特許第6012986号(P6012986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012986
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/20 20060101AFI20161011BHJP
   B65D 35/50 20060101ALI20161011BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20161011BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20161011BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B65D35/20
   B65D35/50 J
   B65D47/06 A
   B65D47/20 W
   B65D83/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-42084(P2012-42084)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-177162(P2013-177162A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−023063(JP,U)
【文献】 特開平10−278949(JP,A)
【文献】 特開2011−098777(JP,A)
【文献】 特開2003−226377(JP,A)
【文献】 特開平09−142510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/00−35/54
B65D 47/04−47/32
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の充填空間を備えるチューブ本体部と、該チューブ本体部に一体連結する口頸部とを備えるチューブ容器であって、
前記口頸部の内側に、前記充填空間内の空気及び内容物のそれぞれを通過させる空気導入孔及び内容物導入孔を有するホルダー設けられており、該口頸部の先端に、該ホルダーとの相互間に内部空間をするとともに該内部空間につながる先端開口を備えるノズル設けられており
前記ホルダーは、前記空気導入孔に連通するとともに前記チューブ本体部の底部へ向かって延在するパイプと、該空気導入孔及び内容物導入孔と該内部空間との相互間を開閉可能な弁体とを備え、
前記弁体は、該空気導入孔及び内容物導入孔と該内部空間との相互間に設けられる弾性壁を有し、該弾性壁に、前記チューブ本体部の定常姿勢にて閉鎖する一方、該チューブ本体部への圧搾に伴う該弾性壁の外側変位にて開口して該充填空間内の空気及び内容物を該内部空間に配設した発泡部材を通して泡状にして該先端開口から注出するとともに、該チューブ本体部の復元に伴う該弾性壁の内側変位にて開口して該内部空間内の残留内容物を該充填空間に引き戻すスリット設けられており
前記ホルダーは、前記発泡部材と前記弾性壁との間に配置される中央壁部を有し、
該中央壁部には、前記充填空間内の空気及び内容物を通過させる開口が設けられ、
前記弾性壁と前記中央壁部との間の空間に対し、前記中央壁部と前記発泡部材との間の空間を広くしてなることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記弾性壁は、前記充填空間に向けて凸状となるものである請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記ホルダーに、前記チューブ本体部の底部へ向かって延在し該チューブ本体部の圧搾変形量を規制するストッパー設けられている、請求項1又は2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記空気導入孔及び内容物導入孔、前記ストッパーの内側に設けられており、該ストッパーに内容物を流通させる貫通孔設けられている、請求項3に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を泡状にして注出することができる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等の各種液体洗浄剤やセットローション等の整髪剤を内容物とする容器としては、泡立て動作を省略して簡便な利用を図る観点から、例えばメッシュ等からなる発泡部材に内容物と空気とを混合させつつ通過させることで、内容物を泡状にして注出することができる、各種の泡噴出容器が提案されている。このようなものとしては、例えば特許文献1に記載されているように、容器の胴部を圧搾して内容物を発泡させるスクイズ容器や、内側に発泡部材を組み込んだポンプを容器の口部に装着したフォーマーポンプ付き容器等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−174272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来の容器は、比較的硬質となる自立可能なボトルを用いて所定の場所に設置して使用することが通常であり、携帯性に優れた容器の登場が強く求められていた。また、上述したスクイズ容器において、比較的弱い力で圧搾すると、内容物が発泡されずに注出されて液だれを引き起こすことがあり、この点でも改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明の課題は、内容物を泡状にして注出することができる容器に関し、特に携帯性に優れる上、弱い力で圧搾しても液だれするおそれを十分に低減しうる容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物の充填空間を備えるチューブ本体部と、該チューブ本体部に一体連結する口頸部とを備えるチューブ容器であって、
