(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セラミックス基板の一方の面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属回路板の一方の面が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる平板状の金属ベース板の一方の面が接合され、前記金属ベース板の他方の面に放熱器が接合された放熱器一体型基板の製造方法であって、
前記金属回路板および前記金属ベース板と前記セラミックス基板とを接合して金属−セラミックス接合基板を形成し、
次いで、前記放熱器の一方の面に、ろう材を介して、前記金属−セラミックス接合基板の金属ベース板を重ねて配置し、
前記放熱器の他方の面に、凹のR面を有する治具を突き合わせて配置し、
前記金属−セラミックス接合基板の金属回路板の他方の面に、前記金属−セラミックス接合基板側に突出する凸のR面を有する治具を接触させ、
前記放熱器側に配置した治具と前記金属−セラミックス接合基板側に配置した治具とで加圧しながら、前記金属−セラミックス接合基板と前記放熱器とを加熱接合し、
前記凸のR面および前記凹のR面の曲率半径R(mm)は、
6500≦R≦面圧(N/mm2)×2000+12000
であることを特徴とする、放熱器一体型基板の製造方法。
前記金属回路板の厚さt1と前記金属ベース板の厚さt2が、t2/t1≧2 を満たし、t1が0.4〜3.0mm、t2が0.8〜6mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の放熱器一体型基板の製造方法。
前記セラミックス基板と前記金属回路板との接合、及び前記セラミックス基板と前記金属ベース板との接合を、溶湯接合法によって行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の放熱器一体型基板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車、電車、工作機械等の大電流を制御するために使用されている従来のパワーモジュールでは、ベース板と呼ばれている金属板または複合材の一方の面に金属−セラミックス絶縁基板が半田付けにより固定され、この金属−セラミックス絶縁基板上に半導体チップ等の電子部品が半田付けにより固定されている。また、ベース板の他方の面(裏面)には、ネジ止め等により熱伝導グリースを介して金属製の放熱フィンや液冷ジャケット等の放熱器が取り付けられている。特許文献1には、窒化アルミニウム基板等のセラミックス基板とAl板またはAl合金板等の金属板とを高温下で加熱接合する場合に、セラミックス基板に対して垂直方向に8〜100kgf/cm
2の圧力を付与することが記載されている。
【0003】
金属−セラミックス絶縁基板へのベース板や電子部品等の半田付けは加熱により行われるため、半田付けの際に接合部材間の熱膨張係数の差によりベース板の反りが生じやすい。また、電子部品等から発生した熱は、金属−セラミックス絶縁基板と半田とベース板を介して放熱フィンや冷却ジャケット(放熱器)により空気や冷却水等に逃がされるため、ベース板の反りが発生すると放熱フィンや冷却ジャケットをベース板に取り付けた際のクリアランスが大きくなり、放熱性が極端に低下してしまう。
【0004】
そこで、例えば特許文献2には、金属回路板および金属ベース板とセラミックス基板の接合が溶湯接合法によって行われ、金属ベース板と放熱器との接合はろう接合法によって行われ、放熱器の断面2次モーメントに応じて定まる式による所定の面圧で加圧した状態で加熱接合することにより、液冷一体型基板としての反り(形状変形)が低減され、優れた強度および放熱性を備えた液冷一体型基板の製造方法および液冷一体型基板が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、結晶粒に平均粒径が0.5μm以下の金属層及びセラミックス基板の表面を活性化状態で直接接合することにより、温度変化に伴う反りの発生を防止することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載された液冷一体型基板の製造方法においては、放熱器にろう接合する金属−セラミックス接合基板のサイズが大きい場合、反りの抑制が不十分であることがわかってきており、それは接合時の面圧を高くしても改善されなかった。また、面圧を高くしすぎると、多孔管からなる放熱器の仕切板が変形して十分な放熱が得られない場合があることが判明した。
