(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デューティ比検出回路は、前記整流電圧と所定電圧とを比較する第2の比較器と、前記第2の比較器の出力電圧を直流化する積分器と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の発光素子の制御回路。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー等の観点から白熱電球に代わって発光ダイオード(LED)が照明用の発光素子として普及しつつある。
【0003】
図7は、力率改善を図った従来の発光素子の制御回路200の回路図である。制御回路200は、整流回路50、基準電圧発生回路51、比較器52、RSフリップフロップ53、チョークコイル54、回生ダイオード55、スイッチング素子56、電流検出用の抵抗R0を含んで構成されている。
【0004】
整流回路50の入力端子に交流(AC)の入力電圧Vinを供給すると、入力電圧Vinは整流回路50により全波整流される。全波整流された整流電圧Vrcは、LED60のアノードに駆動電圧として供給される。LED60のカソードは、チョークコイル54、スイッチング素子56及び抵抗R0を介して接地される。抵抗R0の端子電圧は比較電圧Vcmpとして比較器52の非反転入力端子(+)に入力される。
【0005】
一方、基準電圧発生回路51は、整流回路50の出力端子と接地の間に抵抗R1,R2を直列接続してなり、整流回路50で全波整流され整流電圧Vrcを分圧して基準電圧Vrefを発生する。基準電圧Vrefは、比較器52の反転入力端子(−)に入力される。
図8に、AC入力電圧Vin、整流電圧Vrc及び基準電圧Vrefの波形を示す。
【0006】
比較器52は、比較電圧Vcmpと基準電圧Vrefとを比較する。比較器52の比較出力電圧Vcoutは、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きい場合にHレベル、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより小さい場合にLレベルになる。比較出力電圧Vcoutは、RSフリップフロップ53のリセット端子Rに入力される。
【0007】
RSフリップフロップ53のセット端子Sには、一定周期のトリガパルスVtrが入力される。RSフリップフロップ53は、その出力端子Qからフリップフロップ出力電圧Vfoutを出力する。このフリップフロップ出力電圧Vfoutは、Nチャネル型MOSトランジスタで構成されたスイッチング素子56のゲートに印加される。
【0008】
RSフリップフロップ53は、
図9に示すように、トリガパルスVtrに応じてセットされ、比較器52の比較出力電圧Vcoutに応じてリセットされる。
【0009】
RSフリップフロップ53がトリガパルスVtrに応じてセットされると、フリップフロップ出力電圧VfoutはHレベルになりスイッチング素子56はオンする。すると、チョークコイル53、スイッチング素子56及び抵抗R0を介して、LED60に電流が流れ、LED60は点灯する。この時、抵抗R0に電流が流れる結果、抵抗R0の端子電圧である比較電圧Vcmpが上昇する。そして、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きくなると、比較出力電圧VcoutはHレベルになり、RSフリップフロップ53はリセットされる。この場合、チョークコイル54の電流変動はチョークコイル54の両端の電位差に比例するために、スイッチング素子56がオンしてから比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きくなるまでには一定の時間を要する。
【0010】
RSフリップフロップ53がリセットされると、フリップフロップ出力電圧VfoutはLレベルになりスイッチング素子56はオフする。これにより、スイッチング素子56を介してLED60に流れる電流は遮断される。スイッチング素子56がオフすると、抵抗R0に電流が流れなくなるので、比較電圧Vcmpは低下する。そして、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより小さくなると、比較器52の比較出力電圧VcoutはLレベルに戻る。
【0011】