前記口頸部の内側に、前記充填空間内の空気及び内容物のそれぞれを通過させる空気導入孔及び内容物導入孔を有するホルダー設けられており、該口頸部の先端に、該ホルダーとの相互間に内部空間をするとともに該内部空間につながる先端開口を備えるノズル設けられており
前記ホルダーは、前記空気導入孔に連通するとともに前記チューブ本体部の底部へ向かって延在するパイプと、該空気導入孔及び内容物導入孔と該内部空間との相互間を開閉可能な弁体とを備え、
前記弁体は、該空気導入孔及び内容物導入孔と該内部空間との相互間に設けられる弾性壁を有し、該弾性壁に、前記チューブ本体部の定常姿勢にて閉鎖する一方、該チューブ本体部への圧搾に伴う該弾性壁の外側変位にて開口して該充填空間内の空気及び内容物を該内部空間に配設した発泡部材を通して泡状にして該先端開口から注出するとともに、該チューブ本体部の復元に伴う該弾性壁の内側変位にて開口して該内部空間内の残留内容物を該充填空間に引き戻すスリット設けられており
前記ホルダーは、前記発泡部材と前記弾性壁との間に配置される中央壁部を有し、
該中央壁部には、前記充填空間内の空気及び内容物を通過させる開口が設けられ、
前記弾性壁と前記中央壁部との間の空間に対し、前記中央壁部と前記発泡部材との間の空間を広くしてなることを特徴とするチューブ容器である。
【0007】
前記弾性壁は、前記充填空間に向けて凸状となるものであることが好ましい。
【0008】
前記ホルダーに、前記チューブ本体部の底部へ向かって延在し該チューブ本体部の圧搾変形量を規制するストッパー設けられていることが好ましい。
【0009】
前記空気導入孔及び内容物導入孔、前記ストッパーの内側に設けられており、該ストッパーに内容物を流通させる貫通孔設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
チューブ容器にて泡状の内容物を注出できるようにしたので、持ち運びが容易となり、使用場所を選ばずに、内容物を泡状にして注出させることができる。また、ホルダーとノズルとの相互間に形成される内部空間に弾性壁を有する弁体を設け、この弾性壁に、チューブ本体部の定常姿勢にて閉鎖するスリットを形成したので、比較的弱い力でチューブ本体部を圧搾しても、スリットは閉塞されたままで流路は開かず、内容物の液だれを有効に防止することができる。また、このスリットは、弾性壁の外側又は内側への変位に伴い開口するものであり、チューブ本体部を圧搾して充填空間を加圧することで、弾性壁を外側に変位させて充填空間内の内容物を注出することができ、また、圧搾後は、チューブ本体部が復元することで充填空間が負圧となり、これにより、弾性壁を内側に変位させて、内部空間内の残留内容物を充填空間に引き戻すことができる。
【0011】
弾性壁を、充填空間に向けて凸状にする場合は、チューブ本体部を加圧して弾性壁を外側へ変位させるに当たって、より大きな力が必要となるので、内容物の漏れ出しをより確実に防止することができる。
【0012】
ホルダーに、チューブ本体部の底部へ向かって延在し、チューブ本体部の圧搾変形量を規制するストッパーを設ける場合は、想定以上に強い力で圧搾する場合にも所期した通りの泡質で内容物を注出させることができ、また、このような場合にも容器の破損を防止することができる。
【0013】
空気導入孔及び内容物導入孔をストッパーの内側に設け、ストッパーに内容物を流通させる貫通孔を設ける場合は、強い力で圧搾してもこれらの孔が塞がることがないので、均質な泡質の内容物を常時安定的に注出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従うチューブ容器の実施の形態につき、チューブ本体部の定常姿勢での断面図である。
図2図1に示すチューブ容器の要部を示す断面図であって、チューブ容器の軸線に対し片側のみを示す。
図3図2に示す内側ホルダーの斜視図である。
図4図2に示すチューブ容器からオーバーキャップを取り外して反転姿勢に変位させて、さらにチューブ本体部を圧搾する状態を示す断面図であって、チューブ容器の軸線に対し片側のみを示す。
図5図4に示すチューブ本体部の圧搾を解除して、チューブ本体部が復元する状態を示す断面図であって、チューブ容器の軸線に対し片側のみを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従うチューブ容器の実施の形態につき、チューブ本体部の定常姿勢での断面図であり、図2は、図1に示すチューブ容器の要部を示す断面図であって、チューブ容器の軸線に対し片側のみを示す図であり、図3は、図2に示す内側ホルダーの斜視図であり、図4は、図2に示すチューブ容器からオーバーキャップを取り外して反転姿勢に変位させて、さらにチューブ本体部を圧搾する状態を示す断面図であって、チューブ容器の軸線に対し片側のみを示す図であり、図5は、図4に示すチューブ本体部の圧搾を解除して、チューブ本体部が復元する状態を示す断面図であって、チューブ容器の軸線に対し片側のみを示す図である。なお、本明細書において反転姿勢とは、図4に示すようにチューブ容器を完全に上下逆さまにした姿勢に限られず、内容物を注出する先端開口を下方に向けてチューブ容器を傾けた姿勢も含むものである。
