(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体は、前記スライド扉の開閉に伴い前記発電コイルが発生する交流電圧を整流する整流器を含む回路基板を収容することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスライド扉用発電装置。
文字などの画像を表示するために直列接続された多数の発光ダイオードを有する画像表示手段、または、所定の箇所を照明するために、前記画像表示手段が含む発光ダイオードの数より少ない数の発光ダイオードを有する照明手段が、前記作動機器として使用可能に構成され、
直列接続された複数のコンデンサを有する蓄電器と、前記発電コイルが発生する交流電圧を整流し、前記直列接続された複数のコンデンサを充電する倍電圧整流回路とを含む第1整流蓄電回路と、
コンデンサを有する蓄電器と、前記発電コイルが発生する交流電圧を整流し、前記コンデンサを充電する全波整流回路とを含む第2整流蓄電回路と、を備え、
前記作動機器として使用される前記画像表示手段または照明手段に応じて、前記第1整流蓄電回路または第2整流蓄電回路が選択されるように構成される請求項8に記載のスライド扉用作動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発電装置は、回転扉の駆動軸と発電機の回転軸とを歯車列により連結する構成を有し、回転扉に特有の構成であるので、スライド扉に適用することは困難である。
【0006】
また、特許文献2に記載された発電装置は、スライド扉に適用されているが、永久磁石から発生する磁界をコイルに効率的に付与することができない点で問題を有している。すなわち、多数の永久磁石がスライド扉の上縁面に列状に配置されているので、その多数の永久磁石のうちで、発電に寄与する永久磁石は、ガイドレールに配置されたコイルを通過する永久磁石のみであり、他の永久磁石の磁界を発電のために有効に利用することができない。しかも、コイルを横切る永久磁石からの磁束を増加させるために、永久磁石とコイルとの間隔を一定の小さな間隔に保つ必要があることから、スライド扉およびカイドレールを大幅に改造する必要が生ずる問題も有している。
【0007】
そこで、本発明は、スライド扉、または扉支持部材に簡単に取り付けられ、スライド扉の開閉に伴い効率的に発電することができるスライド扉用発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1の発明態様、
第2の発明態様、およびその具体的態様)
請求項1に記載の第1の発明態様は、開閉可能にスライド扉を支持する扉支持部材を備えるスライド扉開閉装置のための発電装置であって、永久磁石と、その永久磁石からの磁界が付与される発電コイルと、永久磁石および発電コイルのいずれかに連結され、回転可能な回転軸とを有する発電機と、
前記スライド扉、または、前記スライド扉に連結される部材と、前記扉支持部材、または、前記扉支持部材に連結される部材とのうちの一方、に固定され、前記発電機を収容する筐体と、前記スライド扉を構成する面と交差する方向に前記発電機を前記筐体内で案内するために、前記筐体に設けられる案内部材と、前記発電機の回転軸、または前記発電機に固定される部材に支持され、前記発電機の回転軸に連結される回転体と、前記回転体が
、前記スライド扉、または、前記スライド扉に連結される部材と、前記扉支持部材、または、前記扉支持部材に連結される部材とのうちの他方、に係合するように、前記交差する方向に前記発電機
と前記回転体とを共に弾性力により付勢する付勢部材と、を備えるスライド扉用発電装置である。
【0009】
第1の発明態様では、スライド扉は、水平方向に開閉可能に支持される構成でも、垂直方向に開閉可能に支持される構成でもよい。
【0010】
第1の発明態様では、発電機は、永久磁石から発生される磁束の変化により発電コイルに逆起電力が誘起される構成であれば、永久磁石が回転軸に固定される構成でも、発電コイルが回転軸に巻装される構成でもよい。
【0011】
第1の発明態様では、筐体が扉支持部材に連結される部材に固定される場合、その扉支持部材に連結される部材は、扉支持部材自体に連結される部材でも、扉支持部材が設置される床または土台などの設置基礎部分でもよい。また、回転体が扉支持部材に連結される部材に係合する場合、その扉支持部材に連結される部材は、扉支持部材自体に連結される部材でも、扉支持部材が設置される設置基礎部分でもよい
【0012】
第1の発明態様では、回転体は、発電機とともに、スライド扉を構成する面と交差する方向に移動可能であり、発電機の回転軸に回転を伝達することができる構成であれば、いかなる構成でもよい。たとえば、回転体が発電機の回転軸に直接に固定される構成でもよい。または、回転体が、発電機を固定支持する部材に回転可能に取り付けられ、その固定支持する部材に設けられる歯車列などの伝達手段により、発電機の回転軸に連結される構成でもよい。
【0013】
第1の発明態様では、回転体がスライド扉の開閉に伴って回転する構成であれば、スライド扉または扉支持部材と回転体とが、摩擦抵抗が大きい接触面を介して係合する構成でも、凹部と凸部との嵌合により係合する構成でもよい。
【0014】
第1の発明態様では、付勢部材は、回転体がスライド扉、および扉支持部材のうちの他方、または、その他方に連結される部材に係合するように、発電機を弾性力により付勢する構成であれば、発電機自体を直接に付勢する構成でも、発電機を固定支持する部材を付勢する構成でもよい。
【0015】
第1の発明態様では、発電コイルが発電した電力を蓄電する蓄電器を備える構成でも、その蓄電器を備えない構成でもよい。スライド扉用発電装置が蓄電器を備えない構成である場合、外部の作動機器が蓄電器を備える構成でも、発電機が発電した電圧の変動が問題とならない作動機器には、その変動する電圧を直接に供給する構成でもよい。
【0016】
請求項2に記載の具体的態様では、前記発電機を所定の姿勢に支持する支持体を備え、前記案内部材は、前記スライド扉を構成する面と交差する方向に支持体を案内し、前記付勢部材は、前記交差する方向に支持体を弾性力により付勢する。
【0017】
具体的態様では、所定の姿勢は、回転体がスライド扉、および扉支持部材のうちの他方、または、その他方に連結される部材に係合するように、支持体に対して発電機の回転軸が所定の位置関係にある姿勢である。
【0018】
具体的態様では、付勢部材は、支持体を直接に付勢する構成でも、発電機のハウジングなどの支持体により支持された部材を介して支持体を付勢する構成でもよい。
【0019】
請求項3に記載の
第2の発明態様は、開閉可能にスライド扉を支持する扉支持部材を備えるスライド扉開閉装置のための発電装置であって、永久磁石と、その永久磁石からの磁界が付与される発電コイルと、永久磁石および発電コイルのいずれかに連結され、回転可能な回転軸とを有する発電機と、前記スライド扉、または、前記スライド扉に連結される部材と、前記扉支持部材、または、前記扉支持部材に連結される部材とのうちの一方、に固定され、前記発電機を収容する筐体と、前記発電機を所定の姿勢に支持する支持体と、前記スライド扉を構成する面と直交する方向に前記支持体を前記筐体内で案内するために、前記筐体に設けられる案内部材と、前記発電機の回転軸、または前記発電機に固定される部材に支持され、前記発電機の回転軸に連結される回転体と、前記回転体が、前記スライド扉、または、前記スライド扉に連結される部材と、前記扉支持部材、または、前記扉支持部材に連結される部材とのうちの他方、に係合するように、前記直交する方向に前記支持体を弾性力により付勢する付勢部材と、を備え、前記案内部材、および前記支持体の一方は、前記発電機の回転軸の軸線が前記スライド扉の開閉方向と直交する状態で前記支持体を前記筐体内で案内するために、前記直交する方向に延びる一対の案内溝を有し、前記案内部材、および前記支持体の他方は、前記一対の案内溝に嵌合可能な一対の突条を有するスライド扉用発電装置である。
【0020】
請求項4に記載の具体的態様では、前記発電機を複数備え、前記筐体は、複数の発電機が前記スライド扉の開閉方向と直交する方向であって前記スライド扉を構成する面に平行な方向に配列されるように、複数の発電機を収容する。
【0021】
請求項5に記載の具体的態様では、前記発電機を複数備え、前記支持体は、複数の発電機をそれぞれ支持する複数の支持フレームを含み、前記案内部材は、前記スライド扉を構成する面と
直交する方向に複数の支持フレームをそれぞれ案内し、前記付勢部材は、前記
直交する方向に複数の支持フレームを弾性力によりそれぞれ付勢する複数の弾性体を含む。
【0022】
