特許第6012907号(P6012907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012907
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】表面処理または表面加工のための装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20161011BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20161011BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20161011BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20161011BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20161011BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B05C5/02
   B05B13/02
   B23K26/352
   B05D3/12 F
   B08B3/12 Z
   G01B7/00 101C
   G01B7/00 101E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-516501(P2016-516501)
(86)(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公表番号】特表2016-527073(P2016-527073A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】DE2014000374
(87)【国際公開番号】WO2015010680
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】102013012173.6
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513118306
【氏名又は名称】ツェットエス−ハンドリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ZS−Handling GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シルプ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ツィマーマン
(72)【発明者】
【氏名】アドルフ ツィツマン
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−248755(JP,A)
【文献】 特開2012−91122(JP,A)
【文献】 特開2011−100895(JP,A)
【文献】 特開2010−34309(JP,A)
【文献】 特開2006−205064(JP,A)
【文献】 特開2003−340386(JP,A)
【文献】 特表2002−536174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−9/08
12/00−17/08
B05C 1/00−21/00
B05D 1/00−7/26
B23K 26/00−26/70
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理または表面加工のための装置において、
該装置は、以下の特徴、すなわち、
・ 被加工物表面(2)に作用を及ぼすため、または、被加工物表面(2)を加工するためのアクチュエータ(5a〜5i)と、
・ 音波放出面を有しておりかつ前記アクチュエータ(5a〜5i)に機械的に固定して接続されており、これによって作業ユニット(3)を構成する少なくとも1つのソノトロード(4)と、
・ 前記作業ユニット(3)を位置決めするため、前記被加工物表面(2)とは反対側において前記作業ユニット(3)に接続されている可動の位置決め装置(6)とを有しており、
・ 前記位置決め装置(6)は、押付手段を有しているかまたは重力を利用して、あらかじめ定めた押付力(F)で、可動に吊り下げられた前記作業ユニット(3)を前記被加工物表面(2)に押し付け、
・ 前記ソノトロード(4)の前記音波放出面は超音波振動し、これにより、前記被加工物表面(2)と、前記ソノトロード(4)の前記音波放出面との間にガス状の媒体が存在するという条件下において超音波浮揚力場が作用し、当該超音波浮揚力場により、前記押付力(F)とは逆向きの反力が形成され、これによって前記作業ユニット(3)は、前記被加工物表面(2)から離隔されて浮揚して保持され、
前記アクチュエータ(5a〜5i)は、
・ 液状、ペースト状、粉末状またはエアロゾル状の媒体を前記被加工物表面(2)上に被着するように、または
・ 電場、磁場、電磁場またはプラズマを前記被加工物表面(2)に形成し、これによって当該被加工物表面(2)を変化させるように、または、
・ 前記被加工物表面(2)を変化させるための超音波場を形成するように、または、
・ 材料を除去するための機械的な作用手段を用いて前記被加工物表面(2)に作用を及ぼすように構成されている、
ことを特徴とする、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項2】
プロセス監視のため、またはプロセス制御のため、複数のプロセス監視センサが前記作業ユニット(3)に配置されている、
請求項1に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項3】
前記複数のプロセス監視センサは、処理または加工中の前記被加工物表面(2)の画像信号を供給する光学センサである、
