(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
ドラムを搬送するためのパレットであって、枠体と、中心部に向かって下降する一対の斜面を有する支持部と、前記ドラムのフランジの中心穴に引っ掛けるためのドラム用フックと、前記枠体側の端部と前記ドラム用フックとの長さを調整するための調整部とを有する固定具とを備えたパレットが明らかとなる。このようなパレットであれば、ドラムをパレットに固定する作業が簡易になる。
【0012】
前記ドラム用フックを前記中心穴に引っ掛けた状態で前記調整部によって前記固定具の長さを短くすることによって、前記ドラムの前記フランジを前記固定具で締め付け可能であることが望ましい。これにより、支持部上のドラムが転がりにくくなる。
【0013】
前記調整部は、ターンバックルであり、前記パレットは、前記ターンバックルとは別に、前記枠体側の端部と前記ドラム用フックとの長さを粗く調整可能な粗調整部を更に有することが望ましい。これにより、ドラムをパレットに固定する作業が簡易になる。
【0014】
前記粗調整部は、チェーンで構成されており、前記枠体には、前記チェーンの中間部の環を引っ掛けるためのチェーン用フックが設けられていることが望ましい。ドラムをパレットに固定する作業が簡易になる。
【0015】
前記支持部の端部には、前記ドラムの前記フランジを前記支持部へ誘導するための誘導部が設けられていることが望ましい。これにより、ドラムをパレットに載置させる作業が容易になる。
【0016】
前記パレットは、前記固定具を収容するための収容部を有することが望ましい。これにより、空のパレットの搬送が容易になる。
【0017】
前記パレットは、前記枠体を支持するための脚部を有し、前記脚部は、支柱を立てることが可能であると共に、前記支柱の上で前記枠体を支持可能に構成されていることが望ましい。これにより、パレットを2段に積載することが可能になる。
【0018】
前記脚部は、支柱を立てるための筒状部と、前記筒状部の下側に設けられ下側ほど広がって開口した椀状部とを有することが望ましい。これにより、支柱の上にパレットを積載する作業が容易になる。
【0019】
前記脚部は、別のパレットの前記脚部の上で前記枠体を支持可能に構成されていることが望ましい。これにより、空のパレットの回収が容易になる。
【0020】
前記パレットは、前記支柱を収容可能に構成されていることが望ましい。これにより、空のパレットの回収が容易になる。
【0021】
前記パレットは、フォークリフトのフォークを差し込む方向に沿って前記支柱を収容可能に構成されていることが望ましい。これにより、取り出した支柱によってフォーク挿入口が塞がれてしまうことを自然に抑制できる。
【0022】
前記支持部は、前記フランジ同士を近接させて並べた2つのドラムを載置可能であることが望ましい。
【0023】
2つの前記ドラムの並ぶ方向における前記支持部の両端部に前記固定具がそれぞれ配置されていることが望ましい。これにより、ドラムの片側のフランジの中心穴にドラム用フックを引っ掛けるだけなので、ドラムをパレットに載置させる作業が容易になる。
【0024】
前記固定具は、ドラムの片側のフランジを固定するように配置されていることが望ましい。これにより、ドラムの片側のフランジの中心穴にドラム用フックを引っ掛けるだけなので、ドラムをパレットに載置させる作業が容易になる。
【0025】
ドラムをパレットで搬送する搬送方法であって、中心部に向かって下降する一対の斜面を有する支持部にドラムを載置すること、前記ドラムのフランジの中心穴に、前記パレットに設けられた固定具のドラム用フックを引っ掛けること、及び前記固定具の長さを短く調整することを行う搬送方法が明らかとなる。このような搬送方法であれば、ドラムをパレットに固定する作業が簡易になる。
【0026】
===第1実施形態===
<パレット1の基本構造>
図1及び
図2は、第1実施形態のパレット1の斜視図である。
図1は、支柱60を収容した状態のパレット1の斜視図である。
図2は、支柱60を取り出して、一方の固定具30を上に持ち上げた状態のパレット1の斜視図である。
図3は、パレット1に2つのドラム3を固定したときの斜視図である。
【0027】
以下の説明では、
図1に示す通りに各方向を定義する。すなわち、鉛直方向と平行な方向を「上下方向」とし、重力の方向に従って「上」及び「下」を定義する。また、パレット1に載置されるドラム3(