請求項6に記載の具体的態様では、前記筐体は、前記扉支持部材、または、前記扉支持部材に連結される部材に固定され、前記回転体は、前記スライド扉、または、前記スライド扉に連結される部材に係合して回転する。
【0023】
請求項7に記載の具体的態様では、前記筐体は、前記スライド扉の開閉に伴い前記発電コイルが発生する交流電圧を整流する整流器を含む回路基板を収容する。
【0024】
(
第3の発明態様、およびその具体的態様)
請求項8に記載の
第3の発明態様は、請求項1〜7のいずれかに記載のスライド扉用発電装置と、前記発電機が発生する電力により作動する作動機器とを備えるスライド扉用作動装置である。
【0025】
第3の発明態様では、作動機器は、発電機から電力の供給を受けて所定の動作を行う構成であればよい。たとえば、作動機器として、音声を発生するスピーカ、点灯するランプ、文字などの画像を表示するディスプレイなどが挙げられる。また、作動機器は、筐体内に配置される構成でも、スライド扉、および扉支持部材などの筐体の外部の部材に配置される構成でもよい。
【0026】
請求項9に記載の具体的態様では、前記作動機器は、文字などの画像を表示するために直列接続された多数の発光ダイオードを有する画像表示手段を含み、前記発電コイルが発生する電力を蓄電するために直列接続された複数のコンデンサを含む蓄電器と、前記発電コイルが発生する交流電圧を整流し、前記直列接続された複数のコンデンサを充電する倍電圧整流回路とをさらに備える。
【0027】
具体的態様では、倍電圧整流回路は、発電コイルからの交流電圧を整流する機能と、直列接続された多数の発光ダイオードの全てを点灯させるのに充分な高い電圧まで、直列接続された複数のコンデンサを充電する機能とを有すれば、いかなる構成でもよい。倍電圧整流回路の整流機能としては、半波整流機能でも、全波整流機能でもよい。
【0028】
請求項10に記載の具体的態様では、前記作動機器は、所定の箇所を照明するために、少なくとも1つの発光ダイオードを有する照明手段を含み、前記発電コイルが発生する電力を蓄電するためのコンデンサを含む蓄電器と、前記発電コイルが発生する交流電圧を整流し、前記コンデンサを充電する全波整流回路とをさらに備える。
【0029】
具体的態様では、照明手段の発光ダイオードは、照明のために比較的多い発光量を必要とすることから、全波整流回路は、画像表示手段の各発光ダイオードに供給される電流よりも、照明手段の発光ダイオードに比較的大きな電流を供給することができるように、コンデンサを充電する。
【0030】
請求項11に記載の具体的態様では、文字などの画像を表示するために直列接続された多数の発光ダイオードを有する画像表示手段、または、所定の箇所を照明するために、前記画像表示手段が含む発光ダイオードの数より少ない数の発光ダイオードを有する照明手段が、前記作動機器として使用可能に構成され、直列接続された複数のコンデンサを有する蓄電器と、前記発電コイルが発生する交流電圧を整流し、前記直列接続された複数のコンデンサを充電する倍電圧整流回路とを含む第1整流蓄電回路と、コンデンサを有する蓄電器と、前記発電コイルが発生する交流電圧を整流し、前記コンデンサを充電する全波整流回路とを含む第2整流蓄電回路と、を備え、前記作動機器として使用される前記画像表示手段または照明手段に応じて、前記第1整流蓄電回路または第2整流蓄電回路が選択されるように構成される。
【0031】
具体的態様では、第1整流蓄電回路または第2整流蓄電回路が選択される構成は、使用者の操作により、発電機の発電コイルと各整流蓄電回路との接続を切り換えるスイッチを設ける構成でも、使用者が、発電機の発電コイルの端子を、第1整流蓄電回路の端子または第2整流蓄電回路の端子に差し込む構成でもよい。
【発明の効果】
【0032】
(第1の発明態様、
第2の発明態様、およびその具体的態様の効果)
請求項1に記載の第1の発明態様では、筐体が、スライド扉、および扉支持部材のうちの一方、または、その一方に連結される部材に固定され、発電機を収容する。案内部材が、スライド扉を構成する面と交差する方向に発電機を案内する。発電機の回転軸に連結される回転体がスライド扉、および扉支持部材のうちの他方、または、その他方に連結される部材に係合するように、付勢部材が、発電機を弾性力により付勢する。この結果、付勢部材の弾性力により回転体がスライド扉、および扉支持部材のうちの他方、または、その他方に連結される部材に係合することから、スライド扉の開閉に従って回転体を確実回転させることができる。また、回転体は発電機の回転軸、または発電機に固定される部材に支持されることから、回転体の回転を発電機の回転軸に確実に伝達することができる。更に、永久磁石および発電コイルを有する発電機が筐体に収容されることから、永久磁石および発電コイルをスライド扉および扉支持部材に分離して配置する従来の構成に比べ、永久磁石からの磁界を発電コイルに効率よく付与することができる。
【0033】
請求項2に記載の具体的態様では、案内部材が、スライド扉を構成する面と交差する方向に支持体を案内し、付勢部材が、支持体を弾性力により付勢する。この結果、支持体を備えることにより、発電機を所定の姿勢に保ちながら、弾性力の付与の下でスライド扉を構成する面と交差する方向に発電機を移動可能に構成することが容易になる。
【0034】
請求項3に記載の
第2の発明態様では、案内部材、および支持体のうちの一方が、発電機の回転軸の軸線がスライド扉の開閉方向と直交する状態で発電機を筐体内で案内するために、スライド扉を構成する面と直交する方向に延びる一対の案内溝を有し、案内部材、および支持体のうちの他方が、一対の案内溝に嵌合可能な一対の突条を有する。この結果、案内溝と突条とが嵌合することから、発電機の回転軸の軸線がスライド扉の開閉方向と直交する状態でスライド扉を構成する面と直交する方向に発電機を確実に案内することができる。
【0035】
請求項4に記載の具体的態様では、筐体は、複数の発電機がスライド扉の開閉方向と直交する方向であってスライド扉を構成する面に平行な方向に配列されるように、複数の発電機を収容する。この結果、複数の発電機がスライド扉の開閉方向に沿って配列される構成に比べ、複数の発電機の各々が発電できるスライド扉の開閉範囲を広くすることができる。
【0036】
請求項5に記載の具体的態様では、複数の発電機が複数の支持フレームによりそれぞれ支持され、案内部材が、スライド扉を構成する面と
直交する方向に複数の支持フレームをそれぞれ案内し、複数の弾性体が、複数の支持フレームを弾性力によりそれぞれ付勢する。この結果、複数の支持フレームが複数の発電機を個別に支持することから、各発電機の回転軸に連結される各回転体を、スライド扉、および扉支持部材の他方に確実に係合させることができる。
【0037】
請求項6に記載の具体的態様では、筐体が、扉支持部材、または、扉支持部材に連結される部材に固定され、前記回転体は、スライド扉、または、スライド扉に連結される部材に係合して回転する。この結果、筐体がスライド扉、または、スライド扉に連結される部材に固定される構成に比べ、蓄電器から電力を取り出すために配線が容易になる。
【0038】
請求項7に記載の具体的態様では、筐体が、整流器を含む回路基板を収容する。この結果、発電機および回路基板を筐体内に収容して発電装置をユニット化することができ、スライド扉、または扉支持部材に発電装置を容易に取り付けることができる。
【0039】
(
第3の発明態様、およびその具体的態様の効果)
請求項8に記載の
第3の発明態様では、作動機器が、発電機が発生する電力により作動する。この結果、第1の発明態様により効率よく発電された電力が作動機器に供給されることから、電力不足を生ずることなく、スライド扉の開閉に従って作動機器を確実に作動させることができる。
【0040】
請求項9に記載の具体的態様では、作動機器は、直列接続された多数の発光ダイオードを有する画像表示手段を含み、蓄電器は、直列接続された複数のコンデンサを含む。倍電圧整流回路は、発電コイルが発生する交流電圧を整流し、直列接続された複数のコンデンサを充電する。この結果、倍電圧整流回路は、蓄電器を比較的高い電圧まで充電することができることから、直列接続された多数の発光ダイオードの全てを確実に点灯させることができ、画像表示手段は、文字などの画像を鮮明に表示することができる。
【0041】
請求項10に記載の具体的態様では、作動機器は、所定の箇所を照明するために、少なくとも1つの発光ダイオードを有する照明手段を含み、蓄電器は、コンデンサ含む。全波整流回路は、発電コイルが発生する交流電圧を整流し、コンデンサを充電する。この結果、全波整流回路は、発電コイルが発生する交流電圧の全サイクルで蓄電器を充電することができることから、蓄電器は比較的大きな電流を発光ダイオードに供給することができ、照明手段は、所定の箇所を明るく照明することができる。