請求項2に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項4】
前記複数のプロセス監視センサは、容量式センサであり、当該容量式センサは、処理または加工中の前記被加工物表面(2)の、前記表面処理または表面加工によって生じた容量変化を電気的な測定信号として供給する、
請求項2に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項5】
前記複数のプロセス監視センサは、誘導式センサであり、当該誘導式センサは、処理または加工中の前記被加工物表面(2)の、前記表面処理または表面加工によって生じたインダクタンス変化を電気的な測定信号として供給する、
請求項2に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項6】
前記複数のプロセス監視センサは、作業運動に関して前記作業ユニット(3)の前後に設けられている、
請求項2に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項7】
前記複数のプロセス監視センサは、作業運動に関して、前記作業ユニット(3)の後ろに設けられており、前記複数のプロセス監視センサの後ろに第2の加工ユニットが設けられている、
請求項2に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【請求項8】
前記被加工物表面(2)と前記作業ユニット(3)との間の間隔を制御するための間隔制御部が設けられており、
前記間隔は、音響エネルギの変化によって変化する、
請求項1に記載の、表面処理または表面加工のための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば切断または彫刻のためのレーザ、または、油、塗料、接着剤、インキ、エッチング剤、離型剤などを被着するためのノズルなどのアクチュエータを用いて、被加工物表面を処理するかまたはこれに作用を及ぼす装置に関する。本発明は、特にアクチュエータのサイズに対し、相対的に大きな表面積を有する被加工物上に、例えば帯状材料上に作用を及ぼすのに適した装置に関する。
【0002】
従来技術からは、被加工物表面を基準にして、x,y,z方向にアクチュエータの動作領域を正確に調整することができる複数のシステムが公知である。x,y方向にアクチュエータを調整するためには、例えば、長さ測定装置に接続されたクロスビームが使用される。これらのようなシステムを以下ではリニア駆動部と称する。
【0003】
表面処理のプロセスに依存して、または、加工による表面への作用に依存して、アクチュエータを位置決めする際に、種々異なる精度が必要である。
【0004】
被加工物表面を基準にしてアクチュエータを位置決めするためには、種々異なる構造が公知である。従来技術からは特に、長さおよび間隔を測定する複数のセンサを用いて、技術的に必要な精度でアクチュエータを位置決めして被加工物表面上に案内してこれを加工することが公知である。この際には、例えば位置決め精度、可制御性、アクチュエータの重量、構造体積などの所定の複数の条件を満たさなければならず、または、アクチュエータを位置決めするのに使用される構造の製造コストを可能な限りに少なくすることなどの条件も満たさなければならない。
【0005】
基本的に要求されるのは、位置決めシステムにより、アクチュエータによって行われる加工プロセスが影響を受けない、すなわち妨害されないことである。被加工物表面に対するアクチュエータの間隔を監視しようとする場合、これは、被加工物表面上を転がるホイールを前方端部に有する、触覚式に動作する測定システムによって行うことができる。しかしながら機械式のサンプリングは、比較的硬い表面の場合にのみ可能である。接触の影響を受けやすい表面では、例えば容量式および誘導式の間隔センサまたは空気式に動作する動圧ノズルのような被加工物表面を非接触にサンプリングする間隔センサが使用される。しかしながらこれらのセンサは、加工プロセスを妨害するか、または加工プロセスによって妨害される可能性がある。例えば、多くの場合に圧縮空気である動圧ノズルから送出されるガスは、インキスプレーノズルの近傍において渦を形成し得る。上記のような妨害は、エッチング剤、塗料または粘度の低い接着剤を被着する際にも発生し得る。また保護ガス溶接の際にも動圧ノズルの空気流は、保護ガスに渦を生じさせ得る。
【0006】
さらに、アクチュエータによって放出される固体、液体または気体状の物質、または、被加工物表面を処理する際に発生する物質は、上記の間隔センサの測定精度に影響を及ぼし得ることに注意しなければならない。例えば測定電極の領域に処理液が達すると、間隔測定信号には誤りが生じてしまう。
【0007】
これらの問題は、アクチュエータと被加工物表面との間の間隔を測定する測定システムが、このアクチュエータから空間的に離れている場合には取り除くことができる。しかしながらアクチュエータから離れて配置されている測定システムは、このアクチュエータに隣接して配置された測定システムよりも大きな測定誤差を生じる。さらに、この測定誤差を低減するためには、大きな装置技術的コストが必要である。
【0008】
独国特許出願公開第10059232号明細書,独国特許出願公開第19938328号明細書,独国特許出願公開第102010027031号明細書および独国特許出願公開第102007047298号明細書には、センサ装置を用いて、あらかじめ設定した間隔で被加工物表面上に動作ユニットを位置決めする装置および方法が記載されている。
【0009】
本発明の課題は、アクチュエータを位置決めするための構造を備えた、表面処理または表面加工のための装置を提供することであり、これによって処理または加工すべき被加工物表面を基準にして、あらかじめ設定した間隔でアクチュエータが正確に位置決めされる。殊にこの構造が、表面処理または表面加工のプロセスを妨害しないようにしたい。
【0010】
