特許第6012817号(P6012817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 美津濃株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6012817-水着 図000005
  • 特許6012817-水着 図000006
  • 特許6012817-水着 図000007
  • 特許6012817-水着 図000008
  • 特許6012817-水着 図000009
  • 特許6012817-水着 図000010
  • 特許6012817-水着 図000011
  • 特許6012817-水着 図000012
  • 特許6012817-水着 図000013
  • 特許6012817-水着 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6012817
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】水着
(51)【国際特許分類】
   A41D 7/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   A41D7/00 B
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-115267(P2015-115267)
(22)【出願日】2015年6月5日
【審査請求日】2016年8月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓之
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−243104(JP,A)
【文献】 特開2006−037310(JP,A)
【文献】 実開平06−065414(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/142232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 7/00,13/00,
D06C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性撥水性を有する生地からなる水着であって、少なくとも一部に、体長方向にストライプ柄を含み、
前記ストライプ柄は凹部ストライプ部と凸部ストライプ部を含み、
前記凸部ストライプ部には独立した凹部柄を有することを特徴とする水着。
【請求項2】
前記凹部ストライプ部の底部より独立した凹部柄の底部の方が浅い請求項1に記載の水着。
【請求項3】
前記独立した凹部柄は矩形であり、対角線が体長方向に沿うよう配置されている請求項1又は2に記載の水着。
【請求項4】
前記独立した凹部柄は楕円形又は長円形であり、長軸が体長方向に沿うよう配置されている請求項1又は2に記載の水着。
【請求項5】
前記独立した凹部柄は、規則的に配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の水着。
【請求項6】
前記凹部ストライプ部及び独立した凹部柄はエンボス柄である請求項1〜5のいずれかに記載の水着。
【請求項7】
前記独立した凹部柄の一つの面積は0.05〜5mm2である請求項1〜6のいずれかに記載の水着。
【請求項8】
前記ストライプ柄と前記凸部ストライプ部内の独立した凹部柄は、水着の全面又は面積比で50%以上に形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の水着。
【請求項9】
前記凹部ストライプ部と凸部ストライプ部の幅は各3〜15mmである請求項1〜8のいずれかに記載の水着。
【請求項10】
前記水着の生地は、合成繊維マルチフィラメント糸とスパンデックス繊維の交編によるタテ、ヨコ両方向にストレッチ性を有する編物である請求項1〜9のいずれかに記載の水着。
【請求項11】
前記水着の生地は、スパンデックス繊維を合成繊維マルチフィラメント糸でカバーリングした複合糸を経糸及び緯糸に使用した織物である請求項1〜9のいずれかに記載の水着。
【請求項12】
記水着の生地はストレッチ性を有し、タテ及びヨコ方向共にJIS L1096 A法 カットストリップ法(17.7N(1.8kg)荷重、5cm幅)で測定した伸長率が30〜250%である請求項1〜11のいずれかに記載の水着。
【請求項13】
前記水着は競泳用水着であり、人体より約10%から40%小さいパターンで作製されている請求項1〜12のいずれかに記載の水着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水泳用水着に関する。さらに好ましくは競泳用水着に関する。
