(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
処理構造体と前記処理構造体を収容するケーシングとを備える気体処理装置において、前記処理構造体と前記ケーシングとの間に配置される保持材を製造する方法であって、
シリカ繊維と、前記シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して4質量部以上のアルミナゾルとを含むスラリーの湿式成形により、請求項1又は2に記載の保持材を製造する
ことを特徴とする気体処理装置用保持材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る気体処理装置1の一例を示す説明図である。
図1においては、説明の便宜のため、ケーシング40の一部を省略して、当該ケーシング40に収容されている処理構造体20及び保持材10を露出させて示している。
【0019】
図2は、気体処理装置1を長手方向(
図1及び
図2に示す矢印Xの指す方向)に切断した断面の一例を示す説明図である。
図1及び
図2において、矢印Xは、気体処理装置1内を気体が流通する方向を示す。
【0020】
図3は、本実施形態に係る気体処理装置用保持材10の一例を平面視で示す説明図である。
図4は、
図3に示すIV−IV線で切断した保持材10の断面の一例を示す説明図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、気体処理装置1は、処理構造体20と、当該処理構造体20を収容するケーシング40と、当該処理構造体20と当該ケーシング40との間に配置される保持材10と、を備えている。
【0022】
気体処理装置1は、気体の浄化等、気体を処理するために使用される。すなわち、気体処理装置1は、例えば、排気ガスの浄化に使用される排気ガス処理装置である。具体的に、気体処理装置1は、例えば、自動車等の車両において、内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)から排出される排気ガスに含まれる有害物質及び/又は粒子を処理するために設けられる。この場合、気体処理装置1を流通する気体の温度は、特に限られないが、例えば、200〜950℃である。
【0023】
図1及び
図2に示す例において、気体処理装置1は、自動車等の車両においてガソリンエンジンの排気ガスに含まれる有害物質を除去するために使用される触媒コンバータである。なお、気体処理装置1は、例えば、ディールエンジンの排気ガスに含まれる粒子を除去するために使用されるDPF(Diesel particulate filter)であることとしてもよい。
【0024】
処理構造体20は、気体を処理する機能を有する構造体である。すなわち、
図1及び
図2の例に示すように、気体処理装置1が触媒コンバータである場合、処理構造体20は、気体を浄化するための触媒と、当該触媒を担持する担体とを有する触媒担体である。
【0025】
この場合、触媒は、例えば、排気ガス等の気体に含まれる有害物質(一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物等)を除去するための触媒である。より具体的に、触媒は、例えば、貴金属触媒等の金属触媒である。触媒を担持する担体は、例えば、セラミックス(コージェライト等)等の無機材料製の筒状成形体(例えば、円筒状のハニカム状成形体)である。
【0026】
また、例えば、気体処理装置1が、DPF等、気体に含まれる粒子を除去するための装置である場合、処理構造体20は、当該気体中の当該粒子を捕捉するフィルターを有する構造体である。この場合、処理構造体20は、触媒を有しないこととしてもよい。
【0027】
ケーシング40は、その内部に処理構造体20を収容可能な空間が形成された筒状体である。ケーシング40は、例えば、金属製である。ケーシング40を構成する金属は、特に限られないが、例えば、ステンレス、鉄及びアルミニウムからなる群より選択される。
【0028】
ケーシング40は、気体処理装置1の長手方向に沿って2つに分割可能な筒状体であることとしてもよく、又は分割されない、一体型の筒状体であることとしてもよい。
図1及び
図2に示す例において、ケーシング40は、一体型の筒状体である。
【0029】
保持材10は、処理構造体20をケーシング40内に保持するために使用される。すなわち、保持材10は、ケーシング40と処理構造体20との間隙に圧入されることにより、当該処理構造体20を当該ケーシング40内に安定して保持する。
【0030】
