(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る火災報知システム1の概略構成を示す概略ブロック図である。
図1に示すように、火災報知システム1は、火災検知器10(10A、10B、10C、10D)、伝送路20、防災受信機30を含んで構成されている。
【0021】
火災検知器10は、例えばトンネルの壁面、天井面、又はトンネル40内に設けられた支柱などに取り付けられている。火災検知器10は、2つの検出部で火災を監視して、監視した結果に基づく監視情報を、送信部から、伝送路20を介して防災受信機30に送信する。具体的には、本実施形態における火災検知器10の検出部は、監視領域の赤外線量を観測することで火災(火炎)を監視し、監視結果である赤外線量を示す情報又は赤外線量に基づいて火災を検知した旨を示す情報を監視情報として送信部から伝送路20へ送信するようになっている(本実施形態では、後者の場合を例に取って説明する)。監視情報は、火災検知器10及びその検出部を識別する識別情報と共に、或いはそれを含んで防災受信機30に送信される。
防災受信機30は、各火災検知器10から受信した監視情報に基づいて、火災が発生しているか否かを判別する。具体的には、防災受信機30は、火災検知器10から監視情報を受信すると、その判断部は、当該監視情報に含まれる情報から火災の有無を判別する。即ち、監視情報が赤外線量を示す場合にはこれを元に所定の演算等により火災判別処理を行い、火災有無を判別する。また、監視情報が火災を検知した旨を示す場合には、これに基づき火災と判別する。そして、この監視情報とともに送信された識別情報から、火災と判別した検出部を特定する。この検出部毎の火災判別に基づく火災判断(断定)処理については後述する。
この防災受信機30は、例えば、監視室などに設置され、火災が発生していると判断(断定)した場合、火災が発生していることを示す情報を表示部、音響報知部等に出力して警報する。
【0022】
図2は、本発明の火災検知器10の配置例を説明する図である。この図は、トンネル40内を上から俯瞰した図である。トンネル40は、車両の進行方向に対して一定間隔L毎に複数の監視領域に区切られており、ここでは、監視領域40A、40B、40Cが図示されている。一定間隔Lは、例えば25[m(メートル)]である。火源50は、火災(火炎)発生箇所である。この図では、火源50が、監視領域40B内にある場合を表している。火災検知器10は、複数の監視領域の境界部壁面の、例えば、路面から約2〜2.5[m]の高さに取り付けられている。なお、火災検知器10は、等間隔に設置されている必要はなく、また一定間隔Lは、25[m]以外の長さであってもよい。
【0023】
火災検知器10(10A〜10D)は、相互に隣接する2つの監視領域をそれぞれ独立に監視する第1検出部11(11A、11B、11C、11D)、及び第2検出部12(12A、12B、12C、12D)を備えている。即ち例えば、火災検知器10Bの第1検出部11Bと、火災検知器10Bに隣接している火災検知器10Cの第2検出部12Cとが、それぞれ独立に、監視領域40Bを重複して監視している。なお、本発明において、隣接している火災検知器10とは、車両の進行方向に沿って設置されている複数の火災検知器10のうち、相互に隣り合って設置されている火災検知器10である。監視領域が隣接しているという場合についても同様である。
図2では3つの監視領域を示したが、監視領域は3つ未満であっても、4つ以上であってもよい。この場合、火災検知器10は、監視領域の境界に応じた数が設置される。
なお、トンネル長手方向(車両進行方向)の両端、つまり出入り口に設置される火災検知器10は、トンネル外側に監視領域が設定されていないので、トンネル外側を監視する検出部を備える必要がない。又は、この検出部の監視による監視情報は、防災受信機30での火災判別、火災判断に使用しないようにすればよい。
【0024】
次に、火災検知器10の回路、機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る火災検知器10の要部構成を示したブロック図である。
図3に示すように、火災検知器10は、第1検出部11、第2検出部12、火災検知部130、送受信部(送信部)140、識別情報設定部150を備えている。
また、図示を省略しているが第1検出部11及び第2検出部12の第1検出素子111及び第2検出素子121の前方(監視領域側)には、それぞれ透光性窓が設けてあり、これにより監視領域からの光(赤外線)エネルギーを透過しつつ、監視領域側の環境から火災検知器10の内部を保護している。そして、第1検出素子111、121には、略4.5[μm]を中心とする所定波長帯域の光を選択的に透過する光学波長フィルタ(バンドパスフィルタ)が設けられている。
また同様に図示を省略しているが、火災検知器10は、第1検出部11及び第2検出部12にそれぞれ対応して、これらの透光性窓の汚損度を検出する汚損度検出部(汚損度検出手段)と、火災検知器10の内部回路(例えば
図3に示した各構成部)の故障を検出する故障検出部(故障検出手段)を備えている。これらの構成等については後述する。
【0025】
第1検出部11は、第1検出素子(センサ)111、A/D(アナログ−デジタル)変換部112を備えている。
第1検出素子111は、有炎燃焼時に生じるCO
2(二酸化炭素)による共鳴放射の波長帯域の放射光のエネルギーを受光し、電気信号に変換して検出信号として出力する光学センサである。つまり、第1検出素子111は、監視領域から受光した赤外線量に応じた検出信号(アナログ信号)を図示しないフィルタ回路や増幅回路等を介してA/D変換部112へ出力する。A/D変換部112はこれをデジタル信号に変換し、マイクロプロセッサを含むコンピューター回路からなる火災検知部130に出力する。A/D変換部112は火災検知部130に設けられてもよい。
第2検出部12は、第2検出素子121、A/D変換部122を備えている。第2検出素子121、A/D変換部122の機能は、第1検出素子111、A/D変換部112と同様である。
【0026】
火災検知部130は、第1検出部11及び第2検出部12のA/D変換部112及びA/D変換部122が出力したデジタルの検出信号に基づいて、火災を検知する。具体的には、火災検知部130は、例えば、検出信号の変動周波数を抽出し、抽出した周波数が火炎特有のゆらぎ(ちらつき)周波数の範囲であり、且つ検出信号の変動振幅レベル(信号積分量、ピークレベル等でもよい)が所定以上である場合、監視領域の火災(火災発生)を検知する。火災検知部130は、このようにして火災を検知した場合、検知結果に基づく検知信号を生成し、生成した検知信号を送受信部140に出力する。
送受信部140は、防災受信機30から受信した設定コマンドに基づき各検出部の固有な識別情報を識別情報設定部150に記憶する。送受信部140は、火災検知部130が出力した検知信号に基づき生成される監視情報に、識別情報設定部150に記憶されている識別情報を付加して防災受信機30に送信する。なお、受信機からの設定コマンドによらず、他の手段と方法により、識別情報を識別情報設定部に予め登録記憶するようにしてもよい。
識別情報設定部150は、防災受信機30によって割り当てられた識別情報を記憶する。なお、「識別情報」は例えば火災検知器10のアドレス、後述する「識別子」は検出部のIDに相当する。
【0027】
図4は、火災検知部130が防災受信機30に送信する監視情報の概略を示す図である。
