(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012959
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】エアゾール容器用マウンテンカップの取付構造、パッキン部材およびエアゾール容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/38 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
B65D83/38
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-272509(P2011-272509)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-124106(P2013-124106A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年12月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(72)【発明者】
【氏名】熊井 たか穂
(72)【発明者】
【氏名】植竹 将之
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−065260(JP,U)
【文献】
特開2001−139074(JP,A)
【文献】
特開2011−201605(JP,A)
【文献】
特開2011−173597(JP,A)
【文献】
特開2002−145294(JP,A)
【文献】
特開平10−120015(JP,A)
【文献】
実開昭57−167082(JP,U)
【文献】
特開2010−005821(JP,A)
【文献】
特開平09−201850(JP,A)
【文献】
特開平01−235617(JP,A)
【文献】
特開2003−300569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D83/08−83/76
B29C45/26−45/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口部を有する容器本体と、中央にバルブを有するマウンテンカップと、パッキン部材とを有し、前記上部開口部に設けられたビード部と前記マウンテンカップに設けられたカール部の間に前記パッキン部材を介在させて密封するエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造であって、
前記パッキン部材が、単体でリング状に形成された樹脂製であり、
前記パッキン部材の一方の側面の前記ビード部との接触面全体が、単体で前記ビード部の頂部近傍の外面形状に近似する曲面形状に形成され、
前記パッキン部材の他方の側面の前記カール部との接触面全体が、単体で前記カール部の内面形状に近似する曲面形状に形成されていることを特徴とするエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造。
【請求項2】
前記パッキン部材が、単体で内周側の下方向に延びる円筒部を有し、
該円筒部が、前記マウンテンカップのカール部に続く側壁部に沿って密着するように形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造。
【請求項3】
中央にバルブを有するマウンテンカップを容器本体の上部開口部に固定して密封する際に、前記容器本体の上部開口部に設けられたビード部とマウンテンカップに設けられたカール部の間に介在させるパッキン部材であって、
請求項1又は請求項2に記載のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造に用いられることを特徴とするパッキン部材。
【請求項4】
上部開口部を有する容器本体と、中央にバルブを有するマウンテンカップと、パッキン部材とを有し、前記上部開口部に設けられたビード部と前記マウンテンカップに設けられたカール部の間に前記パッキン部材を介在させて密封するエアゾール容器であって、
請求項1又は請求項2に記載のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造を有するエアゾール容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体にパッキン部材を介在させて中央にバルブを有するマウンテンカップを固定して密封するエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造、該取付構造に用いるパッキン部材および該取付構造を有するエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エアゾール容器は、容器本体の上部開口部に、中央にバルブを有するマウンテンカップが固定されており、マウテンカップのカール部にパッキン部材を介在させて容器本体の上部開口部に設けられたビード部に固定することによって容器本体との密封を図っている。
例えば、
図7に示すように、エアゾール容器100は、上部開口部112の周囲にビード部111が形成された容器本体110と、外周側の最端部にカール部121とそれに続く側壁部122が形成されたマウンテンカップ120が、カール部121の内面とビード部111の間にパッキン部材130を介して嵌合され、マウンテンカップ120のカール部121および側壁部122をかしめ変形させて容器本体110のビード部111に固定するように構成されている。
かしめ変形は、マウンテンカップ120のカール部121の頂点を固定し、側壁部122の内周側の容器本体110のビード部111より下方の位置をカール部121の頂点方向に押圧することで行われる。
