特許第6012920号(P6012920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012920塗布ローラを有するパッケージ及び塗布器のデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012920
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】塗布ローラを有するパッケージ及び塗布器のデバイス
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/12 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   A45D33/12
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-137363(P2010-137363)
(22)【出願日】2010年6月16日
(65)【公開番号】特開2011-444(P2011-444A)
(43)【公開日】2011年1月6日
【審査請求日】2013年6月5日
【審判番号】不服2015-10999(P2015-10999/J1)
【審判請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】0954062
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチルダ・ゲーテソープ
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ボダン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ルシャノワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】パトリス・バレ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・リモニ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・セグイン
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 土田 嘉一
【審判官】 関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−47414(JP,U)
【文献】 実開平3−84013(JP,U)
【文献】 米国特許第4898195(US,A)
【文献】 米国特許第5176754(US,A)
【文献】 実開昭63−39305(JP,U)
【文献】 実開平6−13712(JP,U)
【文献】 実開平5−48807(JP,U)
【文献】 実開昭59−139206(JP,U)
【文献】 特開平9−131216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00 - 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容組成物を塗布するためのパッケージ及び塗布器のデバイス(1)であって、当該デバイスは、
少なくとも1つの組成物(P)を収容するケース(2)と、
回転方向(Y)に沿って前記組成物上を移動するために回転軸(X)回りで回転する少なくとも1つの塗布ローラ(40)を有する塗布器(3)と、
を備え、
回転軸(X)に沿って測定された前記塗布器の全体寸法(W)は、前記組成物(P)上における前記塗布ローラ(40)の回転方向(Y)に垂直に測定された前記組成物(P)の寸法(L)未満であり、
前記塗布器は、突起部を有しており、
前記塗布ローラは、前記突起部間で回転し、
前記塗布器は、ハンドル(30)を同様に有し、
前記ケース(2)は、2つの橋台部(80)を有しており、
前記塗布器の前記突起部(32)は、前記ケースの蓋部を閉じたときに、前記ケースが上下反転した場合に、前記塗布ローラが前記蓋部(5)と接触しようとすることを防止するような態様で、2つの前記橋台部(80)に下方から係合し、
前記ケースは、不使用時に前記塗布器を受けるための筐体を有し、
前記ハンドル(30)が、回転軸(X)に垂直な方向に沿う寸法であって、回転軸に垂直な方向における移動に対して前記塗布器を前記筐体内で保持するのに十分である、寸法を有することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