保持材10には、例えば、気体処理装置1において振動等により処理構造体20がケーシング40に衝突して破損することを回避するよう当該処理構造体20を安全に保持する機能と、未だ浄化されていない気体が当該処理構造体20とケーシング40との間隙から下流側に漏出しないよう当該間隙を封止する機能と、を兼ね備えることが要求される。
【0031】
保持材10は、例えば、自動車等の車両の内燃機関から排出される排気ガスに含まれる有害物質を処理するために設けられる気体処理装置1に使用される。具体的に、保持材10は、例えば、ガソリンエンジン等の比較的高温(800〜950℃)の環境下で使用されることとしてもよく、ディーゼルエンジン(例えば、DPF)等の比較的低温(500〜700℃)の環境下で使用されることとしてもよい。
【0032】
ここで、本実施形態において特徴的なことの一つは、保持材10が、シリカ繊維製であることである。すなわち、保持材10は、主にシリカ繊維から構成される成形体である。具体的に、保持材10は、例えば、シリカ繊維を85質量%以上含む成形体であることとしてもよく、シリカ繊維を90質量%以上含む成形体であることとしてもよく、シリカ繊維を95質量%以上含む成形体であることとしてもよい。保持材10におけるシリカ繊維の含有量の上限値は、当該保持材10が後述する量のアルミナゾルを含有する範囲であれば特に限られないが、当該シリカ繊維の含有量は、例えば、97質量%以下であることとしてもよい。
【0033】
シリカ繊維は、シリカ(SiO
2)を主成分とする無機繊維である。シリカ繊維は、非晶質繊維又は結晶質繊維であることとしてもよく、特に、柔軟性に優れるという点で非晶質繊維であることが好ましい。シリカ繊維は、例えば、シリカを90質量%以上含むこととしてもよく、95質量%以上含むこととしてもよく、97質量%以上含むこととしてもよい。シリカ繊維におけるシリカの含有量の上限値は特に限られないが、当該シリカの含有量は、例えば、99質量%以下であることとしてもよい。
【0034】
シリカ繊維は、シリカ以外の成分をさらに含むこととしてもよい。すなわち、シリカ繊維は、例えば、アルミナ(Al
2O
3)をさらに含むこととしてもよい。この場合、シリカ繊維は、例えば、3質量%以下のアルミナを含むこととしてもよい。すなわち、シリカ繊維におけるアルミナの含有量は、例えば、0〜3質量%であることとしてもよく、1〜3質量%であることとしてもよい。
【0035】
シリカ繊維としては、予め加熱処理(焼成処理)されたものを使用することとしてもよい。シリカ繊維を予め加熱処理しておくことによって、当該シリカ繊維の耐熱性を向上させることができる。
【0036】
具体的に、例えば、シリカ繊維は、ガラス繊維に酸処理を施すことによりアルカリ成分を取り除き、シリカ成分を高めたものとすることができる。このような酸処理が施されたシリカ繊維を予め加熱処理しておくことによって、当該シリカ繊維の製造工程において当該酸処理により生成された微細な空隙が、当該シリカ繊維の熱収縮により埋められ、その耐熱性を向上させることができる。
【0037】
シリカ繊維の平均繊維径は、例えば、5〜8μmであることが好ましい。シリカ繊維の平均繊維長は、例えば、4〜15mmであることが好ましい。
【0038】
ここで、本実施形態において特徴的なことの他の一つは、保持材10が、比較的多くの量のアルミナゾルを含むことである。すなわち、本発明の発明者らは、無機繊維製の保持材の保持力を高める技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、当該無機繊維として、従来、保持材にはあまり使用されていなかったシリカ繊維を使用し、且つ当該シリカ繊維に、比較的多い量(例えば、従来、無機バインダーとして使用される場合には採用されなかった量)のアルミナゾルを使用することにより、保持材の保持力が顕著に高まるという意外な知見を独自に得て、本発明を完成するに至った。
【0039】
すなわち、保持材10は、例えば、シリカ繊維製であり、アルミナゾルを含み、初期の嵩密度が0.3〜0.5g/cm
3、温度が700〜900℃、ストローク量が0.2mmの膨張/圧縮試験において、1000サイクルの膨張時の面圧が、当該アルミナゾルを含まない場合のそれに対する1.2倍以上であることとしてもよく、1.3倍以上であることとしてもよい。
【0040】
また、保持材10は、例えば、初期の嵩密度が0.3〜0.5g/cm
3、温度が240〜300℃、ストローク量が0.08mmの膨張/圧縮試験において、1000サイクルの膨張時の面圧が、アルミナゾルを含まない場合のそれに対する1.5倍以上であることとしてもよく、2倍以上であることとしてもよい。
【0041】
なお、これらの膨張/圧縮試験において、当該試験に供する前の保持材10の嵩密度は、当該試験における初期の嵩密度より小さい。すなわち、膨張/圧縮試験においては、例えば、嵩密度が0.1〜0.2g/cm
