(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ローカル端末は、ユーザ端末のためにサービスする無線基地局であり、前記無線固定アクセスは、前記基地局のバックホール・アクセスである、請求項1に記載の方法。
前記ローカル端末は、ユーザ端末のためにサービスする無線基地局であり、前記無線固定アクセスは、前記基地局のバックホール・アクセスである、請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、典型的な田舎区域でのアクセス・ネットワークを示す。複数のユーザ家屋10が、サービス・トランシーバ・ステーション25に接続されたサービス・アンテナ・アレイ20によって無線リンクを介してサービスされ、サービス・トランシーバ・ステーション25は、アレイ20からの送信のために信号を調整し、アレイ20で受信された信号を処理する回路網を含み、公衆電話網、インターネット・サービス・プロバイダのネットワーク、および類似物への接続のための回路網をも含む。各ユーザの家屋では、リンクのダウンストリーム端が、ユーザ端末40に接続されたアンテナまたはアンテナ・アレイ30によってマークされている。
【0013】
アンテナ30は、固定されたものとすることができ、たとえば、家または他の建物の屋根に取り付けられた固定具内で固定され得る。代替案では、アンテナ30のうちの少なくともいくつかを、ある制限されたモビリティを有する端末40に接続することができる。すなわち、端末40を、セルラー電話機、ラップトップ・コンピュータ、または使用中に移動され得る他のポータブル無線通信デバイスとすることができる。
【0014】
現在の文脈では、そのようなデバイスは、そのホーム・ユーザ家屋上またはホーム家屋から数十メートル以内に留まるならば、通常の人間移動の速度で移動しながら無線リンクのダウンストリーム端をマークし続けることができる。我々は、そのような制限されたモビリティを、「ローカル家屋モビリティ(local premises mobility)」と称する。理解されるように、ローカル家屋モビリティの地理的境界は、ユーザ家屋の地理的密度およびチャネル係数を更新するインターバルの長さを含む複数の要因に依存する。
【0015】
やはりこの図に示されたもう1つの実施態様では、無線リンクのダウンストリーム端は、基地局60に接続されたアンテナまたはアンテナ・アレイ50によってマークされる。各基地局は、たとえば、居住小区画またはビジネス・パークのためにサービスするマイクロセルまたはナノセルとすることができる。そのような実施態様では、無線リンクは、基地局をサポートするバックホール・ネットワークの一部として機能する。我々は、両方の種類の実施態様すなわち、インターネット、ダブル・プレイ、トリプル・プレイ、および他の同様のサービスのユーザへの配信をサポートするネットワークと、さらに基地局をサポートするためにバックホール・トランスポートを提供するネットワークとを指すのに、用語「アクセス・ネットワーク」を使用する。
【0016】
説明されるシステムの動作に必須ではないが、サービス・アンテナ・アレイ20が、アンテナの総数Mがユーザ端末の台数より多く、好ましくは数10倍または数百倍多い、大スケール・アンテナ・システム(LSAS:Large−Scale Antenna System)のアレイであることが有利である。LSASシステムは、大きいアレイ処理利得および大きい空間ダイバーシティ利得を潜在的に提供するので、有利である。
【0017】
LSASアレイ、または実際に任意のアンテナ・アレイが、ユーザ端末アンテナが固定される(またはせいぜいローカル家屋モバイルである)システム内で展開される時には、コヒーレンス・インターバルが完全にモバイルの無線ネットワークと比較して非常に長くなる傾向があるというさらなる利点がある。
【0018】
これらのさまざまな利点が組み合わされる時に、単一の適切に適合されたLSASサイトが、数百キロメートル以上の直径を有する地理的領域内の、それぞれがダウンリンクで10Mbps超の帯域幅を有する数千世帯のためにサービスすることが、実現可能になる。
【0019】
