(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の電源回路では、エミッタ端子又はソース端子が共通のラインに接続されているn個のパワートランジスタ(例えば、IGBT又はMOSFET)が、1つのドライバICによって駆動される。該ドライバICには、n個のプリドライバと交流結合(インダクタ結合又は容量結合)を用いて信号を伝送するアイソレータとが集積化されている。当該n個のプリドライバは、該アイソレータによってドライバICの入力端子から絶縁されている。
【0015】
当該ドライバICにおいては、アイソレータの送信部と受信部とが別々の半導体基板に集積化されてもよい。この場合、送信部が第1の半導体基板に集積化され、受信部とn個のプリドライバとが第2の半導体基板にモノリシックに集積化される。交流結合を用いたアイソレータはCMOSプロセスで形成可能なので、n個のプリドライバと該アイソレータの受信部とは同一の半導体基板に集積化することが可能であることに留意されたい。この場合、第1の半導体基板の回路接地と第2の半導体基板の回路接地とが電気的に分離される。n個のパワートランジスタのエミッタ端子(パワートランジスタとしてIGBTが使用される場合)又はソース端子(パワートランジスタとしてMOSFETが使用される場合)は、第2の半導体基板の回路接地に接続される。
【0016】
また、送信部と受信部とn個のプリドライバとが同一の半導体基板にモノリシックに集積化されてもよい。この場合、回路接地を分離するために、送信部が集積化される第1の半導体領域と、受信部とn個のプリドライバとが集積化される第2の半導体領域とが絶縁される。n個のパワートランジスタのエミッタ端子又はソース端子は、第2の半導体領域の回路接地に接続される。
【0017】
このような構成の電源回路によれば、少ない数のドライバICでパワートランジスタを駆動することができ、コストを有効に低減することができる。詳細には、N入力M出力の電源回路では、各パワートランジスタのエミッタ端子又はソース端子がN個の入力またはM個の出力の何れかに接続される。したがって、エミッタ電位又はソース電位の数はN+M個となる。詳細には、エミッタ電位又はソース電位がV
X1、V
X2、…、V
XNであるパワートランジスタがそれぞれM個、エミッタ電位又はソース電位がV
Y1、V
Y2、…、V
YMであるパワートランジスタがそれぞれN個存在する。よって、N個の出力を備えたM個のドライバIC、及び、M個の出力を備えたN個のドライバICで、電源回路に含まれるパワートランジスタを駆動できる。
【0018】
例えば、N入力M出力のマトリクスコンバータであれば、相方向スイッチとしてN×M×2個のパワートランジスタが設けられる。N×M×2個のパワートランジスタのゲート端子を、フォトカプラによって絶縁したプリドライバで駆動する場合、N×M×2個のフォトカプラとN×M×2個のプリドライバICとが必要になる。一方、本実施形態の電源回路の構成では、N+M個のドライバICでN×M×2個のパワートランジスタを駆動可能である。より具体的な例を挙げれば、3つの入力と3つの出力を有する3相マトリクスコンバータには、18個のパワーコンバータが設けられる。この場合、フォトカプラによって絶縁したプリドライバを用いる電源回路の構成では、18個のフォトカプラと18個のプリドライバICが必要である。一方、本実施形態の電源回路の構成では、6(=3+3)個のドライバICで18個のパワートランジスタを駆動できる。
【0019】
以下では、上記の電源回路の様々な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電源回路の構成を示す回路図である。第1の実施形態の電源回路は、入力、出力がいずれも3相交流である3相マトリクスコンバータ1として構成されている。3相マトリクスコンバータ1は、トランジスタマトリックス2を備えている。トランジスタマトリックス2は、入出力間の転流を行うためのパワートランジスタ5、6と、それぞれU相、V相、W相入力に接続された入力ライン7U、7V、7Wと、それぞれU相、V相、W相出力に接続された出力ライン8U、8V、8Wとを備えている。
図1では、j相の入力からk相の出力への転流を行うパワートランジスタが符号5
jkで示されており、k相の出力からj相の入力への転流を行うパワートランジスタが符号6
jkで示されている。ここで、jは、U、V、Wのいずれかであり、kは、U、V、Wのいずれかである。例えば、パワートランジスタ5
UVは、U相入力からV相出力への転流を行うパワートランジスタであり、パワートランジスタ6
UVは、V相出力からU相入力への転流を行うパワートランジスタである。本実施形態では、トランジスタマトリックス2は、18個のパワートランジスタを備えている。本実施形態では、パワートランジスタ5、6として、IGBTが使用される。
【0021】
入力ライン7U、7V、7Wには、3相電圧、3相電流のいずれが供給されてもよい。入力ライン7U、7V、7Wに3相電圧が供給されると(即ち、入力ライン7U、7V、7WにそれぞれU相電圧、V相電圧、W相電圧が供給されると)、3相マトリクスコンバータ1は、電圧型マトリクスコンバータとして機能する。同様に、入力ライン7U、7V、7Wに3相電流が供給されると、3相マトリクスコンバータ1は、電流型マトリクスコンバータとして機能する。
【0022】
3相マトリクスコンバータ1は、更に、6つのドライバIC3U、3V、3W、4U、4V、4Wを備えている。これらの6つのドライバICは、上記の18個のパワートランジスタ5、6を駆動する。即ち、本実施形態では、各ドライバIC(3、4)が、3つのパワートランジスタ(5、6)のゲート端子を駆動するように構成されている。詳細には、ドライバIC3jには制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjが供給されており、制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjに応答してそれぞれパワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのゲート端子を駆動する。ここで、jは、U、V、Wのいずれかである。同様に、ドライバIC4kには制御信号S
