(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送信する超音波の極性が互いに異なり、同一走査線に関する2回の超音波送受信を1セットとして、予め設定された第1のセット数で超音波送受信を行なう第1モード、又は予め設定され、前記第1のセット数とは異なる第2のセット数で、前記第1モードにおける空間分解能を維持するように超音波送受信を行なう第2モードでの超音波送受信を、超音波プローブに実行させる送受信部と、
前記第1モード又は前記第2モードでの超音波送受信により得られた同一走査線に関する複数の反射波データを加算して、当該反射波データに含まれる基本波成分を相殺する加算部と、
前記加算部による加算結果を用いて画像を生成する画像生成部と、
前記第1モードと、前記第2モードとを切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
前記制御部は、前記送受信部によって行われる超音波送受信のセットの数の変更に応じて、アンプ回路において受信される反射波信号を増幅するゲイン値を変更することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
前記制御部は、前記送受信部によって行われる超音波送受信のセットの数が多いほど、前記ゲイン値が小さくなるように変更することを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
前記制御部は、反射波データを用いて解析される対象領域内の変化又は超音波プローブの動きを検出し、検出した対象領域内の変化、又は、検出した動きに基づいて、前記第1モードから前記第2モードに切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記決定部は、画像を生成するためのスキャンとは別に行われた動きを検出するためのスキャンにて受信された反射波データを解析することで動きを検出する、又は、既に行われた画像を生成するためのスキャンにて受信された反射波データを解析することで動きを検出する、又は、スキャン中に受信された反射波データを該スキャン中に解析することで動きを検出することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
前記決定部は、所定のスキャン条件が変更されたことを契機として、対象領域内に生じた動きを検出し、検出した動きに基づいて、超音波送受信を行うセットの数を決定することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
前記制御部は、前記決定部によって検出される動きが所定の閾値を下回ることを契機として、前記画像生成部によって生成された画像を記憶部に保存させることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
前記制御部は、前記決定部によって検出される動きが所定の閾値を下回ることを契機として、前記画像生成部によって生成された画像を一時停止して表示するように制御することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
前記制御部によって前記第2モードに切り替えられた場合に、該第2モードであることを示す情報を画像とともに表示するように制御する表示制御部を更に備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記制御部は、前記第2モードに切り替えたことを契機として、前記画像生成部によって生成された画像を記憶部に保存させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記制御部は、前記第2モードに切り替えたことを契機として、前記画像生成部によって生成された画像を一時停止して表示するように制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記制御部は、前記第1モード時に生成される画像と前記第2モード時に生成される画像とを並列表示することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記制御部は、対象領域内の一部領域を前記第2モードに切り替え、該一部領域を除く他の領域を前記第1モードとすることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成を説明するための図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力部3と、装置本体10とを備える。
【0009】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波パルスを発生し、また、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0010】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波パルスが送信されると、送信された超音波パルスは、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信されるエコー信号の振幅は、超音波パルスが反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合のエコー信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0011】
モニタ2は、超音波診断装置100の操作者が入力部3を用いて各種指示や設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像や解析結果を表示したりする。
【0012】
入力部3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボールなどであり、装置本体10に接続される。また、入力部3は、超音波診断装置100の操作者からの各種指示や設定要求を受け付け、受け付けた各種指示や設定要求を装置本体10に対して転送する。
【0013】
装置本体10は、超音波プローブ1によって受信された反射波に基づいて超音波画像を生成する。装置本体10は、
