(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
拡開可能な一対のブレーキシューの一方の一端部に係合する第1ストラット部材と、該一対のブレーキシューの他方の一端部に係合する第2ストラット部材と、該第1ストラット部材と第2ストラット部材との間に配設され、回転させられることによって該第1ストラット部材と第2ストラット部材との間の距離を伸長させるアジャスティングホイールとを有し、非制動時における前記一対のブレーキシューの待機位置を規定するストラットと、
前記第1ストラット部材または前記第2ストラット部材と該ブレーキシューの一方との間の離間作動に関連して前記アジャスティングホイールを一方向に回転させる調節部材を備え、
前記調節部材によって前記アジャスティングホイールが回転させられることにより、非制動時における前記一対のブレーキシューと回転ドラムとの間のシュー間隙を自動的に調節するシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキであって、
前記ストラットには、温度上昇に伴う変形によって前記第1ストラット部材または前記第2ストラット部材の前記ブレーキシューの一方からの離間を抑制する第1感温変形部材と、温度上昇によって該第1感温変形部材の変形を抑制する側に変形する第2感温変形部材とが備えられ、
前記第1感温変形部材は、前記第2感温変形部材よりも前記第1ストラット部材側または前記第2ストラット部材側となるように、前記第1ストラット部材または前記第2ストラット部材に設けられており、
前記第1感温変形部材と前記第2感温変形部材との温度差に基づいて前記第1ストラット部材または前記第2ストラット部材の前記ブレーキシューの一方からの離間が抑制されることを特徴とするシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
前記第2感温変形部材は、前記ストラットよりも熱伝導率が低い低熱伝導部材を介して該第1ストラット部材又は前記第2ストラット部材に設けられている請求項1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
前記第2感温変形部材には、該第2感温変形部材が取り付けられる前記第1ストラット部材又は前記第2ストラット部材との接触面積を比較的に小さくする接触面積減少部が形成されている請求項1または2のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
前記調節部材は、前記アジャスティングホイールに係合するレバー部を有して前記一対のブレーキシューの一方に回転可能に設けられている請求項1乃至3のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
前記調節部材は、前記アジャスティングホイールに係合するレバー部を有して前記ストラットに該レバー部が該アジャスティングホイール側に付勢された状態で設けられている請求項1乃至3のいずれか1のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例のパーキングロック機能を備えたシュー間隙自動調節機構付ドラムブレーキであるリーディング・トレーリング型の車両用ドラムブレーキ(以下、ドラムブレーキという)10であって、ブレーキドラム(回転ドラム)12を取り外して示す正面図である。ブレーキドラム12は、
図1の1点鎖線で示す2つの同心円で表されており、その2つの円のうちの中心側の円はブレーキドラム12の内周面14を示している。
【0016】
ドラムブレーキ10には、
図1に示すように、略円板形状を成し、たとえば図示しない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置などの車体側部材すなわち非回転部材に一体的に固設されたバッキングプレート16が備えられている。
【0017】
ドラムブレーキ10には、
図1に示すように、バッキングプレート16の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー18および20と、その一対のブレーキシュー18および20の一端部すなわち
図1の上端部の間においてバッキングプレート16に位置固定に設けられたホイールシリンダ22と、一対のブレーキシュー18および20の一端部を互いに接近する方向に常時付勢するために、その一端部間に張設されたコイル状のリターンスプリング24と、そのコイル状のリターンスプリング24の内部を挿通するように一対のブレーキシュー18および20の一端部間に掛け渡され、非制動時における一対のブレーキシュー18および20とブレーキドラム12との間すなわちシュー間隙を自動的に調節するシュー間隙自動調節機構26と、一対のブレーキシュー18および20の他端部すなわち
図1の下端部の間に位置固定に設けられたアンカ28と、一対のブレーキシュー18および20の下端部間に張設されてそれら下端部をアンカ28に常時当接させるスプリング30とが備えられている。
【0018】
一対のブレーキシュー18および20は、何れも、バッキングプレート16の平板部16aと略平行な平板状を成し且つ
図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲した形状に打ち抜かれたシューウェブ32および34と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム36および38と、それらシューリム36および38の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング40および42とによってそれぞれ構成されている。
【0019】
一対のブレーキシュー18および20は、シューウェブ32およびシューウェブ34にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置44および46によってバッキングプレート16側へ押圧されることによりそのバッキングプレート16に対して面方向の相対移動可能に保持されている。
図1に示すように、ブレーキシュー18の一端部には、長手平板状のパーキングブレーキレバー48の基端部48aがピン50により相対回動可能に連結されている。パーキングブレーキレバー48の先端部48bには、その先端部48bから一体にシューリム36の内周面に接近する方向に突き出されそのシューリム36の内周面に当接する突部48cが形成されている。
【0020】
シュー間隙自動調節機構26には、
図2に示すように、一対のブレーキシュー18および20の一端部間に掛け渡たされ、ドラムブレーキ10の非制動時における一対のブレーキシュー18および20の接近を阻止してそれらの待機位置を規定するストラット52と、そのストラット52に備えられたアジャストレバー(調節部材)54とが備えられている。
【0021】
ストラット52は、
図2に示すように、シューウェブ34の一端部に係合する第1係合部56aを有する長手状の第1ストラット部材56と、シューウェブ32の一端部およびパーキングブレーキレバー48の基端部48aに係合する第2係合部58aを有する第2ストラット部材58と、その第2ストラット部材58と第1ストラット部材56との間に配設され第2ストラット部材58と螺合する長手形状の調節軸60と、その調節軸60の第1ストラット部材56の第1係合部56aと第2ストラット部材58の第2係合部58aとの間に固定され、その調節軸60の径より大径に形成された略円板形状のアジャスティングホイール60aとを備えている。
