【文献】
LEE S ET AL,The influence of the processing conditions on the PS/MWCNT composites prepared with twin screw extruder,68TH ANNUAL TECHNICAL CONFERENCE OF THE SOCIETY OF PLASTICS ENGINEERS 2010,米国,2010年 5月16日,vol. 2,1107-1110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1非晶質ポリマーとカーボンナノチューブとのブレンドからなる複合材料の製造で使用されるマスターバッチであって、上記カーボンナノチューブはISO 11358に従って決定したマスターバッチの総重量に対して少なくとも5重量%、好ましくは5〜15重量%の量で存在し、上記マスターバッチはISO 1133に従って求めた21.6kgの荷重下、200℃での高荷重メルトフローインデックスHLMI1が40g/10分以下であり、上記第1非晶質ポリマーのISO 1133Hに従って求めた5kgの荷重下、200℃でのメルトフローインデックスMFI1が少なくとも10g/10分であることを特徴とするマスターバッチ。
マスターバッチの総重量を基にして0.01〜4.0重量%の1つまたは複数の添加物をさらに含み、この1つまたは複数の添加物がワックス、トリステアリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびセチルトリメチルアンモニウムブロミドの中から選択される請求項1または2に記載のマスターバッチ。
第1非晶質ポリマーがポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンイミン、ポリフェニルスルホン、アクリロニトリルスチレンアクリレートまたはこれらの任意の組合せの中から選択され、好ましくは、第1非晶質ポリマーがポリスチレン、変性ポリスチレンまたはポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせの中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
カーボンナノチューブと第1非晶質ポリマーとを押出すことによってブレンドする工程a3)を共回転二軸スクリュー押出機で少なくとも250RPM、好ましくは少なくとも300RPMのスクリュー速度で行う請求項5に記載の方法。
ポリマー組成物とカーボンナノチューブとを含む複合材料の製造方法であって、上記ポリマー組成物が第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーとの混合物から成り、上記複合材料はISO 1358に従って決定した複合材料の総重量に対してカーボンナノチューブを0.05〜1.95重量%含み、上記複合材料の表面抵抗率は最大で1×104オーム/平方であり、さらに下記のb)〜d)の工程を含むことを特徴とする複合材料の製造方法:
b)第1非晶質ポリマーと、ISO 11358に従って決定されるマスターバッチの総重量に対して少なくとも5重量%、好ましくは5〜15重量%のカーボンナノチューブとのマスターバッチを用意し、ここで、上記第1非晶質ポリマーはISO 1133Hに従って5kgの荷重下、200℃で求めたメルトフローインデックスMFI1が少なくとも10g/10分であり、
c)ガラス転移温度Tg2をを有する第2非晶質ポリマーを用意し、
d)バレル温度をTg2+100℃〜Tg2+200℃、好ましくTg2+120℃〜Tg2+180℃の温度にした押出機でマスターバッチと第2非晶質ポリマーとを押出成形することによってブレンドする。
(上記ガラス転移温度はISO 11357−2−2013に従って決定する)
メルトフローインデックスMFI1を有する第1非晶質ポリマーとメルトフローインデックスMFI2を有する第2非晶質ポリマーを用い、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーをMFI1の値がMFI2の値の少なくとも2倍となるように選択する請求項7〜9のいずれか一項に記載方法。
複合材料が、ISO 11358に従って求めた複合材料の総重量を基にして0.05〜0.95重量%のカーボンナノチューブを含む請求項7〜10のいずれか一項に記載方法。
第1非晶質ポリマーおよび/または第2非晶質ポリマーがポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンイミン、ポリフェニルスルホン、アクリロニトリルスチレンアクリレートまたはこれらの任意の組合せの中から選択され、好ましくは第1非晶質ポリマーまたは第2非晶質ポリマーの少なくとも一方がポリスチレンであり、このポリスチレンがポリスチレン、変性ポリスチレンまたはポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせの中から選択される請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
請求項13に記載の複合材料で作られた物品、好ましくは単層シートであるか、異なる材料の少なくとも2つの共押出層を含む多層シートであり、この多層シートの少なくとも一つは請求項13に記載の複合材料で作られ、好ましくは多層シートが三層を有し、その外側層の少なくとも一つが請求項13に記載の複合材料で作られている物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、CNTの含有率を低くした導電性または散逸性である複合材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の観点から、本発明は、本発明の複合材料の製造方法で使用されるマスターバッチを提供する。本発明のマスターバッチは第1非晶質ポリマーとカーボンナノチューブとのブレンドからなり、このカーボンナノチューブはISO 11358に従って決定されるマスターバッチの総重量を基にして少なくとも5重量%含まれ、IS0 1133に従って決定される21.6kg荷重下、200℃での高荷重メルトフローインデックスHLMI1が40g/10分以下であり、上記第1非晶質ポリマーはIS0 1133Hに従って5kgの荷重下、200℃で測定したメルトフローインデックスMFI1が少なくとも10g/10分である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態で提供される、本発明の複合材料の製造方法で使用されるマスターバッチは第1非晶質ポリマーとカーボンナノチューブとのブレンドからなり、このマスターバッチはISO 11358に従って決定したマスターバッチの総重量を基にしたカーボンナノチューブの重量が5%〜15%であり、IS0 1133に従って決定した21.6kgの荷重下、200℃での高荷重メルトフローインデックスHLMI1が40g/10分以下であり、上記第1非晶質ポリマーはIS0 1133Hに従って決定した5kgの荷重下、200℃で測定したメルトフローインデックスMFI1が少なくとも10g/10分である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、上記マスターバッチはCEI 60167に従って決定した表面抵抗率が最大で1×10
2オーム/平方である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、上記マスターバッチはIS0 1133に従って決定した21.6kg荷重下、200℃での高荷重メルトフローインデックスHLMI1が30g/10分以下、好ましくは20g/10分以下である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、上記マスターバッチはさらに、1つまたは複数の添加物をマスターバッチの総重量を基にして0.01〜4.0重量%含む。この一つまたは複数の添加剤はワックス、トリステアリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エルシルアミド、オレイン酸アミド、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびセチルトリメチルアンモニウムブロミドの中から選択される。