このようにして、制御回路200はLED60に流れる電流を制御し、LED60の平均的な発光強度を制御することができる。また、スイッチング素子56がオフになった際に、チョークコイル54に蓄えられたエネルギーをLED60へ回生させる回生ダイオード55がLED60及びチョークコイル54に並列に接続されている。
【0012】
この種の発光素子の制御回路は、特許文献1に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<<第1の実施形態>>
図1は、本発明の第1の実施形態における発光素子の制御回路100Aの回路図である。制御回路100Aは、整流回路10、基準電圧発生回路20、比較器11、RSフリップフロップ12、チョークコイル13、回生ダイオード14、スイッチング素子15、電流検出用の抵抗R0を含んで構成されている。
【0021】
整流回路10の入力端子に交流(AC)の入力電圧Vinを供給すると、入力電圧Vinは整流回路10により全波整流される。全波整流された整流電圧Vrcは、LED60のアノードに駆動電圧として供給される。LED60のカソードは、直列接続されたチョークコイル13、スイッチング素子15及び抵抗R0を介して接地される。この場合、スイッチング素子15、抵抗R0にはLED60からの電流が流れ、抵抗R0の端子電圧により、その電流を検出している。抵抗R0の端子電圧は比較電圧Vcmpとして比較器11の非反転入力端子(+)に入力される。
【0022】
制御回路100Aは、
図7の従来の制御回路200と比較すると、基準電圧Vrefを発生する基準電圧発生回路20の構成が異なっている。基準電圧発生回路20は全波整流された整流電圧rcを分圧して第1の電圧V1を生成し、一方、整流電圧Vrcを分圧、及び平滑化(積分)して第2の電圧V2を生成する。そして、減算回路により第1の電圧V1と第2の電圧V2との差に応じた電圧を基準電圧Vrefとして発生している。これにより、交流電源から供給される交流の入力電圧Vinの変動により、整流電圧Vrcの振幅が変動した時に、基準電圧Vrefの振幅の変動を抑制することができる。
【0023】
基準電圧発生回路20の具体的な構成は以下の通りである。第1の分圧回路は、整流回路10の整流電圧Vrcが出力される出力端子と接地の間に直列接続された第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2により構成される。第1の電圧V1は、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の接続ノードから得られる。第1の電圧V1は、整流電圧Vrcを分圧した電圧であり、数式1で表わされる。
【0025】
R1、R2はそれぞれ第1及び第2の抵抗R1、R2の抵抗値である。Vmは、整流電圧Vrcの振幅、wは交流の入力電圧Vinの角周波数、tは時間である。第1の電圧V1はsinwt=1の時にピーク電圧Vpになる。ピーク電圧Vpは数式2で表わされる。
【0027】
一方、第2の分圧回路は、整流回路10の整流電圧Vrcが出力される出力端子と接地の間に、この順に直列接続されたツェナーダイオード21、第3の抵抗R3及び第4の抵抗R4と、第3の抵抗R3と第4の抵抗R4の接続ノードと接地の間に接続された平滑コンデンサC1により構成される。ツェナーダイオード21のカソードは整流回路10の出力端子に接続されている。第2の電圧V2は、第3の抵抗R3と第4の抵抗R4の接続ノードから得られる。この場合、第3の抵抗R3と平滑コンデンサC1は積分器を形成している。第2の電圧V2は、数式3で表わされる。
【0029】
R3、R4はそれぞれ第3及び第4の抵抗R3、R4の抵抗値である。2Vm/πは、整流電圧VrcのDC平均値、Vfはツェナーダイオード21のツェナー電圧である。つまり、第2の電圧V2は、ツェナーダイオード21のアノード電圧(2Vm/π−Vf)を分圧して得られる。
【0030】
第1の電圧V1と第2の電圧V2との差に応じた電圧(=基準電圧Vref)を作成する減算回路は、差動増幅回路により構成することができる。すなわち、第1の電圧V1は、抵抗R5を介してオペアンプ22の非反転入力端子(+)に入力される。第2の電圧V2は、抵抗R5を介してオペアンプ22の反転入力端子(−)に入力される。オペアンプ22の出力端子と反転入力端子(−)の間には抵抗Rfが負帰還抵抗として接続されている。オペアンプ22の非反転入力端子(+)と接地の間には、抵抗Rfが接続されている。
【0031】
すると、オペアンプ22の出力端子から得られる基準電圧Vrefは数式4で表わされる。