【0008】
そして、金属−セラミックス接合基板の金属回路板表面の反りが大きい場合、特に単位長さ当たりの反り量が2μm/mmを超えると、半導体チップを金属回路板に半田付けしたときに、半田の厚みにばらつきが生じる場合があることが判明した。半田の厚みにばらつきが生じると、熱抵抗にばらつきが発生するため、放熱器一体型基板として望ましくない。
【0009】
また、特許文献3に記載された製造方法は、真空チャンバ内でセラミックス基板及びアルミニウムの表面をイオンビームでエッチングして活性化処理した後、セラミックス基板及びアルミニウムの活性化処理された表面同士を重ね合わせることにより常温で接合するが、真空を必要とするので量産性に劣り、生産コストが増加する懸念がある。
【0010】
そこで、上記問題点に鑑み、本発明の目的は、原材料コストや加工コストを低く抑え、一体型基板としての反り(形状変形)が低減され、且つ優れた強度および放熱性を備えた放熱器一体型基板の
製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、セラミックス基板の一方の面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属回路板の一方の面が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる平板状の金属ベース板の一方の面が接合され、前記金属ベース板の他方の面に放熱器が接合された放熱器一体型基板の製造方法であって、前記金属回路板および前記金属ベース板と前記セラミックス基板とを接合して金属−セラミックス接合基板を形成し、次いで、前記放熱器の一方の面に、ろう材を介して、前記金属−セラミックス接合基板の金属ベース板を重ねて配置し、前記放熱器の他方の面に、凹のR面を有する治具を突き合わせて配置し、前記金属−セラミックス接合基板の金属回路板の他方の面に、前記金属−セラミックス接合基板側に突出する凸のR面を有する治具を接触させ、前記放熱器側に配置した治具と前記金属−セラミックス接合基板側に配置した治具とで加圧しながら、前記金属−セラミックス接合基板と前記放熱器とを加熱接合し、前記凸のR面および前記凹のR面の曲率半径R(mm)は、
6500≦R≦面圧(N/mm
2)×2000+12000
であることを特徴とする、放熱器一体型基板の製造方法を提供する。
【0012】
前記セラミックス基板が矩形であり、その長辺が40mm以上であってもよい。また、前記金属回路板に加圧する面圧が1.0N/mm
2以上であってもよい。
【0013】
前記金属回路板に加圧する面圧が5.0N/mm
2以下であってもよい。
【0014】
前記金属回路板の厚さt1と前記金属ベース板の厚さt2が、t2/t1≧2 を満たし、t1が0.4〜3.0mm、t2が0.8〜6mmであることが好ましい。
【0015】
前記放熱器がアルミニウムまたはアルミニウム合金の押出し材であってもよい。また、前記セラミックス基板と前記金属回路板との接合、及び前記セラミックス基板と前記金属ベース板との接合を、溶湯接合法によって行ってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、原材料コストや加工コストを低く抑え、放熱器一体型基板としての反り(形状変形)が低減され、優れた強度および放熱性を備えた放熱器一体型基板の
製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態にかかる放熱器一体型基板1の正面図である。
図1に示すように、放熱器一体型基板1においては、例えばAlN基板(窒化アルミニウム基板)やSiN基板(窒化珪素基板)であるセラミックス基板10の上面(