【0014】
好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーはポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル、ポリ(メチル)メタアクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(p-フェニレンオキシド)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンイミン、ポリフェニルスルホン、アクリロニトリルスチレンアクリレートまたはこれらの任意の組合せの中から選択され、。好ましくは、第1非晶質ポリマーはポリスチレン、ポリスチレン、変性ポリスチレンまたはポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせの中から選択される。
【0015】
本発明の第2の態様から、本発明は、下記工程a1)〜a3)を含むマスターバッチの製造方法を提供する:
a1)カーボンナノチューブを用意し、
a2)第1非晶質ポリマーを用意し、この第1非晶質ポリマーはガラス転移温度Tg1を有し、IS0 1133Hに従って決定される5kg荷重下、200℃でのメルトフローインデックスが少なくとも10g/10分であり、必要に応じてマスターバッチの総重量を基にして1つまたは複数の添加剤を0.01〜4.0重量%含むことができ、この1つまたは複数の添加剤はワックス、トリステアリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびセチルトリメチルアンモニウムブロミドの中から選択され、
a3)上記カーボンナノチューブと第1非晶質ポリマーとを、バレル温度をTg1からTg1+80℃、好ましくはTg1+5℃からTg1+50℃の範囲の温度にして押出すことでブレンドする。
上記のガラス転移温度はISO 11357−2−2013に従って決定される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、カーボンナノチューブと第1非晶質ポリマーとの押出しによるブレンドス工程a3)は共回転二軸スクリュー押出機でスクリュー速度を少なくとも250RPM、好ましくは少なくとも300RPMにして行う。
【0017】
上記プロセスは本発明の第1の態様によるマスターバッチの製造に特に適している。
【0018】
本発明の第3の態様から、本発明はポリマー組成物とカーボンナノチューブとを含む複合材料の製造方法を提供する、上記ポリマー組成物は第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーの混合物を含む複合材料であり,この複合材料はISO 11358に従って決定される複合材料の総重量を基にして0.05〜1.95重量%のカーボンナノチューブを含み、さらに、その表面抵抗率は最大で1×10
4オーム/平方であり、上記製造方法は下記の工程b)〜d)を含む:
b)第1非晶質ポリマーと、ISO 11358に従って決定されるマスターバッチの総重量を基にして少なくとも5重量%、好ましくは5〜15重量%のカーボンナノチューブとを含むマスターバッチを用意し、第1非晶質ポリマーはIS0 1133Hに従って決定される5kgの荷重下、200℃でのメルトフローインデックスMFI1が少なくとも10g/10分であり、
c)ガラス転移温度Tg2を有する第2非晶質ポリマーを用意し、
d)バレル温度をTg2+100℃からTg2+200℃の範囲の温度にして押出機で押出すことによって上記マスターバッチと第2非晶質ポリマーとをブレンドする。
ガラス転移温度はISO 11357−2−2013に従って決定する。
【0019】
上記方法で使用するマスターバッチは本発明の第一の態様によるマスターバッチであるのが好ましい。
【0020】
本発明の複合材料の製造方法の好ましい実施形態では、マスターバッチを用意する工程b)の前に本発明の第2の態様によるマスターバッチの製造工程を有する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーがメルトフローインデックスMFI1を有し、第2非晶質ポリマーがメルトフローインデックスMFI2を有し、本発明方法がさらに、MFI1の値がMFI2の値の少なくとも2倍となるように第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーを選択する工程を含む。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、複合材料はISO 11358に従って決定される複合材料の総重量を基にしてカーボンナノチューブを0.05〜0.95重量%の比率で含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーおよび/または第2非晶質ポリマーがポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン− スチレン、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル)、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(p−フェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンイミン、ポリフェニルスルホン、アクリロニトリルスチレンアクリレートまたはこれらの任意の組合せの中から選択される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーまたは第2非晶質ポリマーの少なくとも一方はポリスチレンであり、このポリスチレンはポリスチレン、変性ポリスチレンまたはポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせから選択される。
【0025】
本発明の第4の観点から、本発明はポリマー組成物とカーボンナノチューブ(CNT)とを含む複合材料を提供する。この複合材料は、
1)ISO 11358に従って決定される複合材料の総重量を基にして0.05〜1.95重量%のカーボンナノチューブを含み、
2)カーボンナノチューブの一部は凝集体の形をしており、ASTM D−2663−14に従って決定されるこの凝集体の面積率(agglomerate area fraction)は2.5%以下で、
3)CEI 60167に従って決定される表面抵抗率は1×10
4オーム/平方以下、好ましくは9×10
3オーム/平方以下である。
【0026】
この複合材料は本発明の第3の態様による方法で製造されるのが好ましい。
【0027】
本発明はさらに、本発明の第4の態様による複合材料から成る成形品を包含する。
【0028】
すなわち、本発明は本発明の第4の態様で定義の複合材料で作られた物品を提供する。この物品はシートであるのが好ましい。
【0029】
上記物品は本発明の複合材料からなるか、少なくとも2つの共押出層を含む多層シートで、その層の少なくとも一つが本発明による複合材料からなり、好ましくは3層を含み、外側層の少なくとも1つが本発明による複合材料からなるのが好ましい。
【0030】
本発明はさらに、ブロー成形、射出成形、回転成形または射出ブロー成形から選択されるプロセスを用いた上記物品の製造での本発明複合材料の使用を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。以下に定義する各態様は特に明記しない限り、任意の他の観点または態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であるとして記載した任意の特徴は、好ましいまたは有利であると記載した任意の他の特徴と組み合わせることができる。