【0033】
数式4に、数式1、数式3を代入すると、
【0035】
基準電圧Vrefのピーク電圧Vref(p)は、数式6で表わされる。
【0037】
ここで、Vmの係数である、R2/(R1+R2)−2/π×R4/(R3+R4)=0というように抵抗比を設定すれば、ピーク電圧Vref(p)は、数式6で表わされる。
【0039】
すなわち、交流の入力電圧Vinの振幅Vmが変動しても、Vref(p)は、振幅Vmに依存せず一定となる。例えば、
図2に示すように、交流の入力電圧Vinの振幅が100Vから200Vに大きくなると、基準電圧Vrefの振幅もそれに伴って大きくなる。これに対して、本実施形態の制御回路100Aによれば、従来のように単純に整流電圧Vrcを分圧して基準電圧Vrefを発生するものと比較して、基準電圧Vrefの上昇を抑えることができ、特に、上述の抵抗比の設定により、基準電圧Vrefのピーク電圧Vref(p)を一定にすることができる。
【0040】
その他の構成は、従来の制御回路200と同様である。比較器11は、抵抗R0の端子電圧である比較電圧Vcmpと、前記基準電圧発生回路20により発生された基準電圧Vrefとを比較する。比較器11の比較出力電圧Vcoutは、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きい場合にHレベル、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより小さい場合にLレベルになる。比較器11の比較出力電圧Vcoutは、RSフリップフロップ12のリセット端子Rに入力される。
【0041】
RSフリップフロップ12のセット端子Sには、一定周期のトリガパルスVtrが入力される。整流電圧Vrcの周波数を100Hz〜120Hzとすると、トリガパルスVtrの周波数は、それより十分に高い50KHz〜100KHzであることが適当である。
【0042】
RSフリップフロップ12は、その出力端子Qからフリップフロップ出力電圧Vfoutを出力する。このフリップフロップ出力電圧Vfoutは、Nチャネル型MOSトランジスタで構成されたスイッチング素子15のゲートに印加される。
【0043】
RSフリップフロップ12は、
図9に示すように、トリガパルスVtrに応じてセットされ、比較器11の比較出力電圧Vcoutに応じてリセットされる。RSフリップフロップ12がトリガパルスVtrに応じてセットされると、フリップフロップ出力電圧VfoutはHレベルになりスイッチング素子15はオンする。すると、チョークコイル13、スイッチング素子15及び抵抗R0を介して、LED60に電流が流れ、LED60は点灯する。この時、抵抗R0に電流が流れる結果、抵抗R0の端子電圧である比較電圧Vcmpが上昇する。そして、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きくなると、比較出力電圧VcoutはHレベルになり、RSフリップフロップ12はリセットされる。
【0044】
RSフリップフロップ12がリセットされると、フリップフロップ出力電圧VfoutはLレベルになりスイッチング素子15はオフする。これにより、スイッチング素子15を介してLED60に流れる電流は遮断される。このようにして、制御回路100AはLED60に流れる電流を制御し、LED60の平均的な発光強度を制御することができる。
【0045】
そして、制御回路100Aによれば、交流電源から供給される交流の入力電圧Vinの変動により、整流電圧Vrcの振幅Vmが変動した時に、基準電圧Vrefの振幅の変動を抑制しているので、スイッチング素子15がオンしてから、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きくなるまでの時間の変動が小さくなる。これにより、整流電圧Vrcの振幅変動によるLED60に流れる電流の変動量を小さくしてLED60の発光輝度の変動を小さくするとともに、力率を改善することができる。
【0046】
<<第2の実施形態>>
図3は、本発明の第2の実施形態における発光素子の制御回路100Bの回路図である。制御回路100Bは、整流回路10、基準電圧発生回路30、比較器11、RSフリップフロップ12、チョークコイル13、回生ダイオード14、スイッチング素子15、電流検出用の抵抗R0を含んで構成されている。
【0047】
