【実施例】
【0064】
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1−1〜1−8)
透光性基板としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、透光性基板上に、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる光半透過膜を成膜した。
具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N
2)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N
2:He=5:49:46)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて、透過率は6.16%、位相差が184.4度となっていた。なお、透過率は、分光光度計(島津製作所社製:SS3700)を用いて測定し、位相差は、位相差測定機(レーザーテック社製:MPM−193)を用いて測定した。
【0065】
以上のようにして、ガラス基板上にMoSiN光半透過膜のパターン形成用薄膜を有する位相シフトマスクブランクを作製した。
次に、上記の位相シフトマスクブランクを用いて、ハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
まず、上記マスクブランク上に、レジスト膜として、電子線描画用化学増幅型ネガレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 SLV08)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。上記レジスト膜を塗布後、所定の加熱乾燥処理を行った。レジスト膜の膜厚は165nmとした。
【0066】
次に上記マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。次に、上記レジストパターンをマスクとして、光半透過膜(MoSiN膜)のエッチングを行って光半透過膜パターンを形成した。ドライエッチングガスとして、SF
6とHeの混合ガスを用いた。
残存するレジストパターンを剥離して、位相シフトマスクを得た。なお、光半透過膜の透過率及び位相差はマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。上記光半透過膜パターン表面の膜密度をXRR(X線反射率法)で測定したところ、1.7g/cm
3であった。
【0067】
次いで、上記光半透過膜パターンに対して、紫外線を照射しながら、オゾンガスを作用させる本発明の処理を行った。
すなわち、チャンバー内に上記位相シフトマスクを設置し、該チャンバー内に、高濃度オゾンガス(100体積%)を導入してチャンバー内を該ガスで置換することにより、上記位相シフトマスクの光半透過膜パターンに上記高濃度オゾンガスを接触させるようにした。この時のガス流量は50sccm、ガス圧力は70Paとした。また、上記チャンバー内に設置した高圧水銀灯で上記光半透過膜に対して紫外線照射を行った。この時の紫外線照射パワーは、600mW/cm
2とした。また、基板(マスク)は200℃に加熱し、処理時間(紫外線照射とオゾンガスを作用させる時間)は10分とした。
【0068】
以上のようにして作製された位相シフトマスク(実施例1−1)の上記光半透過膜パターンの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.7nmの被膜(表面改質層)が均一に形成されていた。また、表面改質層の膜密度をXRR(X線反射率法)で測定したところ、2.0g/cm
3であった。
また、処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。
このように、本発明の処理前後において、光半透過膜パターンの光学特性が変化(劣化)することなく、表面改質層を形成することが確認できた。
【0069】
作製した実施例1−1の位相シフトマスクを、位相シフトマスクを電動モータ等で回転させながら、洗浄液供給ノズルから温水(90℃)を光半透過膜パターンに対して60分供給することにより、温水洗浄を行った。なお、この方法は通常行われている温水洗浄よりも過酷な条件である。
【0070】
上記洗浄後、上記光半透過膜パターンのArFエキシマレーザー波長193nmにおける透過率を測定したところ、上記洗浄前の透過率に対する変化は、+0.01%と非常に小さく、優れた耐温水性を備えていることが確認できた。なお、上記透過率変化は、+(プラス)は、洗浄前に対して洗浄後の透過率が増加したことを、−(マイナス)は、洗浄前に対して洗浄後の透過率が減少したことを表すものとする。
【0071】
また、上記の本発明の処理において、処理時間を5分としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−2)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略1.9nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は1.8g/cm
3であった。作製した実施例1−2の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、−0.06%であった。
【0072】
また、上記の本発明の処理において、処理時間を20分としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−3)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.7nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は1.9g/cm
3であった。作製した実施例1−3の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.04%であった。
【0073】
また、上記の本発明の処理において、処理時間を40分としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−4)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.8nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は2.0g/cm
3であった。作製した実施例1−4の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、−0.02%であった。
【0074】
また、上記の本発明の処理において、紫外線の照射パワーを200mW/cm
2としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−5)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.2nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は1.9g/cm
