【発明の効果】
【0029】
本発明の一目的は、心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険がある対象の識別方法であって、以下の:
−少なくとも2つの心臓血管系危険因子、すなわち:
a)sPLA2活性、および
b)アポリポタンパク質B−100粒子上の酸化リン脂質(OxPL/アポB)
を、上記対象から得られる試料中で測定すること、
−上記測定を組合せること
を包含する方法であり、sPLA2活性およびOxPL/アポBの組合せ値が心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険があることを示す方法である。
【0030】
本発明によれば、統計学的分析を用いて上記測定値を組合せると組合せ値を得るが、これは、心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険があることを示す。
【0031】
本発明の一実施形態では、対象は、実質的に健常な対象であって、これは、対象が、心臓血管系疾患を有するかまたは罹患していると以前に診断されていないしまたは識別されていないこと、あるいは心臓血管系事象を発症したことがないということを意味する。別の実施形態では、対象は、心臓血管系疾患に対して無症候性である対象でもあり得る。本明細書中で用いる場合、「無症候性」対象は、CADに関しては胸痛および息切れ、PADに関しては跛行、ならびにCVDに関してはTIAS、MCIおよび重症頭痛を含むがこれらに限定されない心臓血管系疾患または事象の伝統的症候を示さない対象を指す。
【0032】
本発明の別の実施形態では、対象は、例えば年齢、性別、LDL濃度、HDL濃度、トリグリセリド濃度、血圧、体重指数、CRP濃度、冠動脈カルシウムスコア、胴囲、喫煙状態、心臓血管系疾患の既往歴、心臓血管系疾患の家族歴、心拍数、空腹時インスリン濃度、空腹時グルコース濃度、糖尿病状態ならびに高血圧薬の使用のような臨床的および生物学的指標により限定されるような、心臓血管系疾患または心臓血管系事象を有するかまたは発症する危険がある対象であり得る。
【0033】
本発明の別の実施形態では、対象は、心臓血管系疾患または心臓血管系事象、例えば心筋壊死を伴わない慢性虚血性障害(例えば安定または労作性狭心症)、心筋壊死を伴わない急性虚血性障害(例えば不安定狭心症)、心筋壊死を伴う虚血性障害(例えばSTセグメント評価心筋梗塞または非STセグメント評価心筋梗塞)に関して以前に診断または識別されたことがある対象であり得る。
【0034】
組織虚血はしばしば、関連する用語で定義され、酸素の要求が組織への酸素の送達を上回る場合に起こる。組織の(例えば心筋の)酸素需要と供給との間の不均衡が存在する。この酸素欠乏の状態には、還流低減の結果として起こる代謝産物の不適切な除去が伴い得る。心筋虚血は、シンチグラフィーを用いて、局所壁運動障害を分析することにより、または心電図の使用により(STセグメント、上部または下部STセグメント偏差の典型的修飾、T波逆転、あるいは急勾配対称性または高振幅陽性T波のようなT波の典型的変化)、臨床的に(例えば胸痛)、生物学的に(例えばミエロペルオキシダーゼ活性の増大)、代謝的に診断され得る。無症候性虚血は、典型的には、シンチグラフィーまたは24時間心電図記録を用いて診断される。
【0035】
安定および労作性狭心症は、典型的には、運動中の胸痛により現れ、休息中徐々に回復する。それは、通常は、運動中の組織虚血を表す。
【0036】
不安定狭心症は、安定狭心症の頻度および/または重症度,狭心症の最初の発症、または休息中の狭心症の新たな増大である。
【0037】
心筋壊死は、典型的には、循環血液中の心筋酵素(例えばトロポニンI、トロポニンT、CPK)の増大により診断される。
【0038】
本発明の別の実施形態では、対象は、心臓血管系疾患のための治療および/または療法の結果としての心臓血管系危険因子における改善を示す対象であり得る。このような改善としては、体重指数の低減、総コレステロールの低減、LDLレベルの低減、HDLCレベルの増大、拡張期および/または収縮期血圧の低減、あるいはその他の上記危険因子あるいはその組合せが挙げられる。
【0039】
本発明の一実施形態では、虚血性症候の開始は、対象において診断されていない。心筋虚血は、シンチグラフィーを用いて、局所壁運動障害を分析することにより、または心電図の使用により(STセグメント、上部または下部STセグメント偏差の典型的修飾、T波逆転、あるいは急勾配対称性または高振幅陽性T波のようなT波の典型的変化)、臨床的に(例えば胸痛)、生物学的に(例えばミエロペルオキシダーゼ活性の増大)、代謝的に診断され得る。
【0040】
別の実施形態では、虚血症候の開始は、本対象において診断されている。
【0041】
本発明の一実施形態では、sPLA2活性およびOxPL/アポBならびに任意に他の心臓血管系危険因子を測定するために用いられる試料は、血液試料、全血、血漿、血清である。
【0042】
本発明によれば、sPLA2活性は上記試料で測定される。
【0043】
本発明によれば、sPLA2活性の測定は、Pernas等(1991 Biochem Biophys Res Commun 178: 1298−1305)により変更されたRadvanyi等(1989 Anal Biochem 177: 103−9)による蛍光定量法により実施され得る(これらの記載内容はすべて参照により本明細書中で援用される)。
【0044】
