(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記合焦用レンズが前記第2のレンズ範囲に移動したとき、前記画像のうち前記所定の範囲を超えた前記収差が生じている領域に画像処理を施す画像処理部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
前記距離の範囲を判定する判定部を有し、前記判定部は、前記画像のコントラスト値を算出し、このコントラスト値の変化に基づいて、前記被写体までの距離が前記第1の範囲であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の撮像装置。
前記距離の範囲を判定する判定部を有し、前記判定部は、前記被写体の像の位相差に基づいて前記被写体までの距離が前記第1の範囲であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラ10の概略を示すブロック図を
図1に示す。デジタルカメラ10は、信号処理制御部1と、撮像部2と、記録部3と、表示部4と、タッチパネル5と、操作部6と、レンズ部7とを備える。
【0012】
レンズ部7は、ピント調整レンズ群71と、ズーム調整レンズ群72とを有する。ピント調整レンズ群71は、主にピント調整用に駆動される。ズーム調整レンズ群72は、レンズの焦点距離を変化させるためのレンズ群である。このレンズにおいてズーム調整レンズ群72が所定のマクロ位置に位置するとき、至近位置であるマクロ領域でも合焦可能となる。
【0013】
撮像部は、レンズ部7を介した像を受けて画像信号を生成する。記録部3は、撮像された画像データ等を記録する。表示部4は、例えば液晶ディスプレイを含む。表示部4は、プレビュー画像や、撮像画像、各種警告等の表示を行う。タッチパネル5は、表示部4に重ねて配置され、ユーザからの各種入力を取得する。操作部6は、レリーズボタンや、ズームスイッチ等を含み、ユーザからの各種入力を取得する。
【0014】
信号処理制御部1は、合焦評価部1aと、マクロ判定部1bと、レンズ制御部1cと、画角調整部1dと、画像処理部1eと、表示制御部1fと、信号処理部1gと、時計1hとを有する。合焦評価部1aは、合焦の評価を行う。例えば、合焦評価部1aは、撮像部2が取得した画像のコントラスト値を算出し、このコントラスト値に基づいて合焦の評価を行う。マクロ判定部1bは、合焦評価部1aの評価結果に基づいて、被写体がマクロ領域にあるか否かを判定する。マクロ判定部1bは、例えば合焦評価部1aが算出したコントラスト値の変化に基づいて、被写体がマクロ領域にあるか否かを判定する。レンズ制御部1cは、レンズの動作を制御する。例えばピント調整レンズ群71やズーム調整レンズ群72の位置を変化させ、ピント合わせの調整を行ったり、焦点距離を変化させたりする。また、レンズ制御部1cは、ズーム調整レンズ群72をマクロ位置に移動させる。画角調整部1dは、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に向けて移動したときの画角の変化を相殺するように、撮像部2で取得された画像に対して電子ズーム処理を行う。画像処理部1eは、撮像部2で取得された画像に対して画像処理を施す。表示制御部1fは、表示部4を制御して、表示部4に画像を表示させる。信号処理部1gは、タッチパネル5や操作部6からの入力の処理、記録部3への記録処理等の処理を行う。時計1hは、画像の撮像時刻等を記録する際に必要な時刻を出力する。
【0015】
本実施形態に係るレンズ部7の光学系の構成例を
図2に示す。この図に示すように、本実施形態に係るレンズ部7は、5群のレンズ群を有する。対物レンズを第1群のレンズG1とし、撮像部2側に向けて順に、第2群のレンズG2、第3群のレンズG3、第4群のレンズG4とし、最も撮像部2側を第5群のレンズG5とする。
【0016】
第1群のレンズG1と第5群のレンズG5とは固定されている。第2群のレンズG2は、第1のモータ74と送りネジ74sで駆動される。第1のモータ74は、例えばボイスコイルモータ(VCM)であり、第2群のレンズG2の位置は磁気センサで検出される。第2群のレンズG2は、ピント調整レンズ群71として機能する。
【0017】
第3群のレンズG3は第2のモータ75と送りネジ75sで駆動され、第4群のレンズG4は第3のモータ76と送りネジ76sで駆動される。第3群のレンズG3と第4群のレンズG4とは、焦点距離を変更するためのズーム調整レンズ群72として機能する。第2のモータ75及び第3のモータ76は、例えばステッピングモータである。
【0018】