【0022】
第2ストラット部材58の第2係合部58aには、
図2に示すように、シューウェブ32の一端部およびパーキングブレーキレバー48の基端部48aが嵌め入れられるように矩形状に切り欠かれた切欠58bが形成されている。
【0023】
ストラット52は、リターンスプリング24の付勢力によって、パーキングブレーキレバー48の基端部48aにおける内周側端面48dの一部が第2ストラット部材58の第2係合部58aにおける切欠58bによって形成された当接面58cに当接されると共に、シューウェブ34の一端部が第1ストラット部材56の第1係合部56aに当接されることにより、ドラムブレーキ10の非制動時における一対のブレーキシュー18および20の待機位置が規定されている。
【0024】
調節軸60には、
図2に示すように、略円板形状のアジャスティングホイール60aの中心部からブレーキシュー20に接近する方向に略円柱形状に突き出す嵌合軸部60bと、略円板形状のアジャスティングホイール60aの中心部からその嵌合軸部60bとは反対方向に略円柱形状に突設するとともにその外周面に螺刻された雄ねじ部60cを有するねじ軸部60dとが備えられている。調節軸60において、ねじ軸部60dは第2ストラット部材58に形成された雌ねじ穴58dと螺合し、嵌合軸部60bは第1ストラット部材56に形成された略円柱形状の嵌合穴56bに相対回転可能に嵌め入れられている。
【0025】
そのため、ストラット52は、アジャストレバー54によってアジャスティングホイール60aが所定方向例えば調節軸60のねじ軸部60dが右ねじであれば左回りの方向に回動させられると、調節軸60のねじ軸部60dに形成された雄ねじと第2ストラット部材58の雌ねじ穴58dの内周部に形成された雌ねじとのねじの作用によって、第2ストラット部材58が第1ストラット部材56から離間する方向に移動させられ、第1ストラット部材56の第1係合部56aと第2ストラット部材58の第2係合部58aとの間の距離すなわちストラット52の長手方向の距離が伸長する。
【0026】
アジャストレバー54は、例えば鋼板からプレス加工により成形されている。
図1に示すように、アジャストレバー54は、そのアジャストレバー54の基端部54aに貫通された貫通穴54bにシューウェブ34からバッキングプレート16に接近する方向に突設された略円柱形状の軸部材62が相対回転可能に嵌め入れられている。このため、アジャストレバー54は、その軸部材62の軸心回りに回動可能にブレーキシュー20のシューウェブ34に配設されている。
【0027】
アジャストレバー54は、
図1および
図2に示すように、基端部54aからアジャスティングホイール60aに接近する方向に長手状に延長されたレバー部54cと、そのレバー部54cの先端部から略円板形状のアジャスティングホイール60aの外周面に備えられた複数の係合歯の一つに伸長し且つ図示しないブレーキペダルの操作によるドラムブレーキ10の制動時にその係合歯と係合する平板状の係合板54dと、レバー部54cの中間部から第1ストラット部材56の第1係合部56aに接近する方向に伸長してその第1ストラット部材56の第1係合部56aに当接する当接部54eとを一体に備えている。アジャストレバー54には、
図1に示すように、そのアジャストレバー54を軸部材62の軸心回り矢印F方向に回動するように常時付勢するために、レバー部54cの中間部とブレーキシュー20の他端部との間に張設されたコイル状のスプリング64が備えられている。このため、アジャストレバー54の当接部54eは、コイル状のスプリング64の付勢力によって、第1ストラット部材56すなわちストラット52を一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー18側に常時付勢している。なお、コイル状のスプリング64の付勢力は、リターンスプリング24の付勢力より小さいものである。
【0028】
図2乃至
図5に示すように、ストラット52のブレーキシュー18側の端部には、温度上昇に伴う変形によって第1ストラット部材56のブレーキシュー20からの離間を抑制する第1感温変形部材66と、温度上昇によってその第1感温変形部材66の変形を抑制する側に変形する第2感温変形部材68とが備えられている。
【0029】
第1感温変形部材66には、
図3乃至
図5に示すように、第2ストラット部材58の第2係合部58aに固定された平板形状の固定部66aと、先端部がパーキングブレーキレバー48の基端部48aにおける内周側端面48dの一部に係合する長手平板形状の係合部66bと、その係合部66bと固定部66aとを連結する円弧形状に曲成された連結部66cとが一体に備えられている。
図3に示すように、第1感温変形部材66の係合部66bは、その係合部66bの先端部が第2ストラット部材58の第2係合部58aの両側へ2つに分岐したものであり、それぞれの係合部66bの先端部がブレーキレバー48の基端部48aにおける内周側端面48dの一部に係合している。
【0030】
第2感温変形部材68には、
図3乃至
図5に示すように、第1感温変形部材66の固定部66aに後述する低熱伝導部材70を介して固定された平板形状の固定部68aと、先端部が第1感温変形部材の係合部66bの一部に係合する長手平板形状の係合部68bと、その係合部68bと固定部68aとを連結する円弧形状に曲成された連結部68cとが一体に備えられている。
図3に示すように、第2感温変形部材68の係合部68bは、その係合部68bの先端部が第2ストラット部材58の第2係合部58aの両側へ2つに分岐したものであり、それぞれの係合部68bの先端部が第1感温変形部材66の係合部66bの一部に係合している。また、第2感温変形部材68の連結部68cには、第1感温変形部材66の連結部66cを挿通させるために貫通された挿通穴68dが形成されている。
【0031】
第2感温変形部材68は、
図3乃至
図5に示すように、ストラット52すなわち第2ストラット部材58や第1感温変形部材66よりも熱伝導率が低い平板形状の低熱伝導部材70を介して第1感温変形部材66の固定部66aすなわち第2ストラット部58の第2係合部58aに設けられている。また、第1感温変形部材66の固定部66a、第2感温変形部材68の固定部68a、低熱伝導部材70には、それぞれ、第2ストラット部材58の第2係合部58aから突き出した突部58eを挿通させる挿通穴66d、68e、70aが形成されており、突部58eの先端部がかしめ変形されることによって、それら第1感温変形部材66の固定部66a、第2感温変形部材68の固定部68a、低熱伝導部材70が、第2ストラット部材の第2係合部58aに固定されている。
【0032】
第1感温変形部材66および第2感温変形部材68は、熱膨張率の異なる2枚の薄い板を合わせた状態で、圧延等で相互に高圧力で接合された所謂バイメタルである。本実施例では、第1感温変形部材66の外周部Aに熱膨張率が相対的に高い部材を使用し、第1感温変形部材66の内周部Bに熱膨張率が相対的に低い部材を使用している。このため、第1感温変形部材66は、温度上昇によって、その感温変形部材66の係合部66bの先端部がストラット52がパーキングブレーキレバー48の内周側端面48dから離間する方向すなわち
図3に示す矢印F1方向に曲げられる。つまり、第1感温変形部材66は、第2ストラット部材58の第2係合部58aとパーキングブレーキレバー48の基端部48aとの間を離間させるように変形する。また、第2感温変形部材68の外周部Cに熱膨張率が相対的に低い部材を使用し、第2感温変形部材68の内周部Dに熱膨張率が相対的に高い部材を使用している。このため、第2感温変形部材68は、温度上昇によって、その第2感温変形部材68の係合部68bの先端部が矢印F1方向とは反対方向すなわち
