【実施例】
【0025】
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0026】
<実施例1>
下記表1に示す配合でゼリーを調製しそれをスティック包装した。
【0027】
【表1】
【0028】
具体的には、マンナン、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムを含む市販のゲル化剤製剤A1.2質量部、フコイダン(焼津水産化学工業株式会社製)0.1質量部に水を加え全量100質量部とし、ゼリー原料液とした。このゼリー原料液のpHをクエン酸(pH調整剤)でpH3.8に調整し、90℃5分加熱溶解し、約85℃で、縦130mm×横32.5mmのスティック状包装容器に充填し、上部開口部をシールして、内容量15gのスティック包装ゼリー食品を得た。
【0029】
<実施例2>
フコイダンの配合を0.2質量部に代えた以外は実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0030】
<実施例3>
フコイダンの配合を0.5質量部に代えた以外は実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0031】
<実施例4>
フコイダンの配合を1.0質量部に代えた以外は実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0032】
<比較例1>
フコイダンを添加せずに実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0033】
〔試験例1〕
実施例1〜4で調製したスティック包装ゼリー食品の離水状態について評価した。評価方法として、ゼリーの短辺とほぼ同じ幅の短冊状の紙を用意してその中央にゼリーを置き、25分間静置後に紙の長さ方向両端に向けて広がったシミの長さの合計(離水幅)を測定し、離水状態の指標とした。測定はスティック包装ゼリー食品を常温で1週間保管した後に、それぞれ包装から取り出して行い、下式(1)より、比較例1のゼリーの離水状態に対する離水抑制率を算出した。
【0034】
【数1】
【0035】
結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示すように、フコイダンの添加により、その添加量に応じて離水が抑制された。特に、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを1.0質量部配合した実施例4では、離水を8割程度抑制することができ、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを0.2質量部配合した実施例2でも、35%以上の抑制率を得ることができた。
【0038】
<実施例5>
下記表3に示す配合でゼリー食品を調製し、それをスティック包装した。
【0039】
【表3】
【0040】
具体的には、ゲル化剤として寒天を用いた以外は実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0041】
<実施例6>
フコイダンの配合を0.2質量部に代えた以外は実施例5と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0042】
<実施例7>
フコイダンの配合を0.5質量部に代えた以外は実施例5と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0043】
<実施例8>
フコイダンの配合を1.0質量部に代えた以外は実施例5と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0044】
<比較例2>
フコイダンを添加せずに実施例5と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0045】
〔試験例2〕
実施例5〜8で調製したスティック包装ゼリー食品の離水状態について、試験例1と同様に評価し、比較例2のゼリーの離水状態に対する離水抑制率を算出した。その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表4に示すように、ゲル化剤として寒天を用いた場合にも、フコイダンの添加により、その添加量に応じて離水が抑制された。特に、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを1.0質量部配合した実施例8では、離水を7割程度抑制することができ、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを0.2質量部配合した実施例6でも、30%以上の抑制率を得ることができた。
【0048】
<実施例9>
下記表5に示す配合でゼリー食品を調製し、それをスティック包装した。
【0049】
【表5】
【0050】
具体的には、ゲル化剤としてジェランガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムを含む市販のゲル化剤製剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0051】
<実施例10>
フコイダンの配合を0.2質量部に代えた以外は実施例9と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0052】
<実施例11>
フコイダンの配合を0.5質量部に代えた以外は実施例9と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0053】
<実施例12>
フコイダンの配合を1.0質量部に代えた以外は実施例9と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0054】
<比較例3>
フコイダンを添加せずに実施例9と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。
【0055】
〔試験例3〕
実施例9〜12で調製したスティック包装ゼリー食品の離水状態について、試験例1と同様に評価し、比較例3のゼリーの離水状態に対する離水抑制率を算出した。その結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
表6に示すように、ゲル化剤としてジェランガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムを含むゲル化剤製剤2を用いた場合にも、フコイダンの添加により、その添加量に応じて離水が抑制された。特に、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを1.0質量部配合した実施例12では、離水を6割程度抑制することができ、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを0.2質量部配合した実施例10でも、20%以上の抑制率を得ることができた。
【0058】
〔試験例4〕
フコイダンの添加がゼリー性状に与える影響を調べるため、ゼリー原料液100質量部中のフコイダンの配合量(質量部)を、下記表7に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した。評価方法として、スティック包装ゼリー食品を垂直に立てて、その上部を開封し、下から上方向にゼリーを押し出し、ゼリーが直立出来ずに破断した長さを測定した。
【0059】
【表7】
【0060】
その結果、表7に示すように、ゼリー原料液100質量部中にフコイダンを8.0質量部配合すると、包装から取り出した時点でゲルが崩れて直立しないため、スティック包装ゼリー食品に配合できるフコイダンの添加量には、ゲル化の阻害によるゼリー強度の低下を避けるため上限があることが明らかとなった。
【0061】
〔試験例5〕
スティック包装ゼリー食品の離水状態について、ゼリーのpHが与える影響を調べるため、ゼリー原料液のpH調整を、下記表8に示すように変化させた以外は、実施例2と同様にして、スティック包装ゼリー食品を調製した(ゲル化製剤1.2質量部、フコイダン0.2質量部)。調製したスティック包装ゼリー食品を常温で1週間保管した後、その離水状態について、試験例1と同様の評価方法にて、各ゼリーの離水幅を測定することによって評価した。その結果を表8に示す。
【0062】
【表8】
【0063】
その結果、表8に示すように、pH3付近を境にそれ以下のpH2.8では、フコイダンによって離水を抑制する効果が極端に減退してしまうことが明らかとなった。