整流回路10の入力端子に交流(AC)の入力電圧Vinを供給すると、入力電圧Vinは整流回路10により全波整流される。全波整流された整流電圧Vrcは、LED60のアノードに駆動電圧として供給される。LED60のカソードは、直列接続されたチョークコイル13、スイッチング素子15及び抵抗R0を介して接地される。抵抗R0の端子電圧は比較電圧Vcmpとして比較器11の非反転入力端子(+)に入力される。
【0048】
制御回路100Bは、
図7の従来の制御回路200と比較すると、基準電圧Vrefを発生する基準電圧発生回路30の構成が異なっている。基準電圧発生回路30は全波整流された整流電圧Vrcを分圧して第1の電圧V1を生成し、一方、整流電圧Vrcを分圧、及び平滑化(積分)して第2の電圧V2を生成する。
【0049】
そして、電圧除算回路により第1の電圧V1を第2の電圧V2を除算した値V1/V2に応じた電圧を基準電圧Vrefとして発生している。これにより、交流電源から供給される交流の入力電圧Vinの変動により、整流電圧Vrcの振幅が変動した時に、基準電圧Vrefの振幅の変動を抑制することができる。
【0050】
基準電圧発生回路30は、第1の分圧回路、第2の分圧回路及び電圧除算回路で構成され、その具体的な構成は以下の通りである。第1の分圧回路は、整流回路10の整流電圧Vrcが出力される出力端子と接地の間に直列接続された第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12により構成される。第1の電圧V1は、第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12の接続ノードから得られる。第1の電圧V1は、整流電圧Vrcを分圧した電圧であり、数式8で表わされる。
【0052】
R11、R12はそれぞれ第1及び第2の抵抗R11、R12の抵抗値である。Vmは、整流電圧Vrcの振幅、wは交流の入力電圧Vinの角周波数、tは時間である。
【0053】
一方、第2の分圧回路は、整流回路10の整流電圧Vrcが出力される出力端子と接地の間に、直列接続された第3の抵抗R13及び第4の抵抗R14と、第3の抵抗R13と第4の抵抗R14の接続ノードと接地の間に接続された平滑コンデンサC1により構成される。第2の電圧V2は、第3の抵抗R13と第4の抵抗R14の接続ノードから得られる。この場合、第3の抵抗R13と平滑コンデンサC1は積分器を形成している。
【0054】
第2の電圧V2は、数式9で表わされる。
【0056】
R13、R14はそれぞれ第3及び第4の抵抗R13、R14の抵抗値である。2Vm/πは、整流電圧VrcのDC平均値である。
【0057】
電圧除算回路は、第1の電圧V1を第2の電圧V2で除算した値V1/V2に応じた電圧(=基準電圧Vref)を作成する回路であって、以下の回路で構成することができる。
【0058】
すなわち、第1の電圧V1は、Nチャネル型の第1のMOSトランジスタ33を介して第1のオペアンプ31の反転入力端子(−)に入力される。第1のオペアンプ31の非反転入力端子(+)は接地される。第1のオペアンプ31の出力端子と反転入力端子(−)との間には抵抗Rfが負帰還抵抗として接続されている。
【0059】
また、第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12の接続ノードと、第1のMOSトランジスタ33のゲートの間には抵抗R21が接続されている。つまり、第1のオペアンプ31は、第1の電圧V1を反転増幅する反転増幅回路を形成している。第1のオペアンプ31の出力電圧Voutは、インバータ35により極性が反転され、基準電圧Vrefが発生される。
【0060】
一方、第2の電圧V2は、Nチャネル型の第2のMOSトランジスタ34を介して第2のオペアンプ32の反転入力端子(−)に入力される。第2のオペアンプ32の非反転入力端子(+)は接地される。第3の抵抗R13及び第4の抵抗R14の接続ノードと、第2のMOSトランジスタ34のゲートの間には抵抗R21が接続されている。
【0061】
第2のオペアンプ32の出力端子は、抵抗R22を介して第1のMOSトランジスタ33のゲートに接続され、抵抗R22を介して第2のMOSトランジスタ34のゲートにも接続されている。また、第2のオペアンプ32の反転入力端子(−)と接地の間には、直列接続された抵抗23、及び接地電圧に対して負の定電圧Vrを発生する定電圧源が設けられている。
【0062】
抵抗R23に流れる電流をI3とすると、I3は数式10で表わされる。
【0065】