【0033】
マスターバッチおよび複合材料の定義
本発明のマスターバッチは、第1非晶質ポリマーとカーボンナノチューブとのブレンドから成り、カーボンナノチューブはマスターバッチの総重量を基にして少なくとも5重量%、好ましくは5〜15重量%含まれ、IS0 1133(21.6kg−200℃)で測定した高負荷メルトフローインデックスHLMI1が40g/10分以下、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下、最も好ましくは18g/10分以下である。
【0034】
「非晶質ポリマー」という用語は結晶化することができないポリマーすなわち結晶性ポリマーではないポリマーを意味する。ガラス転移温度は硬くて相対的に脆い状態から溶融またはゴム状状態へ可逆的に遷移する温度である。非晶質ポリマーのガラス転移温度はISO 11357−2−2013:に記載の方法で決定することができる。
【0035】
マスターバッチのHLMIは、所定HLMI1を有する第1非晶質ポリマーど、このポリマーとブレンドされた適切な含有量のCNTとを選択することで得られる。特定の理論に束縛されるものではないが、マスターバッチのHLMIはCNTが存在するためと、マスターバッチの上記製造方法でのブレンド条件とによって、第1非晶質ポリマーのHLMI1以下になると考えられる。第1非晶質ポリマーのHLMI1が同じであればマスターバッチのHLMIはマスターバッチ中のCNTの含有量が増加すると減少する
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、マスターバッチはカーボンナノチューブをマスターバッチの総重量を基にして最大で15重量%、好ましくは最大で13重量%含み、その表面抵抗率は最大で1×10
2オーム/平方であり、マスターバッチはマスターバッチの総重量を基にしてカーボンナノチューブを最大で11重量%で含み、その表面抵抗率は最大で1×10
2オーム/平方であるのが好ましい。
【0037】
第1非晶質ポリマーのIS0 1133Hに従って測定した5kg荷重下、200℃でのメルトフローインデックスMFI1は少なくとも10g/10分、好ましくは少なくとも15g/10分、より好ましくは少なくとも18g/10分、好ましくは少なくとも20g/10分、より好ましくは少なくとも25g/10分である。一つの実施形態では、MFI1は最大で300g/10分、好ましくは最大で100g/10分、より好ましくは最大で60g/10分、最も好ましくは最大で40g/10分である。
【0038】
必要な場合には、MFIを求めるために第1非晶質ポリマーを以下の方法を使用してマスターバッチから抽出することができる:
1)各種の分析で必要とされる純粋なPSに必要な量を得るために、全ての添加物を考慮してサンプルの量を計量する(MFIの決定では約7gの重さ)。
2)(THFを収容できる大きさの白色ボトルを使用して)サンプルを一定容積のテトラヒドロフラン(THF)に溶解する(溶液の±1%に相当する過剰量のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)と一緒に)。
3)GPC_BT(±50rpm)に使用されるシェーカーテーブル上で少なくとも一晩震盪する。
4)真空機器を使用してTHFを濾過する。
5)次に、平らなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター0.22μmで覆われた焼結ガラス上で濾過する。
6)濾過がほとんど終わった時にPTFEフィルターを交換する。
7)濾過完了後、溶解したペレットを収容したボトルを3回濯ぐ。
8)濾過された溶液に数百ppmに対応する少量のAOX(1076)を加える。
9)水浴(95℃)中、大型アルミカプセルで蒸発させる。
10)蒸発完了後、カプセルを80℃の真空オーブン中に一晩入れて完全乾燥残留物にする。
11)最後に、デシケーター中で放冷し、回収した純粋なPSのMFIを測定する。
【0039】
本明細書で使用する「マスターバッチ」という用語は、ポリマー中に活性物質(例えばカーボンナノチューブ(CNT))の濃縮物を表し、このマスターバッチは後に他のポリマー(これはマスターバッチ中に既に含まれている上記ポリマーと相溶または非相溶なもの)中に組み込まれる(添加される)ものを意味する。スターバッチを使用することで、CNT粉末を直接取り込んだ(添加した)場合と比較して、プロセスをより簡単に工業規模に適応させることができる。
【0040】
マスターバッチは、マスターバッチの総重量を基にしてカーボンナノチューブを少なくとも5重量%含む。マスターバッチはマスターバッチの総重量を基にしてカーボンナノチューブを少なくとも8重量%を含むのが好ましい。マスターバッチはマスターバッチの総重量を基にしてカーボンナノチューブを少なくとも10重量%含むのが好ましい。
【0041】
マスターバッチはマスターバッチの総重量を基にしてカーボンナノチューブを15重量%以下の量で含むのが好ましい。マスターバッチはカーボンナノチューブをマスターバッチの総重量を基にして最大で13重量%以下の量で含むのが好ましい。
【0042】
本発明のマスターバッチは複合材料を作るのに使用される。本発明の複合材料はポリマー組成物とカーボンナノチューブ(CNT)とを含み、このポリマー組成物は第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーとの混合物からなり、複合材料は複合材料の総重量を基にして0.05〜1.95重量%のカーボンナノチューブを含み、その表面抵抗率は最大で1×10
4オーム/平方である。
【0043】
マスターバッチの第1非晶質ポリマーは複合材料の第1非晶質ポリマーでもあるということは理解できよう。後にマスターバッチが組み込まれる上記他のポリマーは第2非晶質ポリマーである。上記のマスターバッチの製造方法と複合材料の製造方法は複合材料の説明で示した第1非晶質ポリマーおよび第2非晶質ポリマーの定義およびその逆の定義を含む。
【0044】
第1非晶質ポリマーおよび第2非晶質ポリマーで使用される本発明の非晶質ポリマーはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリ塩化ビニル)(PVC)、ポリブタジエン(PBU)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(p−フェニレンオキシド)(PPO)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、またはこれらの任意の組み合わせの中から選択される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーはポリスチレン、変性ポリスチレン、ポリスチレンと変性ポリスチレンとの混合物であり、第1非晶質ポリマーはポリスチレン、例えば汎用ポリスチレン(GPPS)であるのが好ましい。
【0046】
一つの実施形態では、第1非晶質ポリマーおよび第2非晶質ポリマーはポリマーのタイプが互いに異なる。例えば、一方の非晶質ポリマーはポリスチレンで、他方はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンまたはスチレン−アクリロニトリルである。別の例では、一方の非晶質ポリマーがスチレンアクリロニトリルで、他方がポリスチレンとポリブタジエンとの混合物である。
【0047】
本発明の実施形態では、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーは分子量が互いに異なる。
【0048】
本発明の実施形態では、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーはメルトフローインデックス(MFI)が互いに異なる。MFIはISO 1133に従って決定される。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーが同じタイプのポリマーで、分子量が互いに異なる。本発明の好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーの両方がポリスチレンから選択され、第1または第2のポリスチレンの一方は80000〜120000g/モルの範囲の分子量を有し、他方は160000〜240000g/モルの範囲の分子量を有する。複合材料のポリマー組成物は二峰性を示す。第1非晶質ポリマーが最も低い分子量を有するのが好ましい。
