(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012979
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/12 20060101AFI20161011BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
H01F27/12 Z
H01F27/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-32793(P2012-32793)
(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公開番号】特開2013-171850(P2013-171850A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】西川 誠
(72)【発明者】
【氏名】花山 雄司
【審査官】
久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−128130(JP,A)
【文献】
実開昭60−48214(JP,U)
【文献】
特開平7−192932(JP,A)
【文献】
特開平1−117006(JP,A)
【文献】
実開昭57−175510(JP,U)
【文献】
特開平5−114519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/02、27/10−27/18、29/02−29/04
H01F 30/00−30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心に巻装した巻線とタップ切換器を収納する本体タンクと、絶縁油を冷却する冷却器と、前記本体タンクと冷却器との間に接続された変圧器出口側配管及び変圧器入口側配管とが備えられている変圧器において、
前記本体タンク内には前記絶縁油が充填され、前記本体タンクは、前記冷却器で冷却された前記絶縁油が、前記変圧器入口側配管から流入して前記巻線内を上昇した後、前記タップ切換器側に流入し、前記タップ切換器側の前記本体タンク内を下降して前記変圧器出口側配管に流入するように構成されており、
前記変圧器入口側配管が前記本体タンクの下部に接続され、前記変圧器出口側配管が前記冷却器と対向する高さ位置で前記本体タンクに接続されていることを特徴とする変圧器。
【請求項2】
前記変圧器出口側配管が本体タンクの底板部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
前記変圧器出口側配管が本体タンクの側板部の下部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックやトレーラなどの車両の荷台(ベース)上に据え付けられ、移送先で一時的に使用する移動用変圧器その他の導油式の変圧器に関し、詳しくは、鉄心に巻装した巻線とタップ切換器を収納する本体タンク、絶縁油を冷却する冷却器、本体タンクと冷却器との間で絶縁油を循環させる配管およびポンプ等を備え、巻線内に油を強制循環させる導油式等の変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所内の変圧器が故障し、あるいは、工事用電源や災害時用緊急電源として、移動用変圧器が使用されている。移動用変圧器は、トラックやトレーラなどの荷台(ベース)上に据え付けられる本体タンクや冷却器などを備えている。本体タンク内には、鉄心に巻装した巻線とタップ切換器が収納され、絶縁油が循環することで冷却される。
【0003】
移動用変圧器は、限られた質量内で出来るだけ大容量のものとするため、殆どの場合、冷却方式に導油風冷式が採用される。この方式の移動用変圧器では、
図3に示す様に、トレーラ又はトラックの荷台であるベース1に備え付けられた本体タンク10と冷却器20とが変圧器出口側配管31と変圧器入口側配管32とによって接続され、ポンプ33によって絶縁油を循環させている。なお、変圧器出口側配管31及び変圧器入口側配管32の途中には、振動を吸収するための伸縮管継手34が接続されている。
【0004】
そして移動用変圧器の使用時は、絶縁油が本体タンク10内の巻線内部を下部から上部に上昇することで、本体タンク10内の巻線などを冷却する。この冷却によって昇温した絶縁油は、変圧器上部に設けられた変圧器出口側配管31内を流動し、冷却器20によって冷却される。この冷却された絶縁油は、変圧器入口側配管32内を流動し、再び本体タンク10内に流入する。
【0005】
冷却器20は小容量のものを除き、低重心化出来る横置きが採用されることが多い。
この場合、冷却器20の上面にはファン21が付設され、油の出入口は共に低い位置に設けられる。冷却器20は本体タンク10の下部とおおよそ同程度の高さに設置されるため、変圧器出口側配管31は本体タンク10上部から冷却器20まで高低差をもってカーブして配管される必要がある。