特に、以下のアッセイが用いられる。1−ヘキサデカノイル−2−(1−ピレンデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホメタノールナトリウム塩(Interchim, Montlucon, France)は、sPLA2のための基質として用いられる。sPLA2によるこの基質の加水分解は1−ピレンデカン酸を生じ、これは397nmで蛍光を発する。2.5mlの総容積中の10mM トリス−HCl、pH8.7、0.1%アルブミン、10mM CaCl
2の存在下で、分注した血漿0.03mlを5nmolの基質と混合し(容積(E))、1分後に397nmで蛍光(F)を測定する。基質の100%加水分解は1分の間に0.1Uの蜂毒PLA2(Sigma Chemical Co., France)を用いて得られ、したがって、1分の反応の終了時の蛍光の値(Fmax)は、2nmol/分/mlの活性(Vmax)に対応する。試料の活性(A)(nmol/ml/分で表される)は、以下の式により示される:A=(Vmax
*F)/(E
*Fmax)。
【0045】
基質加水分解が50%を超えたら、試料を希釈する。血漿の非存在下での基質の加水分解を陰性対照として用い、PLA2活性から差し引く。全試料を二通りで試験する。最小検出可能活性および検出限界は0.10nmol/分/mlであり、変動のアッセイ内およびアッセイ間係数は10%より低い。
【0046】
本発明によれば、sPLA2活性の測定は、小試料容積で、変更された基質/酵素比(50nmol/Uの代わりに10nmol/U)で30℃に保たれたサーモスタットを用いる自動蛍光定量測定を用いて、改良型蛍光定量法により実施され、従来の方法(バッチ内CV<10%、バッチ間CV<10%)より高い精度および感度(2.7%<変動係数(CV):バッチ内<3.2%;バッチ間CV<5.7%)、ならびに実質的に短いアッセイ完了までの時間を提供し得る。特に、自動測定のために以下のアッセイが用いられる。1−ヘキサデカノイル−2−(1−ピレンデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホメタノールナトリウム塩(Interchim, Montlucon, France)は、sPLA2のための基質として用いられる。sPLA2によるこの基質の加水分解は1−ピレンデカン酸を生じ、これは405nmで蛍光を発する。簡単には、0.2mlの緩衝基質(10mM トリス−HCl、pH8.7、0.1%アルブミン、10mM CaCl
2)中の蛍光基質1nmolを、Black Maxisorpマイクロタイタープレート(96ウェル)中に自動的に分配した。基質の自己失活特性のために、撹拌装置および30℃に保たれたサーモスタットを装備したFluostar Optima蛍光計で、低い蛍光が先ず記録される(Fmin)。30μl(100U/mL)の蜂毒PLA2(Sigma Chemical Co., France)の添加により、全基質の迅速な加水分解(100%の加水分解)ならびに最大値までの蛍光増大(Fmax)を引き起こし、これは5nmol/mlの活性に対応する。未知の血液試料中のsPLA2活性を決定するために、30μlの血清(E)を自動的に分配して、基質混合物に添加し、蛍光を1分間で記録した(F)。2点手法を用いて、各試料の補正蛍光強度を測定し、酵素活性(nmol/分/mlで表される)を評価した。全試料を二通りで試験した。試料の活性(A)は、以下の式により示される:A=(Vmax
*F)/(E
*Fmax)。
【0047】
血清の非存在下での基質の加水分解を陰性対照として用いて、PLA2活性から差し引く。全試料を、二通りで試験する。別記しない限り、血清sPLA2活性に関して本明細書中で示される数値はすべて、自動測定のための上記の規定されたアッセイに従って測定される。
【0048】
アッセイを実施するために用いられ得るホスホリパーゼは、分泌型ホスホリパーゼ、または既知の活性を有するホスホリパーゼ、好ましくは蜂毒ホスホリパーゼである。
【0049】
別の実施形態では、蛍光定量法に基づいた方法であって、上記sPLA2を含有し、上記患者から採取した生物学的試料を、1nM〜15nMの濃度の基質と接触させる(血清試料容積は5μl〜50μlであり、基質容積は100μl〜300μlである)ことを包含する蛍光定量法を基礎にした方法により、約15℃〜約40℃の温度範囲で、好ましくは約30℃で、sPLA2活性は決定され得る。用いられるホスホリパーゼは、蜂毒またはコブラ毒のような蛇毒、好ましくは蜂毒からのホスホリパーゼであり得る。それは、任意の種からの組換えホスホリパーゼであり得る。このアッセイは、WO2008/015546(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)の実施例2に記載されている。この方法の利点は、用いられる基質の小試料容積ならびにサーモスタット調節であって、より高い精度および感度を提供する。
【0050】
代替的には、上記のような自動化蛍光定量測定の変形が用いられ得るが、これは試料中の他の因子による蛍光強度の非特異的増大に起因し、したがってsPLA2活性の測定を妨げ得る不正確さを軽減し得る。この方法は、sPLA2活性を決定するために以下の式が用いられるという点でのみ上記に規定された自動化蛍光定量測定法と異なる:
A=F
*s/[(Fmax−Fmin)
*V]
(式中:
−Aは、nmol/分/mlで表されるsPLA2活性を表し;
−sは、nmolで表される基質の量(通常、作業溶液200μlの容積中に1nmol)を表し;
−Vは、mlで表される試料容積(通常、0.30〜0.50ml)を表し;
−(Fmax−Fmin)は、蜂毒からのPLA2の存在下での反応終了時の最大蛍光シグナルと陰性対照との間の差を表し;
−Fは、分
−1で表される時間の一関数としての蛍光放射を表す曲線の、線形範囲内の、初期勾配を表す)。