【0016】
図1において、符号11はチューブ本体部である。チューブ本体部11は、例えば単層の合成樹脂材からなる筒状体の一方を、ヒートシールによって密着させて形成した底部11aを備えている。また、その他方には、例えば口頸部12a及び肩部12bを有するヘッド12を連結させていて、これによりチューブ本体部11の内側には、内容物の充填空間Mを形成している。なお、チューブ本体部11を形成するものとしては、内容物に応じて各種のものが適用可能であり、例えば酸素の透過を防止するバリヤ層や遮光層を備える複数層の筒状体を用いることができる。また、口頸部12aの外周面には、図示の例ではねじ部12cを設けている。さらに口頸部12aの内周面には、内向きフランジ12dを設けている。
【0017】
また、符号Hは、口頸部12aの内側に設けられるホルダーである。図示の例でホルダーHは、チューブ本体部11に保持される外側ホルダー20と、この外側ホルダー20の半径方向内側に設けられ、後述するパイプpを保持する内側ホルダー30とからなる。
【0018】
外側ホルダー20は、図2に要部を示すように、口頸部12aの内周面及び内向きフランジ12dの上面と当接して保持される有底筒状のホルダー本体部21を備えている。ホルダー本体部21の半径方向内側には、その底部から起立する内筒22を一体連結して設けている。また、内筒22の半径方向内側には、その先端部に外向きフランジ22aを備える有底筒状の中央壁部22bが配置され、中央壁部22bは、外向きフランジ22aを内筒22の先端に一体連結することで固定保持されている。また、中央壁部22bには、その底部を貫く開口23を設けている。
【0019】
また、図示の例で外側ホルダー20は、ホルダー本体部21の底部と一体連結し、チューブ本体部11の底部11aに向かって延在する筒状のストッパー24を備えていて、またストッパー24には、ホルダー本体部21の底部に近い側に、少なくとも1つの貫通孔25を設けている。
【0020】
内側ホルダー30は、図3に示すように、筒状体31の先端側(図3の上側)にフランジ32を備えていて、筒状体31とフランジ32との連結部には、周方向に間隔をあけて設けられるリブ33を設けている。また、筒状体31には、少なくとも1つの縦溝34を設けている。
【0021】
上記のような形態となる内側ホルダー30は、図2に示すように、ストッパー24の半径方向内側にて、ストッパー24の内面に設けた段部にフランジ32を係合させて抜け出し不能に保持されている。また、内側ホルダー30は、チューブ本体部11の底部11aに向かって延在するパイプpを、筒状体31にて嵌合保持している。これにより内側ホルダー30には、充填空間M内の空気を、パイプpを経由して後述する内部空間Nに導入する空気導入孔35が形成される。そして、縦溝34は、充填空間M内の内容物を、内部空間Nに導入する内容物導入孔(以下、内容物導入孔34とする)として機能させることができる。
【0022】
図2に示す符号40は、口頸部12aの先端に、図示の例では互いの爪部を係合させて保持されるノズルである。ノズル40は、口頸部12aを、外側ホルダー20及び内側ホルダー30とともに覆い隠す円板状の天壁41と、天壁41の外周縁と一体連結して口頸部12aに保持される外周壁42と、天壁41と一体連結するとともにホルダー本体部21の内周面と係合する内周壁43と、天壁41の内周縁と一体連結して起立する注出筒44とを備えている。これにより、ホルダーHを構成する外側ホルダー20及び内側ホルダー30とノズル40との相互間には、内部空間Nが形成される。また、注出筒44の先端には、内部空間Nと外界とを連通させる先端開口45を設けている。
【0023】
図2に示す符号50は、弁体である。図示の例で弁体50は、環状壁51と環状壁51の内周壁と一体連結する弾性壁52(図示の例では、充填空間M側に向けて凸状となる形態で設けている)とを備えていて、環状壁51の外面に設けた突起を、外側ホルダー20の内面に設けた突起に係合させて抜け止め保持されている。また、弾性壁52には、平面視にて一文字状や十文字状になるスリット53(図示の例では十文字状)が形成されている。これにより、通常は、スリット53が塞がっているので、空気導入孔35及び内容物導入孔34と内部空間Nとの相互間は閉鎖される一方、弾性壁52が外側(図示の例ではノズル40側)又は内側(図示の例では充填空間M側)に変位すると、スリット53が開口して、これら相互間をつなぐ流路が形成される。
【0024】
図2に示す符号60は、内部空間N内に設けられる発泡部材である。発泡部材60は、ノズル40の内周面に嵌合保持されるリング61と、リング61の端面に固着されたメッシュ62からなり、空気の混在した内容物をこの発泡部材60に通過させることにより発泡させて泡状にすることができる。なお、図示の例では2個の発泡部材60を設けているが、その設置個数やメッシュ62の目の粗さ等は内容物の種類に応じて適宜変更される。
【0025】