図3に示す矢印F2方向に曲げられる。つまり、第2感温変形部材68は、温度上昇によって第1感温変形部材66の変形を抑制する側に変形する。
【0033】
なお、第1感温変形部材66および第2感温変形部材68は、それらが同じ温度であれば、係合部68bを矢印F1方向に押圧する力と係合部66bを矢印F2方向に押圧する力とが同じになる。また、第2感温変形部材68の温度が第1感温変形部材66の温度よりも相対的に低くなると、その第1感温変形部材66と第2感温変形部材68との温度差によって、
図4の右図および
図5の右図に示すように、第1感温変形部材66の係合部66bによるパーキングブレーキレバー48およびブレーキシュー18をバッキングプレート16の外周側に押圧する力すなわちストラット52を一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー20側に押圧する力が大きくなる。
【0034】
以上のように構成されたドラムブレーキ10は、図示されていないブレーキペダル操作に伴ってホイールシリンダ22により一対のブレーキシュー18および20の一端部が互いに離隔する方向に拡開される。そして、ライニング40および42が摩耗しシュー間隙が大きくなった状態で、ホイールシリンダ22により一対のブレーキシュー18および20が待機位置から拡開させられて、ストラット52がアジャストレバー54の当接部54eにより一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー18側に移動すると、第1ストラット部材56とブレーキシュー20との離間距離に応じてレバー部54cの先端部に形成された係合板54dによりアジャスティングホイール60aが所定方向例えば調節軸60のねじ軸部60dが右ねじであれば左回りの方向に回動される。それにより、ストラット52が伸長させられシュー間隙が調節される。
【0035】
ドラムブレーキ10が、例えば寒冷地方のような比較的低温の環境温度で使用された時や高温地域のような比較的高温の環境温度で使用された時におけるシュー間隙自動調節機構26の作動を
図4および
図5を用いて説明する。なお、
図4は、ドラムブレーキ10が寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度で使用された時における第1感温変形部材66および第2感温変形部材68の状態を示す図である。また、
図4の左図は、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が少ない場合を示すものであり、
図4の右図は、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が大きい場合を示すものである。また、
図5は、ドラムブレーキ10が高温地域の夏のような比較的高温の環境温度で使用された時における第1感温変形部材66および第2感温変形部材68の状態を示す図である。また、
図5の左図は、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が少ない場合を示すものであり、
図5の右図は、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が大きい場合を示すものである。
【0036】
図4の左図および
図5の左図に示すように寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度でドラムブレーキ10が使用されても、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が少ない場合には、第1感温変形部材66および第2感温変形部材68に伝達される摩擦熱の量が少ない。このため、第1感温変形部材66および第2感温変形部材68の温度は、比較的低温または比較的高温の環境温度すなわち外気(空気)の温度と略同じになるので、たとえば、環境温度によって第1感温変形部材66がパーキングブレーキレバー48を矢印F1方向に押そうとするが、その環境温度によって第2感温変形部材68が矢印F2方向に上記矢印F1方向に押そうとする力と略同等の大きさの力で押し返すので、第1感温変形部材66の係合部66bの矢印F1方向の変位すなわち変形が抑制される。このため、制動時において第1感温変形部材66の係合部66bによってストラット52が一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー20側に付勢されないので、シュー間隙が大きくなるとシュー間隙自動調節機構26が作動して前述したようにシュー間隙が調節される。
【0037】
図4の右図および
図5の右図に示すように寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度で車両走行中においてブレーキ操作に伴う摩擦熱の量が比較的に多くなった場合には、過渡的に第2感温変形部材68に伝達される摩擦熱の量は低熱伝導部材70によって第1感温変形部材66に比較して少なく、第2感温変形部材68の温度は、第1感温変形部材66の温度より低くなる。第1感温変形部材66がパーキングブレーキレバー48およびブレーキシュー18を矢印F1方向へ押す力が、第2感温変形部材68の矢印F2方向へ押す力を上回ることによって、第1感温変形部材66の係合部66bが押す力と第2感温変形部材68の係合部68bが押す力との差分がパーキングブレーキレバー48を矢印F1方向に押す力となる。このため、第1感温変形部材66の係合部66bが第2感温変形部材68の係合部68bに抗して変形すると、ストラット52が一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー20側に付勢されて第1ストラット部材56とブレーキシュー20とが当接されるので、過熱時に第1ストラット部材56のブレーキシュー20からの離間が抑制される。これによって、摩擦熱によってブレーキドラム12の温度が上昇してそのブレーキドラム12の内径が拡径してしまう場合には、アジャストレバー54が回動しないのでシュー間隙自動調節機構26のシュー間隙の自動調節が抑制される。
【0038】
本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、ストラット52の端部には、温度上昇に伴う変形によって第1ストラット部材56のブレーキシュー20からの離間を抑制する第1感温変形部材66と、温度上昇によってその第1感温変形部材66の変形を抑制する側に変形する第2感温変形部材68とが備えられており、第1感温変形部材66と第2感温変形部材68との温度差に基づいて第1ストラット部材56のブレーキシュー20からの離間が抑制される。このため、例えば 寒冷地方の冬または高温地域の夏のような環境温度によって第1感温変形部材66が変形しようとすると、第2感温変形部材68が第1感温変形部材66の変形を抑制する側に変形するので、第1感温変形部材66の変形が抑制される。しかし、制動時の摩擦熱により第1感温変形部材66と第2感温変形部材68との間に過渡的に温度差が生じると、第1感温変形部材66が第2感温変形部材68に抗して変形して、第1ストラット部材56のブレーキシュー20からの離間が抑制される。これによって、シュー間隙自動調節機構26は、環境温度の変化によって影響され難く、前記摩擦熱による温度上昇によって好適にオーバアジャストが防止される。