図3参照)の軸方向に沿って「前後方向」を定義する。なお、後述するリフトの操作者の側を「前」とし、逆側を「後」とする。但し、本実施形態のパレット1は、前後を逆向きにしても同じ構造である。また、上下方向及び前後方向に垂直な方向を「左右方向」とし、後述するリフトの作業者から見て右側を「右」とし、逆側を「左」とする。
【0028】
パレット1に載置されるドラム3は、ケーブルを巻き付けるための胴部3Aと、胴部3Aの両側に設けられたフランジ3B(鍔部)とを有する。なお、
図3には、空のドラム3が示されており、ケーブルは巻き付けられていない。ドラム3に巻き付けられるケーブルは、ここでは電線ケーブルを想定しているが、光ケーブルであっても良い。フランジ3Bの中央には中心穴5(軸穴)が形成されている。
【0029】
パレット1は、ドラム3を搬送するために用いられるケーブルドラム用の搬送パレットである。第1実施形態のパレット1は、前後に並べた2つのドラム3を載置しているが、ドラム3の数は1つでも良い。パレット1は、枠体10と、支持部20、固定具30と、脚部40とを有する。
【0030】
枠体10は、パレット1のフレーム(骨組)を構成する部材である。枠体10は、外枠11と、内側フレーム12とを有する。
外枠11は、4本の角パイプを四角形状に固定した外側のフレームである。外枠11の四隅には、それぞれ脚部40が形成されている。
内側フレーム12は、外枠11の内側に配置されたフレームである。内側フレーム12として、中間ビーム13と、補助ビーム14とが設けられている。
中間ビーム13は、外枠11を構成する前側と後側の角パイプの間に連結された梁部材であり、前後方向に沿って配置されている。中間ビーム13は、パレット1を前から見たときに左右中央に配置されている。また、中間ビーム13は、外枠11よりも下側に配置されている。中間ビーム13の左右外側の空間(中間ビーム13と脚部40との間の空間)は、フォーク挿入空間S1である。言い換えると、パレット1を前から見たときに、パレット1を載置する載置面、外枠11、中間ビーム13及び脚部40で囲まれた空間が、フォーク挿入空間S1である。フォーク挿入空間S1は、フォークリフト80のフォーク81(
図6参照)を挿入するために前後方向に沿って形成された空間である。フォークリフト80のフォーク81の挿入位置を誤らないようにするために、中間ビーム13の端面(前後方向を向いた面)は金属板によるカバー13Aで塞がれている。
補助ビーム14は、中間ビーム13と、外枠11を構成する左右の角パイプとの間に連結された梁部材であり、左右方向に沿って配置されている。仮にフォーク81の先が後側の外枠11に達しなかったとしても、フォーク81が補助ビーム14を支持することによって、フォークリフト80はパレット1を持ち上げることができる(後述)。
【0031】
支持部20は、ドラム3を支持する部材である。支持部20は、一対の傾斜板21を有しており、それぞれの傾斜板21は、中心部に向かって下降する斜面21Aを有する。つまり、支持部20は、中心部に向かって下降する一対の斜面21Aを有する。斜面21Aは、ここでは平面であるが、ドラム3の径に合わせて湾曲させた斜面21Aでも良い。但し、斜面21Aが平面であれば、異なる径のドラム3を支持することが可能である。一対の斜面21Aの上にドラム3を載置することによって、ドラム3が左右方向に転がり難くなり、支持部20上にドラム3を安定して載置できる。なお、支持部20にドラム3を載置しただけでは、パレット1の振動時(例えばコンテナ移動時のようにパレット1の搬送時)に支持部20からドラム3が転がるおそれがあるため、後述するように固定具30を用いて、支持部20上のドラム3をパレット1に固定している。
【0032】
支持部20を構成する2つの傾斜板21は、外枠11よりも上側に配置されている。傾斜板21の外側の空間(傾斜板21と脚部40(筒状部41)との間の空間)は、フォーク挿入空間S2となる。傾斜板21が外枠11よりも上側に配置されることによって、フォークリフト80(
図6参照)で持ち上げたドラム3を支持部20に載置させ易くなる。
【0033】
図4は、固定具30の斜視図である。図中には、後側に配置された固定具30を持ち上げた状態が示されている。
【0034】
