(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマーアロイ(A)のASTM D1238に準拠し230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が30〜500g/10分である請求項1記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
酸変性ポリオレフィン樹脂(m)がマレイン酸変性プロピレン系重合体(m1)を含み、且つ該マレイン酸変性プロピレン系重合体(m1)のASTM D1238に準拠し230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が150g/10分を超える請求項1記載の炭素繊維強化樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体、及びエチレン含量が5質量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体から選ばれる一種以上のプロピレン系重合体(p)25〜95質量%、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)1〜60質量%、エチレン系重合体(e)0〜40質量%、及びポリアミド(n)0〜50質量%[ここで成分(p)、成分(m)、成分(e)及び成分(n)の合計は100質量%]を含むポリマーアロイ(A)100質量部、並びに炭素繊維(B)1〜200質量部を含んでなる炭素繊維強化樹脂組成物である。
【0013】
ポリマーアロイ(A)100質量部当たりの炭素繊維(B)の含有量は、1〜200質量部(好ましくは1〜150質量部)の範囲で、炭素繊維強化樹脂組成物の用途によって適宜決定される。自動車に代表される移動用ビークルの素材として用いる場合は、軽量性と機械物性をバランスよく発現させることが必要であるため、炭素繊維(B)の含有量は、ポリマーアロイ(A)100質量部当たり通常1〜100質量部、好ましくは1〜90質量部、より好ましくは1〜80質量部である。コンクリートの緊張材、つり橋のケーブル、鉄骨代替材料などの土木・建築分野、送電線芯材などの電力分野に応用する場合や一般産業機械の部品への応用の場合は軽量性よりも機械強度が優先されるので、炭素繊維(B)の含有量はポリマーアロイ(A)100質量部当たり50〜150質量部、好ましくは60〜140質量部である。また、炭素繊維強化樹脂組成物を、汎用ポリプロピレンのマスターバッチとして利用する場合においても、後工程でブレンドされるニート樹脂量にも左右されるが、その炭素繊維(B)含有量は、一般的にはポリマーアロイ(A)100質量部当たり50〜150質量部である。
【0014】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物を構成するポリマーアロイ(A)の、ASTM D1238に準拠し230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは30〜500g/10分である。ポリマーアロイ(A)の、230℃、2.16kg荷重で測定される好ましいMFRは、ポリマーアロイ(A)に含まれるポリアミド(n)の含有量や、エチレン系重合体(e)の含有量(e)によって異なる。すなわち、ポリマーアロイ(A)がポリアミド(n)とエチレン系重合体(e)を含有しない場合の好ましいMFRは40〜200g/10分、より好ましいMFRは50〜150g/10分である。一方、ポリマーアロイ(A)がポリアミド(n)やエチレン系重合体(e)を含有する場合の好ましいMFRは80〜500g/10分、より好ましいMFRは100〜350g/10分である。
【0015】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、後述するように、通常、ポリマーアロイ(A)と炭素繊維(B)を溶融混練して得られるが、この方法に何ら限定されるものではない。
【0016】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物を構成するポリマーアロイ(A)の、成分量あるいは成分比における好ましい態様は、次の二要件を満たす。
(要件1)ポリマーアロイ(A)中の成分(p)の含有量をW
p質量%、成分(m)の含有量をW
m質量%、成分(e)の含有量をW
e質量%、成分(n)の含有量をW
n質量%とした場合、W
pとW
mの合計が50〜100質量%であり、W
nが0〜50質量%である(ここで、W
p、W
m、W
e及びW
nの合計は100質量%)。
(要件2)W
pとW
mの比率(W
p/W
m)が、70/30〜98/2である。
【0017】
さらに要件1について、ポリマーアロイ(A)は、次のより好ましい態様に分別される。
【0018】
一つの好ましい態様は、成分(p)の含有量をW
p質量%、成分(m)の含有量をW
m質量%、成分(e)の含有量をW
e質量%、成分(n)の含有量をW
n質量%とした場合、W
pとW
mの合計が100質量%であり、W
eが0質量%、W
nが0質量%(ここで、W
p、W
m、W
e及びW