【0050】
ポリマー組成物で使用するのに適したポリスチレンの非限定的な例としてはポリスチレン(例えば汎用ポリスチレン、GPPS)、変性ポリスチレン(例えば耐衝撃性ポリスチレン−HIPS)またはポリスチレと変性ポリスチレンとの組み合わせが挙げられる。ポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせとはポリスチレンと変性ポリスチレンの任意の混合物と理解されるべきである。
【0051】
第1非晶質ポリマーまたは第2非晶質ポリマーの少なくとも一方はポリスチレン、変性ポリスチレンまたはポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせの中から選択するのが好ましい。本発明の一つの実施形態では、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーの両方がポリスチレン、変性ポリスチレンまたはポリスチレンと変性ポリスチレンとの組み合わせの中から選択される。この実施形態では、第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーのそれぞれの分子量および/またはそれぞれのメルトフローインデックスが異なるのが好ましい。
【0052】
変性ポリスチレンでは、スチレンの一部がスチレンと共重合可能な不飽和モノマーで置換されたものにすることができる。この不飽和モノマーの例としてはα−メチルスチレンまたは(メタ)アクリレートが挙げられる。他の例としてはクロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体(メチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルアクリレート)、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体(メチル、エチル、ブチル、フェニルメタクリレート)、スチレンメチルクロロ共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸アルキルコポリマーが挙げられる。
【0053】
本発明で使用されるポリスチレンはスチレンの単独重合体またはコポリマー、α−メチルスチレンおよびパラメチルスチレンにすることができ、好ましくはポリスチレンのホモポリマーにする。
【0054】
ポリスチレンは多くの方法で製造できる。これらの製造方法は当業者に周知である。ポリスチレンの製造方法の例は特許文献1(欧州特許第EP2401311号公報)に記載されている。耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の製造方法は特許文献2(米国特許出願公開第US2012/0289656号明細書)に記載されている。
【0055】
本発明の組成物で使用する変性ポリスチレンはゴム変性にすることができる。このゴムは種々の方法、好ましくは乳化重合または溶液重合で製造でき、これらの方法は当業者に周知である。ゴムが存在する場合、ゴムはゴム変性ポリスチレンの総重量に対して約3〜15重量%の量で存在する。特に有用なゴムはポリブタジエンである。変性ポリスチレンはゴム変性ポリスチレンであるのが好ましい。
【0056】
一つの実施形態では、ゴム変性ポリスチレンは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である。このHIPSの製造方法は当業者に周知である。HIPSの製造方法の例は溶解したゴムの存在下でスチレンモノマーを重合する方法である。スチレン(および任意成分のコモノマー)の重合は加熱および/または開始剤、例えばラジカル開始剤によって開始できる。ゴムがスチレンモノマー中に「溶解」することになる。HIPSの製造で使用される通常のタイプのゴムにはポリブタジエン(PBU)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)が挙げられる。ポリスチレンがスチレンの均質ゴム溶液中でスチレン系単量体から最初に形成される。HIPSではスチレンの一部が不飽和モノマーで置換される。この不飽和モノマーはスチレンと共重合可能なもので、例えば他のモノビニル芳香族モノマー、アクリル酸またはメタクリル酸およびアクリロニトリルのアルキルエステルである。HIPSを製造するのに適した方法の非限定的な例は特許文献3(米国特許出願公開第USUS2010/240832号明細書)に記載されている。このとの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
変性ポリスチレンはHIPSまたはポリスチレンとHIPSの混合物であるのが好ましい、
【0058】
一つの実施形態では、複合材料は第1非晶質ポリマーおよび第2非晶質ポリマーと上記カーボンナノチューブとの溶融ブレンド生成物から成る。
【0059】
本明細書で使用する「溶融ブレンド」という用語は、剪断力、伸長力、圧縮力、超音波エネルギー、電磁エネルギー、熱エネルギーまたはこれらの力またはエネルギーの少なくとも一つを含む組合せを使用し、加工機器で実施することを含む。上記の力は単一スクリュー、多軸スクリュー、共回転スクリューまたは逆回転スクリュー、往復動スクリュー、ピン付きスクリュー、ピン付きバレル、ロール、ラム、螺旋ローターまたはこれらの少なくとも一つを含む組合せによって与えることができる。この溶融ブレンドは単一スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、バス(Buss)ニーダー、アイリッヒ(Eirich)ミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリコーンミキサー、ロスミキサー、バンバリーミキサー、ロールミル、射出成形機、真空成形機、ブロー成形機等の成形機またはこれらの機械の少なくとも一つを含む組合せで行うことができる。組成物の溶融または溶液ブレンディングでは一般に組成物に約0.01〜約10キロワット時/キログラム(kwhr/kg)の比エネルギーを与えるのが望ましい。好ましい実施形態では、溶融ブレンドが二軸押出機、例えばブラベンダー共回転二軸スクリュー押出機および/またはライストリッツ押出機で行われる。
【0060】
一つの実施形態では、複合材料はカーボンナノチューブを複合材料の総重量を基にして最大で1.75重量%、例えば最大で1.50重量%で、例えば最大で1.25重量%、例えば最大で1.00重量%、例えば例えば最大で0.95重量%、例えば最大で0.90重量%含む。
【0061】
別の実施形態では、本発明の複合材料は複合材料の総重量に対してカーボンナノチューブを少なくとも0.05重量%、好ましくは0.10重量%含む。例えば、本発明の複合材料は少なくとも0.30重量%のカーボンナノチューブ、例えば、組成物の総重量に対してカーボンナノチューブを少なくとも0.40重量%、例えば少なくとも0.45重量%含むことができ、より好ましくは、複合材料の総重量に対して少なくとも0.50重量%、好ましくは少なくとも0.55重量%、より好ましくは少なくとも0.60%、好ましくは少なくとも0.65%、最も好ましくは少なくとも0.70含むことができる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、複合材料はカーボンナノチューブを複合材料の総重量を基にして0.05〜0.95重量%、好ましくは0.30〜0.95重量%含む。
【0063】
本発明で使用するのに適したカーボンナノチューブは一般に1nm〜500nmの寸法を有することで特徴付けられる。この寸法の定義は2次元のみに限定できる。すなわち、三次元では上記限界外でもよい。
