特許第6012826号(P6012826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012826
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】喫煙物品用香料含有シートの切断片
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/12 20060101AFI20161011BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A24B3/12 C
   C11B9/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-162103(P2015-162103)
(22)【出願日】2015年8月19日
(62)【分割の表示】特願2014-507978(P2014-507978)の分割
【原出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-5478(P2016-5478A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2016年3月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-74877(P2012-74877)
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】日下部 達也
(72)【発明者】
【氏名】坂大 武志
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/146927(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/142159(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/098591(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/021018(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/118040(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/12
C11B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性マトリックス中に香料が分散された香料含有シートの切断片であって、0.1mm以下の厚さを有する香料含有シートを厚み方向に沿って縦横に裁断することにより得られる六面体形状を有し、その体積に対する切断面の面積の比が3.0以下であり、短辺の長さに対する長辺の長さの比が10以下であり、上記長辺の長さが製造すべきシガレットロッドの直径未満であり、かつ前記不揮発性マトリックスがゲランガムおよびタマリンドガムを含むことを特徴とする香料含有シートの切断片。
【請求項2】
前記切断片は、その体積に対する切断面の面積の比が2.0以下であり、短辺の長さに対する長辺の長さの比が5以下であり、かつ上記長辺の長さが製造すべきシガレットロッドの直径の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の、香料含有シートの切断片
【請求項3】
前記切断片は、四角柱の形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の香料含有シートの切断片。
【請求項4】
前記香料がl−メントールを含むことを特徴とする請求項1に記載の香料含有シートの切断片。
【請求項5】
前記香料含有シートの厚さが0.1mmであることを特徴とする請求項1に記載の香料含有シートの切断片
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品用香料含有シートの切断片に関する。
【背景技術】
【0002】
メントールのような揮発性の香料を多糖類やポリオール、エーテルポリマーのような不揮発性マトリックスに分散させた香料含有シートが知られている(例えば、特許文献1、および特許文献2)。このような香料含有シートにおいて、揮発性香料は、数十μm程度の液滴状の粒子となって上記マトリックス中に分散され、その揮散が抑制されている。使用に際し、香料含有シートは切断され、その切断片がタバコ刻と混合されてシガレットロッドに巻き上げられ、喫煙時にタバコ刻の香喫味に前記香料の香喫味を付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2009−021018
【特許文献2】国際公開WO2009−142159
【発明の開示】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、不揮発性マトリックス中に香料が分散された香料含有シートの切断片であって、六面体形状を有し、その体積に対する切断面の面積の比が3.0以下であり、短辺の長さに対する長辺の長さの比が10以下であり、かつ上記長辺の長さが製造すべきシガレットロッドの直径未満であることを特徴とする喫煙物品用香料含有シートの切断片が提供される。
【0005】