図1に示すように、送受信部11と、フレームバッファ12と、Bモード処理部13と、ドプラ処理部14と、画像処理部15と、画像メモリ16と、制御部17と、内部記憶部18とを有する。
【0014】
送受信部11は、トリガ発生回路、送信遅延回路及びパルサ回路などを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定の繰り返し周波数(PRF(Pulse Repetition Frequency))の超音波パルスを形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。なお、PRFは、レート周波数とも呼ばれる。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波パルスをビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の送信遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対して与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0015】
なお、送受信部11は、後述する制御部17の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0016】
また、送受信部11は、アンプ回路、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器、直交検波回路などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行う。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。そして、直交検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-pahse)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして後段のフレームバッファ12に格納する。なお、直交検波回路は、加算器の出力信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、フレームバッファ12に格納してもよい。
【0017】
Bモード処理部13は、送受信部11から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0018】
ドプラ処理部14は、送受信部11から受け取った反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0019】
画像処理部15は、Bモード処理部13によって生成されたBモードデータや、ドプラ処理部14によって生成されたドプラデータから、超音波画像を生成する。具体的には、画像処理部15は、BモードデータからBモード画像を生成し、ドプラデータからドプラ画像を生成する。また、画像処理部15は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示画像としての超音波画像(Bモード画像やドプラ画像)を生成する。
【0020】
画像メモリ16は、画像処理部15によって生成された超音波画像や、超音波画像を画像処理することで生成した画像を記憶するメモリである。例えば診断の後に、操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっており、静止画像的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。また、画像メモリ16は、送受信部11通過後の画像輝度信号、その他の生データ、ネットワークを介して取得した画像データ等を必要に応じて記憶する。
【0021】
制御部17は、超音波診断装置100における処理全体を制御する。具体的には、制御部17は、入力部3を介して操作者から入力された各種指示や設定要求、内部記憶部18から読み込んだ各種プログラム及び各種設定情報に基づき、送受信部11、Bモード処理部13、ドプラ処理部14、及び画像処理部15の処理を制御したり、画像メモリ16が記憶する超音波画像などをモニタ2にて表示するように制御したりする。
【0022】
内部記憶部18は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための装置制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)、診断プロトコルや各種設定情報などの各種データなどを記憶する。また、内部記憶部18は、必要に応じて、画像メモリ16が記憶する画像の保管などにも使用される。
【0023】
なお、装置本体10に内蔵される送受信部11などは、集積回路などのハードウェアで構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたプログラムである場合もある。
【0024】
さて、以下では、第1の実施形態に係る超音波診断装置100が、高調波成分を画像化するハーモニックイメージングモードで動作する場合を説明する。また、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波ビームの位相極性を反転させることによって基本波成分を相殺する手法(以下、極性反転手法)を用いる。
【0025】
まず、極性反転手法の原理を説明する。極性反転手法は、同一走査線上にて2回の超音波送受信(超音波ビームの送信及び反射波信号の受信)を行うことで、反射波信号に含まれる基本波成分を相殺し、高調波成分を抽出する手法である。例えば、1回目の送信においては、超音波ビームの位相極性を正極とし、2回目の送信においては、1回目の位相極性とは反転させた負極とする。2回の送受信によって得られた反射波信号同士を加算すると、基本波成分同士は位相が逆であるため相殺されるが、超音波伝播中に発生する高調波成分同士は位相が合い、強調される。
【0026】
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、同一走査線上にて位相極性を反転させて繰り返し行われる2回1セットの超音波送受信を、同一走査線上にて複数セット行う。