第2のMOSトランジスタ34のソースドレイン間の抵抗をrds2とし、ソースドレイン間に流れる電流をI2とすると、抵抗rds2は数式11で表わされる。第2のオペアンプ32の反転入力端子(−)の電位は、イマジナリーショートにより接地電位(0V)になるからである。
【0067】
ここで、I2=I3であるから、抵抗rds2は、数式12で表わされる。
【0069】
ここで、第1のMOSトランジスタ33と第2のMOSトランジスタ34が全く同じ構成とし、MOSトランジスタの飽和領域の特性がドレイン−ソース間の電圧によらずドレイン電流が一定のものとすると、rds1=rds2 である。rds1は、第1のMOSトランジスタ33のソースドレイン間の抵抗である。
【0070】
反転増幅回路を形成する第1のオペアンプ31の出力電圧Voutは、数式13で表わされる。
【0072】
ここで、基準電圧Vrefは、数式14のように、Voutの極性を反転したものである。
【0074】
数式13に、数式8のV1、数式9のV2を代入すると、数式15が得られる。
【0076】
数式15を整理すると、数式16が得られる。
【0078】
数式16から分かるように、電圧除算回路により、Vrefの整流電圧Vrcの振幅に対する依存性は除去され、整流電圧Vrcの振幅Vmが変動しても、Vrefは、振幅Vmに依存せず一定となる。
【0079】
その他の構成は、従来の制御回路200と同様である。比較器11は、抵抗R0の端子電圧である比較電圧Vcmpと、前記基準電圧発生回路30により発生された基準電圧Vrefとを比較する。比較器11の比較出力電圧Vcoutは、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きい場合にHレベル、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより小さい場合にLレベルになる。比較器11の比較出力電圧Vcoutは、RSフリップフロップ12のリセット端子Rに入力される。
【0080】
RSフリップフロップ12のセット端子Sには、一定周期のトリガパルスVtrが入力される。交流の入力電圧Vinの周波数を100Hz〜120Hzとすると、トリガパルスVtrの周波数は、それより十分に高い50KHz〜100KHzであることが適当である。
【0081】
RSフリップフロップ12は、その出力端子Qからフリップフロップ出力電圧Vfoutを出力する。このフリップフロップ出力電圧Vfoutは、Nチャネル型MOSトランジスタで構成されたスイッチング素子15のゲートに印加される。
【0082】
RSフリップフロップ12は、
図9に示すように、トリガパルスVtrに応じてセットされ、比較器11の比較出力電圧Vcoutに応じてリセットされる。RSフリップフロップ12がトリガパルスVtrに応じてセットされると、フリップフロップ出力電圧VfoutはHレベルになりスイッチング素子15はオンする。すると、チョークコイル13、スイッチング素子15及び抵抗R0を介して、LED60に電流が流れ、LED60は点灯する。この時、抵抗R0に電流が流れる結果、抵抗R0の端子電圧である比較電圧Vcmpが上昇する。そして、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きくなると、比較出力電圧VoutはHレベルになり、RSフリップフロップ12はリセットされる。
【0083】
RSフリップフロップ12がリセットされると、フリップフロップ出力電圧VfoutはLレベルになりスイッチング素子15はオフする。これにより、スイッチング素子15を介してLED60に流れる電流は遮断される。このようにして、制御回路100BはLED60に流れる電流を制御し、LED60の平均的な発光強度を制御することができる。
【0084】
そして、制御回路100Bによれば、交流電源から供給される交流の入力電圧Vinの変動により、整流電圧Vrcの振幅Vmが変動した時に、基準電圧Vrefの振幅の変動を抑制しているので、スイッチング素子15がオンしてから、比較電圧Vcmpが基準電圧Vrefより大きくなるまでの時間の変動が小さくなる。これにより、整流電圧Vrcの振幅変動によるLED60に流れる電流の変動量を小さくして、LED60の発光輝度の変動を小さくするとともに、力率を改善することができる。
【0085】
<<第3の実施形態>>