IkU、S
IkV、S
IkWが供給されており、制御信号S
IkU、S
IkV、S
IkWに応答してそれぞれパワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWのゲート端子を駆動する。
【0023】
ここで、各ドライバICが、エミッタが同一ライン(共通ライン)に接続された3つのパワートランジスタのゲート端子を駆動することに留意されたい。例えば、ドライバIC3Uは、出力ライン8Uにエミッタが共通に接続された3つのパワートランジスタ5
UU、5
VU、5
WUを駆動する。同様に、ドライバIC4Uは、入力ライン7Uにエミッタが共通に接続された3つのパワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWを駆動する。
【0024】
ドライバIC3U、3V、3W、4U、4V、4Wのそれぞれは、アイソレータ11と、3つのプリドライバ12とを備えている。
図2は、アイソレータ11は、その入出力間を電気的に絶縁しながら、それに供給される制御信号を対応するプリドライバ12に伝送する機能を有している。例えば、ドライバIC3Uのアイソレータ11は、パワートランジスタ5
UU、5
VU、5
WUを駆動するプリドライバ12に、それぞれ、制御信号S
OUU、S
OVU、S
OWUを伝送する。各プリドライバ12は、それに供給された制御信号に応答して、対応するパワートランジスタのゲート端子を駆動する。
【0025】
図2は、第1の実施形態におけるドライバIC3j(jは、U、V、Wのいずれか)の構成を示すブロック図である。
図2に図示されているように、アイソレータ11は、送信回路13と、コイル14a、14bと、受信回路15とを備えている。コイル14a、14bは、交流結合(
図2ではインダクタ結合)を構成しており、この交流結合を用いて送信回路13と受信回路15とを絶縁しながら、送信回路13から受信回路15に信号が送信される。即ち、1対の送信回路13及び受信回路15は、コイル14a、14bを介して通信リンクを構成している。制御回路10から送信回路13に供給された制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjは、送信回路13、コイル14a、14b及び受信回路15を介してプリドライバ12U、12V、12Wにそれぞれ送信される。ここで、プリドライバ12U、12V、12Wは、それぞれ、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを駆動するプリドライバである。パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのエミッタが出力ライン8jに共通に接続されていることに留意されたい。
【0026】
本実施形態では、各ドライバIC3jを構成する回路群が、2つの半導体基板:第1半導体基板16及び第2半導体基板17に分けて集積化されている。具体的には、本実施形態では、送信回路13及びコイル14a、14bが、第1半導体基板16に集積化されており、受信回路15及びプリドライバ12U、12V、12Wが第2半導体基板17に集積化されている。第1半導体基板16、第2半導体基板17は、同一のパッケージに集積化されている。制御回路10と第1半導体基板16には、同一の電源18から電源電圧VDD1が供給され、第2半導体基板17には電源19にから電源電圧VDD2が供給される。
【0027】
一方、制御回路10と第1半導体基板16の各回路の回路接地GND1と、第2半導体基板17の各回路の回路接地GND2は、電気的に絶縁されている。加えて、第2半導体基板17の回路接地GND2は、出力ライン8jに接続されている。これにより、(第2半導体基板17に集積化されたプリドライバ12U、12V、12Wによって駆動される)パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのエミッタが、第2半導体基板17の回路接地GND2に共通に接続されることになることに留意されたい。これにより、プリドライバ12U、12V、12Wからパワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのゲート端子に供給される駆動電圧は、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのエミッタ−ゲート間電圧に一致することになる。これは、ゲート端子に供給される駆動電圧によりパワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのオンオフが確実に制御可能であることを意味している。
【0028】
図3に図示されているように、ドライバIC4k(kは、U、V、Wのいずれか)は、入力される制御信号、及び、プリドライバ12U、12V、12Wが出力する駆動電圧の出力先が相違する点以外は、ドライバIC3jと同様の構成を有している。ドライバIC4kも、2つの半導体基板(第1半導体基板16、第2半導体基板17)を備えている。送信回路13及びコイル14a、14bが、第1半導体基板16に集積化されており、受信回路15及びプリドライバ12U、12V、12Wが第2半導体基板17に集積化されている。プリドライバ12U、12V、12Wは、それぞれ、パワートランジスタ6
kj、6
kV、6
kWのゲート端子を駆動する。パワートランジスタ6
kj、6
kV、6
kWのエミッタが入力ライン7kに共通に接続され、その入力ライン7kが第2半導体基板17の回路接地GND2に接続されていることに留意されたい。
【0029】