固定具30は、ドラム3をパレット1に固定するための部材である。固定具30は、固定端31と、ドラム用フック32と、ターンバックル33とを有する。固定端31は、固定具30の端部を固定した部位である。固定端31は、支持部20の2つの傾斜板21の間に配置されている。ドラム用フック32は、ドラム3の中心穴5に引っ掛けるためのフック(引っ掛け部)である。ターンバックル33は、固定具30の長さを調整するための部材である。言い換えると、ターンバックル33は、固定具30の枠体10側の端部(例えば固定端31)とドラム用フック32との長さ(間隔)を調整する調整部である。ドラム用フック32をドラム3の中心穴5に引っ掛けた後、ターンバックル33によって固定具30を短くすることによって、ドラム用フック32が中心穴5から外れることを防止できるため、搬送時にドラム3がパレット1から外れることを防止できる。更にターンバックル33によって固定具30を短くすることによって、固定具30によってドラム3のフランジ3Bを締め付けることもできる。これにより、ドラム3がドラム用フック32から一対の斜面21Aの中心部に向かって力を受けるため、支持部20の上のドラム3が転がりにくくなる。
【0035】
本実施形態では、固定具30は、更にチェーン34を有する。チェーン34は、固定具30の長さを粗く調整するための部材(粗調整部)である。枠体10にはチェーン用フック11Aが形成されており、チェーン34の中間部をチェーン用フック11Aに引っ掛けることが可能である(後述:
図8B参照)。チェーン34の中間部の環をチェーン用フック11Aに引っ掛けることによって、固定具30の枠体10側の端部がチェーン34の中間部の環になるため、固定具30の実質的な長さを短くできる。チェーン34をチェーン用フック11Aに引っ掛けて固定具30の長さを短くすれば、ターンバックル33による固定具30の長さの調整作業の手間を低減できる。なお、チェーン用フック11Aは、パレット1を前から見たときに、支持部20の一対の傾斜板21の間に配置されている。これにより、ドラム3のフランジ3Bが固定具30に締め付けられると、ドラム3は、ドラム用フック32から2つの傾斜板21の中心部に向かって力を受けるため、支持部20の上のドラム3が転がりにくくなる。
【0036】
また、本実施形態では、固定具30は、ドラム用フック32とターンバックル33との間に回転部35を有する。回転部35は、ターンバックル33に対してドラム用フック32を回転自在にする部材である。固定具30が回転部35を有することによって、ドラム用フック32をドラム3の中心穴5に引っ掛ける作業が容易になる。なお、回転部35は、ドラム用フック32をドラム3に引っ掛けた状態から見て、左右方向に沿った回転軸を有する。これにより、ドラム用フック32の先をドラム3の中心穴5に入れ易くなる。
【0037】
図4には、誘導部11B及び収容部50も示されている。
【0038】
誘導部11Bは、ドラム3のフランジ3Bを支持部20へ誘導する部位(ガイド部)である。誘導部11Bは、支持部20の端部から上側に突出した部位であり、内側ほど下降する急斜面を有している。この誘導部11Bの急斜面にドラム3のフランジ3Bが接触しながらドラム3の支持部20の上に載置されれば、ドラム3のフランジ3Bが支持部20の外側に外れることを防止でき、ドラム3のフランジ3Bが外枠11の上に乗り上げた状態になってしまうことを防止できる。
【0039】
なお、誘導部11Bの下部の厚み(誘導部11Bの下部の前後方向の寸法)は、固定具30のチェーン34の厚さ(太さ)よりも大きい。これにより、ドラム3のフランジ3Bと外枠11との間の隙間にチェーン34を挿通させることができるため、支持部20にドラム3を載置するときにチェーン34が邪魔にならずに済む。
【0040】
収容部50は、固定具30を収容する部位である。
図2には、前側の固定具30が収容部50に収容された様子が示されている。収容部50の深さは、固定具30を構成する部材の厚さ(太さ)よりも大きい。これにより、
図1に示すように、収容部50に固定具30を収容した状態で、その上に支柱60を収容することが可能である。
【0041】
脚部40(
図1、
図2参照)は、枠体10を支持する部材である。脚部40が枠体10の下側に空間を空けて枠体10を支持することによって、フォークリフト80のフォーク81を枠体10の下に差し込むことができる。脚部40は、四角形状の外枠11の四隅にそれぞれ配置されている。左右の脚部40の内側の空間(脚部40と中間ビーム13や傾斜板21との間の空間)は、フォーク挿入空間S1,S2となる。脚部40は、筒状部41と椀状部42とを有する。
