特許第6012909号(P6012909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012909
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】排便予測装置及び排便予測方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   A61B10/00 310
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-521383(P2016-521383)
(86)(22)【出願日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2015078191
(87)【国際公開番号】WO2016052747
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-204745(P2014-204745)
(32)【優先日】2014年10月3日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515134863
【氏名又は名称】トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中西 敦士
(72)【発明者】
【氏名】九頭龍 雄一郎
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−247690(JP,A)
【文献】 特開2012−1450(JP,A)
【文献】 特表2002−519089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直腸の太さを検出するセンサと、
前記センサの出力に基づいて排便タイミングを判定する判定部とを備えた排便予測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排便予測装置において、
排便タイミングの到来を報知する報知部をさらに備え、
前記判定部は、排便タイミングが到来したと判定したときに前記報知部を作動させる排便予測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の排便予測装置において、
前記判定部は、排便タイミングが到来したと判定したときにその旨を外部へ報知する排便予測装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の排便予測装置において、
前記判定部は、直腸の太さ又は太さの変化率が所定の判定閾値以上である場合に排便タイミングが到来したと判定するように構成され、排便タイミングを判定した後に実際の排便のフィードバックを受け付け、前記判定閾値を修正する排便予測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の排便予測装置において、
前記判定部は、実際の排便があった旨の入力を受け付けるように構成されており、排便タイミングが到来したと判定してから実際の排便があった旨の入力を受けるまでの時間に基づいて前記判定閾値を修正する排便予測装置。
【請求項6】
請求項1に記載の排便予測装置において、
前記センサは、直腸の太さに加え、直腸内の便の状態を検出する排便予測装置。
【請求項7】
請求項6に記載の排便予測装置において、
前記判定部は、直腸の太さ及び便の状態に基づいて排便タイミングを判定する排便予測装置。
【請求項8】
直腸の太さを検出する工程と、
検出された直腸の太さに基づいて排便タイミングを判定する工程とを含む排便予測方法。
【請求項9】
請求項8に記載の排便予測方法において、
排便タイミングの到来を判定したときに報知する工程をさらに含む排便予測方法。
【請求項10】
請求項8に記載の排便予測方法において、
実際の排便のフィードバックに基づいて排便タイミングの判定精度を修正する工程をさらに含み、
前記排便タイミングを判定する工程は、直腸の太さ又は太さの変化率が所定の判定閾値以上である場合に排便タイミングが到来したと判定し、
前記判定精度を修正する工程は、排便タイミングを判定した後に実際の排便のフィードバックを受け付け、前記判定閾値を修正する排便予測方法。
【請求項11】
請求項10に記載の排便予測方法において、
前記判定精度を修正する工程は、実際の排便があった旨の入力を受け付け、排便タイミングが到来したと判定してから実際の排便があった旨の入力を受けるまでの時間に基づいて前記判定閾値を修正する排便予測方法。