この課題は、以下の特徴的構成を有する、請求項1に記載した、表面処理または表面加工のための装置によって解決される。すなわち、この装置は、
・ 被加工物表面に作用を及ぼすため、または、被加工物表面を加工するためのアクチュエータと、
・ 音波放出面を有しておりかつアクチュエータに機械的に固定して接続されており、これによって作業ユニットを構成する少なくとも1つのソノトロードと、
・ 作業ユニットを位置決めするため、被加工物表面とは反対側において作業ユニットに接続されている可動の位置決め装置とを有しており、
・ 位置決め装置は、作業ユニットをあらかじめ定めた力で被加工物表面の方向に押し付ける押付手段を有する。押付手段とは、あらかじめ定めた押付力で作業ユニットを被加工物表面に押し付けるのに適したすべての技術な手段のことである。この押付力は、機械式のばねにより、制御された機械的な駆動器、液圧式または空気的な駆動器により、または磁気的に吸引または反発により、質量によって生じる重力により、または真空によって形成することができる。
【0011】
さらに上記のソノトロードの音波放出面が形成されており、これにより、被加工物表面と音波放出面との間にガス状の媒体が存在するという条件下において超音波浮揚力場が作用し、この超音波浮揚力場により、押付力とは逆向きの反力が形成され、これによって作業ユニットは、被加工物表面から離隔されて浮揚して保持される。
【0012】
上記のアクチュエータは、液状、ペースト状、粉末状またはエアロゾル状の媒体を被加工物表面上に被着するように、または、電場、磁場、電磁場またはプラズマを被加工物表面に形成し、これによってこの被加工物表面を変化させるように、または、被加工物表面に作用を及ぼす超音波場を形成するように、または、被加工物表面に機械的な手段を載置することにより、材料をここから除去するように形成される。
【0013】
この装置の利点は、超音波浮揚力場が、表面処理または表面加工時に使用される固体、液体または気体状の物質にも、表面処理または表面加工時に遊離している固体、液体または気体状の物質にもさほど大きな影響を及ぼさないことである。これにより、表面処理または表面加工のプロセスが妨げられることがない。
【0014】
請求項2によれば、プロセス監視のため、またはプロセス制御のため、複数のプロセス監視センサが作業ユニットに配置されている。これにより、表面処理または表面加工時に場合によっては生じるエラーを迅速に識別して修正することができる。このことは、極めて長い帯状材料、例えば、引き続いて巻き取られる薄鋼板またはプラスチックシートを加工または処理したい場合に特に有利である。複数のプロセス監視センサが、帯状材料の運動に関して作業ユニットの後ろに配置され、これと固定して接続される。これによってこれらのプロセス監視センサは、作業ユニットそれ自体と同様に正確に位置決めされるため、被加工物表面または材料表面との間隔変動によって生じ得る測定エラーを回避することができる。
【0015】
請求項3によれば、上記の複数のプロセス監視センサは、処理されるまたは加工される被加工物表面の画像信号を供給する光学センサである。これらの画像信号は、例えば、塗料のわずかな色の偏差さえも表示することができる画像識別システムに接続される。
【0016】
請求項4によれば、上記の複数のプロセス監視センサは、容量式センサであり、この容量式センサは、処理または加工中の被加工物表面の、表面処理または表面加工によって生じた容量変化を電気的な測定信号として供給する。
【0017】
請求項5によれば、上記の複数のプロセス監視センサは、誘導式センサであり、この誘導式センサは、処理または加工中の被加工物表面の、表面処理または表面加工によって生じたインダクタンス変化を電気的な測定信号として供給する。
【0018】
請求項6によれば、複数のプロセス監視センサは、作業運動二関して作業ユニットの前後に設けられている。この配置構成により、未処理または未加工の被加工物表面と、処理済みまたは加工済みの被加工物表面とを比較することができる。
【0019】
請求項7によれば、複数のプロセス監視センサは、被加工物また材料の作業運動に関して、作業ユニットの後ろに設けられており、これらプロセス監視センサの後ろに第2の加工ユニットが設けられている。このような配置構成により、例えば、第1の加工ユニットによる表面処理または表面加工の結果を修正しなければならないことが確認された場合に再修正が可能になる。
【0020】
請求項8によれば、被加工物表面と作業ユニットとの間の間隔を制御するための間隔制御部が設けられている。これは、音響エネルギを増大または減少することによって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】油を被着するための装置の概略図である。
図2】粉末状の固形物を被着するための装置の概略図である。
図3】表面をエッチングするための装置の概略図である。
図4】塗料を硬化するための装置の概略図である。
図5】エアロゾルを被着するための装置の概略図である。
図6】溶接装置の概略図である。
図7】表面材料を除去するための装置の概略図である。
図8】クリーニング装置の概略図である。
図9】レーザ・プラズマ切断のための装置の概略図である。
【0022】
図1には、油を吹き付ける装置が略示されている。駆動ローラ1により、吹き付けが行われる帯状材料、例えば金属板が案内される。作業ユニット3には、ソノトロードブロック4およびスプレーノズル5aが含まれている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料を押し付ける。すなわち、この例では、重力を押付力として使用している。しかしながら機械式のばねまたは同じ作用の別の手段を使用することも可能である。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって極めて正確に調整することができ、上記の押付力が変化しなければ、一定のままである。この点においては重力の利用は、変化が極めて少ない所定の力を形成するための簡単であり、コスト的に有利であり、かつ、信頼性の高い選択肢である。したがってスプレーノズル5aは、帯状材料の表面2に対し、あらかじめ定めた間隔をつねに有する。ここで特に言及しておきたいのは、超音波浮揚力場が、スプレーノズル5aのスプレー作用に影響を及ぼさないことである。