筒状部41は、支柱60を立てるための部位である。ここでは、筒状部41の内側に支柱60が挿入されることによって、支柱60を立てることができる。筒状部41の内側は空洞になっており、この空洞部は、支柱60の外形に適合した断面形状になっている。
椀状部42は、筒状部41の下側に設けられた部位であり、パレット1の載置面上から枠体10を支持する部位である。また、椀状部42は、支柱60の上で枠体10を支持するための部位でもある。後述するようにパレット1を2段に積載させるとき(
図11参照)、上段となるパレット1の椀状部42に支柱60の端部を挿入することになる。また、椀状部42は、別のパレット1の筒状部41の上で枠体10を支持するための部位でもある。後述するように空のパレット1を回収するとき(
図15参照)、椀状部42に下側のパレット1の筒状部41の上端を挿入することになる。椀状部42は、下面が開口している。この下面の開口に支柱60や筒状部41の端部を挿入し易くするために、椀状部42は、下側ほど広がっている。
【0042】
支柱60は、パレット1を2段に積載させる際に用いられる部材である。
図1に示すように、支柱60はパレット1に収容することができる。パレット1に支柱60を収容できるため、空のパレット1(ドラム3を載置していないパレット1)の回収時に省スペース化できるとともに、支柱60の紛失を防止できる。
支柱60は、前後方向に沿ってパレット1に収容される(
図1参照)。このため、支柱60の向きを変えずに支柱60を取り出そうとすると、支柱60を左右方向に移動させることになるため、取り出した支柱60によってフォーク挿入口(フォーク挿入空間S1の開口)が塞がれてしまうことを自然に防止できる(
図2参照)。
【0043】
なお、パレット1の左右の中心部には、中心部に向かって下降する斜面21Aを有する一対の傾斜板21があるため、支柱60は、一対の傾斜板21の間に収容すると良い(
図1参照)。これにより、支柱60を収容したときのパレット1の重心が偏らずに済むため、空のパレット1を搬送しやすくなる。また、パレット1には左右に一対の誘導部11Bがあるため、支柱60は、一対の誘導部11Bの間に収容すると良い(
図1参照)。これにより、一対の誘導部11Bに左右方向から挟まれた状態で支柱60が収容されるため、支柱60がズレにくくなる。
【0044】
<ドラム3の固定方法>
図5は、ドラム3をパレット1に固定するときの作業手順のフロー図である。
【0045】
まず、作業者は、ドラム3を載置できるようにパレット1を準備する(S001)。具体的には、作業者は、
図1に示す状態のパレット1から支柱60を取り出す(
図2参照)。また、作業者は、収容部50に収容されている固定具30のドラム用フック32及びターンバックル33を外枠11の外側へ取り出しておく。これは、収容部50に固定具30を収容したままドラム3を支持部20に載置すると、その後に固定具30を取り出すことが困難だからである。
【0046】
本実施形態では、支柱60が前後方向に沿ってパレット1に収容されている(
図1参照)。このため、支柱60の向きを変えずに支柱60を取り出せば、支柱60は外枠11の右側又は左側に置かれるため、前側のフォーク挿入口(フォーク挿入空間S1の開口)が支柱60で塞がれずに済む(
図2参照)。
【0047】
次に、作業者は、2つのドラム3を前後方向に並べて配置する(S002)。このとき、作業者は、後に2つのドラム3をパレット1に一緒に載置させられるように、2つのドラム3のフランジ3B同士をできる限り近接させる。具体的には、並べた2つのドラム3の外寸(前側のドラム3の前側のフランジ3Bの外面から、後側のドラム3の後側のフランジ3Bの外面までの寸法)が、パレット1の支持部20の前後方向の寸法(より詳しくは、前側の誘導部11Bの内面から後側の誘導部11Bの内面までの間隔)よりも小さくなるように、2つのドラム3を前後方向に並べて配置する。
【0048】
次に、作業者は、2つのドラム3をフォークリフト80で持ち上げて、2つのドラム3をパレット1に一緒に載置する(S003)。
図6は、2つのドラム3をフォークリフト80で搬送する様子の説明図である。このとき、作業者は、フォークリフト80の2本のフォーク81の間隔L(