3の保持材10を、初期の嵩密度(当該試験の1回目のサイクルの開始時点での嵩密度)が0.3〜0.5g/cm
3となるように圧縮して使用することとしてもよい。
【0042】
保持材10は、上述したような面圧を発揮する量のアルミナゾルを含む。この保持材10に含まれるアルミナゾルの量は、例えば、アルミナゾルの含有量が互いに異なる複数の候補保持材(アルミナゾルの含有量が異なる以外は同一の構造を有する複数の保持材)を作製し、各候補保持材について、上述した膨張/圧縮試験における面圧を評価し、当該評価の結果に基づいて、1000サイクルの膨張時の面圧が、アルミナゾルを含まない比較保持材(アルミナゾルを含まない以外は上記候補保持材と同一の構造を有する保持材)のそれの所定倍以上である当該候補保持材のアルミナゾル含有量に基づき決定することができる。
【0043】
具体的に、保持材10は、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して3質量部以上のアルミナゾルを含むこととしてもよく、固形分に換算して4質量部以上のアルミナゾルを含むこととしてもよい。
【0044】
アルミナゾルの含有量の上限値は、保持材10が所望の特性を備える範囲(例えば、保持材10が上記面圧を示す範囲)であれば特に限られないが、保持材10は、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して15質量部以下のアルミナゾルを含むこととしてもよく、10質量部以下のアルミナゾルを含むこととしてもよい。
【0045】
すなわち、保持材10は、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して、3〜15質量部又は3〜10質量部のアルミナゾルを含むこととしてもよい。また、保持材10は、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して、4〜15質量部又は4〜10質量部のアルミナゾルを含むこととしてもよい。
【0046】
アルミナゾルは、溶媒(例えば、水を含む溶媒)中に分散されたアルミナ微粒子を含み、流動性を有する液体であれば特に限られない。アルミナゾルは、例えば、アルミン酸ナトリウムの水溶液に硫酸アルミニウム水溶液を加えて中和し、得られた凝集物に酸を加えて当該凝集物を分散させることにより製造される。
【0047】
保持材10は、シリカ繊維及びアルミナゾル以外の成分をさらに含むこととしてもよい。すなわち、保持材10は、例えば、有機バインダーをさらに含むこととしてもよい。有機バインダーは、特に限られないが、例えば、ゴム、水溶性有機高分子化合物、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選択される1種以上を使用することとしてもよい。
【0048】
保持材10における有機バインダーの含有量は、特に限られないが、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して、10質量%以下(0〜10質量%)であることとしてもよい。
【0049】
保持材10の嵩密度は、当該保持材10が気体処理装置1に組み込まれた状態(すなわち、当該保持材10が処理構造体20とケーシング40との間に圧入された状態)で所望の範囲となるように適宜設定されればよく、特に限られない。
【0050】
すなわち、保持材10の嵩密度は、例えば、処理構造体20とケーシング40との隙間(ギャップ)に応じて適宜設定される。具体的に、保持材10の嵩密度は、例えば、0.1〜0.2g/cm
3であることとしてもよい。また、気体処理装置1に組み込まれた後の保持材10の嵩密度は、例えば、0.2〜0.7g/cm
3であることとしてもよい。
【0051】
保持材10の坪量もまた同様に、当該保持材10が気体処理装置1に組み込まれた状態で所望の範囲となるように適宜設定されればよく、特に限られない。具体的に、保持材10の坪量は、例えば、1000〜3400g/m
2であることとしてもよい。
【0052】
保持材10の形状は、処理構造体20をケーシング40内に保持できる範囲であれば特に限られないが、当該保持材10は、例えば、板状体(フィルム、シート、ブランケット、マット等)であることとしてもよく、筒状体であることとしてもよい。
図1〜
図4に示す例において、保持材10は板状体である。
【0053】
保持材10が板状体である場合、当該板状体の一方端と他方端とは嵌合可能な対応する形状に形成されることとしてもよい。すなわち、
図3に示す例において、保持材10の一方端及び他方端は、対応する凸状及び凹状にそれぞれ形成されている。そして、
図1に示すように、処理構造体20の外周に配置された保持材10の一方端と他方端とは嵌合されている。
【0054】