【0042】
請求項11に記載の具体的態様では、作動機器として使用される画像表示手段または照明手段に応じて、第1整流蓄電回路または第2整流蓄電回路が選択される。この結果、作動機器として画像表示手段が使用される場合、第1整流蓄電回路が選択され、第1整流蓄電回路は、比較的高い電圧を画像表示手段の直列接続された多数の発光ダイオードに供給する。この比較的高い電圧の供給により、画像表示手段は、文字などの画像を鮮明に表示することができる。一方、作動機器として照明手段が使用される場合、第2整流蓄電回路が選択され、第2整流蓄電回路は、比較的大きな電流を照明手段の発光ダイオードに供給する。この比較的大きな電流の供給により、照明手段は、所定の箇所を明るく照明することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<第1の実施形態>
[スライド扉用画像表示装置1の全体構成]
以下に、本発明のスライド扉用作動装置をスライド扉用画像表示装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照して説明する。第1の実施形態は、商店などの出入口に設置されたスライド扉の開閉動作に伴い発電された電力を使用して、商店の名前などを表す文字などの画像を表示するスライド扉用画像表示装置1である。
図1は、スライド扉用画像表示装置1の全体構成を示す正面図である。
図1に矢印で示す2つの方向を、上下方向、および左右方向とし、両方向にそれぞれ直交する方向を、前後方向として、各図面での各方向を示す。
【0045】
図1において、スライド扉用画像表示装置1は、一対のスライド扉3A、3Bと、扉支持機構5と、スライド扉用発電装置7と、画像表示部9とを備える。
【0046】
[扉支持機構5の構成]
扉支持機構5は、一対のスライド扉3A、3Bを左右方向に開閉可能に支持する。本実施形態では、両スライド扉3A、3Bは人間の接近を感知して電動モータを駆動することにより開放される構成の扉であり、いわゆる自動扉である。自動扉において、電動モータからスライド扉に動力を伝達する構成は、特開平11−36695号公報などにより公知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図1において、扉支持機構5は、商店の出入口の床などの固定された基礎部分11に設置される。一対の支持パネル13A、13Bが、客の通過を許容する間隔をあけて、基礎部分11にそれぞれ固定されるとともに、商店の外壁にそれぞれ固定される。
図1には、支持パネル13Aが固定される外壁15のみが示される。支持梁17が、両支持パネル13A、13Bの上部に架設される。
図2は、支持梁17を除いて、両スライド扉3A、3B、および両支持パネル13A、13Bを示す。
図2において、前方が商店の外部を示し、後方が商店の内部を示す。両スライド扉3A、3Bは、両支持パネル13A、13Bよりも、商店の内側に配置される。
【0048】
扉支持機構5の詳細な構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、
図1に示すA−A線に従って扉支持機構5を切断した断面図である。
図3において、上方案内梁19が、支持梁17の後側に固定される。上方案内梁19は、中空に形成され、内部に上方案内レール19Aを有する。下方案内レール21が、基礎部分11に埋設される。連結アーム22Aが、スライド扉3Aの上部に固定される。プーリ22Bが、連結アーム22Aに回転自在に設けられ、上方案内レール19Aに係合する。下方案内レール21は、矩形断面形状の凹所を備え、スライド扉3Aの下端部と嵌合する。スライド扉3Aは、両案内レール19A、21により左右方向に案内されるとともに、開閉可能に支持される。スライド扉3Bも、スライド扉3Aと同様な構成により支持される。
【0049】
[スライド扉用発電装置7の構成]
スライド扉用発電装置7は、
図2および
図3に示すように、スライド扉3Aの内側に近接して基礎部分11に設置される。本実施形態では、スライド扉用発電装置7は、スライド扉3Aに近接する位置にのみ設置される。
【0050】
図4は、スライド扉用発電装置7の各部品を分解して示す分解斜視図である。
図4において、スライド扉用発電装置7は、筐体23と、2つの発電ユニット25、27と、回路基板29とを主に備える。筐体23は、両発電ユニット25、27、および回路基板29などを収容するために、本体部23Aと、カバー23Bとから構成される。本体部23Aは、前方が開放された直方体形状を有し、合成樹脂材料により一体成形される。カバー23Aは、板状の形状を有し、合成樹脂材料により形成される。本体部23Aの開放部分は、ネジなどによりカバー23Bを本体部23Aに固定することで、覆われる。本体部23Aは、左右方向に対向する一対の側壁23C、23Dを有する。
【0051】
一対の基板案内溝31A、31Bが、両側壁23C、23Dの内面に、前後方向に延びて形成される。両基板案内溝31A、31Bは、前後方向に延びる回路基板29の両側端部とそれぞれ嵌合して回路基板29を前後方向に案内する。一対の第1ユニット案内溝33A、33Bが、両基板案内溝31A、31Bの下方において、両側壁23C、23Dの内面に、前後方向に延びて形成される。一対の第2ユニット案内溝35A、35Bが、両第1ユニット案内溝33A、33Bの下方において、両側壁23C、23Dの内面に、前後方向に延びて形成される。
【0052】
図5は、両発電ユニット25、27、および回路基板29などを収容した状態で、筐体23を上下方向に切断した断面図である。発電ユニット25は、支持板37と、その支持板37の上面に固定された発電機39と、その支持板37の下面に回転可能に取り付けられた回転体41とを備える。発電機39の回転軸39Aは、支持板37を貫通して下方に延びる。歯車43が回転軸39Aに固定される。支持軸45が支持板37の下面に固定される。歯車47は、支持軸45に回転可能に支持され、歯車43と噛合する。回転体41は、歯車47に固定され、歯車47を介して支持軸45に回転可能に支持される。回転体41が回転するときに、その回転が発電機39の回転軸39Aに増速されて伝達されるように、歯車47の歯数は、歯車43の歯数より多く設定される。回転体41は、ウレタンゴムなどの接触摩擦抵抗が大きい材料から形成される。また、発電ユニット27も、発電ユニット25と同様な構成を有し、支持板49と、その支持板49の上面に固定された発電機51と、その支持板49の下面に回転可能に取り付けられた回転体53とを備える。発電機51の回転軸51Aは、支持板49を貫通して下方に延びる。歯車55が回転軸51Aに固定される。支持軸57が支持板49の下面に固定される。歯車59は、支持軸57に回転可能に支持され、歯車55と噛合する。回転体53は、歯車59に固定され、歯車59を介して支持軸57に回転可能に支持される。回転体53が回転するときに、その回転が発電機51の回転軸51Aに増速されて伝達されるように、歯車59の歯数は、歯車55の歯数より多く設定される。回転体53は、ウレタンゴムなど接触摩擦抵抗が大きい材料から形成される。
【0053】
両第1ユニット案内溝33A、33Bは、前後方向に延びる発電ユニット25の支持板37の両側端部とそれぞれ嵌合して支持板37を前後方向に案内する。両第2ユニット案内溝35A、35Bは、前後方向に延びる発電ユニット27の支持板49の両側端部とそれぞれ嵌合して支持板49を前後方向に案内する。一対の第1コイルバネ61A、61Bが、発電ユニット25を前方に向かって弾性付勢するために設けられる。両第1コイルバネ61A、61Bの後端は、本体部23Aの後壁に突設される取付突部にそれぞれ取り付けられる。両第1コイルバネ61A、61Bの前端は、押圧片63A、63Bを介して支持板37にそれぞれ当接する。また、一対の第2コイルバネ65A、65Bが、発電ユニット27を前方に向かって弾性付勢するために設けられる。両第2コイルバネ65A、65Bの後端は、本体部23Aの後壁に突設される取付突部にそれぞれ取り付けられる。両第2コイルバネ65A、65Bの前端は、押圧片67A、67Bを介して支持板49にそれぞれ当接する。
【0054】
カバー23Bは、第1および第2開口69、71を有する。両発電ユニット25、27が
図5に示すように筐体23内に収容された状態で、回転体41、53の一部は、両開口69、71を通してカバー23Aから前方にそれぞれ突出して露出する。回転体41、53の露出した部分は、第1コイルバネ61A、61B、および第2コイルバネ65A、65Bの弾性力により、スライド扉3Aに押圧される。