本実施形態のマトリクスコンバータ1では、エミッタ端子が出力ライン8jに共通に接続されたパワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjが、ドライバIC3jに集積化されたプリドライバ12によって駆動される。同様に、エミッタ端子が入力ライン7kに共通に接続されたパワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWが、ドライバIC4kに集積化されたプリドライバ12によって駆動される。このような構成により、本実施形態のマトリクスコンバータ1は、6つのドライバIC(3、4)によって18個のパワートランジスタ(5、6)を駆動することができる。フォトカプラを使用する構成では18個のパワートランジスタを駆動するために18個のフォトカプラと18個のプリドライバICとが必要であることを考慮すると、本実施形態のマトリクスコンバータ1の優位性は容易に理解されよう。
【0030】
なお、マトリクスコンバータ1の入力の数及び/又は出力の数は、様々に変更可能である。このとき、上述されているように、N入力M出力のマトリクスコンバータについては、N+M個のドライバICで当該マトリクスコンバータのパワートランジスタを駆動可能である。例えば、
図4に図示されているような、3入力2出力のマトリクスコンバータ1Aは、12(=3×2×2)個のパワートランジスタ(5、6)を含んでいる。この12個のパワートランジスタが、5(=3+2)個のドライバIC(3、4)で駆動されている。ドライバIC3jは、出力ライン8jにエミッタ端子が共通に接続されたパワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを駆動し、ドライバIC4kは、入力ライン7kにエミッタ端子が共通に接続されたパワートランジスタ6
kU、6
kVを駆動する。
【0031】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の電源回路におけるドライバIC3jの構成を示すブロック図である。本実施形態では、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを駆動するプリドライバ12U、12V、12Wが集積化されている第2半導体基板17に、保護回路22が追加的に集積化されている。この保護回路22は、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのうちの2つが同時にオンすることを防ぐ機能(保護機能)を有している。
【0032】
詳細には、保護回路22は、受信回路15U、15V、15Wと、プリドライバ12U、12V、12Wの間に接続されている。ここで、受信回路15U、15V、15Wは、パワートランジスタ5
Ujを制御する制御信号S
OUjを送信回路13、コイル14a、14bを介して受け取る受信回路である。ここで、制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjは、それぞれ、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjをオンさせるときに“1”、オフさせるときに“0”の値になるように生成される。保護回路22は、3つのANDゲート23U、23V、23Wを備えている。ANDゲート23Uの3つの入力には、受信回路15Uの出力信号と、受信回路15V、15Wの出力信号の反転信号が入力される。ANDゲート23Vの3つの入力には、受信回路15Vの出力信号と、受信回路15W、15Uの出力信号の反転信号が入力される。更に、ANDゲート23Wの3つの入力には、受信回路15Wの出力信号と、受信回路15U、15Vの出力信号の反転信号が入力される。
【0033】
このような構成の保護回路22では、制御信号S
OUjが“1”、制御信号S
OVj、S
OWjが“0”の場合にのみプリドライバ12Uの入力が“1”になる。このため、パワートランジスタ5
Ujは、パワートランジスタ5
Vj、5
Wjがオフの場合にのみオンにされることになる。同様に、制御信号S
OVjが“1”、制御信号S
OWj、S
OUjが“0”の場合にのみプリドライバ12Vの入力が“1”になり、制御信号S
OWjが“1”、制御信号S
OUj、S
OVjが“0”の場合にのみプリドライバ12Wの入力が“1”になる。結果として、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのうちの1つのパワートランジスタは、他の2つのパワートランジスタがオフされる場合にのみオンされることになり、保護機能が実現される。このような保護回路22による保護機能は、プリドライバ12U、12V、12Wが同一の半導体基板(第2半導体基板17)に集積化されているから実現できる機能であることに留意されたい。
【0034】
パワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWを駆動するドライバIC4kについても、同様に、第2半導体基板17に保護回路22を集積化することで、同様の保護機能を実現できる。この場合でも、パワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWのうちの1つのパワートランジスタは、他の2つのパワートランジスタがオフされる場合にのみオンされる。
【0035】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態の電源回路におけるドライバIC3jの構成を示す概念図であり、
図7Aは、ドライバIC3jの構成を示すブロック図である。第1及び第2の実施形態では、送信回路13とコイル14a、14b、受信回路15で構成される通信リンクは、各ドライバIC(3、4)が駆動するパワートランジスタ(5、6)の数と同一の数だけ設けられている。しかしながら、一般に、コイルを用いた通信リンクは、半導体基板において大きな面積(典型的には100μm角以上)を占有するので、このような構成では第1半導体基板16(又は第2半導体基板17)の面積が増大してしまう。
【0036】
このような問題に対処するために、第3の実施形態のドライバIC3j、4kでは、パラレル−シリアル変換回路及びシリアル−パラレル変換回路が用いられることにより、各ドライバIC3j、4kに集積化される通信リンクの数が低減されている。
【0037】
詳細には、
図6を参照して、ドライバIC3jの第1半導体基板16には、送信回路13、コイル14a、14bに加えて入力ロジック回路21aが集積化される。この入力ロジック回路21aは、