図2は、第1の実施形態における超音波送受信を説明するための図である。
図2に示すように、正極で行われた超音波送受信(下向き実線矢印が送信を示し、上向き実線矢印が受信を示す)と、負極で行われた超音波送受信(下向き点線矢印が送信を示し、上向き点線矢印が受信を示す)とが1セットの超音波送受信である。例えば、第1の実施形態に係る送受信部11は、
図2に示すように、2回1セットの超音波送受信を4セット行う。
【0027】
なお、4セットの送受信を行うことは、予め超音波診断装置100に設定されたセット数(初期値)を選択したり、操作者によるセット数の入力を受け付けるなどして決定されればよい。また、予め超音波診断装置100に設定された複数のセット数の中から自動で選択したり、操作者がトグルスイッチなどを用いることで複数のセット数の中から選択してもよい。
【0028】
また、送受信部11が有する加算器11aは、超音波送受信の結果受信された複数セット分の反射波データを加算する。
図2に示すように、例えば、加算器11aは、反射波信号の加算を、RF信号又はIQ信号で行う。また、画像処理部15は、加算された複数セット分の反射波データを用いて画像を生成する。すなわち、画像処理部15が画像の生成に用いる1走査線分の反射波データは、複数セット分の反射波データが加算されたものである。
【0029】
この場合、画像の生成に用いられる信号(Signal)としての高調波成分は、送受信されたセットの数(以下、送受信セット数)に応じて線形に増加するが、ノイズ(Noise)成分は、出現が確率的にランダムであるため、必ずしも線形には増加しない。この結果、2回1セットの超音波送受信を1セット行う通常の場合と比較して、深部を含めた画像全体のS/N比が改善されることになる。例えば、2回1セットの超音波送受信を4セット行う場合、S/N比は理論上6dB増大する。
【0030】
なお、
図2においては4セットを図示して説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、超音波診断装置100は、2回1セットの超音波送受信をnセット(nは2以上の自然数)行うことができる。なお、例えば、2回1セットの超音波送受信を2セット行う場合、S/N比は理論上3dB増大し、2回1セットの超音波送受信を8セット行う場合、S/N比は理論上9dB増大する。
【0031】
(第1の実施形態の効果)
上述したように、第1の実施形態によれば、同一走査線上にて位相極性を反転させて繰り返し行われる2回1セットの超音波送受信を、同一走査線上にて複数セット行うので、深部の感度を適切に向上させることができる。すなわち、第1の実施形態によれば、超音波パルスの周波数を下げる必要がなく、空間分解能が下がるおそれがない。また、第1の実施形態によれば、ハーモニックイメージングモードにて動作する場合に適用することができるので、アーチファクト軽減の効果を得ることができる。このように、第1の実施形態によれば、画質を維持したまま深部の感度を改善することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態において、超音波診断装置100は、位相極性を反転させて繰り返し行われる2回1セットの超音波送受信を複数セット行うものであった。このような超音波送受信を行う場合、1走査線あたりの超音波送受信の回数が増えるので、1フレームの画像を生成する反射波データの収集時間がその分増えることになり、フレームレートは低下する。超音波送受信の回数によってはフレームレートが極端に低下する場合もある。
【0033】
この点、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、2回1セットの超音波送受信を1セット行うモード(以下、通常モード)と、nセット(nは2以上の自然数)行うモード(以下、ブースト(Boost)モード)とを切り替える機能を備える。言い換えると、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、フレームレートと深部の感度とのバランスを変化させる機能を備える。
【0034】
図3は、第2の実施形態に係る超音波診断装置100の構成を説明するための図である。
図3に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100と同様の構成であるが、制御部17に、モード切替制御部17aを備える。
【0035】
図4は、第2の実施形態における超音波送受信を説明するための図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係るモード切替制御部17aは、通常モードとブーストモードとを切り替える。また、第2の実施形態に係る送受信部11は、モード切替制御部17aによる切り替えに応じて、1セットの超音波送受信を行い、又は、複数セットの超音波送受信を行う。
【0036】
例えば、第2の実施形態に係るモード切替制御部17aは、操作者から切替指示を受け付けるための入力部3として、超音波診断装置100の操作卓上に切替スイッチを備える。この切替スイッチが操作者によって『Off』や『On』の状態に操作されると、モード切替制御部17aは、切替スイッチの状態に応じて、通常モードとブーストモードとを切り替える。例えば、超音波診断装置100の操作者は、通常モードにおいて生成された画像をモニタ2上でリアルタイムに確認しながら診断領域のおおよその位置を探し、診断領域を探し当てると、超音波プローブ1をその位置で固定し、切替スイッチを『Off』の状態から『On』の状態に操作する。すると、モード切替制御部17aは、通常モードからブーストモードに切り替えるよう、送受信部11を制御し、送受信部11は、1セットの超音波送受信を停止し、複数セットの超音波送受信を開始する。
【0037】
図5及び
図6は、第2の実施形態における表示例を説明するための図である。通常モードにて超音波送受信が行われた場合、制御部17は、例えば、
図5に示すような画像を、モニタ2にリアルタイムに表示する。
図5に示すように、深部の感度は低く、ノイズが白っぽく描出される。
【0038】
一方、ブーストモードで超音波送受信が行われた場合、低フレームレートで反射波データの収集が行われるが、S/N比は増大し、深部を含む画像全体の感度が向上する。制御部17は、例えば、
図6に示すような画像を、モニタ2にリアルタイムに表示する。