【0039】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、第2感温変形部材68は、ストラット52および第1感温変形部材66よりも熱伝導率が低い低熱伝導部材70を介して第2ストラット部材58の第2係合部58aに設けられている。このため、摩擦熱が第1感温変形部材66および第2感温変形部材68に伝達されるとき、過渡的に第1感温変形部材66と第2感温変形部材68との間に温度差が好適に大きく生じ、オーバアジャストが防止される。
【0040】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26を備えたドラムブレーキ10によれば、アジャストレバー54は、アジャスティングホイール60aに係合するレバー部54cを有してブレーキシュー20に回転可能に設けられている。
【0041】
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0042】
図6に示すように、本実施例のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキは、前述の実施例1の低熱伝導部材70が設けられていない点と、第2感温変形部材72の固定部72aの形状が前述の実施例1の第2感温変形部材68の固定部68aと異なる点とで相違し、それ以外は略同様に構成されている。
【0043】
図6に示すように、第2感温変形部材72は、実施例1と同様に、温度上昇によって第1感温変形部材66の変形を抑制する側に変形するものである。また、第2感温変形部材72には、第1感温変形部材66の固定部66aに直接固定される平板形状の固定部(接触面積減少部)72aと、実施例1の係合部68bと同様の係合部72bと、実施例1の連結部68cと同様の連結部72cと、実施例1の挿通穴68dと同様の挿通穴72dとが一体に備えられている。
【0044】
図7に示すように、第2感温変形部材72の固定部72aは、第2感温変形部材72が取り付けられる第1感温変形部材66の固定部66aとの接触面積を実施例1の第2感温変形部材68の固定部66aに比較して減少させている。
【0045】
ここで、本実施例のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキが、例えば寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度で使用された時や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度で使用された時におけるシュー間隙自動調節機構26の作動状態を
図8および
図9を用いて説明する。
【0046】
図8の左図および
図9の左図に示すように寒冷地方のような比較的低温の環境温度や高温地域のような比較的高温の環境温度で本実施例のドラムブレーキが使用されても、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が少ない場合には、第1感温変形部材66および第2感温変形部材72に伝達される摩擦熱の量が少ない。このため、第1感温変形部材66および第2感温変形部材68の温度は、比較的低温または比較的高温の環境温度すなわち外気(空気)の温度と略同じになるので、たとえば、環境温度によって第1感温変形部材66がパーキングブレーキレバー48を矢印F1方向に押そうとするが、その環境温度によって第2感温変形部材68が矢印F2方向に上記矢印F1方向に押そうとする力と略同等の大きさの力で押し返すので、第1感温変形部材66の係合部66bの矢印F1方向の変位が抑制される。このため、制動時において第1感温変形部材66の係合部66bによってストラット52が一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー20側に付勢されないので、シュー間隙が大きくなるとシュー間隙自動調節機構26が作動して前述したようにシュー間隙が調節される。
【0047】
図8の右図および
図9の右図に示すように寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度で車両走行中においてブレーキ操作に伴う摩擦熱の量が比較的に多くなった場合には、過渡的に、第2感温変形部材72に伝達される前記摩擦熱の量は第1感温変形部材66との接触面積が小さい接触面積減少部である第2感温変形部材72の固定部72aによって第1感温変形部材66に比較して少なく、第2感温変形部材72の温度は、第1感温変形部材66の温度より低くなる。第1感温変形部材66がパーキングブレーキレバー48およびブレーキシュー18を矢印F1方向へ押す力が、第2感温変形部材72の矢印F2方向の力を上回ることによって、第1感温変形部材66の係合部66bが押す力と第2感温変形部材72の係合部72bが押す力との差分がパーキングブレーキレバー48を矢印F1方向に押す力となる。このため、第1感温変形部材66の係合部66bが第2感温変形部材72の係合部72bに抗して変形すると、ストラット52が一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー20側に付勢されて第1ストラット部材56とブレーキシュー20とが当接されるので、過熱時に第1ストラット部材56のブレーキシュー20からの離間が抑制される。これによって、摩擦熱によってブレーキドラム12の温度が上昇してそのブレーキドラム12の内径が拡径してしまう場合には、アジャストレバー54が回動しないのでシュー間隙自動調節機構26のシュー間隙の自動調節が抑制される。
【0048】
本実施例のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキによれば、第2感温変形部材72には、その第2感温変形部材72が取り付けられる第2ストラット部材58に固定された第1感温変形部材66の固定部66aとの接触面積を実施例1の第2感温変形部材68の固定部66aに比較して減少させて小さくする接触面積減少部である固定部72aが形成されている。このため、摩擦熱が第1感温変形部材66および第2感温変形部材72に伝達されるとき、過渡的に第1感温変形部材66と第2感温変形部材72との間に温度差が好適に大きく生じ、オーバアジャストが防止される。
【実施例3】
【0049】
図10および
図11に示すように、本実施例のシュー間隙自動調節機構74を備えたドラムブレーキ76は、前述の実施例1のシュー間隙自動調節機構26とは異なるシュー間隙自動調節機構74を備えている点で相違し、それ以外は略同様に構成されている。
【0050】
図10および
図11に示すように、シュー間隙自動調節機構74には、一対のブレーキシュー18および20の一端部間に掛け渡たされ、ドラムブレーキ76の非制動時における一対のブレーキシュー18および20の接近を阻止してそれらの待機位置を規定するストラット78と、そのストラット78に備えられたアジャストレバー(調節部材)80とが備えられている。
【0051】
図10および
図11に示すように、ストラット78には、ブレーキシュー20の一端部に係合する第1係合部82aを有する長手状の第1ストラット部材82と、シューウェブ32の一端部およびパーキングブレーキレバー48の基端部48aに係合する第2係合部84aを有する長手状の第2ストラット部材84と、その第2ストラット84の第2係合部84aと第1ストラット部材82の第1係合部82aとの間に配設され、回動させられることによってその第1係合部82aと第2係合部84aとの間の距離を伸長させるアジャスティングホイール86とが備えられている。