【0006】
なお、特許文献1には、トレーラ又はトラックの荷台であるベースに据え付けられた本体タンクと冷却器とが冷却器流入側配管と冷却器流出側配管とによって接続され、絶縁油を循環させる移動用変圧器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−150056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
冷却器20によって冷却された絶縁油が圧力損失を生ずることなく本体タンク10内に流入するようにするため、変圧器入口側配管32は、水平方向に短く配管され、本体タンク10の下部に接続されている。そして、絶縁油は
図4に示すように、本体タンク10内において巻線41内を下部から上部へ一方向に流動するため、変圧器出口側配管31は、本体タンク10の上部に接続されている。
【0009】
しかし、変圧器出口側配管31は、前記のように高低差をもってカーブして配管され、配管が長くなることにより重量が増加するだけでなく、圧力損失が増えて冷却効率が低下する。さらに、配管が長く、高い位置にあることで、移動時などにおいて振動の影響を受けやすく、伸縮管継手や配管の溶接部から絶縁油が漏洩する危険性も高まる。
【0010】
そこで、本発明は、本体タンク内の絶縁油を冷却器へ流動させるための配管の高低差をなくし、この配管を従来より短く本体タンクと冷却器との間に配管できるようにした変圧器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る移動用変圧器は、鉄心に巻装した巻線とタップ切換器を収納する本体タンクと、絶縁油を冷却する冷却器と、前記本体タンクと冷却器との間に接続された変圧器出口側配管及び変圧器入口側配管とが備えられている変圧器において、
前記本体タンク内には前記絶縁油が充填され、前記本体タンクは、前記冷却器で冷却された前記絶縁油が、前記変圧器入口側配管から流入して前記巻線内を上昇した後、前記タップ切換器側に流入し、前記タップ切換器側の前記本体タンク内を下降して前記変圧器出口側配管に流入するように構成されており、前記変圧器入口側配管が前記本体タンクの下部に接続され、前記変圧器出口側配管が前記冷却器と対向する高さ位置で前記本体タンクに接続されていることを特徴としている。
【0012】
この移動用変圧器によれば、変圧器出口側配管が冷却器と対向する高さ位置で本体タンクに接続されることで、変圧器出口側配管は、高低差を解消し、従来より短く本体タンクと冷却器との間に配管できる。したがって、この変圧器出口側配管は、重量が軽減され、また、低い位置で短く配管されることで、移動時などにおいて振動の影響を受けにくく、伸縮管継手や配管から絶縁油が漏洩する危険性も低減することができる。
【0013】
さらに、この変圧器出口側配管は、短くされることで、圧力損失を少なくし、冷却効率が低下しないようにすることができる。さらに、変圧器出口側配管がコンパクト化されることにより、この移動用変圧器を据え付けるベース上の他の装置は、レイアウトの自由度を高めて配置することができる。
【0014】
なお、冷却器で冷却された絶縁油は、変圧器入口側配管から変圧器内に底側から流入し、巻線内を冷却しつつ上昇した後、タップ切換器側に流入し、タップ切換器側の本体タンク内を下降して変圧器出口側配管内に流入し、変圧器出口側配管から冷却器に戻される。
【0015】
従来では、巻線上部から出た絶縁油は、本体タンク上部に設けられた変圧器出口側配管に流出した後に、配管内で冷却器の高さまで降ろされていたが、本発明では、この高さ方向の絶縁油の移動を、本タンクを利用して行うことになる。本タンクの流路断面積は配管よりもはるかに広いため、圧力損失を少なくすることができる。
【0016】
また、前記本発明に係る移動用変圧器においては、変圧器出口側配管が本体タンクの底板部に接続されているが、本体タンクのタップ切換器側の側面下部や、巻線側の側面下部等、レイアウトの都合により自由な箇所に接続しても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、変圧器内の絶縁油を冷却器へ流動させるための配管の高低差をなくし、この配管を従来より短く本体タンクと冷却器との間に配管できるようにした変圧器が提供されることにより、冷却効率の向上、コストの低減、変圧器の信頼性などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る変圧器の一実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【
図2】本発明に係る変圧器の一実施形態を示す要部拡大断面図である。
【
図3】従来の移動用変圧器の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【