【背景技術】
【0002】
水着やキャップに求められる一つの機能は、競泳時に生ずる水着の水中での表面摩擦抵抗をいかに削減するかにある。従来から様々な水着が提案されてきており、特許文献1にはエンボス加工によりストライプ柄とした水着が提案されている。本出願人は特許文献2〜4において、エンボス加工によるストライプ柄と撥水部分と非撥水部分を体長方向にストライプ状に配置した水着を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−212811号公報
【特許文献2】特開2000−226709号公報
【特許文献3】特開2000−314015号公報
【特許文献4】特開2006−348398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の水着は表面摩擦抵抗が高いという問題があり、さらなる改良が求められていた。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、表面摩擦抵抗が低い水着を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水着は、伸縮性撥水性を有する生地からなる水着であって、少なくとも一部に、体長方向にストライプ柄を含み、前記ストライプ柄は凹部ストライプ部と凸部ストライプ部を含み、前記凸部ストライプ部には独立した凹部柄を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水着は、体長方向にストライプ柄を含み、撥水処理されており、前記ストライプ柄は凹部ストライプ部と凸部ストライプ部を含み、前記凸部ストライプ部には独立した凹部柄を有することにより、表面摩擦抵抗が低い水着を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の一実施態様の水着生地の模式的平面図である。
図2図2A図1の水着生地の拡大平面図、図2Bは菱形の角を円形に縁取りした場合の図2Aの凹部柄の拡大図である。
図3図3図2の水着生地のI−I線断面図である。
図4図4は同水着の模式的平面図である。
図5図5は同水着の模式的裏面図である。
図6図6Aは本発明のさらに別の実施形態における水着の模式的正面図、図6Bは同水着の模式的裏面図である。
図7図7Aは本発明の一実施形態における水中の摩擦抵抗を測定するために使用する円筒状基体の側面図、図7Bは同I−I線の断面図である。
図8図8は同、水中で円筒状基体が落下する時間を測定する装置を示す説明図である。
図9図9は同、水中の所定距離を円筒状基体が落下する時間を測定する方法及び装置を示す説明図である。
図10図10Aは同、円筒状基体を展開したときの斜視図、図10Bは同平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の水着は、体長方向にストライプ柄を含み、撥水処理されている生地を縫製して水着としたものである。この生地のストライプ柄は凹部ストライプ部と凸部ストライプ部を含み、前記凸部ストライプ部には独立した凹部柄を形成することにより、表面摩擦抵抗を低くできる。すなわち、凸部ストライプ部は生地組織のままであるが、ここに微小な独立した凹部柄を形成すると、表面摩擦抵抗は低くなる。独立した凹部柄は円、楕円、長円、菱形、正方形等がある。独立した凹部柄の一つの面積は0.05〜5mm2が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4mm2である。前記ストライプ柄と前記凸部ストライプ部内の独立した凹部柄は、水着の全面に形成されているのが好ましいが、一部に形成されていても良い。一部に形成されている場合は、面積比で50%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0010】
凹部ストライプ部と凸部ストライプ部の幅は各3〜15mmが好ましく、より好ましくは各5〜12mmである。この範囲であれば表面摩擦抵抗は低くなる。凹部ストライプ部と凸部ストライプ部の幅は同一でも異なっていても良いが、凹部ストライプ部の幅の方が狭いほうが好ましい。また、前記凹部ストライプ部の底部より独立した凹部柄の底部の方が浅いのが好ましい。これにより、表面摩擦抵抗をより低くできる。
【0011】