nの合計は100質量%)のポリマーアロイ(A)である。
【0019】
一つの好ましい態様は、W
pとW
mの合計が50〜98質量%、好ましくは60〜98質量%、より好ましくは70〜95質量%であり、W
nが2〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である(ここで、W
p、W
e、W
m及びW
nの合計は100質量%)。
【0020】
一つの好ましい態様は、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)として、酸変性プロピレン系重合体及び酸変性エチレン系重合体から選ばれる1種以上の樹脂を用い、より好ましくはマレイン酸変性プロピレン系重合体(m1)及びマレイン酸変性エチレン系重合体(m2)から選ばれる1種以上の樹脂を用い、さらに好ましくは、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)がマレイン酸変性プロピレン系重合体(m1)を含み、且つ成分(m1)のASTM D1238に準拠し230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR
m1)が150g/10分を超える。
【0021】
一つの好ましい態様は、成分(p)のASTM D1238に準拠し230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)をMFR
p(g/10分)、成分(m1)のASTM D1238に準拠し230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)をMFR
m1(g/10分)とした場合、下記関係式(1)、好ましくは下記関係式(1')、より好ましくは下記関係式(1'')、特に好ましくは下記関係式(1''')を満たすポリマーアロイ(A)である。
【0023】
以下、ポリマーアロイ(A)を調製するための各種原料類及び炭素繊維(B)について説明する。
【0024】
[プロピレン系重合体(p)]
本発明においてプロピレン系重合体(p)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含量が5質量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体から選ばれる一種以上の重合体である。
【0025】
プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンランダム共重合体は、プロピレン単独又はプロピレンとエチレンを共重合して得られる。本発明において、炭素繊維強化樹脂組成物から得られる成形品の力学特性のうち、剛性を重視する場合はプロピレン系重合体(p)としてプロピレン単独重合体が好んで用いられ、一方、耐衝撃性を重視する場合はプロピレン系重合体(p)としてプロピレン・エチレンランダム共重合体が好んで採用される。両性能をほどよく発現させたい場合は、プロピレン単独重合体とプロピレン・エチレンランダム共重合体が併用されることもある。その際の仕込み比率等の具体的条件は、目的とする剛性と耐衝撃性のバランスに基づいて任意に決定される。
【0026】
プロピレン系重合体(p)としてプロピレン・エチレンランダム共重合体を用いる場合、ランダム共重合体の全構造単位に対するエチレン由来の構造単位の含有比率は、0を超え、5質量%以下、好ましくは、1〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。この含有比率が5質量%を超えると、樹脂組成物は柔らかくなり過ぎてしまい、成形品の強度が低下する場合がある。この含有比率は、赤外分光分析法(IR)又はNMRにて測定できる。
【0027】
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、好ましくはプロピレン単独重合体部分とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分とから構成される。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の含有量は、通常は5〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは8〜18質量%であり、プロピレン単独重合体部分の含有量は、通常は70〜95質量%、好ましくは75〜95質量%、より好ましくは82〜92質量%である。これら含有量は、プロピレン・エチレンランダム共重合体部部分とプロピレン単独重合体部分との合計量100質量%を基準とする。
【0028】
プロピレン・エチレンブロック共重合体中において、エチレン起因の骨格含量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。
【0029】
本発明において、プロピレン・エチレンブロック共重合体は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組合せて使用することもできる。
【0030】