【請求項12】
請求項8に記載の排便予測方法において、
直腸内の便の状態を検出する工程をさらに含む排便予測方法。
【請求項13】
請求項12に記載の排便予測方法において、
前記排便タイミングを判定する工程は、検出された直腸の太さ及び便の状態に基づいて排便タイミングを判定する排便予測方法。
【請求項14】
請求項1に記載の排便予測装置において、
通信端末をさらに備え、
前記判定部は、判定した排便タイミングを前記通信端末に送信する排便予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、排便予測装置及び排便予測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、排便を予測する装置が知られている。例えば、特許文献1の装置は、被検知物を対象者に内服させ、該被検知物が直腸に到達したことを体外から非侵襲的に検知することによって、対象者の便意を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−247690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、対象者が被検知物等の異物を飲み込む必要があるため、苦痛や煩わしさを伴う。また、対象者が要介護者の場合には、そのような異物をうまく飲み込めない場合もあり得る。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対象者に苦痛や煩わしさを感じさせることなく、排便タイミングを予測することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された排便予測装置は、直腸の太さを検出するセンサと、前記センサの出力に基づいて排便タイミングを判定する判定部とを備えるものである。
【0007】
ここに開示された排便予測方法は、直腸の太さを検出する工程と、検出された直腸の太さに基づいて排便タイミングを判定する工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0008】
前記排便予測装置によれば、対象者に苦痛や煩わしさを感じさせることなく、排便時期を予測することができる。
【0009】
前記排便予測方法によれば、対象者に苦痛や煩わしさを感じさせることなく、排便時期を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、排便予測装置のブロック図である。
図2図2は、排便予測装置使用状態の説明図である。
図3図3は、排便タイミング判定のフローチャートである。
図4図4は、信号処理部に信号処理を施された受信信号の波形の一例である。
図5図5は、腸音センサを備えた排便予測装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1に、排便予測装置100のブロック図を示す。図2に、排便予測装置100の使用状態の説明図を示す。
【0013】
排便予測装置100は、対象者の排便タイミングを予測するものである。例えば、対象者は、老人若しくは身体障害者等の要介護者、又は要介護者ではないものの体が不自由でトイレに行くまでに時間を要する人等である。排便予測装置100は、直腸の太さを検出する超音波センサ1と、超音波センサ1を制御する装置本体2とを備えている。排便予測装置100は、対象者に装着される。少なくとも超音波センサ1が、対象者の皮膚上であって、直腸に対応する部分(例えば、下腹部)に配置されている。超音波センサ1と装置本体2とは、一体的に構成されている。
【0014】
超音波センサ1は、超音波の送受信を行う。具体的には、超音波センサ1は、圧電素子で構成されたトランスデューサを有している。超音波センサ1は、駆動電圧に応じた振動を行って超音波を発生させる一方、超音波を受信すると、その振動に応じた電気信号を発生させる。超音波センサ1は、センサの一例である。
【0015】
装置本体2は、超音波センサ1へ駆動電圧を出力する送信部3と、超音波センサ1から電気信号を受信する受信部4と、排便予測装置100の全体的な制御を行い、排便タイミングを判定する制御部5と、メモリ6と、排便タイミングの到来を報知する報知部7と、実際に排便があったことの入力を行うための入力部8と、外部との通信を行う通信部9とを有している。
【0016】