前記独立した凹部柄は矩形であり、対角線が体長方向に沿うよう配置されているのが好ましい。矩形は菱形が好ましい。とくに細長い菱形(ダイヤ柄)を体長方向に沿って配置するのが好ましい。菱形の角は円形に縁取りするのが好ましい。これにより、表面摩擦抵抗をより低くできる。また前記独立した凹部柄は楕円形又は長円形であり、長軸が体長方向に沿うよう配置されていても良い。これにより、表面摩擦抵抗をより低くできる。
【0012】
前記独立した凹部柄は、規則的に配置されているのが好ましい。これにより乱流の発生を防止し表面摩擦抵抗をより低くできる。また前記凹部ストライプ部及び独立した凹部柄はエンボス加工により形成されているのが好ましい。エンボス加工により、正確なパターンが付与できる。
【0013】
本発明において生地は織物でも編物でもよい。一例として、合成繊維マルチフィラメント糸とスパンデックス繊維の交編によるタテ、ヨコ両方向にストレッチ性を有する編物がある。また、この編物形態としては、丸編地であるシングル丸編地、ダブル丸編地、経編地である、トリコット地、ラッセル地のいずれも用いることができるが、動きやすさに影響するストレッチ性、生地薄さ等の観点からトリコット地がより好ましい。
より強いサポート力が求められる場合は、素材形態としてはスパンデックス繊維を合成繊維マルチフィラメント糸でカバーリングした複合糸を経糸、緯糸に使用した織物がより好ましい。
【0014】
スパンデックス繊維の繊度は、22decitex以上156decitex以下が好ましい。また使用するスパンデックス繊維は公知のものでよく、例えば旭化成繊維株式会社の“ロイカ”や東レ・オペロンテックス株式会社の“ライクラ”等を使用できる。スパンデックス繊維の種類により、応力が異なることから、適宜使用領域により選択することが好ましい。ただし水着の場合は、プールでの使用が前提となるため、好ましくは“ロイカSP”や“ライクラ176B”、“ライクラ254B”、“ライクラ−909B”等耐塩素性に優れたスパンデックス繊維を用いることが好ましい。
【0015】
合成繊維マルチフィラメント糸にはポリアミド系繊維や、ポリエステル系繊維等の合成繊維が強度や加工性の面から好ましい。合成繊維の繊維形態および断面形状は特に制限はないが、高いストレッチ性生地とするためには、周知の手法により仮より加工を施し、捲縮を付与しておくことが好ましく、表面平滑な生地とするためには、ストレートな生糸を使用することが好ましい。
【0016】
前記ストレッチ生地は、タテ及びヨコ方向共にJIS L1096 A法 カットストリップ法(17.7N(1.8kg)荷重、5cm幅)で測定した伸長率が30〜250%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜180%である。ストレッチ性が前記の範囲であれば、適度な伸縮性があり、着用し易く、水着を含むスポーツ衣料にとって好適である。
【0017】
前記ストレッチ生地は、織物の場合は平織物、綾織物等が好ましく、編物はトリコット編、ラッセル編等が好ましい。前記のストレッチ生地は水着の一部に使用しても良いし、全部に使用することもできる。
【0018】
競泳水着は人体より約10%から40%小さいパターンで作製するのが好ましい。このように作成すると人体にぴったり着用できる。
【0019】
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施態様の水着生地1の模式的平面図である。この水着生地1は体長方向(身丈方向)5に沿ったストライプ柄を含み、前記ストライプ柄は凹部ストライプ部2と凸部ストライプ部3を含み、前記凸部ストライプ部3には独立した凹部柄4が形成されている。図2A図1の水着生地の拡大平面図である。凹部柄4はダイヤ柄が体長方向(身丈方向)5に沿って形成されている。図2Bは菱形の角を円形に縁取りした場合の図2Aの凹部柄の拡大図である。
【0020】
図3図2の水着生地のI−I線断面図である。この例においては、凹部ストライプ部2の底部より独立した凹部柄4の底部の方が浅い。
【0021】
図4は本発明の一実施形態における女性用水着の模式的正面図であり、図5は同水着の模式的裏面図である。この水着20は、凹部ストライプ部と凸部ストライプ部からなるストライプ柄21(凸部ストライプ部内の独立した凹部柄の図示省略)からなる。
【0022】
図6Aは本発明のさらに別の実施形態における男性用水着の模式的正面図、図6Bは同水着の模式的裏面図である。この水着22は、凹部ストライプ部と凸部ストライプ部からなるストライプ柄23(凸部ストライプ部内の独立した凹部柄の図示省略)からなる。
【実施例】
【0023】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0024】
<伸長率>
