特許第6012983号(P6012983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012983
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】被覆粉体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/00 20060101AFI20161011BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20161011BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20161011BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B01J2/00 B
   C09C3/08
   C09C3/12
   A61K8/29
   A61Q1/02
   A61Q17/04
   A61K8/891
   A61K8/89
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-41680(P2012-41680)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-176723(P2013-176723A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】實藤 憲彦
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 進也
【審査官】 松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−221827(JP,A)
【文献】 特開昭55−136213(JP,A)
【文献】 特開平07−062263(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/055761(WO,A1)
【文献】 特開2002−080748(JP,A)
【文献】 特開2005−132786(JP,A)
【文献】 特開2005−349305(JP,A)
【文献】 特公昭38−24575(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
C09C 1/00− 3/12
C09D 15/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体と第一被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、不活性雰囲気下100〜200℃の温度で加熱処理して、粉体表面の少なくとも一部に第一加熱固定被覆を形成する工程と、
前記の工程で得られた粉体と第二被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、不活性雰囲気下100〜200℃の温度で加熱処理して、その第一加熱固定被覆の上の少なくとも一部に第二加熱固定被覆を形成する工程とを含む、被覆粉体の製造方法。
【請求項2】
前記の第一被覆有機化合物がポリシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン、脂肪酸又はその塩、ポリオレフィン、水添レシチン又はその塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、デキストリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種である、請求項に記載の被覆粉体の製造方法。
【請求項3】
前記の第二被覆有機化合物がポリシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン、脂肪酸又はその塩、ポリオレフィン、水添レシチン又はその塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、デキストリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種である、請求項に記載の被覆粉体の製造方法。
【請求項4】
前記の第一被覆有機化合物が少なくともメチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体であり、前記の第二被覆有機化合物が少なくともジメチルポリシロキサンである、請求項に記載の被覆粉体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法で製造した被覆粉体を10〜75重量%の濃度で親油性分散媒に混練又は混合分散させる、被覆粉体を含む分散体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆粉体及びその製造方法に関する。また、本発明は、前記の被覆粉体を含む分散体、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体の表面に有機化合物を被覆すると、粉体の分散性、貯蔵安定性、使用適性を高めたり、粉体の機能、例えば、皮膚への付着力(付着性)、感触(使用感)、光沢、隠蔽力、着色力、透明性、紫外線や赤外線の遮蔽能、導電性、蛍光性、発光性、触媒活性等を飛躍的に向上させたりすることができる。このため、有機化合物を被覆した粉体は、化粧料、プラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉、外添剤)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用されている。
【0003】
このような有機化合物被覆粉体は例えば、特許文献1には、粉体にジメチコン(ジメチルポリシロキサン)とジメチコン/メチコンコポリマー(メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体)との混合物をミキサーで混合して、粉体の表面に前記混合物を被覆することを記載している。
【0004】
また、特許文献2には、粉体の粒子表面に形成された反応性オルガノポリシロキサン等の常温で固体状の表面処理剤被覆層(A層)及び片末端官能基変性オルガノポリシロキサン等の常温で液体状の表面処理剤被覆層(B層)とを含有する表面処理粉体であって、ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等で処理すべき粉体と固体状の表面処理剤を混合した後、液体状の表面処理剤を混合し乾燥する乾式法、JETミルのような高速気流中で処理すべき粉体と固体状の表面処理剤を接触させ被覆した後更に、液体状の表面処理剤を接触させて被覆する方法等を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−56082号公報
【特許文献2】特開2001−72527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】