例として、たとえばアンテナが1/2波長離れた間隔で片面に100個のアンテナをグリッド・パターンでアレイ化される場合に、10000個のサービス・アンテナを塔に展開することが実現可能であるはずである。1.9GHzの周波数では、アンテナの取付けパネルは、約8メートル×8メートルのスパンを有するはずである。同様に、40000個のアンテナを、約16メートル×16メートルのスパンを有するパネルに取り付けることができる。さらに高い空間の経済性を、2次元グリッド・パターンではなく3次元グリッド・パターンでアンテナを配置することによって達成することができる。
【0020】
上で注記したように、特にユーザ・アンテナが固定である場合に、非常に長いチャネル・コヒーレンス・インターバルを仮定することができる。たとえば、コヒーレンス時間が、例示のために、1/4波長だけユーザ端末の位置を効果的にシフトするのに要する時間になるようにされ、伝搬チャネル内の動揺が、5km毎時のユーザ・モビリティと同等であると解釈される場合に、コヒーレンス時間(1.9GHz搬送波周波数を仮定する)は、28.44msになると推定される。
【0021】
ユーザ・アンテナは、性能を強化するさまざまな特徴を使用することができる。たとえば、ユーザ家屋での複数のアンテナ・アレイの使用は、スペクトル効率を高めることができる。ユーザ家屋でのアンテナ配置を最適化して、サービス・アンテナ・アレイまでのラジオ周波数経路損を最小にすることができる。
【0022】
例示的なシステムは、時分割複信(TDD)モードで動作する。TDD動作では、相互性が、アップリンク(UL)チャネル係数とダウンリンク(DL)チャネル係数との間で仮定される。したがって、ユーザ端末から受信されたアップリンク・パイロット信号からサービス・アンテナ・アレイで測定されるチャネル係数は、同一のコヒーレンス・インターバル内に、アップリンクとダウンリンクとの両方にあてはまると仮定される。
【0023】
例示的実施形態では、サービス・トランシーバ・ステーションは、ダウンリンク送信をプリコーディングするのに、チャネル係数の知識を使用する。プリコーディングは、ビームフォーミングの周知の実践のためのものであり、このビームフォーミングは、ダウンリンク送信に空間選択性を課し、その結果、所与のユーザ宛のダウンリンク信号は、他のユーザ宛の同期して送信されるダウンリンク信号から相対的にほとんど干渉をこうむらない。
【0024】
実例として、すべてのユーザ端末は、アップリンク上でそのそれぞれのパイロット信号を同期して送信し、サービス・トランシーバ・ステーションは、サービス・アンテナ・アレイからユーザ端末のすべてにダウンリンク信号を同期して送信する。他の実施形態では、ユーザ端末の集団を、ユーザ副集団に分割することができ、このユーザ副集団は、パイロット送信および/またはダウンリンク信号送信に関して異なるタイムスロットに分離される。
【0025】
ユーザ副集団への分割は、たとえば、ユーザの人数が相互に直交するパイロット信号の個数より多く、その結果、パイロット汚染を避けるために、パイロット信号を異なるタイムスロットで再利用する必要が生じる時に有利である可能性がある。パイロット汚染は、同一のタイムスロット内に相互に直交しないパイロット信号を送信するユーザの間で生じる。名目上そのようなユーザのうちの1人にビームフォーミングされた信号は、パイロット汚染の結果として、名目上他のそのようなユーザにビームフォーミングされた信号からの干渉を含む。
【0026】
これに関して、コヒーレンス・インターバルが、一般に非常に長いので、非常に長いシンボル・シーケンスに対応するものとしてパイロット信号を定義することが可能であり、したがって、多数の相互に直交するパイロット・シーケンスを構築することができることに留意されたい。たとえば、OFDM変調が使用されると仮定する。我々は、2つの推定された要因の積すなわち、その間に伝搬チャネルをほぼ一定として取り扱うことができる周波数インターバル内のOFDMトーンの個数に、コヒーレンス・インターバル中に送信できるOFDMシンボルの個数を乗じたものとして、相互に直交するパイロット・シーケンスの最大個数を推定する。
【0027】