【0055】
発電側コネクタ73が、発電機39が発電する交流電圧を取り出すために、発電機39のハウジングに取り付けられる。また、発電側コネクタ75が、発電機51が発電する交流電圧を取り出すために、発電機51のハウジングに取り付けられる。基板側コネクタ77、79が、回路基板29の下面に設けられ、コネクタを備える接続ラインを介して、発電側コネクタ73、75とそれぞれ接続される。整流用のダイオードおよび蓄電用のコンデンサなどの種々の回路素子が、回路基板29の上面に配置される。出力コネクタ81、83が、発電機39、51からの交流電圧を整流して蓄電した電力を出力するために、回路基板29の上面にそれぞれ取り付けられる。
【0056】
図6は、スライド扉用発電装置7の外観を示す斜視図である。L字型の固定ブロック85、87が、スライド扉用発電装置7の筐体23の両側壁23C、23Dに取り付けられる。両固定ブロック85、87がボルトなどにより基礎部分11に固定されることにより、筐体23が基礎部分11に固定される。一対の貫通孔89、91が、筐体23の本体部23Dの後壁にそれぞれ設けられる。両貫通孔89、91は、
図5に示すように収容された回路基板29の出力コネクタ81、83と対向する位置に配置される。出力コネクタ81、83は、画像表示部9に電力を供給するための図示しない2つの接続ラインの接続端子が両貫通孔89、91を通して挿入されることにより、それらの接続端子と接続可能である。
【0057】
回転体41、53がスライド扉3Aの開閉領域の全範囲においてスライド扉3Aと係合するように、スライド扉用発電装置7の筐体23は、
図2に示すように、スライド扉3Aが開放する方向である右方向に位置するスライド扉3Aの側端部、すなわちスライド扉3Aの右側端部に近接して配置される。
【0058】
(発電機39の詳細な構成)
発電機39、51の詳細な構成について、
図7および
図8を参照して説明する。発電機39、51は同じ構成を有するので、発電機39を例にして説明する。
図7は、発電機39を分解して示す斜視図である。発電機39は、第1発電コイルL1と、第2発電コイルL2とを有する。回転子101は、回転軸39Aに固定され、多極着磁された永久磁石から構成される。具体的には、回転子101は、その円周方向にN極およびS極に交互に着磁された多数の磁極を有する永久磁石から構成される。
【0059】
上軸受け板103および下軸受け板105は、回転軸39Aを回転可能に支持するために設けられる。上ケース本体107は、磁性材料から構成され、円筒形に形成される。第1上磁極体109は、磁性材料から構成され、上ケース本体107の内部に収容された状態で上ケース本体107に固定される。第1上磁極体109は、円周方向に間隔をおいて配列された多数のクローポール109Aを有する。多数のクローポール109Aは、上下方向に延びる。上ケース本体107および第1上磁極体109は、上軸受け板103に固定される。
【0060】
第1下磁極体111は、磁性材料から構成され、上ケース本体107の内部に収容可能に形成される。第1下磁極体111は、円周方向に間隔をおいて配列された多数のクローポール111Aを有する。多数のクローポール111Aは、上下方向に延び、多数のクローポール109Aと向き合った状態で配置される。具体的には、隣り合う2つのクローポール109Aの間に各クローポール111Aが隙間をあけて位置するように、両クローポール109A、111Aが配置される。
【0061】
第1発電コイルL1は、円環形状の第1ボビン113の周囲に巻かれる。第1ボビン113は、合成樹脂材料から構成され、3つのコイル端子を有する。3つのコイル端子は、導電性材料から構成され、第1コイル端子T11と、第2コイル端子T12と、両コイル端子T11、T12の間に位置する第3コイル端子T13とからなる。第1ボビン113は、両磁極体109、111により挟まれた状態で、多数のクローポール109A、111Aが第1ボビン113の内部空間に配置されるように、両磁極体109、111に組み付けられる。
【0062】
下ケース本体115は、磁性材料から構成され、円筒形に形成される。第2下磁極体117は、磁性材料から構成され、下ケース本体115の内部に収容された状態で下ケース本体115に固定される。第2下磁極体117は、円周方向に間隔をおいて配列された多数のクローポ117Aを有する。多数のクローポール117Aは、上下方向に延びる。下ケース本体115および第2下磁極体117は、下軸受け板105に固定される。
【0063】
第2上磁極体119は、磁性材料から構成され、下ケース本体115の内部に収容可能に形成される。第2上磁極体119は、円周方向に間隔をおいて配列された多数のクローポール119Aを有する。多数のクローポール119Aは、上下方向に延び、多数のクローポール117Aと向き合った状態で配置される。具体的には、隣り合う2つのクローポール117Aの間に各クローポール119Aが隙間をあけて位置するように、両クローポール117A、119Aが配置される。
【0064】
第2発電コイルL2は、円環形状の第2ボビン121の周囲に巻かれる。第2ボビン121は、合成樹脂材料から構成され、3つのコイル端子を有する。3つのコイル端子は、導電性材料から構成され、第1コイル端子T21と、第2コイル端子T22と、両コイル端子T21、T22の間に位置する第3コイル端子T23とからなる。第2ボビン121は、両磁極体117、119により挟まれた状態で、多数のクローポール117A、119Aが第2ボビン121の内部空間に配置されるように、両磁極体117、119に組み付けられる。
【0065】
端子ホルダ123が、合成樹脂材料から構成され、6つのコイル端子T11〜T13、T21〜T23を保持する。端子ホルダ123は、上ケース本体107および下ケース本体115にそれぞれ形成された切欠部107A、115Aに嵌められて取り付けられる。
【0066】
回転子101が、多数のクローポール109A、111Aの配列により形成される内部空間と、多数のクローポール117A、119Aの配列により形成される内部空間とに配置された状態で、上ケース本体107および下ケース本体115は互いに固着される。
【0067】
(発電コイルL1の巻き方)
発電機39の発電コイルL1、L2の巻き方について、説明する。両発電コイルL1、L2の巻き方は、同じ方法であるので、第1発電コイルL1を一例として、
図8を参照して説明する。
【0068】
第1発電コイルL1は、第1コイル部分PL11と、第2コイル部分PL12とからなる。
図8において、第1コイル部分PL11の巻き始端WS1は、第1コイル端子T11に接続され、第1コイル部分PL11の巻き終端WE1は、第3コイル端子T13に接続される。また、第2コイル部分PL12の巻き始端WS2は、第3コイル端子T13に接続され、第2コイル部分PL12の巻き終端WE2は、第2コイル端子T12に接続される。第1および第2コイル部分PL11、PL12は、互いに重ねて巻かれており、所謂、バイファイラ巻きにて構成される。
【0069】
図8において、第1および第2コイル部分PL11、PL12は共に、第1ボビン113に、右回りに多数回巻き付けられる。本実施形態では、第1および第2コイル部分PL11、PL12は、同じ線径で同じ長さの銅線を、同じ回数巻いて構成される。
【0070】
第2発電コイルL2も、第1発電コイルL1と同様に、第1コイル部分PL21と、第2コイル部分PL22とからなる。第1コイル部分PL21の巻き始端WS1および巻き終端WE1は、第1コイル端子T21および第3コイル端子T23にそれぞれ接続される。また、第2コイル部分PL22の巻き始端WS2および巻き終端WE2は、第3コイル端子T23および第2コイル端子T22にそれぞれ接続される。
【0071】
[画像表示部9の構成]
画像表示部9の構成について、
図9を参照して説明する。
図9は、画像表示部9を分解して示す斜視図である。
図9において、画像表示部9は、表示パネル201と、一対の光源基板203、205と、一対の保持カバー207、209とを備える。表示パネル201は、無色透明のアクリル板に半透明インキによって文字などの画像をスクリーン印刷することにより形成される。この表示パネル201の基本的構成は、特開2009−224717号公報などにより公知である。本実施形態では、商店の名前などを表す文字「BEP」が、表示パネル201にスクリーン印刷されている。
【0072】