図4】従来の移動用変圧器の要部を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る変圧器の一実施形態について
図1及び
図2を参照しながら説明する。この変圧器は移動用変圧器であって、トラックのベース1上の後側部に据え付けられる本体タンク10とベース1の前側部に据え付けられる冷却器20とを変圧器出口側配管31及び変圧器入口側配管32によって接続し、ポンプ33により本体タンク10と冷却器20との間で絶縁油40を循環させる機器である。
【0020】
本体タンク10は、
図2に示すように、鉄心に巻装した巻線41とタップ切換器42とを収納した密閉容器であり、絶縁油40が流動する。また、本体タンク10は、底板部11と天板部12の外周縁を側板部13が囲っている。
【0021】
そして、本体タンク10の巻線41を収納した側の底板部11に変圧器入口側配管32が接続され、この変圧器入口側配管32から本体タンク10内にポンプ33によって絶縁油40が流入する。
【0022】
また、本体タンク10のタップ切換器42側の下部側には、変圧器出口側配管31が接続されている。本体タンク10の下部とは、
図1(b)(c)に示すように冷却器20と対向する高さ位置のことであり、具体的には、
図2の実線で示したような底板部11である。
【0023】
また、変圧器出口側配管31は、
図2の仮想線で示したような本体タンク10の側板部13の下部に接続してもよい。こうすることにより、変圧器出口側配管31をカーブさせないようにすることができる。
【0024】
また、変圧器出口側配管31は、
図2では巻線41の側方(トラックのベース1の側部)にレイアウトされたタップ切換器42側の側板部13の下部に接続しているが、巻線41の油流入側でなければ、巻線41側の底板部11や側板部10に接続してもよい。例えば冷却器20の後方(トラックのベース1の後部)に、巻線41−タップ切換器42の順に直線状にレイアウトした変圧器(図示せず)においては、変圧器出口側配管31を本体タンク10の巻線41側の底板部11や側板部10に接続することにより、変圧器出口側配管31を短くすることができる。
【0025】
いずれにしても、変圧器出口側配管31および変圧器入口側配管32の途中には、振動を吸収するための伸縮管継手34が接続されている。
【0026】
そして、このように接続された変圧器出口側配管31は、高低差がなく、あるいは、殆ど、さらに、迂回しないように配管されることから、従来の変圧器出口側配管31よりも短く、また、重量が軽減されている。さらにベース1近くを短く配管されているので、変圧器出口側配管31は、移動時などにおいて振動の影響を受けにくく、伸縮管継手34や配管31,32から絶縁油40が漏洩する危険性も低減することができる。
【0027】
また、短くされた変圧器出口側配管31は、圧力損失が少なくなることで、冷却効率が低下しないようにすることができる。さらに、この変圧器出口側配管31は、迂回して配管されないため、各種補機50のレイアウトの自由度を高め、変圧器のコンパクト化にも寄与する。
【0028】
例えば
図3に示す従来の移動用変圧器では、冷却器20側の補機50を避けるため、変圧器出口側配管31は、本体タンク10と冷却器20との間に配管せざるを得なかった。対して
図1に示す本発明に係る変圧器では、冷却器20側の補機50の下側の空間を利用して配管できるため、本体タンク10と冷却器20の距離を縮めることが可能となり、その結果、より全長の短いトラックに搭載することが可能となる。
【0029】
なお、本体タンク10からは、巻線41の端子を引き出すブッシング43が台車の後方へ突出している。また、冷却器20の上面にはファン21が付設されている。
【0030】
そして、この移動用変圧器は、冷却器20において冷却された絶縁油40が変圧器入口側配管32から本体タンク10内に流入し、そして、本体タンク10内において底板部11側から巻線41内部を天板部12側へ流動することで、巻線41を冷却した後、巻線41からタップ切換器42の方へ流れ、変圧器出口側配管31から冷却器20に戻るように循環する。
【0031】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、種々変更することができる。例えば、巻線とタップ切換器が凸形状に配置されるのではなく、一直線上に並んでいても良い。またブッシング43は、気中タイプが後方に突出するのでなく、スリップオンケーブルヘッドが側方に突出してもよい。さらに、本発明の変圧器は、移動用変圧器に限定することなく、導油式や導ガス式変圧器全般においても実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
10……本体タンク
11……底板部
12……天板部
13……側板部
20……冷却器
31……変圧器出口側配管
32……変圧器入口側配管
40……絶縁油
41……巻線
42……タップ切換器