伝搬チャネルは、区分的に一定として扱われる。チャネルが一定であると仮定できる各サブバンドの周波数幅は、周波数項で表されたようなナイキスト・サンプリング・インターバルすなわち、チャネルの遅延拡散の逆数である。各サブバンド内では、チャネルをアップリンク・パイロット・シーケンスから推定することができ、このアップリンク・パイロット・シーケンスは、OFDMトーンとOFDMシンボルとの両方によってインデクシングされる。すなわち、所与の送信タイム・インターバルに送信される所与のパイロット・シーケンスの要素は、選択されたOFDMシンボルと組み合わされた、関係するサブバンド内にある選択されたOFDMトーン(すなわち、副搬送波)によって識別される。
【0028】
最大d個の相互に直交するパイロット・シーケンスを作成することができる。T
uが、使用可能なシンボル・インターバルを表し、T
slが、スロット持続時間(コヒーレンス・インターバルと等しいと仮定する)を表し、T
dが、チャネル遅延拡散を表し、T
sが、OFDMシンボル・インターバルを表すと仮定する。dは、次式によって与えられる。
【0029】
【数1】
ここで、T
u/T
dは、トーンの個数単位で表されたナイキスト・サンプリング・インターバルであり、T
sl/T
sは、使用されるOFDMシンボルの個数単位でのパイロット・シーケンスの長さである。
【0030】
本明細書で例示のみのために使用される典型的な値について、時間の単位として秒を用いると、T
s=10
−3/14、T
u=10
−3/15、およびT
d=T
s−T
u=10
−3/210である。これは、14トーンのナイキスト・サンプリング・インターバルの推定値につながり、その結果、280個のOFDMシンボルを含む20msスロット内で、最大14×280=3920個の相互に直交するパイロット・シーケンスを作成することができるようになる。
【0031】
ユーザ家屋の地理的位置は、通常、システムが動作状態にされる前に既知である。ユーザの家屋のそれぞれの方位およびサービス・アンテナからの距離の格納された作表を使用して、システムが初めて起動される時および停止の後にサービスが復元される時の初期ビームフォーミングを容易にすることができる。
【0032】
実例として、ダウンリンクのビームフォーミングは、共役ビームフォーミング・プリコーディング(conjugate beamforming precoding)の周知のプロセスでチャネル係数(パイロット信号から推定されたような)を適用することによって実行される。アップリンクでの受信は、実例として、最大比合成の周知のプロセスでチャネル係数を同様に適用することによって実行される。チャネル係数から導出されるかこれに関連し、たとえばそのようなプリコーディングおよび合成に有用な情報を、ここではチャネル状態情報(CSI)と称する。
【0033】
例示的実施形態では、エアインターフェース・リソースは、1つまたは複数の送信タイム・インターバルおよび1つまたは複数のOFDM周波数副搬送波にまたがるブロック単位でダウンリンク送信に割り振られる。直交符号または準直交符号を割り振ることもできる。
【0034】
上で注記したように、チャネル係数は、通常、アップリンク・パイロット信号から推定される。パイロット信号は、通常、たとえば
図2に示されたようなフレーム・フォーマットの一部として送信される。この図では、フレーム・フォーマットの部分100が、アップリンク・データ送信を含むことがわかる。これに、部分110が続き、この部分110は、パイロット信号を含む。サービス・トランシーバ・ステーションでは、受信されたパイロット信号から導出された情報が、アップリンク信号を復号し、ダウンリンク信号をプリコーディングする係数を生成するのに使用される。フレーム・フォーマットの次の部分120では、プリコーディングされたダウンリンク信号が送信される。
【0035】
パイロット信号は、好ましくは、最良の可能なチャネル推定値を入手するために、ユーザ端末から最大電力で送信される。
【0036】
ここで、サービス・アンテナ・アレイの第mアンテナと第kユーザ端末との間のチャネル係数になるように、g
mkを定義する。ここでは、1ユーザ端末あたり1つのアンテナだけがあると仮定する。複数アンテナ・ユーザ端末への拡張は、単純である。チャネル係数g