両光源基板203、205は、細長い形状を有し、上下方向に延びる表示パネル201の両側端部に沿ってそれぞれ配置される。10個の発光ダイオードが、表示パネル201の側端部に対向する各光源基板の一方の面に設けられ、上下方向に配列される。入力コネクタ211、213が、画像表示部9に供給される電力を入力するために、光源基板203、205の他方の面にそれぞれ設けられる。両光源基板203、205は、両保持カバー207、209の内部に収容された状態で、両保持カバー207、209にネジなどにより取り付けられる。各保持カバーは、入力コネクタと対向する位置に貫通孔を有する。入力コネクタ211、213は、回路基板29の出力コネクタ81、83に接続された接続ラインの接続端子が保持カバーの貫通孔を通して挿入されることにより、接続端子と接続可能である。
図9において、光源基板203の一方の面に配列された10個の発光ダイオードD1〜D10のみが図示され、保持カバー209に設けられた貫通孔215のみが図示される。
【0073】
本実施形態では、画像表示部9は、
図1および
図2に示すように、外壁15に両保持カバー207、209をネジなどにより固定することにより、外壁15に取り付けられる。
【0074】
[スライド扉用発電装置7の回路構成]
スライド扉用発電装置7の回路構成について、
図10を参照して説明する。発電機39が発電した交流電圧を整流して蓄電する整流蓄電回路と、発電機51が発電した交流電圧を整流して蓄電する整流蓄電回路とが、回路基板29に設けられる。発電機39のための整流蓄電回路と、発電機51のための整流蓄電回路とは、同じ構成であるので、発電機39のための整流蓄電回路を例として説明する。
図10は、発電機39の2つの発電コイルL1、L2に発生される交流電圧を整流して蓄電する整流蓄電回路DVCを示す。
【0075】
発電コイルL1、L2が接続された発電側コネクタ73は、コネクタを備える接続ラインを介して、整流蓄電回路DVCが接続された基板側コネクタ77に接続される。
図10において、第1ダイオードRD1のアノードは、第1発電コイルL1の第1コイル端子T11に接続され、第2ダイオードRD2のカソードは、第1ダイオードRD1のアドードに接続される。第3ダイオードRD3のアノードは、第2発電コイルL2の第1コイル端子T21に接続され、第4ダイオードRD4のカソードは、第3ダイオードRD3のアドードに接続される。
【0076】
4つのコンデンサC1〜C4が直列に接続される。コンデンサC1の一方の端子は、第1ダイオードRD1のカソードに接続され、コンデンサC1の他方の端子は、第1発電コイルL1の第2コイル端子T12に接続される。コンデンサC2の一方の端子は、第1発電コイルL1の第2コイル端子T12に接続され、コンデンサC2の他方の端子は、第2ダイオードRD2のアノードに接続される。コンデンサC3の一方の端子は、第3ダイオードRD3のカソードに接続され、コンデンサC3の他方の端子は、第2発電コイルL2の第2コイル端子T22に接続される。コンデンサC4の一方の端子は、第2発電コイルL2の第2コイル端子T22に接続され、コンデンサC4の他方の端子は、第4ダイオードRD4のアノードに接続される。
【0077】
出力コネクタ81は、第1ダイオードRD1のカソードに接続されるとともに、第4ダイオードRD4のアノードに接続される。出力コネクタ81は、4つのコンデンサC1〜C4に蓄電された直流電圧を出力する。本実施形態では、第1乃至第4ダイオードRD1〜RD4が、発電コイルL1、L2に発生された交流電圧を整流してコンデンサC1〜C4を充電する倍電圧整流回路を構成する。コンデンサC1〜C4の静電容量は、光源基板の10個の発光ダイオードD1〜D10の全てが点灯するのに充分に高い電圧まで充電されるように設定され、各コンデンサの静電容量は同じ値である。
【0078】
第1発電コイルL1は、中間部分に第3コイル端子T13を有する。第1コイル端子T11と第3コイル端子T13との間のコイル巻き数およびコイル長さが、第2コイル端子T12と第3コイル端子T13との間のコイル巻き数およびコイル長さとほぼ同じになるように、第3コイル端子T13が第1の発電コイルL1に配設される。同様に、第2発電コイルL2も、中間部分に第3コイル端子T23を有する。第1コイル端子T21と第3コイル端子T23との間のコイル巻き数およびコイル長さが、第2コイル端子T22と第3コイル端子T23との間のコイル巻き数およびコイル長さとほぼ同じになるように、第3コイル端子T23が第2の発電コイルL2に配設される。
【0079】
図10に示す整流蓄電回路DVCは、画像表示部9の発光ダイオードD1〜D10を点灯させるために適した回路構成を有する。この整流蓄電回路DVCにおいて、発電コイルL1、L2の各々に発生される交流の逆起電力の電圧より充分に高い電圧までコンデンサC1〜C4の直列回路を充電するために、第1発電コイルL1の第3コイル端子T13、および第2発電コイルL2の第3コイル端子T23は、どこにも接続されていない状態にある。
【0080】
[画像表示部9の回路構成]
画像表示部9の回路構成について、
図11を参照して説明する。光源基板203に設けられた回路と、光源基板205に設けられた回路とは同じ構成であるので、光源基板203に設けられた回路を例にして説明する。
図11は、光源基板203に設けられた回路の構成を示す。
【0081】
図11において、入力コネクタ211は、
図10に示す出力コネクタ81に、図示しない接続端子およびコネクタを備える接続ラインを介して、接続される。10個の発光ダイオードD1〜D10が直列に接続され、電流制限用の抵抗RTの一方の端子が発光ダイオードD1のアノードに接続される。入力コネクタ211は、抵抗RTの他方の端子と、発光ダイオードD10のカソードとにそれぞれ接続される。
【0082】
[第1の実施形態の動作および作用]
客がスライド扉3A、3Bに接近したことが感知されたときに、電動モータが駆動されて両スライド扉3A、3Bが開放される。スライド扉3Aの開放に伴い、回転体41、53が回転する。回転体41、53が回転すると、発電機39、51の回転子が回転する。両発電機39、51は同じ構成であるので、発電機39を例にしてその発電動作を説明する。
【0083】
発電機39の回転子101が回転すると、多数のクローポール109A、119Aは、回転子101のN極およびS極の一方の磁極に対向して磁化され、多数のクローポール111A、117Aは、回転子101のN極およびS極の他方の磁極に対向して磁化される。このように磁化されたクローポールから発生する磁界により、交流の逆起電力が第1および第2発電コイルL1、L2にそれぞれ発生する。第1発電コイルL1に発生する交流の逆起電力は、第2発電コイルL2に発生する逆起電力と同じ位相である。
【0084】
両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力の正サイクルにおいて、各発電コイルの第1コイル端子T11、T21の電位V1は、第2コイル端子T12、T22の電位V2より高くなる。また、各発電コイルの第3コイル端子T13、T23の電位V3は、第2コイル端子T12、T22の電位V2より、[(V1−V2)/2]だけ高くなる。反対に、交流の逆起電力の負サイクルにおいて、各発電コイルの第2コイル端子T12、T22の電位V2は、第1コイル端子T11、T21の電位V1より高くなる。また、各発電コイルの第3コイル端子T13、T23の電位V3は、第1コイル端子T11、T21の電位V1より、[(V2−V1)/2]だけ高くなる。
【0085】
コンデンサC1は、正サイクルにおいて、第1発電コイルL1の第1コイル部分PL11および第2コイル部分PL12に発生した逆起電力により、ダイオードRD1を介して充電される。また、コンデンサC3は、正サイクルにおいて、第2発電コイルL2の第1コイル部分PL21および第2コイル部分PL22に発生した逆起電力により、ダイオードRD3を介して充電される。
【0086】
コンデンサC2は、負サイクルにおいて、第1発電コイルL1の第1コイル部分PL11および第2コイル部分PL12に、正サイクルと反対の極性で発生した逆起電力により、ダイオードRD2を介して充電される。また、コンデンサC4は、負サイクルにおいて、第2発電コイルL2の第1コイル部分PL21および第2コイル部分PL22に、正サイクルと反対の極性で発生した逆起電力により、ダイオードRD4を介して充電される。
【0087】
コンデンサC1〜C4の直列回路は、両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力の全サイクルにおいて、(V1−V2)の絶対値の電圧より高い電圧まで充電される。この高い充電電圧は、出力コネクタ81から接続ラインを介して入力コネクタ211に供給される。
【0088】