図4に示すように、監視情報には、識別情報、監視結果、その他の情報が含まれている。識別情報とは、第1検出部を示す情報、第2検出部を示す情報等である。具体的には、火災検知部130から出力された検知信号を用いることができる。ここで、監視結果とは、監視領域を観測した結果に応じた情報であり、観測した結果に応じた情報としては、例えば、火災を検知した旨を示す情報であってもよく、または、赤外線量を示す情報(検出信号データを示す情報、検出信号の振幅に基づく情報(例えば、赤外線強度等の検出結果を表すレベル))等であるが、前述の通り本実施形態では火災を検知した旨を示す情報である場合を説明する。なお、監視情報の監視結果が赤外線量を示す情報である場合、これを受信した防災受信機30は、この情報に基づいて火災が発生しているか否かの判断を行うようにする。一方、監視結果には、火災を検知した旨を示す情報である場合とは別に、火災が解消したことを示す火災解消(復旧)情報である場合もある。或いは火災解消情報は、その他の情報に含まれるようにしてもよい。
また、各火災検知器10に識別情報が割り当てられている場合には、これと別に各検出部を識別する識別子(第1検出部と第2検出部の別を示す各コード)を割り当てる。この場合、防災受信機30は、識別情報と識別子の組み合わせを用いて、検出部を識
別する。
【0028】
図5は、本実施形態に係る火災検知器10の正面図及び断面図である。
図5において、設置状態における火災検知器10の左右方向(車両の進行方向)をx軸方向、火災検知器10の垂直方向をy軸方向、火災検知器10の厚み方向をz軸方向とする。
図5に示すように、火災検知器10は、カバー101、本体104で構成されている。カバー101には、カバー101の左右傾斜面のそれぞれに、透光性窓102、103が配置されている。また、第1検出部11、第2検出部12はそれぞれ、透光性窓102、103のz軸下方に配置されている。第1検出部11の第1検出素子111、第2検出部12の第2検出素子121はそれぞれ、これら透光性窓を介して監視領域を観測できるようになっている。第1検出部11、第2検出部12は、送受信部140(
図3参照)を含む回路が搭載された基板105に接続されている。基板105は、配線106を介して防水コネクタ21、信号ケーブル22に接続されている。なお、信号ケーブル22は、
図1の伝送路20に接続される。即ち、送受信部140が伝送路20に接続される。なお、火災検知器10の動作に必要な電源は、防水コネクタを介し伝送路20或いは別線を通じて防災受信機30から供給される。また、火災検知器10を壁面に取り付けるための取付片107が、カバー101、又は本体104のx軸方向左右に設けられている。
透光性窓102、103は、例えば、サファイヤガラスで構成されている。このため透光性窓102、103は、約7.0[μm]の波長を超える光を遮断するハイカット(ロングウェーブカット)特性を有しているが、もちろん、4.5[μm]を含む波長帯の光を透過する。
【0029】
次に、防災受信機30について説明する。
図6は、本実施形態に係る防災受信機30の要部構成を示したブロック図である。
図6に示すように、防災受信機30は、送受信部301、判断部302、記憶部303、タイマー部304、発報部305、及び出力部306を備えている。防災受信機30は、送受信部301により、伝送路20を介して火災検知器10との間で情報の送受信を行う。
【0030】
送受信部301は、火災検知器10が送信した監視情報を受信し、受信した監視情報を判断部302に出力する。
判断部302は、送受信部301が受信した監視情報、及びタイマー部304が出力した情報に基づいて、トンネル40内で火災が発生しているか否かを判断する。判断部302は、記憶部303に記憶されている情報に基づいて、各火災検知器10の各検出部に、これらを識別する識別情報を割り当て、割り当てた識別情報を、設定コマンド情報として送受信部301を介して火災検知器10に送信する。例えば、防災受信機30は、
図2において、火災検知器10Aの第2検出部12Aに識別情報「ID0001」を割り当て、第1検出部11Aに識別情報「ID0002」を割り当て、割り当てた識別情報を設定コマンドと共に火災検知器10Aに送信する。火災検知器10は、これを受けて自己の各検出部に対して割り当てられた識別情報を識別情報設定部150に記憶する。なお、防災受信機30は、火災検知器10毎に識別情報を割り当ててもよい。即ち判断部302は、トンネル40内において、
図2に示したように、例えば、車両の進行方向に向かって、各火災検知器10に対して順番に、固有な識別情報を割り当てるようにしてもよい。この場合、火災検知器10から防災受信機30へ送信される監視情報は、火災検知器10の識別情報と、各検出部を示す情報(識別子)とを含むようにする。
このようなコマンド送信による火災検知器10への識別情報登録は、例えば防災受信機30を起動する毎に行うようにしてもよい。
判断部302は、火災検知器10から識別情報を含む監視情報を受信した場合、記憶部303に記憶されている情報に基づいて、同じ監視領域を監視している火災検知器10の第1検出部11または第2検出部12を抽出する。例えば、火災検知器10Aから、第1検出部11Aの識別情報「ID0002」を含む監視情報を受信した場合、判断部302は、第1検出部11Aと同じ監視領域を監視している火災検知器10Bの第2検出部12Bの識別情報を記憶部303に記憶された情報に基づいて抽出し、この識別情報を含む監視情報を参照して火災を判断する。判断部302は、トンネル40内で火災が発生していると判断した場合、火災が発生していることを示す発報情報を発報部305に出力する。なお、発報情報には、火災が発生している監視領域を示す情報が含まれている。また、判断部302は、火災の監視開始後、最初に監視情報を受信したとき、タイマー部304の動作(計時)を開始するように制御する。
【0031】
図7は、記憶部303に記憶されている情報の一例を説明する図である。この情報は適宜の手段と方法により予め登録することで記憶されている。例えば、
図7に示すように、記憶部303には、識別情報、検出部を示す情報(識別子;検出部毎に識別情報を設定する場合は識別情報で足りるのでこの情報は省略する)、及び監視領域を示す情報が関連付けられて記憶されている。例えば、火災検知器10Aの第1検出部11Aに識別情報「ID0002」を割り当てて記憶し、これに監視領域40Aが関連付けられて記憶されている。防災受信機30は、この監視領域から、同じ監視領域を監視する他の検出部を認識することができる。例えば、識別情報「ID0002」の第1検出部11Aには監視領域40Aが割り当てられており、同検出部はこの監視領域を監視している。一方、この監視領域40Aは、識別情報「ID0003」の第2検出部12Bでも監視されていることが
図7の記憶データ(テーブル)から認識されるようになっている。
タイマー部304は、判断部302の制御により動作(計時)を開始する。タイマー部304は、計時開始から予め設定されている時間である第1所定時間(例えば20秒)内である場合、その旨を示す情報を判断部302に出力する。タイマー部304は、第1所定時間が経過したとき、第1所定時間が経過したことを示す情報を判断部302に出力する。
発報部305は、判断部302が出力した発報情報に基づいて、火災が発生していることを示す情報、及び火災が発生している監視領域を示す情報を、出力部306へ出力する。
出力部306は、例えば、画像表示装置、ランプ、音響出力装置であり、発報部305から得た情報に応じて、発報内容を示す情報を表示したり、ランプを点灯(あるいは点滅)させたり、発報内容に応じた音声を出力することで警報する。出力部306は、画像表示装置、ランプ、音響出力装置のいずれか1つ、あるいは2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0032】