【0051】
自動化蛍光定量測定のこの変数は、WO2008/015546(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)の実施例4に記載されている。
【0052】
本発明によれば、OxPL/アポBは、上記の試料で測定される。
【0053】
OxPL/アポB比を測定するための方法は、US2006/177435(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。上記の方法は、試料中のOxPLレベルの決定、試料中のアポBレベルの決定と、その後のOxPL/アポB比の算定に基づいている。
【0054】
一実施形態では、対象から得られる試料中のOxPLのレベルおよびアポBのレベルは、2つ以上の異なる生体分子で測定される。第一生体分子はOxPLと特異的に相互作用し、第二生体分子はアポBと特異的に相互作用する。いくつかの態様では、生体分子は、抗体、例えばモノクローナル抗体である。OxPLと相互作用する抗体は、例えばE06またはDLH3であり得る。
【0055】
他の態様では、生体分子は抗原である。いくつかの実施形態では、生体分子は固定されて、複数の第一生体分子の第一組と複数の第二生体分子の第二組を含むアレイを形成する。
【0056】
酸化リン脂質の例としては、酸化型の、1−パルミトイル−2−アラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(Ox−PAPC)、1−パルミトイル−2−オキソバレロイル−sn−グリセロ−3−ホスホリル−コリン(POVPC)、1−パルミトイル−2−グルタロイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(PGPC)、1−パルミトイル−2−エポキシイソプロスタン−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(PEIPC)、酸化1−ステアロイル−2−アラキドノイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(Ox−SAPC)、1−ステアロイル−2−オキソバレロイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(SOVPC)、1−ステアロイル−2−グルタロイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(SGPC)、1−ステアロイル−2−エポキシイソプロスタン−sn−グリセロ−3−ホスホリルコリン(SEIPC)、1−ステアロイル−2−アラキドニル−sn−グリセロ−3−ホスホリルエタノールアミン(Ox−SAPE)、1−ステアロイル−2−オキソバレロイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルエタノールアミン(SOVPE)、1−ステアロイル−2−グルタロイル−sn−グリセロ−3−ホスホリルエタノールアミン(SGPE)および1−ステアロイル−2−エポキシイソプロスタン−sn−グリセロ−3−ホスホリルエタノールアミン(SEIPE)が挙げられる。
【0057】
本明細書中で用いる場合、「生物学的分子」および「生体分子」という用語は互換的に用いられ得る。これらの用語は広範囲に解釈されるよう意図されており、一般的には、ポリペプチド、ペプチド、オリゴ糖、多糖、オリゴペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドとしては、例えばDNAおよびRNA、例えばそれらのアプタマー形態が挙げられる。生体分子は、有機化合物、有機金属化合物、有機および有機金属化合物の塩、糖類、アミノ酸ならびにヌクレオチド、脂質、炭水化物、薬剤、ステロイド、レクチン、ビタミン、鉱質、代謝産物、補因子および補酵素も含む。生体分子は、記載された分子の誘導体をさらに含む。例えば、生体分子の誘導体としては、脂質、ならびにオリゴペプチド、ポリペプチド、ペプチドおよびタンパク質、例えば抗体、のグリコシル化誘導体が挙げられる。生体分子の誘導体のさらなる例としては、オリゴ糖および多糖の脂質誘導体、例えばリポ多糖が挙げられる。
【0058】
特定のタンパク質、例えばOxPLおよびアポBを識別するための例示的生化学的試験には、標準化試験フォーマット、例えば酵素結合免疫吸着測定法またはELISA法を用いるが、本明細書中で提供される情報は、他の生化学的または診断用の試験の開発に適用され得、ELISA法の発展したものには限定されない(例えば、ELISA法の説明に関しては、Molecular Immunology: A Textbook, edited by Atassi et al. Marcel Dekker Inc., New York and Basel 1984参照)。種々の血漿構成成分のための市販の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キットが利用可能である、と理解される。
【0059】