第3群のレンズG3には、リニアエンコーダ77が設けられており、第3群のレンズG3の位置は、リニアエンコーダ77を用いて取得される。第4群のレンズG4には、遮光板78とフォトインタラプタ79とが設けられており、第4群のレンズG4の位置は、遮光板78とフォトインタラプタ79とを用いて取得される。このようなレンズ光学系は、鏡枠に納められている。
【0019】
このレンズでは、第3群のレンズG3及び第4群のレンズG4からなるズーム調整レンズ群72が所定のマクロ位置に配置されると、至近距離にまで合焦するマクロ撮影を行うことができる。ただし、以降の説明では記載を省略するが、収差を抑えるために、第3群のレンズG3及び第4群のレンズG4の位置の微調整は必要である。
【0020】
このようなレンズを用いた場合の基本的なズーム制御のフローチャートを
図3に示す。ステップS301においてズームの変更であるか否かが判断され、ズームの変更であるとき、ステップS302においてズーム調整レンズ群72として機能する第3群のレンズG3及び第4群のレンズG4が移動し、処理はステップS301に戻る。ステップS303においてピント調整の指示があるか否かが判断され、ピント調整の指示があるあるとき、ステップS304においてピント調整レンズ群71として機能する第2群のレンズG2が移動し、処理はステップS303に戻る。ステップS305においてマクロ撮影の指示があるか否かが判断され、マクロ撮影の指示があるあるとき、ステップS306において第3群のレンズG3及び第4群のレンズG4がマクロ位置へ移動し、ステップS307において第2群のレンズG2が移動し、処理はステップS305に戻る。
【0021】
なお、レンズ部7は、デジタルカメラ10の本体に固定され取り外しできないものでもよいし、本体に対して取り外し可能で交換可能なものでもよい。また、デジタルカメラ10は、静止画を撮影するためのカメラでも、動画を撮影するためのカメラでも、静止画も動画も撮影できるカメラでもよい。
【0022】
本実施形態に係るデジタルカメラ10の動作を説明する。デジタルカメラ10の動作の一例を表すフローチャートを
図4に示す。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS101において撮影モードであるか否かを判定する。撮影モードであると判定されたとき、処理はステップS102に進む。信号処理制御部1の画像処理部1eは、ステップS102において、撮像部2から画像を取得し、一般的な画像処理を行う。信号処理制御部1の表示制御部1fは、その画像に基づいて表示部4にスルー画表示を行わせる。信号処理制御部1の合焦評価部1aは、ステップS103において、表示しているスルー画についてコントラスト値を取得し、このコントラスト値に基づいて、合焦を評価する。信号処理制御部1のレンズ制御部1cは、合焦評価部1aの合焦評価の結果に基づいて、レンズ部7のピント調整レンズ群71を駆動させ、オートフォーカス(AF)制御を行う。
【0023】
信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS104において、操作部6のズームスイッチにズーム動作の指示が入力されたか否かを判定する。ズーム動作の指示が入力されたと判定されたとき、処理はステップS105に進む。信号処理制御部1のレンズ制御部1cは、ステップS105においてレンズ部7のズーム調整レンズ群72を駆動させる。その後処理はステップS101に戻る。ステップS104においてズーム動作の指示が入力されていないと判定されたとき、処理はステップS106に進む。
【0024】
信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS106において操作部6のレリーズボタンが1段階押し込まれたか、すなわち1stレリーズされたか否かを判定する。1stレリーズされていないと判定されたとき、処理はステップS101に戻る。1stレリーズされたと判定されたとき、処理はステップS107に進む。信号処理制御部1の合焦評価部1aは、ステップS107において、コントラスト値を取得して、レンズ制御部1cは、このコントラスト値に基づいてレンズ部7のAF制御を行う。このAF制御は、1stレリーズに応じて、例えば画像の中心や、指定された位置、人物の顔に相当する位置等、所定の位置に合焦させる制御である。
【0025】
信号処理制御部1の合焦評価部1aは、ステップS108において合焦しているか否かを判定する。合焦していると判定されたとき、処理はステップS111に進む。合焦していないと判定されたとき、処理はステップS109に進む。信号処理制御部1のマクロ判定部1bは、ステップS109において、合焦評価部1aが算出したコントラスト評価値が至近側に向けて上昇していたか否かを判定する。至近側に向けてコントラスト値が上昇していたと判定されたとき、処理はステップS120に進む。
【0026】
例えば