本発明の香料含有シートの切断片は、十分量の香料量を維持する一方、保管時の香料の揮散を抑制するとともに機械的外力により破砕されにくい形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、香料の重量減少率と、香料含有シートの切断片の断面積/体積の比との関係を示す図である。
図2図2は、香料含有シートの切断片の強制破砕前後における粒度を示す図である。
図3図3は、香料含有シートの切断片の強制破砕前後における粒度を示す図である。
図4図4は、香料含有シートの切断片の強制破砕前後における粒度を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0008】
本発明の香料含有シートの切断片は、香料含有シートから切り出されたものである。香料含有シートは、多糖類のような不揮発性マトリックス中にメントールのような香料が分散されてなる。このような香料含有シートは、例えば、国際公開WO2009−142159に記載されている。より詳細には、香料含有シートは、多糖類のゲルからなるマトリックス中に香料が分散されているものである。多糖類としては、カラギーナン、寒天、ゲランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガムもしくはコンニャクグルコマンナン各単独、またはカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、キサンタンガム、ゲランガム、タマリンドガム、タラガム、コンニャクグルコマンナン、デンプン、カシアガムおよびサイリウムシードガムからなる群から選択される2以上の多糖類の組合せを例示することができる。このような多糖類は、冷却によりゲル化し得るので、金属塩化物等のゲル化剤を添加する必要はない。香料としては、親油性の香料、例えばl−メントール、ミントオイル等を例示することができる。
【0009】
このような香料含有シートは、多糖類と水を混合し、加温して多糖類の水溶液を得、その水溶液中に香料と好ましくは乳化剤とを添加し、攪拌して香料を乳化させ、得られた乳化液を基材上にキャスティングし、加熱乾燥することにより得ることができる。乳化剤としては、レシチン、シュガーエステル等を用いることができる。加熱乾燥は、70℃〜200℃で行うことができる。こうして得られる香料含有シートにおいて、香料は粒子として不揮発性マトリックス中に分散している。かかる香料含有シートは、香料を18重量%以上含有することができ、好ましくは60重量%以上含有することができる。通常、香料含有シートは、香料を65重量%以下の割合で含有する。
【0010】
かかる香料含有シートから切断片を切り出す。切断片の形状は、六面体であるが、直方体たとえば正四角柱であることが好ましく、立方体であることがより好ましい。
【0011】
ここで、切断片の形状について、短辺をx、長辺をy、厚みをtとする。本発明における短辺および長辺とは、六面体を厚み方向に投影して形成される四角形の短辺および長辺と定義する。
【0012】
このとき、長辺/短辺の比r、切断面の面積A、切断片の体積V、および切断面の面積/体積の比αは、以下の数式で表される。なお、切断面の面積Aとは、香料含有シートを厚み方向に沿って縦横に裁断したときに生出する切断片の4つの切断面の合計を意味する。
【0013】
長辺/短辺の比r r=y/x (y≧xの場合) (1)
切断面の面積A A=2xt+2yt (2)
切断片の体積V V=xyt (3)
切断面の面積/体積の比α α=(2xt+2yt)/xyt
=2(x+y)/xy (4)
上記の切断面の面積/体積の比αをある値以下にするということは下式のように表される。
α≧2(x+y)/xy (4’)
α≧2/x+2/y (4”)
(4”)式を(1)式に代入して、y、αとrとの関係を求めると以下の式が得られる。
r≦(αy−2)/2 (5)
本発明においては、切断片の体積に対する切断面の面積の比が3.0以下であり、短辺の長さに対する長辺の長さの比が10以下であり、かつ上記長辺の長さが製造すべきシガレットロッドの直径未満である。より好ましくは、六面体形状の切断片は、その体積に対する切断面の面積の比が2.0以下であり、短辺の長さに対する長辺の長さの比が5以下であり、かつ上記長辺の長さが製造すべきシガレットロッドの直径の1/2以下である。通常、切断片の形状が四角柱である場合、短辺は1.0mm〜2.0mmである。
【0014】
上記のように得られた香料含有シートの切断片は、タバコ刻と混合し、その混合物をシガレット巻紙により巻装してシガレットロッドを得る。通常、シガレットロッドの直径は、3mm〜10mmである。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はそれら実施例により限定されるものではない。
【0016】
実施例1
水80000重量部に、多糖類(ゲランガムおよびタマリンドガム)を合計で3680重量部添加し、80℃で十分に攪拌して多糖類を溶解した。この多糖類の水溶液に、香料(l−メントール)18400重量部、並びに乳化剤(レシチン)74重量部を水1398重量部に溶解した乳化剤水溶液を添加し、得られた混合物をホモジナイザにより充分に乳化させた。この乳化スラリーを基材上にシート状にキャスティングして、70℃で乾燥させた。乾燥後の香料含有シートの厚さは、0.1mmであった。この香料含有シートを1mm×10mmに裁断して切断片を作製し、タバコ刻に3重量%混合した。この混合物をシガレット巻紙で巻装してシガレットロッドを得た(実施例1)。