【0052】
第1ストラット部材82には、第1係合部82aからブレーキシュー18に接近する方向に略円柱形状に突設するとともにその外周面に螺刻された雄ねじ部82bを有するねじ軸部82cが備えられている。また、第1ストラット部材82のねじ軸部82cには、アジャスティングホイール86が螺合されており、そのねじ軸部82cの先端部が第2ストラット部材84に設けられた略円柱形状の嵌合穴84bにストラット78の長手方向に相対移動可能に嵌め入れられている。
【0053】
そのため、ストラット78は、アジャストレバー80によってアジャスティングホイール86が所定方向に回動させられると、アジャスティングホイール86が一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー18側に移動させられると共に、後述する第1感温変形部材90、第2感温変形部材92、一対の低熱伝導部材94および96を介して第2ストラット部材84が第1ストラット部材82から離間する方向に移動させられ、第1ストラット部材82の第1係合部82aと第2ストラット部材84の第2係合部84aとの間の距離すなわちストラット78の長手方向の距離が伸長する。
【0054】
図10および
図11に示すように、アジャストレバー80には、アジャスティングホイール86に係合するレバー部80aと、そのレバー部80aとブレーキシュー20との間に張設されたコイル状のスプリング88の付勢力により第1ストラット部材82の第1係合部82aに当接してストラット78を一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー18側に常時付勢する当接部80bとが備えられている。なお、アジャストレバー80は、そのアジャストレバー80の基端部80cに貫通された貫通穴80dにシューウェブ34からバッキングプレート16から離間する方向に突設された略円柱形状の軸部材81が相対回転可能に嵌め入れられている。また、コイル状のスプリング88の付勢力は、リターンスプリング24の付勢力より小さいものである。
【0055】
図10および
図11に示すように、アジャスティングホイール86と第2ストラット部材84との間には、温度上昇に伴う変形によって第1ストラット部材82のブレーキシュー20からの離間を抑制する第1感温変形部材90と、温度上昇によってその第1感温変形部材90の変形を抑制する側に変形する第2感温変形部材92とが備えられている。
【0056】
第1感温変形部材90には、
図10および
図11に示すように、アジャスティングホイール86と第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部との間に配設された互いに対向する平板状の一対の側壁部90a、90bと、それら一対の側壁部90a、90bのバッキングプレート16側の端部とを連結する円弧形状に曲成された連結部90cとが一体に備えられている。なお、
図11に示すように、一対の側壁部90a、90bには、第1ストラット部材82のねじ軸部82cをそのねじ軸部82bの軸心方向の移動可能に嵌め入れる嵌合穴90dが形成されている。また、側壁部90bは、アジャスティングホイール86に係合されている。また、
図10に示すように、側壁部90aには、その側壁部90aの一部から第2ストラット部材84側に一体に延長された回り止め部90eが形成されており、その回り止め部90eが第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部に形成された切欠84c内に嵌め入れられている。
【0057】
第2感温変形部材92には、
図10および
図11に示すように、第1感温変形部材90の側壁部90aと第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部との間に取り付けられた平板形状の取付部92aと、先端部が第1感温変形部材90の側壁部90bの一部に係合する長手平板形状の係合部92bと、その係合部92bと取付部92aとを連結する円弧形状に曲成された連結部92cとが一体に備えられている。
図10に示すように、第2感温変形部材92の係合部92bは、その係合部92bの先端部がアジャスティングホイール86の両側へ2つに分岐したものであり、それぞれの係合部92bの先端部が第1感温変形部材90の側壁部90bの一部に係合している。また、第2感温変形部材92の取付部92aには、第1ストラット部材82のねじ軸部82bをそのねじ軸部82bの軸心方向の移動可能に嵌め入れる嵌合穴92dが形成されている。また、第2感温変形部材92の連結部92cには、第1感温変形部材90の連結部90cを挿通させるために貫通された挿通穴92eが形成されている。
【0058】
第2感温変形部材92の取付部92aには、
図10および
図11に示すように、ストラット78すなわち第2ストラット部材84や第1感温変形部材90よりも熱伝導率が低い平板形状の一対の低熱伝導部材94および96が設けられている。低熱伝導部材94は、第2感温変形部材92の取付部92aと第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部との間に配設されており、低熱伝導部材96は、第2感温変形部材92の取付部92aと第1感温変形部材90の側壁部90aとの間に配設されている。なお、一対の低熱伝導部材94および96には、第1ストラット部材82のねじ軸部82bをそのねじ軸部82bの軸心方向の移動可能に嵌め入れる嵌合穴94aおよび96aが形成されている。また、
図10に示すように、第2感温変形部材92の取付部92a、一対の低熱伝導部材94および96には、それぞれ第1感温変形部材90の回り止め部90eを挿通させる切欠92f、94b、96bが形成されている。
【0059】
第1感温変形部材90および第2感温変形部材92は、熱膨張率の異なる2枚の薄い板を合わせた状態で、圧延等で相互に高圧力で接合された所謂バイメタルである。本実施例では、第1感温変形部材90の外周部に熱膨張率が相対的に低い部材を使用し、第1感温変形部材90の内周部に熱膨張率が相対的に高い部材を使用している。このため、第1感温変形部材90は、温度上昇によって、その第1感温変形部材90の一対の側壁部90aおよび90bの先端部が互いに離間する方向に変形する。すなわち、
図11に示すように、温度上昇によって、側壁部90aの先端部が矢印F3方向に移動するように変形し、側壁部90bの先端部が矢印F4方向に移動するように変形する。また、第2感温変形部材92の外周部に熱膨張率が相対的に高い部材を使用し、第2感温変形部材92の内周部に熱膨張率が相対的に低い部材を使用している。このため、第2感温変形部材92は、温度上昇によって、その第2感温変形部材92の取付部92aと係合部92bとが互いに接近する方向に変形する。すなわち、
図11に示すように、温度上昇によって、第2感温変形部材92の係合部92bが矢印F5方向に移動するように変形し、第2感温変形部材92の取付部92aが矢印F6方向に移動するように変形する。
【0060】
なお、第1感温変形部材90および第2感温変形部材92は、それらが同じ温度であれば、一対の側壁部90aおよび90bが変形して取付部92aおよび係合部92bを矢印F3、F4方向に押圧する力と、取付部92aおよび係合部92bが変形して一対の側壁部90aおよび90bを矢印F5、F6方向に押圧する力とが同じになる。また、第2感温変形部材92の温度が第1感温変形部材90の温度よりも相対的に低くなると、その第1感温変形部材90と第2感温変形部材92との温度差によって、第1感温変形部材90の一対の側壁部90aおよび90bが第2感温変形部材92に抗して互いに離間する方向に変形して、第1ストラット部材82の第1係合部82aと第2ストラット部材84の第2係合部84aとを離間させる方向に押圧する。
