(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
射撃場では、標的背面のバックストップには、弾丸を補足するために砂山構造とされているものが多い。しかしながら、このような構造では弾丸を回収するのに手間がかかるので、標的の後方に弾丸の貫通時のエネルギーを吸収するシート体を設けた停弾装置が提案されている。
【0003】
図6は、特許文献1及び特許文献2等に開示されている従来の停弾装置の正面図であり、
図7は
図6のVII−VIIラインの縮小側面図である。
【0004】
これらの図を参照して、床面16の上に支持台62を介して設置された標的61の後方に停弾装置が設置されている。すなわち、粘弾性素材や繊維素材又はこれらを組み合わせて形成された、矩形シート状のシート体65が天井面19から保持具66を介して吊り下げられている。このシート体65は標的61の後方に配置され、同様のシート体が更に後方に所定間隔で設置されている。そして、後方の背面68には、各シート体を貫通してきた弾丸71が着弾しても損傷しないような厚さに設定された特殊鋼板69が設置されている。
これによって、標的61を貫通してきた弾丸71は、複数のシート体65によってその運動エネルギーが減衰して特殊鋼板69に衝突する。その結果、弾丸71は破損することなく、床面16上に落下するため鉛成分が蒸発することなく、容易に回収される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような停弾装置では、弾丸の回収としては効率的であるがシート体65の使用の観点からは問題がある。
【0007】
図8は、このような問題点を説明するためのシート体の概略側面図である。
【0008】
図を参照して、その(1)に示されているように、通常の一定の技量を有する訓練者の使用時には弾丸は標的61又はその周辺を貫通し、その2点鎖線で示すように後方のシート体65を貫通することが多い。すると、図の(2)に示されているように、標的61の後方のシート体65への水平投影部分が損傷し易くなる。すなわち、その部分が被弾箇所21となって多数の貫通孔が形成されることになる。この状態で使用を続けると、シート体65のエネルギーの減衰効果が減少し、後方の特殊鋼板69での捕捉に影響を与えることになる。そのため、シート体65はある程度の使用がなされると、被弾箇所21以外の部分がまだ使用できる状態であっても、シート体65全体を交換せざるを得ず効率的な使用とは言えなかった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、シート体の使用を効率的に行える停弾装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、停弾装置であって、標的の後方に配置され、被弾した弾丸の運動エネルギーを減衰させるためのシート体と、シート体の被弾箇所が集中しないようにシート体を移動させる移動手段とを備え
、シート体は上下に布設され、移動手段は、シート体を上下のいずれか一方に移動させ、回転自在の第1のローラ及び第2のローラが上下に配置され、シート体は、第1のローラ及び第2のローラに架け渡すようにループ状に取付けられ、移動手段は、第1のローラ及び第2のローラの少なくとも一方を回転させ、前後のシート体の損傷個所が重ならないようにシート体の移動量を制御するものである。
【0011】
このように構成すると、シート体における被弾箇所が変わる。
又、被弾箇所は上下のいずれか一方に移動する。更に、第1のローラ及び第2のローラの一方の回転に応じて被弾箇所が所定量だけ移動する。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、シート体の被弾箇所が変わるのでシート体の耐久性が向上する。
又、被弾箇所は上下のいずれか一方に移動するのでシート体の別な箇所が新たな被弾箇所となる。更に、第1のローラ及び第2のローラの一方の回転に応じて被弾箇所が所定量だけ移動するので損傷個所が重ならず被弾時の吸収エネルギーのばらつきが抑制される。更に、損傷箇所が元の位置に戻る時にシート体を取り換えれば、効率的な使用となる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1はこの発明の第1の実施の形態による停弾装置の概略側面図であって、