なお、
図7に示した例では、容器本体110は、上部開口部112を含む頂部、その下方の胴部及び底部の3部材が結合して構成されているが、底部と胴部を一体として2部材が結合して構成されたものや、全体を一体に成形して1部材で構成されたものも周知である。
また、
図7では、マウンテンカップ120の中央に設けられるバルブは図示を省略しているが、通常は容器本体110への固定時にはバルブが一体に固定されている。
【0003】
このように、容器本体にパッキン部材を介在させてマウンテンカップをかしめ変形させて固定する取付構造として、様々な材質、形状、形成方法のパッキン部材を採用した取付構造が提案されている。
例えば、熱可塑性樹脂で形成した筒状物をマウンテンカップのカール部内面に挿入し、加熱型で押圧して溶融させてパッキン部材を形成するもの(特許文献1等参照。)、溶融した熱可塑性樹脂をノズルでカール部内面に塗布し、その後溶融樹脂の溶融温度よりも低い温度の雄型で塗布した溶融樹脂が硬化する前にカール部内面を押圧してパッキン部材を形成するもの(特許文献2等参照。)、粒状または粉末状の熱可塑性樹脂をカール部内面に載置し、加熱溶融するとともに雄型で押圧してカール部内面にパッキン部材を形成するもの(特許文献3等参照。)、熱可塑性樹脂で形成した筒状物をカール部内面に挿入し、加熱溶融しながら容器本体の上部開口部に固定してパッキン部材を形成するもの(特許文献4等参照。)、マウテンカップを金型内に位置させ、カール部と対面する金型とで形成される空間内に溶融した熱可塑性樹脂を射出(いわゆるインサート成形)してパッキン部材を形成するもの(特許文献5等参照。)等が公知である。
【0004】
また、独立したパッキン部材をあらかじめ準備しておき、マウテンカップのカール部に装着して容器本体の上部開口部に設けられたビード部に固定する取付構造が公知である。
例えば、独立したパッキン部材として、平板リング状のものを、ゴムや樹脂製のシート材から打ち抜き等で形成したり、ゴムや樹脂製のチューブからカットしたものが公知である。
マウンテンカップのかしめによる変形で容器本体に取付けられる際に、参考写真である
図8に示すように、容器本体110のビード部111とマウンテンカップ120のカール部121あるいは側壁部122(かしめにより変形している)の間隔が最も狭くなる部分が密封性に最も影響のあるシールポイント(図の断面では点であるが、実際には円周線状となる。)となるため、これらのパッキン部材を使用する際には、シールポイント付近において確実にパッキン部材がマウンテンカップ120と容器本体110に密着するように取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−77728号公報(全頁、全図)
【特許文献2】特開昭62−152574号公報(全頁、全図)
【特許文献3】特公平6−18716号公報(全頁、全図)
【特許文献4】特公平5−57028号公報(全頁、全図)
【特許文献5】特許第2626464号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1乃至特許文献5に記載されたようなエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造では、マウンテンカップに溶融した熱可塑性樹脂の熱が加わることとなるため、マウンテンカップの中央に設けられたバルブに熱の影響が及ぶ可能性があった。
バルブの保護のために溶融温度の低い熱可塑性樹脂を使用することも考えられるが、溶融温度の低い熱可塑性樹脂をパッキン部材として使用した場合、エアゾール容器を長期間にわたって密封性を高度に維持することが困難となるという問題があった。
また、熱可塑性樹脂の溶融あるいは固化をマウンテンカップのカール部内で行うための設備・装置が必要となり、また、個々のパッキン部材の形成に一定の時間がかかり、生産性の向上を阻害するという問題があった。
さらに、マウンテンカップのカール部内にパッキン部材を固着させるための表面処理を施す必要があり、そのための設備・装置とその工数も必要となり生産性の向上を阻害するという問題があった。
【0007】
上記公知の独立したパッキン部材を使用するエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造では、参考写真である
図9に示すように、取付時のパッキン部材の脱落防止のため、マウテンカップのカール部121内面(あるいは側壁部122)にパッキン部材を溶着等で仮止めする必要があり、上記特許文献1乃至特許文献5に記載されたようなエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造よりは少ないものの、マウンテンカップに熱を加える必要があり、バルブに熱の影響が及ぶ可能性を皆無とすることは不可能であるとともに、仮止めのための設備・装置とその工数が必要となり生産性の向上を阻害するという問題があった。
また、パッキン部材に局所的に熱を加えることで、パッキン部材の材質の均一性が失われ密封性が阻害される虞があった。
さらに、溶着等で仮止めするためには、マウンテンカップのカール部121内面(あるいは側壁部122)に表面処理を施す必要があり、そのための設備・装置とその工数も必要となり生産性の向上を阻害するという問題があった。
【0008】
シート材からの打ち抜きやチューブをカットして形成されたパッキン部材を用いた場合、その寸法精度が低くマウテンカップのカール部内での位置精度も低く、ねじれや変形を生じた状態で仮止めされる可能性も高いため、パッキン部材の位置が一定せず、マウンテンカップのかしめによる変形で固定した際の変形量や歪にばらつきが生じるため、パッキン部材とマウンテンカップおよび容器本体との密着性が低下し、均一で安定した密封性を得ることが困難となるという問題があった。