図6に示すように、
図5と比較して深部の感度は向上し、ノイズの描出が抑制される。
【0039】
なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、ブーストモードで画像を表示する場合には、
図6の符号aに示す『Boost』のように、ブーストモードであることをモニタ2に示すことが望ましい。こうすることで、操作者は、モニタ2に表示中の画像が通常モードであるかブーストモードであるかを認識した上で診断を行うことが可能になる。例えば、『Boost』の表示がない場合、通常モードであるので、操作者は、意識的に切替スイッチを『On』の状態に切り替え、画像のS/N比を向上させた上で、診断を行うことが可能になる。
【0040】
なお、切替スイッチは、操作卓上の切替スイッチに限られるものではない。例えば、超音波プローブ1に付属された切替スイッチや、ペダルスイッチなどでもよい。また、例えば、音声による切替指示を受け付ける音声スイッチなどでもよい。
【0041】
また、超音波送受信のモードは、切替スイッチの操作によって切り替えられる場合に限られるものではない。例えば、超音波送受信のモードは、予め設定されたタイミングで自動で切り替えられてもよい。例えば、モード切替制御部17aは、1秒に1回のタイミングで、通常モードとブーストモードとを切り替えてもよい。
【0042】
この場合には、例えば、制御部17は、通常モードによる表示と、ブーストモードによる表示とを並列して同時に表示してもよい。
図7は、第2の実施形態における表示例を説明するための図である。例えば、制御部17は、
図7に示すように、モニタ2の表示面の左側に通常モードによる表示を行い、表示面の右側にブーストモードによる表示を行う。なお、左右に並列して表示する場合に限られるものではなく、例えば縦列して表示してもよい。操作者は、両モードによる表示を1画面内で見比べることが可能になり、診断し易くなる。なお、制御部17は、操作者による選択操作を受け付けることで、両モードを並列して表示するか否かについて制御してもよい。
【0043】
続いて、第2の実施形態における検査の流れを説明する。
図8は、第2の実施形態における検査の流れを示すフローチャートである。
【0044】
検査が開始されると(スタート)、制御部17は、初期設定されているスキャン条件を内部記憶部18から読み込み(ステップS101)、読み込んだ初期設定に従ってスキャンを開始する(ステップS102)。なお、
図8に例示する処理手順において、送受信部11は、まず通常モードによる超音波送受信を開始する。
【0045】
スキャンの対象となる部位など、その時々の状況に応じてスキャン条件は変更される。スキャン条件とは、例えば、超音波送受信のモード、繰り返し周波数(PRF)、Depthなどである。このため、制御部17は、操作者からスキャン条件の変更指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。変更がない場合には(ステップS103否定)、制御部17は、現行のスキャン条件を維持し、ステップS102において開始したスキャンを継続する。
【0046】
一方、変更がある場合(ステップS103肯定)、制御部17は、スキャン条件を再設定するための処理(ステップS104〜S106)へと移行する。
【0047】
具体的には、制御部17は、モード切替制御部17aに対する照会を行い、既にブーストモードであるか、又は、ブーストモードに切り替えられたかを判定する(ステップS104)。そして、通常モードの場合には(ステップS104否定)、制御部17は、スキャン条件を再設定するための通常の処理に移行する(ステップS106)。
【0048】
一方、ブーストモードの場合(ステップS104肯定)、制御部17は、送受信セット数を選択する(ステップS105)。例えば、ステップS104において初めてブーストモードに切り替えられた場合には、制御部17は、送受信セット数として予め内部記憶部18に格納された初期セット数を選択する。また、例えば、ステップS104において既にブーストモードであった場合には、制御部17は、送受信セット数として予め内部記憶部18に格納された他のセット数や、操作者から受け付けたセット数などを選択する。また、予め内部記憶部18に格納された複数のセット数の中から自動で選択したり、操作者がトグルスイッチなどを用いることで複数のセット数の中から選択してもよい。
【0049】
その後、制御部17は、変更されたスキャン条件に従って、新たなスキャン条件を算出し、スキャン条件の再設定を行う(ステップS106)。ステップS105において送受信セット数が選択された場合には、制御部17は、選択された送受信セット数に基づくスキャン条件を算出し、スキャン条件の再設定を行う。こうして、再設定されたスキャン条件の下、スキャンはその後も継続される。
【0050】
そして、制御部17は、検査終了か否かを判定し(ステップS107)、検査終了でない場合には(ステップS107否定)、再びステップS103の処理に戻り、操作者からスキャン条件の変更指示を受け付けたか否かを判定する処理に戻る。一方、検査終了である場合には(ステップS107肯定)、制御部17は、スキャンを終了し、検査を終了する。
【0051】
(第2の実施形態の効果)
上述したように、第2の実施形態によれば、1セットの超音波送受信を行う通常モードと、複数セットの超音波送受信を行うブーストモードとを切り替えて、超音波送受信を行うので、必要に応じてブーストモードに切り替えることができ、フレームレートの低下を抑制することが可能になる。
【0052】
(第2の実施形態の追加機能)
さて、これまで、第2の実施形態に係る超音波診断装置100として、通常モードとブーストモードとを切り替える機能を備えるものを説明してきた。また、この切り替えの機能として、操作によって切り替えられる場合と、予め設定されたタイミングで自動で切り替えられる場合とを説明してきた。また、表示の機能として、各モードによる表示を個別に行う場合と、両モードによる表示を同時に行う場合とを説明してきた。これらの機能は、任意に選択したり、組み合わせることが可能である。更に、以下に説明する追加機能を任意に選択したり、組み合わせることも可能である。
【0053】
(追加機能1:画像の変化検出などに基づく自動切替)