次に、火災検知器10の動作を説明する。
図8は、本実施形態に係る火災検知器10の動作手順の概略を示すフローチャートである。
各火災検知器10の火災検知部130は、定期的に自己の第1検出部11、又は第2検出部12で受光した入射光量に応じた電気信号がA/D変換された検出信号をサンプリングする(ステップS1)。サンプリングは、例えば32Hzで2秒間(64回)とし、これを所定周期で行う。火災検知部130は、サンプリングした電気信号の所定の(例えば64回の)平均レベル又は積算レベルが例えば予め定められている閾値より大きいと判別した場合(ステップS2;Yes)、火災検知部130は、ステップS3に進み、一方、平均レベル又は積算レベルが予め定められている閾値以下であると判別した場合(ステップS2;No)、ステップS1へ戻る。
次に、2秒間のサンプリングデータをFFT演算する等して、第1検出部11、又は第2検出部12が検出した検出信号の中心周波数が、所定の周波数であるか否かに基づいて、検出信号が火災によるものか否かを判別する(ステップS3)。所定の周波数とは火災炎特有のちらつき(ゆらぎ)周波数であり、例えば、約2[Hz(ヘルツ)]である。火災検知部130は、検出信号の中心周波数の周期が所定の周波数であると判別した場合(ステップS3;Yes)、対応する検出部の監視領域に火災が有ると判断してステップS4に進み、検出信号の中心周波数の周波数が所定の周波数ではないと判別した場合(ステップS3;No)、ステップS1に戻る。
ステップS3で検出信号の中心周波数が所定の周波数であると判別した場合、火災検知部130は検知信号を送受信部140へ出力し、これに基づきステップS4で送受信部140は、検出信号に基づく監視情報を防災受信機30に送信する。例えば、火災検知器10Bの第2検出部12Bの検出信号が火災によると判別した場合、送信された監視情報には、火災検知器10Bの第2検出部12Bの識別情報、第2検出部12Bの検出信号に基づく火災(有り)を示す情報が含まれている。
【0033】
次に、防災受信機30の動作を説明する。
図9は、本実施形態に係る防災受信機30の動作手順の概略を示すフローチャートである。
防災受信機30の判断部302は、火災の監視開始後、火災検知器10の何れかから最初の監視情報を受信すると、受信した監視情報に基づき火災の有無を判別する。判断部302は、判別した結果を記憶部303に記憶させる(ステップS11)。次に、判断部302は、タイマー部304の、対応するタイマーに第1所定時間の計時を開始するように制御するとともに、この最初に受信した監視情報から識別情報を抽出し、抽出した識別情報に基づき監視情報を送信した火災報知器の検出部を特定する(ステップS12)。なお、この段階で出力部306から適宜の予備報知を行うようにしてもよい。
次に、判断部302は、記憶部303に記憶されている情報に基づいて、ステップS12で特定した検出部と同じ監視領域を監視している検出部を抽出する(ステップS13)。
次に、判断部302は、タイマー部304が計時した計時結果に基づき、第1所定時間内の処理を行う(ステップS14)。判断部302は、第1所定時間内にステップS13で抽出した検出部の監視情報を受信し、受信した監視情報に基づき火災有りと判別した場合(ステップS14;監視情報を受信)、当該監視領域で火災が発生していると判断してステップS17に進む。
一方、判断部302は、第1所定時間内にステップS13で抽出した検出部の監視情報に基づいて火災有りと判別しない場合、待機し、待機中にステップS12で特定した検出部の火災解消(復旧)情報を受信した場合(ステップS14;火災解消情報を受信)、ステップS11に戻る。
判断部302は、ステップS13で抽出した検出部の監視情報を受信せずに第1所定時間が経過した場合(ステップS14;第1所定時間経過)、タイマー部304の計時をクリアしてステップS15に進む。
【0034】
ステップS13で抽出した検出部から監視情報を受信せずに第1所定時間が経過した場合、判断部302は、タイマー部304の、対応するタイマーをリセットして、予め定められている第2所定時間の計時を開始する(ステップS15)。
次に、判断部302は、第2所定時間内の処理として、ステップS12で特定した最初の監視情報を送信してきた検出部の監視情報に基づき、引き続き火災有りと判別されているか否かを確認する(ステップS16)。判断部302は、引き続き火災有りと判別されている場合(ステップS16;火災を判別)、当該監視領域で火災が発生していると判断してステップS17に進み、一方、引き続き火災有りと判別されていない場合、あるいは火災が有りと判別されていないまま第2所定時間が経過した場合(ステップS16;第2所定時間経過)、タイマー部304の計時をクリアしてステップS11に戻る。
次に、判断部302は、ステップS14またはS16の処理に基づいて、火災が発生していると判断した場合、火災処理(警報処理)として判断した結果に基づく情報を、発報部305を介して出力部306に表示すると共に、音響で警報する(ステップS17)。
なお、ステップS17終了後、判断部302は、再びステップS11〜S17を繰り返す。このため、1回目の処理で、第1所定時間内に、一方の検出部からの監視情報しか得られなくても、次回の処理時、再度、第1所定時間内に同じ監視領域を監視している2つの検出部からの監視情報を受信しているか否かを判断する。
なお、監視情報の受信は
図9の処理中にも適宜(例えば定期的に、或いは火災検知器10から監視情報が送信される毎に)行われており、最初の監視情報を受信後の
図9の処理中に、別の監視領域を監視する検出部からの監視情報を受信した場合には、当該別の監視領域について
図9と同じ処理を並行して行う。
【0035】
次に、判断部302の火災判断について、さらに説明する。判断部302は、以下の(1)または(2)の場合に火災が発生していると判断する。
(1)第1所定時間内に、同じ監視領域を監視している全て(ここでは2つ)の検出部に係る監視情報を受信し、且つ当該2つの監視情報のそれぞれから火災有りと判別した場合
(2)第1所定時間が経過した後から第2所定時間内に、最初に受信した監視情報に基づき引き続き火災有りと判別した場合
また、判断部302は、以下の(3)または(4)の場合に、火災が発生していないと判断する。
(3)第1所定時間内に、最初に受信した監視情報を送信した検出部に係る火災解消情報を受信し、これに基づき火災復旧を判別した場合
(4)第1所定時間が経過した後から第2所定時間内に、最初に受信した監視情報の検出部に係る監視情報に基づき引き続き火災有りと判別しない場合
なお、同じ監視領域を監視する検出部が3以上である場合には、(1)では、この全ての検出部に係る監視情報に基づきそれぞれ火災を判別した場合以外に、例えば2以上の所定数につき火災を判別した場合に火災と判断するようにしてもよい(1’)。
また、同じ監視領域を監視する検出部が3以上である場合には、(2)で第2所定時間内に、例えば2以上の所定数につき引き続き火災有りと判別された場合に火災と判断するようにしてもよい(2’)。
このような場合(1’)、(2’)に対応して、(3)、(4)の火災が発生していないとする条件についても、2以上の所定数の復旧を判別すること等に代えることができる。
【0036】
図10は、第1所定時間及び第2所定時間の概略を説明する図である。
図10において、横軸は時刻を表している。
図10に示すように、判断部302は、