保持材10は、シリカ繊維と、上述した量のアルミナゾルとを含むスラリーの湿式成形により好ましく製造することができる。
【0055】
すなわち、保持材10は、例えば、シリカ繊維と、初期の嵩密度が0.3〜0.5g/cm
3、温度が700〜900℃、ストローク量が0.2mmの膨張/圧縮試験における1000サイクルの膨張時の当該保持材10の面圧が、アルミナゾルを含まない場合のそれに対する1.2倍以上、又は1.3倍以上となる量のアルミナゾルとを含むスラリーの湿式成形により製造されることとしてもよい。
【0056】
また、保持材10は、例えば、シリカ繊維と、初期の嵩密度が0.3〜0.5g/cm
3、温度が240〜300℃、ストローク量が0.08mmの膨張/圧縮試験における1000サイクルの膨張時の当該保持材10の面圧が、アルミナゾルを含まない場合のそれに対する1.5倍以上、又は2倍以上となる量のアルミナゾルとを含むスラリーの湿式成形により製造されることとしてもよい。
【0057】
また、保持材10は、例えば、シリカ繊維と、当該シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して3質量部以上、又は4重量部以上のアルミナゾルとを含むスラリーの湿式成形により製造されることとしてもよい。
【0058】
この場合、スラリーにおけるアルミナゾルの含有量の上限値は、保持材10が所望の特性を備える範囲(例えば、保持材10が上記面圧を示す範囲)であれば特に限られないが、スラリーは、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して15質量部以下のアルミナゾルを含むこととしてもよく、10質量部以下のアルミナゾルを含むこととしてもよい。
【0059】
すなわち、スラリーは、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して、3〜15質量部又は3〜10質量部のアルミナゾルを含むこととしてもよい。また、スラリーは、例えば、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して、4〜15質量部又は4〜10質量部のアルミナゾルを含むこととしてもよい。
【0060】
スラリーの湿式成形においては、まず、所定の形状を有する脱水成形用型内に、保持材10を構成するシリカ繊維とアルミナゾルとを少なくとも含む水性スラリーを流し込む。そして、脱水成形を行うことにより、型の形状に対応する形状のシリカ繊維製の成形体(湿式成形体)が得られる。さらに、この湿式成形体を、その嵩密度及び/又は坪量等の特性が所望の範囲となるように圧縮し、乾燥することにより、最終的にシリカ繊維製の保持材10が得られる。
【0061】
なお、脱水成形用型は、水性スラリー中の水分を透過し、シリカ繊維及びアルミナゾル等の保持材10を構成する材料を当該型内に残すことができる構造を有するものであれば特に限られず、例えば、金網、又は多数の微細な穴が形成された平板を有するものを好ましく使用することができる。
【0062】
気体処理装置1は、処理構造体20及び保持材10をケーシング40内に配置することにより組み立てられる。すなわち、気体処理装置1は、上述した保持材10を、処理構造体20とケーシング40との間に配置することを含む方法により製造される。
【0063】
具体的に、例えば、まず、処理構造体20の外周に保持材10を配置して、当該処理構造体20及び保持材10を含む組立体30(
図1及び
図2参照)を作製する。そして、この組立体30をケーシング40内に配置する。
【0064】
なお、保持材10が板状である場合には、当該保持材10を処理構造体20の外周に巻き付けることにより、組立体30を作製する。また、保持材10が筒状である場合には、当該保持材10の内空に処理構造体20を挿入することにより、組立体30を作製する。
【0065】
また、ケーシング40が、分割可能でない一体型である場合には、当該ケーシング40の長手方向の一方端の開口部分から、当該ケーシング40内に組立体30を圧入する(いわゆるスタッフィング方式)。
【0066】
一方、ケーシング40が分割可能である場合、分割された当該ケーシング40の一部と他の一部とで組立体30を挟み込み、次いで、当該ケーシング40を一体化する(いわゆるクラムシェル方式)。この一体化は、例えば、ボルト及びナット等の締付け部材の使用及び/又は溶接により行われる。
【0067】
そして、気体処理装置1の使用においては、その内部に気体を流通させ、当該気体を浄化する。すなわち、気体処理装置1において、気体は、その長手方向の一方端から流入し、処理構造体20内を通過する間に浄化され、最終的に当該長手方向の他端から流出する。
【0068】
より具体的に、
図1及び