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、プロピレン単独重合体部分のMFR(230℃、荷重2.16kg)は、通常は2〜1000g/10分、好ましくは50〜500g/10分、より好ましくは150〜350g/10分である。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の135℃、デカヒドロナフタレン中で測定した固有粘度[η]は、通常は4〜10dl/g、好ましくは5〜9dl/gである。また、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分中のエチレン由来の構造単位の含有量は、通常は20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%である。
【0031】
プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンランダム共重合体の、ASTM D1238に準拠して測定した230℃、2.16kg荷重におけるMFRは、ポリマーアロイ(A)のMFRが30〜500g/10分を満たす限りは広範なMFR値の成分(p)を制限なく使用できる。通常は、成分(p)のMFRは、1〜400g/10分、好ましくは、5〜300g/10分、より好ましくは10〜250g/10分である。MFRが1g/10分より小さいと、成形時の樹脂流動性が悪く、ポリマーアロイ(A)が炭素繊維細部まで樹脂が含浸されない可能性がある。また、MFRが400g/10分より大きいと、成形品に十分な機械強度が発現しない場合があるので好ましくない。
【0032】
本発明において、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンランダム共重合体は、公知のオレフィン重合用触媒の存在下に、共重合を行って調製することができる。オレフィン重合用触媒としては、具体的には、例えば、固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分とを含む所謂チーグラーナッタ触媒や、メタロセン触媒を用いることができる。
【0033】
[エチレン系重合体(e)]
エチレン系重合体(e)は、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物から得られる成形体の耐衝撃性を始めとする力学特性を更に向上させるために添加される。なお以下の説明では、エチレン系重合体(e)のことをゴム成分と略記する場合がある。
【0034】
エチレン系共重合体(e)としては、具体的にはエチレン起因の骨格含有量(ホモポリエチレンが併存する場合はその骨格含有量も含む)が50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上のエチレン系共重合体である。特に、エチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、エチレンと炭素原子数3〜10のα−オレフィンとの共重合体がより好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用可能である。中でも、1−ブテン、1−オクテンが特に好ましい。
【0035】
エチレン系共重合体(e)のASTM D−1238により230℃、2.16kg荷重で測定したMFRは、好ましくは1〜100g/10min、より好ましくは3〜80g/10minであり、密度は好ましくは0.86〜0.92g/cm
3である。これらゴム成分からの最適種の選定や、その添加量などの具体的条件は、目的とする剛性と耐衝撃性のバランスに基づいて任意に決定される事項である。
【0036】
[ポリアミド(n)]
ポリアミド(n)の種類は特に限定されない。例えば、アミノ酸ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸との溶融重縮合反応により得られる溶融成形可能なポリマー全般を制限無く使用できる。具体的には、以下の各種の樹脂が挙げられる。
【0037】
(1)炭素原子数4〜12の有機ジカルボン酸と炭素原子数2〜13の有機ジアミンとの重縮合物、例えば、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアジパミド[6,6ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとアゼライン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアゼラミド[6,9ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンセバカミド[6,10ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンドデカノアミド[6,12ナイロン]、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合物である半芳香族ポリアミド(PA6T、PA9T、PA10T、PA11T)、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカン。有機ジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フェニレンジオキシジ酢酸、オキシジ安息香酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられる。有機ジアミンの具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン、オクタンジアミン、デカンジアミン、ウンデカジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミンが挙げられる。