図9ステップS11において最初の監視情報を受信し、これに基づき火災を判別すると、タイマー部304の、対応するタイマーの計時を開始する(時刻t0)。時刻t0から時刻t1までの期間(第1所定時間)において、判断部302は、ステップS11で最初に受信した監視情報と、その検出部と同じ監視領域を監視している他の検出部からの監視情報の両方に基づいて火災を判断する。第1所定時間内に最初の監視情報を送信した検出部について火災復旧が判別されず、同じ監視領域を監視している他の検出部からの監視情報に基づく火災判別も行われない場合、時刻t1から時刻t2までの期間(第2所定時間)において、判断部302は、ステップS11で最初に受信した監視情報に基づいて火災を判断する。
【0037】
次に、火災報知システム1の処理の例を、
図2及び
図11を用いて説明する。
まず、
図2の例について説明する。防災受信機30は例えば、最初に、火源50に最も近い火災検知器10Bの第1検出部11Bに係る監視情報を受信し、これに基づき監視領域40Bでの火災を判別する。通常であれば続いて第1所定時間内に、火災検知器10Cの第2検出部12Cに係る監視情報も受信し、これに基づき監視領域40Bでの火災が判別する。これによりトンネル40内の監視領域40Bで火災が発生していると判断し、
図9のステップS17で説明したように火災処理を行う。
【0038】
次に、一過性の非火災処理の例について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、監視領域40Bに車両60が停止している例を説明する図である。
図11に示した例では、車両60の運転者が、車両60の後方で発炎筒を使用している。ここでの火源51は、発炎筒による火源であるものとする。発炎筒の炎のちらつき中心周波数は一般に火災炎に比べて小さく、通常であれば火災として検知されることはないが、運転者が発炎筒を手で振ること等に起因して、一時的に、中心周波数が所定の周波数(火災炎の中心周波数)と一致している場合がある。即ち、火災検知器10の比較的近くで、人が発炎筒を手に持って振る際の周波数が、たまたま所定の周波数に一致し、それが例えば2秒間(32Hzで64回のサンプリングの間)程度継続すると、火災検知器10で火災として検知される可能性がある。ここでは、このような場合を例にとって説明する。
防災受信機30は、まず火源51から近い火災検知器10Bの第1検出部11Bからの監視情報を受信する。発炎筒による火源51によるエネルギーは、実際の火災の炎と比べて低いため、火源51から比較的遠方にある火災検知器10Cの第2検出部12Cからの検出信号レベルは小さく、火災検知器10Cの火災検知部130はこれに基づく火災を検知しないため、火災検知器10Cは発炎筒による火源51が存在しても、防災受信機30へ火災を検知した旨を示す監視情報を送信しない。
図11の例では更に、車両60により第2検出部12Cからの火源51の見通しを遮ることになるので、火災検知器10Cは火災を検知せず、防災受信機へ火災を検知した旨を示す監視情報は送信しない。
従って、
図11に示した例では、防災受信機30の判断部302は、第1所定時間内において、火災検知器10Bから第1検出部11Bに係る監視情報を受信するが、火災検知器10Cから第2検出部12Cに係る監視情報は受信しない。このため、判断部302は、第1所定時間内において、火災が発生しているか否かの判断を行わず待機する。次に、第1所定時間が経過した後から第2所定時間内、判断部302は、火災検知器10Cの第2検出部12Cに係る監視情報に基づかず、火災検知器10Bの第1検出部11Bからの監視情報に基づいて、火災が発生しているか否かを判断する。ここでは、火災検知器10Bの第1検出部11Bに係る監視情報のみに基づいて、火災が発生しているか否かを判断することになる。ここで、火源51の中心周波数が所定の周波数と一致している時間は、通常、第1所定時間より短い(そうなるように考慮して第1所定時間を設定する)。従って、判断部302は、第1所定時間内に火災検知器10Bの第1検出部11Bに係る監視情報を受信し、火災と判断し、発報情報を発報部305に出力してしまうという事態を避けることができる。
【0039】
次に、
図11において、火源51が火災によるものであった場合について説明する。
防災受信機30は、例えば、まず火源51から近い火災検知器10Bの第1検出部11Bに係る監視情報を受信する。一方、第1検出部11Bと同じ監視領域を監視している火災検知器10Cの第2検出部12Cは、火源51からの光(赤外線)が車両60で遮られているため、当該火源51からの光を受光できない。この結果、防災受信機30は、第1所定時間内において、火災検知器10Cの第2検出部12Cに係る監視情報を受信しない。
従って、判断部302は、第1所定時間内において、火災が発生していると判断せずに待機する。
次に、第1所定時間が経過した後から第2所定時間内、判断部302は、火災検知器10Cの第2検出部12Cに係る監視情報に基づかず、火災検知器10Bの第1検出部11Bに係る監視情報に基づいて、火災が発生しているか否かを判断する。火災検知器10Bの第1検出部11Bは、監視領域40Bで火災が発生しているため(火源51のエネルギーが減少しないため)監視情報を継続して送信している。この結果、判断部302は、火災検知器10Bの第1検出部11Bに係る監視情報を第2所定時間内に受信するため、監視領域40Bで火災が発生していると判断し、発報情報を発報部305に出力する。ここで、第1所定時間、第2所定時間の設定によっては、火災判断までに要する最大時間が従来に比べ若干長くなることもあり得るが、その場合でも、特に一過性の誤報、非火災報を低減する効果と比較すれば、大きな問題にはならない。
【0040】
次に、例えば火災検知器10Bに接続されている信号ケーブル22が劣化し、接触不良等によりこれに一過性の電気的ノイズが生じるなどして、伝送路20を経由して擬似的な検知信号が防災受信機30に送信された場合について説明する。
防災受信機30は、例えば、ノイズに基づく第1検出部11Bに係る監視情報を、火災検知器10Bから受信する。このようにノイズによる火災を検知した旨を示す監視情報が送信された(或いは、防災受信機30が火災を検知した旨を示す監視情報を受信したと誤認した)としても、一過性のものであり、もう一方の検出部に係る、火災を検知した旨の監視情報は受信されないので、防災受信機30は火災とは判断しない。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、トンネル40内の監視領域で発炎筒が使用された場合等の非火災報を防止することができる。さらに、火災発生時、隣接し且つ同じ監視領域を監視している一方の検出部の監視領域の一部が車両等により遮られている場合であっても、他方の火災検知器10が検知した監視情報に基づいて、火災が発生しているか否かを判断でき、火災の発生を検知することができる。即ち、誤報源や非火災源に基づく一過性の火災検知による誤報や非火災報を低減する一方、火災源を見逃す失報を避けることができる。さらに、信号ケーブル22の劣化等によるノイズの影響によって監視情報が防災受信機30に送信された場合であっても、同様に、誤報、非火災報を低減することができると共に失報を避けることができる。また、何らかの要因により火災検知器10に一過性の動作不安定が生じ、火災が発生していないにも拘わらず火災が検知された場合等も、同様に誤報を低減しつつ、失報を避けることができる。
【0042】
<第2実施形態>
本実施形態では、火災検知器10aが備えている透光性窓102、103の汚損度合に応じて、防災受信機30aが火災判断に用いる火災検知器10aを選択する例について説明する。なお、火災検知器10aは、例えば
図2に示したように、車両の進行方向に対して一定間隔L毎に配置されている。
【0043】
図12は、本実施形態に係る火災検知器10aの要部構成を示したブロック図である。