図7Aに図示されているように、ANDゲート24U、24V、24Wと、デッドタイムを確保するための遅延回路25U、25V、25Wと、パラレル−シリアル変換回路26とを備えている。
【0038】
ANDゲート24U、24V、24Wは、第2の実施形態の保護回路22と同様に、ANDゲート24U、24V、24Wのうちの複数の出力が同時に“1”になることを防ぐ回路を構成している。詳細には、ANDゲート24Uの入力には、制御信号S
OUjが入力されると共に、制御信号S
OVj及び制御信号S
OWjの反転信号が入力される。同様に、ANDゲート24Vの入力には、制御信号S
OVjが入力されると共に、制御信号S
OWj及び制御信号S
OUjの反転信号が入力される。更に、ANDゲート24Vの入力には、制御信号S
OVjが入力されると共に、制御信号S
OWj、制御信号S
OUjの反転信号が入力される。ここで、制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjは、それぞれ、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjをオンさせるときに“1”、オフさせるときに“0”の値になるように生成される。ANDゲート24U、24V、24Wの出力信号は、それぞれ、デッドタイムを確保するための遅延回路25U、25V、25Wを介して、パラレル−シリアル変換回路26に供給される。ANDゲート24U、24V、24Wからパラレル−シリアル変換回路26に供給される信号は、それぞれ、制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjに対応する信号であり、それぞれ、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのオンオフを制御する制御信号として使用される。
【0039】
パラレル−シリアル変換回路26は、ANDゲート24U、24V、24Wから受け取った制御信号に対してパラレル−シリアル変換を行ってシリアル制御信号を生成し、アイソレータ11の送信回路13に送る。送信回路13は、パラレル−シリアル変換された制御信号をコイル14a、14bで構成された交流結合(インダクタ結合)を介して第2半導体基板17に集積化された受信回路15に送信する。
【0040】
第2半導体基板17には、受信回路15及びプリドライバ12U、12V、12Wに加え、出力ロジック回路21bが追加的に集積化されている。出力ロジック回路21bは、シリアル−パラレル変換回路27と、ANDゲート28U、28V、28Wとを備えている。シリアル−パラレル変換回路27は、受信回路15が受信したシリアル制御信号に対してシリアル−パラレル変換を行って、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのオンオフを制御する制御信号を復元する。ここで、シリアル−パラレル変換回路27は、制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjに対応する信号を、それぞれ、ANDゲート28U、28V、28Wに出力する。
【0041】
ANDゲート28U、28V、28Wは、第2の実施形態の保護回路22と同様に、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjの複数が同時にオンになることを防ぐ回路を構成している。詳細には、ANDゲート28Uの入力には、シリアル−パラレル変換回路27から受け取った制御信号S
OUjに対応する制御信号が入力されると共に、プリドライバ12V、12Wの出力信号の反転信号が入力される。同様に、ANDゲート28Vの入力には、シリアル−パラレル変換回路27から受け取った制御信号S
OVjに対応する制御信号が入力されると共に、プリドライバ12W、12Uの出力信号の反転信号が入力される。更に、ANDゲート28Wの入力には、シリアル−パラレル変換回路27から受け取った制御信号S
OWjに対応する制御信号が入力されると共に、プリドライバ12U、12Vの出力信号の反転信号が入力される。ANDゲート28U、28V、28Wの出力信号が、それぞれプリドライバ12U、12V、12Wに供給され、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのオンオフを制御する制御信号として使用される。
【0042】
以上に説明されているように、本実施形態では、ドライバIC3jにパラレル−シリアル変換回路26とシリアル−パラレル変換回路27とが集積化され、(送信回路13、コイル14a、14b、及び、受信回路15で構成される)通信リンクの数が低減されている。このような構成は、第1半導体基板16の面積を有効に低減させる。
【0043】
パワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWを駆動するドライバIC4kについても同様に、(それぞれパラレル−シリアル変換回路26とシリアル−パラレル変換回路27を含む)入力ロジック回路21a、出力ロジック回路21bを集積化することで、同様の機能を実現できる。
【0044】
パラレル−シリアル変換回路26及びシリアル−パラレル変換回路27を用いる本実施形態では、プリドライバ12U、12V、12Wに供給される制御信号の遅延が相違することが問題になり得る。例えば、パラレル−シリアル変換回路26からシリアル−パラレル変換回路27に、プリドライバ12Uに供給すべき制御信号が最初に送信され、プリドライバ12Vに供給すべき制御信号が次に送信され、プリドライバ12Wに供給すべき制御信号が最後に送信される場合について考える。この場合には、プリドライバ12Uに供給すべき制御信号の遅延が小さく、プリドライバ12Wに供給すべき制御信号の遅延が大きくなってしまう。これは、U相、V相、W相の間の位相差が120°に保たれないという問題を引き起こし得る。
【0045】
このような問題に対処するためには、