送信部3は、超音波センサ1に駆動電圧を供給する。送信部3は、パルス発振器31と増幅部32とを有している。パルス発振器31は、所定の時間幅及び電圧値のパルス信号を発生させる。増幅部32は、パルス発生器31からパルス信号を増幅し、駆動電圧として超音波センサ1へ出力する。
【0017】
受信部4は、超音波センサ1からの電気信号を受信する。受信部4は、増幅部41と、A/D変換部42とを有している。増幅部41は、超音波センサ1からの受信信号を増幅して、A/D変換部42へ出力する。A/D変換部42は、増幅部41からの受信信号をA/D変換して、信号処理部5へ出力する。
【0018】
通信部9は、外部の通信端末と通信を行う。排便予測装置100には、通信を行う外部の通信端末が登録可能であり、該通信端末の情報がメモリ6に記憶されている。つまり、ユーザは、通信端末200を予め排便予測装置100に登録しておく。そうすることで、排便予測装置100と通信端末200間の通信が可能となる。例えば、介護者の所持する通信端末200を排便予測装置100に登録しておく。また、対象者が自力でトイレへ行ける場合には、対象者の通信端末200を登録しておく。通信端末200は、1台に限らず、複数台(例えば、介護者の通信端末と要介護者の通信端末)を登録可能としてもよい。
【0019】
制御部5は、1又は複数のプロセッサを有している。制御部5は、送信部3を制御して、駆動電圧を超音波センサ1へ出力させると共に、受信部4からの受信信号に基づいて排便タイミングを判定する。制御部5は、受信部4からの受信信号に信号処理を施す信号処理部51と、送信部3を制御すると共に、排便タイミングを判定する判定部52とを有している。
【0020】
信号処理部51は、受信部4から入力された受信信号に平均化処理等の信号処理を施し、処理後の信号を判定部52へ出力する。
【0021】
判定部52は、送信部3のパルス発生器31へパルス信号の生成指令を出力すると共に、信号処理部51から入力された受信信号に基づいて排便タイミングを判定する。尚、送信部3の制御は、判定部52とは別の部分が行ってもよい。
【0022】
以下、判定部52の処理を、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0023】
判定部52は、まず、超音波の送信指令を出力する(ステップS1)。具体的には、判定部52は、送信部3へパルス信号の生成指令を出力する。この生成指令が、排便タイミングの判定処理のトリガとなる。
【0024】
続いて、超音波センサ1が超音波を受信する(即ち、信号処理部51に受信信号が入力される)と、判定部52は、該受信信号に基づいて直腸の前壁(腹部側の壁)からの反射波と直腸の後壁(背部側の壁)からの反射波とを検出する(ステップS3)。
【0025】
図4に、信号処理部51に信号処理を施された受信信号の波形の一例を示す。図4における最初の大きなピークP1は、送信時のノイズであり、所謂、不感帯である。2番目のピークP2は、皮膚表面での反射波である。3番目のピークP3は、膀胱の前壁(腹部側の壁)からの反射波であり、4番目のピークP4は、膀胱の後壁(背部側の壁)からの反射波である。5番目のピークP5は、直腸の前壁からの反射波であり、6番目のピークP6は、直腸の後壁からの反射波である。判定部52は、5番目のピークP5と6番目のピークP6との時間差ΔTを判定値として検出する。判定部52は、ピークP5,P6のピーク間の時間差又は、ピークP5,P6のゼロクロス点間の時間差をピークP5,P6の時間差ΔTとし得る。
【0026】
次に、判定部52は、排便タイミングを判定する(ステップS4)。具体的には、判定部52は、2つの反射波の時間差ΔTが所定の判定閾値以上であるか否かを判定する。2つの反射波の時間差ΔTは、直腸の太さに相当する。判定閾値は、排便タイミングが到来したときの直腸の太さに相当する、2つの反射波の時間差である。排便タイミングをどの時期とするか(例えば、排便直前とするか、又は排便10分前とするか)は適宜設定することができ、それに相当する判定閾値がメモリ7に予め設定されている。つまり、判定部52は、直腸の太さが排便タイミングであると想定した太さとなったか否かを判定する。
【0027】
判定部52は、メモリ6から判定閾値を読み出し、判定値である時間差ΔTと比較する(ステップS5)。判定値が判定閾値以上である場合(YES)には、判定部52は、排便タイミングが到来したと判定し、排便タイミングを報知する(ステップS6)。具体的には、判定部52は、報知部7を作動させると共に、登録された通信端末200に通信部9を介して排便タイミングの到来を報知する。報知部7は、例えば、バイブレータである。バイブレータが振動することによって、対象者に排便タイミングの到来を報知する。これにより、対象者は、そのうち便意をもよおすことが事前に知らされるので、トイレへ行く準備を行うことができる。