【0038】
(2)ω−アミノ酸の重縮合物、例えばω−アミノウンデカン酸の重縮合物であるポリウンデカンアミド[11ナイロン]。
【0039】
(3)ラクタムの開環重合物、例えばε−アミノカプロラクタムの開環重合物であるポリカプラミド[6ナイロン]、ε−アミノラウロラクタムの開環重合物ポリラウリックラクタム[12ナイロン]。
【0040】
中でも、ポリヘキサメチレンアジパミド(6,6ナイロン)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(6,9ナイロン)、ポリカプロラミド(6ナイロン)が好ましい。
【0041】
さらに、例えばアジピン酸とイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから製造されるポリアミドも使用可能であるし、6ナイロンと6,6ナイロンとの混合物のように2種以上のポリアミド樹脂を配合したブレンド物も使用可能である。
【0042】
ポリアミド(n)は溶融時の流動性に優れる性状を備えることが、炭素繊維強化樹脂組成物の成形体の強度の視点から好ましい。ポリアミド(n)のASTM D1238に準拠した190℃、1kg荷重のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは10g/10分以上、特に好ましくは12g/10分以上である。
【0043】
[酸変性ポリオレフィン樹脂(m)]
酸変性ポリオレフィン樹脂(m)は、不飽和カルボン酸又はその誘導体等の酸で変性されたポリオレフィン樹脂である。酸変性ポリオレフィン樹脂(m)は、炭素繊維(B)とポリマーアロイ(A)との界面強度を向上させ、破壊応力や曲げ強さ等の強度特性を大幅に向上させる。
【0044】
変性に用いる酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。また、これら不飽和カルボン酸の誘導体も使用できる。その誘導体としては、例えば、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩が挙げられ、具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、マレイン酸エチル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムが挙げられる。
【0045】
中でも、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体が好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。変性の方法も特に制限は無く、公知の方法を用いれば良い。例えば、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解し、不飽和カルボン酸又はその誘導体及びラジカル発生剤を添加して加熱、撹拌する方法、上記各成分を押出機に供給してグラフト共重合させる方法がある。
【0046】
酸変性ポリオレフィン樹脂(m)中の酸含量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.8〜8質量%である。酸含量は、樹脂のIRスペクトルを測定し、1670cm
−1〜1810cm
−1のピーク面積に基づき別途作成した検量線から決定される。
【0047】
酸変性ポリオレフィン樹脂(m)の135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.1〜3.0dL/gである。極限粘度[η]が0.1dL/g以上であれば成形品の強度特性等の物性が低下し難くなり、3.0dL/g以下であれば組成物の流動性が低下し難くなり良好な成形性が維持される。
【0048】
特に、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)として、酸変性プロピレン系重合体及び酸変性エチレン系重合体から選ばれる1種以上の樹脂を用いることが好ましく、マレイン酸変性プロピレン系重合体(m1)及びマレイン酸変性エチレン系重合体(m2)から選ばれる1種以上の樹脂を用いることがより好ましい。
【0049】