回転方向(Y)に沿って測定された前記組成物の寸法(M)は、前記塗布器に前記組成物を付けている間に前記組成物と接触する領域(101)における前記塗布ローラの外周の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ケースは、不使用時に前記塗布器(3)を受容する筐体(16)を有しており、
前記筐体(16)は、前記ケース(2)が水平面にあるときに前記塗布器を上向きに傾斜させるように方向付けるような態様で構成されており、
前記筐体(16)は、前記塗布器が当該筐体内(16)にあるときに前記塗布器が当接支持する2つの傾斜部(70)を有しており、
前記傾斜部(70)は、前記塗布器を上向きに傾斜させるように方向付けることを可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記筐体の底部は、前記傾斜部(70)間に延在する通気グリッド(19)を有することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ケースは、当該ケースの蓋部を閉じたときに前記蓋部(5)から離間して前記塗布ローラ(40)を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記塗布器は、ハンドル(30)を有し、
前記ハンドル(30)が、回転軸(X)に垂直な方向に沿って、回転軸に垂直な方向における移動に対して前記塗布器を前記筐体内で保持するのに十分な寸法を有することを特徴とする請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記組成物(P)は、固体のケークの形態をなすことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記塗布ローラ(40)の外形は、長手方向断面において、最初の使用時において前記組成物の表面外形と一致することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容組成物を塗布するため、より具体的には、排他的ではないが、ファンデーションを塗布するためのパッケージ及び塗布器のデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、皮膚、より具体的には顔に対するケア製品からかつ/または化粧品からなる美容組成物は、顔の1以上の局所的な領域に一塗りを1以上付着させることによって塗布され、そして、付着物は、指またはスポンジを用いて広げられて顔の全面を覆う。
【0003】
この従来の塗布方法は、組成物が顔の領域全体にわたって十分に均一な厚さとなることを保証することができない。一般的には、組成物が最初に一塗りされる領域は、組成物がより厚くなる利益を受ける。対照的に、これら領域から最も離間した顔の領域は、組成物でより薄く被覆される。この均一性の欠如は、一般的に化粧効果において視認可能であり、自然な外見(natural look)を望むユーザにとって好ましくない。
【0004】
また、発泡体からなるブロックを備える塗布器を用いて液体ファンデーションを塗布することが提案されており、この塗布器は、塗布中に、組成物を収容する容器に固定されている、または変形例において、容器から分離している。
【0005】
特許文献1〜4は、それぞれが塗布のための組成物を収容する容器に固定された塗布ローラを備えるパッケージ及び塗布器のデバイスを開示している。
【0006】
特許文献5は、組成物自体で構成された塗布ローラを有する塗布器を記載している。
【0007】
特許文献6は、皮膚に比較的細い線を描くことを可能とする塗布ホイールを有するアイライナ塗布器を開示している。ホイールは、塗布前にホイールを組成物と接触させた状態で付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許第985064号明細書
【特許文献2】仏国特許第1524192号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2882505明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0275072号明細書
【特許文献5】仏国特許第1281338号明細書
【特許文献6】仏国特許出願公開第2903584号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
美容組成物を塗布するためのパッケージ及び塗布器のデバイスをさらに改善する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、美容組成物を塗布するためのパッケージ及び塗布器のデバイスを用いてこれを達成しており、このデバイスは、