【0028】
また、通信端末200は、排便予測装置100専用のアプリをダウンロードしておくことによって、排便予測装置100との通信及び排便予測装置100の操作が可能となる。通信端末200は、排便予測装置100からの排便タイミングの到来の信号を受信すると、排便タイミングの到来をユーザに通知をディスプレイに表示する等して、通信端末200の所持者に排便タイミングの到来を報知する。これにより、通信端末200の所持者に排便タイミングの到来を知らせ、対象者のトイレへの誘導を促すことができる。
【0029】
一方、判定値が判定閾値未満である場合(NO)には、判定部52は、前回の超音波の送信から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS7)。所定時間が経過していれば、判定部52は、ステップS1へ戻り、超音波の送信を行う。一方、所定時間が経過していない場合は、判定部52は、所定時間が経過するのを待機し、所定時間経過後にステップS1へ戻る。このように、判定部52は、超音波の送信を所定の時間間隔で行い、排便タイミングの判定を定期的に行う。
【0030】
また、判定部52は、排便タイミングの判定(パルス信号の生成指令から判定までの一連の処理)を定期的に実行する際に、その都度、判定値をメモリ6に記録しておく。つまり、メモリ6には、判定値の時系列的変化が記録されている。
【0031】
判定部52は、排便タイミングの到来を報知した後、実際の排便があった旨の報告を待機する(ステップS8)。装置本体2には入力部8が設けられており、実際に排便が終了すると、対象者又は介護人等の第三者に入力部8を操作してもらう。例えば、入力部8は、押しボタンである。さらに、通信端末200からも、実際の排便があった旨を排便予測装置100へ入力することができる。通信端末200の所持者は、実際の排便が終了したときに、通信端末200を操作して、実際の排便があった旨を排便予測装置100へ送信する。
【0032】
判定部52は、入力部8からの信号又は通信端末200からの実際の排便があった旨の報告が入力されると、実際の排便が有ったと判定して、判定閾値を修正する(ステップS9)。具体的には、判定部52は、排便タイミングの到来を報知したときから、入力部8又は通信端末200からの実際の排便があった旨の入力があるまでの時間に基づいて、排便タイミングの到来を報知した時期が適切か否かを判定する。直腸の太さが判定閾値に相当する太さとなってから排便までに要する時間は、報知から排便の報告までの時間と略一致する。そこで、判定部52は、報知から排便の報告までの時間と、排便タイミングとして想定している排便までの時間との差が所定範囲内であれば、判定閾値をそのままとする。このような場合には、判定部52は、適切な時期に排便タイミングを報知しているので、判定閾値の修正を行わない。一方、判定部52は、報知から排便の報告までの時間が想定している排便までの時間よりも所定範囲を超えて短ければ、判定閾値を所定量だけ小さく修正し、報知から排便の報告までの時間が想定している排便までの時間よりも所定範囲を超えて長ければ、判定閾値を所定量だけ大きく修正する。このような場合には、排便までに要する予想時間と、排便までに要する実際の時間とがずれているため、判定部52は、判定閾値を時間の差が小さくなるように修正する。判定部52は、修正後の判定閾値をメモリ6に上書きする。判定部52は、次回以降の排便タイミングの判定時には、修正後の判定閾値を使用する。
【0033】
直腸の太さには個人差があり、同様に、排便直前の直腸の太さにも個人差がある。実際の排便が有った際には、フィードバックを受けて判定閾値を修正することによって、対象者に応じた判定閾値で排便タイミングを正確に判定することができる。
【0034】
判定部52は、判定閾値の修正が完了すると、ステップS7へ進む。つまり、前述の説明では、排便タイミングが到来していない場合の排便タイミング判定後の処理としてステップS7について説明しているが、排便タイミングが到来した場合も、判定部52は、最終的にステップS7の処理を実行する。こうして、排便タイミングが到来したか否かにかかわらず、判定部52は、超音波の送信を所定の時間間隔で行い、排便タイミングの判定を定期的に行う。