図7Bに図示されているように、シリアル−パラレル変換回路27の出力に、遅延回路29U、29V、29Wを設けてもよい。遅延回路29U、29V、29Wの遅延時間τ1、τ2、τ3は、制御信号がプリドライバ12U、12V、12Wに送られる順序に応じて決定される。例えば、パラレル−シリアル変換回路26からシリアル−パラレル変換回路27に、プリドライバ12Uに供給すべき制御信号が最初に送られ、プリドライバ12Vに供給すべき制御信号が次に送られ、プリドライバ12Wに供給すべき制御信号が最後に送られる場合について考える。この場合、遅延回路29Uの遅延時間τ1、τ2、τ3は、
τ1>τ2>τ3
を満たすように設定される。
【0046】
図7Cは、
図7Bの構成のドライバIC3jの動作を示すタイミングチャートである。
図7Cには、遅延回路25U、25V、25Wの出力信号S
PINU、S
PINV、S
PINWと、パラレル−シリアル変換回路26からシリアル−パラレル変換回路27に送られる送信信号S
SERIALと、遅延回路29U、29V、29Wの入力信号と、遅延回路29U、29V、29Wの出力信号S
POUTU、S
POUTV、S
POUTWの波形の例が示されている。
【0047】
遅延回路25U、25V、25Wの出力信号S
PINU、S
PINV、S
PINWのいずれかにおいて立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジを検出すると、パラレル−シリアル変換回路26は、その立ち上がりエッジの直後における遅延回路25U、25V、25Wの出力信号S
PINU、S
PINV、S
PINWの値に対してパラレル−シリアル変換を行って出力信号送信信号S
SERIALを生成し、シリアル−パラレル変換回路27に送る。ここで、
図7Cに図示されている送信信号S
SERIALの波形において、記号「U」は遅延回路25Uの出力信号S
PINUの値、記号「V」は遅延回路25Vの出力信号S
PINVの値、記号「W」は遅延回路25Wの出力信号S
PINWの値を示している。本実施形態では、遅延回路25U、25V、25Wの出力信号S
PINU、S
PINV、S
PINWは、この順に、シリアル−パラレル変換回路27に送信される。
【0048】
シリアル−パラレル変換回路27は、パラレル−シリアル変換回路26から受け取った信号に対してシリアル−パラレル変換を行う。このとき、シリアル−パラレル変換回路27の出力信号(即ち、遅延回路29U、29V、29Wの入力信号)においては、U相、V相、W相の間で遅延が異なることになる。遅延回路25Uの出力信号S
PINUが立ち上がった後、遅延回路29Uの入力信号が立ち上がるまでの遅延時間は最も短く、遅延回路25Vの出力信号S
PINVが立ち上がった後、遅延回路29Vの入力信号が立ち上がるまでの遅延時間は次に短く、遅延回路25Wの出力信号S
PINWが立ち上がった後、遅延回路29Wの入力信号が立ち上がるまでの遅延時間は最も長い。
【0049】
ここで、
図7Bの回路構成では、遅延回路29U、29V、29Wにより、U相、V相、W相の間の遅延の相違が解消されている。詳細には、遅延回路29U、29V、29Wの遅延時間τ1、τ2、τ3は、遅延回路25U、25V、25Wの出力信号S
PINU、S
PINV、S
PINWのいずれかにおいて立ち上がりエッジの後、遅延回路29U、29V、29Wの出力信号S
POUTU、S
POUTV、S
POUTWの立ち上がりエッジまでの遅延時間tPDが同一になるように調節されている。これにより、プリドライバ12U、12V、12Wに供給される制御信号の遅延が相違するという問題が解消されている。
【0050】
また、本実施形態においては、コイル14a、14bで構成されるインダクタ結合を用いて送信回路13から受信回路15への制御信号の転送が行われているが、インダクタ結合の代わりにキャパシタ結合を用いて制御信号の転送を行ってもよい。この場合、
図8に図示されているように、送信回路13と受信回路15とがキャパシタ14c、14dを介して接続される。(第1の実施形態、第2の実施形態を含む)他の実施形態においても同様に、インダクタ結合の代わりにキャパシタ結合を用いて制御信号の転送を行ってもよい。
【0051】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態の電源回路のうち、一のドライバIC3jに対応する部分の構成を示すブロック図である。第1乃至第3の実施形態では、アイソレータ11が第1半導体基板16から第2半導体基板17に信号を伝送するように構成されている。一方、第4の実施形態では、第2半導体基板17から第1半導体基板16に信号を伝送するアイソレータ35が設けられ、これにより、第1半導体基板16と第2半導体基板17の間で双方向に信号を伝送可能になっている。詳細には、アイソレータ35は、送信回路36と、コイル37a、37bと、受信回路38とを備えている。送信回路36は、第2半導体基板17に集積化され、コイル37a、37b及び受信回路38は、第1半導体基板16に集積化されている。本実施形態では、第2半導体基板17から第1半導体基板16に信号を送信可能である。交流結合(インダクタ結合又は容量結合)を用いたアイソレータ11、35は、CMOSプロセスで形成可能であるため、複数の通信リンクを用いた双方向通信を、低コストで実現できる。
【0052】
第2半導体基板17から第1半導体基板16に信号を送信する機能は、様々な用途で使用可能である。本実施形態では、一例として、当該電源回路の異常を検出すると共に、当該電源回路の異常を示すアラーム信号S
ALMが第2半導体基板17から第1半導体基板16に転送される構成が提示されている。
【0053】
より具体的には、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのエミッタ端子がノードN1に共通に接続され、そのノードN1と出力ライン8jの間に抵抗素子31が接続される。後述されるように、この抵抗素子31は、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを流れる電流の異常を検出するために用いられる。パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを流れる電流が過剰に上昇すると、抵抗素子31における電圧降下によってノードN1の電位が過剰に上昇する。したがって、ノードN1の電位を検出することでパワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを流れる電流を監視できる。