mkは、一般に、周波数にも依存する。提示を単純にするために、議論のこの部分では周波数依存性を除去した。
【0037】
代替の方法では、チャネル係数は、パイロット信号を使用せずに、または初期化およびネットワーク障害からの回復などのまれな機会にパイロット信号の使用を伴って、連続する近似プロセスによって推定される。代替の方法は、ユーザ端末からサービス・トランシーバ・ステーションに規則的に返される観察されたSINR値に依存する。多数の通信システムでは、そのようなSINR値が、変調および符号化パラメータおよび類似物の選択時に、基地局による使用のために基地局に返される。連続する近似を使用することによって、そうでなければチャネル測定のためのパイロット信号の使用を試みるはずの複雑さを減らすことが可能である。
【0038】
代替の方法のステップは、例示的実施態様で、見出し「アルゴリズム1」の下で指定されるアルゴリズムを具体的に参照して下で説明される。アルゴリズム1は、チャネル係数を推定するのに使用されるアルゴリズムの対(アルゴリズム1およびアルゴリズム2)の一方である。下で説明されるアルゴリズム1は、ユーザkおよびサービス・アンテナmからなる1つの対に適用される。これは、アルゴリズム2にもあてはまるが、アルゴリズム2は、下で詳細には説明されない。
【0039】
ネットワーク・ジオメトリは、通常、静的またはほぼ静的なので、すべてのユーザのチャネル・ベクトルは、一般に、ゆっくり変化しつつある。その理由から、アルゴリズムの対を、順繰りに各ユーザに適用することができ、ユーザごとに、連続的サイクルで順繰りに各サービス・アンテナに適用することができ、このサイクルは、周期的に第1ユーザおよび第1サービス・アンテナに戻る。そのような形でサイクルすることによって、アルゴリズムは、伝搬チャネルの物理的進展を追跡する軌道上でチャネル係数を適合させる。
【0040】
アルゴリズムを適用する前に、真のチャネル係数g
mkの初期推定値
【0041】
【数2】
が入手される。各アルゴリズムが収束することを保証するために、よい推定値を入手することが望ましい。したがって、少なくともいくつかの実施態様では、初期推定値は、パイロット信号を使用して入手される。
【0042】
以下の議論では、下付きのmおよびkは、表記を単純にするために除去される。
【0043】
初期チャネル推定値(所与のmおよびkに関する)は、
【0044】
【数3】
に従って振幅項および位相項の因子にされ、ここで、
【0045】
【数4】
は、真の振幅αの推定値であり、
【0046】
【数5】
は、真の位相ψの推定値である。
【0047】
アルゴリズム1は、ψの洗練された推定値を見つけるように動作し、αの初期推定値は、固定されたままになる。アルゴリズム2は、αの洗練された推定値を見つけるように動作し、ψは固定されたままになる。
【0048】
下で指定されるさまざまなステップのそれぞれで、サービス・トランシーバ・ステーションは、プリコーディングおよびユーザへの信号の送信に現在のチャネル推定値を使用し、ユーザは、SINRの対応する値を返す。SINR(θ)によって、チャネル係数に関する特定の推定値θに対応する返されるSINR値を表す(αの推定値は固定されたままになる)。
【0049】
下で説明するようなアルゴリズム1では、それぞれが位相係数の推定値を含む3つのビンが、反復して更新される。3つのビンは、それぞれ、
【0050】
【数6】
、ψ
0、およびψ
1と表される。
【0051】
【数7】
と表されるビンは、真の位相ψの現在の推定値を含む。したがって、このビンは、初期推定値を用いて初期化され、アルゴリズムの各反復で更新される。アルゴリズムが、収束に起因して終了する時には、ビン
【0052】
【数8】
は、最終的な推定値を含む。
【0053】
記号δは、位相角の増分を表す。δのサイズは、任意にセットすることができるが、アルゴリズムの収束を保証するために、初期推定値
【0054】
【数9】
の期待される誤差に近いがそれより多少大きくなるようにセットされることが望ましい。記号εは、収束しきい値を表す。
【0057】
【数11】
は、真の振幅αの初期推定値であり、
【0058】
【数12】
は、真の位相ψの初期推定値であり、j
2=−1である。
2.