JIS L1096 A法 カットストリップ法に従って測定した。試験片の幅5cm、つかみ間隔20cmとした。初荷重は試験片の幅で1mの長さにかかる重力に相当する荷重とした。引張速度20cm/minとした。17.7N(1.8kg)荷重時の伸長率(%)を測定した。伸長率はストレッチ性を示す。
【0025】
<水中の摩擦抵抗>
図7〜9に示す測定方法及び装置を使用した。図7Aはこの測定に使用する円筒状基体(モデル)の側面図、図7B図7AのI−I線断面図である。この円筒状基体(モデル)31の先端33は球面状であり、後端34は先細り状である。円筒部32には水着の生地サンプル39を取り付ける。取り付けは円筒部32に生地サンプル39を巻き付け、円筒状治具38a,38bで押さえ、先端部33と後端部34を挿入する。円筒部32に取り付ける生地サンプル39の面積は約0.016mm2である。円筒部32の下部には、おもり35を挿入する。また円筒状基体(モデル)31の軸部には中空部(パイプ)36を入れておき、ここに図8〜9に示すようにワイヤ37を挿入する。円筒状基体(モデル)31の水中における重さは水着生地を取り付けた状態で0.3N、体積は1.2×10-33とした。全体は樹脂製である。中空部36は直径2.3mmとした。モデル31は直径30mm,長さ300mmで、生地を装着する部分が200mmであった。質量は、装着した生地サンプルを含めて88gになるようにし、生地およびモデルの浮力を考慮し基体の内部に錘を装着して、水中での重さが0.3Nとなるよう統一した。
【0026】
図8は水中で円筒状基体が落下する時間を測定する装置40を示す説明図である。アクリル樹脂製等の透明な水槽41に水42を入れておく。水槽41の裏側には遮蔽シート43を貼り付け、後側にはランプ44を配置し、前面にはハイスピードカメラ45を配置する。水槽11は透明なアクリル樹脂製であり、高さ(H)1.7m、幅(L)と奥行きはそれぞれ0.22mとし、ハイスピードカメラ15は水槽から4.25m離した位置であって床面からの高さ0.85mに配置した。ハイスピードカメラ15の撮影速度は1900fpsとした。この状態で水槽の上から円筒状基体(モデル)31を静かに落下させる。円筒状基体(モデル)31はワイヤ37に沿って落下する。
【0027】
図9は同、水中の所定距離を円筒状基体が落下する時間を測定する方法及び装置を示す説明図である。まず円筒状基体(モデル)31の後端が水面に位置するように配置させ、先端46から200mm下方にレーザ点47と、その100mm下方を第1測定ポイント48とし、その100mm下方に第2測定ポイント49としておく。レーザ点47は図8に示す遮蔽シート43に穴をあけておく。このような状態で円筒状基体(モデル)31を静かに落下させ、その先端46がレーザ点47を通過したときにハイスピードカメラの高速撮影をオンとし、第1測定ポイント48から第2測定ポイント49まで落下する時間を測定する。1試料当たり10回計測してその平均値を用いる。次の計算式(数1)から加速度を求める。
【0028】
【数1】
1=k1/t1
2=k2/t2
Δt=t2
(但し、k1図9のレーザ点47から第1測定ポイント48までの落下距離(mm)、t1図9のレーザ点47から第1測定ポイント48までの通過時間(秒)、k2 は第1測定ポイント48から第2測定ポイント49までの落下距離(mm)、t2は第1測定ポイント48から第2測定ポイント49までの通過時間(秒)、本例の場合k1は100mm、k2は200mmとした。)
【0029】
水中における水着生地の摩擦抵抗係数Cfは下記式(数2)(数3)により算出する。摩擦抵抗係数Cfの計測精度は0.001の値まで出すことができる。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
但し、Wは重力でW=mg(mは円筒状基体の質量(kg),gは重力加速度(m/s2))、Bは浮力でB=ρwgV(ρwは水の密度(kg/m3),Vは円筒状基体の体積(m3))、Dは抵抗でD=Cf×(1/2)×ρu2A(ρは水の密度,uは落下速度,Aは水着生地の表面積)
【0032】
図10Aは前記円筒状基体を展開したときの斜視図、図10Bは同平面図である。生地サンプルを取り付けるには、円筒部32に生地を巻き付け、円筒状治具38a,38bで押さえ、先端部33と後端部34を挿入する。
【0033】
(実施例1)
<糸使い>
ポリエステルマルチフィラメント生糸(44decitex)、とスパンデックス繊維(“ライクラ254B” 44decitex)を使用した。
<編物>