特許文献1や2の方法で製造した有機化合物被覆粉体では、有機化合物の被覆によって油性分散性(疎水性)が得られているが、使用中に油性分散性が徐々に低下するため、長期間の分散安定性に優れた被覆粉体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、個々の粒子により強固な被覆を行えば、使用中に有機化合物の被覆が剥がれにくく、分散安定性を改善できると考えて種々研究した結果、粉体表面の少なくとも一部に形成された有機化合物の第一加熱固定被覆及びその被覆の上の少なくとも一部に有機化合物の第二加熱固定被覆を形成することにより、所望の被覆粉体が得られること、このような被覆粉体は、粉体と第一被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理して第一加熱固定被覆を形成する工程と、前記の工程で得られた粉体と第二被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理して第二加熱固定被覆を形成する工程を行うことにより製造できることなどを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)粉体表面の少なくとも一部に形成された有機化合物の第一加熱固定被覆及びその第一加熱固定被覆の上の少なくとも一部に形成された有機化合物の第二加熱固定被覆を有する被覆粉体、
(2)粉体と第一被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理して、粉体表面の少なくとも一部に第一加熱固定被覆を形成する工程と、前記の工程で得られた粉体と第二被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理して、その第一加熱固定被覆の上の少なくとも一部に第二加熱固定被覆を形成する工程とを含む、被覆粉体の製造方法、
(3)前記(1)に記載の被覆粉体を含む分散体、
(4)前記(1)に記載の被覆粉体を含む化粧料、などである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、有機化合物の第一加熱固定被覆、第二加熱固定被覆を施した粉体であって、長期間の油性分散安定性、疎水安定性等に優れているため、種々の用途に用いることができる。例えば、本発明の被覆粉体を溶媒に分散した分散体や化粧料に配合すると長期間の安定した使用が可能であり、また、粉体の高濃度化も可能となる。
また、本発明は、被覆粉体の製造方法であり、粉体と有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理する工程を二回行って第一加熱固定被覆、第二加熱固定被覆を施すことによって一層強固な被覆が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、粉体表面の少なくとも一部に形成された有機化合物の第一加熱固定被覆及びその第一加熱固定被覆の上の少なくとも一部に形成された有機化合物の第二加熱固定被覆を有する被覆粉体である。
【0011】
粉体としては、種々の物質を用いることができ、例えば、体質顔料として、マイカ、セリサイト、タルク、クレー、カオリン、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、窒化ホウ素、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等を挙げることができる。また、白色顔料としては、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等を、着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、亜酸化銅、黒鉛、黄鉛、カドミウムエロー、カドミウムレッド、コバルトブルー、モリブデートオレンジ等を、蛍光顔料としては、硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等を、パール顔料としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、魚鱗箔等を、微粒子粉体としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等を、金属光沢顔料としては、アルミニウムパウダー、亜鉛粉、金粉、銀粉、スズ粉、ステンレスパウダー、ダイヤモンドパウダー、銅粉、ニッケルパウダー、ブロンズパウダー等を、蛍光顔料としては硫化亜鉛、タングステン酸カルシウム等を、その他の粉体としては、酸化錫、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、Alドープ酸化亜鉛等をそれぞれ挙げることができる。また、必要に応じてこれらの粉体を複合化したもの又は無機化合物で被覆したものを用いることができる。例えば、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等の微粒子粉体をアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズの少なくとも1種の酸化物又は含水酸化物で被覆した粉体、ベンガラ等の無機着色顔料を無水ケイ酸で被覆した粉体、体質顔料を微粒子白色顔料で被覆した粉体等が挙げられる。
【0012】
本発明の被覆粉体は、粉体表面の少なくとも一部に特定の有機化合物を被覆するが、有機化合物を加熱により粉体表面に固定する被覆(以下、加熱固定被覆と称する。)であり、第一加熱固定被覆、その第一加熱固定被覆の上の少なくとも一部に形成された第二加熱固定被覆の二層を備える。第一加熱固定被覆量、第二加熱固定被覆量は適宜設定することができ、合計量で粉体の重量に対して5〜30重量%程度が好ましく、10〜25重量%がより好ましく、15〜25重量%が更に好ましい。また、第一加熱固定被覆と第二加熱固定被覆の被覆比は、それぞれの重量比で5/10〜10/10が好ましく、5/10〜8/10がより好ましく、5/10〜7/10が更に好ましい。
【0013】
前記の第一加熱固定被覆を形成する第一被覆有機化合物は、ポリシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン、脂肪酸又はその塩、ポリオレフィン、水添レシチン又はその塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、デキストリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種が好ましい。また、前記の第二加熱固定被覆を形成する第一被覆有機化合物は、ポリシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン、脂肪酸又はその塩、ポリオレフィン、水添レシチン又はその塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、デキストリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0014】