図5に示すように、このレンズでは第3群のレンズG3及び第4群のレンズG4からなるズーム調整レンズ群72がマクロ位置以外にあるとき、ピント調整レンズ群71として機能する第2群のレンズG2の移動によって、例えば距離が30cm以上の位置に合焦し得る。この場合、30cmよりも近い位置に合焦させるように第2群のレンズG2を移動させると、例えば収差が大きくなる等、取得される画像が劣化し、画質が低下する。このため、一般には30cmよりも近い位置に合焦させるようには第2群のレンズG2を移動させない。一方、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置にあるとき、例えば3cm乃至30cmの距離の位置で合焦し得る。
【0027】
例えば、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置以外にあり、被写体が15cmにあるとき、合焦せずに処理はステップS109に至る。このときのコントラスト値は例えば
図5の実線のように変化する。なお、
図5の破線は、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置にあったと仮定した場合の予想されるコントラスト値の変化を示す。
図5の実線で示すように、ステップS107のAF制御において得られるコントラスト値は、至近側で上昇していたことになる。このようなとき、処理はステップS120に進む。
【0028】
ステップS109において、至近側でコントラストカーブが上昇していないと判定されたとき、処理はステップS110に進む。すなわち、被写体が30cmよりも至近側にあるわけではないが合焦しなかったと判定されたとき、処理はステップS110に進む。信号処理制御部1の表示制御部1fは、ステップS110において合焦していない旨を例えば表示部4に表示させる等の非合焦警告を行わせる。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS111において、操作部6のレリーズボタンが2段階押し込まれたら、すなわち2ndレリーズされたら、撮像部2に撮影動作を行わせる。すなわち、信号処理制御部1は、撮像部2にレンズ部7を介した像に基づく画像信号を生成させ、この画像信号を取得する。信号処理制御部1の画像処理部1eは、画像信号を処理して、記録部3に記録させる。
【0029】
信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS120においてデジタルカメラ10が電動ズームモードであるか否かを判定する。電動ズームモードであると判定されたとき、処理はステップS121に進む。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS121においてレンズ部7のズーム調整レンズ群72がマクロ位置にあるか否かを判定する。ズーム調整レンズ群72がマクロ位置にあるとき、処理はステップS110に進む。すなわち、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置にある場合の合焦範囲よりも至近側に被写体があるとき、処理はステップS110に進む。一方、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に無いとき、処理はステップS122に進む。
【0030】
本実施形態では、ステップS122以降において、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に移動させられる。このとき、ズーム調整レンズ群72の移動に伴って、画角が変化する。本実施形態では、この画角の変化を打ち消すように電子ズームがなされる。そこで、信号処理制御部1の画角調整部1dは、ステップS122において、必要な電子ズームの倍率を算出する。信号処理制御部1の画角調整部1dは、ステップS123において電子ズーム倍率が記録画像縮小率より小さいか否かを判定する。すなわち、記録画像に相当する大きさの画像データが得られるか否かを判定する。ここで電子ズーム倍率は、ズーム調整レンズ群72による現在の焦点距離をfN、マクロ位置の焦点距離をfMとしたときに、
電子ズーム倍率=fN/fM
で与えられる。
【0031】
電子ズーム倍率が記録画像縮小率以上であるとき、処理はステップS124に進む。信号処理制御部1の表示制御部1fは、ステップS124において画像が劣化する旨を例えば表示部4に表示させる等の画像劣化警告を行わせる。その後処理はステップS125に進む。電子ズーム倍率が記録画像縮小率より小さいとき、処理はステップS125に進む。
【0032】
信号処理制御部1は、ステップS125においてズーム駆動及び画角調整処理を実行する。ズーム駆動及び画角調整処理を