【0061】
以上のように構成されたドラムブレーキ76は、ライニング40および42が摩耗しシュー間隙が大きくなった状態で、ホイールシリンダ22により一対のブレーキシュー18および20が待機位置から拡開させられて、ストラット78がアジャストレバー80の当接部80bにより一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー18側に移動させられると、第1ストラット部材82とブレーキシュー20との離間距離に応じてレバー部80aによりアジャスティングホイール86が所定方向に回動される。それにより、ストラット78が伸長させられシュー間隙が調節される。
【0062】
本実施例のシュー間隙自動調節機構74を備えたドラムブレーキ76が、例えば寒冷地方のような比較的低温の環境温度で使用された時や高温地域のような比較的高温の環境温度で使用された時におけるシュー間隙自動調節機構74の作動を説明する。
【0063】
寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度でドラムブレーキ76が使用されても、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が少ない場合には、第1感温変形部材90および第2感温変形部材92に伝達される摩擦熱の量が少ない。このため、第1感温変形部材90および第2感温変形部材92の温度は、比較的低温または比較的高温の環境温度すなわち外気(空気)の温度と略同じになるので、たとえば、環境温度によって第1感温変形部材90が第1ストラット部材82の第1係合部82aと第2ストラット部材84の第2係合部84aとを離間させようと一対の側壁部90aおよび90bが変形しようとするが、第2感温変形部材92によってその一対の側壁部90aおよび90bの変形が抑制される。このため、制動時において第1感温変形部材90の一対の側壁部90aおよび90bによって第1ストラット部材82の第1係合部82aと第2ストラット部材84の第2係合部84aとが離間しないので、シュー間隙が大きくなるとシュー間隙自動調節機構26が作動して前述したようにシュー間隙が調節される。
【0064】
また、寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度で車両走行中においてブレーキ操作に伴う摩擦熱の量が比較的に多くなった場合には、過渡的に第2感温変形部材72に伝達される前記摩擦熱の量は一対の低熱伝導部材94および96によって第1感温変形部材90に比較して少なく、第2感温変形部材92の温度は、第1感温変形部材90の温度より低くなる。第1感温変形部材90の一対の側壁部90aおよび90bの矢印F3、F4方向の力が、第2感温変形部材92の矢印F5、F6方向の力を上回ることによって、第1ストラット部材82とブレーキシュー20とが当接されて過熱時に第1ストラット部材82のブレーキシュー20からの離間が抑制されるので、摩擦熱によってブレーキドラム12の温度が上昇してそのブレーキドラム12の内径が拡径してしまう場合には、アジャストレバー80が回動しないのでシュー間隙自動調節機構74のシュー間隙の自動調節が抑制される。
【実施例4】
【0065】
図12乃至
図14に示すように、本実施例のシュー間隙自動調節機構98を備えたドラムブレーキ100は、前述の実施例3の一対の低熱伝導部材94および96が設けられていない点と、第2感温変形部材102の形状が前述の実施例3の第2感温変形部材92と異なる点とで相違し、それ以外は略同様に構成されている。
【0066】
図12に示すように、第2感温変形部材102は、実施例3と同様に、温度上昇によって第1感温変形部材90の変形を抑制する側に変形するものである。第2感温変形部材102には、第1感温変形部材90の側壁部90aと第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部との間に取り付けられた平板形状の取付部102aと、実施例3の係合部92bと同様の係合部102bと、実施例3の連結部92cと同様の連結部102cと、実施例3の嵌合穴92dと同様の嵌合穴102dと、実施例3の挿通穴92eと同様の挿通穴102eと、実施例3の切欠92fと同様の切欠102fとが一体に備えられている。
【0067】
図13および
図14に示すように、第2感温変形部材102の取付部102aは、その取付部102aの厚み方向において第1感温変形部材90側および第2ストラット部材84側に突き出る複数の突部(接触面積減少部)102gが形成されている。また、第2感温変形部材102の取付部102aは、第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部と第1感温変形部材90の側壁部90aとの間に挟まれており、その取付部102aに形成された複数の突部102gの先端部が第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部と第1感温変形部材90の側壁部90aとに接触している。
【0068】
すなわち、第2感温変形部材102の取付部102aには、その取付部102aが取り付けられる第2ストラット部材84および第1感温変形部材90の側壁部90aとの接触面積を前述の実施例3の第2感温変形部材92の取付部92aに比較して小さくする複数の突部102gが形成されている。このため、制動時の摩擦熱が第1感温変形部材90および第2感温変形部材102に伝達されるとき、過渡的に第1感温変形部材90と第2感温変形部材102との間に温度差が好適に大きく生じ、シュー間隙自動調節機構98によるオーバアジャストが防止される。また、本実施例のシュー間隙自動調節機構98を備えたドラムブレーキ100は、制動時の摩擦熱が第1感温変形部材90および第2感温変形部材102に伝達されると、前述した実施例3の一対の低熱伝導部材94および96を使用せずに第2感温変形部材102に設けられた複数の突部102gによって、第2感温変形部材102の温度を第1感温変形部材90の温度より低くさせる点が、実施例3のシュー間隙自動調節機構74を備えたドラムブレーキ76と異なるだけである。このため、本実施例のシュー間隙自動調節機構98を備えたドラムブレーキ100は、実施例3のシュー間隙自動調節機構74を備えたドラムブレーキ76と同様の効果を備えるものである。
【実施例5】
【0069】
図15乃至17に示すように、本実施例のシュー間隙自動調節機構104を備えたドラムブレーキ106は、前述の実施例3のシュー間隙自動調節機構74とは異なるシュー間隙自動調節機構104を備えている点で相違し、それ以外は略同様に構成されている。
【0070】
図15に示すように、シュー間隙自動調節機構104には、第2ストラット部材84の第2係合部84aに設けられたアジャストレバー(調節部材)108が備えられている。アジャストレバー108は、弾性変形可能な板状の部材たとえばばね板材から構成されており、そのアジャストレバー108を第2ストラット部材84の第2係合部84aに固定する基端部108aと、その基端部108aから一対のブレーキシュー18および20のブレーキシュー20側に延長されたレバー部108bと、そのレバー部108bの先端部からドラムブレーキ10の制動時にアジャスティングホイールと係合するためにアジャスティングホイール86側に延長された板状の係合部108cとを一体に備えている。