OxPL/アポB比を測定するための改良型方法は、WO01/88547(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。上記の改良型方法は、ホスホリルコリン(PC)を用いることによりアッセイを標準化するよう意図される。上記方法によれば、イムノアッセイは、酸化および非酸化LDLの両方に結合する抗体(例えば、抗アポB)の使用によりマイクロタイターウェル上でLDLを先ず捕捉し、次いで、標識化E06抗体によりOxLDLを検出することにより実施され得る。代替的には、E06抗体は、マイクロタイターウェルの底に結合され、そして標識化抗LDL抗体を使用して結合したOxLDLの量が決定される。OxLDLは、マイクロタイターウェルを被覆するためにも用いられ、そして種々の濃度の患者血清(OxLDLを含有すると推定される)が一定の限定量の標識化(例えば、ビオチニル化)E06またはT15と混合されて、プレート上のOxLDLとの結合に関して競合し得る。各アッセイに関して、標準条件下では、標準曲線は競合剤としてPCを用いて展開され得る。代替的には、患者血清よりむしろ競合剤の供給源としてのPCを用いて、一組の反応が平行して実行され得る。PCは単独で用いられ得るし、あるいは担体タンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはカギアナカサガイヘモシアニン(KLH)と結合され得る。
【0060】
本発明によれば、sPLA2活性およびOxPL/アポB、ならびに任意に他の心臓血管系危険因子に関して得られる測定値は、統計分析において組合せられるが、この場合、sPLA2活性およびOxPL/アポB、ならびに任意に他の心臓血管系危険因子の組合せ値は、心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険があることを示す。
【0061】
当業者が理解するように、研究中の診断/予後診断問題を改善するために、2つ以上の危険因子の測定値を用いるための多数の方法が存在する。
【0062】
非常に簡単であるが、それにもかかわらずしばしば有効なアプローチでは、研究されるマーカーの少なくとも1つに関して試料が陽性である場合、陽性結果が推定される。これは、例えばエイズのような感染性疾患を診断する場合の事例である。しかしながら、しばしば、危険因子の組合せが評価される。好ましくは、sPLA2活性およびOxPL/アポBならびに任意に他の心臓血管系危険因子に関して得られる測定値は、数学的に組合され、そして組合せ値は根本的な診断/予後診断問題と相関される。危険因子測定値は、任意の適切な状態の当該技術分野の数学的方法により組合され得る。マーカー組合せを疾患と相関させるための周知の数学的方法は、判別解析(DA)(すなわち、線形−、二次−、正則化DA)、カーネル法(すなわち、SVM)、非パラメーター法(すなわち、k−最近隣分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング/バギング法)、一般化線形モデル(すなわち、論理的回帰)、主成分ベースの方法(すなわち、SIMCA)、一般化加法モデル、ファジー論理ベースの方法、ニューラルネットワークおよび遺伝的アルゴリズムに基づく方法のような方法である。当業者は、本発明のマーカー組合せを評価するために適切な方法を選択するに際して、なんの問題もないであろう。
【0063】
好ましくは、本発明の危険因子組合せを、心臓血管系疾患または心臓血管系事象を有するかまたは有する危険があるという危険性と相関させるのに用いられる方法は、DA(すなわち、線形−、二次−、正則化判別解析)、カーネル法(すなわち、SVM)、非パラメーター法(すなわち、k−最近隣分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)、または一般化線形モデル(すなわち、論理的回帰)から選択される。これらの統計学的方法に関する詳細は、以下の参考文献に見出される:Ruczinski, I., Kooperberg C., LeBlanc, M., Logic regression, J. of Computational and Graphical Statistics, 12(2003) 475−511;Friedman, J.H., Regularized Discriminant Analysis, J. of the American Statistical Association, 84(1989) 165−175;Trevor Hastie, Robert Tibshirani and Jerome Friedmann, The Elements of Statistical Learning, Springer Verlag, 2001;Breiman, L., Friedman, J.H., Olshen, R.A., Stone, C.J. (1984) Classification and regression trees, California: Wadsworth;Breiman, L., Random Forests, Machine Learning, 45(2001) 5−32;Pepe, M.S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28(2003);およびDuda, R.O., Hart, P.E., Stork, D.G., Pattern Classification, Wiley Interscience, 2
nd Edition (2001)。
【0064】
本発明の一実施形態では、危険因子の基本的組合せのための最適化多変量カットオフを用いて、状態Aを状態Bと、例えば罹患状態を実質的に健常な状態と区別する。この分析の型では、危険因子はもはや独立しておらず、危険因子パネルを構成する。sPLA2活性およびOxPL/アポBの測定値を組み合わせると、実質的に健常な対象と比較して、あるいは心臓血管系疾患または事象があると診断されたことのある対象と比較して、心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象に関する診断/予後診断精度が有意に改良される。
【0065】