図4は、本発明の第3の実施形態における発光素子の制御回路100Cの回路図である。制御回路100Cは、整流回路10、分圧回路61、平滑回路62(積分器)、第1の電圧電流変換回路80、第2の電圧電流変換回路81、電流除算回路70、比較器11、RSフリップフロップ12、チョークコイル13、回生ダイオード14、スイッチング素子15、電流検出用の抵抗R0を含んで構成されている。
【0086】
整流回路10の入力端子に交流(AC)の入力電圧Vinを供給すると、入力電圧Vinは整流回路10により全波整流される。全波整流された整流電圧Vrcは、LED60のアノードに駆動電圧として供給される。LED60のカソードは、直列接続されたチョークコイル13、スイッチング素子15及び抵抗R0を介して接地される。抵抗R0の端子電圧は比較電圧Vcmpとして比較器11の非反転入力端子(+)に入力される。
【0087】
第2の実施形態の制御回路100Bの基準電圧発生回路30では、負の定電圧Vrを発生する定電圧源を必要としたが、本実施形態は、負電圧源を必要としない構成を提供するものである。
【0088】
本実施形態の基準電圧発生回路は、分圧回路61、平滑回路62(積分器)、第1の電圧電流変換回路80、第2の電圧電流変換回路81、電流除算回路70及び抵抗76(抵抗値R)を含んで構成される。
【0089】
分圧回路61は、整流回路10の整流電圧Vrcが出力される出力端子と接地の間に直列接続された第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12により構成される。第1の電圧V1は、第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12の接続ノードから得られる。第1の電圧V1は、整流電圧Vrcを分圧した電圧であり、数式16で表わされる。
【0091】
R11、R12はそれぞれ第1及び第2の抵抗R11、R12の抵抗値である。Vmは、整流電圧Vrcの振幅、wは交流の入力電圧Vinの角周波数、tは時間である。
【0092】
一方、平滑回路62は、抵抗R13及び平滑コンデンサC1から構成される。平滑回路62は積分器と等価である。抵抗R13の第1の端子は、第1の抵抗R11及び第2の抵抗R12の接続ノードに接続される。平滑コンデンサC1は、抵抗R13の第2の端子と接地の間に接続されている。
【0093】
平滑回路62は、第1の電圧V1を平滑化(積分)して第2の電圧V2を発生する。第2の電圧V2は、数式18で表わされる。平滑回路62の代わりに、第2の実施形態の抵抗R13、R14、平滑コンデンサC1から成る第2の分圧回路を用いても良い。
【0095】
2Vm/πは、整流電圧VrcのDC平均値である。
【0096】
第1の電圧電流変換回路80は、第1の電圧V1をそれに比例する第1の電流I1に変換する回路である。第1の電圧電流変換回路80は、第1のオペアンプ63、Nチャネル型の制御トランジスタ65、抵抗74(抵抗値R)を含んで構成される。第1のオペアンプ63の反転入力端子(−)には第1の電圧V1が印加され、非反転入力端子(+)は、抵抗74の端子電圧が印加される。第1のオペアンプ63の出力端子は制御トランジスタ65のゲートに印加される。
【0097】
すると、抵抗74の端子電圧が第1の電圧V1となるように制御トランジスタ65に第1の電流I1が流れる。第1の電流I1は抵抗74に流れるので第1の電流I1は、数式19で表わされる。
【0099】
また、第2の電圧電流変換回路81は、第2の電圧V2をそれに比例する第2の電流I2に変換する回路である。第2の電圧電流変換回路81は、第2のオペアンプ64、Nチャネル型の制御トランジスタ66、抵抗75(抵抗値R)を含んで構成される。第2のオペアンプ64の反転入力端子(−)には第2の電圧V2が印加され、非反転入力端子(+)は、抵抗75の端子電圧が印加される。第2のオペアンプ64の出力端子は制御トランジスタ66のゲートに印加される。
【0100】
すると、抵抗75の端子電圧が第2の電圧V2となるように制御トランジスタ66に第2の電流I2が流れる。第2の電流I2は、抵抗75に流れるので第2の電流I2は数式20で表わされる。
【0102】
電流除算回路70は、第1の電流I1を第2の電流I2で除算した値に応じた出力電流Ioutを生成する回路である。第1の電流I1は、2つのカレントミラー回路67,68を介して電流除算回路70に供給される。第2の電流I2は、2つのカレントミラー回路77,69を介して電流除算回路70に供給される。
【0103】