図6に示すフローチャートを参照して説明する。信号処理制御部1のレンズ制御部1cは、ステップS201において、マクロ位置に向かってズーム調整レンズ群72を駆動させる。このとき、レンズ制御部1cは、1ステップごとに例えば倍率がn倍となるように光学系を駆動させる。信号処理制御部1の画角調整部1dは、ステップS202において、電子ズームで画角の調整を行う。画角調整部1dは、例えば1ステップごとに画像を1/n倍にする。このようにすることで、ステップS201におけるズーム調整レンズ群72の移動による画角の変化が、ステップS202における電子ズームによって相殺され、自然な操作となり迅速になるためユーザが違和感を感じることがない。このように時間がかかる光学ズーム制御がありながら高速で電気的に補正して、それを目立たなくして、なおかつ光学性能を確保できるようにしている。ユーザは、レンズの性能限界などを意識することなく使用でき、撮影チャンスを逃すことがない。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS202において、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に到達したか否かを判定する。マクロ位置に到達していなければ、処理はステップS201に戻る。マクロ位置に到達していれば、処理は
図4に示すフローに戻る。なお、ズーム駆動及び画角調整処理中に、例えば表示部4に「マクロ遷移中」といった表示を行い、ユーザに上記のようにズーム調整レンズ群72が移動していることを通知するようにしてもよい。
【0033】
ズーム駆動及び画角調整処理による効果を
図7及び
図8を参照して説明する。例えばある焦点距離において、
図7(a)に示すような画角で画像が取得されていたとする。このとき、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に移動したとする。その結果、
図7(b)に示すような画角で画像が取得されるようになるとする。このとき、本実施形態では、画角が
図7(a)に示す状態から変化しないように、
図7(b)に破線で示した領域内の画像を用いて電子ズームによって、
図7(c)に示すように画角の調整が行われる。
【0034】
例えばある焦点距離において、
図8(a)に示すような画角で画像が取得されていたとする。このとき、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に移動したとする。その結果、
図8(b)に示すような画角で画像が取得されるようになるとする。このとき、本実施形態では、画角が
図8(a)に示す状態から変化しないように、得られた画像を用いて電子ズームによって、
図8(c)に示すように画角の調整が行われる。この場合、画像情報がない
図8(c)にハッチングで示した領域は、画像が表示されない領域となる。
【0035】
図4に戻って説明を続ける。信号処理制御部1の合焦評価部1aは、ステップS126においてコントラスト値を取得してこのコントラスト値に基づいてレンズ部7のAF制御を行う。合焦評価部1aは、ステップS127において合焦しているか否かを判定する。合焦していると判定されたとき、処理はステップS111に進む。合焦していないと判定されたとき、処理はステップS110に進む。
【0036】
ステップS120において電動ズームモードでないと判定されたとき、処理はステップS130に進む。このとき、ズーム調整レンズ群72は、固定されており、ユーザが手動で操作しなければ移動させられない。信号処理制御部1のレンズ制御部1cは、ステップS130において至近側に合焦するようにピント調整レンズ群71が移動し得るか否かを判定する。至近側に移動し得ると判定されたとき、処理はステップS131に進む。信号処理制御部1のレンズ制御部1cは、ステップS131において、合焦するようにピント調整レンズ群71をさらに至近側に移動させる。
【0037】
信号処理制御部1の合焦評価部1aは、ステップS132においてコントラスト値を取得する。信号処理制御部1のレンズ制御部1cは、コントラスト値に基づいてレンズ部7のAF制御を行う。信号処理制御部1の合焦評価部1aは、ステップS133において合焦しているか否かを判定する。合焦していると判定されたとき、処理はステップS134に進む。合焦していないと判定されたとき、処理はステップS136に進む。信号処理制御部1の表示制御部1fは、ステップS134において画像が劣化する旨を例えば表示部4に表示させる等の画像劣化警告を行わせる。信号処理制御部1の画像処理部1eは、ステップS135において画像が劣化している部分についてぼかし処理など、画像の劣化を目立たなくする処理を施す。その後処理はステップS111に進む。すなわち、本実施形態では、例えば収差が大きくなるなど取得される画像が劣化する位置までピント調整レンズ群71が移動させられる。このようにして、画像が劣化しても、合焦させることを優先する。画像のうち劣化した部分は、ぼかし処理、補正処理、その他フィルター処理により、画像の劣化を目立たないように、又は違和感が覚えられないように処理される。