本発明の一実施形態では、sPLA2活性およびOxPL/アポBならびに任意に他の心臓血管系危険因子の測定値の統計分析は、標準手法を用いるオッズ比(OR)の決定に基づいている。オッズ比は、試験群のオッズを対照群のオッズで割ることにより算定される。一事象のオッズは、事象の数を非事象の数で割って算定される。事象のオッズが1より大きい場合、その事象は起きないより起きるほうがあり得る(起きることが確かである事象のオッズは無限である);オッズが1未満である場合、事象は起きないと見込まれる(起こり得ない事象のオッズはゼロである)。概して、関連の強さはオッズ比(OR)として報告され(95%より低い(LCL)および高い(UCL)信頼限界)、これは、疾患を有するか、あるいは疾患を有するかまたは発症する危険があるという危険性が増大される(OR>1)因子を示す。95%信頼区間(95%CI)は、見積もられている集団値が見出されるであろうとわれわれが確信し得る数値(算定確率、ここでは95%)の範囲である。信頼区間は、証拠の強さを示す;この場合、信頼区間は広く、それらは効果の見積もりの精度が低いことを示す。試行試料サイズが大きいほど、結果事象の数は多く、真の相対危険度減少が示される値に近い確実性はより大きくなる。したがって信頼区間はより狭くなり、「精度」は増大される。算定ORを信頼できる、重要である、または臨床的に有意であると確信して受容するために、信頼区間の下限、または下方信頼限界は、OR>1である場合には>1であるべきであり、信頼区間の上限は、OR<1である場合には<1であるべきである。
【0066】
本発明の別の実施形態では、診断/予後診断方法の正確さは、その受診者操作特性(ROC)により最良に説明される(特に、Zweig, M.H., and Campbell, G., Clin. Chem. 39(1993) 561−577参照)。ROCグラフは、観察されたデータの全範囲に亘って判定閾値を連続的に変えることに起因する全ての感度/特異度対のプロットである。
【0067】
実験室試験の臨床的実施は、その診断的正確さに、または臨床的に関連する亜群に対象を正しく分類する能力に依っている。診断的正確さは、研究される対象の2つの異なる状態を正しく区別する試験の能力を測定する。このような状態は、例えば健常および疾患である。
【0068】
各事例において、ROCプロットは、判定閾値の競合範囲に関する感度対1−特異度をプロットすることにより、2つの分布間の重複を表わす。y軸上に感度または真陽性率を示す[(真の陽性試験結果数)/(真の陽性試験結果数+擬陰性試験結果数)と定義される]。これは、疾患または疾患状態の存在下では陽性とも呼ばれてきた。それは、専ら罹患亜群から算定される。x軸上には、擬陽性率、または1−特異度を示す[(擬陽性結果数)/(真の陰性結果数+擬陽性結果数)と定義される]。それは特異度の指標であり、非罹患亜群から専ら算定される。真陽性率および擬陽性率は、2つの異なる亜群からの試験結果を用いることにより、完全に別々に算定されるため、ROCプロットは試料中の疾患の有病率とは独立している。ROCプロット上の各点は、特定判定閾値に対応する感度/1−特異度対を表す。完全識別(結果の2つの分布に重複なし)を伴う試験は、上左隅(真陽性率は1.0または100%である(完全感度))を通過するROCプロットを有し、擬陽性率は0である(完全特異度)。無識別(2つの群に関して同一分布結果)を伴う試験に関する理論的プロットは、下左隅から上右隅への45°対角線である。大半のプロットは、これら2つの極値間に入る(ROCプロットが完全に45°対角線より下にある場合、これは、「陽性」に関する判定基準を「〜より大きい」から「〜未満」に、またはその逆に、反転することにより、容易に修正される)。定性的には、プロットが上左隅に近いほど、試験の全体的正確さは高い。
【0069】
実験室試験の診断の正確さを定量するための便利な一つの目的は、単一の数によりその結果を表すことである。最も一般的な広域測定値は、ROCプロットした面積である。慣例により、この面積は常に0.5である(そうでない場合、それがそうなるよう判定規則を変換し得る)。値は、1.0(2つの群の試験値の完全分離)と0.5(試験値の2群間の見掛けの分布差なし)との間の範囲である。面積は、対角線に最も近い点または90%特異度における感度のようなプロットの特定部分にのみ依っているわけではなく、全プロットに依っている。これは、ROCプロットが完全なもの(面積=1.0)に如何に近いかの定量的、説明的表現である。
【0070】
本発明の一実施形態では、sPLA2活性およびOxPL/アポBならびに任意に他の危険因子の組合せ値は、参照値と比較される。
【0071】
一実施形態では、参照値は指標値であり得るし、あるいは心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象に関する1つ以上の危険予測アルゴリズムまたは算出指数から得られる。参照値は、同様の体重指数、総コレステロールレベル、LDL/HDLレベル、収縮期または拡張期血圧を有する対象、同一または類似の年齢範囲の対象、同一または類似の人種群の対象、アテローム硬化症、アテローム血栓症、あるいはCAD、PADまたはCVDの家族歴を有する対象(これらに限定されない)のような集団研究から得られる多くの値に関連し得るし、もしくはアテローム硬化症、アテローム血栓症、CAD、PADまたはCVDのような動脈血管性疾患に関する治療を受けている対象の出発試料に関連し得る。
【0072】
このような参照値は、フラミンガム試験、NCEP/ATP III等で報告されたアルゴリズム(これらに限定されない)のような動脈血管性疾患の数学的アルゴリズムおよび算出指数から得られる集団の統計分析および/または危険度予測データから得られる。心臓血管系危険因子参照値はさらにまた、アルゴリズムならびに統計学的および構造的分類の他の方法を用いて構築され、用いられ得る。