【0063】
【数17】
を割り当てる。そうでない場合には、
【0066】
【数20】
に更新する。
5.S
0=SINR(ψ
0)およびS
1=SINR(ψ
1)を入手する。
6.S
0>S
1である場合には、ψ
0←ψ
0および
【0067】
【数21】
に更新する。そうでない場合には、ψ
0←ψ
1および
【0068】
【数22】
に更新する。
7.|ψ
0−ψ
1|≧εである場合には、ステップ4に戻る。そうでない場合には、継続する。
8.
【0070】
アルゴリズム2は、アルゴリズム1に類似し、詳細に説明する必要はない。アルゴリズム2がよい推定値
【0071】
【数24】
に収束した後に、推定値を組み合わせて、チャネル係数の推定値
【0072】
【数25】
を形成することができる。
【0073】
チャネル係数の推定にパイロット信号を使用する手法では、いくつかの場合に、ユーザ端末の選択されたサブセットのみに、所与の時にパイロット信号を送信させることが有利である可能性がある。1つのそのような手法では、サービス・アレイは、ユーザ端末からSINRフィードバックを受信し、SINRの最大の劣化をこうむったユーザ端末を、次の機会が来た時にパイロット信号を送信するユーザ端末になるように選択する。そのような手法は、増やされた制御シグナリングにおいてペナルティをこうむるが、サービス・アレイでの減らされた処理において利益を提供することもでき、パイロット信号の再利用を容易にすることもできる。
【0075】
【数26】
として因子にすることができ、ここで、h
mkは、高速フェージング現象に帰することができ、
【0076】
【数27】
は、時間のみではなく位置および周波数にもより弱く依存する低速フェージング現象に帰することができる。本明細書で提示するように、項
【0077】
【数28】
は、いかなるサービス・アンテナでもなく関係するユーザ端末kに関してのみインデクシングされる。というのは、低速フェージング係数を、サービス・アンテナ・アレイのスケールで空間的に一定として扱うことができると仮定されるからである。
【0079】
【数29】
は、たとえば、周波数ビンにわたり、サービス・アンテナのコレクションにわたってチャネル係数g
mkの平均をとることによって、入手することができる。代替の手法では、低速フェージング係数は、特殊なパイロット信号を使用して測定され、この特殊なパイロット信号は、g
mkを測定するのに使用されるパイロット信号より低い頻度で送信される。そのような手法は、特に、低速フェージング係数
【0080】
【数30】
が、一般にM個の基地局アンテナにわたり、周波数にわたり、少なくとも複数のタイムスロットにわたって一定であると仮定され得るので、一般に非常に御しやすい。
【0081】
したがって、たとえば、または複数のOFDMシンボルは、低速フェージング係数推定専用である。通常、約1400個の別個のトーンが、1OFDMシンボルあたりに使用可能である(この推定は、20MHz帯域幅および
【0082】
【数31】
ミリ秒のシンボル持続時間を仮定する)。各ユーザ端末は、使用可能なトーンのうちの異なる1つを割り当てられ、その結果、すべてのkについて、第k端末が、第q
kトーンでパイロット信号を送信するようになる。
【0083】
サービス・アレイは、第mアンテナで第q
kトーン上でチャネル係数
【0084】
【数32】
を検出し、ここで、g
m(q
k)は、第m基地局アンテナと第k端末との間のトーンq
k上のチャネル係数である。上で説明したように、低速フェージング係数
【0085】
【数33】
は、近似的にq
kおよびmとは独立である。すべてのmおよびkについて、h
m(q
k)が単位分散を伴ってランダムに分布するという全体的に穏当な仮定の下で、β
kは、
【0087】