ポリシロキサンは、ジクロロジメチルシラン等のシラン類を加水分解し、生成したシラノールが脱水縮合したオリゴマー又はポリマーである。ポリシロキサンとしては例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメトキシポリシロキサン、変性オルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体等のシロキサンコポリマー、シリコーンポリマー、トリオルガノシロキシケイ酸などのシラノールが脱水縮合したオリゴマー又はポリマーを含む化合物である。
【0015】
具体的には、オルガノポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサンが挙げられ、それはジメチコンともいわれ、その基本化学構造は、次の一般式(I)で表される。一般式(I)におけるnが、n=1〜400のものが好ましく、粘度は概ね1〜1000センチストークスのものが好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】
また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、重合度nが3〜7の整数であることがより好ましい。シロキサンコポリマーとしては、メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられ、それはジメチコン/メチコンコポリマーともいわれ、その基本化学構造は、次の一般式(II)で表され、本発明においては、一般式(II)におけるm、nが、m=7〜14、n=3〜8であり、m+nが、m+n=10〜22のものが好ましい。
【0018】
【化2】
【0019】
また、アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。アルキルシランとしては、メチルシラン、エチルシラン、オクチルシラン等が挙げられる。脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)、それらの塩、それらの金属塩等を挙げることができる。また、トリメチルシロキシケイ酸は、水ガラスのナトリウムをトリメチルシリル基で置換して得られたものを溶媒に溶解したものである。
【0020】
また、ポリオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができ、例えば、分子量500〜20000で融点が40℃以上の低分子ポリエチレンや、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等の市販品を使用することができる。
【0021】
水添レシチンとしては、卵黄、大豆、コーン、菜種等から抽出された天然のレシチンや合成レシチンを水素添加したもので、ヨウ素価が好ましくは30以下、より好ましくは15以下の水添レシチンであり、リン酸基を有するグリセライドである。塩の形態にあるものとしては、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Ti等の水不溶性水添レシチン金属塩が好ましい。
【0022】
また、N−アシルアミノ酸は、アミノ酸のアミノ基及び/又はイミノ基がアシル化されたものである。アミノ酸の種類としては、グリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、セリン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン等を挙げることができる。
【0023】
N−アシル体を構成する脂肪酸は、長鎖脂肪酸が好ましく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。塩の形態としてはNa、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Zr、Ti等の金属塩や、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の各種アルカノールアミン塩等を挙げることができる。
【0024】
また、デキストリン脂肪酸エステルとしては、デキストリンと脂肪酸とで構成されるエステル或いはその誘導体から選択することができる。好ましくは、デキストリン1分子に対し、その水酸基の1つに炭素数8〜24の脂肪酸の1分子がエステル化した部分構造を少なくとも有するエステル体或いはその誘導体、例えばデキストリン1分子に対し炭素数8〜24の脂肪酸が1個又は複数個、その水酸基の1個又は複数個にエステル結合した構造を有するエステル体や当該エステル体において水酸基が更に別種の脂肪酸でエステル化された誘導体等を挙げることができる。
【0025】
本発明においては、第一加熱固定被覆が少なくともメチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体を含む被覆であり、第二加熱固定被覆が少なくともジメチルポリシロキサンを含む被覆であるのがより好ましい。メチルハイドロジエンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体は、上記一般式(II)のとおり水素基を有しているため、粉体表面に水素結合により被覆され、更に、残る水素基とジメチルポリシロキサンとの結合により、二層の強固な被覆が形成される。
【0026】
次に、本発明は、粉体と第一被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理して、粉体表面の少なくとも一部に第一加熱固定被覆を形成する工程と、前記の工程で得られた粉体と第二被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕した後、加熱処理して、その第一加熱固定被覆の上の少なくとも一部に第二加熱固定被覆を形成する工程とを含む、被覆粉体の製造方法である。
【0027】
まず、粉体と第一被覆有機化合物とを気流粉砕機に入れ粉砕する。気流粉砕機は、高速でアルゴンガスや窒素ガス等をノズルから噴出させ、このガス流によって粉末粒子を加速、互いに衝突させて粉砕する機械であり、ジェットミル、クロスジェットミル、セレンミラー等を用いることができる。
【0028】
次に、粉砕物を加熱する処理を行う。第一加熱処理の温度、時間は適宜設定することができ、加熱温度は50〜300℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、120〜170℃が更に好ましい。加熱時間は0.5〜12時間が好ましい。加熱雰囲気は酸素ガス、大気中等の酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気のいずれでもよく、特に不活性ガス雰囲気が好ましい。この第一加熱処理により、粉砕物を乾燥させるとともに、第一加熱固定被覆を形成する。
【0029】