【0073】
本発明の一実施形態では、参照値は、本明細書中に上記されたような実質的に健常である1以上の対象から得られる対照試料におけるOxPL/アポBおよびsPLA2活性ならびに任意に他の心臓血管系危険因子の組合せから得られる。実質的に健常であるそのような対象は、心臓血管系疾患に関する伝統的危険因子を欠いている:例えば、それらの対象は、200mg/dl未満の血清コレステロールレベル、120mmHg以下の収縮期血圧、80mmHg以下の拡張期血圧を有し、非喫煙常習者であり、糖尿病の診断歴を有さず、上記の他の危険因子の中でも急性冠動脈症候群または高血圧と以前に診断されたことがなく、あるいは当該技術分野で既知の心臓血管系疾患の別の侵襲性または非侵襲性診断試験、例えば、心電図(ECG)、頚動脈Bモード超音波(内膜中膜複合体厚測定)、電子線コンピューター断層撮影(EBCT)、冠動脈カルシウムスコア、マルチスライス高分解能コンピューター断層撮影、核磁気共鳴、運動負荷試験、血管造影、血管内超音波(IVUS)、他の対比および/または放射性同位体画像処理技法、あるいは他の誘発試験技法により立証され得るが、これらに限定されない。
【0074】
別の実施形態では、このような対象は監視され、および/またはこのような試験後の診断関連期間中に定期的に再試験(「長期試験」)されて、その試験に続き、心臓血管系疾患または急性心臓血管系事象からの継続的無存在(疾患または無事象で生存)を立証する。このような期間は、参照値の決定に関する最初の試験日から1年、2年、2〜5年、5年、5〜10年、10年、あるいは10年以上であり得る。さらに、適正に積み上げられた歴史的対象試料中のOxPL/アポBおよびsPLA2活性レベルの遡及的測定はこれらの参照値を確立するのに用いられ、したがって必要とされる試験時間を短縮し、プロダクトクレームの意図される範囲を通じて介在期間中に対象は適切に追跡調査されてきたと推定する。
【0075】
別の実施形態では、参照値は、(1)上記の侵襲性または非侵襲性技法のうちの1つにより心臓血管系疾患または心臓血管系事象を有すると以前に診断されるかまたは識別されたことがあるか、あるいは心臓血管系事象またはプラーク破裂に罹患したことが有り、ならびに(2)再発性心臓血管系事象を経験したことがない、1以上の対象から得られる試料中のOxPL/アポBおよびsPLA2活性ならびに任意に他の心臓血管系危険因子の組合せからも得られる。
【0076】
別の実施形態では、参照値は、心臓血管系事象を発症する危険度が高いか、あるいはアテローム硬化性またはアテローム血栓性プラーク破裂を発症する危険度が高い1以上の対象から得られる試料中のOxPL/アポBおよびsPLA2活性ならびに任意に他の心臓血管系危険因子の組合せからも得られる。
【0077】
本発明の別の実施形態では、参照値は、心臓血管系疾患の治療および/または療法の結果として心臓血管系危険因子の改善を示した1以上の対象から得られた試料のOxPL/アポBおよびsPLA2活性ならびに任意に他の心臓血管系危険因子の組合せからも得られる。このような改善としては、体重指数の低減、総コレステロールの低減、LDLレベルの低減、HDLCレベルの増大、収縮期および/または拡張期血圧の低減、あるいは他の上述の危険因子またはそれらの組合せが挙げられる。
【0078】
本発明の一実施形態では、参照値は、指標値または基線値である。指標値または基線値は、心臓血管系疾患、例えばアテローム硬化症、アテローム血栓症、CAD、PADまたはCVDを有さない1以上の対象、あるいは心臓血管系疾患に関して無症候性である対象から得られる。基線値は、心臓血管系治療または療法の結果として心臓血管系危険因子の改善を示した対象からも得られる。このような改善としては、体重指数の低減、総コレステロールの低減、LDLレベルの低減、HDLCレベルの増大、収縮期および/または拡張期血圧の低減、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、sPLA2活性およびOxPL/アポBを、臨床的および生物学的指標、例えば、年齢、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、心不全の病歴、冠動脈血管造影または血管形成の前歴、Killip分類、STセグメント偏差、冠動脈再血管新生(血管形成または冠動脈バイパス術)およびクレアチニンと組合せることを包含する。
【0080】
本発明の別の実施形態では、本発明の方法は、
−少なくとも2つの心臓血管系危険因子、すなわち:
a)sPLA2活性、および
b)アポリポタンパク質B−100粒子上の酸化リン脂質(OxPL/アポB)、
ならびにフラミンガム危険スコア(FRS)、CRP、アポB100のIgM IC(IgM免疫複合体)またはIgM MDA−LDL(IgMマロンジアルデヒドLDL)、Lp−PLA2活性およびsPLA2集団の群中で選択される少なくとも1つの心臓血管系危険因子を、前記対象から得られる試料中で測定すること、
−前記測定を組合せること
を包含し、前記組合せ値は、心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険があることを示す。
【0081】
上記実施形態によれば、FRSは、年齢、性別、総コレステロール、HDL−C、収縮期および拡張期血圧、喫煙および糖尿病の存在を考慮する従来報告されたアルゴリズムを用いて算定される(Wilson P.W. et al., Circulation. 1998; 97: 1837−1847)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