図1中上方)に、アルミニウムまたは例えばSi、Mg、Zn、Bi、Snから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するアルミニウム合金からなる金属回路板15が接合されている。また、セラミックス基板10の下面(
図1中下方)には、アルミニウムまたは例えばSi、Mg、Zn、Bi、Snから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するアルミニウム合金からなる金属ベース板20が接合されている。また、金属ベース板20の下面(
図1中下方)には、例えば押出し材によって構成される中空角柱形状の多孔管からなる放熱器30が接合されている。なお、本実施形態においては、放熱器30は液冷式とする。
【0022】
セラミックス基板10と金属回路板15の接合およびセラミックス基板10と金属ベース板20の接合は、例えば溶湯接合法によって接合が行われ、金属−セラミックス接合基板2が形成されている。そして、金属ベース板20と放熱器30の接合は、ろう接合法によって接合が行われている。即ち、本実施形態では、金属ベース板20と放熱器30との接合において、その間隙部31には、接合のためのろう材層33が形成される。
【0023】
図1に示すように、放熱器30は内部空間が中空であり、その内部空間を仕切る仕切り板(リブ、放熱フィン)35が設けられている。本実施の形態にかかる放熱器30では、図示のように内部空間を7箇所に仕切るように仕切り板35が設けられ、放熱器30の内部空間には仕切り板35によって複数(7箇所)の各流路38が形成されることとなる。仕切り板35が設けられた放熱器30は押出し加工により一体物として成形される。
【0024】
図2は、放熱器一体型基板1と蓋部材40の斜視図である。蓋部材40は、放熱器30の手前側(
図2中手前側)の開口部の側面30aを覆うように取り付けられる部材であり、蓋部材40は、蓋部41と蓋部41の側面(放熱器30に取り付けた際の側面30aに対応する面)の2箇所に設けられる液循環ポート45a、45bから構成される。また、放熱器30において
図2中手前側の開口部の反対側に設けられた開口部には、液循環ポートを有していないこと以外は同様の蓋部材(図示省略)が取り付けられる。蓋部材40は、実際に放熱器一体型基板1において、金属回路板15に取り付けられた例えば半導体素子等の発熱により、液冷却が行われる場合に放熱器30に取り付けられる。液循環ポート45a、45bには、図示しない冷却液循環機構が接続され、冷却液循環機構から液循環ポート45aを介して放熱器30の内部(流路38)に冷却液が供給され、液循環ポート45bを介して放熱器30の内部から冷却液が冷却液循環機構に排出される。即ち、冷却液循環機構の作動により冷却液が流路38に流れこみ、その後、再度冷却液循環機構に戻るといったように、冷却液が放熱器30内と冷却液循環機構との間で循環し、放熱器30の冷却能力を一定に保つような構成となっている。この蓋部材40と放熱器30とは、金属ベース板20と放熱器30とがろう接合される時、同時にろう接合しても構わない。
【0025】
一方、本実施の形態にかかる放熱器一体型基板1の金属−セラミックス接合基板2においては、金属回路板15の厚さ(高さ)t1と、金属ベース板20の厚さ(高さ)t2の関係は、t2/t1≧2となっていることが好ましい(
図1参照)。また、このときの各値は、t1が0.4〜3mmであり、t2が0.8〜6mmであることが好ましい。金属回路板15の厚さt1と、金属ベース板20の厚さt2の関係がt2/t1≧2の関係であることが望ましいのは、十分な過渡熱の放熱性を得ること、および一体型基板の反りを抑制するためである。また、t1が0.4〜3mmであり、t2が0.8〜6mmであることが望ましいのは、十分な過渡熱の放熱性を得ること、および一体型基板の反りを抑制するためである。なお、t2が0.8〜3mmであることがさらに好ましい。
【0026】
なお、放熱器30の材質としては、例えばアルミニウム、またはSi、Mg、Zn、Bi、Snから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するアルミニウム合金が望ましい。
【0027】
以上、
図1および