第2の実施形態においては、通常モードとブーストモードとの自動切替について、予め設定されたタイミングで自動で切り替える手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。操作者が画像の感度を上げようとする場合、操作者は、超音波プローブ1をその位置で固定し、また、被検体Pに呼吸を停止させることが多い。そこで、第2の実施形態に係るモード切替制御部17aは、例えば、「画像の変化が少なくなったこと」や「超音波プローブ1の動きが少なくなったこと」を検出し、これらを検出したことを契機として自動でブーストモードに切り替えてもよい。具体的には、モード切替制御部17aは、反射波データを用いて解析される対象領域内の変化、又は、磁気センサーを超音波プローブ1に付加することで超音波プローブ1の動きを検出し、検出した対象領域内の変化、又は、検出した動きに基づいて、通常モードからブーストモードに切り替える。
【0054】
例えば、モード切替制御部17aは、画像処理部15によって生成されたフレームを随時取得し、フレーム同士の相関値を随時算出する。そして、モード切替制御部17aは、算出した相関値が予め設定された閾値を上回ったことを検出すると、通常モードからブーストモードに切り替える。なお、その後、操作者が超音波プローブ1を動かした場合、フレーム同士の相関値は予め設定された閾値を下回る。この場合、モード切替制御部17aは、算出した相関値が予め設定された閾値を下回ったことを検出し、ブーストモードから通常モードに切り替える。
【0055】
また、
図9は、第2の実施形態における動き検出専用の超音波送受信を説明するための図である。例えば、モード切替制御部17aは、
図9の(A)に示すように、画像を生成するための通常の超音波送受信を行うとともに、所定のタイミングで、
図9の(B)に示すように、動き検出専用の超音波送受信を行い、この通常の超音波送受信と動き検出専用の超音波送受信とを繰り返す。そして、モード切替制御部17aは、動き検出専用の超音波送受信によって得られた同一走査線上のビーム同士(反射波データ同士)の相関値を随時算出し、算出した相関値が予め設定された閾値を上回ったことを検出すると、通常モードからブーストモードに切り替える。なお、その後、操作者が超音波プローブ1を動かした場合、ビーム同士の相関値は予め設定された閾値を下回る。この場合、モード切替制御部17aは、算出した相関値が予め設定された閾値を下回ったことを検出し、ブーストモードから通常モードに切り替える。
【0056】
なお、動き検出専用の超音波送受信を行う手法に限られず、例えば、画像を生成するための通常の超音波送受信の中の1走査線上のビーム同士の相関値を算出する手法でもよい。
【0057】
また、例えば、モード切替制御部17aは、超音波プローブ1が備えるセンサの情報を超音波プローブ1から受け取り、この情報から超音波プローブ1が停止したと判定すると、通常モードからブーストモードに切り替える。なお、その後、操作者が超音波プローブ1を動かした場合、モード切替制御部17aは、センサの情報から超音波プローブ1が動き始めたと判定し、ブーストモードから通常モードに切り替える。
【0058】
(追加機能2:一部領域のブーストモード)
第2の実施形態においては、画像の全領域にブーストモードを適用する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。画像の一部領域のみにブーストモードを適用し、その他の領域には通常モードを適用してもよい。この場合、フレームレートの低下を抑制することが可能になる。
【0059】
図10は、第2の実施形態におけるブーストモードを説明するための図である。例えば、モード切替制御部17aは、符号bに示す領域内のみブーストモードに切り替えるよう、送受信部11を制御する。なお、符号bに示す領域としては、画像の中央部分が自動的に設定されてもよいし、操作者による指定を受け付けてもよい。また、
図10においては、符号bに示す領域として矩形の領域を例示するが、実施形態はこれに限られるものではなく、その形や位置は任意である。また、
図10の符号cに示す『Boost』のように、ブーストモードであることをモニタ2に示すことが望ましい。
【0060】
(追加機能3:モード切替と画像保存との連動)
また、第2の実施形態において、モードの切替と連動して、画像をフリーズしたり、
保存してもよい。例えば、制御部17は、モード切替制御部17aによってブーストモードに切り替えられたことを契機として、画像処理部15によって生成され、モニタ2に出力される画像を、一時停止(フリーズ)してもよい。また、例えば、制御部17は、保存制御部(図示を省略)を備える。保存制御部は、モード切替制御部17aによってブーストモードに切り替えられたことを契機として、画像処理部15によって生成された画像を画像メモリ16に保存させてもよい。S/N比の高い画像を収集するときには、操作者がその画像をフリーズして観察することや、その画像を保存することが多いので、このように、モードの切替と画像のフリーズや保存とを連動させることで、高画質の画像を効率的に取得、保存することが可能になり、検査の効率も向上する。
【0061】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態又は第2の実施形態において、位相極性を反転させて繰り返し行われる2回1セットの超音波送受信を行うセットの数は、予め設定された送受信セット数を用いたり、操作者による送受信セット数の入力を受け付けるなどして決定されたものであった。この点、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、フレーム同士の相関や同一走査線上のビーム同士の相関を算出し、生体や超音波プローブ1の動きを検出することで、その時々の状況に応じた最適な送受信セット数を自動で決定する。
【0062】