図12に示すように、火災検知器10aは、第1検出部11、第2検出部12、火災検知部130、送受信部140a、識別情報設定部150、試験制御部160、光源制御部171、第1光源172、光源制御部181、第2光源182、機能診断部190を備えている。なお、第1実施形態の火災検知器10と同様の機能、構成部は同じ符号を用いて説明を省略する。
【0044】
送受信部140aは、防災受信機30a(
図14、後述)から受信した各検出部の固有な識別情報を識別情報設定部150に記憶する。送受信部140aは、火災検知部130が出力した検知信号に基づき生成される監視情報に、識別情報設定部150に記憶されている識別情報及び識別子を付加して防災受信機30aに送信する。これらは
図3に示した第1実施形態の火災検知器10の送受信部140と同様である。本実施形態では、識別情報は、火災検知器10aを識別する情報である。識別子は、第1検出部11と第2検出部12を識別する情報であり、例えば、第1検出部11に対する識別子は1であり、第2検出部12に対する識別子は2である。
送受信部140aは、防災受信機30aから受信した試験コマンドから識別情報を抽出し、抽出した識別情報が識別情報設定部150に記憶されている識別情報と一致するか判別する。なお、試験コマンドには、点灯試験を実施する対象の火災検知器10aを特定する識別情報、第1光源又は第2光源の点灯を指示する光源点灯指示情報が含まれている。即ち、試験コマンドは、例えば第1光源172を点灯、点滅又は明滅(以下、総称して「点灯」という)させて、第1検出部11を試験するコマンドであり、また例えば、第2光源182を点灯させて、第2検出部12を試験するコマンドである。送受信部140aは、抽出した識別情報が識別情報設定部150に記憶されている識別情報と一致する場合、試験コマンドに応じた試験指示信号を試験制御部160に出力する。
送受信部140aは、防災受信機30aからの試験コマンドに応じて試験制御部160により実施された試験結果として機能診断部190が出力した汚損情報に、識別情報設定部150に記憶されている識別情報及び各情報に係る検出部の識別子を付加して、伝送路20を介し防災受信機30aに送信する。
汚損情報は、透光性窓の汚損状況を表す情報であり、汚損状況を表す情報としては、第1光源172の点灯時における第1検出素子111が検出した信号レベルに基づく透過率又は減光率、第2光源182の点灯時における第2検出素子121が検出した信号レベルに基づく透過率又は減光率、或いは透過率又は減光率に基づいて判断された情報(例えば汚損の有無等)が用いられる。このような透光性窓の汚損は火災検知器10aの機能障害のひとつである。透過率又は減光率は、無汚損の初期状態における受光レベルと試験時の受光レベルとに基づいて火災検知器10aが算出してもよく、防災受信機30aが算出してもよい。また同様に、透過率又は減光率に基づく汚損度の判断は、火災検知器10aが判断してもよく、防災受信機30aが判断してもよい。汚損度は、汚損の度合いに応じて決まる値であり、透過率又は減光率をそのまま用いてもよいし、透過率や減光率に応じた段階的な指標値としてもよい。
送受信部140aは、故障検出部192が周期的に実施するビルトインテストによって故障が検出されている場合に、防災受信機30aからの周期的な呼び出しに応じるタイミングで、その旨を故障情報(識別情報が付してある)として伝送路20を介し防災受信機30aへ送信する。故障情報とは、火災検知器10a内の部品や回路の故障を示す情報である。故障は、汚損と同様に火災検知器10aの機能障害のひとつである。
【0045】
試験制御部160は、送受信部140aが出力した試験指示信号から光源点灯指示情報を抽出し、抽出した光源点灯指示情報を光源点灯指示情報に対応する光源制御部に出力する。
光源制御部171は、試験制御部160が出力した光源点灯指示に応じて、予め定められている時間、予め定められている光量で第1光源172を点灯させるように制御する。光源制御部181は、試験制御部160が出力した光源点灯指示に応じて、予め定められている時間、予め定められている光量で第2光源182を点灯させるように制御する。予め定められている時間とは、例えば2秒である。第1光源172及び第2光源182は、透光性窓を介して第1及び第2検出素子が受光可能な、例えば火災の発生によって生じた炎が放射する光の波長(ここでは4.5μm)を含んだ光を第1及び第2検出素子へ照射する。
【0046】
機能診断部190は、汚損度検出部191、故障検出部192を備えている。
汚損度検出部191は、光源制御部171又は181により第1光源172又は第2光源182を点灯したとき、対応する検出部の第1検出素子111又は第2検出素子121における受光信号がA/D変換部112又は122でA/D変換された検出信号を受け取る。汚損度検出部191は、例えば、受け取った検出信号に基づいて、透光性窓の透過率を算出し、算出した透過率に基づく汚損度に応じた内容の汚損情報を生成し、生成した汚損情報を送受信部140aに出力する。汚損情報には識別情報及び対応する透光性窓(検出部)の識別子を付加する。
次に、汚損度検出部191で汚損度を判断する場合の具体的な処理について説明する。
汚損度検出部191は、第1光源172又は第2光源182を点灯した際に得られた第1検出部11、又は第2検出部12の検知信号のレベル(例えば振幅検出値等)と、予め同じ点灯条件で、無汚損時に第1光源172又は第2光源182を点灯した場合の初期検知信号レベルとに基づき、次式(1)を用いて透光性窓の透過率を算出する。
【0047】
透過率[%]=(検知信号レベル/初期検知信号レベル)×100 …(1)
【0048】
また、汚損度検出部191は、次式(2)を用いて、汚損の度合いを表す指標として、透過率以外に減光率を算出することもできる。
【0049】
減光率[%]=100−(検知信号レベル/初期検知信号レベル)×100 …(2)
【0050】
故障検出部192は、周期的にビルトインテストを実施して、機能障害として火災検知器10a内の故障(回路故障等)を検出し、この故障を示す故障情報を送受信部140aに出力する。故障検出の対象である機能部としては、例えば、A/D変換部112、A/D変換部122、火災検知部130、試験制御部160、光源制御部171、光源制御部181等である。故障検出部192は、例えば、予め定められている周期で各部に故障を確認するための信号を出力し、この信号に対する応答がない場合に、その部を故障と判断するようにしてもよい。
【0051】
図13は、本実施形態に係る火災検知器10aの正面図及び断面図である。
図13において、設置状態における火災検知器10aの左右方向(車両の進行方向)をx軸方向、火災検知器10aの垂直方向をy軸方向、火災検知器10aの厚み方向をz軸方向とする。火災検知器10aは、カバー101、本体104、試験光源収納部108、第1光源172、第2光源182で構成されている。なお、第1実施形態の火災検知器10と同様の機能を有する機能部は同じ符号を用いて説明を省略する。
試験光源収納部108は、透光性窓102、103のy軸方向の上部に配置されている。試験光源収納部108は、第1光源172及び第2光源182を収容している。
透光性窓102は、第1光源172と第1検出部11との間に配置されている。透光性窓103は、第2光源182と第2検出部12との間に配置されている。
【0052】
図14は、本実施形態に係る防災受信機30aの要部構成を示したブロック図である。
図14に示すように、防災受信機30aは、送受信部301a、判断部302a、記憶部303、タイマー部304、発報部305a、出力部306a、制御部307、機能認知部308、及び記憶部309を備えている。なお、第1実施形態の防災受信機30と同様の機能を有する機能部は同じ符号を用いて説明を省略する。