【0035】
以上のように、排便予測装置100は、直腸の太さを検出する超音波センサ1と、超音波センサ1の出力に基づいて排便タイミングを判定する判定部52とを備えている。
【0036】
換言すると、以上の排便予測方法は、直腸の太さを検出する工程と、検出された直腸の太さに基づいて排便タイミングを判定する工程とを含んでいる。
【0037】
この構成によれば、超音波センサ1が直腸の太さを検出する。排便の直前においては、直腸には便が貯まっており、直腸の太さは太くなる。つまり、直腸の太さは、直腸における便の有無を表している。そこで、判定部52は、超音波センサ1の出力に基づく直腸の太さから、排便タイミングを判定する。例えば、直腸の太さが所定の判定閾値を超えると、排便が近いと判定することができる。
【0038】
また、排便予測装置100は、排便タイミングの到来を報知する報知部7をさらに備え、判定部52は、排便タイミングが到来したと判定したときに報知部7を作動させる。
【0039】
この構成によれば、判定部52により排便タイミングの到来が判定された場合に、報知部7がその旨を外部に報知する。これにより、超音波センサ1を装着している対象者又はそれ以外の第三者が排便タイミングを知ることができる。例えば、体が不自由でトイレに行くまでに時間を要する人が対象者である場合には、排便タイミングを報知する時期を早めに設定することによって、対象者が便意を感じる前であっても排便の予告を行うことができる。これにより、対象者に早めにトイレへ行く準備を促すことができる。また、要介護者が対象者である場合にも、介護者が便意を感じる前であっても排便の予告を行うことができる。これにより、介護者は、余裕を持って、要介護者をトイレへ案内することができる。
【0040】
さらに、判定部52は、直腸の太さが所定の判定閾値以上である場合に排便タイミングが到来したと判定するように構成され、排便タイミングを判定した後に実際の排便のフィードバックを受け付け、判定閾値を修正する。
【0041】
この構成によれば、判定部52は、直腸の太さに基づいて排便タイミングを判定する。ところが、直腸の太さは個人差があるため、排便タイミングが到来したと判定するための直腸の太さの判定閾値も個人差がある。判定部52は、判定タイミングを判定した後に実際の排便のフィードバックを受け付けて判定閾値を修正する。これにより、判定閾値が対象者に応じて修正されていく。その結果、判定部52による排便タイミングの判定精度を向上させることができる。
【0042】
具体的には、判定部52は、実際の排便があった旨の入力を受け付けるように構成されており、排便タイミングを報知してから実際の排便があった旨の入力を受けるまでの時間に基づいて判定閾値を修正する。
【0043】
これにより、実際の排便に基づいて判定閾値を修正することができる。
【0044】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0045】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0046】
直腸の太さを検出するセンサは、超音波センサ1に限られるものではない。超音波センサ以外であっても、直腸の太さを検出できる限り、任意のセンサを採用することができる。超音波センサを採用する場合であっても、超音波センサの構成は、前記の構成に限られるものではない。例えば、アレイ状に配列された複数のトランスデューサを有する超音波センサであってもよい。
【0047】
排便予測装置100では、超音波センサ1と装置本体2とが一体的に構成されているが、これに限られるものではない。例えば、超音波センサ1と装置本体2とを別体に構成し、超音波センサ1だけが対象者に装着され、装置本体2は必ずしも対象者に装着されなくてもよい。その場合、超音波センサ1と本体装置2とは、有線又は無線で通信する。また、対象者に装着される側の装置には、少なくとも超音波センサ1が含まれるが、それ以外の要素も含まれるようにしてもよい。例えば、送信部3及び受信部4を装置本体2から分離して、対象者に装着される側の装置に含めてもよい。さらに、信号処理部51を対象者に装着される側の装置に含めてもよい。さらには、制御部5及びメモリ6を対象者に装着される側の装置に含め、報知部7及び入力部8だけを分離させてもよい。
【0048】