図6参照)がパレット1の支持部20の幅(左右方向の寸法)よりも広くなるように設定し、2つのドラム3を2本のフォーク81で持ち上げる。これは、ドラム3を支持部20に載置したときに、支持部20の外側のフォーク挿入空間S2(傾斜板21と筒状部41との間の空間)にフォーク81を逃がすためである。
【0049】
本実施形態では、フォーク81からドラム3を支持部20に移すときに、ドラム3が前後方向に多少ずれていても、誘導部11Bの急斜面がドラム3のフランジ3Bに接触してドラム3が支持部20へ誘導される。このため、ドラム3がパレット1に対して前後方向に多少ずれることが許容されているので、ドラム3をパレット1に載置する作業が容易になる。
【0050】
次に、作業者は、固定具30のドラム用フック32をドラム3の中心穴5に引っ掛ける(S004)。
図7A及び
図7Bは、S004の作業の様子の説明図である。作業者は、
図7Aに示すように、ドラム用フック32の先をドラム3の中心穴5に挿入する。このとき、固定具30に回転部35があるため、ドラム用フック32の先をドラム3の中心穴5に入れ易くなっている。ドラム用フック32の先をドラム3の中心穴5に入れた後、ドラム用フック32を下ろせば、
図7Bに示すように、ドラム用フック32がドラム3の中心穴5の下縁に引っ掛かる。作業者の手がドラム用フック32から離れた後も、固定具30の重量によって、ドラム用フック32がドラム3の中心穴5の下縁に引っ掛かった状態は維持される。
【0051】
次に、作業者は、固定具30の長さを短くするように調整する(S005)。本実施形態では、固定具30よってドラム3のフランジ3Bを締め付けることができるように、固定具30に張力がかかるまでターンバックル33によって固定具30を短くする。これにより、ドラム3がドラム用フック32から2つの傾斜板21の中心部に向かって力を受けるため、支持部20の上のドラム3が転がりにくくなる。
【0052】
固定具30の長さの調整をターンバックル33で全て行おうとすると、締め付け作業の手間がかかってしまう。このため、次に説明するように、チェーン34及びチェーン用フック11Aによって固定具30の長さを粗く調整した後、ターンバックル33によって固定具30の長さを微調整する。
【0053】
図8A及び
図8Bは、チェーン34及びチェーン用フック11Aによって固定具30の長さを調整する様子の説明図である。S004の作業でドラム用フック32が中心穴5に引っ掛かった状態であるため、ドラム用フック32の下側にチェーン34が垂れ下がっている。チェーン用フック11Aは、パレット1を前(又は後)から見たときに支持部20の2つの傾斜板21の間に配置されているため、
図8Aに示すように、チェーン34は、チェーン用フック11Aの近傍で垂れ下がることになる。そこで、作業者は、チェーン34の中間部の環をチェーン用フック11Aに引っ掛ける。これにより、固定具30の実質的な長さが短くなる。
【0054】
図9は、ターンバックル33によって固定具30の長さを調整する様子の説明図である。作業者は、ターンバックル33の胴体部を回すことによって、固定具30の長さを短くする。本実施形態では、固定具30に張力がかかるまでターンバックル33の胴体部を回して固定具30を短くする。但し、固定具30に張力がかかるまでターンバックル33を締めなくても、ドラム用フック32が中心穴5から外れない程度まで固定具30を短く調整するだけでも良い。これにより、搬送時の振動によってパレット1からドラム3が外れることは防止できる。
【0055】
<パレット1の2段積み>
本実施形態では、パレット1を2段に積載させることが可能である。
図10は、下段となるパレット1に支柱60を立てた様子の説明図である。
図11は、パレット1を2段に積載させた様子の説明図である。
【0056】
まず作業者は、パレット1を2段に積載させる際には、2つのパレット1(下段となるパレット1と上段となるパレット1)のそれぞれに、ドラム3を載置し、各ドラム3を固定具30で固定しておく。それぞれのパレット1にドラム3を載置・固定する方法は、既に説明した通りである(
図5参照)。
【0057】
次に、作業者は、
図10に示すように、下段となるパレット1の脚部40の筒状部41に支柱60を差し込んで、支柱60を立てる。脚部40は外枠11の四隅にそれぞれ配置されているため、下段のパレット1の四隅で支柱60が立設される。支柱60の上端は開口せずに閉じられている。これにより、支柱60の上端からの水の浸入を防止するとともに、支柱60の強度が高められている。