【0053】
送受信部301aは、火災検知器10aが送信した監視情報を受信し、受信した監視情報を判断部302aに出力する。送受信部301aは、例えば予め設定された所定周期で制御部307が出力した試験コマンドを火災検知器10aに送信する。送受信部301aは、この試験コマンドに応じて火災検知器10aから受信した汚損情報を制御部307に出力する。送受信部301aは、周期的な呼び出しを火災検知器10aに送信し、この呼び出しに応じて火災検知器10aから受信した故障情報を制御部307に出力する。
判断部302aは、送受信部301aが受信した監視情報、及びタイマー部304が出力した情報に基づいて、トンネル40内で火災が発生しているか否かを判断する。判断部302aは、トンネル40内の監視領域で火災が発生していると判断した場合、当該監視領域で火災が発生していることを示す発報情報を発報部305aに出力する。判断部302aは、火災の監視開始後、最初に監視情報を受信し、これが火災を示すものであったとき、タイマー部304の、対応するタイマーに第1所定時間の計時を開始するように制御する。
判断部302aは、制御部307から受信した汚損判定結果が検出部を火災の監視に利用できないことを示す場合、その検出部に対応させて、タイマー部304の、対応するタイマーに、予め定められている第3所定時間
(汚損所定時間)の計時を開始するように制御する。第3所定時間は、例えば60分等である。例えば透光性窓102又は103が一時的に結露していた場合、一定時間が経過すれば、結露していた状態が解消し、透過率が正常値に回復している場合もあるため、例えば第3所定時間は、この結露が解消するまでにかかる時間を考慮して決められている。第3所定時間は、例えば透光性窓の透過率に応じて決定するようにしてもよい。あるいは、第3所定時間は、試験を行った時刻に応じて決定するようにしてもよい。例えば結露しやすい時間帯では、第3所定時間を10分に決定するようにしてもよい。
判断部302aは、制御部307から受信した故障判定結果が火災検知器10aを火災の監視に利用できないことを示す場合、その火災検知器10a又は検出部に対応させて、タイマー部304の、対応するタイマーに、予め定められている第4所定時間
(故障所定時間)の計時を開始するように制御する。第4所定時間は、例えば15秒〜20秒である。
タイマー部304は、監視領域毎、或いは火災検知器10aや検出部毎の複数の計時を並行して行えるように、複数のタイマーを有している。
【0054】
発報部305aは、判断部302aが出力した発報情報に基づいて、火災が発生していることを示す情報、及び火災が発生している監視領域を示す情報、火災検知器10aの機能障害として汚損度を示す情報、故障を示す情報を、出力部306aに出力する。
出力部306aは、表示部306a1、音響報知部306a2を備えている。表示部306a1は、発報部305aから得た情報に応じて、発報内容を示す情報を表示することで警報する。音響報知部306a2は、発報部305aから得た情報に応じて、発報内容に応じた警報音や音声を出力することで警報する。
制御部307は、試験コマンドを所定の周期で生成し、生成した試験コマンドを送受信部301aに出力する。送受信部301aはこれを受け、伝送路20を介し火災検知器10aへ試験コマンドを送信する。なお、所定の周期は任意であるが、例えば、1時間、24時間等である。また同様に、制御部307は、故障情報確認のため周期的に火災検知器10aの呼び出しを行う呼び出し信号を送受信部301aに出力する。送受信部301aはこれを受け、伝送路20を介し火災検知器10aへ呼び出し信号を送信する。この場合の周期は任意であるが、例えば、10分、30分等である。
制御部307は、試験コマンドに応じ火災検知器10aからの返信を送受信部301aが受信して出力した汚損情報を機能認知部308に出力する。また、制御部307は、故障情報確認のための周期的な呼び出しに応じるタイミングで火災検知器10aから返信され送受信部が受信して出力した故障情報を機能認知部308に出力する。
【0055】
機能認知部308は、汚損認知部308a、故障認知部308bを備えている。
汚損認知部308aは、制御部307が出力した汚損情報から識別情報、識別子(検出部)、識別子毎の透過率を抽出する。汚損認知部308aは、抽出した識別情報、識別子、識別子に対応する火災検知器10aの検出部の透光性窓の透過率を各々、記憶部309に記憶させる。汚損認知部308aは、記憶部309に記憶させた透過率に基づいて、汚損度を認知する。汚損認知部308aは、認知した結果に基づいて、各検出部が火災の監視に利用できるか否かを判定し、判定した結果である汚損判定結果、抽出した識別情報、識別子を判断部302aに出力する。なお、火災検知器10aの汚損度検出部191で透過率を算出し汚損度を判断する場合には、各検出部が火災の監視に利用できるか否かを汚損情報とし、汚損認知部308aではそのままその旨を認知、判定し、汚損判定結果、識別情報、識別子を判断部302aに出力するようにする。
故障認知部308bは、制御部307が出力した故障情報から識別情報を抽出する。故障認知部308bは、抽出した識別情報に対応する火災検知器10aの検出部の故障情報を各々、記憶部309に記憶させる。
故障認知部308bは、記憶部309に記憶させた検出部の故障情報に基づいて、火災検知器10aの故障を認知し、認知した結果に基づいて、各検出部が火災の監視に利用できるか否かを判定し、判定した故障判定結果、抽出した識別情報を判断部302aに出力する。故障内容が例えば第1検出素子111又は第2検出素子121の故障である場合等、検出部毎に特定されるものである場合には、故障情報には識別情報と共に識別子を付すことができ、故障認知部308bでもこれを認識することができる。故障情報に識別子が含まれる場合には、これも関連づけて同様に記憶させる。なお、故障情報に検出部の識別子が含まれない場合(故障情報は火災検知器10a毎のものである場合)には、両方の識別子が関連づけられて記憶されたものとして扱う。
【0056】
次に、汚損監視処理の手順について説明する。
図15は、汚損監視処理の概略を示すフローチャートである。この汚損監視処理は、防災受信機30aが火災検知器10aに発行する試験コマンドに伴う試験動作を利用して行うもので、例えば1時間毎に1回等、予め決められたタイミングで起動する。そして、火災検知器10aの識別情報を付した試験コマンドを順次送信することで、伝送路20上に接続された複数の火災検知器10aについて1台ずつ、順次汚損監視処理を行う。即ち本実施形態では、
図15の処理を火災検知器10a毎に順次行うことになる。
【0057】
防災受信機30aの制御部307は、検査(試験)対象となる火災検知器10aの識別情報と共に、検査対象となる検出部を特定する検査対象識別子NをN=1にセットして初期化する(ステップS101)。次に、制御部307は、検査(試験)対象となる火災検知器10aの識別情報と共に、現在セットされている検査対象識別子N=1に対応する検出部の識別子を付して試験コマンドを送信する(ステップS102)。次に、この識別情報に該当する火災検知器10aの試験制御部160は、受信した試験コマンドに従って、検査対象識別子の、第1検出部11に対応する光源制御部171によって第1光源172を点灯させる。汚損認知部308aは、このとき第1検出素子111が受光した結果に基づく汚損情報を防災受信機30aに送信する。