32ゲージのトリコット編機を使用してハーフトリコット組織の編物を編成した。この編物を染色し、撥水処理した。撥水処理は公知のフッ素系撥水処理剤を使用して編み物に固着させた。次いでエンボス加工した。エンボス加工はロール温度220℃、線圧5500kgf、ロール速度6〜10m/min程度とした。この編物は単位面積当たりの質量(目付)230g/m2であった。この編物を図7〜9の測定装置で測定した摩擦抵抗値は0.078であった。図2における各寸法は次のとおりであった。
凹部ストライプ部と凸部ストライプ部の合計長さa1:16mm
凹部ストライプ部2の幅a2:7mm
凸部ストライプ部3の幅a3:9mm
凸部ストライプ部3の両端から凹部ダイヤ柄4の端までの長さa4,a6:各1mm
凹部ダイヤ柄4の幅a5:1mm
凹部ダイヤ柄4の長さa7:1.14mm
凹部ダイヤ柄4の体長方向の間隔a8:2.3mm
凹部ストライプ部2の深さ:約0.05mm
凹部ダイヤ柄4の深さ:約0.03mm
編物の厚さ:0.60mm
この編物の伸長率はタテ方向(体長方向)134%,ヨコ方向 123%であった。
<水着>
得られた編物を用いて図4〜6に示す競泳用水着を縫製した。この水着を着用試験したところ、ストレッチ性が高く着用し易く、人体の肌への密着性も良く、水流抵抗も低く感じられ、競泳に適した水着であることが確認できた。
【0034】
(実施例2)
<糸使い>
被覆糸:ナイロンフィラメント生糸(繊度33decitex、フィラメント本数10本)、芯糸:“ライクラ176B”(繊度44decitex)、シングルカバーリングヤーン(SCY)を使用した。
<織物>
上記の糸を使い、ストレッチ織物を作成した。レピア織機を使用し、タテ密度:180本/2.54cm、ヨコ密度:178本/2.54cm、単位面積当たりの重量(目付)135g/m2、同厚さ0.28mmであった。織組織は平織とした。この織物を実施例1と同様に撥水加工し、エンボス加工した。この織物の伸長率は経糸方向56.2%,緯糸方向51.9%、であった。また摩擦抵抗係数は0.077であった。得られた編物を用いて図4〜6に示す競泳用水着を縫製した。この水着を着用試験したところ、ストレッチ性が高く着用し易く、人体の肌への密着性も良く、水流抵抗も低く感じられ、競泳に適した水着であることが確認できた。
【0035】
(比較例1)
凹部ダイヤ柄4を作成しない以外は実施例1と同様に編物を作成した。得られた編物の摩擦抵抗係数は0.081であった。得られた編物を用いて図4〜6に示す競泳用水着を縫製した。この水着を着用試験したところ、実施例1と比較して水流抵抗は高く感じられた。
【0036】
(比較例2)
凹部ダイヤ柄4を作成しない以外は実施例2と同様に織物を作成した。得られた織物の摩擦抵抗係数は0.079であった。得られた編物を用いて図4〜6に示す競泳用水着を縫製した。この水着を着用試験したところ、実施例2と比較して水流抵抗は高く感じられた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の水着用生地は、水着以外にもマラソンやトレイルラン用のタイツ、スパッツ、シャツ、スケートウエア、スキーウエア、ジャンプスーツ、レオタード、サッカーウエア、野球ユニフォーム、登山用ウエアなどの各種スポーツウエアや、スポーツインナー、サポート機能を持つ肌着などの衣料やサポーターを好ましい用途として例示することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 水着生地
2 凹部ストライプ部
3 凸部ストライプ部
4 独立した凹部柄
5 体長方向(身丈方向)
20,22 水着
21,23 ストライプ柄
31 円筒状基体(モデル)
32 水着生地
33,46 モデルの先端
34 モデルの後端
40 摩擦抵抗測定装置
41 水槽
42 水
43 遮蔽シート
44 ランプ
45 ハイスピードカメラ
47 レーザ点
48 第1測定ポイント
49 第2測定ポイント
【要約】
【課題】表面摩擦抵抗が低い水着を提供する。
【解決手段】伸縮性を有する撥水処理されている生地からなる水着(1)であって、少なくとも一部に、体長方向にストライプ柄を含み、ストライプ柄は凹部ストライプ部(2)と凸部ストライプ部(3)を含み、凸部ストライプ部(3)には独立した凹部柄(4)を有する。凹部ストライプ部(2)の底部より独立した凹部柄(4)の底部の方が浅いのが好ましい。独立した凹部柄(4)は矩形であり対角線が体長方向に沿うよう配置されているか又は独立した凹部柄(4)は楕円形又は長円形であり長軸が体長方向に沿うよう配置されているのが好ましい。凹部ストライプ部(2)及び独立した凹部柄(4)はエンボス加工により形成されているのが好ましい。
【選択図】図1
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図1
図2