【0017】
他方、l−メントールを溶媒に溶かし、その溶液をタバコ刻に噴霧し、乾燥した後、上記と同様、シガレット巻紙で巻装してシガレットロッドを得た(比較例1)。
【0018】
上で得たシガレットロッドを、恒温機中、50℃の雰囲気下で所定期間蔵置した後の香料残存率(仕込み量を100%とする)を以下の要領で測定した。結果を下記表1に示す。
【0019】
<香料残存率の測定>
メンソール含有シートのメンソール含有量の測定
メンソール含有シートのメンソール含有量は、以下のとおりGC−FIDで測定した。
【0020】
まず、メンソール含有シートが混合されたタバコ刻0.1gを秤量し、これに10mLのメタノール(試薬特級または同等以上のものを、空気中の水分吸収の影響を排除するため、新品を大気に曝さないで分注する)を、50mL容量の密閉容器(スクリュー管)内で加え、40分間の振盪(200rpm)を行った。一晩放置した後、再度40分間の振盪(200rpm)を行い、静置後の上澄み液を(ここではGC測定のために×10メタノール希釈して)測定溶液とした。
【0021】
測定溶液を、以下のGC−FIDにかけて、検量線法により定量した。
【0022】
GC−FID;Agilent社製6890Nガスクロマトグラフ
カラム;DB−WAX 30m×530μm×1μm
定圧モード 5.5psi(速度;50cm/sec)
インジェクション;1.0μL
インレット;Spritlessモード 250℃ 5.5psi
オーブン;80℃→(10℃/分)→170℃(保持 6.0分)[最大220℃]
検出器;FID検出器 250℃(H;40mL/分、空気;450mL/分)
信号レート;20Hz
【表1】
【0023】
表1から明らかなように、香料含有シートの切断片は、香料をタバコ刻に直接添加した場合よりも、はるかに香料の残存率が高い。
【0024】
実施例2
水70000重量部に、多糖類(ゲランガムおよびタマリンドガム)を5200重量部添加し、80℃で十分に攪拌して多糖類を溶解した。この多糖類の水溶液に、香料としてl−メントール13000重量部および着色剤(カラメル色素およびココアパウダー)455重量部、並びに乳化剤(レシチン)105重量部を水1995重量部に溶解した乳化剤水溶液を添加し、得られた混合物をホモジナイザにより充分に乳化させた。得られた乳化スラリーを基材上にシート状にキャスティングして、70℃で乾燥させた。乾燥後の香料含有シートの厚さは、0.1mmであった。
【0025】
この香料含有シートを、種々のサイズの四角柱状に裁断して切断片を作製した。このとき作製した切断片のサイズは以下のとおりである。
【0026】
切断片A 短辺1mm、長辺10mm、長辺/短辺比10
切断片B 短辺1mm、長辺5mm、長辺/短辺比5
切断片C 短辺2mm、長辺3mm、長辺/短辺比1.5
各々の切断片を、香料の揮散を加速させるために温度50℃の恒温槽中に1時間放置し、香料の重量減少率を測定した。この減少率と、切断片の断面積/体積の比との関係を図1に示す。図1に示す結果から明らかなように、香料の揮散を抑制するためには、切断片の体積当たりの断面積を小さくすればよい。上記加速条件下において30%以下の重量減少率であれば、シガレットロッド内の香料濃度として、シガレットの外観上の問題(巻紙へのシミの発生)の発生率が低下するレベルとなる。したがって、たばこへの適応を考慮した場合には、切断片の断面積/体積は3以下、望ましくは香料の重量減少率が20%以下となる2以下である。
【0027】
重量減少率が30%以下であった切断片A、BおよびCの平均粒径を測定した後、それぞれを小型ミル(商品名:ラボミルサープラス)に入れ、5秒間粉砕処理した後の平均粒径を測定するとともに、粉砕後の試料を内径60mmの円筒容器に入れ、上から荷重3.0kgを掛け、その際(破砕後)の膨嵩性(上記荷重を掛けた際の切断片1グラム当たりの圧縮体積を測定した。平均粒度分布を図2図4に示す。図2は切断片Aについての結果を、図3は切断片Bについての結果を、そして図4は切断片Cについての結果を示す。図2図4において、線aは破砕前の粒度を示し、線bは破砕後の粒度を示す。また、この破砕前後における切断片A〜Bの平均粒度を膨嵩性とともに表2に示す。
【表2】
【0028】
図2図4および表2に示す結果から、切断片の長辺/短辺比が1に近づくほど、破砕による影響を受けないことが確認された。したがって、切断片からの香料の揮散を抑制/制御するためには、切断片の形状を断面積/体積比に基づいて、まず裁断時の断面積を規定し、ついで長辺/短辺比を小さくすることで、破砕断面の生出を抑制する事で実現される。さらに、現行のシガレット巻上機でシガレットを製造する場合、香料含有シートの切断片を配合したタバコ刻は、シガレット巻上機の吸着バンドで吸着搬送されるが、切断片が搬送方向に対し直角に吸着された場合でも、後の工程で折れ曲がらずに通過できることが好ましい。したがって、切断片がたばこ巻の中心部に配置された場合を想定すると、シガレット巻上時の切断片の破砕を防ぐためには、切断片の切断面の長辺はシガレットロッドの直径未満が望ましいことになる。
【0029】
実際に切断片Aおよび切断片Cを、タバコ刻に5%混合し周囲長25.2mmのシガレットロッドに巻き上げた後、そのシガレットロッドを切り裂き、上記切断片を全て集めたが、小片状に破砕された切断片は非常に少ないことが確認された。
図1
図2
図3
図4