図2を参照して説明した放熱器一体型基板1において、例えば半導体素子等の電子部品が金属回路板15に取り付けられて使用された場合に、その電子部品から発生した熱は、上述のように内部に例えば冷却液が循環する放熱器30によって放熱され、放熱器一体型基板1全体が冷却される。ここで、上述のように、金属回路板15の厚さt1と、金属ベース板20の厚さt2の関係がt2/t1≧2となっていることや、t1が0.4〜3mmであり、t2が0.8〜6mmであることにより、十分な放熱性を発揮する放熱器一体型基板1が得られることとなる。
【0028】
また、金属回路板15、金属ベース板20および放熱器30の各部材同士を、溶湯接合法やろう接合法を用いて接合することで、接合信頼性が十分に確保される。
【0029】
本発明において、金属ベース板20と放熱器30とは、前述の通りろう付けにより接合される。ろう付けは、金属ベース板20と放熱器30との間に、例えばAl−Si−Mg合金組成の単層ブレージングシートからなるろう材層33を挟みこみ、面接触させた状態で所定の荷重を負荷し、ろう付け炉内で、所定のろう付け温度まで加熱して行われる。なお、ブレージングシートとは、ろう材箔のことである。
【0030】
図3は、金属−セラミックス接合基板2の金属ベース板20と放熱器30とをろう付けする際の実施形態の例である。
図3に示すように、放熱器側治具51の上に載置した放熱器30の上に、金属ベース板20のアルミ部分と同一またはそれ以上のサイズ(長さおよび幅)のろう材をセットし、さらにろう材の上に金属−セラミックス接合基板2を置く。さらにその上に金属−セラミックス接合基板側治具52を介して皿バネ53をセットし、所定の荷重(面圧)が負荷されるようにボルト54で締め付ける。
【0031】
本発明では、放熱器側治具51に凹のR面、金属−セラミックス接合基板側治具52に凸のR面を有している。即ち、
図4に示すように、放熱器側治具51は、放熱器30の下方に、放熱器側に凹みを有する凹のR面55が形成され、金属−セラミックス接合基板側治具52は、金属−セラミックス接合基板2側に突出する凸のR面56が形成されている。放熱器一体型基板1が
図4と上下逆方向の場合、即ち放熱器30が上側の場合には、
図5に示すように、下側の金属−セラミックス接合基板側治具52に凸のR面56、上側の放熱器側治具51に凹のR面55が位置するように、治具の配置が
図4に対して上下反転する。
【0032】
図4において、放熱器側治具51の凹のR面55および金属−セラミックス接合基板側治具52の凸のR面56は、それぞれ全面に亘って形成されている。しかしながら、本発明における放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52に形成されるR面の形成範囲(領域)は、これらの治具の全面に亘って形成することが必須ではない。放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52に形成されるR面の形成範囲(領域)は、放熱器30全体をカバーできる程度の範囲(領域)であっても良いし、それよりも小さい範囲(領域)であってもよいが、最低限、金属回路板15全体をカバーできる範囲(領域)であることが必要である。もちろん、1つの放熱器30に対して1つの金属−セラミックス接合基板2をろう付け接合するような場合には、R面の形成範囲(領域)は、放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52の全面に亘るものであることが好ましい。
【0033】
また、1つの放熱器30に複数の金属−セラミックス接合基板2を同時に接合する場合には、例えば
図6に示すように、それぞれの金属−セラミックス接合基板2毎に、それぞれ凹のR面55および凸のR面56が形成された治具51、52を用いる。例えば1つの放熱器30と4つの金属−セラミックス接合基板2を接合する場合には、
図7に示すように、4つの凹のR面55を有する治具を、放熱器側治具51として用いる。金属−セラミックス接合基板側治具についても同様に、凹のR面55に対向する位置に4つの凸のR面56を有する。
【0034】