【0058】
次に、作業者は、
図11に示すように、支柱60の上に上段となるパレット1を載置する。このとき、作業者は、上段となるパレット1をフォークリフト80で持ち上げて、上段となるパレット1の脚部40の椀状部42に支柱60の上端を差し込むようにして、支柱60の上に上段となるパレット1を載置する。椀状部42は下側ほど広がって開口しているため、椀状部42の下面から支柱60を挿入し易くなっている。
【0059】
<コンテナ100への積み込み>
図12は、ドラム3を固定したパレット1をフォークリフト80で搬送する様子の説明図である。
図13は、パレット1を積み込んだコンテナ100の内部の様子の説明図である。
【0060】
本実施形態のパレット1の前後方向の外寸法は、例えば1130mmであり、一般的な鉄道輸送用コンテナ(例えば19D型コンテナ)の幅方向の内寸法(約2275mm)の約半分(半分弱)である。このため、本実施形態では、2つのパレット1を前後方向に並べた状態でコンテナ100に積み込むことが可能である。なお、本実施形態のパレット1の前後方向の外寸法は、一般的な10トントラックのコンテナの幅方向の内寸法(約2350mm)の約半分(半分弱)であるため、同様に、パレット1を前後方向に並べた状態でトラックに積み込むことも可能である。パレット1を前後方向に並べて積み込むことによって、コンテナ100の内壁とドラム3との隙間を小さくでき、仮にパレット1からドラム3が外れても、ドラム3が前後方向へ移動し難くなっている。
【0061】
フォークリフト80のフォーク81の長さは、一般的に、コンテナ100等の幅とほぼ同じ長さである。このため、
図12に示すように、パレット1を前後方向に並べた状態で搬送できる。本実施形態では、パレット1を2段に積載可能であるため、2組の2段積みのパレット1を前後方向に並べてフォークリフト80で搬送することによって、8つのドラム3を同時に搬送してコンテナ100に積み込むことができる。このため、コンテナ100へのパレット1の積み込み作業を短時間に行うことができる。
【0062】
ところで、フォークリフト80でパレット1をコンテナ100に積み込む際に、パレット1の後側からフォーク81が突出していると、突出したフォーク81の先がコンテナ100の内壁に衝突し、コンテナ100を破損させるおそれがある。一方、本実施形態では、枠体10に補助ビーム14が設けられているため、フォーク81の先が後側の外枠11に達しなくてもフォーク81が補助ビーム14を支持できる。このため、パレット1の後側からフォーク81を突出させずにパレット1を搬送すれば、フォーク81の先がコンテナ100の内壁に衝突することを防止できる。
【0063】
<荷降ろし作業>
ドラム3やパレット1の荷降ろし作業手順は、上記とは逆の作業手順となる。すなわち、まず、作業者は、フォークリフト80を用いて、2段積みのパレット1を2組ずつコンテナ100から下ろす。次に、作業者は、フォークリフト80を用いて、2段積みのパレット1の上段のパレット1を下段のパレット1(支柱60)から外す。そして、作業者は、下段のパレット1から支柱60を取り外す。その後、作業者は、各パレット1からドラム3を降ろす。
【0064】
図14は、ドラム3をパレット1から降ろすときの作業手順のフロー図である。
【0065】
まず、作業者は、固定具30を長くするように調整し、固定具30を緩める(S101)。ここでは、作業者は、ターンバックル33の胴体部を
図9の矢印の反対側に回すことによって、ターンバックル33を緩める(固定具30の長さを長くする)。そして、チェーン用フック11Aからチェーン34を外す(
図8A及び
図8B参照)。
【0066】
次に、作業者は、固定具30のドラム用フック32をドラム3の中心穴5から外す(S102:
図7A及び
図7B参照)。そして、作業者は、2つのドラム3をフォークリフト80でパレット1から降ろす(S103:
図6参照)。
【0067】
最後に、作業者は、固定具30をパレット1の収容部50に収容し(
図2の前側の固定具30を参照)、
図1に示すように支柱60をパレット1に収容する(S104)。
【0068】
<パレット1の回収>
図15は、空のパレット1の回収時の様子の説明図である。本実施形態では、空のパレット1を積載させることができる。空のパレット1を積載させるとき、下側のパレット1の筒状部41の上端を上側のパレット1の椀状部42に挿入させると良い。
【0069】