3であった。作製した実施例1−5の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.09%であった。
【0075】
また、上記の本発明の処理において、紫外線の照射パワーを400mW/cm
2としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−6)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.4nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は2.0g/cm
3であった。作製した実施例1−6の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.07%であった。
【0076】
また、上記の本発明の処理において、基板加熱温度を100℃としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−7)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.6nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は2.0g/cm
3であった。作製した実施例1−7の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.02%であった。
【0077】
また、上記の本発明の処理において、基板加熱温度を室温としたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(実施例1−8)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.2nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は1.9g/cm
3であった。作製した実施例1−8の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.03%であった。
【0078】
また、上記の本発明の処理において、基板加熱温度を400℃にしたこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスク(参考例)を作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。また、処理後の光半透過膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.7nmの表面改質層が均一に形成されており、表面改質層の膜密度は2.1g/cm
3であった。作製した参考例の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同様の温水洗浄を行った。洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.01%であった。しかし、処理後の位相シフトマスクは、フラットネスが悪化した。
【0079】
以上の実施例1−1〜1−8、参考例の位相シフトマスクに関する結果を対比すると、紫外線の照射パワーを上げることで緻密な表面改質層が形成され、耐薬品性、耐温水性の向上効果が大きくなる。
また、処理時間に関しては10分〜60分程度の範囲が良い。
また、加熱温度に関しては、室温〜200℃の範囲が良い。
次に、上記実施例1−1の位相シフトマスクを用いて耐光性についても調べた。すなわち、上記実施例1−1の位相シフトマスク(上記温水洗浄後のもの)に対して、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を10mJ/cm
2/pulseのエネルギー、300Hzで、累積エネルギー10kJ/cm
2を照射し、照射による光半透過膜パターンの透過率変化の評価を行った。その結果、照射後の照射前に対する透過率変化は、+0.1%と小さく、耐光性を備えていることが確認できた。
【0080】
(実施例2)
合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=21:79)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N
2)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.07Pa、ガス流量比 Ar:N
2=25:28)で、DC電源の電力を2.1kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜を膜厚50nmで成膜し、引き続いて、Mo/Siターゲット(原子%比 Mo:Si=4:96)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N
2)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.1Pa、ガス流量比 Ar:N
2=25:28)で、DC電源の電力を3.0kWとし、MoSiN膜を膜厚10nmで成膜することにより、MoSiN膜とMoSiN膜の積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜を形成した。
【0081】
なお、ArFエキシマレーザーに対する遮光膜の光学濃度は3.0であった。また、前記露光光の波長193nmに対する遮光膜の表面反射率は16%であった。なお、光学濃度は、分光光度計(島津製作所社製:SS3700)を用いて測定した。
また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、上記遮光膜の表面の表面粗さを測定したところ(測定エリア1μm×1μm)、Ra=0.56nmであった。
【0082】
次に、上記MoSi系遮光膜の上に、以下のCr系のエッチングマスク膜を成膜した。
具体的には、スパッタターゲットにクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N
2)と酸素(O
2)との混合ガス雰囲気(ガス圧0.2Pa,ガス流量比 Ar:N
2:O
2=30:35:35)とし、DC電源の電力を1.7kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、膜厚17nmのCrON層を成膜した。
【0083】
以上のようにして、ガラス基板上にMoSi系遮光膜とCr系エッチングマスク膜を成膜したバイナリ型マスクブランクを用いて、バイナリ型マスクを作製した。
まず、上記マスクブランク上に、例えば電子線描画用ポジ型レジスト膜を形成し、このレジスト膜に対して所望のデバイスパターンの描画を行った。描画後、レジスト膜を現像処理することにより、レジストパターンを形成した。