このように、1つの放熱器30に対して複数の金属−セラミックス接合基板2を接合する場合には、放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52に形成されるR面も複数となる。このような場合には、放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52に形成されるR面の形成範囲は、1つのR面の形成範囲が少なくとも1つの金属回路板15をカバーできる範囲(領域)であればよく、放熱器側治具51または金属−セラミックス接合基板側治具52に形成される複数のR面同士が互いに干渉しない範囲(領域)であることが好ましい。
【0035】
以上の各実施形態において、凹のR面55および凸のR面56は、X方向とY方向(
図7参照)とが同一曲率であってもよいし、セラミックス基板の寸法等に応じて異なる曲率でも構わない。すなわち、曲面は、曲率半径(R寸法)が一定である球面であってもよいし、曲率半径(R寸法)が可変である曲面(非球面)であってもよく、滑らかな曲面であればよい。また、凹のR面55および凸のR面56は、X方向のみに形成されていてもよいし、Y方向のみに形成されていてもよい。つまり、Y方向に延びる凹溝のR面55およびY方向に延びる凸条のR面56であってもよいし、X方向に延びる凹溝のR面55およびX方向に延びる凸条のR面56であってもよい。また、当然のことながら、Y方向に延びる凹溝のR面55およびY方向に延びる凸条のR面56のY方向に垂直な断面形状は、円弧形状であってもよいし、非円弧形状であってもよく、滑らかな曲線形状であればよい。さらに、X方向に延びる凹溝のR面55およびX方向に延びる凸条のR面56のX方向に垂直な断面形状は、円弧形状であってもよいし、非円弧形状であってもよく、滑らかな曲線形状であればよい。
【0036】
このように、R面を有する治具51、52を用いて接合することにより、セラミックス基板10のサイズが大きい場合でも、金属回路板15の表面(セラミックス基板10に接合されていない方の、他方の面)における反りが低減され、ろう付け接合後の金属−セラミックス接合基板2の金属回路板15表面の単位長さ当たりの反り量の絶対値が2μm/mm以下の放熱器一体型基板1が得られる。殊に、本発明は、セラミックス基板が矩形であり長辺が40mm以上、更に好ましくは50mm以上の場合に有効であり、金属回路板15の表面に加圧する面圧が1.0N/mm
2以上で接合することが好ましい。なお、この面圧は、治具に付与される荷重を金属回路板15の表面積で除したものである。ただし、面圧が5.0N/mm
2を超えると、放熱器30が変形することがあるため、面圧は5.0N/mm
2以下が好ましい。なお、金属回路板15表面の単位長さ当たりの反り量の絶対値は、1.5μm/mm以下であることが、より好ましく、面圧は、1.5〜3.0N/mm
2の範囲にあることが、より好ましい。
【0037】
また、本発明では、凹のR面55および凸のR面56の曲率半径Rが、
6500≦R≦面圧(N/mm
2)×2000+12000 (1)
であることが好ましい。曲率半径Rが小さいと、金属回路板15の表面に加圧する面圧については少ない面圧で金属−セラミックス接合基板2の金属回路板15表面の反り量を低減させることができるが、Rが小さすぎると、放熱器一体型基板に割れが発生することがある。また、Rが大きすぎると、R面が平面に近くなるため、本発明の効果が低減する。より好ましい曲率半径Rは、7000≦R≦面圧(N/mm
2)×2000+11000である。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例】
【0039】
AlN基板の両面にアルミニウム合金が溶湯接合(直接接合)された金属−セラミックス接合基板「アルミック」(商標登録)と多孔管(放熱器)とを、凹のR面および凸のR面を有する治具を用いてろう付けして放熱器一体型基板を製作する試験を実施した。
【0040】
まず、幅127mm×長さ140mm×厚さ8mm(本発明例1〜10、比較例1〜5、比較例8〜11)、幅150mm×長さ140mm×厚さ10mm(本発明例11、比較例6、7)の2種類のサイズの多孔管(材質:合金番号A6063アルミニウム合金製、固相線温度:615℃)からなる放熱器を準備した。多孔管からなる放熱器には、