【0038】
ステップS130において至近側に移動し得ないと判定されたとき、処理はステップS136に進む。信号処理制御部1の表示制御部1fは、ステップS136において合焦していない旨を例えば表示部4に表示させる等の非合焦警告を行わせる。その後処理はステップS111に進む。
【0039】
ステップS101において撮影モードでないと判定されたとき、処理はステップS141に進む。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS141において再生モードであるか否かを判定する。ステップS141の判定で再生モードであるとき、処理はステップS142に進む。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS142において画像再生処理を行う。その後処理はステップS143に進む。ステップS141の判定において再生モードでないとき、処理はステップS143に進む。信号処理制御部1の信号処理部1gは、ステップS143において終了の指示が入力されているか否かを判定する。終了の指示が入力されているとき、処理は終了する。終了の指示が入力されていないとき、処理はステップS101に戻る。
【0040】
本実施形態によれば、電動ズームモードである場合、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置にない状態であって、被写体が至近側にあるが合焦しないと判定されたとき、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置に移動させられる。このとき、画角の変化は電子ズームによって相殺される。その結果、ユーザは、ズーム調整レンズ群72がマクロ位置にあるか否かを意識することなく、至近位置まで合焦させることができる。
【0041】
また、電動ズームモードでない場合においても、画像の劣化などのために一般に使用されない位置まで、ピント調整レンズ群71が移動させられ、合焦が得られる。その結果、合焦しないという状況が回避され得る。なお、この場合の画質の低下は、ぼかし処理等によって、目立たないように処理される。
【0042】
このように、例えばズーム調整レンズ群72は、光学性能補正レンズとして機能する。また、例えばズーム調整レンズ群72は、マクロ切り換えレンズとして機能する。例えばピント調整レンズ群71は、合焦用レンズとして機能する。例えばレンズ部7は、被写体までの距離が第1の範囲のときに、前記合焦用レンズと連携して合焦調整できるように前記光学補正レンズを配置した第1の状態と、前記被写体までの距離が前記第1の範囲と異なる第2の範囲のときに、前記合焦用レンズと連携して合焦調整できるように前記光学補正レンズを前記第1の状態とは異なる位置に配置した第2の状態とを有する撮影レンズとして機能する。また、例えばレンズ部7は、被写体までの距離が至近範囲である第1の範囲のときに合焦調整できるように前記マクロ切り換えレンズがマクロ位置に配置された第1の状態と、前記被写体までの距離が前記第1の範囲よりも遠い第2の範囲のときに合焦調整できるように前記マクロ切り換えレンズがマクロ位置又はマクロ位置以外に配置された第2の状態とを有するレンズとして機能する。例えば撮像部2は、前記レンズを介した前記被写体の像を撮像して画像を取得する撮像部として機能する。例えばレンズ制御部1cは、前記レンズが前記第2の状態であり、かつ前記被写体までの距離が第1の範囲であると判定されたとき、前記光学性能補正レンズを前記第2の状態から前記第1の状態に変化させるレンズ制御部として機能する。また、例えばレンズ制御部1cは、前記レンズが前記第2の状態であり、かつ前記被写体までの距離が前記第2の範囲よりも近い側であると判定されたとき、前記レンズを前記第2の状態から前記第1の状態に変化させるレンズ制御部として機能する。例えば画角調整部1dは、前記第2の状態から前記第1の状態に変化する際に前記焦点距離が変化するとき、この焦点距離の変化に応じて生じる画角の変化を前記画像に対する電子ズームによって相殺する画角調整部として機能する。例えばマクロ判定部1bは、前記距離の範囲を判定する判定部として機能する。また、例えばマクロ判定部1bは、前記被写体までの距離が前記第2の範囲よりも近い側であるか否かを判定する判定部として機能する。
【0043】