・ 特に固形ケーク状の少なくとも1つの組成物を収容するケースと、
・ 回転方向に沿って組成物上を移動するために回転軸回りで回転する少なくとも1つの塗布ローラを有する塗布器と、
を備え、回転軸に沿って測定された塗布器の全体寸法は、組成物上における塗布ローラの回転方向に垂直に測定された組成物の寸法以下である。
【0011】
本発明を用いて、塗布ローラは、組成物が容易に付けられ、組成物は、比較的均一である付着を達成しながら、容易に塗布される。
【0012】
用語「ローラ」は、組成物と接触しかつ塗布に使用される表面の長さが回転軸に沿って測定すると、上記表面の最大直径よりも大きく、例として直径の1.5倍よりも大きいまたは2倍よりも大きいことを意味すると理解されるべきである。
【0013】
用語「固体組成物」は、収容中に組成物の形状を保存しかつ「流体組成物」と異なり組成物自体の重量により流動しない高い密度の組成物を意味すると理解されるべきである。好ましくは、上述のように、組成物は、固形ケークの形態をなす。変形例において、組成物は、半固形、特にクリーム状である。
【0014】
回転軸に沿って測定した塗布器の寸法が組成物における塗布部材の回転方向に垂直に測定した組成物の寸法以下であるという事実により、組成物が消耗されるにしたがって塗布器がケース内により深く侵入することが可能となる。
【0015】
塗布ローラは、グリッドまたはメッシュを介在させずに組成物からなるケークと直接接触して回転する。変形例において、組成物は、組成物上に位置するグリッドまたはメッシュを通って取られる。この状況において、塗布ローラは、上記組成物が消耗されるにしたがって、組成物を入れている筐体内に深く侵入するグリッドまたはメッシュの上を回転する。
【0016】
好ましくは、回転方向に沿って測定した組成物の寸法は、塗布器に組成物を付けている間に組成物と接触する上記塗布ローラの所定領域における塗布ローラの外周以上である。特に、寸法は、上記外周の2倍以上である。これにより、塗布ローラは、組成物上を回転すると少なくとも完全な1回転を実行することが可能となり、このため、ユーザは、上記ローラを組成物の一端から他端まで移動させながら、組成物上を一回通過するときに比較的均一な組成物を塗布ローラの作業面全体に付けることが可能となる。
【0017】
塗布器は、さまざまな方法で形成される。好ましくは、塗布器は、突起部を有し、塗布ローラは、これら突起部間を回転する。塗布器は、ハンドルを有する。ハンドルは、突起部と一体的にプラスチック材料で成形される。
【0018】
ケースは、不使用時に塗布器を受容する筐体を有する。筐体の底部は、底部を貫通する少なくとも1つの通気穴を有する。
【0019】
筐体は、ケースが水平面にあるときに上方に傾斜させるために塗布器を方向付けるような態様で構成されている。このため、ユーザは、ケースを開けた状態でより容易に塗布器を保持する。
【0020】
特定の形態において、筐体は、2つの傾斜部を有しており、塗布器は、塗布器が筐体内にあるときに傾斜部に当接支持し、傾斜部は、上方に傾斜するように塗布器を方向付けることを可能とする。特に、傾斜部があることによって、通気グリッドが筐体の底部に傾斜部間に延在して設けられることが可能となる。ギャップは、ハンドルとグリッドとの間に存在し、このグリッドは、塗布器を収容する筐体が適切に通気されることを可能とするのに十分である。
【0021】
本発明の形態において、ケースは、ケースが上下反転した場合に、蓋を閉じると塗布ローラをケースの蓋から離間して保持するように構成されている。
【0022】
例えば、ケースは、2つの橋台部を有しており、塗布器の上記突起部は、上記蓋を閉じたときに塗布ローラが蓋と接触することを避ける態様で橋台部の下方において係合する。これにより、ケースが上下反転したときに組成物が蓋の内面に移動することを回避し、この移動は、特に蓋が透光性材料から形成されている場合に厄介である。
【0023】
塗布器のハンドルは、回転軸に垂直な方向に沿って、回転軸に垂直な方向における上記塗布器の移動に対して筐体内で塗布器を保持するのに、またはせめて塗布器の移動を塗布器が上記橋台部から離脱することを可能とするには十分でない往復運動に制限するのに、十分な寸法を有する。また、塗布器は、いくつかの他の方法で保持されてもよい。
【0024】
組成物は、美容品、化粧品またはケア製品組成物であってもよく、キャストされ(cast)またはコンパクトされ(compacted)ている。
【0025】
特に、組成物は、ケースの筐体に嵌合される皿部にキャストされまたはコンパクトされている。用語「キャストされた組成物」は、製造中にその組成物の少なくとも1つを凝固することによって形成された粘着力を有する一塊の組成物を意味する。組成物は、皿部内で高温キャストされてもよく、粘着力は、組成物を冷却することによって得られてもよい。