【0064】
「ナノチューブ」ともよばれるカーボンナノチューブに適したものは形状が円筒形で構造的にフラーレン、例えばバックミンスターフラーレン(C
60)に関連したものにすることができる。適したカーボンナノチューブは末端が開放型のものまたはキャップさたものにすることができる。エンドキャップの例はバックミンスターフラーレン型の半球にすることができる。本発明で使用するのに適したカーボンナノチューブは全重量の90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは99%以上、最も好ましくは99.9%以上が炭素から成ることができるが、他の原子が少量存在していてもよい。
【0065】
本発明で使用する適切なカーボンナノチューブは当該技術分野で公知の任意の方法で製造でき、炭化水素の触媒分解、触媒炭素蒸着(CCVD)とよばれる技術で製造できる。カーボンナノチューブを製造する他の方法にはアーク放電法、炭化水素のプラズマ分解または選択されたポリオレフィンを選択された酸化条件下で熱分解する方法が含まれる。出発炭化水素はアセチレン、エチレン、ブタン、プロパン、エタン、メタンまたはその他のガス状または揮発性炭素含有化合物にすることができる。触媒を使用する場合、触媒はそのまま使用するか、担持させた形態で使用する。担体の存在で触媒の選択性が大きく向上するが、カーボンナノチューブが担体粒子で汚染され、熱分解中に煤およびアモルファスカーボンが生じる。これらの不純物、副生成物は精製して除去することができる。この精製は以下の2つのステップで行うことができる。
1)担体粒子を溶解させる(一般には担体の種類に応じた適切な薬剤を用いて担体粒子を溶解させる)。
2)熱分解炭素成分を除去する(一般には酸化または還元する方法で除去する)。
【0066】
カーボンナノチューブは単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)すなわち単一壁を有するナノチューブと複数の壁を有するナノチューブとして存在することができる。単層カーボンナノチューブでは1原子厚さのシート、例えば1原子厚のグラファイトのシート(グラフェンもよばれる)がシームレスに巻かれて円筒を形成している。多層カーボンナノチューブはこのような円筒が複数枚同心円状に配置されている。多層カーボンナノチューブの配置は、より大きな人形を開くとより小さい人形が出てくる、いわゆるロシア人形モデルで記載できる。
【0067】
一つの実施形態では、カーボンナノチューブは多層カーボンナノチューブで、好ましくは平均して5〜15枚の壁を有する多層カーボンナノチューブである。
【0068】
カーボンナノチューブは、一壁であるか多重壁であるかに関係なく、その外径またはその長さまたはこれらの両方によって特徴付けることができる。
【0069】
単層カーボンナノチューブはその外径が少なくとも0.5nm、好ましく少なくとも1nm、より好ましくは少なくとも2nmであることで特徴付けられる。好ましくは、単層カーボンナノチューブの外径は50nm以下、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは最大で10nmである。単層ナノチューブの長さは少なくとも0.1μm、より好ましくは少なくとも1μm、さらに好ましくは少なくとも10μmあるのが好ましい。この長さは最大で50mm、より好ましくは25mmであるのが好ましい。
【0070】
多層カーボンナノチューブはその外径が少なくとも1nm以上、好ましくは少なくとも2nm、4nm、6nmまたは8nm、最も好ましくは少なくとも10nmであることで特徴付けられる。好ましい外径は100nm以下、好ましくは80nm以下、60nm以下または40nm以下、最も好ましくは最大で20nmである。最も好ましくは、外径は10〜20nmの範囲にある。多層ナノチューブの好ましい長さは少なくとも50nm、好ましくは少なくとも75nm、最も好ましくは少なくとも100nmである。その好ましい長さは最大で20mmの、好ましくは最大で10mm、500μm、250μm、100μm、75μm、50μm、40μm、30μmまたは20μmであり、最も好ましくは最大で10μmである。最も好ましい長さは100nm〜10μmの範囲にある。一つの実施形態では、多層カーボンナノチューブの平均外径が10mm〜20mmの範囲にあるか、平均長さが100nm〜10μmの範囲にあるか、これら両方の範囲にある。
【0071】
好ましいカーボンナノチューブは200〜400m
2/gの表面積を有するカーボンナノチューブである(ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller(BET)法で測定)。
【0072】
好ましいカーボンナノチューブは壁の平均数が5〜15枚であるカーボンナノチューブである。
【0073】
市販の多層カーボンナノチューブの非限定的な例はArkema社のGraphistrength(登録商標)100、Nanocyl社のNanocyl(登録商標)NC7000、CNano Technolog社のFloTube(登録商標)9000、Bayer Material Science社のBaytubes(登録商標)C150Bである。
【0074】
本発明の一つの実施形態では、複合材料は1つまたは複数の添加剤を含む。この添加剤は酸化防止剤、抗酸材、UV吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、酸捕捉剤、潤滑剤、核剤/清澄剤、着色剤または過酸化物からなる群の中から選択される。適した添加剤の概要は下記非特許文献1に記載されている。この文献の全体が参考として本明細書に援用される。
【非特許文献1】Plastics Additives Handbook, ed. H. Zweifel, 5th edition, 2001, Hanser Publishers
【0075】
本発明はさらに複合材料にも関するものである。この複合材料はその総重量を基にして0〜10重量%の少なくとも1つの添加剤、例えば酸化防止剤を含む。好ましい実施形態では、上記複合材料は複合材料の総重量を基にして5重量%以下の添加剤を含み、例えばむ複合材料の総重量を基にして0.1〜3重量%の添加剤を含む。
【0076】
一つの実施形態では、上記複合材料が酸化防止剤を含む。好ましい酸化防止剤の例はフェノール系酸化防止剤、例えばペンタエリトリトールテトラキス[3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](本明細書ではIrganox1010とよぶ)、トリス(2,4−ジtert−ブチルフェニル)ホスフィット(本明細書ではIrgafos168とよぶ)、3DL−α−トコフェロール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ジブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸ステアリルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシヒドロ酸、2,2'−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパンアミド、N、N'−1、6−ヘキサンジイルビス[3,5−ビス(1,1ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(酸化防止剤1098)、ジエチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、カルシウムビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ホスホネート]、トリエチレングリコールビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(酸化防止剤245)、6,6'−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデンジ−m−クレゾール、3,9−ビス(2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ、1,1ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、(2,4,6−トリオキソ−1、3,5−トリアジン−1、3,5(2H、4H、6H)−トリル)トリエチレントリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(4−tert−ブチルブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、エチレンビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2,6−ビス[[3−(1,1ジメチルエチル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデニル]−4−メチル−フェノールである。