図7の従来の停弾装置におけるシート体の部分に対応する図である。尚、
図1における停弾装置11のシート体13自体は従来例で示した
図7のシート体65と同一材料によるものであるので、ここではその相違点を中心に説明する。
【0036】
図1の(1)を参照して、停弾装置11において、シート体13はその下方において第1のローラ15に巻回されており、第1のローラ15は床面16に回転自在に設置されている。一方、シート体13はその上方において天井面19に設置された回転自在の第2のローラ18に架け渡されており、その端部23を標的(図示せず)側に対して後方に垂らした状態に設置されている。
【0037】
図7で示したように射撃訓練が続くと、シート体13における標的の後方部分及びその近傍が被弾箇所21となり、被弾箇所21には弾丸が集中して損傷し多くの貫通孔が形成される。この状態で訓練を続けることは、シート体13の弾丸のエネルギーの吸収能力低下の観点から好ましいものではない。
【0038】
そこで、被弾箇所21が一定の損傷を受けると、
図1の(2)に示すようにシート体13の端部23を下方に引き下ろすように力を加える。すると、シート体13は第1のローラ15から引き出され矢印のように移動する。その結果、被弾箇所21は上方に移動し、標的の後方にはシート体13の損傷を受けていない新たな箇所が配置され、所定のエネルギーの吸収能力を発揮することになる。すなわち、第1のローラ15及び第2のローラ18がシート体13を移動させる移動手段を構成する。
【0039】
このようにして、第1のローラ15に巻回されているシート体13がすべて引き出されるまでシート体13を無駄なく効率的に使用することができるため、コスト的に有利な停弾装置11となる。
【0040】
図2はこの発明の第2の実施の形態による停弾装置の概略側面図であって、基本的には
図1の実施の形態による停弾装置と共通するので、ここでは相違点について主に説明する。
【0041】
図2の(1)を参照して、シート体13の上方側は、
図1のように第2のローラ18の後方側に垂らす構成ではなく、第2のローラ18自身に巻き取る構成となっている。そのためシート体13の後方側が使用済のシート体13で溢れることなく全体がコンパクトになり、使い勝手が向上する。
【0042】
そして被弾箇所21が一定の損傷を受けると、
図2の(2)に示すように第2のローラ18を矢印の方向に所定量だけ回転させてシート体13を巻き取る。この巻き取りは手動でも自動でも良い。すると、シート体13は第1のローラ15から引き出され矢印のように移動する。その結果、被弾箇所21は上方に移動し、標的の後方にはシート体13の損傷を受けていない新たな箇所が配置され、所定のエネルギーの吸収能力を発揮することになる。すなわち、第1のローラ15及び第2のローラ18がシート体13を移動させる移動手段を構成する。
【0043】
又、第1のローラ15からのシート体13の引き出しが終了し、第2のローラ18の巻き取りが完了すると、その状態で使用済のシート体13を撤去し、新たなシート体に交換できるので使い勝手も向上する。尚、第2のローラ18の巻き取りを自動化しておけば、射撃訓練を中断することなく継続的に停弾装置11を使用できるので好ましい。
【0044】
図3はこの発明の第3の実施の形態による停弾装置の概略側面図であって、基本的には
図1の実施の形態による停弾装置と共通するので、ここでは相違点について主に説明する。
【0045】
図3の(1)を参照して、シート体13は回転自在の第1のローラ15と回転自在の第2のローラ18との間にループ状に設置されており、エンドレス構造となっている。そのため、停弾装置11全体がコンパクトになると共に、弾丸は必ず前後一対のシート体13を通過することになるので、エネルギーの吸収能力が増大する。
【0046】
そして被弾箇所21が一定の損傷を受けると、
図3の(2)に示すように第1のローラ15及び第2のローラ18の少なくとも一方を矢印の方向に所定量だけ回転させてシート体13を移動させる。この回転作業は手動でも自動でも良い。その結果、被弾箇所21は上方に移動し、標的の後方にはシート体13の損傷を受けていない新たな箇所が配置され、所定のエネルギーの吸収能力を発揮する。すなわち、第1のローラ15及び第2のローラ18がシート体13を移動させる移動手段を構成する。尚、この場合、シート体13の前後の損傷個所が重ならないようにシート体13の移動量を制御しておけば、移動後のエネルギーの吸収能力のばらつきを抑制できるので好ましい。