尚、対象者に装着されない側の装置は、スマートフォンやPC等の通信端末で構成してもよい。例えば、超音波センサ1、送信部3、受信部4、制御部5及びメモリ6を一体的に形成し、報知部7及び入力部8を通信端末で構成してもよい。その場合、排便予測装置100は、超音波センサ1、送信部3、受信部4、制御部5及びメモリ6を備え、例えば介護者が所持する通信端末が報知部7及び入力部8として機能する。排便予測装置100は、排便タイミングの判定を前述の如く実行し、排便タイミングが到来したときにはその旨を通信端末へ送信する。介護者は、排便タイミングの通知を受けて、要介護者をトイレへ誘導し、実際の排便があったときにはその旨を通信端末を介して排便予測装置100へ送信する。排便予測装置100は、実際の排便の報告を受信したときには、前述の如く、判定閾値を修正する。
【0049】
尚、排便直前を排便の何分前とするかは、ユーザが適宜設定可能としてもよい。例えば、ユーザが排便5分前を排便タイミングとして入力すると、判定部52は、排便5分前の直腸の太さに相当する、2つの反射波の時間差を判定閾値として設定する。メモリ6は、平均的な直腸の太さを基準として、2つの反射波の時間差と排便タイミングとの関係を記憶しておき、判定部52は、入力された時間に応じた2つの反射波の時間差を判定閾値として設定する。
【0050】
報知部7は、バイブレータに限られるものではない。報知部7は、アラームやランプ、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0051】
また、判定閾値の修正は、入力部8からの入力に基づくのではなく、判定値(即ち、直腸の太さ)に基づいて行ってもよい。例えば、排便タイミングの判定を繰り返す時間間隔が短い場合には、直腸に便が貯まって太くなり、排便されて、直腸が細くなるまでの判定値がメモリ6に細かく記録されていく。そのような場合には、メモリ6に記録された判定値に基づいて、実際の排便がいつあったかを判定することができる。例えば、排便タイミングの到来を報知した後、判定値(即ち、直腸の太さ)が極大となり、その後、急に減少したときが実際の排便時である。つまり、排便タイミングの報知から判定値が極大となるまでの時間に基づいて、判定閾値を修正するようにしてもよい。このように、判定値に基づいて判定閾値を修正する構成の場合、排便までの時間が所定の設定時間となる判定値(即ち、直腸の太さ)を実際のデータから知ることができるので、判定閾値をより正確に修正することができる。
【0052】
尚、排便タイミングが到来するまでは、排便タイミングの判定を行う繰り返し周期を相対的に長くし(例えば、10分ごと)、排便タイミングの到来を判定した後は直腸の太さの検出をより短い繰り返し周期(例えば、1分ごと)で行うようにしてもよい。こうすることによって、消費電力を節約しつつ、排便前後の直腸の太さをより正確に検出し、判定閾値をより正確に修正することができる。
【0053】
また、判定部52は、排便タイミングの到来を報知する際に、排便までのおおよその時間を報知するようにしてもよい。かかる構成であっても、前述のように、実際の排便に基づいて判定閾値、及び、排便までの予測時間を修正するようにしてもよい。
【0054】
さらに、判定部52は、排便タイミングを2つの反射波の時間差、即ち、直腸の太さに基づいて判定するものに限られない。例えば、判定部52は、2つの反射波の時間差の変化率、即ち、直腸の太さの変化率に基づいて排便タイミングを判定してもよい。つまり、直腸の太さが急に太くなることをもって、便が直腸に到達した、即ち、排便タイミングが到来したと判定してもよい。
【0055】
また、送信部3は、パルス信号を駆動信号として超音波センサ1に入力しているが、駆動信号は、パルス信号に限定されるものではない。駆動信号は、パルス波ではなく、バースト波であってもよい。
【0056】
さらには、駆動信号に、周波数変調連続波(Frequency Modulated Continuous Wave)を用いてもよい。その場合、判定部52は、受信信号の周波数解析を行って、直腸の太さを検出する。周波数解析の手法としては、高速フーリエ変換(FFT)であってもよいし、最大エントロピー法(MEM)であってもよい。
【0057】
また、判定部52は、直腸の前壁からの反射波と直腸の後壁からの反射波との時間差ΔTのみを用いて排便タイミングを判定しているが、これに限られるものではない。例えば、判定部52は、時間差ΔTに加えて便の状態に基づいて排便タイミングを判定するようにしてもよい。具体的には、判定部52は、受信信号から便の含水量(又は含水率)を検出し、時間差ΔT及び含水量に基づいて排便タイミングを判定するようにしてもよい。つまり、軟便の場合には、排便タイミングが早くなるので、含水量が多い場合には、判定部52は、時間差ΔTに基づく排便タイミングを早めに補正する。さらには、判定部52は、含水量が所定値以上となった場合には、報知の方法を変更する(例えば、バイブレーションの強さを強くする)等して、緊急性を表すようにしてもよい。