【0082】
上記の実施形態によれば、CRPは、当該技術分野で既知の方法により、例えばArima et al(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2008 Jul; 28(7): 1385−91)およびRidker et al(New England Journal of Medecine, 2000, 342: 836−843)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された方法により測定され得る。
【0083】
上記の実施形態によれば、アポB100のIgM ICおよびIgM MDA−LDLは、当該技術分野で既知の方法により、例えばTsimikas et al(2004, Circulation, 110: 1406−1412および2003 J. Am. Coll. Cardiol. 41: 360−370)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に従って測定され得る。
【0084】
上記の実施形態によれば、Lp−PLA−2活性は、当該技術分野で既知の方法により、例えばKiechl et al. (2007, Atherioscler. Thromb. Vasc. Biol. 27: 1788−1795)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に従って測定され得る。例えばLp−PLA2活性は、Kosaka et al. (2000 Clin. Chim. Acta 296: 151−161)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)の方法に基づいた市販キット(Azwell Inc)を用いて測定され得る。LpPLA2活性は、WO2005074604(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された方法によっても測定され得る。
【0085】
上記の実施形態によれば、sPLA2集団は、sPLA2−IIA(Caymen Chemical Company)に特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫測定法を用いて測定され得る。
【0086】
一実施形態では、本発明の方法は、sPLA2活性、OxPL/アポBおよびFRS測定の組合せを包含する。
【0087】
別の実施形態では、本発明の方法は、sPLA2活性、OxPL/アポB、FRSおよびCRP測定を包含する。
【0088】
別の実施形態では本発明の方法は、sPLA2活性、OxPL/アポB、FRSおよびsPLA2集団測定を包含する。
【0089】
本発明によれば、本明細書中に上記されたような方法は、対象が心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険があるか否かを識別するためのものである。
【0090】
本発明の一実施形態では、上記の心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象は、代謝症候群、X症候群、アテローム硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定および不安定狭心症、卒中、大動脈およびその分枝の疾患(例えば大動脈血栓症または大動脈瘤)、末梢血管疾患、脳血管系疾患ならびに任意の急性虚血性心臓血管系事象である。
【0091】
任意に、心臓血管系疾患または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを発症する危険が増大していると識別される対象は、心臓血管系疾患の進行を遅らせるか、あるいは心臓血管系疾患または心臓血管系事象を発症する危険を低減するかまたは防止するための治療レジメンを受けるよう選択される。
【0092】
本発明によれば、上記の方法は、それを必要とする対象における心臓血管系疾患または事象をモニタリングするためのものであり、上記の心臓血管系疾患または事象は、代謝症候群、X症候群、アテローム硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定および不安定狭心症、卒中、大動脈およびその分枝の疾患(例えば大動脈血栓症または大動脈瘤)、末梢血管疾患、脳血管系疾患ならびに任意の急性虚血性心臓血管系事象である。
【0093】
本発明の一実施形態では、上記の方法は、それを必要とする対象における心臓血管系疾患の進行を評価するためのものである。
【0094】
本発明の別の実施形態では、上記の方法は、心臓血管系疾患のための治療の有効性をモニタリングするためのものである。治療の有効性は、心臓血管系危険因子の測定における変化によって表される。治療が所望の効果を有する場合、心臓血管系危険因子の測定値ひいては組合せ値は、治療前に得られた測定値および組合せ値と比較して低くなる。
【0095】
本発明の別の実施形態では、上記の方法は、心臓血管系疾患を有するか、またはその危険があると診断された対象のための治療レジメンを選択するためのものである。
【0096】
本発明の別の目的は、対象が心臓血管系疾患および/または心臓血管系事象を有するか、あるいはそれを有するかまたは発症する危険があるか否かを識別するためのキットであって、以下の:
−sPLA2活性を測定するための手段、および
−OxPL/アポBを測定するための手段
を包含するキットである。
【0097】