また、例えばレンズ部7は、ピント調整レンズを有し、前記被写体までの距離が第1の距離範囲であるとき、前記ピント調整レンズの位置が第1のレンズ範囲内の何れかに位置することで、前記被写体の像が前記撮像部に結像し、かつ、収差が所定の範囲となるように構成されたレンズとして機能する。例えばマクロ判定部1bは、前記被写体までの距離が前記第1の距離範囲よりも近い側であるか否かを判定する判定部として機能する。例えばレンズ制御部1cは、前記被写体までの距離が前記第1の距離範囲よりも近い側であると判定されたとき、前記ピント調整レンズを前記第1のレンズ範囲以外の第2のレンズ範囲の位置に移動させるレンズ制御部として機能する。例えば画像処理部1eは、前記ピント調整レンズが前記第2のレンズ範囲に移動したとき、前記画像のうち前記所定の範囲を超えた前記収差が生じている領域にぼかし処理を施す画像処理部として機能する。
【0044】
図2を参照して説明したレンズ部7の光学系の構成は一例であり、レンズは何群で構成されていてもよいし、各レンズ群に含まれるレンズの枚数は何枚でもよい。ただし、レンズ部7には、マクロ切り換えレンズとして機能するレンズが存在するものとする。マクロ切り換えレンズとして機能するレンズは、焦点距離を変化させるためのレンズでなくてもよい。本実施形態では、レンズ部7は、ズームレンズであるものとして説明した。しかしながら、レンズ部7は単焦点レンズでもよい。単焦点レンズにおいても、通常撮影モードとマクロ撮影モードとを有するレンズがある。このようなレンズの場合、所定のレンズ群の位置が通常撮影モードとマクロ撮影モードとで異なる。この所定のレンズ群が、本実施形態のズーム調整レンズ群と同様にマクロ切り換えレンズとして機能する。なお、マクロ切り換えは1m以近の被写体を撮影するときなどに使われるが、1mより近い距離であってもよく、レンズによっても変わり、50cmや30cmで切り替わる仕様のものにも応用可能である。ユーザは一般にこのような限界を意識していないで撮影に集中しているので、途中で被写体に近づきすぎたりして撮影できず、困惑する場合が多かった。また、マクロに係わらず、特定の撮影距離とするために、焦点距離の変更を伴うカメラであっても、この考え方は活用可能である。また、ここでは、光学性能補正レンズとして機能する補正用レンズ群を光軸方向に動かし、像を取得しながら補正を行うことを想定している。この場合、レンズ部7には、例えば、マクロ切り換えレンズに代えて、補正用レンズ群が配置される。このように、上記の実施形態では、マクロ撮影の切り換えを例に挙げて説明を行ったが、他の撮影距離の切り換えでも同様である。
【0045】
また、レンズ部7は、カメラ本体に対して取り外し可能で交換可能なものでもよい。レンズ部7がカメラ本体に対して取り外し可能な場合、レンズ部7とカメラ本体とは通信を行い、本実施形態と同様に機能する。この場合、レンズ部7には、そのレンズに係る各種情報が記憶されている。例えば、ズーム調整レンズ群72のマクロ位置やそのときの焦点距離、ピント調整レンズ群71の可動範囲、ピント調整レンズ群71の位置と画像の劣化との関係等が予め記憶されている。レンズ部7がカメラ本体に対して取り外し可能な場合でも、撮像装置は同様に機能し同様の効果が得られる。
【0046】
また、本実施形態では、コントラスト値に基づいて合焦の判断を行っている。しかしながらこれに限定されない。像の位相差を利用して合焦評価を行ってもよい。合焦評価部1aは、位相差を利用しても、被写体が至近位置にあるか否かを判定することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。
【0048】
なお、本発明の上記の実施形態には、以下の発明も含まれる。
(1) ズーム切り換えレンズと合焦用レンズを有する撮影レンズを制御する制御部を有するカメラにおいて、上記制御部が、上記合焦用レンズが特定の距離に合焦制御される時には、上記ズーム切り換えレンズ位置を特定のズーム位置への切り換え制御を行うことを特徴とするカメラ。
(2) 光学性能補正レンズと合焦用レンズとを有しており、被写体までの距離が第1の範囲のときに、前記合焦用レンズと連携して合焦調整できるように前記光学補正レンズを配置した第1の状態と、前記被写体までの距離が前記第1の範囲と異なる第2の範囲のときに、前記合焦用レンズと連携して合焦調整できるように前記光学補正レンズを前記第1の状態とは異なる位置に配置した第2の状態とを有する撮影レンズと、
前記撮影レンズを介した前記被写体の像を撮像して画像を取得する撮像部と、
前記撮影レンズが前記第2の状態であり、かつ前記被写体までの距離が第1の範囲であると判定されたとき、前記光学性能補正レンズを前記第2の状態から前記第1の状態に変化させるレンズ制御部と、
前記光学性能補正レンズが前記第2の状態から前記第1の状態に変化するときに、変化中である旨を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする撮像装置。