【0058】
便の含水量は、受信信号のうちピークP5とピークP6との間の部分に基づいて検出することができる。体内に出射された超音波は、便によっても多少反射する。便の音響インピーダンスは便の含水量によっても変化するので、便からの反射波の大きさも便の含水量によって変化する。そのため、判定部52は、受信信号のうちピークP5とピークP6との間の部分のノイズレベルに基づいて、便の含水量を検出することができる。ノイズレベルが大きいほど、便の含水量が少なく、ノイズレベルが小さいほど、便の含水量が多くなる。あるいは、便による反射波が大きくなると、直腸の後壁に到達する超音波がその分だけ減少するので、直腸の後壁からの反射波が小さくなる。つまり、判定部52は、直腸の前壁からの反射波に対する直腸の後壁からの反射波の減衰率(直腸の後壁からの反射波の振幅/直腸の前壁からの反射波の振幅)に基づいても、便の含水量を検出することができる。減衰率が大きいほど、便の含水量が少なく、減衰率が小さいほど、便の含水量が多くなる。
【0059】
すなわち、超音波センサ1は、直腸の太さを検出するセンサとしてだけでなく、直腸内の便の状態を検出するセンサとしても機能する。また、判定部52は、前記ステップS5において、時間差ΔTと判定閾値とを比較して排便タイミングを判定する際に、便の状態(即ち、含水量)に基づいて判定閾値を補正するようにしてもよい。あるいは、メモリ6に、便の含水量に応じた判定閾値を記憶しておき、判定部52は、便の含水量に対応した判定閾値をメモリ6から読み出し、該判定閾値と時間差ΔTとを比較するようにしてもよい。
【0060】
判定部52は、反射波の減衰率が略零の場合、即ち、直腸の後壁からの反射波が観測できない場合には、直腸にガスが溜まっていると判定してもよい。
【0061】
<腸音の検出>
さらに、排便予測装置は、腸音を検出する腸音センサをさらに備え、直腸の太さに加えて腸音も考慮して排便タイミングを判定するようにしてもよい。図4に、腸音センサを備えた排便予測装置2100のブロック図を示す。排便予測装置2100は、超音波ユニット300と、腸音ユニット400と、通信端末200とを備えている。排便予測装置2100の超音波ユニット300及び通信端末200は、前述の、超音波センサと装置本体とが別体に構成され、通信端末200が装置本体として機能する例である。
【0062】
詳しくは、超音波ユニット300は、対象者の皮膚上であって、直腸に対応する部分(例えば、下腹部)に装着され、体内に超音波を送信し、それに対する反射波を受信する。超音波ユニット300は、超音波センサ1、第1送信部303、第1受信部304、第1制御部305及び第1通信部306を有している。第1送信部303、第1受信部304は、前記送信部3及び前記受信部4に相当する。第1制御部305は、1又は複数のプロセッサを有し、超音波ユニット300を制御する。第1通信部306は、通信端末200と無線通信を行う。
【0063】
腸音ユニット400は、対象者の皮膚上であって大腸に対応する部分(例えば、下腹部)に装着され、体内の腸音を検出する。腸音ユニット400は、マイク401、第2受信部404、第2制御部405及び第2通信部406を有している。マイク401は、体内の腸音を検出するセンサの一例である。第2受信部404は、マイク401からの電気信号を受信する。受信部404は、増幅部441と、A/D変換部442とを有している。増幅部441は、マイク401からの受信信号を増幅して、A/D変換部442へ出力する。A/D変換部442は、増幅部441からの受信信号をA/D変換して、第2制御部405へ出力する。第2制御部405は、1又は複数のプロセッサを有し、腸音ユニット400を制御する。第2通信部406は、通信端末200と無線通信を行う。
【0064】
通信端末200は、本体側制御部5、メモリ6、報知部7、入力部8及び本体側通信部9を有している。本体側制御部5及び本体側通信部9は、それぞれ前記制御部5及び通信部9に相当する。通信端末200は、排便予測装置2100専用のアプリをダウンロードしており、該アプリを作動させることによって排便タイミングを予測する。通信端末200は、例えば、スマートフォン又はPCである。通信端末200固有のCPU、メモリ、バイブレータ及びスピーカ、タッチパネル等の入力インターフェース並びに通信部がそれぞれ本体側制御部5、メモリ6、報知部7、入力部8及び本体側通信部9として機能する。第1通信部306と本体側通信部9との通信によって、通信端末200と超音波ユニット300との通信が行われる。第2通信部406と本体側通信部9との通信によって、通信端末200と腸音ユニット400との通信が行われる。