電流除算回路70は、NPN型バイポーラトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6と、定電流源71、78と、バイアス電圧VBIASを発生するバイアス電源72と、カレントミラー回路73を含んで構成される。第1の電流I1はトランジスタQ5のエミッタに、第2の電流I2はトランジスタQ2に流れるように構成されている。
【0104】
この電流除算回路70において、NPN型バイポーラトランジスタQ1、Q2、Q3のベースエミッタ間電圧VBEの和と、NPN型バイポーラトランジスタQ4、Q5、Q6のベースエミッタ間電圧VBEの和が等しいことから、各トランジスタのコレクタ電流Icに関し、次の数式が成り立つ。
【0105】
Ic(Q1)・Ic(Q2)・Ic(Q3)=Ic(Q4)・Ic(Q5)・Ic(Q6)
各トランジスタのベース電流を無視すると、
Ic(Q1)=Ic(Q4)、Ic(Q2)=I2、Ic(Q3)=Iout
Ic(Q5)=I1、Ic(Q6)=IB、という関係が成り立つ。IBは、定電流源71により供給される電流である。
【0106】
すると、これらの数式より、Ic(Q3)=Ic(Q5)・Ic(Q6)/Ic(Q2)
、Iout=I1・IB/I2 という関係が成り立つ。
【0107】
このIoutに、数式17〜20を代入すると、数式21が得られる。
【0109】
電流Ioutは、カレントミラー回路73を介して出力抵抗76に流れる。これにより、出力抵抗76の端子電圧として、数式22で表わされる基準電圧Vrefが得られる。
【0111】
数式22から分かるように、電流除算回路により、Vrefの整流電圧Vrcの振幅に対する依存性は除去され、整流電圧Vrcの振幅Vmが変動しても、Vrefは、整流電圧Vrcの振幅Vmに依存せず一定となる。これにより、交流電源から供給される交流の入力電圧Vinの変動により、整流電圧Vrcの振幅Vmが変動した時に、基準電圧Vrefの振幅の変動を抑制することができる。その他の構成は、第2の実施形態の制御回路Bと同じである。
【0112】
<<第4の実施形態>>
図5は、本発明の第4の実施形態における発光素子の制御回路100Dの回路図である。第1の実施形態の発光素子の制御回路100A(
図1参照)は、非絶縁型であり、LED60が整流回路10に直接接続されているので、人がLED60を交換する時に感電するおそれがある。
【0113】
そこで、本実施形態における発光素子の制御回路100Dは、LED60の交換時の感電を防止するために、絶縁トランス40を介してLED60に電流を供給するようにした。すなわち、絶縁トランス40の一次側コイルは、整流回路10側に接続され、その二次側コイルにLED60が接続される。
【0114】
この場合、抵抗R0には絶縁トランス40の一次側コイルに流れる電流が流れ、
LED60には一次側コイルに流れる電流に応じた電流が流れるので、第1の実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0115】
<<第5の実施形態>>
図6は、本発明の第5の実施形態における発光素子の制御回路100Eの回路図である。第2の実施形態の発光素子の制御回路100B(
図3参照)は、非絶縁型であり、LED60が整流回路10に直接接続されているので、人がLED60を交換する時に感電するおそれがある。
【0116】
そこで、本実施形態における発光素子の制御回路100Eは、LED60の交換時の感電を防止するために、絶縁トランス40を介してLED60に電流を供給するようにした。すなわち、絶縁トランス40の一次側コイルは、整流回路10側に接続され、その二次側コイルにLED60が接続される。
【0117】
この場合も、抵抗R0には絶縁トランス40の一次側コイルに流れる電流が流れ、
LED60には一次側コイルに流れる電流に応じた電流が流れるので、第1の実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0118】
なお、第3の実施形態における発光素子の制御回路100Cについても、絶縁型の構成を採用することができる。
【0119】
<<第6の実施形態>>
本実施形態は、第2、第3及び第5の実施形態における発光素子の制御回路100B、100C、100Eを改良したものである。
【0120】
一般に、発光素子の制御回路においては、トライアックのような調光器により交流の入力電圧Vin(交流電圧)の導電角を制御することにより、LED60に流れる電流を制御して調光を行っている。この場合、調光器により導電角が制御された交流の入力電圧Vinを整流回路10により整流することになる。