【0054】
加えて、当該電源回路の温度を検出する温度センサ32が設けられる。この温度センサ32は、電源回路の異常な温度上昇を検出するために用いられる。
【0055】
更に、第2半導体基板17にアラーム検出回路33と保護回路34とが集積化される。アラーム検出回路33は、当該電源回路の異常を検出する回路であり、本実施形態では、コンパレータ41、42と、ORゲート43とを備えている。コンパレータ41は、ノードN1の電位を所定の基準値と比較し、ノードN1の電位が該基準値よりも高い場合、その出力を“1”に設定する。そうでない場合、コンパレータ41は、その出力を“0”に設定する。コンパレータ42は、温度センサ32によって検出された温度を所定の基準値と比較し、検出された温度が該基準値よりも高い場合、その出力を“1”に設定する。そうでない場合、コンパレータ42は、その出力を“0”に設定する。ORゲート43は、コンパレータ41、42の出力の論理和を示す信号を出力する。ORゲート43から出力される信号が、アラーム信号S
ALMとして使用される。
【0056】
保護回路34は、異常が検出された場合に(本実施形態では、アラーム信号S
ALMが“1”になった場合に)プリドライバ12U、12V、12Wの出力を非活性化し、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを強制的にオフする機能を有している。詳細には、保護回路34は、ANDゲート44U、44V、44Wを備えている。ANDゲート44Uには、アラーム信号S
ALMの反転信号と制御信号S
OUjとが入力されている。同様に、ANDゲート44Vには、アラーム信号S
ALMの反転信号と制御信号S
OVjとが入力されており、ANDゲート44Wには、アラーム信号S
ALMの反転信号と制御信号S
OWjとが入力されている。アラーム信号S
ALMが“1”に設定されると、ANDゲート44U、44V、44Wの出力は制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjに関わらず“0”になり、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjが全てオフになる。これにより、本実施形態の電源回路が保護される。
【0057】
加えて、送信回路36、コイル37a、37b及び受信回路38で構成される通信リンクにより、アラーム信号S
ALMが第2半導体基板17から第1半導体基板16に伝送される。アラーム信号S
ALMは、第1半導体基板16から出力されて、例えば、制御回路10に転送される。これにより、制御回路10は、本実施形態の電源回路の異常を認識することができる。
【0058】
パワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWを駆動するドライバIC4kについても同様に、アイソレータ11が第1半導体基板16と第2半導体基板17の間で相方向に信号を伝送可能であるように構成してもよい。加えて、ドライバIC4kを、アラーム検出回路33と保護回路34を用いて保護機能を実現すると共に、第2半導体基板17から第1半導体基板16にアラーム信号S
ALMを伝送して第1半導体基板16からアラーム信号S
ALMを外部に出力するように構成してもよい。
【0059】
なお、上述の実施形態ではコイル14a、14bが第1半導体基板16に集積化されているが提示されているが、コイル14a、14bは第2半導体基板17に集積化されてもよい。また、
図10に図示されているように、送信回路13とコイル14aとが第1半導体基板16に集積化され、コイル14bと受信回路15とプリドライバ12とが第2半導体基板17に集積化されてもよい。
【0060】
(第5の実施形態)
図11Aは、第5の実施形態の電源回路におけるドライバIC3jの構成を概念的に示す斜視図であり、
図11Bは、ドライバIC3jの構成を概念的に示す断面図である。本実施形態では、送信回路13、コイル14a、14b、受信回路15、及び、プリドライバ12が、モノリシックに(即ち、同一チップに)集積化されている。このような構成を実現するために、本実施形態では、SOI(semiconductor on insulator)技術が用いられる。
【0061】
詳細には、
図11Bに図示されているように、SOI基板50の内部に、埋め込み絶縁層51が形成され、SOI基板50の埋め込み絶縁層51よりも表面に近い部分が、第1半導体領域52と第2半導体領域53として用いられる。第1半導体領域52と第2半導体領域53とは、SOI基板50の表面から埋め込み絶縁層51に到達する、絶縁体(例えば、酸化シリコンや窒化シリコン)で形成されたSTI(shallow trench isolation)領域54により、電気的に分離されている。
【0062】
本実施形態では、第1半導体領域52には、入力パッド55と送信回路13とが集積化されている。入力パッド55は、送信回路13の入力に接続されており、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjを制御する制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjは、入力パッド55から送信回路13に供給される。送信回路13は、コイル14a、14bを介して制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjを受信回路15に送信する。
【0063】
第2半導体領域53には、コイル14a、14b、受信回路15、プリドライバ12及び出力パッド56が集積化されている。受信回路15は、送信回路13からコイル14a、14bを介して受け取った制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjをプリドライバ12に伝送する。プリドライバ12は、制御信号S