一実施形態では、上記のキットは、組合せ値を得るために測定値を組合せる為の手段をさらに包含する。
【0098】
心臓血管系危険因子の測定値を組合せる為の上記手段は、統計分析を可能にするアルゴリズム、例えばDA(すなわち、線形−、二次−、正則化判別解析)、カーネル法(すなわち、SVM)、非パラメーター法(すなわち、k−最近隣分類器)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)、または一般化線形モデル(すなわち、論理的回帰)である。
【0099】
別の実施形態では、sPLA2活性を測定するための上記手段は:
−sPLA2緩衝液、
−sPLA2により加水分解され易い化合物であって、その加水分解産物が直接または間接的に定量される化合物、
−対照sPLA2活性試料
である。
【0100】
上記実施形態によれば、sPLA2により加水分解され易い化合物は、酵素の天然または非天然基質である。加水分解産物がそれら自体だけで定量可能でない場合、これらの産物と反応し得る、そして定量可能な化合物を生じ得る化合物が用いられ、このような方法は間接的定量化である。概して、sPLA2により加水分解され易い化合物は、蛍光原または色素原部分を含むリン脂質またはリン脂質類似体である。例えば、上記リン脂質は、蛍光性アシルにより位置2で置換されるグリセロリン脂質;例えば、1−ヘキサデカノイル−2−(1−ピレンデカノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホメタノールまたは蛍光性アシル1−ピレンデカノイルであり、ホースラディッシュペルオキシダーゼの基質は、例えば3,3’,5,5’−テトラメチル−ベンジジン(TMB)である。
【0101】
本発明によると、用い易い蛍光性アシルは、例えば当該技術分野で周知の蛍光基、例えばピレンまたはフルオレセインにより置換されるアシルである。代替的には、放射性グリセロリン脂質、例えば放射性アシルまたは放射性ホスファチジルエタノールアミンにより位置2で置換されるグリセロリン脂質が用いられ得る。対照sPLA2活性試料は、例えば蜂毒sPLA2を含む。
【0102】
別の実施形態では、OxPL/アポBを測定するための上記手段は:
−OxPLと特異的に相互作用する抗体、例えばE06、T15またはDLH3、および
−アポBと特異的に相互作用する抗体、例えばMB47、
−任意に対照OxPL試料
である。この実施形態によれば、上記対照OxPL試料はホスホリルコリン(PC)を含有する試料であり得る。PCは単独で用いられ得るか、あるいは担体タンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはカギアナカサガイヘモシアニン(KLH)と結合され得る。
【0103】
本発明の別の実施形態では、上記キットは、フラミンガム危険スコア(FRS)、CRP、アポB100のIgM ICまたはIgM MDA−LDLおよびLp−PLA2の群中で選択される少なくとも1つの心臓血管系危険因子を測定するための手段をさらに包含し得る。
【0104】
上記実施形態によれば、フラミンガム危険スコア(FRS)は、当該技術分野で既知の方法により、例えばWilson P.W. et al. (Circulation. 1998 May 12; 97(18):1837−47)およびD’Agostino et al. (JAMA: The Journal of the American Medical Association. 2001; 286: 180−187)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された方法により決定される。
【0105】
上記実施形態によれば、CRPを測定するための上記手段は、例えば:
−CRP緩衝液、
−CRPと特異的に相互作用するモノクローナル抗体、
−CRPに特異的な酵素結合抗体、
−対照CRPレベル
である。
【0106】
上記実施形態によれば、アポB100のIgMを測定するための上記手段は、例えば:
−アポB100のIgM緩衝液、
−化学発光試薬、
−ヒトアポB100に特異的なモノクローナル抗体、
−アルカリ性ホスファターゼ標識抗ヒトIgM、
−対照アポB100のIgM ICレベル試料
である。
【0107】
上記実施形態によれば、IgM MDA−LDLを測定するための上記手段は、例えば:
−MDA−LDL緩衝液、
−化学発光試薬、
−アルカリ性ホスファターゼ標識抗ヒトIgM、
−対照アポB100のIgM MDA−LDLレベル試料
である。
【0108】
上記実施形態によれば、Lp−PLA−2を測定するための上記手段は、例えば:
−試料中の活性チオール(単数または複数)を低減する化合物、
−酵素的活性Lp−PLA2の存在下で遊離チオール生成物に転換される基質、
である。
【0109】
任意に、上記手段は、Lp−PLA2と特異的に相互作用する抗体、例えばモノクローナル抗体2C10、4B4、B200、B501、90D1E、90E3A、90E6C、90G11Dまたは90F2Dをさらに含み得る。
【0110】
例えば、活性チオール(単数または複数)を低減する上記化合物、ならびに酵素的活性Lp−PLA2の存在下で遊離チオール生成物に転換される上記基質は、WO2005074604(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
【0111】
上記実施形態によれば、sPLA2集団を測定するための上記手段は、例えば:
−sPLA2集団緩衝液、
−sPLA2−IIAと特異的に相互作用するモノクローナル抗体、
−sPLA2 IIAに特異的な酵素結合抗体、
−対照sPLA2集団レベル
である。