また、パッキン部材の仮止め時の位置、変形量、歪等がばらつくことによって、マウンテンカップのかしめによる変形でパッキン部材に亀裂等が発生しやすく、エアゾール容器の密封性が低下するという問題があった。
特に、
図8に示すように、シールポイントにおいてパッキン部材の変形量が最も大きくなることから、
図10に示すように、シールポイントでパッキン部材が亀裂を生じる可能性が最も高く、シールポイントでパッキン部材が亀裂を生じた場合、シールポイント以外の部分ではパッキン部材と容器本体のビード部111、マウンテンカップのカール部121および側壁部122との密着性が元々低いため、エアゾール容器の密封性が大きく損なわれてしまうという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、前述したような公知のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造の問題を解決するものであって、バルブに熱の影響を与えず、取付けのための設備・装置を簡略化して生産性の向上を図るとともに、パッキン部材の密着性が向上し、パッキン部材が破損することなく、均一で安定した密封性を得ることが可能となるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造、パッキン部材およびエアゾール容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本請求項1に係る発明は、上部開口部を有する容器本体と、中央にバルブを有するマウンテンカップと、パッキン部材とを有し、前記上部開口部に設けられたビード部と前記マウンテンカップに設けられたカール部の間に前記パッキン部材を介在させて密封するエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造であって、前記パッキン部材が、単体でリング状に形成された樹脂製であり、パッキン部材の一方の側面
の前記ビード部との接触面全体が、単体で前記ビード部の頂部近傍の外面形状に近似する曲面形状に形成され、前記パッキン部材の他方の側面
の前記カール部との接触面全体が、単体で前記カール部の内面形状に近似する曲面形状に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
本請求項2に係る発明は、
請求項1に記載のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造の構成に加えて、前記パッキン部材が、
単体で内周側の下方向に延びる円筒部を有し、該円筒部が、前記マウンテンカップのカール部に続く側壁部に沿って密着するように形成されたものであることにより、前記課題を解決するものである。
【0012】
本請求項3に係る発明は、中央にバルブを有するマウンテンカップを容器本体の上部開口部に固定して密閉する際に、前記容器本体の上部開口部に設けられたビード部とマウンテンカップに設けられたカール部の間に介在させるパッキン部材であって、
請求項1又は請求項2に記載のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造に用いられることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項4に係る発明は、上部開口部を有する容器本体と、中央にバルブを有するマウンテンカップと、パッキン部材とを有し、前記上部開口部に設けられたビード部と前記マウンテンカップに設けられたカール部の間に前記パッキン部材を介在させて密封するエアゾール容器であって、
請求項1又は請求項2に記載のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造を有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1に係る発明のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造、
本請求項3に係る発明のパッキン部材および
本請求項4に係る発明のエアゾール容器によれば、パッキン部材が
単体でリング状に形成された樹脂製で
あることにより、様々なエアゾール容器の寸法、形状に応じて最適な形状で精度良く形成されるため、取付時に溶着等を行わず、弾性のみでねじれや変形を生じることなく、位置精度良くパッキン部材を仮止めすることが可能となる。
その結果、バルブに熱の影響を与えず、マウンテンカップの内面に表面処理等を施す必要もなく、取付けのための設備・装置を簡略化して生産性を向上できるとともに、マウンテンカップのかしめによる変形の誤差が少なく、パッキン部材の密着性が向上し、パッキン部材が破損することなく、均一で安定した密封性を持つエアゾール容器を得ることができる。
【0014】
また、マウンテンカップのかしめによる変形の際にパッキン部材の各部の変形量を可能な限り均一化でき、パッキン部材とビード部、カール部および側壁部との接触部分の全体で均一に密着させることができるため、シールポイントを最も間隔が狭くなる部分に集中させることなく密封性を向上でき、パッキン部材の亀裂や破断によるエアゾール容器の密封性の低下を防止することができる。
本請求項2に記載の構成によれば、シールポイントを最も間隔が狭くなる部分に集中させてシールポイントでの高度な密封性を実現できるとともに、パッキン部材の形状精度が高く変形の誤差が少ないため、パッキン部材が最も大きく変形するシールポイントでもパッキン部材が破損することなくエアゾール容器の密封性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造のかしめ固定前の断面図。
【
図2】本発明の第1実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造に使用するパッキン部材の説明図。