次に、防災受信機30aの制御部307は、汚損情報を受信したか否か判別する(ステップS103)。制御部307は、汚損情報を受信したと判別した場合(ステップS103;Yes)、ステップS104に進む。制御部307は、汚損情報を受信していないと判別した場合(ステップS103;No)、汚損情報を受信するまでステップS103を繰り返す。なお、予め定められた時間が経過しても、汚損情報が受信できない場合、制御部307は、火災検知器10aに試験コマンドを再送信(リトライ)するようにしてもよい。試験コマンドを再送信しても、汚損情報を受信できない場合、制御部307は、試験コマンドを送信した対象である識別情報の火災検知器10aが異常であるとして、例えばステップS106の異常処理を行うようにしてもよい。
【0058】
次に、汚損認知部308aは、汚損情報から、識別情報及び識別子、透過率を抽出し、抽出した識別情報及び識別子、透過率を関連付けて記憶部309に記憶させる(ステップS104)。次に、汚損認知部308aは、記憶部309に記憶されている透過率を読み出し、読み出した透過率が異常か否かを基準値と比較することで判別する(ステップS105)。例えば透過率が100%を超える等、通常考えられない異常値の場合、汚損認知部308aは、透過率が異常であると判定する。汚損認知部308aは、透過率が異常であると判定した場合(ステップS105;Yes)、ステップS106に進み、透過率が異常ではないと判定した場合(ステップS105;No)、ステップS107に進む。
【0059】
透過率が異常値である場合、汚損認知部308aは、異常処理を行う(ステップS106)。汚損認知部308aは、透過率が異常値であるため、試験コマンドを送信した対象である識別情報に対応する火災検知器10aの、識別子に対応する検出部に対応して、タイマー部304の、対応するタイマーに、判断部302aが火災判断で用いる第3所定時間の計時を開始させる。汚損認知部308aは、ステップS106終了後、ステップS109に進む。
【0060】
ステップS105で透過率が異常値でない場合、汚損認知部308aは、透過率が例えば予め定められた汚損警報閾値25%以下であるか否かを判別する(ステップS107)。汚損認知部308aは、汚損警報閾値25%以下であると判別した場合(ステップS107;Yes)、ステップS108に進み、汚損警報閾値25%より大きいと判別した場合(ステップS107;No)、ステップS109に進む。
汚損認知部308aは、透過率が汚損警報閾値25%以下である場合、発報部305aにより、表示部306a1及び/又は音響報知部306a2から汚損警報を出力する(ステップS108)。この汚損警報閾値25%は、火災検知器としての監視性能を発揮できなくなる限界の汚損度合いに対応した透過率である。したがって、透過率が25%以下となった場合には火災検知器10aの透光性窓102の汚れを清掃しなければ正常な火災監視ができない。このとき、汚損認知部308aは、判定した結果に基づいて、この識別子によって特定される検出部に対応して、タイマー部304の、対応するタイマーに第3所定時間の計時を開始させる。
【0061】
次に、制御部307は、検査対象識別子Nを1つアップしてステップS110に進む(ステップS109)。
次に、制御部307は、同じ火災検知器10aの識別情報と共に、現在の検査対象識別子Nに対応する識別子を付して、試験コマンドを送信する。次に、この識別情報に該当する火災検知器10aの試験制御部160は、受信した試験コマンドに従い、検査対象識別子N=2の第2検出部12に対応する光源制御部181によって第2光源182を点灯させる。汚損度検出部191は、このとき第2検出素子121が受光した結果に基づく汚損情報を防災受信機30aに送信する。これを受け、汚損認知部308aは、ステップS103〜S108と同じ処理を繰返す(ステップS110)。
次に、制御部307は、検査対象識別子Nを1にして、次に試験を行う火災検知器10aへ試験コマンドを送信する。このようにして全ての火災検知器10aの検出部に対して、ステップS102〜S111の試験を行う(ステップS111)。
【0062】
次に、防災受信機30aの動作を説明する。
まず、防災受信機30aの判断部302aは、第1実施形態のステップS11〜S13(
図9参照)と同様に行う。ステップS11〜S13において、判断部302aは、火災検知器10aを識別情報に基づき識別し、検出部を識別子に基づき識別する。
判断部302aは、タイマー部304の出力、受信した監視情報に基づいて、例えば以下(11)〜(15)のように火災を判断する。
(11)第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でなく、且つ最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でない場合
この場合、判断部302aは、第1所定時間内に、同じ監視領域を監視している全て(ここでは2つ)の検出部に係る監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
(12)第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中であり、且つ最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でない場合
この場合、判断部302aは、最初に火災と判別された監視情報の検出部を、計時中である第3又は第4所定時間内除外し、最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に係る監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
(13)第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でなく、且つ最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中である場合
この場合、判断部302aは、最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部を、計時中である第3又は第4所定時間内除外し、最初に火災と判別された監視情報の検出部に係る監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
(14)第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中であり、且つ最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でない場合
この場合、判断部302aは、最初に火災と判別された監視情報の検出部及び最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部を、計時中である第3又は第4所定時間内除外し、待機する。
(15)(14)の待機後、第1所定時間が経過した後、且つ第2所定時間内に、その監視領域の何れかの検出部に対応する、計時中であった第3又は第4所定時間の計時が満了した場合
判断部302aは、計時中であった第3又は第4所定時間の計時が満了したタイマーに対応する検出部の監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
【0063】
上述の(12)〜(15)では、同じ監視領域を監視している一方の検出部に対応する第3又は第4所定時間が計時中である場合、他方の検出部に係る監視情報に基づいて第1所定時間内に火災を判断する例を説明したがこれに限られない。例えば判断部302aは、以下の(12’)、(13’)、(12’’)、(13’’)のように火災を判断してもよい。