【0026】
組成物をキャストすると、組成物は、冷却または乾燥中に収縮し、組成物は、小さい凹部を有する初期的に完全には平面でない頂面を有する。
【0027】
長手方向断面において、ローラの外形は、最初の使用における組成物の表面の形状と一致する形状を有しており、最初の使用から塗布器の表面に均一に付けることが可能となる、特に多量の組成物が端部に近接して付着されることを回避する。塗布に使用されるローラの表面は、円筒状または若干卵状である。
【0028】
また、本発明の別の態様において、本発明は、美容組成物を塗布する方法を提供し、この方法において、上記デバイスが使用される。
【0029】
また、独立したまたは上述と組み合わせた本発明の別の態様において、本発明は、美容組成物を塗布するためのパッケージ及び塗布器のデバイスを提供し、デバイスは、
・ 組成物を収容するケースと、
・ 回転方向に沿って組成物上を移動するために回転軸回りで回転する塗布ローラを有する塗布器であって、塗布器がケースの筐体に受容される、塗布器と、
を備え、筐体は、ケースが水平面上にあるときに塗布器を上方に傾斜させて方向付けるような態様で構成されている。
【0030】
筐体は、2つの傾斜部を有しており、塗布器のハンドルは、塗布器が筐体内にあるときにこれら傾斜部と当接支持し、傾斜部は、ハンドルを上方に傾斜して方向付けることを可能とする。筐体の底部は、これら傾斜部間に延在する通気グリッドを有する。
【0031】
また、独立したまたは上述と組み合わせた本発明の別の態様において、本発明は、美容組成物を塗布するためのパッケージ及び塗布器のデバイスを提供し、デバイスは、
・ 蓋部を有し組成物を収容するケースと、
・ 塗布器であって、
・ 2つの突起部と、
・ 突起部間に配置されて回転方向に沿って組成物上を移動するために回転軸回りで回転する塗布ローラと、
を備える、塗布器と、
を備え、ケースは、ケースが上下反転した場合に蓋を閉じるとケースの蓋から離間して塗布器を保持するように構成されている。例として、ケースは、2つの橋台部を有しており、塗布器の突起部は、上記蓋を閉じてケースが上下反転したときに塗布ローラが蓋と接触することを防止するような態様で橋台部の下方に係合する。蓋部は、少なくとも部分的に透光性を有している。
【0032】
本発明は、以下の本発明の非限定的な実施形態の詳細な説明を読みかつ添付の図面を検討するとより理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明にしたがって形成されたパッケージ及び塗布器のデバイスの一実施形態を示す上方斜視図である。
図2】組成物皿部のない図1のデバイスを示す拡大斜視図である。
図3図2のケースを示す横断面図である。
図4図3のIVを示す詳細図である。
図5図1のケースを示す長手方向断面図である。
図6】変形実施形態を示す図5と同様の図である。
図7図6における変形実施形態を示す平面図である。
図8】塗布器を個別に示す正面図である。
図9】組成物の皿部にある組成物のケークを示す平面図である。
図10】塗布器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1から図5に示すパッケージ及び塗布器のデバイス1は、ケース2と、組成物を塗布するためにユーザによってケース2から取り外すのに適した塗布器3と、を備えている。
【0035】
ケース2は、上面視で例えばほぼ矩形の外郭をなす基部4を有しており、基部4には、蓋部5が例えば図示のように基部4の長辺と平行な回動軸回りでヒンジ接続されている。蓋部5は、2つのヒンジ部95を用いて公知の態様で基部4にヒンジ接続されている。
【0036】
また、デバイス1は、例えばスナップ固定によって基部4に固定されたトレイ8を有しており、トレイは、例えばキャストまたはコンパクテッドケーク(compacted cake)の形態をなす美容組成物Pの塊を受容する。基部4には、浮き出ている固定部分98が形成されており、トレイ8は、浮き出ている部分においてスナップ固定されるように構成された対応するタブ99を有している。
【0037】
蓋部5は、有利には、透光性の熱可塑性材料から形成されている。
【0038】
例として、美容組成物Pは、皮膚または唇を化粧するための化粧品、特にファンデーションの中から選択されているが、ケア製品またはセルフタナー(self-tan)であってもよい。また、組成物Pは、日焼け止めまたはデオドラントであってもよい。
【0039】
例として、皿部11は、金属からプレス加工された皿であり、皿部は、図示のように、ほぼ矩形状からなる。
【0040】