酸変性ポリオレフィン樹脂(m)のASTM D1238に準拠した230℃、2.16kg荷重におけるMFRは特に限定されないが、ポリマーアロイ(A)のMFRが30〜500g/10分となることを妨げないような値であることが好ましい。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)として酸変性プロピレン系重合体(m1)を用いる場合は、成分(m1)のMFRは、通常150g/10分を超え、好ましくは200g/10分以上、より好ましくは300g/10分以上、特に好ましくは500g/10分以上、最も好ましくは600g/10分以上である。
【0050】
特に、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)として酸変性プロピレン系重合体を用いる場合
は、マレイン酸変性プロピレン系重合体(m1)を用いることが好ましい。
【0051】
[炭素繊維(B)]
本発明に用いる炭素繊維(B)としては、公知の種々の炭素繊維を使用することができる。具体例としては、ポリアクリルニトリル系、レーヨン系、ピッチ系、ポリビニルアルコール系、再生セルロース、メゾフェーズピッチから製造されたピッチ系等の炭素繊維が挙げられる。
【0052】
炭素繊維(B)の繊維径は、好ましくは3〜30μm、より好ましくは4〜10μmである。繊維径の上記範囲の各下限値は、繊維の破損防止や繊維束の生産性の点で意義がある。例えばペレットを連続製造する場合は、繊維径を適度に太くすれば束ねる繊維の本数が多くならず、繊維束をつなぐ煩雑な手間が不要となり、生産性が向上する。一方、各上限値は、ペレット長が決まっている場合に繊維のアスペクト比の低下を抑えて、補強効果を維持する点で意義がある。
【0053】
炭素繊維(B)のアスペクト比は、好ましくは5〜6000である。この下限値は強度低下を抑制する点で意義があり、上限値は成形性の点で意義がある。炭素繊維(B)のアスペクト比は、平均繊維径と平均繊維長から、(平均繊維長)÷(平均繊維径)の式によって求められる。
【0054】
炭素繊維(B)は長繊維でも良いし、短繊維でも良いし、チョップドファイバーであっても良い。長繊維の原料としては、連続状繊維束が使用でき、これはトウとして市販されている。通常、その平均繊維径は3〜30μm、フィラメント集束本数は500〜80,000本である。好ましくは、平均繊維径は4〜10μm、集束本数は12,000〜50,000本である。チョップドストランドの長さは通常1〜20mm、繊維の径は通常3〜30μm、好ましくは4〜10μmである。
【0055】
炭素繊維(B)は、集束剤(サイズ剤)を用いて束ねられた炭素繊維束であることが好ましい。具体的には、多数本の炭素繊維を集束剤で一体に束ねられた状態で使用することが好ましい。炭素繊維束を構成する集束剤は、機械的強度を高める観点から、ウレタン系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン、ナイロン系エマルジョンが好ましい。より好ましくはウレタン系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等のエマルジョン系接着剤であり、特に機械的強度をより向上させる観点から、エポキシ系エマルジョンが最も好ましい。炭素繊維束を構成する炭素繊維の本数は特に制限されるものではないが、例えば6000〜48000本にすることができる。
【0056】
炭素繊維(B)の表面は、酸化エッチングや被覆等で表面処理を行ったものが好ましい。酸化エッチング処理としては、例えば、空気酸化処理、酸素処理、酸化性ガスによる処理、オゾンによる処理、コロナ処理、火炎処理、(大気圧)プラズマ処理、酸化性液体(硝酸、次亜塩素酸アルカリ金属塩の水溶液、重クロム酸カリウム−硫酸、過マンガン酸カリウム−硫酸)が挙げられる。炭素繊維を被覆する物質としては、例えば、炭素、炭化珪素、二酸化珪素、珪素、プラズマモノマー、フェロセン、三塩化鉄等が挙げられる。また、要に応じてウレタン系、オレフィン系、アクリル系、ナイロン系、ブタジエン系及び
エポキシ系等の収束剤を使用しても良い。
【0057】
炭素繊維(B)は、機械的強度を高める観点から、引張強度が好ましくは2500〜6000MPa、より好ましくは3500〜6000MPa、特に好ましくは4500〜6000MPaである。
【0058】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物は、短繊維強化樹脂ペレットであっても長繊維強化樹脂ペレットであっても良い。短繊維強化樹脂ペレットの場合は、押出し機等に上記した成分(p)、成分(m)、必要に応じて成分(e)、成分(n)及び他の任意成分、並びに炭素繊維成分(B)をロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー等でよく溶融混練分散して製造できる。タンブラー式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等でドライブレンドし、一軸押出機、二軸押出機等で溶融混練してペレット状の成形材料としても良い。この方法では、炭素繊維(B)は、押出機のトップ又はサイドの何れから投入しても良い。また、この方法ではポリマーアロイ(A)の各成分の全部又は一部を別途溶融混練した後、炭素繊維(B)と溶融混練しても良い。
【0059】