図1に示す通り複数の冷媒流路の管が連続して並んでおり、冷媒流路の溝幅W(管の幅)が1.515mm、溝深さD(管の高さ)が6.06mm(本発明例1〜10、比較例1〜5、比較例8〜11)または溝幅Wが1.515mm、溝深さDが8.08mm(本発明例11、比較例6、比較例7)、仕切り板の幅(リブ厚さ、放熱フィン厚さ)が0.707mm、上板(天板)と下板(底板)の厚さがそれぞれ1.01mmとした。
【0041】
また、金属−セラミックス接合基板として、アルミニウム合金からなる金属回路板の寸法が、短辺59mm×長辺68mm×厚さ(t1)0.4mm(本発明例1)、短辺48mm×長辺98mm×厚さ0.4mm(本発明例2〜6、比較例7〜11)、短辺58mm×長辺78mm×厚さ0.4mm(本発明例7〜11、比較例4〜6)、短辺53mm×長辺53mm×厚さ0.4mm(比較例1〜3)とし、セラミックス基板の寸法が、短辺61mm×長辺70mm×厚さ0.635mm(本発明例1)、短辺50mm×長辺100mm×厚さ0.635mm(本発明例2〜6、比較例7〜11)、短辺60mm×長辺80mm×厚さ0.635mm(本発明例7〜11、比較例4〜6)、短辺55mm×長辺55mm×厚さ0.635mm(比較例1〜3)、アルミニウム合金からなる金属ベース板20の寸法が、短辺59mm×長辺68mm×厚さ(t2)1.6mm(本発明例1)、短辺48mm×長辺98mm×厚さ1.6mm(本発明例2〜6、比較例7〜11)、短辺58mm×長辺78mm×厚さ1.6mm(本発明例7〜11、比較例4〜6)、短辺53mm×長辺53mm×厚さ1.6mm(比較例1〜3)とした。金属回路板および金属ベース板の材質は、純度99.9mass%以上の純Alとした。なお、金属回路板及び金属ベース板は、いずれも直方体(板形状)であり、セラミックス基板に溶湯接合法により接合し、セラミックス基板の中央に配置した。
【0042】
本実施例においては、
図4に示される放熱器側治具51の凹のR面55および金属−セラミックス接合基板側治具52の凸のR面56は、Y方向(図面の横方向)のみに形成されているものとした。すなわち、放熱器側治具51の凹のR面55および金属−セラミックス接合基板側治具52の凸のR面56は、X方向(図面の紙面に垂直な奥行方向)に延びる凹溝のR面55およびX方向(図面の紙面に垂直な奥行方向)に延びる凸条のR面56である。また、X方向に延びる放熱器側治具51の凹溝のR面55および金属−セラミックス接合基板側治具52の凸条のR面56は、放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52の全面に亘って形成されているものを使用して試験を行った。つまり、本実施例におけるろう付け試験において、
図4に示す放熱器30の底面に属するX方向(図面の奥行方向)に延びる稜線の部分が放熱器側治具51の凹溝のR面55に当接した状態で、下から順に放熱器30、ろう材層33および金属−セラミックス接合基板2が積層され、これら被接合材が放熱器側治具51の凹溝のR面55と金属−セラミックス接合基板側治具52の凸条のR面56とによって挟まれた状態で加圧固定されている。
【0043】
図3に示すように、放熱器30の上に、金属−セラミックス接合基板2の金属ベース板のアルミ部分と同一サイズ(長さおよび幅)のろう材(組成:10mass%Si−1.5mass%Mg−不可避的不純物と残部Al、厚さ15μm)をセットして、さらにろう材の上に金属−セラミックス接合基板2を置き、その上に、治具を介して「インコネル」(登録商標)の皿バネ53をセットし、所定の荷重(面圧)が負荷されるようにボルト54で締め付けた。
【0044】
本発明例として、面圧については、本発明例1が2.1N/mm
2、本発明例2〜6、8〜11が2.7N/mm
2、本発明例7が1.8N/mm