【0084】
次に、このレジストパターンをマスクとして、塩素と酸素の混合ガスを用いたドライエッチングにより上記Cr系エッチングマスク膜をエッチングして、エッチングマスク膜パターンを形成した。残存するレジストパターンは酸素によるアッシングにより除去した。
次に、上記エッチングマスク膜パターンをマスクとして、フッ素系ガス(SF
6)を用いたドライエッチングにより上記MoSi系遮光膜をエッチングして、遮光膜パターンを形成した。
【0085】
次いで、塩素と酸素の混合ガスを用いたドライエッチングにより、上記エッチングマスク膜パターンを除去した。
こうして、透光性基板上にMoSi系遮光膜パターンを形成したバイナリ型マスクを作製した。なお、上記遮光膜の光学濃度及び表面反射率はマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
【0086】
次いで、上記MoSi系遮光膜パターンに対して、紫外線を照射しながら、オゾンガスを作用させる本発明の処理を行った。
すなわち、チャンバー内に上記バイナリ型マスクを設置し、該チャンバー内に、高濃度オゾンガス(100体積%)を導入してチャンバー内を該ガスで置換することにより、上記バイナリ型マスクの遮光膜パターンに上記高濃度オゾンガスを接触させるようにした。この時のガス流量は50sccm、ガス圧力は70Paとした。また、上記チャンバー内に設置した高圧水銀灯で上記遮光膜パターンに対して紫外線照射を行った。この時の紫外線照射パワーは、600mW/cm
2とした。また、基板(マスク)は200℃に加熱し、処理時間(紫外線照射とオゾンガスを作用させる時間)は10分とした。
【0087】
以上のようにして作製されたバイナリ型マスクの上記遮光膜パターンの断面をTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、遮光膜パターンの表層部分及び側壁に厚さ略2.7nmの被膜(表面改質層)が均一に形成されていた。
また、処理後の遮光膜パターンの光学濃度及び表面反射率について確認したが、処理前と変化は認められなかった。
このように、本発明の処理前後において、MoSi系遮光膜パターンの光学特性が変化(劣化)することなく、表面改質層を形成することが確認できた。
【0088】
作製した本実施例のバイナリ型マスクを、バイナリ型マスクを電動モータ等で回転させながら、洗浄液供給ノズルから温水(90℃)を遮光膜パターンに対して60分供給することにより、温水洗浄を行った。
【0089】
上記洗浄後、上記遮光膜パターンのArFエキシマレーザー波長193nmにおける光学濃度を測定したところ、洗浄後の光学濃度は3.0であり、洗浄前と変化はなかった。また、表面反射率についても確認したが、洗浄前と殆ど変化は認められなかった。つまり、本実施例のバイナリ型マスクは、極めて高い耐温水性を備えていることが確認できた。
【0090】
次に、本実施例のバイナリ型マスクの耐光性についても調べた。すなわち、上記バイナリ型マスク(上記温水洗浄後のもの)に対して、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を10mJ/cm
2/pulseのエネルギー、300Hzで、累積エネルギー10kJ/cm
2を照射し、照射による遮光膜パターンの光学濃度及び表面反射率変化の評価を行った。その結果、照射前と殆ど変化は認められず、優れた耐光性を備えていることが確認できた。
【0091】
(実施例3)
本実施例では、マスクブランクに対して本発明の処理を適用する場合について説明する。
透光性基板としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、透光性基板上に、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる光半透過膜を成膜した。
具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N
2)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N
2:He=5:49:46)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて、透過率は6.16%、位相差が184.4度となっていた。
【0092】
以上のようにして、ガラス基板上にMoSiN光半透過膜のパターン形成用薄膜を有する位相シフトマスクブランクを作製した。
次に、作製した上記位相シフトマスクブランクに対して、紫外線を照射しながら、オゾンガスを作用させる本発明の処理を行った。
すなわち、チャンバー内に上記位相シフトマスクブランクを設置し、該チャンバー内に、高濃度オゾンガス(100体積%)を導入してチャンバー内を該ガスで置換することにより、上記位相シフトマスクブランクの光半透過膜に上記高濃度オゾンガスを接触させるようにした。この時のガス流量は50sccm、ガス圧力は70Paとした。また、上記チャンバー内に設置した高圧水銀灯で上記光半透過膜に対して紫外線照射を行った。この時の紫外線照射パワーは、600mW/cm
2とした。また、基板は200℃に加熱し、処理時間(紫外線照射とオゾンガスを作用させる時間)は20分とした。
【0093】
以上のようにして本発明の処理を施して作製された位相シフトマスクブランクの光半透過膜の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、光半透過膜の表層部分に厚さ略3nmの被膜(表面改質層)が均一に形成されていた。
また、処理後の光半透過膜の透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。
【0094】
作製した本実施例の位相シフトマスクブランクに対して、実施例1と同じ条件で温水洗浄を行った後、上記光半透過膜のArFエキシマレーザー波長193nmにおける透過率を測定したところ、上記洗浄前の透過率に対する変化は、+0.01%と非常に小さく、優れた耐薬品性、耐温水性を備えていることが確認できた。
【0095】
また、本実施例の位相シフトマスクブランクの耐光性についても調べた。すなわち、実施例1と同じ条件でArFエキシマレーザー(波長193nm)を照射し、照射による光半透過膜の透過率変化の評価を行った。その結果、照射後の照射前に対する透過率変化は、+0.1%と小さく、耐光性を備えていることが確認できた。
【0096】
(比較例)
実施例1−1における本発明の処理において、紫外線照射は行わずに、オゾンガスを作用させる処理のみを行ったこと以外は、実施例1−1と同様にして位相シフトマスクを作製した。処理後の光半透過膜パターンの透過率及び位相差について確認したが、処理前と変化は認められなかった。
こうして作製した本比較例の位相シフトマスクに対して、上記実施例1−1と同じ条件で温水洗浄を行った結果、洗浄前に対する洗浄後の透過率変化は、+0.28%と大きく、マスクの長寿命化の観点から現状求められている耐温水性としては不十分である。