皿部11は、対応する形状をなす、具体的には丸角を有するほぼ矩形状の外郭からなるトレイ8の筐体13に受容される。
【0041】
皿部11は、例えば筐体に接着されるなどさまざまな方法でトレイ8の筐体13に固定されてもよい。上記筐体は、筐体13の底部に配置された一筋の接着剤の厚さを補償するためにリム14を有しており、皿部11が所定位置で保持されることを確実にする。
【0042】
第1筐体13に加え、ケース2は、上記塗布器が使用されていないときに塗布器3を受容するための第2筐体16を有する。
【0043】
例としてかつ図示のように、筐体16は、トレイ8に形成された開口部によって画定されており、隔壁部17によって筐体13から隔離されている。
【0044】
検討中の実施形態において、筐体16の底部は、基部4によって画定されており、通気グリッド19を有している。
【0045】
トレイ8は、トレイ8と一体的に成形された留具20を有しており、留具は、例えば蓋部5の固定タブ22と係合するようになって上記蓋部を閉鎖する。
【0046】
基部4は、トレイ8が基部に固定されるときに留具20を収容するための凹所24を有する。トレイ8は、トレイの視認可能な頂面に金属メッキ加工されてもよい。
【0047】
図8に示すように、塗布器3は、平坦形状を呈するハンドル30を有しており、ハンドルは、好ましくはハンドルの主面それぞれにおいて凹所31を有し、把持を容易にする。
【0048】
ハンドル30は、ハンドルの先端部において2つの突起部32によって延出されており、突起部は、ハンドルと一体的に成形され、回転軸X回りで塗布ローラ40を回転させるための支持部として機能する。例としてかつ図示のように、軸Xは、ハンドル30の長手方向軸と垂直に向けられている。平坦方向は、軸Xと平行であってもよい。
【0049】
塗布ローラ40は、支持ピン42が貫通する中空塗布部分41を備えており、上記支持ピンは、図8に示すように、符号44において肩部を有する端部を有しており、突起部32を貫通する穴部と係合する。変形例において、支持ピンの端部を受容する穴部は、ブラインドホールであってもよい。この状況において、支持ピンの端部は、肩部を有する必要がない。
【0050】
例として、塗布部分41は、開口したまたは閉鎖したセルを有する発泡体から形成されているが、例えばエラストマまたは焼結材料などの他の材料が適切である場合もある。塗布に使用される面は、必要に応じてフロック加工されてもよく、または、発泡体が研磨処理を受容する結果として得られる繊維を有してもよい。
【0051】
支持ピン42は、熱可塑性材料から、特にハンドル30及び突起部32を形成するために使用された材料と同一材料から形成されてもよい。
【0052】
塗布ローラ40に加え、ハンドル30は、塗布ローラ40に向けて互いに離間して口が広がる2つの壁部46を有しており、この壁部46は、ハンドル30の主面それぞれにある凹所31を部分的に画定する。
【0053】
塗布ローラ40に組成物Pを付けるため、ユーザは、回転軸Xに垂直でありかつ検討中の実施形態において組成物Pのケークの長辺と平行である軸Yに沿って移動させながら、組成物のケークの上でローラを回転させる。方向Yは、有利にはケース2の長辺と平行であり、片手で塗布器を使用する一方で他方の手でケースを保持することを容易にする。
【0054】
突起部32の外面間で測定した塗布器3の全体寸法Wは、軸Yに垂直である方向において、皿部11の対向する内面67間で測定した組成物Pのケークの寸法L未満であり、これにより、組成物Pのケークが消耗されるにしたがって、塗布器が皿部11内に侵入することを突起部32がこのような侵入を阻害することなく可能とする。例として、|L−W|≦1ミリメートル(mm)である。
【0055】
ローラ40の最大外周は、塗布器に組成物が付けられる間に組成物Pのケークと接触する塗布部分41の領域において、有利には、皿部の軸Yに沿って対向する内面60間で測定した皿部11の寸法M以下であり、塗布ローラ40は、ユーザがローラを軸Yに沿って皿部11の一方から他方に、例えば図1における左から右またはその逆に移動させると、少なくとも1回転にわたって回転することが可能となる。
【0056】
好ましくは、距離Mは、塗布ローラ40の最大外周の少なくとも2倍であり、塗布器は、ユーザがローラを組成物のケーク上で移動させると組成物Pのケークと接触しながら少なくとも2回回転する。
【0057】
検討中の実施形態において、塗布に使用される面101は、軸X、直径d、したがって、好ましくはd≦2M/πである円筒状である。
【0058】
例として、直径dは、約10mmであり、長さMは、50mmから60mmの範囲にある。例として、距離Lは、幅Wと同様に、40mmから50mmの範囲にある。例として、面101の長さVは、32mmから36mmの範囲にある。