(12’)その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時が第1所定時間内に満了しており、且つ第1所定時間内に最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でない場合
この場合、判断部302aは、同じ監視領域を監視している全て(ここでは2つ)の検出部に係る監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
(13’)その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でなく、且つ最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時が第1所定時間内に満了した場合
この場合、判断部302aは、同じ監視領域を監視している全て(ここでは2つ)の検出部に係る監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
(12’’)第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中であり、且つ最初に火災と判別された監視情報を受信した検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でなく、且つ第2所定時間内、最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でない場合
この場合、判断部302aは、第1所定時間内、待機し、第2所定時間内に、最初に火災と判別された監視情報の検出部又は最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部の少なくともいずれかの監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
(13’’)第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でなく、且つ最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中であり、且つ第2所定時間内、最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3又は第4所定時間の計時中でない場合
この場合、判断部302aは、第1所定時間内、待機し、第2所定時間内に、最初に火災と判別され監視情報の検出部又は最初に火災と判別された監視情報を受信した検出部と同じ監視領域を監視している検出部の少なくともいずれかの監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断する。
なお、例えば各検出部に共通の電源回路や火災検知部130の故障等、故障内容が検出部毎に特定できないこと等によって、故障情報に検出部を識別する識別子が含まれていない場合、(12)〜(14)、(12’)、(13’)、(12’’)、(13’’)において、故障情報または汚損情報に含まれる識別情報に対応する火災検知器10a(その全ての検出部)を除外するようにしてもよい。
【0064】
第3所定時間を上記例のように例えば10分といった長い時間に設定すると、第1所定時間内に第3所定時間の計時が満了していない可能性が高くなる。このため、例えば第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第3所定時間の計時中である場合、又は最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第3所定時間の計時中である場合、判断部302aは、(12)のように第3所定時間の計時を中でない検出部の監視情報に基づいて火災を判断するようにしてもよい。
第4所定時間を上記例のように例えば15秒〜20秒といった時間に設定すると、第1所定時間内に第4所定時間の計時が満了する可能性が高くなる。このため、例えば、第1所定時間内、その監視領域につき最初に火災と判別された監視情報の検出部に対応する第4所定時間の計時中である場合、又は最初に火災と判別された監視情報の検出部と同じ監視領域を監視している検出部に対応する第4所定時間の計時中である場合、判断部302aは、(12’)のようにタイマーの計時が満了した後、同じ監視領域を監視している全て(ここでは2つ)の検出部に係る監視情報に基づいてその監視領域の火災を判断するようにしてもよい。
なお、第1実施形態と同様に、同じ監視領域を監視する検出部が3以上であってもよい。この場合、例えば(12)において、第3又は第4所定時間の計時が行われている検出部を第3又は第4所定時間内、火災の判断から除外し、第3又は第4所定時間の計時が行われていない他の検出部に係る監視情報に基づいて火災を判断する。
【0065】
以上のように、本実施形態では、火災検知器10aの第1又は第2検出部に対応して設けた透光性窓102、103の汚損を検出し、透光性窓が汚損している場合には、これに対応する検出部を第3所定時間内、火災の監視に使用せず、同じ監視領域を監視している、汚損していない検出部からの監視情報に基づいて火災を判断するようにした。また、本実施形態では、第1又は第2検出部の故障を検出し、検出部が故障している場合、故障している検出部を第4所定時間内、火災の監視に使用せず、同じ監視領域を監視している、故障していない検出部からの監視情報に基づいて火災を判断するようにした。この結果、本実施形態によれば、透光性窓102、103が汚れていて透過率が低下して充分な火災監視性能が確保できない場合、試験コマンドに対する監視情報の応答が無い場合、または第1又は第2検出部が故障している場合、火災検知器10aのこのような第1又は第2検出部を第3所定時間内又は第4所定時間内、火災検知に使用しないようにしたので、誤報を低減しつつ、非火災報も低減し、さらに精度良く火災を判断することができる。
なお、本実施形態では、防災受信機30aが透過率等を演算して、これに基づき汚損を認知する例を説明したが、汚損の認知を火災検知器10aが行い、認知した結果を汚損情報として防災受信機30aに送信するようにしてもよい。この場合、防災受信機30aは汚損情報から直接その旨を認知するようにする。
【0066】
なお、第1及び第2実施形態において、火災検知器10、10aは、2つの検出部(第1検出部11、第2検出部12)を備える例を説明したが、これに限られない。例えば、火災検知器10、10aが、第1検出部11のみ、または第2検出部12のみを備えるようにし、この第1検出部11と第2検出部12との組(火災検知器10、10a)を監視領域の境界に2台ずつ配置してもよい。この場合、ひとつの境界に配置された2台の火災検知器10、10aの検出部はそれぞれ、隣接する監視領域を監視するようにする。
なお、第1及び第2実施形態において、火災検知器10、10aの第1検出部11及び第2検出部12、各々は、1つの検出素子を備える例を説明したが、これに限られない。第1検出部11及び第2検出部12、各々は、2つずつの検出素子を備え、それぞれ異なる波長の光を検出するようにしてもよい。これにより、さらに火災を精度良く検出できる。
また、境界部に設置する火災検知器、検出部については、
図2、
図11に示した例のように必ずしも同じ壁面側に設置する必要はなく、複数の検出部が同じ監視領域を監視できるように設置されていれば、例えば境界毎に交互に、対向する壁面に設置する等、適宜の設置が可能である。
【0067】
また、各実施形態における火災報知システム1、1aの一部の機能の全て、もしくは一部を、図示しないCPU(中央演算装置)に接続されたROM(Read Only Memory)等に保存されているプログラムにより実行することも可能である。