【0077】
適した抗酸化剤にはさらに、二機能性フェノール系酸化防止剤、例えば4,4'−チオ−ビス(6−tert−ブチル−m−メチルフェノール)(酸化防止剤300、2,2'−スルファンジイル(Sulfanediyl)ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(酸化防止剤2246−S)、2−メチル−4,6−ビス(オクチルすルファニル)フェノール、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、ビス(1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(1,1ジメチルエチル)−6−[[3−(1,1ジメチルエチル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メチル]−4−メチルフェニルアクリレートおよびCASのNo.128961−68−2(Sumilizer GS)が含まれる。
【0078】
好ましい酸化防止剤にはさらにアミン系酸化防止剤、例えばN−フェニル−2−ナフチルアミン、ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)、N−イソプロピル−N'−フェニル、P−フェニレンジアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、CASのNo.68411−46−1(酸化防止剤5057)および4,4−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(酸化防止剤KY405)が含まれる。酸化防止剤はペンタエリスリトールテトラキス[3−(3'、5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1010)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット(Irgafos168)またはこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0079】
複合材料はさらにスチレン系共重合体を含むことができる。このスチレン系共重合体はスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)から選択するのが好ましい。
【0080】
上記スチレン系共重合体はスチレン系ブロック共重合体であるのが好ましい。適したスチレンブロックコポリマーは少なくとも2つのモノアルケニルアレーンブロック、好ましくは飽和共役ジエンブロック、例えば飽和ポリブタジエンブロックによって分離された2個のポリスチレンブロックを含む。適した不飽和ブロックコポリマーは式:A−B−R(−B−A)nはまたはA
X−(BA−)y−BAで表されるものであるが、これに限定されない。ここで、各Aは、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレンを含むポリマーブロックであり、各Bは共役ジエン、例えばイソプレン、ブタジエンを含み、必要に応じてスチレンのようなビニル芳香族モノマーをさらに含むポリマーブロックであり、Rは多官能性カップリング剤の残基であり(Rが存在する場合、ブロックコポリマーは星型または分岐状ブロック共重合体にすることができる)、nは1〜5の整数、xは0または1であた、yは0〜4の実数である。
【0081】
本発明の複合材料は優れた導電散逸導電性を有する。ターゲット抵抗率は各用途に依存する(ANSI−ESD F541−2008)。
【0082】
本発明の複合材料は最大で5×10
3オーム/平方の表面抵抗率を有し、好ましくは最大で4×10
3オーム/平方の表面抵抗率を有する。この表面抵抗率はASTM−D257に記載の方法を用いて測定する。その方法は実施例の項で説明する。
【0083】
本発明の複合材料では、カーボンナノチューブの一部が凝集体(agglomerate、凝集粒子)の形をしている。この凝集体の面積率(agglomerate area fraction)はASTM D−2663−14に従って測定した時に2.5%以下、、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0084】
本発明の複合材料は典型的な射出成形、押出成形および延伸ブロー成形の用途に適しているが、熱成形、発泡成形および回転成形することもできる。この方法に従って製造された物品は単層または多層にすることができ、その層の少なくとも1つを本発明の複合材料で構成できる。
【0085】
本発明複合材料から作られた物品は、一般に材料のハンドリングや電子機器、例えば静電散逸または電磁シールドが特に要求されるチップキャリア、コンピュータ、プリンタ、複写機等の部品の包装フィルム、シート、熱成形物体として利用することができる。形成された物品はパッケージングからなるのが好ましい。形成された物品はエレクトロニクスパッケージングからなるのが好ましい。
【0086】
本発明は少量のCNTを含む新規な導電−散逸性組成物と、それから得られる材料とを提供する。この材料はこの複合材料の総重量を基にして1.9重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、最も好ましくは0.9重量%以下のカーボンナノチューブを含む。
【0087】
本発明の複合材料は、カーボンブラックを充填した従来の導電散逸化合物と比較して経済的に有利である。
【0088】
マスターバッチおよび複合材料を製造する方法の定義
本発明はさらに、上記定義のマスターバッチの製造方法にも関するものである。
本発明のマスターバッチの製造方法は以下のa1)〜a3)の工程を含む:
a1)カーボンナノチューブを用意する。
a2)第1非晶質ポリマーを用意する。この第1非晶質ポリマーはガラス転移温度Tg1を有し、IS0 1133に従って5kgの荷重下、200℃で測定したメルトフローインデックスMFI1が少なくとも10g/10分であり、必要に応じてマスターバッチの総重量を基にして0.01〜4.0重量%の1つまたは複数の添加剤を含むことができ、この1つまたは複数の添加剤はワックス、トリステアリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびセチルトリメチルアンモニウムブロミドから選択され、
a3)バレル温度をTg1〜Tg1+80℃の範囲の温度にした押出機で押出すことで上記カーボンナノチューブと上記第1非晶質ポリマーとを一緒にブレンドする。
【0089】
一つの実施形態では、カーボンナノチューブと第1非晶質ポリマーとを押出しブレンドする工程a3)を共回転二軸スクリュー押出機でスクリュー速度を少なくとも250RPM、好ましくは少なくとも300RPMにして行う。
【0090】
一つの実施形態では、上記押出しを、バレル温度を少なくともTg1+5℃、好ましくは少なくともTg1+10℃にした押出機で行う。別の実施形態では、上記押出しを、バレル温度をTg1+60℃以下、より好ましくはTg1+50℃以下にした押出機で行う。