すなわち、ブーストモードは、送受信セット数に応じて感度改善効果が向上するため、送受信セット数を増やした方が感度改善の観点からは有利である。ただし、一般的に、送受信セット数を増やすと反射波データの収集時間も長くなるため、対象部位が動いた場合、その動きの影響により位相ズレを生じる可能性がある。この位相ズレは、画像中の位置ズレとして現れてくるものであり、対象部位の動きの影響を受けて位置ズレを起こした反射波データ同士を加算することになるので、分解能の劣化やコントラストの低下を引き起こし、期待した感度改善の効果が得られないことも起こり得る。特に動きの多い対象部位の場合、例えば、心臓や拍動する動脈などを検査する場合、その動きの影響が顕著になるため、送受信セット数を減らす必要がある。言い換えれば、動きの少ない対象部位を検査する場合は送受信セット数を多くし、動きの多い対象部位を検査する場合は送受信セット数を少なくするなど、対象部位に応じて送受信セット数を調整する必要がある。
【0063】
しかしながら、第2の実施形態においては、例えば送受信セット数を操作者に選択させるような手法を採っているので、対象部位に応じて送受信セット数を繰り返し手動で変更する必要がある。また、送受信セット数の決定や動きの影響は、直感的に最適値が判断できるものではなく、試行錯誤して最適値を探す必要があるため、検査のスループットを悪化させるおそれがある。これと同時に、検査のスループットの悪化を最小限に抑えるため、送受信セット数として限られた選択肢しか用意することができず、その時々(人や部位など)に応じて動きの異なる検査対象に対して、最適な送受信セット数を用意することが困難である。
【0064】
図11は、第3の実施形態に係る超音波診断装置100の構成を説明するための図である。
図11に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100と同様の構成であるが、制御部17に、モード切替制御部17aと、セット数決定部17bとを備える。セット数決定部17bは、対象領域内に生じた動きを検出する。また、セット数決定部17bは、検出した動きに基づいて、送受信セット数を決定する。また、第3の実施形態に係る送受信部11は、セット数決定部17bによって決定されたセット数に従って、超音波送受信を行う。
【0065】
まず、第3の実施形態における検査の流れを説明する。
図12は、第3の実施形態における検査の流れを示すフローチャートである。
【0066】
ステップS201からS203は、第2の実施形態と同様である。すなわち、検査が開始されると、制御部17は、初期設定されているスキャン条件を内部記憶部18から読み込み(ステップS201)、読み込んだ初期設定に従ってスキャンを開始する(ステップS202)。制御部17は、操作者からスキャン条件の変更指示を受け付けたか否かを判定し(ステップS203)、変更がない場合には(ステップS203否定)、現行のスキャン条件を維持し、ステップS202において開始したスキャンを継続する。一方、変更がある場合(ステップS203肯定)、制御部17は、スキャン条件を再設定するための処理(ステップS204〜S207)へと移行する。
【0067】
具体的には、制御部17は、モード切替制御部17aに対する照会を行い、既にブーストモードであるか、又は、ブーストモードに切り替えられたかを判定する(ステップS204)。そして、通常モードの場合には(ステップS204否定)、制御部17は、スキャン条件を再設定するための通常の処理に移行する(ステップS208)。
【0068】
一方、ブーストモードの場合(ステップS204肯定)、第3の実施形態に係る制御部17は、対象領域内の動きを検出するためのプリスキャンを行う(ステップS205)。このプリスキャンは、送受信セット数を決定するために行うスキャンであり、必ずしも、画像を生成するために行うスキャンと同一のスキャン条件である必要はない。例えば、ビーム本数やフォーカス段数などは変更されてもよい。また、Bモード用スキャンのようにフレーム単位で収集してもよいし、CDI(Color Doppler Imaging)のように走査ライン(ラスタ)単位や交互段単位で収集してもよい。後述する動きを解析する処理に適したプリスキャンを行うことが望ましい。
【0069】
続いて、セット数決定部17bが、プリスキャンによって収集された反射波データを用いて、対象領域内の動きを検出する(ステップS206)。そして、セット数決定部17bは、検出した動きに基づいて送受信セット数を算出する(ステップS207)。なお、ここで、送受信セット数を決定する手法として、フレーム同士の相関値を用いる手法(以下、フレーム相関による手法)と、同一走査線上のビーム同士の相関値を用いる手法(以下、ビーム相関による手法)とがある。これらの手法については、後に詳述する。
【0070】
その後は、第2の実施形態と同様、制御部17は、変更されたスキャン条件に従って、新たなスキャン条件を算出し、スキャン条件の再設定を行う(ステップS208)。検査終了でない場合には(ステップS209否定)、制御部17は、操作者からスキャン条件の変更指示を受け付けたか否かを判定する処理に戻り、一方、検査終了である場合には(ステップS209肯定)、スキャンを終了し、検査を終了する。
【0071】
なお、上述した第2の実施形態や第3の実施形態においては、既にブーストモードであるか、又は、ブーストモードに切り替えられたかを判定して、送受信セット数を決定するための処理に移行したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、制御部17は、繰り返し周波数(PRF)が変更になるようなDepth条件の変更や、フレームレートが変更になる対象領域の変更などを契機として、送受信セット数を決定するための処理に移行してもよい。
【0072】
また、動き検出のためのプリスキャンを行う手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、画像を生成するためのスキャンが既に行われている場合には、このスキャンで収集されたフレームやビームを解析することで動き検出を行ってもよい。
【0073】
さて、上述したように、第3の実施形態において、セット数決定部17cによる送受信セット数の決定には、大きく2つの手法を想定する。第1の手法は、フレーム相関による手法であり、第2の手法は、ビーム相関による手法である。以下、順に説明する。
【0074】
まず、フレーム相関による手法を説明する。例えば、第3の実施形態において、制御部17が、プリスキャンとして、ある一定時間、Bモードスキャンのようにフレーム単位で反射波データの収集を行ったとする。
【0075】
