと、及び*3は、消去速度が遅いため120℃のホットプレートを使用したことを意味する。
以下に、特願2014−50626の当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
バインダー樹脂と、
前記バインダー樹脂中に分散され、呈色性化合物、顕色剤、および消色剤を含有し、第1温度以上に加熱されると消色し、消色されたのちに第1温度より低い第2温度以下にされると発色するカプセル化された発色粒子と、
前記バインダー樹脂中に分散され、前記カプセル化された発色粒子より小さな粒径を有する離形剤粒子とを含有するトナー。
[2]
前記消色剤は、加熱されることにより前記呈色性化合物と前記顕色剤との反応を阻害するとともに、前記反応を阻害する加熱温度より低い所定の温度にされると反応が阻害された前記呈色性化合物と前記顕色剤とを反応させる温度ヒステリシスを有することを特徴とする[1]に記載のトナー。
[3]
前記トナーは、複数のカプセル化された発色粒子を含有する[1]に記載のトナー。
[4]
前記離形剤粒子は前記トナー中に複数含有され、そのそれぞれは、前記カプセル化された発色粒子のそれぞれより小さい粒径を有する[2]に記載のトナー。
[5]
前記カプセル化された発色粒子は、0.05ないし10μmの体積平均粒径を有する[1]に記載のトナー。
[6]
前記トナーは、バインダー樹脂を含む樹脂粒子、離形剤粒子、およびカプセル化された発色粒子を凝集せしめて凝集粒子を形成し、前記凝集粒子を融着せしめて得られる[1]に記載のトナー。
[7]
樹脂粒子と、呈色性化合物、顕色剤、および消色剤を含有し、第1温度以上に加熱されると消色し、消色されたのちに第1温度より低い第2温度以下にされると発色するカプセル化された発色粒子と、前記カプセル化された発色粒子より小さな粒径を有する離形剤粒子とを凝集せしめて、凝集粒子を形成する工程と、
前記凝集粒子を融着せしめる工程とを具備するトナーの製造方法。
[8]
前記消色剤は、加熱されることにより前記呈色性化合物と前記顕色剤との反応を阻害するとともに、前記反応を阻害する加熱温度より低い所定の温度にされると反応が阻害された前記呈色性化合物と前記顕色剤とを反応させる温度ヒステリシスを有することを特徴とする[7]記載のトナーの製造方法。
[9]
[1]記載のトナーを用いるトナーカートリッジ。
[10]
[1]記載のトナーを用いる画像形成装置。
【符号の説明】
【0249】
101…第1の微粒子、101’…バインダー樹脂、102…第2の微粒子、103…ワックス粒子、104…トナー粒子、111…呈色性化合物、112…顕色剤、113…消色剤、114…シェル材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6