【0091】
すなわち、本発明のマスターバッチは低温度かつ高スクリュー速度で作られる。
【0092】
マスターバッチを作る時には、CNTとポリマー粉末とをミキサーで混合することができる。このミキサーは加工装置に組み込まれていても、加工装置の上流に配置されていてもよい。
【0093】
この粉末混合、ブレンドおよびマスターバッチはブラベンダー(Brabender)、Z−ブレードミキサー(Z-blade mixer)または押出機型の混合装置で実施される。
本発明は上記定義のマスターバッチの製造方法を包含する。
【0094】
本発明の複合材料を製造するための本発明方法は以下b)〜d)の工程を含む:
b)第1非晶質ポリマーと、マスターバッチの総重量を基にして少なくとも5重量%、好ましくは5〜15重量%のカーボンナノチューブとを含むマスターバッチを用意し、ここで、上記第1非晶質ポリマーは少なくとも10g/10分のメルトフローインデックスMFI1を有し、
c)ガラス転移温度Tg2をを有する第2非晶質ポリマーを用意し、
d)バレル温度をTg2+100℃〜Tg2+200℃の範囲にして上記マスターバッチと第2非晶質ポリマーとを押出機で押出してブレンドする。
【0095】
本発明の好ましい実施態様では、上記方法で使用されるマスターバッチは上記定義に従うマスターバッチである。
【0096】
一つの実施形態では、上記押出を、バレル温度を少なくともTg2+120℃、好ましくは少なくともTg2+110℃にした押出機で行う。別の実施形態では、上記押出を、バレル温度をTg2+180℃以下、より好ましくはTg2+170℃以下にした押出機で行う。
【0097】
本発明の好ましい実施形態では、第2非晶質ポリマーは変性ポリスチレンであり、好ましくは、第2非晶質ポリマーはHIPSである。
【0098】
一つの実施形態では、本発明の複合材料の製造方法は、マスターバッチを用意する工程b)の前に、上記定義のマスターバッチの製造工程を含む。
【0099】
一つの好ましい実施形態では、第1非晶質ポリマーはメルトフローインデックスMFI1を有し、第2非晶質ポリマーはメルトフローインデックスMFI2を有し、本発明の複合材料の製造方法が、MFI1の値がMFI2の値の少なくとも2倍となるように第1非晶質ポリマーと第2非晶質ポリマーとを選択する工程を含む。好ましくは、MFI1の値はMFI2の値の少なくとも3倍である。好ましくは、メルトフローインデックスMFI2は5g/10分以下、より好ましくは4g/10分以下である。
【0100】
第2非晶質ポリマーよりも流動性の高い第1非晶質ポリマーを使用することで、第1非晶質ポリマーを含むマスターバッチを第2非晶質ポリマー中に希釈するのが容易になる。さらに、CNTの一次凝集体の分散に関してはマトリックスポリマー鎖の凝集体細孔中への浸透(infiltration)プロセスが最初のステップになる。流体樹脂ではこの浸透がより速くなる。高粘度の第2非晶質ポリマーを使用すると、複合材料を製造する際にマスターバッチを第2非晶質ポリマー中に容易に分散できる。事実、高粘性のマスターバッチは低粘度の樹脂中に均一に分散させることは困難である。
【0101】
本発明では、マスターバッチの製造時に第1非晶質ポリマーが低い押出温度で処理されるので第1非晶質ポリマーの粘度が高くなる。この粘度が高くなると一次CNT凝集体に大きな剪断応力が加わり、そらのサイズが減少し、CNTの分散性が増加する。
【0102】
本発明では、マスターバッチが高い温度で第2非晶質ポリマーとブレンドされるので、第1非晶質ポリマーの粘度が低くなり、CNTの移動度(mobility)が高くなる。その結果、CNTのナノ凝集化(nanoagglomeration)が有利になり、CNTの電気的パーコレーション(percolation、浸透)が形成される。CNTの移動度の制約が小さくなると上記パーコレーションは容易になる。
【0103】
第2非晶質ポリマーは、IS0 1133(21.6kg、200℃)に従って測定した高荷重メルトフローインデックスHLMI2が30g/10分以上、好ましくは40g/10分以上、より好ましくは50g/10分以上であることで特徴付けられる。
【0104】
以下、本発明を実施例によって説明するが、以下の実施例は単なる例示で、本発明の範囲を限定するものではないということは理解できよう。
【実施例】
【0105】
本発明ブレンドを2段階プロセスで製造した。この本発明ブレンドはポリスチレンと、耐衝撃性ポリスチレンと、カーボンナノチューブとから成る。
【0106】
方法
ブレンド中のカーボンナノチューブの含有量(CNTの重量%)はISO 11358およびASTME 1131に従って、Mettler Toledo STAR TGA DSC 1装置を使用して、熱重量分析(TGA)によって決定できる。ブレンド中のカーボンナノチューブの含有量率(質量%)(%CNT)を求める前に、2〜3mgのナノチューブをTGAに配置してカーボンナノチューブの炭素の炭素含量(重量%)(%C−CNT)を測定した。材料を窒素中で(100ml/分)で20℃/分の速度で30℃から600℃まで加熱した。600℃でガスを空気(100ml/分)に切り替え、炭素を酸化し、カーボンナノチューブの炭素の含有量(重量%)(%C−CNT)を求める。%C−CNTの値は3回の測定の平均値にした。ブレンド中のカーボンナノチューブの含有量(重量%)(%CNT)を求めるために10〜20mgのサンプルをTGA内に配置した。材料を窒素中で(100ml/分)で20℃/分の速度で30℃から600℃まで加熱した。600℃でガスを空気に(100ml/分)に切り替え、炭素を酸化して試料中のカーボンナノチューブの炭素の含有量(%C−サンプル)を求める。この%C−サンプル値は3回の測定の平均値にした。サンプル中のカーボンナノチューブの含有量(重量%)(%CNT)はサンプル中のカーボンナノチューブ%の炭素の含有量(%Cサンプル)をカーボンナノチューブの炭素の含有量(重量%)(%C−CNT)で割り、100を掛けて求めた。
%CNT=(%C−サンプル/%C−CNT)×100
【0107】
ブレンドの表面抵抗率(SR)は2410 Source Meter(登録商標)装置を用いて測定した。使用した条件はCEI 60167およびNF C26−215試験方法に記載のものと同じにした。表面抵抗率(SR)は厚さ2mmの圧縮成形プラークで200℃で12分間、測定した。抵抗の測定は銀インクを用いた2本の導電性塗料の線からなる電極システムと、長さ25mm、幅1mm、間隔2mmの平行スリットを有する粘着マスクを用いて行った。テストを実行する前にサンプルを最低4時間、23℃/50%RHでコンディショニングした。オーム抵抗の測定値は下記の式を用いて正方形の測定領域でのオーム/平方で表した:SR=(R×L)/d。ここで、SRは正方形の測定領域での平均抵抗であり(一般に表面抵抗率とよばれ、Ω/□で表す)、Rは抵抗測定値(オーム)の平均値であり、Lは塗装ラインの長さ(cm)であり、dは電極間の距離(cm)である。L=2.5cm、d=0.2cm、SR=R×12.5。表面抵抗率(SR)値は3回の測定の平均値である。
【0108】
メルトフローインデックス(MFI)は所定温度でピストンに標準重量を加えてサンプルを標準ダイ(2.095×8mm)から押した時に流出する溶融したポリマーの重量である。このMFIはISO 1133Hに従って200℃の温度で5kgの荷重で測定した。
【0109】
高メルトフローインデックス(HLMI)はISO 1133に従って200℃の温度で21.6kgの荷重下で測定した。
ポリマーの密度はISO 1183に従って決定した。
ポリマーの分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
ガラス転移温度はISO 11357−2−2013に記載の方法で決定した。
凝集体の面積率(U%)はASTM D−2663−14に従って決定した。
【0110】
実施例1
マスターバッチの製造
本発明のマスターバッチM1〜M4
使用したカーボンナノチューブはNanocyl社から市販の多壁カーボンナノチューブのNanocyl(登録商標)NC 7000である。このナノチューブの表面積は250〜300m