【
図3】
図2のパッキン部材を用いたエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造の断面参考写真。
【
図4】本発明の第2実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造のかしめ固定前の断面図。
【
図5】本発明の第2実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造に使用するパッキン部材の説明図。
【
図6】
図5のパッキン部材を用いたエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造の断面参考写真。
【
図7】本発明および従来のエアゾール容器の説明図。
【
図8】従来のエアゾール容器のかしめ固定後のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造の断面参考写真。
【
図9】従来のエアゾール容器のかしめ固定前のマウンテンカップおよびパッキン部材の断面参考写真。
【
図10】
図8のパッキン部材に亀裂が生じた例の断面参考写真。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造は、上部開口部を有する容器本体と、中央にバルブを有するマウンテンカップと、パッキン部材とを有し、上部開口部に設けられたビード部とマウンテンカップに設けられたカール部の間にパッキン部材を介在させて密封するエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造であって、パッキン部材が、単体でリング状に形成された樹脂製であり、パッキン部材の一方の側面
の前記ビード部との接触面全体が、単体で前記ビード部の頂部近傍の外面形状に近似する曲面形状に形成され、前記パッキン部材の他方の側面
の前記カール部との接触面全体が、単体で前記カール部の内面形状に近似する曲面形状に形成され、バルブに熱の影響を与えず、取付けのための設備・装置を簡略化して生産性が向上するとともに、パッキン部材の密着性が向上し、パッキン部材が破損することなく、均一で安定した密封性を得ることが可能であれば、その具体的な実施形態はいかなるものであっても良い。
なお、前述したように、容器本体は、一体で形成されたものや、複数部材が結合して構成されたもの等、様々な構成のものが周知であり、本発明における容器本体も、少なくとも上部開口部にビード部を有しているものであれば、いかなる構成のものでも良い。
【実施例1】
【0017】
本発明の第1実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造およびパッキン部材130は、前述の
図7に示す形態のエアゾール容器100において用いられる。
パッキン部材130は樹脂製であり、かつ、
図1、
図2に示すように、単体で射出成形によりリング状に形成されたものであり、本実施形態においては、パッキン部材130の一方の側面132が、容器本体110のビード部111の頂部近傍の外面形状に近似する曲面形状に形成され、他方の側面131が、マウンテンカップ120のカール部121の内面形状に近似する曲面形状に形成されている。
また、パッキン部材130の内周面133は、マウンテンカップ120のカール部121に続く側壁部122の外径より僅かに小さな内径に形成されている。
【0018】
以上のように構成された第1実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造およびパッキン部材130に関する取付け動作および作用について説明する。
まず、単体で射出成形によりリング状に形成されたパッキン部材130をマウンテンカップ120の側壁部122に嵌合させ、パッキン部材130が嵌合されたマウンテンカップ120を容器本体110の上部開口部112に嵌合させる。
この時、パッキン部材130の内周面133がマウンテンカップ120のカール部121に続く側壁部122の外径より僅かに小さな内径に形成されているため、パッキン部材130の弾性によって側壁部122の外周に脱落することなく固定され、溶着等によって仮止めする必要はない。
したがって、バルブ(図示せず)に熱の影響を与えることはなく、マウンテンカップ120の内面に表面処理等を施す必要もなく仮止めのための設備・装置とその工数を簡略化できる。
【0019】
また、パッキン部材130の両側面131、132がそれぞれ接するビード部111の頂部近傍の外面形状およびマウンテンカップ120のカール部121の内面形状に近似する曲面形状であるため、
図1に示すように、かしめ固定前の状態でビード部111とカール部121との間で隙間がほとんどない。
このため、マウンテンカップ120のかしめによる変形の際にパッキン部材130の各部の変形量を均一化でき、参考写真である
図3に示すように、パッキン部材130とビード部111およびカール部121との接触部分が、シール面幅で示す範囲で均一に密着したシール面として機能して密封性を確保することができる。
このことで、最も間隔が狭くなる部分をシールポイントとして作用させることなく密封性を向上でき、パッキン部材130の亀裂や破断によるエアゾール容器100の密封性の低下を防止することができる。
【実施例2】
【0020】
本発明の第2実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造およびパッキン部材230は、第1実施形態と同様に、前述の
図7に示す形態のエアゾール容器100において用いられる。
パッキン部材230は樹脂製であり、かつ、
図4、
図5に示すように、単体で射出成形によりリング状に形成されたものであり、本実施形態においては、パッキン部材230の一方の側面232が、容器本体110のビード部111の頂部近傍の外面形状に近似する曲面形状に形成され、他方の側面231が、マウンテンカップ120のカール部121の内面形状に近似する曲面形状に形成されている。