<実験例>
・圧縮試験
空のパレット1に支柱60を立て、支柱60の上端に荷重をかけて、圧縮試験を行った(
図10のドラムの無い状態で圧縮試験を行った)。なお、パレット1の外寸法は、1200×1130×1093mmである。負荷速度を0.20FS/minとし、座屈するまで圧縮試験機で荷重を加えて、最大荷重値を調べた。
圧縮試験では、座屈などの現象が生じないまま、圧縮試験機の最大荷重値である200kNに達したため、圧縮試験は中断された。すなわち、パレット1及び支柱60に十分な圧縮強度があることが確認された。
【0070】
・振動試験
図11に示すようにドラムを載置させつつ2段に積載したパレット1の振動試験を行った。振動試験方法は、JIS Z 0200(包装貨物−性能試験方法一般通則)における「8.4.3輸送振動試験 ランダム振動試験」のレベル2(長距離の国内輸送又は国際輸送で、温帯気候における適切な輸送が行われる)に準拠した条件とした。加振方向は3方向(X,Y,Z方向、前述の左右方向、前後方向及び上下方向に相当)同時とし、加振時間は90分とし、加速度パワースペクトル密度(PSD)は、次表に示す通りである。
【0071】
【表1】
(但し、周波数200Hzは、試験機の能力外のためカットした。また、X軸・Y軸PSDは上記の70%OFF値とした。)
【0072】
振動試験後のパレット1やドラム3の状態を確認したところ、パレット1やドラム3の脱落は確認されなかった。また、振動試験後の固定具30の状態を確認したところ、固定具30のドラム用フック32はドラム3の中心穴5に引っ掛かった状態が維持されており、チェーン34の中間部の環がチェーン用フック11Aに引っ掛かった状態が維持されていることが確認された。すなわち、
図11に示すように各ドラム3の片側だけを固定具30で固定した状態であっても、ドラム3の脱落や固定具30の脱落は確認されなかったので、ドラム3をパレット1に十分に固定可能であることが確認された。
【0073】
<小括>
本実施形態のパレット1は、枠体10と、中心部に向かって下降する一対の斜面21Aを有する支持部20と、固定具30とを備えている。固定具30は、ドラム3のフランジ3Bの中心穴5に引っ掛けるためのドラム用フック32と、枠体10側の端部(固定端31、又はチェーン用フック11Aに引っ掛けたチェーン34の中間部の環)との長さを調整するための調整部(ターンバックル33)とを有する。これにより、ドラム用フック32をドラム3の中心穴5に引っ掛けた状態で固定具30の長さを調整することによって、ドラム3がパレット1から外れにくくなる。また、一方のフランジ3Bの中心穴5から他方のフランジ3Bの中心穴5まで例えばベルト等を挿通させるような作業と比べると、本実施形態では、ドラム用フック32をドラム3のフランジ3Bの中心穴5に引っ掛けるだけで良いため、ドラム3をパレット1に固定する作業が簡易になる。
【0074】
本実施形態のパレット1は、調整部によって固定具30の長さを短くすることによって、ドラム3のフランジ3Bを固定具30で締め付け可能に構成されていた。これにより、ドラム3がドラム用フック32から一対の傾斜板21の中心部に向かって力を受けるため、支持部20の上のドラム3が転がりにくくなる。
【0075】
本実施形態では、固定具30は、ターンバックル33とは別に、固定具30の長さを粗く調整するためのチェーン34を有している。ターンバックル33による長さの調整には時間がかかるため、チェーン34の中間部の環をチェーン用フック11Aに引っ掛けられるように構成することによって、ドラム3をパレット1に固定する作業が簡易になる。
【0076】
本実施形態では、支持部20の端部に誘導部11Bが設けられていた。これにより、ドラム3のフランジ3Bが支持部20の外側に外れることを抑制できるとともに、ドラム3をパレット1に載置させる作業が容易になる。
【0077】
本実施形態では、パレット1は、固定具30を収容するための収容部50を有している。これにより、空のパレット1の搬送が容易になる。なお、パレット1に収容部50を設けなくても良いが、この場合、空のパレット1の搬送時に固定具30が邪魔になることがある。
【0078】
本実施形態では、パレット1の脚部40は、支柱60を立てることが可能であると共に、支柱60の上で枠体10を支持可能に構成されている。これにより、支柱60を介してパレット1を2段に積載することが可能である。
【0079】