図2に示す触媒コンバータである気体処理装置1においては、矢印Xで示す方向に、排気ガス等の気体がケーシング40の一方端から流入し、当該気体は触媒担体である処理構造体20に含まれる触媒によって浄化され、浄化された気体は当該ケーシング40の他方端から当該気体処理装置1外に流出する。
【0069】
なお、自動車等の車両に配置された気体処理装置1の一方端及び他方端には、排気ガス等の気体を上流側から当該気体処理装置1に導く配管及び浄化された気体を当該気体処理装置1から下流側に導く配管がそれぞれ接続される。
【0070】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0071】
[保持材の製造]
アルミナゾルを含むシリカ繊維製の保持材10を湿式成形(脱水成形)により製造した。すなわち、まず、シリカ繊維(シリカ97質量%、アルミナ3質量%)100質量部と、固形分に換算して6質量部のアルミナゾル(固形分の含有量が20質量%である市販のアルミナゾル(AS520、日産化学工業株式会社製)30質量部)と、有機バインダー(アクリル樹脂)0.6質量部とを含み、水で希釈することにより固形分濃度が0.8質量%に調整された水性スラリーを調製した。
【0072】
次いで、金網を有する脱水成形型に水性スラリーを流し込み、脱水成形することにより、湿潤成形体を得た。さらに、湿潤成形体の全体を、その厚さが均一となるように圧縮しながら、100℃で乾燥した。こうして、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して6質量部のアルミナゾルを含み、坪量が1200g/m
2、嵩密度が0.126g/cm
3であるマット状(1200mm×700mm×9.5mm)の第一の保持材10、及びシリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して6質量部のアルミナゾルを含み、坪量が2000g/m
2、嵩密度が0.130g/cm
3であるマット状(1200mm×700mm×15.4mm)の第二の保持材10をそれぞれ得た。
【0073】
[面圧の評価]
図5に示すような試験装置50を使用して、上記2種類の保持材10の面圧を評価した。すなわち、この試験装置50は、インコネル(登録商標)製の円板(直径100mm、厚さ30mm)である第一圧縮ジグ51(触媒担体等の処理構造体20に相当する部材)と、当該第一圧縮ジグ51に対向して配置されるインコネル(登録商標)製の円板(直径100mm、厚さ30mm)である第二圧縮ジグ52(ケーシング40に相当する部材)とを備えていた。
【0074】
そして、
図5に示すように、第一圧縮ジグ51と第二圧縮ジグ52とで上記2種類の保持材10のいずれかを挟んで保持した。このとき、第一圧縮ジグ51と第二圧縮ジグ52との距離を4mmに調整した。すなわち、第一の保持材10を圧縮して、その嵩密度を0.3g/cm
3に調整し、又は第二の保持材10を圧縮して、その嵩密度を0.5g/cm
3に調整した。
【0075】
実施例1−1として、ガソリンエンジンの使用時において金属製ケーシングが熱膨張率5%にて膨張及び収縮を繰り返した場合に相当する、温度700〜900℃、ストローク量0.2mmにて膨張/圧縮試験を行った。
【0076】
すなわち、第一圧縮ジグ51の温度を900℃、第二圧縮ジグ52の温度を700℃にそれぞれ維持しつつ、当該第一圧縮ジグ51と第二圧縮ジグ52との距離を0.2mm増加させ(膨張)、次いで、当該第一圧縮ジグ51と第二圧縮ジグ52との距離を0.2mm減少させる(圧縮)サイクルを、1000回繰り返した。なお、この1000サイクルの間、第一圧縮ジグ51の温度及び第二圧縮ジグ52の温度は、それぞれ900℃及び700℃に維持された。
【0077】
そして、各サイクルにおける圧縮時及び膨張時において、試験装置50に保持された保持材10から第一圧縮ジグ51が受ける反発力を面圧(kPa)として測定した。すなわち、例えば、第一圧縮ジグ51で反発力N(kPa)が測定された場合、当該N(kPa)をそのまま面圧として得た。
【0078】
また、実施例1−2として、ディーゼルエンジンの使用時において金属製ケーシングが熱膨張率2%で膨張及び収縮を繰り返した場合に相当する、温度240〜300℃、ストローク量0.08mmにて膨張/圧縮試験を行った。
【0079】
すなわち、第一ジグ51の温度を300℃、第二ジグ52の温度を240℃にそれぞれ維持しつつ、当該第一ジグ51と第二ジグ52との距離を0.08mm増加させ(膨張)、次いで、当該第一ジグ51と第二ジグ52との距離を0.08mm減少させる(圧縮)サイクルを、1000回繰り返した。
【0080】