2となるように設定した。なお、面圧は、それぞれの本発明例において付与した荷重を、金属回路板の表面積で除して算出した。放熱器側治具51および金属−セラミックス接合基板側治具52の凹溝および凸条のR面のR寸法(曲率半径)は、本発明例1が8167mm、本発明例2〜6が10417mm、本発明例7、8が8000mm、本発明例9〜11が16000mmとした。凹溝および凸条のR面のR寸法は同じとした。なお、面圧は、それぞれの本発明例において付与した荷重を、金属回路板の表面積で除して算出した。本発明例において、R寸法は、いずれも、面圧に対して上記(1)式で求めたRの範囲内とした。なお、ボルトで締め付ける前に、ろう材の表面、放熱器の接合面及び金属ベース板の接合面には、フラックスを塗布していない。
【0045】
また、比較例として、面圧については、比較例1〜6が1.8N/mm
2、比較例7が1.7N/mm
2、比較例8〜11が3.2N/mm
2となるように設定した。なお、面圧は、それぞれの比較例において付与した荷重を、金属回路板の表面積で除して算出した。それぞれの治具の凹溝および凸条のR面のR寸法(曲率半径)は、比較例1〜4、7〜10が平面(Rは無限大)、比較例5、6が16000mm、比較例11が6250mmとした。凹溝および凸条のR面のR寸法は同じである。また、比較例としてR面が形成されていない平面の治具を用いた場合、R寸法が(1)式で求めた上限値を超えている場合、R寸法が6500mmよりも小さい場合のそれぞれについて、試験を実施した。
【0046】
次に、窒素雰囲気中のろう付け炉内にセットした後、500℃まで50℃/min、605℃までは10℃/minで昇温して、ろう付け温度である605℃で10分間保持し、その後250℃までは15℃/minで冷却した。このように放熱器30と金属ベース板20をろう付けした後、セラミックス基板10の長辺方向における金属−セラミックス接合基板2の金属回路板15表面の反り量を測定した。金属回路板15表面の反り量は、金属回路板15の表面(他方の面)において、3次元表面粗さ計を使用して金属回路板15の長辺側の両端部(両端辺)と中央部との高低差(μm)を測定し、この高低差(μm)を金属回路板15の長辺長さ(mm)で除して算出した。すなわち、本明細書における「反り量」とは、ろう付け後の金属回路板15の表面(他方の面)における厚み方向の高低差(μm)を金属回路板15の長辺長さ(mm)で除した値のことである。
【0047】
以上の本発明例1〜11、比較例1〜11の試験条件および試験結果を表1および
図8に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
本発明例は、いずれも、ろう付け後の金属−セラミックス接合基板2の金属回路板15表面の反り量が2μm/mm以下であった。本発明例7、8は、R寸法がやや小さいことにより、金属回路板が下側に凸になる方向に反った(表ではマイナス表示)が、目標とする、金属−セラミックス接合基板の金属回路板表面の反り量の絶対値が2μm/mm以下である、という条件は満足した。
【0050】
これに対して、比較例は、いずれも金属−セラミックス接合基板2の金属回路板15表面の反り量が2μm/mmを超えた。比較例1〜4、比較例7〜10においては、治具にRが形成されておらず平面であるために、本発明例よりも面圧を大きくしても、金属回路板表面の反り量を2μm/mm以下に抑えることができなかった。比較例5、6については、R寸法が同じである本発明例9〜11に比べて面圧が低く、(1)式を満たさないため、金属回路板表面の反り量が2μm/mmを超えた。また、R寸法が6500mmを下回る比較例11は、セラミックス基板に割れが発生した。金属−セラミックス接合基板2の金属回路板表面の反り量が2μm/mmを超えると、半導体チップを半田付けした後、セラミックス基板上の位置によっては半田の厚みにばらつきが生じ、それによって熱抵抗にばらつきが発生するため、放熱器一体型基板として望ましくない。
【0051】
図8は、表1の結果について、金属−セラミックス接合基板2の金属回路板15表面の反り量が2μm/mm以内の場合を「反り小」、2μm/mmを超えた場合を「反り大」、セラミックス基板に割れが発生した場合を「割れ」と表示したものである。グラフ中の点線は、(1)式の上限と下限を示す。
図8に示すように、(1)式を満たす場合には反り量が2μm/mm以内であるが、(1)式の範囲よりもR寸法が大きくなると反り量が大きくなり、小さくなるとセラミックス基板に割れが発生した。