【0121】
そして、整流電圧Vrcの導通角に応じた、調光器(トライアック)のデューティ比が定義される。交流電圧の半周期T/2におけるトライアックのオフ時間をt1とすると、オン時間は、T/2−t1となる。したがって、このデューティ比は、数式23によって定義される。
【0123】
デューティ比=(T/2−t1)/(T/2)
ところで、調光器を用いた調光制御においては、次の(1)、(2)の特性を満足することが望ましい。
(1) 交流電源から供給される交流の入力電圧Vinが変動しても、基準電圧Vre
fの振幅の変動を抑制してLED60に一定の電流を流す。
(2) 調光器(トライアック)のデューティ比の増加に対して、LED60に流れる電流は線形に増加し、デューティ比が100%の時に、LED60に流れる電流は最大になる。
【0124】
第2、第3及び第5の実施形態における発光素子の制御回路100B、100C、100Eにおいては、除算回路による演算(V1/V2)を採用したことにより、(1)の特性を満足するが、(2)の特性を満足しない。
【0125】
(2)の特性が満足されない理由を
図11に基づいて説明する。
図11には、調光器(トライアック)のデューティ比が、50%、70%、100%における第1の電圧V1、第2の電圧V2、第3の電圧V3の交流電圧の半周期T/2における時間変化を示している。
【0126】
第1の電圧V1は、整流電圧Vrcを分圧した電圧であり、第2の電圧V2は、整流電圧Vrcを分圧、及び積分した電圧である。第3の電圧V3はV1/V2に応じた電圧であり、基準電圧Vrefとして用いられるものである。第2の電圧V2は、デューティ比が下がると減少する。そのため、第3の電圧V3(=基準電圧Vref)は上がってしまう。このように第3の電圧V3が変動する結果、デューティ比に対する電流の線形増加特性が得られない。
【0127】
そこで、デューティ比がある程度下がった時に、第3の電圧V3を一定値にクランプするという回路構成も考えられが、その場合でも、デューティ比がある程度大きくなると、LED60に流れる電流は減少してしまい、デューティ比が100%の時に、LED60に流れる電流は最大にならないという問題が残る。
【0128】
そこで、本実施形態では、第3の電圧V3と、トライアック100のデューティ比に応じた電圧との積に応じた電圧を基準電圧Vrefとすることにより、デューティ比による基準電圧Vrefの変動を相殺し、上記(1)、(2)の特性を両立させるものである。
【0129】
図12は本実施形態における発光素子の制御回路100Fの回路図である。
図13は、制御回路100Fにおける整流電圧Vrc、第1の電圧V1、第3の電圧V3、第5の電圧V5の波形図である。
【0130】
この制御回路100Fにおいては、整流回路10はトライアック100を介して導通角が制御された交流の入力電圧Vinを全波整流し、整流電圧Vrcを生成する。
【0131】
前述のように、第1の電圧V1は整流電圧Vrcを抵抗分圧した電圧であり、第2の電圧V2は整流電圧Vrcを抵抗分圧し、さらに積分器で積分した電圧である。第3の電圧V3は、除算回路90による演算の結果、V1/V2に応じた電圧である。この除算回路90は、第2、第3及び第5の実施形態における除算回路と実質的に同じである。
【0132】
制御回路100Fは、除算回路90に加えて、トライアック100のデューティ比に応じた第4の電圧V4を検出するデューティ比検出回路91、除算回路90から出力される第3の電圧V3と第4の電圧V4とを乗算して、第5の電圧V5(=基準電圧Vref)を発生する乗算回路93を備える。
【0133】
デューティ比検出回路91は、比較器92と、抵抗R16とコンデンサC2からなる積分器とを備える。比較器92は、整流電圧Vrcが出力される出力端子と接地の間に直列接続された抵抗R14及び抵抗R15の接続ノードから出力される整流電圧Vrcの電圧と、所定電圧Vdcとを比較する。所定電圧Vdcは、トライアック10のデューティ比を適切に検出するために、整流電圧Vrcの振幅Vmより十分小さい。デューティ比検出回路91の積分器から、トライアック100のデューティ比に応じた電圧V4が出力される。
【0134】
なお、
図12の制御回路100Fでは、絶縁トランス40を介してLED60に電流を供給する構成になっているが、これは一例であり、絶縁トランス40を用いない非絶縁型であっても同様の特性が得られる。