OUj、S
OVj、S
OWjに応答して、パワートランジスタ5
Uj、5
Vj、5
Wjのゲートを駆動する。
【0064】
第5の実施形態では、第1半導体領域52に送信回路13が集積化され、第1半導体領域52から電気的に絶縁された第2半導体領域53に受信回路15及びプリドライバ12が集積化されている。このような構成により、プリドライバ12がドライバIC3jの入力端子(即ち、入力パッド55)から絶縁されている。このような構成の第5の実施形態では、各ドライバIC3jに単一のチップしか集積化されないので、一層にコスト低減に有利である。
【0065】
なお、
図11A、
図11Bでは、コイル14a、14bが第2半導体領域53に集積化されている構成が図示されているが、
図12に図示されているように、コイル14a、14bは、第1半導体領域52に集積化してもよい。
【0066】
また、パワートランジスタ6
kU、6
kV、6
kWを駆動するドライバIC4kについても同様に、送信回路13、コイル14a、14b、受信回路15、及び、プリドライバ12を、同一のSOI基板50に集積化してもよい。この場合でも、第1半導体領域52に送信回路13が集積化され、第1半導体領域52から電気的に絶縁された第2半導体領域53に受信回路15及びプリドライバ12が集積化される。
【0067】
(第6の実施形態)
図13は、本発明の第6の実施形態の電源回路で使用されるドライバIC60の構成を示す概念図である。第6の実施形態のドライバIC60は、
図1のマトリクスコンバータ1に用いられる6つのドライバIC3U、3V、3W、4U、4V、4Wの機能を実現する回路群が、単一のSOI基板50Aにモノリシックに集積化されている。
【0068】
詳細には、本実施形態では、SOI基板50Aに、第1半導体領域52と、6つの第2半導体領域53とが形成される。第1半導体領域52と6つの6つの第2半導体領域53とは、STI領域54aによって電気的に絶縁されている。加えて、隣接する第2半導体領域53は、STI領域54bによって電気的に絶縁されている。
【0069】
第1半導体領域52には、
図1のマトリクスコンバータ1に用いられる6つのドライバIC3U、3V、3W、4U、4V、4Wの第1半導体基板16の機能を実現するための回路群が集積化される。具体的には、第1半導体領域52には、アイソレータ11の送信回路13、コイル14a、14bと、入力パッド群55Aとが集積化されている。入力パッド群55Aのうちの1つは、第1半導体領域52の各回路に電源電圧VDD1を供給するための電源パッドであり、1つは第1半導体領域52の回路接地GND1のための接地パッドである。入力パッド群55Aの残りのパッドは、パワートランジスタ5、6を制御する制御信号を各送信回路13に供給するためのパッドである。
【0070】
一方、第2半導体領域53のそれぞれには、
図1のマトリクスコンバータ1に用いられるドライバIC3U、3V、3W、4U、4V、4Wの第2半導体基板17の機能を実現するための回路群が集積化される。具体的には、第2半導体領域53のそれぞれには、受信回路15と、プリドライバ12と、出力パッド56と、電源パッド57と、接地パッド58とが集積化されている。受信回路15は、送信回路13から制御信号を受け取ってプリドライバ12に供給する。各プリドライバ12の出力には出力パッド56が接続されており、各プリドライバ12は、対応する出力パッド56に接続されたパワートランジスタ5、6のゲート端子を駆動する。電源パッド57には、電源から電源電圧VDD2が供給される。
【0071】
ここで、第2半導体領域53のそれぞれには、エミッタ端子が共通のライン(入力ライン7又は出力ライン8)に接続されたパワートランジスタ5又は6のゲート端子を駆動するプリドライバ12が集積化される。即ち、エミッタ端子が異なるラインに接続されたパワートランジスタ5又は6のゲート端子を駆動するプリドライバ12は、異なる第2半導体領域53に集積化される。加えて、各第2半導体領域53の接地パッド58には、入力ライン7U、7V、7W、出力ライン8U、8V、8Wのうちの対応するラインに接続されている。これにより、第2半導体領域53の各回路の回路接地GND2が、入力ライン7U、7V、7W、出力ライン8U、8V、8Wのいずれかの電位に一致されている。
【0072】
このような構成によれば、電源回路に集積化されるチップ数を低減し、コストを一層に低減することができる。
【0073】
なお、本実施形態において、同一のSOI基板50Aに集積化される第2半導体領域53の数は6に限定されない。複数の第2半導体領域53が同一のSOI基板50Aに集積化されることで、チップ数の低減による効果は得られる。例えば、パワートランジスタ5のゲート端子を駆動する3つのドライバIC3U、3V、3Wの機能が第1のSOI基板に集積化され、パワートランジスタ6のゲート端子を駆動する3つのドライバIC4U、4V、4Wが、第2のSOI基板に集積化されてもよい。この場合、第1のSOI基板、第2のSOI基板に、それぞれ、1つの第1半導体領域52と3つの第2半導体領域53が集積化される。
【0074】
上述の実施形態ではAC入力からAC出力を生成するマトリクスコンバータが提示されているが、本発明は、マトリクスコンバータ以外の電源回路、例えば、直流入力から交流出力を生成するインバータや、交流入力から直流出力を生成する同期整流回路にも適用可能である。
【0075】
例えば、
図14は、2レベルDC入力から、2相AC出力を生成するインバータ1Bの構成を図示している。
図14のインバータ1Bは、トランジスタマトリックス2Bを備えている。トランジスタマトリックス2Bは、入出力間の転流を行うためのパワートランジスタ5
AU、5
AV、6
BU、6
BVと、それぞれ、異なる電圧レベルの直流入力が供給される入力ライン7A、7Bと、それぞれU相、V相出力に接続された出力ライン8U、8Vとを備えている。入力ライン7A、7Bは、それぞれ、直流の電位V
A、V
Bを有している。また、出力ライン8U、8Vの電位は、V
U、V
Vとして図示されている。パワートランジスタ5