また、本実施形態では、支柱60を立てるための筒状部41と、筒状部41の下側に設けられ下側ほど広がって開口した椀状部42とを有している。椀状部42が下側ほど広い開口を有するため、椀状部42に支柱60を挿入する作業が容易になり、支柱60の上にパレット1を積載する作業が容易になる。
【0080】
また、本実施形態では、脚部40は、別のパレット1の脚部40の上で枠体10を支持可能に構成されている(
図15参照)。これにより、空のパレット1の回収時に、大量のパレット1をコンテナ100に積み込むことが可能になる。
【0081】
本実施形態では、パレット1は、フォークリフト80のフォーク81を差し込む方向(前後方向)に沿って、支柱60を収容可能に構成されている(
図1参照)。これにより、取り出した支柱60によってフォーク挿入口(フォーク挿入空間S1の開口)が塞がれてしまうことを自然に防止できる(
図2参照)。
【0082】
本実施形態では、パレット1は、フランジ3B同士を近接させて並べた2つのドラム3を載置可能である。但し、パレット1が載置可能なドラム3の数は、2つに限られるものではなく、1つのみが載置可能なように支持部20を短く構成しても良いし、3つ以上のドラム3を載置可能なように支持部20を長く構成しても良い。
【0083】
また、本実施形態では、支持部20の前後方向の両端部に固定具30がそれぞれ配置されている。これにより、フランジ3B同士を近接させて並べた2つのドラム3のそれぞれの外側のフランジ3Bの中心穴5に、固定具30のドラム用フック32をそれぞれ引っ掛け易くなる。また、本実施形態では、ドラム3の片側のフランジ3Bの中心穴5にドラム用フック32を引っ掛ければ良いので、2つのドラム3のフランジ3B同士を近接させて並べてパレット1に載置できる。なお、仮にドラム3の両側のフランジ3Bの中心穴5にそれぞれドラム用フック32を引っ掛ける必要があると、2つのドラム3を離して並べる必要が生じ、パレット1が大型化してしまう。
【0084】
言い換えると、本実施形態では、固定具30は、ドラム3の片側のフランジ3Bを固定するように配置されている。具体的には、固定具30が支持部20の前後方向の両端部にそれぞれ配置されているため、それぞれのドラム3の片側のフランジ3B(外側のフランジ3B)に対応するように配置されている。これにより、ドラム3の片側のフランジ3Bの中心穴5にドラム用フック32を引っ掛ければ良いので、ドラム3をパレット1に載置させる作業が容易になる。
【0085】
===別の実施形態===
前述の実施形態では、枠体10は、4本の角パイプを四角形状に固定した外枠11や、内側フレーム12(中間ビーム13及び補助ビーム14)によって構成されていた。但し、枠体10は、このような構成に限られるものではなく、パレット1のフレームを構成できれば、他の構造でも良い。
【0086】
また、前述の実施形態では、固定具30の長さを調整するための調整部がターンバックル33であったが、調整部はターンバックル33に限られるものではなく、固定具30の長さを調整可能な部材であれば他の部材でも良い。
【0087】
また、前述の実施形態では、固定具30の長さを粗く調整するための粗調整部としてチェーン34が採用されていたが、粗調整部は、例えばベルト等で構成することも可能である。
【0088】
また、前述の実施形態では、脚部40は、筒状部41の下側に、下側ほど広い開口の椀状部42を有していたが、このような構成に限られるものではなく、枠体10を支持できれば、他の構成でも良い。また、前述の実施形態では、脚部40は、支柱60を立設可能に構成されていたが、パレット1を2段に積載せずに使用するのであれば、支柱60を立てられる構成にしなくても良い。
【0089】
また、前述の実施形態では、ドラム3の一方のフランジ3Bの中心穴5にのみ、ドラム用フック32を引っ掛けていた。但し、ドラム3の両側のフランジ3Bの中心穴5に、それぞれドラム用フック32を引っ掛けるように構成しても良い。
【0090】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【解決手段】本開示は、ドラムを搬送するためのパレットであって、枠体と、中心部に向かって下降する一対の斜面を有する支持部と、前記ドラムのフランジの中心穴に引っ掛けるためのドラム用フックと、前記枠体側の端部と前記ドラム用フックとの長さを調整するための調整部とを有する固定具とを備えたパレットである。