【0071】
図15に示すように、アジャスティングホイール86と第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部との間には、第1ストラット部材82のねじ軸部82cを挿通させる挿通穴110aを有しアジャスティングホイール86と第2ストラット部材84のブレーキシュー20側の端部との間に挟まれる平板形状の第1レバー部110bと、その第1レバー部64bに対して直角よりも大きい所定角度たとえば約100°に折り曲げられた板状の第2レバー部110cとによって構成されたレバー部材110が備えられている。なお、アジャストレバー108は、そのレバー部108bの先端部である係合部108cがアジャスティングホイール86側に付勢された状態で第2ストラット部材84の第2係合部84aに固定されている。そして、第2レバー部110cの先端部は、アジャストレバー108のレバー部108bに当接しそのアジャストレバー108の弾性復帰力によって矢印F7方向に付勢されている。また、アジャストレバー108の弾性復帰力によってレバー部材110を矢印F7方向へ付勢することにより第1ストラット部材82と第2ストラット部材84とを離間させる付勢力は、リターンスプリング24の付勢力より小さいものである。
【0072】
図15に示すように、ストラット78のブレーキシュー18側の端部には、温度上昇に伴う変形によって第2ストラット部材84のブレーキシュー20からの離間を抑制する第1感温変形部材112と、温度上昇によってその第1感温変形部材112の変形を抑制する側に変形する第2感温変形部材114とが備えられている。
【0073】
第1感温変形部材112には、第2ストラット部材84の第2係合部84aに固定された平板形状の固定部112aと、その固定部112aからブレーキシュー20側に延長され先端部が
図16および
図17に示すレバー部材110の第1レバー部110bに貫通された貫通穴110dを挿通する長手板形状のレバー部112bと、そのレバー部112bの先端部に形成されたレバー部112bの幅寸法aより大きい幅寸法bを有する平板形状の係合部112cとが備えられている。また、
図16および
図17に示すように、第1レバー部材110bの貫通穴110dは、係合部112cの幅寸法bより大きい幅寸法cを有する第1穴部110eと、その第1穴部110eにおける第1レバー部110bの端部側に形成された幅寸法bより小さく幅寸法aより大きい幅寸法dを有する第2穴部110fとにより形成されている。なお、例えば、第1感温変形部材112の係合部112cが
図17の実線の位置にあった場合に、レバー部材110の第1レバー部110bの端部がブレーキシュー20に接近する方向すなわち
図15および
図16の矢印F8方向へ移動しようとすると、第1感温変形部材112の係合部112cに当接して矢印F8方向への移動が阻止される。また、例えば、第1感温変形部材112の係合部112cが
図17の一点鎖線の位置にあった場合に、レバー部材110の第1レバー部110bの端部が矢印F8方向へ移動しようとすると、第1感温変形部材112の係合部112cが貫通穴110dの第1穴部110eを挿通して矢印F8方向への移動が許容される。
【0074】
第2感温変形部材114には、第1感温変形部材112の固定部112aに後述する低熱伝導部材116を介して固定された平板形状の固定部114aと、先端部が第1感温変形部材112のレバー部112bの一部に係合する係合部114bと、その係合部114bと固定部114aとを連結する長手平板形状の連結部114cとが一体に備えられている。
【0075】
第2感温変形部材114は、ストラット78すなわち第2ストラット部材84や第1感温変形部材112よりも熱伝導率が低い平板形状の低熱伝導部材116を介して第1感温変形部材112の固定部112aに設けられている。また、第1感温変形部材112の固定部112a、第2感温変形部材114の固定部114a、低熱伝導部材116には、それぞれ、第2ストラット部材84の第2係合部84aから突き出した一対の突部84eを挿通させる挿通穴112d、114d、116aが形成されており、一対の突部84eの先端部がかしめ変形されることによって、それら第1感温変形部材112の固定部112a、第2感温変形部材114の固定部114a、低熱伝導部材116が、第2ストラット部材84の第2係合部84aに固定されている。
【0076】
第1感温変形部材112および第2感温変形部材114は、熱膨張率の異なる2枚の薄い板を合わせた状態で、圧延等で相互に高圧力で接合された所謂バイメタルである。本実施例では、第1感温変形部材112のその第1感温変形部材112の厚み方向におけるストラット78側に熱膨張率が相対的に高い部材を使用し、第1感温変形部材112の厚み方向におけるストラット78側とは反対側に熱膨張率が相対的に低い部材を使用している。このため、第1感温変形部材66は、温度上昇によって、その感温変形部材112の係合部112cがアジャスティングホイール86から離間する方向すなわち
図15に示す矢印F9方向に移動するように変形する。つまり、第1感温変形部材112は、そのレバー部112bを
図17に示す第2穴部110f内に位置させるように変形する。なお、第1感温変形部材112が変形しない場合には、そのレバー部112bは、
図17に示す第1穴部110e内に位置している。また、第2感温変形部材114のその第2感温変形部材114の厚み方向におけるストラット78側に熱膨張率が相対的に低い部材を使用し、第2感温変形部材114のその第2感温変形部材114の厚み方向におけるストラット78側とは反対側に熱膨張率が相対的に高い部材を使用している。このため、第2感温変形部材114は、温度上昇によって、その第2感温変形部材114の係合部114bの先端部が矢印F9方向とは反対方向すなわち
図15に示す矢印F10方向に移動するように変形する。つまり、第2感温変形部材114は、温度上昇によって第1感温変形部材112の変形を抑制する側に変形する。
【0077】
なお、第1感温変形部材112および第2感温変形部材114は、それらが同じ温度であれば、係合部112cが変形して係合部114bを矢印F9方向に押圧する力と係合部114bが変形して係合部112cを矢印F10方向に押圧する力とが同じになり、第1感温変形部材112の変形が抑制される。また、第2感温変形部材114の温度が第1感温変形部材112の温度よりも相対的に低くなると、その第1感温変形部材112と第2感温変形部材114との温度差によって、第1感温変形部材112の係合部112cが第2感温変形部材114に抗して矢印F9方向に変形する。
【0078】
以上のように構成されたドラムブレーキ106は、ライニング40および42が摩耗しシュー間隙が大きくなった状態で、ホイールシリンダ22により一対のブレーキシュー18および20が待機位置から拡開させられて、アジャストレバー108の弾性復帰力によりレバー部材110の第2レバー部110cが矢印F7方向に押されて第1レバー部110bが矢印F8方向へ押される。これによって、第1レバー部材82の第1係合部82aと第2レバー部材84の第2係合部84aとの間が離間する方向に移動し、第2ストラット部材84とブレーキシュー20との離間距離に応じてレバー部108bによりアジャスティングホイール86が所定方向に回動させられる。それにより、ストラット78が伸長させられシュー間隙が調節される。
【0079】