2/g(BET法で測定)、炭素純度は約90重量%(熱重量分析で測定)、平均直径9.5nmおよび平均長さ1.5μm(透過型電子顕微鏡で測定)である。
【0111】
使用した第1非晶質ポリマーはポリスチレンで、そのメルトフローインデックス(ISO 1133H(200℃−5kg)は30g/10分、密度(ISO 1183)は1.05g/cm
3、曲げ弾性率(ISO 178)は2900MP)、表面抵抗率(ISO IEC93)は>10
14オームである。第1非晶質ポリマーの分子量Mwは112000g/モルである。従って、第1非晶質ポリマーのメルトフローインデックスは少なくとも10g/10分である。このポリスチレンのガラス転移温度Tgは104℃(Tg1)である。
【0112】
マスターバッチは従来の二軸スクリュー押出方法を用いて、ポリスチレンとカーボンナノチューブとを配合することによって調製した。カーボンナノチューブ粉末とポリスチレンとを、CNT含有量がブレンドの総重量を基にして約10重量%となるように押出機に導入した。マスターバッチはLeitztriz社の共回転二軸スクリュー押出機(L/D=52(D=27)で、M1およびM2ではバレル温度を110〜145℃にし、M3およびM4ではバレル温度を160〜175℃にして混合した。
熱電対で測定した溶融温度から、材料は約150℃〜200℃のバレル温度を有することが示された。溶融温度は押出機の冷却装置を使用して下げることができた。
【0113】
本発明のマスターバッチM1ではスクリュー速度を250rpm、スループット(吐出量)を14kg/時に固定した。本発明のマスターバッチM2〜M4ではスクリュー速度を500rpmに固定し、スループット(吐出量)は14kg/時にした。M3とM4では添加剤を導入した。
ここではバレル温度はTg1〜Tg1+80℃の間である104℃〜184℃にある。
【0114】
比較例のマスターバッチCM1〜CM3
CM1は市販のマスターバッチであるCNano Technology CP320-07である。このCM1はポリスチレンと、マスターバッチの全重量を基準にして7重量%のカーボンナノチューブFloTubeTM 9000とを含んでいる。CM1に使用されしているポリマーのメルトフローインデックスは未知であるが、製品のデータシートから、3.5重量%に希釈した時のマスターバッチのメルトフローインデックスは1.5g/10分である(ASTM D1238に従って200℃/5kg)。
【0115】
CM2は、市販のマスターバッチであるTimesnano社から市販のTNHIPSである。このCM2は変性ポリスチレンと、マスターバッチの全重量を基準にして10重量%のカーボンナノチューブTNIM4とを含む。CM2に使用されている変性ポリスチレン(HIPS)のメルトフローインデックスは2.7g/10分である(ASTM D1238に従って、200℃/5kg)。
【0116】
CM3はポリスチレンとカーボンナノチューブとを通常の二軸スクリュー押出方法を用いて配合したマスターバッチである。ブレンドの総重量を基にして約10重量%のCNT含有量が得られるように、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)であるTotal 8350を粉末状のカーボンナノチューブ(CNT)とブレンドした。このマスターバッチをL/D=52(D=27)のLeitztrizの共回転二軸スクリュー押出機で190〜210℃のバレル温度で混合した。使用したカーボンナノチューブはNanocyl社から商業的に入手可能な多層壁カーボンナノチューブであるNanocyl(登録商標)NC 7000である。CM2で使用している変性ポリスチレン(HIPS)のメルトフローインデックスは4.5g/10分である(200℃/5kg、ASTM D1238)。
【0117】
結果は[表1]に示す。この結果から、本発明のマスターバッチはHLMIが20g/10分以下である(IS0 1133に従って21.6kg、200℃)のに対して、市販のマスターバッチはこの逆であることが分かる。本発明のマスターバッチは市販のマスターバッチに比べて表面抵抗率特性が改善している。本発明のマスターバッチは比較マスターバッチCM3と比較してCNTの分散性が改善している。この分散性の改善は実施例2で見られるように複合材料でも証明されている。
【0118】
【表1】
【0119】
実施例2
複合材料の製造
第2非晶質ポリマーは変性ポリスチレン:耐衝撃性ポリスチレンである。本発明実施例および比較例の両方で同じ第2非晶質ポリマーを選択した。
【0120】
本発明実施例
高耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)はISO 1133Hに従って測定したメルトフローインデックス(200℃−5kg)が2.8g/10分であり、密度は1.04g/cm
3(ISO 1183)で、曲げ弾性率は1600MP(ISO 178)で、ISO IEC93に従って測定した表面抵抗率は>10
13オームである。この第2非晶質ポリマーのメルトフローインデックスは5g/10分を越えない。このHIPSのガラス転移温度(Tg2)は100℃である。第2非晶質ポリマーの分子量Mwは225000g/モルである。
このHIPSは、本発明のマスターバッチに用いられる第1非晶質ポリマーのメルトフローインデックスが第2非晶質ポリマーよりも高いメルトフローインデックスを有するように選択した。特に、第1非晶質ポリマーのメルトフローインデックスの値(すなわち30g/分)は第2の非晶質ポリマーのメルトフローインデックスの値(すなわち2.8g/分)の少なくとも2倍である。
【0121】
実施例E1
1重量%のCNTを含有する複合材料
上記マスターバッチを希釈工程において通常の一軸スクリュー押出方法を用いて第2非晶質ポリマーとブレンドした。第1および第2のポリマー組成物をホッパーから押出機に導入した。ブラベンダー一軸スクリュー押出機(L/D=25(D=19)をで使用して200℃のバレル温度で押出した。スクリュー速度は60rpmに固定した。
【0122】
実施例E2〜E4
0.9重量%のCNTを含有する複合材料
上記マスターバッチを希釈工程において通常の二軸スクリュー押出方法を用いて第2非晶質ポリマーとブレンドした。第1および第2のポリマー組成物を主供給装置を介して押出機に導入した。ブラベンダー二軸スクリュー押出機(L/D=40(D=20)で、220〜260℃のバレル温度で押出した。スクリュー速度は80rpmに固定し、スループットは2kg/時にした。
このバレル温度は、Tg2+120℃とTg+220℃の間である200℃〜300℃の間にある。
【0123】
比較例
比較例は本発明実施例と同じ処理および第2非晶質ポリマーを用いて製造した。違いは使用したマスターバッチにある。
結果は[表2]に示してある。この結果から、本発明方法によって本発明のマスターバッチを希釈したものは、カーボンナノチューブの濃度を低くしても、優れた表面抵抗率を有する複合材料が提供されることが分かる。本発明の複合材料は、市販のものから得られる比較例の複合材料よりも優れた表面抵抗率を示している。本発明の方法では、押出で使用するバレル温度を上げて得られる複合材料より表面抵抗率特性が改善している。
【0124】
凝集体面積率を求めた実施例E2と比較例C4は特に注目される。実施例E2は比較例より表面抵抗率特性が改善されるだけでなく、比較例C4と比較して、凝集体面積率が改善されている。[
図1]および[
図2]はそれぞれ実施例E2および比較例C4のCNT凝集体を示している。
【0125】
表面抵抗率特性に関して優れた結果は、先ず第1にマスターバッチ中へのCNTの分散性の改善によって得られ、次に、第2非晶質ポリマー中へのマスターバッチの希釈によって得られたものと考えられる。特定の理論に拘束されるものではないが、実施例E2と比較例C4との比較から分かるように、マスターバッチで使用する第1非晶質ポリマーの選択と、マスターバッチの製造方法がマスターバッチ中でのCNTの分散の質に影響を与えると考えられ。
【0126】
【表2】