また、パッキン部材230は内周側に下方向にマウンテンカップ120のカール部121に続く側壁部122に沿って延びる円筒部234を有し、その内周面233は、マウンテンカップ120のカール部121に続く側壁部122の外径より僅かに小さな内径に形成されている。
【0021】
以上のように構成された第2実施形態であるエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造およびパッキン部材230に関する取付け動作および作用について説明する。
まず、第1実施形態と同様に、単体で射出成形によりリング状に形成されたパッキン部材230をマウンテンカップ120の側壁部122に嵌合させ、パッキン部材230が嵌合されたマウンテンカップ120を容器本体110の上部開口部112に嵌合させる。
この時、パッキン部材230の円筒部234の内周面233がマウンテンカップ120のカール部121に続く側壁部122の外径より僅かに小さな内径に形成されているため、円筒部234の内周面233が、マウンテンカップ120のカール部121に続く側壁部122に沿って密着する。
この時、内周面233の摩擦による保持力が大きいため、第1実施形態よりパッキン部材230の弾性が極僅かであっても、側壁部122の外周に脱落することなく固定され、溶着等によって仮止めする必要はない。
したがって、バルブ(図示せず)に熱の影響を与えることはなく、マウンテンカップ120の内面に表面処理等を施す必要もなく仮止めのための設備・装置とその工数を簡略化できる。
【0022】
また、第1実施形態と同様に、パッキン部材230の両側面231、232がそれぞれ接するビード部111の頂部近傍の外面形状およびマウンテンカップ120のカール部121の内面形状に近似する曲面形状であるため、
図4に示すように、かしめ固定前の状態でビード部111とカール部121との間で隙間がほとんどない。
このため、マウンテンカップ120のかしめによる変形の際にパッキン部材230の各部の変形量を均一化でき、参考写真である
図6に示すように、パッキン部材230とビード部111およびカール部121との接触部分が、シール面幅で示す範囲で均一に密着したシール面として機能して密封性を確保することができる。
そして、本実施形態においては、
図6に示すように、マウンテンカップ120のかしめによる変形後に、円筒部234がマウンテンカップ120の側壁部122の間隔が最も狭くなる部分で大きく変形してシールポイントとなることで密封性を飛躍的に向上できる
【0023】
また、パッキン部材230が単体で射出成形によりリング状に形成されることにより弾性のみでねじれや変形を生じることなく、位置精度良く仮止めされ、かつ、パッキン部材230の両側面231、232が曲面形状であるためマウンテンカップ120のかしめによる変形の誤差が少ないため、パッキン部材230をシールポイントで亀裂や破断することなく、極めて薄くなるまで変形して高い密封性を確保することが可能となる。
このことで、シール面に加えてシールポイントで極めて高い密封性を確保できることとなり、第一実施形態に比べて、かしめの条件(圧着荷重、かしめ位置、かしめ量等)の選択幅も広がり、エアゾール容器用マウンテンカップの取付構造の設計自由度が大きく向上する。
さらに、パッキン部材230とビード部111および側壁部122との接触部分についても全体で均一に密着して各部の変形量が均一化されているため、シールポイント周辺の密封性も充分に向上されており、万一、シールポイントでパッキン部材230の亀裂や破断が生じても、密封性の低下は極めて少ない。
【0024】
なお、第1実施形態、第2実施形態を含みいかなる実施形態のものでも、パッキン部材130、230を、フィルムゲートを有する金型を用いた射出成形で形成することにより、内部に歪や欠損等のない均質なものとなるため、破損や亀裂の発生を誘発する応力集中や脆弱点が減少し、かつ、マウンテンカップ120のかしめによる変形の誤差が更に少なくなり、さらに均一で安定した密封性を持つエアゾール容器を得ることができる。
また、パッキン部材130、230は射出成形によりリング状に形成されているため、両側面131、132、231、232の形状は、エアゾール容器の形状、寸法、マウンテンカップ120の変形量、必要とする密封性等の様々な条件に応じて自由に設計可能である。
さらに、条件によっては、パッキン部材130、230の両側面131、132、231、232が第1実施形態、第2実施形態のような曲面ではなく、単純な断面矩形、断面楕円形のリング状等の他の形状に形成されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のエアゾール容器用マウンテンカップの取付構造、該取付構造に用いるパッキン部材および該取付構造を有するエアゾール容器は、実施形態に示すように、ビード部の上方にカール部をかぶせて固定する形態のエアゾール容器以外に、ビード部とカール部の位置関係がいかなるものであっても、適宜の変形が可能である。
また、上述した取付構造およびパッキン部材は、エアゾール容器の容器本体とマウンテンカップの取付けのみならず、他の容器等の同様の固定、密封が行われる部分に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
100 ・・・ エアゾール容器
110 ・・・ 容器本体
111 ・・・ ビード部
112 ・・・ 上部開口部
120 ・・・ マウンテンカップ
121 ・・・ カール部
122 ・・・ 側壁部
130、230 ・・・ パッキン部材
131、231 ・・・ 側面(カール部側)
132、232 ・・・ 側面(ビード部側)
133、233 ・・・ 内周面
234 ・・・ 円筒部