AU、5
AVは、それぞれ、入力ライン7Aから出力ライン8U、8Vへの転流を行う。一方、パワートランジスタ6
BU、6
BVは、それぞれ、出力ライン8U、8Vから入力ライン7Bへの転流を行う。
【0076】
図14のインバータ1Bでは、異なるエミッタ電位の数は3(V
U、V
V、V
B)であり、これに対応して3つのドライバIC3U、3V、4Bを備えている。詳細には、ドライバIC3Uは、パワートランジスタ5
AUのゲート端子を駆動し、ドライバIC3Vは、パワートランジスタ5
AVのゲート端子を駆動する。ドライバIC4Bは、エミッタ端子が入力ライン7Bに共通に接続された2つのパワートランジスタ6
BU、6
BVのゲート端子を駆動する。
【0077】
ドライバIC4Bの第2半導体基板17の回路接地GND2は、入力ライン7Bに接続されて電位V
Bに維持される。一方、ドライバIC3Uの第2半導体基板17の回路接地GND3は、出力ライン8Uに接続されて電位V
Uに設定され、ドライバIC3Vの第2半導体基板17の回路接地GND4は、出力ライン8Vに接続されて電位V
Vに設定される。ドライバIC4B、ドライバIC3U、ドライバIC3Vの電源電圧VDD2、VDD3、VDD4としては、例えば、それぞれ、回路接地GND2、GND3、GND4に対して電圧Vddだけ高い電圧が供給される。
【0078】
また、
図15は、4レベルDC入力から、3相AC出力を生成するインバータ1Cの構成を図示している。
図15のインバータ1Cは、トランジスタマトリックス2Cを備えている。トランジスタマトリックス2Bは、入出力間の転流を行うためのパワートランジスタ5、6と、それぞれ、異なる電圧レベルの直流入力が供給される入力ライン7A、7B、7C、7Dと、それぞれU相、V相、W相出力に接続された出力ライン8U、8V、8Wとを備えている。ここで、
図15では、入力ライン7jから出力ライン8kへの転流を行うパワートランジスタが符号5
jkで示されており、出力ライン8kから入力ライン7jへの転流を行うパワートランジスタが符号6
jkで示されている。ここで、jは、A、B、C、Dのいずれかであり、kは、U、V、Wのいずれかである。入力ライン7A、7Bは、それぞれ、直流の電位V
A、V
Bを有している。また、出力ライン8U、8V、8Wは、それぞれ、交流的に変化する電位V
U、V
V、V
Wを有している。
【0079】
図15のインバータ1Cでは、異なるエミッタ電位の数は5(V
U、V
V、V
W、V
C、V
D)であり、これに対応して5つのドライバIC3U、3V、3W、4C、4Dを備えている。詳細には、ドライバIC3Uは、エミッタ端子が出力ライン8Uに共通に接続されたパワートランジスタ5
AU、5
BUのゲートを駆動する。このドライバIC3Uの第2半導体基板17の回路接地GND2は、出力ライン8Uに接続される。また、ドライバIC3Vは、エミッタ端子が出力ライン8Vに共通に接続されたパワートランジスタ5
AV、5
BVのゲートを駆動する。このドライバIC3Vの第2半導体基板17の回路接地GND2は、出力ライン8Vに接続される。同様に、ドライバIC3Wは、エミッタ端子が出力ライン8Wに共通に接続されたパワートランジスタ5
AW、5
BWのゲートを駆動する。このドライバIC3Wの第2半導体基板17の回路接地GND2は、出力ライン8Wに接続される。
【0080】
一方、ドライバIC4Cは、エミッタ端子が入力ライン7Cに共通に接続されたパワートランジスタ6
CU、6
CV、6
CVのゲートを駆動する。このドライバIC4Cの第2半導体基板17の回路接地GND2は、入力ライン7Cに接続される。更に、ドライバIC4Cは、エミッタ端子が入力ライン7Dに共通に接続されたパワートランジスタ6
DU、6
DV、6
DVのゲートを駆動する。このドライバIC4Dの第2半導体基板17の回路接地GND2は、入力ライン7Dに接続される。
【0081】
更に、
図16は、2相AC入力から2レベルDC出力を生成する同期整流回路1Dの構成を図示している。
図16の同期整流回路1Dは、トランジスタマトリックス2Dを備えている。トランジスタマトリックス2Dは、入出力間の転流を行うためのパワートランジスタ6
AU、6
AV、5
UA、5
UBと、U相、V相入力に接続された入力ライン7U、7Vと、異なる電圧レベルの直流出力に接続された出力ライン8A、8Bとを備えている。入力ライン7U、7Vの電位は、V
U、V
Vとして図示されている。また、出力ライン8A、8Bは、それぞれ、直流の電位V
A、V
Bを有している。パワートランジスタ6
AU、6
AVは、それぞれ、出力ライン8Aから入力ライン7U、7Vへの転流を行う。一方、パワートランジスタ5
UB、5
VBは、それぞれ、入力ライン7U、7Vから出力ライン8Bへの転流を行う。
【0082】
図16のインバータ1Bでは、異なるエミッタ電位の数は3(V
U、V
V、V
B)であり、これに対応して3つのドライバIC4U、4V、3Bを備えている。詳細には、ドライバIC4Uは、パワートランジスタ6
AUのゲート端子を駆動し、ドライバIC4Vは、パワートランジスタ6
AVのゲート端子を駆動する。一方、ドライバIC4Bは、エミッタ端子が出力ライン8Bに共通に接続された2つのパワートランジスタ5
UB、5
VBのゲート端子を駆動する。
【0083】
ドライバIC3Bの第2半導体基板17の回路接地GND2は、出力ライン8Bに接続されて電位V
Bに維持される。一方、ドライバIC4Uの第2半導体基板17の回路接地GND3は、入力ライン7Uに接続されて電位V
Uに設定され、ドライバIC4Vの第2半導体基板17の回路接地GND4は、入力ライン7Vに接続されて電位V
Vに設定される。ドライバIC3B、ドライバIC4U、ドライバIC4Vの電源電圧VDD2、VDD3、VDD4としては、例えば、それぞれ、回路接地GND2、GND3、GND4に対して電圧Vddだけ高い電圧が供給される。
【0084】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。特に、以上に述べられた実施形態は、技術的に矛盾しない限りにおいて組み合わせて実施可能であることに留意されたい。