推定値を改善するために、複数のトーンを各ユーザ端末に割り当てることができ、トーンにまたがって平均をとることができる。同様に、平均を、複数のOFDMシンボルにまたがって実行することができる。
【0088】
我々の無線アクセス・システムの1つの重要な特徴は、アップリンクおよびダウンリンクの電力制御アルゴリズムを考案できることであり、この電力制御アルゴリズムは、高速フェージング係数の知識に頼るのではなく、低速フェージング係数だけに頼る。
【0089】
ダウンリンク電力制御に関して、理論的分析は、共役ビームフォーミング・プリコーディングを用いると、第kユーザ端末のスループットが、次式によって与えられる下限を有することを示した。
【0090】
【数35】
ここで、ρ
fおよびρ
rは、それぞれダウンリンクおよびアップリンクの公称信号対雑音比)であり、τ
rは、アップリンク・パイロット・シーケンス長であり、
【0091】
【数36】
は、第kユーザ端末の低速フェージング係数であり、Tは、コヒーレンス・インターバル内のシンボルの総数であり、Bは、搬送波帯域幅であり、Mは、基地局のアンテナの個数であり、λ
kは、第k副搬送波に割り振られるダウンリンク電力のパーセンテージである。係数λ
kは、同時にサービスされるK個の加入者に関して、
【0092】
【数37】
、λ
k>0になるように定義される。
【0093】
式(1)を使用して、我々は、すべてのアクティブ・ユーザのダウンリンク信号対干渉雑音比(SINR)を等化する傾向がある電力制御戦略を考案した。すなわち、
【0094】
【数38】
であるものとする。式(2)から、電力分数選択
【0095】
【数39】
から、λ
1Γ
1=…=λ
KΓ
Kになることをたやすく確かめることができる。この結果を式(1)に代入すると、(等しいSINRは等しいスループットを暗示するので)結果のスループットがすべてのユーザにわたって等化されることがわかる。
【0096】
実施態様において、上の電力制御戦略が、決定論的であるが、低速フェージング係数が更新される時に必要に応じてまたは周期的に適合されることを理解されよう。
【0097】
類似するDL電力制御戦略を、サブスクライブされたサービスの等級に従って加入者に電力を割り振るために導出することができる。
【0098】
アップリンク電力制御に関して、ユーザ端末は、STSから低速フェージング係数の値のフィードバックを受信し、このフィードバックを、たとえばすべてのアクティブ・ユーザ端末にわたってアップリンクSINRを等化するのに使用する。
【0099】
我々はこれから、すべてのアクティブ・ユーザの間でスループットを等化するアップリンク電力戦略を説明する。
【0100】
K個のアクティブ・ユーザ端末があると仮定する。K個のそれぞれのユーザ端末とサービス・アレイとの間のラジオ周波数経路損を、
【0101】
【数40】
によって推定する。ここで、一般性を失わずに、k=1のユーザ端末が、サービス・アレイからの最大の経路損を有する、すなわち、
【0102】
【数41】
であると仮定する。すると、すべてのアクティブ・ユーザの間でアップリンク・スループットを等化するアップリンク電力戦略は、
端末1:最大の使用可能な電力P
r
【0104】
我々は、H.Q.Ngo、E.G.Larsson、およびT.L.Marzetta、「Energy and Spectral Efficiency of Very Large Multiuser MIMO Systems」、IEEE Trans.on Comm.、2012年3月に提出に記載されたLSASシステムでのアップリンク容量に関する理論的下限から上の戦略を導出した。
【0105】
例
20MHz帯域幅を仮定するシミュレーションから予測されるような達成可能なダウンリンク・スループットおよびアップリンク・スループットの例を、
図3にプロットする。