【0065】
通信端末200は、超音波センサ1に超音波を送信させる指令を超音波ユニット300へ所定の周期ごとに送信する。所定の周期とは、排便タイミングの到来の判定を行う周期である。
【0066】
該指令を超音波ユニット300が受け取ると、第1制御部305は、第1送信部303に駆動電圧を超音波センサ1へ出力させる。その後、第1受信部304が超音波センサ1からの受信信号を受信すると、第1制御部305は、該受信信号を第1通信部306を介して通信端末200へ送信する。
【0067】
通信端末200は、超音波ユニット300からの受信信号を受信すると、信号処理部51が該受信信号に信号処理を施し、処理後の信号を用いて判定部52が排便タイミングを判定する。信号処理部51及び判定部52の処理内容(具体的には、信号処理、排便タイミング到来の判定、判定後の報知部7等の制御)は基本的には前述の説明と同じである。
【0068】
それに加えて、通信端末200は、腸音ユニット400からの受信信号を受信している。詳しくは、腸音ユニット400は、第2受信部404により受信されるマイク401からの受信信号を第2通信部406を介して通信端末200へ常時、送信している。
【0069】
通信端末200は、腸音ユニット400からの受信信号を受信すると、信号処理部51が該受信信号に信号処理を施し、判定部52は、処理後の信号を用いて大蠕動運動を検出する。詳しくは、大腸で蠕動運動が起こる際にはそれに対応する音が発せられる。判定部52は、マイク401により検出される腸内の音の大きさ及び/又は頻度に基づいて大蠕動運動の有無を判定する。例えば、判定部52は、腸音の大きさが所定の判定レベル以上の場合、腸音の頻度が所定の判定頻度以上の場合、又は、腸音の大きさが所定の判定レベル以上で且つ所定の判定頻度以上の場合に、大蠕動運度が起こっていると判定し得る。
【0070】
判定部52は、大蠕動運動を検出した場合には、排便タイミング到来の判定周期(即ち、超音波センサ1に超音波を送信させる指令を発する周期)を、大蠕動運動が生じる前よりも短くする。つまり、判定部52は、直腸の太さを検出する周期を変更可能に構成され、大蠕動運動が起こる前は該周期を長くし、大蠕動運動が起こった後には該周期を短くする。こうすることで、直腸に溜まった便が少ない場合には消費電力を節約しつつ、直腸に溜まった便が増加してきたときには直腸の太さを細かく検出し、排便タイミングの到来をいち早く且つ漏れなく判定することができる。
【0071】
尚、排便タイミング到来の判定周期は、大蠕動運動の有無だけでなく、蠕動運動による腸音の大きさ及び/又は頻度に基づいて変更してもよい。すなわち、腸音には大蠕動運動によるものだけでなく、単なる蠕動運動によるものもある。蠕動運動が活発なときは、便が大腸内を移動しており、直腸に便が溜まり始めている可能性が高い。そのため、蠕動運動が活発なときには、排便タイミング到来の判定周期を蠕動運動が活発でないときと比べて短くしてもよい。また、その場合には、判定周期を2段階でなく、3段階以上の多段階又は線形的に(蠕動運動が活発になるほど、排便タイミング到来の判定周期が短くなるように)変更してもよい。さらに、判定部52は、報知部7による報知の態様を蠕動運動に応じて変更してもよい。例えば、報知部7がバイブレータの場合、判定部52は、蠕動運動が活発な場合には、バイブレータの振動の態様を激しくしてもよい。あるいは、判定部52は、蠕動運動が活発でない場合には、バイブレータのみで報知し、蠕動運動が活発な場合には、バイブレータとアラームとの両方によって報知してもよい。
【0072】
尚、以上の説明では、超音波ユニット300と腸音ユニット400とが別体で構成されているが、両者が一体的に構成されていてもよい。さらには、前述の説明のように、本体側制御部5等が超音波ユニット300及び/又は腸音ユニット400と一体的に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
100 排便予測装置
1 超音波センサ(センサ)
52 判定部
7 報知部
200 通信端末
図1
図2
図3
図4
図5