一方、本発明の炭素繊維強化樹脂組成物が長繊維強化樹脂ペレットである場合は、引き抜き法等公知の方法で製造することができる。上記した成分の一部を別途溶融混練した後、溶融混練しても良い。例えば、炭素繊維ロービングを含浸ダイスに導き、フィラメント間に溶融樹脂を均一に含浸させた後、必要長さ(2〜200mm)に切断することによってペレタイズすることが可能である。
【0060】
本発明の炭素繊維強化樹脂組成物には、用途に応じて様々な添加剤、例えば、分散剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤、リン酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等)、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤(増核剤等)、発泡剤、架橋剤、抗菌剤等の改質用添加剤;顔料、染料等の着色剤;カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、アゾ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー等の粒子状充填剤;ワラストナイト等の短繊維状充填剤;チタン酸カリウム等のウィスカー;が添加されていても良い。
【0061】
本発明の成形品は、以上説明した本発明の繊維強化樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。成形方法としては、射出成形法、押出成形法、中空成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法、ガス注入射出成形法、発泡射出成形法等の公知の成形法を何ら制限なく適用できる。特に射出成形法、圧縮成形法及び射出圧縮成形法が好ましい。
【実施例】
【0062】
次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。まず、以下に実施例及び比較例で用いた原材料を示す。
【0063】
[炭素繊維(B)]
東邦テナックス社製の下記3種類の短繊維「TENAX(登録商標) Chopped Fiber」(CF−1〜CF−3)及び下記フィラメント「TENAX(登録商標) Filament Yarn」(CF−4)を用いた。また比較例1−2では、セントラルグラスファイバー社製の下記ガラス繊維(GF−1)を用いた。
・「CF−1」:HT C251;繊維長=6mm、エポキシ含有率=1.3質量%
・「CF−2」:HT C227;繊維長=6mm、エポキシ含有率=7.0質量%
・「CF−3」:HT C261;繊維長=3mm、エポキシ含有率=1.3質量%
・「CF−4」:HTS40 12K;フィラメント数=12000本、エポキシ含有率=1.3質量%)
・GF−1:繊維長=3mm
【0064】
[プロピレン系重合体(p)]
プライムポリマー社製の下記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b-PP)及び下記4種類のプロピレン単独重合体(h-PP(1)〜h-PP(4))を用いた。
・「b−PP」:X855;ASTM D1238に準拠したMFR(以下同じ)(230℃、2.16kg)=15g/10分、25℃キシレン可溶部量=23質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=7.4dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=39mol%
・「h-PP(1)」:MFR(230℃、2.16kg)=15g/10分
・「h-PP(2)」:MFR(230℃、2.16kg)=50g/10分
・「h-PP(3)」:MFR(230℃、2.16kg)=63g/10分
・「h-PP(4)」:MFR(230℃、2.16kg)=220g/10分
【0065】
[エチレン系共重合体(e)]
三井化学社製の下記2種類のエチレン・1−ブテン共重合体「タフマー(登録商標)」(e−1〜e−2)を用いた。
・「e−1」:DF940;エチレン含有量=90モル%、MFR(230℃、2.16kg)=6.7g/10分
・「e−2」:DF7350;密度=870kg/m
3、MFR(230℃、2.16kg)=65g/10分、融点=55℃
【0066】
[ポリアミド(n)]
宇部興産社製の下記3種類のポリアミド12「UBESTA(登録商標)」(PA-1〜PA-3)を用いた。
・「PA-1」:3012U;ISO11357−3に準拠したる融点(以下同じ)=180℃、ISO11357−3に準拠したMFR(以下同じ)(190℃、1.0kg)=17g/10分)
・「PA-2」:3014U;融点=179℃、MFR(190℃、1.0kg)=9g/10分
・「PA-3」:3020U;融点=178℃、MFR(235℃、2.16kg)=20g/10分)
【0067】
[酸変性ポリオレフィン樹脂(m)]
三井化学社製の下記マレイン酸変性ランダムポリプロピレン「アドマー(登録商標)QE800」(m1−1)、下記方法で調製した無水マレイン酸変性ポリプロピレン(m1−2)、及び三井化学社製の下記マレイン酸変性エチレン系重合体「タフマー(登録商標)MH5020」(m2)を用いた。