【0047】
又、シート体13の移動によって被弾箇所21がほぼ全面に形成されると、その状態で使用済のシート体13を第1のローラ15及び第2のローラ18から外して撤去すれば良い。尚、第1のローラ15及び第2のローラ18の回転動作を自動化しておけば、射撃訓練を中断することなく継続的に停弾装置11を使用できるので使い勝手も向上する。
【0048】
図4はこの発明の第4の実施の形態による停弾装置の概略側面図であって、
図7の従来の停弾装置におけるシート体の部分に対応する図である。尚、
図4における停弾装置11のシート体13自体は従来例で示した
図7のシート体65と同一材料によるものであるので、ここではその相違点を中心に説明する。
【0049】
図4の(1)を参照して、シート体13の上方側は、ローラ25に巻回されており、ローラ25は天井面19に対して回転自在に設置されている。一方、シート体13の下方側は固定具27を介して床面16に固定されている。
【0050】
そしてシート体13の被弾箇所21が一定の損傷を受けると、
図4の(2)に示すように被弾箇所21の上下2か所を幅方向に切断し、被弾箇所21を含む削除部分28をシート体13から除去する。その結果、シート体13はローラ25側に巻回されている部分と固定具27側に残ったシート体残存部分30とに分離する。
【0051】
次に、
図4の(3)に示すように、ローラ25側に残ったシート体13の部分をローラ25から矢印の方向に引き下ろし、シート体残存部分30に対して接続箇所32で接続してこれらを一体化する。その結果、被弾箇所21はシート体13から削除され、標的の後方にはシート体13の損傷を受けていない新たな箇所が配置され、所定のエネルギーの吸収能力を発揮する。すなわち、ローラ25及び固定具27がシート体13を移動させる移動手段を構成する。
【0052】
この引き下ろし処理及び接続する処理はシート体13のローラ25からの引き出しが完了するまで繰り返すことができるので、無駄がなく使い勝手も向上する。
【0053】
図5はこの発明の第5の実施の形態による停弾装置の概略側面図であって、
図7の従来の停弾装置におけるシート体のみに対応する図である。尚、
図5における停弾装置11のシート体13自体は従来例で示した
図7のシート体65と同一材料によるものであるので、ここではその相違点を中心に説明する。
【0054】
図5の(1)に示すように、使用によってシート体13の被弾箇所21に損傷が生じるが、他の実施の形態とは異なり、この実施の形態では被弾箇所21の位置を被弾の集中部分から移動させるものではない。
【0055】
すなわち、
図5の(2)に示すように、シート体13と同材料よりなる補助シート体35を前もって準備しておき、被弾箇所21の前面を覆うようにシート体13に取付ける。これによって、被弾箇所21の部分は新たな補助シート体35によって所定のエネルギーの吸収を発揮するシート体13として再度使用することができる。
【0056】
尚、補助シート体35の代わりに被弾箇所21に形成された貫通孔を、硬化後にシート体13と同一の効果を発揮するような軟質の素材で塞ぐようにしても良い。
【0057】
又、上記の各実施の形態にあっては、シート体は1枚で説明しているが、
図7で示した従来例のように複数のシート体を所定間隔で配置するようにしても良い。
【0058】
更に、上記の各実施の形態にあっては、シート体は従来例で示したシート体と同一の材料としているが、被弾した弾丸の運動エネルギーを減衰するものであれば、例えば、総ゴムのシート、樹脂シート及び繊維シート等の他の材料であっても良い。
【0059】
更に、上記の第1から第4の実施の形態にあっては、シート体を上下の一方方向に移動させているが、上下の他方方向でも良く、又、方向は左右方向や斜め方向でも良い。
【0060】
更に、上記の第1から第4の実施の形態にあっては、シート体の移動は特定方法によっているが、他の方法であっても良い。
【0061】
更に、上記の第5の実施の形態にあっては、補助シート体をシート体の表面に取付けているが、シート体の裏面に取付けても良い。