セット数決定部17bは、nフレーム分の反射波データが収集されると、例えば1フレーム目を基準として、その後のフレームとの間の相関値を算出する。例えば、セット数決定部17bは、1フレーム目と2フレーム目との間の相関値、1フレーム目と3フレーム目との間の相関値、・・・、1フレーム目とnフレーム目との間の相関値を算出する。相関値を算出するフレーム間の時相差が大きくなるに従い、フレーム同士の相関は小さくなることが予想される。このため、セット数決定部17bは、予め設定された相関値の閾値を何フレーム目で下回るかによって、動きの影響を抑えることが可能な収集時間を特定することができる。
【0076】
例えば、プリスキャンのスキャン条件と通常のスキャンのスキャン条件とが同一である場合に、1フレーム目と11フレーム目との間で相関値が閾値を下回った場合、10フレーム分の収集時間であれば、許容できる動きの範囲内であると考えられる。そこで、セット数決定部17bは、この10フレーム分の収集時間に1フレーム分の反射波データを収集する場合、スキャン条件のうち送受信セット数のみを変更するのであれば、送受信セット数『10』が最適な送受信セット数であると判定する。
【0077】
なお、フレーム相関による手法による手法は、上述したように、フレーム全体同士の相関値を算出してもよいし、フレーム内の局所的な領域同士の相関値を算出してもよい。また、局所的な領域同士の相関値を算出する場合、その領域は1箇所でもよいし、複数箇所でもよい。
【0078】
また、フレーム相関による手法による手法は、上述した手法に限られるものではない。2フレーム間の相関値を算出し、その相関値に応じて、予め設定された関係式から送受信セット数を算出してもよい。
【0079】
例えば、動きの速さと適切な収集時間との関係を予め実験を行うなどして求め、関係式として設定しておく。動きの速さは、フレーム同士の相関値とフレームレートとから算出することができるので、例えば、フレーム同士の相関値とフレームレートとから動きの速さを算出し、算出した動きの速さをこの関係式に代入することで、適切な収集時間を求めることができる。更に、収集時間と繰り返し周波数(PRF)との関係式を予め設定しておけば、求めた収集時間をこの関係式に代入することで、適切な送受信セット数を算出することができる。
【0080】
また、例えば、フレーム同士の相関値と送受信セット数とを予め対応付けたテーブルを用いてもよい。なお、このテーブルは、予め実験を行うなどして生成される。また、テーブルの変更が可能であること、プリスキャンのフレームレート毎の複数のテーブルが用意されることなどが望ましい。
【0081】
また、1フレーム目と2フレーム目との間の相関値、2フレーム目と3フレーム目との間の相関値、・・・、(n−1)フレーム目とnフレーム目との間の相関値を算出し、各相関値の最大値や最小値を用いて、これらの値に応じた関係式やテーブルによって送受信セット数を決定してもよい。
【0082】
次に、ビーム相関による手法を説明する。まず、セット数決定部17bは、いわゆるドプラ効果を利用したCDI、特にTDI(Tissue Doppler Imaging)と同様の原理を用いて、生体信号の運動速度を算出する。この場合、2次元の速度マッピングが可能である。そこで、セット数決定部17bは、対象領域内の運動速度の最高速度や平均速度を用いて、送受信セット数を算出する。なお、セット数決定部17bは、フレーム相関による手法と同様、関係式やテーブルによって送受信セット数を算出すればよい。例えば、セット数決定部17bは、運動速度と送受信セット数との関係を予め実験を行うなどして求めた関係式を用いればよい。また、例えば、セット数決定部17bは、運動速度と送受信セット数との関係を予め対応付けたテーブルを用いればよい。あるいは、セット数決定部17bは、上述したフレーム相関による手法と同様、閾値処理を行ってもよい。
【0083】
なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、検出した生体や超音波プローブ1の動きについて、その動きの程度を他の指標に置き換えて表示してもよいし、算出した相関値や運動速度などの値自体を表示してもよい。例えば、制御部17は、予め、「生体や超音波プローブ1の動き」と「超音波プローブ1の保持の精度」との相関関係を示す関係式を記憶しておき、セット数決定部17bによって動きが検出されると、検出値を関係式にあてはめて、超音波プローブ1の保持の精度を示す指標を算出し、算出した指標をモニタ2に表示してもよい。例えば、動きが少ないほど、保持の精度を示す指標は高い値となる。また、例えば、制御部17は、予め、「生体や超音波プローブ1の動き」と「心拍動の影響を示す指標」との相関関係を示す関係式を記憶しておき、セット数決定部17bによって動きが検出されると、検出値を関係式にあてはめて、心拍動の影響を示す指標を算出し、算出した指標をモニタ2に表示してもよい。例えば、動きが少ないほど、心拍動の影響を示す指標は低い値となる。また、例えば、制御部17は、算出した相関値や運動速度などの値自体を表示する場合に、値に応じて色を割り当てることで、カラーコード化して表示してもよい。動きの程度を他の指標に置き換えて表示する場合も同様に、カラーコード化して表示してもよい。
【0084】
また、第3の実施形態に係る超音波診断装置100は、検出した生体や超音波プローブ1の動きと連動して、画像をフリーズしたり、保存してもよい。例えば、画像を生成するためのスキャンを行いながら、このスキャンで収集されたフレームやビームを解析することで動き検出を行う場合などに、制御部17は、セット数決定部17bによって検出される動きが予め設定した閾値を下回ったことを契機として、画像処理部15によって生成され、モニタ2に出力される画像を、一時停止(フリーズ)してもよい。また、例えば、制御部17が備える保存制御部は、セット数決定部17bによって検出される動きが予め設定した閾値を下回ったことを契機として、画像処理部15によって生成された画像を画像メモリ16に保存させてもよい。
【0085】
(第3の実施形態の効果)
上述したように、第3の実施形態によれば、送受信セット数を自動で決定することができるので、検査のスループットが向上する。また、その時々の動きの状況に応じて送受信セット数を最適化することができるので、診断能の向上にも寄与する。
【0086】
(追加機能1:送受信セット数を決定するための閾値などの変更)