・「m1−1」:ASTM D1238に準拠したMFR(以下同じ)(230℃、2.16kg)=9.0g/10分
・「m1−2」:ポリプロピレン(プライムポリマー社製、商品名J106G、MFR(230℃、2.16kg)=15g/10分)100質量部に対して、ジアルキルパーオキサイド(日油社製、パーヘキサ(登録商標)25B)1質量部、粉末化した無水マレイン酸(日油社製、CRYSTAL MAN(登録商標))3質量部を予備混合した。この混合物を190℃に温度調節した30mmφの二軸押出機に供給して、200rpmにて溶融混練して得たストランドを水槽で冷却して無水マレイン酸変性ポリプロピレン得た。未変性の残留無水マレイン酸を除去するために、この無水マレイン酸変性ポリプロピレンを40℃で2時間真空乾燥した。得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(m1−2)のマレイン酸含量は2.5質量%、MFR(230℃、2.16Kg)は800g/10分であった。
・「m2」:MFR(230℃、2.16Kg)=1.2g/10分
【0068】
[実施例1−1]
<評価法1(DSM法))>
混練装置(東洋精機製作所製、ラボプラストミル(登録商標)75C100)のローラ回転数を5rpm、設定温度を180℃とし、容量100ccの混練部に、表1に示す量の成分(n)、成分(m1)、成分(m2)、成分(p)、成分(e)、成分(B)をこの順に投入し、投入終了後に設定温度を190℃まで昇温させた。次いで、ローラ回転数を10秒間隔で10→30→50→70→90rpmまで上げる操作を3回繰り返した。その後、30rpmで10分間混練を行った後に混練物をミルから取り出し、塊り状混練物を簡易プレス機でプレスして厚み2mm程度のシート状炭素繊維強化樹脂組成物を得た。
【0069】
上記のシート状炭素繊維強化樹脂組成物をカッターで小片にし、樹脂混練・成形評価装置(Xplore Instruments社製)の小型混練機(DSM Xplore MC15M)のホッパー部に投入し、180℃、3分間混練した。その後直ちに、試験片作製用射出成形機(DSM Xplore IM12M)のポット部(220℃)に投入し、30〜40℃の金型に9MPa(一次)、12MPa(二次)の圧力で射出成形し、35秒間保持し、JIS K 7162 1994に準拠したダンベル型試験片を作製した。次いで、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件下で引張試験を実施した。応力−歪曲線における引張降伏応力(YS)(MPa)、引張破断点伸び(%)、引張弾性率(見かけの引張弾性率)(GPa)の結果を表1に示す。
【0070】
<評価法2(平板切出し法)>
表1に示す量の成分(n)、成分(m1)、成分(m2)、成分(p)、成分(e)、成分(B)をこの順に、250℃に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入した。また成分(B)を100質量部になる速度で拡張開繊して押出機のダイヘッドに供給し、ストランド化、冷却固化し、ストランドカッターによってペレット化し、ペレット状の炭素繊維強化樹脂組成物を得た。
【0071】
上記のペレット状の炭素繊維強化樹脂組成物をシリンダー温度250℃、型締め圧100tの射出成型機に投入し、120mm×120mm×3mmtの金型を用いて板状成形品を得た。この板状成形品をJIS K 7162 IBA(ISO527−2)に準拠して切出試験片を作製した。切出試験片について、ISO178準拠し曲げ試験を実施し、応力―歪曲線における曲げ弾性率(GPa)と曲げ強度(MPa)を求めた。また、切出し試験片についてJIS K7111に従いシャルピー衝撃試験を行い(試験片サイズ=10mm×80mm×4mm、ノッチ=機械加工)、23℃におけるシャルピー衝撃強度(kJ/m
2)を求めた。結果を表1に示す。
【0072】
<実測MFR>
ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重で成分(A)のメルトフローレート(MFR)を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
[実施例1−2]
成分(B)としてのCF−1をCF−2に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0074】
[実施例1−3]
成分(B)としてのCF−1をCF−3に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0075】
[比較例1−1]
成分(B)を用いなかったこと以外は、実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0076】
[比較例1−2]
成分(B)としてのCF−1をGF−1に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。本比較例では、繊維を全く用いた比較例1−1と比べると引張降伏応力及び引張弾性率は多少大きな値を示したが、炭素繊維を用いた実施例1−1〜1−3と比べると機械特性が劣っていた。
【0077】
【表1】
【0078】