高い充電電圧は、抵抗RTを介して、光源基板203の10個の発光ダイオードD1〜D10に供給される。高い充電電圧は、10個の発光ダイオードD1〜D10の順方向降下電圧の合計値より充分に高い電圧であるので、光源基板203の発光ダイオードの全てが点灯する。同様に、発電機51の両発電コイルに発生した交流の逆起電力により4つのコンデンサに充電された高い充電電圧も、光源基板205の10個の発光ダイオードに供給され、光源基板205の発光ダイオードの全ても点灯する。両光源基板203、205の発光ダイオードの点灯により、表示パネル201が商店の名前「BEP」を表示する。
【0089】
客がスライド扉3A、3Bから離れたことが感知されたときに、電動モータが駆動されて両スライド扉3A、3Bが閉じられる。スライド扉3Aが閉じられることに伴い、回転体41、53が回転する。回転体41、53が回転すると、発電機39、51の回転子が回転する。スライド扉3Aの開放時と同様に、発電機39、51の発電コイルに発生した交流の逆起電力により、4つのコンデンサが充電される。コンデンサの静電容量は、両光源基板203、205の発光ダイオードを長時間点灯させるのに充分に大きな容量に設定されている。この結果、スライド扉3A、3Bが開閉しない間でも、両光源基板203、205の発光ダイオードが点灯し、表示パネル201が商店の名前「BEP」を表示することができる。
【0090】
[第1の実施形態の効果]
第1の実施形態では、スライド扉用発電装置7が、
図3に示すように、扉支持機構5が設置される基礎部分11に配置されるので、スライド扉用発電装置をスライド扉に配置する構成に比べ、スライド扉を何ら改造する必要がないので、スライド扉用発電装置7の取り付けが容易になる。
【0091】
第1の実施形態では、2つの発電機39、51が、スライド扉3Aの開閉方向である左右方向と直交する方向であって、スライド扉3Aを構成する面である上下方向に広がる面に平行な方向に配列される。また、回転体41、53がスライド扉3Aの開閉領域の全範囲においてスライド扉3Aと係合するように、両発電機39、51を収容する筐体23は
図2に示すように、スライド扉3Aの開放する方向に位置する右側端部に近接して配置される。この結果、両発電機39、51は、スライド扉3Aの開閉動作の全ての期間で発電することができる。
【0092】
第1の実施形態では、倍電圧整流回路から構成される整流蓄電回路DVCを使用して高い充電電圧を発生して、この高い充電電圧を両光源基板203、205の直列接続される多数の発光ダイオードに供給する。この結果、並列接続された多数の発光ダイオードに充電電圧を供給する構成に比べ、各発光ダイオードの特性のばらつきにより各発光ダイオードへの供給電流量が大きくばらつくことはなく、直列接続された各発光ダイオードに同じ量の電流を供給して各発光ダイオードをほぼ同じ発光量で点灯させることができる。これにより、画像表示部9の表示パネル201は商店の名前などの画像を鮮明に表示することができる。
【0093】
第1の実施形態では、発電ユニット25、27の各々は、発電機と、回転体と、歯車伝達機構とが支持板に組み付けられてユニット化され、コイルバネによりユニット全体がスライド扉3Aに弾性付勢される。この結果、回転体が発電機とは別個の部材に支持される構成に比べ、回転体の回転を発電機の回転軸に確実に伝達することができる。しかも、各発電ユニットの歯車伝達機構は、回転体の回転を増速して回転軸に伝達するように歯車43、47、および歯車55、59の歯数が設定されているので、各発電機の発電量を増大させることができる。
【0094】
第1の実施形態では、回路基板29は、基板案内溝31A、31Bに支持され、両発電機39、51と接続ラインを介して基板側コネクタ77、79により着脱可能に接続される。この結果、画像表示部9などの給電される回路の仕様が変更された場合に、新たな回路の仕様に適した回路基板に容易に交換することができる。
【0095】
<第2の実施形態>
本発明のスライド扉用作動装置をスライド扉用照明装置に適用した第2の実施形態について、
図12を参照して説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態の画像表示部9に適した回路基板29から、照明発光部300に適した回路基板に交換される。第2の実施形態の照明発光部300は、文字または画像などが描かれた広告板に照射する光源を備える。本実施形態では、光源は、1つの発光ダイオードからなる。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成には、同一の番号または記号を付して説明する。
【0096】
[スライド扉用発電装置7の回路構成]
第2の実施形態のスライド扉用発電装置7は、1つの発光ダイオードに電力を供給するために、2つの発電機39、51が発電した交流電圧を整流して蓄電する2つの整流蓄電回路を備える。2つの整流蓄電回路が、照明発光部300に適した回路基板に設けられる。2つの整流蓄電回路は同じ構成であるので、発電機39のための整流蓄電回路を例にして説明する。
図12は、発電機39の2つの発電コイルL1、L2に発生される交流電圧を整流して蓄電するための整流蓄電回路FRCを示す。
【0097】
発電コイルL1、L2が接続された発電側コネクタ73は、コネクタを備える接続ラインを介して、整流蓄電回路FRCが接続された基板側コネクタ77に接続される。
図12において、第1ブリッジ回路BC1、および第2ブリッジ回路BC2が並列に接続される。第1ブリッジ回路BC1は、4つのダイオードBD1〜BD4から構成され、第2ブリッジ回路BC2は、4つのダイオードBD5〜BD8から構成される。
【0098】
第1ブリッジ回路BC1の一方の交流入力端子であるダイオードBD1、BD2の接続部は、第1発電コイルL1の第1コイル端子T11に接続される。第1ブリッジ回路BC1の他方の交流入力端子であるダイオードBD3、BD4の接続部は、第1発電コイルL1の第2コイル端子T12に接続される。第2ブリッジ回路BC2の一方の交流入力端子であるダイオードBD5、BD6の接続部は、第2発電コイルL2の第1コイル端子T21に接続される。第2ブリッジ回路BC2の他方の交流入力端子であるダイオードBD7、BD8の接続部は、第2発電コイルL2の第2コイル端子T22に接続される。
【0099】
コンデンサCDのプラス端子は、両ブリッジ回路BC1、BC2の一方の直流出力端子であるダイオードBD1、BD3、BD5、BD7のカソードに接続される。コンデンサCDのマイナス端子は、両ブリッジ回路BC1、BC2の他方の直流出力端子であるダイオードBD2、BD4、BD6、BD8のアノードに接続される。
【0100】
出力コネクタ81は、コンデンサCDの両端子にそれぞれ接続される。出力コネクタ81は、コンデンサCDに蓄電された直流電圧を出力する。本実施形態では、第1および第2ブリッジ回路BC1、BC2の各回路が、発電コイルL1、L2の各々に発生された交流電圧を整流してコンデンサCDを充電する全波整流回路を構成する。第2の実施形態では、コンデンサCDの静電容量は、第1の実施形態のコンデンサC1〜C4の各コンデンサの静電容量と同じ値に設定されている。
【0101】
図12に示す整流蓄電回路FRCは、2つの全波整流回路を並列接続して構成され、照明発光部300の発光ダイオードの発光量を多くするために適した回路構成を有する。この整流蓄電回路FRCにおいて、両発電コイルL1、L2が発生する逆起電力の電位レベルが同じになるように、第1発電コイルL1の第3コイル端子T13、および第2発電コイルL2の第3コイル端子T23は、互いに接続されて同じ電位にある。
【0102】
[照明発光部300の回路構成など]
照明発光部300の回路構成、および照明発光部300と出力コネクタ81、83との接続構成について、
図13を参照して説明する。
【0103】
図13において、照明発光部300は、1つの発光ダイオードDLと、電流制限用の抵抗RTとの直列回路を備え、この直列回路は入力コネクタ311に接続される。入力コネクタ311と出力コネクタ81、83とを接続するために、接続ライン313が設けられる。第1および第2接続コネクタ315、317は、出力コネクタ81、83に接続可能に構成され、第3接続コネクタ319は、入力コネクタ311に接続可能に構成される。抵抗RTに接続される第3コネクタ319の端子が、出力コネクタ81、83が接続される2つの整流蓄電回路FRCのコンデンサCDのプラス端子にそれぞれ接続されるとともに、発光ダイオードDLのカソードに接続される第3コネクタ319の端子が、出力コネクタ81、83が接続される2つの整流蓄電回路FRCのコンデンサCDのマイナス端子にそれぞれ接続されるように、接続ライン313は、第1および第2接続コネクタ315、317と第3接続コネクタ319とを接続する。本実施形態では、発光ダイオードDLとして、第1の実施形態の10個の発光ダイオードD1〜D10の各発光ダイオードと同じ特性の発光ダイオードが使用される。