そして、各サイクルにおける圧縮時及び膨張時において、試験装置50に保持された保持材10から第一圧縮ジグ51が受ける反発力を面圧(kPa)として測定した。すなわち、例えば、第一圧縮ジグ51で反発力N(kPa)が測定された場合、当該N(kPa)をそのまま面圧として得た。
【0081】
また、比較のために、水性スラリーがアルミナゾルを含まない以外は上述の場合と同様にして、当該水性スラリーの湿式成形を行い、坪量が1200g/m
2、嵩密度が0.126g/cm
3であるマット状(1200mm×700mm×9.5mm)の第一の比較保持材及び坪量が2000g/m
2、嵩密度が0.130g/cm
3であるマット状(1200mm×700mm×15.4mm)の第二の比較保持材を製造した。そして、上述の保持材10に代えて、この比較保持材を使用したこと以外は上述の場合と同様にして、当該比較保持材の面圧を評価した。
【0082】
[結果]
図6には、面圧を評価した結果を示す。すなわち、
図6には、実施例1−1及び実施例1−2において、アルミナゾルを含む保持材10(「6質量部添加」)及びアルミナゾルを含まない比較保持材(「無添加」)のそれぞれが、初期の嵩密度(「初期密度」)が0.3g/cm
3又は0.5g/cm
3の場合に、1サイクル、100サイクル、500サイクル及び1000サイクルの膨張時及び圧縮時に示した面圧(kPa)を示す。
【0083】
図6に示すように、実施例1−1及び実施例1−2のいずれにおいても、1サイクル、100サイクル、500サイクル及び1000サイクルの膨張時及び圧縮時の全ての時点で、アルミナゾルを含む保持材10の面圧が、アルミナゾルを含まない比較保持材のそれに比べて顕著に高かった。さらに、このアルミナゾルを含む保持材10の高い面圧は、1〜1000サイクルにわたって維持された。
【実施例2】
【0084】
[保持材の製造]
アルミナゾルの含有量が10質量部又は15質量部であること以外は、上述の実施例1における第一の保持材10の場合と同様にして、アルミナゾルを含むシリカ繊維製の保持材10を製造した。
【0085】
すなわち、上述した第一の保持材10の場合と同様の湿式成形により、シリカ繊維100質量部に対し固形分に換算して10質量部又は15質量部のアルミナゾルを含み、坪量が1200g/m
2、嵩密度が0.126g/cm
3であるマット状(1200mm×700mm×9.5mm)の保持材10を製造した。
【0086】
[面圧の評価]
上述の実施例1と同様にして、面圧の評価を行った。すなわち、
図5に示すように、第一圧縮ジグ51と第二圧縮ジグ52とでアルミナゾルの含有量が異なる上記2種類の保持材10のいずれかを挟んで保持した。このとき、第一圧縮ジグ51と第二圧縮ジグ52との距離を4mmに調整することで、保持材10を圧縮して、その嵩密度を0.3g/cm
3に調整した。
【0087】
そして、ガソリンエンジンの使用時において金属製ケーシングが熱膨張率5%にて膨張及び収縮を繰り返した場合に相当する、温度700〜900℃、ストローク量0.2mmにて膨張/圧縮試験を1000サイクル行った。
【0088】
[結果]
図7には、面圧を評価した結果を示す。すなわち、
図7には、アルミナゾルを10質量部又は15質量部含む保持材10のそれぞれが、1000サイクルの膨張時及び圧縮時に示した面圧(kPa)を示す。なお、
図7には、上述の実施例1−1で測定されたアルミナゾルを6質量部含む保持材10及びアルミナゾルを含まない比較保持材の結果(
図6に示す実施例1−1における初期密度0.3g/cm
3の場合の1000サイクル時の結果)も併せて示している。
【0089】
図7に示すように、アルミナゾルを10質量部含む保持材10の面圧及びアルミナゾルを15質量部含む保持材10の面圧のいずれも、アルミナゾルを含まない比較保持材のそれに比べて顕著に高かった。
【0090】
シリカ繊維に代えてアルミナ繊維を使用したこと以外は、上述の実施例1及び実施例2と同様にして、アルミナゾルを含むアルミナ繊維製の保持材を製造し、当該保持材の面圧を評価した。
【0091】
すなわち、上述した実施例1及び実施例2と同様の湿式成形により、アルミナ繊維(アルミナ96質量%、シリカ4質量%)100質量部に対し固形分に換算して6質量部、10質量部又は15質量部のアルミナゾルを含み、坪量が1200g/m
2、嵩密度が0.130g/cm
3であるマット状(1200mm×700mm×9.2mm)の保持材を製造した。また、アルミナゾルを含まない以外は同様にして、アルミナゾルを含まないアルミナ繊維製の保持材も製造した。そして、上述の実施例1及び実施例2と同様にして面圧の評価を行った。
【0092】
図8には、面圧を評価した結果を示す。
図8に示すように、アルミナゾルを含むアルミナ繊維製の保持材の面圧は、アルミナゾルを含まないアルミナ繊維製の保持材のそれと同程度であった。