[実施例2−1]
ラボプラストミル(登録商標)に、表2に示す量の成分(p)、成分(m)及び、成分(B)をこの順に投入したこと以外は、実施例1−1の評価法1と同じ試験片を作製し、引張試験を実施し、応力−歪曲線における引張弾性率(GPa)と引張強度(MPa)を求めた。また、成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)も測定した。結果を表2に示す。
【0079】
[比較例2−1]
成分(m)を用いず、各成分の量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例2−1と同様にして試験片を成形しようとした。しかし、炭素繊維が均一に溶融混練しないので成形できなかった。
【0080】
[実施例2−2]
成分(p)としてh-PP(4)を用い、成分(n)を併用し、各成分の量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例2−1と同様にして試験片を作製し評価した。結果を表2に示す。本実施例では、実施例2−1よりも炭素繊維(成分(B))の含量が低い割には高めの引張特性を示した。さらに、本実施例のポリマーアロイ(A)のMFRは250g/10分と高い値を示し、このことから溶融混練し易い(低フィードエネルギー量で炭素繊維が十分に含浸する)ことが分かった。
【0081】
[実施例2−3]
成分(p)としてh-PP(3)を用いたこと以外は、実施例2−2と同様にして試験片を作製し評価した。結果を表2に示す。本実施例では、実施例2−2に比べて成分(p)のMFRが若干低いので、引張特性も低下する傾向にあることが分かった。ただし、実用上は問題無いレベルである。
【0082】
[参考例2−1]
成分(p)としてh-PP(1)を用いたこと以外は、実施例2−2と同様にして試験片を作製し評価した。結果を表2に示す。本参考例では、実施例2−2に比べて成分(p)のMFRがかなり低いのでポリマーアロイ(A)のMFRもかなり低くなり、実用上は改善が望ましい程度に引張特性が低下した。
【0083】
[実施例2−4]
成分(p)としてのh-PP(4)、成分(m)、成分(n)及び成分(B)を表2に示す量用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして評価法1と同じ試験片を作製し評価した。また実施例1−1の評価法2と同じ試験片も作製し、同様にして曲げ弾性率(GPa)、曲げ強度(MPa)、シャルピー衝撃強度(kJ/m
2)を求めた。さらに、評価法2の試験片について、引張速度5mm/分で引張試験を実施し、応力−歪曲線における引張弾性率(GPa)と引張強度(MPa)も求めた。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例2−5]
成分(p)としてh−PP(3)を用い、各成分の量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例2−4と同様にして試験片を作製し評価した。結果を表2に示す。本実施例では、実施例2−4に比べて成分(p)のMFRが若干低いので、引張特性と曲げ特性が低下する傾向にあることが分かった。ただし、実用上は問題無いレベルである。
【0085】
[参考例2−2]
成分(p)としてh−PP(1)を用いたこと以外は、実施例2−4と同様にして評価法2の試験片を作製し評価した(ただしシャルピー衝撃強度は除く)。結果を表2に示す。本参考例では、実施例2−4に比べて成分(p)のMFRがかなり低いのでポリマーアロイ(A)のMFRもかなり低くなり、実用上は改善が望ましい程度に引張特性が低下した。
【0086】
[実施例3−1]
成分(p)としてのb−PP、成分(e)、成分(m)、成分(n)、及び成分(B)を表2に示す量用いたこと以外は、実施例2−4と同様にして評価法2の試験片を作製し評価した。結果を表2に示す。本実施例では、引張特性や曲げ特性はh−PPを用いた実施例2−4及び2−5よりも低いが、シャルピー衝撃強度が大きく向上した。
【0087】
[実施例3−2]
成分(B)の量を表2に示すように増量したこと以外は、実施例3−1と同様にして評価法2の試験片を作製し評価した。結果を表2に示す。本実施例では、炭素繊維(成分(B))の量が実施例3−1も多いので、引張特性と曲げ特性の向上のみならず、耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)も30〜40%向上した。
【0088】
【表2】
プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体、及びエチレン含量が5質量%以下のプロピレン・エチレンランダム共重合体から選ばれる一種以上のプロピレン系重合体(p)25〜95質量%、酸変性ポリオレフィン樹脂(m)1〜60質量%、エチレン系重合体(e)0〜40質量%、及びポリアミド(n)0〜50質量%[ここで成分(p)、成分(m)、成分(e)及び成分(n)の合計は100質量%]を含むポリマーアロイ(A)100質量部、並びに炭素繊維(B)1〜200質量部を含んでなる、強度や弾性率等の特性が優れた炭素繊維強化樹脂組成物が開示される。