【0104】
[第2の実施形態の動作および作用]
客がスライド扉3A、3Bに接近したこと、または、スライド扉3A、3Bから離れたことが感知されたときに、電動モータが駆動されて両スライド扉3A、3Bが開閉される。スライド扉3Aの開閉に伴い、回転体41、53が回転する。回転体41、53が回転すると、発電機39、51の回転子が回転する。両発電機39、51は同じ構成であるので、発電機39を例にしてその発電動作を説明する。
【0105】
発電機39の回転子101が回転すると、第1の実施形態と同様に、交流の逆起電力が第1および第2発電コイルL1、L2にそれぞれ発生する。第1発電コイルL1に発生する交流の逆起電力は、第2発電コイルL2に発生する逆起電力と同じ位相である。
【0106】
両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力の正サイクルにおいて、各発電コイルの第1コイル端子T11、T21の電位V1は、第2コイル端子T12、T22の電位V2より高くなる。また、各発電コイルの第3コイル端子T13、T23の電位V3は、第2コイル端子T12、T22の電位V2より、[(V1−V2)/2]だけ高くなる。反対に、交流の逆起電力の負サイクルにおいて、各発電コイルの第2コイル端子T12、T22の電位V2は、第1コイル端子T11、T21の電位V1より高くなる。また、各発電コイルの第3コイル端子T13、T23の電位V3は、第1コイル端子T11、T21の電位V1より、[(V2−V1)/2]だけ高くなる。第3コイル端子T13、T23は、互いに共通に接続されているので、両端子T13、T23の電位は同じ電位にある。
【0107】
コンデンサCDは、正サイクルにおいて、第1発電コイルL1の第1コイル部分PL11および第2コイル部分PL12に発生した逆起電力により、第1ブリッジ回路BC1のダイオードBD1およびダイオードBD4を介して充電される。また、コンデンサCDは、正サイクルにおいて、第2発電コイルL2の第1コイル部分PL21および第2コイル部分PL22に発生した逆起電力により、第2ブリッジ回路BC2のダイオードBD5およびダイオードBD8を介して充電される。
【0108】
コンデンサCDは、負サイクルにおいて、第1発電コイルL1の第1コイル部分PL11および第2コイル部分PL12に、正サイクルと反対の極性で発生した逆起電力により、第1ブリッジ回路BC1のダイオードBD3およびダイオードBD2を介して充電される。また、コンデンサC4は、負サイクルにおいて、第2発電コイルL2の第1コイル部分PL21および第2コイル部分PL22に、正サイクルと反対の極性で発生した逆起電力により、第1ブリッジ回路BC2のダイオードBD7およびダイオードBD6を介して充電される。
【0109】
コンデンサCDは、発電機39の両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力の全サイクルにおいて、(V1−V2)の絶対値の電圧まで充電される。この充電電圧は、出力コネクタ81から、第1接続コネクタ315、接続ライン313および第3接続コネクタ319を介して、入力コネクタ311に供給される。同様に、発電機51の両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力の全サイクルにおいて、別のコンデンサCDが(V1−V2)の絶対値の電圧まで充電される。別のコンデンサCDの充電電圧は、出力コネクタ83から、第2接続コネクタ317、接続ライン313および第3接続コネクタ319を介して、入力コネクタ311に供給される。2つのコンデンサCDの充電電圧は、抵抗RTを介して、発光ダイオードDLに供給される。
【0110】
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態では、全波整流回路を構成する2つのブリッジ回路BC1、BC2が、並列接続され、発電機39の両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力をそれぞれ整流し、コンデンサCDを充電する。また、別の2つのブリッジ回路BC1、BC2が、発電機51の両発電コイルL1、L2に発生した交流の逆起電力を整流して別のコンデンサCDを充電する。2つのコンデンサCDの充電電圧が、照明発光部300の発光ダイオードDLに供給されるので、比較的長い期間、比較的大きな電流を発光ダイオードDLに供給することができる。この結果、発光ダイオードDLは、広告板などの所定の箇所を明るく照らすことができる。
【0111】
同じ構成の発電機を使用して両発電コイルL1、L2に交流の逆起電力を発生させた場合に、
図10に示す倍電圧整流回路を備える整流蓄電回路DVCの出力特性と、
図12に示す全波整流回路を備える整流蓄電回路FRCの出力特性とを実験により比較した。整流蓄電回路DVCの出力電圧は、18.8ボルトであるのに対し、整流蓄電回路FRCの出力電圧は、7.9ボルトであった。また、1つの発光ダイオードに各整流蓄電回路の出力電圧を供給した場合に、その発光ダイオードに流れる電流の値について、整流蓄電回路DVCの出力電圧を供給した場合の電流値は、80ミリアンペアであるのに対し、整流蓄電回路FRCの出力電圧を供給した場合の電流値は、115ミリアンペアであった。さらに、10個の発光ダイオードに各整流蓄電回路の出力電圧を供給した場合に、10個の発光ダイオードの各発光ダイオードに流れる電流の値について、整流蓄電回路DVCの出力電圧を供給した場合の電流値は、16ミリアンペアであり、10個の発光ダイオードの全てが点灯した。これに対し、整流蓄電回路FRCの出力電圧を供給した場合に、10個の発光ダイオードは点灯しなかった。上記の実験結果から、
図10に示す倍電圧整流回路を備える整流蓄電回路DVCは、10個の発光ダイオードの全てを点灯させるのに充分に高い電圧を出力することができ、直列接続された多数の発光ダイオードを点灯させるのに適した回路である。一方、
図12に示す全波整流回路を備える整流蓄電回路FRCは、整流蓄電回路DVCに比べ、1つの発光ダイオードに比較的大きな電流を供給するのに適した回路である。
【0112】
<第3の実施形態>
本発明のスライド扉用作動装置をスライド扉用照明表示装置に適用した第3の実施形態について、
図14を参照して説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態の画像表示部9に適した回路と、第2の実施形態の照明発光部300に適した回路とを備え、画像表示部9または照明発光部300のいずれを使用するのかに応じて、回路を切り換えるスイッチをさらに備える。第3の実施形態において、第1および第2の実施形態と同一の構成には、同一の番号または記号を付して説明する。
【0113】
[スライド扉用発電装置7の回路構成]
第3の実施形態のスライド扉用発電装置7は、発電機39が発電した交流電圧を整流して蓄電する整流蓄電回路DVCおよび整流蓄電回路FRCの組と、発電機51が発電した交流電圧を整流して蓄電する整流蓄電回路DVCおよび整流蓄電回路FRCの組とを備える。各組の整流蓄電回路DVC、FRCは同じ構成であるので、発電機39のための整流蓄電回路DVC、FRCを例にして説明する。
図14は、発電機39の2つの発電コイルL1、L2に発生される交流電圧を整流して蓄電するための整流蓄電回路DVC、FRCを示す。
【0114】
図14において、切換部400は、ユーザにより操作可能に構成され、連動する6個のスイッチSW1〜SW6を備える。スイッチSW1〜5の各々は、同じ構成を有し、1つの固定端子と、第1および第2切換端子ST1、ST2とを備える。スイッチSW6は、スイッチSW1〜SW5の各々の固定端子が第1切換端子ST1に接続されるときに、閉成され、固定端子が第2切換端子ST2に接続されるときに、開放される構成である。本実施形態では、ユーザが操作可能な切換部400の操作部分は、整流蓄電回路DVC、FRCが設けられる回路基板上に配置され、その回路基板は筐体23内に収容される。
【0115】