図2に示す符号70は、オーバーキャップである。オーバーキャップ70は、ノズル40を覆う頂壁71と、頂壁71の外周縁と一体連結して口頸部12aを取り囲む周壁72と、頂壁71と一体連結してノズル40の天壁41に向かって延在するキャップストッパー73と、頂壁71と一体連結するとともに先端開口45と当接して内容物の漏れ出しを阻止するシール壁74とを備えている。また周壁72の内周面には、口頸部12aのねじ部12cに対応するねじ部75を設けていて、オーバーキャップ70は、口頸部12aに着脱自在に保持される。なお、これらのねじ部に代えて、アンダーカットで保持してもよい。また、キャップストッパー73は、オーバーキャップ70をねじ込みすぎると、天壁41に当接して所定量以上のねじ込みを防止するものであり、図示の例では環状であるが、間欠状に設けてもよい。
【0026】
上記のような構成となるチューブ容器は、図1及び図2に示すように、チューブ本体部11に力が付与されていない定常姿勢において、弁体50のスリット53は塞がっていて、空気導入孔35及び内容物導入孔34と内部空間Nとの相互間は閉鎖されている。これにより、オーバーキャップ70を取り外した状態でチューブ本体部11を弱い力で圧搾しても、弾性壁52が外側又は内側に変位するまでは、スリット53は閉鎖されたまま維持されるので、内容物の液だれを有効に防止することができる。
【0027】
そして、内容物を注出するに当たっては、図4に示すようにチューブ容器を反転姿勢に変位させる。充填空間M内には、空気及び内容物が収納された状態となっていて、反転姿勢に変位させることで、内容物は内容物導入孔34側に移動する。一方、空気は、空気導入孔35とは反対側となる底部11a側に移動するが、パイプpは底部11aに向かって延在しているので、このパイプpを通して空気導入孔35に空気を送り込むことができる。なお、反転姿勢への変位前において、パイプp内には内容物が入り込んだ状態となっているが、反転姿勢に伴ってパイプp内の空気が底部11a側に移動するので、この内容物をパイプpから押し出すことができる。また、図示のようにストッパー24を設ける場合は、ホルダー本体部21の底部に隣接する部位に貫通孔25を設けることが好ましく、これにより、ストッパー24の半径方向外側に溜まる内容物も、内容物導入孔34へ導入することができる。
【0028】
そして、チューブ本体部11の胴部を圧搾すると、充填空間M内は加圧されて、弁体50の弾性壁52が外側(ノズル40側)に変位する。これによりスリット53が開口して、充填空間M内の空気及び内容物はそれぞれ、空気導入孔35及び内容物導入孔34を通過して合流し、スリット53及び開口23を通り抜けて発泡部材60を通過する。これにより、内容物を発泡させて、先端開口45から注出することができる。なお、図示の例では、弾性壁52と中央壁部22bとの間の空間に対し、中央壁部22bと発泡部材60との間の空間の方を広くしているが、これは、開口23を通過する前に高められた空気及び内容物の圧力を、開口23を通過後に開放してより霧状にしやすくするためであり、これにより内容物をよりきめの細かい泡にすることができる。
【0029】
ここで、図示のようにストッパー24を設ける場合は、チューブ本体部11の圧搾変形量が規制されるので、想定以上に強い力で圧搾する場合にも、所期した通りの泡質で内容物を注出させることができ、また、容器の破損を防止することもできる。
【0030】
その後、チューブ本体部11の胴部への押圧力を解除すると、チューブ本体部11は復元し、これにより充填空間M内は負圧となるため、図5に示すように、弁体50の弾性壁52が内側(充填空間M側)に変位する。これによりスリット53が開口して、内部空間N内に残っている残留内容物は、開口23及びスリット53を通り抜けて充填空間M内に引き戻される(バックサクション)。これにより、内容物が液だれする不具合を有効に防止することができる。チューブ本体部11の復元完了後、弾性壁52は元の形状に戻るので、次回圧搾されるまでスリット53の閉塞状態を維持することができる。
【0031】
図示のように弾性壁52を、充填空間M側に向けて凸状に設ける場合は、チューブ本体部11を加圧して弾性壁52を外側へ変位させるに当たって、より大きな力が必要となるので、内容物の漏れ出しをより確実に防止することができる。これにより、弾性壁52の素材として、剛性が高い特別な材料を選定する必要がなくなり、通常の汎用性のある材料を用いることができる。また、この凸状の弾性壁52は、その形状故に内側へは比較的容易に変位するので、バックサクション機能をより確実に発揮させることができる。
【0032】
なお、チューブ本体部11が復元する剛性は、弾性壁52を内側へ変位させるのに必要となる剛性以上に調整されているので、圧搾されたチューブ本体部11が元の形状に戻らないという不具合を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、携帯性に優れるので、使用場所を問わずに泡状の内容物を注出させることができ、しかも、従来のスクイズ容器で発生することがあった、弱い力での圧搾でも液だれするおそれを十分に低減することができる、使い勝手のよいチューブ容器を提供できる。
【符号の説明】
【0034】
11 チューブ本体部
11a 底部
12a 口頸部
24 ストッパー
25 貫通孔
30 内側ホルダー
34 溝(内容物導入孔)
35 空気導入孔
40 ノズル
45 先端開口
50 弁体
52 弾性壁
53 スリット
60 発泡部材
H ホルダー
M 充填空間
N 内部空間
p パイプ
図1
図2
図3
図4
図5