次いで、第一加熱固定被覆した粉体は、第二被覆有機化合物と前記の気流粉砕機に入れ粉砕した後、第二加熱処理する。第二加熱処理の温度、時間は適宜設定することができ、加熱温度は50〜300℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、120〜170℃が更に好ましい。加熱時間は0.5〜12時間が好ましい。加熱雰囲気は酸素ガス、大気中等の酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気のいずれでもよく、特に不活性ガス雰囲気が好ましい。この第二加熱処理により、粉砕物を乾燥させるとともに、第二加熱固定被覆を形成する。
【0030】
第一被覆有機化合物、第二被覆有機化合物としては、前記の有機化合物を用いることができ、第一被覆有機化合物としては少なくともメチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体がより好ましく、第二被覆有機化合物としては少なくともジメチルポリシロキサンがより好ましい。
【0031】
なお、気流粉砕機に入れる前に、粉体と第一被覆有機化合物又は第二被覆有機化合物とを混合させるのが好ましく、ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等の混合機、ボールミルやサンドグラインダー等のミルで混合するのが好ましい。混合条件は適宜設定することができ、例えば、混合温度は室温が好ましく、混合雰囲気は酸素ガス、大気中等の酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気のいずれでもよく、特に不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0032】
次に、本発明は、前記の被覆粉体を含む分散体であり、被覆粉体を分散媒に分散したものである。
【0033】
被覆粉体の濃度は適宜調整することができるが、より高い濃度が好ましい。具体的には、10〜75重量%が好ましく、10〜65重量%がより好ましく、30〜60重量%が更に好ましい。
【0034】
分散媒としては、特に限定されず、適宜種々のもの用いることができ、親油性分散媒を好適に用いることができる。具体的には、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール等の一価アルコール系溶剤類、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソヘキサン、イソオクタン、ガソリン、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、アミルベンゼン等の芳香属炭化水素系溶剤類、ジペンテン、テレビン油等の植物系炭化水素系溶剤類、ニトロパラフィン、ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素系溶剤類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、パークロルエチレン、モノクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、プロピレンオキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、ぎ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル等のエステル系溶剤類、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、カカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、ミンク油、乳脂、卵黄油、タートル油等の油脂類、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、バチルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソイソプロピル、オクタン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリル酸グリセリル、イソノナン酸イソオクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸ミリスチル、ジイソノナン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等のエステル油類、ミツロウ、カンデリラロウ、鯨ロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、ヌカロウ、イボタロウ、オレンジラッフィー油、モンタンロウ、サトウキビロウ、セラックロウ、ラノリン、ホホバオイル、等のロウ類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、オレフィン変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、パーフルオロジメチルシクロブタン、メトキシノナフルオロブタン、エトキシノナフルオロブタン、ドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、4−トリトリフルオロメチルパーフルオロモルホリン、4−ペンタフルオロエチルパーフルオロモルホリン等のフッ素系油剤、UV吸収剤としてパラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸類、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸類、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート等のサリチル酸類、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート等の桂皮酸類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、シリコーン変性紫外線吸収剤、フッ素変性紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を本発明において親油性溶媒として使用できる。
【0035】
また、本発明の分散体には、顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0036】
例えばPOEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、脂肪酸セッケン、スルホコハク酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン、カゼインナトリウム等のアニオン系界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系界面活性剤、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、アルキルベタイン、アミドベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン系両性界面活性剤、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEソルビタンモノオレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル、POEモノオレート、POEジステアレート等のPOE脂肪酸エステル、POEラウリルエーテル、POEステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル、POE・POP水添ラノリン等のPOE・POPアルキルエーテル、硬化ひまし油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、でんぷん脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸等のノニオン系界面活性剤、その他レシチン等のリン脂質類、トレハロースリピド等の糖脂質類、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素系界面活性剤等、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ベントナイト、スメクタイト、カオリン等の天然又は合成の粘土鉱物、有機アミンカチオン変性ベントナイト等の有機変性粘土鉱物、アエロゾル等を挙げることができる。
【0037】
本発明における被覆粉体を分散媒に混練又は混合分散させる方法は、公知の方法を採用すればよく特に限定されない。例えば、ニーダー混練、ヘンシル混練、ロール混練、エクストルーダー混練等の混練混合機、プロペラミキサー、ハイスピードミキサー、ディゾルバー、ホモジナイザー、アルテマイザー、湿式ジェットミル、コロイドミル、マスコロイダー、ビーズミル、サンドミル等の湿式混合分散機を使用して分散体を製造することができる。
【0038】
次に、本発明は、前記の被覆粉体を含む化粧料であり、前記の被覆粉体を配合して化粧料としたり、前記の分散体を用いて液体化粧料としたりしてもよい。例えば、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等の仕上用化粧品、エモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス等の皮膚用化粧品、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等の頭髪用化粧品、その他として日焼け止め又は日焼け用クリームや乳液、石鹸、浴用剤、香水等を挙げることができる。
【0039】
被覆粉体の配合量は、化粧料の形態に応じて適宜配合することができ、例えば、液体化粧料には、1〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、1〜10重量%が更に好ましい。本発明の化粧料には、通常配合されるものを用いることができ、例えば、顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0040】
本発明の被覆粉体、分散体は、化粧料以外の用途にも好適に用いることができ、プラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉、外添剤)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用される。
【実施例】
【0041】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0042】
(実施例1)
微粒子酸化チタン(石原産業社製、TTO−S−3)1000gにメチルハイドロジエンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体(信越化学工業社製、KF−9901)75gを加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて1800rpm、室温下窒素雰囲気で20分間混合した。次いで、混合物を気流粉砕機(セイシン企業社製)にて粉砕した後に、イナートオーブン(ヤマト科学社製、DN−4101)に入れ窒素雰囲気下150℃で30分間加熱処理を施し、第一加熱固定被覆粉体を得た。
【0043】
次に、得られた粉体1000gにジメチルポリシロキサン(信越化学工業社製、KF−96−100cs)70gを加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて1800rpm、室温下窒素雰囲気下で20分間混合した。次いで、混合物を前記の気流粉砕機にて粉砕した後に、前記のイナートオーブンに入れ窒素雰囲気下150℃で30分間加熱処理を施して第二加熱固定被覆を形成して、本発明の被覆粉体(試料A)を得た。
【0044】
(比較例1)
実施例1の第一の工程において、微粒子酸化チタンとメチルハイドロジエンシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体との混合物を気流粉砕機にて粉砕した後に、窒素雰囲気下150℃で30分間加熱処理を施こさないこと以外は、実施例1と同様に処理して、被覆粉体(試料B)を得た。
【0045】
(分散体の作製)
上記の方法で作製した試料A、Bそれぞれ100gを225ccマヨネーズ瓶に入れ、シクロペンタシロキサン(信越化学工業社製、KF−995)100gとガラスビーズを加え、ペイントシェーカーで30分間分散した。次に、ガラスビーズを濾別して試料Aを用いた本発明の分散体(試料C)と、試料Bを用いた比較用の分散体(試料D)を得た。
【0046】
(分散安定性評価)
試料C、D各40mlをプラスチックチューブに入れ、遠心分離機(himac CR21GII 日立工機社製)にて、5000rpmで1分間の遠心分級を行った。
遠心分級後の試料を目視で観察した結果、本発明の試料Cは試料Dに比べて、長期間の油性分散安定性に優れていることを確認した。
【0047】
(紫外線遮蔽評価結果)
100ccのポリプロピレンカップに前記の分散体(試料C、D)それぞれ3gを入れ、シクロペンタシロキサン18.4gを加え、ホモミキサー(特殊機化工業社製、T.K.ROBOMICS)を用いて5000rpmで5分間分散した。この分散液をTACフィルム上に、膜厚25.4μmとなるようにアプリケーターで塗布し、分光光度計(日本分光株式会社製、V−660)を用いて275nmから750nmの波長で透過率を測定した。結果を表1に示す。本発明の分散体は、紫外線遮蔽能に優れており、可視光の透過率は同程度であることがわかった。
【0048】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、二層の加熱固定被覆を施した粉体であって、長期間の油性分散安定性、疎水安定性等に優れているため、化粧料、プラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉、外添剤)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用される。