スイッチSW1〜SW5の固定端子、およびスイッチSW6の両端子は、基板側コネクタ77、接続ライン、および発電側コネクタ73を介して、発電コイルL1、L2の各端子に接続される。具体的には、スイッチSW1の固定端子は、発電コイルL1の第1コイル端子T11に接続され、スイッチSW2の固定端子は、発電コイルL2の第1コイル端子T21に接続される。スイッチSW3の固定端子は、発電コイルL1の第2コイル端子T12に接続され、スイッチSW4の固定端子は、発電コイルL2の第2コイル端子T22に接続される。スイッチSW5の固定端子は、出力コネクタ81の一方の端子に接続される。出力コネクタ81の一方の端子は、
図11に示す入力コネクタ211に接続される画像表示部9の抵抗RTの端子、または、
図13に示す入力コネクタ311に接続される照明発光部300の抵抗RTの端子に接続される。スイッチSW6の両端子は、発電コイルL1、L2の第3コイル端子T13、T23にそれぞれ接続される。出力コネクタ81の他方の端子は、整流蓄電回路FRCのダイオードBD8のアノード、および整流蓄電回路DVCのダイオードRD4のアノードにそれぞれ接続される。
【0116】
スイッチSW1の第1および第2切換端子ST1、ST2は、整流蓄電回路FRCのダイオードBD1のアノード、および整流蓄電回路DVCのダイオードRD1のアノードにそれぞれ接続される。スイッチSW2の第1および第2切換端子ST1、ST2は、整流蓄電回路FRCのダイオードBD5のアノード、および整流蓄電回路DVCのダイオードRD3のアノードにそれぞれ接続される。スイッチSW3の第1および第2切換端子ST1、ST2は、整流蓄電回路FRCのダイオードBD3のアノード、および整流蓄電回路DVCのコンデンサC1、C2の接続部分にそれぞれ接続される。スイッチSW4の第1および第2切換端子ST1、ST2は、整流蓄電回路FRCのダイオードBD7のアノード、および整流蓄電回路DVCのコンデンサC3、C4の接続部分にそれぞれ接続される。スイッチSW5の第1および第2切換端子ST1、ST2は、整流蓄電回路FRCのダイオードBD7のカソード、および整流蓄電回路DVCのダイオードRD1のカソードにそれぞれ接続される。
【0117】
発電機51のための整流蓄電回路DVC、FRCも、発電機39のための整流蓄電回路DVC、FRCと同様に、切換部400の別のスイッチSW1〜SW6に接続される。
【0118】
[第3の実施形態の動作および作用]
ユーザが、照明発光部300を使用するために切換部400を操作すると、スイッチSW1〜SW6が
図14に示す状態に切り換わり、発電機39のための整流蓄電回路FRC、および発電機51のための整流蓄電回路FRCを選択することができる。この選択状態で、スライド扉3Aが開閉すれば、第2の実施形態と同様に、発電動作、および充電動作が行われる。2つの整流蓄電回路FRCのコンデンサCDの充電電圧が、出力コネクタ81、83からそれぞれ出力される。
【0119】
ユーザが、画像表示部9を使用するために切換部400を操作すると、スイッチSW1〜SW6が
図14に示す状態から切り換わる。具体的には、スイッチSW1〜SW5が第2切換端子ST2に切り換わり、スイッチSW6が開放される。この切り換えにより、ユーザは、発電機39のための整流蓄電回路DVC、および発電機51のための整流蓄電回路DVCを選択することができる。この選択状態で、スライド扉3Aが開閉すれば、第1の実施形態と同様に、発電動作、および充電動作が行われる。2つの整流蓄電回路DVCのコンデンサC1〜C4の充電電圧が、出力コネクタ81、83からそれぞれ出力される。
【0120】
[第3の実施形態の効果]
ユーザは、筐体23内に収容される回路基板上の切換部400の操作部分を操作するのみで、整流蓄電回路DVCと整流蓄電回路FRCとを容易に切り換えることができる。この結果、動作電圧および動作電流が異なる画像表示部9および照明発光部300を、商店の広告表示形態などの用途に応じて切り換えることが容易となる。
【0121】
<構成の対応関係>
スライド扉用画像表示装置1、およびスライド扉用発電装置7が、本発明のスライド扉用作動装置、およびスライド扉用発電装置の一例である。スライド扉3A、3B、および扉支持機構5が、本発明のスライド扉、および扉支持部材の一例である。発電機39、51、および回転体41、53が、本発明の発電機、および回転体の一例である。筐体23、およびユニット案内溝33A、33B、35A、35Bが、本発明の筐体、および案内部材の一例である。コイルバネ61A、61B、65A、65Bが、本発明の付勢部材、および弾性体の一例である。支持板37、49が、本発明の支持体、および支持フレームの一例である。ユニット案内溝33A、33B、35A、35B、および支持板37、49の側端部が、本発明の案内溝、および突条の一例である。回路基板29、ダイオードRD1〜RD4、BD1〜BD8、およびコンデンサC1〜C4、CDが、本発明の回路基板、整流器、および蓄電器の一例である。画像表示部9、および照明発光部300が、本発明の作動機器の一例であり、画像表示手段、および照明手段の一例である。整流蓄電回路DVC、および整流蓄電回路FRCが、本発明の倍電圧整流回路、および全波整流回路の一例である。10個の発光ダイオードD1〜D10、および発光ダイオードDLが、本発明の直列接続された多数の発光ダイオード、および少なくとも1つの発光ダイオードの一例である。
【0122】
<変形例>
本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0123】
(1)本実施形態では、2枚のスライド扉3A、3Bが開閉する構成であるが、1枚のスライド扉でも、3枚以上のスライド扉でもよい。また、スライド扉3A、3Bは、平板状の形状であり、その開閉方向は直線方向でるが、これに限定されない。たとえば、スライド扉が湾曲状の面から構成され、その開閉方向が曲線方向でもよい。
【0124】
(2)本実施形態では、1個のスライド扉用発電装置7が、スライド扉3Aの開閉動作に伴い発電する構成であるが、このスライド扉用発電装置7と共に、別のスライド扉用発電装置が、スライド扉3Bの開閉動作に伴い発電する構成でもよい。
【0125】
(3)本実施形態では、発電機39、51がスライド扉3Aの開閉方向と直交する上下方向に配列され、回転体41、53も上下方向に配列されるが、この配列に限定されない。たとえば、発電機39、51がスライド扉の開閉方向に平行に配列され、回転体も開閉方向に平行に配列される構成でもよい。筐体が扉支持機構の基礎部分に埋設される場合、発電機の垂直方向の配列に比べ、発電機の水平方向の配列の方が、基礎部分に深い凹所を形成する必要がないので、筐体の埋設が比較的容易になる。
【0126】
(4)本実施形態では、スライド扉用発電装置7の筐体23が、スライド扉3Aの下方位置に配置されるが、筐体の配置位置は、スライド扉の上方位置でも、側方位置でもよい。
【0127】
(5)第1の実施形態では、10個の発光ダイオードD1〜D10が、表示パネル201の側端部から照射し、表示パネル201に描かれた画像を表示する構成であるが、多数の発光ダイオードを使用して画像を表示するのであれば、如何なる構成でもよい。また、第2の実施形態では、発電機39、51が発電した電力が照明発光部300の1つの発光ダイオードDLに供給される構成であるが、両発電機が発電する電力を2つの発光ダイオードに個別に供給する構成でもよい。
【0128】
(6)第3の実施形態では、ユーザが切換部400の操作部分を操作することにより、スイッチSW1〜SW6が連動して切り換わり、2つの整流蓄電回路DVC、FRCのいずれかを選択する構成である。このスイッチによる選択に代えて、ユーザが、発電側コネクタ73に接続された接続ラインのコネクタを、回路基板上に配設された整流蓄電回路DVCの基板側コネクタ77と、整流蓄電回路FRCの基板側コネクタ77とのいずれかに差し替えることにより、2つの整流蓄電回路DVC、FRCのいずれかを選択する構成でもよい。
【0129】
(7)本実施形態では、人間の接近および離間を感知してスライド扉3A、3Bが開閉する自動扉であるが、この構成に限定されない。人間の操作により開閉するスライド扉でもよい。たとえば、人間が踏板を踏み込むことにより軽荷重でスライド扉を開放する構成でもよく、このような構成のスライド扉は、特開2009−275499号公報などにより公知である。
【0130】
(8)本実施形態では、発光ダイオードD1〜D10、DLを常時点灯させる構成であるが、これに限定されない。たとえば、昼間は、発光ダイオードを点灯させずに、コンデンサの充電のみを行い、夜間に、発光ダイオードを点灯させる構成でもよい。昼間と夜間とにおける発光ダイオードの消灯と点灯との切り換えは、ユーザの操作により行われる構成でも、周囲の明るさを感知して行われる構成でもよい。また、本実施形態では、コンデンサは発電機が発電する電力のみで充電されるが、太陽光発電手段を併用して充電される構成でもよい。