本実施例のシュー間隙自動調節機構104を備えたドラムブレーキ106が、例えば寒冷地方のような比較的低温の環境温度で使用された時や高温地域のような比較的高温の環境温度で使用された時におけるシュー間隙自動調節機構104の作動を説明する。
【0080】
寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度でドラムブレーキ106が使用されても、車両走行中においてブレーキ操作に伴うブレーキシュー18および20の温度上昇が少ない場合には、第1感温変形部材112および第2感温変形部材114に伝達される摩擦熱の量が少ない。このため、第1感温変形部材112および第2感温変形部材114の温度は、比較的低温または比較的高温の環境温度すなわち外気(空気)の温度と略同じになるので、たとえば、環境温度によって第1感温変形部材112が矢印F9方向に変形しようとするが、第2感温変形部材114によってその変形が抑制される。このため、制動時においてレバー部材110の第1レバー部材110bの矢印F8方向への移動が許容されるので、シュー間隙が大きくなるとシュー間隙自動調節機構26が作動して前述したようにシュー間隙が調節される。
【0081】
寒冷地方の冬のような比較的低温の環境温度や高温地域の夏のような比較的高温の環境温度で車両走行中においてブレーキ操作に伴う摩擦熱の量が比較的に多くなった場合には、過渡的に第2感温変形部材114に伝達される前記摩擦熱の量は低熱伝導部材116によって第1感温変形部材112に比較して少なく、第2感温変形部材114の温度は、第1感温変形部材112の温度より低くなる。第1感温変形部材112の係合部112cが矢印F9方向へ押す力が、第2感温変形部材の矢印F10方向の力を上回ることによって、第1感温変形部材112の係合部112cが矢印F9方向へ移動して、そのレバー部112bがレバー部材110の第1レバー部110bに形成された貫通穴110dの第2穴部110f内に位置させられる。これによって、第1感温変形部材112の係合部112cにレバー部材110が当接してその第1レバー部110bの矢印F8方向への移動が阻止されるので、過熱時に第2ストラット部材84のブレーキシュー20からの離間が抑制されて、摩擦熱によってブレーキドラム12の温度が上昇してそのブレーキドラム12の内径が拡径してしまう場合には、アジャストレバー108によってアジャスティングホイール86が回動しないのでシュー間隙自動調節機構104のシュー間隙の自動調節が抑制される。
【0082】
本実施例のシュー間隙自動調節機構104を備えたドラムブレーキ106によれば、アジャストレバー108は、アジャスティングホイール86に係合するレバー部108bを有してストラット78にそのレバー部108bがアジャスティングホイール86側に付勢された状態で固定されている。
【実施例6】
【0083】
図18および
図19に示すように、本実施例のシュー間隙自動調節機構118を備えたドラムブレーキ120は、前述の実施例5の低熱伝導部材116が設けられていない点と、第2感温変形部材122の固定部112aの形状が前述の実施例5の第2感温変形部材114の固定部114aと異なる点とで相違し、それ以外は略同様に構成されている。
【0084】
図18に示すように、第2感温変形部材122は、実施例5と同様に、温度上昇によって第1感温変形部材112の変形を抑制する側に変形するものである。第2感温変形部材122には、第1感温変形部材112の固定部112aに直接固定された平板形状の固定部(接触面積減少部)122aと、実施例5の係合部114bと同様の係合部122bと、実施例5の連結部114cと同様の連結部122cと、実施例5の挿通穴114dと同様の挿通穴122dとが一体に備えられている。
【0085】
図19に示すように、第2感温変形部材122の固定部122aは、第2感温変形部材122と第1感温変形部材112の固定部112aとの接触面積を前述の実施例5の第2感温変形部材114の固定部114aに比較して減少させられている。なお、
図19に示されている一点鎖線は、実施例5の第2感温変形部材114の固定部114aの形状を示すものである。
【0086】
このため、制動時に摩擦熱が第1感温変形部材112および第2感温変形部材122に伝達されるとき、過渡的に第1感温変形部材112と第2感温変形部材122との間に温度差が好適に大きく生じ、シュー間隙自動調節機構120によるオーバアジャストが防止される。また、本実施例のシュー間隙自動調節機構120を備えたドラムブレーキ118は、摩擦熱が第1感温変形部材112および第2感温変形部材122に伝達されると、実施例5の低熱伝導部材116を使用せずに第2感温変形部材122に設けられた接触面積減少部である固定部122aによって、第2感温変形部材122の温度を第1感温変形部材112の温度より低くさせる点が、実施例5のシュー間隙自動調節機構104を備えたドラムブレーキ106と異なるだけである。このため、本実施例のシュー間隙自動調節機構120を備えたドラムブレーキ118は、実施例5のシュー間隙自動調節機構104を備えたドラムブレーキ106と同様の効果を備えるものである。
【実施例7】
【0087】
図20および
図21に示すように、本実施例のシュー間隙自動調節機構を備えたドラムブレーキは、第2感温変形部材124の固定部124aの形状が前述の実施例6の第2感温変形部材122の固定部122aと異なる点とで相違し、それ以外は略同様に構成されている。
【0088】
図20および
図21に示すように、第2感温変形部材124の固定部124aは、その固定部124aの厚み方向において第1感温変形部材112の固定部112a側に突き出る複数の突部(接触面積減少部)124bが形成されている。また、第2感温変形部材124の固定部124aは、第1感温変形部材112の固定部112aに固定されており、その固定部124aに形成された複数の突部124bの先端部が第1感温変形部材112の固定部112aに接触している。
【0089】
このため、制動時に摩擦熱が第1感温変形部材112および第2感温変形部材124に伝達されるとき、過渡的に第1感温変形部材112と第2感温変形部材124との間に温度差が好適に大きく生じ、前記シュー間隙自動調節機構によるオーバアジャストが防止される。
【0090】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0091】
たとえば、本実施例のシュー間隙自動調節機構26、104において、第2感温変形部材68、114は、低熱伝導部材70、116を介して第2ストラット部材58、84に設けられた第1感温変形部材66、112に固定されていたが、第2感温変形部材68、114が低熱伝導部材70、116を介して第2ストラット部材58、84に固定されていても良い。また、第2感温変形部材68、114が低熱伝導部材70、116を介して第1ストラット部材56、82に固定されても良い。
【0092】
また、本実施例のシュー間隙自動調節機構26、118において、第2感温変形部材72、122、124の接触面積減少部である固定部72a、122a、124aは、第2ストラット部材58、84に設けられた第1感温変形部材66、112に固定されていたが、第2ストラット部材58、84に直接固定させても第1感温変形部材66、112と第2感温変形部材72、122、124とに温度差が生じる。また、第2感温変形部材72、122、124の接触面積減少部である固定部72a、122a、124aが第1ストラット部材56、82に直接固定されても良い。
【0093】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。