【0059】
また、ケース2を開けたときに塗布器3を保持しやすくするため、上記ケースは、有利には、図示のように2つの傾斜部70を有する筐体16を有しており、傾斜部は、トレイ8の長手方向の側方に配置されており、図5に示すように、組成物Pのケークから離間して上向きに傾斜するように方向付けられている。水平線に対する傾斜部70の角度は、例えば10°から20°の範囲にある。
【0060】
ケース2は、組成物Pのケークから離間して位置するケースの側方にある凹所72を有しており、塗布器のハンドル30を保持するために指を係合することを容易にする。例として、ユーザは、ローラ40がほぼ静止している間に人差し指でハンドル30を持ち上げ、そして、ハンドル30を保持し、親指と人差し指との間でこのようにして持ち上げる。
【0061】
傾斜部70の傾斜は、塗布ローラ40から離間するハンドル30の端部がケースを閉じると蓋部5の内面近傍にまたは内面と接触して位置し、かつケースを閉じると筐体16内の所定位置に塗布器3を保持することに寄与するまたはせめてケースが上下反転したときにその筐体の内部における塗布器の移動を低減することに寄与するような態様で選択されてもよい。
【0062】
ケース2は、検討中の実施形態において、トレイ8と共に形成された橋台部80を有しており、塗布器3の突起部32は、上記塗布器が筐体16内の所定位置にあるときに橋台部の下方に係合し、これにより、ケース2を閉じて上下反転したときに、塗布ローラ40が蓋部5と接触することを防止し、蓋部を汚染することを防止することが可能となる。
【0063】
橋台部80は、筐体16の内側に向けて延在するトレイ8の頂壁部84によって形成されてもよい。橋台部80と筐体16の底部との間の空間は、有利には、突起部32の幅とほぼ対応している。
【0064】
突起部32を橋台部80の下方で保持するため、回転軸Xに垂直に測定したハンドル30の寸法は、ハンドル30がトレイの側壁部89であって組成物Pのケークから離間する側において筐体16を画定する側壁部89を当接支持するような態様で選択されている。また、ハンドル30は、上記蓋を閉じると蓋部5と接触する、または例えば蓋部から1mm未満など蓋部から短距離に位置する。
【0065】
必要に応じて、傾斜部70があることにより、傾斜部70にわたって塗布器を外方に所定距離スライドさせることによって塗布器を保持することが可能となり、この所定距離は、ハンドルがケースの側方の上方に突き出るのに十分でありかつユーザがハンドルを2本の指間で保持することを可能とする。
【0066】
塗布中において、塗布ローラ40は、皮膚上をスライドせずに回転する。複数の連続的な通過は、例えば所望の色の強度に応じて、単一の場所に実行される。連続的な通過中において、ユーザは、必要に応じて、若干回転方向を変更してもよく、付着した組成物の縁を調和させる。
【0067】
当然ながら、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0068】
特に、図6に示すように、2つの傾斜部70を傾斜グリッド100で置換することは可能であり、グリッド100は、場合により、トレイ8と一体的に形成されまたはトレイ8と別個に形成されて基部4に嵌合される。
【0069】
また、図7に示すように、橋台部80を有さずにケース2を形成することは可能である。
【0070】
塗布器は、例えば一方を他方の後方に配置したまたは互いに整列させた2つのローラなど、1を越えるローラを有してもよい。ケースは、例えば、それぞれの皿部に入れられた2つの異なる組成物を収容してもよい。
【0071】
塗布ローラ40は、別法として、図10に示すように、一側部のみにおいてハンドル30に接続されてもよい。
【0072】
グリッドまたはメッシュは、場合により、組成物を受容する筐体に配置されてもよく、塗布ローラが上記筐体内においてグリッドまたはメッシュの上を移動する間に塗布ローラに付けられる組成物量を制限する。グリッドまたはメッシュは、組成物が例えばクリーム状など半固形である場合に特に便利である。
【0073】
表現「を備える」は、逆であると明記されない限り、「を少なくとも1つ備える」と同義であると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1 デバイス、2 ケース、3 塗布器、5 蓋部、16 筐体、19 通気グリッド、30 ハンドル、32 突起部、40 塗布ローラ,ローラ、70 傾斜部、80 橋台部、101 領域、P 組成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10