【0023】
図2には、エッチング剤を被着するための装置が略示されている。図示した2つのローラ5bにより、薄いエッチングフィルムが形成され、これが帯状材料の表面2に転写される。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。したがって極めて均一なエッチング作用を得ることができる。同時にエッチングフィルムは、非接触に作用する超音波浮揚力場によって損なわれることがない。すなわち塗りたくられることもこすり取られることもないのである。
【0024】
図3には、粉末を被着するための装置が略示されている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。この実施例において、参照符号5cによって示した粉末用の送り出し手段内には、ウォームコンベアおよびスキージ調量器を備えた小部屋状の調量装置により、粉末が、均一化され、帯状材料の幅にわたって均一に分散され、均一な層厚で帯状材料の表面2上に被着される。ローラと帯状材料の表面2との間隔が一定であることにより、このプロセスが促進される。ここで特に言及したいのは、超音波浮揚力場が、まだ固定されていない粉末層にさほど大きな影響を及ぼさないことである。
【0025】
図4には、塗料を塗布して硬化するための装置が略示されている。この実施例では参照符号5dにより、塗料を塗布して硬化するための装置が示されている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。この装置は、送り出しヘッドを有しており、この送り出しヘッドにより、均一な塗料層が基板上に被着される。運動方向に見てその後ろには、この塗料を硬化するための熱放射器が配置されている。
【0026】
図5には、エアロゾルを被着する装置が略示されている。この実施例では参照符号5eにより、エアロゾルを形成する装置が示されている。作業ユニット3にはソノトロードブロック4と、エアロゾルを形成してエアロゾルを送り出す装置5eとが配置されている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。この超音波場は、エアロゾルの分散に対してさほど大きな影響を有しない。
【0027】
図6には、溶接装置が略示されている。この実施例では、参照符号5fにより、溶接作業ユニットが示されている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。ソノトロードブロックおよび溶接作業ユニット5fを有する作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。
【0028】
図7には、表面材料を除去する装置が略示されている。この実施例では参照符号5gにより、表面材料を除去する作業ユニットが示されている。作業ユニット3には、ソノトロードブロック4と、機械的な取り去り手段によって表面材料を除去する作業ユニットとが含まれている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。例えば紙やすりのような粗い表面を有する作用手段により、表面が削り取られる。回転する複数のナイフを有するスライサ装置を使用することも可能である。これらの回転するナイフの高さの変化が極めて少ないことにより、正確に調整可能な材料層を均一に取り去ることができる。
【0029】
図8には、クリーニング装置が略示されている。この実施例において、参照符号5hにより、洗浄剤を送り出すための作業ユニットが示されている。作業ユニット3には、ソノトロードブロック4とクリーニング装置とが含まれている。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。この超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。この間隔は、ソノトロード出力によって調整することができる。クリーニングの種々異なる段階に対する作業ローラの配置、および、使用した洗浄剤を取るためのローラの配置は、任意に構成することができる。これらローラは、異なる方向に回転可能である。
【0030】
図9には、レーザ・プラズマ切断のための装置が略示されている。参照符号5iによって示したボックス内でレーザ・プラズマ作業ユニットのカッターヘッドが運動する。ソノトロードブロック4は、その下面と、帯状材料の表面2との間に超音波浮揚力場を形成する。作業ユニット3は、可動の懸架部6に吊されており、その自重によって帯状材料の表面2を押し付ける。超音波浮揚力場により、反力が形成されるため、作業ユニット3は、帯状材料の表面2上をあらかじめ定めた間隔で浮揚する。均一かつ定められたこの間隔により、高品質の切断が得られる。切り残しにより、切断後の表面品質が損なわれることはない。なぜならばこのシステムは、非接触で帯の上を浮揚するからである。
【0031】
図1〜9は、本発明の教示にしたがえば、表面処理または表面加工するための種々異なる装置を作製できることを例示的に示しているだけである。上記の例では、加工すべき材料は、作業ユニットの脇を通り過ぎるように案内される。同じ基本原理にしたがえば、面積の大きな被加工物の表面上で、この作業ユニットを案内することもできることは明らかである。ここで基本的に確認できるのは、9個の異なる適用事例のいずれにおいても、超音波浮揚力場により、作業プロセスにさほどの大きな影響が及ぼされないことである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9