上述したように、セット数決定部17bによる送受信セット数の決定処理は、予め設定された閾値、関係式、テーブルなどを用いて行われる。そこで、超音波診断装置100は、これらの閾値、関係式、テーブルなどの変更を受け付けるためのUI(User Interface)を備えてもよい。また、超音波診断装置100は、これらの閾値、関係式、テーブルなどの変更を受け付けたことを契機として、セット数決定部17bによる決定処理(
図12におけるステップS205〜S207)が行われるように制御してもよい。
【0087】
(追加機能2:送受信セット数のリアルタイム変更)
また、第3の実施形態においては、セット数決定部17bが、プリスキャンによって収集された反射波データを解析することで対象領域内の動きを検出する手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、磁気センサーを超音波プローブ1に付加して超音波プローブ1の動きを検出してもよい。
【0088】
また、例えば、第3の実施形態に係る制御部17は、通常モードであるか、ブーストモードであるかに応じて、あるいは、送受信セット数に応じて、アンプ回路において受信される反射波信号を増幅する値であるゲイン値を自動的に変更してもよい。通常、モードの切り替えや送受信セット数の変更と同時にゲイン値を変更する必要があるので、例えば、制御部17は、通常モードとブーストモードとの切り替えや、送受信セット数の変更と連動して、ゲイン値を自動的に変更すればよい。効率的であり、便利である。通常モードに比べブーストモードにおいては、S(信号)及びN(ノイズ)のどちらも増大するので、この場合には一般にゲインを下げることが好ましいと考えられる。また、送受信データ数が多くなる場合も同様に、ゲインを下げることが好ましいと考えられる。そこで、例えば、制御部17は、モード切替制御部17aによって通常モードからブーストモードに切り替えられると、アンプ回路に設定されるゲインの値を下げるように制御する。また、例えば、制御部17は、セット数決定部17bによって送受信セット数が多くなる方向で変更されると、アンプ回路に設定されるゲインの値を下げるように制御する。
【0089】
また、例えば、セット数決定部17bは、ブーストモードによるスキャンが行われている間、収集されたフレームやビームを用いて、常時あるいは間歇的にモニタリングをすることで、動きを検出してもよい。この場合、セット数決定部17bは、ブーストモードによるスキャンが行われている間、動きの速さが変化した場合には、変化後の速さに応じた送受信セット数を算出し、決定することができる。この手法によれば、操作者からの指示を待つことなく、アダプティブに動きの影響を検出し、常に最適な条件下で検査することが可能になる。なお、この場合には、第2の実施形態において
図9を用いて説明したように、動き検出専用の超音波送受信を行ってもよい。
【0090】
(その他の実施形態)
以上、第1、第2、第3の実施形態を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、第1の実施形態において説明した機能、第2の実施形態において説明した機能、第3の実施形態において説明した機能は、それぞれ、他の実施形態に係る超音波診断装置100にも同様に適用することができる。また、複数の機能を列挙して説明したが、一部を選択して備えることも、全てを備えることもできる。
【0091】
(3種類以上のモード)
上述した第2、第3の実施形態においては、2種類のモード(通常モード及びブーストモード)を切り替える手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、3種類以上のモードを切り替えてもよい。例えば、通常モードと、送受信セット数が異なる2種類以上のブーストモードとを切り替えてもよい。
【0092】
(Bモードなど)
また、上述した第1、第2、第3の実施形態においては、ハーモニックイメージングモードで動作する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、通常のBモードで動作する場合や、CDI(特にTDI)モードで動作する場合などにも、同様に適用することができる。この場合、超音波診断装置は、送受信部と、加算部と、画像生成部とを備える。送受信部は、画像の生成に必要な反射波データを受信するために行われる超音波送受信を、同一走査線上にて複数回行う。加算部は、超音波送受信の結果受信された複数回分の反射波データを加算する。画像生成部は、加算された複数回分の反射波データを用いて画像を生成する。例えば、送受信部は、同一のスキャン条件による超音波送受信を、同一走査線上にて4回行う。加算部は、同一走査線上にて受信された4回分の反射波データを加算し、画像生成部は、加算された4回分の反射波データを用いて画像を生成する。また、極性判定手法のハーモニックイメージングで動作する場合に限られず、フィルタ法のハーモニックイメージングなどで動作する場合にも、同様に適用することができる。
【0093】
なお、第3の実施形態において、フレーム相関による手法又はビーム相関による手法を用いて送受信セット数を決定する手法を説明したが、例えば、超音波診断装置によるスキャンがBモードのスキャンである場合には、フレーム相関による手法を選択し、超音波診断装置によるスキャンがCDI(特にTDI)モードである場合には、ビーム相関による手法を選択するなど、その時々のスキャンモードに応じて手法を選択してもよい。
【0094】
(その他)
また、超音波診断装置が、2次元の画像を生成する場合に限られず、3次元の画像を生成する場合にも、同様に適用することができる。また、造影検査の場合にも適用することができる。この場合、音圧を上げることなく、深部の感度を向上させることができる。また、造影検査の場合、超音波診断装置は、切り替えと同時に音圧を調整することで、造影効果を更に向上させることができる。例えば、超音波診断装置は、ブーストモードにて超音波送受信を行う際に、併せて音圧を下げる制御を行うことで、バブルの破壊などを抑制し、造影効果を更に向上させることができる。
【0095】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の超音波診断装置によれば、深部の感度を適切に向上させることができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。